JP2016044827A - 空気調和機 - Google Patents

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佑樹 伊藤
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貴郎 上田
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Abstract

【課題】単純な構成で安価に被空調室内の環境を検出する。【解決手段】空気調和機Aは、照射断面が所定形状となるように赤外線を被空調室に照射する近赤外線投光器141と、被空調室を撮像する撮像手段121と、近赤外線投光器141によって被空調室に映される赤外線の照射範囲を、撮像手段121の位置から見たときの形状に応じて空調運転を制御する駆動制御部137とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、撮像手段を備えた空気調和機に関する。
近年、空気調和機は、人や部屋の状況を把握して状況に応じた空調運転を行うため、カメラを搭載することが多くなってきた。空気調和機は、カメラによって、人の出入りや、室内にいる人の人数や居場所、活動量、さらに間取りや太陽光が差し込んでいるエリアなどの情報を認識する。空気調和機は、この情報を、温度センサや湿度センサや季節の情報と合わせて分析し、温度や風向や風量を適切に制御することで、在室者の快適性を保ちながら空調運転を行う。
空気調和機は、可視光画像のみではなく、赤外線(光)画像を使うことにより、更に的確に人や部屋の状況を把握することができる。赤外線(光)画像によって状況を把握する空気調和機の技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1の課題には、「赤外光カメラを用いることなく、暗い環境でも室内環境に応じて最適な空調制御をすることができる空気調和機を提供する。」と記載されている。同文献の解決手段には、「可視光帯域及び赤外光の一部帯域を含んだ帯域で撮像することができる撮像部2と、撮像部2が撮像した画像情報に基づき室内環境を認識する画像認識部3Aと、画像認識部3Aが認識した室内環境に基づき、空調設定を変更する空調制御部4と、を備えるものである。」と記載されている。
特許文献1の段落0016には、「本実施の形態1では、赤外光の一部帯域を透過できる赤外線カットフィルター2cを使用しており、例えばCのように近赤外帯域を透過できる特性を持つ赤外線カットフィルター2cを使用している。そのため、撮像部2は、可視光と近赤外光の両方を撮像することができる。」と記載されている。同文献の段落0029には、「本実施の形態2の空気調和機1は、実施の形態1における図1の空気調和機1に発光部6を加えたものである。」と記載されている。
特開2011−220612号公報
カメラの撮像素子は、一般的に、可視光帯域のみではなく、赤外線帯域についても感受性を有している。そのためカメラには、紫外線よりも波長の短い帯域、および、赤外線よりも波長の長い帯域を減衰させるためのバンドパスフィルタが使用されている。
特許文献1に記載の技術は、カメラ内部に特殊なフィルタを使用する必要がある。また、同文献に開示されている効果も暗視機能に留まり赤外線(光)を照射している利点をほとんど享受できていない。
そこで、本発明は、単純な構成で安価に被空調室内の環境を検出することが可能な空気調和機を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の空気調和機は、赤外線を被空調室に照射する赤外線照射手段と、前記被空調室を撮像する撮像手段と、前記赤外線照射手段によって被空調室に映される赤外線の照射形状に応じて空調運転を制御する空調運転制御手段とを備える。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、単純な構成で安価に被空調室内の環境を検出することが可能な空気調和機を提供することが可能となる。
本実施形態における空気調和機の室内機、室外機、およびリモコンの正面図である。 室内機の側断面図である。 空気調和機の制御手段を含む概要を示す構成図である。 近赤外線投光器をカメラ基板に接続した第1変形例を示す構成図である。 近赤外線投光器を制御基板に接続した第2変形例を示す構成図である。 近赤外線投光器の構成例を示す図である。 可視光カットフィルタの構成と動作を示す図である。 可視光カットフィルタの構成と動作の変形例を示す図である。 撮影画面上の位置と距離の関係を示す図である。 撮像手段の撮像視野と近赤外線投光器の照射範囲の例を示す平面図である。 画像検出部による画像検出結果の一例を示す図である。 第1の実施形態の近赤外線投光器が照射するビームを示した図である。 第1の実施形態の近赤外線投光器か照射するビームによる直方体の物体検出の例を示した図である。 第1の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによる直方体の物体検出の例を示した図である。 第1の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによるテーブルの物体検出の例を示した図である。 第1の実施形態の空調運転制御処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態の近赤外線投光器が照射するビームを示した図である。 第2の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによる直方体の距離検出の例を示した図である。 第2の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによるテーブルの距離検出の例を示した図である。 第3の実施形態の近赤外線投光器が照射するビームを示した図である。 第3の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによる距離検出の例を示した図である。 第3の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによる距離検出の例を示した図である。 第4の実施形態の近赤外線投光器が照射するビームを示した図である。 第4の実施形態の近赤外線投光器の照射するビームによる距離/物体検出の例を示した図である。 第4の実施形態の空調運転制御処理を示すフローチャートである。 第4の実施形態の近赤外線投光器が照射するビームの変形例を示した図である。 撮像結果を利用した空調運転の制御動作を示す図である。 空調運転制御ための物体検出処理の第1例を示す図である。 空調運転制御ための物体検出処理の第2例を示す図である。
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における空気調和機の室内機、室外機、およびリモコンの正面図である。
図1に示すように、空気調和機Aは、室内機100と、室外機200と、リモコンReとを備えている。室内機100と室外機200とは冷媒配管(図示せず)で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置されている室内を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。
リモコンReは、ユーザによって操作されて、室内機100のリモコン送受信部Qに対して赤外線信号を送信する。この赤外線信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求などの指令である。空気調和機Aは、これら赤外線信号の指令に基づいて、冷房モード、暖房モード、除湿モードなどの空調運転を行う。また、室内機100は、リモコン送受信部QからリモコンReへ、室温情報、湿度情報、電気代情報などのデータを送信する。
また、室内機100の中央下部には、撮像手段121と近赤外線投光器141(赤外線照射手段)とが長手方向の同一直線上にそれぞれ設置されている。近赤外線投光器141は、撮像手段121の設置面と同一平面上に設置される、これにより、撮像手段121が撮像した画像に影が写り込まないようにしている。撮像手段121は、被空調室内を撮像するよう配置される。近赤外線投光器141は、被空調室内へ近赤外線を照射するように配置された近赤外線発光素子を含んで構成される。
近赤外線投光器141および撮像手段121の配置は、画像検出方式および検出対象、撮像手段121の仕様などに応じて設定してもよい。本実施形態において近赤外線投光器141は、室内機100の一箇所に実装する配置としている。しかし、これに限られず、近赤外線投光器141は、室内機100の複数個所に配置してもよい。
撮像手段121および近赤外線投光器141の詳細については後記する。
本実施形態の空気調和機Aは、近赤外線投光器141が照射したビームが描く近赤外線を撮像手段121で捉えることで物体または/および人体の形状を検出する。空気調和機Aが近赤外線の照射方向に対する撮像方向の角度を利用する形状検出方法(後記する第1、第4の実施形態)を実行するときには、撮像手段121と近赤外線投光器141とを離して配置した方がよい。このとき、室内機100の長手方向に同一直線上に撮像手段121と近赤外線投光器141と配置することで、近赤外線照射方向に対する撮像方向との角度を最大とすることができる。
また、床面に対する撮像方向の角度を利用して物体の形状を検出しようとした場合、撮像手段121と近赤外線投光器141とは同一の高さで、横方向に離れて配置される。
これに限られず、空気調和機A上の近赤外線照射手段および撮像手段の配置は、本発明を適用する空気調和機Aの仕様に応じて任意に設定可能である。
図2は、室内機の側断面図である。
図2に示すように、室内機100の筐体ベース101は、室内熱交換器102、送風ファン103、フィルタ108などの内部構造体を収容している。
室内熱交換器102は、複数本の伝熱管102aを有している。室内熱交換器102は、送風ファン103により室内機100内に取り込まれた空気を、伝熱管102aを通流する冷媒と熱交換させて、この空気を加熱または冷却するように構成されている。なお、伝熱管102aは、冷媒配管(図示せず)に連通し、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成している。
左右風向板104は、室内機100のメインマイコン(図示せず)からの指示に従い、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして左右風向板用モータ(図示せず)により回動される。
上下風向板105は、室内機100のメインマイコンからの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(図示せず)により回動される。
前面パネル106は、室内機100の前面を覆うように設置されており、下端を軸として前面パネル用モータ(図示せず)により回動可能な構成となっている。また、前面パネル106は、この構成に限られず、下端に固定されるように構成してもよい。
送風ファン103が回転することによって、空気吸込み口107およびフィルタ108を介して室内空気を取り込み、室内熱交換器102で熱交換された空気が、吹出し風路109aに導かれる。吹出し風路109aに導かれた空気は、左右風向板104および上下風向板105によって風向きを調整され、空気吹出し口109bから外部に送り出される。空気吹出し口109bから外部に送り出された空気は、室内を空調する。
撮像手段121は、空気吹出し口109bの近傍に取り付けられている。撮像手段121は、自身の取り付け位置から水平方向に対して所定角度だけ下方を向くように設置されている。これにより、室内機100が設置されている室内を適切に撮像可能である。ただし、撮像手段121の取り付け位置やその設置角度は、空気調和機Aの仕様や用途に合わせて設定すればよく、その構成を限定するものではない。
本実施形態の空気調和機Aの構成は、あくまで一例であり、本発明は、あらゆる空気調和機の形態についても適用可能である。
図3は、空気調和機Aの制御手段130を含む概要を示す構成図である。
空気調和機Aの制御手段130は、画像検出部131と、記憶手段135と、演算処理部136と、駆動制御部137とを備えている。制御手段130は、環境検出手段120の各センサ情報に基づき、負荷150と、近赤外線投光器141と、照射範囲変更手段180と、可視光カットフィルタ駆動手段190とを駆動するものである。
環境検出手段120は、撮像手段121およびA/D変換部124と、その他センサ129とを含んで構成される。ここでその他センサ129とは、例えば在室者検出センサや、サーモパイルによる温度センサや、照度センサまたはフレネルレンズおよび赤外線センサを用いた活動量検出センサなどである。
撮像手段121は、被空調室内を連続的に撮像し、A/D変換部124にて画像データに変換し、画像検出部131に出力する。このA/D変換部124は、画像データの色調、輝度などの画像補正を合わせて行う仕様としてもよい。
近赤外線投光器141は、ビームの断面が所定形状となるように赤外線を被空調室内に照射する。照射範囲変更手段180は、近赤外線投光器141が照射する近赤外線の照射範囲を所定方向に変更する。
可視光カットフィルタ駆動手段190は、可視光カットフィルタ191を、撮像手段121の撮像範囲内から撮像範囲外へ、または撮像範囲外から撮像範囲内へ移動させる。
可視光カットフィルタ191は、可視光帯域の光を減衰させ、近赤外線を透過させるガラスまたは樹脂材で構成される。可視光カットフィルタ191は、例えば、撮像手段121の前面の意匠に沿う形状に加工されて、空気調和機Aの外観上のデザインに調和するよう構成される。
制御手段130は、撮像手段121から入力される画像情報、リモコンReから入力される指令信号、および各種センサから入力されるセンサ出力などに応じて、空気調和機Aの動作を統括制御する。制御手段130は、近赤外線投光器141により被空調室内に近赤外線が照射されていない場合と近赤外線が照射されている場合の双方の条件下において、それぞれ撮像手段121に被空調室内を撮像させる。これにより、空気調和機Aは、よりきめの細かい運転制御を可能としている。
制御手段130の画像検出部131(距離検出手段)は、撮像手段121が撮影した画像データに対して各種画像処理を行い、在室者の位置や活動量などの情報、物体の形状や位置や距離などの情報を検出する。画像検出部131が検出した検出データは、演算処理部136に送信される。これにより、空気調和機Aは、被空調室の状況に応じて空調運転の補正を行うことができる。すなわち空気調和機Aは、近赤外線投光器141によって被空調室に映される赤外線の照射範囲を、撮像手段121から見たときの形状に応じて空調運転を制御する。
本実施形態の画像検出部131は、人体検出部132と、物体検出部133と、間取り検出部134とを備えている。人体検出部132は、画像データから人体とその画像領域を検出する。物体検出部133は、画像データから物体とその画像領域を検出する。ここで物体とは、例えば家具などである。間取り検出部134は、画像データから被空調室内の間取りを検出する。これら人体検出部132と、物体検出部133と、間取り検出部134の詳細は後記する。画像検出部131は、撮像手段121が撮像した画像に検出対象である人体または/および物体が含まれるか否を検出すると共にこの検出対象の画像領域を検出する。画像検出部131は、近赤外線投光器141の照射範囲を照射範囲変更手段180により所定方向に変更した場合における、近赤外線投光器141によって被空調室に映される赤外線の照射形状により、この照射位置から撮像手段121までの距離を検出する距離検出手段である。なお、撮像手段121は室内機100に設置されているので、検出した距離は、赤外線の照射位置から室内機100までの距離と等しい。
画像検出部131の検出データは、在室者の位置や活動量などの情報、検出された物体の形状や位置や距離などの情報であり、画像データ自体は含まれない。これにより記憶手段135が保持するデータ量を削減できると共に、被空調室内の在室者のプライバシを守ることができる。
記憶手段135は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)など含んで構成される。そして、ROMに記憶されたプログラムは、制御マイコンによって読み出されてRAMに展開されて実行される。なお、制御マイコンをカメラ用と運転制御用の二つに分割して構成する場合には、ROMとRAMも分割して構成することが望ましい。
演算処理部136は、設定された空調運転の運転設定に加えて、画像検出部131から出力された検出データを用いて、駆動制御部137による空調運転を補正する。これら制御手段130での詳細な制御内容は後記する。
駆動制御部137は、駆動信号を負荷150に出力して駆動させ、よって空調運転を行う。すなわち演算処理部136と駆動制御部137とは、近赤外線投光器141(赤外線照射手段)によって被空調室に映される赤外線の照射範囲を、撮像手段121の位置から見たときの形状に応じて空調運転を制御する空調運転制御手段を構成する。
負荷150は、例えば、室外機200が備える圧縮機モータ151と、室内機100が備える送風ファンモータ152と、左右風向板104に設置される左右風向板用モータ153と、上下風向板105に設置される上下風向板用モータ154とを含んでいる。
図4は、近赤外線投光器141をカメラ基板160に接続した第1変形例を示す構成図である。
第1変形例の制御手段130は、カメラ基板160と制御基板170とに分割されて構成される。カメラ基板160には、撮像手段121と、カメラマイコン161と、近赤外線投光器駆動回路140と、照射範囲変更手段180と、可視光カットフィルタ駆動手段190とが実装されている。このカメラマイコン161は、画像検出部131と記憶手段135とを含んで構成される。
制御基板170には、メインマイコン171が実装されている。このメインマイコン171は、演算処理部136と、駆動制御部137と、記憶手段138とを含んで構成され、負荷150を駆動する。
カメラマイコン161は、メインマイコン171とは、相互に情報通信を行う。カメラマイコン161は、メインマイコン171に検出データと動作指令とを送信する。メインマイコン171は、カメラマイコン161に撮像要求指令と動作指令とを送信する。
<撮像手段121の構成>
撮像手段121は、撮像素子123と、光学レンズ122と、A/D変換部124と、デジタル信号処理部125とを有している。
光学レンズ122は、例えば、ガラスやプラスチックなどの凸レンズや凹レンズであり、光を集光して撮像素子123上に被写体像を結像するものである。光学レンズ122は、撮像素子123の前面に設置される。
撮像素子123は、例えば、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどであり、光を撮像してアナログの電気信号に変換する。
A/D変換部124は、撮像素子123が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。
デジタル信号処理部125は、A/D変換部124が出力したデジタル信号を処理して画像データを出力するものである。デジタル信号処理部125は、撮像パラメータを外部から読み込んで使用することができる。
この撮像手段121は、イメージセンサのアナログ信号をA/D変換したのちに信号処理して画像データを出力するモジュールデバイスを用いてもよい。
撮像素子は、可視光に対する感受性と共に、近赤外線と近紫外線にも感受性を有している。そのため一般的なカメラは、撮像素子の前面に赤外線と紫外線の影響を抑える光学フィルタが配置され、この光学フィルタの前面に光学レンズが配置される。この光学フィルタにより、撮像素子上に可視光を透過させると共に紫外線および近赤外線を減衰させることができる。
本実施形態の撮像手段121は、この光学フィルタを削除して、近赤外線に対する感度を向上させている。しかし、これに限られず、例えば、近赤外線帯域の波長の減衰率を任意に抑えた光学フィルタを使用してもよい。
しかしながら、紫外線および近赤外線帯域の波長の光を減衰させる光学フィルタは、あくまで紫外線および近赤外線を減衰させているのみで、完全に遮断している訳ではない。そのため、本発明を適用する空気調和機Aの設定仕様上、一般的なカメラでも近赤外線の受光量が確保できる場合は、敢えて光学フィルタを変更または削除する処置は不要である。
空気調和機Aが備える撮像手段121については、自身の設計仕様および、空気調和機Aの製品仕様などに合わせて適切なものを使用すればよい。
<制御手段130の基本的な構成>
制御手段130は、画像検出部131と記憶手段135とを備える。
画像検出部131は、撮像手段121によって得られる画像データを基に各種画像処理を行うため、空気調和機Aの仕様に合わせた各種検出部を含んで構成される。本実施形態の画像検出部131は、人体検出部132と、物体検出部133と、間取り検出部134とを含んで構成される。
人体検出部132は、例えば人の頭部、胸部、腕、足などの人の身体を検出する。物体検出部133は、例えば被空調室内の物体の形状などを検出する。間取り検出部134は、室内の部屋の壁までの距離や室内の壁の角の位置を検出することで被空調室内の間取りを推定する。
制御手段130は、メインマイコン171を搭載する制御基板170と、カメラマイコン161および撮像手段121を搭載するカメラ基板160の、2枚の基板によって構成される。制御基板170のメインマイコン171は、空気調和機Aの運転制御を行う。カメラ基板160のカメラマイコン161は、撮像手段121が撮像した画像データを基に各種画像処理を行うソフトウェアを内包する。比較的速い演算処理を必要とする画像処理は、処理速度が速いカメラマイコン161が実行する。演算処理が遅くてもよい空気調和機Aの駆動制御は、メインマイコン171が実行する。このように各々に適したCPU(Central Processing Unit)で実行させる構成により、制御手段130をより安価に構成可能である。
画像処理を行うカメラマイコン161の処理速度は、空気調和機Aの駆動制御を行うメインマイコン171の処理速度よりも速い。そのため、制御手段130は、カメラマイコン161とメインマイコン171との間をシリアル通信に接続して、カメラマイコン161から画像検出による検出結果のみをメインマイコン171に送信してもよい。これにより、通信する情報量を最小限として、メインマイコン171の処理負荷を削減することができる。
<近赤外線投光器141をカメラ基板160に接続する場合>
カメラ基板160が制御基板170と別体となっている場合において、近赤外線投光器141(赤外線照射手段)をカメラ基板160に接続、またはカメラ基板160上に実装する場合、撮像手段121での制御を行うカメラマイコン161によって近赤外線投光器141を直接に駆動することが可能な構成とすることができる。これにより、撮像手段121での撮像および近赤外線の照射の同期が行い易く、近赤外線の照射時間の短縮、近赤外線照射時の撮影時間の短縮が可能となる。
このとき、近赤外線投光器141にLED(Light Emitting Diode)を使用していた場合、1回あたりの近赤外線の照射時間が短縮されるので、LED寿命が長くなる。また、LEDの発熱の影響がより少なくなるため、その分電流値を増やすことが可能である。LEDの場合、電流値と発光強度とは比例する。1個あたりのLEDの発光強度が大きくなることにより、この分LEDの個数を抑えることが可能で、近赤外線投光器141の価格を抑えると共に、より小型化が可能である。
カメラ基板160と近赤外線投光器141を近くに配置することで、リード線を短く出来、コスト削減が可能である。
<近赤外線投光器141をカメラ基板160に実装する場合>
図4の構成に加えて、カメラ基板160上に近赤外線投光器141を実装することで、常にカメラ(撮像手段121)の撮像方向に近赤外線を照射する構成が実現できる。そのため、近赤外線の照射範囲を最小限とすることができ、全方位にLEDを配置する必要が無くなる、または、近赤外線投光器141を撮像手段121の撮像方向に駆動する機構が不要となるため、より安価に構成可能である。更に近赤外線投光器141を接続するリード線などが不要になり、コスト削減が可能になる。
カメラ基板160が制御基板170と別体となっている場合において、近赤外線投光器141をカメラ基板160に接続、またはカメラ基板160上に実装する場合、同一のカメラマイコン161により、撮像手段121の制御と近赤外線投光器141の駆動とが可能な構成とすることができる。これにより、制御手段130は、撮像手段121による撮像と近赤外線投光器141による近赤外線の照射とを容易に同期できる。よって、近赤外線の照射時間の短縮と、近赤外線照射時の撮影時間の短縮とが可能となる。
このとき、近赤外線投光器141にLEDを使用していた場合、1回あたりの近赤外線の照射時間が短縮されたことにより、LED寿命が長くなる。また、LEDの発熱の影響がより少なくなるため、その分電流値を増やすことが可能となる。LEDの場合、電流値と発光強度とは比例する。1個あたりのLEDの発光強度が大きくなることにより、この分LEDの個数を抑えることが可能で、近赤外線投光器141の価格を抑えると共に、より小型化が可能である。
図5は、近赤外線投光器141を制御基板170に接続した第2変形例を示す構成図である。図4に示す第1変形例と同一の要素には同一の符号を付与している。
第2変形例の近赤外線投光器駆動回路140と、可視光カットフィルタ駆動手段190とは、第1変形例とは異なり、メインマイコン171に接続される。
<近赤外線投光器141を制御基板170に接続する場合>
カメラ基板160が制御基板170と別体となっており、カメラ基板160が回転する構成となっている場合において、近赤外線投光器141は、メインマイコン171が実装されている制御基板170に接続、制御基板170に接続されている他の基板上に実装、または制御基板170上に実装するとよい。このとき、近赤外線投光器駆動回路140は、制御基板170上に実装される。これにより、カメラ基板160に接続されるリード線の本数を、近赤外線投光器141の分だけ減らすことが可能である。また、カメラ基板160上に近赤外線発光ダイオード142の実装スペース、またはLEDモジュール接続用のコネクタなど実装する必要がないため、カメラ基板160の小型化が可能である。更にカメラ基板160を小型にすることで、カメラの回動性を確保可能である。また、回動するカメラ基板160に接続されるハーネスの数が少なくなるため、カメラ回転時のリード線の断線などのトラブルを回避可能である。
<近赤外線投光器141を制御基板170上に実装する場合>
図5の構成に加えて、近赤外線投光器141を制御基板170上に実装することで、モジュールとした場合と比較して、ハーネスやモジュールの基板などを廃して、より安価な構成とすることができる。
近赤外線投光器141を構成する基板自体を回転させることが難しい場合は、照射方向を変えたLED素子を複数用意し、必要な方向を向いている素子のみを点灯させることにより、低電流化と長寿命化を実現可能である。
<近赤外線投光器141の構成>
近赤外線投光器141は、例えば被空調室内の撮像手段121の撮像範囲に近赤外線が照射されるように配置された近赤外線発光素子、例えば近赤外線発光ダイオードを使用して構成される。撮像手段121が回動することにより、被空調室内の全域を撮像する構成となっている場合、この時の撮像エリア全体を照射できるよう近赤外線発光ダイオードを配置してもよいし、撮像する必要のあるエリアにのみ近赤外線を照射する構成としてもよい。
図6(a),(b)は、近赤外線投光器141A,141Bの構成例を示す図である。
図6(a)は、近赤外線投光器141Aを示す図である。
近赤外線投光器141Aは、基板143と、この基板143に設置された複数の近赤外線発光ダイオード142と、光学レンズ144を含んで構成される。光学レンズ144は、近赤外線発光ダイオード142の前面に配置されている。これにより、近赤外線投光器141Aは、近赤外線を集光して、任意の範囲に近赤外線を照射できるようにしている。光学レンズ144は、赤外線の照射断面が所定形状となるように投影する。
図6(b)は、第2変形例の近赤外線投光器141Bを示す図である。
近赤外線投光器141Aは、基板143と、この基板143に設置された複数の近赤外線発光ダイオード142と、近赤外拡散材料によるカバー145を含んで構成される。カバー145は、近赤外線発光ダイオード142の前面に配置されている。これにより、近赤外線投光器141Aは、任意の範囲に近赤外線をむらなく照射できるようにしている。
<可視光カットフィルタ191を使用する場合の例>
図7(a),(b)は、可視光カットフィルタ191の構成と動作を示す図である。
図7(a)は、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に配置したときの図である。
可視光カットフィルタ191は、可視光カットフィルタ駆動手段190により撮像手段121の撮像視野αに配置される。可視光カットフィルタ191は、可視光を減衰させて近赤外線を透過される。これにより、撮像手段121は、近赤外線画像を撮影することができる。
図7(b)は、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の撮像範囲外へ移動したときの図である。
可視光カットフィルタ191は、可視光カットフィルタ駆動手段190により撮像手段121の撮像視野αの外へ移動する。このとき、撮像手段121は、可視光と近赤外線による画像を撮影することができる。
第1変形例(図4参照)において、カメラ基板160上のカメラマイコン161は、可視光カットフィルタ駆動手段190を駆動して、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に移動させたのち、撮像手段121で撮像する。
第2変形例(図5参照)において、制御基板170上のメインマイコン171は、可視光カットフィルタ駆動手段190を駆動して、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に移動させたのち、カメラマイコン161に撮像要求信号を送信する。またメインマイコン171は、カメラマイコン161のフィルタ駆動指令に応じて可視光カットフィルタ駆動手段190を駆動してもよい。また、メインマイコン171は、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に配して撮像を行う際には、カメラマイコン161に所定の信号を送信して、近赤外線画像に固有の処理(画像処理など)を行わせる。
制御手段130は、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に配した状態で撮像を行う際に、必要に応じて、シャッタースピードやホワイトバランス、コントラストなどの撮像パラメータを撮像手段121に設定する。
<可視光カットフィルタ駆動手段190の構成>
可視光カットフィルタ駆動手段190は、可視光カットフィルタ191の駆動用のステッピングモータであり、制御手段130からの信号によって駆動し、かつ、可視光カットフィルタ191の位置を検出する。
<可視光カットフィルタ191を使用する場合の画像検出>
空気調和機Aが使用される室内環境は、通常、照明器具または太陽などの光源から可視光と近赤外線の両方が照射されている。そのため、撮像手段121は、撮像する際に可視光カットフィルタ191をその前面に配置すると、室内環境下に存在する可視光を減衰させて、より鮮明な近赤外線画像を撮像可能である。
撮像手段121の撮像方向とは異なる方向から近赤外線が照射されている場合、画像に物体の影が写り込む虞がある。このとき、撮像手段121は、その近傍に設置した近赤外線投光器141から近赤外線を照射することにより、画像に写り込む物体の影を低減可能である。なお、可視光カットフィルタ191の有無、および、近赤外線投光器141の照射/非照射の組み合わせについては、画像検出を行う環境または検出対象に応じて任意に設定すればよい。
<赤外線カットフィルタに紫外線カット機能を付加>
また、撮像手段121から赤外線や紫外線を抑える光学フィルタを取り除いている場合、撮像手段121は、その前面の撮像範囲に、赤外線カット特性、紫外線カット特性、またはその双方の特性を持つ光学フィルタを配置してもよい。これにより、可視光での撮影時に、赤外線や紫外線による色調やコントラストなどへの悪影響を防ぐことができる。
この光学フィルタは、制御手段130からの信号に応じて任意に移動が可能である。制御手段130は、近赤外線を照射せずに撮像する場合には、この光学フィルタを撮像手段121の撮像範囲の前面に配置する。制御手段130は、近赤外線を照射しつつ撮像を行う場合には、この光学フィルタをカメラの撮像範囲以外に移動する。
これにより、可視光撮影時にも良好な性能を確保できる。
また、この赤外線カット特性、紫外線カット特性、またはその双方の特性を持つ光学フィルタが、可視光カットフィルタと同時に使用される場合は無い。そのため空気調和機Aは、赤外線カット特性、紫外線カット特性、またはその双方の特性を持つ光学フィルタを、可視光カットフィルタと隣接させた一体形状として、単一の駆動手段によって同時に駆動するように構成してもよい。なお、本実施形態における空気調和機Aにおいて、これら光学フィルタや機構により検出精度などの向上が見込めるものの、あくまで本発明を適用する空気調和機Aの仕様に応じ、任意に設定すればよく、本発明の構成を限定するものではない。
図8(a),(b)は、可視光カットフィルタ191Bの構成と動作の変形例を示す図である。
図8(a)は、可視光カットフィルタ191Bの可視光カットフィルタ部分1911を撮像手段121の撮像視野αに移動したときの図である。
このとき、可視光カットフィルタ部分1911により、可視光が減衰して近赤外線が透過するので、撮像手段121は、近赤外線画像を撮像できる。
この変形例の可視光カットフィルタ191Bは、可視光カットフィルタ部分1911と赤外線カットフィルタ部分1912とを横並びの一体形状で構成している。可視光カット機能と赤外線カット機能とは、同時に使用されることが無い。そのため、可視光カットフィルタ191Bは、このような一体形状で構成して、単一の可視光カットフィルタ駆動手段190によって同時に駆動することができる。
図8(b)は、可視光カットフィルタ191Bの赤外線カットフィルタ部分1912を撮像手段121の撮像視野αに移動したときの図である。
このとき、赤外線カットフィルタ部分1912により、近赤外線が減衰して可視光が透過するので、撮像手段121は、可視光画像を撮像できる。
また、この赤外線カットフィルタ部分1912は、赤外線カット機能に加えて紫外線カット機能の特性を持たせてもよい。このような可視光カットフィルタ191Bにより、近赤外線画像と可視光画像を切り替えて撮影できるので、画像検出の精度向上が見込める。
なお、本発明の空気調和機Aにおいて、これらの光学フィルタや機構により画像検出の精度向上が見込めるものの、あくまで本発明を適用する空気調和機Aの仕様に応じて、任意に設定すればよく、本発明の構成を限定するものではない。
図9(a),(b)は、撮影画面上の位置と距離の関係を示す図である。
図9(a)は、被空調室600の側面図を示している。
被空調室600は、壁面605と壁面601とで仕切られている。空気調和機Aの室内機100は、被空調室600の一方の壁面605に設置されている。被空調室600の床面604には、壁面605からの距離L1,L2,L3,L4,L5が、それぞれ破線で示されている。
撮像視野αは、撮像手段121(図1参照)が撮像できる視野を示している。撮像視野αは、床面604の距離L2から距離L5と、壁面601の所定高さまでを含んでいる。
図9(b)は、撮像手段121が撮像した被空調室600の画像を示している。
画像の中央上部には、壁面601が撮像される。画像の左部には、左壁面602が撮像される。画像の右部には、右壁面603が撮像される。画像の中央下部には、床面604が撮像され、更に距離L2〜L5が各破線で示されている。ここに示す通り、撮像画像上の床面604の各位置から、室内機100からの各距離を算出可能である。なお以降、室内機100からの距離のことを、「空気調和機Aからの距離」と記載する場合がある。
撮影画像上の床面604の位置と、室内機100からの距離を算出するには、室内機100が設置される高さが必要である。一般家庭における室内機100の取り付け位置は、2〜2.5[m]が殆どであり、例えば2.25[m]として決め打ちで計算してもよい。または、リモコンRe(図1参照)から据付高さを入力させてもよい。
ただし、床面604を基準として画角の計算を行うため、物体までの距離を検出するためには、物体と床面604との接触点を検出し、この箇所についての距離を検出する必要がある。詳細な物体の検出の方法については後記する。
また、床面604を基準として物体までの距離を検出したとき、物体同士の相対的な位置関係を誤検出することはない。空気調和機Aからの送風は直進しかしないため、絶対的な距離に誤差が生じたとしても問題ない。距離検出精度については、本発明を適用する空気調和機Aの空調運転仕様にあわせて規定すればよく、発明の内容を限定するものではない。
<近赤外線照射手段の照射範囲>
図10は、撮像手段121の撮像視野αと近赤外線投光器141の照射範囲βの例を示す平面図である。
被空調室600の平面図の手前側は、壁面605であり、空気調和機Aの室内機100が設置されている。室内機100には、撮像手段121と近赤外線投光器141とが設けられている。撮像視野αは、撮像手段121による撮像の視野を示している。撮像手段121は、角度θだけ回転している。照射範囲βは、近赤外線投光器141の赤外線を照射する範囲であり、撮像視野αの一部に相当する。近赤外線投光器141は、角度Φだけ回転している。このとき、照射範囲βよりも撮像視野αの方が広くなるように構成されている。
近赤外線投光器141は、例えば、不図示のステッピングモータにより回転駆動して、近赤外線の照射方向が変更可能である。ここでは、近赤外線投光器141は、角度Φだけ回転駆動している。これにより、近赤外線発光ダイオード142の個数を最小限に抑えると共に、近赤外線投光器141の電源容量を最小限に抑えることができる。
また、複数の近赤外線発光ダイオードを各方向に向けてそれぞれ配置して構成し、順番に照射するようにしても、近赤外線投光器141の電源容量を最小限に抑える効果を得ることが可能である。
なお、近赤外線の照射範囲βについては、空気調和機Aにおいて画像検出を行う上で、照射が必要となる対象の存在する方向に近赤外線が照射できるよう配置すればよい。空気調和機Aの仕様によっては、近赤外線の照射が不要である範囲への近赤外線の照射を省くことで、同様に、赤外線発光素子の個数を抑えて、より簡素に近赤外線投光器141を構成可能である。
<部分的に近赤外線を照射する場合の画像検出処理>
図10に示した例では、撮像手段121の撮像視野αよりも照射範囲βが狭い。そのため、画像検出部131は、撮像した画像全体を一度に検出できない。また、近赤外線の照射範囲βごとに画像検出を行った場合には、検出対象が照射範囲βの境界に跨がると検出できない。
そのため、撮像画像のうち、近赤外線が照射されている範囲のみを画像処理する。または、複数の近赤外線が照射された画像データから、近赤外線が照射されている範囲のみを合成して一つの撮像画像として、画像処理を行うことにより、撮像範囲全体へ近赤外線を照射して撮像を行った場合と同様の効果を得ることができる。
但しこのとき、撮像された画像上の物体が、実際の位置と異なる位置とならない様、撮像された画像データの内、近赤外線が照射されている範囲を切り出して、他の画像データ上に置換える操作を行う際は、元の画像と同様の位置に配置する必要がある。
また、撮像手段121を回転駆動する場合、駆動部品には構造的な遊びが必要となる。そのため、部品のガタ付きなどにより、いったん撮像手段121を回転駆動させると、その後に同一の画角を再現できない場合がある。そのため、撮像手段121を回転駆動させず、近赤外線照射手段を走査して、一連の流れで撮影を行うことで、画像を合成した場合のズレなどが生じず、より正確な物体検出などを行うことができる。
例えば、近赤外線の照射されている範囲のみを画像検出する場合、検出したい対象が近赤外線の照射されている範囲より大きい場合、検出精度が落ちてしまう。よって、空気調和機Aの仕様上、検出対象の大きさに応じて近赤外線の照射範囲βを設定することが望ましい。また、近赤外線が照射された複数の撮影画像から1枚の画像を合成する方式の場合、画像データの一部ずつを置き換えることにより簡単に画像の合成が可能であり、撮像範囲全体へ近赤外線を照射した場合と同等の画像データを作成可能である。
なお、本方式は、例えば、家具などの静止物の検出、被空調室内の間取りなどの検出、動きが少ない就寝中の人体など、撮影頻度が少なくても空調運転の仕様上問題にならない場合において特に有効である。
<近赤外線を照射しながらの画像検出>
本実施形態における空気調和機Aにおいては、室内の環境に合わせて近赤外線投光器141により被空調室内に近赤外線を照射しつつ撮像手段121によって被空調室内の撮像を行う。
近赤外線は可視光よりも波長が長く、人間は、近赤外線を肉眼で認識することができない。しかし、撮像手段121は、近赤外線を検出可能である。制御手段130は、近赤外線投光器141から近赤外線を照射しつつ、撮像手段121で撮像することで、被空調室内の近赤外線画像を取得可能である。
可視光を撮像することを目的とするイメージセンサは、一般に、赤色、緑色、青色のカラーフィルタを備えた画素センサが二次元マトリクス状に配置されて構成される。このイメージセンサは、赤色、緑色、青色の三色の光量を測定して出力する。カメラの信号処理部は、各色の画素センサの出力データが、画像情報上の1ドット分を構成するように画像データを生成する。
物体の色は、可視光のうち、対象の物体が吸収する波長によって決まる。例えば、青色の物体は、赤色から緑色の帯域の波長の光を吸収し、青色の波長の光を反射する。これにより、この物体の色は青色に見える。しかしながら、近赤外線は可視光帯域とは異なる波長であるため、近赤外線を照射している場合に取得される画像では、物体の色とは異なり、物体の近赤外線の吸収率と反射率とに応じた色調で表現される。
物体検出部133は、色調や輝度の差から画面上の境界を導き出し、これを輪郭として検出することで物体を検出する。そのため、撮像対象の物体に、模様や柄などの色味が異なるには場合、この模様や柄を輪郭の境界として誤検出してしまう。柄や模様により画像検出の外乱となりうる物体には、例えば絨毯や床材や壁紙などがある。これら絨毯や床材や壁紙などは一般的に、同一の物体に同一の素材が使用されており、同一の素材の近赤外線の吸収率や反射率は、ほぼ同一である。
本実施形態における空気調和機Aでは、撮像時に近赤外線投光器141から近赤外線を照射することで、これら物体の柄や模様による画像処理の影響を受けにくくしている。つまり、近赤外線投光器141から近赤外線を照射しつつ撮像することにより、画像検出部131は、柄や模様のある同一の素材の物体を、同一の色(輝度)であるとして検出可能である。
本実施形態における空気調和機Aは、近赤外線投光器141を備えていることから、被空調室内が暗い夜間などにおいても、近赤外線を照射することにより撮像が可能となる。また、このとき、近赤外線は肉眼で捉えることができないため、在室者に不快感を与えることがない。
また、近赤外線を照射せずに撮像した画像から物体の輪郭を検出する場合、物体の影を物体の輪郭として誤検出してしまうという問題がある。撮像方向と異なる方向から対象物体に光が照射されている場合、撮像手段121により対象物体の影が撮像される。しかしながら、本実施形態における空気調和機Aにおいては、撮像手段121の近傍に設置された近赤外線投光器141から近赤外線を照射しているので、この照射された近赤外線によって生じる物体の影が撮像手段121から見えず、よって撮像手段121が撮像した画像に写り込まないようになっている。つまり、近赤外線を照射することにより、被空調室内の照明装置による対象物体の影をリダクション可能である。
対象物体の影をリダクションすることだけを想定した場合、空気調和機Aは、本体に可視光を照射する照明器を設けて、撮像時にこれを点灯することも考えられる。しかし、可視光は人間の肉眼で捉えることが可能であり、人間の生活環境下で使用される空気調和機Aにおいて可視光の照射は、在室者の快適性を損なう虞があるため使用できない。本実施形態における空気調和機Aは、人間の肉眼で捉えることのできない近赤外線を照射するので、対象物体の影による画像検出の誤検出を抑えつつ、撮像時に在室者に不快感を与えることがない。
また、近赤外線を照射している環境下で撮像された画像データから、各種画像処理を行って物体などを検出する場合に使用する画像検出ソフトウェアは、従来の可視光向けの画像検出ソフトウェアをそのまま使用してもよく、近赤外線画像専用の画像検出ソフトウェアを用意し、画像撮像方法や物体の検出対象に合わせて、このソフトウェアを変更して使用してもよい。
<撮像条件に対応した撮像を行う>
本発明の空気調和機Aにおいては、近赤外線投光器141からの近赤外線の照射の有無と、可視光カットフィルタ191の配置の有無による複数の撮像条件を選択可能である。そのため、本発明の空気調和機Aは、被空調室内の室内環境または検出対象に応じた撮像方法を選択することにより、より高精度な画像検出が可能な構成を実現している。
一般に知られている通り、可視光と近赤外線の物理的な特性は異なる。そのため、可視光カットフィルタ191により可視光をカットして近赤外線を捉えた近赤外線画像は、可視光を捉えた可視光画像とは異なる色調となる。そのため、検出対象に応じて撮像方法を変更することで、同一の撮像手段121から、より多くの情報を取得可能である。
近赤外線画像による検出対象は、例えば、家具や被空調室内の壁や人体の輪郭や四肢などである。近赤外線画像は、被写体の近赤外線の反射率や吸収率に応じた色調/輝度となる。本実施形態では、可視光をカラーで撮像する撮像手段121を、近赤外線画像の撮像に流用している。そのため、近赤外線画像は、撮像素子123の赤青緑のカラーフィルタの近赤外線特性により、所定の色(例えば紫色)に色づいて見える。
同一素材の2つの物体は、たとえ可視光画像上では異なる色調であったとしても、これら両物体の素材の近赤外線の反射率が近いため、近赤外線画像上は、ほぼ同じ色調/輝度となる。そのため、画像検出を行う上で有利となる。
画像検出部131は、例えば、被空調室内の人の位置や人の四肢の画像検出を行う際には、先ず人の肌の色を検出する処理を行う。このとき、近赤外線を照射または可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に配置した場合、色を正しく検出することが難しくなってしまう。そのため、制御手段130は、近赤外線を照射せず、かつ、可視光カットフィルタ191を用いずに撮像する。
物体の画像検出を行う場合、物体の柄や模様、室内の照明による影が外乱となる。この場合、制御手段130は、近赤外線投光器141または可視光カットフィルタ191、またはその双方を用いて撮像を行う。これにより、物体の画像検出をより高精度に行うことができる。また、被空調室内の照度が低い場合、近赤外線投光器141から近赤外線を照射すると、低照度下であっても画像検出を行うことができる。
また、撮像手段121は、可視光に強い感度を持っている。そのため、撮像手段121の前面に可視光カットフィルタ191を配置することで、室内照度が高い条件下で近赤外線画像を撮像可能である。これら撮像条件については、使用する画像処理ソフトウェアの仕様、検出対象、空気調和機Aの製品仕様に応じて適切に設定すればよい。
図11(a)〜(c)は、画像検出部131による画像検出結果の一例を示す図である。
図11(a)は、画像検出部131が処理する評価画像を示している。
この評価画像は、被空調室内を撮像したものであり、人体400と、物体300,301とを含んでいる。物体300は、テーブルである。物体301は、椅子である。
<制御手段130での人体検出の方法について>
図11(b)は、画像検出部131が画像から人体を検出した動作を示している。
この評価画像の人体400から、破線の矩形で示された画像上の顔領域410が検出されている。
人体の検出においては、身体検出と顔検出の検出結果を組み合わせることにより、多くの情報を得ることが可能である。例えば、人体検出部132は、撮像手段121によって取得された画像情報に含まれる身体の大きさおよび顔の大きさから、空気調和機Aから検出された在室者までの距離を推測することも可能である。例えば、空気調和機Aの近くの在室者の顔または身体は大きく写り、空気調和機Aから遠い在室者の顔または身体は小さく写る。これを検出し、さらに身体の位置情報と関連づけることにより、精度良く在室者の位置を検出することが可能となる。
制御手段130では、被空調室内の在室者の位置だけでなく、その経時変化を捉えることで活動量を検出可能である。在室者の活動量を空調運転に反映することで、より被空調室内の快適性を高めることが可能である。これは、被空調室内の在室者の活動量の検出結果から所定のパラメータに応じて、人の活動量に応じた体感温度を算出し、これを空調運転設定に反映させることで実現される。
これら各種画像処理の方法は、本発明を適用する空気調和機Aの一例であり、空気調和機Aの仕様に応じて、他の適切な検出方法を設定した場合であっても同様の効果を得ることができる。
検出された人体および物体の位置は、カメラの撮影方向および画像上の位置座標を主に検出結果として制御に用いる。また、在室者の位置の推定や、室内機100からの距離の検出は、撮像手段121の画角や取り付け位置に応じてパラメータを任意に設定し、これに基づいて画像処理を行うことで、在室者の位置を座標データとして検出する。
<制御手段130での物体の検出方法について>
図11(c)は、画像検出部131が画像から物体を検出した動作を示している。
この評価画像の物体300から、破線の多角形で示された画像上の物体領域310が検出されている。物体301から、破線の多角形で示された画像上の物体領域311が検出されている。
人体の検出と同様に、画像情報から輪郭を検出することなどにより、物体を検出可能である。また、画像検出部131は、この検出された物体から、物体の大きさ、空気調和機A本体から物体までの距離、形状などを推定可能である。
例えば、検出を行った対象が、右半分が茶色、左半分がクリーム色の二色のタオルであるとする。この二色のタオルを可視光画像で画像検出した場合、色が二色存在するため、この色の境界部分を物体同士の境界と誤検出し、二つの物体があると誤検出してしまう。
しかし、この二色のタオルは、右半分も左半分も同一素材であるため、近赤外線画像では同色、同輝度となる。この二色のタオルを近赤外線画像で画像検出した場合、一つの物体として検出可能である。可視光を捉えた画像データで検出された物体の座標と、近赤外線を捉えた画像データ上で検出された物体の座標とをそれぞれ対応させることにより、可視光画像上で二つの物体であると誤検出されたタオルを、正しく同一の物体であると認識させることが可能である。
画像検出部131は、検出された物体の輪郭から、重心位置や、形状の複雑度の算出など、既存の各形状分析などを行わせてもよい。空気調和機Aは、その仕様に応じて、これらを活用した各種画像検出などを追加してもよい。画像情報上から物体の形状を検出するソフトウェアは、任意のものが使用可能である。
撮像手段121での撮像および画像検出、画像検出結果に応じた空調運転を行う具体的な運転モードなどについては、空気調和機Aの仕様にあわせて設定される。
<各撮像結果を複合して検出>
また、条件ごとに画像検出を行った結果を保持し、各画像検出の結果を複合して検出を行うことが可能である。可視光環境下で撮影された画像データおよび近赤外線を捉えた画像データそれぞれについて物体検出を行い、検出結果を対応させることにより、より高精度に物体の検出を行うことが可能である。
図11(a)〜(c)に示したように、検出された人体および/または物体は、カメラの撮影方向および画像上の位置座標に基づき、検出結果として制御に用いられる。在室者の位置や、室内機100からの距離は、撮像手段121の画角や取り付け位置に応じてパラメータを任意に設定し、これに基づいて画像処理を行うことで検出される。
撮像手段121での撮像および画像検出、画像検出結果に応じた空調運転を行う具体的な運転モードなどについては、空気調和機Aの仕様にあわせて設定される。
別の例としては、可視光画像から人の位置を検出し、その位置が検出される頻度から、被空調室内の在室者の在室頻度の高いエリアを検出してもよい。このとき、人体が検出されなかったエリアを中心に近赤外線を照射して物体の検出を行うことで、人体による外乱を防いで、より高精度に物体の検出を行うことが可能である。これにより、空気調和機Aは、駆動制御部137(空調運転制御手段)により、物体を回避して、被空調室内の在室者の在室頻度の高いエリアを送風の風向とするように空調運転を制御する。
このように、複数の方法で撮像が可能であるため、本発明を適用する空気調和機Aに備える画像検出ソフトウェアに応じて各種処理を追加することで、検出精度など向上させることが可能である。
<近赤外線のパターン照射の例>
近赤外線投光器141のビームの断面が所定形状となるように近赤外線を照射すると、更に高精度に物体の形状を検出することが可能となる。このとき、撮像手段121と近赤外線投光器141とを、室内機100上の離れた位置に配置するとよい。また、具体的な構成の例については後記する。
<第1の実施形態の近赤外線投光器141が照射する断面形状700のビーム>
第1の実施形態の近赤外線投光器141は、ビームの断面形状700の少なくとも一辺が直線状となるように近赤外線を照射する。また、画像検出部131は、近赤外線画像上にビームが描く赤外線の照射範囲の輪郭形状から、断面形状700の直線状の一辺を検出する。
図12(a),(b)は、第1の実施形態の近赤外線投光器141が照射するビームの断面形状700を示した図である。
図12(a)は、近赤外線投光器141が照射するビームを示した平面図である。
近赤外線投光器141は、壁面601に向けて近赤外線を照射する。近赤外線のビームは、近赤外線投光器141からの距離に比例して広がる。距離L3における照射範囲は、幅w1である。距離L5における照射範囲は、幅w0である。
図12(b)は、近赤外線投光器141が照射するビームの断面形状700を示した斜視図である。
近赤外線投光器141は、壁面601に向けて近赤外線を照射する。近赤外線のビームは、近赤外線投光器141からの距離に比例して広がる。ビームの断面形状700は、縦長の長方形であり、幅w0である。よって、断面形状700の右辺と左辺とは、直線状である。
なお、近赤外線投光器141は、集光レンズなどを用いて赤外線を集光し、そのビームの断面が所定形状となるように構成している。集光レンズの歪曲収差により、ビームの断面形状700の各辺を厳密な直線とすることが難しい。しかし、実使用環境下においては、撮像された近赤外線画像上で、少なくとも一辺が略直線状に写っていればよい。
照射範囲変更手段180は、近赤外線投光器141を左右に回転駆動して近赤外線の照射範囲を変更し、被空調室全体を近赤外線のビームで走査する。このとき、近赤外線のビームの断面形状700は、直線状になっている辺が検出対象を跨ぐ。これにより、被空調室600内の広域に位置する物体または/および人体を検出可能である。しかし、これに限られず、照射範囲変更手段180は、ミラーやプリズムを左右に回転駆動することによって近赤外線の照射範囲を変更し、被空調室600全体を赤外線のビームで走査してもよい。
<第1の実施形態の照射ビームによる物体の検出>
図13(a),(b)は、第1の実施形態の近赤外線投光器141の照射するビームによる直方体の物体検出の例を示した図である。
図13(a)は、撮像視野αと物体302などの関係を示した被空調室600の側面図である。図9(a)の被空調室600と同一の構成には同一の符号を付与している。
被空調室600は、壁面605と壁面601とで仕切られている。空気調和機Aの室内機100は、被空調室600の一方の壁面605に設置されている。被空調室600の床面604には、壁面605からの距離L3に、物体302が配置されている。
撮像視野αは、撮像手段121(図1参照)が撮像できる視野を示している。また、撮像手段121と同じ高さには、近赤外線投光器141が設けられ、近赤外線を照射する。この近赤外線は、物体302に照射されて、床面604に影322を形成する。この近赤外線投光器141と撮像手段121とは、同一の高さに配置されているので、この影322は、物体302によって隠される。これにより、影322を物体として誤検出することを抑止可能である。
図13(b)は、撮像手段121で照射範囲などを撮像した近赤外線画像である。すなわち、図13(b)は、撮像手段121の位置から見たときの近赤外線の照射形状である。
撮像手段121と近赤外線投光器141とは、空気調和機Aの室内機100の離れた位置に配置されている。近赤外線のビームが物体302を跨ぐことにより、この物体302の形状と距離とを検出可能である。
赤外線の照射方向と撮像方向との角度差により、撮像手段121によって撮像された画像データ上において、床面604にビームの断面形状700が描く赤外線の輪郭形状の左辺は、傾いて検出される。
また、物体の凹凸により、ビームの断面形状700の直線部分である左辺と右辺とは、撮像手段121から見て歪んで見え、かつ、撮像手段121が撮像した画像上においても歪んで検出される。画像検出部131は、この画像データ上の赤外線照射範囲710の直線部分の歪みから、物体の凹凸を検出する。
近赤外線投光器141のビームの断面形状700の直線部分が、近赤外線投光器141から見て垂直となるように照射した場合であれば、近赤外線が照射されている箇所に物体があれば、撮像画像データ上の赤外線照射範囲710では、この近赤外線の直線部分が撮像手段121から見て上方向に歪んで見える。また物体が、例えばテーブルの様に下部分が開いている場合は、近赤外線のビームの断面形状700の直線部分は、撮像手段121から見てテーブルの天板と、床面604とで分離して見える。そのため、物体検出部133は、この近赤外線投光器141のビームの断面形状700に対応する画像データ上の赤外線照射範囲710の形状によって、物体302の形状をより正確に検出可能である。すなわち画像検出部131は、近赤外線投光器141によって被空調室に映される赤外線の照射範囲を、撮像手段121の位置から見たときの形状から、この赤外線が照射された物体の形状を検出することができる。
物体検出部133は、辺か略直線状の近赤外線のビームの断面形状700を用いて、以下のようにして物体302の形状を検出する。
ビームの断面形状700のように近赤外線が照射された場合、近赤外線画像上の赤外線照射範囲710の左辺は境界E0〜E4のようになる。なお、この境界E0〜E4は、照射された検出対象の形状に沿った形となる。
境界E0は、斜めに所定角度で傾いている。これにより、断面形状700のビームの一部が床面604に照射されたことを検出できる。
境界E1は、垂直である。これにより、断面形状700のビームの一部が物体302の垂直な面に照射されたことを検出できる。境界E0と境界E1とが接触していることから、この物体302は、床面604に接触していることを検出できる。
境界E2は、斜めに所定角度で傾いて境界E0と平行である。これにより、境界E2にかかる物体302の面は、床面604と平行であることを検出できる。更に境界E2は、境界E1と接触している。これにより、境界E2にかかる物体302の面は、床面604から所定の高さであることを検出できる。
境界E3は、斜めに所定角度で傾き、かつ、境界E0と同一の直線上に存在する。これにより、境界E3にかかる面は、境界E0にかかる面と同一平面であることを検出できる。更に境界E3は、境界E2と接触していない。これにより、空気調和機Aの方向から見て物体302の後ろ側に、死角となる空間が存在することを検出できる。
境界E4は、画面上辺まで垂直に伸びている。これにより、物体検出部133は、被空調室600の壁面であると推定できる。
物体検出部133は、境界E0,E1の画面上の接触位置から、カメラの画角および室内機100の据付高さに基づいて、室内機100からこの接触位置までの距離L3を算出可能である。よって、物体302までの距離L3を正確に求めることが可能である。
同様に境界E3と境界E4との接続位置から、対向する壁面601までの距離を算出して、部屋の大きさを検出することができる。この結果は、空調負荷の算出などに用いてもよい。
この壁面601と床面604とが見えない場合でも、境界E0と境界E4の延長線上の位置を壁と床の境界として、同様に壁までの距離を算出可能である。
なお、ここでは照射された近赤外線のビームの断面形状700の境界の各位置から物体の距離を求めたが、画像検出により検出された物体のエッジと、画像上における赤外線照射範囲710の境界との交点を用いて距離を算出しても、同様の効果を得ることが可能である。
また、物体302までの距離L3が算出されたことにより、境界E1の実際の長さを算出可能である。そのため、物体検出部133は、この物体302の高さも併せて検出可能である。
このように、物体検出部133は、撮像手段121が撮像した画像上におけるビームが描く赤外線照射範囲710の境界(輪郭形状)を撮像手段121で捉えることにより、物体の凹凸形状を、より正確に検出可能である。
この断面形状700の近赤外線のビームを、撮像範囲全域を走査させながら上記検出を行うことにより、被空調室内全域の物体の形状と距離とを検出することができる。
ここでは具体的な計算式を示していないが、本発明を実施する空気調和機Aに用いられている撮像手段121の画角や分解能、近赤外線投光器141の集光レンズの構造や、室内機100上の撮像手段121と近赤外線投光器141との配置によって、計算式が異なるためである。実際の空気調和機Aでは、自身の仕様に合わせた計算式を使用する。
図14(a),(b)は、第1の実施形態の近赤外線投光器141が照射するビームによる直方体の物体検出の第2例を示した図である。
図14(a)は、撮像視野αと物体302などの関係を示した被空調室600の側面図である。図13(a)の被空調室600と同一の構成には同一の符号を付与している。
被空調室600の壁面605からの距離L4に、物体302が配置されている。物体302は、壁面601に接触しているので、近赤外線の照射による影は形成されない。
図14(b)は、撮像手段121で照射範囲などを撮像した近赤外線画像である。すなわち、図14(b)は、撮像手段121の位置から見たときの近赤外線の照射形状を示している。
画像上では、ビームが描く赤外線照射範囲710の左辺は、境界E10〜E13となる。なお、この境界E10〜E13は、照射された検出対象の形状に沿った形となる。
境界E10は、斜めに所定角度で傾いている。これにより、近赤外線投光器141のビームが床面604に照射されたことを検出できる。
境界E11は、垂直となっている。これにより、近赤外線投光器141のビームが、物体302の垂直な面に照射されたことを検知可能である。境界E10と境界E11とが接触していることから、この物体302は、床面604に接触していることを検出できる。
境界E12は、斜めに所定角度で傾いて境界E10と平行である。これにより、境界E12にかかる物体302の面は、床面604と平行であることを検出できる。更に境界E12は、境界E11と接触している。これにより、境界E12にかかる物体302の面は、床面604から所定の高さであることを検出できる。
境界E13は、画面上辺まで垂直に伸びている。これにより、物体検出部133は、被空調室600の壁であると推定できる。
境界E12と境界E13とは、画面上で接続されている。これにより、物体302が壁面601に接触していると推定できる。
物体検出部133は、境界E10,E11の画面上の接触位置から、カメラの画角および室内機100の据付高さに基づいて、室内機100からこの接触位置までの距離L4を算出可能である。よって、物体302までの距離L4を正確に求めることが可能である。
この壁面601と床面604とが見えない場合でも、境界E10と境界E13の延長線上の位置を壁と床の境界として、同様に壁までの距離を算出可能である。
また、物体302までの距離L4が算出されたことにより、境界E11の実際の長さを算出可能である。そのため、この物体302の高さも合わせて検出することが可能であると言える。
このように、断面形状700の近赤外線のビームが描く赤外線を撮像手段121で捉えた画像上における赤外線照射範囲710の輪郭形状により、より正確に凹凸を含めた物体の形状検出を行うことが可能である。
この断面形状700の近赤外線のビームを被空調室の全域に亘って走査させながら撮像手段121で撮像することにより、被空調室の全域の物体の形状と距離とを検出することができる。
図15(a),(b)は、第1の実施形態の近赤外線投光器141が照射するビームによるテーブルの物体検出の例を示した図である。
図15(a)は、撮像視野αと物体301などの関係を示した被空調室600の側面図である。図13(a)の被空調室600と同一の構成には同一の符号を付与している。
被空調室600は、壁面605と壁面601とで仕切られている。空気調和機Aの室内機100は、被空調室600の一方の壁面605に設置されている。被空調室600の床面604には、壁面605からの距離L3に、物体301が配置されている。
撮像視野αは、撮像手段121(図1参照)が撮像できる視野を示している。また、撮像手段121と同じ高さには、近赤外線投光器141が設けられ、近赤外線を照射する。この近赤外線は、物体301に照射されて、床面604に影321を形成する。この近赤外線投光器141と撮像手段121とは、同一の高さに配置されているので、この影321は、物体301によって隠される。これにより、影321を物体として誤検出することを抑止可能である。
図15(b)は、撮像手段121で照射範囲などを撮像した近赤外線画像である。すなわち、図15(b)は、撮像手段121の位置から見たときの近赤外線の照射形状を示している。
撮像手段121と近赤外線投光器141とは、空気調和機Aの室内機100の離れた位置に配置されている。近赤外線のビームが物体301を跨ぐことにより、この物体301の形状と距離とを検出可能である。
境界E20と境界E21とが接触していないことから、境界E21にかかる物体301の面と、境界E20にかかる床面604との間に、空間が空いていることが検出できる。
また、この境界E21の下端から垂線を引き、垂線と境界E20との交点を物体301と床面604との接触点とすることで、実際に物体301と床面604の接点が検出できない場合であっても、室内機100から物体301までの距離L3を正確に算出可能である。
図16は、第1の実施形態の空調運転制御処理を示すフローチャートである。
制御手段130は、例えばリモコンReによって空調運転が指令されると、空調運転制御処理を開始する。
ステップS10において、制御手段130は、可視光カットフィルタ駆動手段190により、撮像手段121の前面に可視光カットフィルタ部分1911(図8(a)参照)を設定する。
ステップS11において、制御手段130は、近赤外線投光器141により、ビームを近赤外線で照射する。
ステップS12において、制御手段130は、撮像手段121により、被空調室600内を近赤外線で撮像する。
ステップS13において、制御手段130は、物体検出部133によりビームが描く照射範囲の輪郭形状から物体の形状と距離とを検出する。
ステップS14において、制御手段130は、照射範囲変更手段180により、ビームの照射範囲を横方向に変更させる。
ステップS15において、制御手段130は、形状と距離の検出を終了するか否かを判断する。制御手段130は、形状と距離の検出を終了するならば(Yes)、ステップS16の処理を行い、形状と距離の検出を終了しないならば(No)、ステップS11の処理を行う。
ステップS16において、制御手段130は、可視光カットフィルタ駆動手段190により、撮像手段121の前面に赤外線カットフィルタ部分1912(図8(b)参照)を設定する。
ステップS17において、制御手段130は、近赤外線投光器141による近赤外線の照射をオフする。
ステップS18において、制御手段130は、撮像手段121により、被空調室600内を可視光で撮像する。
ステップS19において、制御手段130は、人体検出部132により、可視光画像から人体を検出する。
ステップS20において、制御手段130は、人体と物体の画像における検出結果からそれぞれの被空調室600内の位置を推定する。
ステップS21において、制御手段130は、空調の風向を在室者の推定位置に決定し、ステップS10の処理に戻る。
<第2の実施形態の近赤外線投光器141が照射する断面形状701のビーム>
第2の実施形態の近赤外線投光器141は、例えばコリメータレンズから平行に近赤外線を照射する。近赤外線のビームの断面形状701の大きさは、近赤外線投光器141からの距離によらず所定値となる。これを撮像手段121で撮像すると、画像検出部131(物体検出部133)は、近赤外線画像上の大きさにより、距離を検出できる。なお、第2の実施形態においては、撮像手段121と近赤外線投光器141とを離して配置する必要はない。
図17(a),(b)は、第2の実施形態の近赤外線投光器141が照射するビームの断面形状701を示した図である。
図17(a)は、近赤外線投光器141が照射するビームを示した平面図である。
近赤外線投光器141は、壁面601に向けて近赤外線を照射する。近赤外線投光器141からの距離によらず、近赤外線のビームの断面形状701は、直径d0を保つ。距離L3,L5におけるビームの断面形状701は、直径d0である。
図17(b)は、近赤外線投光器141が照射するビームの断面形状701を示した斜視図である。
近赤外線投光器141は、壁面601に向けて近赤外線を照射する。近赤外線は平行であり、ビームの断面形状701は、直径d0の円形である。
第2の実施形態では、円形のレンズを使用し、近赤外線を円形に照射している。照射の形状としては、四角形などの多角形、棒状のスケールのような形状などでもよく、限定されない。第2の実施形態におけるビームの断面形状701の直径d0は、撮像手段121の光学レンズ122の直径とは異なる大きさが望ましい。また、近赤外線投光器141は、実際に距離または形状の検出を行う物体の大きさよりもビームの断面形状701の直径d0が小さくなるように構成される。
ビームの断面形状701の直径は、距離にかかわらず一定であることが望ましい。しかし、距離に応じてビームの断面形状の直径が異なる場合であっても、充分な分解能を持つ撮像素子123を使用して、撮像した赤外線画像上の赤外線照射範囲711の大きさから距離が検出できるようにしてもよい。
<第2の実施形態の照射ビームによる距離の検出>
第2の実施形態における物体検出部133は、近赤外線投光器141から照射された断面形状701のビームを撮像手段121で捉え、撮像手段121によって撮像された近赤外線画像から、ビームの照射位置までの距離を検出可能である。
第2の実施形態における近赤外線投光器141は、平行に近赤外線のビームを照射している。これにより、近赤外線画像上における赤外線照射範囲は、撮像手段121からの距離が遠くなるほど小さくなる。そのため、物体検出部133は、例えば、近赤外線投光器141のビームの断面形状701の大きさと、近赤外線画像上における赤外線照射範囲の大きさと、実際の距離とを対応させて画像検出部131に記憶しておくことにより、これら制御を実現可能である。
なお、撮像手段121の画角に対する近赤外線投光器141のビームの断面形状701の直径から、撮像した近赤外線画像上における赤外線照射範囲の大きさと、実際の距離との関係は容易に計算可能である。
なお、第2の実施形態のビームの断面形状701は、実際には近赤外線投光器141からの照射角度が撮像手段の画角より小さくなっていれば、近赤外線が照射されている物体までの距離に応じて近赤外線画像上における赤外線照射範囲の大きさが変化する。そのため、原理的には距離の推定が可能である。
ここで、近赤外線のビームの照射角度が広がれば広がるほど、近赤外線画像上における赤外線照射範囲の大きさが広がるため距離の測定精度が低下する。また、照射角度が0度以下の場合、焦点距離で光が一点に集まる。このとき、近赤外線の照射位置までの距離が、この焦点よりも手前であるか否かを判別するため、近赤外線のビームの断面形状を左右非対称として、これを画像処理部で判別する必要が生じるものの、同様の効果を得ることが可能である。
図18(a)〜(c)は、第2の実施形態の近赤外線投光器141が照射するビームによる直方体の距離検出の例を示した図である。照射範囲変更手段180が、近赤外線投光器141のビームを走査する。画像検出部131は、近赤外線の照射位置との距離を検出する。
図18(a)は、物体302の側面に断面形状701のビームを照射したときに撮像した近赤外線画像を示している。
断面形状701のビームは、物体302の側面に照射されている。このとき、近赤外線画像上において、赤外線照射範囲711の大きさは、直径D0である。
図18(b)は、物体302の上面に断面形状701のビームを照射したときに撮像した近赤外線画像を示している。
断面形状701のビームは、物体302の上面に照射されている。このとき、近赤外線画像上において、赤外線照射範囲711の大きさは、直径D1である。この直径D1は、直径D0よりも小さく、よって物体302の上面は、物体302の側面よりも距離が遠いことが検出できる。なお、上記の距離関係は、断面形状701のビームの照射範囲を、撮像手段121の位置から見たときの形状の視野角によっても検出可能である。
図18(c)は、壁面601に断面形状701のビームを照射したときに撮像した近赤外線画像を示している。
断面形状701のビームは、壁面601に照射されている。このとき、近赤外線画像上において、赤外線照射範囲711の大きさは、直径D2である。この直径D2は、直径D1よりも小さく、よって壁面601は、物体302の上面よりも距離が遠いことが検出できる。
図19(a)〜(c)は、第2の実施形態の近赤外線投光器141が照射するビームによるテーブルの距離検出の例を示した図である。
図19(a)は、物体301(テーブル)の下側の床面604に断面形状701のビームを照射したときに撮像した近赤外線画像を示している。
断面形状701のビームは、物体301の下側の床面604に照射されている。このとき、近赤外線画像上において、赤外線照射範囲711の大きさは、直径D10である。
図19(b)は、物体301の上面に断面形状701のビームを照射したときに撮像した近赤外線画像を示している。
断面形状701のビームは、物体301の上面に照射されている。このとき、近赤外線画像上において、赤外線照射範囲711の大きさは、直径D11である。この直径D11は、直径D10よりも大きく、よって物体301の上面は、物体301の下側の床面604よりも距離が近いことが検出できる。更に、物体301の下側の床面604が奥まっており、物体301の下面が空いていることが検出できる。
図19(c)は、壁面601に断面形状701のビームを照射したときに撮像した近赤外線画像を示している。
断面形状701のビームは、壁面601に照射されている。このとき、近赤外線画像上において、赤外線照射範囲711の大きさは、直径D12である。この直径D12は、直径D10,D11よりも小さく、よって壁面601は、物体302の上面や床面604よりも距離が遠いことが検出できる。
なお、撮像した画面上での大きさおよび、近赤外線ユニットの仕様から、この近赤外線が照射されている面までの距離が算出可能である。
この例においては、検出された物体の各所へ近赤外線を照射し、その画面上における赤外線照射範囲711の大きさの測定を行う。それぞれの物体までの距離は、近赤外線画像上における赤外線照射範囲711の大きさ、および近赤外線投光器141の照射角度と、撮像手段121の画角とから算出できる。
近赤外線投光器141に近赤外線投光用の光学レンズ144(図6(a)参照)の直径や画角などは、撮像手段121の画角や画素数による撮像データの分解能、検出対象の大きさや距離などに応じて設定する。
<第3の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射する断面形状702L,702Rのビーム>
第3の実施形態の近赤外線照射手段は、近赤外線投光器141L(第1の赤外線照射器)と近赤外線投光器141R(第2の赤外線照射器)とで構成される。近赤外線投光器141Lと近赤外線投光器141Rとは、室内機100上に所定距離だけ離れた位置に配置される。近赤外線投光器141Lは、その断面が第1形状となる赤外線を被空調室内に照射する。近赤外線投光器141Rは、その断面が第2形状となる赤外線を被空調室内に照射する。近赤外線投光器141Lによる第1ビームは、断面形状702L(第1形状)を構成する。近赤外線投光器141Rによる第2ビームは、断面形状702R(第2形状)を構成する。撮像手段121によって撮像された、これら赤外線照射範囲712L,712Rの輪郭の距離を検出することにより、第1ビームの照射位置と第2ビームの照射位置で挟まれた箇所までの距離を検出することができる。なお、第3の実施形態において、撮像手段121と近赤外線投光器141とを離して配置する必要はない。
この場合、近赤外線画像データ上で、赤外線照射範囲712L,712R間の距離を測定する箇所を予め定めておく。近赤外線投光器141L,141Rは、この箇所が所定角度となるよう配置される。照射範囲変更手段180は、近赤外線投光器141L,141Rが所定の角度を保つように連動して回転駆動し、よって被空調室に映される赤外線の各照射範囲を連動して変更する。物体検出部133は、赤外線照射範囲712L,712R間の距離と、近赤外線投光器141L,141Rの距離および照射角とから、第1ビームの照射位置と第2ビームの照射位置で挟まれた箇所から室内機100までの距離を推定可能である。空調運転制御手段は、近赤外線投光器141Lが照射した赤外線の第1輪郭形状と近赤外線投光器141Rが照射した赤外線の第2輪郭形状とに応じて空調運転を制御する。なお、上記の距離関係は、撮像手段121から赤外線照射範囲712L,712R間を見たときの間隔の視野角によっても推定可能である。
このとき、近赤外線投光器141L,141Rが照射する近赤外線を集光またはマスキングすることで、赤外線照射範囲712L,712Rの輪郭を好適に検出可能である。
図20(a),(b)は、第3の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射する各ビームの断面形状702L,702Rを示した図である。
図20(a)は、近赤外線投光器141L,141Rが照射する各ビームを示した平面図である。
第3の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rは、壁面601に向けて近赤外線を照射する。近赤外線のビームの断面形状702L,702Rは、距離と共に次第に拡がる。しかし、距離L3,L5ともに近赤外線投光器141Lの第1ビームと近赤外線投光器141Rの第2ビームとの距離は、実間隔w2を保っている。
図20(b)は、近赤外線投光器141L,141Rが照射する各ビームの断面形状702L,702Rを示した斜視図である。
第1ビームの断面形状702L(第1形状)と第2ビームの断面形状702R(第2形状)は、円形である。第1ビームと第2ビームとは、室内機100から照射位置までの距離に関わらず実間隔w2を保つ。近赤外線投光器141L,141Rは、実間隔w2だけ離間して設置される。赤外線照射範囲712L,712Rの距離の検出箇所は、実間隔w2に対応する部分である。
ここで、第1ビームと第2ビームの間隔が距離によって変化しても、画像検出部131がこれに併せたパラメータを内包することにより、第2の実施形態と同様に距離を検出可能である。しかし、第1ビームと第2ビームの照射位置までの距離によって、測定できる物体の大きさが変動してしまうことから、第1ビームと第2ビームの間隔は、距離によって変化せず、所定値を保つとよい。
<第3の実施形態の照射ビームによる距離の検出>
物体の形状を確認するため、制御手段130は、例えば、近赤外線を照射していないとき、または撮像視野α全体に近赤外線を照射しているときに、物体またはその輪郭を検出する。制御手段130はその後、検出した物体またはその輪郭に近赤外線を照射して、撮像手段121(図3参照)によって撮影する。画像検出部131は、第1ビームが描く赤外線照射範囲712Lと、第2ビームが描く赤外線照射範囲712Rとの距離を測定する。これにより、制御手段130は、第1ビームと第2ビームの照射位置までの距離を測定可能である。空調運転制御手段は、測定した距離に応じて空調運転を制御する。
図21(a),(b)は、第3の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射する断面形状702L,702Rのビームによる距離検出の例を示した図である。
図21(a)は、物体302の側面に断面形状702L,702Rのビームが照射されたときの近赤外線画像データを示す図である。
近赤外線投光器141L,141Rは、物体302の側面に、断面形状702L,702Rのビームを照射して、赤外線照射範囲712L,712Rを描く。撮像手段121は、断面形状702L,702Rのビームを含む被空調室600を撮像する。
ここで、赤外線照射範囲712L,712Rは、間隔W20だけ離間している。画像検出部131は、この間隔W20と、実間隔w2とにより、断面形状702L,702Rのビームの照射位置までの距離を算出できる。近赤外線画像データ上の間隔と実間隔とにより距離を計算する方法は、第2の実施形態と同様である。
図21(b)は、壁面601に断面形状702L,702Rのビームが照射された近赤外線画像データを示す図である。
近赤外線投光器141L,141Rは、壁面601に、断面形状702L,702Rのビームを照射する。撮像手段121は、このビームを含む被空調室600を撮像する。
ここで、赤外線照射範囲712L,712Rは、間隔W21だけ離間している。画像検出部131は、この間隔W21と、実間隔w2とにより、断面形状702L,702Rのビームの照射位置までの距離を算出できる。間隔W21は、間隔W20よりも小さく、よって壁面601までの距離は、物体302の側面までの距離よりも遠いことが検出できる。
図22(a),(b)は、第3の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射する断面形状702L,702Rのビームによる距離検出の例を示した図である。
図22(a)は、床面604に断面形状702L,702Rのビームが照射された近赤外線画像データを示す図である。
近赤外線投光器141L,141Rは、物体301の下側の床面604に、断面形状702L,702Rのビームを照射する。撮像手段121は、断面形状702L,702Rのビームを含む被空調室600を撮像する。
ここで、赤外線照射範囲712L,712Rは、間隔W22だけ離間している。画像検出部131は、この間隔W22と、実間隔w2とにより、断面形状702L,702Rのビームの照射位置までの距離を算出できる。
図22(b)は、壁面601に断面形状702L,702Rのビームが照射された近赤外線画像データを示す図である。
近赤外線投光器141L,141Rは、壁面601に、断面形状702L,702Rのビームを照射する。撮像手段121は、断面形状702L,702Rのビームを含む被空調室600を撮像する。
ここで、赤外線照射範囲712L,712Rは、間隔W23だけ離間している。画像検出部131は、この間隔W23と、実間隔w2とにより、断面形状702L,702Rのビームの照射位置までの距離を算出できる。間隔W23は、間隔W22よりも小さく、よって壁面601までの距離は、物体301の下側の床面604までの距離よりも遠いことが検出できる。
第3の実施形態では、水平に設置した2台の近赤外線投光器141L,141Rの照射間隔を平行にしている。しかし、実際には測定対象に併せて、2台の近赤外線投光器を縦に設置してもよい。また、3台以上の近赤外線投光器を任意方向に配列して設置してもよい。
<第4の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射するビーム>
第4の実施形態の近赤外線照射手段は、近赤外線投光器141L(第1の赤外線照射器)と近赤外線投光器141R(第2の赤外線照射器)とで構成される。近赤外線投光器141Lと近赤外線投光器141Rとは、一方向のみに回転し、室内機100上に所定距離だけ離れた位置に配置される。近赤外線投光器141Lは、断面形状703L(第1形状)の第1ビームを照射ずる。近赤外線投光器141Rは、断面形状703L(第2形状)の第2ビームを照射する。断面形状703L,703Rは、各辺が直線状となる。
これら断面形状703L,703Rのビームの直線状の各辺は、近赤外線投光器141からの距離によらず実間隔w3を保ち、かつ、第1ビームと第2ビームを走査する水平方向に対して垂直である。これにより、画像検出部131は、断面形状703L,703Rのビームの直線状の各辺の照射位置までの距離と物体の形状とを好適に検出可能である。なお、上記の距離と物体の形状とは、近赤外線投光器141L,141Rの近赤外線の各照射範囲を、撮像手段121の位置から見たときの各形状によっても検出可能である。
更に第1ビームと第2ビームを水平方向に走査すると、近赤外線の照射範囲を左右に拡張することが可能であり、簡潔な構成で広域を検出することができる。
図23(a),(b)は、第4の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射する断面形状703L,703Rのビームを示した図である。
図23(a)は、近赤外線投光器141L,141Rが照射するビームの断面形状703L,703Rを示した平面図である。
第4の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rは、壁面601に向けて近赤外線を照射する。近赤外線の照射範囲は、距離と共に次第に拡がる。しかし、距離L3,L5ともに近赤外線投光器141Lの第1ビームと近赤外線投光器141Rの第2ビームとの距離は、実間隔w3を保っている。
図23(b)は、近赤外線投光器141L,141Rが照射するビームの断面形状703L,703Rを示した斜視図である。
断面形状703L(第1形状)と断面形状703R(第2形状)は、長方形である。断面形状703Lの第1ビームと断面形状703Rの第2ビームとは、室内機100から照射位置までの距離に関わらず実間隔w3を保つ。近赤外線投光器141L,141Rは、実間隔w3だけ離間して設置され、断面形状703Lと断面形状703Rの内側の各辺が、略直線状かつ平行になるように近赤外線を照射する。近赤外線画像データ上の距離の検出箇所は、第1ビームと第2ビームの実間隔w3である。
第4の実施形態では、室内機100から照射位置までの距離に関わらず、断面形状703Lの第1ビームと断面形状703Rの第2ビームとは、実間隔w3を保つ。しかし、これに限られず、第2の実施形態と同様に、距離に依存して実間隔が変化してもよい。このとき、画像検出部131がこれに併せたパラメータを内包することにより、第2の実施形態と同様に距離を検出可能である。
<第4の実施形態の照射ビームによる距離の検出>
第4の実施形態では、近赤外線投光器141L,141Rが照射した第1ビームの断面形状703Lと第2ビームの断面形状703Rの内側の略直線状の各辺により、第1の実施形態と同様にして、物体の形状を検出する。画像検出部131は、赤外線照射範囲713L,713Rの内側の各辺の間隔により、第2の実施形態と同様にして、第1ビームと第2ビームの照射位置までの距離を推定可能である。
第1ビームの断面形状703Lの各辺とは、断面形状703Lの輪郭のことをいう。第2ビームの断面形状703Rの各辺とは、断面形状703Rの輪郭のことをいう。近赤外線投光器141L,141Rの各ビームは、平行に並んだ同一形状の長方形である断面形状703L,703Rを形成する。
図24(a),(b)は、第4の実施形態の近赤外線投光器141L,141Rが照射する断面形状703L,703Rのビームによる距離/物体検出の例を示した図である。
図24(a)は、断面形状703L,703Rの各ビームが照射された近赤外線画像データを示す図である。
画像検出部131は、断面形状703L,703Rの各ビームの略直線状の各辺により、第1の実施形態と同様の方法で、物体の形状を検出可能である。画像検出部131は、赤外線照射範囲713L,713Rの内側の各辺の間隔により、第2の実施形態と同様の方法で、照射位置までの距離を検出可能である。
壁面601にて、赤外線照射範囲713L,713Rは、間隔W30である。
物体302の上面奥にて、近赤外線画像上に各ビームが描く赤外線照射範囲713L,713Rは、間隔W31である。この間隔W31は、間隔W30よりも広い。よって、壁面601よりも物体302の上面奥の方が、距離が近いことが検出できる。
物体302の側面にて、近赤外線画像上に各ビームが描く赤外線照射範囲713L,713Rは、間隔W32である。この間隔W32は、間隔W31よりも広い。よって、物体302の上面奥の方よりも、物体302の側面の方が、距離が近いことが検出できる。
図24(b)は、断面形状703L,703Rの各ビームが照射された近赤外線画像データを示す図である。
壁面601にて、近赤外線画像上に各ビームが描く赤外線照射範囲713L,713Rは、間隔W33である。
物体301の上面奥にて、近赤外線画像上に各ビームが描く赤外線照射範囲713L,713Rは、間隔W34である。この間隔W34は、間隔W33よりも広い。よって、壁面601よりも物体301の上面奥の方が、距離が近いことが検出できる。このことは、赤外線照射範囲713L,713Rを、撮像手段121の位置から見たときの両者の間隔の視野角によっても判断可能である。
物体301の手前側の床面604にて、近赤外線画像上に各ビームが描く赤外線照射範囲713L,713Rは、間隔W35である。この間隔W35は、間隔W34よりも広い。よって、物体302の上面奥の方よりも、物体301の手前側の床面604の方が距離が近いことが検出できる。
本実施形態における照射範囲変更手段180は、断面形状703L,703Rの各ビームの実間隔w3が変動しないように、各近赤外線投光器141L,141Rを連動して回転駆動させる。
また、照射範囲変更手段180が、近赤外線投光器141L,141Rを回転駆動させることにより、断面形状703L,703Rの各ビームの実間隔が変動してしまう場合であっても、近赤外線画像上に各ビームが描く赤外線照射範囲713L,713Rの距離を、断面形状703L,703Rの各ビームの実間隔の変動を加味したパラメータで補正することにより、物体までの距離を検出可能である。
第4の実施形態では、近赤外線投光器141から照射される断面形状703L,703Rの各ビームの内側の略直線状の各辺が垂直となるように形成している。しかし、断面形状703L,703Rの各ビームの内側の略直線状の各辺は、水平や斜めであってもよく、限定されない。
<距離検出結果から、物体の実際の高さと幅と奥行きの推定>
撮像手段121からの物体までの距離が推定されると、この物体の近赤外線画像データ上の高さと幅と奥行きから、実際の高さと幅と奥行きとが推定可能である。
本発明が適用される空気調和機Aにおいて、検出対象の物体は、例えば、室内の空調を行う上で障害となるテーブルやソファ、テレビ、戸棚などの家具類、梁や階段などの住居の構造である。これらの物体の外形は、床面604に対する垂直面と平行面または辺で構成されることが多い。そのため、本実施形態の空気調和機Aにおいて、撮像した画像データから家具等の物体の検出を行うにあたり、検出対象の物体を、これら床面604に対する垂直面と平行面または辺により構成されると仮定することにより、より検出精度を向上させることができる。そのため、画像検出部131(画像検出ソフトウェア)は、画像データから検出された物体のエッジを基に、物体の距離および凹凸等の構成、物体の天板の検出、天板の下部分の開口の有無など、空気調和機Aにおいて空調制御を補正するのに必要となる情報を検出できるように作成される。これにより、実態に即した空調運転制御を実現できる。
<画像検出結果に応じた空調運転制御>
図25は、第4の実施形態の空調運転制御処理を示すフローチャートである。
制御手段130は、例えばリモコンReによって空調運転が指令されると、空調運転制御処理を開始する。
ステップS30において、制御手段130は、可視光カットフィルタ駆動手段190により、撮像手段121の前面に可視光カットフィルタ部分1911を設定する。
ステップS31において、制御手段130は、近赤外線投光器141L,141Rにより、近赤外線の左右ビームを照射する。
ステップS32において、制御手段130は、撮像手段121により、被空調室600内を近赤外線で撮像する。
ステップS33において、制御手段130は、画像検出部131により、左右ビームの赤外線照射範囲の内側の各辺の間隔から距離を検出する。
ステップS34において、制御手段130は、物体検出部133により、左右の赤外線照射範囲の内側の各辺から、物体の形状を検出する。
ステップS35において、制御手段130は、照射範囲変更手段180により、左右ビームの照射範囲を連動して横方向に変更させる。
ステップS36において、制御手段130は、形状と距離の検出を終了するか否かを判断する。制御手段130は、形状と距離の検出を終了するならば(Yes)、ステップS37の処理を行い、形状と距離の検出を終了しないならば(No)、ステップS31の処理を行う。
ステップS37において、制御手段130は、可視光カットフィルタ駆動手段190により、撮像手段121の前面に赤外線カットフィルタ部分1912を設定する。
ステップS38において、制御手段130は、近赤外線投光器141による近赤外線の照射をオフする。
ステップS39において、制御手段130は、撮像手段121により、被空調室600内を可視光で撮像する。
ステップS40において、制御手段130は、人体検出部132により、可視光画像から人体を検出する。
ステップS41において、制御手段130は、人体と物体の画像における検出結果と距離から、それぞれの被空調室600内の位置を推定する。
ステップS42において、制御手段130は、空調の風向を在室者の推定位置に決定し、ステップS30の処理に戻る。
空気調和機A本体に撮像手段121と、画像検出部131(画像検出ソフトウェア)と、近赤外線投光器141を備えることにより、通常の画像検出に加え、近赤外線画像を活用した空調制御が実現可能である。例えば、撮像画像から人体の位置および活動量を検出するソフトウェア、近赤外線照射時の撮像画像から家具の検出を行うソフトウェアを備える空気調和機Aにおいては、空調運転時には家具を避けて人の在室しているエリアに送風を行う。これにより、空気調和機Aからの送風が家具にあたり滞留することにより発生する無駄な空調を省き、効率よく被空調室600内を空調可能である。
空気調和機Aからの送風の制御は、風向制御を行う上下風向板用モータ154および左右風向板用モータ153、風量や風速を調整する送風ファンモータ152を、仕様に合わせて任意に駆動することにより行われる。
図26(a),(b)は、第4の実施形態の変形例の近赤外線投光器141の照射ビームによる距離/物体検出の例を示した図である。
図26(a)は、断面形状704L,704Rが照射する各ビームを示した平面図である。
断面形状704L,704Rのビームの略直線状の各辺により、画像検出部131は、第1の実施形態と同様の方法で、物体の形状を検出可能である。
断面形状704L,704Rのビームの内側の各辺の間隔は、距離に応じて狭まっている。例えば、距離L3のときに断面形状704L,704Rのビームの内側の各辺の実際の間隔は、w4である。距離L5の壁面601にて断面形状704L,704Rのビームの内側は一致する。しかし、制御手段130は、この距離と実際の間隔との関係を予め記憶して、近赤外線画像データ上の間隔と実間隔との対応をとることにより、照射位置までの距離を検出可能である。
図26(b)は、断面形状704L,704Rが照射する各ビームの断面形状704L,704Rを示す図である。
壁面601にて、断面形状704L,704Rのビームの内側の各辺は、一致する。
このとき、距離L3の位置に物体があり、断面形状704L,704Rのビームが照射されていたならは、この内側の各辺は、実間隔w4となる。このように、空気調和機Aからの距離に応じて実際の間隔が変化するので、これを利用して距離を検出することができる。
図27(a)〜(e)は、撮像結果を利用した空調運転の制御動作を示す図である。
図27(a)は、被空調室600内の実環境を示す図である。
被空調室600内には、矩形の物体302が位置しており、その後方に人体401が位置している。以下では、この環境における検出動作と空調運転動作について説明する。
図27(b)は、可視光環境下での人体検出の動作を示す図である。
この可視光画像データは、被空調室600内の実環境を可視光で撮影したものである。可視光画像データに含まれる人体401から、人体検出部132(図3参照)により、顔領域411と身体領域412とが検出される。人体検出部132は、近赤外線投光器141により被空調室600内に近赤外線が照射されていない場合に撮像された画像から検出対象の種別である「人体」と、その顔領域411と身体領域412とを検出した第1検出結果を出力する。
図27(c)は、近赤外線を利用した物体検出の動作を示す図である。
この近赤外線画像データは、被空調室600内の実環境に近赤外線を照射して撮影したものである。近赤外線画像データに含まれる物体302から、物体検出部133(図3参照)により物体領域312が検出される。物体検出部133は、近赤外線投光器141により被空調室600内に近赤外線が照射されている場合に撮像された画像から検出対象の種別である「物体」と、その物体領域312とを検出した第2検出結果を出力する。
図27(d)は、2つの検出結果の複合画像を示す図である。
同一画像上に、可視光画像から検出した顔領域411および身体領域412(第1検出結果)と、近赤外線画像から検出した物体領域312(第2検出結果)とが複合される。このようにすることで、可視光画像と近赤外線画像のうち検出に適している画像を選択して、人体401または/および物体302を好適に検出することができる。この複合画像を所定のパラメータで補正することにより、検出対象の種別ごとに被空調室600内の位置を推定することができる。
図27(e)は、部屋内の位置推定動作を示す図である。
ここでは、人体401と物体302の被空調室600内の位置が推定されている。空気調和機Aは、物体302ではなく、人体401を送風の風向とする。本実施形態の空気調和機Aは、駆動制御部137(空調運転制御手段)により、この検出対象の種別ごとの被空調室600内の推定位置により、空調運転を制御する。
このように、複数の方法で撮像が可能であるため、本発明を適用する空気調和機Aに備える画像検出ソフトウェアに応じて各種処理を追加することで、検出精度など向上させることが可能である。
図28は、空調運転制御ための物体検出処理の第1例を示す図である。
空調運転制御の第1例では、午前1時、外気温30℃、室内気温27℃において、空調運転停止中に近赤外線で検出を行う運転モードが設定されている場合の制御を説明する。
ステップS50において、制御手段130は、画像検出部131により、所定時間おきに画像検出を行う。
ステップS51において、制御手段130は、人体検出部132により、在室者の位置を検出する。
ステップS52において、制御手段130は、在室者の位置の変化から、在室者の活動の有無を判断する。制御手段130は、在室者が活動していたならば(Yes)、ステップS53の処理を行い、在室者が活動していなかったならば(No)、ステップS54の処理を行う。
ステップS53において、制御手段130は、室内が所定値以下の明るさであるか否かを判断する。制御手段130は、室内が所定値以下の明るさならば(Yes)、在室者が就寝していると判断してステップS54の処理を行い、室内が所定値以下の明るさでなかったならば(No)、ステップS50の処理に戻る。
ステップS54において、制御手段130は、先ず近赤外線のビームを左から右に走査させつつ、撮像手段121により連続的に被空調室600内を撮像する。
ステップS55において、制御手段130は、撮像された画像データのうち、近赤外線が照射されている範囲のみを抽出して合成し、一つの撮像画像を生成する。
ステップS56において、制御手段130は、物体検出部133により、生成された合成画像について画像検出を行い、室内のテーブル、ソファ、壁などの各物体の位置を検出する。
ステップS57において、制御手段130は、物体検出部133により、検出された各物体の位置について、先程連続的に撮像された画像データの画像処理を行い、各物体の大きさと形状、空気調和機A本体からの距離を検出する。
ステップS57において、制御手段130は、検出された各物体の大きさ、形状、距離を被空調室600内の環境情報として記憶手段135に記憶し、図28の処理を終了する。
これ以降に空調運転を行う際には、記憶した被空調室600内の環境情報に応じて、風向制御と空調出力制御を行う。これにより、室内環境に応じた運転制御を実現することができる。
図29は、空調運転制御ための物体検出処理の第2例を示す図である。
空調運転制御の第2例では、午前10時、外気温32℃、室内気温26℃において、設定温度26℃で冷房運転が停止中に、近赤外線で検出を行う所定の運転モードが設定されている場合の制御を説明する。
ステップS60において、制御手段130は、可視光カットフィルタ191を撮像手段121の前面に移動させる。
ステップS61において、制御手段130は、近赤外線のビームを左から右に走査させつつ連続的に被空調室600内を撮像する。
ステップS62において、制御手段130は、物体検出部133により、撮像された画像について画像検出を行い、室内のテーブル、ソファ、壁などの各物体の位置を検出する。
ステップS63において、制御手段130は、物体検出部133により、検出された各物体の位置について、先程連続的に撮像された画像データの画像処理を行い、各物体の大きさ、形状、空気調和機A本体からの距離を検出する。
ステップS63において、制御手段130は、検出された各物体の大きさ、形状、距離を被空調室600内の環境情報として記憶手段135に記憶し、図29の処理を終了する。
以降に空調運転を行う際、記憶した被空調室600内の環境情報に応じて、風向制御と空調出力制御を行う。これにより、室内環境に応じた運転制御を実現することができる。
なお、本実施形態では、近赤外線を用いた場合について説明したが、近赤外線を中赤外線、遠赤外線と読み替えて、中赤外線や遠赤外線を用いるようにしてもよい。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
上記の各処理部、各処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各処理部、各処理手段などは、プロセッサがそれぞれの処理を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各処理を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスクなどの記録装置、または、フラッシュメモリカードなどの記録媒体に置くことができる。
各実施形態において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
A 空気調和機
Re リモコン
Q リモコン送受信部
100 室内機
101 筐体ベース
102 室内熱交換器
102a 伝熱管
103 送風ファン
104 左右風向板
105 上下風向板
106 前面パネル
107 空気吸込み口
108 フィルタ
109a 吹出し風路
109b 空気吹出し口
120 環境検出手段
121 撮像手段
122 光学レンズ
123 撮像素子
124 A/D変換部
125 デジタル信号処理部
130 制御手段
131 画像検出部 (距離検出手段)
132 人体検出部
133 物体検出部
134 間取り検出部
135 記憶手段
136 演算処理部 (空調運転制御手段)
137 駆動制御部 (空調運転制御手段)
138 記憶手段
140 近赤外線投光器駆動回路
141 近赤外線投光器 (赤外線照射手段)
141L 近赤外線投光器 (第1の赤外線照射器)
141R 近赤外線投光器 (第2の赤外線照射器)
142 近赤外線発光ダイオード (赤外線発光素子)
143 基板
144 光学レンズ
145 カバー
150 負荷
151 圧縮機モータ
152 送風ファンモータ
153 左右風向板用モータ
154 上下風向板用モータ
160 カメラ基板
161 カメラマイコン
170 制御基板
171 メインマイコン
180 照射範囲変更手段
190 可視光カットフィルタ駆動手段
191 可視光カットフィルタ
200 室外機
300〜302 物体
310〜312 物体領域
400,401 人体
600 被空調室
601 壁面
602 左壁面
603 右壁面
604 床面
605 壁面
700,701 断面形状 (所定形状)
702L,703L,704L 断面形状 (第1形状)
702R,703R,704R 断面形状 (第2形状)
710,711 赤外線照射範囲 (輪郭形状)
712L,713L,714L 赤外線照射範囲 (第1輪郭形状)
712R,713R,714R 赤外線照射範囲 (第2輪郭形状)

Claims (10)

  1. 赤外線を被空調室に照射する赤外線照射手段と、
    前記被空調室を撮像する撮像手段と、
    前記赤外線照射手段によって被空調室に映される赤外線の照射形状に応じて空調運転を制御する空調運転制御手段と、
    を備えることを特徴とする空気調和機。
  2. 前記赤外線照射手段の照射範囲を変更する照射範囲変更手段と、
    前記赤外線照射手段の照射範囲を前記照射範囲変更手段により所定方向に変更した場合における前記赤外線照射手段によって被空調室に映される赤外線の照射形状により、前記撮像手段から被空調室に映される赤外線の位置までの距離を検出する距離検出手段と、を備えており、
    前記空調運転制御手段は、前記距離検出手段によって検出された距離に応じて空調運転を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記距離検出手段は、前記赤外線照射手段によって被空調室に映される赤外線の照射形状から、更に当該赤外線が照射された物体の形状を検出し、
    前記空調運転制御手段は、前記距離検出手段が検出した距離と、前記物体の形状とに応じて空調運転を制御する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
  4. 前記赤外線照射手段は、
    複数の赤外線発光素子と、
    前記複数の赤外線発光素子の前面に設けられて、赤外線の照射断面が所定形状となるように投影する光学レンズと、
    を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空気調和機。
  5. 前記空調運転制御手段は、前記照射範囲変更手段により、前記赤外線照射手段の照射範囲を所定方向に変更させた場合における前記赤外線照射手段によって被空調室に映される赤外線の照射形状を前記撮像手段により撮像する、
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機。
  6. 前記赤外線照射手段は、
    その断面が第1形状となる赤外線を被空調室内に照射する第1の赤外線照射器と、
    当該第1の赤外線照射器から所定距離だけ離れて配置され、かつその断面が第2形状となる赤外線を被空調室内に照射する第2の赤外線照射器と、を含んで構成され、
    前記空調運転制御手段は、前記第1の赤外線照射器が照射した赤外線の第1輪郭形状と前記第2の赤外線照射器が照射した赤外線の第2輪郭形状とに応じて空調運転を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  7. 前記第1、第2の赤外線照射器によって被空調室に映される赤外線の各照射範囲を連動して変更する照射範囲変更手段と、
    前記第1、第2の赤外線照射器の各照射範囲を前記照射範囲変更手段により所定方向に連動して変更した場合における前記第1、第2の赤外線照射器によって被空調室に映される赤外線の各照射形状である前記第1、第2輪郭形状で挟まれた箇所までの距離を検出する距離検出手段と、を備えており、
    前記空調運転制御手段は、前記距離検出手段による距離の検出結果に応じて空調運転を制御する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和機。
  8. 前記空調運転制御手段は、前記照射範囲変更手段により、前記第1、第2の赤外線照射器によって被空調室に映される赤外線の照射範囲を連動して変更しつつ、前記撮像手段により撮像する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
  9. 前記第1の赤外線照射器か照射する赤外線の前記第1輪郭形状と、前記第2の赤外線照射器か照射する赤外線の前記第2輪郭形状とは、少なくとも1辺が直線状である、
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の空気調和機。
  10. 前記第1の赤外線照射器か照射する赤外線の前記第1輪郭形状の直線状の辺と、前記第2の赤外線照射器か照射する赤外線の前記第2輪郭形状の直線状の辺とは、平行である、
    ことを特徴とする請求項9に記載の空気調和機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE112017001239T5 (de) 2016-03-08 2018-12-13 Olympus Corporation Inserttechnikerzeugnis, elektrischer Signalverbinder, Endoskop und Inserttechnikverfahren
US11460210B2 (en) 2019-12-12 2022-10-04 Samsung Electronics Co., Ltd. Air conditioning device and control method thereof

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