JP6630116B2 - モノクローナル抗AGEs抗体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
抗AGEs抗体を用いる方法としては、例えば、特許文献1には、3,4−ジオキシグルコソン-3-エン(DGE)に由来するAGEsに特異的に反応する抗体及びそれを用いたAGEsの検出方法が記載され、特許文献2には、生体サンプル内におけるグアニジノ基由来のAGEsに特異的なモノクローナル抗体及びそれを用いたAGEsの検出方法が記載されている。また、特許文献3には、フルクトース由来のAGEに対する抗体及びそれを用いたフルクトース由来のAGEの測定方法が記載されている。
一方、非特許文献2には、メチルグリオキサール(MG)で修飾したタンパク質をマウスに免疫して得られた抗体に、エピトープがイミダゾロンである抗体が含まれることを開示されている。しかし、非特許文献2には、タンパク質に結合していないイミダゾロンを合成した後、それをタンパク質と結合して免疫原として用いることは記載されておらず、MG-H1に対する特異性や遊離体のMG-H1に対する結合能が高いモノクローナル抗体は記載されていない。
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、最終糖化産物(AGEs)に対するモノクローナル抗体であって、MG-H1に対して特異的に結合する、モノクローナル抗AGEs抗体を提供するものである。
また、本発明は、タンパク質に結合していない遊離体のMG-H1を合成する工程、
合成したMG-H1を、クロスリンカーを用いてタンパク質に結合する工程、及び、
MG-H1が結合したタンパク質を抗原として動物を免疫する工程を具備する、モノクローナル抗AGEs抗体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記のモノクローナル抗AGEs抗体を産生するハイブリドーマを提供するものである。
また、本発明は、前記のモノクローナル抗AGEs抗体を使用して、AGEsであるMG-H1を検出及び/又は定量するモノクローナル抗AGEs抗体の使用方法を提供するものである。
本発明のモノクローナル抗AGEs抗体は、最終糖化産物(AGEs)に対する抗体であって、MG-H1に対して特異的に結合するものである。本発明における「MG-H1」は、AGEsの前駆体であるメチルグリオキサール(MG)が、タンパク質中のアルギニン残基等の非遊離のアルギニン又は遊離のアルギニンと反応して生じた非遊離体又は遊離体のMG-H1であり、「MG-H1に対して特異的に結合する」とは、少なくとも非遊離体のMG-H1を認識して反応する一方、MG-H1以外のAGEであって既知のAGEs構造である、カルボキシメチルアルギニン(CMA:Nω-(carboxymethyl)arginine)、カルボキシメチルリジン(CML:Nε-(Carboxymethyl)lysine)及びカルボキシエチルリジン(CEL:Nε-(carboxyethyl)lysine)のいずれとも反応しないか、それらに対する反応性がいずれも非遊離体のMG-H1に対する反応性に対して有意に低いことを意味する。
また、本発明のモノクローナル抗AGEs抗体としては、本明細書の実施例に記載した抗体1〜3が挙げられる。抗体1及び2を産生するハイブリドーマは、2014年7月15日付け、抗体3を産生するハイブリドーマは、2015年6月5日付けで、独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターに寄託されており、それぞれの受託番号は下記の通りである。
抗体1を産生するハイブリドーマ(OYC111):受託番号NITE P−1898
抗体2を産生するハイブリドーマ(OYC112):受託番号NITE P−1899
抗体3を産生するハイブリドーマ(OYC113):受託番号NITE P−2064
本発明のモノクローナル抗AGEs抗体の好ましい製造方法は、下記工程(1)〜(3)を具備するとともに、モノクローナル抗体の製法において常法である下記工程(4)を具備する。
(1)タンパク質に結合していない遊離体のMG-H1を合成する工程
(2)合成したMG-H1を、クロスリンカーを用いてタンパク質に結合する工程
(3)MG-H1が結合したタンパク質を抗原として動物を免疫する工程
(4)免疫した動物の抗体産生細胞を用いて、モノクローナル抗AGEs抗体を産生するハイブリドーマを作製する工程
〔工程(1):遊離体のMG-H1の調製工程〕
前記工程(1)は、遊離体のMG-H1の調製工程であり、好ましくは、メチルグリオキサールとアルギニンとを混合し、非酵素的糖化反応により下記式(1)で表される遊離体のMG-H1を生成させる。
MG-H1:Nδ-(5-ヒドロ-5-メチル-4-イミダゾロン-2-イル)-オルニチン
MG-H2:2-アミノ-5-(2-アミノ-5-ヒドロ-5-メチル-4-イミダゾロン-1-イル)ヘ゜ンタン酸
MG-H3:2-アミノ-5-(2-アミノ-4-ヒドロ-4-メチル-5-イミダゾロン-1-イル)ヘ゜ンタン酸
合成した遊離体のMG-H1を高純度のものとすることは、得られるモノクローナル抗体のMG-H1に対する特異性及び/又は遊離体のMG-H1に対する結合能を向上させる観点から好ましい。精製の方法は、各種公知の方法を採用することができ、例えば、液体クロマトグラフィーが好ましく用いられる。液体クロマトグラフィーとしては、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、分子排斥クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられ、これらは1種を単独で行っても良いし同種又は異種の2種以上を順次行っても良い。
合成した遊離体のMG-H1は、純度が99質量%以上、より好ましくは99.9質量%となるまで精製して次工程に用いることが好ましい。なお、本発明において、MG-H1は、ナトリウム塩、塩酸塩等の塩であっても良いし、塩でなくても良い。
前記工程(2)は、免疫原の調製工程であり、単独では免疫原性(免疫誘導能)が低い遊離体のMG-H1をタンパク質に結合して充分な免疫原性を有する抗原とする。MG-H1を結合させるタンパク質としては、キャリアタンパク質として公知の各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば血清アルブミン等のアルブミンや、ヘモシアニン、ミオグロビン等が挙げられる。また、タンパク質は、ウシ、ウサギ、ヒト等の哺乳動物、スカシ貝等の貝類、鶏等の鳥類等に由来するもの等を用いることができる。これらの中でも、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)及びウシ血清アルブミン(BSA)が好ましい。これらのタンパク質は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
MG-H1のキャリア蛋白への結合には、クロスリンカーを用いることが好ましい。クロスリンカーとしては、各種公知のものを用いることができ、例えば、グルタルアルデヒド、EDC(1-ethy-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride)、SPDP、DST、DSGなどを用いることができる。これらの中でも、グルタルアルデヒド、又はEDCを用いることが好ましい。クロスリンカーは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記工程(3)は、動物を免疫する工程であり、上述のようにして調製した、MG-H1が結合したタンパク質(付加体)を抗原としてヒト以外の動物を免疫し、その動物体内に抗体産生細胞を産生させる。本工程(3)は、上述のようにして調製した、MG-H1が結合したタンパク質(付加体)を抗原として用いる以外は、モノクローナル抗体の製法の常法に従って行うことができる。
動物の種類は、特に限定されないが、哺乳動物が好ましい。哺乳動物としては、例えばマウス、ラット、ウサギ等のげっ歯類が挙げられる。マウスは、BALB/C系統のマウスを用いることが、ハイブリドーマの作製に用いる骨髄腫由来の細胞株が確立している点から好ましい。免疫は、各種公知の方法により行うことができ、例えば、哺乳動物の皮下、皮内、静脈、または腹腔内に注射する。免疫は、初回の免疫後に何度か繰り返し行うことが好ましく、免疫のスケジュールは、免疫する動物の種類や系統に応じて適宜に決定することができる。また、免疫応答を増強させるために、MG-H1が結合したタンパク質は、投与前又は投与時にアジュバントと混合して投与することが好ましい。アジュバントとしては、各種公知のものを用いることができる。また、例えば、初回免疫時には完全フロイントアジュバント(CFA:Complete Freund's adjuvant)を用い、2回目以降は不完全フロイントアジュバント(IFA:Incomplete Freund's adjuvant)を用いる等、2種以上のアジュバントを用いることもできる。
前記工程(4)においては、免疫した動物の抗体産生細胞を用いて、モノクローナル抗AGEs抗体の産生能を有するハイブリドーマを作製する。
上記の免疫後の動物は、適宜の間隔で採血し、MG-H1に対する抗体が産生されていることを確認する。抗体産生の確認には、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、蛍光免疫測定法等の公知の分析方法を用いることができる。抗体産生の確認後、ブースト(免疫原の追加注射)を行うことも好ましい。最終免疫後、免疫した動物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞と細胞融合させる。細胞融合の方法は、例えば、ポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いる方法、電気刺激を与える方法等の公知の方法を用いることができる。融合細胞は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含むHAT培地等で選択可能である。また、得られた融合細胞から、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、蛍光免疫測定法等の公知の分析方法により、MG-H1に対する結合能を有する抗体の産生能が高い融合細胞を選択する。そして、選択した細胞を用いて、限界希釈法、軟寒天法等の公知の方法によりクローニングを行う。このようにして、MG-H1に対する特異性や遊離体のMG-H1に対する結合能の高いモノクローナル抗AGEs抗体を産生するハイブリドーマが得られる。
本発明のモノクローナル抗AGEs抗体やそれを含むキットで検出及び/又は定量するMG-H1は、遊離体でも非遊離体でも良く、その両者であっても良い。
キットは、少なくとも本発明のモノクローナル抗AGEs抗体と、MG-H1と結合した抗体を検出する試薬を含むことが好ましい。
生体試料としては、生体から採取されたあらゆる細胞、組織、及び体液等が挙げられ、例えば、皮膚、筋肉、骨、脂肪組織、脳神経系、心臓及び血管等の循環器系、肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、消化器系、胸腺、リンパ、血液、全血、血清、血漿、リンパ液、唾液、尿、腹水、喀痰等、並びにそれらの培養液物が挙げられる。生体試料は、必要に応じて、生理食塩水や水等の液体による希釈、濾過処理、ホモジネート処理等の任意の処理を行ったものを用いる。
(1)遊離体のMG-H1を下記方法により合成した。
1N NaOH 49mLと40%Methyl glyoxal(5.8M)862μlとを混合し、次いで、それに871mgのL-Arginine(MW=174.2)を混合して、100mM(final)L-Argineと100mM(final)Methylglyoxalの混合液50mLを調製した。その混合液を振盪させながら、37℃で1時間インキュベートした後、HClで中性にした。その後、即エバポレーターで濃縮後、水に再溶解して凍結乾燥した。
(2)合成したMG-H1の精製
合成した遊離体のMG-H1について、下記方法による2段階の精製を行った。
精製1(Dowex50カラムによる精製)
陽イオン交換樹脂を充填したカラムを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより、合成したMG-H1サンプルの1回目の精製を行った。カラムは、樹脂を充填したカラム(内径20mm、樹脂充填部の高さ20cm)を、カラムの約5倍量の10%ピリジン(超純水で調製)で洗浄した後、カラム5倍量のイオン交換水で洗浄し、次いでカラム5倍量の10%HClで洗浄した後、カラム5倍量のイオン交換水で洗浄して用いた。
このカラムに、合成したMG-H1サンプルを少量の超純水に溶かしてアプライし、カラムの3倍量の超純水を流した。次いで、10%ピリジンで溶出し、約3mlずつ分取した。ろ紙に各フラクションを10回ずつキャピラリーでスポットし0.5%ニンヒドリン溶液で検出した。ニンヒドリンで発色したフラクションでのMG-H1の存在をTLCで確認した。TLCは、シリカゲルプレートにスポットし純品もスポットして、展開溶媒(クロロホルム:MeOH:水=2:3:1)で展開し、ドライヤーで乾燥後、ニンヒドリン試薬で発色させた。発色した部分を集めエバポレーターでピリジンをとばした後-80℃で凍らせ、凍結乾燥した。
イオン交換樹脂としては、DowexTM50(ダウ・ケミカル社)を用い、超純水としてはmilliQ水を用いた。milliQ水は、ミリポア社の超純水製造装置MilliQで製造した超純水である。
精製1による精製後のMG-H1サンプルについて、シリカゲルカラムを用いた液体クロマトグラフィーにより2回目の精製を行った。
シリカゲルカラムは、内径20mm、長さ50cmのガラス製カラムの底部に脱脂綿をほぐして詰め、次いで、シリカゲル(関東化学社製「シリカゲル60」)を上端からロートを用いて注入し床に軽く数回当てて空気を抜いて調製した。シリカゲル充填部の高さは44cmであった。
このシリカゲルカラムに、凍結乾燥後(1回目の精製後)のMG-H1サンプルを少量(約1mL)の超純水に溶かしてロードし、更に超純水0.5mlで容器を洗浄し、その洗浄水もロードした。そして、クロロホルム:MeOH:水=2:3:1を注入して溶出を開始し、溶出液を分取した。各フラクションの液を、紙にスポットし、0.5%ニンヒドリンで発色させた。ニンヒドリンで発色したフラクションでのMG-H1の存在をTLCで確認した。また、TLCは、シリカゲルプレートにスポットし純品もスポットし、展開溶媒(クロロホルム:MeOH:水=2:3:1)で展開し、ドライヤーで乾燥後、ニンヒドリン試薬で発色させた。MG-H1が確認されたフラクションを集め、エバポレーターで濃縮後に-80℃で凍らせ凍結乾燥した。精製2においても超純水としては、milliQ水を用いた。
精製1及び精製2により精製したMG-H1サンプルについて、液体クロマトグラフィー/四重極質量分析(LC-MS/MS)により分析した。条件は下記の通りである。
試料インジェクション量:1μg/mlを10 μl
LC部:Accela Pump + Thermo PAL (Thermo Scientific)
カラム:ZIC(R)-HILIC 150 x 2.1 mm, 5 μm (Merck Millipore)
移動相:0.1%ギ酸水溶液および0.1%ギ酸アセトニトリルによるグラジュエント
流速: 200 μl/min
MS部:高感度定量分析用トリプル四重極質量分析計 TSQ Vantage (Thermo Scientific)
イオン化法 : Positive ESI
スプレー電圧 : 3500 V
ベポライザー温度: 200 ℃
イオントランスファーチューブ温度 : 300 ℃
コリジョンガス、圧力 : Argon、1.2 mTorr
上記分析の結果、単離された化合物は、MG-H1であることが確認された。
抗原(免疫原)を調製するために、上記のようにして調製した高純度のMG-H1を、キャリアタンパク質として利用するスカシ貝ヘモシアニン(KLH)と結合させて、MG-H1結合KLHを作製した。結合方法としては、クロスリンカーとして前述したEDCを用いたEDC法を用いた。具体的方法は下記の通りである。
(MG-H1結合KLHの調製)
下記成分を下記の量ずつ上の成分から順に混和して合計1000μLの混合液に調製した。
KLH(10mg/mL) 300μL
PBS 445μL
MG-H1(1mg/100μL) 150μL (1.5mg/150μL)
NHS (5.4mg/50μL) 5μL
EDC (100mg/100μL) 100μL
各成分の詳細を以下に示す。
KLH: SIGMA社製KLH
PBS: リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)
MG-H1:合成した遊離体のMG-H1(純度99%以上)
NHS: N-ヒドロキシコハク酸イミド(縮合剤)
EDC: 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド「PIERCE」
上記のようにして調製した混合液を、1時間、振盪しながらインキュベートした後、3μLの2-Mercaptoethanolを加え未反応のNHSを不活化した。そして、2LのPBSで一晩透析した。
透析後、蛋白濃度をBCA蛋白定量キット(PIERCE(登録商標)サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)で測定した。
KLH(10mg/mL)に代えてウシ血清アルブミン(BSA)(10mg/mL)又はヒト血清アルブミン(HSA)(10mg/mL)を用いる以外は、MG-H1結合KLHの調製と同様にして、MG-H1結合BSA(MG-BSA)及びMG-H1結合HSA(MG-HSA)を調製した。
上述のようにして調製したMG-H1結合KLHを、アジュバントとそれぞれ混合したエマルジョンを用意し6〜8週齢メスのBALB/cマウス(日本チャールス・リバー)の背部皮下に50〜100μg/匹/回で免疫した。免疫間隔は2週間に1回で合計5回実施した。アジュバントとして初回は完全フロイントアジュバント(CFA)、2回目以降は不完全フロイントアジュバント(IFA)を使用した。3回目・4回目免疫の翌週に採血し、タイターチェックを実施した。タイターチェックはMG-H1結合BSAを固相にして行った。最終免疫としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS, Phosphate buffered saline )(-)で希釈した抗原を腹腔内に投与した。
最終免疫3〜4日後にマウスより摘出した脾臓細胞をミエローマと混合してPEG法により
細胞融合を実施した。脾臓細胞数として0.5〜1.0×105 cells/wellで96 well plateに播
種し、RPMI 1640 +10% FBS + hypoxanthine-aminopterin-thymidine (HAT) + hybridoma
cloning supplement (HCS)で培養した。
細胞融合後約2週間HAT培地により選択培養を行った。融合細胞を選択後、各ウェルから一部の培養上清をサンプリングし、MG-H1結合BSAを1μg/wellで固相したELISAによりスクリーニングを行った。二次スクリーニングとしてメチルグリオキサール修飾BSAを固相したELISAを行い、免疫抗原、メチルグリオキサール修飾BSAそれぞれで陽性のウェルを確認した。
ELISAの結果を元に選択された10ウェルの細胞を用いて限界希釈法にてクローニングを行った。陽性のシングルコロニーを形成した10個のウェルを選択し、増殖能を加味して最終的に3クローンに絞った。樹立過程において使用した各種添加剤含有培養から馴化培地(RPMI1640 + 10% FBS)で増殖するよう馴化培養を行った。
クローニング、馴化したハイブリドーマを馴化培地で培養し、生細胞率が上昇するように10cmディッシュで2〜3継代の培養を行った。生細胞の状態を確認しながら培養スケールをあげ、移植当日に対数増殖期のハイブリドーマを必要量(2x107cells)確保した。ハイブリドーマ懸濁液から遠心操作(1000rpm, 5min)によりハイブリドーマを回収した。PBS(-)で細胞を洗浄後、細胞数を測定し、4x106cells/mlにRPMI 1640(FBS free)にて調製した。0.5ml/匹(2x106cells/匹)で10匹のBALB/c雄マウス腹腔内に移植した。腹水の貯留具合を確認し、18Gの注射針を用いて腹水を採取した。採取腹水を遠心分離(3000rpm, 5min)し、腹水上清を回収した。
腹水を平衡化・吸着バッファー(PBS(-), pH 7.4)で3倍希釈した。次にプロテインAカラムを5〜10bed volの平衡化・吸着バッファーで洗浄し、希釈した腹水をアプライした。その後、プロテインAカラムを再度5〜10bed volの平衡化・吸着バッファーで洗浄した。次に3〜5bed volの溶出バッファー(100mM クエン酸バッファー, pH3.0)で吸着蛋白質を溶出させ、A280=0.1以上を集め、中和液(2M Tris-HCl, pH9.0)を1/10〜1/20倍添加し、溶出画分を素早くpH7.0〜7.5にした。中和した溶出画分を最終バッファー(50mM Tris-HCl, pH8.0, 0.15M NaCl)にて透析し、その後0.22μmフィルターで濾過滅菌した。
このようにして、MG-H1に特異的に結合するモノクローナル抗AGEs抗体を得た。
前述した3クローンを用いて上記の方法により作製した抗MG-H1抗体である抗体1、抗体2及び抗体3について、ELISAを行いMG修飾蛋白に対する結合能を評価した。即ち、マイクロプレートのウェル(穴)に、MG修飾蛋白としてMG-BSA又はMG-HSAを固定しておき、これに1次抗体として試験対象の抗体(抗体1、2又は3)及び酵素標識抗体である2次抗体を順次作用させた後、発色剤を注入して発色させ、マイクロプレートリーダーによる吸光度の測定を行った。図1は、その結果を示すグラフである。
具体的には、ELISAプレート上に、MG-BSA又はMG-HSAのPBSによる希釈液(0.3μg/mL)を100μL/well加え2時間室温においてコーティングした後、ELISAプレート内の溶液を捨て、200μL/wellの洗浄液による洗浄を3回行った。そして、各ウェルに1次抗体を100μLずつ分注し、室温で1時間静置し、次いで、各ウェルを洗浄液で3回洗浄後、各ウェルに、洗浄液で10,000倍希釈した2次抗体を100μLずつ分注し、室温で1時間静置した。その後、各ウェルを洗浄液で3回洗浄後、各ウェルに発色剤を100μLずつ分注し、室温で発色させた。所定の時間ごとに、ウェルに反応停止液を100μLずつ分注して反応停止させ、発色剤としてOPDを用いた場合は492nm、TMBを用いた場合は450nm/Reference630nmの吸光度を測定した。
なお、上記試験は、1次抗体の濃度を代えて複数群について行った。また、MG-BSA又はMG-HSAに代えて、MG修飾していないBSA及びHSAを用いた場合についても同様の試験を同様に行った。図1の縦軸の吸光度は、発色開始3分後のサンプルの吸光度であり、横軸の抗体(1次抗体)の濃度は、ELISAプレートに加えた際の最終濃度である。
・MG-BSA(MG修飾BSA):40% Methylglyoxal solution (SIGMA)を2mMに希釈したものとBSA(2mg/mL)を等量混ぜ、12時間インキュベートを行い、MG-BSAを作製した。作製後PBSで透析したものを、タンパク質濃度を調製して用いた。
・MG-HSA(MG修飾HSA):40% Methylglyoxal solution (SIGMA)を2mMに希釈したものとHSA(ヒト血清アルブミン,2mg/mL)を等量混ぜ、12時間インキュベートを行い、MG-HSAを作製した。作製後PBSで透析したものを、タンパク質濃度を調製して用いた。
・一次抗体:抗MG-H1抗体を洗浄液(PBS+0.05% tween 20)で最終濃度0.3μg/mLに希釈して使用。
・二次抗体:Peroxidase-Labeled Antibody to Mouse IgG(H+L)(KPL 074-1806)。バイアル(1mg)に水500μlを添加して廻しながら溶解させた後、更にグリセロール500μLを添加してピペッティングで混合し、濃度1mg/mLとしたものを使用。
・発色剤:次の手順で調製したものを使用。100mMクエン酸100ml及び100mMリン酸水素二ナトリウム200mlをそれぞれ別途調製し、前者に後者を添加しながらpHを5.0に調製し、クエン酸緩衝液を得る。室温下、このクエン酸緩衝液10mlとOPDタブレット(和光純薬158-02151)1粒とを混合し、更に、発色試験の直前に、32%過酸化水素水6μL(関東化学18084-00)を添加し、目的とする発色剤を調製し、使用。
・反応停止液:36N H2SO4(和光純薬 199-15995)をイオン交換水で2N H2SO4に調製して使用。
・洗浄液:PBS(ダルベッコの組成:日水製薬 08190)+0.5%Tween 20 (ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、東京化成工業 9005-64-5)を使用。
・ELISAプレート:NUNC MAXISORP(NUNC 439454)を使用。
上記の抗体1について、競合的阻害アッセイとしての競合ELISAにより、MG-H1に対する特異的結合能の評価を行った。具体的な方法は下記の通りである。
(方法)
(1) 上記の試験におけるのと同様にして調製したMG-BSAの希釈液(0.3μg/mL)を、ELISAプレート上に100μL/well加え、2時間室温に置いてコーティングを行った。
(2) コーティングを行ったELISAプレート内の溶液を捨て、洗浄液を200μL/well加え、すぐに液を捨てた。
(3) 上記(2)の操作を3回繰り返し、3回目には中の液を出した。
(4) 0.5% Gelatin PBS(PBSにGelatinを加え0.5%にした溶液)を200μL/well加え、1時間室温に置き、ブロッキングを行った。
(5) 上記(2)及び(3)の操作を行った。
(6) 洗浄液にて2mMに希釈した各競合物を所定のウェルに50μL/well加えた。
(7) 洗浄液にて2μg/mlに希釈した抗MG-H1抗体を、上記(6)のウェルに50μL加えた。
(8) ELISAプレートにラップをかけ、ウェル内の液がこぼれないように5分混和した後、室温に1時間置いた。
(9) 上記(2)及び(3)の操作を行った。
(10) 二次抗体(抗マウスIgGγ抗体)を洗浄液で5000倍希釈したものを100μL/well加え、1時間室温に置いた。
(11) 上記(2)及び(3)の操作を行った。
(12) OPDで発色を行い、2N硫酸で発色を止めた。
また、競合物としてのMG-H1としては、前述の方法により合成し精製したタンパク質に未結合のMG-H1(遊離体)を用いた。
図2は、抗体1についての、競合ELISAの結果を示すグラフである。図2(a)に示すように、競合物として遊離体のMG-H1が存在すると、その量に応じてMG-BSAに対する抗体の結合量が減少する一方、カルボキシエチルリジン(CML)、遊離のアミノ酸であるArg又はLysを存在させた場合には、MG-BSAに対する抗体の結合量に変化は生じていない。図2(b)に示すように、競合物としてカルボキシメチルアルギニン(CMA)を存在させた場合にも、MG-BSAに対する抗体の結合量に変化は生じていない。
このことから、本発明の実施形態である抗体は、遊離体のMG-H1に対して高い特異的結合能を有していることが判る。
また、図2に示すように、競合物であるMG-H1の濃度が0.001から0.3mMという低い濃度でも競合がかかっていることから、従来困難であった、腎症患者、糖尿病患者、健常者等のヒトの血清中のMG-H1の検出が可能であることが判る。また、同一のELISAプレート上で、濃度等が既知のMG-H1とともにヒトの血清サンプルについて、競合ELISAを行うことで、ヒトの血清中のMG-H1の定量も可能となる。
上記の抗体1〜3について、ウェスタンブロッティングにより、遊離体のMG-H1に対する特異的結合能の評価を行った。具体的な方法は下記の通りである。
1.以下の要領でゲルを作製し、電気泳動を行った。
(方法)
1.電気泳動
(1) 分離ゲル(10%)H2O 4.0ml , 30% acrylamide 3.3ml , 1.5M Tris(pH8.8) 2.5ml , 10%SDS 100μl , 過硫酸アンモニウム 100μl , TEMED 4μl
アッパーゲル H2O 1.4ml , 30% acrylamide 330μl , 1.0M Tris(pH6.8) 250μl , 10%SDS 20μl , aps 20μl , TEMED 2μl
メルカプトエタノール入りSDS化剤(SDS化剤95μl+メルカプトエタノール5μl)を作製し、サンプル:メルカプトエタノール入りSDS化剤=4:1の比率で混和する。
(2) ウェルにサンプルを10μl加え、電気泳動を行う。
2.転写
(1) アッパーゲルを切り取り、分離ゲルのみとし、転写機を用意し、ろ紙二枚を1×Towbin’s bufferに浸して置き、PVDF膜はメタノールに浸したのちに1×Towbin’s bufferに浸す。
(2) 転写機上に下からろ紙、PVDF膜、ゲル、ろ紙の順で重ね、試験管などで内部の空気を抜く。
(3) 100V、PVDF膜の面積×0.8mA、10.0W , 60min を設定し、通電する。転写後、分子量マーカーを流した場合には、分子量マーカーの線をボールペンでなぞる。
3.ブロッキング
(1) 転写後のPVDF膜をブロッキング液(5%スキムミルクTBS)が入った容器に入れ、1
時間シェイカー上で軽く振盪。(2) .ブロッキング液をしっかりとTBST(0.05%Tween TBS
)で洗い流し、シェイカー上で5分振盪。
(3) 上記(2)の操作を再度行う。
(4) 一次抗体希釈(1%Gelatin Hydrolysate TBST)を作製し、一次抗体希釈液で抗MG-H1抗体を5μg/mlに希釈する。
(5) (4)を容器に入れ、PVDF膜を浸す。一時間室温に置く。
(6) (3)及び(4)の操作を行う。
(7) 二次抗体希釈液(1%スキムミルクTBST)でHRP標識抗マウスIgGγ抗体を5000倍希釈する。
(8) (7)を容器に入れ6で洗ったPVDF膜を入れ、一時間室温に置く。
(9) (3)及び(4)の操作を再度行う。
(10) 最後にPVDF膜をTBSに浸し、5分シェイカー上に置く。
(11) (10)の操作を再度行う。
(12) 発色液(ECL Prime, GEヘルスケア)をPVDF膜にまんべんなくかけ、発色の具合を化学発光検出器で検出する。
図3は、抗体1〜抗体3についてのウェスタンブロッティングの結果を示す図である。いずれの抗体も、MG-BSAのみに反応し、BSAには反応しなかった。これらの結果から本発明の抗体はMG-H1に対する特異性が高いことが確認された。
上記の抗体3を用いて、糖尿病誘発ラット又は前立腺癌モデルラットの血清(生体試料)中のMG-H1の量と、正常なラットの血清中のMG-H1の量を測定し、それらの量の対比を行った。
1.使用したラット
糖尿病誘発ラット及び前立腺癌モデルラットは、下記を用いた。
糖尿病誘発ラット(DM):ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット。
前立腺癌ラット(TG):SV40ラット(バックグラウンドSD,オリエンタルバイオサービス株式会社 )
(1) -20℃保存していた、12時間インキュベートした1mM MG-BSA溶液を室温で解凍した。
(2) 1μg/mL MG-BSAをPBSで調製した後、96穴ELISAプレートに100μL/well加え、ラップでふたをして2時間室温で静置した。
(3) ELISAプレート内の液を除去し、洗浄液(PBS+0.5%Tween20)を200μL/well加え、そのまま液を除去する工程を3回実施した。
(4) 0.5%Gelatin(PBSにGelatinを加え0.5%にした溶液)を200μL/well加え、1時間室温に置き、ブロッキングを行った。
(5) 上記(3)の操作を行った。
(6) 検量線作成のため、まず2mM MG-H1を洗浄液にて作製後、1mMに希釈し、その後3倍ずつ順に希釈し、12段階調製した。
(7) 血清を洗浄液で2倍希釈して十分撹拌した後、上記(6)で調製したMG-H1とともに所定のウェルに50μL/wellで加えた。
(8) 洗浄液にて2μg/mLに希釈した抗MG-H1抗体を、ウェルに50μLずつ加えた後、1時間室温で反応させた。
(9) 上記(3)の操作を行った。
(10) 洗浄液にて0.1 μg/mLに調製したGoat anti-Mouse IgG (γ)-HRP抗体 (KPL, 214-1802) を100 μL/well加えた後、1 時間室温で反応させた。
(11) 上記(3)の操作を行った。
(12) TMB試薬(株式会社ビークル,BCL-TMB-01)をプレート1列ごとに5秒間隔で100 μL/well加え、発色確認後0.6 Nの硫酸を5 秒間隔で100 μL/well加えて反応を止めた。
(13) マイクロプレートリーダーTECAN RAINBOW THERMO RC (sunrise)で450nm、レファレンス630 nmの吸光度で測定した。
・96穴ELISAプレート:NUNC MAXISORP(NUNC 439454)
・PBS:市販の試薬にて10×PBS作製後、超純水で希釈した
・Tween 20:和光純薬工業(株), Polyoxyethylene (20) sorbitan Monolaurate
・Gelatin:Sigma, G-0262
・MG-H1:前述した方法により、合成した後、2段階の精製を行った前記の遊離体のMG-H1
・一次抗体(抗MG-H1抗体):抗体3(プロテインGカラムで精製したもの)592.8 μg/mL
・二次抗体:KPL, 214-1802 Goat Anti-Mouse IgG (gamma) Antibody, F(ab')2 fragment, Human Serum Adsorbed and Peroxidase labeled
・H2SO4:和光純薬工業(株)
・血清試料:上記の各ラットの血清
図4に、糖尿病のラットと正常なラットの各血清中のMG-H1量を示すグラフ、図5に、前立腺癌のラットと正常なラットの各血清中のMG-H1量を示すグラフを示した。
図4及び図5に示す結果から、本発明のモノクローナル抗AGEs抗体やそれを用いた競合ELISA等の免疫学的測定法によれば、血清中のMG-H1量を測定することができ、糖尿病や前立腺癌については、疾患の有無がMG-H1量に影響することが確認された。
上記の抗体3を用いて、前立腺癌患者及び男性健常者の血清中のMG-H1の量を測定し、それらの量の対比を行った。
1.使用したヒト血清
前立腺癌患者及び男性健常者の血清は、PROMEDDX社から各10検体(平均年齢:前立腺癌患者67.3歳、男性健常者65.7歳)入手した。
(1) -20℃保存していた、12時間インキュベートした1mM MG-BSA溶液を室温で解凍した。
(2) 0.5 μg/mL MG-BSAをPBSで調製した後、96穴ELISAプレートに100μL/well加え、ラップでふたをして2時間室温で静置した。
(3) ELISAプレート内の液を除去し、洗浄液(PBS+0.5%Tween20)を200μL/well加え、そのまま液を除去する工程を3回実施した。
(4) 0.5%Gelatin(PBSにGelatinを加え0.5%にした溶液)を200μL/well加え、1時間室温に置き、ブロッキングを行った。
(5) 上記(3)の操作を行った。
(6) 検量線作成のため、まず2mM MG-H1を洗浄液にて作製後、1mMに希釈し、その後3倍ずつ順に希釈し、12段階調製した。
(7) 血清を洗浄液で2倍希釈して十分撹拌した後、上記(6)で調製したMG-H1とともに所定のウェルに50μL/wellで加えた。
(8) 洗浄液にて2μg/mLに希釈した抗MG-H1抗体を、ウェルに50μLずつ加えた後、1時間室温で反応させた。
(9) 上記(3)の操作を行った。
(10) 洗浄液にて0.1 μg/mLに調製したGoat anti-Mouse IgG (γ)-HRP抗体 (KPL, 214-1802) を100 μL/well加えた後、1 時間室温で反応させた。
(11) 上記(3)の操作を行った。
(12) TMB試薬をプレート1列ごとに5秒間隔で100 μL/well加え、発色確認後2 Nの硫酸を5 秒間隔で100 μL/well加えて反応を止めた。
(13) マイクロプレートリーダーFLUO star OPTIMA (BMG LABTECH)で450nm、レファレンス595 nmの吸光度で測定した。
・96穴ELISAプレート:NUNC MAXISORP(NUNC 439454)
・PBS:市販の試薬にて10×PBS作製後、超純水で希釈した
・Tween 20:和光純薬工業(株), Polyoxyethylene (20) sorbitan Monolaurate
・Gelatin:ナカライテスク(株),Gelatin精製粉末 16631-92
・MG-H1:前述した方法により、合成した後、2段階の精製を行った前記の遊離体のMG-H1
・一次抗体(抗MG-H1抗体):抗体3(5.2 mg/mL)
・二次抗体:KPL, 214-1802 Goat Anti-Mouse IgG (gamma) Antibody, F(ab')2 fragment, Human Serum Adsorbed and Peroxidase labeled
・硫酸:ナカライテスク(株), Cat. 16631-92
・TMB試薬:BD, BD OptEIA TMB Substrate Reagent Set, 555214
図6に、前立腺癌患者及び男性健常者血清中のMG-H1量を示すグラフを示した。
この結果から、本発明のモノクローナル抗AGEs抗体やそれを用いた競合ELISA等の免疫学的測定法によれば、病態モデル動物と同様、血清中のMG-H1量を測定することができ、疾患の有無がMG-H1量に影響することが確認された。このことは、本発明のモノクローナル抗AGEs抗体や、それを用いた競合ELISA等の免疫学的測定法によれば、糖尿病や前立腺癌等の疾患や特定の症状と、血清等の生体試料中のMG-H1量との間の相関関係の有無を調べることができることを意味し、また、その相関関係に基づき、疾患や特定の症状の有無、疾患や症状が生じるリスクの判定にも応用可能であることを示している。
特にMG-H1の濃度が非常に低く、例えば図4から図6に示すようにMG-H1の濃度が0.1mM以下(好ましくは0.001〜0.01mM)であるにも拘わらずに、MG-H1の検出や定量、量の対比を行うことができることは、血清等の生体試料を、そのまま、あるいは簡単な処理のみで測定試料とすることができることにもなり、MG-H1と関係する各種の疾患や症状、又はそれらのリスク等の短時間での診断も可能となる。
Claims (10)
- 最終糖化産物(AGEs)に対するモノクローナル抗体であって、
メチルグリオキサール−ハイドロイミダゾロン(MG-H1)に対して特異的に結合し、
タンパク質に結合している非遊離体のMG-H1及びタンパク質に結合していない遊離体のMG-H1に対して結合能を有し、
既知AGEsである、カルボキシメチルアルギニン及びカルボキシメチルリジンに交叉反応性を有しない、モノクローナル抗AGEs抗体。 - タンパク質に結合していない遊離体のMG-H1を合成し、それをタンパク質に結合して得られた付加体を抗原として動物に免疫して得られたものである、請求項1に記載のモノクローナル抗AGEs抗体。
- NITE P−1898(OYC111)、NITE P−1899(OYC112)又はNITE P−2064(OYC113)として寄託されたハイブリドーマが産生する、請求項1又は2に記載のモノクローナル抗AGEs抗体。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のモノクローナル抗AGEs抗体を製造する方法であって、
タンパク質に結合していない遊離体のMG-H1を合成する工程、
合成したMG-H1を、クロスリンカーを用いてタンパク質に結合する工程、及び、
MG-H1が結合したタンパク質を抗原として動物(ただし、ヒトを除く)を免疫する工程を具備する、モノクローナル抗AGEs抗体の製造方法。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載のモノクローナル抗AGEs抗体を産生するハイブリドーマ。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のモノクローナル抗AGEs抗体を使用してAGEsであるMG-H1を、検出又は定量するモノクローナル抗AGEs抗体の使用方法。
- 生体試料中のMG-H1を検出又は定量する、請求項6に記載のモノクローナル抗AGEs抗体の使用方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のモノクローナル抗AGEs抗体を含む、生体試料中のMG-H1を検出又は定量するためのキット。
- 糖尿病又はその合併症の発症又は発症するリスクの判断に用いられる、請求項8に記載のキット。
- 最終糖化産物(AGEs)に対するモノクローナル抗体であって、メチルグリオキサール−ハイドロイミダゾロン(MG-H1)に対して特異的に結合するモノクローナル抗AGEs抗体を含む、生体試料中のMG-H1を検出又は定量するためのキットであって、
前立腺癌の発症又は発症するリスクの判断に用いられる、キット。
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