JPWO2019230686A1 - 太陽電池素子および太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池素子および太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

太陽電池素子は、半導体基板と反射防止膜とパッシベーション膜と保護層と電極とを備える。半導体基板は、第1面と第2面と側面とを有する。反射防止膜は、半導体基板の第1面の側に位置する。パッシベーション膜は、第2面上に位置する。保護層は、パッシベーション膜上に位置し、反射防止膜よりも厚い。電極は、保護層の第1領域上に位置する第1部分と、パッシベーション膜および保護層を連続して貫通している貫通孔内で半導体基板に接続した状態で位置する第2部分と、を有する。保護層は、母材部と複数の粒状体とを有する。複数の粒状体は、第1粒径範囲において高頻度で存在する複数の第1粒状体と、第1粒径範囲とは異なる第2粒径範囲において高頻度で存在する複数の第2粒状体と、を含む。各第1粒状体の屈折率は、母材部よりも半導体基板に近い。

Description

本開示は、太陽電池素子および太陽電池モジュールに関する。
太陽電池素子には、例えば、半導体基板と裏面電極との間にパッシベーション膜が存在しているPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)型の太陽電池素子がある。
このPERC型の太陽電池素子については、例えば、光電変換効率の向上を指向して、半導体基板の裏面側に裏面電極を局所的に存在させ、前面だけでなく裏面に入射する光も発電に利用する技術が提案されている(例えば、特表2016−523452号公報の記載を参照)。換言すれば、前面および裏面の双方に入射する光を発電に利用するタイプ(両面受光型ともいう)の太陽電池素子および太陽電池モジュールが提案されている。
太陽電池素子および太陽電池モジュールが開示される。
太陽電池素子の一態様は、半導体基板と、反射防止膜と、パッシベーション膜と、保護層と、電極と、を備えている。前記半導体基板は、第1面、該第1面の逆側に位置している第2面および前記第1面と前記第2面とを接続している状態で位置している側面を有する。前記反射防止膜は、前記半導体基板の前記第1面の側に位置している。前記パッシベーション膜は、前記第2面の上に位置している。前記保護層は、前記パッシベーション膜の上に位置し、前記反射防止膜よりも大きな厚さを有する。前記電極は、前記保護層の第1領域の上に位置している第1部分と、前記パッシベーション膜および前記保護層を連続して貫通している状態の貫通孔内において前記半導体基板に電気的に接続している状態で位置している第2部分と、を有する。前記保護層は、母材部と複数の粒状体とを有する。該複数の粒状体は、第1粒径範囲で該第1粒径範囲外よりも高い頻度で存在している複数の第1粒状体と、前記第1粒径範囲とは異なる第2粒径範囲で該第2粒径範囲外よりも高い頻度で存在している複数の第2粒状体と、を含む。各前記第1粒状体の屈折率は、前記母材部の屈折率よりも前記半導体基板の屈折率に近い。
太陽電池モジュールの一態様は、第1保護部材と、第2保護部材と、太陽電池部と、充填材と、を備えている。前記第1保護部材は、透光性を有する。前記第2保護部材は、透光性を有する。前記太陽電池部は、前記第1保護部材と前記第2保護部材との間に位置している。前記充填材は、前記第1保護部材と前記第2保護部材との間において、前記太陽電池部を前記第1保護部材側および前記第2保護部材側から覆うように位置し、透光性を有する。前記太陽電池部は、複数の上記一態様の太陽電池素子を有する。
図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの一例の前面側から見た外観を示す平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った第1実施形態に係る太陽電池モジュールの一例の仮想的な切断面を示す図である。 図3(a)は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の第1素子面側から見た外観を示す平面図である。図3(b)は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の第2素子面側から見た外観を示す平面図である。 図4(a)は、図3(a)および図3(b)のIVa−IVa線に沿った第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面を示す図である。図4(b)は、図3(a)および図3(b)のIVb−IVb線に沿った第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面を示す図である。図4(c)は、図3(a)および図3(b)のIVc−IVc線に沿った第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面を示す図である。 図5は、第1実施形態に係る保護層の一構成例を模式的に示す断面図である。 図6は、図2のVI部における第1実施形態に係る太陽電池モジュールの一部の一例の切断面において、太陽電池素子に光が入射する3つの経路を模式的に示す断面図である。 図7(a)から図7(d)は、それぞれ第1実施形態に係る太陽電池素子を製造する途中の状態を例示する断面図である。 図8は、第2実施形態に係る保護層の一構成例を模式的に示す断面図である。 図9(a)は、第3実施形態に係る保護層の第1領域の一構成例を模式的に示す断面図である。図9(b)は、第3実施形態に係る保護層の第2領域の一構成例を模式的に示す断面図である。
例えば、半導体基板と裏面電極との間にパッシベーション膜が存在している、いわゆるPERC型の太陽電池素子が知られている。パッシベーション膜には、例えば、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法などの成膜法によって形成され得る酸化アルミニウムの薄膜が適用される。
このPERC型の太陽電池素子については、例えば、半導体基板の裏面側に裏面電極を局所的に存在させて、前面だけでなく裏面に入射する光も発電に利用することで、光電変換効率を向上させることが考えられる。換言すれば、前面および裏面の双方に入射する光を発電に利用するタイプ(両面受光型)の太陽電池素子および太陽電池モジュールが考えられる。
ここで、両面受光型の太陽電池素子については、例えば、裏面側に微細な凹凸構造(テクスチャ)を存在させることで、裏面に照射される光の反射を低減することが考えられる。ところが、例えば、両面受光型の太陽電池素子の裏面側に微細な凹凸構造が存在していれば、太陽電池素子の裏面側でキャリアが再結合しやすく、光電変換効率が低下するおそれがある。
また、例えば、半導体基板の裏面上に位置しているパッシベーション膜を保護する保護層を存在させる場合がある。保護層には、例えば、プラズマ化学気相成長(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)法またはスパッタリング法を用いて形成され得る窒化珪素の薄膜が適用される。ここで、例えば、太陽電池素子の裏面側では、微細な凹凸構造が存在していなければ、保護層の存在によって光の多重反射が生じ得る。ここでは、例えば、太陽光のうちの600ナノメートル(nm)以下の比較的短い波長域の光など、多重反射が生じやすい波長域の光が存在し得る。これにより、例えば、両面受光型の太陽電池素子において、裏面に照射される光のうち、半導体基板で光電変換に利用される光の割合が高まらず、光電変換効率が向上しにくい。
そこで、本発明者らは、両面受光型の太陽電池素子および太陽電池モジュールについて、光電変換効率を向上させることができる技術を創出した。
これについて、以下、第1実施形態から第3実施形態のそれぞれについて図面を参照しつつ説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図1から図9(b)には、それぞれ右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池モジュール100の前面1fsの一対の辺に沿った方向が+X方向とされ、前面1fsの他の一対の辺に沿った方向が+Y方向とされ、+X方向と+Y方向との両方に直交する前面1fsの法線方向が+Z方向とされている。
<1.第1実施形態>
<1−1.太陽電池モジュール>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100について、図1から図6を参照しつつ説明する。
図1および図2で示されるように、太陽電池モジュール100は、主に光が入射する受光面(前面ともいう)1fsと、この前面1fsの逆側に位置する裏面1bsと、を有する。第1実施形態では、前面1fsが、+Z方向を向いている。裏面1bsが、−Z方向を向いている。例えば、+Z方向は、南中している太陽に向く方向に設定される。図1の例では、前面1fsが、長方形状の形状を有する。
図1および図2で示されるように、太陽電池モジュール100は、例えば、太陽電池パネルPn1を備えている。図2で示されるように、太陽電池モジュール100は、例えば、端子ボックスJ1を備えていてもよい。端子ボックスJ1は、例えば、太陽電池パネルPn1の裏面1bs上などに位置し、太陽電池パネルPn1における発電で得られた電気を外部に出力することができる。太陽電池モジュール100は、例えば、フレーム106などを備えていてもよい。フレーム106は、例えば、太陽電池パネルPn1の外周部に沿って位置し、太陽電池パネルPn1の外周部を保護することができる。ここでは、例えば、太陽電池パネルPn1の外周部とフレーム106との間にブチル系の樹脂などの透湿度が低い封止材が充填されていてもよい。
図1および図2で示されるように、太陽電池パネルPn1は、例えば、第1保護部材101と、第2保護部材102と、太陽電池部103と、充填材104と、パッキング部105と、を備えている。ここでは、例えば、第1保護部材101と第2保護部材102とが太陽電池部103を挟むように位置している。第1保護部材101は、例えば、太陽電池パネルPn1の前面1fsを構成している状態で位置している。第2保護部材102は、例えば、太陽電池パネルPn1の裏面1bsを構成している状態で位置している。
第1保護部材101は、透光性を有する部材である。この第1保護部材101は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。この特定範囲の波長は、例えば、太陽電池部103が光電変換し得る光の波長を含む。これにより、例えば、前面1fsに照射される光が、第1保護部材101を太陽電池部103に向けて透過し得る。ここで、例えば、特定範囲の波長が、太陽光を構成する照射強度の高い光の波長を含んでいれば、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上し得る。第1保護部材101には、例えば、屈折率が1.4から1.8程度の平板状のガラス板が適用される。図1および図2で示されるように、第1保護部材101は、第1板面F1と、第2板面F2と、第1外周面S1と、を有する。第2板面F2は、第1板面F1とは逆方向を向いている状態にある。第1外周面S1は、第1板面F1と第2板面F2とを接続している状態にある。第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、第1板面F1は、前面1fsを構成している状態にある。第1保護部材101の厚さは、例えば、1ミリメートル(mm)から5mm程度に設定される。図1の例では、前面1fs側から平面視した場合に、第1保護部材101の外形は長方形状である。上記構成を有する第1保護部材101は、例えば、高い剛性と低い透湿度とで太陽電池部103を前面1fs側から保護することができる。
第2保護部材102は、第1保護部材101と同様に、透光性を有する部材である。この第2保護部材102は、例えば、第1保護部材101と同様に、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。これにより、例えば、裏面1bsに照射される光が、第2保護部材102を太陽電池部103に向けて透過し得る。このため、例えば、前面1fsに照射される光だけでなく、裏面1bsに照射される光も、太陽電池部103における光電変換に利用される。換言すれば、太陽電池モジュール100は、前面1fsおよび裏面1bsの双方に入射する光を発電に利用するタイプ(両面受光型)の太陽電池モジュールである。第2保護部材102には、例えば、屈折率が1.4から1.8程度の平板状のガラス板が適用される。図1および図2で示されるように、第2保護部材102は、第3板面F3と、第4板面F4と、第2外周面S2と、を有する。第3板面F3は、第1保護部材101の第2板面F2と対向している状態にある。第4板面F4は、第3板面F3とは逆方向を向いている状態にある。第2外周面S2は、第3板面F3と第4板面F4とを接続している状態にある。第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、第4板面F4は、裏面1bsを構成している状態にある。第2保護部材102の厚さは、例えば、1mmから5mm程度に設定される。図1の例では、前面1fs側から平面透視した場合に、第2保護部材102の外形は長方形状である。上記構成を有する第2保護部材102は、例えば、高い剛性と低い透湿度とで太陽電池部103を裏面1bs側から保護することができる。
太陽電池部103は、例えば、第1保護部材101と第2保護部材102との間の領域(板間領域ともいう)A0に位置している。図1で示されるように、太陽電池部103は、例えば、複数の太陽電池素子1を有する。第1実施形態では、複数の太陽電池素子1は、2次元的に並んでいる状態で位置している。図1および図2の例では、複数の太陽電池素子1は、第1保護部材101の第2板面F2に沿って位置するように平面的に配列された状態で位置している。また、太陽電池部103は、例えば、複数の第1配線材W1と、複数の第2配線材W2と、を有する。太陽電池部103は、例えば、複数(ここでは、8個)の太陽電池ストリングSt1を含む。太陽電池ストリングSt1は、例えば、複数(ここでは、7個)の太陽電池素子1と、複数の第1配線材W1と、を含む。複数の第1配線材W1は、例えば、複数の太陽電池素子1のうちの相互に隣り合う太陽電池素子1をそれぞれ電気的に接続している状態にある。複数の第2配線材W2は、複数の太陽電池ストリングSt1のうちの相互に隣り合う太陽電池ストリングSt1をそれぞれ電気的に接続している状態にある。図1の例では、−X方向の端に位置している太陽電池ストリングSt1に接続された第2配線材W2と、+X方向の端に位置している太陽電池ストリングSt1に接続された第2配線材W2と、が太陽電池モジュール100の外部に引き出されている状態で位置している。ここで、2本の第2配線材W2は、例えば、第2保護部材102を貫通するように位置している孔部を介して、太陽電池モジュール100の外部に引き出された状態で位置している。
充填材104は、第1保護部材101と第2保護部材102との間の板間領域A0において太陽電池部103を覆うように位置している。第1実施形態では、充填材104は、例えば、第1保護部材101と第2保護部材102との間の板間領域A0に充填されるように位置している。充填材104は、例えば、前面1fs側に位置している部分(第1充填部分ともいう)104uと、裏面1bs側に位置している部分(第2充填部分ともいう)104bと、を含む。第1充填部分104uは、例えば、太陽電池部103の第1保護部材101側の全面を覆うように位置している。第2充填部分104bは、例えば、太陽電池部103の第2保護部材102側の全面を覆うように位置している。このため、太陽電池部103は、例えば、第1充填部分104uと第2充填部分104bとによって挟み込まれるように囲まれた状態にある。これにより、例えば、充填材104の存在によって太陽電池部103の姿勢が保たれ得る。
また、充填材104は、例えば、透光性を有する。ここで、例えば、充填材104を構成する第1充填部分104uおよび第2充填部分104bの双方が透光性を有していれば、前面1fs側からの入射光および裏面1bs側からの入射光の双方が、太陽電池部103まで到達し得る。充填材104の素材には、例えば、第1保護部材101および第2保護部材102に近いかまたは略同一の屈折率を有し、特定範囲の波長の光に対する透光性が優れた素材が適用される。具体的には、充填材104の素材には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、トリアセチルセルロース(TAC)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂などのうちの1種以上の素材が適用される。ここで、例えば、第1保護部材101と第1充填部分104uとが近いかまたは略同一の屈折率を有していれば、前面1fsに照射される光は、第1保護部材101と第1充填部分104uとの界面で反射しにくく、太陽電池部103まで到達しやすい。また、例えば、第2保護部材102と第2充填部分104bとが近いかまたは略同一の屈折率を有していれば、裏面1bsに照射される光は、第2保護部材102と第2充填部分104bとの界面で反射しにくく、太陽電池部103まで到達しやすい。
パッキング部105は、例えば、板間領域A0のうち、外部空間に対して開口している環状の部分(環状開口部ともいう)A0pに沿って位置している。第1実施形態では、パッキング部105は、例えば、太陽電池部103および充填材104を含む領域の外周部分を囲むように位置している。ここでは、パッキング部105は、例えば、第1保護部材101から第2保護部材102に至る領域を埋めるように位置している。ここで、例えば、パッキング部105が、充填材104よりも低い透湿度を有していれば、パッキング部105は、板間領域A0のうちの外周部に沿った部分を封止することができる。これにより、パッキング部105は、例えば、太陽電池モジュール100の外部から太陽電池部103に向けた水分などの侵入を低減することができる。パッキング部105の素材には、例えば、ブチル系の樹脂、ポリイソプロピレン系の樹脂またはアクリル系の樹脂などが適用される。パッキング部105の素材は、例えば、透湿度が低い素材であれば、銅もしくは半田などの金属またはガラスなどの非金属を含むものでもよい。パッキング部105は、例えば、銅箔を半田付けで接着したものであってもよいし、ガラスをレーザーなどで溶融させた後に凝固させたものであってもよい。また、パッキング部105の素材に白色または透明の樹脂を適用し、太陽電池部103における光の取込みを阻害しないようにしてもよい。
<1−2.太陽電池素子>
複数の太陽電池素子1のそれぞれは、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。図3(a)および図3(b)で示されるように、複数の太陽電池素子1のそれぞれは、表(おもて)面側に位置している面(第1素子面ともいう)Sf1と、この第1素子面Sf1の逆側に位置している面(第2素子面ともいう)Sf2と、を有する。図3(a)および図3(b)の例では、第1素子面Sf1が、+Z方向を向いており、第2素子面Sf2が、−Z方向を向いている。この場合には、例えば、第1素子面Sf1が主として光が入射する前面とされ、第2素子面Sf2が前面よりも光が入射しない裏面とされている。
第1実施形態では、図3(a)から図4(c)で示されるように、複数の太陽電池素子1のそれぞれは、半導体基板2と、反射防止膜3と、パッシベーション膜4と、保護層5と、前面電極6と、裏面電極7と、を備えている。太陽電池素子1では、例えば、第1素子面Sf1側の一部に前面電極6が位置しており、第2素子面Sf2側の一部に裏面電極7が位置している。このため、第1実施形態に係る太陽電池素子1は、第1素子面Sf1および第2素子面Sf2の双方に入射する光を発電に利用するタイプ(両面受光型)の太陽電池素子である。
<1−2−1.半導体基板>
図4(a)から図4(c)で示されるように、半導体基板2は、第1面2uと、第2面2bと、側面2sと、を有する。第2面2bは、第1面2uとは逆側に位置している。側面2sは、第1面2uと第2面2bとを接続している状態で位置している。図4(a)から図4(c)の例では、第1面2uが+Z方向を向いている状態で位置し、第2面2bが−Z方向を向いている状態で位置している。
半導体基板2は、例えば、第1導電型を有する領域(第1半導体領域ともいう)21と、第1導電型とは逆の第2導電型を有する領域(第2半導体領域ともいう)22と、を有する。第1半導体領域21は、例えば、半導体基板2の第2面2b側に位置している。第2半導体領域22は、例えば、半導体基板2の第1面2u側の表層部に位置している。ここで、例えば、第1導電型がp型である場合には、第2導電型がn型となる。また、例えば、第1導電型がn型である場合には、第2導電型がp型となる。これにより、半導体基板2は、第1半導体領域21と第2半導体領域22との界面に位置しているpn接合部を有する。
ここで、例えば、半導体基板2がシリコン基板である場合を想定する。この場合には、シリコン基板として、例えば、多結晶または単結晶のシリコン基板が採用される。シリコン基板は、例えば、250マイクロメートル(μm)以下または150μm以下の厚さを有する。また、シリコン基板は、例えば、平面視して矩形状の外形を有する。このような形状を有する半導体基板2が採用されれば、複数の太陽電池素子1を並べて太陽電池モジュール100が製造される際に、太陽電池素子1同士の間の隙間が小さくなり得る。
ここで、例えば、第1導電型がp型であるとともに第2導電型がn型である場合には、例えば、多結晶または単結晶のシリコンの結晶に、ドーパント元素として、ボロンまたはガリウムなどの不純物を含有させることで、p型のシリコン基板が製作され得る。この場合には、p型のシリコン基板の第1面2u側の表層部にn型のドーパントとしてのリンなどの不純物を拡散させることで、n型の第2半導体領域22が生成され得る。ここでは、p型の第1半導体領域21とn型の第2半導体領域22とが積層された半導体基板2が形成され得る。
ここで、半導体基板2の第1面2uは、例えば、照射された光の反射を低減するための微細な凹凸構造(テクスチャ)を有していてもよい。
また、例えば、半導体基板2のうちの第2面2b側の表層部に、第1半導体領域21の第1導電型(例えば、p型)と同じである第1導電型を有する第3半導体領域23が存在していてもよい。ここでは、例えば、第3半導体領域23が含有しているドーパントの濃度が、第1半導体領域21が含有しているドーパントの濃度よりも高ければ、第3半導体領域23は、半導体基板2の第2面2b側において内部電界を形成するBSF(Back Surface Field)層としての役割を果たす。これにより、半導体基板2の第2面2bの近傍では、半導体基板2において光の照射に応じた光電変換によって生じる少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、太陽電池素子1における光電変換効率の低下が生じにくい。第3半導体領域23は、例えば、半導体基板2のうちの第2面2b側の表層部に、アルミニウムなどのドーパント元素が拡散されることで生成され得る。
<1−2−2.反射防止膜>
反射防止膜3は、例えば、半導体基板2の第1面2u側に位置している。図3(a)から図3(c)の例では、反射防止膜3は、第1面2u上に位置している。この反射防止膜3は、例えば、太陽電池素子1の第1素子面Sf1に照射される光の反射率を低減することができる。反射防止膜3の素材としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは窒化シリコンなどが採用され得る。反射防止膜3の屈折率および厚さは、例えば、太陽光のうち、半導体基板2に吸収されて発電に寄与し得る波長範囲の光に対して、反射率が低い条件(低反射条件ともいう)を実現することが可能な値に適宜設定される。ここで、例えば、反射防止膜3の屈折率が、1.8から2.5程度とされ、反射防止膜3の厚さが、50nmから120nm程度とされる。反射防止膜3は、例えば、PECVD法またはスパッタリング法を用いて形成され得る。
<1−2−3.パッシベーション膜>
パッシベーション膜4は、半導体基板2の少なくとも第2面2bの上に位置している。第1実施形態では、パッシベーション膜4は、半導体基板2の第2面2bに接している。パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2において光の照射に応じた光電変換で生成される少数キャリアの再結合を低減することができる。パッシベーション膜4の素材としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン、窒化シリコンおよび酸窒化シリコンなどから選択される1種類以上の素材が採用される。パッシベーション膜4は、例えば、1種類の素材の1層の膜であってもよいし、異なる素材の2層以上の膜が積層された状態のものであってもよい。具体的には、パッシベーション膜4として、例えば、酸化アルミニウムの1層の膜などが採用されてもよいし、酸化シリコンの膜と酸化アルミニウムの膜とがこの記載順に積層された状態のものなどが採用されてもよい。パッシベーション膜4は、例えば、ALD法で形成され得る。ここで、パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2の第2面2bにおけるダングリングボンドの終端化および電界効果などによって、少数キャリアの再結合を低減することができる。例えば、パッシベーション膜4の素材として酸化アルミニウムが採用される場合には、酸化アルミニウムは負の固定電荷を有する。このため、電界効果によって、半導体基板2の第2面2b側で生じる少数キャリア(この場合は電子)が、p型の第1半導体領域21とパッシベーション膜4との界面(第2面2b)から遠ざけられる。これにより、半導体基板2のうちの第2面2bの近傍における少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。パッシベーション膜4の厚さは、例えば、10nmから60nm程度とされる。パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2の第1面2uの上に位置していてもよい。パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2の第1面2uと第2面2bとを接続する側面2s上に位置していてもよい。
<1−2−4.保護層>
保護層5は、例えば、半導体基板2の第2面2b側に位置している。第1実施形態では、保護層5は、例えば、半導体基板2の第2面2b上に位置しているパッシベーション膜4上に位置している。別の観点から言えば、保護層5は、例えば、パッシベーション膜4と裏面電極7との間に位置している。そして、保護層5は、パッシベーション膜4上においてこのパッシベーション膜4を覆っている状態にある。これにより、保護層5は、例えば、パッシベーション膜4を保護することができる。換言すれば、太陽電池素子1を製造する際および太陽電池素子1を使用する際の双方において、保護層5の存在によって、太陽電池素子1の外部からパッシベーション膜4まで水分などが到達しにくい。これにより、パッシベーション膜4が劣化しにくくなる。保護層5は、例えば、半導体基板2の側面2s上に形成されてもよい。この場合には、保護層5の存在により、太陽電池素子1でリーク電流が生じにくくなる。
保護層5は、例えば、パッシベーション膜4上において、所望のパターンを有している状態で位置している。保護層5は、厚さ方向(ここでは+Z方向)にこの保護層5を貫通している状態の複数の孔部を有する。複数の孔部は、例えば、保護層5およびパッシベーション膜4を連続して貫通している状態の複数の孔部(貫通孔ともいう)45hのうち、保護層5を貫通している状態にある部分である。各貫通孔45hは、例えば、第2面2bに沿った周囲が閉じられた貫通孔を形成している孔部であってもよいし、第2面2bに沿った周囲の少なくとも一部が開口しているスリット状の孔部であってもよい。
図5で示されるように、保護層5は、母材の部分(母材部ともいう)5aと、複数の粒状体5bと、を有する。第1実施形態では、例えば、母材部5a内に複数の粒状体5bが適度に分散している状態で位置している。母材部5aの素材としては、例えば、シロキサン樹脂などが採用される。シロキサン樹脂は、Si−O−Si結合(シロキサン結合ともいう)を有するシロキサン化合物である。ここでは、例えば、パッシベーション膜4上に対する絶縁性ペーストのスクリーン印刷法などによる塗布および乾燥などを施す湿式のプロセスを用いて保護層5を形成することができる。
ここで、絶縁性ペーストには、例えば、母材部5aの原料となるシロキサン樹脂と、有機溶剤と、多数の粒状体と、を含む絶縁性ペーストが適用される。ここで、シロキサン樹脂としては、例えば、アルコキシシランまたはシラザンなどを加水分解させて縮合重合させることで生成された、分子量が1万5千以下の低分子量の樹脂が採用される。有機溶剤としては、例えば、シロキサン樹脂および多数の粒状体を分散させる溶剤が採用される。このような有機溶剤には、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルアルコール、2−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)プロパン−2−オールまたは2−プロパノールのうちの1種類または複数種類が適用される。多数の粒状体には、例えば、少なくとも複数の粒状体5bが含まれている。この多数の粒状体は、例えば、1000nm以下の平均粒径を有する、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは酸化チタンなどの絶縁性ペーストの粘度を調整するための無機フィラー(粘度調整用フィラーともいう)を含み得る。ここでいう平均粒径は、1次粒子の平均粒径でもよいし、2次粒子が凝集した2次粒子の平均粒径でもよい。ここで、例えば、絶縁性ペーストの粘度が適切に調整されることにより、複数の貫通孔45hに対応する複数の孔部を有する所望のパターンで絶縁性ペーストがパッシベーション膜4上に塗布され得る。また、ここで、例えば、多数の粒状体において、複数の粒状体5bと、粘度調整用フィラーと、が別々に存在していてもよいし、複数の粒状体5bが粘度調整用フィラーとしての機能を有していてもよい。
ところで、図6で示されるように、太陽電池モジュール100には、前面1fsおよび裏面1bsの双方に光が照射される。例えば、前面1fsに照射される光は、主として第1保護部材101および第1充填部分104uを透過して太陽電池素子1の第1素子面Sf1に至る光路(第1光路ともいう)Rt1を通り得る。この第1光路Rt1には、例えば、前面1fsに照射された光が、太陽電池モジュール100内で複数回反射して第1素子面Sf1に至る経路が含まれてもよい。また、例えば、前面1fsに照射される光は、太陽電池モジュール100内で1回以上反射して第2素子面Sf2に至る経路(第2光路ともいう)Rt2を通ってもよい。また、例えば、裏面1bsに照射される光は、主として、第2保護部材102および第2充填部分104bを透過して太陽電池素子1の第2素子面Sf2に至る光路(第3光路ともいう)Rt3を通り得る。ここで、例えば、前面1fsが、南中している太陽に向くように位置していれば、1日において、第1光路Rt1を通る光の光量は、第2光路Rt2を通る光の光量の50倍程度となり、第3光路Rt3を通る光の光量の5倍から10倍程度となることが想定される。このため、例えば、両面受光型の太陽電池素子1および太陽電池モジュール100では、第1光路Rt1を通る光の光電変換に利用される光の割合(第1光利用率ともいう)を高めつつ、第3光路Rt3を通る光の光電変換に利用される光の割合(第3光利用率ともいう)を高めれば、光電変換効率が向上し得る。
ここで、例えば、保護層5が、反射防止膜3よりも大きな厚さを有していれば、太陽電池素子1の第2素子面Sf2側において、可視光線および近赤外線が多重反射を生じにくくすることができる。これにより、例えば、第3光路Rt3に係る第3光利用率が高まり得る。第1実施形態では、例えば、上述した絶縁性ペーストの塗布および乾燥などによって、反射防止膜3よりも明らかに大きな厚さを有する保護層5を容易に形成することができる。保護層5の厚さは、例えば、600nmから20μm程度に設定される。これにより、例えば、太陽電池素子1の第2素子面Sf2側において、太陽光のうちのエネルギー強度が高い、可視光線、近紫外線および近赤外線を含む1200nm以下の波長域の光の多重反射が生じにくくなる。また、例えば、保護層5の厚さの増大によって、保護層5のパッシベーション膜4を保護する性能が向上し得る。
また、第1実施形態では、例えば、図5で示されるように、複数の粒状体5bは、複数の第1粒状体5b1と、複数の第2粒状体5b2と、を含む。ここで、例えば、粒径と粒状体の数との関係を示す粒径分布において、複数の第1粒状体5b1は、第1の粒径の範囲(第1粒径範囲ともいう)でこの第1粒径範囲外よりも高い頻度で存在している。具体的には、例えば、複数の第1粒状体5b1の粒径分布が、第1粒径範囲内において最も高い頻度で存在していることを示すピークを示す構成が考えられる。また、ここで、例えば、粒径と粒状体の数との関係を示す粒径分布において、複数の第2粒状体5b2は、第1粒径範囲とは異なる第2の粒径の範囲(第2粒径範囲ともいう)でこの第2粒径範囲外よりも高い頻度で存在している。具体的には、例えば、複数の第2粒状体5b2の粒径分布が、第2粒径範囲内において最も高い頻度で存在していることを示すピークを示す構成が考えられる。保護層5が含む複数の粒状体5bの粒径分布の測定は、例えば、太陽電池素子1から複数の粒状体5bを抽出することで実行され得る。太陽電池素子1から複数の粒状体5bを抽出する方法には、例えば、保護層5の素材が酸化シリコンであれば、塩酸などを用いて前面電極6および裏面電極7を溶かした後に、フッ酸などを用いて保護層5および半導体基板2などを溶かす方法などが適用される。
ここで、例えば、各第1粒状体5b1の屈折率が、母材部5aの屈折率よりも半導体基板2の屈折率に近ければ、保護層5が母材部5a単体で構成される場合よりも、複数の第1粒状体5b1の存在によって保護層5の屈折率が半導体基板2の屈折率に近づき得る。これにより、例えば、裏面1bs側から第2素子面Sf2に照射される光が、保護層5と半導体基板2との間の領域で反射しにくくなり、半導体基板2に入射しやすくなる。換言すれば、例えば、第3光路Rt3に係る第3光利用率が高まり得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。
ここで、半導体基板2がシリコン基板であり、保護層5の母材部5aの素材がシロキサン樹脂である場合を想定する。この場合には、例えば、半導体基板2の屈折率は3.4程度となり、母材部5aの屈折率は、酸化シリコン(SiO)の屈折率と同等な1.5程度となる。ここで、第1粒状体5b1の素材として、例えば、半導体基板2の屈折率(3.4程度)と母材部5aの屈折率(1.5程度)との間の屈折率を有する素材が採用される。具体的には、第1粒状体5b1の素材として、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化第二鉄(Fe)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化ハフニウム(HfO)のうちの1種以上が採用され得る。酸化チタン(TiO)の屈折率は、2.5から2.7程度である。酸化第二鉄(Fe)の屈折率は、3.0程度である。酸化ニオブ(Nb)の屈折率は、2.7程度である。酸化ジルコニウム(ZrO)の屈折率は、2.1程度である。酸化ハフニウム(HfO)の屈折率は、1.95程度である。また、例えば、パッシベーション膜4の素材が、酸化アルミニウムであれば、パッシベーション膜4の屈折率は1.76程度である。ここで、保護層5の母材部5aの素材がシロキサン樹脂であれば、パッシベーション膜4の屈折率は、母材部5aの屈折率よりも半導体基板2の屈折率に近い。
ここで、例えば、複数の第1粒状体5b1に係る第1粒径範囲の上限値が30nm以下であれば、保護層5において、太陽光のうちのエネルギー強度が高い、可視光線および近赤外線を含む1200nm以下の波長域の光の散乱が生じにくい。この現象は、第1粒径範囲を種々変化させた保護層5を観察することで確認された。この場合には、例えば、裏面1bs側から第2素子面Sf2に照射される光を保護層5内で散乱させにくい第1粒状体5b1によって、保護層5の屈折率を半導体基板2の屈折率に近づけることができる。これにより、例えば、第2素子面Sf2に照射される光が、保護層5と半導体基板2との間の領域で反射しにくくなり、半導体基板2に入射しやすくなる。換言すれば、例えば、第3光路Rt3に係る第3光利用率が高まり得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。
ところで、半導体基板2は、素材の使用量の低減に伴う薄型化によって、第1面2uから第2面2bに向けた半導体基板2の厚さ方向(第1厚さ方向ともいう)にこの半導体基板2を透過する光が生じ得る。例えば、半導体基板2がシリコン基板であれば、シリコンの光吸収係数に応じて、太陽光の1000nm以上の波長域の近赤外線が半導体基板2を透過しやすい。
そこで、例えば、保護層5において、複数の第2粒状体5b2が、第1面2uから第2面2bに向けた半導体基板2の厚さ方向(第1厚さ方向)にこの半導体基板2を透過する光を散乱させる状態にあってもよい。第1実施形態では、第1厚さ方向は、−Z方向である。光の散乱は、例えば、複数の第2粒状体5b2が、母材部5aとは異なる屈折率を有することで生じ得るミー散乱を含む。ここでは、例えば、半導体基板2を透過した光が、保護層5内に存在する複数の第2粒状体5b2によって散乱し、色々な角度で半導体基板2に再入射し得る。この場合には、例えば、再入射された光は、半導体基板2における光電変換に利用され得る。これにより、例えば、半導体基板2の第1面2uに照射される光のうち、半導体基板2における光電変換に利用される光の割合が向上し得る。換言すれば、例えば、第1光路Rt1に係る第1光利用率が高まり得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。ここでは、例えば、半導体基板2がシリコン基板であれば、保護層5において、複数の第2粒状体5b2が、第1厚さ方向に半導体基板2を透過する近赤外線を散乱させる状態が考えられる。この場合には、例えば、半導体基板2を透過した近赤外線は、保護層5内に存在する複数の第2粒状体5b2によって散乱し、色々な角度で半導体基板2に再入射して、半導体基板2における光電変換に利用され得る。
ここで、例えば、複数の第2粒状体5b2に係る第2粒径範囲の下限値が、30nmよりも高い値に設定される場合が考えられる。この場合には、保護層5において、太陽光のうちのエネルギー強度が高い、可視光線および近赤外線を含む1200nm以下の波長域の光の散乱が生じ得る。ここで、例えば、第2粒径範囲の下限値が大きくなる程、保護層5において、太陽光のうちのエネルギー強度が高い光線における比較的短波長の近紫外線および可視光線の散乱が生じにくくなる。これにより、例えば、保護層5は、第1素子面Sf1に照射された光のうちの半導体基板2を透過した近赤外線などの光を散乱させつつ、第2素子面Sf2に照射された光のうちの近紫外線および可視光線を半導体基板2に向けて透過させることが可能となる。このため、例えば、第1光路Rt1に係る第1光利用率と、第3光路Rt3に係る第3光利用率と、をバランスよく高めることが可能となる。また、例えば、第1光路Rt1に係る第1光利用率および第3光路Rt3に係る第3光利用率の何れをどの程度重点的に高めるのかについて、適宜設定することも可能となる。
ここで、例えば、半導体基板2において、第1面2uに照射される光のうちの予め設定された閾値以上の割合の光が第1厚さ方向に透過し得る波長域を、第1波長域とする。また、例えば、半導体基板2が吸収可能な光の波長域を、第2波長域とする。この場合に、例えば、保護層5において複数の第2粒状体5b2が生じさせる光の散乱の度合いが、第1波長域と第2波長域とが重なる波長域においてピークを示す状態にあってもよい。この状態では、例えば、半導体基板2を透過した光が、保護層5内に存在する複数の第2粒状体5b2によって散乱し、色々な角度で半導体基板2に再入射しやすくなる。これにより、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。ここでは、閾値として、例えば、40%程度の値が採用され得る。また、第1波長域は、例えば、半導体基板2の光吸収係数と厚さとに応じた波長域となる。第2波長域は、例えば、半導体基板2の光吸収係数に応じた波長域となる。
例えば、半導体基板2がシリコン基板であれば、シリコン基板の厚さ(板厚ともいう)に応じて、第1波長域が、900nmから1000nm程度以上の波長域となり、第2波長域が、1120nm程度以下の波長域となる。ここで、例えば、保護層5の素材が、屈折率が1.5程度の酸化シリコンであり、第2粒状体5b2の素材が、屈折率が2.7程度の酸化チタンである場合を想定する。この場合には、例えば、シリコン基板の板厚と、第1波長域の下限値と、第1波長域と第2波長域とが重なる波長域において光の散乱の度合いがピークを示すために必要である複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値と、が計算上、次のような関係となる。
例えば、板厚が50μmの場合に、第1波長域の下限値が930nm程度となり、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が350nm程度となる。例えば、板厚が100μmの場合に、第1波長域の下限値が970nm程度となり、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が361nm程度となる。例えば、板厚が115μmの場合に、第1波長域の下限値が980nm程度となり、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が364nm程度となる。例えば、板厚が140μmの場合に、第1波長域の下限値が990nm程度となり、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が367nm程度となる。例えば、板厚が170μmの場合に、第1波長域の下限値が1000nm程度となり、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が370nm程度となる。例えば、板厚が215μmの場合に、第1波長域の下限値が1010nm程度となり、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が373nm程度となる。このため、例えば、半導体基板2に適用されるシリコン基板の実用的な厚さを考慮すれば、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値として350nm程度以上が採用され得る。ここで、例えば、第2粒状体5b2の素材の屈折率が2.7よりも小さな値(例えば、2.5程度もしくは2.2程度など)であれば、第2粒状体5b2の素材の屈折率が2.7である場合よりも、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が大きくてもよい。ここで、例えば、第2粒状体5b2の素材の屈折率が2.7よりも大きな値であれば、第2粒状体5b2の素材の屈折率が2.7である場合よりも、複数の第2粒状体5b2の粒径の下限値が大きくてもよい。具体的には、第2粒状体5b2の素材の屈折率が3であれば、粒径の下限値として220nm程度以上の値が採用されてもよい。換言すれば、複数の第2粒状体5b2に係る第2粒径範囲の下限値として、220nm以上の値が採用され得る。
また、ここで、例えば、複数の第2粒状体5b2に係る第2粒径範囲の上限値は、保護層5の厚さの半分以下程度の値が採用され得る。これにより、例えば、保護層5によるパッシベーション膜4を保護する性能が確保され得る。例えば、保護層5の厚さが20μmである場合には、第2粒径範囲の上限値は10μmであってもよい。
また、ここで、例えば、図5で示されるように、複数の第2粒状体5b2が、保護層5の厚さ方向(第2厚さ方向ともいう)において並んでいる2つ以上の第2粒状体5b2を含んでいてもよい。第1実施形態では、第2厚さ方向は、−Z方向である。ここでは、例えば、保護層5の第2厚さ方向において、1つ目の第2粒状体5b2によって散乱された光のうちの第2厚さ方向に向かう光が、2つ目の第2粒状体5b2によって散乱され得る。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光のうち、半導体基板2に再入射される光の量が増加し得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。
<1−2−5.前面電極>
図3(a)および図4(a)から図4(c)で示されるように、前面電極6は、例えば、半導体基板2の第1面2u側に位置している。第1実施形態では、前面電極6は、半導体基板2の第1面2u上に位置している。前面電極6は、例えば、第1出力取出電極6aと、第1集電電極6bと、を有する。
第1出力取出電極6aは、半導体基板2の第1面2u側に位置している。第1出力取出電極6aは、例えば、半導体基板2における光の照射に応じた光電変換によって得られたキャリアを太陽電池素子1の外部に取り出すことができる。図3(a)および図4(a)から図4(c)の例では、半導体基板2の第1面2u側に、2本の第1出力取出電極6aが存在している。各第1出力取出電極6aは、第1面2uに沿った長手方向を有する。この長手方向は+Y方向である。第1出力取出電極6aの短手方向の長さ(幅ともいう)は、例えば1.3mmから2.5mm程度とされる。第1出力取出電極6aの少なくとも一部は、第1集電電極6bと交差して電気的に接続されている状態にある。
第1集電電極6bは、半導体基板2の第1面2u側に位置している。第1集電電極6bは、例えば、半導体基板2において光の照射に応じた光電変換によって得られたキャリアを集めることができる。図3(a)および図4(a)の例では、半導体基板2の第1面2u側に、複数本の第1集電電極6bが存在している。各第1集電電極6bは、第1面2uに沿った長手方向を有する。この長手方向は+X方向である。換言すれば、複数本の第1集電電極6bは、いわゆるフィンガー状の形態を有する。各第1集電電極6bは、例えば、20μmから200μm程度の幅を有する線状の電極である。換言すれば、各第1集電電極6bの幅は、第1出力取出電極6aの幅よりも小さい。複数本の第1集電電極6bは、例えば、互いに1mmから3mm程度の間隔を空けて並んでいる状態で位置している。前面電極6の厚さは、例えば、10μmから40μm程度とされる。
上記構成を有する前面電極6は、例えば、第1金属ペーストをスクリーン印刷などによって所望の形状に塗布した後に、この第1金属ペーストを焼成することで形成され得る。第1金属ペーストは、例えば、銀を主成分とする金属粒子、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有している。主成分とは、含有成分のうち含有される比率(含有率ともいう)が最も大きい(高い)成分のことを意味する。ここでは、例えば、反射防止膜3上に第1金属ペーストが所望の形状で塗布される。そして、この第1金属ペーストが焼成される際に、この第1金属ペーストが、反射防止膜3の焼成貫通を生じる。これにより、半導体基板2の第1面2uに接続している状態にある前面電極6が形成され得る。
また、前面電極6は、例えば、第1集電電極6bと同様の形状の補助電極6cを有していてもよい。この補助電極6cは、例えば、半導体基板2の+X方向の端部および−X方向の端部のそれぞれに沿って位置していることで、第1集電電極6b同士を電気的に接続し得る。
<1−2−6.裏面電極>
図3(b)および図4(a)から図4(c)で示されるように、裏面電極7は、例えば、半導体基板2の第2面2bの側に位置している。裏面電極7は、例えば、第2出力取出電極7aと、第2集電電極7bと、を有する。
第2出力取出電極7aは、半導体基板2の第2面2b側に位置している。この第2出力取出電極7aは、例えば、太陽電池素子1において光電変換によって得られたキャリアを太陽電池素子1の外部に取り出すための電極である。図3(b)、図4(a)および図4(c)の例では、半導体基板2の第2面2b側の保護層5上に、2本の第2出力取出電極7aが存在している。各第2出力取出電極7aは、第2面2bに沿った長手方向を有する。この長手方向は+Y方向である。そして、各第2出力取出電極7aは、長手方向としての+Y方向に沿って並んでいるN個(Nは2以上の整数)の島状の電極部(島状電極部ともいう)によって構成されている。ここでは、N個は4個である。換言すれば、半導体基板2の第2面2b側には、それぞれ第2出力取出電極7aの長手方向(ここでは+Y方向)に沿って並んでいる2列の島状電極部が存在している。そして、第2出力取出電極7aは、長手方向に交差している幅方向を有する。この幅方向は+X方向である。第2出力取出電極7aの厚さは、例えば、10μmから40μm程度とされる。第2出力取出電極7aの幅は、例えば、1.3mmから7mm程度とされる。第2出力取出電極7aの少なくとも一部は、第2集電電極7bと接触して電気的に接続されている状態にある。
上記構成を有する第2出力取出電極7aは、例えば、第2金属ペーストをスクリーン印刷などによって所望の形状に塗布した後に、この第2金属ペーストを焼成することで形成され得る。第2金属ペーストは、例えば、銀を主成分とする金属粒子、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有している。ここでは、例えば、保護層5上に第2金属ペーストが所望の形状で塗布される。
第2集電電極7bは、半導体基板2の第2面2b側に位置している。この第2集電電極7bは、例えば、半導体基板2において光の照射に応じた光電変換によって得られたキャリアを集めることができる。図3(b)および図4(a)の例では、半導体基板2の第2面2b側に、複数本の第2集電電極7bが存在している。各第2集電電極7bは、第2面2bに沿った長手方向を有する。この長手方向は+X方向である。換言すれば、複数本の第2集電電極7bも、上述した複数の第1集電電極6bと同様に、いわゆるフィンガー状の形態を有する。各第2集電電極7bは、例えば、50μmから200μm程度の幅を有する線状の電極である。換言すれば、各第2集電電極7bの幅は、第2出力取出電極7aの幅よりも小さい。複数本の第2集電電極7bは、例えば、互いに1mmから3mm程度の間隔を空けて並んでいる状態で位置している。
第2集電電極7bは、例えば、第1部分7b1と、第2部分7b2と、を有する。第1部分7b1は、保護層5の第1領域Ar1の上に位置している。第2部分7b2は、パッシベーション膜4および保護層5を連続して貫通している状態の複数の貫通孔45h内のそれぞれにおいて半導体基板2に電気的に接続している状態で位置している。第1部分7b1の厚さは、例えば、10μmから40μm程度とされる。第1部分7b1と、第2部分7b2と、は電気的に接続されている状態にある。
上記構成を有する第2集電電極7bは、例えば、第3金属ペーストをスクリーン印刷などによって所望の形状に塗布した後に、この第3金属ペーストを焼成することで形成され得る。第3金属ペーストは、例えば、アルミニウムを主成分とする金属粒子、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有している。ここでは、例えば、保護層5上および保護層5の複数の孔部内に第3金属ペーストが塗布される。そして、この第3金属ペーストが焼成される際に、保護層5の複数の孔部内に位置している第3金属ペーストがパッシベーション膜4の焼成貫通を生じる。これにより、複数の貫通孔45h内に位置している状態にある第2部分7b2が形成され得る。この場合には、例えば、第3金属ペースト中のアルミニウムが半導体基板2の第2面2bの表層部内に拡散し、BSF層としての第3半導体領域23が生成され得る。一方、保護層5上に位置している第3金属ペーストは、保護層5の存在により、パッシベーション膜4の焼成貫通を生じることなく、保護層5上に第1部分7b1が形成され得る。その結果、裏面電極7が形成され得る。
<1−2−7.太陽電池素子同士の接続>
図3(a)および図3(b)で示されるように、例えば、1つの太陽電池素子1の第1出力取出電極6aと、この1つの太陽電池素子1の隣の他の1つの太陽電池素子1の第2出力取出電極7aとが、第1配線材W1によって電気的に接続されている状態にある。図3(a)および図3(b)の例では、各太陽電池素子1に取り付けられる第1配線材W1の外縁が仮想的に二点鎖線で描かれている。第1配線材W1には、例えば、線状または帯状の導電性を有する金属が適用される。具体的には、例えば、0.1mmから0.2mm程度の厚さと1mmから2mm程度の幅とを有する銅箔の全面に半田が被覆されたものが第1配線材W1に適用される。第1配線材W1は、例えば、半田付けで第1出力取出電極6aおよび第2出力取出電極7aに電気的に接続されている状態で位置している。
<1−3.絶縁性ペーストの製造方法>
保護層5の形成に用いる絶縁性ペーストは、例えば、シロキサン樹脂の前駆体と、水と、触媒と、有機溶剤と、多数の粒状体と、を混合することで作製され得る。
具体的には、まず、シロキサン樹脂の前駆体と、水と、触媒と、有機溶剤と、を容器内で混合することで混合溶液を作製する工程(混合工程ともいう)を実施する。
ここで、シロキサン樹脂の前駆体としては、例えば、Si−O結合を有するシラン化合物またはSi−N結合を有するシラザン化合物などが採用される。これらの化合物は、加水分解を生じる性質(加水分解性ともいう)を有する。また、シロキサン樹脂の前駆体は、加水分解して縮合重合することでシロキサン樹脂となる。シラン化合物は、次の一般式1で表される。
(R1)4−dSi(OR2) ・・・ 一般式1。
一般式1におけるdは、1、2、3および4のうちの何れか1つの整数である。一般式1におけるR1およびR2は、メチル基およびエチル基などのアルキル基あるいはフェニル基などといった炭素水素基を示す。
ここで、シラン化合物は、例えば、少なくともR1がアルキル基を含むシラン化合物(アルキル基系のシラン化合物ともいう)を含む。具体的には、アルキル基系のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシランおよびデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
ここで、例えば、アルキル基が、メチル基、エチル基またはプロピル基であれば、シロキサン樹脂の前駆体が加水分解する際に炭素数が少なく揮発しやすい副生成物としてのアルコールが生成され得る。これにより、後述する副生成物除去工程で副生成物を除去しやすくなる。その結果、例えば、保護層5を形成する際に、副生成物の蒸発による空孔の発生が起こりにくく、保護層5が緻密となり、保護層5のバリア性が向上し得る。また、加水分解によって生成された副生成物は低粘度の液体であるので、副生成物除去工程までの絶縁性ペーストの製造工程において混合溶液がゲル化しにくい。
ここで、例えば、シロキサン樹脂の前駆体がフェニル基を有する場合には、シロキサン樹脂の前駆体は、事前に加水分解して縮合重合するとともにフェニル基の加水分解および縮合重合で生じた副生成物が除去されたシロキサン樹脂の状態で混合されてもよい。これにより、例えば、シロキサン樹脂の加水分解反応による絶縁性ペーストの粘度の変動が低減され得る。また、例えば、副生成物が除去された状態で、シロキサン樹脂と有機溶剤と多数の粒状体とを混合して絶縁性ペーストを生成すれば、絶縁性ペーストに含有される副生成物の量が低減される。この場合には、例えば、スクリーン印刷法によって絶縁性ペーストの塗布を行う場合には、スクリーン製版の乳剤が副生成物によって溶解されにくい。その結果、スクリーン製版のパターンの寸法が変動しにくくなる。
また、シラン化合物は、例えば、R1およびR2がフェニル基およびアルキル基の双方を含んでいるシラン化合物を含む。このようなシラン化合物としては、例えば、トリメトキシフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、メトキシトリフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、トリイソプロポキシフェニルシラン、ジイソプロポキシジフェニルシランおよびイソプロポキシトリフェニルシランなどが挙げられる。
これらのシラン化合物のうち、例えば、2つ以上のOR結合を含むシラン化合物が採用されれば、シラン化合物が加水分解した後に縮合重合を生じることで生成されるシロキサン結合(Si−O−Si結合)の数が増加し得る。これにより、保護層5を構成する酸化シリコンにおけるシロキサン結合のネットワークが多くなり、保護層5のバリア性が向上し得る。また、例えば、シラザン化合物は、無機シラザン化合物および有機シラザン化合物の何れであってもよい。ここで、無機シラザン化合物としては、例えば、ポリシラザンが挙げられる。有機シラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルシクロジシラザンまたはテトラフェニルシクロジシラザンなどが挙げられる。
水は、例えば、シロキサン樹脂の前駆体を加水分解させることができる。例えば、水として、純水を用いる。例えば、シラン化合物のSi−OCHの結合に対して水が反応すれば、Si−OH結合とHO−CH(メチルアルコール)とを生じる。
有機溶剤は、例えば、シロキサン樹脂の前駆体と水とを混合させることができる。また、有機溶剤は、例えば、シロキサン樹脂および多数の粒状体を分散させる役目も果たし得る。有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルアルコール、2−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)プロパン−2−オールまたは2−プロパノールなどが用いられる。ここでは、これらの有機溶剤のうちの1種類の有機溶剤および2種類以上の有機溶剤を混合した有機溶剤の何れが用いられてもよい。
触媒は、例えば、シロキサン樹脂の前駆体が加水分解および縮合重合を生じる際に、反応の速度を制御することができる。例えば、シロキサン樹脂の前駆体に含まれるSi−OR結合(例えば、Rはアルキル基)に加水分解および縮合重合を生じさせて、2つ以上のSi−OHからSi−O−Si結合とHO(水)とを生じさせる反応の速度が調整され得る。触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、燐酸、フッ化水素酸および酢酸などから選択される、1種以上の無機酸または1種以上の有機酸が用いられる。また、触媒として、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムおよびピリジンなどのうち、1種以上の無機塩基または1種以上の有機塩基が用いられてもよい。さらに、触媒は、例えば、無機酸と有機酸とを組み合わせたものでもよく、無機塩基と有機塩基とを組み合わせたものであってもよい。
混合工程で混合する各材料の比率については、例えば、混合した材料の総質量(100質量%)に対して、シロキサン樹脂の前駆体が10質量%から90質量%、水が5質量%から40質量%(または10質量%から20質量%)、触媒が1ppmから1000ppm、有機溶剤が5質量%から50質量%とされる。上記比率が採用されれば、シロキサン樹脂の前駆体を加水分解して縮合重合したシロキサン樹脂を、絶縁性ペーストに適切な質量比で含有させることができる。さらに、ゲル化による絶縁性ペーストの粘度の過度な増加が生じにくい。
このような混合工程では、シロキサン樹脂の前駆体と水とが反応して、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解が始まる。また、加水分解したシロキサン樹脂の前駆体が縮合重合を生じて、シロキサン樹脂が生成され始める。
次に、混合工程で作製した混合溶液を、例えば、ミックスローターまたはスターラーなどを用いて攪拌する工程(第1攪拌工程ともいう)を実施する。ここでは、混合溶液を攪拌すると、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解がさらに進行する。また、加水分解したシロキサン樹脂の前駆体が縮合重合を生じ、シロキサン樹脂が生成され続ける。例えば、ミックスローターで攪拌を実施する場合には、ミックスローターの回転ローラーの回転数が400rpmから600rpm程度とされ、攪拌時間が30分間から90分間程度とされる。このような設定であれば、シロキサン樹脂の前駆体、水、触媒および有機溶剤を均一に混合することができる。第1攪拌工程では、例えば、混合溶液が加熱されれば、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解および縮合重合が進行しやすい。これにより、例えば、第1攪拌工程よりも後の工程において混合溶液の粘度が安定しやすい。また、例えば、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解および縮合重合が進行しやすく、攪拌時間の短縮によって生産性が向上し得る。
次に、第1攪拌工程で攪拌された混合溶液から副生成物を除去する工程(副生成物除去工程ともいう)を実施する。ここでは、例えば、シロキサン樹脂の前駆体と水との反応によって発生したアルコールなどの有機成分の副生成物、水および触媒を揮発させる。これにより、例えば、絶縁性ペーストを保管する際、または絶縁性ペーストを連続して塗布する際に、副生成物としての有機成分の揮発に起因した絶縁性ペーストの粘度の変動が低減される。また、スクリーン印刷法を用いて絶縁性ペーストを塗布する際には、スクリーン製版の乳剤が副生成物としての有機成分によって溶解されにくくなる。これにより、スクリーン製版のパターンの寸法の変動が低減され得る。また、副生成物除去工程でも、加水分解したシロキサン樹脂の前駆体がさらに縮合重合を生じ、シロキサン樹脂が生成され続ける。また、副生成物除去工程では、水および触媒を揮発させるため、その後は、シロキサン樹脂の前駆体の縮合重合の反応が低減され、混合溶液の粘度の変動が低減され得る。
副生成物除去工程では、例えば、ホットプレートまたは乾燥炉などを用いて、処理温度が室温から90℃程度(または50℃から90℃程度でもよい)であり且つ処理時間が10分間から600分間程度である条件で、攪拌後の混合溶液に処理を施す。処理温度が上記温度範囲内であれば副生成物が揮発によって除去され得る。副生成物除去工程では、例えば、加水分解の反応で生成されたメチルアルコールなどの有機成分だけでなく、添加した触媒なども揮発によって除去され得る。ここで、例えば、減圧下で副生成物除去工程を実施すれば、副生成物である有機成分および触媒が揮発しやすく、処理時間が短縮され得る。また、例えば、副生成物除去工程において、第1攪拌工程で加水分解せずに残存したシロキサン樹脂の前駆体をさらに加水分解させてもよい。
次に、上記副生成物除去工程で副生成物が除去された混合溶液に多数の粒状体を添加する工程(粒状体添加工程ともいう)を実施する。ここで、多数の粒状体は、例えば、上述した複数の粒状体5bを含む。この複数の粒状体5bは、上述した複数の第1粒状体5b1と複数の第2粒状体5b2とを含む。さらに、多数の粒状体には、混合溶液の粘度を調整するための複数のフィラー(粘度調整用フィラー)が含まれてもよい。この複数のフィラーの素材には、例えば、酸化シリコンなどの無機材料が適用される。ここで、複数のフィラーには、例えば、有機被膜で覆われた表面を有するフィラーが適用されてもよい。この有機被膜の素材には、例えば、主鎖中における炭素原子の数が6つ以上または主鎖中における炭素原子の数とシリコン原子の数との合計数が6つ以上である構造を有し、シロキサン樹脂とは異なる素材が適用され得る。粒状体添加工程では、多数の粒状体は、例えば、作製後の絶縁性ペーストに3質量%から30質量%(5質量%から25質量%でもよい)含まれるように混合溶液に添加される。
次に、複数の粒状体が添加された混合溶液を、例えば、自転・公転ミキサーなどを用いて攪拌する工程(第2攪拌工程ともいう)を実施する。ここで、例えば、自転・公転ミキサーで混合溶液を攪拌する場合には、自転部および公転部の回転数が800rpmから1000rpmとされ、攪拌時間が1分間から10分間とされる。これにより、混合溶液の中に複数の粒状体を均一に分散させることができる。
次に、第2攪拌工程で攪拌された後の混合溶液を、例えば、室温で2時間から24時間程度保管することで、混合溶液の粘度を安定させる工程(粘度安定化工程ともいう)を実施する。第2攪拌工程で混合溶液の粘度が安定する場合は、粘度安定化工程を省略してもよい。
以上の一連の工程によって、絶縁性ペーストを作製することができる。
上記の一連の工程では、例えば、混合工程で多数の粒状体も同時に混合してもよい。これにより、粒状体添加工程および第2攪拌工程が不要となり、絶縁性ペーストの生産性が向上する。また、例えば、絶縁性ペーストをスプレー法などで塗布する場合には、副生成物除去工程を省略してもよい。また、例えば、アルキル基を有するシロキサン樹脂を混合工程で生成し、フェニル基を有するシロキサン樹脂を粒状体添加工程で添加してもよい。
<1−4.太陽電池素子の製造方法>
太陽電池素子1の製造方法の一例について、図7(a)から図7(d)を参照しつつ説明する。
まず、図7(a)で示されるように、半導体基板2を準備する。半導体基板2には、例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンの基板が適用される。半導体基板2は、例えば、既存のチョクラルスキー法(CZ法)または鋳造法などを用いて形成される。ここで、例えば、半導体基板2が、p型の多結晶シリコンの基板であれば、鋳造法などを用いて多結晶シリコンのインゴットを作製する際に、ドーパント元素として、ボロンなどを添加することで、インゴットの抵抗率を1オームセンチメートル(Ω・cm)から5Ω・cm程度に調整する。次に、そのインゴットを、例えば、1辺が約160mmの正方形状の底面を有する直方体状にカットし、さらに200μm程度の厚さにスライスして半導体基板2を作製する。ここで、半導体基板2の表面に対して、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、フッ酸またはフッ硝酸などの水溶液でごく微量のエッチングを施して、半導体基板2の切断面の機械的なダメージを受けた層および汚染された層を除去する。また、ここで、半導体基板2の第1面2uに、湿式または乾式のエッチングで、テクスチャを形成してもよい。湿式のエッチングには、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の水溶液またはフッ硝酸などの酸性の水溶液を用いたエッチングが適用される。乾式エッチングには、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法などを用いたエッチングが適用される。
次に、図7(b)で示されるように、例えば、テクスチャを有する半導体基板2の第1面2uの表層部に、n型の半導体領域である第2半導体領域22を生成する。第2半導体領域22は、例えば、ペースト状にした五酸化二リン(P)を半導体基板2の第1面2uに塗布してリンを熱拡散させる塗布熱拡散法、ガス状にしたオキシ塩化リン(POCl)を拡散源とした気相熱拡散法などを用いて生成され得る。第2半導体領域22は、例えば、0.1μmから2μm程度の深さと40Ω/□から200Ω/□程度のシート抵抗値とを有する。ここで、例えば、気相熱拡散法では、POClなどの拡散源のガスを含む雰囲気中で600℃から800℃程度の温度において、半導体基板2に5分間から30分間程度の熱処理を施すことでリンシリコンガラス(PSG)を半導体基板2の第1面2u上に形成する。その後、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスの雰囲気中で800℃から900℃程度の高い温度において、半導体基板2に10分間から40分間程度の熱処理を施す。これにより、PSGから半導体基板2の第1面2u側の表層部にリンが拡散し、半導体基板2の第1面2u側の表層部に第2半導体領域22が生成される。
ここで、例えば、第2面2b側にも第2半導体領域が生成されていれば、フッ硝酸の水溶液に半導体基板2の第2面2b側の部分を浸すことで、第2面2b側に形成された第2半導体領域をエッチングで除去する。これにより、例えば、半導体基板2の第2面2bにp型の導電型を有する第1半導体領域21が露出し得る。その後、例えば、第2半導体領域22の生成時に半導体基板2の第1面2u上に付着したPSGをエッチングで除去する。このとき、例えば、半導体基板2の側面2sに形成された第2半導体領域も併せて除去してもよい。ところで、例えば、半導体基板2の第2面2b側に予め拡散マスクを形成しておき、気相熱拡散法などで第2半導体領域22を生成した後に、拡散マスクを除去してもよい。この場合には、第2面2b側に第2半導体領域は生成されない。
次に、図7(c)で示されるように、少なくとも半導体基板2の第2面2b上に、例えば、酸化アルミニウムなどを主として含有するパッシベーション膜4を形成する。パッシベーション膜4は、例えば、ALD法またはPECVD法などで形成され得る。ここで、例えば、ALD法が用いられれば、半導体基板2の表面がパッシベーション膜4によって、より隙間なく緻密に覆われ得る。ALD法を用いたパッシベーション膜4の形成工程では、まず、成膜装置のチャンバー内に第2半導体領域22が形成された半導体基板2が載置される。そして、半導体基板2が100℃から250℃の温度域で加熱された状態で、アルミニウム原料の供給、アルミニウム原料の排気による除去、酸化剤の供給および酸化剤の排気による除去、の4工程を複数回繰り返す。これにより、半導体基板2の上に、酸化アルミニウムを主に含有するパッシベーション膜4が形成される。ここで、アルミニウム原料には、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)などが適用される。酸化剤には、例えば、水またはオゾンガスなどが適用される。ALD法を用いれば、半導体基板2の第2面2bだけでなく、半導体基板2の側面2sを含む半導体基板2の全周囲にパッシベーション膜4が形成され得る。ここで、例えば、半導体基板2の第2面2b上のパッシベーション膜4に耐酸レジストを塗布した後に、フッ酸などを用いたエッチングでパッシベーション膜4の不要な部分を除去してもよい。
また、図7(c)で示されるように、少なくとも半導体基板2の第1面2u上に、例えば、窒化シリコンなどを含有する反射防止膜3を形成する。反射防止膜3は、例えば、PECVD法またはスパッタリング法を用いて形成される。PECVD法を用いる場合は、事前に半導体基板2を反射防止膜3の成膜中の温度よりも高い温度まで加熱しておく。その後、例えば、シラン(SiH)とアンモニア(NH)との混合ガスを、窒素(N)ガスで希釈し、反応圧力を50Paから200Pa程度にして、グロー放電分解でプラズマ化させたものを、加熱された半導体基板2上に堆積させる。これにより、半導体基板2の第1面2u上に反射防止膜3が形成される。ここでは、成膜温度は、例えば、350℃から650℃程度とされる。グロー放電に必要な高周波電源の周波数は、例えば、10kHzから500kHz程度とされる。混合ガスの流量は、反応室の大きさなどに応じて適宜決定される。混合ガスの流量は、例えば、150ミリリットル/分(sccm)から6000ミリリットル/分(sccm)程度の範囲とされる。アンモニアガスの流量Bをシランガスの流量Aで除した値(B/A)は、例えば、0.5から15の範囲とされる。
次に、図7(c)で示されるように、半導体基板2の第2面2b上に形成されたパッシベーション膜4の上に、酸化シリコンなどを含有する保護層5を形成する。保護層5は、例えば、半導体基板2の第2面2b上に形成されたパッシベーション膜4上に、絶縁性ペーストがスクリーン印刷法などの塗布法によって所望のパターンを有するように塗布された上で、この絶縁性ペーストが乾燥されることで形成され得る。ここでは、上述した複数の粒状体5bを含有している絶縁性ペーストが採用される。保護層5は、例えば、半導体基板2の側面2s上において、直接、パッシベーション膜4上またはパッシベーション膜4上に形成された反射防止膜3上にも形成されてもよい。この場合には、保護層5の存在によって、例えば、太陽電池素子1におけるリーク電流が低減され得る。
次に、図7(d)で示されるように、スクリーン印刷などを用いて、上述した第1金属ペーストPa1、第2金属ペーストPa2および第3金属ペーストPa3を塗布して焼成することで、図3(a)から図4(c)で示されるように、前面電極6と裏面電極7とを形成する。
具体的には、例えば、反射防止膜3上に第1金属ペーストPa1を塗布して、焼成することで、第1出力取出電極6aおよび第1集電電極6bを含む前面電極6を形成する。例えば、スクリーン印刷によって第1金属ペーストを塗布するのであれば、前面電極6に含まれる第1出力取出電極6a、第1集電電極6bおよび補助電極6cを1つの工程で形成することができる。ここでは、例えば、第1金属ペーストPa1の塗布後、所定の温度でこの第1金属ペーストPa1中の溶剤を蒸散させることで第1金属ペーストPa1を乾燥させてもよい。第1金属ペーストPa1の焼成は、例えば、焼成炉内の最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で行われる。これにより、第1金属ペーストPa1は、反射防止膜3の焼成貫通を生じて、半導体基板2の第1面2u側に前面電極6が形成される。
また、例えば、保護層5上に第2金属ペーストPa2を塗布して、焼成することで、裏面電極7のうちの第2出力取出電極7aを形成する。第2金属ペーストPa2の塗布は、例えば、スクリーン印刷などを用いて実行される。ここでは、例えば、第2金属ペーストPa2の塗布後、所定の温度でこの第2金属ペーストPa2中の溶剤を蒸散させることで第2金属ペーストPa2を乾燥させてもよい。第2金属ペーストの焼成は、例えば、焼成炉内の最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で行われる。これにより、半導体基板2の第2面2b側に第2出力取出電極7aが形成される。
また、例えば、保護層5上に第3金属ペーストPa3を塗布して、焼成することで、裏面電極7のうちの第2集電電極7bを形成する。第3金属ペーストPa3の塗布は、例えば、スクリーン印刷などを用いて実行される。ここでは、第3金属ペーストPa3を、予め塗布された第2金属ペーストPa2の一部と接触するように、半導体基板2の第2面2b側に塗布する。このとき、第2面2b上のパッシベーション膜4上に形成された保護層5上の一部分およびこの保護層5の複数の孔部内に、第3金属ペーストPa3を塗布する。ここで、例えば、第3金属ペーストPa3の塗布後、所定の温度でこの第3金属ペーストPa3中の溶剤を蒸散させることで第3金属ペーストPa3を乾燥させてもよい。第3金属ペーストPa3の焼成は、例えば、焼成炉内の最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で行われる。第3金属ペーストPa3の焼成は、例えば、焼成炉内の最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で行われる。これにより、保護層5上の第3金属ペーストPa3の焼成によって第2集電電極7bの第1部分7b1が形成される。このとき、保護層5上にある第3金属ペーストPa3は、保護層5でブロックされる。また、保護層5の複数の孔部内の第3金属ペーストPa3の焼成によって、第3金属ペーストPa3は、パッシベーション膜4の焼成貫通を生じて、第1半導体領域21と電気的に接続する。これにより、半導体基板2の第2面2b側に第2集電電極7bの第2部分7b2が形成される。このとき、第2部分7b2の形成に伴い、第3半導体領域23も生成される。
このようにして、第2出力取出電極7aと第2集電電極7bとを含む裏面電極7が形成され得る。
<1−5.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る太陽電池素子1では、例えば、保護層5が、反射防止膜3よりも大きな厚さを有する。このため、例えば、太陽電池素子1の第2素子面Sf2側において、可視光線および近赤外線の多重反射を生じにくくすることができる。これにより、例えば、第3光路Rt3に係る第3光利用率が高まり得る。また、例えば、保護層5の厚さの増大によって、保護層5によるパッシベーション膜4を保護する性能が向上し得る。また、例えば、保護層5が、母材部5aと、この母材部5aよりも半導体基板2に近い屈折率を有する複数の第1粒状体5b1と、を有することで、保護層5が母材部5a単体で構成される場合よりも、保護層5の屈折率が半導体基板2の屈折率に近づき得る。これにより、例えば、裏面1bs側から第2素子面Sf2に照射される光が、保護層5と半導体基板2との間の領域で反射しにくく、半導体基板2に入射しやすくなる。換言すれば、例えば、第3光路Rt3に係る第3光利用率が高まり得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。
また、第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、母材部5aの屈折率と充填材104の屈折率とが略同一であれば、充填材104と半導体基板2との間に位置している保護層5の屈折率が、充填材104の屈折率と半導体基板2の屈折率との間となる。これにより、例えば、裏面1bsに照射される光が、充填材104と保護層5との間の領域および保護層5と半導体基板2との間の領域で反射しにくく、半導体基板2に入射しやすくなる。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における光電変換効率が向上し得る。
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
<2−1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、複数の第2粒状体5b2の形状として、例えば、粒子状、層形状、扁平状、中空状および繊維状などの何れの形状が採用されてもよい。例えば、図8で示されるように、複数の第2粒状体5b2が、断面が細長い形状を有する場合が考えられる。この場合には、例えば、第2粒状体5b2が、長手方向に垂直な方向の仮想的な切断面が約数十nmの径と、1μmから数μm以下程度の長手方向の長さと、を有する形態が考えられる。ここでは、例えば、母材部5a内に細長い形状を有する第2粒状体5b2が存在していれば、保護層5内では、第2粒状体5b2の長手方向における長さに応じた波長域の光の散乱が生じ得る。このため、例えば、保護層5の厚さの過剰な増大を招くことなく、半導体基板2を透過する光を散乱させることが可能な複数の第2粒状体5b2を保護層5内に存在させることが可能となる。これにより、例えば、保護層5の厚さの過剰な増大による、材料使用量の増加および保護層5の割れの発生が低減され得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が容易に向上し得る。
<2−2.第3実施形態>
上記第1実施形態および上記第2実施形態のそれぞれにおいて、保護層5の第1領域Ar1は、例えば、図9(a)で示されるように、複数の第2粒状体5b2を有し、保護層5の第1領域Ar1とは異なる第2領域Ar2は、図9(b)で示されるように、複数の第1粒状体5b1を有していてもよい。この場合には、例えば、保護層5のうち、第2集電電極7bの存在によって太陽電池素子1の裏面1bs側からの光が入射しにくい第1領域Ar1では、前面1fs側から半導体基板2を透過する光が、複数の第2粒状体5b2の存在によって散乱して半導体基板2に再入射しすい。また、例えば、保護層5のうち、太陽電池素子1の裏面1bs側から光が入射しやすい第2領域Ar2では、裏面1bs側から入射した光が複数の第1粒状体5b1の存在によって半導体基板2に入射されやすい。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。また、半導体基板2は吸収しないが、太陽電池モジュール100を支持する架台または屋根材もしくはアスファルトなどの架台を設置した土台が吸収することによって、太陽電池素子1の温度が上昇するような光(例えば、波長が2μmを超えるような遠赤外線など)を保護層5によって反射して、発電環境の温度上昇を低減することもできる。このようにすることで、太陽電池モジュール100の温度上昇が抑えられ、実発電量が増加し得る。
ここでは、例えば、保護層5の第1領域Ar1には、複数の第1粒状体5b1が存在していても存在していなくてもよい。保護層5の第2領域Ar2には、複数の第2粒状体5b2が存在していてもよい。この場合には、保護層5の第2領域Ar2における、複数の第1粒状体5b1の密度および複数の第2粒状体5b2の密度は適宜設定され得る。ここで、例えば、第2領域Ar2における複数の第2粒状体5b2の密度を増加させれば、第1素子面Sf1に照射される光は、半導体基板2を透過しても、保護層5における複数の第2粒状体5b2の存在によって散乱されて、半導体基板2に再入射しやすい。換言すれば、例えば、第1光路Rt1に係る第1光利用率が高まり得る。また、例えば、第2領域Ar2における複数の第1粒状体5b1の密度を増加させれば、裏面1bs側から第2素子面Sf2に照射される光が、保護層5と半導体基板2との間の領域で反射しにくく、半導体基板2に入射しやすくなる。換言すれば、例えば、第3光路Rt3に係る第3光利用率が高まり得る。その結果、例えば、太陽電池素子1における光電変換効率が向上し得る。
<3.その他>
上記第1実施形態から上記第3実施形態のそれぞれにおいて、複数の第2粒状体5b2は、例えば、粘度調整用フィラーとしての機能を有していてもよい。また、複数の第1粒状体5b1は、例えば、粘度調整用フィラーとしての機能を有していてもよい。また、例えば、保護層5に、複数の第1粒状体5b1および複数の第2粒状体5b2とは別の粘度調整用フィラーが、含まれていても含まれていなくてもよい。
上記第1実施形態から上記第3実施形態のそれぞれにおいて、複数本の第2集電電極7bは、いわゆるフィンガー状の形態の代わりに、例えば、いわゆるハニカム状の形態など、その他の形態を有していてもよい。
上記第1実施形態から上記第3実施形態のそれぞれにおいて、例えば、パッキング部105が存在していなくてもよい。パッキング部105は、太陽電池モジュール100の仕様によっては、第1保護部材101と第2保護部材102とで挟まれている部材として必ずしも必要なものではない。例えば、太陽電池モジュール100の強度を補強する部材であるアルミフレームまたは太陽電池モジュール100の側面をシールする樹脂などが、パッキング部105の機能を兼ねるような構成となっていてもよい。
上記第1実施形態から上記第3実施形態のそれぞれにおいて、半導体基板2は、例えば、単結晶または多結晶のシリコンではなく、非晶質のシリコンを用いたシリコン基板であってもよい。
上記第1実施形態から上記第3実施形態のそれぞれにおいて、半導体基板2は、例えば、シリコン基板ではなく、銅とインジウムとガリウムとセレンとの4種類の元素(いわゆるCIGS)、またはカドミウムとテルルとの2種類の元素(いわゆるCdTe)などを用いた化合物半導体を有する基板であってもよい。
上記第1実施形態から上記第3実施形態のそれぞれにおいて、複数の粒状体5bの素材として、例えば、酸化チタンよりも柔らかい酸化ジルコニウムを用いれば、絶縁性ペーストの塗布によってパッシベーション膜4に損傷が生じにくい。
上記第1実施形態から上記第3実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせることが可能であることは、言うまでもない。
1 太陽電池素子
1bs 裏面
1fs 前面
2 半導体基板
2b 第2面
2s 側面
2u 第1面
3 反射防止膜
4 パッシベーション膜
5 保護層
5a 母材部
5b 粒状体
5b1 第1粒状体
5b2 第2粒状体
6 前面電極
6a 第1出力取出電極
6b 第1集電電極
6c 補助電極
7 裏面電極
7a 第2出力取出電極
7b 第2集電電極
7b1 第1部分
7b2 第2部分
45h 貫通孔
100 太陽電池モジュール
101 第1保護部材
102 第2保護部材
103 太陽電池部
104 充填材
A0 板間領域
Ar1 第1領域
Ar2 第2領域

Claims (9)

  1. 第1面、該第1面の逆側に位置している第2面および前記第1面と前記第2面とを接続している状態で位置している側面を有する半導体基板と、
    該半導体基板の前記第1面の側に位置している反射防止膜と、
    前記第2面の上に位置しているパッシベーション膜と、
    該パッシベーション膜の上に位置し、前記反射防止膜よりも大きな厚さを有する保護層と、
    該保護層の第1領域の上に位置している第1部分と、前記パッシベーション膜および前記保護層を連続して貫通している状態の貫通孔内において前記半導体基板に電気的に接続している状態で位置している第2部分と、を有する電極と、を備え、
    前記保護層は、母材部と複数の粒状体とを有し、
    該複数の粒状体は、第1粒径範囲で該第1粒径範囲外よりも高い頻度で存在している複数の第1粒状体と、前記第1粒径範囲とは異なる第2粒径範囲で該第2粒径範囲外よりも高い頻度で存在している複数の第2粒状体と、を含み、
    各前記第1粒状体の屈折率は、前記母材部の屈折率よりも前記半導体基板の屈折率に近い、太陽電池素子。
  2. 請求項1に記載の太陽電池素子であって、
    前記複数の第2粒状体は、前記第1面から前記第2面に向けた前記半導体基板の第1厚さ方向に該半導体基板を透過する光を散乱させる状態にある、太陽電池素子。
  3. 請求項2に記載の太陽電池素子であって、
    前記第1面に照射される光のうちの予め設定された閾値以上の割合の光が前記第1厚さ方向に前記半導体基板を透過する第1波長域と、前記半導体基板が吸収可能な光の第2波長域と、が重なる波長域において、前記複数の第2粒状体が生じさせる光の散乱の度合いがピークを示す状態にある、太陽電池素子。
  4. 請求項3に記載の太陽電池素子であって、
    前記第2粒径範囲の下限値は、220nm以上である、太陽電池素子。
  5. 請求項2から請求項4の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記複数の第2粒状体は、前記保護層の第2厚さ方向において並んでいる2つ以上の粒状体を含む、太陽電池素子。
  6. 請求項2から請求項5の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記複数の第2粒状体は、細長い形状を有する、太陽電池素子。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記第1粒径範囲の上限値は、30nm以下である、太陽電池素子。
  8. 請求項1から請求項7の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記保護層の前記第1領域は、前記複数の第2粒状体を有し、
    前記保護層のうちの前記第1領域とは異なる第2領域は、前記複数の第1粒状体を有する、太陽電池素子。
  9. 透光性を有する第1保護部材と、
    透光性を有する第2保護部材と、
    前記第1保護部材と前記第2保護部材との間に位置している太陽電池部と、
    前記第1保護部材と前記第2保護部材との間において、前記太陽電池部を前記第1保護部材側および前記第2保護部材側から覆うように位置している、透光性を有する充填材と、を備え、
    前記太陽電池部は、請求項1から請求項8の何れか1つの請求項に記載の複数の太陽電池素子を有する、太陽電池モジュール。
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