JPWO2020105523A1 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、引き置き経時安定性に優れたレジスト膜を形成可能な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供することである。また、本発明の他の課題は、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたレジスト膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することである。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、特定構造を有する樹脂Xと、特定構造を有する樹脂Yと、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、溶剤と、を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成される膜の水に対する後退接触角が73°以上である。

Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
従来、IC(Integrated Circuit、集積回路)及びLSI(Large Scale Integrated circuit、大規模集積回路)等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、化学増幅型レジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。
特に昨今においては、より微細な加工を可能とするパターン形成方法として液浸露光が用いられている。例えば、特許文献1では、液浸露光に好適な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として、フッ素原子を有し、且つ特定構造の基を含む構造単位を有する第1重合体と、酸解離性基を含む構造単位を有する第2重合体と、感放射線性酸発生体とを含むレジスト組成物を開示している。
特開2016−126309号公報
本発明者らは、特許文献1に記載されたレジスト組成物について検討したところ、上記レジスト組成物により形成されるレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の膜)を露光前及び/又は露光後の段階で引き置いた場合、露光・現像後に得られるパターンの線幅の寸法に変動が生じることを明らかとした。つまり、レジスト膜の引き置き経時安定性を更に改善する余地があることを知見するに至った。
そこで、本発明は、引き置き経時安定性に優れたレジスト膜を形成可能な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたレジスト膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定組成の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
〔1〕樹脂Xと、樹脂Yと、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、溶剤と、を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記樹脂Xは、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂であって、後述するモノマー群Aから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Aと後述するモノマー群Bから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Bとを含み、
上記樹脂Yは、後述する式(I)で表される基を含む繰り返し単位D1及び後述する式(II)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位D2の少なくとも一方の繰り返し単位を含み、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成される膜の水に対する後退接触角が73°以上である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔2〕 上記モノマー群Aが、後述するモノマー群A1である、〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔3〕 上記モノマー群Bが、後述するモノマー群B1である、〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔4〕 上記樹脂Xが、更に、後述するモノマー群Cから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Cを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔5〕 上記繰り返し単位Cが、後述する式(c−2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位である、〔4〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔6〕 上記樹脂Xが、後述する式(X−1)〜(X−10)で表される樹脂である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔7〕 上記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物が、後述する式(P−1)〜(P−8)からなる群より選ばれる1種以上である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔8〕 上記繰り返し単位D1が後述する式(Y−1)で表される繰り返し単位を含み、上記繰り返し単位D2が後述する式(Y−2)で表される繰り返し単位を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔9〕 上記後退接触角が81°以上である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔10〕 更に、酸拡散制御剤を含む、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて得られるレジスト膜。
〔12〕 〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
上記レジスト膜を露光する露光工程と、
露光された上記レジスト膜を、現像液を用いて現像する現像工程と、を含む、パターン形成方法。
〔13〕 上記露光工程が、スキャン速度が700mm/s以上の液浸露光工程である、〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔14〕 〔12〕又は〔13〕に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、引き置き経時安定性に優れたレジスト膜を形成可能な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供できる。
また、本発明によれば、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたレジスト膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表す。
本明細書において、「有機基」とは、炭素原子を1つ以上含む基を表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう。)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC−8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL−M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書においてpKa(酸解離定数pKa)とは、水溶液中での酸解離定数pKaを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に定義される。酸解離定数pKaの値が低いほど酸強度が大きい。pKaの値は、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求められる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994−2007 ACD/Labs)。
本明細書中における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」というときの置換基の種類、置換基の位置、及び置換基の数は特に制限されない。置換基の数は例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上であってもよい。置換基の例としては水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、例えば、以下の置換基群Tから選択できる。
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物]
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)の特徴点としては、後述する樹脂X(酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂)及び後述する樹脂Yを含み、且つ上記組成物を用いて後述する条件により形成される膜の水に対する後退接触角が73°以上である点が挙げられる。
今般、本発明者らは、作用機序は明らかではないが、上記組成物により得られるレジスト膜は、その引き置き経時安定性が著しく優れていることを明らかとした。特に、上記後退接触角が81°以上である場合、引き置き経時安定性がより一層優れる。
以下において、まず、本発明の組成物の各成分について詳述する。
〔樹脂X(酸分解性樹脂)〕
本発明の組成物は、樹脂Xを含む。
樹脂Xは、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう。)であり、酸の作用により分解して極性が増大する基(以下、「酸分解性基」ともいう。)を有する繰り返し単位を含む。
なお、本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合、ネガ型パターンが好適に形成される。
上記樹脂Xは、後述するモノマー群Aから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Aと、後述するモノマー群Bから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Bと、を含む。なお、モノマー群B中のモノマーに由来する繰り返し単位Bは、酸分解性基を有する繰り返し単位に該当する。
また、上記樹脂Xは、更に、後述するモノマー群Cから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Cを含むことが好ましい。
以下において、上記繰り返し単位A、上記繰り返し単位B、及び上記繰り返し単位Cについて、各々詳述する。
<繰り返し単位A>
繰り返し単位Aは、以下に示すモノマー群Aから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位である。
モノマー群A:
Figure 2020105523
上記モノマー群Aとしては、なかでも、形成されるレジスト膜の後退接触角がより調整し易い点で、下記モノマー群A1が好ましい。
モノマー群A1:
Figure 2020105523
上記樹脂Xは、繰り返し単位Aを、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
上記樹脂Xに含まれる繰り返し単位Aの含有量(繰り返し単位Aが複数存在する場合はその合計)は、樹脂Xの全繰り返し単位に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%が更に好ましい。
<繰り返し単位B>
繰り返し単位Bは、以下に示すモノマー群Bから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位である。
モノマー群B:
Figure 2020105523
上記モノマー群Bとしては、なかでも、形成されるレジスト膜の後退接触角がより調整し易い点で、下記モノマー群B1が好ましい。
モノマー群B1:
Figure 2020105523
上記樹脂Xは、繰り返し単位Bを、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
上記樹脂Xに含まれる繰り返し単位Bの含有量(繰り返し単位Bが複数存在する場合はその合計)は、樹脂Xの全繰り返し単位に対して、10〜90モル%が好ましく、25〜80モル%がより好ましく、30〜60モル%が更に好ましい。
<繰り返し単位C>
繰り返し単位Cは、以下に示すモノマー群Cから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位である。
モノマー群C:
Figure 2020105523
上記繰り返し単位Cとしては、なかでも、形成されるレジスト膜の後退接触角がより調整し易い点で、下記式(c−2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位が好ましい。
Figure 2020105523
上記樹脂Xは、繰り返し単位Cを、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
上記樹脂Xが繰り返し単位Cを含む場合、樹脂X中に含まれる繰り返し単位Cの含有量(繰り返し単位Cが複数存在する場合はその合計)は、樹脂Xの全繰り返し単位に対して、5〜30モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましく、5〜15モル%が更に好ましい。
上記樹脂Xとしては、なかでも、下記式(X−1)〜(X−10)で表される樹脂が好ましい。以下の式(X−1)〜(X−10)で表される樹脂は、各式中の繰り返し単位を含む樹脂を意味し、それぞれの繰り返し単位の含有量は特に制限されない。例えば、式(X−1)で表される樹脂は、4つの繰り返し単位を含んでいればよく、各繰り返し単位の含有量は限定されない。式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
以下に、本発明で使用し得る樹脂Xの他の一例を示す。
Figure 2020105523
上記樹脂Xは、その他の繰り返し単位として、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、又は更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、及び感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有していてもよい。
このような繰り返し構造単位としては、所定の単量体に由来する繰り返し構造単位が挙げられるが、これらに制限されない。
なお、樹脂Xは、公知の方法により合成できる。
上記樹脂Xの重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、3,000〜20,000が更に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0であり、1.0〜2.6が好ましく、1.0〜2.0がより好ましく、1.1〜2.0が更に好ましい。
上記樹脂Xは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、上記樹脂Xの含有量は、全固形分中に対して、典型的には20.0質量%以上であり、40.0質量%以上が好ましく、60.0質量%以上がより好ましく、80.0質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、97.0質量%以下が更に好ましい。
なお、固形分とは、組成物中の溶剤を除いた成分を意図し、溶剤以外の成分であれば液状成分であっても固形分とみなす。
〔樹脂Y〕
本発明の組成物は、樹脂Yを含む。
上記樹脂Yは、樹脂Xとは異なる樹脂であり、後述する式(I)で表される基を含む繰り返し単位D1及び後述する式(II)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位D2の少なくとも一方の繰り返し単位を含む。
上記繰り返し単位D1及び上記繰り返し単位D2は、その構造的特徴により撥水性が高く、レジスト膜の表面に偏在するものと推測され、形成されるレジスト膜の後退接触角を高める要因の一つであると考えられる。
以下において、繰り返し単位D1及び繰り返し単位D2について、各々詳述する。
<繰り返し単位D1>
繰り返し単位D1は、下記式(I)で表される基を含む。
式(I):
Figure 2020105523
式(I)中、Rは、炭素数1〜20の1価のアルカリ解離性基を表す。Mは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表す。Lは、隣接するカルボニル基に結合する炭素原子を有する炭素数1〜20の2価の有機基を表す。なお、上記Lと上記Mとは、互いに結合して環員数3〜20の脂環構造又は脂肪族複素環構造を形成してもよい。*は、結合手を表す。
上記「アルカリ解離性基」とは、カルボキシ基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、アルカリの存在下(23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液中)で解離する基をいう。
上記Rで表される炭素数1〜20の1価のアルカリ解離性基としては、アルカリの存在下で解離して極性基を生じるものであれば特に制限されない。
上記アルカリ解離性基としては、例えば、1価のフッ素化炭化水素基等が挙げられる。また、上記アルカリ解離性基としては、上記Rに隣接するエステル結合のカルボニル基に結合する炭素原子及びこの炭素原子に結合する炭素原子の少なくともいずれかにフッ素原子が結合する場合、例えば、1価の炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基等のアルキル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、及びペンテニル基等のアルケニル基、並びに、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、及びペンチニル基等のアルキニル基等の鎖状炭化水素基;シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル等の単環のシクロアルキル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキシニル基等の単環のシクロアルケニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、及びトリシクロデシル基等の多環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルネニル基、及びトリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基、並びにベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
上記1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば上記1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。
上記アルカリ解離性基としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、上記Rに隣接するエステル結合のカルボニル基に結合する炭素原子及びこの炭素原子に結合する炭素原子の少なくともいずれかにフッ素原子が結合するフッ素化炭化水素基がより好ましい。また、上記アルカリ解離性基としては、アルカリ解離性を高める観点から、隣接する酸素原子に結合する1級又は2級の炭素原子を有することが好ましい。更に、上記アルカリ解離性基の炭素数の下限としては、2が好ましい。一方、上記アルカリ解離性基の炭素数の上限としては、10が好ましく、8がより好ましく、6が更に好ましい。
上記Mで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、及びブタンジイル基等のアルカンジイル基、エテンジイル基、プロペンジイル基、及びブテンジイル基等のアルケンジイル基、並びに、エチンジイル基、プロピンジイル基、及びブチンジイル基等のアルキンジイル基等の鎖状炭化水素基;シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、及びシクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基、シクロブテンジイル基、シクロペンテンジイル基、及びシクロヘキセンジイル基等の単環のシクロアルケンジイル基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、及びアダマンタンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基、並びに、ノルボルネンジイル基、及びトリシクロデセンジイル基等の多環のシクロアルケンジイル基等の脂環式炭化水素基;ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、及びキシレンジイル基等のアレーンジイル基、並びに、ベンゼンジイルメタンジイル基、及びナフタレンジイルシクロヘキサンジイル基等のアレーンジイルアルカンジイル基及びアレーンジイルシクロアルカンジイル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
なかでも、メタンジイル基、エタンジイル基、又はベンゼンジイル基が好ましく、メタンジイル基がより好ましい。
Mで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、エーテル基、エステル基、炭化水素基、及びフッ素化炭化水素基等が挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、又はフッ素化炭化水素基が好ましく、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基がより好ましい。
上記置換基が複数の場合、上記置換基は互いに結合して環員数3〜20の脂環構造又は脂肪族複素環構造を形成してもよい。なお、上記環員数3〜20の脂環構造又は脂肪族複素環構造としては、例えば、オキサシクロペンタン構造、及びオキサシクロヘキサン構造等のオキサシクロアルカン構造;ジオキサシクロペンタン構造、及びジオキサシクロヘキサン構造等のジオキサシクロアルカン構造;ブチロラクトン構造、及びバレロラクトン構造等のラクトン構造等が挙げられる。なかでも、オキサシクロアルカン構造、又はラクトン構造が好ましく、オキサシクロヘキサン構造、又はバレロラクトン構造がより好ましい。
上記Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば上記Mとして例示したものと同様の炭化水素基、及び、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子を含む基を有する基等が挙げられる。
上記炭素−炭素間に含まれていてもよいヘテロ原子を含む基としては、例えば−O−、−S−、−NR−、−CO−、及び−CS−からなる群より選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。上記Rは、炭素数1〜10の炭化水素基である。上記Rで表される炭化水素基としては、例えば上記Rとして例示したものと同様の炭化水素基等が挙げられる。
上記Lで表される2価の有機基の炭素数の上限としては、10が好ましく、8がより好ましく、6が更に好ましい。また、上記Lで表される2価の有機基としては、鎖状炭化水素基及び脂環式炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基、又はシクロアルカンジイル基がより好ましく、メタンジイル基、又はシクロヘキサンジイル基が更に好ましい。
上記LとMとが互いに結合して形成される環員数3〜20の脂環構造又は脂肪族複素環構造としては、例えば、シクロペンタン構造、及びシクロへキサン構造等のシクロアルカン構造;ブチロラクトン構造、及びバレロラクトン構造等のラクトン構造等が挙げられる。なかでも、脂環構造が好ましく、シクロヘキサン構造がより好ましい。
以下において、式(I)で表される基の具体例を例示する。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
上記式(I−1)〜(I−30)中、*は、結合手を示す。
繰り返し単位D1としては、下記式(IA)で表される繰り返し単位であることが好ましく、下記式(Y−1)で表される繰り返し単位がより好ましい。
なお、下記式(IA)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を表す。Zは、上述した式(I)で表される基を表す。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
上記樹脂Yは、繰り返し単位D1を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
上記樹脂Yが繰り返し単位D1を含む場合、樹脂Y中に含まれる繰り返し単位D1の含有量(繰り返し単位D1が複数存在する場合はその合計)は、樹脂Yの全繰り返し単位に対して、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が特に好ましい。上限としては特に制限されないが、例えば、100モル%以下であり、95モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、75モル%以下が更に好ましい。
<繰り返し単位D2>
繰り返し単位D2は、下記式(II)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位である。
式(II):
Figure 2020105523
式(II)中、R11は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。R12は、炭素数1〜10のフッ素化炭化水素基、又は式(IIA)で表される基を表す。R13及びR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。A11及びA12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基、又は*−A13−X11−(A14−X12)a−A15−を表す。*は、酸素原子との結合手を表す。但し、A11及びA12において、酸素原子と結合する炭素原子は3級炭素原子ではない。A13、A14及びA15は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、酸素原子、−CO−O−、又は−O−CO−を表す。aは、0又は1を表す。
式(IIA):
Figure 2020105523
式(IIA)中、AT1は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基を表す。XT1は、−CO−O−、又は−O−CO−を表す。AT2は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。但し、AT1及びAT2のうちの少なくとも一方は、フッ素原子を1つ以上含む。*は、カルボニル基との結合手を表す。
11で表されるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基中のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。R11で表されるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルクロロメチル基、ペルブロモメチル基、及びペルヨードメチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、又はエチル基がより好ましい。
11で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
11としては、なかでも、水素原子、又はメチル基が好ましい。
12で表される炭素数1〜10のフッ素化炭化水素基としては、特に制限されないが、例えば、フッ素原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、及びフッ素原子を有する炭素数1〜10の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
フッ素原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的には、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3−ペプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基、及びペルフルオロヘキシル基等が挙げられる。
フッ素原子を有する炭素数1〜10の脂環式炭化水素基としては、フッ素原子を有する炭素数1〜10のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、ペルフルオロシクロヘキシル基、及びペルフルオロアダマンチル基等が挙げられる。
式(IIA)中のAT1で表されるフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18のアルカンジイル基、及びフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の2価の環式の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
上記フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18のアルカンジイル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数2〜3が更に好ましい。
T1で表されるフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18のアルカンジイル基の具体例としては、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、及び、R12で表される炭素数1〜10のフッ素化炭化水素基として例示した基から水素原子又はフッ素原子を1つ除いて形成される2価の基が挙げられる。
なかでも、上記フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18のアルカンジイル基としては、ペルフルオロアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜3のペルフルオロアルカンジイル基がより好ましい。
上記フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の2価の環式の脂肪族炭化水素基としては、単環式及び多環式のいずれであってもよい。単環式の炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジイル基、及びペルフルオロシクロヘキサンジイル基等が挙げられる。多環式の炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基としては、アダマンタンジイル基、ノルボルナンジイル基、及びペルフルオロアダマンタンジイル基等が挙げられる。
T2のフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基としては、フッ素原子を有していてもよい炭素数3〜12の脂肪族炭化水素基が好ましく、フッ素原子を有していてもよい炭素数3〜10の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
T2のフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基としては、例えば、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17のアルキル基、及びフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂環式炭化水素基が挙げられる。
T2で表されるフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、及び、R12で表される炭素数1〜10のフッ素化炭化水素基として例示した基が挙げられる。
また、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂環式炭化水素基としては、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロヘキシル基、及びペルフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
但し、式(IIA)中、AT1及びAT2のうちの少なくとも一方は、フッ素原子を1つ以上含む。なかでも、AT1がフッ素原子を含むことが好ましい。
式(I)中、R12としては、なかでも、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基、又は式(IIA)で表される基が好ましく、式(IIA)で表される基がより好ましい。
13及びR14で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
11、A12、A13、A14、及びA15で表される炭素数1〜6のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、及びヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、及び2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;が挙げられる。
11及びA12としては、なかでも、炭素数1〜4のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1又は2のアルカンジイル基がより好ましい。
*−A13−X11−(A14−X12)a−A15−としては、*−A13−CO−O−A15−、*−A13−O−CO−A15−、又は、*−A13−CO−O−A14−CO−O−A15−が好ましく、*−A13−CO−O−A15−がより好ましい。
以下に、上記化合物(II)の具体例を例示する。なお、下記式(II−1)〜式(II−11)で表される各化合物において、R11に相当するメチル基が水素原子で置き換えられた化合物も、化合物(II)の具体例として挙げられる。
Figure 2020105523
繰り返し単位D2としては、なかでも、下記式(Y−2)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2020105523
上記樹脂Yは、繰り返し単位D2を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
上記樹脂Yが繰り返し単位D2を含む場合、樹脂Y中に含まれる繰り返し単位D2の含有量(繰り返し単位D2が複数存在する場合はその合計)は、樹脂Yの全繰り返し単位に対して、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。上限としては特に制限されないが、例えば、100モル%以下であり、95モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましく、45モル%以下が特に好ましい。
上記樹脂Yは、繰り返し単位D1及び繰り返し単位D2以外のその他の繰り返し単位を含んでいてもよい。その他の繰り返し単位としては特に制限されず、例えば、酸の作用により分解して極性が増大する基(酸分解性基)を有する繰り返し単位、及び疎水性基を有する繰り返し単位が挙げられる。
以下において、酸分解性基を有する繰り返し単位、及び疎水性基を有する繰り返し単位の各々について詳述する。
<酸分解性基を有する繰り返し単位>
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を含む。
極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子等の電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基等)は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12〜20の水酸基が好ましい。
極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又はスルホン酸基が好ましい。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸の作用により脱離する基(脱離基)で置換した基である。
酸の作用により脱離する基(脱離基)としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、及び−C(R01)(R02)(OR39)等が挙げられる。
式中、R36〜R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、及びオクチル基等が挙げられる。
36〜R39、R01、及びR02のシクロアルキル基は、単環でも、多環でもよい。単環としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。多環としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及びアンドロスタニル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の1つ以上の炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01、及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等が挙げられる。
36〜R39、R01、及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等が挙げられる。
36〜R39、R01、及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等が挙げられる。
36とR37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)が好ましい。単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基等が好ましく、多環のシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、又はアダマンチル基等が好ましい。
酸分解性基としては、第3級のアルキルエステル基、アセタール基、クミルエステル基、エノールエステル基、又はアセタールエステル基が好ましく、アセタール基又は第3級アルキルエステル基がより好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2020105523
式(AI)中、Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−COO−Rt−、及び−O−Rt−等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−が好ましい。Rtは、炭素数1〜5の鎖状アルキレン基が好ましく、−CH−、−(CH−、又は−(CH−がより好ましい。
Tは、単結合がより好ましい。
式(AI)中、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
Xaは、水素原子又はアルキル基が好ましい。
Xaのアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xaのアルキル基は、炭素数1〜4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。Xaのアルキル基としては、メチル基が好ましい。
式(AI)中、Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx〜Rxのいずれか2つが結合して環構造を形成しいてもよい。
Rx、Rx、及びRxのアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基等が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。Rx、Rx、及びRxのアルキル基は、炭素間結合の一部が二重結合であってもよい。
Rx、Rx、及びRxのシクロアルキル基は、単環でも多環でもよい。単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rx、Rx、及びRxの2つが結合して形成する環は単環でも多環でもよい。単環の例としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、及びシクロオクタン環等の単環のシクロアルカン環が挙げられる。多環の例としては、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環等の多環のシクロアルキル環が挙げられる。なかでも、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、又はアダマンタン環が好ましい。
また、Rx、Rx、及びRxの2つが結合して形成する環としては、下記に示す環も好ましい。
Figure 2020105523
以下に式(AI)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げる。下記の具体例は、式(AI)におけるXaがメチル基である場合に相当するが、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換できる。
Figure 2020105523
樹脂Yは、酸分解性基を有する繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂Yが酸分解性基を有する繰り返し単位を含む場合、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量(酸分解性基を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂Yの全繰り返し単位に対して、例えば5モル%以上であり、10モル%以上が好ましい。また、その上限値は特に制限されないが、例えば40モル%以下であり、30モル%以下が好ましい。
<疎水性基を有する繰り返し単位>
樹脂Yは、膜表層への偏在化の観点から、フッ素原子、フッ素原子を有する基、ケイ素原子を有する基、炭素数が6以上の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基、炭素数が9以上のアリール基、炭素数が10以上のアラルキル基、少なくとも1個の炭素数3以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換されたアリール基、及び少なくとも1個の炭素数5以上の環状のアルキル基で置換されたアリール基からなる群より選択される1つ以上の基(以下「疎水性基」ともいう。)を有する繰り返し単位(以下「疎水性基を有する繰り返し単位」ともいう。)を含んでいてもよい。
上記フッ素原子を有する基としては、フッ素原子を有する直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基が好ましい。
上記フッ素原子を有する直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基としては、炭素数1〜6のフルオロアルキル基(例えば、ヘキサフルオロイソプロピル基等)が好ましい。
フッ素原子を有するアリール基としては、例えば、フッ素原子で置換されたフェニル基が挙げられる。
上記ケイ素原子を有する基としては、例えば、アルキルシリル基が挙げられる。
上記アルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、及びtert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
上記炭素数が6以上の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基としては、例えば、炭素数6〜20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基が挙げられ、例えば、2−エチルヘキシル基、ノルボルニル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
上記炭素数が9以上のアリール基としては、例えば、2個以上の5員又は6員の単環芳香族炭化水素環を組み合わせてなる多環構造のアリール基等が挙げられる。
上記炭素数が10以上のアラルキル基としては、例えば、炭素数10〜20のアラルキル基が好ましく、具体的には、1−ナフチルメチル基、1−(1−ナフチル)エチル基、トリフェニルメチル基、及びピレニルメチル基等が挙げられる。
上記少なくとも1個の炭素数3以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換されたアリール基としては、例えば、炭素数3〜20(好ましくは炭素数3〜10)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換されたフェニル基が挙げられる。
上記少なくとも1個の炭素数5以上の環状のアルキル基で置換されたアリール基としては、例えば、炭素数5〜20(好ましくは炭素数5〜10)の環状のアルキル基で置換されたフェニル基が挙げられる。
疎水性基を有する繰り返し単位としては、下記式(AII)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2020105523
式(AII)中、Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
式(AII)中のTで表される2価の連結基は、上述した式(AI)中のTで表される2価の連結基と同義であり、好適態様も同じである。
Tは、単結合が好ましい。
式(AII)中、Xbは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
式(AII)中のXbで表されるハロゲン原子及び1価の有機基は、上述した式(AI)中のXaで表されるハロゲン原子及び1価の有機基と同義であり、好適態様も同じである。
Xbは、なかでも、水素原子又はアルキル基が好ましい。
式(AII)中、Yは、上述した疎水性基を表す。
樹脂Yは、疎水性基を有する繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂Yが疎水性基を有する繰り返し単位を含む場合、疎水性基を有する繰り返し単位の含有量(疎水性基を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂Yの全繰り返し単位に対して、例えば5モル%以上であり、10モル%以上が好ましい。また、その上限値は特に制限されないが、例えば60モル%以下であり、50モル%以下が好ましい。
なお、樹脂Yが、上述した繰り返し単位D1を含む場合、樹脂Yは、酸分解性基を有する繰り返し単位を実質的に含まないことが好ましい。なお、ここでいう「実質的に含まない」とは、樹脂Y中、上記酸分解性基を含む繰り返し単位の含有量が、樹脂Yの全繰り返し単位に対して、5モル%以下であることを意図し、上限は3モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、0モル%が更に好ましい。
また、樹脂Yを構成する繰り返し単位の数は特に制限されない。樹脂Yは、例えば、1〜5種の繰り返し単位で構成されていることが好ましい。なお、「樹脂Yが1〜5種の繰り返し単位で構成されている」とは、樹脂Yの全繰り返し単位に対して、5モル%以上の含有量で含まれる繰り返し単位が1〜5種含まれているとの意図である。なかでも、樹脂Yが上述した繰り返し単位D1を含む場合、樹脂Yは、1種又は4種以上の繰り返し単位で構成されていることがより好ましい。また、樹脂Yが上述した繰り返し単位D2を含む場合、樹脂Yは、3種以上の繰り返し単位で構成されていることがより好ましい。
なお、樹脂Yは、公知の方法により合成できる。
上記樹脂Yの重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、3,000〜20,000が更に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0であり、1.0〜2.6が好ましく、1.0〜2.0がより好ましく、1.1〜2.0が更に好ましい。
上記樹脂Yは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、上記樹脂Yの含有量は、全固形分中に対して、例えば、0.1質量%以上であり、1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、10.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましい。
上記樹脂Yが、繰り返し単位D1を含む場合、樹脂Yの含有量は、樹脂X100質量部に対して、例えば、2.0質量部以上であり、5.5質量部以上が好ましい。なお、その上限値は特に制限されないが、例えば、10.0質量部以下である。
また、上記樹脂Yが、繰り返し単位D2を含む場合、樹脂Yの含有量は、樹脂X100質量部に対して、例えば、2.0質量部以上であり、5.0質量部以上が好ましい。なお、その上限値は特に制限されないが、例えば、10.0質量部以下である。
〔光酸発生剤〕
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう。)を含む。
なお、ここでいう光酸発生剤は、樹脂成分の脱保護反応(酸分解性樹脂の脱保護反応)を起こすため、又は樹脂成分の架橋反応を生起させるために通常用いられる光酸発生剤が該当する。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo−ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0125]〜[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0086]〜[0094]、及び、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0323]〜[0402]に開示された公知の化合物を光酸発生剤として好適に使用できる。
光酸発生剤としては、例えば、下記式(ZI)、式(ZII)、又は式(ZIII)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020105523
上記式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30であり、1〜20が好ましい。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、及びペンチレン基等)、及び−CH−CH−O−CH−CH−が挙げられる。
は、アニオンを表す。
式(ZI)におけるカチオンの好適な態様としては、後述する化合物(ZI−1)、化合物(ZI−2)、化合物(ZI−3)、及び化合物(ZI−4)における対応する基が挙げられる。
なお、光酸発生剤は、式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つと、式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
まず、化合物(ZI−1)について説明する。
化合物(ZI−1)は、上記式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物に含まれるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及びベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖状アルキル基、炭素数3〜15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
201〜R203で表されるアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、又はフェニルチオ基を置換基として有してもよい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
201〜R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1〜30であり、炭素数1〜20が好ましい。
201〜R203は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2−オキソアルキル基が更に好ましい。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基若しくは炭素数3〜10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、又は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が好ましい。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)は、下記式(ZI−3)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 2020105523
式(ZI−3)中、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、各々独立に酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、3〜10員環が挙げられ、4〜8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、及びペンチレン基等が挙げられる。
5cとR6c、及びR5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zcは、アニオンを表す。
次に、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、下記式(ZI−4)で表される。
Figure 2020105523
式(ZI−4)中、
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合は各々独立して、水酸基等の上記基を表す。
15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
は、アニオンを表す。
式(ZI−4)において、R13、R14及びR15で表されるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状である。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基が好ましい。
次に、式(ZII)、及び(ZIII)について説明する。
式(ZII)、及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207で表されるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204〜R207で表されるアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
204〜R207で表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、炭素数3〜10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等)、又は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基等)が好ましい。
204〜R207で表されるアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、置換基を有していてもよい。R204〜R207で表されるアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基等が挙げられる。
は、アニオンを表す。
式(ZI)におけるZ、式(ZII)におけるZ、式(ZI−3)におけるZc、及び式(ZI−4)におけるZとしては、下記式(3)で表されるアニオンが好ましい。
Figure 2020105523
式(3)中、
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R及びRが複数存在する場合、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4が好ましい。R及びRは、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
Lは、2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、−COO−(−C(=O)−O−)、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。なかでも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−、又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO−、−COO−アルキレン基−、又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。なかでも、環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。なかでも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、及びアントリル基が挙げられる。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、及び、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
式(3)で表されるアニオンとしては、SO −CF−CH−OCO−(L)q’−W、SO −CF−CHF−CH−OCO−(L)q’−W、SO −CF−COO−(L)q’−W、SO −CF−CF−CH−CH−(L)q−W、又は、SO −CF−CH(CF)−OCO−(L)q’−Wが好ましい。ここで、L、q及びWは、式(3)と同様である。q’は、0〜10の整数を表す。
一態様において、式(ZI)におけるZ、式(ZII)におけるZ、式(ZI−3)におけるZc、及び式(ZI−4)におけるZとしては、下記の式(4)で表されるアニオンも好ましい。
Figure 2020105523
式(4)中、
B1及びXB2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
B3及びXB4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、式(3)と同様である。
式(ZI)におけるZ、式(ZII)におけるZ、式(ZI−3)におけるZc、及び式(ZI−4)におけるZとしては、下記式(5)で表されるアニオンが好ましい。
Figure 2020105523
式(5)において、Xaは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。Xbは、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない有機基を表す。o、p、q、R、R、L、及びWの定義及び好ましい態様は、式(3)と同様である。
式(ZI)におけるZ、式(ZII)におけるZ、式(ZI−3)におけるZc、及び式(ZI−4)におけるZは、ベンゼンスルホン酸アニオンであってもよく、分岐鎖状アルキル基又はシクロアルキル基によって置換されたベンゼンスルホン酸アニオンであることが好ましい。
式(ZI)におけるZ、式(ZII)におけるZ、式(ZI−3)におけるZc、及び式(ZI−4)におけるZとしては、下記の式(SA1)で表される芳香族スルホン酸アニオンも好ましい。
Figure 2020105523
式(SA1)中、
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び−(D−B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
nは、0以上の整数を表す。nとしては、1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、3が更に好ましい。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基、エステル基、及び、これらの2種以上の組み合わせからなる基等が挙げられる。
Bは、炭化水素基を表す。
Dは単結合であり、Bは脂肪族炭化水素構造であることが好ましい。Bは、イソプロピル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
式(ZI)におけるスルホニウムカチオン、及び式(ZII)におけるヨードニウムカチオンの好ましい例を以下に示す。
Figure 2020105523
式(ZI)におけるアニオンZ、式(ZII)におけるアニオンZ、式(ZI−3)におけるZc、及び式(ZI−4)におけるZの好ましい例を以下に示す。
Figure 2020105523
上記のカチオン及びアニオンを任意に組みわせて光酸発生剤として使用できる。
本発明の組成物は、なかでも、形成されるレジスト膜の後退接触角がより高まる点で、下記式(P−1)〜(P−8)からなる群より選ばれる1種以上の光酸発生剤を含むことが好ましい。
Figure 2020105523
以下に、本発明の組成物が含み得る光酸発生剤の他の一例を示す。なお、これらを併用して使用してもよい。
Figure 2020105523
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、光酸発生剤として、低分子化合物の形態の光酸発生剤と重合体の一部に組み込まれた形態の光酸発生剤とを併用してもよい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂Xの一部に組み込まれてもよく、樹脂Xとは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
組成物中、光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜35.0質量%が好ましく、0.5〜25.0質量%がより好ましく、3.0〜20.0質量%が更に好ましい。
光酸発生剤として、上記式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物を含む場合、組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、5.0〜35.0質量%が好ましく、7.0〜30.0質量%がより好ましい。
〔溶剤〕
本発明の組成物は、溶剤を含む。
本発明の組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]〜[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]〜[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]〜[0426]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]〜[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤として、構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は2−ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜60/40がより好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤でもよい。
〔酸拡散制御剤〕
本発明の組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。酸拡散制御剤としては、例えば、塩基性化合物(CA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(CB)、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(CC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(CD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(CE)等を酸拡散制御剤として使用できる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]〜[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]〜[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]〜[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]〜[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤として好適に使用できる。
塩基性化合物(CA)としては、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2020105523
式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。
式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
塩基性化合物(CA)としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又はピペリジン等が好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等がより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(CB)(以下、「化合物(CB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 2020105523
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1〜3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及びピラジン構造等が挙げられる。
化合物(CB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(CB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認できる。
活性光線又は放射線の照射により化合物(CB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<−1を満たすことが好ましく、−13<pKa<−1を満たすことがより好ましく、−13<pKa<−3を満たすことが更に好ましい。
なお、酸解離定数pKaとは、上述した方法により求めることができる。
本発明の組成物では、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(CC)を酸拡散制御剤として使用できる。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020105523
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Yは直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、Mは各々独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである。
として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンが挙げられる。
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(CC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、該カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(CCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(CCA)としては、下記式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020105523
式(C−1)〜(C−3)中、
、R、及びRは、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−Xは、−COO、−SO 、−SO 、及び−N−Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(−C(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)−)、及びスルフィニル基(−S(=O)−)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、及びLは、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、式(C−3)において、R〜Rのうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
〜Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基等が挙げられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましい。
2価の連結基としてのLは、直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(CD)(以下、「化合物(CD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(CD)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が更に好ましい。
化合物(CD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記式(d−1)で表される。
Figure 2020105523
式(d−1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立に水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はシクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素、及びその誘導体等が挙げられる。
式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに制限されない。
化合物(CD)は、下記式(6)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2020105523
式(6)において、
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(CD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられるが、これに制限されない。
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(CE)(以下、「化合物(CE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子等)が直結していないことが好ましい。
化合物(CE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられるが、これに制限されない。
酸拡散制御剤の好ましい例を以下に示す。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
Figure 2020105523
本発明の組成物において、酸拡散制御剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
組成物中、酸拡散制御剤を含む場合、酸拡散制御剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜10.0質量%が好ましく、0.1〜7.0質量%がより好ましい。
〔疎水性樹脂〕
本発明の組成物は、疎水性樹脂を含んでいてもよい。なお、ここでいう疎水性樹脂には、上述した樹脂X及び樹脂Yは含まれない。
本発明の組成物が、疎水性樹脂を含むことにより、レジスト膜の表面における静的/動的な接触角を制御しやすい。これにより、現像特性の改善、アウトガスの抑制、液浸露光における液浸液追随性の向上、及び液浸欠陥の低減等が可能となる。
疎水性樹脂は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“ケイ素原子”、及び“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂は、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有することが好ましい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう。)
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又はビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSOO−)、及びスルホン酸エステル基(−SOO−)等が挙げられ、ラクトン基又はカルボン酸エステル基(−COO−)が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位としては、例えば、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。又は、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対して、1〜100モル%が好ましく、3〜98モル%がより好ましく、5〜95モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂における、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、上述した樹脂Y中に含まれ得る酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対して、1〜80モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、20〜60モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
フッ素原子有する繰り返し単位は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましい。また、ケイ素原子を有する繰り返し単位は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、20〜100モル%がより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含まない形態も好ましい。また、疎水性樹脂は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
疎水性樹脂)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。
疎水性樹脂に含まれる残存モノマー及び/又はオリゴマー成分の合計含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。また、分散度(Mw/Mn)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3の範囲である。
疎水性樹脂としては、公知の樹脂を、単独又はそれらの混合物として適宜に選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2015/0168830A1号明細書の段落[0451]〜[0704]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0340]〜[0356]に開示された公知の樹脂を疎水性樹脂として好適に使用できる。また、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0177]〜[0258]に開示された繰り返し単位も、疎水性樹脂を構成する繰り返し単位として好ましい。
疎水性樹脂を構成する繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
以下に、本発明の組成物が含み得る疎水性樹脂の具体例を示す。
Figure 2020105523
疎水性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
組成物中に疎水性樹脂が含まれる場合、疎水性樹脂の含有量は、組成物中の全固形分に対し、0.01〜10.0質量%が好ましく、0.05〜8.0質量%がより好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の組成物は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
本発明の組成物が界面活性剤を含む場合、250nm以下、特に220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないパターンを得やすい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用してもよい。
界面活性剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の組成物中に界面活性剤が含まれる場合、界面活性剤の含有量(複数含まれる場合、その合計含有量)は、組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%が好ましく、0.0005〜1質量%がより好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10質量ppm以上とすれば、疎水性樹脂の表面偏在性が上がる。それにより、レジスト膜の表面をより疎水的にでき、液浸露光時の水追随性が向上する。
〔その他の添加剤〕
本発明の組成物は、更に、上述した以外の樹脂、界面活性剤、架橋剤、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、又は溶解促進剤等を含んでいてもよい。
〔調製方法〕
本発明の組成物の固形分濃度は、1.0〜10質量%が好ましく、2.0〜5.7質量%がより好ましく、2.0〜5.3質量%が更に好ましい。つまり組成物が溶剤を含む場合における、組成物中の溶剤の含有量は、上記固形分濃度の好適な範囲を満たせるように調整することが好ましい。なお、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性又は製膜性を向上させて、本発明の組成物からなるレジスト膜の膜厚を調整できる。
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤(好ましくは上記混合溶剤)に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いることが好ましい。
フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。また、組成物の固形分濃度が高い場合(例えば、25質量%以上)は、フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは3μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002−62667号明細書(特開2002−62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
〔物性〕
本発明の組成物から形成される膜の水に対する後退接触角(RCA)は、73°以上であり、76°以上が好ましく、80°以上がより好ましく、81°以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、90°以下の場合が多い。
なお、本明細書中、「膜の水に対する後退接触角」とは、下記条件により成膜された膜の後退接触角を意図する。
<成膜条件>
本発明の組成物を用いてスピンコートによりシリコンウエハ上に塗布した後、100℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚100nmの膜を形成する。次いで、上記膜に対して、水滴50μlを滴下した後、シリコンウエハを傾け、室温23℃、相対湿度45%環境下にて、水滴の後退接触角を測定する。
後退接触角(RCA)は、例えば、樹脂Y中の繰り返し単位の種類及びそのモル比率、及び、組成物中の樹脂Yの含有量を調整することにより、73°以上に制御され得る。
〔用途〕
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
[パターン形成方法、レジスト膜]
本発明は上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。また、パターン形成方法の説明と併せて、本発明のレジスト膜についても説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(i)上述した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)を支持体上に形成する工程(レジスト膜形成工程(成膜工程))、
(ii)上記レジスト膜を露光する(活性光線又は放射線を照射する)工程(露光工程)、及び、
(iii)上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、
を有する。
本発明のパターン形成方法は、上記(i)〜(iii)の工程を含んでいれば特に限定されず、更に下記の工程を有していてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、スキャン速度が700mm/s以上の液浸露光であることが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法において、上述した(i)レジスト膜形成工程(成膜工程)、(ii)露光工程、及び(iii)現像工程は、一般的に知られている方法により行える。
レジスト膜の膜厚は、解像力向上の観点から、110nm以下が好ましく、95nm以下がより好ましい。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜使用できる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用できる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むことが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含むレジスト膜の上層に保護膜を形成してもよい。
支持体は、特に限定されず、IC等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を使用できる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、70〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行え、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光(EUV)、X線、及び電子線等が挙げられる。これらの中でも遠紫外光が好ましく、その波長は250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1〜200nmが更に好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、又は電子線等が好ましく、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV、又は電子線がより好ましく、ArFエキシマ―レーザーが更に好ましい。
(iii)現像工程においては、アルカリ現像液であっても、有機溶剤を含む現像液(以下、有機系現像液ともいう)であってもよい。
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1〜3級アミン、アルコールアミン、及び環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
更に、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は界面活性剤を適当量含んでいてもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10〜15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10〜300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整できる。
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む現像液であることが好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、ブタン酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソブチル、及びプロピオン酸ブチル等が挙げられる。
アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0715]〜[0718]に開示された溶剤を使用できる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、実質的に水分を含まないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が更に好ましく、95〜100質量%が特に好ましい。
現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
界面活性剤の含有量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
有機系現像液は、酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
アルカリ水溶液を用いて現像を行う工程(アルカリ現像工程)、及び有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程(有機溶剤現像工程)を組み合わせてもよい。これにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、より微細なパターンを形成できる。
(iii)現像工程の後に、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
アルカリ現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、例えば純水を使用できる。純水は、界面活性剤を適当量含んでいてもよい。また、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を追加してもよい。更に、リンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行ってもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、パターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含むリンス液を使用することが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明した溶剤と同様の溶剤が挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含むリンス液がより好ましい。
リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。
1価アルコールは炭素数5以上であるのも好ましく、このような例としては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、及びメチルイソブチルカルビノール等が挙げられる。
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすれば、良好な現像特性が得られる。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス液は、界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
リンス工程においては、現像を行った基板を、リンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。なかでも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000〜4,000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去する方法が好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むのも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40〜160℃であり、70〜95℃が好ましく、加熱時間は通常10秒〜3分であり、30秒〜90秒が好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、又はトップコート形成用組成物等)は、金属成分、異性体、及び残存モノマー等の不純物を含まないことが好ましい。上記の各種材料に含まれるこれらの不純物の含有量としては、1質量ppm以下が好ましく、100質量ppt以下がより好ましく、10質量ppt以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過が挙げられる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したフィルターを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。フィルターとしては、日本国特許出願公開第2016−201426号明細書(特開2016−201426)に開示されるような溶出物が低減されたフィルターが好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材を用いて不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着材としては、例えば、日本国特許出願公開第2016−206500号明細書(特開2016−206500)に開示される材料が挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。レジスト成分の各種材料(バインダー及び光酸発生剤等)を合成する製造設備の全工程にグラスライニングの処理を施すのも、pptオーダーまでメタルを低減するために好ましい。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
上記の各種材料は、不純物の混入を防止するために、米国特許出願公開第2015/0227049号明細書、日本国特許出願公開第2015−123351号明細書(特開2015−123351)、及び日本国特許出願公開第2017−13804号明細書(特開2017−13804)等に記載された容器に保存されることが好ましい。
本発明のパターン形成方法により形成されるパターンに、パターンの表面荒れを改善する方法を適用してもよい。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0104957号明細書に開示された、水素を含むガスのプラズマによってパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、日本国特許出願公開第2004−235468号明細書(特開2004−235468)、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、及びProc. of SPIE Vol.8328 83280N−1“EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されるような公知の方法を適用してもよい。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991−270227号明細書(特開平3−270227)、及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
[電子デバイスの製造方法]
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[各種成分]
〔酸分解性樹脂〕
表1に、表3に示される酸分解性樹脂(樹脂A−1〜A−40)の構造を示す。
なお、酸分解性樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、樹脂の組成比(モル%比)は、13C−NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
なお、樹脂A−1〜A−39は、樹脂Xに該当する。また、樹脂A−1、A−3、A−4、A−6、A−8、A−12、A−13、A−14、A−16、及びA−19は、上述した樹脂X−1〜X−10に各々該当する。
Figure 2020105523
以下に、表1にて示される各種モノマーを示す。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
Figure 2020105523
〔疎水性樹脂〕
表2に、表3に示される疎水性樹脂(樹脂E−1〜E−20)の構造を示す。
なお、疎水性樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、樹脂の組成比(モル%比)は、13C−NMRにより測定した。
なお、樹脂E−1〜E−15は、樹脂Yに該当する。具体的には、樹脂E−1〜E−7は、上述した式(I)で表される基を含む繰り返し単位D1を含み、樹脂E−8〜E−11は、上述した式(II)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位D2を含み、樹脂E−12〜E−15は、上述した式(I)で表される基を含む繰り返し単位D1と、上述した式(II)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位D2とを含む。
また、以下に示すモノマー(Z−2)に由来する繰り返し単位は、上述した式(Y−1)で表される繰り返し単位に該当し、以下に示すモノマー(I−5)に由来する繰り返し単位は、上述した式(Y−2)で表される繰り返し単位に該当する。
Figure 2020105523
以下に、表2にて示される各種モノマーを示す。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
〔光酸発生剤〕
表3に示される光酸発生剤(P−1〜P−8、及びPX−1)の構造を以下に示す。
Figure 2020105523
〔酸拡散制御剤〕
表3に示される酸拡散制御剤(D−1〜D−4)の構造を以下に示す。
Figure 2020105523
〔溶剤〕
表3に示される溶剤を以下に示す。
F−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
F−2:シクロヘキサノン
F−3:γ−ブチロラクトン
F−4:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
F−5:2−ヘプタノン
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の調製]
表3に示した各種成分を混合し、得られた混合液を0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、レジスト組成物ともいう)を調製した。得られたレジスト組成物を、実施例及び比較例で使用した。
Figure 2020105523
Figure 2020105523
[後退接触角(RCA)の評価]
表3に示す各レジスト組成物を、スピンコートにより4インチのシリコンウエハ上に塗布した後、100℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚100nmの膜を形成した。次いで、得られた膜上に水滴50μlを滴下した後、シリコンウエハを傾け、水滴の滑り出す水滴後方側の角度を後退接触角(RCA)として、接触角(°)を測定した。なお、測定環境は、室温23℃、相対湿度45%である。
結果を表4に示す。
[パターン形成(A)及び評価]
〔レジスト膜の形成〕
シリコンウエハ(12インチ口径)上に反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記表3に示すレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
〔ArF露光〕
次いで、得られたレジスト膜をArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1950i、NA1.35、Dipole、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、Y偏向)を用い、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して、スキャン速度800mm/sで液浸露光した。液浸液としては超純水を使用した。
〔アルカリ現像〕
その後、90℃で60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
上記45nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成できる最少露光量を実効感度とした。次いで、下記手順により、塗布後(露光前)引き置きにおける線幅変化、及び露光後引き置きにおける線幅変化を評価した。
[塗布後(露光前)引き置き後の線幅変化評価及び露光後引き置き後の線幅変化評価]
〔塗布後(露光前)引き置き後の線幅変化評価〕
<パターン形成(B)>
上述したパターン形成(A)と同様の方法により〔レジスト膜形成〕を実施した後、得られたレジスト膜付きウェハを大気下で24時間保管した。次いで、上記実効感度にて、上述したパターン形成(A)と同様の方法により〔ArF露光〕及び〔アルカリ現像〕を実施することで、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
(評価)
得られた線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンについて、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)にてパターン上部から観察し、線幅を50ポイント測定し、その平均値を「塗布後(露光前)引き置き後の平均線幅値(nm)」とした。次いで下記式(1)により「塗布後(露光前)引き置き後の線幅変化量(nm)」を求め、後述する評価基準により評価を実施した。
なお、下記式(1)中、「通常処理の平均線幅値(nm)」とは、塗布後(露光前)引き置き、及び露光後引き置きをいずれもせずにパターン形成を実施した場合の平均線幅値(nm)を意図する。つまり、上述したパターン形成(A)により得られた線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンについて、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)にてパターン上部から観察し、線幅を50ポイント測定したときの平均値を意図する。
式(1):塗布後(露光前)引き置き後の線幅変化量(nm)=(塗布後(露光前)引き置き後の平均線幅値(nm))−(通常処理の平均線幅値(nm))
(評価基準)
「A」:線幅変化が1.0nm以下
「B」:線幅変化が1.0nm超2.0nm以下
「C」:線幅変化が2.0nm超3.0nm以下
「D」:線幅変化が3.0nm超
結果を表4に示す。
〔露光後引き置き後の線幅変化評価〕
<パターン形成(C)>
上述したパターン形成(A)と同様の方法により〔レジスト膜形成〕及び〔ArF露光〕を実施した後、得られた露光後のレジスト膜付きウェハを大気下で24時間保管した。次いで、上述したパターン形成(A)と同様の方法により〔アルカリ現像〕を実施することで、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
(評価)
得られた線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンについて、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)にてパターン上部から観察し、線幅を50ポイント測定し、その平均値を「露光後引き置き後の平均線幅値(nm)」とした。次いで下記式(2)により、「露光後引き置き後の線幅変化量(nm)」を求め、後述する評価基準により評価を実施した。なお、下記式(2)中「通常処理の平均線幅値(nm)」とは、上述した式(1)中の「通常処理の平均線幅値(nm)」と同義である。
式(2):露光後引き置き後の線幅変化量(nm)=(露光後引き置き後の平均線幅値(nm))-(通常処理の平均線幅値(nm))
(評価基準)
「A」:線幅変化が1.0nm以下
「B」:線幅変化が1.0nm超2.0nm以下
「C」:線幅変化が2.0nm超3.0nm以下
「D」:線幅変化が3.0nm超
結果を表4に示す。
Figure 2020105523
表1の結果から、実施例のレジスト組成物によれば、塗布後(露光前)の引き置き及び露光後の引き置きによるパターンの線幅変化が抑制されたレジスト膜を形成できることが明らかである。
また、表1の結果から、レジスト組成物により形成される膜のRCAが76°以上である場合、塗布後(露光前)の引き置き及び露光後の引き置きによるパターンの線幅変化がより抑制されたレジスト膜を形成できる(塗布後(露光前)の引き置き及び露光後の引き置きによるパターンの線幅変化の評価結果の少なくとも一方が「B」以上の評価となる)ことが明らかである。特に、レジスト組成物により形成される膜のRCAが81°以上である場合、塗布後(露光前)の引き置き及び露光後の引き置きによるパターンの線幅変化が更に一層抑制されたレジスト膜を形成できる(塗布後(露光前)の引き置き及び露光後の引き置きによるパターンの線幅変化の評価結果の少なくとも一方が「A」評価となる)ことが明らかである。
一方、比較例のレジスト組成物では、所定の要求を満たさないことが明らかである。

Claims (14)

  1. 樹脂Xと、樹脂Yと、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、溶剤と、を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
    前記樹脂Xは、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂であって、下記モノマー群Aから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Aと下記モノマー群Bから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Bとを含み、
    前記樹脂Yは、下記式(I)で表される基を含む繰り返し単位D1及び下記式(II)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位D2の少なくとも一方の繰り返し単位を含み、
    前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成される膜の水に対する後退接触角が73°以上である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    モノマー群A:
    Figure 2020105523
    モノマー群B:
    Figure 2020105523
    式(I):
    Figure 2020105523
    式(I)中、Rは、炭素数1〜20の1価のアルカリ解離性基を表す。Mは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表す。Lは、隣接するカルボニル基に結合する炭素原子を有する炭素数1〜20の2価の有機基を表す。なお、前記Lと前記Mとは、互いに結合して環員数3〜20の脂環構造又は脂肪族複素環構造を形成してもよい。*は、結合手を表す。
    式(II):
    Figure 2020105523
    式(II)中、R11は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。R12は、炭素数1〜10のフッ素化炭化水素基、又は式(IIA)で表される基を表す。R13及びR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。A11及びA12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基、又は*−A13−X11−(A14−X12)a−A15−を表す。*は、酸素原子との結合手を表す。但し、A11及びA12において、酸素原子と結合する炭素原子は3級炭素原子ではない。A13、A14及びA15は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。X11及びX12は、それぞれ独立に、酸素原子、−CO−O−、又は−O−CO−を表す。aは、0又は1を表す。
    式(IIA):
    Figure 2020105523
    式(IIA)中、AT1は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基を表す。XT1は、−CO−O−、又は−O−CO−を表す。AT2は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。但し、AT1及びAT2のうちの少なくとも一方は、フッ素原子を1つ以上含む。*は、カルボニル基との結合手を表す。
  2. 前記モノマー群Aが、下記モノマー群A1である、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    モノマー群A1:
    Figure 2020105523
  3. 前記モノマー群Bが、下記モノマー群B1である、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    モノマー群B1:
    Figure 2020105523
  4. 前記樹脂Xが、更に、下記モノマー群Cから選ばれる1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位Cを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    モノマー群C:
    Figure 2020105523
  5. 前記繰り返し単位Cが、下記式(c−2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位である、請求項4に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020105523
  6. 前記樹脂Xが、下記式(X−1)〜(X−10)で表される樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020105523
    Figure 2020105523
  7. 前記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物が、下記式(P−1)〜(P−8)からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020105523
  8. 前記繰り返し単位D1が下記式(Y−1)で表される繰り返し単位を含み、前記繰り返し単位D2が下記式(Y−2)で表される繰り返し単位を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2020105523
  9. 前記後退接触角が81°以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  10. 更に、酸拡散制御剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて得られるレジスト膜。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を露光する露光工程と、
    露光された前記レジスト膜を、現像液を用いて現像する現像工程と、を含む、パターン形成方法。
  13. 前記露光工程が、スキャン速度が700mm/s以上の液浸露光工程である、請求項12に記載のパターン形成方法。
  14. 請求項12又は13に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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