JPWO2020066229A1 - フィルム製造方法及びフィルムロール - Google Patents

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Abstract

塗膜の厚みむらをより長時間抑制するフィルム製造方法、及びその方法を利用したフィルムロールを提供する。
フィルム製造設備(30)を用いたフィルム(12)の製造方法は、出液開始工程と、着液工程と、予備塗布工程と、本塗布工程とを有する。出液開始工程は、スロットダイ(44)から塗布液(43)を出し始める。着液工程は、塗布液(43)を基材(21)に接触させる。予備塗布工程は、塗布液(43)を基材(21)に塗布している状態で上流側ブロックの先端リップを露呈させる。予備塗布工程の後に塗布を継続し、製品部となる積層フィルム(12)の膜(22)を形成する。

Description

本発明は、フィルム製造方法及びフィルムロールに関する。
移動する長尺の基材に、スロットダイを用いて塗布液を塗布することにより、積層フィルムを製造する方法が知られている。スロットダイは、基材の移動方向における上流側のブロック(以下、上流側ブロックと称する)と下流側のブロック(以下、下流側ブロックと称する)との間のスロットから塗布液を出す塗布ダイである。
スロットダイを用いた塗布で積層フィルム製造する方法として、例えば特許文献1には,スロットダイの形状及び塗布条件を所定の式を満たす条件で行うことが記載されている。この方法では、下流側ブロックの先端リップの表面と基材との間隔を、基材の移動方向における下流側に向かうに従って漸増させた条件下で塗布している。また、塗布の条件を、塗布液の前進接触角と後退接触角とを用いて設定することが記載されている。
前進接触角から後退接触角を減じた接触角ヒステリシスが小さい場合には、液滴の移動性が大きくなることが特許文献2に記載されている。
また、特許文献3には、スロットダイを用いた塗布の終了時において、上流側ブロックに位置しているメニスカスが、上流側に移動し、その後、下流側に移動する態様が記載されている。
特開2004−216298号公報 特開2004−017497号公報 特開2007−237072号公報
しかしながら、スロットダイを用いた塗布方法においては、塗布を継続している間に、塗膜に球状の凸部が形成するようになる。この凸部は、スロットダイの上流側ブロックの先端において、塗布液の塊(ゲル状物等)が生じ、この塊がスロットダイから脱離し、塗膜に入り込んでしまうことで形成される。そこで、塗布を停止し、上流側ブロックの先端を洗浄した後に新たな積層フィルムを製造することになる。このように塗布を停止することから、継続できる塗布時間には限界があり、製造できるフィルムの長さは制限されている。
この点、特許文献1及び3の塗布方法を用いても、上記のように、継続できる塗布時間には限界があり、製造できるフィルムの長さも限界がある。また、特許文献2に記載される手法は、インクジェットプリンタに関するものであり、スロットダイでの塗布に利用したとしても、上記のような塗布時間及び製造できるフィルムの長さの限界を解決できない。
そこで本発明は、塗膜の厚みむらをより長時間抑制するフィルム製造方法及びその方法を利用したフィルムロールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のフィルム製造方法は、出液開始工程と、着液工程と、予備塗布工程と、本塗布工程とを有し、移動する長尺の基材に、基材の移動方向における上流側のブロックと下流側のブロックとの間のスロットから塗布液を出すスロットダイにより塗布液を連続的に塗布することにより、積層フィルムを製造する。出液開始工程は、スロットダイのスロットから塗布液を出し始める。着液工程は、移動中の基材と出液中のスロットダイとの距離を狭めることにより、スロットダイから出ている塗布液を基材に接触させる。予備塗布工程は、塗布液を基材に塗布している状態で、着液工程により塗布液で濡れていた上流側ブロックの先端リップを露呈させる。本塗布工程は、予備塗布工程の後に塗布を継続し、製品部となる積層フィルムの塗膜を形成する。
予備塗布工程は、先端リップに塗布液が液滴として残存している状態に先端リップが露呈した場合には、液滴を落下させる液滴落下工程を有することが好ましい。
予備塗布工程は、第1メニスカス移動工程と、第2メニスカス移動工程とを有することが好ましい。第1メニスカス移動工程は、スロットダイと基材との間の塗布ビードの上流側メニスカスを、基材の移動方向における上流側に移動させることにより、液滴を塗布ビードに一体化させる。第2メニスカス移動工程は、第1メニスカス移動工程の後に、上流側メニスカスを第1メニスカス移動工程前の位置に移動させる。
上流側メニスカスの移動は、塗布ビードの基材の移動方向における上流側の減圧度を変更することと、スロットダイと基材との距離を増減させることと、スロットダイからの塗布液の流量を変更することとのいずれかにより、上流側メニスカスを移動させることが好ましい。
予備塗布工程を、着液工程における塗布液の基材への接触開始から10秒以内に終了させることが好ましい。
フィルム製造方法は、積層フィルムを巻き芯に巻き取る巻取工程をさらに有し、巻き芯には、予備塗布工程を経た積層フィルムを巻き取った後に、本塗布工程を経た積層フィルムを巻き取ることが好ましい。
本発明のフィルムロールは、巻き芯と、積層フィルムとを備え、積層フィルムは、基材と基材に形成された膜を備え、長尺に形成され、長手方向における一端側から巻き芯に巻かれている。積層フィルムは、積層フィルムの長手方向に延びた突起が膜に形成されているフィルム部を、上記一端側に有する。
本発明のフィルム製造方法によると、塗膜の厚みむらをより長時間抑制することができ、より長尺のフィルムが巻かれたフィルムロールが得られる。
本発明を実施したフィルムロールの説明図である。 積層フィルムの層構造の説明図である。 突起形成部の説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)の(IIIb)−(IIIb)線に沿った断面の端面図である。 フィルム製造設備の概略図である。 塗布装置の概略図である。 接触角ヒステリシスの説明図である。 接触角の説明図である。 スロットダイと基材との説明図である。 塗布の説明図である。
図1において、フィルムロール10は、巻き芯11と、長尺の積層フィルム(以下、単に「フィルム」と称する)12とを備える。巻き芯11は、この例では円筒状に形成されているが、円柱状であっても構わない。
図1において二点破線は巻き芯11に巻かれた状態のフィルム12を示し、実線は巻き芯11に巻かれる前のフィルム12を示している。フィルム12は、巻き芯11が後述のように図1の矢線Aで示す方向に回転することにより、長手方向における一端12A側から巻き芯11に巻かれたロール形態にされる。なお、図1においては、フィルム12の厚みを大きく誇張して描いてある。
フィルム12は、製品部15と、非製品部16とで構成されている。製品部15は、例えば光学部材などの製品として使用に供されるフィルム部である。非製品部16は、例えば光学部材などの製品としては使用しないフィルム部である。ただし非製品部16は、使用を予定しないフィルム部であってもよく、実際に使用しないフィルム部には限られない。また、製品部15は、使用を予定するフィルム部であればよく、実際に使用されるフィルム部でなくてもよい。
非製品部16はフィルム12の一端12A側を構成するフィルム部であり、製品部15は、他端12B側を構成するフィルム部である。したがって、非製品部16はフィルムロール10の内部に位置し、製品部15が非製品部16の外側に位置する。
製品部15は、フィルム12の長手方向における大部分を構成しており、長さL15が非製品部16の長さL16よりも極端に長い。非製品部16の長さL16は大きくても300mに抑えられていることが好ましく、本例では100mとなっている。非製品部16の長さL16は20m以上300m以下の範囲内であることがより好ましく、20m以上100m以下の範囲内であることがさらに好ましい。
非製品部16は、突起形成部17と突起非形成部18とを有する。突起形成部17は、フィルム12の長手方向に延びた突起17Aがある領域であり、突起非形成部18にはこのような突起17Aは形成されていない。突起形成部17は、非製品部16の製品部15側の端部に、突起非形成部18よりも極端に短い長さ領域として形成されている。
フィルム12の長手方向における突起形成部17の長さL17は300mm以上5000mm以下の範囲内である。突起17Aは、複数形成されている。なお、突起形成部17は、図1に示すように、一端12Aに最も近い突起17Aの一端12A側から、他端12Bに最も近い突起17Aの他端12Bまでの領域とする。
突起17Aは、巻き芯11側の第1フィルム面(内向き面)S1に形成されていてもよいし、巻き芯11側とは反対側の第2フィルム面(外向き面)S2に形成されていてもよい。この例では、第1フィルム面S1に形成してあり、これにより、巻き芯11の表面と一端12Aとの段差の跡、あるいは、巻き芯11と一端12Aとを固定する粘着テープの跡(以下、これらをまとめて端縁跡と称する)などが、巻き回されたフィルム12に付きにくく、また、付いたとしても、その長手方向における区間が短く抑えられる。
フィルム12は、製品部15及び非製品部16の両方が、基材21と、基材21よりも厚みが小さい膜22とを備える。製品部15の膜22は、図2に示すように、膜面が基材21と同様に平坦な、いわゆる平膜となっている。基材21の材料は、特に限定されないが、巻き芯11に巻き取れるに十分な可撓性を備えており、例えば熱可塑性樹脂(ポリマー)が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、セルロースアシレート(例えばセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。この例の基材21は単層構造であるが、基材21は複層構造であってもよい。複層構造の基材としては、例えば、上記のような熱可塑性樹脂で形成されたフィルム材と、光照射での光異性化により配向した化合物を含有する光配向膜などとを備える基材が挙げられる。基材21の厚みT21は、特に限定されず、好ましくは5μm以上300μm以下の範囲内であり、本例では40μmとしている。
膜22は、基材21の一方の基材面21Aに設けられている。例えば機能性材料を塗布することにより形成した機能膜が挙げられ、機能膜の例は磁性膜、感光膜、光学機能性膜などである。前述のように基材21が光配向膜を備える複層構造である場合の光学機能性膜としては、例えば、液晶性化合物(液晶性ポリマー及び/または液晶性モノマー)を含有する液晶性膜が挙げられる。
製品部15と同様に基材21と膜22とを有する突起非形成部18(図1参照)は、膜22の厚みT22が製品部15における厚みT22と同じ厚みであることが好ましく、本例でもそのようにしている。なお、製品部15における厚みT22を100としたときに、98以上102以下の範囲内であれば、同じ厚みと見なす。
突起形成部17の膜22には、前述の突起17Aが複数形成されている。したがって、突起形成部17の膜22は、突起17Aが有る部分と突起17Aが無い部分とで厚みT22が異なる。図3に示すように、突起17Aは、膜22の基材21側とは反対側の膜面22Aを構成している。突起17Aは、長尺のフィルム12(図1参照)の幅方向全域(全幅域)に複数形成されており、また、長手方向にも複数形成されている。複数の突起17Aの配置は、不規則であり、膜面22Aに分散した態様で形成されている。
突起17Aは、図3(A)に示すように、膜面22Aをその垂直方向から見たときの形状が楕円形状であり、楕円の長軸がフィルム12の長手方向に、短軸が幅方向に沿っている。ただし、膜面22Aをその垂直方向から見たときの突起17Aの形状は、フィルム12の長手方向に延びた形状であれば、特に限定されない。例えば、幅(フィルム12の幅方向における長さ)が概ね一定である形状、幅がフィルム12の長手方向における一方から他方に向かって漸増する形状、あるいは、幅が極めて小さい線形状であっても構わない。複数の突起17Aは、サイズが不均一である。突起17Aは、フィルム12の長手方向における長さ(以下、突起長さと称する)LPが50mm以上1000mm以下の範囲内であることが好ましく、フィルム12の幅方向における長さ(以下、突起幅と称する)WPが1mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましく、突起17Aが非形成であるフィルム領域における膜面22Aからの突起17Aの高さ(以下、突起高さと称する)HPが0.05μm以上0.3μm以下の範囲内であることが好ましい。
図4に示すフィルム製造設備30は、積層フィルム12を製造し、フィルムロール10を得る設備の一例である。フィルム製造設備30は、送出部31と塗布装置32と硬化装置33と巻取部34とを、基材21の移動方向Dcにおける上流側から順に備える。基材21を移動させる移動路には、ローラ37が複数備えられている。複数のローラ37の中には、回転機構(図示無し)を備え、この回転機構により周方向に回転する駆動ローラがあってもよい。
送出部31は、基材21をロール状に巻いた基材ロール38がセットされる。送出部31は、基材ロール38から長尺の基材21を連続的に送り出す。
塗布装置32は、基材21の一方の表面に、膜22(図2参照)になる塗膜41を形成するためのものである。塗布装置32は、基材21を支持する支持ローラ42と、塗布液43を出すスロットダイ44等から構成されている。支持ローラ42は、回転軸42aを備え、この回転軸42aが回転機構(図示無し)により回転することにより、支持ローラ42は周方向に回転する。これにより、支持ローラ42に接している基材21が、長手方向に移動する。本例では、基材21の移動速度を20m/分としているが、移動速度はこれに限られない。
スロットダイ44は、塗布液43を出す出液口45(図5参照)を支持ローラ42に向けた姿勢で配される。移動中の基材21に向けて出液口45から連続的に塗布液43が出されることにより、塗布液43が基材21の基材面21A(図2参照)に連続的に塗布され、塗膜41が形成される。このように、フィルム12は、塗布装置32での塗布工程を経て製造される。なお、本例では、塗膜41が10μmの厚みに形成される状態に塗布を行っているが、形成直後の塗膜41の厚みはこの例に限られない。塗布装置32の詳細は、別の図面を用いて後述する。
塗布液43は、例えば前述の各種機能性材料を含有する液体が挙げられる。本例の塗布液43は、粘度が3mPa・sであり、表面張力が24mN/mであり、溶媒がメチルエチルケトン(MEK)を主成分として含有しており、固形分(膜22(図2参照)を生成する成分)の濃度が32質量%である。主成分とは、溶媒の全質量を100とするときに、少なくとも の質量を占める成分である。固形分の濃度(単位は質量%)は、固形分の質量をM1とし、溶媒の質量をM2とするときに、(M1/M2)×100で求める百分率である。ただし、塗布液は本例に限られない。
硬化装置33は、塗膜41を所定の処理により硬化することにより膜22を形成する。製品部15及び非製品部16の突起非形成部18の膜22は均一な厚みに、非製品部16の突起形成部17の膜22は、突起17Aを有する状態に、それぞれ形成される。硬化装置33としては、乾燥装置、あるいは光照射装置等が挙げられ、塗膜41に含まれる機能性材料に応じて選択される。乾燥装置は、塗膜41に乾燥した気体(例えば空気)を供給することにより塗膜41を乾燥する。光照射装置は、塗膜41に向けて光を射出し、塗膜41に含まれる例えば光硬化性化合物を硬化させる。光硬化性化合物として、紫外線で硬化する紫外線硬化性化合物を用いる場合には、光照射装置には紫外線を射出する紫外線照射装置を用いるとよい。なお、これらの硬化装置を、複数組み合わせて配してもよい。
巻取部34は、ターレットアーム46を有し、巻取り軸47にセットされた巻き芯11にフィルム12を巻き取る。この例では、膜22を巻き芯11側に向けた(内向き)状態に、フィルム12を巻き取っているが、膜22を外周側に向けた(外向き)状態に、フィルム12を巻き取ってもよい。巻取りにおける膜22の向きは、巻取り軸47の回転方向と、巻取り軸47の回転の向きに対するフィルム22の導入経路とによって、設定できる。ターレットアーム46はアーム駆動部(図示無し)によって180度間欠回転し、巻き芯11を巻取り位置PS1と、巻き芯交換位置PS2とに選択的に切り換える。なお、ターレットアーム46の回転方向の中間位置には、ガイドアーム48が設けられており、ガイドアーム48の各先端部にはガイドローラ51が取り付けられている。ガイドローラ51は、ターレットアーム46が回転している場合に、フィルム12がターレットアーム46とアーム取付軸52とに接触することがない状態に、フィルム12を支持する。
巻取り軸47はターレットアーム46の各先端部に設けられており、巻取り軸47に巻き芯11がセットされる。巻取り位置PS1では、ローラ30から送られてくるフィルム12を巻き芯11に巻き取る。また、巻き芯交換位置PS2では、一定長さのフィルム12を巻き取り、満巻きとなったフィルムロール10を巻き芯11と一緒に巻取り軸47から取り外し、この巻取り軸47には新たな空の巻き芯11がセットされ、巻き芯11の交換が行われる。
巻取り位置PS1において、一端12A(図1参照)側からフィルム12が巻き芯11に巻き取られ、フィルムロール10が所定の長さの満巻きに近い状態になった場合には、ターレットアーム46が180度回転し、巻き芯交換位置PS2に満巻きに近いフィルムロール10を位置させる。また、巻取り位置PS1には空の巻き芯11が位置決めされる。フィルムロール10が所定の長さとなった場合には、巻替え装置(図示無し)が作動し、フィルム12が切断される。切断された先行のフィルム12は、後端を前述の他端12B(図1参照)として、巻き芯交換位置PS2にてフィルムロール10に巻き取られる。また、切断された後行のフィルム12は、先端を前述の一端12A(図1参照)として、巻取り位置PS1にて空の巻き芯11に巻き取られる。
以下、同じように、巻き芯11にフィルム12が巻き取られることにより、連続して送られてくるフィルム12がフィルムロール10の形態としてロール製品となる。
塗布装置32は、図5に示すように、さらに、供給部60と、架台61と、移動台62と、ステージ63と、シフト機構66と、減圧チャンバ67と、吸引部68と、回収部71と、コントローラ72とを備える。供給部60は、塗布液43(図4参照)を設定された流量でスロットダイ44へ供給する。
架台61は、スロットダイ44を支持するためのものである。この例では、出液口45を上向きにし、支持ローラ42の回転中心よりも低い位置にスロットダイ44を配しており、出液口45を上向きにした姿勢にスロットダイ44が保持されている。ただし、スロットダイ44はこの配置に限られず、例えば支持ローラ42の上または下などでもよい。また、出液口45は支持ローラ42に向いていればよく、本例のような上向きに限られない。
架台61は移動台62に固定されており、移動台62はステージ63上で移動自在に設けられ、シフト機構66を備える。ステージ63には図5における横方向に延びたレール(図示無し)が設けられている。移動台62は、シフト機構66により、レールに沿ってスライド移動する。これにより、架台61は移動台62と一体に移動し、この移動により、架台61上のスロットダイ44が支持ローラ42との距離を増減する方向で移動する。
スロットダイ44から出た塗布液43により、スロットダイ33と基材21との間には塗布ビード(以下、単にビードと称する)76が形成される。移動方向Dcにおけるビード76の上流側の外気との境界を上流側メニスカスMU(図8参照)、下流側の外気との境界を下流側メニスカスMD(図8参照)と称する。減圧チャンバ67は、ビード76の形態の調整を行うためのものであり、ビード76の形態の調整には、ビード76自体の形状の調整と、上流側メニスカスMUの位置の調整とを含む。減圧チャンバ67は、スロットダイ44及び支持ローラ42の移動方向Dcにおける上流側に設けられ、本例では、スロットダイ44及び支持ローラ42の下に設けてある。
減圧チャンバ67は支持ローラ42に対面する開口67oが設けられている。減圧チャンバ67は、その仕切られた空間(以下、減圧空間という)の圧力が、吸引部68によって低くされる。フロントプレート67aと、バックプレート67bと、一対のサイドプレート67cと、ベースプレート67dとは、減圧空間を外部空間と仕切るためのものである。フロントプレート67aと、バックプレート67bと、一対のサイドプレート67cとは、移動中の基材21に対して起立した姿勢で設けられ、ベースプレート67dが移動台62に載せられる。各サイドプレート67cは、支持ローラ42の周面にほぼ沿って概ね円弧状(湾曲した形状)に切り欠かれおり、それぞれ支持ローラ42よりも外側にならない状態に、すなわちサイドプレート67cのエッジが支持ローラ42の周面に対向する位置に配してある。これにより、サイドプレート67cは基材21の幅方向の両端で減圧空間を仕切る。
フロントプレート67aは移動方向Dcにおける下流側で、また、バックプレート67bは上流側で、それぞれ減圧空間を仕切っており、基材21の幅方向に延びている。これらフロントプレート67a、バックプレート67b、及びサイドプレート67cは、基材21との接触を防ぐために、基材21の厚みT21を考慮した上で支持ローラ42の周面と間隔があけられている。また、バックプレート67bには、基材21の幅方向に延びた調整板67eが設けられており、基材21との距離を増減する方向で移動可能となっている。調整板67eは、この移動により基材21との隙間を調整し、減圧空間の圧力をより精緻に調節している。
吸引部68は減圧チャンバ67に接続し、空気を吸引することにより、減圧空間を減圧する。これにより、ビード76の形状が調整されたり、上流側メニスカスMU(図8参照)のスロットダイ44上での位置が調整される。
減圧チャンバ67の内部には、ベースプレート67dに起立した姿勢で、仕切り板67fが設けられている。この仕切り板67fは、フロントプレート67aとの間に、スロットダイ44から出た塗布液43を受ける(溜める)液溜め部67sを形成している。一対のサイドプレート67cの下部には、排出口67vが開閉自在に設けられており、この排出口67vには、塗布液43を回収する回収部71が接続している。液溜め部67sに塗布液43を受ける場合(例えば後述の出液開始工程)及び減圧空間を減圧する場合には、排出口67vが閉状態とされ、液溜め部67sの液を排出する場合及び減圧空間の減圧を解除する場合には、排出口67vは開状態とされる。
コントローラ72は、供給部60、シフト機構66、吸引部68、排出口67vの開閉及び回収部71などを統括的に制御する。例えば、供給部60を制御し、塗布液43のスロットダイ44への供給量を調整する。供給量の調整には、塗布液43の開始及び停止(流量をゼロとする)を含む。また、シフト機構66を制御し、所定のタイミングでスロットダイ44を図5における横方向に移動させ、これによりスロットダイ44と基材21との距離を増減させる。また、コントローラ72は、吸引部68を制御し、減圧空間の圧力を調整し、回収部71を制御し、回収部71を介して排出口67vの開閉を行う。
カメラ73は、後述の予備塗布工程において先端リップ82の露呈状態を観察するためのものである。カメラ73は、先端リップ82を撮像できる状態に、支持ローラ42の内部に配されている。撮像した画像を観察するための例えば表示装置(図示無し)は、支持ローラ42の外部に設けてあり、この表示装置にカメラ73は電気的に接続されている。カメラ73は先端リップ82を観察するためのものであるから、支持ローラ42は、断面円形の外周面を構成する外周部材42bが透明な素材で形成されており、本例ではガラスで形成されている。これにより、カメラ73は、外周部材42bを介して先端リップ82の表面を撮像する。
スロットダイ44は、移動方向Dcにおける上流側のブロック(以下、上流側ブロックと称する)77と、下流側のブロック(以下、下流側ブロックと称する)78とを備える。上流側ブロック77と下流側ブロック78とは、互いの間に、塗布液43が流れる流路としてのスロット81を形成している。スロット81の一端は、基材21の幅方向に延びたスリット状の開口を出液口45としてスロットダイ44に形成している。なお、本例のスロットダイ44は、幅方向(図5の紙面奥行方向であり、基材21の幅方向に一致する)の外寸が120mmであるが、スロットダイはこの例にこの例に限られない。
上流側ブロック77と下流側ブロック78とは金属(例えばステンレス)製とされているが、これら上流側ブロック77と下流側ブロック78との先端リップ82には表面処理を施すことが好ましい。表層82aは、後述の予備塗布工程において先端リップ82を確実に露呈させるためのものであり、厚みは極めて薄くてよい。図5では表層82aの厚みを大きく誇張して描いてあるが、本例での厚みは概ね100nmである。表層82aは、表層82aとなる素材、または、その素材を溶剤に溶解もしくは分散媒に分散した液を、スプレーで塗布し、加熱処理を行うことによって形成している。なお、以下の説明において、上流側ブロック77の先端リップには82Uを、下流側ブロック78の先端リップには符号82Dをそれぞれ付し、両者を区別しない場合には、先端リップ82と記載する。本例でも先端リップ82に上記の表面処理を施しており、表層82aが形成されている。
表層82aはフッ素を含有するポリマーで形成されており、フッ素を含有するポリマーとしてはダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)DSXを用いている。ただし、表層82aの素材はこの例に限定されず、例えば、AGC株式会社製のSURECO(登録商標)AFシリーズ、荒川化学工業株式会社製のビームセット(登録商標)1400シリーズ、信越化学工業株式会社製のSHIN−ETSU SUBELYN(登録商標)KY−100シリーズなどでもよい。また、表面処理の手法は、この例に限定されず、例えば、蒸着、ディップコート、スピンコートなどでもよい。
なお、先端リップ82は、着脱自在な別部材で構成してもよい。その一例としては、金属製の上流側ブロック本体(図示無し)と下流側ブロック本体(図示無し)とを一体に組み合わせたダイ本体に、先端リップ82を構成する先端リップ部材(図示無し)を嵌合させたスロットダイが挙げられる。先端リップ部材には、上記の表面処理を施すことが好ましい。
表層82aを有する先端リップ82は、塗布液43に対する接触角ヒステリシスθHが大きくても30°に、すなわち30°以内であることが好ましい。なお、以下の説明において接触角ヒステリシスθHは、用いる塗布液に対する接触角ヒステリシスである。接触角ヒステリシスθHは、25°以内であることがより好ましく、20°以内であることがさらに好ましく、10°以内であることが特に好ましい。
接触角ヒステリシスθHは、周知の通り、固体S表面に付着した液滴Dの前進接触角θ1から後退接触角θ2を減じた差である(図6参照)。固体Sの表面の濡れ性は、接触角θCで論じられることが多い。しかし、接触角θCを基準にしても予備塗布工程で先端リップ82を確実に露呈させることができない場合がある。なお、接触角θCは、固体Sの表面に静止した状態の液滴Dの自由表面と固体Sの表面とのなす角であり、なす角は液滴D側の角度である(図7参照)。本例では先端リップ82が固体Sに対応し、液滴Dは塗布液43の液滴43dである。
先端リップ82は、接触角ヒステリシスθHが前述の15.6°である場合の前進接触角θ1は69.3°、後退接触角θ2は53.7°である。この先端リップ82の塗布液43に対する接触角θCは、59.1°となっている。これに対し、接触角ヒステリシスθHが前述の43.2°である先端リップは、前進接触角θ1が71.3°、後退接触角θ2が28.1°であり、接触角θCが65.3°である。また、接触角ヒステリシスθHが前述の70°の先端リップは、前進接触角θ1が81.3°、後退接触角θ2が11.1°であり、接触角θCが10.6°である。
接触角ヒステリシスθHは、前進接触角θ1と後退接触角θ2とを求め、θ1−θ2の算出式で算出することができる。前進接触角θ1と後退接触角θ2とは、滑落法により求めることができる。滑落法は、まず、基板面を水平にした基板の上に、液を滴下する。そして、液滴が載っている状態で基板を徐々に傾けていき、液滴が動き始めたときの液滴と基板面とのなす角を求める。液滴の進行方向側のなす角を前進接触角θ1、進行方向と反対側のなす角を後退接触角θ2とする。滑落法を用いた前進接触角θ1と後退接触角θ2とは、市販の滑落接触角計で求めることができる。市販の滑落接触角計としては、例えば協和界面科学(株)のDropMaster SAシリーズがある。なお、前進接触角θ1と後退接触角θ2とを求める場合には、先端リップ82に塗布液43の液滴43dを付着させることにより求めてもよいし、先端リップ82と同じ素材のサンプルを作製し、このサンプルに液滴43dを付着させることにより求めてもよく、本例ではサンプルを用いて求めている。接触角θCは、液滴法により求めることができ、市販の測定機器(例えば前述のDropMaster SAシリーズ)を用いてもよい。本例でも液適法により求めており、協和界面科学(株)のDropMaster SAシリーズを用いている。
この例のスロットダイ44は、図8に示すように、下流側ブロック78の先端リップ82Dの方が上流側ブロック77の先端リップ82Uよりも基材21との距離が小さい状態に、上流側ブロック77と下流側ブロック78とを一体に組み合わせてある。しかし、上流側ブロック77と下流側ブロック78との組み合わせ方の態様は、この例に限定されない。例えば、先端リップ82Dの距離d1(単位はμm)は、先端リップ82Uと基材21との距離d2(単位はμm)と同じ状態に、上流側ブロック77と下流側ブロック78とを組み合わせてもよい。また、距離d1よりも距離d2が小さい状態に、上流側ブロック77と下流側ブロック78とを組み合わせてもよい。
本例では、距離d1は100μmとしている。先端リップ82Uと先端リップ82Dとの一方が他方よりも基材21及び支持ローラ42側へ突出している突出量QEは、0μmより大きく300μm以下の範囲内であることが好ましく、本例では150μmとしている。
この例では、先端リップ82Uと先端リップ82Dとは、図8に示すように、移動方向Dcに概ね沿った平坦面を有している。先端リップ82の平坦面部分の移動方向Dcにおける長さ(以下、リップ長さと称する)LLは、先端リップ82Uについては1mmとしており、先端リップ82Dについてはこれによりも極めて短くしている。ただし、リップ長さLLは、この例に限られず、例えば先端リップ82Uと先端リップ82Dとのリップ長さLLは互いに同じであってもよい。なお、先端リップ82Dのリップ長さLLは、後述の式(1)及び(1A)において、Lで表している。
ここで、ビード76よりも下流側外部の任意の位置(図8中の符号PA)の圧力をP0(単位はPa)とし、ビード76の下流側メニスカスMDに極めて近い任意の位置(図8中の符号PB)の圧力をP1(単位はPa)とし、ビード76のうち、スロットから延長された任意の位置(図8中の符号PC)の圧力をP2(単位はPa)とし、ビード76の上流側メニスカスMUに極めて近い任意の位置(図8中の符号PD)の圧力をP3(単位はPa)とし、ビード76よりも上流側外部の任意の位置(図8中の符号PE)の圧力をP4(単位はPa)とする。本例では、圧力P0は大気圧であり、圧力P4は減圧チャンバ67によって調整している。なお、上記圧力P0〜P4は、いずれも大気圧を0Paとした場合のいわゆるゲージ圧である。
ビード76における塗布液43の流れは、周知の通りクエット流れとポアズイユ流れとが合成された流れである。クエット流れは基材21の移動と塗布液43の粘性とに依存する流れであり、ポアズイユ流れは、圧力P1と圧力P2との差、及び/または、圧力P2と圧力P3との差に依存する流れである。
先端リップ82Uにおける上流側メニスカスMUの長さ(以下、上流側ビード長と称する)L(単位はm)は、以下の式(1)で求められる。
L=(d1/6μU)・[−P4−1.34(μU/σ)2/3・(σ/h)−(6μUL/d1)・(d1−2h)+{σ(cosθC+cosθC)}/d2]・・・(1)
式(1)は、下記の式(1A)と式(1B)とから得ている。
P0−P4=1.34(μU/σ)2/3・(σ/h)+(6μUL/d1)・(d1−2h)+(6μUL/d2)+σ/R ・・・(1A)
R=−{d2/(cosθC+cosθC)} ・・・(1B)
式(1),(1A),(1B)において、μ,Uなどは、それぞれ下記を意味する。
μ(単位はPa・s);塗布液43の粘度
U(単位はm/s);基材21の移動速度
σ(単位はN/m);表面張力
h(単位はm);塗膜41の厚み
θC(単位は°);先端リップ82Uと上流側メニスカスMUとのなす角であり、なす角はビード76の内部側の角度である
θC(単位は°);基材21と上流側メニスカスMUとのなす角であり、なす角はビード76の内部側の角度である
R(単位はm);メニスカスの曲率半径
塗布液43の塗布方法について、図9を参照しながら説明する。まず、基材21を移動させる。スロットダイ44を、所定の塗布位置よりも基材21から離れた退避位置に配した状態で、供給部60(図5参照)からスロットダイ44へ塗布液43の供給を開始し、塗布液43をスロット81から出し始める(出液開始工程)。供給する流量は、突起非形成部18(図1参照)の膜22を所定の厚みT22に形成する流量とする。スロットから出た塗布液43は、図9(A)に示すように、先端リップ82Uを伝って流れ落ちる。これにより先端リップ82Uは、塗布液43に濡れた状態になる。
次に、シフト機構66によりスロットダイ44を移動させ、スロットダイ44と基材21との距離を狭める。この例では、距離d1が距離d2よりも小さいから、スロットダイ44と基材21との距離とは距離d1である。距離d1を減少させることにより、図9の(B)に示すように、スロット81から出ている塗布液43を基材21に接触させ(着液工程)、これにより先端リップ82と基材21との間にはビード76が形成される。着液工程では、本例では予め設定した所定の塗布位置にスロットダイ44を移動させているが、塗布位置よりも基材21に近い位置に移動させても構わない。
減圧チャンバ67の内部の基体を吸引部68により吸引し、減圧チャンバ67の内部の圧力を負圧にすることによって、前述の圧力P4を、後述の本塗布工程において設定される圧力P4と同じ圧力にする。なお、本例では本塗布工程において減圧チャンバ67により、概ね300Paの減圧度(吸引圧力)で吸引している。「同じ圧力」とは厳密に圧力P4と同じでなくてもよく、10Pa以内の差であれば同じとみなしてよい。
ビード76が形成した後、塗布液43を基材21に塗布し続け、塗布している状態で、先端リップ82Uを露呈させる(予備塗布工程)。先端リップ82Uは、その全域が外気に露呈している必要はなく、先端リップ82Uのうち移動方向Dcにおける上流側の一部領域(上流側端縁からの一部領域)が、基材21の幅方向全域において露呈していればよい。より好ましくは、製品部15の膜22を所定の厚みT22に形成する間の上流側メニスカスMUの先端リップ82Uにおける位置を予め求めておき、その位置またはその位置よりも下流側の位置に上流側メニスカスMUが位置する状態に、先端リップ82Uのうちの移動方向Dcにおける上流側の一部領域が、基材21の幅方向に渡って露呈していればよい。接触角ヒステリシスが、20°以内に抑えられているから、予備塗布工程において先端リップ82Uが確実に露呈する。
従来の手法では、露呈していると考えられていた上流側ブロックの先端リップに、極めて薄くではあるが塗布液43が膜状に残っていた。塗布を継続している間に、このように膜状に残っていた塗布液にビードから塗布液が滲む。そして、この膜状物から溶媒が蒸発することにより表面張力が上昇し、膜状物に例えばゲル状物等の塗布液の塊が形成されてしまっていることがわかった。これに対し、上記の本例によると、先端リップ82Uを露呈させるから、上記の塊は先端リップ82Uに形成されず、その結果、塗膜に筋状の溝を形成することがない。そのため、塗布をより長く継続することができ、その結果、フィルム12はより長尺なものとして得られる。
予備塗布工程は、先端リップ82Uの露呈を待つ露呈待機工程であってもよい。接触角ヒステリシスθHが10°以内であれば、液滴43dが先端リップ82Uに一旦生じても迅速に落下し、液滴43dが残存することない。先端リップ82Uの接触角ヒステリシスθHが10°より大きく20°以内の場合には、露呈を待った後には、図9の(B)に示すように、液滴43dが残存した状態に先端リップ82Uは露呈する。このように、図9の(B)に示すように、露呈した領域に、液滴43dが残ってもよい。
例えば、接触角ヒステリシスθHが10°よりも大きく30°以内である15.6°の場合には、予備塗布工程において先端リップ82は、塗布液43が液滴43dとして残った状態にはなるものの、液滴43dが付着している箇所以外は露呈していることが、カメラ73を用いた観察により確認されている。また、接触角ヒステリシスθHが10°以内である7.2°の場合には、液滴43dの残存もなく、先端リップ82は全領域が外気に露呈した状態になることが確認されている。これに対し、接触角ヒステリシスθHが30°よりも大きい場合(例えば43.2°、及び70°の場合)の先端リップは、極めて薄くではあるが全領域が塗布液43に濡れた状態を保持してしまい、300分の観察時間において外気に露呈した状態にはならないことが確認されている。
液滴43dが残存した状態に先端リップ82Uが露呈した場合には、予備塗布工程は、液滴43dを落下させる液滴落下工程を有することが好ましい。液滴43dを落下させる手法としては、例えば、先端リップ82Uに振動を与える手法、先端リップ82Uに風を吹き付ける手法などがある。
予備塗布工程は、第1メニスカス移動工程と、第2メニスカス移動工程とを有していてもよく、特に、液滴43dが先端リップ82Uに残存している場合には、第1メニスカス移動工程と、第2メニスカス移動工程とを有していることが好ましい。第1メニスカス移動工程は、図9の(C)に示すように、上流側メニスカスMUを移動方向Dcにおける上流側へ移動させることにより、液滴43dをビード76に一体化させる。第2メニスカス移動工程は、第1メニスカス移動工程の後に、図9の(d)に示すように、上流側メニスカスMUを第1のメニスカス移動工程の前の位置に移動させる。より具体的には第1のメニスカス移動工程開始時の位置に戻す。この第1メニスカス移動工程と、第2メニスカス移動工程とにより、上流側メニスカスMUよりも上流側の先端リップ82Uは、液滴43dが残存することない状態に、より確実に露呈する。
上流側メニスカスMUの移動は、移動方向Dcにおけるビード76よりも上流側の減圧度を変更すること、スロットダイ44と基材21との距離を増減させること、スロットダイ44から出る塗布液43の流量を変更することの少なくともいずれかで行うことが好ましい。移動方向Dcにおけるビード76よりも上流側の減圧度を変更することにより、圧力P4が変わるから、上流側メニスカスMUが移動する。例えば、上流側メニスカスMUを上流側へ移動させる場合には、圧力P4をより小さくするために、減圧チャンバ67での吸引力を強め、減圧度を大きくする。また、上流側メニスカスMUを下流側へ移動させる場合には、圧力P4をより大きくすればよいから、減圧チャンバ67での吸引力を弱めればよい。
また、上流側メニスカスMUを上流側へ移動させる場合には、式(1)からわかるように、スロットダイ44と基材21との距離d1を大きくしてもよいし、スロットダイ44から出る塗布液43の流量を増加させてもよい。これに対し、上流側メニスカスMUを下流側へ移動させる場合には、スロットダイ44と基材21との距離d1を小さくしてもよいし、スロットダイ44から出る塗布液43の流量を減少させてもよい。
予備塗布工程は、着液工程における塗布液43の基材21への接触開始から10秒以内に終了させることが好ましい。これにより、形成される塗膜41のうち、基材21の長手方向における先端に近い、かつ、ごく限られた一部区間に、液滴43dが密集した状態に形成される。その結果、複数の突起17Aは、フィルム12(図1参照)の長手方向における一端12Aに近い、かつ、ごく限られた一部区間に形成されるから、前述の端縁跡の抑制に効果を奏する。
以上の予備塗布工程で形成された塗膜41からは非製品部16の膜22が生成する。具体的には、図9の(B)に示す着液工程開始から、上記の第1メニスカス移動工程における液滴43dの合一化前までの間に形成した塗膜41からは、突起非形成部18(図1参照)の膜22が生成する。また、第1メニスカス移動工程における液滴43dの一体化の始まりから終わりまでの間に形成した塗膜41からは突起形成部17(図1,図3参照)の膜22が生成する。ビード76に一体化された球冠状の液滴43dが、突起17A(図1,図3参照)を形成する。
予備塗布工程の後に塗布を継続し、製品部15(図1,図2)となるフィルム12の膜22を形成する(本塗布工程)。
図1に示すフィルムロール10においては、フィルム12の一端12A側の一定の長さ領域に、前述の端縁跡がつく場合がある。この端縁跡がある部分は、使用を奨励しないのが通常であり、廃棄領域となる。この点、フィルムロール10は、突起17Aが存在する非製品部を端縁跡がついてしまう領域として有効利用している。これにより、原材料を含めたトータルの廃棄量が抑えられる。
10 フィルムロール
11 巻き芯
12 フィルム
12A 一端
12B 他端
15 製品部
16 非製品部
17 突起形成部
17A 突起
18 突起非形成部
21 基材
21A 基材面
22 膜
22A 膜面
30 フィルム製造設備
31 送出部
32 塗布装置
33 硬化装置
34 巻取部
37 ローラ
38 基材ロール
41 塗膜
42 支持ローラ
42a 回転軸
42b 外周部材
43 塗布液
43d 液滴
44 スロットダイ
45 出液口
46 ターレットアーム
47 巻取り軸
48 ガイドアーム
51 ガイドローラ
52 アーム取付軸
60 供給部
61 架台
62 移動台
63 ステージ
66 シフト機構
67 減圧チャンバ
67a フロントプレート
67b バックプレート
67c サイドプレート
67d ベースプレート
67e 調整板
67f 仕切り板
67o 開口
67s 液溜め部
67v 排出口
68 吸引部
71 回収部
72 コントローラ
73 カメラ
76 ビード
77 上流側ブロック
78 下流側ブロック
81 スロット
82,82D,82U 先端リップ
82a 表層
D 液滴
d1,d2 距離
h,T21,T22 厚み
QE 突出量
LL リップ長さ
S 固体
S1 第1フィルム面
S2 第2フィルム面
L15,L16 長さ
MD 下流側メニスカス
MU 上流側メニスカス
LP 突起長さ
TP 突起高さ
WP 突起幅
θC,θCd,θCs 接触角

Claims (7)

  1. 移動する長尺の基材に、前記基材の移動方向における上流側のブロックと下流側のブロックとの間のスロットから塗布液を出すスロットダイにより前記塗布液を連続的に塗布することにより、積層フィルムを製造するフィルム製造方法において、
    前記スロットダイの前記スロットから前記塗布液を出し始める出液開始工程と、
    移動中の基材と出液中の前記スロットダイとの距離を狭めることにより、前記スロットダイから出ている前記塗布液を前記基材に接触させる着液工程と、
    前記塗布液を前記基材に塗布している状態で、前記着液工程により前記塗布液で濡れていた前記上流側ブロックの先端リップを露呈させる予備塗布工程と、
    前記予備塗布工程の後に塗布を継続し、製品部となる前記積層フィルムの塗膜を形成する本塗布工程と、
    を有するフィルム製造方法。
  2. 前記予備塗布工程は、
    前記先端リップに前記塗布液が液滴として残存している状態に前記先端リップが露呈した場合には、前記液滴を落下させる液滴落下工程を有する請求項1に記載のフィルム製造方法。
  3. 前記予備塗布工程は、
    前記スロットダイと前記基材との間の塗布ビードの上流側メニスカスを、前記基材の移動方向における上流側に移動させることにより、前記液滴を前記塗布ビードに一体化させる第1メニスカス移動工程と、
    前記第1メニスカス移動工程の後に、前記上流側メニスカスを前記第1メニスカス移動工程前の位置に移動させる第2メニスカス移動工程と
    を有する請求項1または2に記載のフィルム製造方法。
  4. 前記上流側メニスカスの移動は、
    前記塗布ビードの前記基材の移動方向における上流側の減圧度を変更することと、前記スロットダイと前記基材との距離を増減させることと、前記スロットダイからの前記塗布液の流量を変更することとのいずれかにより、前記上流側メニスカスを移動させる請求項3に記載のフィルム製造方法。
  5. 前記予備塗布工程を、前記着液工程における前記塗布液の前記基材への接触開始から10秒以内に終了させる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルム製造方法。
  6. 前記積層フィルムを巻き芯に巻き取る巻取工程をさらに有し、
    前記巻き芯には、前記予備塗布工程を経た前記積層フィルムを巻き取った後に、前記本塗布工程を経た前記積層フィルムを巻き取る請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルム製造方法。
  7. 巻き芯と、
    基材と前記基材に形成された膜を備え、長尺に形成され、長手方向における一端側から前記巻き芯に巻かれている積層フィルムと、
    を備え、
    前記積層フィルムは、前記積層フィルムの長手方向に延びた突起が前記膜に形成されているフィルム部を、前記一端側に有するフィルムロール。
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