JPWO2020096008A1 - 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス - Google Patents

炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020096008A1
JPWO2020096008A1 JP2020555597A JP2020555597A JPWO2020096008A1 JP WO2020096008 A1 JPWO2020096008 A1 JP WO2020096008A1 JP 2020555597 A JP2020555597 A JP 2020555597A JP 2020555597 A JP2020555597 A JP 2020555597A JP WO2020096008 A1 JPWO2020096008 A1 JP WO2020096008A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbonaceous material
oxidizing gas
electrode
surface area
specific surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020555597A
Other languages
English (en)
Inventor
裕之 西浪
裕之 西浪
裕美加 西田
裕美加 西田
西村 修志
修志 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Publication of JPWO2020096008A1 publication Critical patent/JPWO2020096008A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/05Preparation or purification of carbon not covered by groups C01B32/15, C01B32/20, C01B32/25, C01B32/30
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/30Active carbon
    • C01B32/312Preparation
    • C01B32/318Preparation characterised by the starting materials
    • C01B32/324Preparation characterised by the starting materials from waste materials, e.g. tyres or spent sulfite pulp liquor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/30Active carbon
    • C01B32/312Preparation
    • C01B32/336Preparation characterised by gaseous activating agents
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G11/00Hybrid capacitors, i.e. capacitors having different positive and negative electrodes; Electric double-layer [EDL] capacitors; Processes for the manufacture thereof or of parts thereof
    • H01G11/22Electrodes
    • H01G11/24Electrodes characterised by structural features of the materials making up or comprised in the electrodes, e.g. form, surface area or porosity; characterised by the structural features of powders or particles used therefor
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G11/00Hybrid capacitors, i.e. capacitors having different positive and negative electrodes; Electric double-layer [EDL] capacitors; Processes for the manufacture thereof or of parts thereof
    • H01G11/22Electrodes
    • H01G11/30Electrodes characterised by their material
    • H01G11/32Carbon-based
    • H01G11/34Carbon-based characterised by carbonisation or activation of carbon
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G11/00Hybrid capacitors, i.e. capacitors having different positive and negative electrodes; Electric double-layer [EDL] capacitors; Processes for the manufacture thereof or of parts thereof
    • H01G11/22Electrodes
    • H01G11/30Electrodes characterised by their material
    • H01G11/32Carbon-based
    • H01G11/44Raw materials therefor, e.g. resins or coal
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/12Surface area
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/40Electric properties
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/80Compositional purity

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、BET比表面積が1550〜2500m2/gであり、比表面積あたりの酸素含量/水素含量の値が1.00〜2.04mg/m2である、炭素質材料に関する。

Description

本発明は、炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイスに関する。
電気化学デバイスの1つである電気二重層キャパシタは、化学反応を伴わず物理的なイオンの吸脱着のみから得られる容量(電気二重層容量)を利用しているため、電池と比較して出力特性および寿命特性に優れている。また、電気化学デバイスの1つであるリチウムイオンキャパシタは、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を高めることができるハイブリッドキャパシタとして注目されている。近年では、これら電気化学デバイスの優れた特性と、環境問題への早急な対策といった点から、補助電源、回生エネルギーの貯蔵用途として電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)への搭載などでも注目されている。このような車載用の電気化学デバイスには、より高エネルギー密度であることだけでなく、民生用途と比較して厳しい使用条件下(たとえば厳しい温度環境下)における高い耐久性や静電容量のさらなる向上が求められている。
このような要求に対し、電気化学デバイスの耐久性や静電容量を改善させるための方法が種々検討されている。例えば、特許文献1および2には、静電容量を高め、且つ、耐久後のガス発生を抑えるために、粉砕前あるいは粉砕後の活性炭に対して高温で熱処理することが開示されている。また、特許文献3には、アルカリ賦活によって得られる高比表面積化、且つ、高結晶化した活性炭の静電容量および耐久性の向上について記載されている。
国際公開第2008/053919号パンフレット 特開2011−11935号公報 特開2017−147338号公報
しかしながら、上記特許文献1および2で記載されるような高温下での熱処理は、活性炭の比表面積や細孔容積の低下を生じやすい。このため、同文献に記載されるような活性炭を電気化学デバイスに使用すると重量当たりおよび体積当たりの初期静電容量が低下する可能性がある。また、上記特許文献3に記載されるようなアルカリ賦活により得られる活性炭は賦活時、炭素量と同等以上の薬剤を加えることが一般的であり、アルカリ賦活後、残留する薬剤を取り除く工程が必要となる為、製造方法が煩雑となる。また水蒸気賦活で得られる活性炭と比較して、賦活時における官能基の量が多くなり、耐久性が低下する可能性がある。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、初期静電容量が高く、充放電時のガス発生抑制効果や耐久性にも優れた電気化学デバイスを得ることができる、炭素質材料およびその製造方法、前記炭素質材料からなる電気化学デバイス用電極活物質、それを用いた電気化学デバイス用電極並びに電気化学デバイスを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、炭素質材料およびその製造方法について詳細に検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕BET比表面積が1550〜2500m/gであり、比表面積あたりの酸素含量/水素含量の値が1.00〜2.04mg/mである、炭素質材料。
〔2〕荷重12kNにおける粉体抵抗測定による導電率が9S/cm以下である、前記〔1〕に記載の炭素質材料。
〔3〕水素含量が0.44〜1.00質量%である、前記〔1〕または〔2〕に記載の炭素質材料。
〔4〕酸素含量/水素含量の値が2.0〜4.3である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の炭素質材料。
〔5〕前記炭素質材料が植物由来の炭素前駆体に基づく、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の炭素質材料。
〔6〕前記炭素前駆体が椰子殻由来である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の炭素質材料。
〔7〕原料炭素質材料を330℃以上に酸化性ガス雰囲気下で加熱する加熱工程と、酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱された原料炭素質材料を非酸化性ガス雰囲気下で降温する降温工程とを含み、
前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が1回含まれる場合には、前記加熱工程に続けて前記降温工程が実施され、
前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が複数回含まれる場合には、少なくとも最終の酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程に続けて前記降温工程が実施される、炭素質材料の製造方法。
〔8〕前記降温工程において、原料炭素質材料の温度を200℃以下まで降温する、前記〔7〕に記載の炭素質材料の製造方法。
〔9〕前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の炭素質材料から形成される電気化学デバイス用電極活物質。
〔10〕前記〔9〕に記載の電気化学デバイス用電極活物質含む電気化学デバイス用電極。
〔11〕前記〔10〕に記載の電気化学デバイス用電極を備える電気化学デバイス。
本発明によれば、初期静電容量が高く、充放電時のガス発生抑制効果や耐久性にも優れた電気化学デバイスを得ることができる、炭素質材料およびその製造方法、前記炭素質材料からなる電気化学デバイス用電極活物質、それを用いた電気化学デバイス用電極並びに電気化学デバイスを提供することができる。
シート状の電極組成物を示す図である。 導電性接着剤が塗布された集電体(エッチングアルミニウム箔)を示す図である。 シート状の電極組成物と集電体を接着しアルミニウム製タブを超音波溶接した分極性電極を示す図である。 袋状の外装シートを示す図である。 電気化学デバイスを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
なお、本発明においては、前記降温工程における降温処理を行う前の炭素質物質を「原料炭素質材料」といい、原料炭素質材料に前記最終加熱処理を行い、前記降温処理を施すことにより得られる炭素質物質を「炭素質材料」という。
[炭素質材料]
本発明の炭素質材料において、BET比表面積は1550〜2500m/gであり、比表面積あたりの水素含量/酸素含量の値は1.00〜2.04mg/mである。
本発明の炭素質材料のBET比表面積は、1550m/g以上であり、1600m/g以上であることが好ましく、1650m/g以上であることがさらに好ましく、また、2500m/g以下であり、2450m/g以下であることが好ましく、2400m/g以下であることがより好ましい。一般に、単位面積あたりの静電容量は一定である。そのため、BET比表面積が1550m/g未満であると、単位質量あたりの静電容量を十分に高めることが難しい。また、平均細孔径が相対的に小さいため、大電流下における充放電時に細孔内での非水系電解質イオンの拡散抵抗によると思われる抵抗が大きくなる傾向にある。一方で、BET比表面積が2500m/gを超えると、電極用炭素質材料を用いて製造した電極の嵩密度が低くなり、体積あたりの静電容量が低くなる傾向がある。
なお、本発明において、BET比表面積は窒素吸着法により算出することができ、例えば、後述の実施例に記載の方法により算出することができる。
本発明の炭素質材料は、比表面積あたりの酸素含量(質量%)/水素含量(質量%)の値が(以下、単に「比表面積あたりのO/H」と記載する場合がある。)1.00mg/m以上であり、1.10mg/m以上であることが好ましく、1.20mg/m以上であることがより好ましく、また、2.04mg/m以下であり、2.02mg/m以下であることが好ましく、2.00mg/m以下であることがより好ましい。本発明において「酸素含量、O」とは、後述される元素分析の測定結果から得られる炭素質材料中の酸素質量を示しており、炭素質材料表面に存在している表面酸素量と、骨格内に組み込まれて存在する酸素量との総和を示す。また「水素含量、H」は、炭素質材料の炭素結晶外周部に存在している水素量を示す。ここで炭素質材料表面に存在している表面酸素量は、耐久性悪化やガス発生の一因とされる官能基の程度を表し、炭素質材料の骨格内に組み込まれて存在する酸素量と、結晶外周部に存在している水素量は、炭素結晶構造の発達度合いを表す。従って、比表面積あたりのO/Hは炭素質材料の炭素結晶の成長を抑え、且つ、耐久性やガス発生の観点からの適正な酸素量を示すための指標となる。そのため、比表面積あたりのO/Hが上記下限値以上であると、炭素質材料表面の酸素が適度に存在している状態でありバインダーとの親和性が向上すると推測され、電極成形性に優れる。また、炭素質材料の炭素構造が十分に発達した状態であり結晶性が高いことにより炭素質材料自身の電気伝導率が向上すると推測される。一方で、比表面積あたりのO/Hが上記上限値以下であれば、炭素質材料表面に存在している表面酸素量が適度に低下した状態であり、充放電時のガス発生が抑制されると推測される。また、炭素質材料の炭素結晶構造の過度な発達を抑制でき、それに伴う炭素質材料の細孔の収縮が抑制されると推測され、質量当たりの初期静電容量の低下を抑制しやすい。炭素質材料の比表面積あたりのO/Hの値は、後述する本発明の製造方法において、特に酸化性ガス雰囲気下、330℃以上で加熱された原料炭素質材料を非酸化性ガス雰囲気下で降温する工程を行うことにより調整できる。なお、本発明における比表面積あたりのO/Hの値は、後述する実施例に記載の方法に従い算出される値である。
本発明の炭素質材料の平均細孔径は、好ましくは1.82nm以上、より好ましくは1.83nm以上、さらに好ましくは1.84nm以上である。平均細孔径が上記下限値以上であると、大電流下における充放電時に細孔内での非水系電解質イオンの拡散抵抗によると思われる抵抗が小さくなる傾向にある。また、本発明の炭素質材料の平均細孔径は、好ましくは2.60nm以下、より好ましくは2.55nm以下、さらに好ましくは2.50nm以下である。平均細孔径が上記上限値以下であると、電極用炭素質材料を用いて製造した電極の嵩密度が高くなり、体積当たりの静電容量が高くなる傾向がある。炭素質材料のBET比表面積および平均細孔径を、それぞれ上記上限下限の範囲に制御することにより、単位質量および体積当たりの高い静電容量を確保し、かつ、抵抗の小さい電気化学デバイスを得るのにより適した炭素質材料を得ることができる。なお、平均細孔径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明の炭素質材料の全細孔容積は、好ましくは0.75cm/g以上であり、より好ましくは0.76cm/g以上であり、さらに好ましくは0.77cm/g以上である。全細孔容積が上記下限値以上であると、大電流下における充放電時に細孔内での非水系電解質イオンの拡散抵抗によると思われる抵抗が小さくなる傾向にある。また、本発明の炭素質材料の全細孔容積は、好ましくは1.30cm/g以下であり、より好ましくは1.29cm/g以下であり、さらに好ましくは1.28cm/g以下である。全細孔容積が上記上限値以下であると、電極用炭素質材料を用いて製造した電極の嵩密度が高くなり、体積当たりの静電容量が高くなる傾向がある。なお、全細孔容積は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の炭素質材料は、荷重12kNにおける粉体抵抗測定による導電率が9S/cm以下であることが好ましく、8.5S/cm以下であることがより好ましい。導電率が上記上限値以下であると、炭素質材料の炭素結晶構造の過度な発達を抑制することができ、それに伴う炭素質材料の細孔の収縮を抑制できるため、重量当たりの初期静電容量の低下を抑制する傾向にある。また、導電率の下限値は特に限定されるものではないが、導電率が低すぎると抵抗が大きくなることから、好ましくは5S/cm以上、より好ましくは6S/cm以上である。
本発明の炭素質材料の水素含量(以下、単に「H」と記載する場合がある。)は0.44質量%以上であることが好ましく、0.45質量%以上であることがより好ましく、0.46質量%以上であることがさらに好ましく、また、1.00質量%以下であることが好ましく、0.9質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらに好ましい。Hが上記下限値以上であると、結晶外周部にある程度の水素が存在している状態であり、炭素質材料の炭素結晶構造の過度な発達が抑制され、それに伴う炭素質材料の細孔収縮も抑制されていると考えられるため、重量当たりの初期静電容量の低下が抑制される傾向にある。一方で、Hが上記上限値以下であると、結晶性が高いことにより、炭素質材料自身の電気伝導率が向上すると考えられ、抵抗が小さくなる傾向にある。
本発明の炭素質材料は、酸素含量(質量%)/水素含量(質量%)の値が2.0以上であることが好ましく、2.25以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、2.6以上であることが特に好ましく、2.7以上であることがより特に好ましく、また、4.3以下であることが好ましく、4.2以下であることがより好ましく、4.1以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、ガスの発生抑制効果や静電容量の低下抑制効果をより高めることができる。
本発明の炭素質材料の平均粒子径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、また、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。上記範囲内であると、電極用炭素質材料を用いて製造した電極の薄層化を可能とし、また、嵩密度が向上し、体積あたりの静電容量が高くなる傾向がある。なお本発明における平均粒子径の値は、後述する実施例に記載の方法に従い算出される値である。
[炭素質材料の製造方法]
本発明の炭素質材料は、例えば、原料炭素質材料を330℃以上に加熱する加熱工程と、酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱された原料炭素質材料を非酸化性ガス雰囲気下で降温する降温工程とを含む方法により製造することができる。前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が1回含まれる場合には、前記加熱工程に続けて前記降温工程が実施され、前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が複数回含まれる場合には、少なくとも最終の酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程に続けて前記降温工程が実施される。
炭素質材料を酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱する最終の加熱工程後に、該加熱工程で330℃以上に加熱された原料炭素質材料を非酸化性ガス雰囲気下で冷却することにより、細孔収縮を抑制しながら、得られる炭素質材料の表面に存在する表面酸素量を低減することができ、初期静電容量が高く、かつ、充放電時のガス発生抑制効果や耐久性に優れた電気化学デバイスを作製し得る炭素質材料を得ることができる。したがって、本発明は、原料炭素質材料を330℃以上に酸化性ガス雰囲気下で加熱する加熱工程と、酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱された原料炭素質材料を非酸化性ガス雰囲気下で降温する降温工程とを含み、
前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が1回含まれる場合には、前記加熱工程に続けて前記降温工程が実施され、
前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が複数回含まれる場合には、少なくとも最終の酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程に続けて前記降温工程が実施される、炭素質材料の製造方法も対象とする。
上記製造方法において、酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程としては、例えば原料である炭素前駆体の炭化物を賦活する賦活工程や、必要に応じて不純物を除去する酸洗浄工程後に行われる、脱酸工程などが挙げられる。賦活工程は目的とする比表面積を得るため、1段階で実施してもよく、2段階以上に分けて実施してもよい。また、物質内の不純物を除去する酸洗浄は、賦活終了後に実施してもよく、多段階賦活の途中に実施してもよく、数回繰り返して実施することも可能である。酸洗浄後、細孔内に残留する酸成分、例えば、塩素分を除去するために、加熱処理(脱酸工程)を行うことが好ましい。本発明においては、原料炭素質材料を酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱する工程のうち最終の加熱工程終了後の降温過程において、非酸化性ガス雰囲気下で原料炭素質材料を冷却することが重要である。なお、酸化性ガス雰囲気下で実施される前記加熱工程が複数回行われる場合、最終の加熱工程により330℃以上に加熱された原料炭素質材料の降温工程以外の降温(冷却)は、非酸化性雰囲気下で行ってもよいし、酸化性ガス雰囲気下で行ってもよい。また、本発明の炭素質材料の製造方法は、最終の酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程により330℃以上に加熱された原料炭素質材料の降温を非酸化性ガス雰囲気下で実施した後に、本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて非酸化性ガス雰囲気下での加熱を含んでいてもよいが、加熱による細孔収縮を可能な限り回避するためには、本発明の製造方法に含まれる原料炭素質材料を330℃以上に加熱する工程のうち最終の加熱工程が酸化性ガス雰囲気下で行われ、それに続く降温過程が非酸化性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。以下、各工程について詳細に記載する。
本発明において、炭素質材料の原料となる炭素前駆体は、賦活することによって炭素質材料を形成するものであれば特に限定されず、植物由来の炭素前駆体、鉱物由来の炭素前駆体、天然素材由来の炭素前駆体および合成素材由来の炭素前駆体などから広く選択することができる。有害不純物を低減する観点、環境保護の観点および商業的な観点からは、本発明の炭素質材料は、植物由来の炭素前駆体に基づくものであることが好ましく、言い換えると、本発明の炭素質材料となる炭素前駆体が植物由来であることが好ましい。
鉱物由来の炭素前駆体としては、例えば石油系および石炭系ピッチ、コークスが挙げられる。天然素材由来の炭素前駆体としては、例えば木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維が挙げられる。合成素材由来の炭素前駆体としては、例えばナイロンなどのポリアミド系、ビニロンなどのポリビニルアルコール系、アクリルなどのポリアクリロニトリル系、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオリフィン系、ポリウレタン、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂が挙げられる。
本発明において、植物由来の炭素前駆体としては、特に制限されないが、例えば椰子殻、珈琲豆、茶葉、サトウキビ、果実(例えば、みかん、バナナ)、藁、籾殻、広葉樹、針葉樹、竹が例示される。この例示は、本来の用途に供した後の廃棄物(例えば、使用済みの茶葉)、あるいは植物原料の一部(例えば、バナナやみかんの皮)を包含する。これらの植物原料を、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの植物原料の中でも、入手が容易で種々の特性を有する炭素質材料を製造できることから、椰子殻が好ましい。したがって、本発明の炭素質材料は、植物由来の炭素前駆体に基づくものであることが好ましく、椰子殻由来の炭素前駆体に基づくものであることがより好ましい。
椰子殻としては、特に限定されないが、例えばパームヤシ(アブラヤシ)、ココヤシ、サラク、オオミヤシ等の椰子殻が挙げられる。これらの椰子殻を、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。椰子を、食品、洗剤原料、バイオディーゼル油原料等として利用した後に大量に発生するバイオマス廃棄物であるココヤシおよびパームヤシの椰子殻が、入手容易性の観点から特に好ましい。
[炭化工程]
炭素前駆体から炭化物を得る方法としては、特に限定されるものではなく、当該分野において既知の方法を用いて製造することができる。例えば、原料となる炭素前駆体を、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、一酸化炭素もしくは燃料排ガスなどの不活性ガス、これら不活性ガスの混合ガス、またはこれら不活性ガスを主成分とする他のガスとの混合ガスの雰囲気下、400〜800℃程度の温度で焼成する(炭化処理)することによって製造することができる。
[賦活工程]
本発明において、原料となる炭素質材料は、例えば、上記炭化物を賦活処理することにより得ることができる。賦活処理とは、炭化物の表面に細孔を形成し多孔質の炭素質物質に変える処理であり、これにより大きな比表面積および細孔容積を有する炭素質物質(原料炭素質材料)を得ることができる。賦活処理を行わず、炭化物をそのまま用いた場合には、得られる炭素質物質の比表面積や細孔容積が十分でなく、電極材料に用いた場合に、十分に高い初期静電容量を確保することが困難であり、本発明の炭素質材料を得ることは困難である。賦活処理(賦活工程)は、通常炭化物を加熱することが必要であり、得られる原料炭素質材料は賦活工程に伴って330℃以上に加熱される。したがって、賦活工程は、本発明における加熱工程の一態様となり得る。賦活処理は、当該分野において一般的な方法により行うことができ、主に、ガス賦活処理と薬剤賦活処理の2種類の処理方法を挙げることができる。
ガス賦活処理としては、例えば、水蒸気、二酸化炭素、空気、酸素、燃焼ガス、またはこれらの混合ガスの存在下、炭化物を加熱する方法が知られている。また、薬剤賦活処理としては、例えば、塩化亜鉛、塩化カルシウム、リン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの賦活剤を炭素前駆体或いは炭素前駆体の炭化物と混合し、不活性ガス雰囲気下で加熱する方法が知られている。本発明においては、薬剤賦活は残留する薬剤を取り除く工程が必要となり、製造方法が煩雑となり、また賦活時における官能基の量も多くなるためガス賦活処理を用いることが好ましい。
ガス賦活処理として水蒸気賦活を採用する場合、効率良く賦活を進行させる観点から、炭化処理の際に用いたものと同様の不活性ガスと水蒸気との混合物を用いることが好ましく、その際の水蒸気の分圧は10〜60%の範囲であることが好ましい。水蒸気分圧が10%以上であると賦活を十分に進行させやすく、60%以下であると、急激な賦活反応を抑制し、反応をコントロールしやすい。
水蒸気賦活において供給する賦活ガスの総量は、炭化物100質量部に対して、50〜10000質量部以上であることが好ましく、100〜5000質量部以上であることがより好ましく、200〜3000質量部以上であることがさらに好ましい。供給する賦活ガスの総量が上記範囲内であると、賦活反応をより効率よく進行させることができる。
炭素質材料の比表面積や細孔容積は、炭化物の賦活処理方法およびその条件等を変えることにより制御することができる。例えば、水蒸気賦活処理により原料炭素質材料を得る場合、用いるガス種、濃度や加熱温度および反応時間等により制御することができる。本発明において、水蒸気賦活処理により原料炭素質材料を得る場合、その加熱温度(賦活温度)は用いるガスの種類にもよるが、通常700〜1100℃であり、800〜1000℃であることが好ましい。また、加熱時間や昇温速度は特に限定されるものではなく、加熱温度、所望する原料炭素質材料の比表面積等に応じて適宜決定すればよい。
[酸洗浄工程]
本発明において、炭素質材料の製造方法は酸洗浄工程を含んでいてもよい。酸洗浄工程は、原料炭素質材料を、酸を含む洗浄液により洗浄することにより、原料炭素質材料中に含まれる金属成分等の不純物を除去するための工程である。酸洗浄工程は、賦活後に得られた原料炭素質材料を、酸を含む洗浄液に浸漬することによって行うことができる。洗浄液としては、例えば鉱酸または有機酸が挙げられる。鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及び酒石酸、クエン酸等の飽和カルボン酸、安息香酸およびテレフタル酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。洗浄液に用いる酸は、洗浄性の観点から、鉱酸であることが好ましく、塩酸であることがより好ましい。なお、酸を用いて洗浄を行った後、さらに水等を用いて洗浄して余剰の酸の除去を行うことが好ましい。この操作によって後工程での設備への負荷を軽減することができる。賦活工程が一次賦活工程もしくは多段階賦活工程に分かれている場合は、酸洗浄工程は一次賦活工程後に行われてもよく、多段階賦活工程後に行われてもよい。
洗浄液は、通常、酸と水性溶液とを混合して調製することができる。水性溶液としては、水、水と水溶性有機溶媒との混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピレングリコール、エチレングリコールなどのアルコールが挙げられる。
洗浄液中の酸の濃度は特に限定されるものではなく、用いる酸の種類に応じて濃度を適宜調整してよい。洗浄液の酸濃度は、洗浄液の総量に基づいて、0.1〜3.0%であることが好ましく、0.3〜1.0%であることがより好ましい。塩酸濃度が低過ぎると、不純物を除去するために酸洗回数を増やす必要があり、逆に高過ぎると、残留する塩酸が多くなる。上記範囲の濃度とすることにより、効率よく酸洗浄工程を行うことができ、生産性の面から好ましい。
洗浄液のpHは、特に限定されるものではなく、用いる酸の種類や除去対象等に応じて適宜調節してよい。
酸洗や水洗をする際の液温度は特に限定されるものではないが、0〜98℃であることが好ましく、10〜95℃であることがより好ましく、15〜90℃であることがさらに好ましい。原料炭素質材料を浸漬する際の洗浄液の温度が上記範囲内であれば、実用的な時間かつ装置への負荷を抑制した洗浄の実施が可能となるため望ましい。
原料炭素質材料を洗浄液に浸漬する際の、洗浄液と炭素質材料との質量割合は、用いる洗浄液の種類、濃度および温度等に応じて適宜調節してよい。洗浄液の質量に対する、浸漬させる原料炭素質材料の質量は、通常0.1〜50質量%であり、1〜20質量%であることが好ましく、1.5〜10質量%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、洗浄液に溶出した不純物が洗浄液から析出しにくく、原料炭素質材料への再付着を抑制しやすく、また、容積効率が適切となるため経済性の観点から望ましい。
洗浄を行う雰囲気は特に限定されず、洗浄に使用する方法に応じて適宜選択してよい。本発明において洗浄は、通常、大気雰囲気中で実施する。
洗浄は、1種の洗浄液で1回または複数回行ってもよいし、2種以上の洗浄液を組み合わせて複数回行ってもよい。
原料炭素質材料を洗浄する方法としては、原料炭素質材料を洗浄液に浸漬させることができる限り特に限定されず、洗浄液を連続的に添加し、所定の時間滞留させ、抜き取りながら浸漬を行う方法でも、原料炭素質材料を洗浄液に浸漬し、所定の時間滞留させ、脱液した後、新たに洗浄液を添加して浸漬−脱液を繰り返す方法であってもよい。また、洗浄液の全部を更新する方法であってもよいし、洗浄液の一部を更新する方法であってもよい。原料炭素質材料を洗浄液に浸漬する時間としては、用いる酸、酸の濃度、処理温度等に応じて適宜調節することができる。
[脱酸工程]
本発明において、炭素質材料の製造方法は、酸洗浄後に残留する酸洗浄液に由来する酸(例えば、塩酸等)を除去するための脱酸工程を含んでいてもよい。本発明において、脱酸工程は、酸洗浄後に酸化性ガス雰囲気下で原料炭素質材料を加熱することにより行うことができる。脱酸工程において、通常、原料炭素質材料は330℃以上に加熱されるため、脱酸工程は、本発明における加熱工程の一態様となり得る。また、酸化性ガスとの接触時間や温度を調整し、さらなる賦活反応を伴いながら残留する酸を除去することが可能である。
酸化性ガスとしては、上記ガス賦活工程で用いられるガスを利用することができる。なお、本発明において「酸化性ガス雰囲気下」とは、容器内における原料炭素質材料あたりの酸化性ガスの総量が1.5L/kg以上の状態を意味する。
上記処理温度としては、500〜1000℃であることが好ましく、650〜850℃であることがより好ましい。上記温度範囲内であると、原料炭素質材料の細孔構造に大きな変化を与えることなく脱酸できるため好ましい。時間は、温度によって異なるが、通常30分〜3時間程度である。
上記賦活工程あるいは脱酸工程において用いられる、炭素前駆体あるいはヤシガラ由来の原料炭素質材料の平均粒子径は、賦活、脱酸工程に応じて粒径を調整することができる。
上記炭化、賦活および脱酸の方式は、特に限定されないが、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、多段床方式、ロータリーキルンなどの公知の方式が採用できる。
[加熱後の降温工程]
本発明の炭素質材料の製造方法は、酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱された原料炭素質材料を、非酸化性ガス雰囲気下で降温する降温工程を含む。すなわち、降温時の環境に存在する酸化性ガス(例えば酸素)と炭素表面の反応による官能基の形成を抑制するため、原料炭素質材料を酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱する工程のうち最終の加熱工程終了後の降温過程を、非酸化性ガス雰囲気下で行う工程を含む。これにより、本発明の炭素質材料を得ることができる。賦活処理後や脱酸工程後に、原料炭素質材料の表面に存在する酸性官能基を除去するために不活性ガス雰囲気下で原料炭素質材料を加熱する方法が知られているが、かかる方法では加熱により細孔収縮が生じやすく、電気化学デバイスに用いた際の十分に高い初期静電容量を確保することが困難な場合がある。また、加熱のためのさらなる工程が必要となったり、加熱条件を厳密に制御する必要性が生じたりするなど、生産性の面での課題もある。本発明においては、原料炭素質材料表面に存在する酸性官能基を低減するための不活性ガス雰囲気下における原料炭素質材料の加熱を必要としないため、細孔収縮を生じることなく初期静電容量の高い電気化学デバイスを作製し得る炭素質材料を得ることができる。
降温工程においては、非酸化性ガス雰囲気下で原料炭素質材料の温度を好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下まで降温する。上記温度までの降温時間は降温環境に存在する酸化性ガスの量にもよるが、生産性も合わせ鑑みると3時間以内、好ましくは1時間以内が望ましい。また、間接冷却装置(たとえば冷却キルン等)を用い、降温速度を速め、原料炭素質材料が酸化されうる温度領域の時間を短縮することが酸化抑制、生産性の観点からより望ましい。
非酸化性ガスとは、例えば、窒素ガス、乾燥水素ガス、アンモニアガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガス、一酸化炭素ガス、炭化水素ガスが挙げられる。これらのガスは、1種類のみ単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合した混合ガスとして用いてもよい。
非酸化性ガス雰囲気下とは、例えば空気等の酸化性ガスを多く含む雰囲気に比べ、酸化性ガスが大幅に低減された雰囲気下を意味する。具体的に、本発明において「非酸化性ガス雰囲気下」とは、容器内における原料炭素質材料あたりの酸化性ガスの総量が0.7L/kg以下の状態を意味する。本発明の効果をより高めるため、降温時の環境に存在する酸化性ガスの総量が原料炭素質材料あたり0.5L/Kg以下であることが好ましく、0.1L/Kg以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば降温過程における、酸化性ガスと炭素表面の反応による官能基の形成を抑制することができる。
[粉砕工程]
本発明において、炭素質材料の製造方法は粉砕工程を含んでいてもよい。粉砕工程は、最終的に得られる炭素質材料の形状や粒径を所望する形状や粒径に制御するための工程である。本発明の炭素質材料は、その特性上、特に電気化学デバイスなどに用いる非水系分極性電極の材料として適しており、そのような用途に適する粒径として、平均粒子径が好ましくは4〜15μm、より好ましくは5〜10μmとなるよう炭素質材料を粉砕することが好ましい。
粉砕に用いる粉砕機は、特に限定されるものではなく、例えば、コーンクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、ディスククラッシャー、ロータリークラッシャー、ボールミル、遠心ロールミル、リングロールミル、遠心ボールミル、ジェットミルなどの公知の粉砕機を、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
[分級工程]
本発明において、炭素質材料の製造方法は分級工程を含んでもよい。例えば、粒子径が1μm以下の粒子を除くことにより狭い粒度分布幅を有する炭素質材料粒子を得ることが可能となる。このような微粒子除去により、電極構成時のバインダー量を少なくすることが可能となる。分級方法は、特に制限されないが、例えば篩を用いた分級、湿式分級、乾式分級を挙げることができる。湿式分級機としては、例えば重力分級、慣性分級、水力分級、遠心分級等の原理を利用した分級機を挙げることができる。乾式分級機としては、沈降分級、機械的分級、遠心分級等の原理を利用した分級機を挙げることができる。経済性の観点から、乾式分級機を用いることが好ましい。
粉砕と分級とを、1つの装置を用いて実施することもできる。例えば、乾式の分級機能を備えたジェットミルを用いて、粉砕および分級を実施することができる。更に、粉砕機と分級機とが独立した装置を用いることもできる。この場合、粉砕と分級とを連続して行うこともできるが、粉砕と分級とを不連続に行うこともできる。
本発明の炭素質材料は、各種電気化学デバイスの電極材等として好適に用いることができる。したがって、本発明の一実施態様においては、本発明の炭素質材料を用いて電気化学デバイス用電極材料および、その製造方法を提供することができ、また、該電極材料または該電極材料の製造方法により得られる電極材料を用いて電気化学デバイス用電極およびその製造方法を提供することができ、さらに、該電極または該電極の製造方法により得られる電極を用いて電気化学デバイスおよびその製造方法を提供することができる。
前記電気化学デバイス用電極材料は、本発明の炭素質材料を用いることにより製造できる。その製造工程としては、例えば、原料となる本発明の炭素質材料と、導電性付与剤、バインダー、溶剤等の成分を混錬する工程、混錬物を塗工・乾燥する工程等の電極材料の製造工程として従来当該分野において一般的な製造工程を含むことができる。また、前記電気化学デバイス用電極は、前記電極材料を用いることにより製造でき、その製造工程としては、例えば、原料となる前記電極材料に溶剤を添加してペーストを調製する工程、前記ペーストをアルミ箔等の集電板に塗布した後、溶媒を乾燥除去する工程、前記ペーストを金型に入れプレス成形する工程を含むことができる。
この電極に使用される導電性付与剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系高分子化合物や、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンゴム、石油ピッチ、フェノール樹脂等を用いることができる。また、溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水素、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどの環状アミド類等を用いることができる。
本発明の電気化学デバイスは、前記電極を用いることにより製造できる。電気化学デバイスは、一般に、電極、電解液、およびセパレータを主要構成とし、一対の電極間にセパレータを配置した構造となっている。電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート等の有機溶剤にアミジン塩を溶解した電解液、過塩素酸の4級アンモニウム塩を溶解した電解液、4級アンモニウムやリチウム等のアルカリ金属の四フッ化ホウ素塩や六フッ化リン塩を溶解した電解液、4級ホスホニウム塩を溶解した電解液等が挙げられる。また、セパレータとしては、例えば、セルロース、ガラス繊維、または、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムが挙げられる。電気化学デバイスは、例えば、これらの主要な構成を、従来当該分野において一般的な方法により配置することにより製造することができる。
本発明の炭素質材料を用いて製造される電気化学デバイスは、非酸化性雰囲気での冷却による比表面積や細孔容積の低下を伴わないため、初期静電容量を高くすることができ、炭素質材料表面に存在する表面官能基の形成を抑制することができる。このため、電解液との反応性が低く、充放電時のガス発生抑制効果が高く、長期使用による静電容量の低下を抑制でき、耐久性に優れ、さらに低温下であっても優れた性能を維持することができる。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に述べるが、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。実施例および比較例における各物性値は以下の方法により測定した。
[比表面積測定]
マイクロトラック・ベル(株)製のBELSORP−miniを使用し、試料となる炭素質材料を窒素気流下(窒素流量:50mL/分)にて300℃で3時間加熱した後、77.4Kにおける炭素質材料の窒素吸着等温線を測定した。得られた吸着等温線からBET式により多点法による解析を行い、得られた曲線の相対圧P/P=0.01〜0.1の領域での直線から比表面積を算出した。
[全細孔容積・平均細孔径]
マイクロトラック・ベル(株)製のBELSORP−miniを使用し、試料となる炭素質材料を窒素気流下(窒素流量:50mL/分)にて300℃で3時間加熱した後、77.4Kにおける炭素質材料の窒素吸着等温線を測定した。得られた吸着等温線における相対圧P/P=0.99における窒素吸着量から求めた全細孔容積を用い、平均細孔径を、該全細孔容積および先に記載したBET法から求めた比表面積より、下記式に基づいて算出した。
Figure 2020096008
[酸素含量、水素含量の測定方法、O/H、比表面積あたりのO/H]
株式会社堀場製作所製、EMGA−930を用いて行った。当該装置の検出方法は、酸素:不活性ガス融解−非分散型赤外吸収法(NDIR)、水素:不活性ガス融解−非分散型赤外吸収法(NDIR)であり、校正は、(酸素)Niカプセル、TiH(H標準試料)SS−3(O標準試料)で行い、前処理として220℃、約10分で乾燥処理を実施した試料5mgをNiカプセルに取り、上記装置内で30秒脱ガスした後に測定した。試験は3検体で分析し、平均値を分析値とした。得られた値からO/Hを求め、その値を上記で得られたBET比表面積で除することにより、比表面積あたりのO/Hを求めた。
[導電率の測定方法]
三菱化学アナリテック社製、粉体抵抗測定ユニット「MCP−PD51」を使用し、炭素質材料の導電率を測定した。導電率の測定は、荷重を12kNかけた際の炭素質材料ペレットの厚みが3.5〜4.5mmとなる量の材料を使用し、荷重を12kNかけた状態での炭素質材料ペレットの導電率を測定した。
[平均粒子径測定]
炭素質材料の粒径はレーザー回折測定法により測定した。すなわち、測定対象である炭素質材料を界面活性剤と共にイオン交換水中に入れ、EMERSON社製のBRANSONIC M2800−Jを用いて超音波振動を与え均一分散液を作製し、米国マイクロトラック社製のMicrotrac MT3000を用いて吸収法にて測定した。また、均一分散を目的に使用される界面活性剤には、株式会社花王製の「Triton−X 100」を用いた。界面活性剤は、均一分散させることが可能であり、測定に影響を与える気泡等が発生しない適当量を添加した。
<実施例1>
フィリピン産ココナツのヤシ殻を原料とするチャー(BET比表面積:370m/g)に対し、プロパン燃焼ガスと水蒸気(水蒸気分圧:25%)を用いて、850℃で下記比表面積となるまで一次賦活を行い、BET比表面積が1674m/g、平均細孔径1.89nmの一次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、塩酸(濃度:0.5規定、希釈液:イオン交換水)を用いて、温度70℃で30分酸洗した後、イオン交換水で水洗し乾燥した。その後、細孔内に残留した塩素分を除去するため、プロパン燃焼ガス雰囲気下700℃にて、処理(以下、脱酸処理という)を実施した。処理終了後、排出時に同伴される燃焼ガスを積極的に置換する為、純度99.99%の窒素を流通容器内に流通した。そして、容器内における一次賦活粒状炭素質材料質量あたりの酸化性ガスの総量が0.5L/Kg以下の状態になるまで上記純度の窒素で置換した後、前記炭素質材料を排出し、同雰囲気下で200℃以下まで冷却して(冷却時間1.0時間)炭素質材料を得た。
この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1686m/g、平均細孔径1.89nmの炭素質材料(1)を得た。得られた炭素質材料(1)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<実施例2>
フィリピン産ココナツのヤシ殻を原料とするチャー(BET比表面積:370m/g)に対し、プロパン燃焼ガスと水蒸気(水蒸気分圧:25%)を用いて、850℃で下記比表面積となるまで一次賦活を行い、BET比表面積が1185m/gの一次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、塩酸(濃度:0.5規定、希釈液:イオン交換水)を用いて、温度70℃で30分酸洗した後、残留した酸を除去するため、イオン交換水で十分に水洗し脱塩した。脱塩後、120℃で乾燥して、二次洗浄粒状炭素質材料を得た。この粒状炭素質材料をさらに、プロパン燃焼ガスと水蒸気(水蒸気分圧15%)を用いて、950℃で下記比表面積となるまで二次賦活を行い、BET比表面積1710m/g、平均細孔径1.99nmの二次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、塩酸(濃度:0.5規定、希釈液:イオン交換水)を用いて、温度70℃で30分酸洗した後、イオン交換水で水洗し乾燥した。その後、細孔内に残留した塩素分を除去するため、プロパン燃焼ガス雰囲気下700℃にて、脱酸処理を実施した。処理終了後、排出時に同伴される燃焼ガスを積極的に置換する為、純度99.99%の窒素を流通容器内に流通した。そして、容器内における二次賦活粒状炭素質材料質量あたりの酸化性ガスの総量が0.5L/Kg以下の状態になるまで上記純度の窒素で置換した後、前記炭素質材料を排出し、同雰囲気下で200℃以下まで冷却して(冷却時間1.0時間)炭素質材料を得た。
この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1721m/g、平均細孔径1.99nmの炭素質材料(2)を得た。炭素質材料(2)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例2と同様にして、一次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、実施例1の一次洗浄と同様に酸水洗、乾燥して、一次洗浄粒状炭素質材料を得た。この粒状炭素質材料をさらに、プロパン燃焼ガスと水蒸気(水蒸気分圧15%)を用い、970℃で下記比表面積となるまで二次賦活を行い、比表面積2252m/g、平均細孔径2.25nmの二次賦活粒状炭素質材料を得た。得られた二次賦活粒状炭素質材料に対し、実施例1の二次洗浄と同様に酸水洗、乾燥、脱酸処理を実施した。処理終了後、排出時に同伴される燃焼ガスを積極的に置換する為、純度99.99%の窒素を流通容器内に流通した。そして、容器内における二次賦活粒状炭素質材料質量あたりの酸化性ガスの総量が0.5L/Kg以下の状態になるまで上記純度の窒素で置換した後、前記炭素質材料を排出し、同雰囲気下で200℃以下まで冷却して(冷却時間1.0時間)炭素質材料を得た。
この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積2259m/g、平均細孔径2.25nmの炭素質材料(3)を得た。炭素質材料(3)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1−1>
実施例1と同様にして、BET比表面積が1661m/g、平均細孔径1.89nmの一次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、塩酸(濃度:0.5規定、希釈液:イオン交換水)を用いて、温度70℃で30分酸洗した後、残留した酸を除去するため、イオン交換水で十分に水洗し脱塩した。その後、細孔内に残留した塩素分を除去するため、プロパン燃焼ガス雰囲気700℃にて、脱酸処理を実施した。処理終了後、大気で満たされた容器内に同伴される燃焼ガスと共に前記炭素質材料を排出し、同雰囲気内(容器内の一次賦活粒状炭素質材料質量あたりの酸化性ガスの総量が1.5L/Kg以上)で200℃以下まで冷却し(冷却時間約1.0時間)、炭素質材料を得た。
この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1675m/g、平均細孔径1.89nmの炭素質材料(1−1)を得た。炭素質材料(1−1)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1−2>
比較例1−1と同様にして、炭素質材料を得た。次に、得られた炭素質材料を窒素雰囲気下(ガス流量:1L/分)、24℃/分の昇温速度で600℃まで、12℃/分の昇温速度で900℃まで、1.67℃/分の昇温速度で1000℃まで段階的に昇温した後、1000℃で60分保持することにより熱処理を行った。その後、炉内温度が70℃以下になるまで用いたガス(窒素)の雰囲気下で自然冷却し(冷却時間約時3.0間)、熱処理炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1593m/g、平均細孔径1.87nmの炭素質材料(1−2)を得た。炭素質材料(1−2)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1−3>
比較例1−1と同様にして、炭素質材料を得た。次に、得られた炭素質材料を窒素雰囲気下、24℃/分の昇温速度で600℃まで、12℃/分の昇温速度で900℃まで、1.67℃/分の昇温速度で1100℃まで段階的に昇温した後、1100℃で60分保持することにより熱処理を行った。その後、炉内温度が70℃以下になるまで用いたガス(窒素)の雰囲気下で自然冷却し(冷却時間約3.0時間)、熱処理炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1515m/g、平均細孔径1.87nmの炭素質材料(1−3)を得た。炭素質材料(1−3)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1−4>
比較例1−1と同様にして、炭素質材料を得た。次に、得られた炭素質材料を窒素雰囲気下、24℃/分の昇温速度で600℃まで、12℃/分の昇温速度で900℃まで、1.67℃/分の昇温速度で1200℃まで段階的に昇温した後、1200℃で60分保持することにより熱処理を行った。その後、炉内温度が70℃以下になるまで用いたガス(窒素)の雰囲気下で自然冷却し(冷却時間約3.0時間)、熱処理炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1476m/g、平均細孔径1.88nmの炭素質材料(1−4)を得た。炭素質材料(1−4)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例2−1>
実施例2と同様にして、BET比表面積が1695m/g、平均細孔径2.07nmの二次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、比較例1−1と同様に酸洗浄及び脱酸処理をした。処理終了後、大気で満たされた容器内に同伴される燃焼ガスと共に前記炭素質材料を排出し、同雰囲気内(容器内の二次賦活粒状炭素質材料質量あたりの酸化性ガスの総量が1.5L/Kg以上)で200℃以下まで冷却し(冷却時間約1.0時間)、炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1709m/g、平均細孔径2.07nmの炭素質材料(2−1)を得た。炭素質材料(2−1)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例2−2>
比較例2−1と同様にして、炭素質材料を得た。その後、比較例1−2と同様にして、熱処理し、窒素雰囲気下で自然冷却することにより炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1648m/g、平均細孔径2.10nmの炭素質材料(2−2)を得た。炭素質材料(2−2)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例2−3>
比較例2−1と同様にして、炭素質材料を得た。その後、比較例1−3と同様にして、熱処理し、窒素雰囲気下で自然冷却することにより炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1581m/g、平均細孔径2.04nmの炭素質材料(2−3)を得た。炭素質材料(2−3)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例2−4>
比較例2−1と同様にして、炭素質材料を得た。その後、比較例1−4と同様にして、熱処理し、窒素雰囲気下で自然冷却することにより炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積1526m/g、平均細孔径2.11nmの炭素質材料(2−4)を得た。炭素質材料(2−4)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、電極組成物(2−4)、分極性電極(2−4)および電気化学デバイス(2−4)を作製した。実施例1と同様に、各種測定を実施した。各測定結果を表2に示す。
<比較例3−1>
実施例3と同様にして、BET比表面積が2232m/g、平均細孔径2.23nmの二次賦活粒状炭素質材料を得た。その後、比較例1−1と同様に酸洗浄及び脱酸処理をした。処理終了後、大気で満たされた容器内に同伴される燃焼ガスと共に排出し、同雰囲気内(容器内の二次賦活粒状炭素質材料質量あたりの酸化性ガスの総量が1.5L/Kg以上)で200℃以下まで冷却し(冷却時間約1.0時間)、炭素質材料を得た。この炭素質材料を平均粒子径が6μmになるように微粉砕し、BET比表面積2243m/g、平均細孔径2.23nmの炭素質材料(3−1)を得た。炭素質材料(3−1)の各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2020096008
[測定電極セル作製]
実施例1〜3および比較例1−1〜3−1で調製した炭素質材料を用いて、以下の電極の作製方法に従い、電極組成物を得て、これを用いて分極性電極を作製した。さらに、分極性電極を用いて測定電極セル(電気化学デバイス)を作製した。得られた測定電極セルを用いて、下記方法に従って、静電容量測定、耐久性試験、抵抗測定およびガス発生量の測定を行った。各測定結果を表2に示す。
電極構成部材として、実施例1〜3および比較例1−1〜3−1で調製した炭素質材料、導電助材およびバインダーは、事前に120℃、減圧(0.1KPa以下)の雰囲気にて16時間以上減圧乾燥を行い使用した。
前記炭素質材料、導電助材およびバインダーを、(炭素質材料の質量):(導電助材の質量):(バインダーの質量)の比が81:9:10となるように秤量し、混錬した。上記導電助材としては、電気化学工業(株)製の導電性カーボンブラック「デンカブラック粒状」を使用し、上記バインダーとしては、三井・デュポン(株)製のポリテトラフルオロエチレン「6J」を使用した。混錬後、さらに均一化を図る為、1mm角以下のフレーク状にカットし、コイン成形機にて400Kg/cmの圧力を与え、コイン状の二次成形物を得た。得られた二次成形物をロールプレス機により160μm±5%の厚みのシート状に成形した後、所定の大きさ(30mm×30mm)に切り出し、図1に示すような電極組成物1を作製した。得られた電極組成物1を120℃、減圧雰囲気下で16時間以上乾燥した後、質量、シート厚みおよび寸法を計測し、以下の測定に用いた。
図2に示すように、宝泉(株)製のエッチングアルミニウム箔3に日立化成工業(株)製の導電性接着剤2「HITASOL GA−703」を塗布厚みが100μmになるように塗布した。次いで、図3に示すように、導電性接着剤2が塗布されたエッチングアルミニウム箔3と、先にカットしておいたシート状の電極組成物1とを接着した。さらに、宝泉(株)製のアルミニウム製のシーラント5付きタブ4をエッチングアルミニウム箔3に超音波溶接機を用いて溶接した。溶接後、得られた積層体を120℃で真空乾燥し、アルミニウム製の集電体を備える分極性電極6を得た。
図4に示すように、宝泉(株)製のアルミニウム積層樹脂シートを長方形(縦200mm×横60mm)に切り出し2つ折にして、1辺(図4中の(1))を熱圧着して残る2辺が開放された袋状外装シート7を準備した。日本高度紙工業(株)製のセルロース製セパレータ「TF−40」(図示せず)を介して上記の分極性電極6を2枚重ね合わせた積層体を作製した。この積層体を外装シート7に挿入して、タブ4が接する1辺(図5中の(2))を熱圧着して分極性電極6を固定した。そして、120℃、減圧雰囲気下で16時間以上真空乾燥させた後、アルゴン雰囲気(露点−90℃以下)のドライボックス内で電解液を注入した。電解液としては、キシダ科学(株)製の1.0mol/Lのテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレートのアセトニトリル溶液を使用した。外装シート7内で積層体に電解液を含侵させた後、外装シート7の残る1辺(図5中の(3))を熱圧着して図5に示す電気化学デバイス8を作製した。
[静電容量測定]
得られた電気化学デバイス8を菊水電子工業(株)製の「CAPACITOR TESTER PFX2411」を用いて、25℃および−30℃において、到達電圧3.0Vまで、電極表面積あたり200mAで定電流充電した。さらに、3.0Vで30分、定電圧下補充電し、補充電完了後、25mAで放電した。得られた放電曲線データをエネルギー換算法で算出し静電容量(F)とした。具体的には、充電の後電圧がゼロになるまで放電し、このとき放電した放電エネルギーから静電容量(F)を計算した。算出した静電容量(F)から、電極の炭素質材料質量で割った静電容量(F/g)、および電極体積あたりで割った静電容量(F/cc)を求めた。
[耐久性試験]
耐久性試験は以下の方法に従い行った。先に記述した静電容量測定後、電気化学デバイスを60℃の恒温槽中にて3.0Vの電圧を印加しながら400時間保持した後で、上記と同様にして25℃および−30℃において静電容量測定を行った。耐久性試験前後の静電容量から、下記の式に従いそれぞれの温度についての容量維持率を求めた。60℃の恒温槽中にて3.0Vの電圧印加開始前を耐久性試験前とし、400時間保持した後を耐久性試験後とした。
容量維持率(%)
=耐久性試験後の炭素質材料質量あたりの静電容量
/耐久性試験前の炭素質材料質量あたりの静電容量×100
[ガス発生量の測定]
測定電極セルの乾燥質量と水中の質量を測り、発生した浮力および水の密度からセル体積を求め、耐久性試験前後のセル体積の変化から算出したガス体積量を測定時の温度差で補正して、ガス発生量を求めた。すなわち、ガス発生量は下記の式に従って求めた。なお、式中、セル質量Aとは空気中でのセル質量(g)を表し、セル質量Wとは水中でのセル質量(g)を表す。
ガス発生量(cc)=
{(耐久試験後のセル質量A−耐久試験後のセル質量W)
−(耐久性試験前のセル質量A−耐久性試験前のセル質量W)}/
(273+耐久性試験後の測定温度(℃)/(273+耐久性試験前の測定温度(℃))
上記のガス発生量をさらに電極組成物を構成する炭素質材料質量で割った値を、炭素質材料質量あたりのガス発生量(cc/g)とした。
Figure 2020096008
表2に示すように、実施例1〜3において、本発明の炭素質材料を用いた分極性電極(1)〜(3)を用いてそれぞれ作製された電気化学デバイス(1)〜(3)は、比較例1−1〜3−1の炭素質材料(1−1)〜(3−1)を用いて作製した電気化学デバイス(1−1)〜(3−1)と比較して、初期静電容量が高く、容量維持率にも優れ、且つ、ガス発生量を抑制できることが確認された。
本発明の電気化学デバイスは、比表面積や細孔容積の低下に伴う初期容量の低下を抑制し、耐久試験後においても十分な静電容量を保持でき、またガス発生量の抑制効果も高いことが示された。すなわち、本発明の炭素質材料を電極に使用すると、初期静電容量が高く、ガス発生抑制効果が高く、優れた耐久性を有する電気化学デバイスを得ることができる。
1 電極組成物
2 導電性接着剤
3 エッチングアルミニウム箔
4 タブ
5 シーラント
6 分極性電極
7 袋状外装シート
8 電気化学デバイス
(1) 熱圧着された一辺
(2) タブが接する一辺
(3) 袋状外装シートの残る一辺

Claims (11)

  1. BET比表面積が1550〜2500m/gであり、比表面積あたりの酸素含量/水素含量の値が1.00〜2.04mg/mである、炭素質材料。
  2. 荷重12kNにおける粉体抵抗測定による導電率が9S/cm以下である、請求項1に記載の炭素質材料。
  3. 水素含量が0.44〜1.00質量%である、請求項1または2に記載の炭素質材料。
  4. 酸素含量/水素含量の値が2.0〜4.3である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素質材料。
  5. 前記炭素質材料が植物由来の炭素前駆体に基づく、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素質材料。
  6. 前記炭素前駆体が椰子殻由来である、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素質材料。
  7. 原料炭素質材料を330℃以上に酸化性ガス雰囲気下で加熱する加熱工程と、酸化性ガス雰囲気下で330℃以上に加熱された原料炭素質材料を非酸化性ガス雰囲気下で降温する降温工程とを含み、
    前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が1回含まれる場合には、前記加熱工程に続けて前記降温工程が実施され、
    前記酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程が複数回含まれる場合には、少なくとも最終の酸化性ガス雰囲気下で実施される加熱工程に続けて前記降温工程が実施される、炭素質材料の製造方法。
  8. 前記降温工程において、原料炭素質材料の温度を200℃以下まで降温する、請求項7に記載の炭素質材料の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素質材料から形成されてなる電気化学デバイス用電極活物質。
  10. 請求項9に記載の電気化学デバイス用電極活物質含む電気化学デバイス用電極。
  11. 請求項10に記載の電気化学デバイス用電極を備える電気化学デバイス。
JP2020555597A 2018-11-09 2019-11-07 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス Pending JPWO2020096008A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018211591 2018-11-09
JP2018211591 2018-11-09
PCT/JP2019/043727 WO2020096008A1 (ja) 2018-11-09 2019-11-07 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2020096008A1 true JPWO2020096008A1 (ja) 2021-09-30

Family

ID=70611792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020555597A Pending JPWO2020096008A1 (ja) 2018-11-09 2019-11-07 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20220002161A1 (ja)
EP (1) EP3878810A4 (ja)
JP (1) JPWO2020096008A1 (ja)
KR (1) KR20210089643A (ja)
CN (1) CN112912339A (ja)
WO (1) WO2020096008A1 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09266780A (ja) * 1996-01-29 1997-10-14 Ajinomoto Co Inc 乾燥食品用包材および乾燥食品の包装法
JP2002033249A (ja) * 2000-05-09 2002-01-31 Mitsubishi Chemicals Corp 電気二重層キャパシタ用活性炭
JP5159970B1 (ja) * 2012-05-16 2013-03-13 株式会社アルメディオ 活性炭及びその製造方法
JP2014072497A (ja) * 2012-10-01 2014-04-21 Almedio Inc キャパシタ電極材用活性炭及びその製造方法、キャパシタ用電極、並びにキャパシタ
WO2014136936A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法
JP2015013767A (ja) * 2013-07-04 2015-01-22 国立大学法人九州工業大学 多孔質炭素材料の製造方法
JP2015225876A (ja) * 2014-05-26 2015-12-14 旭化成株式会社 非水系リチウム型蓄電素子用正極活物質及びそれを用いた非水系リチウム型蓄電素子
WO2017199686A1 (ja) * 2016-05-18 2017-11-23 株式会社クラレ 炭素質材料、ならびに該炭素質材料を含有する電気二重層キャパシタ用電極材料、電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタ

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007221108A (ja) * 2006-01-17 2007-08-30 Japan Enviro Chemicals Ltd 活性炭及びその製造方法
WO2008053919A1 (fr) * 2006-11-02 2008-05-08 Kuraray Chemical Co., Ltd Charbon activé et son procédé de production, électrodes polarisables de type non aqueux et condensateurs électriques à double couches
JP5027849B2 (ja) 2009-06-30 2012-09-19 関西熱化学株式会社 活性炭の製造方法、および該製造方法により得られた活性炭を用いた電気二重層キャパシタ
WO2012121407A1 (ja) * 2011-03-10 2012-09-13 株式会社クレハ 非水電解質二次電池負極用炭素質材料
KR20180068988A (ko) * 2015-10-30 2018-06-22 주식회사 쿠라레 비수 전해질 2 차 전지용 탄소질 재료, 비수 전해질 2 차 전지용 부극, 비수 전해질 2 차 전지 및 비수 전해질 2 차 전지용 탄소질 재료의 제조 방법
JP6827699B2 (ja) 2016-02-17 2021-02-10 株式会社キャタラー キャパシタ用炭素材料及びキャパシタ

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09266780A (ja) * 1996-01-29 1997-10-14 Ajinomoto Co Inc 乾燥食品用包材および乾燥食品の包装法
JP2002033249A (ja) * 2000-05-09 2002-01-31 Mitsubishi Chemicals Corp 電気二重層キャパシタ用活性炭
JP5159970B1 (ja) * 2012-05-16 2013-03-13 株式会社アルメディオ 活性炭及びその製造方法
JP2014072497A (ja) * 2012-10-01 2014-04-21 Almedio Inc キャパシタ電極材用活性炭及びその製造方法、キャパシタ用電極、並びにキャパシタ
WO2014136936A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法
JP2015013767A (ja) * 2013-07-04 2015-01-22 国立大学法人九州工業大学 多孔質炭素材料の製造方法
JP2015225876A (ja) * 2014-05-26 2015-12-14 旭化成株式会社 非水系リチウム型蓄電素子用正極活物質及びそれを用いた非水系リチウム型蓄電素子
WO2017199686A1 (ja) * 2016-05-18 2017-11-23 株式会社クラレ 炭素質材料、ならびに該炭素質材料を含有する電気二重層キャパシタ用電極材料、電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタ

Also Published As

Publication number Publication date
EP3878810A4 (en) 2022-08-17
KR20210089643A (ko) 2021-07-16
WO2020096008A1 (ja) 2020-05-14
CN112912339A (zh) 2021-06-04
EP3878810A1 (en) 2021-09-15
US20220002161A1 (en) 2022-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102572395B1 (ko) 개질 활성탄 및 그 제조 방법
JP5931326B2 (ja) 電気二重層キャパシタ用活性炭
WO2011081086A1 (ja) 電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法
US11823837B2 (en) Carbonaceous material for electric double layer capacitors and method for producing same
JP2016531068A (ja) Co2活性化ココナッツ炭を含有する高電圧edlc電極
WO2021015054A1 (ja) 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス
WO2020096008A1 (ja) 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス
JP2016004962A (ja) 蓄電デバイス用電極材料及びその製造方法、蓄電デバイス用電極合材、並びに、蓄電デバイス用電極の製造方法
WO2021131910A1 (ja) 炭素質材料およびその製造方法、電気二重層キャパシタ用電極材料
WO2021131907A1 (ja) 炭素質材料、その製造方法、電気二重層キャパシタ用電極活物質、電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタ
JP7349988B2 (ja) 炭素質材料、その製造方法、電気化学デバイス用電極活物質、電気化学デバイス用電極および電気化学デバイス
TWI805224B (zh) 儲能用碳材、其製造方法、超電容器用電極片及超電容器
JP2009158532A (ja) 炭素質電極材およびこれを用いた蓄電装置
Devakumar et al. Low Cost Activated Carbon derived from Cucumis melo Fruit Peel for Electrochemical Supercapacitor Application
TW201706209A (zh) 碳熱解物材料及包含其的電化學雙層電容碳電極
JP2022086445A (ja) 非水系アルカリ金属蓄電素子
JP2009135146A (ja) 電気二重層キャパシタ用電極材料、および該電極材料用添加材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240213