JPWO2020017589A1 - 血管障害の判定方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、臨床的に実用レベルの血管障害マーカーを同定することにより血管障害の判定方法を提供することである。本発明によれば、血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む、血管障害の判定方法が提供される。

Description

本発明は、特定の血中マーカーを測定することによる血管障害の判定方法に関する。
糖尿病の診断においては、血糖コントロールのマーカーとしてヘモグロビンA1c(HbA1c)が世界的に測定されている。しかし、動脈硬化などの血管障害の進展あるいは進展リスクを評価するマーカーについては、臨床において用いられているものは存在しない。動脈及び静脈の硬化(血管障害)は様々な加齢関連疾患の原因となるため、世界的に血管硬化のマーカーとなる物質が探索されている。翻訳後修飾で生成される構造として永井らはS‐(2‐スクシニル)システイン(以下、2SCとも称する:S−(2−succinyl)cysteine)を見いだし、2SCが脂肪細胞内に顕著に蓄積することを見いだした(非特許文献1)。
Nagai R.,他、Succination of protein thiols during adipocyte maturation - a biomarker of mitochondrial stress. J Biol Chem. 282, 34219-34228 (2007)
生活習慣病の進展に伴って動脈硬化をはじめとする血管障害を発症するが、臨床的に実用レベルの血管障害マーカーは存在しない。動脈硬化が進展した場合には、エコー検査などにより動脈硬化の進展を確認できるが、動脈硬化等の血管障害は、一度進行してしまうと完治が困難であるため、血管障害の初期にリスクを評価することが最重要となる。また、これまでの動脈硬化治療の薬剤としてHMGCoA還元酵素阻害剤で血中コレステロール値を低下させるものがあるが、ひとたび進行した動脈硬化は、これら薬剤でさらに悪化することは抑制できても、治療することは極めて困難である。そのため、世界的に動脈硬化治療の薬剤開発が行われているが、良い創薬のマーカーがないため、治療効果の高い薬剤は開発されていない。
本発明は、臨床的に実用レベルの血管障害マーカーを同定することにより血管障害の判定方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、同定された血管障害マーカーを利用した血管障害の予防又は治療のための候補物質のスクリーニング方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、血管障害患者で有意に血中2SCが上昇することを確認した(図1)。細小血管障害である網膜症、腎症でも上昇した(図2)。これに対して動脈硬化のマーカー候補と考えられていたCMLでは変化が認められなかった(図3)。確認のため、動脈硬化のモデルであるapoE欠損マウスで測定した結果、やはり2SCが上昇することも確認された(図4)。上記の結果から、2SCは血管障害の初期、あるいは発症の予測マーカーとして機能することが実証された。2SCは血管障害のリスクを評価するマーカーのみならず、血管障害治療の、創薬のターゲットとしても有用である。本発明は上記の知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む、血管障害の判定方法。
(2) 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に血管障害を有するものと判定する、(1)に記載の判定方法。
(3) 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に血管障害リスクが高いと判定する、(1)に記載の判定方法。
(4) 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を、質量分析または免疫分析により測定する、(1)から(3)の何れか一に記載の方法。
(5) 候補物質を投与した対象の血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む、血管障害の予防又は治療のための候補物質のスクリーニング方法。
(6) 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を、質量分析または免疫分析により測定する、(5)に記載のスクリーニング方法。
(7) 候補物質が、食品由来成分である、(5)又は(6)に記載のスクリーニング方法。
本発明によれば、動脈硬化の診断を行うことができる。本発明によればさらに、生活習慣病の初期で、まだ動脈硬化などの合併症が現れていない者の血管障害リスク評価が可能となる。
図1は、各種疾患の既往歴と血中2SCとの比較を示す。 図2は、血中に遊離する2SCの値と網膜症および腎症における病態の進行の比較を示す。 図3は、各種疾患の患者の血清におけるCMLの測定の結果を示す。 図4は、動脈硬化モデルマウスにおける血中2SCの測定の結果を示す。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
<血管障害の判定方法>
本発明による血管障害の判定方は、血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む方法である。
本発明においては、代謝によって生成する様々な翻訳後修飾構造を合成し、さらに13C標識された内部標準物質を合成し、質量分析装置による定量系を確立した。そして、血管障害で変動する翻訳後修飾物を探索した結果、2SCがヒト細小血管および大血管障害で血中レベルが上昇することが確認された。2SCの標準品は販売されておらず、LC−MS/MSで血中2SCを測定することは報告されていない。
本発明は、内部標準の合成およびLC−MS/MSにより血中2SCの正確な定量が可能となり、ヒト動脈硬化において血中2SCが上昇するデータが得られたことに基づく発明である。
血管障害としては、大血管障害または細小血管障害のいずれでもよい。大血管障害としては、例えば、下肢閉塞性動脈硬化、冠動脈疾患または脳血管疾患における大血管障害を判定することができる。細小血管障害としては、例えば、網膜症、神経障害または腎症における細小血管障害を判定することができる。
本発明の第一の例においては、血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合あるいは低い場合に血管障害を有するものと判定することができる。本発明の第二の例においては、血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合あるいは低い場合に血管障害リスクが高いと判定することができる。
血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量としては、血中に遊離して存在するS‐(2‐スクシニル)システインの量を測定してもよいし、タンパク中に存在するS‐(2‐スクシニル)システインも含むTotalのS‐(2‐スクシニル)システインの量を測定してもよい。
本発明の一例においては、タンパク中に存在するS‐(2‐スクシニル)システインも含むTotalのS‐(2‐スクシニル)システインの量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に、大血管障害(例えば下肢閉塞性動脈硬化、冠動脈疾患または脳血管疾患における大血管障害)を有するものと判定することができ、また大血管障害リスク(例えば下肢閉塞性動脈硬化、冠動脈疾患または脳血管疾患における大血管障害)が高いと判定することができる。
本発明の別の例においては、血中に遊離して存在するS‐(2‐スクシニル)システインの量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に、細小血管障害(例えば、網膜症、神経障害または腎症における細小血管障害)を有するものと判定することができ、また細小血管障害リスク(例えば、網膜症、神経障害または腎症における細小血管障害)が高いと判定することができる。
また、血中に遊離して存在するS‐(2‐スクシニル)システインの量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に、下肢閉塞性動脈硬化または冠動脈疾患における大血管障害を有するものと判定することができ、また下肢閉塞性動脈硬化または冠動脈疾患における大血管障害リスクが高いと判定することができる。
<質量分析>
本発明の一例においては、血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を、質量分析により測定することができる。質量分析は、例えば、特開2014−119370号公報に記載の方法に準じて行うことができるが、特に限定されない。
本発明においては、まず、血液を酸で処理することが好ましい。血液としては、全血、血清、又は血漿などを使用でき、血清がより好ましい。
酸処理に使用される酸は、有機酸でも無機酸でもよいが、無鉄塩酸またはギ酸が好ましい。使用する酸のpHは、好ましくはpH0.5〜1.5、より好ましくはpH0.8〜1.2である。酸処理においては、例えば、血液に酸の溶液を添加し、必要に応じて振盪又は攪拌した後、静置し、試料を加水分解させればよい。さらに、加水分解中に反応液を加温すると好ましい。酸処理に使用される酸の量、反応時間および温度の条件は、血液を十分に溶解できる条件且つ反応液が液相となる条件であればよい。
本発明においては、血中2SCは、血中に遊離して存在する2SCを測定する手法(Free)を採用してもよいし、タンパク中に存在する2SCも含むTotalの2SCを測定する手法(Total)を採用してもよい。
血中に遊離して存在する2SCを測定する手法(Free)においては、血清に同位体を用いて合成した内部標準([13]2SC)を添加し、さらに水を添加することにより試料を調製することができる。
タンパク中に存在する2SCも含むTotalの2SCを測定する手法(Total)においては、血液に内部標準([13]2SC)および塩酸を加え、100℃などの高温下で加水分解し、溶液を乾固させた後に水を添加することにより試料を調製することができる。
上記のようにして調製した試料は、ギ酸を含むメタノールを充填したCaptiva ND Lipids(Agilent Technologies)内に添加し、よく混合させた後に通過させることができる。これにより脱脂および除タンパクを行うことができる。
さらに回収した試料を乾固し、ギ酸を含む水に再懸濁した後、C18カラムであるSep−pak(Waters Corp)を通過させることができる。Sep−pakはあらかじめ1%のギ酸を含む水で平衡化し、サンプルを通過させた後、さらに1%ギ酸を含む20%メタノールを2ml通過させ通過した画分を回収することができる。回収した溶液を乾固し、0.1%のギ酸を含む20%アセトニトリル1mlに再懸濁した後、分子量3000カットフィルターであるVIVASPIN 500(Sartorius Stedim)によって濾過することにより、質量分析用試料を得ることができる。なお、質量分析用試料の調製方法は、分析の方法や使用する機器に応じて適宜調製され得るため、上記の調製方法に限定されない。
質量分析の方法としては、測定可能な方法であれば特に限定されないが、液体クロマトグラフィーと質量分析とを組み合わせた分析方法が好ましく、例えば、液体クロマトグラフィー−質量分析(例えば、LC−MS法、LC−MS/MS、LC−MS/MS/MS等)法が挙げられる。検出感度をより向上させるためには、LC−MS/MS法や、LC−MS/MS/MS法などの液体クロマトグラフィー−タンデム型質量分析法がより好ましい。
液体クロマトグラフィー−質量分析のための乾固試料溶解用の適切な溶媒としては、液体クロマトグラフィーの移動相の最終条件と同じ溶媒を用いることが好ましい。例えば、メタノールの水溶液やアセトニトリルの水溶液、アセトニトリルとトリフルオロ酢酸の混合水溶液、アセトニトリルとギ酸の混合水溶液などが挙げられるが、特に限定されない。
液体クロマトグラフィー−質量分析計により2SCを測定する際の測定条件は、機器の型、試料の状態等に応じて、当業者が通常の知識に基づいて適宜設定すればよい。液体クロマトグラフィーの条件は供される試料によって異なるが、例えば、移動相にギ酸水溶液とギ酸アセトニトリル溶液でグラジエントを形成させると好ましい。質量分析計としては、二重収束磁場型質量分析計、イオントラップ型質量分析計、四重極型質量分析計などが挙げられるが、これらに限定されない。
上記手順で測定された測定値を、同様の手順で測定された標準溶液からの測定値と比較することによって、生体試料由来の2SCを定量することができる。具体的には、所定濃度の2SCを含有する標準溶液からの測定結果に基づいて、検量線を作成する。検量線作成の際には、内部標準を用いて各測定値を校正しておくと、より精度の高い検量線が得られるため好ましい。
<免疫分析>
本発明の別の例においては、血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を、免疫分析により測定することができる。免疫分析は、2SCを検出できるポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体を用いて行うことができる。血中2SCを定量できるモノクローナル抗体を用いることにより、より簡便に多検体の測定が可能である。
2SCを検出できる抗体の製造方法について説明する。
2SCを検出できる抗体は、2SCを免疫原として用いることにより作製することができる。2SCをタンパク質に結合して充分な免疫原性を有する免疫原としてもよい。2SCを結合させるタンパク質としては、キャリアタンパク質として公知の各種のものを使用することができ、例えば血清アルブミン等のアルブミンや、ヘモシアニン、ミオグロビン等が挙げられる。また、キャリアタンパク質としては、ウシ、ウサギ、ヒト等の哺乳動物、スカシ貝等の貝類、鶏等の鳥類等に由来するもの等を用いることができる。これらの中でも、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)及びウシ血清アルブミン(BSA)が好ましい。これらのタンパク質は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
2SCのキャリアタンパク質への結合には、クロスリンカーを用いることが好ましい。クロスリンカーとしては、各種公知のものを用いることができ、例えば、グルタルアルデヒド、EDC(1-ethy-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride)、SPDP、DST、DSGなどを用いることができる。これらの中でも、グルタルアルデヒド、又はEDCを用いることが好ましい。クロスリンカーは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
2SC、又は2SCとキャリアタンパク質との結合体を抗原としてヒト以外の動物を免疫し、その動物体内に抗体産生細胞を産生させる。免疫動物から得られた血清からプロテインGカラムを用いて2SCに対するポリクローナル抗体を単離できる。また、モノクローナル抗体の製法の常法に従って行うことができる。
動物の種類は、特に限定されないが、哺乳動物が好ましい。哺乳動物としては、例えばマウス、ラット、ウサギ等のげっ歯類が挙げられる。マウスは、BALB/C系統のマウスを用いることが、ハイブリドーマの作製に用いる骨髄腫由来の細胞株が確立している点から好ましい。免疫は、各種公知の方法により行うことができ、例えば、哺乳動物の皮下、皮内、静脈、または腹腔内に注射する。免疫は、初回の免疫後に何度か繰り返し行うことが好ましく、免疫のスケジュールは、免疫する動物の種類や系統に応じて適宜に決定することができる。また、免疫応答を増強させるために、抗原は、投与前又は投与時にアジュバントと混合して投与することが好ましい。アジュバントとしては、各種公知のものを用いることができる。また、例えば、初回免疫時には完全フロイントアジュバント(CFA:Complete Freund's adjuvant)を用い、2回目以降は不完全フロイントアジュバント(IFA:Incomplete Freund's adjuvant)を用いる等、2種以上のアジュバントを用いることもできる。
上記にようにして免疫した動物の抗体産生細胞を用いて、2SCに対するモノクローナル抗体の産生能を有するハイブリドーマを作製することができる。
上記の免疫後の動物は、適宜の間隔で採血し、2SCに対する抗体が産生されていることを確認する。抗体産生の確認には、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、蛍光免疫測定法等の公知の分析方法を用いることができる。抗体産生の確認後、ブースト(免疫原の追加注射)を行うことも好ましい。最終免疫後、免疫した動物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞と細胞融合させる。細胞融合の方法は、例えば、ポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いる方法、電気刺激を与える方法等の公知の方法を用いることができる。融合細胞は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含むHAT培地等で選択可能である。また、得られた融合細胞から、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、蛍光免疫測定法等の公知の分析方法により、2SCに対する抗体の産生能が高い融合細胞を選択する。そして、選択した細胞を用いて、限界希釈法、軟寒天法等の公知の方法によりクローニングを行う。このようにして、2SCに対する特異性又は2SCに対する結合能が高いモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが得られる。
上記のようにして得られたハイブリドーマは、培養して増殖させ、その培養液等から2SCに対するモノクローナル抗体を分離精製することにより、モノクローナル抗体が大量に得られる。ハイブリドーマの培養方法としては、哺乳動物の腹腔内に注射し腹水内で増殖させる方法や動物の体外で適切な培地を用いて培養する方法等の各種公知の方法を採用可能である。また、腹水や培養液または培養上清から得た抗体の精製には、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の公知の方法を特に制限なく使用可能である。
なお、2SCに対するモノクローナル抗体としては、上記のようにして得られた抗体のほか、2SCの識別部位を含む抗体の断片も含まれる。また、2SCに対するモノクローナル抗体としては、2SCの識別部位を含むように遺伝子組換え技術を用いて製造したキメラ抗体やヒト化抗体でもよい。
2SCに対する抗体としては、2SCに対する特異性及び/又は2SCに対する結合能に優れていることが好ましい。このような抗体を用いて免疫分析を行うことにより、血中の2SCを高感度あるいは高精度に検出及び/又は定量することが可能である。2SCに対する抗体を用いて2SCを検出及び/又は定量する方法としては、特に限定されないが、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、発光免疫測定法、沈降法、凝集法、ウエスタンブロット分析、フローサイトメトリー等が挙げられる。酵素免疫測定法としては、競合阻害アッセイや競合結合アッセイを行うこともできる。
<スクリーニング>
本発明はさらに、候補物質を投与した対象の血中のS−(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む、血管障害の予防又は治療のための候補物質のスクリーニング方法に関する。血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量は、本明細書中において上記した質量分析または免疫分析により測定することが好ましい。
候補物質を投与する対象としては、特に限定されないが、非ヒト哺乳動物が好ましく、例えば、マウス、ハムスター、モルモット、ラット、ウサギ等のげっ歯類の他、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、サル等を使用することができる.上記の中でも、マウス、ハムスター、モルモット、ラット、ウサギ等のげっ歯類が好ましく、そのなかでもマウスが最も好ましい。
候補物質としては任意の物質を使用することができ、特には限定されない。候補物質としては、個々の低分子化合物でもよいし、天然物抽出物中に存在する化合物でもよく、合成ペプチドでもよい。候補物質は、化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリーもしくはコンビナトリアルライブラリーでもよい。化合物ライブラリーの構築は当業者に公知であり、また市販の化合物ライブラリーを使用することもできる。候補物質の一例としては、食品由来成分である。
本発明のスクリーニング方法においては、血中の2SC量を低減させる物質を、血管障害の予防又は治療のための候補物質として選別することができる。候補物質を投与した対象と、コントロール物質を投与した対象とを用いて、両者の血中の2SC量を比較することによって、血中の2SC量を低減させる物質を同定することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
<2SCの前処理方法と検出方法>
血清中2SCは、血中に遊離して存在する2SCを測定する手法(Free)と、タンパク中に存在する2SCを含めて測定する手法(Total)の2つの手法を確立した。
Freeでは、血清30μlに同位体を用いて合成した内部標準([1315] 2SC)を添加し、水で700μlまでupしたものを0.1%のギ酸を含むメタノール(2.1ml)を充填したCaptiva ND Lipids(Agilent Technologies)内に添加し、よく混合させた後に通過させ、脱脂および徐タンパクを行った。回収した試料を乾固し、1%のギ酸を含む水1mlに再懸濁した後、C18カラムであるSep−pak(Waters Corp)を通過させた。Sep−pakはあらかじめ1%のギ酸を含む水で平衡化し、サンプルを通過させた後、さらに1%ギ酸を含む20%メタノールを2ml通過させ通過した画分を回収した。回収した溶液を乾固し、0.1%のギ酸を含む20%アセトニトリル1mlに再懸濁した後、分子量3000カットフィルターであるVIVASPIN500(Sartorius Stedim)によって濾過したサンプルを測定に用いた。
一方、Totalでは、最初に血清1μlに内部標準および1mlの6N HClを加え、100℃で18時間加水分解し、溶液を乾固させた後に水で700μlまでupし、Captiva ND Lipids を用いた処理以降はFreeと同様に処理した。
液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC−MS/MS)を用いて測定を行う際には0.1%のギ酸を含むアセトニトリルと0.1%のギ酸を含む水のグラジュエントの条件においてZIC(登録商標)−HILIC column(150x2.1mm, 5μm)(Merck Millipore)を用いて液体クロマトグラフィーによる分離を行い、ESIポジティブでイオン化し、MS/MSによる検出を行った。2SCおよび内部標準として用いた[1315]2SCはイオン化によって、それぞれのペアレントイオンが238(m/z)と242(m/z)となり、それらから得られるプロダクトイオン149(m/z)を検出することで2SCの測定を行った。
<結果>
(1)各種疾患の既往歴と血中2SCとの比較
各種疾患の既往歴と血中2SCとの比較を行った。測定した患者は、平均年齢67歳の計32人(男17人、女15人)である。各病態の既往歴を有する人数は以下の通りである。下肢閉塞性動脈硬化:3人、冠動脈疾患:9人、脳血管疾患:2人、網膜症:11人、神経障害:11人、腎症:15人。
結果を図1に示す。血中に遊離する2SC(Free)は主に細小血管障害において有意に増加し、血中のトータル2SC(Total)は大血管障害において増加することが明らかとなった。
(2)血中に遊離する2SCの値と網膜症および腎症における病態の進行の比較
細小血管障害において有意な増加が認められた血中に遊離する2SCの値を網膜症および腎症における病態の進行と比較を行った。測定した患者は、平均年齢66歳の計68人(男30人、女38人)である。各群の人数は以下の通りである。網膜症無し:52人、単純糖尿病網膜症:10人、前増殖糖尿病網膜症:2人、増殖糖尿病網膜症:4人。腎症無し・1期:46人、腎症2期:18人、腎症3期:3人、腎症4期:1人。
結果を図2に示す。各群のサンプル数が少ないため、有意な差は認められないが、増加する傾向が示された。
(3)各種疾患の患者の血清におけるCMLの測定
図1で測定を行った患者の血清において代表的なAGEs構造であるCMLを測定し、既往歴との比較を行った。
結果を図3に示す。CMLでは2SCとは異なり、各疾患における増加は認められなかった。CMLは血管障害のマーカーとして期待されているが、血管障害の進展では変化しないことが明らかとなった。
(4)動脈硬化モデルマウスにおける血中2SCの測定
動脈硬化モデルマウスであるapoE欠損マウス(20週齢)の血中2SCを測定し、健常個体と比較した(各群3個体ずつ)。
結果を図4に示す。FreeおよびTotalどちらの2SC値もapoE欠損マウスで高値を示し、ヒト同様モデルマウスにおいても血管障害の発症と血中2SC値との関連性が明らかとなった。

Claims (7)

  1. 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む、血管障害の判定方法。
  2. 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に血管障害を有するものと判定する、請求項1に記載の判定方法。
  3. 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することにより得られた測定値が基準値より高い場合に血管障害リスクが高いと判定する、請求項1に記載の判定方法。
  4. 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を、質量分析または免疫分析により測定する、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
  5. 候補物質を投与した対象の血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を測定することを含む、血管障害の予防又は治療のための候補物質のスクリーニング方法。
  6. 血中のS‐(2‐スクシニル)システイン量を、質量分析または免疫分析により測定する、請求項5に記載のスクリーニング方法。
  7. 候補物質が、食品由来成分である、請求項5又は6に記載のスクリーニング方法。
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