JP2021187887A - 摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車両 - Google Patents

摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であっても、摩耗特性が良好な摩擦材を有する摩擦部材、前記摩擦材を提供し得る摩擦材組成物、前記摩擦材、及び前記摩擦部材又は前記摩擦材を搭載した車両を提供する。【解決手段】摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、前記摩擦材が、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、ニッケル粒子を含有するものである、摩擦部材、前記摩擦材を提供し得る摩擦材組成物、前記摩擦材、及び前記摩擦部材又は前記摩擦材を搭載した車両である。【選択図】なし

Description

本発明は、摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車両に関する。
自動車等には、その制動のためにディスクブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦材が使用されている。摩擦材は、ディスクロータ、ブレーキドラム等の対面材と摩擦することにより、制動の役割を果たす。そのため、摩擦材には、良好な耐摩耗性(摩擦材の寿命が長いこと)が要求される。
近年では、銅、銅合金等を含有する摩擦材は、制動時に発生する摩耗粉中に銅を含むため、河川、湖等を汚染する可能性が示唆されており、使用を制限する動きが高まっている。
銅は、繊維、粉末等の形態で摩擦材に配合され、熱伝導率の付与、耐摩耗性改善等に有効な成分である。銅を含有しない組成においては、熱伝導率が低下するため、高温での制動時に摩擦界面の熱が拡散せずに摩擦材の摩耗量が増大する問題があった。
銅の使用を制限する動きの中、銅を含有しない組成において、摩耗特性を向上させる方法として、複数の凸部形状を有するチタン酸化合物の少なくとも1種と、生体溶解性無機繊維とを含有する摩擦材(例えば、特許文献1参照)、特定量の結合材、有機繊維、金属硫化物系潤滑剤、炭素質系潤滑剤、チタン酸塩等を含有する摩擦材(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
特許6157071号 特開2014−159871号公報
特許文献1及び2に記載の技術は、いずれも銅を含有しない組成において、摩擦特性の向上を図ったものである。しかしながら、これらの摩擦材においても、銅又は銅合金を含有する摩擦材と同程度の摩耗特性を発現させることは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であっても、摩耗特性が良好な摩擦材を有する摩擦部材、前記摩擦材を提供し得る摩擦材組成物、前記摩擦材、及び前記摩擦部材又は前記摩擦材を搭載した車両を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の本発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記[1]〜[11]に関する。
[1]摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、
前記摩擦材が、
銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、
ニッケル粒子を含有するものである、摩擦部材。
[2]前記摩擦材中におけるニッケル粒子の含有量が、前記摩擦材全量に対して、0.1〜5質量%である、上記[1]に記載の摩擦部材。
[3]前記摩擦材が、さらに、亜鉛粒子を含有する、上記[1]又は[2]に記載の摩擦部材。
[4]前記摩擦材中における前記亜鉛粒子の含有量が、前記摩擦材全量に対して、0.1〜5質量%である、上記[3]に記載の摩擦部材。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の摩擦部材を搭載した車両。
[6]銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満である摩擦材組成物であって、ニッケル粒子を含有する、摩擦材組成物。
[7]前記ニッケル粒子の含有量が、前記摩擦材組成物全量に対して、0.1〜5質量%である、上記[6]に記載の摩擦材組成物。
[8]さらに、亜鉛粒子を含有する、上記[6]又は[7]に記載の摩擦材組成物。
[9]前記亜鉛粒子の含有量が、前記摩擦材組成物全量に対して、0.1〜5質量%である、上記[8]に記載の摩擦材組成物。
[10]上記[6]〜[9]のいずれかに記載の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材。
[11]上記[10]に記載の摩擦材を搭載した車両。
本発明によれば、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であっても、摩耗特性が良好な摩擦材を有する摩擦部材、前記摩擦材を提供し得る摩擦材組成物、前記摩擦材、及び前記摩擦部材又は前記摩擦材を搭載した車両を提供することができる。
バックプレートの一方の面に摩擦材(上張り材)が下張り材を介して配置された摩擦部材(ディスクブレーキパッド)の断面の模式図である。
以下、本発明の実施形態に係る摩擦部材、摩擦材組成物、摩擦材及び車両について詳細に説明する。但し、以下の実施形態において、その構成要素は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。さらに、本明細書において、摩擦材又は摩擦材組成物中の各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、摩擦材又は摩擦材組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、「実質的に含有しない」とは、全く含有していない、つまり0質量%である他、例えば0.05質量%以下(場合によっては0.03質量%以下であったり、0.01質量%以下であったりしてもよい。)であって、含有させる意義に乏しい程度の量を含有する場合も含まれる。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
[摩擦材及び摩擦部材]
本実施形態に係る摩擦部材は、摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、前記摩擦材が、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、ニッケル粒子を含有するものである。
<銅>
本実施形態の摩擦材は、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であるため、環境有害性及び人体有害性が低いものである。
なお、上記の「銅」とは、繊維状、粉末状等の銅;銅合金、銅化合物などに含まれる銅元素であり、「銅の含有量」は摩擦材全量100質量%に対する含有量を示す。
本実施形態の摩擦材中における銅元素の含有量は、環境有害性及び人体有害性の観点から、摩擦材全量100質量%に対して、0.5質量%未満であり、0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。そして、本実施形態の摩擦材は、銅元素を実質的に含有しないことがさらに好ましい。
<ニッケル粒子>
本実施形態の摩擦材は、ニッケル粒子を含有するものである。
本実施形態の摩擦材は、ニッケル粒子を含有することで、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であっても、摩耗特性に優れたものとなる。その原因は定かではないが、本発明者等の分析によると、ニッケル粒子を含有する摩擦材を用いた場合、ローター側にニッケルが適度に移着すると共に、摩擦材表面でニッケルが展延することが確認されている。すなわち、ニッケルは摩擦材中で銅と近い作用を果たし、これにより優れた摩耗特性が得られているものと推測される。
ニッケル粒子の平均粒子径(D50)としては、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜70μmがさらに好ましい。
なお、本明細書において、平均粒子径(D50)は、特に断らない限り、レーザー回折粒度分布測定の方法を用いて測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味し、以下同様である。平均粒子径(D50)は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、商品名:LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。
本実施形態の摩擦材中におけるニッケルの含有量は、特に限定されないが、摩耗特性の観点から、摩擦材全量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜4質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
<無機充填材、有機充填材、繊維基材、結合材>
本実施形態の摩擦材は、無機充填材、有機充填材、繊維基材及び結合材を含有するものであることが好ましい。なお、上記の銅及びニッケル粒子は、無機充填材に分類されるものとする。
本実施形態の摩擦材における無機充填材の含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましく、70〜80質量%がさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材における有機充填材の含有量は、特に限定されないが、音振性能、耐熱性及び摩擦材強度の観点から、摩擦材全量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材における繊維基材の含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、2〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材における結合材の含有量は、特に限定されないが、摩擦材強度及び音信性能の観点から、摩擦材全量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
以下、各成分について、さらに詳細に説明する。
(無機充填材)
本実施形態の摩擦材は、無機充填材としてニッケル粒子を含有するものであるが、ニッケル粒子以外の無機充填材としては、摩擦材の耐熱性、耐摩耗性、摩擦係数等を調整する摩擦調整材としての機能を発現し得るものを、目的に応じて適宜選択すればよい。なお、本実施形態においては「無機充填材」の定義に、繊維形状のもの(つまり、後述する無機繊維)は含めないものとする。
ニッケル粒子以外の無機充填材としては、例えば、酸化鉄(III)(Fe)、四酸化三鉄(Fe)、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、珪酸カルシウム、ムライト等の研削材;黒鉛、チタン酸塩、金属硫化物、ニッケル粒子以外の金属粒子、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、マイカ、コークス、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、バーミキュライト、硫酸カルシウム、タルク、クレー、ゼオライト、ムライト、クロマイト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ビスマス等が挙げられる。
これらの無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ニッケル粒子以外の無機充填材の平均粒子径(D50)は、材質に応じて適宜選択すればよいが、通常は、0.1〜100μmの範囲で選択され、0.5〜50μmであってもよく、1〜30μmであってもよい。
以下、特に限定されるものではないが、無機充填材として、含有されることが好ましい成分について順に説明する。
〔黒鉛〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、黒鉛を含有することが好ましい。
黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれも使用することができる。
本実施形態の摩擦材が黒鉛を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜6質量%がさらに好ましい。
〔研削材〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として研削材を含有することが好ましく、酸化鉄(III)(Fe)、四酸化三鉄(Fe)、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、珪酸カルシウム及びムライトからなる群から選択される1種以上の研削材を含有することが好ましい。
本実施形態の摩擦材が研削材を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
〔チタン酸塩〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、チタン酸塩を含有することが好ましい。
チタン酸塩としては、例えば、チタン酸カリウム(6−チタン酸カリウム、8−チタン酸カリウム)、チタン酸リチウムカリウム、チタン酸マグネシウムカリウム、チタン酸ナトリウム等が挙げられる。
チタン酸塩は、人体有害性を回避する観点から、非針状であることが好ましい。非針状のチタン酸塩とは、多角形、円、楕円等の形状を呈する板状チタン酸塩、不定形状のチタン酸塩等である。
本実施形態の摩擦材がチタン酸塩を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、摩擦材全量に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
〔金属粒子〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、ニッケル粒子以外の金属粒子を含有することが好ましい。
ニッケル粒子以外の金属粒子としては、例えば、鉄粒子、錫粒子、亜鉛粒子、アルミニウム粒子、これらの合金粒子等が挙げられる。
本実施形態の摩擦材がニッケル粒子以外の金属粒子を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜4質量%がさらに好ましい。
また、本実施形態の摩擦材は、上記の金属粒子の中でも、停止する際の異音の発生を抑制するという観点から、亜鉛粒子を含有することが好ましい。亜鉛粒子の平均粒子径(D50)(但し、篩分法による。)としては、5〜80μmが好ましく、7〜70μmがより好ましく、10〜65μmがさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材が亜鉛粒子を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜4質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
〔金属硫化物〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、金属硫化物を含有することが好ましい。
金属硫化物としては、例えば、硫化錫、硫化鉄、硫化ビスマス、硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫化アンチモン、硫化タングステン、硫化マンガン等が挙げられる。これらの中でも、人体への有害性が少ないという観点、及び通常制動時の摩擦係数の安定性の観点から、硫化錫、硫化鉄、硫化ビスマス、硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫化アンチモンが好ましい。
本実施形態の摩擦材が金属硫化物を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、耐摩耗性及び摩擦係数の観点から、摩擦材全量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜9質量%がより好ましく、3〜8質量%がさらに好ましい。
〔マイカ〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、マイカを含有することが好ましい。本実施形態の摩擦材がマイカを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、摩擦材全量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜6質量%がさらに好ましい。
〔硫酸バリウム〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、硫酸バリウムを含有することが好ましい。硫酸バリウムは摩擦材の体積を調整するための単なる充填材としての役割を果たすものである。つまり、硫酸バリウムの含有量は、他の成分の含有量に依存し、摩擦材を所定量とするための残部を硫酸バリウムで補充することができる。
〔水酸化カルシウム〕
本実施形態の摩擦材は、無機充填材として、水酸化カルシウムを含有することが好ましい。本実施形態の摩擦材が水酸化カルシウムを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、pHを適度に調整する観点から、摩擦材全量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
(有機充填材)
有機充填材は、摩擦材の音振性能、耐摩耗性等を向上させるための摩擦調整材として含まれるものである。ここで、本実施形態においては、有機充填材の定義に、繊維形状のもの(つまり後述の有機繊維)は含めない。
有機充填材としては、例えば、カシューダスト、ゴム成分等が挙げられ、カシューダストとゴム成分とを併用することが好ましい。
有機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔カシューダスト〕
カシューダストとしては、例えば、カシューナッツシェルオイルを重合及び硬化させたものを粉砕したものが挙げられる。カシューダストは、未変性のカシューダストであることが好ましい。
カシューダストは、一般的に、硬化反応に使用する硬化剤の種類に応じて、例えば、茶系、茶黒系、黒系等に分類される。
カシューダストの平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、分散性等の観点から、10〜700μmが好ましく、20〜500μmがより好ましく、30〜350μmがさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材がカシューダストを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、音振性能の観点から、摩擦材全量に対して、1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましく、4〜7質量%がさらに好ましい。
〔ゴム成分〕
ゴム成分としては、摩擦材に使用されている公知のものを使用することができ、例えば、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。合成ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、タイヤトレッドゴムの粉砕粉(ゴム粉と称することがある。)、ブチルゴム等が挙げられる。
本実施形態の摩擦材がゴム成分を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、摩擦材の弾性率、制振性、耐熱性、強度等の観点から、摩擦材全量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
(繊維基材)
繊維基材としては、例えば、有機繊維、無機繊維等が挙げられる。繊維基材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−有機繊維−
本実施形態の摩擦材は、有機繊維を含有することが好ましい。有機繊維とは、有機物を主成分とする繊維状の材料である。
有機繊維としては、例えば、麻、木綿、アラミド繊維、セルロース繊維、アクリル繊維、フェノール樹脂繊維(架橋構造を有する)等が挙げられる。
有機繊維としては、耐熱性の観点から、アラミド繊維が好ましい。
本実施形態の摩擦材が有機繊維を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、摩擦材のせん断強度、耐クラック性、耐摩耗性等の観点から、摩擦材全量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜6質量%がより好ましく、1〜4質量%がさらに好ましい。
−無機繊維−
無機繊維としては、例えば、鉱物繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、生分解性セラミック繊維、セピオライト(α型セピオライト及びβ型セピオライト)、アタパルジャイト、チタン酸カリウム繊維、シリカアルミナ繊維、耐炎化繊維等が挙げられる。これらの中でも、鉱物繊維がさらに好ましい。
鉱物繊維は、スラグウール等の高炉スラグ;バサルトファイバー等の玄武岩;その他の天然岩石などを主成分として溶融紡糸した人造無機繊維である。
鉱物繊維としては、例えば、SiO、Al、CaO、MgO、FeO、NaO、これらの化合物を1種以上含有する鉱物繊維等が挙げられる。鉱物繊維としては、アルミニウム元素を含む鉱物繊維が好ましく、Alを含有する鉱物繊維がより好ましく、AlとSiOとを含有する鉱物繊維がさらに好ましい。鉱物繊維は表面処理されていてもよいし、表面処理されていなくてもよく、表面処理された鉱物繊維と表面処理されていない鉱物繊維とを併用してもよい。
鉱物繊維の平均繊維長は、500μm以下が好ましく、100〜400μmがより好ましく、120〜340μmがさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材が無機繊維を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、摩擦材全量に対して、1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、7〜12質量%がさらに好ましい。
本実施形態の摩擦材は、金属繊維又は金属繊維としてのスチール繊維を含有していてもよいが、実質的に含有しないことが好ましい。本実施形態の摩擦材が、金属繊維又は金属繊維としてのスチール繊維を含有する場合においては、その含有量は、摩擦材全量に対して、0.5質量%未満が好ましく、0.3質量%未満がより好ましく、0.1質量%未満がさらに好ましい。
(結合材)
結合材は、摩擦材に含有される有機充填材、繊維基材等を一体化して、強度を与えるものである。
結合材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
結合材としては、通常、摩擦材に用いられる熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂(例えば、ストレートノボラックフェノール樹脂等)、アクリルゴム変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、アルキルベンゼン変性フェノール樹脂等の各種変性フェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、フェノール樹脂(例えば、ストレートノボラックフェノール樹脂等)が好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の摩擦材は、必要に応じて、上記各成分以外のその他の材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。
本実施形態の摩擦材が上記その他の材料を含有する場合、その含有量としては、摩擦材全量に対して、それぞれ、例えば、0.01〜10質量%であってもよく、0.1〜5質量%であってもよい。
<摩擦材の製造方法>
本実施形態の摩擦材は、公知の方法により製造することができる。
摩擦材の製造方法としては、例えば、本実施形態の摩擦材の組成を充足する摩擦材組成物を加熱加圧成形して製造する方法が挙げられる。詳細には、例えば、後述する本実施形態の摩擦材組成物を、レーディゲ(登録商標)ミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒ(登録商標)ミキサー等の混合機を用いて均一に混合し、この混合物を成形金型にて予備成形し、得られた予備成形物を成形温度130〜160℃、成形圧力20〜50MPa、成形時間3〜10分間の条件で成形し、得られた成形物を180〜230℃で3〜5時間熱処理する方法が挙げられる。なお、必要に応じて塗装、スコーチ処理、研磨処理等を行ってもよい。
<摩擦材の用途>
本実施形態の摩擦材は、例えば、下記(1)〜(3)の態様で用いられる。
(1)摩擦材のみの構成。
(2)裏金と、該裏金の上に形成させた、摩擦面となる本実施形態の摩擦材とを有する摩擦部材。
(3)上記(2)の構成において、裏金と摩擦部材との間に、裏金の接着効果を高めるための表面改質を目的としたプライマー層、裏金と摩擦部材の接着を目的とした接着層をさらに介在させた構成。
これらの中でも、上記(2)又は(3)のように、本実施形態の摩擦材及び裏金を有する摩擦部材として用いられることが好ましい。
上記裏金は、摩擦部材の機械的強度の向上のために用いるものであり、その材質としては、鉄、ステンレス等の金属;無機繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の繊維強化プラスチックなどが挙げられる。
上記プライマー層及び接着層としては、通常、ブレーキシュー等の摩擦部材に用いられるものであればよい。
本実施形態の摩擦材は、ディスクブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦部材として有用である。
図1を参照して本実施形態の摩擦材を用いた摩擦部材の一実施態様について具体的に説明する。本実施形態の摩擦部材は、バックプレート1、摩擦材(図1の場合は上張り材とも称する。)2及び下張り材3から構成され、バックプレート1の摩擦材が配置される面11(ここではバックプレート1の上面)に、下張り材3を介して摩擦材(上張り材)2が固着されたものである。本実施形態の摩擦材は、上記「上張り材」として用いることもできるし、上記「下張り材」として用いることもできるが、「上張り材」として用いることが好ましい。なお、「上張り材」とは、摩擦部材の摩擦面となる摩擦材であり、「下張り材」とは、摩擦部材の摩擦面となる摩擦材と裏金との間に介在する、摩擦材と裏金との接着部付近の剪断強度、耐クラック性向上を目的として配される層のことである。
本実施形態の摩擦材は、自動車等のディスクブレーキパッド、ブレーキライニングなどの摩擦材として好適である。また、本実施形態の摩擦材は、目的形状に成形、加工、貼り付け等の工程を施すことにより、クラッチフェーシング、電磁ブレーキ、保持ブレーキ等の摩擦材としても使用することができる。
[摩擦材組成物]
本実施形態に係る摩擦材組成物は、銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、ニッケル粒子を含有するものである。
本実施形態の摩擦材組成物に含有される各成分の種類、及びその製造方法は、上記本実施形態の摩擦材と同様に説明されるものであり、その好適な態様もすべて同じである。なお、摩擦材組成物中における各成分の含有量の好適範囲は、本実施形態の摩擦材で説明した好適範囲と同じであるが、含有量の基準は「摩擦材組成物全量」とする。
さらに、本発明は本実施形態の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材も提供する。本実施形態の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材は、例えば、本実施形態の摩擦材組成物を予備成形した予備成形体を熱圧成形する方法、本実施形態の摩擦材組成物を直接熱圧成形し、必要に応じて熱処理を施して結合材を熱硬化する方法等によって製造することができる。具体的な製造方法は、上記本実施形態の摩擦材の製造方法及び後述する実施例に記載の通りである。
[車両]
本発明は、本実施形態の摩擦材又は摩擦部材を搭載した車両も提供する。例えば、本実施形態の摩擦部材を、ディスクブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング、電磁ブレーキ、保持ブレーキ等に用いた車両などが挙げられる。車両としては、例えば、大型自動車、中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車等の、自動四輪車及び自動二輪車を含む各種自動車が挙げられる。
以下、実施例により本実施形態の摩擦部材、摩擦材及び摩擦材組成物をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜3及び比較例1〜3>
[ディスクブレーキパッドの作製]
表1に示す配合組成(質量%)に従って材料を配合し、各摩擦材組成物を得た。なお、ニッケル粒子は、平均粒子径(D50)=約50μmの粒子、亜鉛粒子は、平均粒子径(D50)(但し、篩分法による。)=12〜64μmの粒子を用いた。
次に、この摩擦材組成物をレーディゲミキサー(株式会社マツボー製、商品名:レーディゲ(登録商標)ミキサーM20)で混合し、この混合物を成形プレス(森田油圧株式会社製)で予備成形した。得られた予備成形物を成形温度145℃、成形圧力20MPa、成形時間5分間の条件で、成形プレス(森田油圧株式会社製)を用いて、須川工業株式会社製の裏金(鉄製)とともに加熱加圧成形した。次いで、得られた成形品を210℃で3.5時間熱処理し、ロータリー研磨機を用いて研磨し、500℃のスコーチ処理を行って、ディスクブレーキパッド(摩擦材の厚さ15mm、摩擦材投影面積38cm)を作製した。
[評価試験]
各例で得たディスクブレーキパッドについて、ブレーキダイナモ試験機(新日本特機株式会社製)を用いて下記の性能評価を行った。
性能評価試験では、一般的なピンスライド式のコレット型キャリパー及びベンチレーテッドディスクローターを用いた。
(摩耗特性)
摩耗特性は、高速域(140km/h)において3m/sの減速度で500回制動を行った際の摩耗量を測定し、下記基準に基づき判定を行った。
<摩耗特性の判定基準>
A:1.5mm以下
B:1.5mm超、3.0mm以下
C:3.0mm超
(効力安定性)
効力安定性は、JASO一般性能試験に準拠して評価し、第3効力試験の平均効力と第2効力試験の平均効力の比率(すなわち、第3効力試験の平均効力×100/第2効力試験の平均効力)を用いて下記基準に基づき判定を行った。
<効力安定性の判定基準>
A:95%超、105%以下
B:85%超、95%以下、又は、105%超、115%以下
C:85%以下、又は、115%超
Figure 2021187887
表1から、銅を含有せず、ニッケル粒子を含有する実施例1〜3の摩擦材は、ニッケル粒子を含有しない比較例1の摩擦材と比較して摩耗特性が向上することが示された。また、実施例1〜3の摩擦材は、銅を含有する比較例2と比較しても同等の摩耗特性を有することが分かる。また、実施例3においては、銅を含有する比較例2よりも効力安定性に優れると共に、停止する際の異音が低減されていた。
1 バックプレート
11 バックプレートの摩擦材が配置される面
12 バックプレートの他方の面
2 摩擦材(上張り材)
3 下張り材

Claims (11)

  1. 摩擦材及び裏金を有する摩擦部材であって、
    前記摩擦材が、
    銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満であり、
    ニッケル粒子を含有するものである、摩擦部材。
  2. 前記摩擦材中におけるニッケル粒子の含有量が、前記摩擦材全量に対して、0.1〜5質量%である、請求項1に記載の摩擦部材。
  3. 前記摩擦材が、さらに、亜鉛粒子を含有する、請求項1又は2に記載の摩擦部材。
  4. 前記摩擦材中における前記亜鉛粒子の含有量が、前記摩擦材全量に対して、0.1〜5質量%である、請求項3に記載の摩擦部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦部材を搭載した車両。
  6. 銅を含有しないか、又は含有していても銅の含有量は銅元素として0.5質量%未満である摩擦材組成物であって、ニッケル粒子を含有する、摩擦材組成物。
  7. 前記ニッケル粒子の含有量が、前記摩擦材組成物全量に対して、0.1〜5質量%である、請求項6に記載の摩擦材組成物。
  8. さらに、亜鉛粒子を含有する、請求項6又は7に記載の摩擦材組成物。
  9. 前記亜鉛粒子の含有量が、前記摩擦材組成物全量に対して、0.1〜5質量%である、請求項8に記載の摩擦材組成物。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の摩擦材組成物を含有してなる摩擦材。
  11. 請求項10に記載の摩擦材を搭載した車両。
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