JPWO2020044455A1 - 摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車 - Google Patents

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Abstract

摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、前記摩擦材が、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m2/gである黒鉛を含有する、摩擦部材に関する。

Description

本発明は、摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車に関する。
従来、摩擦材にはアスベストが使用されてきたが、近年、アスベストの有害性が問題となり、その使用が制限されている。
摩擦材は、アスベストに代替する繊維基材としてスチール繊維を30〜60質量%含有するセミメタリック材と、スチール繊維を30質量%未満含有するロースチール材と、スチール繊維を含有しないNAО(Non-Asbestos Organic)材に大別される。ただし、スチール繊維を微量に含有する摩擦材もNAО材に分類されることがある。
このNAO材には、熱伝導率の付与、耐摩耗性改善等を目的として、繊維、粉末等の銅(銅合金を含有する)が使用されてきた。しかし、銅を含有する摩擦材は、制動により発生する摩耗粉に銅を多量に含有するため、それが河川、湖、海洋等の汚染の原因となることが示唆されている。そのため、北米の一部では、2021年以降は銅を5質量%以上、2023年以降は銅を0.5質量%以上含有する摩擦材の販売及び新車への組み付けを禁止する法律が制定された。そのため、米国をはじめ、諸外国にて使用し得る摩擦材とするには、銅を含有しないか、又は銅の含有量を大幅に低減する要求がある。
銅を含有しない組成は、熱伝導率が低下することによって、高温での制動時に摩擦界面の熱が拡散せずに、摩擦材の摩耗量が増大する、ブレーキ振動が発生する、などの問題が発生する。
特許文献1には、銅を含有しない摩擦材において、熱伝導率、耐摩耗性等を改善する目的で、熱伝導率が高い黒鉛を添加する手法が提案されている。
特開2002−138273号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、黒鉛を配合した摩擦材においては、機械的強度、特にせん断強度において、改善の余地があることが判明した。すなわち、熱伝導率が高い黒鉛を一定量配合しつつも、せん断強度をより高めることが可能な摩擦材組成物の開発が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、環境負荷の少ない材料を用いて、優れたせん断強度を有する摩擦材を与えることができる摩擦材組成物、該摩擦材組成物を用いた摩擦材、摩擦部材及び車を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記の本発明によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記[1]〜[19]に関する。
[1]摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、
前記摩擦材が、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m/gである黒鉛を含有する、摩擦部材。
[2]前記摩擦材が、前記黒鉛を、0.1〜10質量%含有する、上記[1]に記載の摩擦部材。
[3]前記摩擦材が、さらに、有機繊維及び無機繊維からなる群から選択される1種以上の繊維基材を、4〜30質量%含有する、上記[1]又は[2]に記載の摩擦部材。
[4]前記摩擦材が、前記無機繊維として、鉱物繊維を6〜25質量%含有する、上記[3]に記載の摩擦部材。
[5]前記摩擦材が、さらに、結合材、有機充填材及び無機充填材からなる群から選択される1種以上を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の摩擦部材。
[6]前記黒鉛の比表面積が、15〜50m/gである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の摩擦部材。
[7]前記黒鉛の平均粒子径が、2〜200μmである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の摩擦部材。
[8]ディスクブレーキパッド用又はドラムブレーキライニング用である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の摩擦部材。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の摩擦部材を搭載した車。
[10]銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m/gである黒鉛を含有する、摩擦材組成物。
[11]前記黒鉛を、0.1〜10質量%含有する、上記[10]に記載の摩擦材組成物。
[12]さらに、有機繊維及び無機繊維からなる群から選択される1種以上の繊維基材を、4〜30質量%含有する、上記[10]又は[11]に記載の摩擦材組成物。
[13]前記無機繊維として、鉱物繊維を6〜25質量%含有する、上記[12]に記載の摩擦材組成物。
[14]さらに、結合材、有機充填材及び無機充填材からなる群から選択される1種以上を含有する、上記[10]〜[13]のいずれかに記載の摩擦材組成物。
[15]前記黒鉛の比表面積が、15〜50m/gである、上記[10]〜[14]のいずれかに記載の摩擦材組成物。
[16]前記黒鉛の平均粒子径が、2〜200μmである、上記[10]〜[15]のいずれかに記載の摩擦材組成物。
[17]ディスクブレーキパッド用又はドラムブレーキライニング用である、上記[10]〜[16]のいずれかに記載の摩擦材組成物。
[18]上記[10]〜[17]のいずれかに記載の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材。
[19]上記[18]に記載の摩擦材を搭載した車。
本発明によれば、環境負荷の少ない材料を用いて、優れたせん断強度を有する摩擦材を与えることができる摩擦材組成物、該摩擦材組成物を用いた摩擦材、摩擦部材及び車を提供することができる。
本発明の摩擦部材の一態様を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」ともいう)について詳細に説明する。但し、以下の実施形態において、その構成要素は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値及び上限値と任意に組み合わせられる。さらに、本明細書において、摩擦材及び摩擦材組成物中の各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、摩擦材及び摩擦材組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有量を意味する。
[摩擦材組成物]
本実施形態の摩擦材組成物は、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m/gである黒鉛を含有する。
なお、以下の説明において、「比表面積が15〜100m/gである黒鉛」を「黒鉛(I)」と称することがある。
<黒鉛(I)>
黒鉛(I)は、比表面積が15〜100m/gの黒鉛である。
本実施形態の摩擦材組成物から形成される摩擦材は、黒鉛(I)を含有することで、優れたせん断強度を有するものとなる。
一般的に、黒鉛は結合材等の有機成分との親和性が低いため、黒鉛を添加した摩擦材にせん断力が付加された場合に、黒鉛と有機成分との界面が起点となり破壊が生じ易くなると考えられる。そのことからすると、黒鉛の比表面積を増加させる手法は、黒鉛と有機成分との接触面積が増加することに繋がり、せん断強度を低下させるとも考えられる。これに対して、本発明者は、黒鉛の比表面積を増加させることによって、予想外にもせん断強度が向上することを見出し、本実施形態の摩擦材組成物を完成させた。
高い比表面積を有する黒鉛を配合することによってせん断強度が向上する要因については定かではないが、黒鉛の比表面積を増加させることによって、黒鉛と有機成分との接触面積が増加する一方で、黒鉛と有機成分との界面の形状が複雑化し、せん断力が加わった際に、上記複雑形状化した界面が、あたかも滑り止めのように機能して、せん断強度が高まったものと予想される。
なお、本明細書において黒鉛の比表面積は、不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法で求められる値であり、具体的には、実施例に記載の方法によって測定された値である。
黒鉛(I)の比表面積は、耐摩耗性及びせん断強度をより一層高度に両立させる観点から、15〜70m/gが好ましく、15〜50m/gがより好ましい。
なお、黒鉛の比表面積は、例えば、水蒸気、二酸化炭素、空気等の雰囲気下で高温(例えば、800〜950℃)で炭化法する物理法によって処理する方法;塩化亜鉛、水酸化カリウム等を使用する化学法によって処理する方法;黒鉛を酸処理することによって加熱膨張させる方法、などにより調整することができる。
黒鉛(I)の平均粒子径は、耐摩耗性及びせん断強度をより一層高度に両立させる観点から、2〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、7〜50μmがさらに好ましく、10〜35μmがよりさらに好ましく、12〜20μmが特に好ましい。
ここで、本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定の方法を用いて測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味し、以下同様である。例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、商品名:LA−920(株式会社堀場製作所製)で測定することができる。
黒鉛(I)の嵩密度は、0.01〜0.50g/cmが好ましく、0.02〜0.40g/cmがより好ましく、0.04〜0.30g/cmがさらに好ましく、0.05〜0.20g/cmが特に好ましい。
嵩密度は、100mLガラス製メスシリンダーに試料を圧縮しないように挿入し、その試料重量を試料体積で除して求めることができる。
黒鉛(I)の灰分は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。灰分はJISM 8812に準拠して測定することができる。
本実施形態の摩擦材組成物中における黒鉛(I)の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜9質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、2〜7質量%がよりさらに好ましく、3〜6質量%が特に好ましい。黒鉛(I)の含有量が、上記下限値以上であると、熱伝導率を向上させつつ、せん断強度を高めることができ、上記上限値以下であると、摩擦係数を良好に保つことができる。
<繊維基材>
本実施形態の摩擦材組成物は、繊維基材を含有することが好ましい。繊維基材は、摩擦材において補強作用を示すものである。
繊維基材としては、有機繊維、無機繊維、金属繊維等が挙げられる。
繊維基材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、有機繊維とは、有機物を主成分とする繊維状の材料である。
なお、本明細書において、「金属繊維」とは金属のみからなる繊維を意味し、「無機繊維」の定義には含まれないものとする。
本実施形態の摩擦材組成物は、有機繊維及び無機繊維からなる群から選択される1種以上の繊維基材を含有することが好ましい。
本実施形態の摩擦材組成物中における有機繊維及び無機繊維からなる群から選択される1種以上の繊維基材の含有量は、2〜50質量%が好ましく、4〜30質量%がより好ましく、8〜20質量%がさらに好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。
(有機繊維)
有機繊維としては、麻、木綿、アラミド繊維、セルロース繊維、アクリル繊維、フェノール樹脂繊維(架橋構造を有する)等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、アラミド繊維が好ましい。
有機繊維は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の摩擦材組成物が有機繊維を含有する場合、その含有量は、1〜8質量%が好ましく、1.5〜7質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。有機繊維の含有量が上記下限値以上であると、良好なせん断強度、耐クラック性及び耐摩耗性が発現する傾向にあり、上記上限値以下であると、摩擦材組成物中の有機繊維と他材料の偏在によるせん断強度及び耐クラック性の悪化を効果的に抑制することができる傾向にある。
(無機繊維)
無機繊維は、摩擦材の機械的強度及び耐摩耗性を向上する効果を発現し得るものである。
無機繊維としては、ガラス繊維、鉱物繊維、炭素繊維、セラミック繊維、生分解性セラミック繊維、セピオライト(α型セピオライト及びβ型セピオライト)、アタパルジャイト、チタン酸カリウム繊維、シリカアルミナ繊維、耐炎化繊維等が挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性の観点から、鉱物繊維が好ましい。
無機繊維は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
鉱物繊維としては、天然鉱物繊維、人造鉱物繊維等が挙げられる。
鉱物繊維は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
人造鉱物繊維としては、スラグウール等の高炉スラグ、バサルトファイバー等の玄武岩、その他の天然岩石等を主成分として溶融紡糸した人造鉱物繊維などが挙げられる。
また、人造鉱物繊維としては、SiO、Al、CaO、MgO、FeO、NaO等を含有する人造鉱物繊維;これらの化合物を1種若しくは2種以上含有する人造鉱物繊維などが挙げられる。
人造鉱物繊維としては、アルミニウム元素を含有する人造鉱物繊維が好ましく、Alを含有する人造鉱物繊維がより好ましく、AlとSiOとを含有する人造鉱物繊維がさらに好ましい。
鉱物繊維は、人体有害性の観点から、生体溶解性であることが好ましい。ここでいう生体溶解性の鉱物繊維とは、人体内に取り込まれた場合でも短時間で一部分解され体外に排出される特徴を有する鉱物繊維である。具体的には、化学組成が、アルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物の総量(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びバリウムの酸化物の総量)が18質量%以上で、且つ、(a)短期吸入暴露による生体内耐久試験で、長さが20μm超の繊維の半減期が10日未満であること、(b)短期気管内注入による生体内耐久試験で、長さが20μm超の繊維の半減期が40日未満であること、(c)腹腔内投与試験で有意な発ガン性が無いこと、又は、(d)長期吸入暴露試験で発ガン性と結びつく病理所見又は腫瘍形成が無いこと、のいずれかを満たす繊維(EU指令97/69/ECのNota Q(発癌性適用除外)参照)を示す。
このような生体分解性鉱物繊維としては、例えば、SiO、Al、CaO、MgO、FeO、KO、NaO等から選択される少なくとも2種を任意の組み合わせで含有する鉱物繊維が挙げられ、具体的には、SiO−Al−CaO−MgO−FeO(−KO−NaO)系繊維が挙げられる。
本実施形態の摩擦材組成物が無機繊維として鉱物繊維を含有する場合、その含有量は、摩擦材組成物中、1〜30質量%が好ましく、6〜25質量%がより好ましく、8〜20質量%がさらに好ましい。鉱物繊維の含有量が、上記範囲であると、摩擦係数の安定性、耐摩耗性及びせん断強度がより一層優れたものとなる。
本実施形態の摩擦材組成物が無機繊維を含有する場合、その含有量は、1〜30質量%が好ましく、6〜25質量%がより好ましく、8〜20質量%がさらに好ましい。
無機繊維の含有量が、上記範囲であると、摩擦係数の安定性、耐摩耗性及びせん断強度がより一層優れたものとなる。
(金属繊維)
金属繊維としては、鉄系繊維、チタン繊維、亜鉛繊維、アルミ繊維等が挙げられる。
本実施形態の摩擦材組成物が金属繊維を含有する場合、その含有量は、相手材であるディスクロータへの攻撃性が顕著に高まることを抑制する観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、同様の観点から、本実施形態の摩擦材組成物は、金属繊維を含有しないことが好ましい。
本実施形態の摩擦材組成物が繊維基材を含有する場合、その含有量は、0.5〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、4〜30質量%がさらに好ましく、8〜20質量%がよりさらに好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。
本実施形態の摩擦材組成物は、さらに、結合材、有機充填材及び無機充填材からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。
<結合材>
結合材は、摩擦材組成物に含有される各成分を結合して一体化し、所定の形状と強度を与える機能を有する。結合材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
摩擦材組成物に含まれる結合材に特に制限はないが、摩擦材の結合材として一般的に用いられる熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、エラストマー分散フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。ここで、変性フェノール樹脂としては、アクリル変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、アルキルベンゼン変性フェノール樹脂等が挙げられる。エラストマー分散フェノール樹脂としては、アクリルエラストマー分散フェノール樹脂、シリコーンエラストマー分散フェノール樹脂等が挙げられる。
特に、良好な耐熱性、成形性及び摩擦係数を与えることから、フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、アルキルベンゼン変性フェノール樹脂が好ましく、フェノール樹脂がより好ましい。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の摩擦材組成物が結合材を含有する場合、その含有量は、5〜25質量%が好ましく、6〜20質量%がより好ましく、7〜15質量%がさらに好ましく、8〜12質量%が特に好ましい。結合材の含有量が上記範囲であると、摩擦材の強度、良好な摩擦係数、耐摩耗性等のバランスがより一層優れたものになる傾向にある。
<有機充填材>
有機充填材は、制振性、耐摩耗性等を向上させるための摩擦調整剤としての機能を発現し得るものである。ここで、本実施形態において、有機充填材の定義には繊維形状のもの(例えば後述の有機繊維)が含まれないものとする。
有機充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機充填材としては、摩擦材組成物に一般的に用いられる有機充填材を使用することができる。有機充填材としては、カシューパーティクル、ゴム、メラミンパーティクル等が挙げられる。これらの中でも、摩擦係数の安定性及び耐摩耗性を良好にする観点並びに鳴きを抑制する観点から、カシューパーティクル、ゴムが好ましい。カシューパーティクル及びゴムは併用してもよいし、カシューパーティクルをゴムで被覆したものを用いてもよい。
カシューパーティクルは、カシューナッツシェルオイルを硬化させたものを粉砕して得られ、カシューダストと称されることもある。
カシューパーティクルは、一般的に、硬化反応に使用する硬化剤の種類に応じて、茶系、茶黒系、黒系等に分類されるものであり、分子量等を調整することで、耐熱性及び音振性、さらに摩擦対象物であるディスクロータへの被膜形成性等を制御し易くすることが可能である。カシューパーティクルとしては、市販品を使用することができる。
本実施形態の摩擦材組成物がカシューパーティクルを含有する場合、その含有量は、1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。カシューパーティクルの合計含有量が上記下限値以上であると、音振性を改善できる傾向にあり、上記上限値以下であると、耐熱性及び耐クラック性の低下を抑制できる傾向にある。
ゴムとしては摩擦材組成物に通常用いられるゴムが挙げられ、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。合成ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、タイヤトレッドゴムの粉砕粉等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、柔軟性及び製造コストのバランスの観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、タイヤトレッドゴムの粉砕粉が好ましい。
本実施形態の摩擦材組成物がゴムを含有する場合、その含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1.5〜5質量%がさらに好ましい。ゴムの含有量が上記範囲であると、摩擦材の弾性率が高くなる傾向、及び鳴き等の制振性が悪化することを避けることができる傾向にあり、また、耐熱性の悪化及び熱履歴による強度低下を避けることができる傾向にある。
本実施形態の摩擦材組成物が有機充填材を含有する場合、その合計含有量は、有機充填材の添加による上記効果と他の成分の効果とをバランス良く奏する観点から、2〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
<無機充填材>
本実施形態の摩擦材組成物は、さらに、無機充填材を含有することが好ましい。
無機充填材は、耐熱性、耐摩耗性、摩擦係数の安定性等の悪化を避けるための摩擦調整剤としての機能を発現し得るものである。ここで、本実施形態において、無機充填材の定義には繊維形状のもの(例えば前述の無機繊維)及び黒鉛が含まれないものとする。
無機充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材としては、三硫化アンチモン、硫化スズ、二硫化モリブデン、硫化ビスマス、硫化亜鉛等の金属硫化物;チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸マグネシウムカリウム等のチタン酸塩;マイカ、コークス、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、バーミキュライト、硫酸カルシウム、タルク、クレー、ゼオライト、クロマイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、四酸化三鉄、酸化亜鉛、γ−アルミナ等のアルミナ;鉄粉末、鋳鉄粉末、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、スズ粉末、亜鉛粉末、及び上記金属のうちの少なくとも1つの金属を含有する合金粉末等の金属粉末などが挙げられる。
無機充填材の形状は、特に限定されず、粒状、板状等であってもよい。粒状のものとしては、例えば、粒状チタン酸カリウム、板状のものとしては、例えば、板状チタン酸カリウムが挙げられる。
本実施形態の摩擦材組成物がアルミナを含有する場合、その含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。アルミナの含有量が上記範囲であると適度な研削性を付与し易い傾向にある。
本実施形態の摩擦材組成物がチタン酸塩を含有する場合、その含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。チタン酸塩の含有量が上記下限値以上であると、摩擦係数の安定性が向上すると共に耐摩耗性が良好となる傾向にあり、上記上限値以下であると、摩擦材の機械的強度の低下及び耐摩耗性の低下が抑制される。
本実施形態の摩擦材組成物が酸化ジルコニウムを含有する場合、その含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。酸化ジルコニウムの含有量が上記範囲であると、適度な研削性を付与し易い傾向にある。
本実施形態の摩擦材組成物が金属硫化物を含有する場合、金属硫化物の含有量は、1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。金属硫化物の含有量が上記範囲であると、優れた摩擦係数の安定性が得られる。
本実施形態の摩擦材組成物がマイカを含有する場合、マイカの含有量は、1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。マイカの含有量が上記範囲であると、適度な研削性を付与し易い傾向にある。
本実施形態の摩擦材組成物が水酸化カルシウムを含有する場合、その含有量は、1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、3〜8質量%がさらに好ましい。水酸化カルシウムの含有量が上記範囲であると、適度な研削性を付与し易い傾向にある。
本実施形態の摩擦材組成物が硫酸バリウムを含有する場合、その含有量は、1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。なお、硫酸バリウムは摩擦材組成物の体積を調整するための充填材としての役割を果たす。つまり、硫酸バリウムの含有量は、他の成分の含有量に依存し、摩擦材組成物を所定量とするための残部を硫酸バリウムで補充することができる。硫酸バリウムを含有させることによって摩擦材組成物の嵩密度が大きくなり、ハンドリング性が良好なものとなる。
本実施形態の摩擦材組成物は金属粉末を含有していても、含有していなくてもよいが、含有する場合においては、その含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。また、本実施形態の摩擦材組成物中における金属粉末の含有量は、1質量%以上であってもよい。
本実施形態の摩擦材組成物が無機充填材を含有する場合、無機充填材の合計含有量は、無機充填材の添加による上記効果と他の成分の効果とをバランス良く奏する観点から、40〜85質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましく、60〜75質量%がさらに好ましい。
(その他の材料)
本実施形態の摩擦材組成物は、上記各材料以外に、必要に応じてその他の材料を含有していてもよく、含有していなくてもよい。その他の材料としては、例えば、耐摩耗性及び熱フェード特性向上の観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマーなどの有機添加剤が挙げられる。
本実施形態の摩擦材組成物が上記その他の材料を含有する場合、その含有量としては、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
(銅の含有量)
本実施形態の摩擦材組成物は銅を含有しないことが好ましく、銅を含有する場合には、摩擦材組成物における銅の含有量を銅元素として0.5質量%未満とすることにより、環境中に摩耗粉として放出されても、河川等の汚染を引き起こさないものとすることができる。なお、上記の銅の含有量は、本実施形態の摩擦材組成物中の繊維状、粉末状等の銅、銅合金及び銅化合物に含まれる銅元素(Cu)の、摩擦材組成物全体における含有量を示す。
本実施形態の摩擦材組成物中における銅の含有量は、銅元素として0.2質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。
(鉄の含有量)
本実施形態の摩擦材組成物においては、発錆による耐久性低下等を避ける観点から、鉄系金属を含有しないことが好ましいが、鉄系金属を含有する場合であっても、摩擦材組成物中における鉄系金属の含有量を鉄元素として0.5質量%未満とすることにより、耐錆性を良好なものとすることができる。
本実施形態の摩擦材組成物中における鉄系金属の含有量は、鉄元素として0.2質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。ここで、鉄系金属とは、鉄を主成分とする金属であって、一般的な鉄鋼を指す。上記の鉄系金属の含有量は、本実施形態の摩擦材組成物中の鉄、鉄合金及び鉄化合物に含まれる鉄元素(Fe)の、摩擦材組成物全体における含有量を示す。
(アスベストの含有量)
本実施形態の摩擦材組成物は、NAO(Non-Asbestos-Organic)材に分類されるものであり、いわゆるノンアスベスト摩擦材組成物(アスベストを含有しない摩擦材組成物、又は含有する場合であってもアスベストの含有量が極微量の摩擦材組成物)である。
本実施形態の摩擦材組成物においては、有害性の観点から、アスベストを含有しないことが好ましいが、アスベストを含有する場合であっても、本実施形態の摩擦材組成物中におけるアスベストの含有量は、0.2質量%以下が好ましい。
[摩擦材]
本実施形態の摩擦材は、本実施形態の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材である。
本実施形態の摩擦材は、本実施形態の摩擦材組成物のみから形成されていてもよいし、上張り材と下張り材とを有する摩擦材であって、上張り材と下張り材の少なくとも一方が本実施形態の摩擦材組成物から形成されている摩擦材であってもよい。摩擦材が、上張り材と下張り材とを有する摩擦材である場合、本実施形態の摩擦材組成物は、上張り材に用いられることが好ましい。
図1を参照しながら、上張り材と下張り材とを有する摩擦材について説明すると、本実施形態の摩擦材組成物は、通常負荷制動時の摩擦係数の安定性を発現させるため、摩擦部材の上張り材1として用いることが好ましい。上張り材1は、摩擦部材の摩擦面となる摩擦材であり、下張り材2は、上張り材1と裏金3との間に介在する、摩擦材と裏金との接着部付近のせん断強度及び耐クラック性の向上を目的とした層のことである。
摩擦材は、好ましくは加熱加圧成形によって摩擦材組成物を成形することによって製造できる。
上張り材と下張り材とを有する摩擦材は、上張り材用の摩擦材組成物と下張り材用の摩擦材組成物をそれぞれ別々に、レーディゲミキサー(「レーディゲ」は登録商標)、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー(「アイリッヒ」は登録商標)等の混合機を用いて混合し、上張り材用混合物と下張り材用混合物とを成形金型にて一体で予備成形し、次いで、得られた予備成形物を、例えば、成形温度130〜160℃、成形圧力20〜50MPaの条件で2〜10分間成形し、得られた成形物を、例えば、150〜250℃で2〜10時間熱処理することで製造される。また、必要に応じて、塗装、スコーチ処理、研磨処理等を行ってもよい。上記工程の中で、予備成形工程を省略して混合物を直接熱成形してもよい。
摩擦材は、自動車等のディスクブレーキパッド用の摩擦材、自動車等のドラムブレーキライニング用の摩擦材として使用することができる。また、摩擦材組成物を目的形状に成形、加工、貼り付け等の工程を施すことにより、クラッチフェーシング、電磁ブレーキ、保持ブレーキ等の摩擦材としても使用することができる。
本実施形態の摩擦材は通常負荷制動時の摩擦係数の安定性に優れるため、車用、特に自動車用の摩擦材として好適である。
[摩擦部材]
本実施形態の摩擦部材は、摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、前記摩擦材が、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m/gである黒鉛を含有する、摩擦部材である。
本実施形態の摩擦部材が有する摩擦材が含有する各成分についての説明は、硬化性樹脂等の化学状態変化を除き、上記した本実施形態の摩擦材組成物が含有する成分についての説明と同じである。例えば、摩擦材組成物中の各成分の含有量は、摩擦材中の各成分の含有量と読み替えることができる。
裏金は、摩擦部材の機械的強度の向上のために、摩擦部材に用いられるものである。
裏金の材質としては、鉄、ステンレス等の金属;無機繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の繊維強化プラスチックなどが挙げられる。
本実施形態の摩擦部材は、裏金と摩擦材との間に、裏金の接着効果を高めるための表面改質を目的としたプライマー層、及び/又は、裏金と摩擦材との接着を目的とした接着層を更に有していてもよい。プライマー層及び接着層としては、通常、ブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦部材に用いられるものであればよい。
本実施形態では、図1中の摩擦部材6について、裏金3において、下張り材2を有する側とは反対側にシム4を有する摩擦部材も提供することができる。該シム4は、一般的に摩擦部材の制振性向上のために用いられるスペーサーである。
[車]
本実施形態は、本実施形態の摩擦材又は摩擦部材を搭載した車も提供する。より詳細には、本実施形態の摩擦材又は摩擦部材を、ブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦部材として搭載した車も提供する。車としては、自動車、自動二輪車等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限を受けるものではない。
[黒鉛の比表面積の測定]
黒鉛の比表面積は、窒素吸着によるBET法(JIS Z 8830、一点法)に準拠して測定した。
実施例及び比較例で得た各摩擦材について、以下の方法に従って測定及び評価した。
[測定及び評価方法]
(1)摩擦材のせん断強度
JIS D4422(2007年)に準拠して、常温(25℃)におけるせん断強度を測定した。
(2)摩擦材の耐摩耗性
JASO C427に準拠し、制動前ブレーキ温度が300℃における摩擦材の摩耗量を計測した。
[ディスクブレーキパッドの作製]
ディスクブレーキパッドの作製にあたり、下記の摩擦材組成物の成分を用意した。表1中に記載の各成分は、以下の通りである。
(結合材)
・樹脂A:シリコン変性フェノール樹脂
・樹脂B:アクリル変性フェノール樹脂
(有機充填材)
・カシューパーティクル
・ゴム成分:タイヤゴム粉
(繊維基材)
・アラミド繊維
・鉱物繊維A:ロックウール
・鉱物繊維B:セラミックスファイバー
(黒鉛)
・黒鉛1:比表面積15〜25m/g、平均粒子径16μm
・黒鉛2:比表面積25〜50m/g、平均粒子径31μm
・黒鉛3:比表面積50〜100m/g、平均粒子径3μm
・黒鉛4:比表面積15m/g未満、平均粒子径25μm
(無機充填材)
・アルミナ
・チタン酸塩
・酸化ジルコニウム
・三硫化アンチモン
・硫化スズ
・マイカ
・水酸化カルシウム
・硫酸バリウム
[実施例1〜6、比較例1〜2](ディスクブレーキパッドの作製)
表1に示す配合量に従って各成分を配合し、各摩擦材組成物を得た。
この摩擦材組成物をレーディゲミキサー(株式会社マツボー製、商品名:レーディゲミキサーM20)で混合し、混合物を得た。得られた混合物を一体で成形プレス(王子機械工業株式会社製)にて予備成形した。得られた予備成形物を成形温度145℃、成形圧力35MPa、成形時間5分間の条件で、成形プレス(三起精工株式会社製)を用いて鉄製の裏金(日立オートモティブシステムズ株式会社製)と共に加熱加圧成形した。得られた成形品を200℃で4.5時間熱処理し、ロータリー研磨機を用いて研磨し、500℃のスコーチ処理を行ってディスクブレーキパッドを得た。なお、実施例及び比較例で得たディスクブレーキパッドは、摩擦材の厚さが9.5mmである。
得られたディスクブレーキパッドから、切断機によってサイズ20mm×45mm角のテストピースを作製し、上記方法に従って各測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2020044455
表1より、実施例1〜6の本実施形態の摩擦材は、せん断強度及び耐摩耗性に優れていた。一方、比表面積が15m/g未満である黒鉛を用いた比較例1及び2の摩擦材は、特にせん断強度に劣っていた。
本発明の摩擦部材及び摩擦材は、銅を含有しないか、又は銅の含有量が少ない摩擦材であって環境負荷が低いうえに、摩擦材のせん断強度及び耐摩耗性に優れるため、特に、車用等の摩擦部材及び摩擦材として好適である。
1 上張り材
2 下張り材
3 裏金
4 シム
5 摩擦材
6 摩擦部材

Claims (19)

  1. 摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、
    前記摩擦材が、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m/gである黒鉛を含有する、摩擦部材。
  2. 前記摩擦材が、前記黒鉛を、0.1〜10質量%含有する、請求項1に記載の摩擦部材。
  3. 前記摩擦材が、さらに、有機繊維及び無機繊維からなる群から選択される1種以上の繊維基材を、4〜30質量%含有する、請求項1又は2に記載の摩擦部材。
  4. 前記摩擦材が、前記無機繊維として、鉱物繊維を6〜25質量%含有する、請求項3に記載の摩擦部材。
  5. 前記摩擦材が、さらに、結合材、有機充填材及び無機充填材からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦部材。
  6. 前記黒鉛の比表面積が、15〜50m/gである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の摩擦部材。
  7. 前記黒鉛の平均粒子径が、2〜200μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の摩擦部材。
  8. ディスクブレーキパッド用又はドラムブレーキライニング用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の摩擦部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の摩擦部材を搭載した車。
  10. 銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、比表面積が15〜100m/gである黒鉛を含有する、摩擦材組成物。
  11. 前記黒鉛を、0.1〜10質量%含有する、請求項10に記載の摩擦材組成物。
  12. さらに、有機繊維及び無機繊維からなる群から選択される1種以上の繊維基材を、4〜30質量%含有する、請求項10又は11に記載の摩擦材組成物。
  13. 前記無機繊維として、鉱物繊維を6〜25質量%含有する、請求項12に記載の摩擦材組成物。
  14. さらに、結合材、有機充填材及び無機充填材からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項10〜13のいずれか1項に記載の摩擦材組成物。
  15. 前記黒鉛の比表面積が、15〜50m/gである、請求項10〜14のいずれか1項に記載の摩擦材組成物。
  16. 前記黒鉛の平均粒子径が、2〜200μmである、請求項10〜15のいずれか1項に記載の摩擦材組成物。
  17. ディスクブレーキパッド用又はドラムブレーキライニング用である、請求項10〜16のいずれか1項に記載の摩擦材組成物。
  18. 請求項10〜17のいずれか1項に記載の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材。
  19. 請求項18に記載の摩擦材を搭載した車。
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