JPWO2020145343A1 - 板状スピネル粒子及びその製造方法 - Google Patents

板状スピネル粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

板状スピネル粒子は、厚み(T)が0.01μm以上5μm以下であり、平均粒子径(L)が0.1μm以上500μm以下であり、アスペクト比(L/T)が3以上500以下であり、かつ粒子内にモリブデンを含む。前記板状スピネル粒子の製造方法は、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を、モリブデン存在下で、焼成させる、製造方法である。

Description

本発明は、板状スピネル粒子及びその製造方法に関する。
高アスペクト比の板状形状を持つ無機粒子は、その特異な形状による熱的特性及び光学特性等に特に優れている。現在、自動車や電子部品用途において、低誘電率(比誘電率)、Q値又は誘電正接、機械強度、熱伝導率、熱膨張係数等の物性により優れた無機フィラーが求められており、上記のような高アスペクト比を持つ無機粒子が注目されている。アスペクト比を持つ無機粒子としては、板状アルミナが挙げられ、熱伝導率や機械強度向上等の様々な研究がなされている。しかし、アルミナ固有の誘電正接は10−3と高いことにより、熱伝導率及び機械強度に加え低誘電正接を兼備したものは成し得ない。
一方、低誘電率の無機粒子としては、MgAlで表わされる、一般式ABとなる金属元素の複酸化物スピネル粒子が挙げられる。特許文献1及び2には、熱伝導性に優れるスピネル粒子が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2等に開示された、従来のスピネル粒子においては、結晶子径が大きく、粒子自体の熱伝導率が優れ、かつ低誘電正接、あるいは耐薬品性に優れるであるものが得られる事例は見られるものの、低誘電正接及び高アスペクト比を有し、優れた機械強度を兼備するものは未だ見出されていない。
日本国特開2016−135841号公報 国際公開第2017/221372号
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、誘電正接を低く保ちながら、優れた機械強度を有する板状スピネル粒子及びその製造方法を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、モリブデンを含む板状α−アルミナ粒子及びマグネシウム化合物を焼成して得られたスピネル粒子は、アスペクト比が高く、機械強度に優れるのみならず、結晶子径も大きく熱伝導率に優れ、かつ誘電正接が極めて小さい板状の形状を有するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1)厚みTが0.01μm以上5μm以下であり、平均粒子径Lが0.1μm以上500μm以下であり、アスペクト比L/Tが3以上500以下であり、かつ粒子内にモリブデンを含む、板状スピネル粒子。
(2)前記モリブデンの含有量が、板状スピネル粒子100質量%に対して三酸化モリブデン換算で0.01質量%以上1質量%以下である、(1)に記載の板状スピネル粒子。
(3)X線回折法により得られる回折ピークの、(311)面に相当するピークの半値幅から算出される結晶子径が60nm以上である、(1)又は(2)に記載の板状スピネル粒子。
(4)板状スピネル粒子の製造方法は、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の板状スピネル粒子の製造方法であって、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を、モリブデン存在下で、焼成させる、製造方法である。
(5)前記アルミニウム化合物が板状アルミナ粒子である、(4)に記載の製造方法。
(6)前記アルミニウム化合物がモリブデンを三酸化モリブデン換算で0.1質量%以上1質量%以下含む、(4)又は(5)に記載の製造方法。
(7)焼成時に形状制御剤としてナトリウム化合物又はカリウム化合物を用いる、(4)〜(6)のいずれか一つに記載の製造方法。
(8)1300℃未満で焼成させる、(4)〜(7)のいずれか一つに記載の製造方法。
(9)前記アルミニウム化合物及び前記マグネシウム化合物の平均粒子径が1μm以上10μm以下である、(4)〜(8)のいずれか一つに記載の製造方法。
上記態様の板状スピネル粒子及びその製造方法によれば、誘電正接を低く保ちながら、優れた機械強度を有する板状スピネル粒子を提供することができる。
実施例及び比較例で得られたスピネル粒子のSEM画像である。(A)〜(E)のスケールバー(実線)は10.0μmである。(F)のスケールバー(点線)は50.0μmである。
以下、本発明の一実施形態に係る板状スピネル粒子及びその製造方法について詳細に説明する。
≪板状スピネル粒子≫
実施形態に係る板状スピネル粒子は、厚みTが0.01μm以上5μm以下であり、平均粒子径Lが0.1μm以上500μm以下であり、かつアスペクト比L/Tが3以上500以下である。また、実施形態に係る板状スピネル粒子は、粒子内にモリブデンを含む。
一般に、「スピネル粒子」は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、及び酸素原子を含むことから、通常、MgAlの化学組成で表される。実施形態に係る板状スピネル粒子は粒子内にモリブデンを含み、モリブデンの含有形態は特に制限されないが、モリブデンがスピネル粒子表面に付着、被覆、結合、その他これに類する形態で配置される形態、モリブデンがスピネルに組み込まれる形態、これらの組み合わせが挙げられる。この際、「モリブデンがスピネルに組み込まれる形態」としては、スピネル粒子を構成する原子の少なくとも一部がモリブデンに置換する形態、スピネル粒子の結晶内部に存在しうる空間(結晶構造の欠陥により生じる空間等を含む)にモリブデンが配置される形態等が挙げられる。なお、前記置換する形態において、置換されるスピネル粒子を構成する原子としては、特に制限されず、マグネシウム原子、アルミニウム原子、酸素原子、他の原子のいずれであってもよい。
中でも、モリブデンは少なくともスピネルに組み込まれる形態で含有されることが好ましい。なお、モリブデンがスピネルに組み込まれている場合、例えば、洗浄による除去がされにくい傾向がある。
実施形態に係る板状スピネル粒子は、上記形状であることにより、誘電正接を低く保ちながら、機械強度に優れるものとすることができる。従来のスピネル粒子は、後述する実施例にも示すように、上記厚み、平均粒子径及びアスペクト比のうち少なくともいずれか1つの要件を満たさないものであった。そのため、従来のスピネル粒子は、おそらく板状でないか、粒子サイズが小さいために、誘電正接は低いが、機械強度に乏しいものであった。
実施形態に係る板状スピネル粒子は、特に、高アスペクト比であることから、優れた機械強度を発揮できるものと考えられる。
本明細書において、「アスペクト比」とは、スピネル粒子の平均粒子径を厚みで除した比である。また、ここでいう「板状」とは、アスペクト比が2以上であることを指す。なお、本明細書において、「スピネル粒子の厚み」は、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られたイメージから、無作為に選出された少なくとも50個のスピネル粒子について測定された厚みの算術平均値とする。「粒径」は、スピネル粒子の輪郭線上の2点間の距離のうち、最大の長さとする。「スピネル粒子の平均粒子径」は走査型電子顕微鏡(SEM)により得られたイメージから、無作為に選出された少なくとも50個の板状スピネル粒子について測定された粒径の算術平均値とする。
実施形態に係る板状スピネル粒子は、厚みが0.01μm以上5μm以下であり、0.05μm以上3μm以下が好ましく、0.1μm以上1μm以下がより好ましく、0.15μm以上0.75μm以下がさらに好ましく、0.2μm以上0.5μm以下が特に好ましく、0.2μm以上0.47μm以下が最も好ましい。板状スピネル粒子の厚みが上記範囲内であることで、機械強度により優れたものとすることができる。
実施形態に係る板状スピネル粒子は、平均粒子径が0.1μm以上500μm以下であり、0.3μm以上100μm以下が好ましく、0.5μm以上50μm以下がより好ましく、1μm以上30μm以下がさらに好ましく、1μm以上20μm以下がよりさらに好ましく、1μm以上10μm以下が特に好ましく、4μm以上9μm以下が最も好ましい。板状スピネル粒子の平均粒子径が上記下限値以上であることで、樹脂等と混合する場合に粘度の上昇をより効果的に抑制することができ、一方で、上記上限値以下であることで、板状スピネル粒子を含む成形品の表面をより平滑なものとすることができる。
実施形態に係る板状スピネル粒子は、アスペクト比が3以上500以下であり、5以上100以下が好ましく、7以上50以下がより好ましく、9以上30以下がさらに好ましく、10以上25以下がよりさらに好ましく、12以上23以下が特に好ましく、14.5以上20以下が最も好ましい。アスペクト比が上記下限値以上であることで、より機械強度に優れたものとなる傾向があり、一方で、上記上限値以下であることで、板状スピネル粒子を含む成形品の表面をより平滑なものとすることができる。
上記の好ましいスピネル粒子の形状について、厚み、平均粒子径、及びアスペクト比の条件は、それが板状である範囲で、どのように組み合わせることもできる。
実施形態に係る板状スピネル粒子は、円形板状や楕円形板状であってもよいが、粒子形状は、例えば、六角〜八角といった多角板状であることが、誘電正接等の特性や、取り扱い性、製造のし易さ等の点から好ましい。
実施形態に係る板状スピネル粒子の(311)面の結晶子径は、60nm以上が好ましく、65nm以上がより好ましく、66nm以上がさらに好ましく、70nm以上がよりさらに好ましい。一方で、(311)面の結晶子径の上限は特別な限定はなく、例えば、200nm以下とすることができ、150nm以下とすることができ、100nm以下とすることができ、90nm以下とすることができ、82nm以下とすることができる。
ここで、(311)面はスピネル粒子の主要な結晶ドメインの1つであり、当該(311)面の結晶ドメインの大きさが(311)面の結晶子径に相当する。当該結晶子径が大きいほど粒子の緻密性及び結晶性が高く、フォノンの散乱が起こる乱れ部分がないことを意味するため、熱伝導性が高いということができる。なお、スピネル粒子の(311)面の結晶子径は、後述する製造方法の条件を適宜設定することで制御することができる。また、本明細書において「(311)面の結晶子径」の値は、X線回折(XRD)を用いて測定された(311)面に帰属されるピーク(2θ=37度付近に出現するピーク)の半値幅からシェラー式を用いて算出された値を採用するものとする。なお、ここでいう「37度付近」とは、37度±0.5度の範囲を意味する。
上述のとおりスピネル粒子は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、及び、酸素原子を含み、一般的には、MgAlの組成で表される。また、実施形態に係る板状スピネル粒子は、モリブデンを含む。また、実施形態に係る板状スピネル粒子は、本発明の効果を損なわない限り、その他、不可避不純物、他の原子等が含まれていてもよい。
<各原子の含有量>
スピネル粒子中のマグネシウム原子の含有量は、特に制限されないが、例えば、アルミニウム原子のモル量が2モルである場合、0.8モル以上1.2モル以下であることが好ましく、0.9モル以上1.1モル以下であることがより好ましい。
スピネル粒子中のアルミニウム原子の含有量は、特に制限されないが、例えば、マグネシウム原子のモル量を1モルとした場合、1.8モル以上2.2モル以下であることが好ましく、1.9モル以上2.1モル以下であることがより好ましい。
なお、スピネル粒子中のマグネシウム原子及びアルミニウム原子の含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)により測定することができる。
スピネル粒子中の酸素原子の含有量は、特に制限されないが、マグネシウム原子及びアルミニウム原子のモル量に応じて決まる。例えば、マグネシウム原子及びアルミニウム原子がそれぞれ1モルと2モルである場合、スピネル粒子中の酸素原子の含有量は、3.8モル以上4.2モル以下であることが好ましく、3.9モル以上4.1モル以下であることがより好ましい。
<モリブデン>
モリブデンは、後述する製造方法に起因して含有されうる。
当該モリブデンとしては、特に制限されないが、モリブデン金属の他、酸化モリブデンや一部が還元されたモリブデン化合物等が含まれる。モリブデンは、MoOとして板状スピネル粒子に含まれると考えられるが、MoO以外にもMoOやMoO等として板状スピネル粒子に含まれてもよい。
モリブデンの含有形態は、特に制限されず、板状スピネル粒子の表面に付着、被覆、結合、その他これに類する形態で配置される形態で含まれていてもよく、モリブデンがスピネルに組み込まれる形態で含まれていてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
モリブデンの含有量は、特に制限されないが、実施形態に係る板状スピネル粒子の高熱伝導性の観点から、板状スピネル粒子100質量%に対して、三酸化モリブデン換算で1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、板状スピネル粒子がより高い緻密性を示す観点から、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.65質量%以下がよりさらに好ましく、0.61質量%以下が特に好ましい。一方で、モリブデンの含有量の下限は特に限定されないが、例えば0.01質量以上とすることができ、0.05質量%以上とすることができ、0.1質量%以上とすることができ、0.15質量%以上とすることができ、0.2質量%以上とすることができ、0.25質量%以上とすることができ、0.31質量%以上とすることができる。なお、本明細書において、板状スピネル粒子中のモリブデンの含有量は、XRF分析により求めることができる。XRF分析は、後述する実施例に記載の測定条件と同一の条件、又は同一の測定結果が得られる互換性のある条件のもと実施されるものとする。
<不可避不純物>
不可避不純物は、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に板状スピネル粒子に混入するものであり、本来は不要なものであるが、微量であり、板状スピネル粒子の特性に影響を及ぼさない不純物を意味する。
不可避不純物としては、特に制限されないが、ケイ素、鉄、カリウム、ナトリウム、カルシウム等が挙げられる。これらの不可避不純物は単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
板状スピネル粒子中の不可避不純物の含有量は、板状スピネル粒子の質量に対して、10000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、10ppm以上500ppm以下であることがさらに好ましい。
<他の原子>
他の原子は、本発明の効果を阻害しない範囲において、着色、発光、スピネル粒子の形成制御等を目的として意図的にスピネル粒子に添加されるものを意味する。
他の原子としては、特に制限されないが、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、チタン、ジルコニウム、カルシウム、ストロンチウム、イットリウム等が挙げられる。これらの他の原子は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
板状スピネル粒子中の他の原子の含有量は、板状スピネル粒子100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
≪板状スピネル粒子の製造方法≫
実施形態に係る板状スピネル粒子の製造方法は、特に限定されず、公知の技術が適宜適用され得るが、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を、モリブデン存在下で、焼成させる工程(焼成工程)を含む製造方法が好ましい。焼成工程は焼成対象の混合物を得る工程(混合工程)で得られた混合物を焼成する工程であってもよい。
<混合工程>
混合工程は、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、モリブデン等の原料を混合して混合物とする工程である。この際、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物の混合状態は、特に限定されない。両者を混合する場合には、粉体を混ぜ合わせる簡便な混合、粉砕機やミキサー等を用いた機械的な混合、乳鉢等を用いた混合等が行われる。この際、得られる混合物は、乾式状態、湿式状態のいずれであってもよいが、コストの観点から乾式状態であることが好ましい。
混合工程において、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物との混合比は特別な限定はないが、マグネシウム化合物のマグネシウム元素に対するアルミニウム化合物のアルミニウム元素のモル比(アルミニウム元素/マグネシウム元素)が、1.8以上2.2以下となるように混合することが好ましく、1.9以上2.1以下となるように混合することがより好ましい。
以下、混合物の内容について説明する。
[マグネシウム化合物]
マグネシウム化合物としては、特に制限されないが、金属マグネシウム、マグネシウム誘導体、マグネシウムオキソ酸塩、マグネシウム有機塩、及びこれらの水和物等が挙げられる。マグネシウム誘導体としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、水素化マグネシウム、二ホウ化マグネシウム、窒化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。マグネシウムオキソ酸塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、過マンガン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等が挙げられる。マグネシウム有機塩としては、例えば、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、モノペルオキシフタル酸マグネシウム等が挙げられる。なお、これらマグネシウム化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム又は硫酸マグネシウムであることが好ましく、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム又は酢酸マグネシウムであることがより好ましい。
マグネシウム化合物の平均粒子径は、特に限定されないが、1μm以上10μm以下が好ましく、1.5μm以上5μm以下がより好ましく、2μm以上4μm以下がさらに好ましく、2.5μm以上3.5μm以上が特に好ましい。マグネシウム化合物の平均粒子径が上記下限値以上であると、スピネル結晶化において粒子凝集をより効果的に防止し得る。一方、マグネシウム化合物の平均粒子径が上記上限値以下であると、スピネル結晶化が粒子の中心部までより効率よく進行し得る。
マグネシウム化合物は市販品を使用してもよく、自ら調製してもよい。
マグネシウム化合物を自ら調製する場合、反応性を調整することができる。例えば、マグネシウムイオンの酸性水溶液を塩基で中和することで粒子径の小さい水酸化マグネシウムを得ることができる。得られる粒径の小さい水酸化マグネシウムは反応性が高いため、これを用いて得られるスピネルの結晶子径は大きくなる傾向がある。
[アルミニウム化合物]
アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、アルミニウム金属、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、酸化アルミニウム等が挙げられる。酸化アルミニウムとしては、例えば、酸化アルミニウム水和物、β−酸化アルミニウム、γ−酸化アルミニウム、δ−酸化アルミニウム、θ−酸化アルミニウム、α−酸化アルミニウム、2種以上の結晶相を有する混合酸化アルミニウム等が挙げられる。
上述のアルミニウム化合物は、酸化アルミニウムであることが好ましく、α結晶、β結晶、γ結晶、δ結晶及びθ結晶からなる群から選択される少なくとも1つの結晶形態を有する酸化アルミニウムであることが好ましく、α結晶を有する酸化アルミニウムであることがより好ましい。
また、上述のアルミニウム化合物はモリブデンを含むことが好ましい。この際、前記モリブデンを含むアルミニウム化合物のモリブデン含有形態は、特に制限されないが、スピネル粒子と同様に、モリブデンがアルミニウム化合物表面に付着、被覆、結合、その他これに類する形態で配置される形態、モリブデンがアルミニウム化合物に組み込まれる形態、これらの組み合わせが挙げられる。この際、「モリブデンがアルミニウム化合物に組み込まれる形態」としては、アルミニウム化合物を構成する原子の少なくとも一部がモリブデンに置換する形態、アルミニウム化合物の結晶内部に存在しうる空間(結晶構造の欠陥により生じる空間等を含む)にモリブデンが配置される形態等が挙げられる。なお、前記置換する形態において、置換されるアルミニウム化合物を構成する原子としては、特に制限されず、アルミニウム原子、酸素原子、他の原子のいずれであってもよい。
上述のアルミニウム化合物のうち、モリブデンを含むアルミニウム化合物を用いることが好ましく、モリブデンが組み込まれたアルミニウム化合物を用いることがより好ましい。
モリブデンを含むアルミニウム化合物が好ましい理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムによるものと推察される。すなわち、アルミニウム化合物に含まれるモリブデンが固相界面における核形成の促進、アルミニウム原子とマグネシウム原子の固相拡散の促進等の機能を果たし、アルミニウム化合物とマグネシウム化合物との固相反応がより好適に進行するものと考えられる。すなわち、後述するように、モリブデンを含むアルミニウム化合物は、アルミニウム化合物、かつ、モリブデンとしての機能を有しうるのである。特に、モリブデンが組み込まれたアルミニウム化合物は、反応点に直接又は近接した部分にモリブデンが配置されることとなり、モリブデンによる効果をより効果的に発揮しうる。なお、上記メカニズムはあくまで推測のものであり、上記メカニズムと異なるメカニズムで所望の効果が得られる場合であっても、技術的範囲に含まれる。
アルミニウム化合物の形状については特に限定されないが、多面体状、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、針状、棒状、板状、円板状、薄片状、鱗片状等が挙げられる。中でも、後述において説明するとおり、実施形態に係る製造方法では、アルミニウム化合物の形状を反映したスピネル粒子が得られる傾向があることから、板状であることが好ましい。
アルミニウム化合物の平均粒子径は、特に限定されないが、得たい板状スピネルの粒子径に応じ適宜調整する。アルミニウム化合物の平均粒子径は、0.1μm以上500μm以下であり、0.3μm以上100μm以下が好ましく、0.5μm以上50μm以下がより好ましく、1μm以上30μm以下がさらに好ましく、1μm以上20μm以下がよりさらに好ましく、1μm以上10μm以下が特に好ましく、3.8μm以上7.0μm以下が最も好ましい。アルミニウム化合物の平均粒子径が上記下限値以上であると、スピネル結晶化において粒子凝集をより効果的に防止し得る。一方、アルミニウム化合物の平均粒子径が上記上限値以下であると、スピネル結晶化が粒子の中心部までより効率よく進行し得る。
また、アルミニウム化合物の厚みは0.01μm以上5μm以下であり、0.05μm以上3μm以下が好ましく、0.1μm以上1μm以下がより好ましく、0.15μm以上0.75μm以下がさらに好ましく、0.2μm以上0.5μm以下が特に好ましい。アルミニウム化合物の厚みが上記範囲内であることで、アスペクト比のより大きい板状スピネル粒子を得ることができる。
また、アルミニウム化合物のアスペクト比は3以上500以下であり、5以上100以下が好ましく、7以上50以下がより好ましく、9以上30以下がさらに好ましく、10以上25以下が特に好ましい。アスペクト比が上記下限値以上であることで、より機械強度に優れた板状スピネル粒子が得られ、一方で、上記上限値以下であることで、表面がより平滑な成形品や塗膜が得られる板状スピネル粒子となる。
アルミニウム化合物は、市販品を使用してもよいし、自ら調製したものを使用してもよい。アルミニウム化合物を自ら調製する場合、例えば、モリブデンを含むアルミニウム化合物は、以下に詳述するフラックス法により調製することができる。すなわち、好ましい一実施形態において、スピネル粒子の製造方法は、フラックス法によりアルミニウム化合物を調製する工程をさらに含む。
フラックス法は、上述した固相法とは異なり、液相法、中でも溶液法に分類される。フラックス法とは、より詳細には、結晶−フラックス2成分系状態図が共晶型を示すことを利用した結晶成長の方法である。フラックス法のメカニズムとしては、以下のとおりであると推測される。すなわち、溶質及びフラックスの混合物を加熱していくと、溶質及びフラックスは液相となる。この際、フラックスは融剤であるため、換言すれば、溶質−フラックス2成分系状態図が共晶型を示すため、溶質は、その融点よりも低い温度で溶融し、液相を構成することとなる。この状態で、フラックスを蒸発させると、フラックスの濃度は低下し、換言すれば、フラックスによる前記溶質の融点低下効果が低減し、フラックスの蒸発が駆動力となって溶質の結晶成長が起こる(フラックス蒸発法)。なお、溶質及びフラックスは液相を冷却することによっても溶質の結晶成長を起こすことができる(徐冷法)。
フラックス法は、融点よりもはるかに低い温度で結晶成長をさせることができる、結晶構造を精密に制御できる、自形をもつ多面体結晶体を形成できる等のメリットを有する。
アルミニウム化合物をフラックス法で調製する場合において、フラックス剤としてモリブデン化合物を使用すると、中間化合物であるモリブデン酸アルミニウムを経由して、モリブデンを含むアルミニウム化合物が得られ得る。この際、アルミニウム化合物に含まれるモリブデンは、フラックス法のデメリットと言われるフラックス不純物に該当しうるが、上述のように、本発明の一実施形態においてはアルミニウム化合物に含有されるモリブデンは、板状スピネル粒子を製造する際に好適な作用効果を発揮しうる。
(フラックス蒸発法)
一実施形態において、フラックス法は、アルミニウム源及びモリブデン化合物を含む混合物を焼成するフラックス蒸発工程と、前記焼成工程で結晶成長したアルミニウム化合物を冷却する冷却工程と、を含む。
・アルミニウム源
アルミニウム源としては、特に限定されないが、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、遷移アルミナ、アルミナ水和物、α−アルミナ、2種以上の結晶相を有する混合アルミナ等が挙げられる。遷移アルミナとしては、例えば、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ等が挙げられる。なお、上述のアルミニウム源は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、水酸化アルミニウム、遷移アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト又はアルミナ水和物であることが好ましく、水酸化アルミニウム、遷移アルミナ又はベーマイトであることがより好ましい。
アルミニウム源は市販品を使用しても、自ら調製してもよい。
アルミニウム源を自ら調製する場合、例えば、高温において構造安定性の高いアルミナ水和物又は遷移アルミナは、アルミニウムの水溶液の中和により調製することができる。より詳細には、前記アルミナ水和物は、アルミニウムの酸性水溶液を塩基で中和することで調製することができ、前記遷移アルミナは、上記で得られたアルミナ水和物を熱処理して調製することができる。なお、これによって得られるアルミナ水和物又は遷移アルミナは、高温において構造安定性が高いため、モリブデンの存在下で焼成すると、平均粒子径の大きいモリブデンを含むアルミニウム化合物が得られる傾向がある。
上述したフラックス法において、アルミニウム源の形状は、特に制限されず、球状、無定形、アスペクトのある構造体、シート等のいずれであっても好適に用いることができる。アスペクトのある構造体としては、例えば、ワイヤ、ファイバー、リボン、チューブ等の形状のものであっても好適に用いることができる。
同様に、上述したフラックス法において、アルミニウム源の粒子径は特に制限されず、数nmから数百μmまでのアルミニウム化合物の固体を好適に用いることができる。
また、アルミニウム源は、有機化合物と複合体を形成していてもよい。当該複合体としては、例えば、有機シランを用いて、アルミニウム化合物を修飾して得られる有機無機複合体、ポリマーを吸着したアルミニウム化合物複合体、有機化合物で被覆した複合体等が挙げられる。これらの複合体を用いる場合、有機化合物の含有率としては、特に制限はないが、60質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
アルミニウム源の比表面積も特に限定されるものではない。モリブデン化合物が効果的に作用するため、比表面積が大きい方が好ましいが、焼成条件やモリブデン化合物の使用量を調整する事で、いずれの比表面積のものでも原料として使用することができる。
上述したフラックス法において、アルミニウム化合物を形成するために、形状制御剤を用いることができる。形状制御剤はモリブデン化合物の存在下で、アルミニウム源の焼成によるアルミナの板状結晶成長に重要な役割を果たす。
形状制御剤の存在状態は、特に制限されず、例えば、形状制御剤とアルミニウム化合物と物理混合物、形状制御剤がアルミニウム源の表面又は内部に、均一又は局在に存在した複合体等が好適に用いることができる。
また、形状制御剤をアルミニウム化合物に添加してもよいが、アルミニウム化合物中に不純物として含んでもよい。
形状制御剤は板状結晶成長に重要な役割を果たす。一般的に行なわれる酸化モリブデンフラックス法では酸化モリブデンがアルミナのα結晶の(113)面に選択的に吸着し、結晶成分は(113)面に供給されにくくなり、(001)面、又は、(006)面の出現を完全に抑制できるとするものであることから、六角両錘型をベースとした多面体粒子を形成する。上述したフラックス法においては、形状制御剤を用いて、フラックス剤である酸化モリブデンが(113)面に選択的な結晶成分の吸着を抑制することで、(001)面の発達した熱力学的に最も安定的な稠密六方格子の結晶構造を有する板状形状を形成することができる。モリブデン化合物をフラックス剤として用いることで、α結晶化率が高い、モリブデンを含む板状アルミナ粒子をより容易に形成できる。
形状制御剤の種類については、シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物、ゲルマニウム又はゲルマニウム元素を含むゲルマニウム化合物を用いることができる。より安価で生産性に優れる板状アルミナ粒子を製造可能な点からも、シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物を用いることが好ましい。形状制御剤として、シリコン又はケイ素化合物を用いた上記フラックス法により、アスペクト比の高いアルミニウム化合物を容易に製造することができる。
シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物としては、特に制限されず、公知のものが使用されうる。シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物としては、人工合成シリコン化合物であってもよく、天然シリコン化合物であってもよい。人工合成シリコン化合物としては、例えば、金属シリコン、有機シラン、シリコン樹脂、シリカ微粒子、シリカゲル、メソポーラスシリカ、SiC、ムライト等が挙げられる。天然シリコン化合物としては、例えば、バイオシリカ等が挙げられる。中でも、アルミニウム化合物との複合、混合がより均一的に形成できる観点から、有機シラン、シリコン樹脂又はシリカ微粒子を用いることが好ましい。なお、シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物の形状は、特に制限されず、例えば、球状、無定形、アスペクトのある構造体、シート等を好適に用いることができる。アスペクトのある構造体としては、例えば、ワイヤ、ファイバー、リボン、チューブ等の形状のものであっても好適に用いることができる。
アルミニウム化合物100質量%に対するケイ素の含有量は、二酸化ケイ素換算で、10質量%以下が好ましく、0.001質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上4質量%以下がさらに好ましく、0.6質量%以上2.5質量%以下が特に好ましい。上記ケイ素の含有量はXRF分析により求めることができる。
・モリブデン化合物
モリブデン化合物としては、特に制限されないが、金属モリブデン、酸化モリブデン、硫化モリブデン、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アンモニウム、HPMo1240、HSiMo1240等が挙げられる。この際、前記モリブデン化合物は、異性体を含む。例えば、酸化モリブデンは、二酸化モリブデン(IV)(MoO)であってもよく、三酸化モリブデン(VI)(MoO)であってもよい。なお、上述のモリブデン化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、三酸化モリブデン、二酸化モリブデン又はモリブデン酸アンモニウムであることが好ましく、三酸化モリブデンであることがより好ましい。
アルミニウム化合物のアルミニウム元素に対するモリブデン化合物のモリブデン元素のモル比(モリブデン元素/アルミニウム元素)は、0.01以上3.0以下であることが好ましく、0.03以上1.0以下であることがより好ましい。前記モル比が上記下限値以上であると、モリブデンを含むアルミニウム化合物の結晶成長がより好適に進行し得る。一方、前記モル比が上記上限値以下であると、モリブデンを含むアルミニウム化合物の調製が工業的により効率よくできる。
−フラックス蒸発工程−
アルミニウム源及びモリブデン化合物を含む混合物を焼成することで、中間化合物であるモリブデン酸アルミニウムを経由し、前記モリブデン酸アルミニウムが分解し、モリブデン化合物が蒸発することで、モリブデンを含むアルミニウム化合物が生成する。この際、前記モリブデン化合物の蒸発がモリブデンを含むアルミニウム化合物の結晶成長の駆動力となる。
焼成温度は特に制限されないが、700℃以上2000℃以下であることが好ましく、900℃以上1600℃以下であることがより好ましく、950℃以上1500℃以下であることがさらに好ましく、1000℃以上1400℃以下であることが特に好ましい。焼成温度が上記下限値以上であると、より好適にフラックス反応が進行する。一方、焼成温度が上記上限値以下であると、焼成炉への負担や燃料コストがより低減され得る。
焼成時におけるアルミニウム源及びモリブデン化合物の状態は、特に限定されず、モリブデン化合物及びアルミニウム源が同一の空間に存在すればよい。例えば、両者が混合されていない状態であっても、フラックス反応は進行しうる。両者を混合する場合には、粉体を混ぜ合わせる簡便な混合、粉砕機等を用いた機械的な混合、乳鉢等を用いた混合等を行うことができ、この際、得られる混合物は乾式状態、湿式状態のいずれであってもよい。
焼成の時間についても特に制限されないが、5分以上30時間以下であることが好ましく、モリブデンを含むアルミニウム化合物の形成を効率的に行う観点から、10分以上15時間以下であることがより好ましい。
焼成の雰囲気についても特に限定されないが、例えば、空気や酸素のような含酸素雰囲気、窒素やアルゴンのような不活性雰囲気であることが好ましく、実施者の安全性や炉の耐久性観点から腐食性を有さない含酸素雰囲気、窒素雰囲気であることがより好ましく、コストの観点から、空気雰囲気であることがさらに好ましい。
焼成装置についても特に制限されず、通常、いわゆる焼成炉を用いる。当該焼成炉は、昇華したモリブデン化合物と反応しない材質で構成されていることが好ましく、モリブデン化合物を効率的に利用可能な密閉性の高い焼成炉であることがより好ましい。
−冷却工程−
冷却工程は、焼成工程において結晶成長したアルミニウム化合物を冷却する工程である。
冷却速度は、特に制限されないが、1℃/時間以上1000℃/時間以下であることが好ましく、5℃/時間以上500℃/時間以下であることがより好ましく、50℃/時間以上100℃/時間以下であることがさらに好ましい。冷却速度が上記下限値以上であると、製造時間がより短縮され得る。一方、冷却速度が上記上限値以下であると、焼成容器がヒートショックで割れることがより少なく、より長く使用できることから好ましい。
冷却方法は特に制限されず、自然放冷であっても、冷却装置を使用してもよい。
−モリブデンを含むアルミニウム化合物−
フラックス法により得られるアルミニウム化合物は、モリブデンを含むため、通常、着色されている。着色された色彩は、含有されるモリブデンの量によっても異なるが、通常、薄い青色から黒色に近い濃青色であり、モリブデン含有量に比例して色彩が濃色になる傾向がある。なお、モリブデンを含むアルミニウム化合物の構成によっては、他の色彩に着色されている場合もある。例えば、モリブデンを含む化合物がクロムを含む場合には赤色に、ニッケルを含む場合には黄色になりうる。
モリブデンを含むアルミニウム化合物のモリブデンの含有量は、特に制限されないが、三酸化モリブデン換算で、0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上0.9質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上0.9質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以上0.88質量%以下がよりさらに好ましく、0.7質量%以上0.87質量%以下が特に好ましく、0.83質量%以上0.86質量%以下が最も好ましい。モリブデンの含有量が上記下限値以上であると、スピネルの結晶成長がより効率よく進行できる。一方、モリブデンの含有量が上記上限値以下であると、アルミニウム化合物の結晶品質が向上しうることから好ましい。なお、本明細書において、アルミニウム化合物中のモリブデンの含有量は、上記板状スピネル粒子中のモリブデンの含有量に記載の方法と同様の方法を用いて測定することができる。
モリブデンを含むアルミニウム化合物は、モリブデンがフラックス剤として働き、(001)面以外の結晶面を主結晶面とした高α結晶化率であることが好ましく、α結晶化率が90%以上であることがより好ましい。
(徐冷法)
また、一実施形態において、フラックス法は、アルミニウム源及びモリブデン化合物を含む混合物を焼成する工程と、得られる焼成物を冷却して結晶成長させる徐冷工程と、を含む。
[モリブデン]
モリブデンは、固相反応において、界面における核形成の促進、マグネシウム原子及びアルミニウム原子のうち少なくともいずれかの原子の固相拡散の促進等の機能を有する。
モリブデンは、モリブデン金属及びモリブデンを含む化合物中のモリブデンが用いられうる。モリブデンを含む化合物の具体例としては、上述したモリブデン化合物、モリブデンを含むアルミニウム化合物が挙げられる。なお、モリブデンを含むアルミニウム化合物は、モリブデンを含む化合物、かつ、アルミニウム化合物として使用されうる。上述のモリブデンは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モリブデンの使用量として、アルミニウム化合物のアルミニウム元素に対するモリブデン元素のモル比(モリブデン元素/アルミニウム元素)は、0.00001以上0.05以下であることが好ましく、0.0001以上0.03以下であることがより好ましい。前記モル比が上記範囲内であると、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物との固溶化及びスピネル晶出がより好適に進行し得る。
<焼成工程>
焼成工程は、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を、モリブデン存在下で、
固溶化及び晶出により、上記板状スピネル粒子に結晶成長させる工程である。
前記固溶化及び晶出は、通常、いわゆる固相法により行われる。固相法における固溶化及び晶出のメカニズムとしては、以下のとおりであると推測される。すなわち、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物が接触する環境下において加熱を行うと、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物が界面(固相界面)において核を形成することで、固相間の結合が強化される。そして、前記形成された核を担体として、固相反応が進行しうる。この際、前記固相反応は、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物の二元系状態図が共晶型をとること、これによりマグネシウム化合物及びアルミニウム化合物が界面における反応できる温度はマグネシウム化合物又はアルミニウム化合物が単独で溶融する温度よりも低いことが利用されうる。具体的には、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物が界面において反応して核を形成し、マグネシウム原子及びアルミニウム原子のうち少なくともいずれかの原子が、前記核を介して固相拡散し、アルミニウム化合物及びマグネシウム原子のうち少なくともいずれかの原子と反応する。これにより、緻密な結晶体、すなわちスピネル粒子を得ることができる。この際、前記固相拡散において、マグネシウム原子のアルミニウム化合物への拡散速度は、アルミニウム原子のマグネシウム化合物への拡散速度よりも相対的に高いため、アルミニウム化合物の形状が反映されたスピネル粒子が得られる傾向がある。このため、アルミニウム化合物の形状や平均粒子径を適宜変更することで、スピネル粒子の形状及び平均粒子径を制御することが可能となり得る。実施形態に係る製造方法では、アルミニウム化合物としてモリブデンを含む板状アルミナ粒子を用いることで、板状スピネル粒子をより容易に製造することができる。
ここで、上述の固相反応は、モリブデン存在下で行われる。モリブデンの作用は必ずしも明らかではないが、例えば、界面における核形成の促進、マグネシウム原子及びアルミニウム原子のうち少なくともいずれかの原子の固相拡散の促進等により、固相反応がより好適に進行するものと考えられる。また、上述のフラックス法において説明したとおり、反応の過程として、まずモリブデンとアルミニウム化合物とが反応して、中間体であるモリブデン酸アルミニウムが形成された後、当該モリブデン酸アルミニウムとマグネシウム化合物とが反応するものを含むと推察される。金属成分を複数有するスピネル粒子では、焼成過程において、欠陥構造等が生じやすいため、結晶構造を精密に制御することが困難であるが、モリブデンを用いることにより、スピネル結晶の結晶構造を制御することができる。これにより、(311)面の結晶子径は大きくなり、熱伝導性に優れる板状スピネル粒子が得られうる。なお、固相反応は、モリブデン存在下で行われるため、得られる板状スピネル粒子には、モリブデンが含まれうる。
なお、スピネル粒子の(311)面の結晶子径等の結晶制御は、モリブデンの使用量、マグネシウム化合物の種類、焼成温度、焼成時間、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物との混合状態を変更することにより行うことができる。この理由は、モリブデンの量、マグネシウム化合物の種類、焼成温度、焼成時間、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物との混合状態は、固相反応において、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物に固溶化及び晶出の速度等に関連するためであると考えられる。高反応性マグネシウム化合物の使用はマグネシウム化合物の固溶化及び晶出の速度を、モリブデンの使用量の増加、高温焼成、及び長時間焼成はマグネシウム原子及びアルミニウム原子のうち少なくともいずれかの原子の固溶化及び晶出の速度を、それぞれ早くすることができ、例えば、(311)面の結晶子径を大きくすることができる。
焼成温度は、特別な限定はないが、1300℃未満が好ましく、800℃以上1300℃未満がより好ましく、900℃以上1200℃以下がさらに好ましい。焼成温度が上記上限値以下であることで、より短時間でより効率的に板状スピネル粒子を製造することができる。一方で、焼成温度が上記上限値以下であることで、スピネル粒子の形状及び分散性をより容易に制御することができる。
焼成時間は、特に制限されないが、0.1時間以上1000時間以下であることが好ましく、3時間以上100時間以下であることがより好ましい。焼成時間が上記下限値以上であると、(311)面の結晶子径のより大きな板状スピネル粒子を得ることができる。一方、焼成時間が上記上限値以下であると、製造コストがより低くなり得る。
なお、焼成においては、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物との固溶化及び晶出を促進するため、及び、形状を制御するために、形状制御剤を使用することも可能である。当該形状制御剤としては、例えば、ナトリウム化合物、カリウム化合物等が挙げられる。形状制御剤を添加することで、モリブデンが効率よく拡散され結晶形成の均質化へ寄与し、形状や粒子表面がより均一で平滑性の高い板状スピネル粒子を得る事ができる。
ナトリウム化合物としては、特に制限されないが、ナトリウム、塩化ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酸化ナトリウム、臭化ナトリウム、臭素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム等が挙げられる。この際、前記ナトリウム化合物は、モリブデン化合物の場合と同様に、異性体を含む。中でも、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム又はモリブデン酸ナトリウムを用いることが好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム又はモリブデン酸ナトリウムを用いることがより好ましい。なお、上述のナトリウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、モリブデン酸ナトリウムは、モリブデンを含むため、上述のモリブデン化合物としての機能も有しうる。
カリウム化合物としては、特に制限されないが、カリウム、塩化カリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、酸化カリウム、臭化カリウム、臭素酸カリウム、水酸化カリウム、珪酸カリウム、燐酸カリウム、燐酸水素カリウム、硫化カリウム、硫化水素カリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸カリウム等が挙げられる。この際、前記カリウム化合物は、モリブデン化合物の場合と同様に、異性体を含む。中でも、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酸化カリウム、水酸化カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム又はモリブデン酸カリウムを用いることが好ましく、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム又はモリブデン酸カリウムを用いることがより好ましい。なお、上述のカリウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、モリブデン酸カリウムは、モリブデンを含むため、上述のモリブデン化合物としての機能も有しうる。
形状制御剤の添加量としては、原料100質量%に対して、酸化物換算で、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以上68質量%以下がよりさらに好ましく、55質量%以上67質量%以下が特に好ましく、61質量%以上66質量%以下が最も好ましい。形状制御剤の添加量が上記範囲内であることで、表面の平滑性により優れた板状スピネル粒子を得ることができる。また、アスペクト比をより大きくすることができ、機械強度により優れる傾向がある。
これら添加剤は、上記混合工程において焼成前に混合しておくことが好ましい。
焼成雰囲気は、空気雰囲気であってもよく、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であってもよく、酸素雰囲気であってもよく、アンモニアガス雰囲気であってもよく、二酸化炭素雰囲気であってもよい。この際、製造コストの観点からは空気雰囲気であることが好ましい。
焼成時の圧力についても特に制限されず、常圧下であってもよく、加圧下であってもよく、減圧下であってもよいが、焼成時に生成する酸化モリブデン蒸気を効率的に焼成炉から排出できる観点から減圧下で行うことが好ましい。
加熱手段としては、特に制限されない、焼成炉を用いることが好ましい。この際使用されうる焼成炉としては、トンネル炉、ローラーハース炉、ロータリーキルン、マッフル炉等が挙げられる。
焼成炉は酸化モリブデン蒸気と反応しない材質で構成されていることが好ましく、密閉性の高い焼成炉を用いることがより好ましい。
<冷却工程>
本発明の製造方法は、冷却工程を含んでいてもよい。当該冷却工程は、焼成工程において結晶成長したスピネル粒子を冷却する工程である。
冷却速度は、特に制限されないが、1℃/時間以上1000℃/時間以下であることが好ましく、5℃/時間以上500℃/時間以下であることがより好ましく、50℃/時間以上100℃/時間以下であることがさらに好ましい。冷却速度が上記下限値以上であると、製造時間がより短縮され得る。一方、冷却速度が上記上限値以下であると、焼成容器がヒートショックで割れることがより少なく、より長く使用できる。
冷却方法は特に制限されず、自然放冷であってもよく、冷却装置を使用してもよい。
[後処理工程]
本発明の製造方法は、後処理工程を含んでいてもよい。当該後処理工程は、添加剤等を除去する工程である。後処理工程は、上述の焼成工程の後に行ってもよく、上述の冷却工程の後に行ってもよく、焼成工程及び冷却工程の後に行ってもよい。また、必要に応じて、2度以上繰り返し行ってもよい。
後処理の方法としては、洗浄及び高温処理が挙げられる。これらは組み合わせて行うことができる。
前記洗浄方法としては、特に制限されないが、例えば、水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、酸性水溶液等で洗浄することにより除去することができる。
この際、使用する水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、酸性水溶液の濃度、使用量、並びに洗浄部位及び洗浄時間等を適宜変更することで、モリブデン含有量を制御することができる。
また、高温処理の方法としては、添加剤の昇華点又は沸点以上に昇温する方法が挙げられる。
[粉砕工程]
焼成物は板状スピネル粒子が凝集して、本発明に好適な粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、板状スピネル粒子は、必要に応じて、本発明に好適な粒子径の範囲を満たすように粉砕してもよい。
焼成物の粉砕の方法は特に限定されず、ボールミル、ジョークラッシャー、ジェットミル、ディスクミル、スペクトロミル、グラインダー、ミキサーミル等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
[分級工程]
板状スピネル粒子は、平均粒子径を調整し、粉体の流動性を向上するため、又はマトリックスを形成するためのバインダーに配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理される。「分級処理」とは、粒子の大きさによって粒子をグループ分けする操作をいう。
分級は湿式、乾式のいずれでも良いが、生産性の観点からは、乾式の分級が好ましい。乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級等があるが、分級精度の観点からは、風力分級が好ましく、コアンダ効果を利用した気流分級機、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機等の分級機を用いて行うことができる。
上記した粉砕工程や分級工程は、後述する有機化合物層形成工程の前後を含めて、必要な段階において行うことができる。これら粉砕や分級の有無やそれらの条件選定により、例えば、得られる板状スピネル粒子の平均粒子径を調整することができる。
実施形態に係る板状スピネル粒子、或いは実施形態に係る製造方法で得る板状スピネル粒子は、凝集が少ないもの或いは凝集していないものが、本来の性質を発揮しやすく、それ自体の取扱性により優れており、また被分散媒体に分散させて用いる場合において、より分散性に優れる観点から、好ましい。板状スピネル粒子の製造方法においては、上記した粉砕工程や分級工程は行わずに、凝集が少ないもの或いは凝集していないものが得られれば、左記工程を行う必要もなく、目的の優れた性質を有する板状スピネル粒子を、生産性高く製造することができるので好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
≪原料α−アルミナ粒子の合成≫
<合成例1>α−アルミナ粒子A−1の合成
水酸化アルミニウム145.3g(日本軽金属株式会社製、平均粒子径12μm)と、二酸化珪素(関東化学株式会社製、特級)1.90gと、三酸化モリブデン(太陽鉱工株式会社製)5gとを乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて5℃/分の条件で1100℃まで昇温し、1100℃で10時間焼成を行なった。その後5℃/分の条件で室温まで降温後、坩堝を取り出し、99gの薄青色の粉末を得た。得られた粉末を乳鉢で、106μm篩を通るまで解砕した。
続いて、得られた前記薄青色粉末の98gを0.5%アンモニア水の150mLに分散し、分散溶液を室温(25〜30℃)で0.5時間攪拌後、ろ過によりアンモニア水を除き、水洗浄と乾燥を行う事で、粒子表面に残存するモリブデンを除去し、96gの白色の粉末を得た。得られた粉末はレーザー回折式粒度分布計により求めた平均粒子径が7.0μmであり、また、SEM観察により形状が多角板状であり、凝集体が極めて少なく、優れた取り扱い性を有する板状形状の粒子であることが確認された。さらに、XRD測定を行ったところ、α−アルミナに由来する鋭いピーク散乱が現れ、α結晶構造以外のアルミナ結晶系ピークは観察されなく、緻密な結晶構造を有する板状アルミナであることを確認した。また、α化率は90%以上であった。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.83質量%含むものであることを確認した。さらに、密度を測定した結果3.95g/cmであった。
<合成例2>α−アルミナ粒子A−2の合成
水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製、平均粒子径2μm)145.3gと、二酸化珪素2.85gと、三酸化モリブデン(太陽鉱工株式会社製)5gとを乳鉢で混合した以外は、合成例1と同様の操作を行い98gの薄青色の粉末を得た。得られた粉末はレーザー回折式粒度分布計により求めた平均粒子径が3.8μmであり、また、SEM観察により形状が多角板状であり、凝集体が極めて少なく、優れた取り扱い性を有する板状形状の粒子であることが確認された。さらに、XRD測定を行ったところ、α−アルミナに由来する鋭いピーク散乱が現れ、α結晶構造以外のアルミナ結晶系ピークは観察されなく、緻密な結晶構造を有する板状アルミナであることを確認した。また、α化率は90%以上であった。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.86質量%含むものであることを確認した。さらに、密度を測定した結果3.94g/cmであった。
≪スピネル粒子の合成≫
<実施例1>スピネル粒子S−a1の合成
合成例1で得たα−アルミナ粒子A−1 20gと、酸化マグネシウム(神島化学製 平均粒子径3.5μm)7.86gとを乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて5℃/分の条件で1050℃まで昇温し、1050℃で10時間保持し焼成を行なった。その後5℃/分の条件で室温まで降温後、坩堝を取り出し、27.5gの白色の粉末を得た。得られた粉末を乳鉢で、150μm篩を通るまで解砕した。
続いて、得られた前記白色粉末の25gと2%硝酸の100mLを配合し、直径5mmのアルミナビーズを加え、ペイントコンディショナーで20分解砕を行った。その後、分散溶液をろ過により2%硝酸を除き、水洗浄と乾燥を行うことで、粒子表面に残存するモリブデンを除去し、24.5gの白色の粉末を得た。得られた粉末はSEM観察(図1(A)参照)により板状であり、凝集体が極めて少なく、優れた取り扱い性を有する粒子であることが確認された。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来する鋭いピーク散乱が観察された。また、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ、72nmであることを確認した。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.44質量%含むものであることを確認した。
<実施例2>スピネル粒子S−a2の合成
得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて5℃/分の条件で1150℃まで昇温し、1150℃で10時間保持し焼成を行った以外は、実施例1と同様の操作を行い、24.5gの白色の粉末を得た。得られた粉末はSEM観察(図1(B)参照)により板状であり、凝集体が極めて少なく、優れた取り扱い性を有する粒子であることが確認された。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来する鋭いピーク散乱が観察された。また、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ、82nmであり、実施例1の1050℃焼成と比べ、高温で焼成することで結晶成長に有意であることを確認した。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.48質量%含むものであることを確認した。
<実施例3>スピネル粒子S−a3の合成
合成例2で得たα−アルミナ粒子A−2 20gと、酸化マグネシウム(神島化学製 平均粒子径3.5μm)7.86gとを乳鉢で混合し、混合物を得た以外は実施例1と同様の操作を行い、24.6gの白色の粉末を得た。得られた粉末の平均粒子径は4.0μmであり、平均粒子径が合成例1で得たα−アルミナ粒子A−1よりも小さい3.8μmである合成例2で得たα−アルミナ粒子A−2を用いた場合、実施例1で得た板状スピネル粒子S−a1よりも平均粒子径が小さい粒子が得られた。また、SEM観察(図1(C)参照)により板状であり、凝集体が極めて少なく、優れた取り扱い性を有する粒子であることが確認された。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来する鋭いピーク散乱が観察された。また、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ、70nmであることを確認した。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.53質量%含むものであることを確認した。
<実施例4>スピネル粒子S−a4の合成
合成例1で得たα−アルミナ粒子A−1 20gと、酸化マグネシウム(神島化学製 平均粒子径3.5μm)7.86gと、三酸化モリブデン1.67gを乳鉢で混合し、混合物を得た以外は実施例1と同様の操作を行い、24.6gの白色の粉末を得た。得られた粉末はSEM観察(図1(D)参照)により板状であり、凝集体が極めて少なく、優れた取り扱い性を有する粒子であることが確認された。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来する鋭いピーク散乱が観察された。また、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ、88nmであり、実施例2の三酸化モリブデンを添加していない配合で焼成したものと比べ、結晶子径が大きく、三酸化モリブデンが結晶成長に寄与していることを確認した。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.61質量%含むものであることを確認した。
<実施例5>スピネル粒子S−a5の合成
合成例1で得たα−アルミナ粒子A−1 20gと、酸化マグネシウム(神島化学製 平均粒子径3.5μm)7.86gと、塩化ナトリウム83.57gを乳鉢で混合し、混合物を得た以外は実施例1と同様の操作を行い、24.5gの白色の粉末を得た。得られた粉末の平均粒子径は8.3μmであり、塩化ナトリウムを配合することで、実施例2で得た板状スピネル粒子S−a2よりも平均粒子径が大きい粒子が得られた。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来する鋭いピーク散乱が観察された。また、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ、66nmであることを確認した。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.31質量%含むものであることを確認した。
<実施例6>スピネル粒子S−a6の合成
合成例1で得たα−アルミナ粒子A−1 20gと、酸化マグネシウム(神島化学製 平均粒子径3.5μm)7.86gと、塩化ナトリウム83.57gを乳鉢で混合し、混合物を得た以外は実施例1と同様の操作を行い、24.5gの白色の粉末を得た。得られた粉末の平均粒子径は8.0μmであり、実施例5と同様に塩化カリウムを配合することで実施例2で得た板状スピネル粒子S−a2よりも平均粒子径が大きい粒子が得られた。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来する鋭いピーク散乱が観察された。また、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ、68nmであることを確認した。さらに、蛍光X線定量分析の結果から、得られた粒子は、モリブデンを三酸化モリブデン換算で0.33質量%含むものであることを確認した。
<比較例1>スピネル粒子S−b1の合成
市販のベーマイト(粒子径2μm)23.53gと、酸化マグネシウム(神島化学製 平均粒子径3.5μm)7.86gとを乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて5℃/分の条件で1150℃まで昇温し、1150℃で10時間保持し焼成を行なった。その後5℃/分の条件で室温まで降温後、坩堝を取り出し、27.6gの白色の粉末を得た。得られた粉末を乳鉢で、150μm篩を通るまで解砕した。続いて、得られた前記白色粉末の25gと2%硝酸の100mLを配合し、直径5mmのアルミナビーズを加え、ペイントコンディショナーで20分解砕を行った。その後、分散溶液をろ過により2%硝酸を除き、水洗浄と乾燥を行い、24.6gの白色の粉末を得た。得られた粉末をSEMで観察したところ(図1(E)参照)、板状であったが、粒子形状や粒子径が不揃いであった。また、板の厚み平均が1μmで、レーザー回折式粒度分布計より求められる平均粒子径が2.9μmであり、平均粒子径/厚み平均より求められるアスペクト比が2.9と、実施例1〜6で得た板状スピネル粒子のアスペクト比と比べて、極端に小さい値となった。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来するピーク散乱が観察されたが、実施例1〜6で得た板状スピネル粒子の測定結果と比べて、ピークがブロードであり、CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ28nmであり、実施例1〜6で得た板状スピネル粒子の結晶子径と比較して、極端に小さい値となった。
<比較例2>スピネル粒子S−b2の合成
市販のスピネル粒子(平均粒子径20μmに篩分級で調整されたもの)25gに、径5mmのアルミナビーズ25gを加えペイントコンディショナーを用い解砕を行い、24.7gのスピネル粒子粉末を得た。得られた粉末をSEMで観察したところ(図1(F)参照)、粒子形状や粒子径が不揃いな角状粒子であった。また、板の厚み平均が5.3μmで、レーザー回折式粒度分布計より求められる平均粒子径が5.5μmであり、平均粒子径/厚み平均より求められるアスペクト比が1.0と、実施例1〜6で得た板状スピネル粒子のアスペクト比と比べて、極端に小さい値となった。さらに、XRD測定を行ったところ、スピネルに由来するピーク散乱が観察された。CALSA検出器を用い、37度付近に認められる(311)面のピークより結晶子径を求めたところ88nmであった。
≪評価方法≫
上記合成例で得られたα−アルミナ粒子、並びに、上記実施例及び比較例で得られたスピネル粒子を試料として、以下の評価を行った。具体的な測定方法を以下に示す。また、評価結果を表1に示す。
<合成例で得られたα−アルミナ粒子の評価>
[α―アルミナ粒子の平均粒子径Lの計測]
作製した試料について、レーザー回折式粒度分布計HELOS(H3355)&RODOS(株式会社日本レーザー製)を用い、分散圧3bar、引圧90mbarの条件で平均粒子径d50(μm)を求め、平均粒子径Lとした。
[α化率の分析]
作製した試料を0.5mm深さの測定試料用ホルダーにのせ、一定荷重で平らになるように充填し、それを広角X線回折装置(株式会社リガク製 Rint−Ultma)にセットし、Cu/Kα線、40kV/30mA、スキャンスピード2度/分、走査範囲10度以上70度以下の条件で測定を行った。α−アルミナと遷移アルミナの最強ピーク高さの比よりα化率を求めた。
[α−アルミナ粒子内に含まれるMo量の分析]
蛍光X線分析装置PrimusIV(株式会社リガク製) を用い、作製した試料約70mgをろ紙にとり、PPフィルムをかぶせて組成分析を行った。XRF分析結果により求められるモリブデン量を、板状アルミナ粒子100質量%に対する三酸化モリブデン換算(質量%)により求めた。
[密度の測定]
作製した試料を、300℃3時間の条件で前処理を行った後、マイクロメリティックス社製 乾式自動密度計アキュピックII1330を用いて、測定温度25℃、ヘリウムをキャリアガスとして使用した条件で測定した。
<実施例及び比較例で得られたスピネル粒子の評価>
[スピネル粒子の平均粒子径Lの計測]
作製した試料について、レーザー回折式粒度分布計HELOS(H3355)&RODOS(株式会社日本レーザー製)を用い、分散圧3bar、引圧90mbarの条件で平均粒子径d50(μm)を求め、平均粒子径Lとした。
[スピネル粒子の厚みTの計測]
作製した試料について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、50個の厚みを測定した平均値を採用し、厚みT(μm)とした。
[アスペクト比L/T]
スピネル粒子のアスペクト比は下記の式を用いて求めた。
アスペクト比 = 板状スピネル粒子の平均粒子径L/板状スピネル粒子の厚みT
[スピネル結晶の分析]
作製した試料を0.5mm深さの測定試料用ホルダーにのせ、一定荷重で平らになるように充填し、それを広角X線回折(XRD)装置(株式会社リガク製 Rint−Ultma)にセットし、Cu/Kα線、40kV/30mA、スキャンスピード2度/分、走査範囲10度以上70度以下の条件で測定を行った。
[結晶子径の測定]
株式会社リガク製 X線回折装置SmartLab、検出器CALSAを用い、以下の条件で37度付近に認められるピークより、(311)面の結晶子径(nm)を求めた。
(測定条件)
2θ/θ法 2θ=15deg以上80deg以下
step数 0.002deg
スキャンスピード0.05deg./min.
βs=20rpm
Soller/PSC=2.5deg.short
Soller=2.5deg.
[密度の測定]
作製した試料を、300℃3時間の条件で前処理を行った後、マイクロメリティックス社製 乾式自動密度計アキュピックII1330を用いて、測定温度25℃、ヘリウムをキャリアガスとして使用した条件で測定した。
[誘電率・誘電正接の測定]
作製した試料に25gに径5mmのアルミナビーズを加え、ペイントコンディショナーで4時間処理し、スピネル粒子を粉砕した。粉砕したスピネル粒子を用い、ベクトルネットワークアナライザE8361Aを用い、摂動方式共振器法、周波数1GHz、温度25℃、湿度50%の条件で比誘電率・誘電正接を求めた。
[曲げ応力]
作製した試料を66wt%、ポリフェニレンサルファイト樹脂(PPS樹脂 DIC製MA−500)34wt%となるように配合し、計20gの混合物を準備した。混合物20gをフルフライトのスクリューを設置した二軸混練機を用いて、押出機温度300℃、スクリュー回転数150rpmの条件で2分間溶融混練を行った。得られた混練物をダイスからストランド状で取り出し、ペレット化したのち、小型射出成形機を用いて幅5mm、長さ75mm、厚み1mmのダンベル試験片を得た。得られた試験片を用いて、支点間距離が32mmとなるように、2点で支持し、これと対向する辺における上記2点の中間位置にクロスヘッドの移動速度1mm/分の速度で加重を加えて、試験片が破壊したときの最大荷重を測定し、3点曲げ強度(MPa)を算出した。当該曲げ強度を5点測定して平均値を求めた。
Figure 2020145343
表1から、実施例1で得たスピネル粒子S−a1と実施例2で得たスピネル粒子S−a2、実施例2で得たスピネル粒子S−a2と実施例4で得たスピネル粒子S−a4の比較により、結晶子径が大きいほど、曲げ応力(曲げ強度)が高くなる傾向がみられた。
また、実施例2で得たスピネル粒子S−a2と、実施例5で得たスピネル粒子S−a5と、実施例6で得たスピネル粒子S−a6の比較により、アスペクト比が大きいほど曲げ応力(曲げ強度)が高くなる傾向がみられた。
これに対し、比較例1で得たスピネル粒子S−b1及び比較例2で得たスピネル粒子Sb−2では、実施例1〜6で得たスピネル粒子S−a1〜S−a6よりもアスペクト比が小さく、特に比較例1で得たスピネル粒子S−b1は結晶子径も小さく、曲げ応力が著しく低い結果であった。
以上のことから、本実施形態のスピネル粒子は、高アスペクト比であることで、誘電率や誘電正接等の特有の性能を保ちながら、力学特性に優れることが示された。
本実施形態の板状スピネル粒子及びその製造方法によれば、誘電正接を低く保ちながら、優れた機械強度を有する板状スピネル粒子を提供することができる。

Claims (9)

  1. 厚みTが0.01μm以上5μm以下であり、平均粒子径Lが0.1μm以上500μm以下であり、アスペクト比(L/T)が3以上500以下であり、かつ粒子内にモリブデンを含む、板状スピネル粒子。
  2. 前記モリブデンの含有量が、板状スピネル粒子100質量%に対して三酸化モリブデン換算で0.01質量%以上1質量%以下である、請求項1に記載の板状スピネル粒子。
  3. X線回折法により得られる回折ピークの、(311)面に相当するピークの半値幅から算出される結晶子径が60nm以上である、請求項1又は2に記載の板状スピネル粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の板状スピネル粒子の製造方法であって、
    マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を、モリブデン存在下で、焼成させる、製造方法。
  5. 前記アルミニウム化合物が板状アルミナ粒子である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記アルミニウム化合物がモリブデンを三酸化モリブデン換算で0.1質量%以上1質量%以下含む、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 焼成時に形状制御剤としてナトリウム化合物又はカリウム化合物を用いる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 1300℃未満で焼成させる、請求項4〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記アルミニウム化合物及び前記マグネシウム化合物の平均粒子径が1μm以上10μm以下である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
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