JPWO2020080108A1 - 発光素子、それを含むディスプレイ、照明装置およびセンサ - Google Patents

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Abstract

高い発光効率と色純度の高い発光を両立させた有機薄膜発光素子を提供する。基板、第1電極、発光層を含む1以上の有機層、第2電極およびキャッピング層をこの順に有し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、前記キャッピング層が、1つ以上の低屈折率層と、1つ以上の高屈折率層との積層構造であり、前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.15eV以下である発光素子である。

Description

本発明は、発光素子、それを含むディスプレイ、照明装置およびセンサに関する。
有機薄膜発光素子とは、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが、両極に挟まれた有機層中の発光材料内で再結合する際に発光するものである。この発光素子は、薄型であること、低駆動電圧下で高輝度に発光すること、発光材料を選ぶことにより多色発光が可能であること等が特徴であり、注目を集めている。
発光素子は、少なくとも、基板、第1電極、発光層を含む1以上の有機層、第2電極から構成されるが、発光材料から発せられる光の取り出し方向によって、ボトムエミッション方式とトップエミッション方式に分けることができる。これらのうち、トップエミッション方式では、第1電極が反射陽極、第2電極が半透明陰極として形成され、第2電極を通して基板と反対側に光が取り出される。この場合は、基板側の薄膜トランジスタによる面積損失がないため、ボトムエミッション方式に比べて開口率が増加する。
トップエミッション方式においては、第1電極と第2電極の両方が、発光層から発せられる光に対して反射層として機能する。第1電極と第2電極間の各有機層の光学膜厚は波長オーダーであり、発光分子からある反射層側へ発せられ、該反射層で反射して発光分子の位置に戻って来た光は、位相の揃った波が重ね合わされた状態である。従って、反射して発光分子の位置に戻って来た光は、位相情報を保持しているため、発光分子から該反射層とは逆側に発せられ、同方向に進行する光とは相互にコヒーレントであり、光学干渉する。この場合、各有機層の膜厚に応じて光学干渉の条件が変わるため、外部に取り出される光の強度やスペクトルが各有機層の膜厚に応じて大きく変化する現象が知られている(マイクロキャビティー)。
トップエミッション方式では、反射層である第1電極と半透明電極である第2電極との間に光学的な共振器があらわに形成され、ボトムエミッション方式と比較して、マイクロキャビティーの効果がより顕著に現れる。従って、トップエミッション方式ではマイクロキャビティーの積極的な利用により、発光の色純度や発光効率を向上させることが可能になる。一方で、光学干渉の条件を調整するために各有機層の膜厚を調整すると、正孔と電子のキャリアバランスの変化を伴う場合があり、キャリアバランスが悪化しない範囲内に膜厚条件が限定される不都合もあった。
これに関し、トップエミッション方式で、半透明電極である第2電極上に波長オーダーの光学膜厚のキャッピング層を積層し、その膜厚を調整することで光学干渉条件を最適化して発光効率を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
国際公開第2011/043083号 特開2006−156390号公報
しかしながら、従来技術を用いた有機薄膜発光素子においても、その発光効率は、実用上十分な領域には達しておらず、さらなる発光効率の向上が望まれていた。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、高い発光効率を有する有機薄膜発光素子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、基板、第1電極、発光層を含む1以上の有機層、第2電極およびキャッピング層をこの順に有し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、前記キャッピング層が、1つ以上の低屈折率層と、1つ以上の高屈折率層との積層構造であり、前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.15eV以下である発光素子である。
本発明により、高い発光効率と色純度の高い発光を両立させた有機薄膜発光素子を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る発光素子における、実験結果とシミュレーション結果との相関を示すグラフである。
以下、本発明の発光素子、それを含むディスプレイ、照明装置およびセンサを詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明の発光素子は、基板、第1電極、発光層を含む1以上の有機層、第2電極およびキャッピング層をこの順に有し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、上記キャッピング層が、1つ以上の低屈折率層と、1つ以上の高屈折率層との積層構造であり、上記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.15eV以下である。
キャッピング層を構成する低屈折率層と高屈折率層は、それぞれ1つ以上必要である。高屈折率層と低屈折率層とを積層することで、低屈折率層/高屈折率層界面に屈折率差が生じ、キャッピング層全体の反射率を高めることができる。キャッピング層の反射率が大きくなると、共振作用が高まるため、マイクロキャビティーの効果を利用して発光効率および色純度をさらに向上させることができる。なお、複数の低屈折率層や高屈折率層を用いる場合は、低屈折率層同士が隣接しても、高屈折率層同士が隣接してもよい。
このように、複数層からなるキャッピング層の導入に伴い共振作用が高まると、光学干渉で強めあう波長域が狭く限定される。そのため、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.15eV以下の場合、キャッピング層多層化の効果が著しく発現し、発光素子の発光効率が顕著に向上する。この半値幅は、0.12eV以下であることが好ましく、0.10eV以下であることがより好ましい。
発光材料の固有の発光スペクトルとは、マイクロキャビティーによる変調を受ける前の材料固有の発光スペクトルのことである。そのスペクトルは、発光材料を溶解した希薄溶液を光励起して、フォトルミネッセンス(PL)による発光スペクトルを測定することで得られる。
また、発光スペクトルの半値幅FWHM(eV)は、発光ピーク波長における発光強度が半減する、ピーク波長より短い波長λ1(nm)と、ピーク波長より長い波長λ2(nm)を用いて、式1で算出される。発光スペクトルにおいて、発光強度がピークの半分になる波長が複数存在する場合は、ピーク波長に近い波長を選択してλ1またはλ2を定義する。なお、ピークとはスペクトルの極大部分であり、ピーク波長とは極大値をとる際の波長を示す。スペクトルに複数の極大が存在する場合には、発光強度が最大である波長をピーク波長と定義する。
(式1)FWHM=1239.8/λ1−1239.8/λ2。
以下の説明において、高屈折率層および低屈折率層の屈折率とは、発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長における屈折率を指す。なお、発光層が複数の発光材料を有する場合は、それらの発光材料のうち実際に発光が取り出される全ての材料(例えば、ホスト材料とドーパント材料とが含まれる場合は、実際に発光が取り出されるドーパント材料)の、各ピーク波長における屈折率のうち、高屈折率層については最大のものを、低屈折率については最小のものを、それぞれ採用する。
高屈折率層の屈折率は、大きいほどキャッピング層の共振作用が強くなるため、1.7以上であることが好ましい。一方、高屈折率層の屈折率を2.8以下とすることにより、高屈折率層での発光光の吸収が抑制され、高い発光効率が得られる。高屈折率層の屈折率は1.9以上であることがより好ましく、2.2以上であることがさらに好ましい。
また、低屈折率層の屈折率は、小さいほどキャッピング層の共振作用が強くなるため、1.65以下であることが好ましい。一方、低屈折率層の屈折率を1.25以上とすることにより、低屈折率層の機械的な強度が保たれ、発光素子の品質が安定する。低屈折率層の屈折率は1.55以下であることがより好ましく、1.45以下であることがさらに好ましい。
高屈折率層と低屈折率層の屈折率差が大きいほどキャッピング層の共振作用が強くなるため、屈折率差は0.3以上であることが好ましい。高屈折率層と低屈折率層の屈折率差は0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましい。屈折率差の上限値は、特に制限はないが、1.55以下であることが好ましい。
複数の高屈折率層を備える場合は、それらのうち最も高い屈折率を示す層の屈折率を高屈折率層の屈折率として選択する。複数の低屈折率層で構成している場合は、それらのうち最も低い屈折率を示す層の屈折率を低屈折率層の屈折率として選択する。
高屈折率層および低屈折率層は、有機化合物で構成されてもよいし、無機化合物で構成されてもよい。また、有機化合物と無機化合物を混合して構成してもよい。有機化合物で構成される場合は、発光層等の有機層と同様に蒸着法により形成できる。
無機化合物で構成される場合は、蒸着法により形成することも可能であるが、スパッタリング法により成膜してもよい。
高屈折率層に用いられる有機化合物としては、アリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、およびトリアゾール誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種が、その屈折率が高いため好ましく、アリールアミン誘導体が特に好ましい。
低屈折率層に用いられる有機化合物としては、ボロン錯体構造を有する有機化合物が、その屈折率が低いため好ましい。
高屈折率層に用いられる無機化合物としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スカンジウム、酸化ジルコニウム、酸化セレン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ハフニウム、酸化イッテルビウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化トリウム、酸化マグネシウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、窒化ケイ素、フッ化鉛、炭化ケイ素、窒化ガリウム、酸化インジウムスズ(ITO)、LiNbO、LaTiが、屈折率が高いため好ましく、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化アンチモン、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、窒化ガリウム、LiNbO、LaTiがより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
低屈折率層に用いられる無機化合物としては、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、フッ化プラセオジム、フッ化ガドリニウム、フッ化ランタン、フッ化ネオジウム、フッ化セリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タングステン、NaAl14、NaAlFが、屈折率が低いため好ましく、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウムがより好ましく、フッ化リチウムが特に好ましい。
前記発光層は、一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
<一般式(1)で表される化合物>
Figure 2020080108
Xは、C−RまたはNを表す。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、−P(=O)R1011、ならびに隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。R10およびR11は、アリール基またはヘテロアリール基である。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。
また、以下の説明において、例えば、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6〜40である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、−P(=O)R1011が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。
以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。
中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
〜Rが置換もしくは無置換のアリール基の場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基がさらに好ましく、フェニル基が特に好ましい。
それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5−ナフチリジニル基、1,6−ナフチリジニル基、1,7−ナフチリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、2,6−ナフチリジニル基、2,7−ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
〜Rが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましく、ピリジル基が特に好ましい。
それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましく、ピリジル基が特に好ましい。
「電子受容性窒素を含む」という場合における電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。電子受容性窒素を含む芳香族複素環は、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、アクリジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、等が挙げられる。ただし、ナフチリジンとは、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、1,8−ナフチリジン、2,6−ナフチリジン、2,7−ナフチリジンのいずれかを示す。
「電子供与性窒素を含む」という場合における電子供与性窒素とは、隣接原子との間に単結合のみを形成している窒素原子を表す。電子供与性窒素を含む芳香族複素環は、例えばピロール環を有する芳香族複素環が挙げられる。ピロール環を有する芳香族複素環としては、ピロール環、インドール環、カルバゾール環などが挙げられる。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。
カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されてもよい。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基はさらに置換されてもよい。アミノ基の置換基部分の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素原子上の置換基はさらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えばトリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素原子上の置換基はさらに置換されてもよい。
ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。
ホスフィンオキシド基−P(=O)R1011としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2020080108
隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(1)のRとR)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環がさらに別の環と縮合してもよい。
一般式(1)で表される化合物は、高い蛍光量子収率を示し、ストークスシフトと発光スペクトルのピーク半値幅が小さいため、蛍光ドーパントとして好適に用いることができる。一般に、一般式(1)で表される化合物のピーク半値幅は0.15eV以下であり、0.12eV以下に分子設計することも可能である。また、材料設計により蛍光スペクトルが400nm以上900nm以下の範囲で単一ピークを示すため、励起エネルギーの大部分を所望の波長の光として得ることができる。そのため、励起エネルギーの効率的な利用が可能であり、高い色純度も達成可能である。ここで、ある波長領域で単一ピークであるとは、その波長領域で、最も強度の強いピークに対して、その強度の5%以上の強度を持つピークがない状態を示す。以下の説明においても同様である。
さらに、一般式(1)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、発光波長、ピーク半値幅、色純度、耐熱性、分散性等の様々な特性・物性を調整することができる。
一般式(1)で表される化合物として、例えば、以下の例が挙げられる。
Figure 2020080108
Figure 2020080108
また、特開2005−53900号公報、国際公開第2009/057567号、国際公開第2009/116456号および大韓民国特許公開第10−2017−0104950号公報に記載の化合物も好ましく用いることができる。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、特表平8−509471号公報や特開2000−208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応することにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
また、ピロメテン−フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813−7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333−1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2−ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(5)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2−ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(1)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R〜Rは、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
Figure 2020080108
発光層は、遅延蛍光性の化合物を含むことが好ましい。
<遅延蛍光性の化合物>
遅延蛍光とは、準安定状態に一度エネルギーが保持され,その後放出されたエネルギーが光として放出される現象である。例えば、励起された後に一旦スピン多重度の異なる状態への遷移が起こり、そこから発光過程に入る現象が挙げられる。熱活性化遅延蛍光(TADF)現象の場合、励起された後に三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が生じ、一重項準位から発光が生じる。
遅延蛍光性の化合物は、一般式(1)で表される化合物と併用されることが好ましい。三重項励起子を一重項励起子に変換できる遅延蛍光性の化合物を一般式(1)で表される化合物とともに用いることにより、電子と正孔の再結合により生成した三重項励起子を一般式(1)で表される化合物が利用できる一重項励起子に変換することができる。これにより、電子と正孔の再結合により生成した励起子を効率的に発光として利用することが可能となる。
一般式(1)で表される化合物と組み合わせる遅延蛍光性の化合物として、好適な例としては、同一分子内で電子供与性部位と、電子受容性部位を有する一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020080108
は電子供与性部位であり、Aは電子受容性部位である。Lは連結基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよく、単結合またはフェニレン基を表す。mおよびnは、それぞれ、1以上10以下の自然数である。mが2以上の場合、複数あるAおよびLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nが2以上の場合、複数あるAはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
具体的には、例えば、以下に示す化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2020080108
Figure 2020080108
Figure 2020080108
発光層は、上記化合物に加えて、または上記化合物に変えて、公知の発光材料を含んでいてもよい。
(陽極および陰極)
本発明の発光素子において、陽極および陰極は、素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものである。光を取り出すために、陽極および陰極の少なくとも一方は透明または半透明であることが好ましい。
陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料であれば、特に制限はなく、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、あるいは、金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいし、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
トップエミッション方式では陽極が第1電極となるが、第1電極を、金属製の反射層を下部層、透明電極を上部層とした積層構造とすることが好ましい。反射層の素材としては、金属光沢を有するアルミニウム、銀などの金属、または、Al−Ndなどのアルミニウム合金やAPC(Ag−Pd−Cu)などの銀合金のような高反射率の合金が挙げられる。透明電極の素材としては、ITO、酸化錫、IZOが挙げられる。
また、発光素子の機械的強度を保つために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板は、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。または、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することもできる。さらに、陽極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成しても良い。陽極形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法など特に制限を受けるものではない。
陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる物質であれば特に限定されない。一般的には、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層体などが好ましい。中でも、陰極の主成分としては、アルミニウム、銀およびマグネシウムが、電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光効率などの面から好ましい。特に、陰極がマグネシウムと銀で構成されると、電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易になり、低電圧駆動が可能になるため好ましい。陰極の作製方法は、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなどが好ましく例示され、特に制限されない。
トップエミッション方式では、陰極が第2電極となり、第2電極側から光を取り出すため、陰極が半透過性となるように膜厚を調整する。
(発光層以外の有機層)
有機層は、発光層のみからなる構成の他に、1)正孔輸送層/発光層、2)発光層/電子輸送層、3)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層、5)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層などの積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。また、燐光発光層や蛍光発光層を複数有する積層型であってもよく、蛍光発光層と燐光発光層を組み合わせた発光素子でもよい。さらにそれぞれ互いに異なる発光色を示す発光層を積層することができる。
また、上記の素子構成を中間層を介して複数積層したタンデム型であってもよい。上記中間層は、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、公知の材料構成を用いることができる。タンデム型の具体例は、例えば4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷発生層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、5)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/電荷発生層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった、陽極と陰極の間に中間層として電荷発生層を含む積層構成が挙げられる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送材料の一種または二種以上を積層または混合する方法、もしくは、正孔輸送材料と高分子結着剤との混合物を用いる方法により形成される。また、正孔輸送材料は、正極からの正孔を効率良く輸送することが好ましい。そのため、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率良く輸送するものであることが好ましい。
正孔輸送材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)、4,4’−ビス(N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ)ビフェニル(TBDB)、ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)といったベンジジン誘導体、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)などのスターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群、および、カルバゾール骨格を有する材料などが挙げられる。
中でも、カルバゾール多量体、具体的には、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのカルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体、カルバゾール4量体の誘導体が好ましく、カルバゾール2量体の誘導体、カルバゾール3量体の誘導体がより好ましい。さらに、非対称型のビス(N−アリールカルバゾール)誘導体が特に好ましい。これらのカルバゾール多量体は、良好な電子ブロック性と、正孔注入輸送特性を併せ持っているため、発光素子のさらなる高効率化に寄与できる。
また、カルバゾール骨格とトリアリールアミン骨格を1つずつ有する材料も好ましい。より好ましくは、アミンの窒素原子とカルバゾール骨格の間に連結基としてアリーレン基を有する材料であり、特に好ましくは、下記の一般式(6)および(7)で表される骨格を有する材料である。
Figure 2020080108
およびLはアリーレン基であり、Ar〜Arはアリール基である。
正孔輸送材料としては、上記化合物の他にも、トリフェニレン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、フラーレン誘導体などが挙げられる。また、ポリマー系では、上記正孔輸送材料と同様の構造を側鎖に有する、ポリカーボネートやスチレン誘導体などが、正孔輸送材料として好ましく使用できる。また、他にも、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなども、好ましく使用できる。さらに、p型Si、p型SiC等の無機化合物も使用できる。
(正孔注入層)
本発明の発光素子において、陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層を設けてもよい。正孔注入層を設けることで発光素子が低駆動電圧化し、耐久寿命も向上する。
正孔注入層には、上記TPD232のようなベンジジン誘導体、スターバーストアリールアミン材料群が挙げられる他、フタロシアニン誘導体等も用いることができる。
また、正孔注入層が、アクセプター性化合物単独で構成されているか、またはアクセプター性化合物が別の正孔輸送材料にドープされて用いられていることも好ましい。アクセプター性化合物の例としては、特に制限はないが、塩化鉄(III)、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化アンチモンのような金属塩化物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ルテニウムのような金属酸化物、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)のような電荷移動錯体が挙げられる。また、分子内にニトロ基、シアノ基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物や、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなども好適に用いられる。
これらの中でも、金属酸化物やシアノ基含有化合物が好ましい。これらの化合物は取り扱いやすく、蒸着もしやすいことから、容易に上述した効果が得られるためである。シアノ基含有化合物として、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2020080108
Figure 2020080108
正孔注入層がアクセプター性化合物単独で構成される場合、または正孔注入層にアクセプター性化合物がドープされている場合のいずれの場合も、正孔注入層は1層であってもよいし、複数の層が積層されていてもよい。また、アクセプター化合物がドープされている場合に組み合わせて用いる正孔注入材料は、正孔輸送層への正孔注入障壁が緩和できるという観点から、正孔輸送層に用いる化合物と同一の化合物であることがより好ましい。
(電子輸送層)
本発明において、電子輸送層とは、陰極と発光層との間にある層である。電子輸送層は単層でも複数層であってもよく、陰極もしくは発光層に接していてもいいし、接していなくてもよい。
電子輸送層には、陰極からの電子注入効率が高いこと、注入された電子を効率良く輸送すること、発光層への電子注入効率が高いことなどが望まれる。一方で、電子輸送能力がそれ程高くなくても、正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を持つことも望ましい。したがって、本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、特に制限はないが、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられる。また、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含む芳香族複素環構造を有する化合物を用いることも好ましい。
電子受容性窒素を含む芳香族複素環構造を有する化合物としては、特に制限はないが、例えば、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体などが挙げられる。中でも、2,4,6−トリ([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン誘導体、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソクプロインや1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が、電子輸送能の観点から、好ましく用いられる。
これらの中でも特に好ましい電子輸送材料としてトリアジン誘導体とフェナントロリン誘導体が挙げられる。トリアジン誘導体は、高い三重項エネルギーを有するため、発光層で生じた三重項励起子エネルギーを電子輸送層へ漏れることを防止できる。さらに発光層内に用いられるTADF性材料は、トリアジン誘導体と同等のLUMOエネルギー準位を有するため、電子輸送層にトリアジン誘導体を用いると、発光層内のTADF性材料へ、障壁の小さい効率的な電子注入が可能となり、低電圧化、高効率化、長寿命化が実現できる。さらにトリアジン誘導体が以下の一般式(8)で表される化合物である場合、上述した効果が大きくなるため、より好ましい。
Figure 2020080108
一般式(8)においてAr〜Ar10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル機、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、スピロフルオレニル基、トリフェニレニル基、フェナントレニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基が特に好ましい。電子輸送層が複数層によって形成されていてもよいが、その場合は、上述した理由により、トリアジン誘導体は発光層に直接接する層に用いられることが好ましい。
フェナントロリン誘導体は高い電子移動度を有しており、さらに陰極から電子が注入されやすい性質を有している。このため、フェナントロリン誘導体を電子輸送層として用いることで大幅な低電圧化、高効率化が実現できる。フェナントロリン誘導体がフェナントロリン多量体である場合、上述した効果がより大きくなるため、さらに好ましい。好ましいフェナントロリン誘導体としては以下の一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020080108
71〜R78は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。Ar11は置換もしくは無置換のアリール基である。pは1〜3の自然数である。電子輸送層が複数層で形成されている場合は、上述した理由により、陰極、または電子注入層に接する層にフェナントロリン誘導体を用いることが好ましい。
好ましい電子輸送材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2020080108
Figure 2020080108
Figure 2020080108
これら以外にも、国際公開第2004/63159号、国際公開第2003/60956号、Appl.Phys.Lett.74,865(1999)、Org.Electron.4,113(2003)、国際公開第2010/113743号、国際公開第2010/1817号等に開示された電子輸送材料も用いることができる。
上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いたりしても構わない。また、電子輸送層が、さらにドナー性材料を含有してもよい。ここで、ドナー性材料とは、電子注入障壁の改善により、陰極または電子注入層からの電子輸送層への電子注入を容易にし、さらに電子輸送層の電気伝導性を向上させる材料である。
ドナー性材料の好ましい例としては、アルカリ金属、アルカリ金属を含有する無機塩、アルカリ金属と有機物との錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する無機塩またはアルカリ土類金属と有機物との錯体などが挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属の好ましい種類としては、低仕事関数で電子輸送能向上の効果が大きいリチウム、ナトリウム、セシウムといったアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属が挙げられる。
(電子注入層)
本発明の発光素子において、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を設けてもよい。一般的に、電子注入層は、陰極から電子輸送層への電子の注入を助ける目的で挿入される。電子注入層には、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いてもよいし、上記のドナー性材料を含有する層を用いてもよい。
また、電子注入層に絶縁体や半導体の無機物を用いることもできる。これらの材料を用いることで、発光素子の短絡を有効に防止して、かつ電子注入性を向上させることができる。
このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。
具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、NaS及びNaSeが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF及びBeF等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
電子注入層には、膜厚調整が容易である観点から、有機物と金属の錯体も好適に用いられる。このような有機金属錯体において、有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、ピリジルフェノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。有機金属錯体の中でも、アルカリ金属と有機物との錯体が好ましく、リチウムと有機物との錯体がより好ましい。
(電荷発生層)
本発明の発光素子において、電荷発生層とは、上記のタンデム構造型素子における、陽極と陰極の間にある中間層であり、電荷分離により正孔および電子を発生させる層である。電荷発生層は、一般に、陰極側のP型層と陽極側のN型層から形成される。これらの層には、効率的な電荷分離と、生じたキャリアの効率的な輸送が望まれる。
P型の電荷発生層には、上述の正孔注入層や正孔輸送層に用いられる材料を用いることができる。例えば、HAT−CN6、NPDやTBDBなどのベンジジン誘導体、m−MTDATAや1−TNATAなどのスターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群、一般式(6)および(7)で表される骨格を有する材料などを好適に用いることができる。
N型の電荷発生層には、上述の電子注入層や電子輸送層に用いられる材料を用いることができ、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いてもよいし、上記のドナー性材料を含有する層を用いてもよい。
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されないが、通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれるべきである。
本発明の発光素子は、ディスプレイに好適に用いられる。具体的には、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
マトリクス方式とは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置され、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法は、線順次駆動方法やアクティブマトリクスのどちらでもよい。線順次駆動はその構造が簡単であるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、このパターンの配置によって決められた領域を発光させる方式である。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
本発明の発光素子は、各種ディスプレイのバックライトとしても好ましく用いることができる。ディスプレイの例としては、液晶ディスプレイ、時計やオーディオ装置における表示部、自動車パネル、表示板および標識などが挙げられる。特に、液晶ディスプレイ、中でも薄型化が検討されているテレビやタブレット、スマートフォン、パソコンなどの用途のバックライトに本発明の発光素子は好ましく用いられる。これにより、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
本発明の発光素子は、各種照明装置としても好ましく用いられる。本発明の発光素子は、高い発光効率と高色純度との両立が可能であり、さらに、薄型化や軽量化が可能であることから、低消費電力と鮮やかな発光色、高いデザイン性を合わせ持った照明装置が実現できる。
本発明の発光素子は、センサにも好ましく用いられる。中でも、低消費電力および小型軽量化が求められるウエアラブルセンサに本発明の発光素子は好ましく用いられ、熱や圧力、光などの刺激や化学反応による変化を鮮やかな色で視覚化できる小型センサを提供できる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。使用した化合物で、市販されているもの以外は、それぞれ公知の方法を用いて合成した。
下記の実施例において、化合物B−1〜B−3およびD−1〜D−8は以下に示す化合物である。
Figure 2020080108
<発光材料の固有の発光スペクトルの測定(蛍光スペクトルの測定)>
発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長、および、半値幅は、発光材料を溶液に溶解させて、蛍光スペクトルを測定することで決定した。溶媒としては、溶解性に問題がない限りトルエンを用いることが好ましい。他にジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルなどを用いてもよい。
本発明の実施例においては、F−2500形分光蛍光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10−5mol/Lの濃度で溶解させ、波長350nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定した。
<発光層単膜の蛍光スペクトルの測定>
光学シミュレーションの入力パラメータとして用いる、発光層単膜の蛍光スペクトルの測定はF−2500形分光蛍光光度計を用い、各実施例または比較例に対して、ガラス基板上に、各実施例または比較例に記載の発光層と同じ組成、同じ膜厚の発光層単膜を、発光素子作製の場合と同様に抵抗加熱法によって成膜し、波長350nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定して求めた。
<光学定数の測定>
発光素子を構成する各層の光学定数(屈折率および消衰係数)は、ガラス基板上に、各層と同じ組成の単膜を、発光素子作製の場合と同様に抵抗加熱法によって成膜し、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製)で反射光の偏光状態の変化および透過率を測定し、測定データを解析することにより波長195〜1680nmの範囲において求めた。
<正孔注入層およびキャッピング層の膜厚>
実施例および比較例における正孔注入層およびキャッピング層の膜厚(多層の場合はその各層膜厚)は、各層の膜厚および光学定数、発光層単膜の蛍光スペクトルを入力パラメータとして、転送行列法により発光素子内の各層界面の電場を求め、発光素子の発光特性を算出する光学シミュレーションモデルを用い、算出された外部量子効率が最大となるように最適化した膜厚となるようにした。発光層の内部量子効率は100%と仮定した。
<発光特性の評価>
各実施例および比較例において、作製した発光素子を用いて、輝度1000cd/mで発光させた時の発光ピーク波長、色度、外部量子効率について評価した。
実施例1
ガラス基板上に、Ag0.98Pd0.01Cu0.01(APC)合金100nmと、ITO透明導電膜10nmとを、この順にスパッタリング法で積層して成膜した。成膜した基板をエッチングして電極パターンを形成し、38×46mmに切断した。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。
抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HT−1とPD−1とを、蒸着速度比が19:1になるようにして150nm蒸着した。次に、正孔輸送層として、HT−1を55nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−1と、一般式(1)で表される化合物D−1と、一般式(2)で表される化合物B−1とを、重量比で80:1:19になるようにして、40nmの厚さに蒸着した。さらに電子輸送層として、電子輸送材料に化合物ET−1を、ドナー性材料として2E−1を用い、化合物ET−1と2E−1の蒸着速度比が1:1になるようにして36nmの厚さに積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、マグネシウムと銀を13nm共蒸着して陰極とした。
次に、化合物CP−2を15nm、化合物CP−1を70nm順次蒸着して二層型のキャッピング層を積層した。なお、化合物CP−1からなる膜の波長628nmにおける屈折率は2.00であり、化合物CP−2からなる膜の波長628nmにおける屈折率は1.53である。波長628nmは、化合物D−1のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
以上のように各層を積層して、5×5mm角のトップエミッション素子を作製した。この発光素子を、輝度1000cd/mで発光させた時の発光ピーク波長は632nm、色度は(0.702,0.298)、外部量子効率は16.6%であった。この値は、後述する比較例1の相対外部量子効率を100%とした相対値で117.7%である。また、光学シミュレーションによる外部量子効率の計算値は、比較例1を100%とした相対値で118.5%であった。結果を表1に示す。なお、PD−1、HT−1、H−1、H−2、ET−1、2E−1、CP−1、CP−2は下記に示す化合物である。
Figure 2020080108
実施例2
キャッピング層材料として化合物LiFを15nm、化合物CP−1を70nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした。なお、LiFからなる膜の波長628nmにおける屈折率は1.40である。キャッピング層以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例1を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表2に示す。
比較例1
正孔注入層の膜厚を140nmとした。発光層の材料としてホスト材料H−1と、りん光発光性化合物D−2とを、重量比で95:5になるようにして、40nmの厚さに蒸着した。キャッピング層材料として化合物CP−1を80nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした。以上の正孔注入層膜厚、発光層、およびキャッピング層以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、化合物CP−1からなる膜の波長626nmにおける屈折率は2.00である。波長626nmは、化合物D−2のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
比較例2
キャッピング層材料として化合物CP−2を20nm、化合物CP−1を60nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした以外は比較例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例1を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。化合物CP−2からなる膜の波長626nmにおける屈折率は1.53である。
比較例3
キャッピング層材料として化合物CP−1を85nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。
比較例1と比較例2を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.232eVである発光素子においては、キャッピング層の二層化により発光素子の外部量子効率は3.2%向上することがわかる。比較例3と実施例1を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.132eVと狭い発光素子においては、キャッピング層の二層化により外部量子効率が11.4%向上することがわかる。また、比較例3と実施例2を比較すると、キャッピング層の二層化により外部量子効率が14.8%向上することがわかる。
すなわち、発光スペクトルの半値幅が0.15eV以下の狭い発光素子においてキャッピング層を低屈折率層と高屈折率層で多層化することにより、外部量子効率が大きく向上する。実施例1と実施例2を比較すると、キャッピング層の低屈折率層の屈折率が低い程、キャッピング層の二層化による外部量子効率向上の効果が高いことがわかる。
実施例25
発光層の材料としてホスト材料H−1と、一般式(1)で表される化合物D−7と、一般式(2)で表される化合物B−1とを、重量比で80:1:19になるようにして、40nmの厚さに蒸着して発光層とした以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。なお、化合物CP−1からなる膜の波長627nmにおける屈折率は2.00、化合物CP−2からなる膜の波長627nmにおける屈折率は1.53である。波長627nmは、化合物D−7のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
実施例26
キャッピング層材料として化合物LiFを15nm、化合物CP−1を70nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした以外は実施例25と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。
比較例10
キャッピング層材料として化合物CP−1を85nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした以外は実施例25と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。
比較例10と実施例25を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.117eVと狭い発光素子においては、キャッピング層の二層化により外部量子効率が15.9%向上することがわかる。また、比較例10と実施例26を比較すると、キャッピング層の二層化により外部量子効率が23.2%向上することがわかる。
すなわち、発光スペクトルの半値幅が0.12eV以下の狭い発光素子においてキャッピング層を低屈折率層と高屈折率層で多層化することにより、外部量子効率が大きく向上する。実施例25と実施例26を比較すると、キャッピング層の低屈折率層の屈折率が低い程、キャッピング層の二層化による外部量子効率向上の効果が高いことがわかる。
実施例27
発光層の材料としてホスト材料H−1と、一般式(1)で表される化合物D−8と、一般式(2)で表される化合物B−1を、重量比で80:1:19になるようにして、40nmの厚さに蒸着して発光層とした以外は実施例1と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。なお、化合物D−8のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長は629nmである。化合物CP−1からなる膜の波長629nmにおける屈折率は2.00、化合物CP−2からなる膜の波長629nmにおける屈折率は1.53である。
実施例28
キャッピング層材料として化合物LiFを15nm、化合物CP−1を70nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした以外は実施例27と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。
比較例11
キャッピング層材料として化合物CP−1を85nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした以外は実施例27と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率計算値も併せて、結果を表1に示す。
比較例11と実施例27を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.088eVと狭い発光素子においては、キャッピング層の二層化により外部量子効率が22.4%向上することがわかる。また、比較例11と実施例28を比較すると、キャッピング層の二層化により外部量子効率が26.3%向上することがわかる。
すなわち、発光スペクトルの半値幅が0.10eV以下の狭い発光素子においてキャッピング層を低屈折率層と高屈折率層で多層化することにより、外部量子効率が大きく向上する。実施例27と実施例28を比較すると、キャッピング層の低屈折率層の屈折率が低い程、キャッピング層の二層化による外部量子効率向上の効果が高いことがわかる。
実施例3
正孔注入層として、HT−1とPD−1とを、蒸着速度比が19:1になるようにして85nm蒸着した。発光層の材料としてホスト材料H−1と、一般式(1)で表される化合物D−3と、一般式(2)で表される化合物B−2とを、重量比で80:1:19になるようにして、40nmの厚さに蒸着した。キャッピング層材料として化合物CP−2を20nm、化合物CP−1を50nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした。
作製した発光素子を、実施例1と同様に評価した。外部量子効率は23.0%であった。この値は、後述する比較例4の相対外部量子効率を100%とした相対値で165.5%である。また、光学シミュレーションによる外部量子効率の計算値は、比較例4を100%とした相対値で142.6%であった。なお、化合物CP−1からなる膜の波長515nmにおける屈折率は2.09、化合物CP−2からなる膜の波長515nmにおける屈折率は1.55である。波長515nmは、化合物D−3のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
実施例4
キャッピング層材料として化合物LiFを20nm、化合物CP−1を40nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした。なお、LiFからなる膜の波長515nmにおける屈折率は1.40である。キャッピング層以外は実施例3と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例4を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。
比較例4
正孔注入層の膜厚を100nmとした。発光層の材料としてホスト材料H−1と、りん光発光性化合物D−4とを、重量比で95:5になるようにして、40nmの厚さに蒸着した。キャッピング層材料として化合物CP−1を55nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした。以上の正孔注入層膜厚、発光層、およびキャッピング層以外は実施例3と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、化合物CP−1からなる膜の波長509nmにおける屈折率は2.10である。前記波長509nmは、化合物D−4のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
比較例5
正孔注入層の膜厚を95nmとした。キャッピング層材料として化合物CP−2を15nm、化合物CP−1を50nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした以外は比較例4と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例4を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。化合物CP−2からなる膜の波長509nmにおける屈折率は1.55である。
比較例6
正孔注入層の膜厚を90nmとした。キャッピング層材料として化合物CP−1を60nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした以外は実施例3と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例4を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。
比較例4と比較例5を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.317eVである発光素子においては、キャッピング層の二層化により発光素子の外部量子効率は5.0%向上することがわかる。比較例6と実施例3を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.117eVと狭い発光素子においては、キャッピング層の二層化により外部量子効率が15.0%向上することがわかる。
すなわち、発光スペクトルの半値幅が0.12eV以下の狭い発光素子においてキャッピング層を低屈折率層と高屈折率層で多層化することにより、外部量子効率が大きく向上する。実施例3と実施例4を比較すると、キャッピング層の低屈折率層の屈折率が低い程、キャッピング層の二層化による外部量子効率向上の効果が高いことがわかる。
実施例5
正孔注入層として、HT−1とPD−1とを、蒸着速度比が19:1になるようにして60nm蒸着した。発光層の材料としてホスト材料H−2と、化合物D−5と、一般式(2)で表される化合物B−3とを、重量比で75:1:24になるようにして、20nmの厚さに蒸着した。キャッピング層材料として化合物CP−2を20nm、化合物CP−1を40nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした。
作製した発光素子を、実施例1と同様に評価した。外部量子効率は17.9%であった。この値は、後述する比較例7の相対外部量子効率を100%とした相対値で120.9%である。また、光学シミュレーションによる外部量子効率の計算値は、比較例7を100%とした相対値で123.4%であった。結果を表1に示す。なお、化合物CP−1からなる膜の波長450nmにおける屈折率は2.31、化合物CP−2からなる膜の波長450nmにおける屈折率は1.57である。波長450nmは、化合物D−5のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
実施例6
キャッピング層材料として化合物LiFを20nm、化合物CP−1を40nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした。なお、LiFからなる膜の波長450nmにおける屈折率は1.40である。キャッピング層以外は実施例3と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例7を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。
比較例7
正孔注入層の膜厚を65nmとした。発光層の材料としてホスト材料H−2と、化合物D−6と、一般式(2)で表される化合物B−3とを、重量比で75:1:24になるようにして、20nmの厚さに蒸着した。キャッピング層材料として化合物CP−1を55nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした。以上の正孔注入層膜厚、発光層、およびキャッピング層以外は実施例5と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、化合物CP−1からなる膜の波長451nmにおける屈折率は2.30である。波長451nmは、化合物D−6のトルエン溶液における蛍光スペクトルのピーク波長である。
比較例8
キャッピング層材料として化合物CP−2を20nm、化合物CP−1を40nm順次蒸着して2層型のキャッピング層とした以外は比較例7と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例7を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。化合物CP−2からなる膜の波長451nmにおける屈折率は1.57である。
比較例9
キャッピング層材料として化合物CP−1を55nmの厚さに蒸着して単層キャッピング層とした以外は実施例5と同様にして発光素子を作製し、評価した。光学シミュレーションによる相対外部量子効率の計算値(比較例7を相対外部量子効率100%とする)も併せて、結果を表1に示す。
比較例7と比較例8を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.201eVである発光素子においては、キャッピング層の二層化により発光素子の外部量子効率は6.1%向上することがわかる。比較例9と実施例5を比較すると、発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.067eVと狭い発光素子において、キャッピング層の二層化により外部量子効率が18.5%向上することがわかる。また、比較例9と実施例6を比較すると、キャッピング層の二層化により外部量子効率が23.8%向上することがわかる。
すなわち、発光スペクトルの半値幅が0.10eV以下の狭い発光素子においてキャッピング層を低屈折率層と高屈折率層で多層化することにより、外部量子効率が著しく向上する。実施例5と実施例6を比較すると、キャッピング層の低屈折率層の屈折率が低い程、キャッピング層の二層化による外部量子効率向上の効果が高いことがわかる。
Figure 2020080108
図1は、実施例1〜6および比較例1〜9において、発光素子で実測された相対外部量子効率を横軸に、光学シミュレーションにより予測された相対外部量子効率を縦軸にプロットして比較したものである。実験結果とシミュレーション結果の決定係数Rは0.86であり、シミュレーションは実測値を精度よく予測できることがわかる。
実施例7
キャッピング層材料として化合物CP−1の屈折率を全波長域において0.5小さくし((入力屈折率)−(CP−1屈折率)=Δn=−0.5)、その膜厚を100nmとした以外は実施例2と同様の構成の発光素子の外部量子効率を光学シミュレーションで求めた。外部量子効率の計算値は、比較例1を100%とした相対値で113.3%であった。計算結果を表2に示す。高屈折率層の膜厚は光学シミュレーションで外部量子効率が最大となるように最適化した膜厚である。以下の実施例8〜19においても、同様に膜厚を最適化している。
実施例8〜19
キャッピング層材料として、化合物CP−1の屈折率を全波長域において表2の高屈折率層の化合物欄に記載されたΔnだけ増分し、膜厚を高屈折率層の膜厚欄に記載された値とした以外は実施例2と同様の構成の発光素子の外部量子効率を光学シミュレーションで求めた。比較例1の相対外部量子効率の計算値を100%とした相対値で、計算結果を表2に示す。
実施例2と実施例7〜19から、高屈折率層の屈折率が高いほど外部量子効率が向上することがわかる。また、高屈折率層の屈折率が1.5(実施例7)から0.1増加して1.6になると(実施例8)、相対外部量子効率の計算値は0.5%上昇する。一方、高屈折率層の屈折率が1.6(実施例8)から0.1増加して1.7になると(実施例9)、相対外部量子効率の計算値は大きく3.3%上昇する。すなわち、屈折率が1.7以上である場合に外部量子効率の向上効果が高いことがわかる。高屈折率層と低屈折率層の屈折率差に着目すると、屈折率差が0.3以上である場合に外部量子効率の向上効果が高いことがわかる。
実施例20
キャッピング層材料として化合物CP−2の屈折率を全波長域において0.2小さく(入力屈折率−CP−2屈折率=Δn=−0.2)した以外は実施例1と同様の構成の発光素子の外部量子効率を光学シミュレーションで求めた。比較例1の相対外部量子効率の計算値を100%とした相対値で、計算結果を表2に示す。
実施例21〜24
キャッピング層材料として化合物CP−2の屈折率を全波長域において表2の低屈折率層の化合物欄に記載されたΔnだけ増分した以外は実施例1と同様の構成の発光素子の外部量子効率を光学シミュレーションで求めた。比較例1の相対外部量子効率の計算値を100%とした相対値で、計算結果を表2に示す。
実施例1と実施例20〜24から、低屈折率層の屈折率が低いほど外部量子効率が向上することがわかる。また、低屈折率層の屈折率が1.83(実施例24)から0.1減少して1.73になると(実施例23)、相対外部量子効率の計算値は114.7%から115.0%へと0.3%上昇する。一方、低屈折率層の屈折率が1.73(実施例23)から0.1減少して1.63になると(実施例22)、相対外部量子効率の計算値は大きく2.6%上昇する。すなわち、屈折率が1.65以下である場合に外部量子効率の向上効果が高いことがわかる。
Figure 2020080108

Claims (19)

  1. 基板、第1電極、発光層を含む1以上の有機層、第2電極およびキャッピング層をこの順に有し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、前記キャッピング層が、1つ以上の低屈折率層と、1つ以上の高屈折率層との積層構造であり、前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.15eV以下である発光素子。
  2. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長における、前記キャッピング層を構成する高屈折率層の屈折率が1.7〜2.8である、請求項1記載の発光素子。
  3. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長における、前記キャッピング層を構成する低屈折率層の屈折率が1.25〜1.65である、請求項1または2記載の発光素子。
  4. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長における、前記キャッピング層を構成する、最も屈折率の高い層と最も屈折率の低い層との屈折率差が0.3以上である、請求項2または3記載の発光素子。
  5. 前記キャッピング層を構成する高屈折率層が、アリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、およびトリアゾール誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光素子。
  6. 前記キャッピング層を構成する高屈折率層が、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スカンジウム、酸化ジルコニウム、酸化セレン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ハフニウム、酸化イッテルビウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化トリウム、酸化マグネシウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、窒化ケイ素、フッ化鉛、炭化ケイ素、窒化ガリウム、酸化インジウムスズ(ITO)、LiNbO、およびLaTiからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記キャッピング層を構成する低屈折率層が、ボロン錯体構造を有する有機化合物を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子。
  8. 前記キャッピング層を構成する低屈折率層が、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、フッ化プラセオジム、フッ化ガドリニウム、フッ化ランタン、フッ化ネオジウム、フッ化セリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タングステン、NaAl14、およびNaAlFからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光素子。
  9. 前記発光層が、一般式(1)で表される化合物を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光素子。
    Figure 2020080108
    (Xは、C−RまたはNを表す。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、−P(=O)R1011、ならびに隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。R10およびR11は、アリール基またはヘテロアリール基である。)
  10. 前記発光層が、遅延蛍光性の化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光素子。
  11. 前記遅延蛍光性の化合物が一般式(2)で表される化合物である、請求項10記載の発光素子。
    Figure 2020080108
    (Aは電子供与性部位であり、Aは電子受容性部位である。Lは連結基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよく、単結合またはフェニレン基を表す。mおよびnは、それぞれ、1以上10以下の自然数である。mが2以上の場合、複数あるA1およびL1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nが2以上の場合、複数あるA2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
  12. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.12eV以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光素子。
  13. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルの半値幅が0.10eV以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光素子。
  14. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長が580nm以上660nm以下の範囲である請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光素子。
  15. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲である請求項12に記載の発光素子。
  16. 前記発光層が含有する発光材料の固有の発光スペクトルのピーク波長が430nm以上490nm以下の範囲である請求項13に記載の発光素子。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の発光素子を含むディスプレイ。
  18. 請求項1〜16のいずれかに記載の発光素子を含む照明装置。
  19. 請求項1〜16のいずれかに記載の発光素子を含むセンサ。
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