JPWO2020036097A1 - セラミック焼結体 - Google Patents

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Abstract

本開示のセラミック焼結体は、酸化アルミニウムを主成分とし、チタンの酸化物を含む。そして、カソードルミネッセンス法を用いた測定における、波長700〜800nmにおける第1ピークの強度をA、波長400〜450nmにおける第2ピークの強度をBとしたとき、比率B/Aが0.77以下である。【選択図】図6

Description

本開示は、セラミック焼結体に関する。
近年、LSIの高速化や通信分野における情報量の増加により、高周波領域での損失が少ない材料が求められている。このような高周波領域で用いられるセラミックスとして、高純度のアルミナ粉体からなるアルミナ質焼結体がある。高純度のアルミナ粉体は白色であることから、アルミナ質焼結体の表面は白色を呈している。しかし、電子部品、半導体製造用部品などの各種測定を行う装置で用いられるアルミナ質焼結体は、その表面が黒色系であることが求められている。この理由は、わずかな塵埃がこれらの部品の精度や性能に大きく影響するため、黒色系のアルミナ質焼結体を用いると、このような塵埃を容易に発見することができ、また、アルミナ質焼結体を用いた部品が摩耗したり破損したりしても、その部分を容易に識別できるからである。
例えば、黒色系のアルミナ質焼結体を配線部材の絶縁基板として用いると、導体層とのコントラストが高くなり、チップ部品などを実装する場合、画像の二値化処理の速度を高めることが可能となり量産性を向上させることができる。
このようなアルミナ質焼結体として、特許文献1では、Tiを酸化物換算で0.5〜5重量%と、Crを酸化物換算で5〜15重量%の割合で含有し、残部が主成分Al23と、焼結助剤成分CaO、SiO2およびMgOとからなり、還元性雰囲気中で焼成された着色アルミナ質焼結体が提案されている。
特開2000−327405号公報
本開示のセラミック焼結体は、酸化アルミニウムを主成分とし、チタンの酸化物を含む。そして、カソードルミネッセンス法を用いた測定における、波長700〜800nmにおける第1ピークの強度をA、波長400〜450nmにおける第2ピークの強度をBとしたとき、比率B/Aが0.77以下である。
図1は、本開示の実施形態に係るセラミック焼結体を備える光電子増倍管(電子管)の要部の構成を示す模式図である。 図2は、本開示の実施形態に係るセラミック焼結体を備えるランプ装置であって車両の右前方に搭載されるランプ装置の構成を示す模式図である。 図3は、図2に示すランプ装置内に配置された第1センサモジュールの構成を示す模式図である。 図4は、本開示の実施形態に係るセラミック焼結体を備えるヘッドアップディスプレイの構成を示す模式図である。 図5は、本開示の実施形態に係るセラミック焼結体を備える半導体製造装置の構成を示す、(a)は模式図であり、(b)は(a)の二点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 図6は、実施例における測定結果であってカソードルミネッセンス法を用いた測定における各セラミック焼結体の発光スペクトルを示すグラフである。 図7は、実施例における測定結果であって波長とセラミック焼結体の表面における反射率との関係を示すグラフである。
<セラミック焼結体>
以下、本開示の実施形態に係るセラミック焼結体について詳細に説明する。
昨今、さらに室温における電気抵抗が高く、しかも表面が黒色系の色調を呈することのできるセラミック焼結体が求められている。本実施形態のセラミック焼結体は、酸化アルミニウム(Al23)を主成分とし、チタンの酸化物を含むセラミック焼結体である。そして、カソードルミネッセンス法を用いた測定における、波長700〜800nmにおける第1ピークの強度をA、波長400〜450nmにおける第2ピークの強度をBとしたとき、比率B/Aが0.77以下である(図6参照)。このような構成によれば、室温(5〜35℃)における電気抵抗が高く、しかも表面が黒色系の色調を呈することができる。以下、本実施形態のセラミック焼結体の構成について具体的に説明する。
セラミック焼結体における主成分とは、セラミック焼結体を構成する成分100質量%のうち、85質量%以上を占める成分をいう。セラミック焼結体を構成する各成分の含有量は、X線回折装置(XRD)を用い、JCPDSカードと照合して成分を同定した後、蛍光X線分析装置(XRF)またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置(ICP)を用いて、元素の含有量を求め、同定された成分の含有量に換算すればよい。
チタンの酸化物とは、酸化チタン(TiO2)のみならず、上述した効果を得るために必要な限度において、酸化チタンがわずかに還元されたものも含む概念である。チタンの酸化物の含有量は、セラミック焼結体を構成する成分100質量%のうち、例えば、0.5質量%以上4質量%以下である。含有量を判断するときは、酸化チタンの含有量をチタンの酸化物の含有量とみなすことができる。なお、酸化チタンの結晶構造は、ルチル型であってもよい。結晶構造は、XRDによって同定することができる。
ここで、カソードルミネッセンス法とは、試料(本実施形態においてはセラミック焼結体)の表面に電子線を照射した際に放出される光を検出する手法である。そして、この測定によって得られた結果は、横軸を光の波長、縦軸を光の強度とした発光スペクトルのグラフで確認することができる。
カソードルミネッセンス法を用いた測定における波長700〜800nmにおける第1ピークの強度を選んだ理由は、この第1ピークの強度がチタンの酸化物を含むセラミック焼結体の表面における、Ti3+の存在を表しているからである。
また、波長400〜450nmにおける第2ピークの強度を選んだ理由は、この第2ピークの強度が、セラミック焼結体の表面に存在する、電子1個を捕獲可能な酸素欠陥(F+センター)の量を表しているからである。そのため、第2ピークの強度が小さければ、放出された電子が放電を繰り返す要因となる酸素欠陥(F+センター)が少ないことを示し、電圧がセラミック焼結体に印加された場合、電子の流れの発生を抑制することができる。すなわち、第2ピークの強度が小さければ、セラミック焼結体の電気抵抗は高くなり、併せて、瞬時電圧降下の発生を抑制することができる。
本実施形態のセラミック焼結体は、上述のとおり、カソードルミネッセンス法を用いた測定における、波長700〜800nmにおける第1ピークの強度をA、波長400〜450nmにおける第2ピークの強度をBとしたとき、比率B/Aが0.77以下である。比率B/Aがこの範囲であると、酸化チタンがわずかに還元されながらも、酸素欠陥がほとんどなくなるため、室温における電気抵抗が高く、表面は黒色系の色調を呈することができる。
第1ピークは、波長700〜800nmにおいて最大強度を有するピークであり、第2ピークは、波長400〜450nmにおいて最大強度を有するピークである。比率B/Aの下限値は、例えば、0.73である。
ここで、第1ピークの強度は、例えば、11300〜12000であり、第2ピークの強度は、例えば、8700〜9200である。
ここで、カソードルミネッセンス法における測定システムとしては、例えば、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JSM−7100F)に装着されたカソードルミネッセンス測定システム(回折格子:100gr/mm、ブレーズ波長:450nm、検出器:CCD、(株)堀場製作所製、MP−32S)を用い、以下の条件で測定することができる。
<条件>
・測定温度:室温(20℃)
・検出器:CCD
・回折格子の単位長さ当りの溝本数:100gr/mm
・ブレーズ波長:450nm
・スリット幅:1000μm
・倍率:3000倍
・照射電流:18
本実施形態のセラミック焼結体は、波長200nm〜2500nmにわたる反射率の最大値Rmaxが24%以下であり、最大値Rmaxと最小値Rminとの差であるΔRが15.3%以下である(図7参照)。すなわち、本実施形態のセラミック焼結体は、波長200nm〜2500nmの範囲において、反射率が低く、照射光に対する反射光の光強度の波長分布のばらつきが小さい。本実施形態のセラミック焼結体は、このように広い波長範囲にわたって反射率が一様に低くなっており、様々な種類の入射光が表面に入射するような条件下でも、光を吸収することができる。
また、本実施形態のセラミック焼結体は、比較的広い波長範囲の光に対して反射率が十分に低い黒色を呈する。具体的には、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が48以下であり、クロマティクネス指数a*、b*がそれぞれ−2以上5以下、−10以上0以下である。CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値、クロマティクネス指数a*およびb*の値は、JIS Z 8722:2009に準拠して求めることができる。例えば、分光色差計(日本電色工業(株)製NF777またはその後継機種)を用い、測定条件としては、光源をCIE標準光源D65、視野角度を2°に設定すればよい。
また、本実施形態のセラミック焼結体は、珪素および周期表第2族元素の少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が酸化物に換算して3質量%以上であってもよい。このような構成であると、これらの酸化物は、酸化アルミニウムの結晶内に固溶しにくいので、電気抵抗をさらに高くすることができる。上述した含有量の上限値は、例えば、15質量%である。なお、セラミック焼結体が珪素および周期表第2族元素のそれぞれを含むとき、珪素の含有量が周期表第2族元素の含有量よりも多くてもよい。
本実施形態のセラミック焼結体は、室温(5〜35℃)における体積固有抵抗が109Ω・m以上であってもよい。このような構成を満たすときは、室温における電気抵抗が高いといえる。また、より絶縁性を高めるという観点からは、本実施形態のセラミック焼結体の体積固有抵抗は、例えば、200℃にて108Ω・m以上あってもよい。通常、温度が高くなると体積固有抵抗は低下するが、本実施形態のセラミック焼結体は、200℃の高温においても絶縁性を有する。体積固有抵抗は、JIS C 2141:1992に準拠して求めることができる。なお、体積固有抵抗の上限値は、特に限定されない。
本実施形態のセラミック焼結体は、スキューネスRskの平均値が0.04以上0.45以下である部分を有していてもよい。セラミック焼結体がこのような部分を有しているときには、反射率が低くなる。なお、セラミック焼結体におけるすべてのスキューネスRskの平均値が0.04以上0.45以下であってもよい。
また、本実施形態のセラミック焼結体は、クルトシスRkuの平均値が4.1以上6.5以下である部分を有していてもよい。セラミック焼結体がこのような部分を有しているときには、反射率が低くなる。なお、セラミック焼結体におけるすべてのクルトシスRkuの平均値が4.1以上6.5以下であってもよい。
さらに、本実施形態のセラミック焼結体は、算術平均粗さRaの平均値が1μm以上2μm以下である部分を有していてもよい。セラミック焼結体がこのような部分を有しているときには、反射率が低くなる。なお、セラミック焼結体におけるすべての算術平均粗さRaの平均値が1μm以上2μm以下であってもよい。
スキューネスRsk、クルトシスRkuおよび算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2001に準拠し、例えば、レーザー顕微鏡((株)キーエンス社製(VK−9510))を用いて求めることができる。測定条件は、測定モードをカラー超深度、測定倍率を400倍、測定範囲を698μm×522μm、測定ピッチを0.05μm、λs輪郭曲線フィルタを2.5μm、λc輪郭曲線フィルタを0.08mmとし、上記測定範囲8箇所から得られる測定値の平均値を、スキューネスRsk、クルトシスRkuおよび算術平均粗さRaのそれぞれの平均値とすればよい。
また、カソードルミネッセンス法による測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における色差Δ*Eabが4.5以下であってもよい。
色差Δ*Eabは、色調感のばらつきを示す指標であり、以下の式(1)で示される。
ΔE*ab=〔(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)21/2 (1)
(ΔL*は、測定対象面の第1測定対象点の明度指数L1*と第2測定対象点の明度指数L2*との差、Δa*は測定対象面の第1測定対象点のクロマティクネス指数a1*と第2測定対象点の明度指数a2*との差、Δb*は測定対象面の第1測定対象点のクロマティクネス指数b1*と第2測定対象点の明度指数b2*との差である。)
色差Δ*Eabが上記範囲であると、測定対象面の色調感のばらつきが低減して、そのばらつきを視認しにくくなるので、商品価値が向上する。
また、カソードルミネッセンス法による測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の変動係数が0.02以下(但し、0を除く)であってもよい。
明度指数L*の変動係数が上記範囲であると、測定対象面が繰り返して光の照射を受けても変色しにくい状態になっているので、経時変化しにくい。ここで、測定対象面の明度指数L*の平均値は、例えば、48以下である。
なお、測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値、クロマティクネス指数a*およびb*の値は、JIS Z 8722:2009に準拠して求めることができる。例えば、分光色差計(日本電色工業(株)製NF777またはその後継機種)を用い、測定条件としては、光源をCIE標準光源D65、視野角度を2°に設定すればよい。
また、カソードルミネッセンス法による測定対象面は、開気孔を有し、開気孔の円相当径の歪度が0.1以上であってもよい。
開気孔の円相当径の歪度が上記範囲であると、円相当径の分布が小さな方向に移動し、浮遊する金属粉や白色系の明色を呈する紛体が開気孔に侵入しにくくなるので、測定対象面の色調感のばらつきが低減し、商品価値が向上する。
開気孔の円相当径の平均値は、例えば、4μm以上6μm以下である。また、開気孔の気孔率は、3面積%以上6面積%以下である。
開気孔の円相当径および気孔率を求めるには、まず、平均粒径D50が3μmのダイヤモンド砥粒を用いて鋳鉄製定盤にて保持部材を研磨した後、平均粒径D50が0.5μmのダイヤモンド砥粒を用いて錫定盤にて研磨して、測定面を得る。
そして、光学顕微鏡を用いて、倍率を100倍として、CCDカメラで、測定面のうち、平均的な部分を選択して撮影する。次に、撮影した画像のうち、1範囲当りの面積が2.27×102μmである範囲を4カ所設定して、画像解析ソフト(例えば、三谷商事(株)製、Win ROOF)を用いて解析することによって、開気孔の円相当径および気孔率を得ることができる。なお、解析するに当たり、開気孔の円相当径の閾値は、0.8μmとし、0.8μm未満の円相当径は解析の対象とはしない。
そして、開気孔の円相当径の歪度は、Excel(登録商標、Microsoft Corporation)に備えられている関数SKEWを用いて求めればよい。
(セラミック焼結体の製造方法)
次に、本実施形態のセラミック焼結体の製造方法の一例を説明する。
まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末を準備する。
炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化珪素の粉末の含有量の合計は、上記粉末の合計100質量%のうち、例えば、6.5質量%以上12.9質量%以下である。そして、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化珪素の粉末の含有量は、これら粉末の合計100質量%のうち、炭酸カルシウムの粉末の含有量は17.8質量%以上53.4質量%以下であり、水酸化マグネシウムの粉末の含有量は14.4質量%以上43.2質量%以下であり、残部が酸化珪素の粉末である。
特に、水酸化マグネシウムの含有量は、酸化チタンの含有量の30質量%以上44質量%以下であるとよい。水酸化マグネシウムの含有量が上記範囲であると、後述する還元処理で生じやすいアノーサイトおよびムライトの生成が抑制される。アノーサイトやムライトは酸化アルミニウムに対して平均線膨張率が異なっているため、これらの化合物の生成が抑制されると、繰り返して加熱および冷却に曝される環境でセラミック焼結体が用いられてもクラックが生じにくくなる。
酸化チタンの粉末の含有量は、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末の合計100質量%のうち、例えば、0.5質量%以上4質量%以下であり、残部が酸化アルミニウムの粉末である。
そして、これら粉末をバレルミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミル、アジテーターミル、アトマイザー、アトライターなどの粉砕機によって湿式混合して粉砕し、スラリーを得る。なお、上記粉砕にあたっては、溶媒、この溶媒100質量部に対して1質量部以上1.5質量部以下のポリビニルアルコール(PVA)などの有機結合剤、溶媒100質量部に対して0.1質量部以上0.5質量部以下の分散剤を併せて粉砕機内に投入する。次に、得られたスラリーを脱磁処理した後、噴霧乾燥して、顆粒を得る。脱磁処理によって、不可避不純物であって、強磁性を示すFe、NiおよびCoは除去される。
そして、この顆粒を用いて乾式加圧成形法あるいは冷間等方圧加圧法(CIP)により成形した後に必要に応じて切削加工を施して成形体を得る。ここで、開気孔の平均気孔径の歪度が0.1以上であるセラミック焼結体を得るには、成形圧を、例えば、1500MPa以上4000MPa以下にすればよい。その後、得られた成形体を大気(酸化)雰囲気中、温度を1500℃以上1700℃以下として所定時間保持して焼成することによって焼結体を得ることができる。
なお、焼成後においては、研削加工を行なってもよい。また、必要に応じて振動バレル研磨機を用いて、研磨材、振動数および研磨時間を調整した研磨を行なって、所定の表面性状としてもよい。
そして、上述した方法によって得られた焼結体を、還元雰囲気として、例えば、窒素:水素の比率が87〜90体積%:10〜13体積%である混合ガス中において、1300℃以上1400℃以下の温度で1時間以上2時間以下保持(還元処理)することによって、本実施形態のセラミック焼結体を得ることができる。
カソードルミネッセンス法による測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における色差Δ*Eabが4.5以下であるセラミック焼結体を得るには、酸化チタンの粉末の含有量を、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末の合計100質量%のうち、1.8質量%以上3質量%以下とし、1330℃以上1400℃以下の温度で1時間以上2時間以下保持すればよい。
測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の変動係数が0.02以下(但し、0を除く)である光学品の保持部材を得るには、酸化チタンの粉末の含有量を、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末の合計100質量%のうち、1.8質量%以上3質量%以下とし、1350℃以上1400℃以下の温度で1時間以上2時間以下保持すればよい。
上述した本実施形態のセラミック焼結体は、可視光線領域および(近)赤外線領域における反射率が低く、室温における電気抵抗が高く、しかも表面が黒色系の色調を呈することから、例えば、電子管または車載光学機器などに用いることができる。
<電子管>
次に、本実施形態のセラミック焼結体を備える電子管の一例として、光電子増倍管を例に挙げて、図面を用いて説明する。但し、以下で参照する図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な構成のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示の電子管は、参照する図に示されていない任意の構成を備え得る。また、図中の構成の寸法は、実際の構成の寸法および寸法比率などを忠実に表したものではない。これらの点は、後述する車載光学機器においても同様である。
(光電子増倍管)
図1に示す本開示の実施形態に係る光電子増倍管10は、入射した光を電子に変換しつつ、その電子を所定の増幅割合で増幅させて、電気信号として取り出すための装置であり、入射光の有無や光量を計測するために用いられる。
光電子増倍管10は、入射窓12から入射する光を受けて光電子を放出する光電面13を備える容器11と、容器11内に位置する複数の電極体16と、容器11内において複数の電極体16を支持するセラミック絶縁部材17とを備える。また、光電子増倍管10は、光電面13から放出された光電子を二次電子放出作用により増倍する電子増倍部14および電子増倍部14で増倍された電子を取り出すアノード15を備える。
電子増倍部14は、ボックス型のダイノード14aを多段に配置してなり、平板状の電極体16によって、各段のダイノード14aを個々に支持している。ダイノード14aとそれを支持する電極体16とは、個別に電気的に接続されている。複数の電極体16は、セラミック絶縁部材17によって挟持されている。
そして、光電子増倍管10においては、セラミック絶縁部材17が、上述した本実施形態のセラミック焼結体からなる。言い換えれば、本実施形態のセラミック焼結体は、電子管のセラミック絶縁部材用であってもよい。本実施形態のセラミック焼結体は、上述のとおり、広い波長範囲にわたって反射率が一様に低くなっている。それゆえ、本実施形態のセラミック焼結体でセラミック絶縁部材17が構成されていると、様々な種類の入射光が光電面13に入射するような条件下でも、光の検出精度および測定精度が比較的高い。
<車載光学機器>
次に、本実施形態のセラミック焼結体を備える車載光学機器の一例として、ランプ装置およびヘッドアップディスプレイを例に挙げて、図面を用いて順に説明する。
(ランプ装置)
以下の説明では、ランプ装置が車両の右前方に搭載される構成を例にとって説明するが、本開示のランプ装置は、その機能を奏する限り、車両の右前方に搭載される構成に限定されない。
図2に示すように、本開示の実施形態に係るランプ装置20は、車両の進行方向に位置する透光カバー21と、透光カバー21の反対側に位置するハウジング22と、透光カバー21およびハウジング22によって囲まれる灯室23の内部にそれぞれ位置する、前照灯24と、第1センサモジュール25と、第2センサモジュール26と、を備えている。
前照灯24は、レンズおよびリフレクタの少なくともいずれかを含む光学系部品を備えている。前照灯24から出射された光は、透光カバー21を透過して車両の右前方を照明する。ランプ装置20は、このような前照灯24を備えていることから、ヘッドライトとして機能する。
第1センサモジュール25は、第1基板251(支持部材)を備えている。第1基板251は、第1可視光カメラ252、第1LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ253、第1遮光部材254(遮蔽部材)を支持しており、さらに図3に示すように、制御部255、通信部256および給電部257を支持している。第1基板251は、第1可視光カメラ252、第1LiDARセンサ253、制御部255、通信部256および給電部257を含むセンサ回路を実装する基板である。すなわち、検出方法が異なる複数のセンサ(第1可視光カメラ252および第1LiDARセンサ253)、これらのセンサを包囲する筒状の中空部材である第1遮光部材254、およびこれらのセンサを動作させる回路が、第1基板251上にモジュール化されている。
図2に示すように、第1可視光カメラ252は、車両の右側を撮影する。すなわち、第1可視光カメラ252は、車両の右側の情報を検出するセンサである。
図3に示すように、第1LiDARセンサ253は、赤外光を出射する発光部253aおよび赤外光が車両の右側に存在する物体に当たってはね返った反射光を検出する受光部253bを備えている。
第1LiDARセンサ253は、ある方向へ赤外光を出射した後、物体からの反射光を検出するまでの時間に基づいて、物体までの距離を求めることができる。また、距離の測定値を検出位置と関連付けて集積、解析することにより、物体の形状に係る情報を得ることができる。また、出射光と反射光の波長の相違に基づいて、反射に関連付けられた物体の材質などの情報を得ることができる。さらに、反射光の反射率の相違に基づいて、対象物の色(路面における白線など)に係る情報を得ることができる。すなわち、第1LiDARセンサ253は、第1可視光カメラ252とは異なる方法で車両の右側の様々な情報を得ることができる。
なお、図2に示すように、第1センサモジュール25は、第1基板251に結合された第1アクチュエータ258(調節機構の一例)を備えている。第1アクチュエータ258は、車両に対する第1基板251の位置および姿勢の少なくともいずれかを調節する。
また、第2センサモジュール26は、第2基板261を備えている。第2基板261は、第2可視光カメラ262、第2LiDARセンサ263、ミリ波レーダ264、およびこれらを包囲する筒状の中空部材である第2遮光部材265を支持しており、いずれも図示しない制御部、通信部および給電部をさらに支持している。
第2可視光カメラ262および第2LiDARセンサ263の各機能は、それぞれ第1可視光カメラ252および第1LiDARセンサ253の各機能と同じなので、その説明を省略する。
ミリ波レーダ264は、ミリ波を発信する発信部およびミリ波が少なくとも車両の右前方に存在する物体に当たってはね返った反射波を受信する受信部を備えている。ミリ波の周波数は、例えば、24GHz、26GHz、76GHzまたは79GHzである。
ミリ波レーダ264は、ある方向へ赤外光を出射した後、物体からの反射光を検出するまでの時間に基づいて、物体までの距離を求めることができる。また、距離の測定値を検出位置と関連付けて集積、解析することにより、物体の動きに係る情報を得ることができる。すなわち、ミリ波レーダ264は、第2可視光カメラ262または第2LiDARセンサ263とは異なる方法で車両の右前方の情報を得ることができる。
なお、第2センサモジュール26は、第2基板261に結合された第2アクチュエータ266(調節機構の一例)を備えている。第2アクチュエータ266は、車両に対する第2基板261の位置および姿勢の少なくともいずれかを調節する。
また、ランプ装置20は、灯室23の外部に位置する信号処理部27を備えている。信号処理部27は、第1アクチュエータ258を駆動する第1駆動信号271および第2アクチュエータ266を駆動する第2駆動信号272を出力するように構成されている。第1駆動信号271は、第1アクチュエータ258の位置および姿勢の少なくともいずれかを、また、第2駆動信号272は、第2アクチュエータ266の位置および姿勢の少なくともいずれかを調節する情報を含んでいる。
そして、ランプ装置20においては、第1センサモジュール25の第1遮光部材254および第2センサモジュール26の第2遮光部材265の少なくともいずれかが、上述した本実施形態のセラミック焼結体からなる。本実施形態のセラミック焼結体は、上述のとおり、室温における電気抵抗が高く、表面は黒色系の色調を呈するので、例えば、光線を遮るための遮光部材(遮蔽部材)として用いることができる。それゆえ、第1遮光部材254および第2遮光部材265の少なくともいずれかが上述した本実施形態のセラミック焼結体からなると、第1センサモジュール25または第2センサモジュール26の周辺で散乱する光線を遮ることができ、精度の高い情報を得ることができる。
なお、ランプ装置20は、上述した構成に加えて次のような構成をさらに備えている。すなわち、ランプ装置20は、光学品として、前照灯24における光源素子および上述した光学系部品と、第1可視光カメラ252におけるレンズおよびガラスと、第1LiDARセンサ253におけるレンズおよび光源素子と、受光部253bにおける受光素子と、を備えており、これらの光学品をそれぞれ保持する保持部材(ホルダ)を備えている。
また、ランプ装置20は、第1可視光カメラ252におけるレンズと、第1LiDARセンサ253における光源素子と、受光部253bにおける受光素子と、をそれぞれ収容する筐体を備えている。
ランプ装置20は、前照灯24における光源素子(LEDなど)と、第1可視光カメラ252におけるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサと、受光部253bにおける受光素子と、をそれぞれ実装する光路周辺の(回路)基板を備えている。
ランプ装置20は、第1遮光部材254および第2遮光部材265以外の遮光部材として、前照灯24の周辺に位置する遮光部材と、第1可視光カメラ252に取り付けられる遮光部材と、を備えている。
なお、ランプ装置20は、第2可視光カメラ262および第2LiDARセンサ263についても、上述した第1可視光カメラ252および第1LiDARセンサ253と同様の構成(光学品の保持部材、筐体、基板および遮光部材)を備えている。
そして、ランプ装置20においては、上述した光学品の保持部材、筐体、基板および遮光部材の少なくともいずれかが、本実施形態のセラミック焼結体からなる。このような構成によれば、例えば、本実施形態のセラミック焼結体の可視光線領域および(近)赤外線領域における低い反射率によって投影像のノイズを低減することができる。
(ヘッドアップディスプレイ)
図4に示すように、本開示の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ30は、画像を投影する側から順に、車載プロジェクターモジュール31と、反射ミラー32と、マイクロレンズアレイ33と、凸レンズ34と、コンバイナー35と、を備えている。
車載プロジェクターモジュール31は、矢印a方向に画像を投影する。また、車載プロジェクターモジュール31は、光学、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ユニットと、光学、MEMSユニットに収容されるRGB光源モジュールと、を備えている。
反射ミラー32は、車載プロジェクターモジュール31から投影された画像をマイクロレンズアレイ33に向けて反射させる。マイクロレンズアレイ33は、中間像スクリーンとして機能する。凸レンズ34は、マイクロレンズアレイ33に隣接しているとともに、コンバイナー35の側に凸であって、フィールドレンズとして機能する。コンバイナー35は、凸レンズ34によって拡大された画像をドライバーの目に向けて反射させる。
ここで、ヘッドアップディスプレイ30は、上述した構成に加えて次のような構成をさらに備えている。すなわち、ヘッドアップディスプレイ30は、光学品の保持部材として、マイクロレンズアレイ33および凸レンズ34を保持するレンズ保持部材36を備えている。また、ヘッドアップディスプレイ30は、反射ミラー32およびレンズ保持部材36にそれぞれ取り付けられる遮光部材を備えている。
そして、ヘッドアップディスプレイ30においては、反射ミラー32に取り付けられる遮光部材およびレンズ保持部材36に取り付けられる遮光部材の少なくともいずれかが、本実施形態のセラミック焼結体からなる。言い換えれば、本実施形態のセラミック焼結体は、ヘッドアップディスプレイ用であってもよい。このような構成によれば、本実施形態のセラミック焼結体の広い波長範囲にわたる低い反射率によって投影像のノイズを低減することができる。
なお、ヘッドアップディスプレイ30は、上述した構成に加えて次のような構成をさらに備えている。すなわち、ヘッドアップディスプレイ30は、レンズ保持部材36以外の光学品の保持部材として、車載プロジェクターモジュール31のレンズを保持するレンズ保持部材を備えている。また、ヘッドアップディスプレイ30は、車載プロジェクターモジュール31(光学、MEMSユニット)の光源部材の周辺に位置する筐体を備えており、光路周辺の基板として、RGB光源モジュールの光源素子を実装する基板を備えている。
そして、ヘッドアップディスプレイ30においては、上述した光学品の保持部材、筐体および基板の少なくともいずれかが、本実施形態のセラミック焼結体からなる。このような構成によれば、上述した遮光部材と同様に、本実施形態のセラミック焼結体の広い波長範囲にわたる低い反射率によって投影像のノイズを低減することができる。
<半導体製造装置>
本実施形態のセラミック焼結体は、半導体製造装置にも用いることができる。図5に示すように、本開示の実施形態に係る半導体製造装置40は、原料ガスを供給して基板41の表面に半導体結晶を成長させる装置である。半導体製造装置40は、基台42と、基台42の法線方向と軸方向が一致するように基台42上に載置されたチューブ43と、チューブ43の下端側でチューブ43と接続されたフランジ44と、基台42とフランジ44との間に配置され、基台42とフランジ44とを気密に封止する、Oリング等の封止部材45と、封止部材45を上方から押圧するようにフランジ44を基台42に向かって押圧する押圧部材46と、チューブ43の外周側から内部空間47に配置された基板41を加熱するヒータ48と、内部空間47を外部空間から断熱してヒータ48により加熱された基板41を保温する断熱材49と、チューブ43の内部空間47に原料ガスG1を導入するガス導入管50と、内部空間47から反応後の反応ガスG2を排出するガス排出管51と、を備えている。
内部空間47は、供給された原料ガスG1によって半導体結晶を成長させる空間である。基板41は、半導体結晶の成長を開始させるための基板であり、複数の基板41が一定の間隔を空けて配置される。基台42は、内部に冷却水を流すための流路52を備えており、封止部材45を冷却する機能も備えている。
チューブ43は、石英ガラスからなり、上端はドーム形状となって閉塞している。チューブ43は、ヒータ48から放射された赤外線を基板41に低損失で伝達して基板41を効率的に昇温させることができるように、赤外線に対して透明となっている。
基板41の表面に半導体結晶を成長させる場合、ヒータ48で基板41を加熱しながら、ガス供給設備(図示しない)から供給された原料ガスをガス導入管50を通じて内部空間47に導入し、基板41の表面で原料ガスG1を反応させて半導体結晶を成長させ、使用後の反応ガスG2はガス排出管51を通じて内部空間47から排出される。
このとき、半導体結晶の成長温度が1000℃程度であることから、ヒータ48により内部空間47や基板41も1000℃程度まで昇温される。この過程で、ヒータ48から放射された赤外線はチューブ43を光導波路として伝達されることになるが、この赤外線の伝達が封止部材45まで至らないように、その途中で遮断されるようになっている。
即ち、図5(b)に示すように、フランジ44の少なくともチューブ43側が赤外線53の封止部材45への伝達を抑制する、環状の赤外線遮断部44aとなっており、この赤外線遮断部44aは、本開示のセラミック焼結体からなり、遮光部材として機能する。そして、赤外線遮断部44aのチューブ43に対向する面が赤外線の遮光面であるとともに、カソードルミネッセンス法による測定対象面でもある。
赤外線遮断部44aは、鉛直方向の長さLが20mm以上100mm以下であるとよい。赤外線遮断部44aが長すぎると内部空間47の温度分布が不均一になるおそれがあり、赤外線遮断部44aが短すぎると封止部材45の表面温度の上昇を抑制する効果が小さくなる。
長さLが20mm以上100mm以下であると、内部空間47の温度分布が比較的均一に維持されるとともに、封止部材45の表面温度の上昇を抑制することができる。
以上、本開示に係る実施形態について例示したが、本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、セラミック焼結体が電子管用、車載光学機器用および半導体製造装置用である場合を例にとって説明したが、本実施形態のセラミック焼結体は、電子管用、車載光学機器用および半導体製造装置用に限定されるものではなく、他の用途にも使用することができる。他の用途としては、例えば、電子機器、医療・理化学機器などが挙げられる。具体例を挙げると、例えば、CTスキャンなどの医療機器や透過型電子顕微鏡(TEM)などの分析装置の内部において、高い絶縁性が求められる部位などが挙げられる。なお、セラミック焼結体の用途は、例示したものに限定されない。
また、上述した実施形態では、光学品の保持部材、筐体、基板および遮光部材が、本実施形態のセラミック焼結体からなる場合を例にとって説明したが、これらの部材は、その少なくとも一部が本実施形態のセラミック焼結体で構成されていてもよい。本開示の実施形態に係る光学品の保持部材は、上述した本開示に係るセラミック焼結体を具備する。同様に、本開示の実施形態に係る筐体は、上述した本開示に係るセラミック焼結体を具備する。本開示の実施形態に係る基板は、上述した本開示に係るセラミック焼結体を具備する。本開示の実施形態に係る遮光部材は、上述した本開示に係るセラミック焼結体を具備する。
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末を準備した。
なお、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末の含有量は、セラミック焼結体を構成する成分が表1に示す値になるように調整した。
そして、これら粉末をバレルミルで湿式混合して粉砕し、スラリーを得た。なお、粉砕にあたっては、溶媒、溶媒100質量部に対して1.25質量部のポリビニルアルコール(PVA)、溶媒100質量部に対して0.3質量部の分散剤も併せて粉砕機内に投入した。次に、得られたスラリーを脱磁処理によって、セラミック焼結体におけるCrおよびFeの含有量が酸化物に換算して表1に示す値になるように調整した後、噴霧乾燥して、顆粒を得た。
そして、顆粒を用いて冷間等方圧加圧法(CIP)により成形した後に切削加工を施して成形体を得た。その後、得られた成形体を大気(酸化)雰囲気中、温度を1570℃として2時間保持することによって焼結体を得た。次に、振動バレル研磨機を用いて、焼結体の表面を研磨し、試料No.1〜5を得た。
試料No.2については、焼結体をさらに熱処理(還元処理)した。具体的には、試料No.2の焼結体を還元雰囲気中(窒素:水素の比率が88.5体積%:11.5体積%の混合ガス)、1350℃の温度で1時間30分保持することにより、熱処理した。
得られた各試料につき、XRDを用いて同定を行なった。また、各試料を構成する元素の含有量をICPを用いて求め、それぞれ同定された成分に換算した。これらの結果を表1に示す。
各試料につき、カソードルミネッセンス法を用いて測定を行った。測定システムは、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JSM−7100F)に装着されたカソードルミネッセンス測定システム(回折格子:100gr/mm、ブレーズ波長:450nm、検出器:CCD、(株)堀場製作所製、MP−32S)を用い、以下の条件で測定し、その測定値をグラフとして図6に示した。
<条件>
・測定温度:室温(20℃)
・検出器:CCD
・回折格子の単位長さ当りの溝本数:100gr/mm
・ブレーズ波長:450nm
・スリット幅:1000μm
・倍率:3000倍
・照射電流:18
また、比率B/Aを算出し、表1に示した。
また、各試料につき、200nm〜2500nmの波長における領域の反射率を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製、V−670)を用いて求め、その測定値をグラフとして図7に示した。
ここで、反射率の測定に用いる積分球ユニットはISN−723、基準光源は、波長が200nm〜360nmにおける領域を重水素ランプ、波長が360nm〜2500nmにおける領域をハロゲンランプとし、測定条件は、測定モードを全反射率、データ取込間隔を1.0nm、UV/Visバンド幅を5.0nm、NIRバンド幅を20.0nmとした。
Figure 2020036097
表1および図6に示すとおり、試料No.2は、酸化アルミニウムを主成分とし、チタンの酸化物を含むセラミック焼結体であって、比率B/Aが0.77以下であった。また、図7に示すように、試料No.2は、波長284nm〜696nmで、試料No.1、3のいずれかよりも反射率がわずかに高くなっているものの、波長200nm〜2500nmで反射率が概ね低く、特に、波長697nm以上では、反射率が他の試料よりも格段に低く、光を吸収する能力が高いことがわかる。
また、試料No.2は、図7に示すように、波長200nm〜2500nmにわたる反射率の最大値Rmaxが24%以下であり、最大値Rmaxと最小値Rminとの差であるΔRが15.3%以下であった。この結果より、試料No.2は、波長200nm〜2500nmの範囲において、反射率が低く、照射光に対する反射光の光強度の波長分布のばらつきが小さいことがわかった。
各試料につき、室温(20℃)における体積固有抵抗をJIS C 2141:1992に準拠して求めた。測定結果は、以下のとおりである。
試料No.1:1010Ω・m
試料No.2:1010Ω・m
試料No.3:1011Ω・m
試料No.4:1011Ω・m
試料No.5:1011Ω・m
試料No.1〜5の表面を目視観察した。その結果、試料No.2は、表面が黒色を呈していた。また、各試料の表面は、試料No.1があずき色を、試料No.3が薄灰青色を、試料No.4が白色を、試料No.5が白色を呈していた。
10 光電子増倍管(電子管)
11 容器
12 入射窓
13 光電面
14 電子増倍部
15 アノード
16 電極体
17 セラミック絶縁部材
20 ランプ装置
21 透光カバー
22 ハウジング
23 灯室
24 前照灯
25 第1センサモジュール
251 第1基板
252 第1可視光カメラ
253 第1LiDARセンサ
253a 発光部
253b 受光部
254 第1遮光部材
255 制御部
256 通信部
257 給電部
258 第1アクチュエータ
26 第2センサモジュール
261 第2基板
262 第2可視光カメラ
263 第2LiDARセンサ
264 ミリ波レーダ
265 第2遮光部材
266 第2アクチュエータ
27 信号処理部
271 第1駆動信号
272 第2駆動信号
30 ヘッドアップディスプレイ
31 車載プロジェクターモジュール
32 反射ミラー
33 マイクロレンズアレイ
34 凸レンズ
35 コンバイナー
36 レンズ保持部材
40 半導体製造装置
41 基板
42 基台
43 チューブ
44 フランジ
44a 赤外線遮断部
45 封止部材
46 押圧部材
47 内部空間
48 ヒータ
49 断熱材
50 ガス導入管
51 ガス排出管
52 流路
53 赤外線

Claims (14)

  1. 酸化アルミニウムを主成分とし、チタンの酸化物を含むセラミック焼結体であって、カソードルミネッセンス法を用いた測定における、波長700〜800nmにおける第1ピークの強度をA、波長400〜450nmにおける第2ピークの強度をBとしたとき、比率B/Aが0.77以下であるセラミック焼結体。
  2. 珪素および周期表第2族元素の少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が酸化物に換算して3質量%以上である請求項1に記載のセラミック焼結体。
  3. スキューネスRskの平均値が0.04以上0.45以下である部分を有する請求項1または2に記載のセラミック焼結体。
  4. クルトシスRkuの平均値が4.1以上6.5以下である部分を有する請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  5. 表面が黒色系の色調を呈する請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  6. 前記カソードルミネッセンス法による測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における色差Δ*Eabが4.5以下である請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  7. 前記カソードルミネッセンス法による測定対象面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の変動係数が0.02以下(但し、0を除く)である請求項1〜6のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  8. 前記カソードルミネッセンス法による測定対象面は開気孔を有し、該開気孔の円相当径の歪度が0.1以上である請求項1〜7のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  9. 電子管用である請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  10. 車載光学機器用である請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック焼結体を具備する光学品の保持部材。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック焼結体を具備する筐体。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック焼結体を具備する基板。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック焼結体を具備する遮光部材。
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