(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る空気調和システム1について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に示す空気調和システム1は、例えば、オフィスビルに設置され、オフィススペース、廊下、及び、トイレ等の空調空間Sの空気を調和させる。
空気調和システム1は、空調空間Sの温度及び湿度を計測する第1計測装置110及び第2計測装置120、温度及び湿度の調整に用いられる冷媒を加熱又は冷却する室外機200、冷媒を用いて空調空間Sの温度及び湿度を調整する室内機である第1空気調和機(以下、第1空調機という)210及び第2空気調和機(以下、第2空調機という)220、を備える。また、空気調和システム1は、第1計測装置110で計測された温度及び湿度、第2計測装置120で計測された温度及び湿度、並びに、第1計測装置110及び第2計測装置120の位置、に基づいて、第1空調機210及び第2空調機220を制御する制御装置900を備える。
第1計測装置110は、例えば、オフィススペースの壁面又はデスクに設置され、設置された位置を、発熱による遠赤外線を発することで制御装置900に知らせる。このため、第1計測装置110は、発熱を制御するプログラムを含んだ各種のプログラムを実行する、図2のCPU(Central Processing Unit)111、各種のプログラムを保存するROM(Read Only Memory)112及びフラッシュメモリ113、並びに、各種のプログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)114を備える。
また、第1計測装置110は、CPU111から入力される信号に従って発熱する、図3の発熱部115を備える。発熱部115は、本発明に係る発熱手段の一例である。
発熱部115に入力されるCPU111の信号は、温度THでの発熱を指示する信号SH、温度THよりも低い温度TMでの発熱を指示する信号SM、温度TMよりも低い温度TLでの発熱を指示する信号SL、及び、発熱の停止を指示する信号SSを含む。好適な温度TH、温度TM、及び、温度TLは、当業者が実験により決定できる。
発熱部115は、電源PWに接続された端子P0と、サーモスタットBHに接続された端子PH、サーモスタットBMに接続された端子PM、及び、サーモスタットBLに接続された端子PLと、を有するスイッチSWを備える。スイッチSWは、CPU111に接続されており、温度THでの発熱を指示する信号SHが入力されると、電源PWに接続された端子P0を、サーモスタットBHに接続された端子PHと接続させる。また、スイッチSWは、信号SMが入力されると端子P0を端子PMと接続させ、信号SLが入力されると端子P0を端子PLと接続させる。また、スイッチSWは、発熱の停止を指示する信号SSが入力されると、端子P0を端子PH、端子PM、及び端子PLのいずれとも接続させずに回路を開く。
発熱部115は、一端をスイッチSWに接続され、他端を電熱線Rに接続されたバイメタル型のサーモスタットBH、BM、及び、BLを備える。発熱部115の内部の温度が温度TL未満であると、サーモスタットBH、BM、及び、BLのいずれもが回路を閉じる。また、発熱部115の内部の温度が温度TL以上かつ温度TM未満であると、サーモスタットBH及びBMは回路を閉じ、かつ、サーモスタットBLは回路を開く。さらに、発熱部115の内部の温度が温度TM以上かつ温度TH未満であると、サーモスタットBHは回路を閉じ、かつ、サーモスタットBM及びBLは回路を開く。またさらに、発熱部115の内部の温度が温度TH以上であると、サーモスタットBH、BM、及び、BLのいずれもが回路を開く。
発熱部115は、一端をサーモスタットBH、BM、及び、BLに接続され、かつ、他端を電源PWに接続された電熱線Rを備える。電熱線Rは、スイッチSWと、サーモスタットBH、BM、及び、BLのいずれか1つ以上と、によって回路が閉じられている場合に発熱して遠赤外線を発生させる。これに対して、電熱線Rは、スイッチSWが回路を開いている場合、又は、サーモスタットBH、BM、及び、BLの全てが回路を開いている場合に発熱を停止する。
つまり、発熱部115は、温度THでの発熱を指示する信号SHが入力されると、発熱部115の温度が温度TH未満となれば発熱し、発熱部115の温度が温度TH以上となれば発熱を停止する。このため、発熱部115の発熱状態は、信号SHの入力から十分な時間が経過すると温度THで発熱し続ける定常状態となる。信号SHの入力から発熱状態が定常状態となるまでに要する待機時間は、当業者が実験により定めることができ、実験により定められた待機時間は、図2に示したフラッシュメモリ113に予め保存されている。
同様に、発熱部115は、信号SMが入力されると温度TMで発熱し、信号SLが入力されると温度TLで発熱する。また、発熱部115は、発熱の停止を指示する信号SSが入力されると発熱を停止するため、待機時間を経過すると、発熱部115の温度は、室温と同じになる。
図2の第1計測装置110は、図1に示した空調空間Sの温度を計測する温度センサ116a及び空調空間Sの湿度を計測する湿度センサ116bを有する計測部116を備える。計測部116は、空調空間Sの温度及び湿度を正確に計測するため、熱絶縁体で発熱部115と隔てられている。本実施の形態では、熱絶縁体は、例えば、グラスウール、ケイ酸カルシウム及びセラミックファイバー等の繊維状物質であると説明するが、これに限定される訳では無く、ポリウレタンフォーム、バーキ及び積層板ライト等の多孔質物質であっても良い。計測部116は、本発明に係る計測手段の一例である。
さらに、第1計測装置110は、近距離無線通信規格であるBLE(Bluetooth Low Energy)に従って、計測部116で計測された温度を表す計測温度情報、及び、湿度を表す計測湿度情報を、制御装置900へ送信する無線通信回路117を備える。
また、第1計測装置110は、ユーザの操作に応じた信号をCPU111へ入力するボタン118と、CPU111から出力されたデジタル信号に基づいて画像を描画して画像信号を出力するビデオカード119aと、ビデオカード119aから出力された画像信号に従って画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)119bと、を備える。
第1計測装置110のCPU111は、第1計測装置110を識別する識別情報を表すパターンに従って発熱部115を発熱させる、図4の発熱制御処理を実行する。識別情報を表すパターンに従って発熱部115を発熱させるのは、第1計測装置110による発熱のパターン(以下、第1パターンという)と、第2計測装置120による発熱のパターン(以下、第2パターンという)と、を互いに異なるパターンとするためである。
第1計測装置110のフラッシュメモリ113は、発熱のパターンを表す情報が予め保存された、図5のパターンテーブルを予め記憶している。パターンテーブルには、発熱のパターンで表される識別情報と、当該発熱のパターンに従って行われる第1回目から第N回目までの発熱の状態(以下、発熱状態という)を表す情報と、が対応付けられて保存されている。
パターンテーブルにおいて、発熱状態は、温度THで発熱する状態を表す記号「強」、温度TMで発熱する状態を表す記号「中」、温度TLで発熱する状態を表す記号「弱」、及び、発熱していない状態を表す記号「無」という4種類の記号で表される。このため、N回の発熱を行うパターンによって、4N−1通りの識別情報が表される。
第1計測装置110のCPU111は、電源が投入されたタイミング、又は、図4の発熱制御処理の実行を命じるコマンドを、無線通信回路117が制御装置900から受信したタイミングで、発熱制御処理の実行を開始する。
CPU111は、発熱制御処理を開始すると、無線通信回路117に割り当てられた通信アドレスを取得し、取得された通信アドレスを第1計測装置110の識別情報とする。第1計測装置110の通信アドレスは、第2計測装置120の通信アドレスと、通常、異なるからである。
次に、CPU111は、図5のパターンテーブルから、第1計測装置110の識別情報と対応付けられた第1回目から第N回目までの発熱状態を取得し、取得された発熱状態で発熱を行うパターンを第1パターンとする(ステップS01)。
次に、CPU111は、発熱回数を表す変数nを値「1」で初期化した後に(ステップS02)、変数nで表される発熱回数が、第1パターンで行われる発熱回数N以下であるか否かを判別する(ステップS03)。
このとき、CPU111は、変数nがN以下であると判別すると(ステップS03;Yes)、ステップS01で取得した第n回目の発熱状態で発熱させる制御を、図2の発熱部115に行う(ステップS04)。例えば、第n回目の発熱状態が、記号「強」で表される温度THで発熱する状態であれば、CPU111は、温度THでの発熱を指示する信号SHを発熱部115に入力する。
次に、CPU111は、例えば、ソフトウェアタイマーを用いて、ステップS04で発熱の制御を行った時からの経過時間の計時を開始する。その後、CPU111は、フラッシュメモリ113に保存された待機時間を読み出し、ソフトウェアタイマーで計時する経過時間が待機時間を超えたか否かに基づいて、発熱部115の発熱状態が定常状態であるか否かを判別する(ステップS05)。このとき、CPU111は、経過時間が待機時間を超えていないため、定常状態でないと判別すると(ステップS05;No)、一定時間スリープした後に、再度ステップS05の処理を実行する。
これに対して、CPU111は、経過時間が待機時間を超えたため定常状態であると判別すると(ステップS05;Yes)、発熱回数を表す発熱回数情報と、変化後の発熱の状態を表す発熱状態情報と、を、制御装置900を宛先として、図2の無線通信回路117に出力する(ステップS06)。次に、無線通信回路117は、発熱回数情報と発熱状態情報とを制御装置900へ送信する。
その後、CPU111は、指示した発熱状態が継続している時間の計時を、例えば、ソフトウェアタイマーを用いて開始する。次に、CPU111は、例えば、空気調和システム1の保守管理者によって、発熱を継続させる時間として予め設定された設定時間をフラッシュメモリ113から読み出し、計時された発熱の継続時間が設定時間を超えたか否かを判別する(ステップS07)。このとき、CPU111は、発熱の継続時間が設定時間を超えていないと判別すると(ステップS07;No)、一定時間スリープした後に、再度ステップS07の処理を実行する。
これに対して、CPU111は、発熱の継続時間が設定時間を超えたと判別すると(ステップS07;Yes)、発熱回数を表す変数nを値「1」増加させた後に(ステップS08)、ステップS03に戻り上記処理を繰り返す。
ステップS03において、CPU111は、変数nがNよりも大きいため、第1パターンに従った一連の発熱の全てを行ったと判別すると(ステップS03;No)、発熱制御処理の実行を終了する。
第1計測装置110のCPU111は、発熱制御処理の実行が終了してから、フラッシュメモリ113に保存された待機時間と同じ長さの時間が経過した後に、空調空間Sの温度及び湿度を計測する、不図示の温度湿度計測処理の実行を一定周期で繰り返す。発熱部115が発熱を終了してから待機時間以上の時間が経過していれば、第1計測装置110の温度は、空調空間Sの温度と同じ温度になっていると考えられるからである。
また、CPU111は、発熱制御処理の実行が再開されると、一定周期で繰り返す温度湿度計測処理の実行を中断する。発熱部115が発熱を開始すれば、第1計測装置110が計測する温度は、空調空間Sの温度よりも高くなるおそれがあり、かつ、第1計測装置110が計測する湿度は、空調空間Sの湿度よりも低くなるおそれがあるからである。その後、CPU111は、発熱制御処理の実行が終了してから待機時間経過した後に、一定周期で繰り返す温度湿度計測処理の実行を再開する。
温度湿度計測処理の実行を開始すると、第1計測装置110のCPU111は、図2の温度センサ116aが出力する信号に基づいて計測温度情報を生成し、湿度センサ116bが出力する信号に基づいて計測湿度情報を生成する。その後、CPU111は、制御装置900を宛先として計測温度情報及び計測湿度情報を無線通信回路117に出力した後に、無線通信回路117が計測温度情報及び計測湿度情報を制御装置900へ送信してから、温度湿度計測処理の実行を終了する。
第2計測装置120は、第1計測装置110と同様のハードウェアを備え、第1計測装置110と同様の機能を発揮する。つまり、第2計測装置120は、第1計測装置110の発熱部115及び計測部116と同様の構成及び機能を有する、不図示の発熱部及び計測部を備える。第2計測装置120は、第1計測装置110と同様に、図4の発熱制御処理を実行することで、第2計測装置120の通信アドレスを表す第2パターンに従って不図示の発熱部を発熱させる。
図1の第1空調機210は、第1計測装置110及び第2計測装置120が設置された空調空間Sの熱画像である第1熱画像を生成し、生成された第1熱画像を、第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定する制御装置900へ送信する。
このため、第1空調機210は、第1熱画像の生成及び送信を制御するプログラムを含んだ各種のプログラムを実行する、図6のCPU211、各種のプログラムを保存するROM212及びフラッシュメモリ213、並びに、各種のプログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM214を備える。
また、第1空調機210は、輻射熱の計測結果に基づいて、空調空間Sの熱分布を表す第1熱画像を生成する第1輻射センサ215を備える。第1輻射センサ215は、輻射熱を計測するため、例えば、リモートコントローラが有する赤外線LED(Light Emitting Diode)から発せられる近赤外線を検出することができない又は難しいが、熱体から発せられる遠赤外線を検出できる。
第1輻射センサ215は、遠赤外線を透過させるレンズ251aと、レンズ251aを透過した遠赤外線によって生じる輻射熱を電気信号に変換するサーモパイルアレイ251bと、を有する輻射熱計測部251を備える。
輻射熱計測部251は、レンズ251aの光軸を、図7に示す鉛直上方向をZw軸の正方向とする世界座標系XwYwZwにおいて、Xw軸の正方向と成す角度がθ1である水平方向LA1に向けて設置されている。つまり、レンズ251aの光軸の設置方向は、水平方向LA1である。
サーモパイルアレイ251bは、図8に示す第1熱画像の副走査方向に1列に並んだNy個の画素に対応する、鉛直方向に1列に並べられたNy個のサーモパイル素子で構成される。
説明を簡単にするため、Nyは奇数であるとして以下説明する。サーモパイルアレイ251bの中心に位置するサーモパイル素子(以下、中心素子という)は、レンズ251aの光軸と重なる位置に配置されている。光軸が水平方向LA1に向けられている場合、中心素子は、水平方向LA1から到来する遠赤外線により生じる輻射熱に応じた電気信号を出力する。
中心素子より1つ上の位置に配置されたサーモパイル素子は、光軸が水平方向LA1に向けられている場合、図9に示すレンズ251aの中心が設置された位置(以下、レンズ251aの設置位置という)PA1を通り水平方向LA1よりも刻み角度φだけ下の方向から到来する遠赤外線により生じる輻射熱に応じた電気信号を出力する。但し、刻み角度φは、レンズ251aの焦点距離と鉛直方向におけるサーモパイル素子のサイズとで決まる角度である。つまり、刻み角度φは、焦点距離と等しい長さの隣辺と、サーモパイル素子のサイズに等しい長さの対辺と、を有する直角三角形を用いる従来の算出方法により特定できる。
同様に、中心素子よりi個上の位置に配置されたサーモパイル素子は、水平方向LA1よりも刻み角度φ×iだけ下の方向から到来する遠赤外線により生じる輻射熱に応じた電気信号を出力する。但し、iは2以上、かつ、(Ny−1)/2以下の自然数である。
また同様に、中心素子よりi個下の位置に配置されたサーモパイル素子は、水平方向LA1よりも刻み角度φ×iだけ上の方向から到来する遠赤外線によって生じる輻射熱に応じた電気信号を出力する。
図6の第1輻射センサ215は、輻射熱計測部215を走査させる不図示のステッピングモータを含んだ走査部252を備える。走査部252は、輻射熱計測部215の走査において、サーモパイルアレイ251bの受光面をレンズ251aの光軸と垂直に保ちながら、レンズ251aの設置位置PA1を変えずに、レンズ251aの光軸の方向を水平に維持したまま、変更前と異なる方向に変更する。
走査部252が、レンズ251aの光軸の方向を、図7の水平方向LA1から変化させる前に、サーモパイルアレイ251bは、第1熱画像の第1列の画素列を表す電気信号を出力する。次に、走査部252が、レンズ251aの光軸の方向を、水平方向LA1から刻み角度φだけYw軸の正方向に変化させると、サーモパイルアレイ251bは、第2列の画素列を表す電気信号を出力する。同様に、走査部252が、光軸の方向をさらに刻み角度φだけ変化させると、サーモパイルアレイ251bは、第3列の画素列を表す電気信号を出力する。同様の処理の繰り返しにより、サーモパイルアレイ251bは、第4列から第Nx列の画素列を表す電気信号を出力する。その後、走査部252は、レンズ251aの光軸の方向を走査前の水平方向LA1に戻す。
図6の第1空調機210は、サーモパイルアレイ251bから出力された第1列から第Nx列の画素列を表す電気信号に基づいて第1熱画像を生成する第1熱画像生成回路216を備える。第1熱画像生成回路216は、本発明に係る第1熱画像生成手段の一例である。
第1空調機210は、図1の通信ケーブルCに接続され、第1輻射センサ215で生成された第1熱画像を制御装置900へ送信し、かつ、制御装置900からコマンドを受信する有線通信回路217を備える。
また、第1空調機210は、制御装置900から受信されたコマンドに基づいて、空調空間Sの空気を循環させるファン218と、ファン218を回転させるモータ219と、を備える。
第1空調機210のCPU211は、電源が投入されたタイミングで、第1熱画像の生成を行う、不図示の画像生成処理の実行を開始する。CPU211は、画像生成処理を開始すると、第1熱画像を生成させる制御を第1輻射センサ215に行い、第1輻射センサ215で生成された第1熱画像を制御装置900へ送信させる制御を、有線通信回路217に行う。
その後、CPU211は、例えば、図1の空気調和システム1の保守管理者によって、第1熱画像を生成する時間間隔として予め設定された設定間隔をフラッシュメモリ213から読み出す。設定間隔は、第1計測装置110及び第2計測装置120が発熱を継続させる時間として、第1計測装置110及び第2計測装置120に設定された設定時間よりも短い間隔に設定されている。第1計測装置110及び第2計測装置120が発熱の状態を変化させた後から、次に発熱の状態を変化させる前までに、少なくとも1枚の第1熱画像を生成させるためである。
CPU211は、設定間隔を読み出すと、ソフトウェアタイマーを用いて計時を開始した後に、計時された経過時間が設定間隔よりも長くなるまでスリープしてから、第1熱画像を生成させる制御を行う処理から上記処理を繰り返す。
図1の第2空調機220は、第1空調機210と同様のハードウェアを備え、第1空調機210と同様の機能を発揮する。すなわち、第2空調機220は、不図示の第2輻射センサと第2熱画像生成回路とを備える。第2熱画像生成回路は、本発明に係る第2熱画像生成手段の一例である。
第2空調機220が備える第2輻射センサは、図7に示すXw軸の正方向と成す角度がθ2である水平方向LA2に光軸を向けて設置されている。つまり、第2輻射センサの光軸の設置方向は、水平方向LA2である。また、第2輻射センサの光軸の向きは、第2輻射センサが備えるレンズの設置位置PA2を変化させずに、水平を維持したまま変更可能である。
図1の制御装置900は、例えば、空調空間Sの壁に設置された集中リモコンであり、ユーザの操作に従って、第1空調機210及び第2空調機220を制御する。
このため、制御装置900は、空調制御プログラムを含んだ各種のプログラムを実行する、図10のCPU901、各種のプログラムを保存するROM902及びフラッシュメモリ903、並びに、各種のプログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM904を備える。
制御装置900は、第1計測装置110及び第2計測装置120と無線通信する無線通信回路907aと、図1の通信ケーブルCに接続され、第1空調機210及び第2空調機220と通信する有線通信回路907bと、を備える。無線通信回路907aは、本発明に係る第1通信手段の一例であり、有線通信回路907bは、本発明に係る第2通信手段の一例である。
制御装置900は、ユーザの操作に従った信号を入力するボタン908と、図2に示したビデオカード119a及びLCD119bと同様の構成及び機能を有するビデオカード909a及びLCD909bと、を備える。制御装置900は、ボタン908に代えてタッチパネルを備えても良い。
制御装置900のCPU901は、第1熱画像と第2熱画像とに基づいて、発熱により位置を通知する第1計測装置110又は第2計測装置120の設置位置を特定する、図11の位置特定処理を実行する。
これにより、CPU901は、第1熱画像と第2熱画像とを有線通信回路907bから取得する、図12の取得部910、及び、取得部910で取得された第1熱画像及び第2熱画像に基づいて第1計測装置110及び第2計測装置120の設置位置を特定する特定部920として機能する。取得部910は、本発明に係る取得手段の一例であり、特定部920は、本発明に係る特定手段の一例である。
さらに、CPU901は、特定部920で特定された第1計測装置110及び第2計測装置120の設置位置と、第1計測装置110及び第2計測装置120で計測された温度及び湿度と、に基づいて、第1空調機210及び第2空調機220を制御する制御部930として機能する。制御部930は、本発明に係る制御手段の一例である。
図10のフラッシュメモリ903は、位置特定処理で用いられる情報を記憶する情報記憶部990として機能する。
情報記憶部990は、第1計測装置110及び第2計測装置120を発熱させる実験により観測された画素値の範囲を表す情報が予め保存されている、図13の画素値テーブルを記憶している。
画素値テーブルには、発熱の状態と、当該状態で第1計測装置110及び第2計測装置120を発熱させる実験において観測された、第1計測装置110及び第2計測装置120を表す画素の画素値の最小値と、最大値と、が対応付けられたレコードが予め保存されている。
また、情報記憶部990は、画素値テーブルを用いた検出処理の実行結果を表す情報が保存される、図14の検出結果テーブルを記憶している。検出結果テーブルには、発熱した第1計測装置110又は第2計測装置120の識別情報と、パターンに従った何回目の発熱であるかを表す情報と、発熱状態と、が対応付けられたレコードが保存される。当該レコードの発熱状態には、発熱状態に対応した画素値の画素として、第1熱画像から画素値テーブルを用いて検出された画素(以下、第1画素という)の座標値が1又は複数対応付けられて保存される。同様に、当該レコードの発熱の状態には、発熱状態に対応した画素値の画素として第2熱画像から検出された画素(以下、第2画素という)の座標値が1又は複数対応付けられて保存される。
また、情報記憶部990は、第1熱画像を生成した第1空調機210の設置状況と、第2熱画像を生成した第2空調機220の設置状況と、を表す情報が予め保存された、図15の設置状況テーブルを記憶している。第1画素及び第2画素に基づいて特定される遠赤外線の到来方向を表すベクトルを、第1空調機210の設置状況及び第2空調機220の設置状況に基づいて、図7の世界座標系XwYwZwで表される方向ベクトルに変換するためである。
設置状況テーブルには、第1空調機210の通信アドレスと、図7のXw軸と第1空調機210の光軸の設置方向LA1とが成す設置角度θ1と、光軸の刻み角度φと、第1空調機210の設置位置PA1の座標値と、が対応付けられたレコードが予め保存されている。同様に、設置状況テーブルには、第2空調機220の通信アドレスと、図7のXw軸と第2空調機220の光軸の設置方向LA2とが成す設置角度θ2と、第2空調機220の設置位置PA2の座標値と、が対応付けられたレコードが予め保存されている。
また、情報記憶部990は、位置特定処理によって特定された第1計測装置110の設置位置(以下、特定位置という)及び第2計測装置120の特定位置を表す情報が保存される、図16の特定位置テーブルを記憶している。特定位置テーブルには、第1計測装置110又は第2計測装置120を識別する識別情報と、第1計測装置110又は第2計測装置120の特定位置を表す情報と、が対応付けられたレコードが保存される。
制御装置900のCPU901は、「第1計測装置110」による発熱の状態を表す発熱状態情報を、図10の無線通信回路907aが受信すると、「第1計測装置110」の設置位置を特定するために、図11の位置特定処理の実行を開始する。
これに対して、制御装置900のCPU901は、「第2計測装置120」による発熱の状態を表す発熱状態情報が受信されると、「第2計測装置120」の設置位置を特定するために位置特定処理の実行を開始する。
第1計測装置110が発熱状態情報を送信するタイミングと、第2計測装置120が発熱状態情報を送信するタイミングと、は、時分割されていない。このため、制御装置900のCPU901は、「第1計測装置110」の位置を特定するための位置特定処理と、「第2計測装置120」の位置を特定するための位置特定処理と、を並列的に実行する場合がある。しかし、説明を簡単にするために、先ず、「第1計測装置110」の設置位置を特定するための位置特定処理について説明した後に、「第2計測装置120」の設置位置を特定するための位置特定処理について説明する。
第1計測装置110の設置位置を特定する、図11の位置特定処理の実行が開始されると、取得部910は、第1計測装置110による発熱の状態に対応した第1画素及び第2画素を検出する、図17の検出処理を実行する(ステップS11)。
検出処理の実行を開始すると、取得部910は、無線通信回路907aが第1計測装置110との通信に用いた通信アドレスを、第1計測装置110の識別情報として取得する。次に、取得部910は、無線通信回路907aが第1計測装置110から受信した発熱状態情報と発熱回数情報とを無線通信回路907aから取得する(ステップS21)。
その後、取得部910は、図10の有線通信回路907bが第1空調機210から第1熱画像を受信するまでスリープする。その後、有線通信回路907bが第1熱画像を受信すると、取得部910は、第1熱画像を有線通信回路907bから取得する(ステップS22)。
その後、特定部920は、図13の画素値テーブルから、ステップS21で取得された発熱状態情報と対応付けられた画素値の最小値を表す情報と、画素値の最大値を表す情報と、を取得する。次に、特定部920は、ステップS22で取得された第1熱画像から、取得された情報で表される最小値以上、かつ、最大値以下の画素値を有する1又は複数の画素を検出し、検出された1又は複数の画素を第1画素と特定する(ステップS23)。
その後、ステップS22及びS23と同様の処理が実行されることで、第2熱画像が取得され(ステップS24)、第2熱画像から発熱の状態に対応する1又は複数の第2画素が特定される(ステップS25)。
その後、特定部920は、図8に示した第1熱画像の主走査方向を正方向とするXc軸と、副走査方向を正方向とするYc軸と、第1列の画素列における中心画素の位置を原点Ocとするカメラ座標系XcYcの座標値を、1又は複数の第1画素と、1又は複数の第2画素と、について特定する。
次に、特定部920は、図17のステップS21で取得された第1計測装置110の識別情報、発熱回数情報、及び、発熱状態情報と、ステップS23及びS25で特定された1又は複数の第1画素の座標値、及び、1又は複数の第2画素の座標値と、を対応付けたレコードを生成する。その後、特定部920は、生成されたレコードを、図14の検出結果テーブルに保存する(ステップS26)。
次に、特定部920は、ステップS21で取得された発熱回数情報で表される発熱回数が、発熱のパターンに従った最後の発熱回数Nであるか否かを判別する(ステップS27)。このとき、特定部920は、発熱回数が最後の発熱回数Nでないため、第1パターンに従った一連の発熱の途中であると判別すると(ステップS27;No)、ステップS21から上記処理を繰り返す。
これに対して、特定部920は、発熱回数が最後の発熱回数Nであるため、第1パターンに従った一連の発熱が終了したと判別すると(ステップS27;Yes)、図14の検出結果テーブルから、ステップS21で取得された識別情報が保存された複数のレコードを取得する。次に、特定部920は、取得された複数のレコードに共通して保存された1又は複数の第1画素の座標値と、複数のレコードに共通して保存された1又は複数の第2画素の座標値と、を特定する。第1パターンに従ったN回の発熱の状態に共通して検出された1又は複数の第1画素と1又は複数の第2画素とを特定するためである(図17のステップS28)。つまり、第1計測装置110が第1パターンに従って発熱しているときに、第2計測装置120が第2パターンに従って発熱し、かつ、第1計測装置110の発熱状態が、偶然、第2計測装置120の発熱状態と同じであった場合に、第2計測装置120から到来した遠赤外線による輻射熱を表した画素を除外するためである。
ステップS28において、特定部920は、複数のレコードに共通して保存された複数の第1画素の座標値を特定した場合、特定された複数の第1画素の全てを含む最小の円を特定し、特定された円の中心に位置する画素を、当該複数の第1画素を代表する第1画素と特定する。但し、これに限定される訳ではなく、例えば、複数の第1画素の座標値の平均値に最も近い座標値を有する画素を、当該複数の第1画素を代表する第1画素と特定しても良い。
同様に、特定部920は、ステップS28において、複数のレコードに共通して保存された1又は複数の第2画素を代表する第2画素を特定する。その後、特定部920は、検出処理の実行を終了する。
図11のステップS11で検出処理を実行した後に、特定部920は、図17のステップS28で特定された第1画素の座標値に基づいて、第1空調機210から第1計測装置110へ向かう、図7に示す第1直線L11を特定する、図18の直線特定処理を実行する(ステップS12)。
ここで、説明を容易にするため、図17のステップS28において、図8に示す画素IE11が第1画素として特定された場合を例に挙げて以下の説明を行う。
直線特定処理の実行を開始すると、特定部920は、図15の設置状況テーブルから、第1空調機210の通信アドレスと対応付けられた第1輻射センサ215の光軸の刻み角度φを取得する。次に、特定部920は、第1画素IE11のXc座標値に刻み角度φを乗算する。これにより、特定部920は、図7に示した走査前の第1空調機210の光軸の設置方向LA1と、第1計測装置110からの遠赤外線であって、第1画素IE11で表される輻射熱を生じさせた遠赤外線の到来方向(以下、第1方向という)D11のXwYw平面への射影と、が成す到来角度φxy11を特定する。
同様に、特定部920は、第1画素IE11のYc座標値に刻み角度φを乗算することで、図9に示した光軸の設置方向LA1のYwZw平面への射影と、第1方向D11のYwZw平面への射影と、が成す到来角度φxz11を特定する。
その後、特定部920は、図15の設置状況テーブルから、第1空調機210の通信アドレスと対応付けられた光軸の設置方向LA1を表す設置角度θ1を取得する。その後、特定部920は、到来角度φxy11及び到来角度φxz11、並びに、設置角度θ1を用いて、第1方向D11を表す世界座標系XwYwZwのベクトルを特定する(ステップS31)。
次に、特定部920は、図15の設置状況テーブルから、第1空調機210の通信アドレスに基づいて第1空調機210の設置位置PA1の世界座標系XwYwZwにおける座標値を取得する(ステップS32)。
その後、特定部920は、ステップS32で取得された第1空調機210の設置位置PA1を表す座標値と、ステップS31で特定された第1方向D11を表すベクトルとに基づいて、第1空調機210の設置位置PA1から遠赤外線の到来方向である第1方向D11に向かう第1直線L11を表す方程式を特定する(ステップS33)。
その後、特定部920は、ステップS31からステップS33と同様の処理を実行することで、第2空調機220の設置位置PA2から第2方向D21に向かう第2直線L21を表す方程式を特定する。但し、第2方向D21は、第1計測装置110から第2空調機220へ到来した遠赤外線の到来方向である(ステップS34からS36)。その後、特定部920は、直線特定処理の実行を終了する。
図11のステップS12で直線特定処理を実行した後に、特定部920は、図7に示す第1直線L11と第2直線L21との交点PM1の座標値を、第1直線L11を表す方程式と第2直線L21を表す方程式とを用いて特定する。次に、特定部920は、特定された交点PM1の座標値を、第1計測装置110の設置位置として特定する(ステップS13)。
その後、特定部920は、図16の特定位置テーブルに、ステップS11で取得された第1計測装置110の識別情報と、第1計測装置110の特定位置を表す情報と、を対応付けて保存した後に(ステップS14)、位置特定処理の実行を終了する。
次に、「第2計測装置120」の位置を特定するための位置特定処理について説明する。制御装置900の無線通信回路907aが、第2計測装置120から発熱状態情報を受信すると、制御装置900のCPU901は、第2計測装置120の位置を特定する位置特定処理の実行を開始する。
先ず、CPU901は、図17の検出処理を実行することで、第1熱画像から、第2計測装置120による発熱の状態に対応した第1画素を検出し、第2熱画像から第2画素を検出する(ステップS11)。
次に、特定部920は、図18の直線特定処理を実行することで、第1空調機210の設置位置PA1から第1方向D12に向かう第1直線L12を表す方程式を特定する(ステップS12)。但し、第1方向D12は、第2計測装置120から第1空調機210に到来した遠赤外線の到来方向である。同様に、特定部920は、第2空調機220の設置位置PA2から第2方向D22に向かう第2直線L22を表す方程式を特定する。但し、第2方向D22は、第2計測装置120から第2空調機220に到来した遠赤外線の到来方向である。
その後、特定部920は、図7に示す第1直線L12と第2直線L22との交点PM2の座標値を特定し、特定された交点PM2の座標値を第2計測装置120の設置位置として特定する(ステップS13)。
その後、特定部920は、図16の特定位置テーブルに、ステップS11で取得された第2計測装置120の識別情報と、第2計測装置120の特定位置を表す情報と、を対応付けて保存した後に(ステップS14)、位置特定処理の実行を終了する。
図10に示した制御装置900のボタン908が、ユーザの操作に応じた信号を入力すると、CPU901は、ユーザによって設定された温度(以下、設定温度という)及び設定された湿度(以下、設定湿度という)を、入力された信号に基づいて特定する。その後、CPU901は、設定温度を表す設定温度情報と、設定湿度を表す設定湿度情報と、を、フラッシュメモリ903に保存する。
図10に示した制御装置900の無線通信回路907aが第1計測装置110又は第2計測装置120から計測温度情報及び計測湿度情報を受信すると、CPU901は、第1空調機210及び第2空調機220を制御する、図19の空調制御処理を実行する。
空調制御処理の実行を開始すると、図12の取得部910は、無線通信回路907aから計測温度情報及び計測湿度情報を取得する。また、取得部910は、無線通信回路907aが計測温度情報及び計測湿度情報の受信に用いた通信アドレスを第1計測装置110又は第2計測装置120の識別情報として取得する(ステップS41)。
次に、制御部930は、図16の特定位置テーブルから、ステップS41で取得された識別情報に対応付けられた特定位置を表す情報を取得する(ステップS42)。
また、制御部930は、図10に示したフラッシュメモリ903から、設定温度情報及び設定湿度情報を取得する(ステップS43)。
その後、制御部930は、ステップS42で取得された第1計測装置110又は第2計測装置120の特定位置における温度及び湿度を、設定温度及び設定湿度にする制御を、計測温度情報及び計測湿度情報、特定位置を表す情報、並びに、設定温度情報及び設定湿度情報に基づいて決定する。次に、制御部930は、決定された制御を第1空調機210及び第2空調機220に行うために、第1空調機210及び第2空調機220を宛先としてコマンドを有線通信回路907bに出力する(ステップS44)。その後、有線通信回路907bがコマンドを送信した後に、制御部930は、空調制御処理の実行を終了する。
これらの構成によれば、第1計測装置110で発せられた熱は、第1計測装置110と、第1熱画像を生成する第1空調機210及び第2熱画像を生成する第2空調機220と、の間に人又は物体が存在しない限り、空調空間に滞在する人及び物体の数及び位置に関わらず、輻射によって伝達される。第2計測装置120で発せられた熱も同様に輻射によって伝達される。このため、電磁波の検出強度によって第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定する従来技術と比べて、空気調和システム1は、精度良く第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定できる。
また、遠赤外線の距離による減衰は、可視光及び近赤外線の距離による減衰よりも少ない。このため、第1計測装置110及び第2計測装置120から第1空調機210及び第2空調機220までの距離が長くなっても、空気調和システム1は、例えば、LEDの点滅により第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を検出する従来技術よりも精度良く第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定できる。
また、遠赤外線は、湿度の影響を受けない、又は、可視光及び近赤外線よりも少ない影響しか受けない。このため、空調空間Sの湿度が高くなっても、空気調和システム1は、従来技術よりも精度良く第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定できる。
さらに、従来の空気調和システムが、輻射センサを備える空調機と、輻射センサで生成された熱画像に基づいて空調機を制御する制御装置と、を備えてさえいれば、従来の制御装置に制御装置900のプログラムをインストールするだけで、本実施形態に係る空気調和システム1に改良できる。このため、低コストで、従来の空気調和システムを、本実施の形態に係る空気調和システム1に改良できる。
またこれらの構成によれば、制御装置900は、第1空調機210が生成した第1熱画像及び第2空調機220が生成した第2熱画像に基づいて、第1計測装置110の設置位置及び第2計測装置120の設置位置を特定する。このため、空気調和システム1の保守管理者が、第1計測装置110の設置位置及び第2計測装置120の設置位置を制御装置900に入力するために、制御装置900を操作する必要がない。
またこれらの構成によれば、第1計測装置110は、第1パターンに従って発熱し、制御装置900は、第1パターンに従って発生した輻射熱に対応する画素値の画素を特定する。このため、第1計測装置110以外に発熱を行う物体が空調空間Sに存在したとしても、制御装置900は、第1パターンに基づいて、第1計測装置110の位置を従来よりも確実に特定できる。
またこれらの構成によれば、第1空調機210が第1熱画像を生成する時間間隔と、第2空調機220が第2熱画像を生成する時間間隔と、は、第1計測装置110が第1パターンに従って発熱状態を変更させる時間間隔、及び、第2計測装置120が第2パターンに従って発熱状態を変更させる時間間隔よりも短い。このため、第1空調機210及び第2空調機220は、第1パターンに従った複数回の発熱の全て、及び、第2パターンに従った複数回の発熱の全て、を映した第1熱画像及び第2熱画像を従来よりも確実に生成できる。
またこれらの構成によれば、第1計測装置110は、第1計測装置110を識別する第1パターンに従って発熱し、第2計測装置120は、第2計測装置120を識別する第2パターンに従って発熱する。このため、第1計測装置110が第1パターンに従って発熱する間に、第2計測装置120が第2パターンに従って発熱しても、制御装置900は、第1パターン及び第2パターンに基づいて、第1計測装置110の位置及び第2計測装置120の位置を従来よりも確実に特定できる。
またこれらの構成によれば、第1計測装置110は、第1計測装置110の通信アドレスを表す第1パターンに従って発熱し、第2計測装置120は、第2計測装置120の通信アドレスを表す第2パターンに従って発熱する。このため、第1計測装置110及び第2計測装置120に発熱のパターンを設定しなくとも、第1計測装置110と第2計測装置120とが互いに異なるパターンで発熱できる。
(実施の形態の変形例1)
本実施の形態では、空気調和システム1は、図1に示した第1計測装置110及び第2計測装置120、第1空調機210及び第2空調機220、並びに、制御装置900を備えると説明した。また、本実施の形態では、制御装置900は、第1空調機210が生成する第1熱画像と第2空調機210が生成する第2熱画像とに基づいて、第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定すると説明した。
しかし、これに限定される訳ではなく、空気調和システム1は、図20に示す第3空調機230をさらに備え、制御装置900は、第3空調機230が生成する第3熱画像にさらに基づいて、第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定しても良い。
第3空調機230は、第1空調機210と同様のハードウェア構成及び機能を有している。つまり、第3空調機230は、不図示の第3輻射センサと、第3輻射センサによる輻射熱の計測結果に基づいて第3熱画像を生成する第3熱画像生成回路と、を備える。
制御装置900は、図18の直線特定処理のステップS31からS33と同様の処理を、第3空調機230で生成された第3熱画像に対して実行する。これにより、制御装置900は、第3熱画像に基づいて、図21に示す第3空調機230の設置位置PA3から、第1計測装置110から設置位置PA3に到来した遠赤外線の到来方向D31へ向かう第3直線L31を特定する。
また、制御装置900は、図11のステップS13に代えて、図21に示す第1直線L11と第2直線L21との交点PM12と、第1直線L11と第3直線L31との交点PM13と、第2直線L21と第3直線L31との交点PM23と、を特定する処理を実行する。制御装置900は、交点PM12と交点PM13と交点PM23とが全て一致すると座標値に基づいて判別すると、交点PM12を第1計測装置110の設置位置と特定する。これに対して、制御装置900は、交点PM12と交点PM13と交点PM23とが全て一致する訳でないと判別すると、交点PM12と交点PM13と交点PM23とを含む最小の円CLを特定し、特定された円の中心位置を第1計測装置110の設置位置と特定する。
但し、これに限定される訳でなく、制御装置900は、交点PM12と交点PM13と交点PM23との座標値の平均値を第1計測装置110の設置位置としても良い。また、制御装置900は、交点PM12と交点PM13と交点PM23とで定まる三角形の内接円の中心の位置又は重心の位置を、第1計測装置110の設置位置と特定しても良い。
空気調和システム1が備える空調機の数は3台に限定される訳では無く、空気調和システム1は、4台以上の空調機を備えても良い。また、制御装置900は、3台の空調機で生成された3枚の熱画像に基づいて第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定することに限定されるのではない。制御装置900は、4台以上の空調機で生成された4枚以上の熱画像に基づいて第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定しても良い。
さらに、空気調和システム1が備える計測装置の数は2台に限定される訳では無く、空気調和システム1は、3台以上の計測装置を備えても良い。また、制御装置900は、第1熱画像と第2熱画像とに基づいて2台の計測装置である第1計測装置110及び第2計測装置120の位置を特定することに限定されるのではない。制御装置900は、第1熱画像と第2熱画像とに基づいて3台以上の計測装置の位置を特定しても良い。
(実施の形態の変形例2)
本実施の形態では、第1計測装置110及び第2計測装置120は、温度及び湿度を計測し、計測された温度を表す計測温度情報と、計測された湿度を表す計測湿度情報と、の双方を制御装置900へ送信すると説明した。制御装置900は、計測温度情報と計測湿度情報との双方に基づいて第1空調機210及び第2空調機220を制御すると説明したが、これに限定される訳ではない。
第1計測装置110及び第2計測装置120は、温度及び湿度のいずれか一方を計測し、計測温度情報と計測湿度情報とのいずれか一方を制御装置900へ送信しても良い。制御装置900は、計測温度情報と計測湿度情報とのいずれか一方に基づいて第1空調機210及び第2空調機220のいずれか一方を制御しても良い。
(実施の形態の変形例3)
本実施の形態では、制御装置900は、図17のステップS21で、第1計測装置110又は第2計測装置120が発熱状態を変更した後に送信される発熱状態情報を取得した後、第1空調機210が第1熱画像を送信するまでスリープすると説明した。
しかし、これに限定される訳ではなく、制御装置900は、図17のステップS21で発熱状態情報を取得した後に、第1空調機210に第1熱画像の送信を命じるコマンドを送信しても良い。同様に、制御装置900は、発熱状態情報を取得した後に、第2空調機220に第2熱画像の生成及び送信を命じるコマンドを送信しても良い。
この構成によれば、第1計測装置110又は第2計測装置120が発熱状態を変更すると、第1空調機210が第1熱画像の生成及び送信を行い、かつ、第2空調機220が第2熱画像の生成及び送信を行う。このため、制御装置900は、変更後の状態で発熱する第1計測装置110又は第2計測装置120が映った第1熱画像と第2熱画像とを確実に取得できる。
(実施の形態の変形例4)
本実施の形態では、制御装置900は、図17のステップS22で第1熱画像を取得した後、直ちにステップS23の処理を実行して、第1熱画像から第1画素を特定すると説明したが、これに限定される訳では無い。
制御装置900は、ステップS22で第1熱画像を取得した後、前回に特定された第1画素の座標と同じ座標に在る、今回取得された第1熱画像の画素に、ユーザを表す熱塊が映っているか否かを判別しても良い。制御装置900は、ユーザを表す熱塊が映っていると判別した場合に、ステップS22に戻り、第1空調機210から別の第1熱画像が受信されるまでスリープしても良い。
前回に特定された第1画素の座標値を特定するために、制御装置900は、図14の検出結果テーブルから、今回のステップS21で取得された識別情報と、今回の発熱回数情報で表される回数よりも1回少ない回数を表す情報と、に対応付けられた1又は複数の第1画素の座標値を取得すれば良い。
また、ユーザを表す熱塊が映っている画素を特定するために、制御装置900は、例えば、摂氏35度から40度までの温度に対応した画素値の画素が、例えば、実験により定められた個数よりも多く連続した領域に含まれる画素を特定すれば良い。
同様に、制御装置900は、ステップS24で第2熱画像を取得した後、前回に特定された第2画素の座標と同じ座標に在る、今回取得された第2熱画像の画素に、ユーザを表す熱塊が映っていると判別した場合に、ステップS24に戻り、第2空調機220から別の第2熱画像が受信されるまでスリープしても良い。
これらの構成によれば、制御装置900は、取得し直した第1熱画像及び第2熱画像から、第1計測装置110又は第2計測装置120による発熱の状態に対応した第1画素及び第2画像をより確実に特定できる。
(実施の形態の変形例5)
本実施の形態では、制御装置900は、第1画素を第1熱画像から特定するステップS23の処理を実行した後、実際に第1画素が特定されたか否かを判別せずに、ステップS24の処理を実行すると説明した。
しかし、これに限定される訳ではなく、制御装置900は、ステップS23を実行した後に、実際に第1画素が特定されたか否かを判別しても良い。制御装置900は、第1画素が実際に特定されなかったと判別すると、ステップS22に戻り、第1空調機210から別の第1熱画像が受信されるまでスリープしても良い。同様に、制御装置900は、ステップS25を実行した後に、実際に第2画素が特定されたか否かを判別しても良い。制御装置900は、第2画素が実際に特定されなかったと判別すると、ステップS24に戻り、第2空調機220から別の第2熱画像が受信されるまでスリープしても良い。
(実施の形態の変形例6)
本実施の形態では、第1計測装置110の発熱部115は、図3のスイッチSW、サーモスタットBH、BM、及び、BL、並びに電熱線Rで構成されると説明したが、これに限定される訳では無い。
第1計測装置110の発熱部115は、図3の構成に代えて、一端を電源PWに接続された電熱線Rと、一端を電熱線Rに接続され、かつ、他端を電源PWに接続された不図示のスイッチと、スイッチのON及びOFFを制御する不図示のMCU(Micro Controller Unit)と、を備えても良い。発熱部115は、電熱線Rの周辺に設置された、不図示の温度センサをさらに備え、MCUは、温度センサから出力される信号と、CPU111から出力される信号と、に基づいてスイッチの開閉を制御しても良い。
例えば、MCUは、CPU111から温度THでの発熱を指示する信号SHが入力された後、温度センサから温度TH未満の計測温度に対応した信号が入力されている間、ONを指示する信号(以下、ON信号という)をスイッチに出力する。これに対して、MCUは、CPU111から信号SHが入力された後、温度センサから温度TH以上の計測温度に対応した信号が入力されている間、OFFを指示する信号(以下、OFF信号という)をスイッチに出力する。
同様に、MCUは、信号SMが入力された後、温度TM未満の計測温度に対応した信号が入力されている間、ON信号を出力し、温度TM以上の計測温度に対応した信号が入力されている間、OFF信号を出力する。また同様に、MCUは、信号SLが入力された後、温度TL未満の計測温度に対応した信号が入力されている間、ON信号を出力し、温度TL以上の計測温度に対応した信号が入力されている間、OFF信号を出力する。
さらに、MCUは、発熱の停止を指示する信号SSが入力された後、次に信号SH、信号SM、及び、信号SLのいずれかが入力されるまで、OFF信号を出力する。
本変形例に係る制御装置900は、図17のステップS23を実行した後に、第1計測装置110の発熱状態に対応した第1画素を、第1熱画像から特定できたか否かを判別しても良い。制御装置900は、第1画素を特定できなかったと判別すると、発熱温度の修正、及び、パターンに従った発熱のやり直しを命じるコマンドを、第1計測装置110に送信しても良い。
例えば、制御装置900は、発熱温度を摂氏T度増加させた後に発熱のやり直しを命じるコマンドを第1計測装置110に送信しても良い。第1計測装置110のCPU111は、受信されたコマンドに従って、信号SHが入力された場合に温度TH+Tで、信号SMが入力された場合に温度TM+Tで、信号SLが入力された場合に温度TM+Lで、電熱線Rを発熱させる制御をMCUに行う。
同様に、制御装置900は、発熱温度を摂氏T度減少させた後に発熱のやり直しを命じるコマンドを第1計測装置110に送信しても良い。第1計測装置110のCPU111は、受信されたコマンドに従って、信号SHが入力された場合に温度TH−Tで、信号SMが入力された場合に温度TM−Tで、信号SLが入力された場合に温度TM−Lで、電熱線Rを発熱させる制御をMCUに行う。その後、第1計測装置110のCPU111は、図4の発熱制御処理を再度実行する。
制御装置900は、同様に、図17のステップS25を実行した後に、第2画素を特定できなかったと判別すると、発熱温度の修正、及び、パターンに従った発熱のやり直しを命じるコマンドを、第1計測装置110に送信しても良い。
さらに、第2計測装置120の発熱部も同様に、電熱線Rと、不図示のスイッチ、MCU、及び、温度センサと、を備えても良い。制御装置900は、発熱温度の修正、及び、パターンに従った発熱のやり直しを命じるコマンドを、第2計測装置120に送信しても良い。
(実施の形態の変形例7)
本実施の形態では、第1計測装置110及び第2計測装置120は、制御装置900との通信に用いる通信アドレスを表すパターンで発熱すると説明したが、これに限定される訳では無い。
制御装置900は、第1計測装置110による発熱のパターンと、第2計測装置120による発熱のパターンと、を、例えば、ランダムに決定し、決定されたパターンを第1計測装置110及び第2計測装置120に送信しても良い。
(実施の形態の変形例8)
本実施の形態では、制御装置900の制御部930は、第1熱画像と第2熱画像とに基づいて第1空調機210及び第2空調機220を制御すると説明したが、これに限定される訳では無い。
制御装置900の制御部930は、第1熱画像の画素値と第2熱画像の画素値とに基づいて、空気調和システム1の保守管理者によって設定された上限温度よりも高い温度で発熱する物体が空調空間Sに存在すると判別した場合に、発熱を停止させる制御を第1計測装置110及び第2計測装置120に行っても良い。保守管理者によって設定される上限温度は、発熱パターンに従った発熱温度の最大値である温度Thよりも高い温度に設定されていれば、どのような温度であっても良い。
この構成によれば、第1計測装置110又は第2計測装置120が、例えば、故障又は誤操作により、保守管理者によって設定された上限温度よりも高い温度で発熱し続けることを防止できる。
制御装置900の制御部930は、上限温度よりも高い温度で発熱する物体(以下、高温物体という)の位置を、第1熱画像と第2熱画像とに基づいて特定し、特定された高温物体の位置と、高温物体の存在を知らせるメッセージと、を表示させる制御を、図10のLCD909bに行っても良い。
(実施の形態の変形例9)
本実施の形態では、第1計測装置110は、第1計測装置110を識別する第1パターンに従って発熱し、第2計測装置120は、第2計測装置120を識別する第2パターンに従って発熱すると説明したが、これに限定される訳では無い。
第1計測装置110は、不図示の蓄電池を備え、CPU111は、蓄電池の蓄電量が、空気調和システム1の保守管理者によって設定された量以上であると判別すると、第1パターンに従った発熱を発熱部115に指示しても良い。これに対して、第1計測装置110のCPU111は、蓄電池の蓄電量が設定された量未満であると判別すると、第1パターンを短縮させたパターンに従った発熱を発熱部115に指示しても良い。
第1パターンを短縮させたパターンは、例えば、第1パターンに従った第1回目の発熱から第K回目の発熱を行うパターンであっても良い。但し、Kは、Nよりも小さい自然数である。また、第1パターンを短縮させたパターンは、例えば、第1パターンに従った第N−K+1回目の発熱から第N回目の発熱を行うパターンであっても良い。
第1計測装置110のCPU111は、短縮させたパターンに従った発熱が終了した後、パターンに従った発熱の終了を報告する情報を、制御装置900に送信しても良い。また、第1計測装置110のCPU111は、短縮させたパターンに従った発熱を開始する前に、短縮させたパターンに従った発熱の総回数を表す情報を制御装置900に送信しても良い。
第1計測装置110と同様に、第2計測装置120は、蓄電池の蓄電量が設定された量未満となると、第1パターンを短縮させたパターンに従って発熱しても良い。
また、制御装置900の制御部930は、短縮させたパターンで発熱する第1計測装置110又は第2計測装置120の位置を、第1計測装置110又は第2計測装置120の識別情報と、蓄電量の低下を知らせるメッセージと、共に表示させる制御を、図10のLCD909bに行っても良い。
さらに、第1計測装置110のCPU111は、バッテリの蓄電量が少なくなる程、第1パターンをより短縮させたパターンで発熱部115を発熱させても良い。
これらの構成によれば、第1計測装置110は、蓄電池の蓄電量が設定された量未満となると第1パターンを短縮させたパターンに従って発熱し、第2計測装置120は、蓄電池の蓄電量が設定された量未満となると第2パターンを短縮させたパターンに従って発熱する。このため、第1計測装置110及び第2計測装置120を省電力化できる。
(実施の形態の変形例10)
本実施の形態では、第1計測装置110及び第2計測装置120は、例えば、オフィススペースの壁面又はデスクに設置されると説明したが、これに限定される訳では無い。第1計測装置110及び第2計測装置120は、例えば、ユーザに携帯されるリモコンでも良い。
本発明の実施の形態及び実施の形態の変形例1から10は、互いに組み合わせることができる。
本発明の実施の形態及び実施の形態の変形例1から10のいずれかに係る機能を実現するための構成を予め備えた制御装置900として提供できる。また、プログラムの適用により、既存の制御装置900を本発明の実施の形態及び実施の形態の変形例1から10のいずれかに係る制御装置900として機能させることもできる。すなわち、本発明の実施の形態及び実施の形態の変形例1から10のいずれかで例示した制御装置900による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行することで、本発明の実施の形態及び実施の形態の変形例1から10のいずれかに係る制御装置900として機能させることができる。
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、又は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)などの記録媒体に格納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。尚、空気調和方法は、空気調和システム1を用いて実施できる。
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。