JPWO2020105585A1 - ワイピングシート及びその製造方法 - Google Patents

ワイピングシート及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020105585A1
JPWO2020105585A1 JP2020558376A JP2020558376A JPWO2020105585A1 JP WO2020105585 A1 JPWO2020105585 A1 JP WO2020105585A1 JP 2020558376 A JP2020558376 A JP 2020558376A JP 2020558376 A JP2020558376 A JP 2020558376A JP WO2020105585 A1 JPWO2020105585 A1 JP WO2020105585A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wiping sheet
less
fiber
sheet according
cleaning liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020558376A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020105585A5 (ja
Inventor
佐藤 博信
行人 成田
翔太郎 百合野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Publication of JPWO2020105585A1 publication Critical patent/JPWO2020105585A1/ja
Publication of JPWO2020105585A5 publication Critical patent/JPWO2020105585A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A47FURNITURE; DOMESTIC ARTICLES OR APPLIANCES; COFFEE MILLS; SPICE MILLS; SUCTION CLEANERS IN GENERAL
    • A47LDOMESTIC WASHING OR CLEANING; SUCTION CLEANERS IN GENERAL
    • A47L13/00Implements for cleaning floors, carpets, furniture, walls, or wall coverings
    • A47L13/10Scrubbing; Scouring; Cleaning; Polishing
    • A47L13/16Cloths; Pads; Sponges
    • A47L13/17Cloths; Pads; Sponges containing cleaning agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q1/00Make-up preparations; Body powders; Preparations for removing make-up
    • A61Q1/14Preparations for removing make-up
    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06MTREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
    • D06M13/00Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with non-macromolecular organic compounds; Such treatment combined with mechanical treatment
    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06MTREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
    • D06M13/00Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with non-macromolecular organic compounds; Such treatment combined with mechanical treatment
    • D06M13/322Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with non-macromolecular organic compounds; Such treatment combined with mechanical treatment with compounds containing nitrogen
    • D06M13/388Amine oxides
    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06MTREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
    • D06M15/00Treating fibres, threads, yarns, fabrics, or fibrous goods made from such materials, with macromolecular compounds; Such treatment combined with mechanical treatment
    • D06M15/19Treating fibres, threads, yarns, fabrics, or fibrous goods made from such materials, with macromolecular compounds; Such treatment combined with mechanical treatment with synthetic macromolecular compounds
    • D06M15/37Macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • D06M15/53Polyethers

Abstract

本発明のワイピングシート(1)は、合成繊維(2)を含む繊維集合体(1A)に洗浄液(5)が含浸されてなる。乾燥状態における繊維集合体(1A)の坪量が50g/m以上100g/m以下である。洗浄液(5)は、二種類のノニオン系界面活性剤を含み、一方のノニオン系界面活性剤のHLB値が12以上15未満であり、他方のノニオン系界面活性剤のHLB値が15以上18以下である。ワイピングシート(1)は、洗浄液(5)が205g/m以上380g/m以下含浸されている。

Description

本発明は、ワイピングシート及びその製造方法に関する。
合成繊維を交絡させた不織布は、該不織布に洗浄液を含浸させたウエットシートの態様で、室内や車などの硬質表面の清掃に用いられている。例えば特許文献1には、低流動性の水性液が保持されており、清掃面となる表面層が通液性である清掃用ウエットシートが開示されている。また特許文献2には、シート材に界面活性剤を含ませてなる清掃用シートが開示されている。同文献には、界面活性剤の含有質量が、シート材質量に対して0.01倍〜50倍であり、油汚れの洗浄効果を有することも開示されている。
特開2002−45323号公報 特開2006−305178号公報
本発明は、合成繊維を含む繊維集合体に洗浄液が含浸されてなるワイピングシートに関する。前記ワイピングシートは、乾燥状態における前記繊維集合体の坪量が50g/m以上100g/m以下である。前記洗浄液は、HLB値が異なる少なくとも二種類のノニオン系界面活性剤を含み、一方の前記界面活性剤のHLB値が12以上15未満であり、他方の前記界面活性剤のHLB値が15以上18以下である。前記ワイピングシートは、前記洗浄液が205g/m以上380g/m以下含浸されている。
また本発明は、前記ワイピングシートの製造方法であって、
合成繊維を含む繊維集合体を形成し、然る後に、噴霧によって洗浄液を該繊維集合体に含浸させる、ワイピングシートの製造方法を提供するものである。
図1(a)及び(b)は、本発明のワイピングシートに用いられる異形繊維の横断面形状の平面図である。 図2は、本発明のワイピングシートの一実施形態を示す模式図である。 図3は、本発明のワイピングシートの製造に好適に用いられる製造装置の模式図である。 図4は、図3に示す製造装置における凹凸部形成部材の模式図である。 図5は、ワイピングシートの製造時における異形繊維の横断面の配向を示す模式図である。
発明の詳細な説明
特許文献1及び2に記載の清掃用シートを、床や調理設備等の硬質表面に付着している固化変性した油脂汚れの清掃に用いた場合、その油脂汚れの除去効率は十分なものとはいえず、この点に関して改善の余地があった。
したがって、本発明は、従来技術の欠点を解決するワイピングシートに関する。
以下、本発明のワイピングシートをその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明において、「ワイピング」とは、清掃及び清拭の両方の意味を含むものであり、例えば、床面、壁面、天井及び柱等の建物の清掃、建具や備品の清掃、物品の拭き取り、身体及び身体に係る器具の清拭等が含まれる。
本発明のワイピングシートは、合成繊維を含み、好ましくは合成繊維を主体とする繊維集合体を備えており、該繊維集合体に洗浄液が含浸されてなる湿式の態様のシートとなっている。「主体とする」とは、乾燥状態における繊維集合体中の合成繊維の含有量が50質量%以上であることを指し、その含有量は、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
合成繊維は、その繊維どうしが堆積、交絡又は結合等することによって繊維集合体を形成している。繊維集合体を構成する繊維は、その繊維どうしが融着していてもよく、融着していなくてもよい。ワイピングシートは、繊維集合体のみから構成されていてもよく、あるいは繊維集合体に加えて、他のシート材料や他の部材を備えていてもよい。
ワイピングシートを構成する繊維集合体の坪量は、繊維集合体の乾燥状態において、50g/m以上が好ましく、55g/m以上がより好ましく、60g/m以上が更に好ましく、またその上限は、100g/m以下が好ましく、90g/m以下がより好ましく、80g/m以下が更に好ましい。具体的には、ワイピングシートを構成する繊維集合体の坪量は、50g/m以上100g/m以下が好ましく、55g/m以上90g/m以下がより好ましく、60g/m以上80g/m以下が更に好ましい。乾燥状態とは、繊維集合体に含まれる水分量が3質量%以下であることをいう。乾燥状態における繊維集合体の坪量がこのような範囲になっていることによって、ワイピングシートの使用時の強度と、洗浄液の高い保持性とを両立することができる。
合成繊維は、製造効率の観点から、繊維形成性の樹脂を原料として構成されていることが好ましい。そのような樹脂としては、例えば各種の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン等のフッ素樹脂などが挙げられ、これらのうち一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
合成繊維の繊度は、ワイピング時における操作性及び汚れの除去効率の観点から、0.5dtex以上であることが好ましく、1dtex以上であることがより好ましく、1.2dtex以上であることが更に好ましく、またその上限は、4dtex以下であることが好ましく、3.5dtex以下であることがより好ましく、3dtex以下であることが更に好ましい。
本発明のワイピングシートは、水を主体とする洗浄液が含浸されている。洗浄液に含まれる水の含有量は、洗浄液の全質量に対して、80.0質量%以上であることが好ましく、90.0質量%以上であることが更に好ましく、また99.8質量%以下であることが好ましく、99.0質量%以下であることが更に好ましい。
洗浄液は、HLB値が所定の範囲であり、且つHLB値が互いに異なるノニオン系界面活性剤を少なくとも二種類含む。HLB値とは、親水性と親油性とのバランス(Hydrophile Lipophile Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田及び寺村らによる以下の式(1)によって算出された値を用いる。
HLB値=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10・・・(1)
洗浄液に含まれる二種類のノニオン系界面活性剤は、一方のノニオン系界面活性剤(以下、これを「第1のノニオン系界面活性剤」ともいう。)のHLB値が、好ましくは12以上、より好ましくは12.5以上、更に好ましくは13以上であり、また、好ましくは15未満、より好ましくは14.5以下、更に好ましくは14以下である。このような範囲のHLB値を有するノニオン系界面活性剤と、後述する他方のノニオン系界面活性剤とを組み合わせて用いることによって、乳化した油脂汚れの洗浄液への分散性を高めることができ、その結果、硬質表面に固化付着した油脂汚れを効果的に除去することができる。
また、他方のノニオン系界面活性剤(以下、これを「第2のノニオン系界面活性剤」ともいう。)のHLB値は、好ましくは15以上、より好ましくは15.5以上、更に好ましくは16以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは17.5以下、更に好ましくは17以下である。このように、上述した第1のノニオン活性剤に加えて、HLB値が比較的高いノニオン系界面活性剤を更に含むことによって、固化した油脂汚れの乳化を促進させることができ、その結果、硬質表面に固化付着した油脂汚れを効果的に除去することができる。
第1のノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値:12.1〜14.9)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(HLB値:12.9〜14.3)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB値:12.8〜13.9)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB値:12.1〜13.6)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
また、第2のノニオン系界面活性剤としては、例えばモノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB値:15.6)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(HLB値:15.0〜16.7)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明の効果が奏される限りにおいて、洗浄液は、界面活性剤として、第1及び第2のノニオン系界面活性剤に加えて、HLB値が12未満のノニオン系界面活性剤、HLB値が18超のノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤を含んでいてもよい。本発明の効果をより顕著なものとする観点からは、洗浄液は、界面活性剤として、上述のHLB値を有する二種類のノニオン系界面活性剤のみを含むか、又はこれらの界面活性剤に加えて、両性界面活性剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる両性界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキサイド、アルキルベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
固化付着した油脂汚れを乳化して除去するために十分な液量を供給する観点から、繊維集合体に含浸させる洗浄液の含浸量は、205g/m以上が好ましく、260g/m以上が更に好ましく、また、380g/m以下が好ましく、325g/m以下が更に好ましい。言い換えると、ワイピングシートの寸法を例えば後述の実施例に記載のとおり、285mm×205mmとしたときに、12g/枚以上が好ましく、15g/枚以上が更に好ましく、また、22g/枚以下が好ましく、19g/枚以下が更に好ましい。
以上の構成を有する本発明のワイピングシートは、HLB値の範囲が互いに異なる二種類のノニオン系界面活性剤を含む洗浄液が含浸されているので、硬質表面に付着している固化変性した油脂汚れの乳化を促進させることができ、これとともに乳化した油脂汚れの洗浄液への分散性を高めることができる。その結果、本発明のワイピングシートを用いて、清掃対象面をワイピングすることによって、固化変性した油脂汚れを効果的に除去することができる。
固化変性した油脂汚れの除去効率を一層高めるとともに、ワイピング後の清掃対象面のべたつきやぬめり等を抑制して、使用感を向上させる観点から、洗浄液は、第1及び第2のノニオン系界面活性剤をそれぞれ独立に0.1質量%以上含むことが好ましく、0.2質量%以上含むことが更に好ましく、また、それぞれ独立に0.5質量%以下含むことが好ましく、0.4質量%以下含むことが更に好ましい。また、洗浄液における第1及び第2のノニオン系界面活性剤の合計量が、0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることが更に好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることが更に好ましい。
ワイピングシートに含浸される洗浄液は、ロスマイルス法によって測定される泡の高さ(泡高)が、所定の高さを有するものとなっていることが好ましい。詳細には、ロスマイルス法によって測定される測定直後の泡高が130mm以上であることが好ましく、140mm以上であることが更に好ましく、また、180mm以下であることが好ましく、170mm以下であることがより好ましく、160mm以下であることが更に好ましい。
また、ロスマイルス法によって測定される測定5分後の泡高が、110mm以上であることが好ましく、120mm以上であることが更に好ましく、また、170mm以下であることが好ましく、160mm以下であることがより好ましく、150mm以下であることが更に好ましい。このような泡高を有する洗浄液を用いることによって、固化変性した油脂汚れを一層効果的に除去することができる。ロスマイルス法によって測定される泡高を上述した範囲とするためには、例えば洗浄液中のノニオン系界面活性剤の含有量を調整したり、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アルコール等の溶剤、及びシリコーン等を添加したりすることができる。
ロスマイルス法による泡高の測定は、測定対象の液を用いて、例えばJIS K 3362又はASTM D 1173に規定される方法で行うことができる。測定対象液としては、例えば繊維集合体に含浸する前の洗浄液をそのまま用いたり、ワイピングシートを用いて清掃対象面をワイピングしたときに該面に残存する残存液を用いたり、ワイピングシート等の洗浄液が含浸されている繊維集合体を人手、抽出部材又は機械等の設備で絞ったり、押圧したり、遠心分離するなどの方法で得られた抽出液を用いたりすることができる。測定直後の泡高は洗浄液の泡立ちやすさを示す起泡力の評価であり、測定5分後の泡高は泡立ち後の泡の消えにくさを示す泡安定度の評価である。これらの泡高が上述した範囲であることによって、固化変性した油脂汚れを一層効果的に除去することができる。ロスマイルス法による泡高は、少なくとも、繊維集合体に含浸する前の洗浄液を測定対象液として用いた測定値が上述の範囲を満たすことが好ましい。
固化変性した油脂汚れの除去効率を一層高める観点から、ワイピングシートから放出された洗浄液は、その25℃におけるpHが7.8以上であることが好ましく、8.0以上であることが更に好ましく、また、9.0以下であることが好ましく、8.5以下であることが更に好ましい。洗浄液のpHを上述した範囲とするためには、例えばpH調整剤を本発明の効果を奏する程度に添加することによって調整できる。
同様の観点から、ワイピングシートから放出された洗浄液は、その25℃における粘度が2mPa・s以上であることが好ましく、3mPa・s以上であることが更に好ましく、また、10mPa・s以下であることが好ましく、8mPa・s以下であることが更に好ましい。洗浄液の粘度は、25℃の測定対象液100mLをビーカーに入れ、低粘度用スピンドル(スピンドルNo.M1)を取り付けた東機産業株式会社製のVISCOMETER TVB-10にて、該スピンドルを液体試料に浸漬させた状態で、60rpm、1分間の条件で測定した値とすることができる。洗浄液の粘度を上述した範囲とするためには、例えば粘度調整剤を本発明の効果を奏する程度に添加することによって調整できる。
また同様の観点から、ワイピングシートから放出された洗浄液は、その表面張力が、25mN/m以上であることが好ましく、27mN/m以上であることが更に好ましく、また、35mN/m以下であることが好ましく、33mN/m以下であることが更に好ましい。洗浄液の表面張力は、25℃の測定対象液を10mL程度入れた小型シャーレを、協和界面科学株式会社製の自動表面張力計CBVD-Zの測定ステージ上に静置し、該装置の上部バネ測り部に白金プレートを吊り下げた状態で白金プレートを下降させ、液体試料に接触したときの白金プレートが液体試料に引き込まれる力とバネ荷重とが平衡状態になったときの値とすることができる。洗浄液の表面張力を上述した範囲とするためには、例えば洗浄液中の界面活性剤の総含有量を調整したり、アルコール等の溶剤や、シリコーン等を添加したりすることができる。
ワイピングシートから放出された洗浄液のpH、粘度及び表面張力は、例えばワイピングシートを用いて清掃対象面をワイピングしたときに該面に残存する残存液を測定対象液としたり、ワイピングシート等の洗浄液が含浸されている繊維集合体を、人手、抽出部材又は機械等の設備で絞ったり、押圧したり、遠心分離するなどの方法で得られた抽出液を測定対象液として用いたりして、測定することができる。
ワイピング時及びワイピング後において、油脂汚れに起因する不快な臭いを低減させる観点から、洗浄液は、香料を含むことが好ましい。本発明に用いられる香料は、洗浄液に溶解するものであることが好ましく、例えば、メントール、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロール、1,8‐シネオール、テルピネオール、メントール、リナロオール等の香料成分や、バラ香調、ラベンダー香調、ジャスミン香調、イランイラン香調を有する香料を含有した香料組成物を用いることもできる。これらの香料成分及び香料組成物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの香料は、溶剤によって希釈等されて含有濃度が予め調整された溶液を用いてもよい。香料は、洗浄液中に0.01質量%以上含むことが好ましく、0.02質量%以上含むことが更に好ましく、1.0質量%以下含むことが好ましく、0.95質量%以下含むことが更に好ましい。
洗浄液は、本発明の効果が奏される限りにおいて、上述した成分に加えて、添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、上述した界面活性剤以外の界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、芳香剤、消臭剤、pH調整剤、キレート剤、粘度調整剤、アルコール等の溶剤などが挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤は、ワイピングシートに要求される性質に応じて、洗浄液中にそれぞれ好ましくは0.001質量%以上20質量%以下含まれる。
繊維集合体の説明に戻ると、繊維集合体を構成する合成繊維として、繊維の横断面の形状が扁平形である合成繊維(以下、この合成繊維を「異形繊維」ともいう。)を含むことが好ましい。繊維の横断面が扁平形であるとは、繊維の横断面(繊維の長さ方向と直交する断面)において、横断面を横切る線分のうち、最長の線分の長さをAとし、該線分と直交し且つ該横断面と横切る線分のうち最長の線分の長さをBとしたときに、長さAが長さBよりも長いものである。つまり、異形繊維は、その横断面に長径と短径とを有するものである。異形繊維は、長さAの線分を対称線として線対称であることが好ましい。
このような繊維の横断面の形状を有する異形繊維としては、例えば図1(a)に示す楕円形や、図1(b)に示す多葉形などの横断面形状を有するものが挙げられる。図1(a)に示す繊維の横断面形状が楕円である異形繊維では、長さAは楕円の長径であり、長さBは楕円の短径となる(以下、本明細書では、異形繊維の横断面形状によらず、長さAを「長径」ともいい、長さBを「短径」ともいう。)。合成繊維が上述した形状を有する異形繊維であることによって、油脂汚れに加えて、毛髪等の繊維汚れの捕集性を高めることができる。また、繊維集合体における繊維間に空隙を生じさせやすくすることができ、微粒子汚れの効果的な捕集と、洗浄液の保持性とを兼ね備えたものとなる。
毛髪等の繊維汚れの効果的な捕集に加えて、微粒子汚れの一層効果的な捕集を実現する観点から、ワイピングシートに含まれる合成繊維が異形繊維である場合、繊維の横断面形状において、尖鋭な頂部を有する凸部を好ましくは少なくとも1つ、更に好ましくは2つ以上、一層好ましくは3つ以上有する。尖鋭な頂部とは、異形繊維の横断面形状における凸部の輪郭が、例えば(イ)非平行な2本の直線が交わることで画成される場合、(ロ)1本の直線と1本の曲線とが交わることで画成される場合、及び(ハ)2本の曲線が交わることで画成される場合などが挙げられる。例えば図1(b)に示す異形繊維は尖鋭な頂部を8つ有する。尖鋭な頂部は、長径と交差する方向に延びていることが好ましく、長径と直交する方向に延びていることが好ましい。本発明においては、1種の異形繊維を単独で用いてもよく、あるいは横断面形状が異なる2種以上の異形繊維を組み合わせて用いてもよい。尖鋭な頂部を有するその他の異形繊維としては、後述する長径及び短径の比を有することを条件として、その横断面形状が、例えば三角形や、四角形、五角形及び六角形などの凸多角形や、星形多角形、W状形等であってもよい。
特に、構成繊維の比表面積を大きくして、洗浄液の保持性と微粒子の捕集性を一層高める観点から、図1(b)に示すように、異形繊維の横断面における輪郭線を周方向に沿って見たときに、複数の凸部Pと、隣り合う凸部P間に位置する凹部Rとを有する形状であることが好ましい。
合成繊維を含む繊維集合体からなる本発明のワイピングシートは、例えば図2に示すように、長手方向Xと該方向に直交する幅方向Yを有する略矩形状のシートとすることができる。また同図に示すように、ワイピングシート1は、その少なくとも一方の面に曲線部を有する巨視的パターンの凹凸部を有していることが好ましく、ワイピング面(清掃対象面と接触する面)として用いられる面側に曲線部を有する巨視的パターンの凹凸部を有していることが更に好ましい。このような構成となっていることによって、固化変性した油脂汚れを一層効果的に除去できるとともに、微粒子汚れ及び毛髪等の繊維汚れを一層効果的に捕集することができる。
同図に示すように、ワイピングシート1の一方の面には凹凸部を構成する凹部3と凸部4とが形成されている。凹部3と凸部4との境界線は、巨視的に見て曲線状の部分を有している。巨視的パターンの凹凸部を一方の面に形成したときの他方の面は、巨視的パターンの凹凸部に由来する凹凸は形成されず、平坦になっている。
巨視的パターンの凹凸部は、同図に示す巨視的パターンに限られず、例えば特開2017−113282号公報に示す巨視的パターンや、直線、曲線、円及び多角形等の図形が適宜組み合わされた巨視的パターンであってもよい。なお、巨視的に見て曲線状とは、マイクロスケールの微細な孔を構成する曲線や、直径1.5〜2mm程度の水抜き用穴を構成する曲線を除いて、凹凸部を構成する図形の辺の一部が曲線であることが目視で確認できることを意味するものであり、このような観点から、凹部3で囲まれた個々の凸部4の面積が300mm以上となるように、凹部3及び凸部4を形成することが好ましい。このような巨視的パターンの凹凸部を有していることによって、ワイピングシート自体の意匠性を高めるという利点も奏される。
ワイピングシートに含まれる合成繊維が異形繊維である場合、巨視的パターンの凹凸部を構成する凹部3及び凸部4において、その繊維配向が異なっている。具体的には、凹部3に存在する異形繊維は、その扁平面がワイピングシートの面(図2中紙面方向)に向くように配向しており、凸部4に存在する異形繊維は、その扁平面がワイピングシートの面と直交する面(図2中紙面と直交する面)を向くように配向している。
言い換えると、凹部3に存在する異形繊維は、その横断面における長径がワイピングシートの面に沿う方向を概ね向いており、また、凸部4に存在する異形繊維は、その横断面における短径がワイピングシートの面に沿う方向を概ね向いている。このように、異形繊維の扁平面の配向が異なる領域をワイピングシートのワイピング面に複数存在させることによって、固化変性した油脂汚れを一層効果的に除去できるとともに、繊維の高い自由度に起因した微粒子汚れの捕集性と、繊維の剛性に起因した毛髪等の繊維汚れの捕集性とを兼ね備えたものとなる。
ワイピングシートに含まれる合成繊維が異形繊維である場合、「繊維の横断面の長径がワイピングシートの面に沿う方向を概ね向いている」とは、10本以上の異形繊維を観察対象としたときに、該繊維の50%(本数基準)以上が、繊維の長径とワイピングシートの面とのなす角度が45度未満であることをいう(以下、これを「長径配向」ともいう。)。また、「繊維の横断面の長径がワイピングシートの面に直交する面に沿う方向を概ね向いている」とは、10本以上の異形繊維を観察対象としたときに、異形繊維の50%(本数基準)以上が、異形繊維の長径とワイピングシートの面とのなす角度が45度以上であることをいう(以下、これを「短径配向」ともいう。)。
ワイピングシートに含まれる合成繊維が異形繊維である場合、微粒子汚れの捕集性を高める観点から、巨視的パターンにおける凹部に存在する異形繊維において、その横断面の長径がワイピングシートの面に沿う方向に向けて配向している割合は、異形繊維の本数基準として、50%以上が好ましく、60%以上が更に好ましく、また100%以下が好ましく、80%以下が更に好ましい。
同様に、毛髪等の繊維汚れの捕集性を高める観点から、巨視的パターンにおける凸部に存在する異形繊維において、その横断面の長径がワイピングシートの面と直交する面に沿う方向に向けて配向している割合は、異形繊維の本数基準として、50%以上が好ましく、60%以上が更に好ましく、また100%以下が好ましく、80%以下が更に好ましい。配向割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察によって、上述の配向の基準を満たす異形繊維の本数から算出することができる。
異形繊維の横断面における配向(繊維配向)は、繊維集合体を構成する異形繊維について、その横断面の長径及び短径を測定した上で、ワイピングシートにおける測定対象面に観察される異形繊維の繊維径を測定して算出することができる。これらの長径、短径及び繊維径は、例えば以下の方法で測定することができる。
すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、異形繊維の長径と短径とを予め測定しておき、次いで測定対象面に観察される異形繊維の繊維径を観察する。異形繊維の長径とワイピングシートの面とのなす角度が45度となるときに観察される繊維幅を繊維配向の基準幅としたときに、測定対象面に観察される異形繊維の繊維径が、基準幅以上長径以下である繊維を「長径配向」と判定し、短径以上基準幅未満である繊維を「短径配向」と判定する。これらの配向となっている繊維本数をそれぞれ測定し、その本数基準の割合を配向割合として算出する。繊維配向の基準幅は、例えばSEM観察によって測定してもよく、長径と三角関数との関係から算出してもよい。
ワイピングシートの使用時における十分な強度を付与する観点から、本発明のワイピングシートは、繊維集合体を支持するためのスクリムネットを更に備えていることが好ましい。スクリムネットは、繊維集合体の厚み方向の中央域に配されていることも好ましい。スクリムネットは、繊維集合体を構成する合成繊維と一体的に絡合可能なものであり、網状、格子状及びストランド状等の形態が挙げられる。
スクリムネットを構成する原料としては、樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン系樹脂等を用いることができる。
構成繊維及びスクリムネットの絡合性と、ワイピングシートの強度とを両立させる観点から、スクリムネットの線径(横断面における直径)は、繊維の絡合度合に応じて適宜調整できるが、10μm以上であることが好ましく、500μm以上であることが更に好ましく、2000μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることが更に好ましい。スクリムネットの線径は、部分的に異なっていても良く、同一でもよく、線径が部分的に異なっている場合、スクリムの線径はその平均値とする。また、スクリムネットの坪量は、1g/m以上が好ましく、3g/m以上が更に好ましく、20g/m以下が好ましく、10g/m以下が更に好ましい。
本発明のワイピングシートは、合成繊維のみから構成されていてもよく、これらの繊維に加えて、他の繊維を更に含んでいてもよい。他の繊維としては、例えば木材パルプ、コットン、シルク等の天然繊維や、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、リヨセル等の精製繊維といった親水性繊維や、上述の熱可塑性樹脂を原料とした繊維を用いることができる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。他の繊維は、その横断面が円形であってもよく、非円形であってもよい。他の繊維は、繊維集合体中に好ましくは50質量%以下の割合で含有され、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下の割合で含有される。
異形繊維の横断面を横切る線分のうち、最長の線分の長さをAとし、該線分と直交し且つ該横断面と横切る線分のうち最長の線分の長さをBとしたときに(図1(b)参照)、長さBに対する長さAの比(A/B)は、1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上であることが更に好ましく、またその上限は5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましい。具体的には、A/Bの値が1.2以上5以下であることが好ましく、1.5以上4以下であることがより好ましく、2以上3以下であることが更に好ましい。このような構成を有していることによって、ワイピングシートを構成する繊維が毛髪等の繊維汚れに絡みやすく、且つこれらの汚れを該繊維に引っかけてワイピング対象面から除去することができる。
上述の長さA及び長さBについて例を挙げると、繊維の横断面形状が正三角形である異形繊維では、長さAは正三角形の一辺の長さであり、長さBはある頂点から一辺に下ろした垂線の長さとなる。また、繊維の横断面形状が楕円である異形繊維(図1(a)参照)では、長さAは楕円の長径であり、長さBは楕円の短径である。
ワイピングシートに、横断面形状が異なる2種以上の異形繊維が含まれている場合、前記の長さA及びBは、すべての種類の異形繊維について測定したAの平均値及びBの平均値のことである。
ワイピング時における操作性と汚れの捕集性とを兼ね備える観点から、長さAは、上述のA/Bの範囲を満たすことを条件として、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、またその上限は80μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることが好ましい。同様の観点から、長さBは、上述のA/Bの範囲を満たすことを条件として、0.2μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることが更に好ましく、またその上限は40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが好ましい。
図1(b)に示すように、異形繊維の横断面における輪郭線を周方向に沿って見たときに、複数の凸部Pと、隣り合う凸部P間に位置する凹部Rとを有する形状である場合、隣り合う凸部Pの頂点間を結ぶ線分の長さをCとし、その線分から凹部Rの最底位置に下した垂線の長さをDとしたときに、C/Dの値が0.1以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2以上であることが更に好ましく、またその上限は5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましい。このような構成を有していることによって、繊維単体での表面積が増加し汚れとの接触面積が増えるため、汚れの捕集性を一層高めることができる。
異形繊維の横断面を観察したとき、任意に選択した隣り合う凸部Pの頂点間を結ぶ線分の長さCが異なる場合、C/Dの値を算出するためのCの値はすべてのCの値の平均値とする。同様に、任意に選択した凹部Rにおける垂線の長さをDが異なる場合、C/Dの値を算出するためのDの値はすべてのDの値の平均値とする。以下の説明において、C及びDの値に言及する場合には、当該値はC及びDの平均値のことである。
ワイピング時における操作性及び汚れの捕集効率を高める観点から、長さCは、上述のC/Dの範囲を満たすことを条件として、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましく、またその上限は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることが好ましい。同様の観点から、長さDは、上述のC/Dの範囲を満たすことを条件として、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましく、またその上限は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることが好ましい。
上述の長さAないしDは、例えば以下の測定方法によって測定することができる。すなわち、作製した繊維集合体をかみそり等を用いて繊維の断面形状を維持した状態で切断した後、該断面をPtで真空蒸着する。走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−IT100)を用いて、Pt蒸着した繊維集合体の断面を倍率500〜1000倍で観察し、付属ソフトの長さ計測ツールを用いて繊維断面における上記長さAないしDをそれぞれ測定する。
以上は本発明のワイピングシートの一実施形態に関する説明であったところ、以下にワイピングシートの好適な製造方法を、図3を参照しながら説明する。図3には、ワイピングシートの製造に好適に用いられる製造装置10が示されている。製造装置10は、搬送方向(MD方向)に沿って、ウェブ形成部20、水流交絡部30、パターン形成部40及び洗浄液噴霧部60をこの順で備えている。本製造方法は、水流交絡によって合成繊維を含む繊維集合体を形成する工程と、必要に応じて繊維集合体の一方の面に巨視的パターンの凹凸部を形成する工程と、スプレー噴霧によって洗浄液を繊維集合体に含浸させる工程との3つの工程に大別される。なお、以下の説明において、搬送方向(MD方向)とワイピングシートの長手方向Xとは一致しており、搬送方向に直交する方向とワイピングシートの幅方向Yとは一致している。
まず、ウェブ形成部20におけるカード機21から合成繊維2のウェブがガイドロール22を介して繰り出される。ワイピングシートにスクリムネットを備える態様とする場合、合成繊維2のウェブとともに、スクリムロール25からスクリムネット15が繰り出される。これらの繰り出しによって、合成繊維のウェブ及びスクリムネットが積層される。
次いで、水流交絡部30において、合成繊維2のウェブ(あるいは合成繊維2のウェブ及びスクリムネット15の積層体)が、水が透過可能な第1支持ベルト32によってMD方向に搬送されながら、第1水流ノズル31から噴出する高圧水流によって交絡処理される(交絡工程)。この工程を経ることによって、合成繊維2どうしが交絡して、合成繊維を含み、好ましくは合成繊維を主体とする繊維集合体1Aが形成される。スクリムネットを備える態様となっている場合、この工程によって、合成繊維2どうしが交絡するとともに、合成繊維2及びスクリムネット15が一体的な絡合状態となり、スクリムネット及び合成繊維を含む繊維集合体1Aが形成される。
本工程においては、第1水流ノズル31から吹き付ける水圧を好ましくは30kg/cm以上80kg/cm以下、更に好ましくは40kg/cm以上60kg/cm以下とし、且つ合成繊維2のウェブのMD方向における搬送速度を好ましくは2m/min以上10m/min以下、更に好ましくは4m/min以上8m/min以下とすることで製造することができる。
一方の面に巨視的パターンの凹凸部を有するワイピングシートを製造する場合、パターン形成部40において、合成繊維を含む繊維集合体1Aに高圧水流を吹き付けて、繊維集合体の一方の面に巨視的パターンの凹凸部を形成させることができる(パターン形成工程)。第2水流ノズル41から吹き付ける水圧及び繊維集合体の搬送速度は、交絡工程と同様の範囲とすることができる。
本工程においては、図3に示すように、水流交絡部30から搬送された繊維集合体1Aの一方の面に第2水流ノズル41から高圧水流を吹き付ける。このとき、繊維集合体1Aと第2支持ベルト42との間に、例えば図4に示すような構造を有する凹凸部形成部材50を配しておくことによって、繊維集合体1Aの高圧水流が吹き付けられる面と反対側の面に凹凸部形成部材50が有する凹凸形状に相補的な凹部3及び凸部4を形成することができる。凹凸部形成部材50は金属や合成樹脂等から構成されている。
詳細には、第2水流ノズル41から繊維集合体1Aの上面側に向かって吹き付けられた水流は、その下面を凹凸部形成部材50における凹部形成用凸部50aの上面に密着するように押し当てる。これとともに、凹凸部形成部材50の凸部形成用凹部50bに位置する繊維集合体1Aの構成繊維である合成繊維2を該凹部50b内に突出させ、また、凹凸部形成部材50の凹部形成用凸部50aに位置する合成繊維2を該集合体の厚み方向に陥没させる。水流交絡において吹き付けられた水は、凹凸部形成部材50における凸部形成用凹部50bや、凹部形成用凸部50aに複数設けられている水抜き穴50cを介して下方に透過させる。これによって、繊維集合体の一方の面に曲線部を有する巨視的パターンの凹凸部を形成させることができる。
合成繊維として異形繊維を含む繊維集合体を形成する場合、パターン形成工程において形成された凹部3及び凸部4における異形繊維の横断面における配向がそれぞれ異なるものとなる。図5に示すように、凹部形成用凸部50aが合成繊維2の下面に存在している部位(すなわち繊維集合体1Aに凹部3が形成される部位)では、表面積が比較的大きい異形繊維の扁平面が高圧水流Wの水圧によって凹部形成用凸部50aの一方の面に強く押し当てられるようになる。その結果、凹部3に存在する異形繊維は、その横断面における長径がワイピングシートの面に沿う方向を向く配向(長径配向)となる。一方、同図に示すように、凸部形成用凹部50bが合成繊維2の下面に存在している部位(すなわち繊維集合体1Aに凸部4が形成される部位)では、該部位に存在する異形繊維はその横断面における配向が変化可能であるので、高圧水流Wによる抵抗力を受けにくくなるように、異形繊維の横断面における長径がワイピングシートの面と直交する面に沿う方向を向く配向(短径配向)となる。このようにして、凹部3及び凸部4において、異形繊維の横断面における配向がそれぞれ異なるものとなる。
最後に、上述の工程を経て製造された繊維集合体1Aを、例えば図2に示すような矩形状に成形したあと、洗浄液噴霧部60において、繊維集合体1Aに洗浄液5を含浸させて(含浸工程)、湿式のワイピングシートとすることができる。洗浄液噴霧部60は、搬送された繊維集合体1Aに対して、洗浄液5を噴霧できるようになっている。このように、洗浄液を噴霧して繊維集合体に含浸させることによって、繊維集合体への洗浄液の含浸量を適切な範囲となるように調整することができ、その結果、ワイピングシートの製造効率を高めることができる。含浸工程では、上述した両性界面活性剤や香料、添加剤等のうち少なくとも一種を更に含む洗浄液5を繊維集合体1Aに対して含浸させることが、製品における油脂汚れの除去効率、製品安定性、及び清掃感を兼ね備える点で好ましい。
このようにして製造されたワイピングシートは、該ワイピングシート単体で、又はワイパーなどの清掃用具に装着させて、床面、壁面等の建物、戸棚、窓ガラス、鏡、ドア、ドアノブ等の建具、ラグ、カーペット、机食卓等の家具、キッチン、トイレ、身体の清拭や、衛生用品、包装などにも使用できる。
特に本発明のワイピングシートは、HLB値が互いに異なる二種類のノニオン系界面活性剤を含む洗浄液が含浸されているので、床面やキッチン等の調理設備に付着した油脂汚れの除去効率に優れたものとなっている。油脂汚れとしては、例えば牛、豚、鶏、羊等の食用肉及びその脂、並びにこれらの乳等に含まれる肉由来の脂、魚に含まれる魚由来の脂、サラダ油や菜種油、ゴマ油などの調理用油に由来する植物性油、ヒトやペット由来の皮脂等が挙げられ、これらの油脂が変性して固化した状態となった場合でも優れた除去効率を奏する。また、本発明のワイピングシートは、油脂汚れの除去に加えて、しょうゆやソース、ケチャップ等に由来する汚れ、ご飯等に由来する炭水化物の汚れ、及び卵等に由来するタンパク質汚れの除去や、これらの汚れとともに存在する微粒子汚れ及び毛髪等の繊維汚れの除去効率も優れたものである。これに加えて、本発明のワイピングシートは、ワイピング後の清掃対象面が乾燥した後であっても、洗浄液の成分に起因するべたつきやぬめり等を知覚することがないので、使用後の清掃感に優れたものとなる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明のワイピングシートは、合成繊維を含む1つの繊維集合体(単層及び多層を問わない)のみから構成されていてもよく、あるいは合成繊維を含む第1の繊維集合体と、異形繊維の有無を問わない第2の繊維集合体又は繊維集合体以外の他のシート材料とを重ね合わせたマルチプライの積層構造を有していてもよい。シート材料としては、例えば不織布や織布、紙等が挙げられる。
また、合成繊維以外の他の繊維を含む繊維集合体を形成するためには、例えばウェブ形成部20において、第2のカード機を配置して、該カード機から他の繊維のウェブを繰り出して積層してもよい。その後、交絡工程を行うことによって、合成繊維以外に加えて、他の繊維を含む繊維集合体を形成することができる。
上述した本発明の実施形態に関し、更に以下のワイピングシート及びその製造方法を開示する。
<1>
合成繊維を含む繊維集合体に洗浄液が含浸されてなるワイピングシートであって、
乾燥状態における前記繊維集合体の坪量が50g/m以上100g/m以下であり、
前記洗浄液は、HLB値が異なる少なくとも二種類のノニオン系界面活性剤を含み、
一方の前記界面活性剤のHLB値が12以上15未満であり、他方の前記界面活性剤のHLB値が15以上18以下であり、
前記洗浄液が205g/m以上380g/m以下含浸されている、ワイピングシート。
<2>
一方の前記界面活性剤のHLB値が、より好ましくは12.5以上、更に好ましくは13以上であり、また、より好ましくは14.5以下、更に好ましくは14以下である、前記<1>に記載のワイピングシート。
<3>
他方の前記界面活性剤のHLB値が、より好ましくは15.5以上、更に好ましくは16以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは17.5以下、更に好ましくは17以下である、前記<1>又は<2>に記載のワイピングシート。
<4>
一方の前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値:12.1〜14.9)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(HLB値:12.9〜14.3)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB値:12.8〜13.9)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB値:12.1〜13.6)等のポリオキシエチレンアルキルエーテルである、前記<1>ないし<3>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<5>
他方の前記界面活性剤は、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB値:15.6)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(HLB値:15.0〜16.7)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、前記<1>ないし<4>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<6>
二種類の前記ノニオン系界面活性剤に加えて、両性界面活性剤を含むことが好ましい、前記<1>ないし<5>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<7>
前記両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキサイド、アルキルベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等から選ばれる少なくとも一種である、前記<6>に記載のワイピングシート。
<8>
ワイピングシートから放出された前記洗浄液は、その25℃におけるpHが7.8以上9.0以下であり、
その25℃における粘度が2mPa・s以上10mPa・s以下であり、
その表面張力が25mN/m以上35mN/m以下である、前記<1>ないし<7>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<9>
ワイピングシートから放出された前記洗浄液は、その25℃におけるpHが8.0以上であることが更に好ましい、前記<8>に記載のワイピングシート。
<10>
ワイピングシートから放出された前記洗浄液は、その25℃におけるpHが8.5以下であることが更に好ましい、前記<8>又は<9>に記載のワイピングシート。
<11>
前記洗浄液は香料を含む、前記<1>ないし<10>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<12>
前記香料は、洗浄液に溶解するものであることが好ましく、メントール、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロール、1,8‐シネオール、テルピネオール、メントール、リナロオール等の香料成分や、バラ香調、ラベンダー香調、ジャスミン香調、イランイラン香調を有する香料を含有した香料組成物からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、前記<11>に記載のワイピングシート。
<13>
前記洗浄液は、前記界面活性剤をそれぞれ0.1質量%以上0.5質量%以下含み、且つ
前記洗浄液における前記界面活性剤の合計量が、0.2質量%以上1.0質量%以下である、前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<14>
前記繊維集合体は、少なくとも一方の面に巨視的パターンの凹凸部を有し、且つ横断面が扁平形である前記合成繊維を含み、
前記凹凸部を構成する凹部及び凸部において、該凹部に存在する前記合成繊維は、その横断面の長径が前記ワイピングシートの面に沿う方向を概ね向いており、該凸部に存在する前記合成繊維の横断面の長径が前記ワイピングシートの面と直交する面に沿う方向を概ね向いている、前記<1>ないし<13>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<15>
前記繊維集合体の厚み方向の中央域にスクリムネットが配されている、前記<1>ないし<14>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<16>
硬質表面をワイピングするために用いられる、前記<1>ないし<15>のいずれか一に記載のワイピングシート。
<17>
前記<1>ないし<16>のいずれか一に記載のワイピングシートの製造方法であって、
合成繊維を含む繊維集合体を形成し、然る後に、噴霧によって洗浄液を該繊維集合体に含浸させる、ワイピングシートの製造方法。
<18>
前記合成繊維を主体とする前記繊維集合体を形成する、前記<17>に記載のワイピングシートの製造方法。
<19>
乾燥状態における前記繊維集合体中の合成繊維の含有量が50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である該繊維集合体を形成する、前記<17>又は<18>に記載のワイピングシートの製造方法。
<20>
添加剤を含む前記洗浄剤を前記繊維集合体に含浸させる、前記<17>ないし<19>のいずれか一に記載のワイピングシートの製造方法。
<21>
前記添加剤として、殺菌剤、防腐剤、芳香剤、消臭剤、pH調整剤、キレート剤、粘度調整剤、アルコール等の溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む前記洗浄剤を前記繊維集合体に含浸させる、前記<20>に記載のワイピングシートの製造方法。
<22>
繊維の横断面の形状が扁平形である合成繊維を用いて前記繊維集合体を形成する、前記<17>ないし<21>のいずれか一に記載のワイピングシートの製造方法。
<23>
前記繊維集合体を形成し、次いで、該繊維集合体の一方の面に巨視的パターンの凹凸部を形成し、然る後に、前記洗浄液を該繊維集合体に含浸させる、前記<17>ないし<22>のいずれか一に記載のワイピングシートの製造方法。
<24>
前記<1>ないし<16>のいずれか一に記載のワイピングシートを用いて硬質表面をワイピングする、ワイピングシートの使用方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
合成繊維として、図1(b)に示す多葉形の横断面形状を有する異形繊維を用いてウェブを形成し、該ウェブを水流交絡させて、スクリムネット(PP製、線径約200μm、坪量5g/m)を厚み方向中央域に有する繊維集合体を製造した。繊維集合体の繊維組成は、異形繊維(PET製、繊度1.7dtex):真円形繊維(アクリル製、繊度1.0dtex):扁平形繊維(レーヨン製、繊度1.7dtex)=70:15:15を質量割合で含むものであり、その乾燥状態での坪量は70g/mであった。繊維集合体の寸法を285mm×205mmに成形した後、洗浄液を290g/m含浸させて、目的とする湿式のワイピングシートとした。
洗浄液は、第1のノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値:13.6)を0.25質量%含み、第2のノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(HLB値:16.7)を0.25質量%含む水溶液とした。この水溶液には、香料を0.04質量%、粘度調整剤(カーボポールETD2020、CBC株式会社製)を0.07質量%、両性界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキサイドを0.05質量%、及びpH調整剤(アミノメチルプロパノール)をpH9.0になるように更に含有させた。含浸前の洗浄液の25℃におけるpHは、pH測定装置(HORIBA社製、pHメーターF22)を用いて調整した。
〔実施例2〕
第1のノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値:12.1)を含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔実施例3〕
第2のノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(HLB値:15.0)を含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔比較例1〕
第1のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が12未満であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値:6.3)を含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔比較例2ないし4〕
第1のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が15超であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値:16.2(比較例2)、18.4(比較例3)、18.5(比較例4))を含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔比較例5及び6〕
第2のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が15未満であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、HLB値:9.6(比較例5)、10.5(比較例6))を含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔比較例7〕
第1のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が12未満であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値:6.3)と、第2のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が15未満であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、HLB値:9.6)とを含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔比較例8〕
第1のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が15超であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値:18.5)と、第2のノニオン系界面活性剤に代えて、HLB値が15未満であるノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、HLB値:9.6)とを含む洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔比較例9〕
ノニオン系界面活性剤を含まない洗浄液を用いた他は、実施例1と同様に湿式のワイピングシートを製造した。
〔pHの評価〕
実施例及び比較例のワイピングシートを絞って得た抽出液を、ワイピングシートから放出された洗浄液として用いた。ワイピングシートから放出された30mLの洗浄液をビーカーに入れ、該洗浄液の25℃におけるpHをpH測定装置(HORIBA社製、pHメーターF22)にて測定した。結果を表1に示す。
〔泡高の評価〕
泡高の評価は、JIS K 3362に規定されるロスマイルス法によって行った。含浸前の洗浄液を用いて、測定直後及び測定5分後の泡の高さをそれぞれ目視によって測定した。各測定は3回ずつ行い、各測定値の算術平均値を泡高(mm)とした。結果を表1に示す。
〔粘度の評価〕
洗浄液の粘度の評価は、以下のように行った。すなわち、25℃のワイピングシートから放出された前記洗浄液100mLをビーカーに入れ、低粘度用スピンドル(スピンドルNo.M1)を取り付けた東機産業株式会社製のVISCOMETER TVB−10にて、該スピンドルを液体試料に浸漬させた状態で、60rpm、1分間の条件で測定した。この測定を3回行い、各測定値の算術平均値を粘度(mPa・s)とした。結果を表1に示す。
〔表面張力の評価〕
洗浄液の表面張力の評価は、以下のように行った。すなわち、25℃のワイピングシートから放出された前記洗浄液を10mL入れた小型シャーレを、協和界面科学株式会社製の自動表面張力計CBVD−Zの測定ステージ上に静置し、該装置の上部バネ測り部に白金プレートを吊り下げた状態で白金プレートを下降させた。液体試料に接触したときの白金プレートが液体試料に引き込まれる力とバネ荷重とが平衡状態になったときの値を測定した。測定は3回行い、各測定値の算術平均値を表面張力(mN/m)とした。結果を表1に示す。
〔安定性の評価〕
洗浄液の安定性の評価は、以下のように行った。すなわち、実施例及び比較例で用いた含浸前の洗浄液を密閉容器に100mL入れて密閉し、20℃〜25℃の室温環境下に72時間静置した。その後、洗浄液中の沈殿物の有無を目視によって観察し、洗浄液の安定性を以下の基準で評価した。結果を以下の表1に示す。
<安定性の評価基準>
A:沈殿物は確認されず、安定性に優れた洗浄液である。
B:白濁しているが、沈殿物は確認されず、安定性がある洗浄液である。
C:沈殿物が確認され、安定性に欠ける洗浄液である。
〔油脂除去性の評価〕
油脂除去性の評価は、清掃対象の油脂汚れとして、(1)人工皮脂(モデル皮脂汚れ)及び(2)牛由来の脂を清掃対象面(フローリング床、商品名:DAGフロアー、北恵株式会社製)に塗布し、各油脂汚れをワイピングしたときの油脂の除去性能を以下の基準で目視にて評価した。結果を表1に示す。
<油脂除去性の評価基準>
以下の基準は、油脂汚れの塗布後の清掃対象面と、ワイピング後の清掃対象面とを目視で観察したときに、その光沢の変化に基づいて評価した。
5:90%以上の油脂汚れが除去され、油脂汚れの除去性能に非常に優れる。
4:60%以上90%未満の油脂汚れが除去され、油脂汚れの除去性能に優れる。
3:40%以上60%未満の油脂汚れが除去され、油脂汚れの除去性能があまり良好でない。
2:10%以上40%未満の油脂汚れが除去され、油脂汚れの除去性能が悪い。
1:10%未満の油脂汚れが除去され、油脂汚れの除去性能が非常に悪い。
(1)人工皮脂
0.06gの人工皮脂を、14cm×14cmの寸法を有する前記フローリング床の清掃対象面に塗布した。この床面を実施例及び比較例のワイピングシートを用いて、該シートの幅方向に沿って1往復ワイピングしたときの除去性能を上述の評価基準で評価した。ワイピング条件は、荷重160N/m、速度1000mm/秒とした。
(2)牛由来の脂
牛脂とバターとを1:1の質量比で混合し、これを180℃で30分加熱して固化変性させた混合脂1.0gを前記フローリング床の清掃対象面に塗布した。この床面を実施例及び比較例のワイピングシートを用いて、該シートの幅方向に沿って3往復ワイピングしたときの除去性能を上述の評価基準で評価した。ワイピング条件は、上述のとおりとした。
〔清掃感の評価〕
実施例及び比較例のワイピングシートを用いてワイピングしたときに、清掃対象面における清掃感を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
<清掃感の評価基準>
A:高い起泡性を有し、且つワイピング後の清掃対象面における乾燥後のべたつきやぬめりを感じないので、清掃感が良好である。
B:起泡性に劣り、清掃感に欠ける。
Figure 2020105585
表1に示すように、本発明のワイピングシートは、皮脂や動物性油等の油脂汚れの除去効率が高いものであり、固化変性した油脂汚れを効果的に除去できることが判る。これに加えて、本発明のワイピングシートは、清掃感が高く、ワイピング後に清掃対象面が乾燥した後であっても、該面のべたつきやぬめりを感じないものであることも判る。これに対して、比較例のワイピングシートは、油脂汚れの除去性能に劣っており、これに加えて、洗浄液の安定性が悪かったり、清掃感に劣ったりするものであった。
本発明によれば、硬質表面に付着している固化変性した油脂汚れを効果的に除去できるワイピングシートを提供できる。

Claims (24)

  1. 合成繊維を含む繊維集合体に洗浄液が含浸されてなるワイピングシートであって、
    乾燥状態における前記繊維集合体の坪量が50g/m2以上100g/m2以下であり、
    前記洗浄液は、HLB値が異なる少なくとも二種類のノニオン系界面活性剤を含み、
    一方の前記界面活性剤のHLB値が12以上15未満であり、他方の前記界面活性剤のHLB値が15以上18以下であり、
    前記洗浄液が205g/m2以上380g/m2以下含浸されている、ワイピングシート。
  2. 一方の前記界面活性剤のHLB値が、12.5以上14.5以下である、請求項1に記載のワイピングシート。
  3. 他方の前記界面活性剤のHLB値が、15.5以上17.5以下である、請求項1又は2に記載のワイピングシート。
  4. 一方の前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値:12.1〜14.9)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(HLB値:12.9〜14.3)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB値:12.8〜13.9)、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB値:12.1〜13.6)から選ばれる一種以上を含むポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  5. 他方の前記界面活性剤は、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB値:15.6)、及びポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(HLB値:15.0〜16.7)から選ばれる一種以上を含むポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  6. 二種類の前記ノニオン系界面活性剤に加えて、両性界面活性剤を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  7. 前記両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキサイド、アルキルベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインから選ばれる少なくとも一種である、請求項6に記載のワイピングシート。
  8. ワイピングシートから放出された前記洗浄液は、その25℃におけるpHが7.8以上9.0以下であり、
    その25℃における粘度が2mPa・s以上10mPa・s以下であり、
    その表面張力が25mN/m以上35mN/m以下である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  9. ワイピングシートから放出された前記洗浄液は、その25℃におけるpHが8.0以上である、請求項8に記載のワイピングシート。
  10. ワイピングシートから放出された前記洗浄液は、その25℃におけるpHが8.5以下である、請求項8又は9に記載のワイピングシート。
  11. 前記洗浄液は香料を含む、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  12. 前記香料は、洗浄液に溶解するものであり、メントール、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロール、1,8‐シネオール、テルピネオール、メントール、リナロオール等の香料成分や、バラ香調、ラベンダー香調、ジャスミン香調、イランイラン香調を有する香料を含有した香料組成物からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、請求項11に記載のワイピングシート。
  13. 前記洗浄液は、前記界面活性剤をそれぞれ0.1質量%以上0.5質量%以下含み、且つ
    前記洗浄液における前記界面活性剤の合計量が、0.2質量%以上1.0質量%以下である、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  14. 前記繊維集合体は、少なくとも一方の面に巨視的パターンの凹凸部を有し、且つ横断面が扁平形である前記合成繊維を含み、
    前記凹凸部を構成する凹部及び凸部において、該凹部に存在する前記合成繊維は、その横断面の長径が前記ワイピングシートの面に沿う方向を概ね向いており、該凸部に存在する前記合成繊維の横断面の長径が前記ワイピングシートの面と直交する面に沿う方向を概ね向いている、請求項1ないし13のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  15. 前記繊維集合体の厚み方向の中央域にスクリムネットが配されている、請求項1ないし14のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  16. 硬質表面をワイピングするために用いられる、請求項1ないし15のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  17. 請求項1ないし16のいずれか一項に記載のワイピングシートの製造方法であって、
    合成繊維を含む繊維集合体を形成し、然る後に、噴霧によって洗浄液を該繊維集合体に含浸させる、ワイピングシートの製造方法。
  18. 前記合成繊維を主体とする前記繊維集合体を形成する、請求項17に記載のワイピングシートの製造方法。
  19. 乾燥状態における前記繊維集合体中の合成繊維の含有量が50質量%以上である該繊維集合体を形成する、請求項17又は18に記載のワイピングシートの製造方法。
  20. 添加剤を含む前記洗浄剤を前記繊維集合体に含浸させる、請求項17ないし19のいずれか一項に記載のワイピングシートの製造方法。
  21. 前記添加剤として、殺菌剤、防腐剤、芳香剤、消臭剤、pH調整剤、キレート剤、粘度調整剤、アルコール等の溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む前記洗浄剤を前記繊維集合体に含浸させる、請求項20に記載のワイピングシートの製造方法。
  22. 繊維の横断面の形状が扁平形である合成繊維を用いて前記繊維集合体を形成する、請求項17ないし21のいずれか一項に記載のワイピングシートの製造方法。
  23. 前記繊維集合体を形成し、次いで、該繊維集合体の一方の面に巨視的パターンの凹凸部を形成し、然る後に、前記洗浄液を該繊維集合体に含浸させる、請求項17ないし22のいずれか一項に記載のワイピングシートの製造方法。
  24. 請求項1ないし16のいずれか一項に記載のワイピングシートを用いて硬質表面をワイピングする、ワイピングシートの使用方法。
JP2020558376A 2018-11-22 2019-11-18 ワイピングシート及びその製造方法 Pending JPWO2020105585A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018218986 2018-11-22
JP2018218986 2018-11-22
PCT/JP2019/045081 WO2020105585A1 (ja) 2018-11-22 2019-11-18 ワイピングシート及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020105585A1 true JPWO2020105585A1 (ja) 2021-10-14
JPWO2020105585A5 JPWO2020105585A5 (ja) 2022-09-14

Family

ID=70774560

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020558376A Pending JPWO2020105585A1 (ja) 2018-11-22 2019-11-18 ワイピングシート及びその製造方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JPWO2020105585A1 (ja)
CN (1) CN113164002A (ja)
SG (1) SG11202104596YA (ja)
TW (1) TW202028554A (ja)
WO (1) WO2020105585A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2023210498A1 (ja) * 2022-04-27 2023-11-02

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69630519T2 (de) * 1995-03-10 2004-08-05 Illinois Tool Works Inc., Glenview Vorrichtung und verfahren zum reinigen
AU2001271407A1 (en) * 2000-06-27 2002-01-08 S.C. Johnson & Son, Inc. Cleaning sheet
US20040052834A1 (en) * 2001-04-24 2004-03-18 West Bonnie Kay Pre-moistened antibacterial wipe
US20050136772A1 (en) * 2003-12-23 2005-06-23 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Composite structures containing tissue webs and other nonwovens
US20060025031A1 (en) * 2004-07-27 2006-02-02 Polymer Group, Inc. Cleaning sheets with improved cleaning performance
CN1872546A (zh) * 2005-05-26 2006-12-06 日东电工株式会社 清洁片及使用该清洁片的清洁方法
JP5567264B2 (ja) * 2008-11-27 2014-08-06 ユニ・チャーム株式会社 アルコール除菌シート用薬液およびそれを含むアルコール除菌シート
WO2013113541A1 (en) * 2012-01-31 2013-08-08 Unilever N.V. A composition and method for treating substrates
FR3001117B1 (fr) * 2013-01-18 2015-03-06 Essilor Int Lingette seche a action antibuee et/ou nettoyante
JP2014234345A (ja) * 2013-05-30 2014-12-15 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー スキンケア用シートおよびスキンケア製品
WO2015125332A1 (ja) * 2014-02-20 2015-08-27 株式会社マンダム クレンジングシート及びクレンジング用組成物
JP2015168678A (ja) * 2014-03-11 2015-09-28 ライオン株式会社 シート状化粧料
CN106536803B (zh) * 2014-07-23 2018-04-17 大和纺控股株式会社 液体浸渗片用无纺布、液体浸渗片以及液体浸渗片用无纺布用的粘胶人造丝
KR101893715B1 (ko) * 2014-09-30 2018-08-30 구라레 구라후렛쿠스 가부시키가이샤 와이핑 시트
JP6773595B2 (ja) * 2017-03-28 2020-10-21 株式会社マンダム 皮膚化粧料
WO2018190266A1 (ja) * 2017-04-10 2018-10-18 花王株式会社 皮膚洗浄剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
TW202028554A (zh) 2020-08-01
WO2020105585A1 (ja) 2020-05-28
CN113164002A (zh) 2021-07-23
SG11202104596YA (en) 2021-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4014214B2 (ja) 使い捨て食器ケア及び硬質表面洗浄ワイプ
KR101893715B1 (ko) 와이핑 시트
JP2006320728A (ja) 巨視的三次元孔なしクリーニングシート、並びにそれを用いたクリーニング用具、クリーニング方法及び製造物品
JPH04501738A (ja) 実質的にドライなクリーニングワイプ
RU2012101316A (ru) Продукты из нетканых материалов с улучшенными свойствами переноса
JP2006505372A (ja) 拭き取り物品(wipingarticles)及びそれらの使用
WO2016104106A1 (ja) 不織布製造用処理剤及びその利用
JPWO2020105585A1 (ja) ワイピングシート及びその製造方法
JP5700557B2 (ja) シート状化粧料
JP2001269300A (ja) 床用清掃シート
JP3983204B2 (ja) 拭き取りシート
JP6952447B2 (ja) 清掃用ウエットシート
JP2001198066A (ja) 床用清掃シート
JP2011135999A (ja) 清掃シート
JP2001198065A (ja) 床用清掃シート
EP3644938A1 (en) Rapid dispersing wet wipe
JP7030542B2 (ja) ワイピングシート
JP2005192624A (ja) 床用清掃シート
US20030114069A1 (en) Personal care and surface cleaning article
US20050106979A1 (en) Personal care and surface cleaning article
JP3482517B2 (ja) 塗膜の洗浄、撥水、艶出しウエットクロス
JP2022008129A (ja) 清掃用シート
JP7055068B2 (ja) ワイピングシート
JP6186486B1 (ja) 機能シート
JP2019208949A (ja) ワイピングシート

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220905

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230829

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231013

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240326