JP2008266271A - カルボキシエチルアルギニンに対する抗体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシエチルアルギニンに対する抗体。
【選択図】なし
Description
(1) カルボキシエチルアルギニンに対する抗体。
(2) モノクローナル抗体である、(1)に記載の抗体。
(3) カルボキシエチルアルギニンと反応し、Nω-carboxymethylarginine (CMA)、Nε-(carboxymethyl)lysine (CML)、Nε-(carboxyethyl)lysine (CEL)、S-(carboxymethyl)cysteine (CMC)、及びアルギニンと反応しない、(1)又は(2)に記載の抗体。
(5) 受領番号FERM AP−21292を有するハイブリドーマにより産生される、カルボキシエチルアルギニンに対するモノクローナル抗体。
(7) (1)から(5)の何れかに記載の抗体を含む、カルボキシエチルアルギニンの検出試薬。
(8) (1)から(5)の何れかに記載の抗体を含む、糖尿病合併症の検出試薬。
(10) (1)から(5)の何れかに記載の抗体と試料とを反応させて試料中のカルボキシエチルアルギニンを測定することを含む、糖尿病合併症の検出方法。
本発明の抗体を作成するための抗原としては、カルボキシエチルアルギニンを用いる。カルボキシエチルアルギニンは、アルギニンとメチルグリオキサールをNaOH溶液中で反応させ、HClで中性に戻した後、イオン交換カラムにアプライし、各分画を薄層クロマトグラフィーを用いてアセトニトリルで展開し、ニンヒドリン陽性でアルギニンとは異なる化合物を含むフラクションを回収することによって取得することができる。
ポリクローナル抗体を作製するためには、カルボキシエチルアルギニンをヘモシアニン蛋白又はヒト血清アルブミンなどのタンパク質に結合させたカルボキシエチルアルギニン付加体を抗原として、これを哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与する。抗原の動物1匹当たりの投与量は、アジュバントを用いないときは0.1〜100mgであり、アジュバントを用いるときは1〜100μgである。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内等に注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜5週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。そして、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定法(ELISA(enzume-linked immunosorbent assy)又は EIA(enzyme immunoassay))、放射性免疫測定法(RIA;radioimmuno assay)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得る。抗血清から抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることにより精製することができる。
モノクローナル抗体を作製するためには、先ず、カルボキシエチルアルギニン又はヘモシアニン蛋白又はヒト血清アルブミンなどのタンパク質に結合させたカルボキシエチルアルギニンを抗原として、哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与する。抗原の動物1匹当たりの投与量は、アジュバントを用いないときは0.1〜100mgであり、アジュバントを用いるときは1〜100μgである。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内に注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜5週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。そして、最終の免疫日から1〜60日後、好ましくは1〜14日後に抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞又は局所リンパ節細胞が好ましい。
本発明においては、前記抗体を用いてカルボキシエチルアルギニンを検出(測定、又は定量などを含む)することができる。カルボキシエチルアルギニンと反応させる抗体としては、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体単独でもよく、両者を混合してもよい。本発明の抗体を用いてカルボキシエチルアルギニンを検出する方法としては、公知の測定法、例えば、ELISA法、RIA法、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法等を任意に利用することができる。用いる標識物質は、上記測定法に応じて、酵素、放射性同位体、蛍光化合物、および化学発光化合物等を適宜選択すればよい。前記酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ等を挙げることができる。上記標識物質はアビジン−ビオチン複合体を用いることにより、標識物質の検出感度を向上させることも可能である。また、放射性同位体としては、主に125Iが、蛍光化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)やテトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)等が挙げられる。化学発光化合物としては、ロフィン、ルミノール、ルシゲニン等が挙げられる。上記標識物質による抗体の標識は、常法に従って行うことができる。以下、標識抗体を用いた標識免疫測定法について説明する。
標識免疫測定法による、本発明の抗体を検出する測定系は、公知の非競合反応系あるいは競合反応系を用いて構築することができる。非競合反応系においては、固相が必要である(固相法)。競合反応系においては、必ずしも固相を必要としない(液相法)が、固相を用いた方が、測定操作が簡便になるため好ましい。固相の材質としては、例えば、ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セルロース等が挙げられ、固相の形状としては、球状、ウェル状、チューブ状、シート状等が挙げられるが、これらに限定されず、標識免疫測定法に用いられる公知のものを任意に用いることができる。
前記標識免疫測定法の好適な例として、酵素を標識とした免疫測定法、ELISA法を挙げることができる。ELISA法は、例えば、96穴プレートに検体またはその希釈液を入れて、4℃〜室温で一晩、または37℃で1〜3時間程度静置して検出すべきカルボキシエチルアルギニンを吸着させて固相化する。次に、本発明の抗体を反応させ、次いであらかじめ酵素を結合させた抗免疫グロブリン抗体(二次抗体)を反応させる。最後に酵素と反応する適当な発色性の基質(例えば、酵素がホスファターゼならp−ニトロフェニルリン酸等)を加え、この発色によって抗体を検出する。
本発明の抗体をカルボキシエチルアルギニンと反応させることにより、糖尿病性腎症などの糖尿病合併症を検出することができる。糖尿病合併症としては、糖尿病性腎症、網膜症、神経障害などの糖尿病性細血管合併症、あるいは動脈硬化症に代表される糖尿病大血管合併症等が挙げられる。本発明において、これらの合併症の検出となる疾患は、1種類でもよく2種類以上が併発したものでもよい。
本発明においては、カルボキシエチルアルギニンに対する抗体を、各種試薬として使用することができる。例えば、カルボキシエチルアルギニンの検出試薬、又は糖尿病合併症の検出試薬として使用することができる。また、本発明の抗体を免疫組織染色用試薬として用いる場合は、通常の免疫組織染色法に従って検出が行われる。例えば、糖尿病患者のバイオプシーから得られる種々の組織切片を常法により調製し、本発明の抗体を結合させる。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識した抗マウスIgG抗体を二次抗体として本発明の抗体に結合させ、3,3'-ジアミノベンジジン(3,3'-diamonobenzidine)処理を施して染色する。染色後顕微鏡観察を行うことにより、カルボキシエチルアルギニンを検出することができる。
0.1 Mアルギニンと0.1 Mメチルグリオキサールを1 N NaOH溶液25mL中で37度、24時間反応し、1H HClで中性に戻した。イオン交換カラムであるDowex 50 10 mLにアプライした後、1mLずつ分取し、各分画を薄層クロマトグラフィーを用いて80%アセトニトリルで展開し、ニンヒドリン陽性でアルギニンとは異なる化合物を含むフラクションを回収した。その後、アミノ酸分析機で単一化合物であることを確認した。その後、NMRで構造解析を行い(図1)、CEA(Gruber Pら、J. Peptide Res 66, 111-124, 2005)と同一であることを確認した。
(i) 抗体産生細胞の採取
常法に従いCEA 1 mgを10 mgのカルボジイミイドと4 mgのヘモシアニン蛋白(KLH: keyhole limpet hemocyanin)あるいはヒト血清アルブミン(HSA)と1 mlのリン酸緩衝液中で1時間反応し、CEA付加体であるCEA-KLH、CEA-HSAを作製した。その後マウス1匹に付き0.1 mgのCEA-KLHをフロイント完全アジュバント(FCA)で免疫、その2週間後、4週間後に同量のCEA-KLHをフロイント不完全アジュバント(FIA)で皮内に追加免疫を行った。3回免疫後より2週間後、尾静脈より採血を行い抗体価が上昇していることをCEA-KLHを抗原としたELISAにより評価し、5000倍希釈した抗血清とCEA-KLHが有意に反応することを確認した後、動物から脾臓を摘出し抗体産生細胞を採集した。
ハイブリドーマを得るため、抗体産生細胞とミエローマ細胞(P3U1)との細胞融合を行う。細胞融合は、血清を含まないRPMI-1640培地中で、1×106 〜1×107 個/mlの抗体産生細胞と2×105 〜2×106個/mlのミエローマ細胞とを平均分子量1000〜6000ダルトンのポリエチレングリコール存在下で混合した。その後、HAT培地存在下で10日間培養した後、培養上清0.05 mlを採取し、ELISAの一次抗体として使用した。ELISAは、10 μg/mlのCEA-KLHを各ウェルに0.05 mlずつ固相化した。抗体に結合した一次抗体はHRP標識した抗マウスIgG抗体で検出し、その後、1,2-phenylenediamine dihydrochlorideで発色し、ELISAリーダーで492 nmの吸光度を測定した。融合細胞のクロ-ニングは、限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマを樹立した。その後、類似AGE構造体である、CML、CEL、CMC、未修飾のアルギニンと交差反応を示さない株をELISAにて選択した。
プリスタン0.5 mlを予め腹腔に投与したBalb/cマウスに、得られたハイブリドーマを約1×107 個腹腔内投与し、およそ10日後に腹水を採集した。得られた腹水よりプロテインGアフィニティークロマトグラフィーを用いてイムノグロブリンGを精製した。本ハイブリドーマが産生する抗体はアイソタイピングの結果、IgG 2aであった。
実施例2で得られたハイブリドーマRN-3A7が産生するモノクローナル抗体(以下、モノクローナル抗体RN-3A7と称する)の反応性を調べた。具体的には、0.1 mlのCEA-HSA (0.1 μg/ml)をイムノプレートに固相化した後、1 mMから段階希釈したCEA, CMA, CML, CEL, CMC, アルギニン0.05 mlと0.1 μg/mlのRN-3A7を等量混合し、混合液0.1 mlをイムノプレートの各ウェルに加えた。その後、イムノプレートに結合した抗体RN-3A7はHRP標識抗マウスIgG抗体で検出を行った。
実施例2で得られたモノクローナル抗体RN-3A7とメチルグリオキサール修飾アルブミンとの反応性を調べた。具体的には10 mMのメチルグリオキサールと2 mg/mlのHSAを試験管内で37度で保温し、経時的に反応溶液を採取した。その後、10 μg/mlのメチルグリオキサール修飾HSAをイムノプレートに0.1 ml加えて固相化した後、CEAは実施例2で得られたモノクローナル抗体RN-3A7、CELは既存のモノクローナル抗CEL抗体をそれぞれ1 μg/mlの濃度で用いた。その後、イムノプレートに結合した一次抗体はHRP標識抗マウスIgG抗体で検出を行った。
競合法ELISAによって、ヒト血清試料中CEA含量を定量した。具体的にはCEA-HSA 0.1μg/ml、0.1 mlをイムノプレートに固相化した後、PBSで可溶化した0.5% gelatin溶液でプレートをブロッキングした。その後、0.05% Tween 20含有PBS溶液で2倍希釈した血清0.05 mLと、等量のモノクローナル抗CEA抗体(モノクローナル抗体RN-3A7) 1μg/mlを各ウェルに加え、1時間保温した。洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体を各ウェルに加え1時間保温した。洗浄後、1,2-フェニレンジアミン二塩酸塩により5分間発色して吸光度492 nmを測定した。血清サンプルの代わりに0.05% Tween 20含有PBS溶液のみを加えた場合の吸光度をCEA値ゼロ、標準品CEA 0.5 mMで競合させた場合の吸光度をCEA値1とし、血清サンプルによる競合阻害率よりCEA含量を評価した。
Claims (10)
- カルボキシエチルアルギニンに対する抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
- カルボキシエチルアルギニンと反応し、Nω-carboxymethylarginine (CMA)、Nε-(carboxymethyl)lysine (CML)、Nε-(carboxyethyl)lysine (CEL)、S-(carboxymethyl)cysteine (CMC)、及びアルギニンと反応しない、請求項1又は2に記載の抗体。
- ヘモシアニン蛋白又はヒト血清アルブミンに結合させたカルボキシエチルアルギニンを抗原として免疫動物に投与することによって生成される、請求項1から3の何れかに記載の抗体。
- 受領番号FERM AP−21292を有するハイブリドーマにより産生される、カルボキシエチルアルギニンに対するモノクローナル抗体。
- 受領番号FERM AP−21292を有するハイブリドーマ。
- 請求項1から5の何れかに記載の抗体を含む、カルボキシエチルアルギニンの検出試薬。
- 請求項1から5の何れかに記載の抗体を含む、糖尿病合併症の検出試薬。
- 請求項1から5の何れかに記載の抗体と試料とを反応させることを含む、試料中のカルボキシエチルアルギニンを検出する方法。
- 請求項1から5の何れかに記載の抗体と試料とを反応させて試料中のカルボキシエチルアルギニンを測定することを含む、糖尿病合併症の検出方法。
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