JPWO2020100778A1 - 結露検出素子 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって、結露を正確かつ迅速(高応答)に検出することが肝要になる。正確かつ迅速に結露の発生を検知できれば、効率的に結露対策を行うことが可能になり、省エネルギーにもつながる。ここで、結露の正確な検知とは、結露を高感度かつ高精度に検知することを意味する。
電気抵抗式の湿度センサーは、一般に、センサー素子の乾湿応答材料として高分子やセラミックなどが用いられており、材料が安価であることや構造がシンプルであるため量産による低コスト化が可能である。しかしながら、電気抵抗式湿度センサーは、経時変化が非常に大きく、多くの場合、温度依存性も大きいため、温度補正が必要である。さらに、電気抵抗式湿度センサーは、精度のばらつきが大きく(±5〜15%RH程度)、応答も遅い(30秒〜数分以上)。
静電容量式の湿度センサーは、一般に、センサー素子の乾湿応答材料として高分子膜が用いられており、電気抵抗式と比較して応答速度が速く(通常数秒〜10秒前後)、精度・再現性・信頼性に優れているが、生産コストが高いという問題がある。
さらに、電気抵抗式および静電容量式のいずれの湿度センサーの場合でも、相対湿度100%、すなわち完全に結露し、いわゆる浸水した状態では、適切に計測できないことに加え、乾燥状態に戻らず、使用不能となることがある。さらに、センサーを駆動するための外部駆動電源を必要としており、装置が大型、複雑化している。
例えば、食品庫内の結露を検知するために湿度をモニターした場合、高精度かつ迅速(高速、高応答)に湿度がモニターされたとしても、湿度と結露が必ずしも1:1の関係があるわけではないので、結露が正確かつ迅速に検知されるわけではない。すなわち、結露は、湿度に加え、空気中の異物や結露が起こる物体面の汚れ、形状、疎水性など様々な要因の影響を受けて発生するので、湿度のみのモニターでは結露を正確かつ迅速には検知できない。
この液滴検出の方法は、液滴の直接測定であるため、結露の正確かつ迅速な測定に適するポテンシャルを有する。なお、液滴の検出器は、例えば特許文献1および特許文献2に開示がある。
本発明の課題は、被測定物上の結露の正確かつ迅速な測定、検出を行うことができる結露検出器を提供することである。
(構成1)
第1の金属の細線電極と、前記第1の金属とは異なる第2の金属の細線電極とを並置し、前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極間を流れる電流によって、前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極に接触する水滴の有無を検出する結露検出部と、
前記水滴による結露の検出を電気信号として出力する出力部を少なくとも有する周辺回路部からなり、
前記結露検出部は第1の基板部上に形成されており、
前記周辺回路部は第2の基板部上に形成されており、
前記第1の基板部は前記第2の基板部より熱伝導率が高く、かつ熱容量が小さい、結露検出素子。
(構成2)
前記第1の基板部は、前記第2の基板部より単位面積当たりの熱伝導率が高く、かつ単位面積当たりの熱容量が小さい、構成1記載の結露検出素子。
(構成3)
前記第1の基板部は、被測定物と直接接触する構造を有する、構成1または2に記載の結露検出素子。
(構成4)
前記第1の基板部は、ヒートシンク部を有する、構成1または2に記載の結露検出素子。
(構成5)
前記第1の基板部は、被測定物と接触する側を除いて、前記第1の基板部より熱伝導性の低い部材で囲われている、構成1から4の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成6)
前記第1の基板部は、前記第2の基板部によって周囲を囲われている、構成1から5の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成7)
前記第1の基板部は、前記第2の基板部と場所的に分かれて配置されている、構成1から6の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成8)
前記第1の基板部の厚さは、前記第2の基板部の厚さより薄い、構成1から7の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成9)
前記結露検出部は、前記周辺回路部とボンディング配線により電気的に繋がれている、構成1から8の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成10)
前記周辺回路部は、電気信号増幅部、電流電圧変換部、アナログデジタル信号変換部、0/1信号への2値化部、無線伝送部、信号端子部および電源部の群から選ばれる1以上を有する、構成1から9の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成11)
前記第1の金属は、金、白金、銀、チタンおよびこれらの合金、並びに炭素からなる群から選択される、構成1から10の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成12)
前記第2の金属は、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム、スズ、クロム、モリブデン、マンガン、マグネシウムおよびこれらの合金からなる群から選択される、構成1から11の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成13)
前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極との間隔は、5nm以上200000nm以下である、構成1から12の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成14)
前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極の少なくとも一方は複数本設けられ、
前記第1の金属の細線電極と前記2の金属の細線電極とは互いに対向する方向から相手側に向かって伸びることにより、互いに平行に併走する、構成1から13の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成15)
前記第1の基板部は、アルミニウム、銅、シリコン、ダイヤモンドおよびグラファイトの群から選ばれる1以上、あるいはアルミニウム、銅、シリコン、炭素の群から選ばれる1以上を含む合金または化合物の上に絶縁膜が形成された部材を有する、構成1から14の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成16)
前記第2の基板部は、樹脂、ガラス、およびセラミックの群から選ばれる1以上の部材を有する、構成1から15の何れか1に記載の結露検出素子。
以下本発明を実施するための第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
このため、発明者は、微小な液滴を検出する液滴センサー(液滴検出素子)を用いて結露の検出を試みた。
ここで、第1の基板部10は、第2の基板部20より熱伝導率が高く、かつ熱容量が小さい。その上で、第1の基板部10は第2の基板部20と空間的に離れている。このため、結露による水滴を検出するところの温度は周辺回路からの発熱による影響を受けにくい。
また、第1の基板部10は、被測定物30上に直に形成された構造になっている。このため、結露による水滴を検出するところの温度は被測定物の温度とほぼ同じになる。
以上のことから、結露検出素子101は、被測定物上の結露を高精度、高感度かつ高い応答性(高速性)をもって検出可能な結露検出素子になる。
水は超純水状態では導電率が低く絶縁的であるが、少なくとも10‐7mol/Lずつ存在する水素イオンおよび水酸化物イオンやコンタミなどにより微量の電解成分が含まれると、計測可能なガルバニ電流が流れる。
このような細線電極同士を平行に配置することで、細線電極間の近接部分の長さ(以下、併走距離と称する)を増大させる構成としては、例えば、櫛形構造や、二重渦巻き構造を挙げることができる。一定の平面領域内で2つの電極の併走距離をできるだけ長くするための構造自体は半導体素子分野等でよく知られているので、そのような構造も必要に応じて採用してもよい。なお、本発明において、「細線電極を基板上に並置する」とは、基板上に置かれる複数の細線電極の相互の向きを特定するものではなく、細線電極を基板の同一平面上に離間させて配置することをいう。
第2の細線電極15の材料としては、第2の細線電極15をアノードとする場合、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)およびこれらの合金を挙げることができる。ただし、第1の細線電極14として銀またはその合金を用いる場合には、第2の細線電極15の材料としては銀およびその合金以外を用いる。
なお、第1の電極11は第1の細線電極14と、第2の電極12は第2の細線電極15と同じ材料とすると、結露検出素子101の製造工程が簡単化されるので好ましい。
また、細線電極間距離を非常に狭くした場合には、アノード電極の消耗による細線電極間距離のわずかな増大が測定結果に与える影響が大きくなる。このような影響が問題になる場合には、例えば、アノード電極の金属の消耗が原理的にはガルバニ電流の時間積分に比例することを利用して、測定結果に対して補償演算を行うという測定系全体としての対策も可能である。
これらの材料は基板として十分な剛性をもち、かつ熱伝導率が高いという特徴をもつ。その上で、単位体積当たりの熱容量も比較的小さい。
特に、アルミニウムおよび銅は、適度な柔軟性をもつので、被測定物の測定面が複雑な曲面であってもその曲面にフィッティングさせて被測定物に直付けの接触面を得るのに好適という特徴を有する。このため、薄膜アルミニウムやアルミテープを第1の基板10に用いることも好ましい。
第1の基板10の厚さは、基板としての剛性が得られる範囲で薄い方が、熱伝導性を上げて、かつ熱容量を下げる上で好ましい。例えば、第1の基板10の厚さとしては、50μm以上1500μm以下を挙げることができる。
絶縁膜の膜厚は、10nm以上200nm以下が好ましい。絶縁膜の膜厚が10nmを下回ると、絶縁性が不足しやすく、またピンホールなどによる絶縁不良の発生頻度が高くなる。絶縁膜の膜厚が200nmを上回ると、結露検出部111の熱伝導性を高め、また熱容量を下げる上で好ましくない。
実施の形態1では、周辺回路入力電極21,22、周辺回路要部23、出力電極25,26からなり、周辺回路要部23と周辺回路入力電極21,22および出力電極25,26が配線24で電気的に繋がれている場合が周辺回路部112の例として示されているが(図1)、出力電極25,26は無線出力回路に置き換えることもできる。
具体的な第2の基板20の部材としては、アクリルやポリカーボネートなどの樹脂、石英ガラスやソーダライムガラスのようなガラス、および炭化シリコン(SiC)などのセラミックの群から選ばれる1以上の部材を挙げることができる。
第2の基板20の部材としてはイソプレーンゴム、シリコーンゴムなどのゴムも使用可能である。但し、ゴムの場合は、一般的に配線や電極との密着性が低いので、配線や電極の一部がゴムに埋め込まれる等の密着性を向上させる方法と組み合わせて使用されるのが好ましい。
これらの材料は熱伝導率が比較的低いことで知られている材料である。なお、一般的に、熱伝導率が低い材料は電気的絶縁性も高い。
第2の基板20の厚さが第1の基板10の厚さより厚いと、熱伝導性は第1の基板10の方が高めやすく、熱容量は第1の基板10の方が小さくしやすい。このため、第1の基板10の厚さは第2の基板20の厚さより薄い方が好ましい。
以上のことから、結露検出素子101は、被測定物上の結露を高精度、高感度かつ高い応答性(高速性)をもって検出可能な結露検出素子になる。
ヒートシンクを用いて結露検出部の温度を被測定物30の温度に近づけてもよい。その例を、図3を参照しながら実施の形態2で説明する。
実施の形態2の結露検出素子102は、第1の基板10と被測定物30の間にヒートシンク16が形成されている結露検出部113を有することを特徴としている。その他は、実施の形態1と同じである。
また、ヒートシンク16は、その材料および形状を適当なものとすることにより、結露検出部113の熱容量を所望の値に制御することが可能となる。
結露検出部は周辺回路部で囲われることも有効である。その例を、図4を参照しながら実施の形態3で説明する。
実施の形態3の結露検出素子103は、結露検出部111が周辺回路部114によって囲われていること、言い換えれば第1の基板部10が第2の基板20によって囲われていることを特徴とする。第2の基板20は熱伝導性が低い上に、結露検出部111と周辺回路部114が空間的にも、熱的にも隔離されているため、結露検出部111は周辺回路要部23からの発熱の影響を受けにくい。その上で、結露検出部111は、熱容量が比較的大きくて熱伝導性が低い第2の基板20が壁になって風などの外界の影響を避けることができ、被測定物30に近い環境での結露検出が可能になるという特徴を有する。
ここで、図4では、出力電極に代えて無線出力部29が備えられ、周辺回路要部23と無線出力部29は配線33によって電気的に繋がれ、周辺回路入力電極を周辺回路入力電極28として周辺回路要部23に組み込まれた例を示している。その他は、実施の形態1と同じである。
なお、周辺回路要部23の中の発熱源となる素子(図示なし)は、結露検出部111からなるべく離れた位置に配置されることが好ましい。
結露検出部は被測定物30と接触する側を除いて第1の基板10より熱伝導性の低い部材で囲われることも有効である。その例を、図5を参照しながら実施の形態4で説明する。
実施の形態4の結露検出素子104は、結露検出素子103の構造をベースに開口となっていた結露検出部111の上に通気性熱絶縁膜34が形成され、結露検出部111が被測定物30と接触する側を除いて第1の基板部10より熱伝導性の低い部材で覆われた構造になっている。その他は、実施の形態3と同じである。
この構造は、結露検出素子103よりさらに外界の影響を受けにくい構造となっているので、被測定物30に近い環境での結露検出が可能になるという特徴を有する。
ここで、通気性熱絶縁膜34としては、多孔性ポリウレタン、グラスファイバーなどを挙げることができる。通気性であるため、水滴が形成される環境は被測定物30上とほぼ等しい。
結露検出部を周辺回路部で囲い、かつヒートシンクを用いて結露検出部の温度を被測定物30の温度に近づけることも有効である。その例を、図6を参照しながら実施の形態5で説明する。
実施の形態5の結露検出素子105は、第1の基板10と被測定物30の間にヒートシンク16が形成されている結露検出部113が周辺回路部114によって囲われていることを特徴とする。その他は、実施の形態2と同じである。
この構造は、実施の形態2と実施の形態3を組み合わせた構成で、両実施の形態の足し合わせの効果が得られる。すなわち、結露検出素子105は、外界の影響を受けにくく、被測定物30に近い環境での結露検出が可能になるという特徴を有する。
実施の形態6は、図7に示すように、1つの基板40を用いて結露検出部(第1の基板部)41と周辺回路部(第2の基板部42)を形成した結露検出素子106の例である。基板40の第1の基板部41に対応する場所には空間が形成され、その空間には基板40および被測定物30と接触するヒートシンク16が配置される。その他は、実施の形態2に準拠している。
具体的には、アルミニウム、銅、シリコン、ダイヤモンドおよびグラファイトの群から選ばれる1以上、あるいはアルミニウム、銅、シリコン、炭素の群から選ばれる1以上を含む合金または化合物の上に、酸化シリコン(SiOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化ハフニウム(HfOx)などの酸化膜、窒化膜および酸窒化膜などの絶縁膜が形成された基板を挙げることができる。また、アクリルやポリカーボネートなどの樹脂、石英ガラスやソーダライムガラスのようなガラス、および炭化シリコン(SiC)などのセラミックの群から選ばれる1以上の部材を挙げることもできる。
以上のことから、結露検出素子106は、被測定物30上の結露を高精度、高感度かつ高い応答性(高速性)をもって検出可能な結露検出素子になる。
また、結露検出素子106は、第1の電極11および第2の電極12と周辺回路入力電極28が同一の基板40の表面に形成されるため、それらの電極を繋ぐ配線33の形成が容易で、信頼性も高いものになるという特徴をもつ。
また、このような微小な水滴や水膜の検知が可能になると、被測定物上に結露が発生する前にエアコンやヒーターの稼働といった結露防止策を効率的に施すことが可能になり、有用である。
したがって、本発明の結露検出素子は、効率的な結露予防用検出素子、および錆の発生、成長、金属等の部材の腐食、摩擦力の変化、カビの繁殖、生育などの現象に関連した定量化素子としても活用することが可能である。
実施例1では、2つの電極を櫛形に配置した結露検出部を有する結露検出素子106の実施例について説明する。当然ながら、本発明はこのような特定の形式に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲により規定されるものである。
実施例1で用いた第1の細線電極14、第2の細線電極15、第1の電極11および第2の電極12のレイアウトを図8に示す。
カソード電極、アノード電極は各々10本ずつとし、長さ1000μmに亘って両電極を交互に併走させた。ここで、電極間の距離(間隔)は10μmとした。
図9に示すように、結露検出素子106の表面温度は被測定物30であるペルチェ素子の温度を反映してほぼ直線的に低下し、約200秒で安定した。その温度は、熱絶縁被覆膜が形成されていない場合は、被測定物30の温度より約7℃高い15℃となり、熱絶縁被覆膜が形成されている場合は、ペルチェ素子の温度と等しい8℃になった。
本発明の結露検出素子は、被測定物の温度に近い温度で動作させることが可能で、熱絶縁被覆膜で覆うとさらに被測定物の温度に近い温度で動作させることが可能であることがわかった。
ペルチェ素子の温度が下がるにしたがい、水分子の吸着により結露検出素子106の出力電流は直線的に増し、約18.3℃のところで急激に電流が増大する。これは、この温度で水滴が形成され結露状態になるためであり、実際、目視にてこの温度で結露が観察された。また、出力電流の値および出力電流曲線の変曲点とノイズを比較すると、この出力電流特性から結露発生時を検出できる十分なS/N比が確保されていることがわかる。
この結果から、結露は被測定物の温度に依存すること、および結露の発生や有無を本発明の結露検出素子で検出できることが立証された。
実施例2では、環境および結露検出部の温湿度と結露検出の関係を調べた。
特性評価装置201は、結露検出部51、周辺回路、計測回路部52、熱伝導基板(Alフォーク)53、ペルチェ素子54、配線55、テストチャンバー56、湿度調整空気導入口57、通気用パイプ58、バッファーチャンバー59、排気口60および温度、湿度測定装置61からなる。
結露検出部51は、表面がシリコン酸化膜で覆われた厚さ500μmのシリコン基板を用いて作製され、その上に第1の細線電極としての金(Au)からなるカソード電極と第2の細線電極となるアルミニウム(Al)からなるアノード電極が櫛形に配置されている。第1の細線電極と第2の細線電極との間隔は10μmと0.5μmの2水準、第1および第2とも細線電極の厚さは150nm、幅は1μmとした。結露検出部の大きさは5mm×5mmである。
熱伝導性が高く熱容量の小さな結露検出部51は、セラミックパッケージ(京セラ(株)製)に収められ、その底部はAlフォークからなる熱伝導基板53に接している。熱伝導基板53はペルチェ素子54により、その温度が制御されている。したがって、結露検出部51はその温度を所望の値に制御できるようになっていて、その温度は結露検出部51に設けられた白金(Pt)ワイヤーを用いた温度計によりモニターされる。
バッファーチャンバー59には温度、湿度測定装置(E+E Electronic製 EE23)が置かれ、結露検出部51の環境の温度および湿度がモニターされるようになっている。
図12(a)からわかるように、環境温度(26℃)、環境(相対)湿度(50%)は観測した10分間に渡って一定であるが、検出部の温度をペルチェ素子54を用い、Alフォーク53を一種のヒートシンクとして下げていくと、検出部の湿度も上昇し、検出部上に結露が生じた。この検出部上の結露は、検出部上に設けた顕微鏡による目視観察により行った。観察上の結露(露点)は15.1℃であった。一方、理論上の露点は15.2℃であり、誤差を考えると十分一致するものであった。
この結露検出素子の結露検出部で検知された電流は、図12(b)および(c)に示されるように、結露が観測された時間のところで急激に上昇し、この電流検知により十分高い精度で結露が検出されることを確認した。
その上で、本実施例のように、熱伝導性が高く熱容量も小さい結露検出部51を用い、熱伝導性が低いセラミックスパッケージで覆い、周辺回路や計測回路部52などを熱的に分離配置することにより、結露を観測すべき対象面であるAlフォーク53上の結露発生が正確に検知できることを示している。
また、言い方を変えると、Alフォーク53をヒートシンクと見なすと、熱伝導性が高く熱容量も小さい結露検出部51を用い、熱伝導性が低いセラミックスパッケージで覆い、ヒートシンクを配置し、周辺回路や計測回路部52などを熱的に分離配置することにより、ヒートシンク(Alフォーク53)に接触した結露を観測すべき対象面(ペルチェ素子54)の結露発生が正確に検知できることを示している。
図13(a)からわかるように、環境温度(26℃)、環境(相対)湿度(50%)は観測した130分間に渡ってほぼ一定であるが、検出部の温度をペルチェ素子54を用い、Alフォーク53を一種のヒートシンクとして下げていくと、検出部の湿度も上昇し、検出部上に結露が生じた。この検出部上の結露は、検出部上に設けた顕微鏡による目視観察により行った。観察上の結露は15.3℃であった。
この結露検出素子の結露検出部で検知された電流は、図13(b)に示されるように、結露が観測された時間のところで急激に上昇し、この電流検知により十分高い精度で結露が検出されることを確認した。
その上で、本実施例のように、熱伝導性が高く熱容量も小さい結露検出部51を用い、熱伝導性が低いセラミックスパッケージで覆い、周辺回路や計測回路部52などを熱的に分離配置することにより、結露を観測すべき対象面であるAlフォーク53上の結露発生が正確に検知できることを示している。
また、言い方を変えると、Alフォーク53をヒートシンクと見なすと、熱伝導性が高く熱容量も小さい結露検出部51を用い、熱伝導性が低いセラミックスパッケージで覆い、ヒートシンクを配置し、周辺回路や計測回路部52などを熱的に分離配置することにより、ヒートシンク(Alフォーク53)に接触した結露を観測すべき対象面(ペルチェ素子54)の結露発生が正確に検知できることを示している。
このような微小な水滴や水膜は、程度の差はあれ結露と同じように、錆の発生、成長、金属等の部材の腐食、摩擦力の変化、カビの繁殖、生育に影響を与えるので、この検出は有用である。
また、このような微小な水滴や水膜の検知が可能になると、被測定物上に結露が発生する前にエアコンやヒーターの稼働といった結露防止策を効率的に施すことが可能になり、有用である。
本発明の結露検出素子は、このような結露に成長する前の微小な水滴や水膜を、しかも被測定物上の環境で正確に検出が可能という特徴も有する。このことにより、本発明の結露検出素子は、効率的な結露予防用検出素子、および錆の発生、成長、金属等の部材の腐食、摩擦力の変化、カビの繁殖、生育などの現象に関連した定量化素子としても活用することが可能である。
本発明による結露検出素子は、上記説明のように、被測定物上の結露を高感度、高精度かつ迅速(高速、高応答)に検知できるものなので、結露管理を十分行うためのモニター手段となるため、民生用途から産業用用途まで幅広い分野で使用される可能性が高い。
11:第1の電極
12:第2の電極
14:第1の細線電極(第1の金属の細線電極、カソード電極)
15:第2の細線電極(第2の金属の細線電極、アノード電極)
16:ヒートシンク
20:第2の基板部(第2の基板、周辺回路部基板)
21:周辺回路入力電極
22:周辺回路入力電極
23:周辺回路要部
24:配線
25:出力電極
26:出力電極
28:周辺回路入力電極
29:無線出力部
30:被測定物
31:配線
32:配線
33:配線
34:通気性熱絶縁膜
40:基板
41:結露検出部(第1の基板部)
42:周辺回路部(第2の基板部)
51:結露検出部
52:周辺回路、計測回路部
53:熱伝導基板(Alフォーク)
54:ペルチェ素子
55:配線
56:テストチャンバー
57:湿度調整空気導入口
58:通気パイプ
59:バッファーチャンバー
60:排気口
61:温度、湿度測定装置
101:結露検出素子
102:結露検出素子
103:結露検出素子
104:結露検出素子
105:結露検出素子
106:結露検出素子
111:結露検出部
112:周辺回路部
113:結露検出部
114:周辺回路部
210:特性評価装置
(構成1)
第1の金属の細線電極と、前記第1の金属とは異なる第2の金属の細線電極とを並置し、前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極間を流れる電流によって、前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極に接触する水滴の有無を検出する結露検出部と、
前記水滴による結露の検出を電気信号として出力する出力部を少なくとも有する周辺回路部からなり、
前記結露検出部は第1の基板部上に形成されており、
前記周辺回路部は第2の基板部上に形成されており、
前記第1の基板部は前記第2の基板部より熱伝導率が高く、かつ熱容量が小さい、結露検出素子。
(構成2)
前記第1の基板部は、前記第2の基板部より単位面積当たりの熱伝導率が高く、かつ単位面積当たりの熱容量が小さい、構成1記載の結露検出素子。
(構成3)
前記第1の基板部は、被測定物と直接接触する構造を有する、構成1または2に記載の結露検出素子。
(構成4)
前記第1の基板部は、ヒートシンク部を有する、構成1または2に記載の結露検出素子。
(構成5)
前記第1の基板部は、被測定物と接触する側を除いて、前記第1の基板部より熱伝導性の低い部材で囲われている、構成1から4の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成6)
前記第1の基板部は、前記第2の基板部によって周囲を囲われている、構成1から5の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成7)
前記第1の基板部は、前記第2の基板部と場所的に分かれて配置されている、構成1から6の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成8)
前記第1の基板部の厚さは、前記第2の基板部の厚さより薄い、構成1から7の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成9)
前記結露検出部は、前記周辺回路部とボンディング配線により電気的に繋がれている、構成1から8の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成10)
前記周辺回路部は、電気信号増幅部、電流電圧変換部、アナログデジタル信号変換部、0/1信号への2値化部、無線伝送部、信号端子部および電源部の群から選ばれる1以上を有する、構成1から9の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成11)
前記第1の金属は、金、白金、銀、チタンおよびこれらの合金、並びに炭素からなる群から選択される、構成1から10の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成12)
前記第2の金属は、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム、スズ、クロム、モリブデン、マンガン、マグネシウムおよびこれらの合金からなる群から選択される、構成1から11の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成13)
前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極との間隔は、5nm以上200000nm以下である、構成1から12の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成14)
前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極の少なくとも一方は複数本設けられ、
前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極とは互いに対向する方向から相手側に向かって伸びることにより、互いに平行に併走する、構成1から13の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成15)
前記第1の基板部は、アルミニウム、銅、シリコン、ダイヤモンドおよびグラファイトの群から選ばれる1以上、あるいはアルミニウム、銅、シリコン、炭素の群から選ばれる1以上を含む合金または化合物の上に絶縁膜が形成された部材を有する、構成1から14の何れか1に記載の結露検出素子。
(構成16)
前記第2の基板部は、樹脂、ガラス、およびセラミックの群から選ばれる1以上の部材を有する、構成1から15の何れか1に記載の結露検出素子。
図9に示すように、結露検出素子106の表面温度は被測定物30であるペルチェ素子の温度を反映してほぼ直線的に低下し、約200分で安定した。その温度は、熱絶縁被覆膜が形成されていない場合は、被測定物30の温度より約7℃高い15℃となり、熱絶縁被覆膜が形成されている場合は、ペルチェ素子の温度と等しい8℃になった。
本発明の結露検出素子は、被測定物の温度に近い温度で動作させることが可能で、熱絶縁被覆膜で覆うとさらに被測定物の温度に近い温度で動作させることが可能であることがわかった。
結露検出部51は、表面がシリコン酸化膜で覆われた厚さ500μmのシリコン基板を用いて作製され、その上に第1の細線電極としての金(Au)からなるカソード電極と第2の細線電極となるアルミニウム(Al)からなるアノード電極が櫛形に配置されている。第1の細線電極と第2の細線電極との間隔は10μmと0.5μmの2水準、第1および第2とも細線電極の厚さは150nm、幅は1μmとした。結露検出部の大きさは5mm×5mmである。
熱伝導性が高く熱容量の小さな結露検出部51は、セラミックパッケージ(京セラ(株)製)に収められ、その底部はAlフォークからなる熱伝導基板53に接している。熱伝導基板53はペルチェ素子54により、その温度が制御されている。したがって、結露検出部51はその温度を所望の値に制御できるようになっていて、その温度は結露検出部51に設けられた白金(Pt)ワイヤーを用いた温度計によりモニターされる。
Claims (16)
- 第1の金属の細線電極と、前記第1の金属とは異なる第2の金属の細線電極とを並置し、前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極間を流れる電流によって、前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極に接触する水滴の有無を検出する結露検出部と、
前記水滴による結露の検出を電気信号として出力する出力部を少なくとも有する周辺回路部からなり、
前記結露検出部は第1の基板部上に形成されており、
前記周辺回路部は第2の基板部上に形成されており、
前記第1の基板部は前記第2の基板部より熱伝導率が高く、かつ熱容量が小さい、結露検出素子。 - 前記第1の基板部は、前記第2の基板部より単位面積当たりの熱伝導率が高く、かつ単位面積当たりの熱容量が小さい、請求項1記載の結露検出素子。
- 前記第1の基板部は、被測定物と直接接触する構造を有する、請求項1または2に記載の結露検出素子。
- 前記第1の基板部は、ヒートシンク部を有する、請求項1または2に記載の結露検出素子。
- 前記第1の基板部は、被測定物と接触する側を除いて、前記第1の基板部より熱伝導性の低い部材で囲われている、請求項1から4の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第1の基板部は、前記第2の基板部によって周囲を囲われている、請求項1から5の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第1の基板部は、前記第2の基板部と場所的に分かれて配置されている、請求項1から6の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第1の基板部の厚さは、前記第2の基板部の厚さより薄い、請求項1から7の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記結露検出部は、前記周辺回路部とボンディング配線により電気的に繋がれている、請求項1から8の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記周辺回路部は、電気信号増幅部、電流電圧変換部、アナログデジタル信号変換部、0/1信号への2値化部、無線伝送部、信号端子部および電源部の群から選ばれる1以上を有する、請求項1から9の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第1の金属は、金、白金、銀、チタンおよびこれらの合金、並びに炭素からなる群から選択される、請求項1から10の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第2の金属は、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム、スズ、クロム、モリブデン、マンガン、マグネシウムおよびこれらの合金からなる群から選択される、請求項1から11の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極との間隔は、5nm以上200000nm以下である、請求項1から12の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第1の金属の細線電極と前記第2の金属の細線電極の少なくとも一方は複数本設けられ、
前記第1の金属の細線電極と前記2の金属の細線電極とは互いに対向する方向から相手側に向かって伸びることにより、互いに平行に併走する、請求項1から13の何れか1に記載の結露検出素子。 - 前記第1の基板部は、アルミニウム、銅、シリコン、ダイヤモンドおよびグラファイトの群から選ばれる1以上、あるいはアルミニウム、銅、シリコン、炭素の群から選ばれる1以上を含む合金または化合物の上に絶縁膜が形成された部材を有する、請求項1から14の何れか1に記載の結露検出素子。
- 前記第2の基板部は、樹脂、ガラス、およびセラミックの群から選ばれる1以上の部材を有する、請求項1から15の何れか1に記載の結露検出素子。
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