JPWO2020110985A1 - 耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物 - Google Patents

耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物 Download PDF

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Abstract

耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部とを備え、平面視において、床部は矩形状とは異なる多角形状に形成された耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、スラブ、梁、及び柱の配置を決定する構造決定工程と、スラブから区画された床部の周囲を、梁に耐火被覆を施した耐火被覆梁により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、を行う。

Description

本発明は、耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物に関する。
本願は、2018年11月27日に、日本に出願された特願2018−221045号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、鉄骨造の構造物が知られている(例えば、非特許文献1参照)。鉄骨造の構造物は、柱及び梁を互いに接合し、梁上で床(スラブ)を支持して構成される。床は、平面視で複数の隅部を有する矩形状に形成されている。柱は、床の複数の隅部のそれぞれを下方から支持している。
構造物では、火災時に床の撓みを抑える等の耐火性能を高めるために、鉄骨造の柱、梁に耐火被覆を施す場合がある。耐火被覆を施された柱は、耐火被覆柱となる。耐火被覆を施された梁は、耐火被覆梁となる。
構造物で火災が発生すると、柱及び梁の温度は高くなる。しかしながら、耐火被覆柱及び耐火被覆梁は、それぞれの温度が高くなっても一定の剛性及び耐力を維持する。よって、耐火被覆柱及び耐火被覆梁は、火災時でも床を支持することができる。一方で、耐火被覆を施していない柱及び梁、耐火被覆柱及び耐火被覆梁よりも耐火被覆が削減された柱及び梁では、火災時には剛性及び耐力が無くなる(剛性及び耐力が維持できない)とみなされる。火災時には、これらの剛性及び耐力が小さくなるとみなされる場合がある。耐火被覆を施していない柱及び梁等を備える構造物では、耐火性能が低下する。
柱及び梁に耐火被覆を施すのには多大な労力を要するため、耐火被覆を省略することが望まれている。
一般的に構造物は、柱、梁、及びスラブ等により構成される。スラブは、引張力伝達部材を含む。例えば、引張力伝達部材は鉄筋である。柱に耐火被覆を施して耐火被覆柱としたり、梁に耐火被覆を施して耐火被覆梁とすることで、構造物が耐火構造物となる。スラブは、柱及び梁により、平面視で複数の隅部を有する矩形状の床部に区画される。
図30に示すように、特許文献1に開示された耐火構造物300を設計する耐火構造物の設計方法では、耐火被覆柱部材301と減耐火被覆柱部材302との間に、梁部材303が接合されるように設定されている。なお、図30以下の図では耐火被覆が削減されることなく施された柱及び梁に、ハッチングを付して示している。
耐火被覆柱部材301は、耐火被覆が施された柱部材である。減耐火被覆柱部材302は、耐火被覆柱部材301よりも耐火被覆が削減された柱部材である。
耐火構造物300の平面視において、複数の耐火被覆柱部材301及び複数の減耐火被覆柱部材302が、幅方向E1及び奥行方向E2にそれぞれ互いに間隔を空けて並べて配置されている。複数の耐火被覆柱部材301及び複数の減耐火被覆柱部材302は、全体として格子状(grid)に配置されている。この際に、減耐火被覆柱部材302に対して幅方向E1及び奥行方向E2にそれぞれ隣り合う柱部材が耐火被覆柱部材301となるように配置されている。梁部材303は、格子状に配置された複数の耐火被覆柱部材301及び複数の減耐火被覆柱部材302同士を接合している。
複数の梁部材303には、合成スラブ304が架設されている。図示はしないが、合成スラブ304は、コンクリートと、デッキプレートと、スラブ筋(引張力伝達部材)と、を有している。デッキプレートは、打込み鋲接合又はボルト接合等により梁部材303の上面に固定されている。
以上のように構成された耐火構造物300において、耐火被覆柱部材301では、外気温が常温の通常時だけでなく火災時においても剛性及び耐力が維持できる。一方で、減耐火被覆柱部材302では、通常時において剛性及び耐力が維持できるが、火災時においては剛性及び耐力が維持できない。火災時において、減耐火被覆柱部材302の剛性及び耐力が無くなるとみなされる。
火災時における耐火構造物300は、図31及び図32に示すように変形する。なお、図31では合成スラブ304を示していない。図32では、変形後の減耐火被覆柱部材302及び合成スラブ304を二点鎖線で示している。
図31において、隣り合う耐火被覆柱部材301を結ぶ中心線M1上に配置された合成スラブ304を、以下では線上スラブ304aと言う。耐火被覆柱部材301、減耐火被覆柱部材302、梁部材303、及び合成スラブ304は、通常時だけでなく火災時においても重力の影響を受ける。
火災時において耐火被覆柱部材301の剛性及び耐力は維持できるため、図31及び図32に示すように火災時においても線上スラブ304aの上下方向E3の位置が保持される。これに対して、減耐火被覆柱部材302は火災時において剛性及び耐力が無くなるため、図32中に二点鎖線で示すように下方に向かって移動する(折れ曲がる)。
線上スラブ304a以外は上下方向E3の位置が保持されないため、合成スラブ304の各部分は、線上スラブ304aから離間するに従い、合成スラブ304に作用する重力により下方に向かって移動する。このため、火災時において、合成スラブ304は、線上スラブ304aを中心として上方に向かって凸となるように湾曲する。
湾曲した合成スラブ304では、コンクリートが圧縮力を受け、スラブ筋が引張り力を受けることで、合成スラブ304が曲げモーメントB1に耐える。合成スラブ304は、合成スラブ304に作用する重力に曲げモーメントB1により抵抗する。
以上のように、耐火構造物300では、減耐火被覆柱部材302は耐火被覆柱部材301よりも耐火被覆が削減されている。しかし、耐火構造物300では、耐火構造物300の骨組みのロバストネス(Robustness、冗長性、余裕度)が生じる。このロバストネスにより、減耐火被覆柱部材302の耐火被覆が削減されていても、火災時において耐火被覆柱部材301により合成スラブ304が支持される。
特許文献2に開示された防爆耐火性被膜厚さ算出方法では、コンクリート構造体と、コンクリート構造体の表面に設けられた防爆耐火性被覆層と、を備える試験体を作製する。そして、試験体を加熱して温度の経時変化を測定し、試験体の深さと温度との関係を導く。その関係に基づいて、コンクリート構造体の温度が耐熱許容温度以下であるか否かを判定する。さらに、その結果に基づいて防爆耐火性被覆層の厚さを算出する。
図33に示すように、特許文献3に開示されたスラブ構造311は、建物310に用いられている。スラブ構造311は、大梁312と、鉄骨小梁313と、スラブ314と、を備えている。大梁312は、耐火性能を有し、柱315間に架け渡されている。鉄骨小梁313の全体又は一部は、耐火被覆処理されない。鉄骨小梁313は、大梁312に接合されている。スラブ314は、鉄筋コンクリート製である。スラブ314は、大梁312と鉄骨小梁313とに支持される。
ここで、複数の柱315のうち、スラブ314の周囲に位置する柱315を外柱315Aと規定する。複数の柱315のうち外柱315A以外を、内柱315Bと規定する。平面視において、内柱315Bの中心(例えば重心)と外柱315Aの中心とを通り、スラブ314の周囲に達する第1基準線C1を規定する。内柱315Bの中心同士を通る第2基準線C2を規定する。
このとき平面視において、スラブ314は、第1基準線C1及び第2基準線C2の少なくとも一方により、床部314A,314B等に区画される。床部314A,314B等は、平面視において矩形状である。床部314A,314B等は、隅部が柱315により欠けた形状になることのない、設計上の区画(設計区画)である。
平面視において、床部314A,314B等が備える隅部は全て、複数の柱315に重なるように配置される。
以下、本明細書では、スラブから区画される床部の平面視における形状は、柱の中心を通る線、及びスラブの周囲によりスラブから区画された床部の形状のことを意味する。
特許文献4に開示された耐火構造は、複数の柱部材と、複数の大梁と、小梁と、床スラブと、を備えている。
各大梁は、柱部材に架設されている。複数の大梁は、小梁に対して略直交させて設けられる一対の直交大梁と、小梁に対して略平行に設けられる一対の平行大梁とを有している。直交大梁及び平行大梁の何れか一方の大梁(以下、第1大梁と言う)に、耐火被覆が施される。直交大梁及び平行大梁の何れか他方となる大梁並びに小梁の耐火被覆は、第1大梁に施された耐火被覆よりも削減される。小梁は、複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられる。床スラブは、大梁及び小梁の上方に設けられる。
日本国特開2017−031592号公報 日本国特開2008−303646号公報 日本国特開2017−190586号公報 日本国特開2018−003556号公報
Olivier Vassart, Bin Zhao "MEMBRANE ACTION OF COMPOSITE STRUCTURES IN CASE OF FIRE", 2013 No.132, ECCS, Technical Committee 3 Fire Safety.
特許文献1及び2に開示された耐火構造物の設計方法では、スラブから区画される床部の形状は、明記されていない。非特許文献1、特許文献3及び4に開示された耐火構造物の設計方法では、平面視における床部の形状はそれぞれ矩形状である。
耐火構造物の構成が多様化する中で、床部の形状が矩形状とは異なる多角形状であっても、床部が一定の耐火性能を維持できることが望まれている。なお、ここで言う床部の耐火性能とは、火災時に床部の撓みを抑えることや、床部の曲げ耐力よりも外力が大きくなることを抑えることを意味する。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、床部の形状を矩形状とは異なる多角形状にしつつ、一定の耐火性能を維持することができる耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の第一の態様は、耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、を備え、平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、前記複数の耐火被覆梁は、全体として環状に形成され、前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱の配置を決定する構造決定工程と、前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、を行う耐火構造物の設計方法である。
(2)前記(1)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記耐火仕様決定工程において、平面視で所定の形状に区画された第1床片を前記床部とし、前記床部の圧縮の主応力が、予め定められた応力閾値を超えるか否かを判定する判定工程を行い、前記判定工程において、前記圧縮の主応力の最大値が、前記床部の周囲の一部である周囲部分で生じて、前記圧縮の主応力の最大値が予め定められた応力閾値を超えると判定されたときには、前記床部が前記第1床片、及び、前記第1床片の前記周囲部分に連なる第2床片からなる形状に区画されると仮定し、前記床部が平面視で矩形状とは異なる多角形状であると仮定して、少なくとも前記耐火仕様決定工程を行い、さらに前記判定工程を行ってもよい。
(3)前記(1)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記耐火仕様決定工程において、前記床部は平面視で矩形状とは異なる多角形状であると仮定し、前記床部の圧縮の主応力が、予め定められた応力閾値を超えるか否かを判定する判定工程を行ってもよい。
(4)本発明の第二の態様は、耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、を備え、平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、前記複数の耐火被覆梁及び前記複数の耐火被覆柱の一部は、全体として環状に形成され、前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱の配置を決定する構造決定工程と、前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるとともに、前記複数の柱に耐火被覆を施した前記複数の耐火被覆柱の一部及び前記複数の耐火被覆梁が全体として環状に形成されるように設定する耐火仕様決定工程と、を行う耐火構造物の設計方法である。
(5)本発明の第三の態様は、前記(1)から(4)のいずれかに記載の耐火構造物の設計方法により設計された耐火構造物である。
(6)本発明の第四の態様は、耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、を備え、平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、前記複数の耐火被覆梁は、全体として環状に形成され、前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱を施工する柱梁施工工程と、前記複数の梁の少なくとも一部に耐火被覆を施して前記複数の耐火被覆梁とすることで、前記床部の周囲を、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持させる被覆施工工程と、を行う耐火構造物の施工方法である。
(7)本発明の第五の態様は、耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、を備え、平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、前記複数の耐火被覆梁及び前記複数の耐火被覆柱の一部は、全体として環状に形成され、前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱を施工する柱梁施工工程と、前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるとともに、前記複数の柱に耐火被覆を施した前記複数の耐火被覆柱の一部及び前記複数の耐火被覆梁を全体として環状に形成する被覆施工工程と、を行う耐火構造物の施工方法である。
(8)本発明の第六の態様は、耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、を備え、平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、前記複数の耐火被覆梁は、全体として環状に形成され、前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物である。
(9)前記(8)に記載の耐火構造物では、前記耐火被覆梁よりも前記耐火被覆が削減され、環状の前記複数の耐火被覆梁により囲まれた領域内に配置されて、端部が前記複数の耐火被覆梁に接合されて前記床部を下方から支持する減耐火被覆梁を備えてもよい。
(10)前記(8)又は(9)に記載の耐火構造物では、前記床部における周囲以外の部分には、前記耐火被覆梁は接合されなくてもよい。
(11)前記(8)から(10)のいずれかに記載の耐火構造物では、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記床部の撓みの最大値が、(1)式で定められた閾値K(m)未満であってもよい。
K=(L+l)/30 ・・(1)
ただし、Lは前記床部の前記平面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の前記平面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
(12)本発明の第七の態様は、耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、を備え、平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、前記複数の耐火被覆梁及び前記複数の耐火被覆柱の一部は、全体として環状に形成され、前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物である。
前記(1)に記載の構成によれば、構造決定工程及び耐火仕様決定工程を行うことで、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状に形成された複数の耐火被覆梁により下方から支持させるように設定される。この際に、第1中心線及び第2中心線の少なくとも一方により、床部は平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成されるように設定される。平面視において床部の隅部は全て複数の耐火被覆柱に重なるように設定されることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱により支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、いわゆるメンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、床部の形状が矩形状とは異なる形状であっても、耐火構造物を一定の耐火性能に維持するように設定することができる。
前記(6)に記載の構成によれば、柱梁施工工程及び被覆施工工程を行うことで、床部の周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状に形成された複数の耐火被覆梁により下方から支持させる。この際に、第1中心線及び第2中心線の少なくとも一方により、床部は平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成される。平面視において床部の隅部は全て複数の耐火被覆柱に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱により支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、床部の形状が矩形状とは異なる形状であっても、耐火構造物を一定の耐火性能に維持することができる。
前記(8)に記載の構成によれば、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状に形成された複数の耐火被覆梁により下方から支持される。第1中心線及び第2中心線の少なくとも一方により、床部は平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成される。平面視において床部の隅部は全て複数の耐火被覆柱に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱により支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、床部の形状が矩形状とは異なる形状であっても、耐火構造物を一定の耐火性能に維持することができる。
前記(4)に記載の構成によれば、構造決定工程及び耐火仕様決定工程を行うことで、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁及び複数の耐火被覆柱の一部により下方から支持させるように設定される。この際に、第1中心線及び第2中心線の少なくとも一方により、床部は平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成されるように設定される。平面視において床部の隅部は全て複数の耐火被覆柱に重なるように設定されることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱により支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、いわゆるメンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、床部の形状が矩形状とは異なる形状であっても、耐火構造物を一定の耐火性能に維持するように設定することができる。
前記(7)に記載の構成によれば、柱梁施工工程及び被覆施工工程を行うことで、床部の周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁及び複数の耐火被覆柱の一部により下方から支持させる。この際に、第1中心線及び第2中心線の少なくとも一方により、床部は平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成される。平面視において床部の隅部は全て複数の耐火被覆柱に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱により支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、床部の形状が矩形状とは異なる形状であっても、耐火構造物を一定の耐火性能に維持することができる。
前記(12)に記載の構成によれば、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁及び複数の耐火被覆柱の一部により下方から支持される。第1中心線及び第2中心線の少なくとも一方により、床部は平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成される。平面視において床部の隅部は全て複数の耐火被覆柱に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱により支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、床部の形状が矩形状とは異なる形状であっても、耐火構造物を一定の耐火性能に維持することができる。
前記(2)に記載の構成によれば、一般的に、床部が、第1床片に加えて、周囲部分に連なる第2床片を備えると、周囲部分で生じた圧縮の主応力の最大値が緩和されやすくなる。床部が第1床片及び第2床片を備えるとして判定工程を行うことで、判定工程において床部の撓みの最大値が応力閾値以下であると判定されやすくすることができる。
前記(3)に記載の構成によれば、例えば判定工程において、床部の圧縮の主応力が応力閾値を超えない場合がある。このような場合に、床部の圧縮の主応力が応力閾値を超えない耐火構造物の構成を、短時間で設定することができる。
前記(5)に記載の構成によれば、本発明の耐火構造物の設計方法により耐火構造物を設計することができる。本発明の耐火構造物の設計方法は、床部の形状を矩形状とは異なる多角形状にしつつ、一定の耐火性能を維持することができる方法である。
前記(9)に記載の構成によれば、火災が発生していない通常時において、床部が撓むのを抑えることができる。
前記(10)に記載の構成によれば、床部における周囲以外の部分に接合された耐火被覆梁により火災時に床部が拘束されるのが抑えられる。これにより、床部に生じる圧縮による面内応力を小さくすることができる。
前記(11)に記載の構成によれば、床部のメンブレン効果が効果的に発揮される。従って、床部が下方に向かって撓み難くすることができる。
本発明の耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物によれば、床部の形状を矩形状とは異なる多角形状にしつつ、一定の耐火性能を維持することができる。
本発明の第1実施形態の耐火構造物が用いられる建築物の一部を破断した平面図である。 図1中の切断線A1−A1の断面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第1変形例を示す平面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第2変形例を示す平面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第3変形例を示す平面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第4変形例を示す平面図である。 図1中の切断線A2−A2の断面図である。 本発明の第1実施形態の耐火構造物の設計方法を示すフローチャートである。 同耐火構造物の設計方法における構造決定工程を説明する斜視図である。 同耐火構造物の設計方法における耐火仕様決定工程を説明する斜視図である。 同耐火構造物の設計方法における構造決定工程を説明する斜視図である。 同耐火構造物の設計方法における耐火仕様決定工程を説明する斜視図である。 同耐火構造物に通常時に作用する外力を説明する、同耐火構造物の分解斜視図である。 同耐火構造物に火災時に作用する外力を説明する、同耐火構造物の分解斜視図である。 本発明の第1実施形態の耐火構造物の施工方法を示すフローチャートである。 実施例の耐火構造物の解析モデルを模式的に示す斜視図である。 実施例の耐火構造物における第2床部の解析モデルの縦断面図である。 比較例の耐火構造物の解析モデルを模式的に示す斜視図である。 比較例の耐火構造物の解析モデルを模式的に示す斜視図である。 実施例及び比較例の耐火構造物における、加熱時間に対する床部の撓みのシミュレーション結果を示す図である。 平面視で床部が矩形状以外の四角形状である場合の、閾値を説明する図である。 実施例の耐火構造物における第2床部の面内に生じる圧縮の主応力分布を示す図である。 実施例の耐火構造物における第2床部の面内に生じる引張の主応力分布を示す図である。 比較例の耐火構造物における第1床部の面内に生じる圧縮の主応力分布を示す図である。 比較例の耐火構造物における第1床部の面内に生じる引張の主応力分布を示す図である。 比較例の耐火構造物における第3床部の面内に生じる圧縮の主応力分布を示す図である。 比較例の耐火構造物における第3床部の面内に生じる引張の主応力分布を示す図である。 実施例及び比較例の耐火構造物における床部の対応する位置での、加熱時間に対する面内に生じる圧縮の主応力の変化を示す図である。 本発明の第2実施形態の耐火構造物が用いられる建築物の一部を透過させた斜視図である。 従来の耐火構造物の斜視図である。 火災時における同耐火構造物の要部を模式的に示す平面図である。 図31中の切断線A11−A11の断面図である。 従来の建物の斜視図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る耐火構造物の第1実施形態が用いられる建築物を、図1から図28を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、この建築物1は、複数の耐火被覆柱11と、複数の耐火被覆梁16と、複数の減耐火被覆梁26と、床(スラブ)31と、を備えている。なお、図1以下では、耐火被覆柱11及び耐火被覆梁16に、ハッチングを付して示している。
耐火被覆柱11には、耐火被覆が施された鋼柱(H形鋼、十字鉄骨、角形鋼管、円形鋼管等)が用いられている。なお、耐火被覆柱11に、RC(Reinforced Concrete)、SRC(Steel Reinforced Concrete construction)、CFT(Concrete Filled steel Tube)が用いられてもよい。この場合の耐火被覆については、耐火被覆梁16で併せて説明する。
図1に示すように、各耐火被覆柱11は、上下方向Zに沿って延びている。複数の耐火被覆柱11は、上下方向Zに直交し互いに直交(交差)する第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ互いに間隔を開けて並べて配置されている。
ここで、平面視において、複数の耐火被覆柱11のうち、床31の周囲に位置する耐火被覆柱11を耐火被覆された外柱11Aとも言う(規定する)。複数の耐火被覆柱11のうち、耐火被覆された外柱11A以外を耐火被覆された内柱11Bとも言う。耐火被覆された内柱11Bは、平面視において床31の中央部に位置する耐火被覆柱11である。
複数の耐火被覆された外柱11Aの一部(以下、耐火被覆された外柱11A1とも言う)は、第1交差方向Xに並べた位置から第2交差方向Yに位置をずらして配置されている。
図2に示すように、耐火被覆梁16は、耐火被覆17が施されたH形鋼18である。耐火被覆17には、ロックウール、グラスウール等の断熱材が用いられる。耐火被覆17は、H形鋼18の外面に、吹き付け・塗装工法・成型板工法・巻き付け工法等の各種工法により形成されている。
図1及び図2に示すように、耐火被覆梁16は、直線状に形成され、水平面に沿うように配置されている。耐火被覆梁16の両端部は、他の耐火被覆梁16及び耐火被覆柱11にそれぞれ接合されている。耐火被覆梁16は、複数の耐火被覆柱11を互いに接合している。
図1に示すように、複数の耐火被覆梁16のうちの一部である耐火被覆梁16Aは、第1交差方向Xに沿って延びている。複数の耐火被覆梁16のうちの他の一部である耐火被覆梁16Bは、第2交差方向Yに沿って延びている。複数の耐火被覆梁16のうちの残部である耐火被覆梁16Cは、端部が耐火被覆梁16A,16Bにそれぞれ接合され、第1交差方向X及び第2交差方向Yに対してそれぞれ傾斜している。
例えば、耐火被覆梁16C、耐火被覆梁16A、及び2本の耐火被覆梁16Bという複数の耐火被覆梁16により、耐火被覆梁集合体16Dが構成される。耐火被覆梁集合体16Dは、全体として、平面視で台形の枠である環状(ring、角環状)に形成されている。
複数の耐火被覆梁16は、複数の耐火被覆柱11により下方から支持されている。
なお、耐火被覆梁16に、RC、SRCが用いられてもよい。
減耐火被覆梁26は、耐火被覆梁16よりも耐火被覆が削減された梁である。減耐火被覆梁26は、耐火被覆が施されないH形鋼でもよい。減耐火被覆梁26は、耐火被覆梁16よりも耐火被覆が削減されてはいるが、幾分かの耐火被覆が施されたH形鋼でもよい。
例えば、耐火被覆梁16におけるロックウール等の耐火被覆の厚さを、「吹付けロックウール被覆耐火構造 施工品質管理指針(ロックウール工業会 吹付け部会)」に準拠して設定する。耐火被覆梁16に1時間耐火が要求される場合には、耐火被覆の厚さを25mmとする。同様に、耐火被覆梁16に2時間耐火が要求される場合には耐火被覆の厚さを45mm、3時間耐火が要求される場合には65mmとする。この場合に、減耐火被覆梁26における耐火被覆の厚さを、それぞれの耐火性能に応じた耐火被覆梁16における耐火被覆の厚さの1/10〜1/2程度とする。
減耐火被覆梁26は、耐火被覆梁集合体16Dにより囲まれた領域R1内等に配置されている。
減耐火被覆梁26の両端は、複数の耐火被覆梁16に接合されている。
図1及び図2に示すように、床31はいわゆる合成スラブであり、複数の耐火被覆梁16及び複数の減耐火被覆梁26により下方から支持されている。図2に示すように、床31は、デッキプレート(引張力伝達部材)32と、コンクリート33と、鉄筋(引張力伝達部材)34と、を備えている。なお、床31は、デッキプレート32及びコンクリート33を備えなくてもよい。床31は、鉄筋34及びコンクリート33を備えなくてもよい。床31が備える引張力伝達部材は、デッキプレート32、鉄筋34に限定されない。
例えば、デッキプレート32は、鋼板を曲げ加工して形成されている。デッキプレート32は、複数の耐火被覆梁16及び複数の減耐火被覆梁26上に配置されている。
コンクリート33は、上下方向Zが厚さ方向となる板状に形成されている。コンクリート33には、デッキプレート32の形状に対応して下方に向かって突出した凸部33aが形成されている。例えば、凸部33aは、下方に向かうに従い漸次、第1交差方向Xの幅が狭くなる。
鉄筋34は、コンクリート33内に埋設されている。鉄筋34は、複数の第1鉄筋35と、複数の第2鉄筋36と、を備えている。なお、図2中には、第1鉄筋35を1本のみ示している。
各第1鉄筋35は、第1交差方向Xに沿って延びている。各第1鉄筋35は、コンクリート33(床31)の第1交差方向Xの端部間の引張力を伝達する。すなわち、各第1鉄筋35は、コンクリート33の第1交差方向Xの第1端部と、コンクリート33の第1交差方向Xの第1端部とは反対の第2端部と、の間にわたって延びている。そして、各第1鉄筋35は、コンクリート33の第1端部と第2端部との間に作用する引張力を、コンクリート33の第1端部と第2端部との間にわたって伝達する。複数の第1鉄筋35は、第2交差方向Yに互いに間隔を開けて配置されている。
同様に、各第2鉄筋36は、第2交差方向Yに沿って延びている。各第2鉄筋36は、コンクリート33の第2交差方向Yの端部間の引張力を伝達する。複数の第2鉄筋36は、第1交差方向Xに互いに間隔を開けて配置されている。
なお、鉄筋35,36が延びる方向と、複数の耐火被覆柱11が互いに間隔を開けて並べて配置されている方向とが異なっていてもよい。
以下では、第1鉄筋35及び第2鉄筋36の構成の詳細について、第1鉄筋35を例にとって説明する。
第1鉄筋35は、コンクリート33の第1交差方向Xの端部間の引張力を伝達できるものであれば、特に限定されない。第1鉄筋35は、コンクリート33の第1交差方向Xの第1端部と第2端部との間にわたって1本の鉄筋で形成されてもよいが、以下のように構成されてもよい。第1鉄筋35には、丸鋼、異形棒鋼、溶接金鋼等が用いられる。
図3に示す第1変形例のように、第1鉄筋35Aが、鉄筋片37a,37bと、鉄筋片37a,37bの端部同士を連結する連結鉄筋37cと、を備えてもよい。鉄筋片37a,37b及び連結鉄筋37cは、第1鉄筋35と同様の材料で形成されている。
鉄筋片37aの端部と連結鉄筋37cの第1端部とは、溶接により形成された溶接部38により接合されている。鉄筋片37bの端部と連結鉄筋37cの第1端部とは反対の第2端部とは、溶接部38により接合されている。
図4に示す第2変形例のように、第1鉄筋35Bが、鉄筋片37aと、鉄筋片37bと、を備えてもよい。鉄筋片37aの端部と鉄筋片37bの端部とは、溶接部38により接合されている。
図5に示す第3変形例のように、第1鉄筋35Cが、鉄筋片37a,37bと、番線(針金)39と、を備えてもよい。鉄筋片37aと鉄筋片37bとは、予め定められた必要長さ重ねられた状態で、番線39により結び付けられている。鉄筋片37aと鉄筋片37とは、付着(bonding)により、互いに接合されている。
図6に示す第4変形例のように、第1鉄筋35Dが、鉄筋片37a,37bと、機械式継手40と、を備えてもよい。機械式継手40は、カップリング等である。機械式継手40は、鉄筋片37a,37bの端部をそれぞれ挟み付けることにより、鉄筋片37aと鉄筋片37bとを接合している。
第2鉄筋36は、第1鉄筋35と同様に構成されている。
図7に示すように、第1鉄筋35の第1交差方向Xの端部には、下方に向かって折曲げられた折曲げ部35aが形成されていてもよい。折曲げ部35aは、複数の第2鉄筋36のうち、第1交差方向Xの最も外側に配置された第2鉄筋36の外側から、下方に向かって延びている。
なお、鉄筋34が備える第1鉄筋35の数は特に限定されず、1つでもよい。鉄筋34が備える第2鉄筋36の数は特に限定されず、1つでもよい。
第1交差方向X及び第2交差方向Yは、床31の上面である平面31a内で互いに交差する方向である。
図7に示すように、床31は、複数の耐火被覆梁16及び複数の減耐火被覆梁26の上面に設けられたスタッド46等により、複数の耐火被覆梁16及び複数の減耐火被覆梁26に固定されている。
ここで図7を用いて、コンクリート33及び第1鉄筋35の第1交差方向Xの端部と、耐火被覆梁16と、の位置関係について説明する。耐火被覆梁16のH形鋼18は、上フランジ18a及び下フランジ18bが、ウェブ18cを介して互いに接合されて構成されている。
ここで、H形鋼18の上フランジ18aにおける、平面視において床31の中央部側の端縁を、端縁18a1と言う。上フランジ18aにおける端縁18Aa1とは反対側の端縁を、端縁18a2と言う。ウェブ18cの第1交差方向Xの中心を、板中心18c1と言う。
例えば、コンクリート33の第1交差方向Xの端は、端縁18a2に一致している。
第1交差方向Xにおいて、第1鉄筋35の第1交差方向Xの端は、平面視における床31の中央部側から端縁18a1に達している。第1鉄筋35のこの端部は、第1交差方向Xにおいて板中心18c1に達していることがより好ましい。
第2鉄筋36の第2交差方向Yの端部についても同様である。
床31の第1鉄筋35及び第2鉄筋36と耐火被覆梁16との位置関係は、床31から区画される後述する床部31A,31Bに含まれる第1鉄筋35及び第2鉄筋36と耐火被覆梁16との位置関係と同様である。
ここで、図1を用いて、第1中心線C6及び第2中心線C7を規定する。第1中心線C6は、平面視において耐火被覆された内柱11Bの中心と耐火被覆された外柱11Aの中心とを通り床31の周囲に達する線(線分)である。ここで言う柱の中心とは、例えば平面視における柱の重心等である。第1中心線C6の第1端は、耐火被覆された内柱11Bの中心に位置する。第1中心線C6における第1端とは反対の第2端は、床31の周囲に位置する。第1中心線C6は、耐火被覆された外柱11Aの中心を通る。
第2中心線C7は、平面視において耐火被覆された内柱11Bの中心同士を通る線(線分)である。第2中心線C7の第1端は、一対の耐火被覆された内柱11Bのうちの一方の中心に位置する。第2中心線C7における第1端とは反対の第2端は、一対の耐火被覆された内柱11Bのうちの他方の中心に位置する。
本実施形態では、床31は、第1中心線C6及び第2中心線C7の少なくとも一方、及び床31の周囲により複数の床部31A,31Bに区画されている。床部31A,31Bは、床31から区画された、床31の一部である。なお、床31は、第1中心線C6及び第2中心線C7の少なくとも一方により区画されている、としてもよい。
具体的には、床31は、2本の第1中心線C6及び1本の第2中心線C7により、第1床部31Aに区画されている。床31は、2本の第1中心線C6により第2床部(床部)31Bに区画されている。床部31A,31Bは、中心線C6,C7の少なくとも一方により区画された床31の一部分である。
ここで、第1床部31Aの周囲に配置される2本の耐火被覆梁16A、及び2本の耐火被覆梁16Bを、耐火被覆梁集合体16Eと呼ぶ。耐火被覆梁集合体16Eは、全体として、平面視で環状に形成されている。
第1床部31Aは、耐火被覆梁集合体16Eに対応して平面視において矩形状に区画されている。第1床部31Aの周囲は、全周にわたって耐火被覆梁集合体16Eにより下方から支持されている。平面視において、第1床部31Aの隅部は全て、複数の耐火被覆柱11に重なるように配置されている。ここで言う隅部が複数の耐火被覆柱11に重なるとは、隅部の少なくとも一部が、複数の耐火被覆柱のうちの少なくとも1つの占める領域内に配置されていることを意味する。
第1床部31Aの隅部は全て、複数の耐火被覆柱11のいずれかにより下方から支持されている。
第1床部31A、4本の耐火被覆柱11、耐火被覆梁集合体16E、及び複数の減耐火被覆梁26のうち第1床部31Aを支持する減耐火被覆梁26Aにより、第1耐火構造物51Aが構成される。
一方で、第2床部31Bは、耐火被覆梁集合体16Dに対応して、平面視において矩形状とは異なる多角形状に形成されている。より具体的には、多角形状は台形状である。第2床部31Bに含まれる鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力をそれぞれ伝達する。
第2床部31B、4本の耐火被覆柱11、耐火被覆梁集合体16D、及び複数の減耐火被覆梁26のうち第2床部31Bを支持する減耐火被覆梁26Bにより、第2耐火構造物(耐火構造物)51Bが構成される。なお、図2では、第1耐火構造物51Aと第2耐火構造物51Bとの境界を、実線で示している。
第2床部31Bの周囲は、全周にわたって耐火被覆梁集合体16Dにより下方から支持されている。平面視において、第2床部31Bが備える隅部は全て、複数の耐火被覆柱11に重なるように配置されている。すなわち、第2床部31Bの隅部は全て、複数の耐火被覆柱11のいずれかにより下方から支持されている。
この例では、第2耐火構造物51Bは3本の減耐火被覆梁26Bを備えている。
第2耐火構造物51Bを構成する4本の耐火被覆柱11の内側には、他の耐火被覆柱11は配置されていない。第2床部31Bにおける周囲以外の部分には、耐火被覆梁16は接合されない。第2床部31Bの周囲に全周にわたって結合された耐火被覆梁16A,16B,16Cの内部に配置された梁は、全て減耐火被覆梁26である。減耐火被覆梁26は、第2床部31Bを下方から支持している。
ここで、ISO 834−11:2014(以下、ISO 834と略して言う)に規定された加熱曲線を、以下では単に加熱曲線とも言う。第2耐火構造物51Bは、加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における第2床部31Bの撓みの最大値が、(6)式で定められた閾値K(m)未満であるように構成されていることが好ましい。
K=(L+l)/30 ・・(6)
ただし、Lは、第2床部31Bの第1交差方向X(第1スパン)の長さ(m)である。lは、第2床部31Bの第2交差方向Y(第2スパン)の長さ(m)である。L及びlは、第2床部31Bの平面31aに沿う方向の長さである。
この閾値Kは、前述の非特許文献1に記載された床の撓み制限値である。
なお、第1スパンは、第1交差方向Xの長さに限定されず、第2床部31Bの平面31a内での方向(平面31aに沿う方向)の長さであればよい。第2スパンは、第2交差方向Yの長さに限定されず、第2床部31Bの平面31a内での方向であって、第1スパンに直交(交差)する方向の長さであればよい。
第2床部が平面視で矩形状ではない場合には、Lは第2床部の平面に沿う第1スパンの長さであり、lは床部の平面に沿うとともに第1スパンに交差する第2スパンの長さである。このとき、(6)式により得られる閾値Kがより小さくなるように、第1、第2スパンの向きを設定することが好ましい。すなわち、第2床部31Bの撓みの最大値は、第1、第2スパンの向きがいずれの場合でも、(6)式により得られる閾値K未満であることが好ましい。閾値Kをこのように設定することにより、第2床部の損傷を安全側に評価することができる。
なお、閾値はこれに限定されない。
次に、以上のように構成された第2耐火構造物51Bを設計する耐火構造物の設計方法(以下、設計方法とも略して言う)について説明する。図8は、本実施形態の設計方法Sを示すフローチャートである。本実施形態の設計方法Sでは、前記建築物1のうち第2耐火構造物51Bを設計する設計方法について説明する。この設計方法Sは、例えば新規に施工する第2耐火構造物51B、及び既存の第2耐火構造物51Bに対して好ましく用いられる。
まず、図8に示すステップS1において、予め応力閾値を定める。例えば、応力閾値は第2耐火構造物51Bに用いられる材料の設計基準等に基づいて定められる。
ステップS1が終了すると、ステップS3に移行する。
次に、構造決定工程(ステップS3)において、公知の構造計算を行うことにより、図9に示すように、構造物52における、床31、複数の梁56、及び複数の柱57の配置を決定する。なお、図9等では床31を二点鎖線で示している。
梁56は、耐火被覆梁16及び減耐火被覆梁26から耐火被覆を取外した梁である。複数の梁56は、床31を下方から支持する。柱57は、耐火被覆柱11から耐火被覆を取外した柱である。複数の柱57は、複数の梁56を支持する。
この例では、構造物52は、第2耐火構造物51Bに対して柱57(耐火被覆柱11)を1本多く備えている(以下、柱57Aとも言う)。柱57Aは、構造物52が既に備える複数の柱57のうちの3本の柱57とともに、平面視で所定の矩形状の各隅部に重なるように配置されている。柱57Aは、複数の減耐火被覆梁26となる梁56の端の近傍に配置されている。
構造決定工程S3では、例えば、床31の自重及び床31に作用する荷重から、複数の梁56及び複数の柱57の仕様、及び配置を決定する。
構造決定工程S3が終了すると、ステップS5に移行する。
次に、耐火仕様決定工程(ステップS5)において、床31から第2床部31B1を区画した際に、以下のように設定されるようにする。図10に示すように、床31から区画された第2床部31B1の周囲を、梁56に耐火被覆を施した複数の耐火被覆梁16により下方から支持させるように設定する。床31の区画は、第1中心線C6を用いて行われる。複数の耐火被覆梁16は、全体として環状に形成されている。第2床部31B1が備える隅部は全て、複数の耐火被覆柱11に重なって配置されるように設定する。
この例では、まず、耐火仕様決定工程S5において、平面視で矩形状(所定の形状)に区画された第1床片31Cを第2床部31B1とする。この際に、火災時に第2床部31B1によるメンブレン効果が発揮されるように、複数の梁56の少なくとも一部に耐火被覆を施して第2耐火構造物51B1を設計する。ここで言うメンブレン効果とは、火災時において、荷重が作用する床部を、耐火被覆梁及び引張力伝達部材により、床部の中央部が下方に向かって凸となるように撓んだ形状に保持する効果のことを意味する。
この例では、第2床部31B1の周囲が、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁16により下方から支持されるように設定する。第2床部31B1が備える隅部は全て、複数の耐火被覆柱11に重なって配置されるように設定する。梁56の長手方向の一部に耐火被覆を施すことで、梁56から耐火被覆梁16B及び梁片56Aが形成される。
耐火仕様決定工程S5が終了すると、ステップS7に移行する。
次に、判定工程(ステップS7)において、第2床部31B1の圧縮の主応力が応力閾値を超えるか否かを判定する。第2床部31B1の圧縮の主応力が応力閾値を超えるか否かは、公知のシミュレーションを行うこと等により判定することができる。判定工程S7において、第2床部31B1の圧縮の主応力が応力閾値を超える(YES)と判定したときには、構造決定工程S3に移行する。一方で、第2床部31B1の圧縮の主応力が応力閾値を超えない(応力閾値以下である)(NO)と判定したときには、設計方法Sの全工程が終了する。このとき、第2耐火構造物51B1が前述の仕様に設計される。
この例では、第2床部31B1の周囲の一部である周囲部分31C1で、圧縮の主応力の最大値が生じたとする。そして、この圧縮の主応力の最大値が応力閾値を超えると判定されたとする。この場合、判定工程S7の後で、構造決定工程S3に移行する
判定工程S7から移行した構造決定工程S3では、図11に示すように、構造物52Aにおける、床31、複数の梁56、及び複数の柱57の配置を決定する。構造物52Aは、前記構造物52に対して柱57Aを備えていない。
次に、耐火仕様決定工程S5において、図12に示すように、第2床部31Bが第1床片31C及び第2床片31Dからなる形状に区画されると仮定する。第2床片31Dは、第1床片31Cの周囲部分31C1に連なる。平面視において、第2床片31Dは三角形状である。平面視において、第2床部31Bは、台形状である。
耐火仕様決定工程S5では、床31から区画された第2床部31Bの周囲を、梁56に耐火被覆を施した複数の耐火被覆梁16により下方から支持させるように設定する。複数の耐火被覆梁16は、全体として環状に形成されている。第2床部31Bが備える隅部は全て、複数の耐火被覆柱11に重なって配置されるように設定する。
次に、判定工程S7において、第2床部31Bの圧縮の主応力が応力閾値を超えるか否かを判定する。一般的に、床部が周囲部分に連なる第2床片を備えるとすると、周囲部分で生じた圧縮の主応力の最大値が緩和されやすくなる。この例では、判定工程S7において、第2床部31Bの圧縮の主応力が応力閾値を超えない(NO)と判定され、設計方法Sの全工程が終了する。第2耐火構造物51Bは、設計方法Sにより設計された耐火構造物である。
なお、本実施形態の設計方法Sでは、判定工程S7においてYESと判定したときに、耐火仕様決定工程S5に移行してもよい。
また、本実施形態の設計方法では、耐火仕様決定工程において、第2床部は平面視で矩形状とは異なる多角形状であると仮定してもよい。この場合であっても、判定工程において床部の圧縮の主応力が応力閾値を超えない(NO)と判定されれば、設計方法の全工程が終了する。
ここで、メンブレン効果により火災の前後で第2床部31B等が撓む様子を模式的に説明する。
図13に、火災が発生していない通常時における第2耐火構造物51Bの分解斜視図を示す。なお図13及び後述する図14では、第2耐火構造物51Bを簡略化して示している。具体的には、図13及び図14では、第2耐火構造物51Bの減耐火被覆梁26を1つだけ示している。
図13に示す通常時には、第2床部31B、減耐火被覆梁26等に作用する重力、静荷重等により、第2床部31B、減耐火被覆梁26等に下向きの外力F1が作用する。
一方で火災時において、図14に示すように、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、いわゆるメンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁16により支持される。第2床部31Bが撓むことにより伸びた第1鉄筋35が、第1交差方向Xの引張力F2を伝達する。第2床部31Bが撓むことにより伸びた第2鉄筋36が、第2交差方向Yの引張力F3を伝達する。すなわち、第2床部31Bは、第2床部31Bに作用する重力等に引張力F2,F3により抵抗する。
従って、第2床部31Bの中央部が、複数の耐火被覆梁16及び鉄筋35,36により第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ支持される。
この際、第2床部31Bには、引張領域R5及び圧縮領域R6がそれぞれ形成される。なお、図14中に圧縮領域R6をハッチングを付して示している。引張領域R5では、第2床部31Bが撓んだ平面31aに沿って引張られる。圧縮領域R6では、第2床部31Bが撓んだ平面31aに沿って圧縮される。
引張領域R5は、第2床部31Bの平面視における中央部に形成される。圧縮領域R6は、引張領域R5の周辺に形成される。
火災時に第2耐火構造物51Bに生じるメンブレン効果は、鉄筋34により引張力F2,F3に抵抗する効果である。一方で、特許文献1において火災時に耐火構造物に生じるロバストネスは、コンクリート及びスラブ筋により曲げモーメントB1に抵抗する効果である。
このように、本実施形態の第2耐火構造物51Bと特許文献1の耐火構造物とでは、火災時に生じる効果が異なる。
次に、第2耐火構造物51Bを施工する耐火構造物の施工方法(製造方法。以下、施工方法とも略して言う)について説明する。図15は、本実施形態の施工方法S20を示すフローチャートである。前記設計方法Sの各工程は設定するだけで実際には施工しないのに対し、施工方法S20の各工程では実際に施工する点が異なる。この施工方法S20は、例えば新規に施工する第2耐火構造物51Bに対して好ましく用いられる。
この施工方法S20では、柱梁施工工程S21と、被覆施工工程S23と、を行う。
柱梁施工工程S21では、床31、複数の梁56、及び複数の柱57を施工する。
被覆施工工程S23では、複数の梁56の少なくとも一部に耐火被覆を施して複数の耐火被覆梁16とすることで、第2床部31Bの周囲を、複数の耐火被覆梁16により下方から支持させる。
以上で、施工方法S20の全工程が終了し、第2耐火構造物51Bが施工される。
非特許文献1に開示された耐火構造物の設計方法では、平面視において床部は矩形状であるとして設計している。このため、非特許文献1を見た当業者は、矩形状であるに対して、メンブレン効果を発揮させようとする。
これに対して、本実施形態の設計方法Sによれば、構造決定工程S3及び耐火仕様決定工程S5を行うことで、第2床部31Bの周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状に形成された複数の耐火被覆梁16により下方から支持させるように設定される。この際に、2本の第1中心線C6により、第2床部31Bは平面視において台形状に形成されるように設定される。平面視において第2床部31Bの隅部は全て複数の耐火被覆柱11に重なるように設定されることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱11により支持される。第2床部31Bに含まれている鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。
火災時には、第2床部31Bに作用する重力等により、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が耐火被覆梁16により支持される。そして、第2床部31Bが撓むことにより伸びた鉄筋34が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第2床部31Bの中央部が支持される。従って、第2床部31Bの形状が台形状であっても、第2耐火構造物51Bを一定の耐火性能に維持するように設定することができる。
また、本実施形態の施工方法S20によれば、柱梁施工工程S21及び被覆施工工程S23を行うことで、第2床部31Bの周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状に形成された複数の耐火被覆梁16により下方から支持させる。この際に、2本の第1中心線C6により、第2床部31Bは平面視において台形状に形成される。平面視において第2床部31Bの隅部は全て複数の耐火被覆柱11に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱11により支持される。第2床部31Bに含まれている鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。
火災時には、第2床部31Bに作用する重力等により、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が耐火被覆梁16により支持される。そして、第2床部31Bが撓むことにより伸びた鉄筋34が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第2床部31Bの中央部が支持される。従って、第2床部31Bの形状が台形状であっても、第2耐火構造物51Bを一定の耐火性能に維持することができる。
また、本実施形態の第2耐火構造物51Bによれば、第2床部31Bの周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状に形成された複数の耐火被覆梁16により下方から支持される。2本の第1中心線C6により、第2床部31Bは平面視において台形状に形成される。平面視において第2床部31Bの隅部は全て複数の耐火被覆柱11に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱11により支持される。第2床部31Bに含まれている鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。
火災時には、第2床部31Bに作用する重力等により、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が耐火被覆梁16により支持される。そして、第2床部31Bが撓むことにより伸びた鉄筋34が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第2床部31Bの中央部が支持される。従って、第2床部31Bの形状が台形状であっても、第2耐火構造物51Bを一定の耐火性能に維持することができる。
第2耐火構造物51Bは、減耐火被覆梁26を備えている。このため、火災が発生していない通常時において、第2床部31Bが撓むのを抑えることができる。
第2床部31Bにおける周囲以外の部分には、耐火被覆梁16は接合されない。従って、第2床部31Bにおける周囲以外の部分に接合された耐火被覆梁16により火災時に第2床部31Bが拘束されるのが抑えられる。これにより、第2床部31Bに生じる圧縮による面内応力を小さくすることができる。
第2床部31Bの撓みの最大値が、閾値Kを超えない。これにより、第2床部31Bのメンブレン効果が効果的に発揮される。従って、第2床部31Bが下方に向かって撓み難くすることができる。
第1床片31Cを第2床部31B1として判定工程S7を行う。判定工程S7において、圧縮の主応力の最大値が周囲部分31C1で生じて、圧縮の主応力の最大値が応力閾値を超えると判定されたときには、第2床部31Bが第1床片31C及び第2床片31Dからなる形状に区画されると仮定する。そして、構造決定工程S3から判定工程S7を行う。
一般的に、床部が、第1床片に加えて、周囲部分に連なる第2床片を備えると、周囲部分で生じた圧縮の主応力の最大値が緩和されやすくなる。第2床部31Bが第1床片31C及び第2床片31Dを備えるとして判定工程S7を行うことで、判定工程S7において第2床部31Bの撓みの最大値が応力閾値以下であると判定されやすくすることができる。
耐火仕様決定工程において第2床部は平面視で台形状であると仮定し、判定工程を行う。例えば判定工程において、第2床部の圧縮の主応力が応力閾値を超えない場合がある。このような場合に、第2床部の圧縮の主応力が応力閾値を超えない耐火構造物の構成を、短時間で設定することができる。
第2耐火構造物51Bは、設計方法Sにより設計された耐火構造物である。これにより、本実施形態の設計方法Sにより第2耐火構造物51Bを設計することができる。設計方法Sは、第2床部の形状を矩形状とは異なる多角形状にしつつ、一定の耐火性能を維持することができる方法である。
(シミュレーション結果)
ここで、実施例及び比較例の耐火構造物の耐火性能をシミュレーションにより評価した結果について説明する。
図16に、実施例の耐火構造物51Bにおける解析モデルの斜視図を模式的に示す。なお、図16では第2床部31Bを示していない。耐火構造物51Bは、前述の第2耐火構造物51Bに相当する。
耐火被覆梁16A,16B,16Cは、一般構造用圧延鋼材であるSS400材で形成され、断面形状が350×175×7×11mmのH形鋼であるとした。
3本の減耐火被覆梁26Bのうち最も耐火被覆梁16C側に配置された減耐火被覆梁26B1は、SS400材で形成され、断面形状が350×175×7×11mmのH形鋼であるとした。3本の減耐火被覆梁26Bのうち減耐火被覆梁26B1以外の減耐火被覆梁26B2は、SS400材で形成され、断面形状が300×150×6.5×9mmのH形鋼であるとした。
一対の耐火被覆梁16Bにおける第1交差方向Xのピッチを、9mとした。3本の減耐火被覆梁26Bにおける第2交差方向Yのピッチを、3mとした。耐火被覆梁16Aと、この耐火被覆梁16Aに対して第2交差方向Yに隣り合う減耐火被覆梁26B2と、の第2交差方向Yのピッチを、3mとした。一対の耐火被覆梁16Bのうち長さが長い方の耐火被覆梁16Bと耐火被覆梁16Cとの接合部と、減耐火被覆梁26B1と、の第2交差方向Yのピッチを、3mとした。
耐火被覆梁16Aと耐火被覆梁16Bとの接合部は、第1交差方向X、第2交差方向Y、及び上下方向Zの位置は保持されるとした。この接合部は、第1交差方向X、第2交差方向Y、及び上下方向Zに平行な軸線周りにはそれぞれ回転可能であるとした。耐火被覆梁16Cと耐火被覆梁16Bとの接合部についても、同様の拘束条件であるとした。
図17に、実施例の耐火構造物51Bにおける第2床部31Bの解析モデルの縦断面図を示す。
コンクリート33において、凸部33aの下端の第1交差方向Xの長さを、125mmとした。凸部33aの下端は、凸部33aの上端に比べて、第1交差方向Xにそれぞれ25mmずつ凸部33aの中心に近づく位置に配置されているとした。コンクリート33は、凸部33aよりも第1交差方向Xの両側に、それぞれ62.5mmずつ延びているとした。
凸部33aの上下方向Zの長さを、50mmとした。鉄筋34の上端からコンクリート33の上面までの距離(鉄筋34に対するコンクリート33のかぶり厚さ)を、30mmとした。第2床部31Bの厚さを、130mmとした。
なお、第2床部31Bは、デッキプレート32を備えていない。すなわち、第2床部31Bの解析モデルでは、デッキプレート32を設定していない。
このように構成されたコンクリート33が、第1交差方向Xに300mmのピッチで複数並べられているとした。コンクリート33は、凸部33aが第2交差方向Yに沿って延びるように配置されているとした。
コンクリート33は、普通コンクリート(NC)であり、含水率が10%であるとした。コンクリート33の設計基準強度Fcは、24N/mm(ニュートン・パー・平方ミリメートル)であるとした。
鉄筋34は、JIS G 3112:2010、鉄筋コンクリート用棒鋼の規定における異形棒鋼(SD295A)で、外径が6mmであるとした。鉄筋34において、複数の第2鉄筋36は、第1交差方向Xに150mmピッチで配置されているとした。複数の第1鉄筋35は、第2交差方向Yに150mmピッチで配置されているとした。
これに対して、図18に、比較例の耐火構造物51Aにおける解析モデルの斜視図を模式的に示す。なお、図18では第1床部は示していない。耐火構造物51Aは、前述の第1耐火構造物51Aにおいて、2本の減耐火被覆梁26Aを備えた構成に相当する。
耐火構造物51Aの耐火被覆梁16A,16Bは、耐火構造物41Bの耐火被覆梁16A,16B,16Cと同一の構成であるとした。すなわち、耐火被覆梁16A,16Bは、SS400材で形成され、断面形状が350×175×7×11mmのH形鋼であるとした。耐火構造物51Aの減耐火被覆梁26Aは、耐火構造物51Bの減耐火被覆梁26B2と同一の構成であるとした。
一対の耐火被覆梁16Bにおける第1交差方向Xのピッチを、9mとした。2本の減耐火被覆梁26Aにおける第2交差方向Yのピッチを、3mとした。耐火被覆梁16Aと、この耐火被覆梁16Aに対して第2交差方向Yに隣り合う減耐火被覆梁26Aと、の第2交差方向Yのピッチを、3mとした。
耐火被覆梁16Aと耐火被覆梁16Bとの接合部は、第1交差方向X、第2交差方向Y、及び上下方向Zの位置は保持されるとした。この接合部は、第1交差方向X、第2交差方向Y、及び上下方向Zに平行な軸線周りにはそれぞれ回転可能であるとした。
第1床部の縦断面の形状は、第2床部31Bの縦断面の形状と同一であるとした。
図19に、比較例の耐火構造物51Cにおける解析モデルの斜視図を模式的に示す。なお、図19では、耐火被覆梁16A,16B,16C等により支持された第3床部は示していない。
耐火構造物51Cは、実施例の耐火構造物51Bにおいて、減耐火被覆梁26B1に耐火被覆を施して耐火被覆梁16Gとしたものである。
第3床部は、実施例の耐火構造物51Bの第2床部31Bと同一の構成である。
第3床部のうち、耐火被覆梁16A,16B,16Gにより全周にわたって周囲が支持された床部は、平面視で矩形状である。
実施例の耐火構造物51B及び比較例の耐火構造物51A,51Cを、ISO 834に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときの、加熱時間に対する床部の撓み、床部の面内応力等をシミュレーションにより求めた。
シミュレーションでは、上記の拘束条件で支持された耐火構造物が加熱されることにより、耐火構造物の温度が上昇する。温度に応じて、耐火構造物が伸びて耐火構造物内で応力が作用し、耐火構造物の剛性及び耐力が変化する。火災時には、耐火被覆柱11、耐火被覆梁16、及び鉄筋34は所定の剛性及び耐力を生じるが、減耐火被覆梁26の剛性及び耐力は無くなると考える。
床部の撓みのシミュレーション結果を、図20に示す。図20において、横軸は加熱時間(分、加熱を開始してからの経過時間)を表す。縦軸は、耐火構造物51B,51A,51Cの床部の略中央における撓み(mm)を表す。
図16に、第2床部31Bの略中央の位置P1を示す。同様に、図18に第1床部の略中央の位置P2を示し、図19に第3床部の略中央の位置P3を示す。
図20において、実線及び○印による線L1は、実施例の耐火構造物51Bにおける第2床部31Bの位置P1での撓みを表す。点線及び△印による線L2は、比較例の耐火構造物51Aにおける第1床部の位置P2での撓みを表す。一点鎖線及び□印による線L3は、比較例の耐火構造物51Cにおける第3床部の位置P3での撓みを表す。
なお、例えば、第2床部31Bの位置P1での撓みが充分に大きくなって第2床部31Bが崩壊したときには、第2床部31Bの位置P1での撓みは、図20中に二点鎖線による線L4で示す程度に、加熱時間に対して撓みが急激に大きくなることが分かっている。
このシミュレーション結果によれば、加熱時間が大きくなるのに従い漸次、第2床部31B、第1床部、及び第3床部の略中央における撓みがそれぞれ大きくなることが分かった。0分から30分までの所定の加熱時間に対して、第1床部の位置P2での撓みよりも、第3床部の位置P3での撓みが大きくなることが分かった。第3床部の位置P3での撓みよりも、第2床部31Bの位置P1での撓みが大きくなることが分かった。
ここで、非特許文献1に記載された床の撓み制限値について説明する。床の撓み制限値である閾値K(m)は、前記(6)式のように規定される。
なお、図21に示すように、平面視で床部66が矩形状以外の四角形状である場合には、発明者らは、閾値Kは例えば以下のように求められると考える。
すなわち、床部66には、対向する辺が2対(一対の辺66a,66b、及び一対の辺66c,66d)ある。辺66aの中点と辺66bの中点とを結ぶ線の長さを、第1スパンの長さLとする。辺66cの中点と辺66dの中点とを結ぶ線の長さを、第2スパンの長さlとする。これらの長さL,lを用いて、(6)式から閾値Kを求める。
なお、床部66が矩形状以外の四角形状である場合のこの閾値Kの求め方を、床部が矩形状である場合に用いて閾値Kの値を求める。この場合の閾値Kの値は、非特許文献1で(6)式により示される床部が矩形状である場合の閾値Kの値に一致する。すなわち、発明者らが提案する閾値Kの求め方は、非特許文献1で(6)式により示される閾値Kの求め方を、床部が矩形状以外の四角形状である場合にも拡張させている。
発明者らは、非特許文献1の(6)式を拡張させた閾値Kの値の求め方として、前記閾値Kの値の求め方を提案する。
図16に示すように実施例の耐火構造物51Bの長さが規定されていて、第2床部31Bは平面視で矩形状以外の四角形状である。第2床部31Bに対する長さL,lは、(8)式及び(9)式より、10.5m、9.12mとなる。
(12+9)/2=10.5 ・・(8)
√(9+1.5)=9.12 ・・(9)
このため、耐火構造物51Bの閾値Kは、(10)式より、0.654m、すなわち654mmになる。
K=(10.5+9.12)/30=0.654 ・・(10)
654mmに対応する線を、図20中に実線による線L6として示す。すなわち、実施例の耐火構造物51Bを表す線L1の値が、少なくとも線L6の値になるまでは、第2床部31Bは崩壊することなく保持されると判断される。
図19に示すように比較例の耐火構造物51Cの長さが規定されているため、第3床部のうち、耐火被覆梁16A,16B,16Gにより全周にわたって周囲が支持された床部は、平面視で1辺が9mの正方形状である。図18に示すように比較例の耐火構造物51Aの長さが規定されているため、第1床部は、平面視で1辺が9mの正方形状である。このため、耐火構造物51A,51Cの閾値Kは、(12)式より、0.60m、すなわち600mmになる。
K=(9+9)/30=0.60 ・・(12)
600mmに対応する線を、図20中に点線による線L7として示す。すなわち、比較例の耐火構造物51Aを表す線L2の値、及び比較例の耐火構造物51Cを表す線L3の値が、少なくとも線L7の値になるまでは、第1床部及び第3床部は崩壊することなく保持されると判断される。
これらのシミュレーション結果によれば、加熱時間が30分程度の場合には、実施例の耐火構造物51Bの第2床部31Bの撓みの最大値は、いわゆるメンブレン効果により654mmである閾値K未満であることが分かった。比較例の耐火構造物51Aの第1床部及び耐火構造物51Cの第3床部の撓みの最大値は、600mmである閾値K未満であることが分かった。
また、654mmである閾値Kに対する耐火構造物51Bの撓みの最大値の比率、及び、600mmである閾値Kに対する耐火構造物51A,51Cの撓みの最大値の比率、は互いに同程度であることが分かった。実施例の耐火構造物51Bの耐火性能は、比較例の耐火構造物51B,51Cの耐火性能と同等に維持されていることが分かった。
なお、加熱時間には、30分以外にも、日本国の建築基準法に規定される耐火性能に基づいて、1時間、2時間等の所望の時間が用いられる。
図22から図27に、加熱時間が30分の時点における実施例の耐火構造物51Bの第2床部31B、及び比較例の耐火構造物51A,51Cの第1床部、第3床部の面内応力(上下方向Zを法線とする平面内に生じる応力)のシミュレーション結果を示す。
図22,24,及び26は、床部の面内に生じる圧縮の主応力分布を示し、図23,25,及び27は、床部の面内に生じる引張の主応力分布を示す。
図22から図27のいずれにおいても、主応力の方向を線の長さ方向として表している。各圧縮の主応力及び引張の主応力において、主応力が大きくなるのに従い、線の長さを長く示している。
床部の圧縮の主応力が所定の値を超えると、床部が崩壊する可能性があると考えられる。
実施例の耐火構造物51Bは、比較例の耐火構造物51Cに対して耐火被覆梁16Gを備えていなく、第2床部31Bにおける周囲以外の部分には、耐火被覆梁16は接合されない。このため、火災時に、減耐火被覆梁26B1の位置(周囲部分)で梁による拘束が生じないことが分かった。そして、減耐火被覆梁26B1が配置された位置での、圧縮による圧縮応力及び引張応力がそれぞれ小さくなる(緩和される)ことが分かった。
なお、実施例の耐火構造物51Bの第2床部31Bの圧縮応力及び引張応力は、比較例の耐火構造物51Aの第1床部の圧縮応力及び引張応力に比べて、同等か、大きくなる。
実施例の耐火構造物51Bの第2床部31B、及び比較例の耐火構造物51Cの第3床部の対応する位置での、加熱時間に対する面内に生じる圧縮の主応力の変化を図28に示す。実施例の耐火構造物51Bの第2床部31Bにおける対応する位置を、図22中に位置P5で示す。比較例の耐火構造物51Cの第3床部における対応する位置を、図26中に位置P6で示す。
図28において、横軸は加熱時間を表し、縦軸は面内に生じる圧縮の主応力(kN/m:キロニュートン・パー・メートル)を表す。
実線及び○印による線L11は、実施例の耐火構造物51Bにおける面内に生じる圧縮の主応力を表す。実線及び□印による線L13は、比較例の耐火構造物51Cにおける面内に生じる圧縮の主応力を表す。
いずれの場合も、加熱時間の経過とともに面内に生じる圧縮の主応力は大きくなる。ただし、加熱時間によらず、実施例の耐火構造物51Bの第2床部31Bの位置P5における面内に生じる圧縮の主応力は、比較例の耐火構造物51Cの第3床部の位置P6における面内に生じる圧縮の主応力よりも小さくなることが分かった。
なお、一般的に耐火構造物の外形が小さくなるのに従い、非特許文献1に記載された床部の撓み制限値、及びシミュレーションにより求められる床部の撓みの最大値は、それぞれ小さくなる。しかし、値が小さくなる程度が、床部の撓み制限値よりも床部の撓みの最大値が大きい。このため、耐火構造物の外形が小さくなるのに従い、床部の撓みの最大値が床部の撓み制限値を超え難くなり、床部が崩壊すると判断され難くなる。
実施例の耐火構造物51B、及び比較例の耐火構造物51A等を組み合わせることにより、様々な形状の建築物に対応することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図29、及び前記図8及び図15を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図29に示すように、本実施形態の第2耐火構造物71Bは、第1実施形態の第2耐火構造物51Bの4本の耐火被覆柱11に代えて、4本の耐火被覆柱72を備えている。なお、図29では、建築物のうち第2耐火構造物71B以外の部分を示していない。
各耐火被覆柱72は、耐火被覆柱11とは上下方向Zの長さのみが異なる。各耐火被覆柱72は、耐火被覆柱11よりも長い。各耐火被覆柱72は、第2床部31Bを超えて上方まで延びている。
本実施形態では、耐火被覆梁16の各端部は、耐火被覆柱72に接合されている。ここで、耐火被覆柱72において、耐火被覆梁16に接合される部分(耐火被覆柱の一部)を、柱片72aと言う。
複数の耐火被覆梁16及び複数の柱片72aは、全体として環状に形成されている。第2床部31Bの周囲は、複数の耐火被覆梁16により下方から支持されている。
この例では、4本の耐火被覆梁16及び4つの柱片72a全体として環状に形成されている。しかし、全体として環状に形成されている耐火被覆梁16の数、及び柱片72aの数は、特に限定されない。
次に、以上のように構成された第2耐火構造物71Bを設計する設計方法について説明する。図8は、本実施形態の設計方法S30を示すフローチャートである。この設計方法S30が、第1実施形態の設計方法Sと異なる点は、耐火仕様決定工程S5に代えて、耐火仕様決定工程S31を行うことである。
耐火仕様決定工程S31では、床31から区画された第2床部31Bの周囲を複数の耐火被覆梁16により下方から支持させるように設定する。さらに、複数の耐火被覆梁16及び複数の柱片72aが全体として環状に形成されるように設定する。
次に、第2耐火構造物71Bを施工する施工方法について説明する。図15は、本実施形態の施工方法S40を示すフローチャートである。この施工方法S40が、第1実施形態の施工方法S20と異なる点は、被覆施工工程S23に代えて、被覆施工工程S41を行うことである。
被覆施工工程S41では、床31から区画された第2床部31Bの周囲を複数の耐火被覆梁16により下方から支持させる。さらに、複数の耐火被覆梁16及び複数の柱片72aを全体として環状に形成する。
以上説明したように、本実施形態の設計方法S30によれば、構造決定工程S3及び耐火仕様決定工程S31を行うことで、第2床部31Bの周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁16及び複数の柱片72aにより下方から支持させるように設定される。この際に、2本の第1中心線C6により、第2床部31Bは平面視において台形状に形成されるように設定される。平面視において第2床部31Bの隅部は全て複数の耐火被覆柱11に重なるように設定されることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱11により支持される。第2床部31Bに含まれている鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。
火災時には、第2床部31Bに作用する重力等により、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が耐火被覆梁16により支持される。そして、第2床部31Bが撓むことにより伸びた鉄筋34が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第2床部31Bの中央部が支持される。従って、第2床部31Bの形状が台形状であっても、第2耐火構造物71Bを一定の耐火性能に維持するように設定することができる。
また、本実施形態の施工方法S40によれば、柱梁施工工程S21及び被覆施工工程S41を行うことで、第2床部31Bの周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁16及び複数の柱片72aにより下方から支持させる。この際に、2本の第1中心線C6により、第2床部31Bは平面視において台形状に形成される。平面視において第2床部31Bの隅部は全て複数の耐火被覆柱11に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱11により支持される。第2床部31Bに含まれている鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。
火災時には、第2床部31Bに作用する重力等により、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が耐火被覆梁16により支持される。そして、第2床部31Bが撓むことにより伸びた鉄筋34が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第2床部31Bの中央部が支持される。従って、第2床部31Bの形状が台形状であっても、第2耐火構造物71Bを一定の耐火性能に維持することができる。
また、本実施形態の第2耐火構造物71Bによれば、第2床部31Bの周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された複数の耐火被覆梁16及び複数の柱片72aにより下方から支持される。2本の第1中心線C6により、第2床部31Bは平面視において台形状に形成される。平面視において第2床部31Bの隅部は全て複数の耐火被覆柱11に重なることで、全ての隅部は複数の耐火被覆柱11により支持される。第2床部31Bに含まれている鉄筋34は、第2床部31Bの第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第2床部31Bの第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。
火災時には、第2床部31Bに作用する重力等により、第2床部31Bの平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第2床部31Bの周囲が耐火被覆梁16により支持される。そして、第2床部31Bが撓むことにより伸びた鉄筋34が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第2床部31Bの中央部が支持される。従って、第2床部31Bの形状が台形状であっても、第2耐火構造物71Bを一定の耐火性能に維持することができる。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態の第2耐火構造物31B,71Bでは、減耐火被覆梁26を備えなくてもよい。耐火被覆梁16は、第2床部31Bにおける周囲以外の部分に接合されてもよい。
平面視において、第2床部は、3角形状、5つ以上の隅部(角)を有する多角形状でもよい。
設計方法S,S30では、判定工程S7を行わなくてもよい。
本開示の耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物は、床部の形状を矩形状とは異なる多角形状にしつつ、一定の耐火性能を維持することができる耐火構造物、及びその設計方法、施工方法として好適に用いることができる。
11,72 耐火被覆柱
11A 耐火被覆された外柱
11B 耐火被覆された内柱
16 耐火被覆梁
26 減耐火被覆梁
31 床(スラブ)
31a 平面
31B 第2床部(床部)
31C 第1床片
31C1 周囲部分
31D 第2床片
32 デッキプレート(引張力伝達部材)
34 鉄筋(引張力伝達部材)
51B,51C,71B 第2耐火構造物(耐火構造物)
72a 柱片(耐火被覆柱の一部)
C6 第1中心線
C7 第2中心線
S,S30 設計方法(耐火構造物の設計方法)
S3 構造決定工程
S5,S31 耐火仕様決定工程
S7 判定工程
S20,S40 施工方法(耐火構造物の施工方法)
S21 柱梁施工工程
S23,S41 被覆施工工程
X 第1交差方向
Y 第2交差方向

Claims (12)

  1. 耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、
    を備え、
    平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、
    平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、
    平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、
    平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、
    前記複数の耐火被覆梁は、全体として環状に形成され、
    前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、
    構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱の配置を決定する構造決定工程と、
    前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、
    を行う耐火構造物の設計方法。
  2. 前記耐火仕様決定工程において、平面視で所定の形状に区画された第1床片を前記床部とし、
    前記床部の圧縮の主応力が、予め定められた応力閾値を超えるか否かを判定する判定工程を行い、
    前記判定工程において、前記圧縮の主応力の最大値が、前記床部の周囲の一部である周囲部分で生じて、前記圧縮の主応力の最大値が予め定められた応力閾値を超えると判定されたときには、
    前記床部が前記第1床片、及び、前記第1床片の前記周囲部分に連なる第2床片からなる形状に区画されると仮定し、前記床部が平面視で矩形状とは異なる多角形状であると仮定して、少なくとも前記耐火仕様決定工程を行い、さらに前記判定工程を行う請求項1に記載の耐火構造物の設計方法。
  3. 前記耐火仕様決定工程において、前記床部は平面視で矩形状とは異なる多角形状であると仮定し、
    前記床部の圧縮の主応力が、予め定められた応力閾値を超えるか否かを判定する判定工程を行う請求項1に記載の耐火構造物の設計方法。
  4. 耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、
    を備え、
    平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、
    平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、
    平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、
    平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、
    前記複数の耐火被覆梁及び前記複数の耐火被覆柱の一部は、全体として環状に形成され、
    前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、
    構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱の配置を決定する構造決定工程と、
    前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるとともに、前記複数の柱に耐火被覆を施した前記複数の耐火被覆柱の一部及び前記複数の耐火被覆梁が全体として環状に形成されるように設定する耐火仕様決定工程と、
    を行う耐火構造物の設計方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の耐火構造物の設計方法により設計された耐火構造物。
  6. 耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、
    を備え、
    平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、
    平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、
    平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、
    平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、
    前記複数の耐火被覆梁は、全体として環状に形成され、
    前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、
    前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱を施工する柱梁施工工程と、
    前記複数の梁の少なくとも一部に耐火被覆を施して前記複数の耐火被覆梁とすることで、前記床部の周囲を、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持させる被覆施工工程と、
    を行う耐火構造物の施工方法。
  7. 耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、
    を備え、
    平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、
    平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、
    平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、
    平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、
    前記複数の耐火被覆梁及び前記複数の耐火被覆柱の一部は、全体として環状に形成され、
    前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、
    前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱を施工する柱梁施工工程と、
    前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるとともに、前記複数の柱に耐火被覆を施した前記複数の耐火被覆柱の一部及び前記複数の耐火被覆梁を全体として環状に形成する被覆施工工程と、
    を行う耐火構造物の施工方法。
  8. 耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、
    を備え、
    平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、
    平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、
    平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、
    平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、
    前記複数の耐火被覆梁は、全体として環状に形成され、
    前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、
    前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物。
  9. 前記耐火被覆梁よりも前記耐火被覆が削減され、環状の前記複数の耐火被覆梁により囲まれた領域内に配置されて、端部が前記複数の耐火被覆梁に接合されて前記床部を下方から支持する減耐火被覆梁を備える請求項8に記載の耐火構造物。
  10. 前記床部における周囲以外の部分には、前記耐火被覆梁は接合されない請求項8又は9に記載の耐火構造物。
  11. ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記床部の撓みの最大値が、(1)式で定められた閾値K(m)未満である請求項8から10のいずれか一項に記載の耐火構造物。
    K=(L+l)/30 ・・(1)
    ただし、Lは前記床部の前記平面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の前記平面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
  12. 耐火被覆が施された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記複数の耐火被覆柱を互いに接合する複数の耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブから区画された床部と、
    を備え、
    平面視において、前記複数の耐火被覆柱のうち前記スラブの周囲に位置する前記耐火被覆柱を耐火被覆された外柱と規定し、前記複数の耐火被覆柱のうち前記耐火被覆された外柱以外を耐火被覆された内柱と規定したときに、
    平面視において、前記床部は、前記耐火被覆された内柱の中心と前記耐火被覆された外柱の中心とを通り前記スラブの周囲に達する第1中心線、及び前記耐火被覆された内柱の中心同士を通る第2中心線の少なくとも一方により区画された前記スラブの一部分であり、
    平面視において、前記床部は矩形状とは異なる多角形状に形成され、
    平面視において、前記床部が備える隅部は全て、前記複数の耐火被覆柱に重なるように配置され、
    前記複数の耐火被覆梁及び前記複数の耐火被覆柱の一部は、全体として環状に形成され、
    前記床部の周囲は、前記複数の耐火被覆梁により下方から支持され、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向と規定したときに、
    前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物。
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