JPWO2019230845A1 - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2018年5月31日に、日本に出願された特願2018−105171号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
[1]植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部を含む樹脂製のハンドル体を備え、前記植毛穴のそれぞれに平線の打ち込みにより毛束が植設された植毛部が設けられている歯ブラシであって、
前記ヘッド部の厚みが2mm以上、4mm以下であり、
前記植毛面に設けられた植毛穴の総数に対する、直径が1.8mm以上の植毛穴の合計数の割合が10%以上であり、
前記ヘッド部の正面視での前記植毛部の領域aにおける、前記植毛面から背面に向かって深さ1mmまでの領域Aに占める前記植毛穴の体積の総和をVA(mm3)、前記背面から前記植毛面に向かって深さ1mmまでの領域Bに占める樹脂部分の体積をVB(mm3)としたとき、
VA/VBが0.50以上、1.00以下である、歯ブラシ。
[2]前記領域Aにおける正面視での1cm2あたりの前記植毛穴の体積の割合が、35mm3/cm2以上、60mm3/cm2以下である、[1]に記載の歯ブラシ。
[3]前記領域Bにおける正面視での1cm2あたりの樹脂部分の体積の割合が、65mm3/cm2以上、85mm3/cm2以下である、[1]又は[2]に記載の歯ブラシ。
[4]ヘッド部の輪郭によって囲まれ、前記ヘッド部の正面視での最も先端寄りの前記植毛穴の先端に接する短軸方向の直線から、最も後端寄りの前記植毛穴の後端に接する短軸方向の直線までの領域bにおける、前記植毛面から深さ1mmの領域Cに占める前記植毛穴の体積の総和をVC(mm3)、背面から深さ1mmの領域Dに占める樹脂部分の体積をVD(mm3)としたとき、
VC/VDの値がVA/VBの値の0.60倍以上、0.85倍以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の歯ブラシ。
[5]前記植毛面の短軸方向の両側にそれぞれ長軸方向に並ぶ複数の直径1.8mm以上の第1植毛穴が形成され、前記植毛面の短軸方向の前記第1植毛穴よりも内側に長軸方向に並ぶ複数の直径1.8mm未満の第2植毛穴が形成されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の歯ブラシ。
ハンドル部14は、ネック部12の長軸方向の後端側に延接されている。ハンドル部14は、使用者が把持する部分である。
ハンドル体1aは、ヘッド部10、ネック部12及びハンドル部14が一体に成形されたものでもよく、それらのうちのいずれかを別に成形して接合させたものでもよい。
ヘッド部10は、厚み方向の一方の側に植毛面10aを有している。
ヘッド部10の植毛面10aには、複数の円形の第1植毛穴11a及び第2植毛穴11bが形成されている。歯ブラシ1のヘッド部10には、植毛部18が設けられている。植毛部18では、複数の第1植毛穴11aのそれぞれに第1毛束16aが植設され、複数の第2植毛穴11bのそれぞれに第2毛束16bが植設されている。
なお、前記のヘッド部の厚みの範囲は、ヘッド部のどの位置で測定しても厚みが前記範囲内になっていることを意味する。
なお、前記のヘッド部の幅の範囲は、ヘッド部における最大の幅が前記範囲内になっていることを意味する。また、本明細書において、「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
なお、ヘッド部の背面厚みとは、ヘッド部の背面から植毛穴の底までの距離を意味する。ヘッド部の背面とは、ヘッド部における植毛面と反対側の面である。前記のヘッド部の背面厚みは、ヘッド部のどの位置で測定しても背面厚みが前記範囲内になっていることを意味する。
植毛穴の配列パターンは、特に限定されず、千鳥状、格子状を例示できる。
長軸方向に並ぶ大径の植毛穴の直径は、同一であることが好ましい。
長軸方向に並ぶ小径の植毛穴の直径は、同一であることが好ましい。
なお、植毛穴の直径は、正面視での植毛穴の形状が円形である場合はその直径であり、正面視での植毛穴の形状が円形以外の場合は正面視における当該植毛穴の外接円の直径である。
割合Pの下限値は10%以上であり、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。割合Pの上限値は100%であり、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。割合Pは10〜80%が好ましく、20〜50%がより好ましく、30〜40%が更に好ましい。これにより、歯茎のマッサージ実感と歯垢清掃を両立することができる。
なお、本発明では、中央部の植毛穴を1列の対の大径の植毛穴で挟んでもよく、2列の対の大径の植毛穴で挟んでもよい。
また、大径の植毛穴は毛束を植設したときに平線下の毛束折り返し部分が太くなるため、毛束の抜けを抑制するには植毛穴の深さを深めに設定する必要があるが、小径の植毛穴は大径の植毛穴に比べて穴深さを浅く設定できる。そのため、ヘッド部の短軸方向の中央部に穴深さが浅い小径の植毛穴を形成し、短軸方向の外側に穴深さが小径の植毛穴よりも深い大径の植毛穴を形成することがより好ましい。これにより、薄型ヘッドにおいてもヘッド部の反り抑制と毛束の抜けの抑制を両立でき、さらに歯茎のマッサージ実感も得られる。
なお、「ヘッド部の正面視での植毛部の領域a」とは、ヘッド部の正面視における、最も外周に位置する各植毛穴を囲う領域である。領域aを形成する囲み線は、隣り合う植毛穴同士の共有接線を連結したものである。
ヘッド部の厚みが後端に向かうに従って厚くなるように背面がテーパー化している場合、領域Bはテーパー化した背面に沿う深さ1mmの領域とする。
なお、割合QAは、VA(mm3)を領域aの面積(植毛面積)で除すことにより求められる。
なお、割合QBは、VB(mm3)を領域aの面積(植毛面積)で除すことにより求められる。
なお、ヘッド部の厚みが後端に向かうに従って厚くなるように背面がテーパー化している場合、領域Dはテーパー化した背面に沿う深さ1mmの領域とする。
VC/VDは、0.35以上、0.75以下が好ましく、0.37以上、0.68以下がより好ましい。
ハンドル体は、把持性を向上させるため、例えばエラストマー等の柔軟な樹脂が部分的又は全体に被覆されていてもよい。前記の柔軟な樹脂としては、接着性が向上する点から、PPであればオレフィン系のエラストマーが好ましく、POMであればスチレン系のエラストマーが好ましい。
なお、用毛の直径は、用毛の横断面形状が円形である場合はその直径であり、用毛の横断面形状が円形以外の場合は用毛の横断面の外接円の直径である。
第1毛束16a及び第2毛束16bの直径は、植設する第1植毛穴11a及び第2植毛穴11bの直径に応じて設定すればよい。
平線式植毛においては、植毛穴に対して穴を広げようとする力が働く。そのため、歯ブラシの側面視において、ヘッド部とネック部の連結部分からヘッド部の先端にかけて背面側に漸次下降するアーチ状の反りが形成されやすい。この穴を広げようとする力は植毛面に近いほど大きく、また植毛穴の体積が大きいほど、周囲の樹脂部分のより広い領域まで影響するため、反りが起こりやすくなる。またヘッド部が反る際、ヘッド部の背面寄りの部分では、樹脂部分を圧縮する力が生じる。そのため、樹脂体積が大きいほど、反りが生じにくくなる。VA/VBを上記範囲に制御し、植毛面寄りの植毛穴の体積と背面寄りの樹脂部分の体積を適切な範囲に調節することで、平線の打ち込みによる植毛時のヘッド部の反りが抑制される。
平線式植毛においては、植毛穴の穴径が大きいほど、毛束を植設したときに平線下の毛束折り返し部分が太くなるため、平線を植毛穴深さの方向に深く打ち込むことが困難となり、毛束の抜けが起こりやすくなる。毛束の抜けを抑制するためには、植毛穴の穴深さを深くする方法が考えられるが、それによる背面厚みの縮小はヘッド部の強度低下に繋がる。以上から、毛束の抜けを抑制するためにはVA/VBの適切な範囲が存在する。
例えば、本発明の歯ブラシにおいては、ヘッド部の厚みが後端に向かうに従って厚くなるように背面がテーパー化していてもよい。
本発明の歯ブラシにおいてヘッド部の植毛面に植設される毛束の数や、植毛穴の配列パターンは、歯ブラシ1のものには限定されない。具体的には、本発明の歯ブラシにおける毛束の数や、植毛穴の配列パターンは、図8〜14に例示した歯ブラシ1A〜1Gのような態様であってもよい。
本発明の歯ブラシは、図15に示すように、小径の第2植毛穴11bが短軸方向の外側に配置され、大径の第1植毛穴11aが短軸方向の内側に配置された歯ブラシ1Hであってもよい。
[奥歯の清掃しやすさの評価]
専門家パネル10人による官能試験を行い、奥歯(第二大臼歯)の清掃しやすさを以下の基準で評価した。専門家パネル10名の平均点が4.0点以上、5.0点以下を「◎」、3.0点以上、4.0点未満を「○」、2.0点以上、3.0点未満を「△」、2.0点未満を「×」とした。○又は◎であるものを奥歯の清掃しやすさが高い歯ブラシであると判断した。
(評価基準)
5点:非常に磨きやすい。
4点:やや磨きやすい。
3点:どちらでもない。
2点:やや磨きにくい。
1点:非常に磨きにくい。
専門家パネル10人による官能試験を行い、歯茎のマッサージ実感を以下の基準で評価した。専門家パネル10名の平均点が4.0点以上、5.0点以下を「◎」、3.0点以上、4.0点未満を「○」、2.0点以上、3.0点未満を「△」、2.0点未満を「×」とした。○又は◎であるものを歯茎のマッサージ実感が高い歯ブラシであると判断した。
(評価基準)
5点:非常に感じる。
4点:やや感じる。
3点:どちらでもない。
2点:あまり感じない。
1点:全く感じない。
図16に示すように、歯ブラシの側面視において、ヘッド部10とネック部12の繋ぎ領域(植毛穴の最後端からネック部の最小径までの領域)におけるパーティングラインをヘッド部10の先端側に延長した延長線kと、植毛前の反りがない状態における延長線kとヘッド部10の先端面との交点を点sとした。図17に示すように、各例の植毛後の歯ブラシにおいて延長線kと点sとの距離dを測定し、ヘッド部の反りとした。ヘッド部の反りを以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:反りが0mm。
○:反りが0mmより大きく、0.5mm未満。
△:反りが0.5mm以上、1.0mm未満。
×:反りが1.0mm以上。
1つの大径の植毛穴に植設された毛束を専用器具によってつかみ、引張試験機を用いて植毛穴から毛束が抜けるまでの最大引張応力(N)を測定(引張速度20mm/分)(n=10)し、その値に応じて毛束の抜けにくさを以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:最大引張応力の平均値が25N以上。
○:最大引張応力の平均値が20N以上25N未満。
△:最大引張応力の平均値が15N以上20N未満。
×:最大引張応力の平均値が15N未満。
ハンドル体を形成する樹脂としてPOM(曲げ弾性率:2500MPa)を用い、表1及び表2に示す仕様に従って、射出成形により図1〜6に例示したハンドル体1aを作製した。ポリブチレンテレフタレート製の用毛(直径:大穴5.0mil、小穴6.0mil)を束ねた毛束を二つ折りにし、その間に挟み込まれた平線をヘッド部の植毛穴に打ち込み、毛束を植設して歯ブラシを製作した。
表1及び表2に示す仕様に変更した以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
直径1.8mm以上の大径の植毛穴がない比較例1の歯ブラシでは、実施例に比べて歯茎へのマッサージ実感が不足していた。VA/VBが大きすぎる比較例2の歯ブラシでは、ヘッド部の反りを抑制できなかった。VA/VBが小さすぎる比較例3の歯ブラシでは、毛束が抜けやすかった。ヘッド部の厚みが厚すぎる比較例4では、実施例に比べて奥歯の清掃しやすさが不足していた。
Claims (5)
- 植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部を含む樹脂製のハンドル体を備え、前記植毛穴のそれぞれに平線の打ち込みにより毛束が植設された植毛部が設けられている歯ブラシであって、
前記ヘッド部の厚みが2mm以上、4mm以下であり、
前記植毛面に設けられた植毛穴の総数に対する、直径が1.8mm以上の植毛穴の合計数の割合が10%以上であり、
前記ヘッド部の正面視での前記植毛部の領域aにおける、前記植毛面から背面に向かって深さ1mmまでの領域Aに占める前記植毛穴の体積の総和をVA(mm3)、前記背面から前記植毛面に向かって深さ1mmまでの領域Bに占める樹脂部分の体積をVB(mm3)としたとき、
VA/VBが0.50以上、1.00以下である、歯ブラシ。 - 前記領域Aにおける正面視での1cm2あたりの前記植毛穴の体積の割合が、35mm3/cm2以上、60mm3/cm2以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
- 前記領域Bにおける正面視での1cm2あたりの樹脂部分の体積の割合が、65mm3/cm2以上、85mm3/cm2以下である、請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
- ヘッド部の輪郭によって囲まれ、前記ヘッド部の正面視での最も先端寄りの前記植毛穴の先端に接する短軸方向の直線から、最も後端寄りの前記植毛穴の後端に接する短軸方向の直線までの領域bにおける、前記植毛面から深さ1mmの領域Cに占める前記植毛穴の体積の総和をVC(mm3)、背面から深さ1mmの領域Dに占める樹脂部分の体積をVD(mm3)としたとき、
VC/VDの値がVA/VBの値の0.60倍以上、0.85倍以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯ブラシ。 - 前記植毛面の短軸方向の両側にそれぞれ長軸方向に並ぶ複数の直径1.8mm以上の第1植毛穴が形成され、前記植毛面の短軸方向の前記第1植毛穴よりも内側に長軸方向に並ぶ複数の直径1.8mm未満の第2植毛穴が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
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