JPWO2020035926A1 - 電動機駆動装置及び空気調和機 - Google Patents

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Abstract

電動機(1)の複数の巻線(1u、1v、1w)の第1の端部(1ua、1va、1wa)に接続された第1のインバータ(3)と、上記の複数の巻線(1u、1v、1w)の第2の端部(1ub、1vb、1wb)に接続された第2のインバータ(4)と、上記の第2の端部(1ub、1vb、1wb)を互いに接続する短絡回路(5)とを有する駆動装置において、短絡回路(5)がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、第1のインバータから出力された交流電圧が上記の第1の端部に印加されるスター結線モード、または短絡回路(5)をオフして、第1のインバータから出力された交流電圧が上記の第1の端部に印加されるとともに、第2のインバータから出力された交流電圧が上記の第2の端部に印加される協調運転モードで電動機が駆動される。電動機の巻線を高速に切替えることができ、また電力損失を小さくすることができる。

Description

本発明は、電動機駆動装置、及びそれを備えた空気調和機に関する。
本発明は特に2台のインバータを用いて広い速度範囲にわたって電動機を運転させる電動機駆動装置に関する。
従来の電動機駆動装置として、各々3相ブリッジ回路から成る第1及び第2のインバータ(2,3)を用い、第1のインバータを直流電源に直接接続し、第2のインバータを母線スイッチ(4,5)を介して直流電源に接続し、母線スイッチのオン、オフ及び第1及び第2のインバータのオンオフ制御及びPWM制御により、電動機をスター結線又はデルタ結線で運転させるものが知られている(特許文献1)。
特公平7−99959公報
特許文献1に記載の技術によれば、Δ結線の際に第2のインバータへの電流が母線スイッチを通して流れることによる導通損失が発生するという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電動機の巻線を切替えて制御する回路の損失を抑えることが可能な、電動機駆動装置を得ることを目的とする。
本発明の電動機駆動装置は、
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動される。
本発明によれば、電動機の巻線を切替えて制御する回路の損失を抑えることが可能となる。
本発明の実施の形態1の電動機駆動装置を示す概略配線図である。 実施の形態1で用いられる制御部を示す機能ブロック図である。 図2に示されるスイッチング信号生成部の構成例を示す機能ブロック図である。 実施の形態1の電動機駆動装置において、Y結線状態で流れる電流の経路を示す図である。 実施の形態1の電動機駆動装置において、Δ結線状態で流れる電流の経路を示す図である。 (a)はY結線状態における電圧ベクトルを示す図、(b)はΔ結線状態における電圧ベクトルを示す図である。 電動機をY結線で動作させる場合の総合効率及びΔ結線で動作させる場合の総合効率を示す線図である。 実施の形態1における、モード選択の処理の示すフローチャートである。 実施の形態1の電動機駆動装置に流れる短絡電流の経路を示す図である。 実施の形態1における、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えの処理の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1における、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えの処理の他の例を示すフローチャートである。 実施の形態1の電動機駆動装置において、切替えの途中で流れる電流の経路を示す図である。 実施の形態1における、Δ結線モードからY結線モードへの切替えの処理の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1における、Δ結線モードからY結線モードへの切替えの処理の他の例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2で用いられる制御部の機能ブロック図である。 図15に示されるスイッチング信号生成部の構成例を示す機能ブロック図である。 実施の形態2における、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えの処理の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2における、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えの処理の他の例を示すフローチャートである。 実施の形態2の電動機駆動装置において、切替えの途中で流れる電流の経路を示す図である。 実施の形態2の電動機駆動装置において、切替えの途中で流れる電流の経路を示す図である。 実施の形態2における、Δ結線モードからY結線モードへの切替えの処理の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2における、Δ結線モードからY結線モードへの切替えの処理の他の例を示すフローチャートである。 中間状態における電圧ベクトルを示す図である。 電動機を中間状態で動作させる場合の総合効率及びY結線で動作させる場合の総合効率を示す線図である。 本発明の実施の形態3で用いられる制御部の機能ブロック図である。 実施の形態3におけるモード選択の処理を示すフローチャートである。 図25に示されるスイッチング信号生成部の構成例を示す機能ブロック図である。 空気調和機の冷凍サイクルの一例を示す概略図である。
以下に、本発明の実施の形態の電動機駆動装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の電動機駆動装置2を電動機1とともに示す図である。
図示の電動機駆動装置2は、電動機1を駆動するためのものであり、第1のインバータ3と、第2のインバータ4と、短絡回路5と、コンデンサ6と、電圧検出部7と、電流検出素子8と、制御部100とを有する。
電動機1は3相の交流電動機、例えば永久磁石同期電動機であり、3相の巻線1u、1v、1wを有する。
巻線1u、1v、1wの各々は両端(引出線)が電動機1の外部に引き出されており、各々独立に外部との接続が可能である。
直流電源端子DCa、DCbには図示しない直流電源から直流電力が供給される。例えば、図示しない交流電源からの交流電圧を整流することで得られる直流電力が電源端子DCa、DCbに供給される。
コンデンサ6は、直流電源端子DCa、DCbに接続されており、直流電源端子DCa、DCbに供給される直流電圧を平滑化する。
直流電源端子DCa、DCbには直流母線BLa、BLbが接続されている。
電圧検出部7は、コンデンサ6の両端子間の電圧(母線電圧)Vdcを検出する。
電流検出素子8は、母線BLbに流れる電流(母線電流)Idcを検出する。
第1及び第2のインバータ3、4の各々はその直流側端子(入力端子)が直流母線BLa、BLbに接続されている。
第1及び第2のインバータ3、4の各々は3相ブリッジ回路で構成され、3つの上側アームと、3つの下側アームとを有する。
具体的には、第1のインバータ3は、3つの上側アーム311〜313と、3つの下側アーム314〜316とを有する。
第2のインバータ4は、3つの上側アーム411〜413と、3つの下側アーム414〜416とを有する。
各アームは、図示のように、半導体スイッチ(331〜336、431〜436)と該半導体スイッチに逆並列に接続された還流用ダイオード(351〜356、451〜456)とを有する。
半導体スイッチとダイオードとが逆並列接続されているとは、当該半導体スイッチがオンであるときに当該半導体スイッチに流れる電流の向きと、当該ダイオードに流れる電流の向きとが逆となるように並列に接続されていることを意味する。
第1のインバータ3は、交流側端子(出力端子)が巻線1u、1v、1wの第1の端部1ua、1va、1waに接続されている。
第2のインバータ4は、交流側端子(出力端子)が巻線1u、1v、1wの第2の端部1ub、1vb、1wbに接続されている。
第1及び第2のインバータ3、4の各々の各アームのスイッチをオン、オフすることを以下では単に当該アームをオン、オフすると言うことがある。
また、各インバータの全アームをオフすることを単に当該インバータをオフすると言うこともある。
短絡回路5は、3つの半導体スイッチ51u、51v、51wと、それぞれ半導体スイッチ51u、51v、51wに逆並列接続された還流用ダイオード52u、52v、52wとを有する。
半導体スイッチ51u、51v、51wはそれぞれ巻線1u、1v、1wに対応して設けられたものであり、半導体スイッチ51u、51v、51wの一方の主端子は対応する巻線の第2の端子に接続されている。半導体スイッチ51u、51v、51wの他方の主端子は共通接続ノード53に接続されている。
後述のように、各半導体スイッチがMOSFETで構成される場合、上記の一方の主端子はドレインであり、上記の他方の主端子はソースである。
半導体スイッチ51u、51v、51wが全てオフの状態を、短絡回路5がオフの状態にあると言い、半導体スイッチ51u、51v、51wが全てオンの状態を、短絡回路5がオフの状態にあると言う。
半導体スイッチ331〜336、431〜436、51u、51v、51wとしては例えばMOSFETが用いられる。
MOSFETは、Siで構成されたものに限定されず、SiC、GaN、Gaなどのワイドギャップ半導体で構成されたものであっても良い。
半導体スイッチがMOSFETで構成される場合、各半導体スイッチに逆並列接続される還流用ダイオードは当該半導体スイッチの寄生ダイオードであっても良い。
また、半導体スイッチ331〜336、431〜436、51u、51v、51wはIGBT(insulated gate bipolar transistor)で構成されていても良い。
以下では、半導体スイッチを単にスイッチと言う場合がある。
後に詳しく述べるように、図示の電動機駆動装置2は単独運転モード又は協調運転モードで電動機1を駆動する。
単独運転モードにおいては、電動機1は第1のインバータ3のみによって駆動される。協調運転モードにおいては、電動機1は第1のインバータ3及び第2のインバータ4の双方によって駆動される。
例えば、単独運転モードにおいて電動機1はスター結線(Y結線)状態で駆動され、協調運転モードにおいて電動機1はデルタ結線(Δ結線)状態で駆動される。
Y結線状態での駆動をY結線モードでの駆動と言い、Δ結線状態での駆動をΔ結線モードでの駆動と言う。
制御部100は、電圧検出部7で検出された母線電圧Vdcと、電流検出素子8で検出された母線電流Idcとを受け、第1のインバータ3、第2のインバータ4、及び短絡回路5の半導体スイッチのオン、オフを制御する。
制御部100は、処理回路で実現可能である。処理回路は、専用のハードウェアで構成されていても良く、ソフトウェアで構成されていても良く、ハードウェアとソフトウェアの組合せで構成されていても良い。ソフトウェアで構成される場合、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等で構成される。
図2は制御部100の構成例を示す機能ブロック図である。
図示の制御部100は、運転指令部102と、dq軸電流算出部104と、速度推定部106と、積分部108と、電圧指令生成部110と、スイッチング信号生成部112と、短絡制御部114とを有する。
運転指令部102は、速度指令値ω を出力する。
運転指令部102はまた、後述の推定された回転速度ωを受け、切替制御信号Swa、Swbを出力する。
dq軸電流算出部104は、電流検出素子8で検出された母線電流Idcに基づいてdq軸電流idm、iqmを算出する。
dq軸電流算出部104は、例えば、電流検出素子8で検出された母線電流Idcから3相電流ium、ivm、iwmを算出し、算出された3相電流ium、ivm、iwmを位相角θmを用いてdq軸電流idm、iqmに変換する。
母線電流Idcから3相電流ium、ivm、iwmを算出するに当たっては、電流検出素子8で検出される母線電流Idcを、スイッチング信号生成部112から出力される、後述のPWM信号Sa1〜Sa6に対応する交流電圧に同期したタイミングでサンプリングし、サンプル値に基づいて3相電流ium、ivm、iwmを算出する。
なお、上記の例では、インバータ3の入力側の母線電流Idcから3相電流ium、ivm、iwmを算出する構成としているが、インバータ3の出力側で3相電流ium、ivm、iwmを検出する構成としても良い。その場合には、検出した3相電流ium、ivm、iwmから、dq軸電流idm、iqmを算出することとすれば良い。
速度推定部106は、dq軸電流算出部104で求められたdq軸電流idm、iqmから電動機1の回転速度ωを推定する。
積分部108は、速度推定部106で推定された回転速度ωを積分することで、電動機1の位相角θmを算出する。
電圧指令生成部110は、dq軸電流算出部104で算出されたdq軸電流idm、iqmと、速度推定部106で推定された回転速度ωと、運転指令部102から出力された速度指令値ω とに基づいて、dq軸電圧指令値Vd、Vqを生成する。
スイッチング信号生成部112は、電圧指令生成部110で生成されたdq軸電圧指令値Vd、Vqと、積分部108から出力された位相角θmと、電圧検出部7で検出された母線電圧Vdcと、運転指令部102から出力された切替制御信号Swaとに基づいて第1組のPWM信号Sa1〜Sa6及び第2組のPWM信号Sb1〜Sb6を生成する。
PWM信号Sa1〜Sa6は第1組のスイッチング信号として第1のインバータ3の6つのアームのオン、オフの制御に用いられる。
PWM信号Sb1〜Sb6は第2組のスイッチング信号として第2のインバータ4の6つのアームのオン、オフの制御に用いられる。
インバータ3には、PWM信号Sa1〜Sa6に基づいて、それぞれ対応するアームのスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成する、図示しない駆動回路が設けられている。同様に、インバータ4には、PWM信号Sb1〜Sb6に基づいて、それぞれ対応するアームのスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成する、図示しない駆動回路が設けられている。
スイッチング信号生成部112は、例えば図3に示すように、指令値変換部201と、座標変換部203、204と、PWM信号生成部205、206とを有する。
指令値変換部201は、dq軸電圧指令値Vd、Vqと、切替制御信号Swaとに基づいて第1組のdq軸電圧指令値Vd1、Vq1及び第2組のdq軸電圧指令値Vd2、Vq2を生成する。
dq軸電圧指令値Vd、Vqに基づくdq軸電圧指令値Vd1、Vq1、Vd2、Vq2の生成は例えば以下の式(1a)〜(1d)に従って行われる。
Vd1=k1×Vd (1a)
Vq1=k1×Vq (1b)
Vd2=k2×Vd (1c)
Vq2=k2×Vq (1d)
式(1a)〜(1d)において、k1、k2は変換係数であり、Y結線モードとΔ結線モードとで異なる値が選択される。変換係数の値の選択は、切替制御信号Swaに基づいて行われる。
例えば、切替制御信号SWaがY結線モードを指定しているときは、k1の値として1が選択され、k2の値として0が選択される。即ち、
k1=1
k2=0
とされる。
切替制御信号SWaがΔ結線モードを指定しているときは、k1、k2の値として1/√3が選択される。即ち、
k1=1/√3
k2=1/√3
とされる。
その理由については後述する。
Y結線モードでは、k2=0とされるので、dq軸電圧指令値Vd2、Vq2はゼロとなる。
座標変換部203は、dq軸電圧指令値Vd1、Vq1と位相角θmとから第1組の3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1を生成する。
座標変換においては、位相角θmから、座標変換部203内に記憶されている遅れ角β1を減算した値(θm−β1)を用いる。
遅れ角β1としては、Y結線モードでは0度を用い、Δ結線モードでは30度を用いる。遅れ角β1の選択は、切替制御信号Swaに基づいて行われる。
座標変換部204は、dq軸電圧指令値Vd2、Vq2と、位相角θmとに基づいて第2組の3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2を生成する。
座標変換においては、位相角θmから、座標変換部204内に記録されている遅れ角β2を減算した値(θm−β2)を用いる。
遅れ角β2としては、150度が用いられる。
Δ結線モードにおいては、座標変換部204から出力される3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2はゼロ以外の値となる。
Y結線モードにおいては、上記のように、dq軸電圧指令値Vd2、Vq2がゼロとなるので、座標変換部204から出力される3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2もゼロとなる。
PWM信号生成部205は、3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1*と、電圧検出部7で検出された母線電圧Vdcとから、PWM信号Sa1〜Sa6を生成する。PWM信号Sa1〜Sa6は、インバータ3の出力電圧が3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1に一致するように、インバータ3の各アームのスイッチ331〜336のオンオフのタイミングを制御する信号である。
PWM信号Sa1〜Sa6は上記のように、第1組のスイッチング信号として第1のインバータ3の6つのアームのオン、オフの制御に用いられる。
インバータ3が3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1に応じたPWM信号Sa1〜Sa6によって制御されるとき、3相電圧指令値Vu1、Vv1、Vw1がゼロでなければ、インバータ3は、交流電圧を出力するための動作(交流電圧出力動作)を行う。
PWM信号生成部206は、3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2と、電圧検出部7で検出された母線電圧Vdcとから、PWM信号Sb1〜Sb6を生成する。PWM信号Sb1〜Sb6は、インバータ4の出力電圧が3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2に一致するように、インバータ4の各アームのスイッチ431〜436のオンオフのタイミングを制御する信号である。
PWM信号Sb1〜Sb6は上記のように、第2組のスイッチング信号として第2のインバータ4の6つのアームのオン、オフの制御に用いられる。
インバータ4が3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2に応じたPWM信号Sb1〜Sb6によって制御されるとき、3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2がゼロでなければ、インバータ4は、交流電圧を出力するための動作(交流電圧出力動作)を行う。
Y結線モードにおいては、上記のように、3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2がゼロとなるので、PWM信号生成部206からは、インバータ4をオフに維持する信号が出力される。インバータ4をオフに維持する信号は、例えば、オフに対応する値、例えばLowを維持する信号である。このような信号を出力する動作は、PWM信号を出力しない動作であると表現されることもある。
なお、3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2をゼロとすることで、インバータ4をオフに維持する信号を出力させる代わりに、切替制御信号SwaをPWM信号生成部206に供給し、切替制御信号SwaでPWM信号生成部206を制御することで、PWM信号生成部206にインバータ4をオフに維持する信号を出力させることとしても良い。
図2に戻り、短絡制御部114は、運転指令部102からの切替制御信号Swbに応じて短絡回路5のオン、オフを制御する。
短絡回路5のオン、オフの制御はスイッチング信号Scu、Scv、Scwにより行われる。スイッチング信号Scu、Scv、Scwはそれぞれ半導体スイッチ51u、51v、51wのオン、オフの制御に用いられる。例えば、スイッチング信号Scu、Scv、Scwを第1の値(例えばLow)にすれば、半導体スイッチ51u、51v、51wはオフとなり、スイッチング信号Scu、Scv、Scwを第2の値(例えばHigh)にすれば、半導体スイッチ51u、51v、51wはオンとなる。
切替制御信号Swbによる短絡制御部114の制御は、切替制御信号Swbの値を変えることにより行われる。例えば、切替制御信号Swbが第1の値をとるとき、短絡制御部114は短絡回路5をオンさせ、切替制御信号Swbが第2の値をとるとき、短絡制御部114は短絡回路5をオフさせる。
短絡回路5がオンであり、第2のインバータ4がオフであるときは、巻線1u、1v、1wの第2の端部1ub、1vb、1wbが互いに接続され、従って、電動機1はY結線された状態となる。
この状態で、第1のインバータ3に交流電圧を出力させることで、電動機1をY結線状態で駆動することができる。
Y結線状態では、例えば、図4に示すように第1のインバータ3のスイッチ331、332、336がオンである期間には、電流は図4に矢印付き点線で示すように流れる。
短絡回路5がオフであるときは、巻線1u、1v、1wの第2の端部1ub、1vb、1wbは開放されており(短絡回路5による相互短絡がされておらず)、第2のインバータ4の交流側からの電力供給を受けることができる。その状態では、電動機1は、巻線の第2の端部が短絡されず、開放されているので、電動機1が「開放巻線状態」にあると表現される。
開放巻線状態では、第1及び第2のインバータ3、4の双方から交流電圧を出力させることができる。
この場合、第1及び第2のインバータ3、4から出力される電圧の電圧値(振幅或いは実効値)が同じで、位相が120度異なるものとすることで、電動機をΔ結線状態で駆動することができる。
Δ結線状態では、例えば、図5に示すように第1のインバータ3のスイッチ331、332、336及び第2のインバータ4のスイッチ433、434、435がオンである期間には、電流は図5に矢印付き点線で示すように流れる。
以下、インバータ3、4の出力電圧と電動機1の各巻線に印加される電圧とについてベクトル図を用いて説明する。
図6(a)はY結線状態における電圧ベクトルを示す。Y結線状態では、インバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaは、それぞれ対応する巻線1u、1v、1wのベクトル軸Bu、Bv、Bwの方向に一致する。電圧Vua、Vva、Vwaは、回転速度とともに大きくされる。図6(a)における点線の円Mは、インバータ3における変調率が1であるときの電圧の大きさを示す。このような電圧Vua、Vva、Vwaが巻線1u、1v、1wの第1の端部1ua、1va、1waに印加される。
インバータ4の出力電圧ベクトルVub、Vvb、Vwbは大きさがゼロであり、かつ短絡回路5がオンであるため、巻線1u、1v、1wの第2の端部1ub、1vb、1wbの電位ベクトルはすべてゼロになる。
巻線1u、1v、1wの各々の第2の端部に対する第1の端部の電位差ベクトルVuv、Vvw、Vwuはそれぞれ電圧ベクトルVua、Vva、Vwaに等しいものとなる。
電位差ベクトルVuv、Vvw、Vwuの方向は、巻線1u、1v、1wのベクトル軸Bu、Bv、Bwの方向に一致する。
図6(b)は、Δ結線状態における電圧ベクトルを示す。インバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaは、回転速度とともに大きくされる。図6(a)における点線の円MΔは、インバータ3、4における変調率が1であるときの電圧の大きさを示す。このような電圧Vua、Vva、Vwaが巻線1u、1v、1wの第1の端部1ua、1va、1waに印加される。
Y結線状態(図6(a))における第1のインバータの出力電圧Vua、Vva、Vwaに比べて、Δ結線状態(図6(b))における第1のインバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaは、角度β1だけ位相が遅れたものとされる。この角度(遅れ角)β1は30度である。
また、短絡回路5はオフであり、第2のインバータ4の出力電圧ベクトルVub、Vvb、Vwbは、第1のインバータ3の出力電圧ベクトルVua、Vva、Vwaに対して120度位相が遅れており、Y結線状態(図6(a))における第1のインバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaの方向、即ち巻線のベクトル軸Bu、Bv、Bwの方向に対し、角度β2だけ位相が遅れている。この角度(遅れ角)β2は150度である。
従って、
Vub=Vva (2a)
Vvb=Vwa (2b)
Vwb=Vua (2c)
の関係がある。
巻線1u、1v、1wの各々の第2の端部に対する第1の端部の電位差ベクトルVuv、Vvw、Vwvは
Vuv=Vua−Vub=Vua−Vva (3a)
Vvw=Vva−Vvb=Vva−Vwa (3b)
Vwu=Vwa−Vwb=Vwa−Vua (3c)
の関係を有し、それらのベクトルVuv、Vvw、Vwvの向きは、巻線1u、1v、1wのベクトル軸Bu、Bv、Bwの方向に一致する。
Y結線の場合、Δ結線と比較して電動機の誘起電圧が高いため電流が少なくて済み、従って低回転側で効率が良くなる。
図7は、電動機の回転速度と、電動機及びインバータの総合効率の関係を示した図である。図7に示されるように、Y結線では、総合効率がある回転速度(第1の値)ωmaまでは電動機の回転速度とともに高くなり、上記第1の値ωmaで最大値η1に達し、第1の値ωmaを超えると、回転速度とともに低くなる。同様にΔ結線では、総合効率がある回転速度(第2の値)ωmbまでは電動機の回転速度とともに高くなり、上記第2の値ωmbを超えると、回転速度とともに低くなる。
ここで、第1の値ωmaはY結線の場合にインバータ3の変調率がほぼ1となる回転速度、第2の値ωmbはΔ結線の場合にインバータ3、4の変調率がほぼ1となる回転速度であり、第1の値ωma及び第2の値ωmbは、インバータ3、4の入力電圧、すなわちコンデンサ6の両端の電圧に依存する。
Y結線状態とΔ結線状態では、ある回転速度(第3の値)ωmcを境に効率の大小関係が逆になる。
以上のことを考慮し、本実施の形態では、上記第3の値ωmcを閾値として用い、電動機1の回転速度ωが閾値ωmc以下のときはY結線モードで駆動し、電動機1の回転速度ωが閾値ωmbよりも高いときはΔ結線モードで駆動する。即ち、そのような駆動が行われるようにインバータ3、4及び短絡回路5を制御する。
以下、このようなモード選択の処理を図8を参照して説明する。
制御部100は、電動機1の回転速度ωが閾値ωmcより大きいか否かを判定する(ステップST1)。
制御部100は、回転速度ωが閾値ωmcより大きい場合(ステップST1でYes)、Δ結線モードで電動機1を駆動する(ステップST2)。
制御部100は、回転速度ωが閾値ωmc以下の場合(ステップST1でNo)、Y結線モードで電動機1を駆動する(ステップST3)。
以下、上記のモード選択の処理を行う際の制御部100内の動作をより詳しく説明する。
運転指令部102は、速度推定部106で推定された回転速度ωを受け、回転速度ωが閾値ωmc以下かどうかの判断をし、判断結果に応じた切替制御信号Swa、Swbを出力し、切替制御信号Swa、Swbにより、スイッチング信号生成部112及び短絡制御部114を制御する。
回転速度ωが閾値ωmc以下であれば、Y結線モードでの駆動のため、切替制御信号Swbにより短絡制御部114を制御して、短絡回路5をオンさせるための信号Scu、Scv、Scwを出力させ、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112を制御して、第1のインバータ3に交流電圧を出力させるためのスイッチング信号を出力させるとともに、第2のインバータ4をオフに維持するための信号を出力させる。
回転速度ωが閾値ωmcよりも高くなったら、運転指令部102は、切替制御信号Swbにより短絡制御部114を制御して、短絡回路5をオフさせるための信号Scu、Scv、Scwを出力させるとともに、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112を制御して、第2のインバータ4に交流電圧を出力させるためのスイッチング信号の出力を開始させ、第1のインバータ3に交流電圧を出力させるためのスイッチング信号の出力を続行させる。但し、第1のインバータ3に供給されるスイッチング信号の生成に用いられる変換係数k1の値及び遅れ角β1の値は、Δ結線モードへの移行に伴って変更される。これはΔ結線モードへの移行に伴い、第1のインバータ3から出力される交流電圧の位相及び大きさを変更する必要があるためである。
例えば、Y結線状態で、図6(a)で示すように、第1のインバータ3から出力される電圧Vua、Vva、Vwaの大きさをAで表し、電圧Vuaの位相角を0すると、Δ結線状態では、図6(b)に示すように、第1のインバータ3からは大きさがA/√3で、Y結線時の電圧Vua、Vva、Vwaに対して角度β1=30度だけ位相が遅れた電圧Vua’、Vva’、Vwa’を出力させ、第2のインバータ4からは大きさがA/√3で、電圧Vua’、Vva’、Vwa’に対して120度位相が遅れ、従って、Y結線時の電圧Vua、Vva、Vwaに対して角度β2=150度だけ位相が遅れた電圧Vub’、Vvb’、Vwb’を出力させる。
そのようにする結果、巻線1u、1v、1wの線間電圧Vuv’、Vvw’、Vwu’の大きさは図6(b)に示すように、Aとなり、Y結線モードでの線間電圧の1/√3となる。
このようにすることで、Y結線モードとΔ結線モードとで同じトルクを発生することができる。同じトルクを発生するには、Y結線の場合に比べΔ結線の場合には線間電圧が1/√3で良いためである。
上記のようにΔ結線モードにおいて、指令値変換部201で用いられる変換係数k1、k2を1/√3とするのは以上の理由による。
なお、Δ結線モードへの切替えの後、第1及び第2のインバータの出力電圧は、回転速度の上昇とともに次第に大きくされる。
以上のように、本実施の形態では、電動機の回転速度ωに応じて、Y結線モードとΔ結線モードとの間で切替えを行うことで、広い回転速度範囲にわたり、電動機を高効率で駆動することができる。
また、本実施の形態では、短絡回路におけるスイッチング損失或いは導通損失を比較的小さくすることができる。以下その理由を説明する。
短絡回路5をオンして、巻線1u、1v、1wの第2の端部1ub、1vb、1wbを互いに短絡させ、第1のインバータ3のみに交流電圧を出力させ電動機1をY結線状態で駆動させる場合、短絡回路5を流れる電流は2つの半導体素子しか経由しない。例えば、コンデンサ6の正側端子からスイッチ331、U相巻線1u、短絡回路5、W相巻線1w、スイッチ336、電流検出素子8、コンデンサ6の負側に流れる電流を考えると、短絡回路5内ではスイッチ51uとダイオード52wの2つの素子しか経由しない。そのため、損失が比較的小さい。
また、スイッチ51u、51v、51wとしてMOSFETを使用すると同期整流(逆導通)動作により、上記の例では短絡回路5のスイッチ51uと、ダイオード52wよりも導通損失が小さいスイッチ51wを経由させることができるため、更に損失低減が見込める。
さらに、スイッチ51u、51v、51wにSiC、GaN、Gaなどのワイドギャップ半導体を使用すると一層の損失低減が見込める。
次に、Y結線モードとΔ結線モードの一方から他方への切替えの手順につき説明する。
まず、Y結線モードからΔ結線モードへ切替える際の手順を説明する。
上記のようにY結線状態で、第1のインバータ3のスイッチ331、332、336がオンしているときの電流の流れは、例えば図4に示す如くである。
この状態から、Δ結線モード(例えば図5に示す状態)に切替える際、短絡回路5のスイッチ51u、51v、51wをすべてオフする必要がある。その際、短絡回路5がオフする前に第2のインバータ4のスイッチ433、435がオンしてしまうと、図9の矢印付き実線のように、コンデンサ6の正側端子からスイッチ433、51w、ダイオード52v(もしくはスイッチ51v)、スイッチ435を介して、コンデンサ6の負側端子に至る経路で短絡電流Iscが流れる。短絡電流が流れると、電動機制御が不安定になったり、第2のインバータ4及び短絡回路5の素子(スイッチ及びダイオード)が破壊されるおそれがある。
従って、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えに際しては、短絡回路5をオンからオフに切替えた後に、第2のインバータ4に交流電圧出力動作を開始させる必要がある。そこで、切替えを例えば図10に示される手順で行う。
Y結線モードでは、短絡回路5はオンであり、第2のインバータ4はオフであり、第1のインバータ3がPWM制御されて交流電圧を出力している。
Δ結線モードへの切替え(ST10)が必要になると、運転指令部102は、切替制御信号Swbにより短絡制御部114を制御して、短絡回路5をオフさせる(ST11)。
その後、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112を制御することで、第2のインバータ4に交流電圧出力動作を開始させ、これとともに、第1のインバータ3のためのPWM信号Sa1〜Sa6を、Y結線モードに適したものからΔ結線モードに適したものに変更させることで、第1のインバータ3から出力される交流電圧を、Y結線モードに適したものからΔ結線モードに適したものに変更させる(ST12)。
上記のステップST11で、短絡回路5をオフにさせる(短絡制御部114から出力されるスイッチング信号Scu、Scv、Scwをオフさせるための値にする)に先立ち、インバータ4の全アームオフの状態であることを確認することとしても良い。
インバータ4の全アームがオフの状態であることの確認は、インバータ4の各アームのスイッチに流れる電流に基づいて行っても良く、インバータ4に供給される信号Sb1〜Sb6に基づいて行っても良い。
上記の確認を行う場合の処理の手順を、図11を参照して説明する。図11は図10と概して同じであるが、ステップST11の前にステップST13が挿入されている。
ステップST13では、インバータ4の全アームがオフの状態であるか否かの判定を繰り返し、全アームがオフの状態であると判定されたら(ST13でYes)、ステップST11に進む。
図10又は図11のステップST12における第2のインバータ4の交流電圧出力動作の開始を指示する処理(そのための切替制御信号Swaの値の変更)に先立ち、短絡回路5がオンからオフに切替わったことを確認することとしても良い。短絡回路5がオンからオフに切替わったことの確認は、短絡回路5のスイッチに流れる電流に基づいて行っても良く、短絡回路5に供給される信号Scu、Scv、Scwに基づいて行っても良い。
図12は、図4のY結線状態から、図10又は図11の手順で切替えを行う際、短絡回路5をオフした直後の電流の経路の例を示す。第2のインバータ4の全アームがオフであり、第1のインバータ3は、スイッチ331、332、336がオンである場合を想定している。
短絡回路5がオフになると、それまで巻線1u、1v、1wを流れていた電流が(これらの巻線のインダクタンスの電流を維持しようとする作用により)、図12に矢印付き点線で示すようにダイオード451、452、456を通る経路で流れるようになる。
図12の状態では、図9のような短絡電流Iscの経路が形成されていない。
この状態からインバータ4が交流電圧出力動作を開始することで、例えば図5に示される状態となる。
次にΔ結線モードからY結線モードに切替える際の手順を説明する。
Δ結線モードにおいて、短絡回路5のスイッチ51u、51v、51wがすべてオフのときに流れる電流の経路は、例えば図5に示す如くである。
この状態から、Y結線モード(例えば図4に示す状態)に切替える際、短絡回路5のスイッチ51u、51v、51wをすべてオンにする必要がある。その際、第2のインバータ4のスイッチがオフする前に短絡回路5がオンすると、図9の矢印付き実線のように、短絡電流Iscが流れる。短絡電流が流れると、電動機制御が不安定になったり、第2のインバータ4及び短絡回路5の素子(スイッチ及びダイオード)が破壊されるおそれがある。
従って、Δ結線モードからY結線モードへの切替えに際しては、第2のインバータ4の交流電圧出力動作が終了してから短絡回路5をオフからオンに切替える必要がある。そこで、切替えを例えば図13に示される手順で行う。
Δ結線モードでは、短絡回路5はオフであり、第1及び第2のインバータ3、4がともにPWM制御されて交流電圧を出力している。
Y結線モードへの切替え(ST20)が必要になると、運転指令部102は、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112を制御することで、第2のインバータ4の交流電圧出力動作を停止させる(ST21)。
その後、切替制御信号Swbにより短絡制御部114を制御して、短絡回路5をオンさせる(ST22)。
その後、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112を制御して、第1のインバータ3のためのPWM信号Sa1〜Sa6を、Δ結線モードに適したものからY結線モードに適したものに変更させる。これにより、第1のインバータ3から出力される交流電圧を、Y結線モードに適したものからΔ結線モードに適したものに変更させる(ST23)。
上記のステップST22で、短絡回路5をオンさせる(短絡制御部114から出力されるスイッチング信号Scu、Scv、Scwをオンさせるための値にする)に先立ち、インバータ4の全アームがオフの状態であることを確認することとしても良い。
インバータ4の全アームがオフの状態であることの確認は、インバータ4の各アームのスイッチに流れる電流に基づいて行っても良く、インバータ4に供給される信号Sb1〜Sb6に基づいて行っても良い。
上記の確認を行う場合の処理の手順を、図14を参照して説明する。図14は図13と概して同じであるが、ステップST22の前にステップST24が挿入されている。
ステップST24では、インバータ4の全アームがオフの状態になったか否かの判定を繰り返し、全アームがオフの状態になったと判定されたら(ST24でYes)、ステップST22に進む。
図5のΔ結線モードから、図13又は図14の手順で切替えを行う場合、第2のインバータ4をオフとした直後の電流の経路は、図12に示す如くである。第1のインバータ3は、スイッチ331、332、336がオンである場合を想定している。
第2のインバータ4がオフになると、第2のインバータ4から巻線1u、1v、1wへの電力供給はなくなり、それまで巻線1u、1v、1wを流れていた電流が、図12に矢印付き点線で示すように、第2のインバータ4のダイオード451、452、456を流れるようになる。
図12の状態では、図9のような短絡電流Iscの経路が形成されていない。
この状態から短絡回路5がオンとなることで、例えば、図4に示される状態となる。
以上のように、図10、図11、図13、又は図14に示される手順で切替えを行うことで、切替えの際に短絡電流の経路が形成されない。
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えの際に、短絡回路5をオンからオフに切替えた後に第2のインバータ4に交流電圧出力動作を開始させ、Δ結線モードからY結線モードへの切替えの際に、第2のインバータ4の交流電圧出力動作の停止の後に短絡回路5のオフからオンへの切替えを行っている。
実施の形態2は、このようなY結線モードとΔ結線モードの一方から他方への切替えの手順に対し変形を加えたものである。
具体的には、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えの際に、第2のインバータ4を一旦「3相オン」の状態にし、その状態で短絡回路5をオンからオフに切替え、その後第2のインバータ4に交流電圧出力動作を開始させる。
Δ結線モードからY結線モードへの切替えの際には、第2のインバータ4を交流電圧を出力する状態から、「3相オン」の状態に切替え、その状態で短絡回路5をオフからオンに切替え、その後第2のインバータ4を「3相オン」の状態から、全アームオフの状態に切替える。
「3相オンの状態」とは、第2のインバータ4において、上アームのスイッチが全てオンで且つ下アームのスイッチが全てオフの状態、又は下アームのスイッチが全てオンで且つ上アームのスイッチが全てオフの状態を言う。
図15は、実施の形態2で用いられる制御部100bの機能ブロック図である。
図15に示される制御部100bは、図2の制御部100と概して同じであるが、図2の運転指令部102及びスイッチング信号生成部112の代わりに運転指令部102b及びスイッチング信号生成部112bを備えている。
運転指令部102bは、切替制御信号Swa、Swbに加えて切替制御信号Swcを出力する。
スイッチング信号生成部112bは、第2組のスイッチング信号Sb1〜Sb6の代わりに、第2組のスイッチング信号Se1〜Se6を出力する。
図16は、実施の形態2で用いられるスイッチング信号生成部112bの構成例を示す。
図16のスイッチング信号生成部112bは、図3のスイッチング信号生成部112と概して同じであるが、3相オン制御部207と選択部208とが付加されている。
3相オン制御部207は、第2のインバータを3相オンの状態にするための制御信号(3相オン制御信号)Sd1〜Sd6を生成する。
選択部208は、PWM信号生成部206から出力されたPWM信号Sb1〜Sb6又は3相オン制御部207から出力された3相オン制御信号Sd1〜Sd6を選択して、第2組のスイッチング信号Se1〜Se6として出力する。第2組のスイッチング信号Se1〜Se6は第2のインバータ4の6つのアームのオン、オフの制御に用いられる。
選択部208による選択は、運転指令部102bからの切替制御信号Swcに基づいて行われる。
選択部208でPWM信号Sb1〜Sa6が選択されて、スイッチング信号Se1〜Se6として出力され、第2のインバータ4の制御に用いられるときは(PWM信号Sb1〜Sa6に対応する電圧指令値がゼロでなければ)、第2のインバータ4は交流電圧を出力する。
選択部208で、3相オン制御信号Sd1〜Sd6が選択されて、スイッチング信号Se1〜Se6として出力され、第2のインバータ4の制御に用いられるときは、第2のインバータ4は3相オンの状態になる。
以下、Y結線モードとΔ結線モードの一方から他方への切替えについて詳しく説明する。
まず、Y結線モードからΔ結線モードへの切替えについて図17を参照して説明する。
Y結線状態では、短絡回路5はオンであり、第2のインバータ4はオフであり、第1のインバータ3が交流電圧を出力している。
Δ結線モードへの切替え(ST30)が必要になると、運転指令部102bは、切替制御信号Swcによりスイッチング信号生成部112bを制御して、3相オン制御信号Sd1〜Sd6をスイッチング信号Se1〜Se6として出力させる(ST31)。
その後、切替制御信号Swbにより短絡制御部114を制御して、短絡回路5をオフさせる(ST11)。
その後、切替制御信号Swcによりスイッチング信号生成部112bを制御して、3相オン制御信号Sd1〜Sd6の代わりにPWM信号Sb1〜Sb6をスイッチング信号Se1〜Se6として出力させ、これにより第2のインバータ4に交流電圧出力動作を開始させ、これとともに、PWM信号Sa1〜Sa6を、Y結線モードに適したものからΔ結線モードに適したものに変更させ、これにより、第1のインバータ3から出力される交流電圧を、Y結線モードに適したものからΔ結線モードに適したものに変更させる(ST12)。
上記のステップST11で、短絡回路5をオフさせるに先立ち、インバータ4が3相オンの状態であることを確認することとしても良い。
インバータ4が3相オンの状態であることの確認は、インバータ4の各アームのスイッチに流れる電流に基づいて行っても良く、インバータ4に供給される信号Se1〜Se6に基づいて行っても良い。
上記の確認を行う場合の処理の手順を、図18を参照して説明する。図18は図17と概して同じであるが、ステップST11の前にステップST32が挿入されている。
ステップST32では、インバータ4が3相オンの状態になったか否かの判定を繰り返し、3相オンの状態になったと判定されたら(ST32でYes)、ステップST11に進む。
図17又は図18のステップST12における第2のインバータ4の交流電圧出力動作の開始を指示する処理(そのための切替制御信号Swaの値の変更)に先立ち、短絡回路5がオンからオフに切替わったことを確認することとしても良い。短絡回路5がオンからオフに切替わったことの確認は、短絡回路5のスイッチに流れる電流に基づいて行っても良く、短絡回路5に供給される信号Scu、Scv、Scwの値に基づいて行っても良い。
図19及び図20は、図17又は図18の手順で切替えを行う際、短絡回路5をオフにした直後の電流の経路の異なる例を示す。
図19に示される例では、第2のインバータ4は上アームが全てオンで且つ下アームが全てオフである状態にあり、第1のインバータ3のスイッチ331、332、356がオンである期間に短絡回路5がオフになると、それまで巻線1u、1v、1wに流れていた電流が、図19に示すように、ダイオード451、452、スイッチ433を通る経路で流れるようになる。
図20に示される例では、第2のインバータ4は下アームが全てオンで且つ上アームが全てオフである状態にあり、図19と同様に、第1のインバータ3のスイッチ331、332、356がオンである期間に短絡回路5がオフになると、それまで巻線1u、1v、1wに流れていた電流が、図20に示すように、スイッチ434、435、ダイオード456を通る経路で流れるようになる。
図19又は図20に示される状態になった後、第2のインバータ4の交流電圧出力動作が開始され、第1のインバータ3から出力される交流電圧がΔ結線モードに適したものに変更される。
以上のように、第2のインバータ4が3相オンの状態から、交流電圧を出力する状態に移行させると、交流電圧の出力の開始の際にはすでに、第2のインバータ4内のスイッチを介して電流が流れる状態となっており、従って交流電圧の出力の開始がより円滑に行われる。
次に、Δ結線モードからY結線モードへの切替えについて図21を参照して説明する。
Δ結線モードでは、短絡回路5はオフであり、第1及び第2のインバータ3、4がともに交流電圧を出力している。
Y結線への切替え(ST40)が必要になると、運転指令部102bは、切替制御信号Swcによりスイッチング信号生成部112bを制御して、PWM信号Sb1〜Sb6の代わりに、3相オン制御信号Sd1〜Sd6を選択してスイッチング信号Se1〜Se6として出力させる(ST41)。
その後、切替制御信号Swbにより短絡制御部114を制御して、短絡回路5をオンさせる(ST22)。
その後、切替制御信号Swcによりスイッチング信号生成部112bを制御して、3相オン制御信号Sd1〜Sd6の代わりに、PWM信号Sb1〜Sb6を選択する状態に移行する(3相オンの状態を終了させる)とともに、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112bを制御して、PWM信号Sb1〜Sb6として、インバータ4をオフに維持する信号が出力させる。この結果、スイッチング信号生成部112bから出力されるスイッチング信号Se1〜Se6は、インバータ4をオフに維持するものとなる。また、上記のように、切替制御信号Swaでスイッチング信号生成部112bを制御することで、PWM信号Sa1〜Sa6を、Δ結線モードに適したものから、Y結線モードに適したものに変更させ、これにより、第1のインバータ3から出力される交流電圧を、Y結線モードに適したものからΔ結線モードに適したものに変更させる(ST42)。
上記のステップST22で、短絡回路5をオンさせるに先立ち、インバータ4が3相オンの状態であることを確認することとしても良い。
インバータ4が3相オンの状態であることの確認は、インバータ4の各アームのスイッチに流れる電流に基づいて行っても良く、インバータ4に供給される信号Se1〜Se6に基づいて行っても良い。
上記の確認を行う場合の処理の手順を、図22を参照して説明する。図22は図21と概して同じであるが、ステップST22の前にステップST43が挿入されている。
ステップST43では、インバータ4が3相オンの状態になったか否かの判定を繰り返し、3相オンの状態になったと判定されたら(ST43でYes)、ステップST22に進む。
ステップST41で、第2のインバータ4が3相オンの状態となったときに流れる電流の経路の例は、図19及び図20に示す如くである。
図19又は図20に例示される状態になった後、短絡回路5がオンとなり、第2のインバータ4がオフとなり、Y結線モードに移行する。
上記の実施の形態では、3相オン信号Sd1〜Sd6を生成する3相オン制御部207を設け、3相オン制御部207の出力Sd1〜Sd6とPWM信号生成部206の出力Sb1〜Sb6のいずれかを選択部208で選択してスイッチング信号Se1〜Se6として出力している。
代わりに、3相オン信号をPWM信号生成部206に生成させるようにしても良い。即ち、PWM信号生成部206として、3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2に応じたPWM信号又は3相オン信号を選択的に出力し得るものを用い、切替制御信号Swcにより3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2に応じたPWM信号又は3相オン信号をスイッチング信号として出力させるようにしても良い。
以上のように、第2のインバータ4による交流電圧出力の終了の直後に3相オンの状態にすると、第2のインバータ4内のスイッチに電流が流れる状態が続く。従って、交流電圧出力の停止がより円滑に行われる。
実施の形態3.
実施の形態1では、協調運転モードでの駆動の例としてΔ結線での駆動を説明したが、協調運転での駆動は、Δ結線での駆動に限定されない。例えば、協調運転での駆動として、電動機をY結線状態とΔ結線状態の中間の状態(以下単に「中間状態」と言う)で駆動することも可能である。
このような中間状態に関しては、例えば特許第4804381明細書に記載されている。以下では中間状態に関して簡単に説明する。
図23は、中間状態における電圧ベクトルを示す。
Y結線状態(図6(a))における第1のインバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaに比べて、中間状態(図23)における第1のインバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaは、角度β1だけ位相が遅れたものとされる。この角度(遅れ角)β1は、0度より大きく30度よりも小さい。
また、短絡回路5はオフであり、第2のインバータ4の出力電圧ベクトルVub、Vvb、Vwbは、Y結線状態(図6(a))における第1のインバータ3の出力電圧Vua、Vva、Vwaの方向、即ち巻線1u、1v、1wのベクトル軸Bu、Bv、Bwの方向に対し、角度β2だけ位相が遅れている。この角度(遅れ角)β2は150度である。
第1のインバータ3の出力電圧ベクトルVua、Vva、Vwaの大きさ及び上記の遅れ角β1と、第2のインバータ4の出力電圧ベクトルVub、Vvb、Vwbの大きさとは、巻線1u、1v、1wの線間電圧、即ち巻線1u、1v、1wの各々の第2の端部(1ub、1vb、1wb)に対する、当該巻線の第1の端部(1ua、1va、1wa)の電位差ベクトルVuv、Vvw、Vwuが所望のトルクを発生するのに必要な大きさとなり、かつその方向が巻線1u、1v、1wのベクトル軸Bu、Bv、Bwの方向に一致するように定められる。
例えば、電圧ベクトルVua、Vva、Vwaの大きさ及び遅れ角β1と、電圧ベクトルVub、Vvb、Vwbの大きさとは、推定された回転速度ωとともに増加するように定められる。
そのようにすることで、回転速度の上昇とともに、電動機1をY結線に近い状態からΔ結線に近い状態に次第に変化させることができる。
図24は、電動機を中間状態で動作させる場合の電動機とインバータの総合効率の一例を、Y結線の場合の総合効率とともに示す。
Y結線の場合の総合効率は、図7で示したのと同じである。
中間状態で動作させる場合には、電動機1の回転速度が0近辺から高くなるにつれて総合効率が高くなり、回転速度がある値(第1の値)ωmaから別の値(第2の値)ωmbまでは最大又は最大に近い値を維持し、第2の値ωmbを超えると、総合効率が次第に低くなる。
図24の値ωmaは、図7の値ωmaと同じ値或いは値ωmaに近い値である。
図24の値ωmbは、図7の値ωmbと同じ値或いは値ωmbに近い値である。
総合効率が値ωmaから値ωmbまで最大又は最大値に近い値に維持できるのは、速度の上昇とともに、電動機1の巻線をY結線に近い状態からΔ結線に近い状態に次第に変化させるためである。
なお、図24における総合効率には、インバータ3、4におけるスイッチング損失を考慮に入れていない。図24では、値ωma以下の範囲では、Y結線の総合効率と中間状態の総合効率との差が小さいが、インバータにおけるスイッチング損失は、中間状態での駆動を行う場合よりもY結線での駆動を行う方が少ない。中間状態での駆動の際には、2台のインバータが交流電圧出力動作を行うのに対し、Y結線での駆動の際には、1台のインバータのみが交流電圧出力動作を行うからである。
そこで、この点を考慮し、低速範囲では、Y結線状態で駆動し、高速範囲では中間状態で駆動するのが望ましい。中間状態での駆動を中間モードでの駆動と言う。
具体的には、値ωmaを閾値として用い、電動機1の回転速度ωが閾値ωma以下のときはY結線モードで駆動し、電動機1の回転速度ωが閾値ωmaよりも高いときは中間モードで駆動する。即ち、そのような駆動が行われるように短絡回路5及びインバータ3、4を制御する。
図25は、実施の形態3で用いられる制御部100cの機能ブロック図である。
図25に示される制御部100cは、図2の制御部100と概して同じであるが、図2の運転指令部102及びスイッチング信号生成部112の代わりに運転指令部102c及びスイッチング信号生成部112cを備えている。
制御部100cは、速度推定部106で推定された回転速度ωが閾値ωma以下かどうかの判断をし、閾値ωma以下であれば、Y結線モードを選択し、閾値ωmaよりも大きければ中間モードを選択する。
Y結線モードを選択したら、制御部100cは、電動機1をY結線モードで駆動する。
中間モードを選択したら、制御部100cは、電動機1を中間モードで駆動する。
以下、このようなモード選択の処理を図26を参照して説明する。
制御部100cは、電動機1の回転速度ωが閾値ωmaより大きいか否かを判定する(ステップST4)。
制御部100cは、回転速度ωが閾値ωmaより大きい場合(ステップST4でYes)、電動機1を中間モードで駆動する(ステップST5)。
制御部100cは、回転速度ωが閾値ωma以下の場合(ステップST4でNo)、電動機1をY結線モードで駆動する(ステップST6)。
具体的には、運転指令部102cが、速度推定部106で推定された回転速度ωを受け、回転速度ωが閾値ωma以下かどうかの判断をし、閾値ωma以下であれば、Y結線モードを選択し、閾値ωmaよりも大きければ中間モードを選択する。
運転指令部102cは、選択したモードに応じた切替制御信号Swa、Swbを出力し、切替制御信号Swa、Swbにより、スイッチング信号生成部112c及び短絡制御部114を制御する。
スイッチング信号生成部112cは、スイッチング信号Sa1〜Sa6、Sb1〜Sb6の生成に当たり、回転速度ωをも参照する。
図27は、実施の形態3で用いられるスイッチング信号生成部112cの構成例を示す。
図27のスイッチング信号生成部112cは、図3のスイッチング信号生成部112と概して同じであるが、図3の指令値変換部201、座標変換部203、204の代わりに、指令値変換部201c、座標変換部203c、204cを備える。
指令値変換部201cは、dq軸電圧指令値Vd、Vq及び切替制御信号Swaのみならず、推定された回転速度ωをも入力とする。
指令値変換部201cは、上記の式(1a)〜(1d)に従って、dq軸電圧指令値Vd1、Vq1、Vd2、Vq2を算出するに当たり、変換係数k1、k2の値を、Y結線モードと中間モードとで異なる方法で決定する。変換係数の値の決定は、切替制御信号Swa及び回転速度ωに基づいて行われる。
例えば、
Y結線モードでは、
k1=1、k2=0とし、
中間モードでは、
回転速度ωの上昇とともに、係数k1を次第に小さくし、係数k2を次第に大きくする。
Y結線モードでは、k2=0とされるので、dq軸電圧指令値Vd2、Vq2はゼロとなる。
座標変換部203cは、dq軸電圧指令値Vd1、Vq1及び位相角θmのほか、回転速度ωをも入力とする。
座標変換部203cは、Y結線モードにおいては座標変換部203と同様に座標変換を行う。
中間モードにおける座標変換部203cの動作は、Δ結線モードにおける座標変換部203の動作に類似しているが、中間モードにおける遅れ角β1として、回転速度ωの上昇とともに値が増加するものが用いられる。
例えば座標変換部203cは、回転速度ωを変数とする予め定められた関数によって遅れ角β1を求める。
Y結線モードでの動作と中間モードでの動作との切替えは切替制御信号Swaに基づいて行われる。
座標変換部204cは、dq軸電圧指令値Vd2、Vq2と、位相角θmと、座標変換部204c内に記憶されている遅れ角β2とに基づいて3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2を生成する。
遅れ角β2は、上記のように回転速度ωに関係なく150度に固定されている。
中間モードにおいては、座標変換部204cから出力される3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2はゼロ以外の値となる。
Y結線モードにおいては、上記のように、dq軸電圧指令値Vd2、Vq2がゼロとなるので、座標変換部204cから出力される3相電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2もゼロとなる。
Y結線モードと中間モードの一方から他方への切替えは、実施の形態1で図10、図11、図13、図14を参照して説明した手順、又は実施の形態2で図17、図18、図21、図22を参照して説明した手順で行い得る。
但し、実施の形態1、2の説明中の「Δ結線モード」を「中間モード」と読み替える必要がある。
実施の形態2の特徴と実施の形態3の特徴とを組み合わせることも可能である。即ち実施の形態3において、Y結線モードと中間モードの一方から他方への切替えの際に、実施の形態2で説明したように、一旦3相オンの状態にした後に、短絡回路の切替えを行っても良い。
即ち、Y結線モードから中間モードへの切替えの際に、第2のインバータ4を一旦3相オンの状態にし、その状態で短絡回路5をオンからオフに切替え、その後第2のインバータ4による交流電圧の出力を開始し、中間モードからY結線モードへの切替えの際に、第2のインバータ4を交流電圧を出力する状態から、3相オンの状態に切替え、その状態で短絡回路5をオフからオンに切替え、その後第2のインバータ4を3相オンの状態から、全アームオフの状態に切替えることとしても良い。
実施の形態1〜3では、Y結線モード及び協調結線モードの一方から他方への切替えを電動機の推定された回転速度ωに基づいて行っているが、推定された回転速度の代わりに、速度検出器(図示しない)で実測された速度を用いても良く、電動機1に対する速度指令値ω を用いても良い。要するに、電動機の速度に基づいて切替えを行えば良い。さらに電動機の負荷或いはインバータ3、4の変調率に基づいて切替えを行っても良い。
実施の形態3では、中間モードでの制御に当たり、推定された回転速度の増加とともに、Y結線からΔ結線状態に次第に近づくように制御したが、推定された回転速度の代わりに、実測された回転速度、速度指令値を用いても良く、電動機の負荷或いはインバータ3、4の変調率に応じて制御を行っても良い。
以上の実施の形態で説明した電動機駆動装置を用いることで、電動機をその運転状態に応じて最も適したモードで駆動することができる。
ここでいう運転状態は、例えば電動機の回転速度又は電動機の負荷の大きさである。例えば電動機の回転速度が低い時、或いは電動機の負荷が小さい時はY結線状態で電動機を駆動し、電動機の回転速度が高い時、或いは電動機の負荷が大きいときは協調運転モード(Δ結線モード又は中間モード)で電動機を駆動することができる。そのようにすることで、運転状態の如何を問わず、電動機を高効率で駆動することができる。
実施の形態4.
上記の電動機駆動装置2は、例えば、空気調和機における電動機の駆動に用いることができる。
以下、空気調和機の一例における冷凍サイクルを、図28を参照して説明する。
図28の冷凍サイクル900は四方弁902の切替動作により暖房運転又は冷房運転をすることができる。
暖房運転時には、実線矢印で示すように、冷媒が圧縮機904で加圧されて送り出され、四方弁902、室内熱交換器906、膨張弁908、室外熱交換器910及び四方弁902を通って圧縮機904に戻る。
冷房運転時には、破線矢印で示すように、冷媒が圧縮機904で加圧されて送り出され、四方弁902、室外熱交換器910、膨張弁908、室内熱交換器906及び四方弁902を通って圧縮機904に戻る。
暖房運転時には、室内熱交換器906が凝縮器として作用して熱放出を行い、室外熱交換器910が蒸発器として作用して熱吸収を行う。冷房運転時には、室外熱交換器910が凝縮器として作用して熱放出を行い、室内熱交換器906が蒸発器として作用し、熱吸収を行う。膨張弁908は、冷媒を減圧して膨張させる。
圧縮機904は可変速制御される電動機1によって駆動される。
以上の実施の形態に示した電動機駆動装置を空気調和機の圧縮機に搭載することで、空調機の運転状態に応じて電動機を異なるモードで駆動することができる。ここでいう運転状態は、例えば空調機の負荷の大きさである。例えば空調機の負荷が小さい時はY結線状態で電動機を駆動し、空調機の負荷が大きいときは協調運転モード(Δ結線モード又は中間モード)で電動機を駆動することができる。
そのようにすることで、負荷の大きさの如何を問わず、空調機を高効率で運転することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 電動機、 1u U相巻線、 1v V相巻線、 1w W相巻線、 3 第1のインバータ、 4 第2のインバータ、 5 短絡回路、 6 コンデンサ、 7 電圧検出部、 8 電流検出素子、 51u、51v、51w 半導体スイッチ、 52u、52v、52w ダイオード、 331〜336、431〜436 半導体スイッチ、 351〜356、451〜456 ダイオード、 100、100b、100c 制御部、 102、102b、102c 運転指令部、 104 dq軸電流算出部、 106 速度推定部、 108 積分部、 110 電圧指令生成部、 112、112b、112c スイッチング信号生成部、 114 短絡制御部、 201、201c 指令値変換部、 203、203c、204、204c 座標変換部、 205、206 PWM信号生成部、 207 3相オン制御部、 208 選択部。

Claims (14)

  1. 電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
    前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
    前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
    前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動される
    電動機駆動装置。
  2. 前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われる請求項1に記載の電動機駆動装置。
  3. 前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさである請求項2に記載の電動機駆動装置。
  4. 前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択される請求項3に記載の電動機駆動装置。
  5. 前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記短絡回路がオンからオフに切替わった後に、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が開始される請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  6. 前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が停止した後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる請求項1から5のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  7. 前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  8. 前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  9. 前記協調運転モードがデルタ結線モードである請求項1から8のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  10. 前記協調運転モードが中間モードである請求項1から8のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  11. 前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。
  12. 前記半導体スイッチがワイドギャップ半導体によって構成されたものである請求項11に記載の電動機駆動装置。
  13. 前記ワイドギャップ半導体はSiC又はGaNである請求項12に記載の電動機駆動装置。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の電動機駆動装置を備える空気調和機。
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