JPWO2020157804A1 - 伝送線路及び移相器 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、従来のマイクロストリップ線路と比較して、位相遅延の量を大きくする伝送線路を提供することにある。
ここで、一の単位線路と他の単位線路との接続部には、切り込みが設けられることを特徴とすることができる。
また、前記切り込みは、特性インピーダンスの調整に用いられることを特徴とすることができる。
さらに、前記一の環状スタブ及び前記他の環状スタブにおける環は、リターンロスの抑制に用いられることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される伝送線路は、メアンダ形状の線路と、当該メアンダ形状の屈曲により形成される凹部に配置されるスタブとを有する第1の導体と、前記第1の導体に対向して配置される第2の導体とを備える。
ここで、前記スタブは、環状スタブであることを特徴とすることができる。
また、前記凹部のそれぞれには、複数の前記スタブが配置されることを特徴とすることができる。
さらに、前記メアンダ形状の線路では、クランク状に形成された一の曲折線路と他の曲折線路との接続部に、切り込みが設けられることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される移相器は、クランク状に形成された曲折線路を介して対向に配置された一の環状スタブ及び他の環状スタブを有する単位線路を備え、当該単位線路を互いに反転して配置して構成されており、一端部が第1の入出力端子に接続され、導電材料で構成された第1の導体と、一端部が第2の入出力端子に接続され、他端部が前記第1の導体と電気的に結合するように延びるとともに、当該第1の導体と電気的に結合する位置が当該第1の導体において相対的に移動可能である、導電材料で構成された第3の導体と、前記第1の導体及び前記第3の導体に対向して配置される第2の導体とを備える。
<移相器の構成>
図1(A)は、実施の形態1が適用される移相器1の構成例を示す図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線での断面を示す図である。
移相器1は、板状部材114、板状部材115を備え、板状部材114の上に板状部材115が重ねられている。また、板状部材115の上には、直線状の導体111、一端部が導体111と重ねられた導体112、スペーサ113が配置される。付言すると、板状部材114は、板状部材115を挟んで、導体111、導体112、スペーサ113に対向して配置される。
本実施の形態では、Port1、Port2のそれぞれが第1の入出力端子の一例である。また、P−In/Outが第2の入出力端子の一例である。
なお、ずらす位相の量(移相量)は、後述するように、導体112を移動させることにより可変できるようになっている。
板状部材115は、エポキシなどの絶縁材料(又は誘電材料)で構成される。
スペーサ113は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの高周波において損失が少ない絶縁材料(又は誘電材料)で構成されている。
また、スペーサ113は、導体112を移動させる場合に、導体111との摩擦を減らし、摺動を容易にする。なお、誘電体層であるスペーサ113の代わりに、空気層であってもよい。
さらに、導体112を移動させる代わりに、導体111を移動させてもよい。言い換えると、導体111と導体112とが相対的に移動可能であればよい。
本実施の形態では、第1の導体の一例として、導体111が用いられる。第2の導体の一例として、板状部材114が用いられる。第3の導体の一例として、導体112が用いられる。
次に、実施の形態1に係る導体111について詳述する。
図2(A)は、実施の形態1に係る導体111を構成する単位となる単位構造120を示す図であり、図2(B)は、2つの単位構造120を配置した場合を示す図である。また、図2(C)は、実施の形態1に係る導体111の概観を示す図である。
本実施の形態では、単位線路の一例として、単位構造120が用いられる。
また、導体111では、複数の曲折線路1Bを接続することにより、メアンダ形状が形成される。実施の形態1では、図2(C)に示すように、このメアンダ形状の屈曲により形成される凹部1Eに、2つの環状スタブ1Aが設けられる。
H1は、曲折線路1Bにおける導体111の幅である。H2は、環状スタブ1Aと曲折線路1Bとの間の切れ込み1Dの長さである。H3は、環状スタブ1Aにおいて、環状スタブ1Aの端部と環(即ち、輪)の端部との間の長さである。
L1は、環状スタブ1Aの環の長さである。L3は、環状スタブ1Aの長さである。
W1は、曲折線路1Bの幅である。W2は、環状スタブ1Aの幅である。W3は、インピーダンス調整部1Cの幅である。W4は、環状スタブ1Aの環の端部と導体111の端部との間の幅である。
P1は、環状スタブ1Aの環の幅である。P2は、環状スタブ1Aと曲折線路1Bとの間の切れ込み1Dの幅である。P3は、インピーダンス調整部1Cを介して配置される一の環状スタブ1Aと他の環状スタブ1Aとの間の切れ込みの幅である。
なお、本実施の形態において、切れ込み1Dの長さH2と、環状スタブ1Aの長さL3とは、同じにしてもよいし、例えば、切れ込み1Dを導体111の端部に向けて延長したり、環状スタブ1Aの環の位置を変更したりして、H2とL3とが異なるようにしてもよい。
また、本実施の形態において、H3は、全ての環状スタブ1Aにおいて共通の値にしてもよいが、このような構成に限られない。一の環状スタブ1Aと他の環状スタブ1AとでH3を異なる値にしてもよい。
次に、実施の形態1に係る導体111の特性を説明する。なお、導体111の特性を説明するにあたり、導体111と、例えば板状部材114のように基準電位を与える他の導体とによって、伝送線路(以下、単に「伝送線路」という)を構成するものとする。
ここで、本実施の形態では、伝送線路の単位長さ当たりの位相の遅延量を大きくすることにより、即ち、伝送線路の位相速度v0を小さくすることにより、物理的な伝送線路長を短縮させることを目的としている。この位相速度v0は、図3に示す等価回路の単位長さ当たりのインダクタンスL及びキャパシタンスCを用いて、数1式のように表される。
他方、伝送線路の特性インピーダンスZ0は、数2式のように表される。
このように、実施の形態1に係る伝送線路では、物理的な伝送線路長を短縮させるために、また、特性インピーダンスZ0を予め定められた値に整合するために、インダクタンスL又はキャパシタンスCを設定する必要がある。そこで、導体111の各部の長さが調整される。
次に、伝送線路のうちの環状スタブ1Aの特性について説明する。図4(A)は、実施の形態1に係る環状スタブ1Aと2つのインピーダンス調整部1Cとを含む構成を示す図である。図4(B)は、図4(A)に示す構成のパラメータを示す図である。図4(B)のX1〜X3のパラメータを使用して実験を行い、図4(A)の構成の各部の長さの違いによる電気的特性の変化を確認した。
付言すると、X1とX2を比較した場合、W2、W4、H3は共通し、L3について、X2はX1よりも1mm長い。また、X1とX3を比較した場合、L3、W2、H3は共通し、W4について、X3はX1よりも0.4mm短い。
なお、図4(B)に示す例では、環状スタブ1Aの環の長さL1(図2(B)参照)について示していないが、L3について、X2はX1よりも1mm長いのと同様に、L1についても、X2はX1よりも1mm長いものとする。
以上より、環状スタブ1Aの長さL3を長くすることにより、キャパシタンスCが増加し、位相を遅延させる効果があることがわかる。なお、数2式に示すように、キャパシタンスCは、特性インピーダンスZ0を調整する上で必要なパラメータであるため、環状スタブ1Aの長さL3を変更することで、特性インピーダンスZ0も調整される。
以上より、W4を0.4mm狭くすることにより、インダクタンスLが増加するが、位相の遅延への影響は小さいことがわかる。なお、数2式に示すように、インダクタンスLは、特性インピーダンスZ0を調整する上で必要なパラメータであるため、W4を変更することで、特性インピーダンスZ0も調整される。
次に、伝送線路のうちの環状スタブ1Aの環による効果について説明する。図6(A)は、実施の形態1に係る単位構造120を2つ配置した伝送線路を示す図である。一方、図6(B)は、環状スタブ1Aの代わりに、環状ではないスタブ1Fを備えた伝送線路を示す図である。そして、L1=3.5mm、L3=4.5mm、P1=0.7mm、H1=5.8mm、W4=1.3mmとして、実験を行った。
なお、この例では、切れ込み1Dの長さH2(図2参照)と、環状スタブ1A(又はスタブ1F)の長さL3とが同じ長さになるように構成した。
なお、図6に示す例では、単位構造120を2つ配置したが、配置する単位構造120の数を増やすことにより、位相遅延量は、その配置した単位構造120の個数分増加する。例えば、単位構造120を2N個配置した場合の位相遅延量は、単位構造120を2つ配置した場合の位相遅延量のN倍になる。
次に、伝送線路のうちの環状スタブ1Aの長さを増加させた場合の位相遅延効果について説明する。伝送線路は、図6(A)に示すものと同様であり、パラメータとして、X4、X5を使用して実験を行った。
X4は、L1=2.5mm、L3=3.5mm、P1=0.7mm、H1=4.8mmである。X5は、L1=3.5mm、L3=4.5mm、P1=0.7mm、H1=4.8mmである。
付言すると、X4とX5を比較した場合、P1、H1は共通し、L1及びL3について、X5はX4よりも1mm長い。なお、W4は、X4とX5で共通である。
さらに説明すると、X4は、図6(A)のパラメータと比較して、L1、L3、H1を1mmずつ短くしたものであり、図6(A)に示す構成のように、H1は、(L3+W4)の長さに等しい。一方、X5の場合、L1及びL3をX4の場合よりも1mm長くして、H1及びW4を変更しない。そのため、X5では、環状スタブ1Aの先端が、曲折線路1BのH1の長さの部分に対して、導体111の幅方向に飛び出した構造になる。
これらの構成により、環状スタブ1Aの長さL3及び環の長さL1を増加させたことによる位相遅延効果を確認した。
次に、伝送線路における導体111の幅を増加させた場合の位相遅延効果について説明する。伝送線路としては、図6(A)に示すものと同様であり、パラメータとして、X6、X7を使用して実験を行った。
X6は、L1=3.5mm、L3=4.5mm、P1=0.7mm、H1=4.8mmである。X7は、L1=3.5mm、L3=4.5mm、P1=0.7mm、H1=5.8mmである。
付言すると、X6とX7を比較した場合、L1、L3、P1は共通し、H1について、X7はX6よりも1mm長い。なお、W4は、X6とX7で共通である。
さらに説明すると、X6は、X5のパラメータと同様であり、環状スタブ1Aの先端が、曲折線路1BのH1の長さの部分に対して、導体111の幅方向に飛び出した構造である。一方、X7の場合、H1をX6の場合よりも1mm長くして、L1、L3、P1を変更しない。このX7は、図6(A)のパラメータと同様であり、図6(A)に示す構成のように、H1は、(L3+W4)の長さに等しい。
これらの構成により、曲折線路1Bにおける導体111の幅H1を増加させたことによる位相遅延効果を確認した。
さらに、実施例に基づいて、実施の形態1に係る伝送線路の特性について説明する。
図10(A)は、実施の形態1に係る実施例の導体111を示す図である。また、図10(B)は、従来技術である比較例の導体201を示す図である。
実施例の導体111の長さLは69.3mmである。一方、比較例の導体201は、従来のマイクロストリップラインであり、長さLは98.5mmである。
図11は、実施例の導体111及び比較例の導体201のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示す図である。VSWR特性とは、高周波特性を示す指標の1つであり、高周波信号が通過するときに信号の一部が回路上で反射されてしまう度合である。反射が大きいほどVSWRの数値が大きくなり、信号ロス(即ち、リターンロス)が大きいことを示しているため、VSWRはできる限り低いことが求められる。
VSWRの数値は、電圧定在波比として、電圧の最大値と最小値との比で表され、数3式のように表される。
なお、図10〜図12には示していないが、実施の形態1に係る伝送線路と、同じ物理長さのマイクロストリップ線路とを比較した場合、実施の形態1に係る伝送線路では、マイクロストリップ線路と比較して、位相遅延量が20%〜35%増加することが確認された。
実施の形態1において、導体111は環状スタブ1Aを備えていた。一方、実施の形態2では、導体111は、環状スタブ1Aの代わりに、環状ではないスタブ1Fを備えている。なお、実施の形態2において、スタブ1F以外の他の構成は実施の形態1と同様である。よって、以下では、実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を説明する。
そして、本実施の形態では、環状ではないスタブ1Fを用いるため、実施の形態1とは異なり、環を設けたり、環の長さL1(図2参照)を変化させたりすることによって、位相遅延量や特性インピーダンスZ0の調整は行われない。例えば導体111の幅H1(図2参照)やインピーダンス調整部1Cの幅W3など、その他の各部の長さが調整されることにより、位相遅延量や特性インピーダンスZ0が調整される。
実施の形態1において、導体111の単位構造120は、2つの環状スタブ1Aを備えていた。言い換えると、実施の形態1では、メアンダ形状の凹部1Eに、2つの環状スタブ1Aが設けられた。一方、実施の形態3では、導体111の単位構造120は、1つの環状スタブ1Aを備えている。そして、メアンダ形状の凹部1Eには、1つの環状スタブ1Aが設けられる。なお、実施の形態3において、実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を説明する。
このようにして、導体111は、単位構造120が繰り返し配置されることにより構成される。図14に示す例では、6つの単位構造120が配置されている。
付言すると、導体111では、複数の曲折線路1Gが配置されることにより、メアンダ形状が形成される。このメアンダ形状の凹部1Eに、1つの環状スタブ1Aが設けられる。
そして、環状スタブ1Aの長さL3や環の長さL1、導体の幅H1などの導体111の各部の長さが調整されることにより、位相遅延量や特性インピーダンスZ0が調整される。
次に、他の実施の形態について説明する。
実施の形態1及び実施の形態3では、メアンダ形状の凹部1Eには、1つ又は2つの環状スタブ1Aが設けられたが、メアンダ形状の凹部1Eに、3つ以上の環状スタブ1Aを設けてもよい。この場合も、導体111の各部の長さが調整されることにより、位相遅延量や特性インピーダンスZ0が調整される。
また、メアンダ形状の凹部1Eに、環状スタブ1Aの代わりに、環状ではないスタブ1Fを3つ以上設けてもよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
ここで、一の単位線路と他の単位線路との接続部には、切り込みが設けられることを特徴とすることができる。
また、前記切り込みは、特性インピーダンスの調整に用いられることを特徴とすることができる。
さらに、前記一の環状スタブ及び前記他の環状スタブにおける環は、リターンロスの抑制に用いられることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される伝送線路は、メアンダ形状の線路と、当該メアンダ形状の線路により形成される凹部に配置されるスタブとを有する第1の導体と、前記第1の導体に対向して配置される第2の導体とを備える。
ここで、前記スタブは、環状スタブであることを特徴とすることができる。
また、前記凹部のそれぞれには、複数の前記スタブが配置されることを特徴とすることができる。
さらに、前記メアンダ形状の線路では、クランク状に形成された一の曲折線路と他の曲折線路との接続部に、切り込みが設けられることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される移相器は、クランク状に形成された曲折線路を介して対向に配置された一の環状スタブ及び他の環状スタブを有する複数の単位線路を備え、複数の当該単位線路を互いに反転して配置して構成されており、一端部が第1の入出力端子に接続され、導電材料で構成された第1の導体と、一端部が第2の入出力端子に接続され、他端部が前記第1の導体と電気的に結合するように延びるとともに、当該第1の導体と電気的に結合する位置が当該第1の導体において相対的に移動可能である、導電材料で構成された第3の導体と、前記第1の導体及び前記第3の導体に対向して配置される第2の導体とを備える。
また、導体111では、複数の曲折線路1Bを接続することにより、メアンダ形状の線路が形成される。実施の形態1では、図2(C)に示すように、このメアンダ形状の線路により形成される凹部1Eに、2つの環状スタブ1Aが設けられる。
Claims (9)
- クランク状に形成された曲折線路を介して対向に配置された一の環状スタブ及び他の環状スタブを有する単位線路を備え、当該単位線路を互いに反転して配置して構成される第1の導体と、
前記第1の導体に対向して配置される第2の導体と
を備える伝送線路。 - 一の単位線路と他の単位線路との接続部には、切り込みが設けられること
を特徴とする請求項1に記載の伝送線路。 - 前記切り込みは、特性インピーダンスの調整に用いられること
を特徴とする請求項2に記載の伝送線路。 - 前記一の環状スタブ及び前記他の環状スタブにおける環は、リターンロスの抑制に用いられること
を特徴とする請求項1に記載の伝送線路。 - メアンダ形状の線路と、当該メアンダ形状の屈曲により形成される凹部に配置されるスタブとを有する第1の導体と、
前記第1の導体に対向して配置される第2の導体と
を備える伝送線路。 - 前記スタブは、環状スタブであること
を特徴とする請求項5に記載の伝送線路。 - 前記凹部のそれぞれには、複数の前記スタブが配置されること
を特徴とする請求項5又は6に記載の伝送線路。 - 前記メアンダ形状の線路では、クランク状に形成された一の曲折線路と他の曲折線路との接続部に、切り込みが設けられること
を特徴とする請求項5に記載の伝送線路。 - クランク状に形成された曲折線路を介して対向に配置された一の環状スタブ及び他の環状スタブを有する単位線路を備え、当該単位線路を互いに反転して配置して構成されており、一端部が第1の入出力端子に接続され、導電材料で構成された第1の導体と、
一端部が第2の入出力端子に接続され、他端部が前記第1の導体と電気的に結合するように延びるとともに、当該第1の導体と電気的に結合する位置が当該第1の導体において相対的に移動可能である、導電材料で構成された第3の導体と、
前記第1の導体及び前記第3の導体に対向して配置される第2の導体と
を備える移相器。
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