この開示の特徴とするところを、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す振動モータの模式的な形態および実施形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さないことがある。
−振動モータの模式的な形態−
この開示に従う振動子支持構造を含む振動モータの模式的な形態を示す振動モータ100について、図1および図2を用いて説明する。
図1(A)は、振動モータ100の、筺体1の第1の部分1a(図2参照)を除いて上面視したときの平面図である。図1(B)は、振動モータ100の、筺体1の第2の部分1b(図2参照)の、第1の部分1aと対向する部分を除いて下面視したときの平面図である。図2(A)は、図1(A)に示されたA−A線を含む面で切断された振動モータ100の矢視断面図である。図2(B)は、図1(A)に示されたB−B線を含む面で切断された振動モータ100の矢視断面図である。ここで、上面視とは、後述する筺体1の内壁W5側から内壁W6側を見ることを指す。下面視とは、内壁W6側から内壁W5側を見ることを指す。
振動モータ100は、図1および図2に示されるように、筺体1(第1の筺体)と、2つの磁石M1(第1の磁石)および2つの磁石M2(第2の磁石)を含む振動子2と、コイル3(第1のコイル)と、コイル4(第2のコイル)と、第1の反発機構S1と、第2の反発機構S2とを備えている。また、振動モータ100の異なる2つの振動方向を、第1の方向D1および第2の方向D2とする。
筺体1は、第1の部分1aと第2の部分1bとを含み、内壁W1ないしW6を有する直方体状である。振動モータ100において、第1の部分1aは平板状の蓋部であり、第2の部分1bは、第1の部分1aと対向する平板状の平板部分と、この平板部分から第1の部分1a方向に向かって延びる4つの平板状の側壁部分とを有する容器部となっている。すなわち、筺体1は、外形が直方体状の密閉構造となっているが、形状はこれに限られない。例えば、筺体1は、筒状であってもよく、部分的に開口を備えていてもよい。なお、第2の部分1bは、後述するように、容器部本体1b1と固定部1b2とを含んでいるが、固定部1b2の図示は省略されている(以下同様)。
内壁W1ないしW4は、図1(A)、(B)に示された筺体1の側壁面に相当し、内壁W1と内壁W2、および内壁W3と内壁W4とがそれぞれ対向している。また、内壁W5は、図2(A)、(B)に示された筺体1の内部の天面に相当し、内壁W6は、内壁W5と対向する筺体1の内部の底面に相当する。
振動子2は、筺体1の第2の部分1b内に収容されている。振動子2は、上記の定義における上面視で矩形状の基板2aを含んでいる。基板2aは、一方主面と、他方主面と、第2の方向D2に平行な2つの側面(第1の側面)と、第1の方向D1に平行な2つの側面(第2の側面)とを有している。2つの磁石M1は、それぞれ後述するコイル3の巻線部と対向するように、第1の方向D1に沿って基板2aの一方主面側に間隔をおいて固定されている。また、2つの磁石M1は、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。
具体的には、2つの磁石M1の一方(図2(A)における左側の磁石M1)の磁極は、コイル3に対向する側(コイル3に近い側)がS極であり、基板2aに対向する側(基板2aに近い側)がN極である。また、2つの磁石M1の他方(図2(A)における右側の磁石M1)の磁極は、コイル3に対向する側(コイル3に近い側)がN極であり、基板2aに対向する側(基板2aに近い側)がS極である。
振動モータ100において、2つの磁石M1は、同じ形状となっている。すなわち、2つの磁石M1は、第1の方向D1から見たとき、互いに重なって見える。ただし、磁石M1の形状は、これに限られない。また、磁石M1は1つだけでもよい。振動モータ100では、2つの磁石M1が上記のように配置されているため、後述するコイル3に加わるローレンツ力を大きくすることができる。
なお、2つの磁石M1の間に別の磁石を入れて、2つの磁石M1およびこの別の磁石が構成する磁石の配列の磁界が、コイル3に対向する側に集中するようにしてもよい。この場合、この別の磁石の磁極は、2つの磁石M1の一方に対向する側(2つの磁石M1の一方に近い側)がS極であり、他方に対向する側(他方に近い側)がN極である。
コイル3は、通電されることにより、振動子2が第1の方向D1に沿って振動可能となるように磁石M1に駆動力を与える。図1および図2において、コイル3の巻線およびコイル3への通電経路(配線経路)などの図示は省略されている。振動モータ100において、コイル3は、巻回軸線が筺体1の内壁W5の法線方向と平行となる、すなわち巻回軸線が第1の方向D1と直交するように、筺体1の内壁W5に固定されている。コイル3の巻回軸線方向から見たときの形状は、矩形状である。ただし、巻回の都合上、コイル3の矩形の角に相当する部分においては一定の曲面を有することもある。
コイル3に電流が流れると、コイル3には、磁石M1の磁界により、磁界の向きおよび電流の流れる向きのそれぞれと直交する向きのローレンツ力が加わる。一方、コイル3は、筺体1に固定されているので、磁石M1にローレンツ力の反力が加わる。したがって、コイル3は、通電により磁石M1に、延いては振動子2に第1の方向D1に沿った駆動力を与えることになる。
前述したように、コイル3の巻回軸線方向から見たときの形状が矩形状である場合、コイル3が円環状である場合よりも、前述のローレンツ力の方向が第1の方向D1に揃いやすい。そのため、振動子2に与えられる第1の方向D1に沿った駆動力が大きくなり好ましい。
2つの磁石M2は、それぞれ後述するコイル4の巻線部と対向するように、第1の方向D1と交差する第2の方向D2に沿って基板2aの他方主面側に間隔をおいて固定されている。また、2つの磁石M2は、磁極の配列方向がコイル4の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。
具体的には、2つの磁石M2の一方(図2(B)における左側の磁石M2)の磁極は、コイル4に対向する側(コイル4に近い側)がN極であり、基板2aに対向する側(基板2aに近い側)がS極である。また、2つの磁石M2の他方(図2(B)における右側の磁石M2)の磁極は、コイル4に対向する側(コイル4に近い側)がS極であり、基板2aに対向する側(基板2aに近い側)がN極である。
振動モータ100では、第1の方向D1と第2の方向D2とは直交している。なお、第1の方向D1と第2の方向D2との直交とは、製造上のばらつきなどによる厳密な直交からのずれを含んだ概念である。
振動モータ100において、2つの磁石M2は、同じ形状となっている。すなわち、2つの磁石M2は、第2の方向D2から見たとき、互いに重なって見える。ただし、磁石M2の形状は、これに限られない。また、磁石M2は1つだけでもよい。振動モータ100では、2つの磁石M2が上記のように配置されているため、後述するコイル4に加わるローレンツ力を大きくすることができる。
なお、2つの磁石M2の間にさらに別の磁石を入れて、2つの磁石M2およびこの別の磁石が構成する磁石の配列の磁界が、コイル4に対向する側に集中するようにしてもよい。この場合、この別の磁石の磁極は、2つの磁石M2の一方に対向する側(2つの磁石M2の一方に近い側)がN極であり、他方に対向する側(他方に近い側)がS極である。
コイル4は、通電されることにより、振動子2が第2の方向D2に沿って振動可能となるように磁石M2に駆動力を与える。図1および図2において、コイル4の巻線およびコイル4への通電経路(配線経路)などの図示は省略されている。振動モータ100において、コイル4は、巻回軸線が筺体1の内壁W6の法線方向と平行となる、すなわち巻回軸線が第2の方向D2と直交するように、筺体1の内壁W6に固定されている。コイル4の巻回軸線方向から見たときの形状は、矩形状である。ただし、巻回の都合上、コイル4の矩形の角に相当する部分においては一定の曲面を有することもある。
コイル4に電流が流れると、コイル4には、磁石M2の磁界により、磁界の向きおよび電流の流れる向きのそれぞれと直交する向きのローレンツ力が加わる。一方、コイル4は、筺体1に固定されているので、磁石M2にローレンツ力の反力が加わる。したがって、コイル4は、通電により磁石M2に、延いては振動子2に第2の方向D2に沿った駆動力を与えることになる。
前述したように、コイル4の巻回軸線方向から見たときの形状が矩形状である場合、コイル4が円環状である場合よりも、前述のローレンツ力の方向が第2の方向D2に揃いやすい。そのため、振動子2に与えられる第2の方向D2に沿った駆動力が大きくなり好ましい。
第1の反発機構S1は、第1の方向D1に沿って筺体1と振動子2との間に反発力を与える。振動子2は、第2の方向D2に沿って可動である。第1の反発機構S1は、筺体1内で振動子2を支持する支持部材S1a、S1b(第1の支持部材)を含んでいる。
支持部材S1aは、変形部S11aと、係合部S12aとを有している。変形部S11aは、上面視で内壁W3側に開口するU字状であり、振動子2の第1の方向D1の振動に対して弾性変形する。係合部S12aは、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように振動子2と係合している。
ここで、係合部S12aと振動子2とが係合しているとは、係合部S12aおよび振動子2の一方が、他方に入り込んだ形態で互いに接触していることを指す。また、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能とは、係合部S12aと振動子2とが上記のように互いに接触した状態を維持したまま、振動子2が第2の方向に沿って可動であることを指す。これらの状態が実現される立体的な構造の例については、後述される。
支持部材S1bは、変形部S11bと、係合部S12bとを有している。変形部S11bは、上面視で内壁W4側に開口するU字状であり、振動子2の第1の方向D1の振動に対して弾性変形する。係合部S12bは、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように振動子2と係合している。係合部S12bと振動子2とが係合していること、および振動子2の第1の方向D1の振動に対して振動子2が摺動可能であることは、上記と同様に定義される。
支持部材S1aは、変形部S11aから延びる平板状の固定部S13aと内壁W1とが接続されることにより、筺体1に固定されている。支持部材S1bは、変形部S11bから延びる平板状の固定部S13bと内壁W2とが接続されることにより、筺体1に固定されている。振動子2は、支持部材S1aの係合部S12aと、支持部材S1bの係合部S12bとの間に、第2の方向D2に沿って可動であり、かつ筺体1内に支持されるように挟まれている。
なお、支持部材S1aの変形部S11aは、内壁W1から内壁W2に向かう向きに、支持部材S1bの変形部S11bは、内壁W2から内壁W1に向かう向きにそれぞれ振動子2を付勢するように予め変形されていることが好ましい。
その場合、振動子2の第1の方向D1における振幅の最大値においても、支持部材S1aの係合部S12aと、支持部材S1bの係合部S12bとが、それぞれ振動子2に係合した状態が維持されるように変形されていることが好ましい。
また、支持部材S1aの固定部S13aおよび支持部材S1bの固定部S13bは、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸上で筺体1に接続されることが好ましい。この場合、振動子2が第1の方向D1に振動するときに、振動のぶれを効果的に抑制することができる。
第2の反発機構S2は、第2の方向D2に沿って筺体1と振動子2との間に反発力を与える。振動子2は、第1の方向D1に沿って可動である。第2の反発機構S2は、筺体1内で振動子2を支持する支持部材S2a、S2b(第2の支持部材)を含んでいる。
支持部材S2aは、変形部S21aと、係合部S22aとを有している。変形部S21aは、上面視で内壁W2側に開口するU字状であり、振動子2の第2の方向D2の振動に対して弾性変形する。係合部S22aは、振動子2の第1の方向D1の振動に対して振動子2が摺動可能となるように振動子2と係合している。係合部S22aと振動子2とが係合していること、および振動子2の第1の方向D1の振動に対して振動子2が摺動可能であることは、前述と同様に定義される。
支持部材S2bは、変形部S21bと、係合部S22bとを有している。変形部S21bは、上面視で内壁W1側に開口するU字状であり、振動子2の第2の方向D2の振動に対して弾性変形する。係合部S22bは、振動子2の第1の方向D1の振動に対して振動子2が摺動可能となるように振動子2と係合している。係合部S22bと振動子2とが係合していること、および振動子2の第1の方向D1の振動に対して振動子2が摺動可能であることも、上記と同様に定義される。
支持部材S2aは、変形部S21aから延びる平板状の固定部S23aと内壁W3とが接続されることにより、筺体1に固定されている。支持部材S2bは、変形部S21bから延びる平板状の固定部S23bと内壁W4とが接続されることにより、筺体1に固定されている。振動子2は、支持部材S2aの係合部S22aと、支持部材S2bの係合部S22bとの間に、第1の方向D1に沿って可動であり、かつ筺体1内に支持されるように挟まれている。
なお、支持部材S2aの変形部S21aは、内壁W3から内壁W4に向かう向きに、支持部材S2bの変形部S21bは、内壁W4から内壁W3に向かう向きにそれぞれ振動子2を付勢するように予め変形されていることが好ましい。
その場合、振動子2の第2の方向D2における振幅の最大値においても、支持部材S2aの係合部S22aと、支持部材S2bの係合部S22bとが、それぞれ振動子2に係合した状態が維持されるように変形されることが好ましい。
また、支持部材S2aの固定部S23aおよび支持部材S2bの固定部S23bは、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第2の方向D2に平行な対称軸上で筺体1に接続されることが好ましい。この場合、振動子2が第2の方向D2に振動するときに、振動のぶれを効果的に抑制することができる。
振動モータ100が備える第1の反発機構S1に含まれる支持部材S1aについて、図3および図4を用いてさらに説明する。
図3(A)は、支持部材S1aを示し、図3(B)および(C)は、それぞれ支持部材S1aの第1および第2の変形例を示した斜視図である。なお、支持部材S1bも、同様の構造および機能を有しているので、詳細な説明は省略される。
図3(A)は、前述の振動モータ100が備える支持部材S1aを示す。支持部材S1aは、前述したように、変形部S11aと、係合部S12aと、固定部S13aとを有している。
変形部S11aは、上面視でU字状に加工された、帯状の弾性部材である。すなわち、支持部材S1aが振動モータ100に組み込まれたときには、第1の方向D1に弾性変形可能となっている。変形部S11aの材質としては、例えばリボン鋼、ベイナイト鋼、ステンレス鋼、リン青銅またはベリリウム銅などが用いられる。なお、変形部S11aである帯状の弾性部材の幅は、基板2aの厚みと同じとなっている。
係合部S12aは、凹部Cを有している。図3(A)に示された支持部材S1aにおいては、係合部S12aは、U字状の変形部S11aから延びた平板部分に、断面が角張ったC字状となるように2つの板状部材が接続されることにより形成されている。支持部材S1aが振動モータ100に組み込まれたときには、この凹部Cの内部と、基板2aの第1の側面の一方とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、係合部S12aと振動子2とが係合する。
変形部S11aと係合部S12aとは、上記のように1つの部材であってもよく、それぞれ別部材であってもよい。なお、図3(A)においては、係合部S12aにおける変形部S11aから平板状に延びた部分と、固定部S13aとは、平行となっている。ただし、これに限られない。
前述したように、変形部S11aは、振動子2の第1の方向D1における振幅の最大値においても、係合部S12aが振動子2に係合した状態が維持されるように変形されていることが好ましい。特に、係合部S12aにおける変形部S11aから平板状に延びた部分と、基板2aの第1の側面の一方とが接触した状態が維持されるように変形されていることが好ましい。
固定部S13aは、変形部S11aから平板状に延びた部分であり、支持部材S1aの筺体1への固定のし易さおよび強度を考慮して設けられている。変形部S11aの形状によっては、固定部S13aを特に設けることなく、変形部S11aを直接筺体1に接続するようにしてもよい。
図3(A)に示された支持部材S1aでは、支持部材S1aが振動モータ100に組み込まれ、振動子2が第1の方向D1に振動したとき、固定部S13aには、筺体1に対して押し付けられる力が加わる。すなわち、支持部材S1aと筺体1との接続信頼性の向上の点で好ましい。
図3(B)は、支持部材S1aの第1の変形例を示す。支持部材S1aも、変形部S11aと、係合部S12aと、固定部S13aとを有している。第1の変形例では、変形部S11aは、上面視で直線状の、帯状の弾性部材である。係合部S12aと固定部S13aとは、図3(A)に示された例と同様であるため、詳細な説明は省略される。
図3(B)に示された支持部材S1aの第1の変形例では、支持部材S1aが振動モータ100に組み込まれ、振動子2が第1の方向D1に振動したとき、変形部S11aの変形量を多くすることができる。すなわち、振動子2の振動量の向上の点で好ましい。
図3(C)は、支持部材S1aの第2の変形例を示す。支持部材S1aも、変形部S11aと、係合部S12aと、固定部S13aとを有している。第2の変形例では、変形部S11aは、直方体状の弾性部材である。変形部S11aの材質としては、例えばスチレン・ブタジエンゴム、エポキシゴムまたはシリコーンゴムなどが用いられる。また、第2の変形例では、係合部S12aは、断面が角張ったC字状である帯状部材であり、変形部S11aの一方端に接続されている。固定部S13aは、変形部S11aの他方端である。
図3(C)に示された支持部材S1aの第2の変形例では、支持部材S1aが振動モータ100に組み込まれ、振動子2が第1の方向D1に振動したとき、固定部S13aには、筺体1に対して押し付けられる力が加わる。すなわち、支持部材S1aと筺体1との接続信頼性の向上の点で好ましい。
図4(A)ないし(C)は、支持部材S1aの第3ないし第5の変形例を示した斜視図である。図4(A)は、支持部材S1aの第3の変形例を示す。第3の変形例では、係合部S12aの凹部Cを構成する2つの板状部材の一方に滑り材SBaが貼付されており、他方に滑り材SBbが貼付されている。これにより、基板2aと凹部Cとの摩擦を低減することができる。滑り材SBa、SBbの材質としては、例えばフッ素樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイドまたはポリオレフィン系樹脂などが用いられる。なお、滑り材SBa、SBbは、基板2aの一方主面および他方主面に貼付されていてもよい。
図4(B)は、支持部材S1aの第4の変形例を示す。第4の変形例では、係合部S12aの凹部Cを構成する変形部S11aから延びた平板部分に衝撃吸収材SAが貼付されている。これにより、凹部Cの内部で、変形部S11aから延びた平板部分と、基板2aの第1の側面の一方との衝突による破損を抑制することができる。
図4(C)は、支持部材S1aの第5の変形例を示す。第5の変形例では、第3および第4の変形例の形態に倣って、係合部S12aの凹部Cに前述の滑り材SBa、SBbおよび衝撃吸収材SAが貼付されている。これにより、第3および第4の変形例の効果を共に得ることができる。
以上説明したように、振動モータ100における振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、支持部材S1a、S1b(第1の支持部材)と、支持部材S2a、S2b(第2の支持部材)とを備えている。
支持部材S1a、S1bは、振動子2が第1の方向D1に沿って振動するときには、ばね機構として筺体1と振動子2との間に反発力を与える。一方、振動子2が第2の方向D2に沿って振動するときには、振動子2を摺動させることにより、支持部材S1a、S1bと筺体1との接続部に対する負荷を抑制することができる。
同様に、支持部材S2a、S2bは、振動子2が第2の方向D2に沿って振動するときには、ばね機構として筺体1と振動子2との間に反発力を与える。一方、振動子2が第1の方向D1に沿って振動するときには、振動子2を摺動させることにより、支持部材S2a、S2bと筺体1との接続部に対する負荷を抑制することができる。
したがって、振動モータ100においては、振動子2を筺体1内に支持する支持部材S1a、S1bおよび支持部材S2a、S2bと、筺体1との接続部の信頼性が高く、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
なお、振動モータ100においては、筺体1の内壁W1ないしW4と矩形状の基板2aとの間の隙間がそれぞれ等しくなっている。そのため、支持部材S1a、S1bおよび支持部材S2a、S2bは、同一の形状を有している。ただし、これに限らず、支持部材S1a、S1bと支持部材S2a、S2bとが異なる形状であってもよい。
また、振動モータ100においては、支持部材S1aと支持部材S1bとでは内壁に向かって開口する向きが逆であり、支持部材S2aと支持部材S2bとでは内壁に向かって開口する向きが逆である。ただし、これに限らず、支持部材S1aと支持部材S1bとで内壁に向かって開口する向きが同じであり、支持部材S2aと支持部材S2bとで内壁に向かって開口する向きが同じであってもよい。言い換えれば、支持部材S1aと支持部材S1bとで同じ内壁に向かって開口していてもよいし、支持部材S2aと支持部材S2bとで同じ内壁に向かって開口していてもよい。
−振動モータの模式的な形態の第1の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第1の変形例である振動モータ100Aについて、図5および図6を用いて説明する。
図5(A)および(B)は、振動モータ100Aの、図1(A)および(B)に相当する平面図である。図6(A)および(B)は、振動モータ100Aの、図2(A)および(B)に相当する平面図である。振動モータ100Aは、第2の反発機構S2の形態が振動モータ100と異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100と同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Aでは、第2の反発機構S2は、磁石ユニットMU1a(第1の磁石ユニット)と、磁石ユニットMU1b(第1の磁石ユニット)とを備えている。磁石ユニットMU1aは、磁石M3a(第3の磁石)および磁石M4a(第4の磁石)を含んでいる。また、磁石ユニットMU1bは、磁石M3b(第3の磁石)および磁石M4b(第4の磁石)を含んでいる。後述するように、磁石ユニットMU1a、MU1bは、それぞれ磁気ばね機構として機能する。
磁石M3aは、磁極の配列方向が第2の方向D2と平行となるように、筺体1の内壁W3に固定されている(筺体1の各内壁については図1および図2参照。以下同様)。磁石M4aは、磁極の配列方向が第2の方向D2と平行、かつ第2の方向D2に沿って磁石M3aと互いに反発する配置で、基板2aの第2の側面の一方に固定されている。
ここで、磁石M4aは、振動子2と筺体1との衝突を避けるため、振動前の磁石M3aと磁石M4aとの間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、基板2aに固定される。この場合、磁気ばね機構が効果的に作用する。小型化の観点からすれば、振動前の磁石M3aと磁石M4aとの間隔が、基板2aの端面と内壁W3との間隔と同一であることが好ましい。
磁石M3bは、磁極の配列方向が第2の方向D2と平行となるように、筺体1の内壁W4に固定されている。磁石M4bは、磁極の配列方向が第2の方向D2と平行、かつ第2の方向D2に沿って磁石M3bと互いに反発する配置で、基板2aの第2の側面の他方に固定されている。
ここで、磁石M4bも、磁石M4aと同様に、振動前の磁石M3bと磁石M4bとの間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、好ましくは同一の間隔で基板2aに固定される。すなわち、振動モータ100Aにおいては、振動子2は、図5に示されているように、基板2aと、2つの磁石M1(第1の磁石)と、2つの磁石M2(第2の磁石)と、磁石M3a、M3b(第3の磁石)と、磁石M4a、M4b(第4の磁石)とを含んでいる。
図5(A)に示されているように、振動モータ100Aでは、磁石M3aと、磁石M4aと、磁石M3bと、磁石M4bとは、平面視で第2の方向D2に沿った同一の軸線上に配置されている。また、図6(B)に示されているように、磁石M3aのN極と磁石M4aのN極とが互いに対向し、磁石M3bのS極と磁石M4bのS極とが互いに対向している。これにより、磁石M3aと磁石M4aとが、振動子2の第2の方向D2に沿った振動に対する磁気ばね機構の一方を構成し、磁石M3bと磁石M4bとが、磁気ばね機構の他方を構成している。
すなわち、振動モータ100Aにおける第2の反発機構S2は、振動子2を支持する支持部材を有していない。したがって、振動子2は、支持部材S1a、S1bにより筺体1に支持されている。前述したように、支持部材S1a、S1bは、筺体1との接続部にかかる負荷を抑制することができ、支持部材S1a、S1bと筺体1との接続部の信頼性を高くすることができる。その結果、振動モータ100Aは、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
ここで、振動モータ100Aの動作について、図7および図8を用いて説明する。図7(A)ないし(C)は、第1の方向D1における振動モータ100Aの一連の動作を説明する、それぞれ図2(A)に相当する断面図である。
図7(A)は、振動子2が振動しておらず、コイル3に通電が開始された状態を示している。ここで、コイル3の左側の断面に付されている記号は、図上で奥側から手前側に向かって電流が流れていることを表している。同様に、コイル3の右側の断面に付されている記号は、図上で手前側から奥側に向かって電流が流れていることを表している。また、N極から出る上向きの矢印、あるいはS極に入る下向きの矢印は、磁石M1の磁界の向きを表している。
コイル3に上記の向きで電流が流れると、コイル3には、磁石M1の磁界により、磁界の向きおよび電流の流れる向きのそれぞれと直交する向きのローレンツ力(図上の右向きの矢印)が加わる。一方、コイル3は筺体1に固定されているので、磁石M1にローレンツ力の反力(図上の左向きの矢印)が加わる。したがって、振動子2には、第1の方向D1に沿って図上の左側に動くような駆動力が与えられる。
図7(B)は、振動子2が図上の左側に動いた後、コイル3に流れる電流の向きを反転させた状態を示している。振動子2が左側に動くと、振動子2と筺体1の内壁W1との間にある支持部材S1aの変形部S11aが圧縮される方向に弾性変形することにより、振動子2と内壁W1との間に反発力が働く。その結果、振動子2には、図上の右側に動くような力(図上の右向きの矢印)が加わる。
なお、振動子2と筺体1の内壁W2との間にある支持部材S1bの変形部S11bは、伸ばされる方向に弾性変形する。ただし、前述したように、変形部S11bは、内壁W2から内壁W1に向かう向きにそれぞれ振動子2を付勢するように予め変形されている。すなわち、図7(B)の状態は、変形部S11bに予め加えられていた変形が開放された状態であるため、変形部S11bから振動子2を図上の右側に動かす力は発生しない。
一方、内壁W1には、振動子2に加わる力の反力が加わる。そして、その反力は支持部材S1aが固定されている筺体1の第2の部分1bを変形させる。なお、図7(B)では、変形の図示は省略されている(以下同様)。
また、コイル3に流れる電流の向きを反転させると、コイル3には、図7(A)に示された向きと逆向きのローレンツ力が加わる。ただし、コイル3の巻回軸線方向から見たときの、コイル3の巻線部と磁石M1とが重なる面積が、図3(A)に示された状態より小さくなっているので、生じるローレンツ力の大きさは小さくなっている(図上の左向きの小さな矢印)。そして、このローレンツ力の反力が、磁石M1に加わる(図上の右向きの小さな矢印)。
したがって、前述の支持部材S1aの変形部S11aの弾性変形により振動子2に加わる力とローレンツ力の反力とにより、振動子2には、第1の方向D1に沿って図上の右側に動くような駆動力が与えられる。
図7(C)は、振動子2が図上の右側に動いた後、コイル3に流れる電流の向きを反転させた状態を示している。振動子2が右側に動くと、振動子2と筺体1の内壁W2との間にある支持部材S1bの変形部S11bが圧縮される方向に弾性変形することにより、振動子2と内壁W2との間に反発力が働く。その結果、振動子2には、図上の左側に動くような力(図上の左向きの矢印)が加わる。
なお、振動子2と筺体1の内壁W1との間にある支持部材S1aの変形部S11aは、伸ばされる方向に弾性変形する。ただし、図7(B)の状態と同様に、図7(C)の状態は、変形部S11aに予め加えられていた変形が開放された状態であるため、変形部S11aから振動子2を図上の左側に動かす力は発生しない。
一方、内壁W2には、振動子2に加わる力の反力が加わる。そして、その反力は支持部材S1bが固定されている筺体1の第2の部分1bを変形させる。
また、コイル3に流れる電流の向きを反転させると、コイル3には、図7(Bに示された向きと逆向きのローレンツ力が加わる。ただし、コイル3の巻回軸線方向から見たときの、コイル3の巻線部と磁石M1とが重なる面積が、図3(A)に示された状態より小さくなっているので、生じるローレンツ力の大きさは小さくなっている(図上の右向きの小さな矢印)。そして、このローレンツ力の反力が、磁石M1に加わる(図上の左向きの小さな矢印)。
したがって、前述の支持部材S1bの変形部S11bの弾性変形により振動子2に加わる力とローレンツ力の反力とにより、振動子2には、第1の方向D1に沿って図上の左側に動くような駆動力が与えられる。以上で説明した振動子2の動きが繰り返されることにより、振動子2は第1の方向D1に沿って振動する。そして、振動子2の振動は、筺体1を繰り返し変形させ、振動モータ100Aの振動となる。
なお、振動モータ100Aでは、第2の反発機構S2は、磁石ユニットMU1a、MU1bを備えており、振動子2を筺体1内に支持する支持部材を有していない。したがって、筺体1と支持部材との接続部も存在しない。そのため、第1の方向D1における振動子2の振動が、第2の反発機構S2の信頼性に影響を与えることはない。
図8(A)ないし(C)は、第2の方向D2における振動モータ100Aの一連の動作を説明する、それぞれ図2(B)に相当する断面図である。
図8(A)は、振動子2が振動しておらず、コイル4に通電が開始された状態を示している。ここで、コイル4の左側の断面に付されている記号は、図上で奥側から手前側に向かって電流が流れていることを表している。同様に、コイル4の右側の断面に付されている記号は、図上で手前側から奥側に向かって電流が流れていることを表している。また、N極から出る上向きの矢印、あるいはS極に入る下向きの矢印は、磁石M2の磁界の向きを表している。
コイル4に上記の向きで電流が流れると、コイル4には、磁石M2の磁界により、磁界の向きおよび電流の流れる向きのそれぞれと直交する向きのローレンツ力(図上の左向きの矢印)が加わる。一方、コイル4は筺体1に固定されているので、磁石M2にローレンツ力の反力(図上の右向きの矢印)が加わる。したがって、振動子2には、第2の方向D2に沿って図上の右側に動くような駆動力が与えられる。
図8(B)は、振動子2が図上の右側に動いた後、コイル4に流れる電流の向きを反転させた状態を示している。振動子2が右側に動くと、筺体1の第2の部分1b(内壁W4)に固定された磁石M3bと振動子2の磁石M4bとの間の反発力が大きくなる。その結果、磁石M4bには、図上の左側に動くような力(図上の左向きの矢印)が加わる。一方、磁石M3bには、磁石M4bに加わる力の反力が加わる。そして、その反力は磁石M3bが固定されている筺体1の第2の部分1bを変形させる。
そして、コイル4に流れる電流の向きを反転させると、コイル4には、図8(A)に示された向きと逆向きのローレンツ力が加わる。ただし、コイル4の巻回軸線方向から見たときの、コイル4の巻線部と磁石M2とが重なる面積が、図8(A)に示された状態より小さくなっているので、生じるローレンツ力の大きさは小さくなっている(図上の右向きの小さな矢印)。そして、このローレンツ力の反力が、磁石M2に加わる(図上の左向きの小さな矢印)。
したがって、前述の磁石M4bに加わる力とローレンツ力の反力とにより、振動子2には、第2の方向D2に沿って図上の左側に動くような駆動力が与えられる。
図8(C)は、振動子2が図上の左側に動いた後、コイル4に流れる電流の向きを反転させた状態を示している。振動子2が左側に動くと、筺体1の第2の部分1b(内壁W3)に固定された磁石M3aと振動子2の磁石M4aとの間の反発力が大きくなる。その結果、磁石M4aには、図上の右側に動くような力(図上の右向きの矢印)が加わる。一方、磁石M3aには、磁石M4aに加わる力の反力が加わる。そして、その反力は磁石M3aが固定されている筺体1の第2の部分1bを、図8(B)の場合と逆方向に変形させる。
そして、コイル4に流れる電流の向きを反転させると、コイル4には、図8(B)に示された向きと逆向きのローレンツ力が加わる。図8(B)に示された状態と同様に、生じるローレンツ力の大きさは小さくなっている(図上の左向きの小さな矢印)。そして、このローレンツ力の反力が、磁石M2に加わる(図上の右向きの小さな矢印)。
したがって、前述の磁石M4aに加わる力とローレンツ力の反力とにより、振動子2には、第2の方向D2に沿って図上の右側に動くような駆動力が与えられる。以上で説明した振動子2の動きが繰り返されることにより、振動子2は第2の方向D2に沿って振動する。そして、振動子2の振動は、筺体1を繰り返し変形させ、振動モータ100Aの振動となる。
振動モータ100Aでは、第1の反発機構S1は、前述の支持部材S1a、S1bを備えており、第2の反発機構S2は、振動子2を筺体1内に支持する支持部材を有していない。すなわち、振動モータ100Aにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、支持部材S1a、S1bとを備えている。
したがって、振動モータ100Aでは、振動子2が第2の方向D2に振動した場合に、支持部材S1a、S1bと筺体1との接続部に対する負荷を抑制することができる。その結果、振動モータ100Aにおいても、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
−振動モータの模式的な形態の第2の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第2の変形例である振動モータ100Bについて、図9を用いて説明する。
図9(A)は、振動モータ100Bの、図1(A)に相当する平面図である。図9(B)は、振動モータ100Bの、図2(A)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Bは、第1の反発機構S1の形態が振動モータ100Aと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Aと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Bでは、第1の反発機構S1は、前述の支持部材S1aと、第1の方向D1に沿って筺体1と振動子2との間に反発力を与える、磁石ユニットMU2(第2の磁石ユニット)とを含んでいる。磁石ユニットMU2は、磁石M8(第8の磁石)および磁石M9(第9の磁石)を含んでいる。後述するように、磁石ユニットMU2は、磁気ばね機構として機能する。
磁石M8は、磁極の配列方向が第1の方向D1と平行となるように、筺体1の内壁W2に固定されている。磁石M9は、磁極の配列方向が第1の方向D1と平行、かつ第1の方向D1に沿って磁石M8と互いに反発する配置で、基板2aの第1の側面の一方に固定されている。
ここで、磁石M9は、振動子2と筺体1との衝突を避けるため、振動前の磁石M8と磁石M9との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、基板2aに固定される。この場合、磁気ばね機構が効果的に作用する。小型化の観点からすれば、振動前の磁石M8と磁石M9との間隔が、基板2aの端面と内壁W2との間隔と同一であることが好ましい。
振動モータ100Bにおける第1の反発機構S1および第2の反発機構S2において、振動子2は、支持部材S1aのみにより支持されている。すなわち、振動モータ100Bにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、支持部材S1aとを備えている。前述したように、支持部材S1aは、筺体1との接続部にかかる負荷を抑制することができ、支持部材S1aと筺体1との接続部の信頼性を高くすることができる。その結果、振動モータ100Bは、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
−振動モータの模式的な形態の第3の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第3の変形例である振動モータ100Cについて、図10および図11を用いて説明する。
図10は、振動モータ100Cの、図1(A)に相当する平面図である。図11(A)は、振動モータ100Cの、図2(A)に相当する矢視断面図である。図11(B)は、振動モータ100Cの、図2(B)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Cは、振動子2の形態とコイル4の配置が振動モータ100Aと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Aと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Cでは、2つの磁石M1および2つの磁石M2は、いずれも基板2aの一方主面側に固定されている。また、コイル3およびコイル4は、いずれも巻回軸線が筺体1の内壁W5の法線方向と平行となる、すなわち巻回軸線が第1の方向D1と直交するように、筺体1の内壁W5に固定されている。
すなわち、2つの磁石M1は、コイル3の巻線部と対向するように、第1の方向D1に沿って基板2aの一方主面側に間隔をおいて固定されている。また、2つの磁石M1は、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。そして、2つの磁石M2は、コイル4の巻線部と対向するように、第2の方向D2に沿って基板2aの一方主面側に間隔をおいて固定されている。また、2つの磁石M2は、磁極の配列方向がコイル4の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。
振動モータ100Cの振動子支持構造は、振動モータ100Aの振動子支持構造と同様である。そのため、振動モータ100Cにおいても、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
また、振動モータ100Cでは、2つの磁石M1および2つの磁石M2、ならびにコイル3およびコイル4が、いずれも基板2aの一方主面側に配置されている。そのため、振動モータ100Cの低背化を図ることができる。
−振動モータの模式的な形態の第4の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第4の変形例である振動モータ100Dについて、図12および図13を用いて説明する。
図12は、振動モータ100Dの、図1(A)に相当する平面図である。図13(A)は、振動モータ100Dの、図2(A)に相当する矢視断面図である。図13(B)は、振動モータ100Dの、図2(B)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Dは、第2の反発機構S2の形態が振動モータ100Cと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Cと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Dでは、第2の反発機構S2は、磁石ユニットMU1a(第1の磁石ユニット)と、磁石ユニットMU1b(第1の磁石ユニット)とを備えている。磁石ユニットMU1aは、磁石M5(第5の磁石)および磁石M6(第6の磁石)を含んでいる。また、磁石ユニットMU1bは、磁石M5および磁石M7(第7の磁石)を含んでいる。すなわち、磁石ユニットMU1aと磁石ユニットMU1bとは、磁石M5を共用している。磁石ユニットMU1a、MU1bは、それぞれ磁気ばね機構として機能する。
磁石M5は、磁極の配列方向が第2の方向D2と平行となるように、筺体1の内壁W6に固定されている。磁石M6および磁石M7は、それぞれ磁極の配列方向が第2の方向D2と平行、かつ第2の方向D2に沿って磁石M5と互いに反発する配置で、基板2aの他方主面側に固定されている。その際、磁石M6および磁石M7は、第2の方向に沿って磁石M5を挟むように配置されている。すなわち、振動モータ100Dでは、磁石M5が、上面視で基板2aの中心部と重なるように配置されている。
振動モータ100Dの振動子支持構造は、振動モータ100Aの振動子支持構造と同様である。そのため、振動モータ100Cにおいても、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
また、振動モータ100Dでは、磁石ユニットMU1aと磁石ユニットMU1bとが磁石M5を共用している。そのため、振動モータ100Dの構成部品点数を低減することができ、また製造工程の簡略化を図ることができる。さらに、磁石ユニットMU1aと磁石ユニットMU1bとが占める面積を低減することができ、振動モータ100Dの小型化を図ることができる。
そして、振動モータ100Dでは、磁気ばね機構を構成する磁石M5ないしM7は、それぞれの一部が重なっている。そして、第2の方向D2から見たときに、磁石M5ないしM7が互いに重なった領域の重心を通り、第2の方向D2に平行な軸線は、振動子2の駆動磁石である2つの磁石M2の互いに重なった領域の重心を通り、第2の方向D2に平行な軸線に比べてコイル4から離れた位置にある。
また、上記の磁石M5ないしM7を通る軸線は、第1の方向D1から見たときに、振動子2の駆動磁石である2つの磁石M1の互いに重なった領域の重心を通り、第1の方向D1に平行な軸線に比べてコイル3から離れた位置にある。すなわち、磁石M6の磁界のコイル4に加わるローレンツ力への影響および磁石M7の磁界のコイル3に加わるローレンツ力への影響が抑制されている。
−振動モータの模式的な形態の第5の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第5の変形例である振動モータ100Eについて、図14を用いて説明する。
図14(A)は、振動モータ100Eの、図1(A)に相当する平面図である。図14(B)は、振動モータ100Eの、図2(A)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Eは、第1の反発機構S1の形態が振動モータ100Cと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Cと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Eの第1の反発機構S1においては、支持部材S1aが、一方S1a1および他方S1a2の2つを含み、支持部材S1bが、一方S1b1および他方S1b2の2つを含んでいる。支持部材S1aの一方S1a1および他方S1a2ならびに支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2は、前述の支持部材S1aと同様の構造および機能を有している。
振動モータ100Eでは、支持部材S1aの一方S1a1の固定部および他方S1a2の固定部は、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸に対して対称となる位置で、筺体1の内壁W1に接続されている(図10参照)。また、一方S1a1の変形部と他方S1a2の変形部とでは、U字の開口する向きが逆であり、一方S1a1の変形部は内壁W4側に開口し、他方S1a2の変形部は内壁W3側に開口している。
同様に、支持部材S1bの一方S1b1の固定部および他方S1ba2の固定部は、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸に対して対称となる位置で、筺体1の内壁W2に接続されている。また、一方S1b1の変形部と他方S1b2の変形部とでは、U字の開口する向きが逆であり、一方S1b1の変形部は内壁W4側に開口し、他方S1b2の変形部は内壁W3側に開口している。
振動モータ100Eにおいて、振動子2は、上記の各支持部材により支持されている。すなわち、振動モータ100Eにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、上記の各支持部材とを備えている。
前述したように、支持部材S1aは、筺体1との接続部にかかる負荷を抑制することができ、支持部材S1aと筺体1との接続部の信頼性を高くすることができる。そのため、上記の各支持部材も同様の効果を奏することができる。その結果、振動モータ100Eは、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
また、支持部材S1a、S1bがそれぞれ一方および他方の2つを含んでいるため、振動子2が第1の方向D1への振動するときに、振動のぶれを効果的に抑制することができる。
−振動モータの模式的な形態の第6の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第6の変形例である振動モータ100Fについて、図15を用いて説明する。
図15(A)は、振動モータ100Fの、図1(A)に相当する平面図である。図15(B)は、振動モータ100Fの、図2(A)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Fは、基板2aの厚みと第1の反発機構S1の形態とが振動モータ100Eと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Eと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Fの振動子2において、基板2aの厚みは、後述する帯状の弾性部材である変形部S11a1の幅の2倍となっている。また、振動モータ100Fの第1の反発機構S1において、支持部材S1aは、一方S1a1および他方S1a2の2つを含み、支持部材S1bが、一方S1b1および他方S1b2の2つを含んでいる。ただし、支持部材S1aの一方S1a1および他方S1a2ならびに支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2の構造は、機能は同様であるが、前述の支持部材S1aの構造と異なっている。
振動モータ100Fが備える第1の反発機構S1に含まれる支持部材S1aの一方S1a1および他方S1a2について、図16を用いてさらに説明する。
図16(A)は、振動モータ100Fが備える第1の反発機構S1に含まれる支持部材S1aの一方S1a1の例を示した斜視図である。図16(B)は、支持部材S1aの他方S1a2の例を示した斜視図である。なお、支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2も、同様の構造および機能を有しているので、詳細な説明は省略される。
支持部材S1aの一方S1a1は、変形部S11a1と、係合部S12a1と、固定部S13a1とを有している。変形部S11a1は、支持部材S1aの変形部S11aと同様であり、固定部S13a1は、支持部材S1aの固定部S13aと同様である。係合部S12a1は、凹部Cを有しており、U字状の変形部S11a1から延びた平板部分に、断面が角張ったC字状となるように2つの板状部材が接続されることは支持部材S1aの係合部S12aと同様であるが、平板部分の幅が広くなっている。
すなわち、平板部分は、変形部S11a1の幅より図上の下側(筺体1の内壁W6側)に張り出しており、平板部分の幅は、変形部S11a1の幅の2倍となっている。そして、支持部材S1aの一方S1a1が振動モータ100Fに組み込まれたときには、凹部Cの内部と、基板2aの第1の側面の一方とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、係合部S12a1と振動子2とが係合する。
支持部材S1aの他方S1a2も、同様に変形部S11a2と、係合部S12a2と、固定部S13a2とを有している。係合部S12a2は、凹部Cを有しており、U字状の変形部S11a2から延びた平板部分に、断面が角張ったC字状となるように2つの板状部材が接続されている。
ただし、平板部分は、変形部S11a2の幅より図上の上側(筺体1の内壁W5側)に張り出しており、平板部分の幅は、変形部S11a2の幅の2倍となっている。そして、支持部材S1aの他方S1a2が振動モータ100Fに組み込まれたときには、凹部Cの内部と、基板2aの第1の側面の他方とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、係合部S12a2と振動子2とが係合する。
支持部材S1aの一方S1a1の変形部S11a1と他方S1a2の変形部S11a2とは、上面視で変形部S11a1が他方の変形部S11a2の上に(内壁W5に近い方に)なるように重なっている。支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2も同様の位置関係にある。
支持部材S1aの一方S1a1の変形部S11a1と他方S1a2の変形部S11a2とでは、U字の開口する向きが逆であり、一方S1a1の変形部S11a1は内壁W3側に開口し、他方S1a2の変形部S11a2は内壁W4側に開口している。なお、一方S1a1の固定部S13a1とおよび他方S1a2の固定部S13a2は、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸に対して対称となる位置で、筺体1の内壁W1に接続されている。
支持部材S1bの一方S1b1の変形部および他方S1b2の変形部も、U字の開口する向きが逆であり、一方S1b1の変形部は内壁W4側に開口し、他方S1b2の変形部は内壁W3側に開口している。なお、一方S1b1の固定部とおよび他方S1b2の固定部は、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸に対して対称となる位置で、筺体1の内壁W2に接続されている。
振動モータ100Fにおいて、振動子2は、上記の各支持部材により支持されている。すなわち、振動モータ100Fにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、上記の各支持部材とを備えている。
前述したように、支持部材S1aは、筺体1との接続部にかかる負荷を抑制することができ、支持部材S1aと筺体1との接続部の信頼性を高くすることができる。そのため、構造は異なるが同様の機能を有する上記の各支持部材も、同様の効果を奏することができる。その結果、振動モータ100Fは、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
また、支持部材S1a、S1bがそれぞれ一方および他方の2つを含んでいるため、振動子2が第1の方向D1への振動するときに、振動のぶれを効果的に抑制することができる。
−振動モータの模式的な形態の第7の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第7の変形例である振動モータ100Gについて、図17および図18を用いて説明する。
図17は、振動モータ100Gの、図1(A)に相当する平面図である。図18(A)は、振動モータ100Gの、図2(A)に相当する矢視断面図である。図18(B)は、振動モータ100Gの、図2(B)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Gは、基板2aの構造と第1の反発機構S1の形態とが振動モータ100Fと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Fと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Gの振動子2において、基板2aの厚みは、後述する帯状の弾性部材である変形部S11a1の幅の2倍以上となっている。そして、2つの磁石M1および2つの磁石M2は、基板2aの一方主面側に埋め込まれている。また、磁石M4aは、基板2aの第2の側面の一方に埋め込まれており、磁石M4bは、基板2aの第2の側面の他方に埋め込まれている。
基板2aは、第2の方向D2と平行な第1の側面に、第2の方向D2と平行に形成された溝を有している。振動モータ100Gでは、第1の側面の一方に、第2の方向D2と平行に2本の溝が形成されており、第1の側面の他方に、第2の方向D2と平行に2本の溝が形成されている。
上記の4本の溝の第1の側面における開口部は、溝の最大幅よりも狭くなっており、後述する支持部材S1a、S1bのそれぞれが有する係合部(平板部)が溝から外れないようになっている。
振動モータ100Gの第1の反発機構S1において、支持部材S1aは、一方S1a1および他方S1a2の2つを含み、支持部材S1bが、一方S1b1および他方S1b2の2つを含んでいる。ただし、支持部材S1aの一方S1a1および他方S1a2ならびに支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2の構造は、機能は同様であるが、前述の支持部材S1aの構造と異なっている。
振動モータ100Gが備える第1の反発機構S1に含まれる支持部材S1aの一方S1a1および他方S1a2について、図19を用いてさらに説明する。
図19(A)は、振動モータ100Fが備える第1の反発機構S1に含まれる支持部材S1aの一方S1a1の例を示した斜視図である。図19(B)は、支持部材S1aの他方S1a2の例を示した斜視図である。なお、支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2も、同様の構造および機能を有しているので、詳細な説明は省略される。
支持部材S1aの一方S1a1は、変形部S11a1と、係合部S12a1と、固定部S13a1とを有している。変形部S11a1は、支持部材S1aの変形部S11aと同様であり、固定部S13a1は、支持部材S1aの固定部S13aと同様である。係合部S12a1は、U字状の変形部S11a1から延び、変形部S11a1より幅が広くなっている平板部である。
すなわち、平板部は、変形部S11a1の幅より図上の上下側に張り出している。そして、支持部材S1aの一方S1a1が振動モータ100Gに組み込まれたときには、前述の基板2aの第1の側面の一方に形成された2本の溝のうち、上側の溝の内部と、係合部S12a1である平板部とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、係合部S12a1と振動子2とが係合する。
支持部材S1aの他方S1a2も、変形部S11a2と、係合部S12a2と、固定部S13a2とを有している。係合部S12a2は、U字状の変形部S11a2から延び、変形部S11a2の幅より図上の上下側に張り出している平板部である。
そして、支持部材S1aの他方S1a2が振動モータ100Gに組み込まれたときには、前述の基板2aの第1の側面の一方に形成された2本の溝のうち、下側の溝の内部と、係合部S12a2である平板部とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、係合部S12a2と振動子2とが係合する。
支持部材S1aの一方S1a1の変形部S11a1と他方S1a2の変形部S11a2とは、上面視で変形部S11a1が他方の変形部S11a2の上に(内壁W5に近い方に)なるように重なっている。支持部材S1bの一方S1b1および他方S1b2も同様の位置関係にある。
支持部材S1aの一方S1a1の変形部S11a1と他方S1a2の変形部S11a2とでは、U字の開口する向きが逆であり、一方S1a1の変形部S11a1は内壁W3側に開口し、他方S1a2の変形部S11a2は内壁W4側に開口している。なお、一方S1a1の固定部S13a1および他方S1a2の固定部S13a2は、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸に対して対称となる位置で、筺体1の内壁W1に接続されている。
支持部材S1bの一方S1b1の変形部S11b1と他方S1b2の変形部S11b2とでは、U字の開口する向きが逆であり、一方S1b1の変形部は内壁W4側に開口し、他方S1b2の変形部は内壁W3側に開口している。なお、一方S1b1の固定部とおよび他方S1b2の固定部は、振動子2が各方向に振動する前の状態における基板2aの、第1の方向D1に平行な対称軸に対して対称となる位置で、筺体1の内壁W2に接続されている。
振動モータ100Gにおいて、振動子2は、上記の各支持部材により支持されている。すなわち、振動モータ100Gにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、上記の各支持部材とを備えている。
前述したように、支持部材S1aは、筺体1との接続部にかかる負荷を抑制することができ、支持部材S1aと筺体1との接続部の信頼性を高くすることができる。そのため、構造は異なるが同様の機能を有する上記の各支持部材も、同様の効果を奏することができる。その結果、振動モータ100Gは、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
また、支持部材S1a、S1bがそれぞれ一方および他方の2つを含んでいるため、振動子2が第1の方向D1への振動するときに、振動のぶれを効果的に抑制することができる。
−振動モータの模式的な形態の第8の変形例−
この開示に従う振動モータの模式的な形態である振動モータ100の第8の変形例である振動モータ100Hについて、図20を用いて説明する。
図20(A)は、振動モータ100Hの、図1(A)に相当する平面図である。図20(B)は、振動モータ100Hの、図2(A)に相当する矢視断面図である。振動モータ100Gは、基板2aの構造と第1の反発機構S1の形態とが振動モータ100Gと異なっている。それ以外の構成は、振動モータ100Gと同様であるため、詳細な説明は省略される。
振動モータ100Hの振動子2において、基板2aの厚みは、後述する帯状の弾性部材である変形部S11a1の幅以上となっている。そして、2つの磁石M1および2つの磁石M2は、基板2aの一方主面側に埋め込まれている。また、磁石M4aは、基板2aの第2の側面の一方に埋め込まれており、磁石M4bは、基板2aの第2の側面の他方に埋め込まれている。
基板2aは、第2の方向D2と平行な第1の側面に、第2の方向D2と平行に形成された溝を有している。振動モータ100Hでは、第1の側面の一方に、第2の方向D2と平行に1本の溝が形成されており、第1の側面の他方に、第2の方向D2と平行に1本の溝が形成されている。
振動モータ100Hの第1の反発機構S1は、支持部材S1a、S1bを含んでいる。支持部材S1aは、振動モータ100Gにおける支持部材S1aの一方S1a1と同様の構造を有している。また、支持部材S1bは、支持部材S1bの一方S1b1と同様の構造を有している。それぞれの支持部材の機能は、支持部材S1aの一方S1a1および支持部材S1bの一方S1b1と同様、すなわち振動モータ100の支持部材S1aと同様である。
上記の2本の溝の第1の側面における開口部は、溝の最大幅よりも狭くなっており、支持部材S1a、S1bのそれぞれが有する係合部が溝から外れないようになっている。
支持部材S1aが振動モータ100Hに組み込まれたときには、前述の基板2aの第1の側面の一方に形成された溝の内部と、係合部である平板部とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、支持部材S1aの係合部と振動子2とが係合する。
支持部材S1bが振動モータ100Hに組み込まれたときには、前述の基板2aの第1の側面の他方に形成された溝の内部と、係合部である平板部とが接触する。それにより、振動子2の第2の方向D2の振動に対して振動子2が摺動可能となるように、支持部材S1bの係合部と振動子2とが係合する。
振動モータ100Hにおいて、振動子2は、上記の各支持部材により支持されている。すなわち、振動モータ100Gにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、上記の各支持部材とを備えている。
前述したように、支持部材S1aは、筺体1との接続部にかかる負荷を抑制することができ、支持部材S1aと筺体1との接続部の信頼性を高くすることができる。そのため、構造は異なるが同様の機能を有する上記の各支持部材も、同様の効果を奏することができる。その結果、振動モータ100Hは、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
−振動モータの実施形態−
この開示に従う振動子支持構造を含む振動モータの実施形態を示す振動モータ200について、図21および図22を用いて説明する。
図21(A)は、振動モータ200の、筺体1の第1の部分1a(図2参照)を除いて上面視したときの平面図である。図21(B)は、振動モータ200の、筺体1の第2の部分1b(図2参照)の、第1の部分1aと対向する部分を除いて下面視したときの平面図である。図22(A)は、図21(A)に示されたA−A線を含む面で切断された振動モータ200の矢視断面図である。図22(B)は、図21(A)に示されたB−B線を含む面で切断された振動モータ200の矢視断面図である。
振動モータ200は、図21および図22に示されるように、筺体1(第1の筺体)と、2つの磁石M1(第1の磁石)と2つの磁石M2(第2の磁石)と基板2aと錘部2b、2cとを含む振動子2と、コイル3(第1のコイル)と、コイル4(第2のコイル)と、第1の反発機構S1と、第2の反発機構S2とを備えている。
第1の反発機構S1は、筺体1内で振動子2を支持する、振動モータ100の説明で述べた支持部材S1a、S1b(第1の支持部材)を含んでいる。また、第2の反発機構S2は、振動モータ100Aの説明で述べた磁石ユニットMU1a(第1の磁石ユニット)と、磁石ユニットMU1b(第1の磁石ユニット)とを備えている。磁石ユニットMU1aは、磁石M3a(第3の磁石)および磁石M4a(第4の磁石)を含んでいる。また、磁石ユニットMU1bは、磁石M3b(第3の磁石)および磁石M4b(第4の磁石)を含んでいる。
すなわち、振動モータ200の基本構造は、振動モータ100Aと同じであり、振動子2に錘部2b、2cがさらに追加されている。基板2aも、錘部として機能している。一方、錘部2b、2cも、基板として機能している。錘部2bは、基板2aの一方主面側(内壁W5側)に配置され、錘部2cは、基板2aの他方主面側(内壁W6側)に配置される。
筺体1は、第1の部分1aと第2の部分1bとを含んでいる。振動モータ200において、第1の部分1aは平板状の蓋部であり、第2の部分1bは容器部となっている。筺体1の材質としては、例えばSUS304などのステンレス鋼などが用いられる。なお、第1の部分1aと第2の部分1bとが異なる材質であってもよい。
振動モータ100Aと同様に、磁石M1および磁石M2は駆動磁石であり、磁石M3a、M3bおよび磁石M4a、M4bは、磁気ばね機構を構成する磁石である。各磁石の材質としては、例えばNd−Fe−B系またはSm−Co系などの希土類磁石が用いられる。
磁石M1および磁石M2には、強力な磁力を有し、振動子2の駆動力を大きくすることができるNd−Fe−B系の希土類磁石を用いることが好ましい。また、磁気ばね機構を構成する各磁石には、磁力の温度変化率が小さく、安定して磁気ばね効果を発揮できるSm−Co系の希土類磁石が用いられることが好ましい。各磁石の磁極の配置は、振動モータ100Aと同様であり、説明は割愛する。
基板2aおよび錘部2b、2cの材質としては、例えばW、SUS304などのステンレス鋼およびAlなどが用いられる。振動子2の質量を大きくし、磁気ばね機構を介して筺体1に大きな振動を伝えるためには、基板2aおよび錘部2b、2cの材質としてWなどの比重の大きな材質を用いることが好ましい。
錘部2bには、2つの磁石M1が埋め込まれるスロットである貫通孔が設けられている。また、錘部2bには、支持部材S1aの係合部S12aおよび支持部材S1bの係合部S12bが基板2aと摺動可能に係合できるように、基板2aを露出させる凹部が設けられている(図22(A)参照)。
錘部2cには、2つの磁石M2が埋め込まれるスロットである貫通孔が設けられている。また、錘部2cにも、支持部材S1aの係合部S12aおよび支持部材S1bの係合部S12bが基板2aと摺動可能に係合できるように、基板2aを露出させる凹部が設けられている(図22(A)参照)。
基板2aおよび錘部2b、2cには、それらが組み合わされたときに磁石M4a、M4bが埋め込まれるスロットとなる凹部が設けられている。なお、磁石M1および磁石M2が埋め込まれるスロットは、各錘部を貫通していなくてもよい。
各スロットは、磁石M1とコイル3、磁石M2とコイル4、磁石M3aと磁石M4a、および磁石M3bと磁石M4bの、それぞれの位置関係が振動モータ100Aで説明された位置関係を満たすように配置されている。各磁石は、各スロットの中に挿入され、例えばエポキシ系の接着剤により固定される。
各スロットに各磁石を挿入することにより、それぞれの磁石の基板2aおよび錘部2b、2cへの固定が行ないやすくなり、また各磁石を基板2aおよび錘部2b、2cに精度良く固定することができる。
振動子2は、錘部2bのスロットに2つの磁石M1が、錘部2cのスロットに2つの磁石M2が固定された後、基板2aと錘部2bと錘部2cとが貼り合わされ、貼り合わせ後に形成されたスロットに磁石M4a、M4bが固定されることにより形成される。なお、基板2aと錘部2bと錘部2cとが一体となったものに各磁石が固定されることにより、振動子2が形成されるようにしてもよい。
コイル3には、例えば直径0.06mmの被覆Cu線を、約100ターン巻回したものが用いられる。ターン数は、必要とされる駆動力に合わせて調整される。コイル3は、フレキシブル基板などの引き出し配線部材により、パワーアンプを介して安定化電源に接続される(引き出し配線部材および各装置は不図示)。コイル3は、振動子2が第1の方向D1に沿って振動可能となるように磁石M1に駆動力を与える。コイル3の配置および形状は、振動モータ100Aと同様であり、詳細な説明は省略される。
コイル4には、例えば直径0.06mmの被覆Cu線を、約80ターン巻回したものが用いられる。ターン数は、必要とされる駆動力に合わせて調整される。コイル4は、フレキシブル基板などの引き出し配線部材により、パワーアンプを介して安定化電源に接続される(引き出し配線部材および各装置は不図示)。コイル4は、振動子2が第2の方向D2に沿って振動可能となるように磁石M2に駆動力を与える。コイル4の配置および形状は、振動モータ100Aと同様であり、詳細な説明は省略される。
振動モータ200では、第1の反発機構S1は、前述の支持部材S1a、S1bを備えており、第2の反発機構S2は、振動子2を筺体1内に支持する支持部材を有していない。すなわち、振動モータ100Aにおける振動子支持構造は、筺体1と、第1の方向D1および第2の方向D2に沿って振動可能な振動子2と、支持部材S1a、S1bとを備えている。
したがって、振動モータ100Aでは、振動子2が第2の方向D2に振動した場合に、支持部材S1a、S1bと筺体1との接続部に対する負荷を抑制することができる。その結果、振動モータ100Aにおいても、互いに異なる第1の方向D1および第2の方向D2のそれぞれにおいて、安定した振動を発生させることができる。
なお、振動モータの実施形態は、上記に限られない。例えば前述の振動モータの模式的な形態のいずれであっても、振動モータの実施形態として応用することができる。
−電子機器の模式的な形態−
この開示に従う振動モータが用いられた電子機器の模式的な形態を示す携帯型情報端末1000について、図23および図24を用いて説明する。
図23は、携帯型情報端末1000の透過斜視図である。また、図24は、携帯型情報端末1000の要部の断面図である。
携帯型情報端末1000は、筺体1001(第2の筺体)と、この開示に係る振動モータ100と、送受信および情報処理に関する電子回路(不図示)とを備えている。筺体1001は、第1の部分1001aと第2の部分1001bとを含んでいる。第1の部分1001aは、ディスプレイであり、第2の部分1001bは、フレームである。振動モータ100は、筺体1001内に収容されている。
携帯型情報端末1000には、皮膚感覚フィードバックのため、およびキー操作や着信などを振動で確認するための振動発生装置として、この開示に従う振動モータ100が用いられている。なお、携帯型情報端末1000に用いられる振動モータは、振動モータ100に限られず、この開示に係る振動モータであればよい。
この開示に従う振動モータは、前述したように、振動子を筺体内に支持する支持部材と筺体との接続部の信頼性が高く、互いに異なる2つの方向に安定した振動を発生させることができる。したがって、携帯型情報端末1000では、皮膚感覚フィードバックのため、またはキー操作および着信などを確認するための振動の減少を抑制することができる。
なお、図24に示されているように、振動モータ100の筺体1の第2の部分1bは、容器部本体1b1と固定部1b2とを含んでいる。固定部1b2は、容器部本体1b1の底部より張り出した部位である。携帯型情報端末1000では、固定部1b2が筺体1001の第2の部分1001bにねじBにより固定されている。
振動モータ100において、各支持部材は、容器部本体1b1の側壁の内側である、筺体1の内壁W1ないしW4に固定されている(図1参照)。振動モータ100の振動子2の振動は、前述のように各支持部材を介して筺体1を振動させ、筺体1の振動が筺体1001を振動させる。その結果、携帯型情報端末1000の操作者が、皮膚感覚フィードバックおよびキー操作や着信などを感知することができる。
なお、振動モータ100は、固定部1b2が筺体1001の第1の部分1001a、すなわちディスプレイに固定されるようにしてもよい。
なお、この開示に従う振動モータが用いられた電子機器の模式的な形態の一例として、ディスプレイを備えた携帯型情報端末を示したが、これに限定されるものではない。この開示に従う電子機器は、ディスプレイを備えていなくてもよい。
例えばこの開示に従う電子機器として、携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)、スマートフォン、ポータブルビデオゲーム機、ビデオゲーム機用コントローラ、VR(Virtual Reality)装置用コントローラ、スマートウォッチ、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、テレビ等の操作に使用するリモートコントローラ、現金自動預け払い機などのタッチパネル型ディスプレイ、各種玩具などの電子機器を挙げることができる。
この明細書に開示された実施形態は、例示的なものであって、この開示に係る発明は、上記の実施形態および変形例に限定されるものではない。すなわち、この開示に係る発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、上記の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。
この開示に係る発明は、例えば電子機器における皮膚感覚フィードバックのため、またはキー操作や着信などを振動で確認するための振動発生装置として用いられる振動モータに適用される。皮膚感覚フィードバックとしては、例えばビデオゲーム内での動作(例えばドアの開閉や自動車のハンドル操作など)に対応する触感イメージをコントローラの振動で表現することが挙げられる。ただし、これ以外の皮膚感覚フィードバックであってもよい。
また、これに限られず、ロボットのアクチュエータとして用いられるリニア振動モータなどにも適用が可能である。