JP7109539B2 - 太陽電池素子 - Google Patents

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Description

本開示は、太陽電池素子に関する。
結晶シリコンなどを用いた半導体基板を有する太陽電池素子が知られている。この太陽電池素子については、省資源化、小型化および軽量化などを指向して、半導体基板の薄型化が図られている。
ところが、半導体基板の薄型化に伴って、半導体基板に照射される光のうち、半導体基板で吸収されずに半導体基板を透過する光の割合が増加して、光の利用効率が低下するおそれがある。
このような問題に対して、例えば、白色塗膜を半導体基板の裏面側に設けることで、半導体基板を透過した光を白色塗膜で半導体基板へ向けて反射させる太陽電池素子が提案されている(例えば、特開2010-153740号公報の記載を参照)。
太陽電池素子が開示される。
太陽電池素子の一態様は、半導体基板と、パッシベーション膜と、保護層と、電極と、を備える。前記半導体基板は、光電変換を行う。前記パッシベーション膜は、前記半導体基板の上に位置している。前記保護層は、前記パッシベーション膜の上に位置している。前記電極は、前記保護層の上に位置している第1部分と、前記保護層および前記パッシベーション膜を連続して貫通している貫通孔内に位置しており且つ前記半導体基板にしている状態にある第2部分と、を有する。前記保護層は、母材部と該母材部内に位置している複数の粒状体とを含む。前記母材部は、非空隙部と複数の空隙部とを含む。前記保護層は、該保護層の厚さ方向において、前記半導体基板側の第1面と、前記第1部分側の第2面と、を有する。前記複数の空隙部のそれぞれは、前記保護層のうちの前記厚さ方向における前記第1面と前記第2面との間の一部の領域に位置している。前記複数の粒状体の屈折率は、前記母材部の屈折率とは異なる。
太陽電池素子の一態様は、半導体基板と、保護層と、電極と、を備える。前記半導体基板は、光電変換を行う。前記保護層は、前記半導体基板の上に位置している。前記電極は、前記保護層の上に位置している第1部分と、前記半導体基板に電気的に接続している状態にある第2部分と、を有する。前記保護層は、母材部と該母材部内に位置している複数の粒状体とを含む。前記母材部は、非空隙部と複数の空隙部とを含む。前記保護層は、該保護層の厚さ方向において、前記半導体基板側の第1面と、前記第1部分側の第2面と、を有する。前記複数の空隙部のそれぞれは、前記保護層のうちの前記厚さ方向における前記第1面と前記第2面との間の一部の領域に位置している。前記複数の粒状体の屈折率は、前記母材部の屈折率とは異なる。前記複数の粒状体は、表面の一部に金属反射膜が位置している粒状体を含む。
図1(a)は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の第1前面側から見た外観を示す平面図である。図1(b)は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の第1裏面側から見た外観を示す平面図である。 図2は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例を示す断面図であり、図1(a)および図1(b)のII-II線に沿った仮想的な切断面部を示す図である。 図3は、図2のIII部における第1実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面部において、保護層の一構成例およびその周辺部分を示す図である。 図4は、第1実施形態に係る太陽電池素子の一例のうちの図2の仮想的な切断面部において、太陽電池素子に入射する光の経路の一例を示す図である。 図5(a)から図5(d)は、それぞれ第1実施形態に係る太陽電池素子を製造する途中の状態を例示する断面図である。 図6は、第2実施形態に係る太陽電池素子の一例の第1裏面側から見た外観を示す平面図である。 図7は、図2のIII部に対応する第3実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面部について、保護層の一構成例およびその周辺部分を示す図である。 図8は、図2のIII部に対応する第4実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面部について、保護層の一構成例およびその周辺部分を示す図である。 図9は、図2のIII部に対応する第5実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面部について、保護層の一構成例およびその周辺部分を示す図である。 図10は、図2のIII部に対応する第5実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面部について、保護層の他の一構成例およびその周辺部分を示す図である。 図11は、図2のIII部に対応する第6実施形態に係る太陽電池素子の一例の仮想的な切断面部について、保護層の一構成例およびその周辺部分を示す図である。
結晶シリコンなどを用いた半導体基板を有する太陽電池素子については、例えば、半導体基板の薄型化が図られている。
ただし、半導体基板の薄型化に伴って、半導体基板に照射された光のうち、半導体基板に吸収されずに半導体基板を透過する光の割合が多くなり得る。例えば、結晶シリコンの半導体基板では、赤外線の波長域の光が透過しやすい。このため、太陽光のうちの赤外線などの一部の波長域の光が、半導体基板における光電変換に利用されにくく、太陽電池素子の光電変換効率が向上しにくい。太陽光では、例えば、400ナノメートル(nm)から700nm程度の可視光線ならびに700nmから1200nm程度の波長域の赤外線のエネルギー強度が高い。
また、例えば、半導体基板を透過した光が裏面側の電極に吸収されれば、太陽電池素子の温度が上昇し、太陽電池素子の光電変換効率が低下するおそれもある。
このため、例えば、太陽電池素子の受光面側から入射して半導体基板を透過した光を、太陽電池素子の裏面側で反射させて太陽電池素子に再度入射させることで、半導体基板における光の利用効率を向上させることが考えられる。具体的には、例えば、半導体基板と裏面電極との間に、硫化バリウム、酸化マグネシウムおよび酸化チタンなどの高い光の反射率を有する白色成分を含有する白色塗膜を配置することが考えられる。このような白色塗膜は、例えば、白色成分の微粒子とバインダと溶剤とを含む白色塗膜が塗布されることで形成される。
しかしながら、上記の白色塗膜においては白色成分の微粒子間に隙間が存在する。このため、水分および酸などが白色塗膜を透過し得る。これにより、例えば、半導体基板が変質して、太陽電池素子の光電変換効率が低下するおそれがある。
また、例えば、金属粉末とガラスフリットと有機ビヒクルとを含む金属ペーストを白色塗膜上に塗布して裏面電極を形成する場合には、金属ペーストが、微粒子間の隙間を介して白色塗膜に染み込み、半導体基板と白色塗膜との間に金属粉末が介在し得る。ここで、例えば、金属粉末として光を吸収しやすいアルミニウムの粉末などが採用されていれば、白色塗膜による光の反射が生じにくくなるおそれがある。その結果、例えば、太陽電池素子の光電変換効率が低下するおそれがある。
また、例えば、半導体基板の裏面上にパッシベーション膜が位置しているPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)型の太陽電池素子を想定すれば、金属ペーストの塗布および焼成で裏面電極を形成する際に、金属ペーストのガラス成分などが白色塗膜を透過し得る。ここでは、例えば、意図しないパッシベーション膜の焼成貫通が生じて、パッシベーション膜の機能が低下するおそれがある。その結果、例えば、太陽電池素子の光電変換効率が低下するおそれがある。
そこで、本発明者らは、太陽電池素子の光電変換効率を向上させる技術を創出した。
これについて、以下、第1実施形態から第6実施形態のそれぞれについて図面を参照しつつ説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図1(a)から図11には、それぞれ右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池素子1の第1前面1fsの一対の辺に沿った方向が+X方向とされ、第1前面1fsの他の一対の辺に沿った方向が+Y方向とされ、+X方向と+Y方向との両方に直交する第1前面1fsの法線方向が+Z方向とされている。
<1.第1実施形態>
<1-1.太陽電池素子>
第1実施形態に係る太陽電池素子1について、図1(a)から図3を参照しつつ説明する。
太陽電池素子1は、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。図1(a)および図1(b)で示されるように、太陽電池素子1は、主に光が入射する受光面(第1前面ともいう)1fsと、この第1前面1fsの逆側に位置する面(第1裏面ともいう)1bsと、を有する。第1実施形態では、第1前面1fsが、+Z方向を向いており、第1裏面1bsが、-Z方向を向いている状態にある。+Z方向は、例えば、南中している太陽に向けた方向に設定される。図1(a)および図1(b)の例では、第1前面1fsおよび第1裏面1bsが、それぞれ長方形状の形状を有する。
第1実施形態では、図1(a)から図2で示されるように、太陽電池素子1は、半導体基板2と、反射防止膜3と、パッシベーション膜4と、保護層5と、前面電極6と、裏面電極7と、を有する。太陽電池素子1では、例えば、第1前面1fs側の一部に前面電極6が位置し、第1裏面1bs側の略全面に裏面電極7が位置している。このため、第1実施形態に係る太陽電池素子1は、第1前面1fsに入射する光を発電に利用するタイプの素子である。
<1-1-1.半導体基板>
図2で示されるように、半導体基板2は、第2前面2fsと、第2裏面2bsと、外周面2ssと、を有する。第2前面2fsは、第1前面1fs側に位置している。第2裏面2bsは、第2前面2fsとは逆側に位置している。外周面2ssは、第2前面2fsと第2裏面2bsとを接続している状態で位置している。図2の例では、半導体基板2において、第2前面2fsが+Z方向に向いている状態で位置し、第2裏面2bsが-Z方向に向いている状態で位置している。
半導体基板2は、例えば、光の照射に応じて光電変換を行うことができる。半導体基板2は、例えば、第1導電型を有する領域(第1半導体領域ともいう)21と、第1導電型とは逆の第2導電型を有する領域(第2半導体領域ともいう)22と、を有する。第1半導体領域21は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs側に位置している。第2半導体領域22は、例えば、半導体基板2の第2前面2fs側の表層部に位置している。ここで、例えば、第1導電型がp型であれば、第2導電型がn型である。また、例えば、第1導電型がn型であれば、第2導電型がp型である。ここでは、半導体基板2は、第1半導体領域21と第2半導体領域22との界面に位置しているpn接合部を有する。
第1実施形態では、半導体基板2は、シリコン基板である。シリコン基板としては、例えば、多結晶または単結晶のシリコン基板が採用される。シリコン基板は、例えば、250マイクロメートル(μm)以下または150μm以下の厚さを有する。また、シリコン基板は、例えば、平面視して矩形状または正方形状の外形を有する。このような形状を有する半導体基板2が採用されれば、複数の太陽電池素子1を並べて太陽電池モジュールが製造される際に、太陽電池素子1同士の間の隙間が小さくなり得る。ここでは、例えば、第1導電型がp型であり且つ第2導電型がn型である場合には、多結晶または単結晶のシリコンの結晶にドーパント元素としてボロンまたはガリウムなどの不純物を含有させることで、p型のシリコン基板が製作され得る。この場合には、p型のシリコン基板の第2前面2fs側の表層部にn型のドーパントとしてのリンなどの不純物を拡散させることで、n型の第2半導体領域22が生成され得る。ここでは、p型の第1半導体領域21とn型の第2半導体領域22とがこの記載順に積層された半導体基板2が形成され得る。
ここで、半導体基板2の第2前面2fsは、例えば、照射された光の反射を低減するための微細な凹凸構造(テクスチャ)を有していてもよい。
また、例えば、半導体基板2のうちの第2裏面2bs側の表層部には、第1半導体領域21と同様な第1導電型を有する第3半導体領域23が存在していてもよい。ここで、例えば、第3半導体領域23におけるドーパントの濃度が、第1半導体領域21におけるドーパントの濃度よりも高ければ、第3半導体領域23は、半導体基板2の第2裏面2bs側において内部電界を形成するBSF(Back Surface Field)層としての役割を果たす。これにより、半導体基板2の第2裏面2bsの近傍では、半導体基板2において光の照射に応じた光電変換で生じる少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、太陽電池素子1の光電変換効率が低下しにくい。第3半導体領域23は、例えば、半導体基板2のうちの第2裏面2bs側の表層部に、アルミニウムなどのドーパント元素が拡散されることで生成され得る。
<1-1-2.反射防止膜>
反射防止膜3は、例えば、半導体基板2の第2前面2fs側に位置している。図1(a)および図2の例では、反射防止膜3は、第2前面2fs上に位置している。この反射防止膜3は、例えば、太陽電池素子1の第1前面1fsに照射される光の反射率を低減することができる。反射防止膜3の材料としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは窒化シリコンなどが採用され得る。反射防止膜3の屈折率および厚さは、例えば、太陽光のうち、半導体基板2に吸収されて発電に寄与し得る波長域の光に対して、反射率が低い条件(低反射条件ともいう)を実現することが可能な値に適宜設定される。ここで、例えば、反射防止膜3の屈折率が、1.8から2.5程度とされ、反射防止膜3の厚さが、20nmから120nm程度とされる。反射防止膜3は、例えば、プラズマCVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)法またはスパッタリング法を用いて形成され得る。
<1-1-3.パッシベーション膜>
パッシベーション膜4は、半導体基板2の少なくとも第2裏面2bsの上に位置している。第1実施形態では、パッシベーション膜4は、半導体基板2の第2裏面2bsに接している。パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2において光の照射に応じた光電変換で生じる少数キャリアの再結合を低減することができる。パッシベーション膜4の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン、窒化シリコンおよび酸窒化シリコンなどから選択される1種類以上の材料が採用される。パッシベーション膜4は、例えば、1種類の材料の1層の膜であってもよいし、異なる材料の2層以上の膜が積層された状態のものであってもよい。具体的には、パッシベーション膜4として、例えば、酸化アルミニウムの1層の膜が採用されてもよいし、酸化シリコンの膜と酸化アルミニウムの膜とがこの記載順に積層された状態の膜が採用されてもよい。パッシベーション膜4は、例えば、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法で形成され得る。ここで、パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bsにおけるダングリングボンドの終端化および電界効果などによって、少数キャリアの再結合を低減することができる。例えば、パッシベーション膜4の材料として酸化アルミニウムが採用される場合には、酸化アルミニウムは負の固定電荷を有する。このため、電界効果によって、半導体基板2の第2裏面2bs側の領域で生じる少数キャリア(この場合は電子)が、p型の第1半導体領域21とパッシベーション膜4との界面(第2裏面2bs)から遠ざけられる。これにより、半導体基板2のうちの第2裏面2bsの近傍における少数キャリアの再結合が低減され得る。その結果、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。パッシベーション膜4の厚さは、例えば、10nmから60nm程度とされる。パッシベーション膜4は、例えば、半導体基板2の第2前面2fs上に位置していてもよいし、半導体基板2の外周面2ss上に位置していてもよい。
<1-1-4.保護層>
保護層5は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs側に位置している。換言すれば、保護層5は、例えば、半導体基板2の上に位置している。第1実施形態では、保護層5は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs上に位置しているパッシベーション膜4上に位置している。別の観点から言えば、半導体基板2と保護層5との間にパッシベーション膜4が位置している。そして、保護層5は、パッシベーション膜4上においてこのパッシベーション膜4を覆っている状態にある。これにより、保護層5は、例えば、パッシベーション膜4を保護することができる。換言すれば、太陽電池素子1を製造する際および太陽電池素子1を使用する際の双方において、保護層5の存在によって太陽電池素子1の外部からパッシベーション膜4まで水分などが到達しにくい。このため、パッシベーション膜4が劣化しにくい。さらに、保護層5は、例えば、半導体基板2の外周面2ss上にも形成されてもよい。この場合には、保護層5は、例えば、半導体基板2の外周面2ss上において、直接、反射防止膜3上に、またはパッシベーション膜4上に、形成され得る。そして、例えば、保護層5の存在により、太陽電池素子1でリーク電流が生じにくい。
保護層5の材料には、例えば、酸化シリコンなどが適用される。保護層5は、例えば、パッシベーション膜4上において、所望のパターンを有する。保護層5は、厚さ方向(ここでは+Z方向)にこの保護層5を貫通するように位置している複数の孔部5hを有する。この複数の孔部5hは、例えば、保護層5およびパッシベーション膜4を連続して貫通している状態の複数の孔部(貫通孔ともいう)45hのうち、保護層5を貫通している状態にある部分である。各孔部5hおよび各貫通孔45hは、それぞれ第2裏面2bsに沿った周囲が閉じられた貫通孔であってもよいし、第2裏面2bsに沿った周囲の少なくとも一部が開口しているスリット状の孔部であってもよい。例えば、図1(b)で示されるように、保護層5を平面透視して、保護層5が複数の貫通孔45hに対応する複数の孔部5hを有する場合が想定される。ここで、保護層5を平面透視して、各孔部5hの形状は、ドット状、帯状および線状の何れであってもよい。孔部5hの直径または幅は、例えば、10μmから500μm程度とされる。孔部5hのピッチは、例えば、0.3ミリメートル(mm)から3mm程度とされる。孔部5hのピッチは、例えば、保護層5を平面透視した際の互い隣り合う孔部5hの中心同士の距離とされる。図1(b)の例では、64個の孔部5hが存在している。各孔部5hの大きさ、形状、数の組合せは、適宜調整され得る。このため、孔部5hの数は、例えば、1つ以上であればよい。
保護層5は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs上に形成されたパッシベーション膜4上に、絶縁性ペーストがスプレー法、コーター法またはスクリーン印刷法などの塗布法によって所望のパターンを有するように塗布された上で、乾燥されることで形成される。
ところで、例えば、保護層5の上に後述する第2集電電極7bを形成する際には、第1金属ペーストが保護層5上に所望の形状を有するように塗布されて焼成される。第1金属ペーストは、例えば、アルミニウムを主成分とする金属粉末とガラス成分と有機ビヒクルとを含有している導電性ペースト(Alペースト)である。主成分とは、含有成分のうち含有される比率(含有率ともいう)が最も大きい成分のことを意味する。ここでは、保護層5の孔部5hにおいてパッシベーション膜4上に直接塗布された第1金属ペーストは、パッシベーション膜4の焼成貫通を生じ、半導体基板2の第2裏面2bsに第2集電電極7bが直接接続される。これにより、パッシベーション膜4および保護層5は、パッシベーション膜4および保護層5を連続して貫通している状態でそれぞれ位置している複数の貫通孔45hを有する状態となる。また、このとき、例えば、複数の貫通孔45h内に位置している第1金属ペーストに含有されているアルミニウムが半導体基板2の第2裏面2bsの表層部に拡散することで、第3半導体領域23が形成される。また、例えば、保護層5の厚さが、パッシベーション膜4の厚さよりも十分大きければ、パッシベーション膜4のうちの保護層5で覆われている部分では、保護層5の存在によって、第1金属ペーストはパッシベーション膜4の焼成貫通を生じにくい。これにより、例えば、パッシベーション膜4の機能が低下しにくい。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。また、例えば、太陽電池素子1において、半導体基板2の第2裏面2bs上に、保護層5のパターンに対応する所望のパターンでパッシベーション膜4を残存させることができる。
保護層5の厚さは、例えば、0.5μmから10μm程度とされる。これにより、例えば、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が確保され得る。また、例えば、保護層5が、厚くなりすぎて割れを生じる不具合も生じにくく、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が低下しにくい。保護層5の厚さは、例えば、保護層5を形成するための絶縁性ペーストの組成、半導体基板2の第2裏面2bsの形状および後述する第2集電電極7bの形成時の焼成条件などに応じて適宜設定されてもよい。
<1-1-5.前面電極>
図1(a)および図2で示されるように、前面電極6は、例えば、半導体基板2の第2前面2fs側に位置している。第1実施形態では、前面電極6は、半導体基板2の第2前面2fs上に位置している。前面電極6は、例えば、第1出力取出電極6aと、第1集電電極6bと、を有する。
第1出力取出電極6aは、例えば、半導体基板2で光の照射に応じた光電変換によって得られたキャリアを太陽電池素子1の外部に取り出すことができる。図1(a)および図2の例では、半導体基板2の第2前面2fs側に、3本の第1出力取出電極6aが存在している。各第1出力取出電極6aは、第2前面2fsに沿った長手方向を有する。この長手方向は+Y方向である。第1出力取出電極6aの短手方向の長さ(幅ともいう)は、例えば、1.3mmから2.5mm程度とされる。第1出力取出電極6aの少なくとも一部は、第1集電電極6bと交差して電気的に接続されている状態にある。
第1集電電極6bは、例えば、半導体基板2で光の照射に応じた光電変換によって得られたキャリアを集めることができる。図1(a)および図2の例では、半導体基板2の第2前面2fs側に、複数本の第1集電電極6bが存在している。各第1集電電極6bは、第2前面2fsに沿った長手方向を有する。この長手方向は+X方向である。換言すれば、複数本の第1集電電極6bは、いわゆるフィンガー状の形態を有する。各第1集電電極6bは、例えば、20μmから200μm程度の幅を有する線状の電極である。ここでは、各第1集電電極6bの幅は、第1出力取出電極6aの幅よりも小さい。複数本の第1集電電極6bは、例えば、互いに1mmから3mm程度の間隔を空けて並んでいる状態で位置している。前面電極6の厚さは、例えば、10μmから40μm程度とされる。
上記構成を有する前面電極6は、例えば、第2金属ペーストをスクリーン印刷などによって所望の形状に塗布した後に、この第2金属ペーストを焼成することで形成され得る。第2金属ペーストは、例えば、銀を主成分とする金属粒子、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する導電性ペースト(銀ペーストともいう)である。ここでは、例えば、反射防止膜3上に第2金属ペーストが所望の形状で塗布される。そして、この第2金属ペーストが焼成される際に、この第2金属ペーストが、反射防止膜3の焼成貫通を生じる。これにより、半導体基板2の第2前面2fsに接続している状態にある前面電極6が形成され得る。
ここでは、前面電極6は、例えば、第1集電電極6bと同様の形状の補助電極6cを有していてもよい。この補助電極6cは、例えば、半導体基板2の+X方向の端部および-X方向の端部のそれぞれに沿って位置していることで、第1集電電極6b同士を電気的に接続し得る。
<1-1-6.裏面電極>
図1(b)および図2で示されるように、裏面電極7は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bsの側に位置している。図1(b)および図2の例では、保護層5が、パッシベーション膜4と裏面電極7との間に位置している。裏面電極7は、例えば、第2出力取出電極7aと、第2集電電極7bと、を有する。
第2出力取出電極7aは、例えば、半導体基板2で光の照射に応じた光電変換によって得られたキャリアを太陽電池素子1の外部に取り出すことができる。図1(b)および図2の例では、半導体基板2の第2裏面2bs側の保護層5上に、3つの第2出力取出電極7aが存在している。各第2出力取出電極7aは、第2裏面2bsに沿った長手方向を有する。この長手方向は+Y方向である。そして、各第2出力取出電極7aは、長手方向としての+Y方向に沿って並んだN個(Nは2以上の整数)の島状の電極部(島状電極部ともいう)で構成されている。ここでは、N個は4個である。換言すれば、半導体基板2の第2裏面2bs側には、それぞれ第2出力取出電極7aの長手方向(ここでは+Y方向)に沿って並んでいる3列の島状電極部が存在している。そして、第2出力取出電極7aは、長手方向に垂直な幅方向を有する。この幅方向は+X方向である。第2出力取出電極7aの厚さは、例えば、10μmから40μm程度とされる。第2出力取出電極7aの幅は、例えば、1.3mmから7mm程度とされる。第2出力取出電極7aの少なくとも一部は、第2集電電極7bと接触して電気的に接続されている状態にある。第2出力取出電極7aは、例えば、第3金属ペーストをスクリーン印刷などで所望の形状に塗布した後に、この第3金属ペーストを焼成することで形成され得る。ここでは、例えば、保護層5上に第3金属ペーストが所望の形状で塗布される。第3金属ペーストは、例えば、銀を主成分とする金属粒子、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する導電性ペースト(銀ペーストともいう)である。
第2集電電極7bは、例えば、半導体基板2で光の照射に応じた光電変換で得られたキャリアを集めることができる。図1(b)および図2の例では、第1裏面1bsを平面視した場合に、第1裏面1bsの略全面にわたって、第2集電電極7bが存在している。第2集電電極7bは、例えば、第1部分7b1と、第2部分7b2と、を有する。第1部分7b1は、保護層5の上に位置している部分である。第2部分7b2は、半導体基板2に電気的に接続している状態にある部分である。第2部分7b2は、保護層5およびパッシベーション膜4を連続して貫通している状態の複数の貫通孔45h内のそれぞれにおいて半導体基板2に電気的に接続している状態で位置している。第1部分7b1の厚さは、例えば、10μmから40μm程度とされる。第1部分7b1と、第2部分7b2と、は電気的に接続している状態にある。
上記構成を有する第2集電電極7bは、例えば、上述した第1金属ペーストをスクリーン印刷などで所望の形状に塗布した後に、この第1金属ペーストを焼成することで形成され得る。ここでは、例えば、保護層5上および保護層5の複数の孔部5h内に第1金属ペーストが塗布される。そして、この第1金属ペーストが焼成される際に、保護層5の複数の孔部5h内の第1金属ペーストがパッシベーション膜4の焼成貫通を生じる。これにより、複数の貫通孔45h内に位置している状態にある第2部分7b2が形成され得る。このとき、例えば、第1金属ペースト中のアルミニウムが半導体基板2の第2裏面2bsの表層部に拡散し、BSF層としての第3半導体領域23が形成され得る。一方、保護層5上に位置している第1金属ペーストは、保護層5の存在により、パッシベーション膜4の焼成貫通を生じず、保護層5上に第1部分7b1が形成され得る。その結果、裏面電極7が形成され得る。
<1-1-7.太陽電池素子同士の接続>
例えば、複数の太陽電池素子1を並べて太陽電池モジュールが製造される際には、図1(a)および図1(b)で示されるように、1つの太陽電池素子1の第1出力取出電極6aと、この1つの太陽電池素子1の隣の1つの太陽電池素子1の第2出力取出電極7aとが、配線材W1で電気的に接続される。図1(a)および図1(b)の例では、各太陽電池素子1に取り付けられる配線材W1の外縁が仮想的に二点鎖線で描かれている。配線材W1には、例えば、線状または帯状の導電性を有する金属が適用される。具体的には、例えば、0.1mmから0.2mm程度の厚さと1mmから2mm程度の幅とを有する銅箔の全面に半田が被覆されたものが配線材W1に適用される。配線材W1は、例えば、半田付けで第1出力取出電極6aおよび第2出力取出電極7aに電気的に接続される。
<1-2.保護層の構造および性質>
図3で示されるように、保護層5は、母材の部分(母材部ともいう)5aと、この母材部5a内に位置している複数の粒状体5bと、を含む。第1実施形態では、例えば、母材部5a内に複数の粒状体5bが適度に分散している状態で位置している。
母材部5aは、空隙ではない部分(非空隙部ともいう)5a1と、非空隙部5a1の内部に存在している複数の空隙の部分(空隙部ともいう)5a2と、を含む。第1実施形態では、例えば、非空隙部5a1の内部および表面に複数の空隙部5a2が適度に分散している状態で位置している。空隙部5a2は、例えば、粒状体5bに接するように位置していてもよいし、粒状体5bの周囲に位置していてもよいし、粒状体5bとは離れている状態で位置していてもよい。また、第1実施形態では、例えば、空隙部5a2は、保護層5と隣接している状態にある層としてのパッシベーション膜4および第2集電電極7bの第1部分7b1のうちの少なくとも一方の層に接していてもよい。この場合も、保護層5は、例えば、それぞれ保護層5と隣接している状態にある層としてのパッシベーション膜4と第1部分7b1との間の領域全体に位置している状態にある。
ここで、例えば、保護層5が、この保護層5の厚さ方向(ここでは+Z方向)において、半導体基板2側の面(第1面ともいう)Sf1と、第2集電電極7bの第1部分7b1側の面(第2面ともいう)Sf2と、を有するものとする。この場合、例えば、複数の空隙部5a2のそれぞれは、保護層5のうちの厚さ方向における第1面Sf1と第2面Sf2との間の一部の領域に位置している。別の観点から言えば、例えば、各空隙部5a2が保護層5の厚さ方向に保護層5を貫通するようには存在していない。換言すれば、各空隙部5a2の径は、例えば、保護層5の厚さよりも小さい。ここでは、例えば、複数の粒状体5bの間に母材部5aが充填されるように位置している。これにより、例えば、保護層5よりも半導体基板2側に位置している部分が、保護層5によって十分に保護され得る。例えば、このような保護層5の存在により、太陽電池素子1の外部からパッシベーション膜4および半導体基板2まで水分などが到達しにくい。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
非空隙部5a1の材料には、例えば、酸化シリコンが適用される。具体的には、非空隙部5a1の材料には、例えば、シロキサン樹脂などが適用される。シロキサン樹脂は、Si-O-Si結合(シロキサン結合ともいう)を有するシロキサン化合物である。ここでは、例えば、パッシベーション膜4上に、スプレー法、コーター法またはスクリーン印刷法などの塗布法によって所望のパターンを有するように絶縁性ペーストを塗布した上で乾燥させることで、保護層5を容易に形成することができる。
ここで、絶縁性ペーストには、例えば、非空隙部5a1の原料となるシロキサン樹脂と、有機溶剤と、多数の粒子と、を含む絶縁性ペーストが適用される。ここで、シロキサン樹脂には、例えば、アルコキシシランまたはシラザンなどを加水分解させて縮合重合させることで生成された、分子量が1万5千以下の低分子量の樹脂が適用される。有機溶剤には、例えば、シロキサン樹脂および多数の粒子を分散させる溶剤が適用される。このような有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルアルコール、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オールおよび2-プロパノールのうちの1種類または複数種類の有機溶剤が採用される。多数の粒子は、例えば、少なくとも複数の粒状体5bを含む。この多数の粒子は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは酸化チタンなど無機材料のフィラーを、絶縁性ペーストの粘度を調整するためのフィラー(粘度調整用フィラーともいう)として含んでいてもよい。この多数の粒子の平均粒子径は、例えば、1μm以下とされる。ここでいう平均粒子径は、一次粒子の平均粒子径でもよいし、一次粒子が凝集した二次粒子の平均粒子径でもよい。ここで、例えば、絶縁性ペーストの粘度が適切に調整されることで、複数の孔部5hを有する所望のパターンで絶縁性ペーストがパッシベーション膜4上に塗布され得る。また、ここで、例えば、多数の粒子は、複数の粒状体5bと、粘度調整用フィラーと、を別々に含んでいてもよいし、複数の粒状体5bが粘度調整用フィラーとしての機能を有していてもよい。例えば、複数の粒状体5bが粘度調整用フィラーとしての機能を有していれば、多数の粒子は、複数の粒状体5b以外に粘度調整用フィラーとしての無機材料のフィラーを有していなくてもよい。ここで、多数の粒子の形状は、例えば、粒子状、楕円状、直円柱状、針状、層形状、扁平状、中空構造状および繊維状の何れであってもよい。
空隙部5a2は、例えば、空気などの気体が位置している部分である。例えば、保護層5を形成するための絶縁性ペースト内の多数の粒子が有機材料の粒状体を含んでいれば、この有機材料の粒状体が熱分解によって消滅することで、有機材料の粒状体が消滅した領域の痕跡として空隙部5a2が形成され得る。ここで、有機材料の粒状体の熱分解は、例えば、絶縁性ペーストの乾燥時に生じる。ここでは、例えば、有機材料の粒状体の製造が可能である粒子径の下限値が10nmであれば、空隙部5a2の径の下限値は、10nmであればよい。また、例えば、空隙部5a2の径は、保護層5の厚さよりも小さいため、空隙部5a2の径の上限値は、保護層5の厚さ未満であればよい。ここで、例えば、空隙部5a2の径が保護層5の厚さの半分以下であれば、保護層5を形成するための絶縁性ペーストの塗布および乾燥を施す際に保護層5に割れが生じにくく、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が低下しにくい。このため、例えば、保護層5の厚さの上限が10μmであれば、空隙部5a2の径は、10nmから5μm程度とされ得る。ここで、例えば、有機材料の粒状体が、粘度調整用フィラーの機能を有していてもよい。
ところで、例えば、材料使用量の低減に伴う半導体基板2の薄型化によって、図4で示されるように、第1前面1fsに照射される光Lt1は、第1前面1fsから第1裏面1bsに向けた半導体基板2の厚さ方向にこの半導体基板2を透過する光Lt2を生じ得る。例えば、半導体基板2がシリコン基板であれば、シリコンの光吸収係数に応じて、太陽光の特定の波長域の光としての赤外線が半導体基板2を透過しやすい。そして、仮に、太陽電池素子1の第1裏面1bs側の広い範囲に主成分としてアルミニウムを含有する第2集電電極7bが位置している場合を想定すれば、第2集電電極7bは、半導体基板2側からの赤外線の約半分を吸収して発熱し得る。また、仮に、第2集電電極7bが、半導体基板2側からの赤外線の残りの半分を半導体基板2に向けて単に反射したとしても、薄型化が図られた半導体基板2では赤外線が十分には吸収されずに透過することが考えられる。このため、例えば、半導体基板2を透過する赤外線のうち、半導体基板2に吸収させて光電変換に利用させる赤外線の割合を高めることが出来れば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
ここで、例えば、複数の粒状体5bの屈折率が、母材部5aの屈折率と異なっていれば、複数の粒状体5bの存在によって、半導体基板2を透過した赤外線が、保護層5において散乱および反射され得る。赤外線の散乱は、例えば、ミー散乱を含み得る。これにより、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、この半導体基板2に対して種々の角度で再入射し得る。このとき、例えば、半導体基板2に再入射した赤外線が進む方向において、半導体基板2が存在している距離が、半導体基板2の厚さよりも長くなり得る。その結果、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、半導体基板2に吸収されやすくなる。また、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、裏面電極7まで到達しにくく、裏面電極7の発熱が生じにくい。これにより、例えば、太陽電池素子1の過熱による出力特性の低下が生じにくい。したがって、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
ここで、例えば、母材部5aの屈折率は、複数の空隙部5a2の存在によって、非空隙部5a1の屈折率とは異なる。例えば、非空隙部5a1の材料が酸化シリコンである場合には、非空隙部5a1の屈折率は1.45から1.5であり、空隙部5a2の屈折率は1である。この場合には、例えば、空隙部5a2の径よりも大きな波長域の光については、母材部5aの屈折率は、酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)に非空隙部5a1の体積率を乗じた値と、空気の屈折率(1)に複数の空隙部5a2の体積率を乗じた値と、の和となる。このため、母材部5aの屈折率は、酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)よりも小さい。また、例えば、空隙部5a2の径よりも小さな波長域の光については、非空隙部5a1の屈折率は、酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)となり、空隙部5a2の屈折率は、空気の屈折率(1)となる。この場合でも、母材部5aの非空隙部5a1と空隙部5a2の双方を含む領域については、屈折率は、酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)よりも小さい。母材部5aの屈折率は、例えば、分光エリプソメーターなどで測定され得る。
ここで、例えば、複数の粒状体5bの材料には、母材部5aとは異なる屈折率を有する材料が適用される。具体的には、複数の粒状体5bの材料として、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化第二鉄(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、炭化シリコン(SiC)および窒化シリコン(SiN)のうちの1種類以上の材料が採用される。ここで、例えば、SiOの屈折率は1.45から1.5程度である。Alの屈折率は1.76から1.77程度である。TiOの屈折率は2.52から2.71程度である。Feの屈折率は3.0程度である。CuOの屈折率は2.71程度である。Nbの屈折率は2.33程度である。ZrOの屈折率は2.13程度である。HfOの屈折率は1.95程度である。ZnOの屈折率は1.9から2.0程度である。ZnSの屈折率は、2.4程度である。SiCの屈折率は、2.65程度である。SiNの屈折率は、2.0程度である。複数の粒状体5bは、例えば、1種類の材料の粒状体を含んでいてもよいし、相互に材料が異なる2種類以上の粒状体を含んでいてもよい。
また、ここで、例えば、保護層5が、複数の空隙部5a2のうちの一部の空隙部5a2が保護層5の最も半導体基板2側に位置している領域を有していれば、半導体基板2を透過した光が、屈折率の急激な低下によって、この領域に入射しにくく、反射されやすい。第1実施形態では、例えば、複数の空隙部5a2のうちの一部の空隙部5a2が、保護層5の半導体基板2側に位置している層であるパッシベーション膜4に接するように位置していてもよい。このような構成は、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs上に形成されたパッシベーション膜4上に、有機バインダなどの低温で揮発するものを所望のポイントに塗布した後に、保護層5を形成するための絶縁性ペーストを塗布し、この絶縁性ペーストを乾燥させる処理によって形成され得る。このとき、例えば、有機バインダが揮発した痕跡が、パッシベーション膜4に接するように位置している空隙部5a2となり得る。ここで、例えば、絶縁性ペーストの乾燥時に揮発する有機バインダなどの代わりに、絶縁性ペーストの乾燥時に熱分解する有機材料の粒状体を所望のポイントに配置してもよい。また、ここで、例えば、レーザー光の照射などによる乾燥後の絶縁性ペーストの局所的な加熱によって、乾燥後の絶縁性ペーストの特定の領域におけるシロキサン樹脂の縮合重合をさらに進行させる処理が採用されてもよい。このとき、例えば、シロキサン樹脂の局所的な縮合重合の進行によって、保護層5が局所的に厚さ方向に縮むことで、パッシベーション膜4に接するように位置している空隙部5a2が形成され得る。このように、例えば、保護層5の半導体基板2側の層であるパッシベーション膜4に接するように一部の空隙部5a2が位置していれば、パッシベーション膜4と空隙部5a2との界面において、屈折率の落差によって、半導体基板2を透過した光が反射されやすい。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光が、半導体基板2に吸収されやすくなる。また、例えば、半導体基板2を透過した光が、裏面電極7まで到達しにくく、裏面電極7の発熱が生じにくい。その結果、例えば、太陽電池素子1の過熱による出力特性の低下が生じにくい。したがって、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
また、保護層5では、例えば、母材部5aの非空隙部5a1と複数の粒状体5bとの間において、材料の相違によって熱膨張係数が相互に異なる場合が考えられる。ここで、例えば、SiOの熱膨張率は、約0.51×10-6-1から0.58×10-6-1である。Alの熱膨張率が約5.5×10-6から8.0×10-6-1である。TiOの熱膨張率が約7.8×10-6-1から10.1×10-6-1である。ZrOの熱膨張率が約7.9×10-6-1から11.0×10-6-1である。HfOの熱膨張率が約3.8×10-6-1から6.5×10-6-1である。ZnOの膨張率が約3.2×10-6-1から3.9×10-6-1である。ZnSの膨張率が約6.1×10-6-1から7.7×10-6-1である。SiCの膨張率が約2.8×10-6-1から4.4×10-6-1である。SiNの膨張率が約2.4×10-6-1から3.7×10-6-1である。このため、例えば、前面電極6および裏面電極7の形成時における金属ペーストの焼成時などにおいて、非空隙部5a1と複数の粒状体5bとの界面に、熱膨張の差に応じた応力が生じ得る。この応力は、保護層5では、例えば、母材部5aが含む複数の空隙部5a2によって緩和され得る。これにより、例えば、複数の粒状体5bを存在させても保護層5に割れが生じにくい。この場合には、例えば、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が低下しにくい。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
また、ここでは、例えば、複数の粒状体5bの間に母材部5aが充填されるように位置していれば、保護層5上に第1金属ペーストおよび第3金属ペーストを塗布して裏面電極7を形成する際に、保護層5に金属ペーストが染み込みにくい。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光の保護層5内への入射が遮られにくく、半導体基板2を透過した光が保護層5で散乱および反射されやすくなる。その結果、例えば、半導体基板2を透過した光が、半導体基板2に吸収されやすくなる。
さらに、例えば、半導体基板2と保護層5と裏面電極7との間でも、材料の相違によって熱膨張係数が相互に異なる場合が考えられる。例えば、半導体基板2に適用される材料としてのシリコンの熱膨張率は、約3.9×10-6-1である。第2出力取出電極7aに適用される材料としての銀の熱膨張率は、約18.9×10-6-1から19.0×10-6-1である。第2集電電極7bに適用される材料としてのアルミニウムの熱膨張率は、23×10-6-1から23.5×10-6-1である。この場合には、例えば、前面電極6および裏面電極7の形成時における金属ペーストの焼成時などにおいて、半導体基板2と保護層5と裏面電極7との間に、熱膨張の差に応じた応力が生じ得る。この応力も、保護層5では、例えば、母材部5aが含む複数の空隙部5a2によって緩和され得る。これにより、例えば、複数の粒状体5bを存在させても保護層5に割れが生じにくい。この場合には、例えば、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が低下しにくい。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
また、上述したように、例えば、半導体基板2がシリコン基板であれば、シリコンの光吸収係数に応じて、太陽光の特定の波長域の光としての赤外線が半導体基板2を透過しやすい。このため、例えば、保護層5が、可視光線の波長域の光よりも赤外線の波長域の光をより多く散乱および反射させる性質を有していれば、半導体基板2が透過しやすい赤外線が、半導体基板2に吸収されやすい。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
保護層5が含む複数の粒状体5bの粒子径の分布は、例えば、太陽電池素子1から複数の粒状体5bを抽出することで測定され得る。例えば、保護層5の材料が酸化シリコンであれば、塩酸などを用いて前面電極6および裏面電極7を溶かした後に、フッ酸などを用いて保護層5などを溶かすことで、太陽電池素子1から複数の粒状体5bを抽出することができる。また、粒状体5bの粒子径は、例えば、イオンミリングなどによって保護層5の断面を露出させて、走査型電子顕微鏡(SEM)または3次元X線顕微鏡などを用いて、測定してもよい。ここでは、例えば、粒状体5bの粒子径が、30nmから3μm程度であれば、複数の粒状体5bを含む保護層4は、可視光線の波長域の光よりも赤外線の波長域の光をより多く散乱および反射させることができる。この場合には、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、複数の粒状体5bを含む保護層4によって、散乱および反射を生じやすい。
ここで、例えば、保護層5の厚さが大きくなる程、複数の粒状体5bの総数が増加し得る。これにより、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、保護層5において散乱および反射しやすくなる。その結果、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、半導体基板2に吸収されやすく、裏面電極7まで到達しにくくなる。
ここで、例えば、粒状体5bの粒子径が保護層5の厚さの半分以下であれば、保護層5を形成するための絶縁性ペーストの塗布および乾燥を施す際に保護層5に割れが生じにくい。その結果、例えば、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が低下しにくい。また、例えば、保護層5を平面透視した場合に粒状体5bが存在している領域が増加し得る。これにより、保護層5において、半導体基板2を透過した赤外線が散乱および反射しやすくなる。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
また、保護層5では、例えば、母材部5aの体積を100とした場合に、複数の粒状体5bの体積の総和を、3から90程度としてもよいし、5から85程度としてもよい。ここで、保護層5における複数の粒状体5bの体積率は、例えば、保護層5の複数箇所の切断面をSEMなどで観察することで得られる、母材部5aの平面積と、複数の粒状体5bの平面積の総和と、の比から算出され得る。また、保護層5における複数の粒状体5bの体積率は、例えば、保護層5の体積から複数の粒状体5bの体積を減じることで母材部5aの体積を算出し、この母材部5aの体積と、複数の粒状体5bの体積と、の比から算出され得る。保護層5の体積は、例えば、触針またはエリプソメーターなどで測定した保護層5の厚さと、塩酸などを用いたエッチングで太陽電池素子1の裏面電極7を除去した後に撮像および画像処理などで測定される保護層5の平面積と、の積を計算することで得られる。複数の粒状体5bの体積は、例えば、塩酸などを用いたエッチングで太陽電池素子1の裏面電極7を除去した後にフッ酸などを用いて保護層5を除去することで抽出した複数の粒状体5bについて、粒子径の分布を測定することで算出され得る。
例えば、母材部5aの非空隙部5a1の材料を酸化シリコンとし、複数の粒状体5bの材料を酸化チタンとすれば、母材部5aの体積を100として、複数の粒状体5bとしての酸化チタンの粒状体の体積を5から25程度とすることができる。この場合には、母材部5aの体積を100として、体積が50から60程度である、10nm程度の粒子径を有するSiOの微粒子を、保護層5内にさらに存在させてもよい。
また、ここで、例えば、保護層5における母材部5aの体積を100とした場合に、複数の空隙部5a2の体積の総和は、5から40とされる。ここで、母材部5aにおける複数の空隙部5a2の体積率は、例えば、保護層5の複数箇所の切断面をSEMなどで観察することで得られる、母材部5aの平面積と、複数の空隙部5a2の平面積と、の比から算出され得る。
<1-3.絶縁性ペーストの作製方法>
保護層5の形成に用いる絶縁性ペーストは、例えば、シロキサン樹脂の前駆体と、水と、触媒と、有機溶剤と、多数の粒子と、を混合することで作製され得る。
具体的には、まず、シロキサン樹脂の前駆体と、水と、触媒と、有機溶剤と、多数のフィラーと、を混合することで、混合溶液を作製する。
シロキサン樹脂の前駆体としては、例えば、Si-O結合を有するシラン化合物またはSi-N結合を有するシラザン化合物などが採用され得る。これらの化合物は、加水分解を生じる性質(加水分解性ともいう)を有する。また、シロキサン樹脂の前駆体は、加水分解して縮合重合を生じることでシロキサン樹脂となる。シラン化合物は、次の一般式1で表される。
(R1)Si(OR2)(4-n) ・・・ 一般式1。
一般式1のnは、0,1、2、および3のうちの何れか1つの整数である。一般式1のR1およびR2は、メチル基およびエチル基などのアルキル基あるいはフェニル基などといった炭化水素基を示す。
ここで、シラン化合物は、例えば、少なくともR1がアルキル基を含むシラン化合物(アルキル基系のシラン化合物ともいう)を含む。具体的には、アルキル基系のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシランおよびデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、シラン化合物は、例えば、R1およびR2としてフェニル基およびアルキル基の双方を有するシラン化合物を含む。このようなシラン化合物としては、例えば、トリメトキシフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、メトキシトリフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、トリイソプロポキシフェニルシラン、ジイソプロポキシジフェニルシランおよびイソプロポキシトリフェニルシランなどが挙げられる。
これらのシラン化合物のうち、例えば、2つ以上のOR結合を含むシラン化合物が採用されれば、シラン化合物が加水分解した後に縮合重合を生じることで生成されるシロキサン結合(Si-O-Si結合)の数が増加し得る。これにより、保護層5を形成する酸化シリコンにおけるシロキサン結合のネットワークが多くなり得る。その結果、保護層5のバリア性が向上し得る。また、例えば、シラザン化合物は、無機シラザン化合物および有機シラザン化合物の何れであってもよい。ここで、無機シラザン化合物には、例えば、ポリシラザンが適用される。有機シラザン化合物には、例えば、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルシクロジシラザンまたはテトラフェニルシクロジシラザンなどが適用される。
水は、シロキサン樹脂の前駆体を加水分解させるための液体である。例えば、水として、純水を用いる。例えば、シラン化合物のSi-OCHの結合に対して水が反応すれば、Si-OH結合とHO-CH(メタノール)とを生じる。
有機溶剤は、シロキサン樹脂の前駆体からシロキサン樹脂を含むペーストを生成するための溶剤である。また、有機溶剤は、シロキサン樹脂の前駆体と水とを混合させることができる。有機溶剤には、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルアルコール、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オールまたは2-プロパノールなどが適用される。ここでは、これらの有機溶剤のうちの1種類の有機溶剤および2種類以上の有機溶剤を混合した有機溶剤の何れが用いられてもよい。
触媒は、シロキサン樹脂の前駆体が加水分解および縮合重合を生じる際に、反応の速度を制御することができる。例えば、シロキサン樹脂の前駆体が含むSi-OR結合(例えば、Rはアルキル基)に加水分解および縮合重合を生じさせて、2つ以上のSi-OHからSi-O-Si結合とHO(水)とを生じさせる反応の速度が触媒によって調整され得る。触媒には、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、燐酸、フッ化水素酸および酢酸などのうちの1種以上の無機酸または1種以上の有機酸が適用される。また、触媒には、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムおよびピリジンなどのうちの1種以上の無機塩基または1種以上の有機塩基が適用されてもよい。さらに、触媒は、例えば、無機酸と有機酸とが組み合わされたものでもよく、無機塩基と有機塩基とが組み合わされたものでもよい。
フィラーは、混合溶液の粘度を調整するためのものである。フィラーには、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは酸化チタンなどを含む無機材料のフィラーが適用される。
ここで混合される各材料の混合比率については、例えば、全ての材料を混合した後の混合溶液において、シロキサン樹脂の前駆体の濃度が7質量%から60質量%となり、水の濃度が5質量%から40質量%(10質量%から20質量%でもよい)となり、触媒の濃度が1ppmから1000ppmとなり、有機溶剤の濃度が5質量%から50質量%となり、多数の無機材料のフィラーの濃度が3質量%から30質量%となるように調整される。このような混合比率であれば、例えば、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解および縮合重合によって生じるシロキサン樹脂を、絶縁性ペースト中に適切な濃度で含有させることができる。また、例えば、絶縁性ペーストにおいてゲル化による過度な粘度の増大が生じにくい。
このようにして材料が混合される際には、シロキサン樹脂の前駆体と水とが反応して、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解が始まる。また、加水分解したシロキサン樹脂の前駆体が縮合重合を生じて、シロキサン樹脂が生成され始める。
次に、混合溶液を攪拌する。ここでは、混合溶液を、例えば、ミックスローターまたはスターラーなどを用いて攪拌する。混合溶液を攪拌すると、さらにシロキサン樹脂の前駆体の加水分解が進行する。また、加水分解したシロキサン樹脂の前駆体が縮合重合を生じ、シロキサン樹脂が生成され続ける。例えば、ミックスローターで攪拌を行なう場合には、ミックスローターの回転ローラーの回転数が400rpmから600rpm程度とされ、攪拌時間が30分間から90分間程度とされる攪拌条件が採用される。このような攪拌条件が採用されると、シロキサン樹脂の前駆体、水、触媒、有機溶剤および多数の無機材料のフィラーを均一に混合することができる。また、混合溶液を攪拌する際には、例えば、混合溶液が加熱されれば、シロキサン樹脂の前駆体の加水分解および縮合重合が進行しやすい。これにより、例えば、攪拌時間の短縮による生産性の向上が図られ得るとともに、混合溶液の粘度が安定しやすくなる。
次に、混合溶液から副生成物と有機溶剤と水と触媒とを揮発させる。副生成物は、例えば、シロキサン樹脂の前駆体と水との反応で発生したアルコールなどの有機成分を含む。ここでは、例えば、ホットプレートまたは乾燥炉などを用いて、処理温度が室温から90℃程度(50℃から90℃程度でもよい)であり且つ処理時間が10分間から600分間程度である条件で、攪拌後の混合溶液に処理を施す。処理温度が上記温度範囲内であれば副生成物が除去され得る。また、上記温度範囲内では、副生成物である有機成分が揮発しやすいため、処理時間の短縮による生産性の向上が図られ得る。ここで、例えば、減圧下であれば、副生成物である有機成分が揮発しやすい。その結果、処理時間の短縮による生産性の向上が図られ得る。また、例えば、ここで、混合溶液が攪拌された際に加水分解せずに残存したシロキサン樹脂の前駆体をさらに加水分解させてもよい。
次に、副生成物と有機溶剤と水と触媒とが揮発された混合溶液に、多数の粒状体を添加する。この多数の粒状体は、例えば、上述した複数の粒状体5bとなる多数の無機材料の粒状体と、上述した複数の空隙部5a2を形成するための多数の有機材料の粒状体と、を含む。ここで、有機材料の粒状体としては、例えば、保護層5を形成する際に絶縁性ペーストを乾燥させる温度以下において、熱分解を生じる材料を主成分として含むものが採用される。有機材料の粒状体が熱分解を生じる温度は、例えば、350℃以下とされる。このような有機材料としては、アクリル系の材料などが挙げられる。有機材料の粒状体の平均粒子径は、例えば、1μm程度以下とされる。ここで、例えば、多数の無機材料の粒状体は、作製後の絶縁性ペーストに1.5体積%から80体積%程度含まれるように混合溶液に添加される。多数の無機材料の粒状体は、例えば、作製後の絶縁性ペーストに2.5体積%から75体積%程度含まれるように混合溶液に添加されてもよい。また、例えば、多数の有機材料の粒状体は、作製後の絶縁性ペーストに2.5体積%から30体積%程度含まれるように混合溶液に添加される。
次に、多数の粒状体が添加された混合溶液を攪拌する。ここでは、混合溶液を、例えば、ミックスローターまたはスターラーなどを用いて攪拌する。これにより、絶縁性ペーストが作製され得る。この絶縁性ペーストでは、多数の無機材料のフィラーと、多数の無機材料の粒状体と、多数の有機材料の粒状体と、が多数の粒子を構成し得る。ところで、例えば、混合溶液に無機材料のフィラーを含ませることなく、多数の無機材料の粒状体および多数の有機材料の粒状体によって、絶縁性ペーストの粘度を調整してもよい。
<1-4.太陽電池素子の製造方法>
太陽電池素子1の製造方法の一例について、図5(a)から図5(d)を参照しつつ説明する。
まず、半導体基板2を準備する。半導体基板2は、例えば、図5(a)で示されるように、第2前面2fsおよびこの第2前面2fsとは逆方向を向いた第2裏面2bsを有する。
半導体基板2は、例えば、既存のチョクラルスキー(CZ)法または鋳造法などを用いて形成され得る。ここでは、鋳造法で作製されたp型の多結晶シリコンのインゴットを用いた例について説明する。このインゴットを、例えば、250μm以下の厚さにスライスして半導体基板2を作製する。ここで、例えば、半導体基板2の表面に対して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、フッ酸またはフッ硝酸などの水溶液でごく微量のエッチングを施すと、半導体基板2の切断面の機械的なダメージを受けた層および汚染された層を除去することができる。このとき、例えば、半導体基板2の第2前面2fsに上述したテクスチャの一部が形成され得る。ここで、例えば、半導体基板2の第2前面2fsにテクスチャを形成する。テクスチャは、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の水溶液またはフッ硝酸などの酸性の水溶液を用いた湿式エッチング、あるいは反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法などを使用した乾式エッチングで形成され得る。
次に、図5(b)で示されるように、テクスチャを有する半導体基板2の第2前面2fs側の表層部に、n型の半導体領域である第2半導体領域22を形成する。第2半導体領域22は、例えば、ペースト状にした五酸化二リン(P)を半導体基板2の第2前面2fsに塗布してリンを熱拡散させる塗布熱拡散法、ガス状にしたオキシ塩化リン(POCl)を拡散源とした気相熱拡散法などを用いて形成され得る。第2半導体領域22は、例えば、0.1μmから2μm程度の深さと40Ω/□から200Ω/□程度のシート抵抗値とを有するように形成される。
例えば、気相熱拡散法では、まず、オキシ塩化リンなどを主として含有する拡散ガスを有する雰囲気中において600℃から800℃程度の温度において半導体基板2に5分間から30分間程度の熱処理を施して、燐ガラスを半導体基板2の表面に形成する。その後、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスの雰囲気中において800℃から900℃程度の比較的高温において、半導体基板2に10分間から40分間程度の熱処理を施す。これにより、燐ガラスから半導体基板2にリンが拡散して、半導体基板2の第2前面2fs側の表層部に第2半導体領域22が形成される。ここで、第2半導体領域22を形成する際に、第2裏面2bs側にも第2半導体領域が形成されていれば、第2裏面2bs側に形成された第2半導体領域をエッチングで除去する。例えば、フッ硝酸の水溶液に半導体基板2の第2裏面2bs側の部分を浸すことで、第2裏面2bs側に形成された第2半導体領域を除去することができる。これにより、半導体基板2の第2裏面2bsにp型の導電型を有する領域を露出させることができる。その後、第2半導体領域22を形成する際に半導体基板2の第2前面2fs側に付着した燐ガラスをエッチングで除去する。このように、第2前面2fs側に燐ガラスを残存させた状態で、第2裏面2bs側に形成された第2半導体領域をエッチングで除去すれば、第2前面2fs側の第2半導体領域22の除去およびダメージが低減され得る。このとき、半導体基板2の外周面2ssに形成された第2半導体領域も併せて除去してもよい。また、ここで、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs側に予め拡散マスクを形成しておき、気相熱拡散法などによって第2半導体領域22を形成し、続いて拡散マスクを除去してもよい。この場合には、第2裏面2bs側に第2半導体領域は形成されないため、第2裏面2bs側の第2半導体領域を除去する工程が不要となる。
以上の処理によって、第2前面2fs側にn型の半導体層である第2半導体領域22が位置し、第2前面2fsにテクスチャを有する、第1半導体領域21を含む半導体基板2が準備され得る。
次に、パッシベーション膜4および反射防止膜3を形成する。第1実施形態では、半導体基板2の少なくとも第2裏面2bs上にパッシベーション膜4が形成され、半導体基板2の少なくとも第2前面2fs上に反射防止膜3が形成される。反射防止膜3は、例えば、半導体基板2の第2前面2fs上に形成されたパッシベーション膜4上に形成されてもよい。ここでは、例えば、図5(c)で示されるように、半導体基板2の第2裏面2bsの上に、酸化アルミニウムを主として含有するパッシベーション膜4を形成する。また、半導体基板2の第2前面2fs上に反射防止膜3を形成する。反射防止膜3は、例えば、窒化シリコン膜などで構成される。
パッシベーション膜4は、例えば、PECVD法またはALD法などで形成され得る。ALD法によれば、例えば、半導体基板2の外周面2ssを含む全周囲にパッシベーション膜4が形成され得る。ALD法によるパッシベーション膜4の形成工程では、まず、成膜装置のチャンバー内に、第2半導体領域22までが形成された半導体基板2を載置する。そして、半導体基板2を100℃から250℃程度の温度域まで加熱した状態で、次の工程A、工程B、工程Cおよび工程Dをこの記載の順に行う一連の工程を複数回繰り返すことで、所望の膜厚の酸化アルミニウムの層を形成することができる。
[工程A]トリメチルアルミニウム(TMA)などのアルミニウム原料を、アルゴンガスまたは窒素ガスなどのキャリアガスとともに、半導体基板2上に供給する。これにより、半導体基板2の全周囲にアルミニウム原料が吸着される。TMAの供給時間は、例えば、15ミリ秒間から3000ミリ秒間程度とされる。ここで、工程Aの開始時には、半導体基板2の表面はOH基で終端されていてもよい。換言すれば、半導体基板2の表面がSi-O-Hの構造であってもよい。この構造は、例えば、半導体基板2を希フッ酸で処理した後に純水で洗浄することで形成され得る。
[工程B]窒素ガスで成膜装置のチャンバー内を浄化することで、チャンバー内のアルミニウム原料を除去する。さらに、半導体基板2に物理吸着および化学吸着したアルミニウム原料の内、原子層レベルで化学吸着した成分以外のアルミニウム原料を除去する。窒素ガスによるチャンバー内の浄化時間は、例えば、1秒間から数十秒間程度とされる。
[工程C]水またはオゾンガスなどの酸化剤を、成膜装置のチャンバー内に供給することで、TMAが有するアルキル基を除去してOH基で置換する。これにより、半導体基板2の上に酸化アルミニウムの原子層が形成される。チャンバー内への酸化剤の供給時間は、例えば、750ミリ秒間から1100ミリ秒間程度とされる。また、例えば、チャンバー内に酸化剤ととともに水素を供給すれば、酸化アルミニウムにより多くの水素原子が含有されやすくなる。
[工程D]窒素ガスで成膜装置のチャンバー内を浄化することで、チャンバー内の酸化剤を除去する。このとき、例えば、半導体基板2上において原子層レベルの酸化アルミニウムが形成される際に反応に寄与しなかった酸化剤などを除去する。ここで、窒素ガスによるチャンバー内の浄化時間は、例えば、1秒間以上から数十秒間程度とされる。
反射防止膜3は、例えば、PECVD法またはスパッタリング法を用いて形成される。PECVD法を用いる場合は、事前に半導体基板2を反射防止膜3の成膜中の温度よりも高い温度まで加熱しておく。その後、シラン(SiH)とアンモニア(NH)との混合ガスを、窒素(N)ガスで希釈し、反応圧力を50Paから200Pa程度にして、グロー放電分解でプラズマ化させたものを、加熱された半導体基板2上に堆積させる。これにより、半導体基板2上に反射防止膜3が形成される。このとき、成膜温度を、350℃から650℃程度とし、半導体基板2の事前の加熱温度を成膜温度よりも50℃程度高くする。また、グロー放電に必要な高周波電源の周波数として、10kHzから500kHz程度の周波数が採用される。また、ガスの流量は、反応室の大きさなどに応じて適宜決定される。例えば、ガスの流量は、150ミリリットル/分(sccm)から6000ミリリットル/分(sccm)程度の範囲とされる。ここでは、アンモニアガスの流量Bをシランガスの流量Aで除した値(B/A)は、0.5から15の範囲とされる。
次に、保護層5を形成する。第1実施形態では、少なくとも半導体基板2の第2裏面2bs側において、パッシベーション膜4上の略全面に絶縁性ペーストを塗布してこの絶縁性ペーストを乾燥させた後に、乾燥後の絶縁性ペーストにレーザー光を照射して複数の孔部5hを形成することで保護層5を形成する。ここでは、上述した絶縁性ペーストが用いられることで、非空隙部5a1および複数の空隙部5a2を含む母材部5aと、複数の粒状体5bと、を有する保護層5が形成され得る。このような保護層5は、例えば、次のような処理で形成され得る。
ここでは、まず、パッシベーション膜4上に、絶縁性ペーストを塗布する。このとき、例えば、スプレー法、コーター法またはスクリーン印刷法などを用いてパッシベーション膜4上の略全面に上述した絶縁性ペーストを所望のパターンで塗布する。次に、塗布後の絶縁性ペーストを、ホットプレートまたは乾燥炉などを用いて、最高温度が200℃から350℃程度とされ、加熱時間が1分間から10分間程度とされる条件で乾燥させる。このとき、例えば、絶縁性ペーストに含有されている有機材料の粒状体が熱分解することで、空隙部5a2が形成される。その後、乾燥後の絶縁性ペーストの所望の位置にレーザー光を照射することで、複数の孔部5hを形成する。このとき、例えば、パッシベーション膜4および保護層5を連続して貫通している状態でそれぞれ位置している複数の貫通孔45hが形成される。これにより、例えば、図5(c)で示されるように、パッシベーション膜4上の少なくとも一部に、孔部5hを有する保護層5が形成される。
ここでは、例えば、少なくとも半導体基板2の第2裏面2bs側において、パッシベーション膜4上に複数の孔部5hを含むパターンを有するように絶縁性ペーストを塗布してこの絶縁性ペーストを乾燥させることで保護層5を形成してもよい。
次に、前面電極6および裏面電極7を形成する。
前面電極6を、例えば、上述した第2金属ペースト(銀ペースト)を用いて作製する。まず、例えば、図5(d)で示されるように、第2金属ペーストPa2を、半導体基板2の第2前面2fs側に塗布する。第1実施形態では、第2前面2fs上のパッシベーション膜4上に形成された反射防止膜3上に、第2金属ペーストPa2を塗布する。第2金属ペーストPa2の塗布は、例えば、スクリーン印刷などで実現される。そして、第2金属ペーストPa2の塗布後、所定の温度で第2金属ペーストPa2中の溶剤を蒸散させることで第2金属ペーストPa2を乾燥させてもよい。スクリーン印刷によって第2金属ペーストPa2を塗布するのであれば、例えば、前面電極6における第1出力取出電極6a、第1集電電極6bおよび補助電極6cを1つの工程で形成することができる。その後、例えば、焼成炉内で最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で、第2金属ペーストPa2を焼成することで、図1(a)および図2で示されたような前面電極6を形成することができる。
裏面電極7の第2出力取出電極7aを、例えば、上述した第3金属ペースト(銀ペースト)を用いて作製する。まず、例えば、図5(d)で示されるように、第3金属ペーストPa3を、半導体基板2の第2裏面2bs側に塗布する。第1実施形態では、第2裏面2bs側に形成された保護層5上に、第3金属ペーストPa3を塗布する。第3金属ペーストPa3の塗布は、例えば、スクリーン印刷などで実現される。そして、第3金属ペーストPa3の塗布後、所定の温度で第3金属ペーストPa3中の溶剤を蒸散させることで第3金属ペーストPa3を乾燥さてもよい。その後、例えば、焼成炉内で最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で、第3金属ペーストPa3を焼成することで、半導体基板2の第2裏面2bs側に、図1(b)および図2で示されたような第2出力取出電極7aを形成する。
裏面電極7の第2集電電極7bを、例えば、上述した第1金属ペースト(アルミニウムペースト)を用いて作製する。まず、例えば、図5(d)で示されるように、第1金属ペーストPa1を、半導体基板2の第2裏面2bs側に塗布する。このとき、予め塗布された第3金属ペーストの一部と接触するように、第1金属ペーストPa1を塗布する。第1実施形態では、第2裏面2bs側に形成された保護層5上および複数の貫通孔45h内に、第1金属ペーストPa1を塗布する。ここで、例えば、パッシベーション膜4および保護層5を連続して貫通している状態でそれぞれ位置している複数の貫通孔45hを事前に形成することなく保護層5に複数の孔部5hを形成していれば、保護層5上および各孔部5h内に、第1金属ペーストPa1を塗布する。このとき、第2出力取出電極7aが形成される部位の一部を除いて、半導体基板2の第2裏面2bs側のほぼ全面に第1金属ペーストPa1を塗布してもよい。第1金属ペーストPa1の塗布は、例えば、スクリーン印刷などで実現される。そして、第1金属ペーストPa1の塗布後、所定の温度で第1金属ペーストPa1中の溶剤を蒸散させることで第1金属ペーストPa1を乾燥さてもよい。その後、例えば、焼成炉内で最高温度が600℃から850℃とされ、加熱時間が数十秒間から数十分間程度とされる条件で、第1金属ペーストPa1を焼成することで、第1部分7b1と第2部分7b2とを有する第2集電電極7bを半導体基板2の第2裏面2bs側に形成する。ここでは、例えば、事前に形成した複数の貫通孔45h内に第1金属ペーストPa1を塗布していれば、複数の貫通孔45h内に塗布された第1金属ペーストPa1が単純に焼成されて、半導体基板2の第2裏面2bsと接続するように第2部分7b2が形成される。また、ここで、例えば、事前に複数の貫通孔45hを形成することなく保護層5に複数の孔部5hを形成していれば、各孔部5h内において、第1金属ペーストPa1は、焼成される際にパッシベーション膜4の焼成貫通を生じて、第1半導体領域21と電気的に接続する。これにより、保護層5とパッシベーション膜4とを連続して貫通するように位置している貫通孔45h内に第2集電電極7bの第2部分7b2が形成される。このとき、第2部分7b2の形成に伴い、第3半導体領域23も形成される。また、ここでは、例えば、保護層5上にある第1金属ペーストPa1は、保護層5でブロックされる。このため、保護層5上に第2集電電極7bの第1部分7b1が形成される。このようにして、裏面電極7が形成されることで、図1(a)から図2で示されたような太陽電池素子1が形成され得る。
ここでは、例えば、第2集電電極7bを形成した後に第2出力取出電極7aを形成してもよい。第2出力取出電極7aは、例えば、半導体基板2と直接接触していても、第2出力取出電極7aと半導体基板2との間にパッシベーション膜4が存在するなどして、半導体基板2と直接接触していなくてもよい。また、前面電極6および裏面電極7は、各々の金属ペーストを塗布した後に、同時に焼成を施すことで形成してもよい。これにより、太陽電池素子1の生産性が向上し得る。また、この場合、半導体基板2に施される熱履歴が低減されるため、太陽電池素子1の出力特性が向上し得る。
<1-5.具体例>
<1-5-1.絶縁性ペースト>
次に説明するように、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の絶縁性ペースト、ならびに参考例R0および参考例R1から参考例R9の絶縁性ペーストを、それぞれ製造した。
まず、シロキサン樹脂の前駆体としてのメチルトリメトキシシランと、水と、有機溶剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルと、触媒としての塩酸と、酸化シリコンの多数のフィラーと、を混合して、混合溶液を作製した。このとき、50質量%のメチルトリメトキシシランと、20質量%の水と、15質量%のジエチレングリコールモノブチルエーテルと、50ppmの塩酸と、15質量%の酸化シリコンの多数のフィラーと、を混合した。
次に、自転・公転ミキサーを用いて回転数が850rpmであり、攪拌時間が8分間である条件で、混合溶液を攪拌した。
次に、乾燥炉を用いて、処理温度が85℃であり、処理時間が180分間である条件で、混合溶液が含んでいた、メチルトリメトキシシランの加水分解で生成された副生成物であるメチルアルコールと、有機溶剤と、水と、触媒と、を揮発させた。ここまでの工程で作製された、シロキサン樹脂と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、多数のフィラーと、を含む、混合溶液を“参考例R0の絶縁性ペースト”とした。
また、次に、参考例R0の絶縁性ペーストに対応する混合溶液に、複数の粒状体を添加した後に、自転・公転ミキサーを用いて回転数が850rpmであり、攪拌時間が8分間である条件で、混合溶液を攪拌した。これにより、以下のように、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の絶縁性ペーストならびに参考例R1から参考例R9の絶縁性ペーストが、それぞれ作製された。
<<参考例R1からR9に係る絶縁性ペースト>>
ここでは、参考例R1から参考例R9に係る混合溶液のそれぞれに、SiOの粒状体を添加した。具体的には、参考例R1から参考例R3に係る混合溶液のそれぞれに、約1μmの平均粒子径を有するSiOの粒状体を添加した。参考例R4から参考例R6に係る混合溶液のそれぞれに、約2.5μmの平均粒子径を有するSiOの粒状体を添加した。参考例R7から参考例R9に係る混合溶液のそれぞれに、約3μmの平均粒子径を有するSiOの粒状体を添加した。ここで、約2.5体積%のSiOの粒状体を有する混合溶液を、参考例R1、参考例R4および参考例R7に係る絶縁性ペーストとした。約7.5体積%のSiOの粒状体を有する混合溶液を、参考例R2、参考例R5および参考例R8に係る絶縁性ペーストとした。約12.5体積%のSiOの粒状体を有する混合溶液を、参考例R3、参考例R6および参考例R9に係る絶縁性ペーストとした。
<<実施例A1からA18に係る絶縁性ペースト>>
ここでは、実施例A1から実施例A18に係る混合溶液のそれぞれに、TiOの粒状体とアクリル樹脂の粒状体とを添加した。具体的には、実施例A1から実施例A3に係る混合溶液のそれぞれに、約30nmの平均粒子径を有するTiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例A4から実施例A6に係る混合溶液のそれぞれに、約200nmの平均粒子径を有するTiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例A7から実施例A9に係る混合溶液のそれぞれに、約500nmの平均粒子径を有するTiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例A10から実施例A12に係る混合溶液のそれぞれに、約1μmの平均粒子径を有するTiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例A13から実施例A15に係る混合溶液のそれぞれに、約2μmの平均粒子径を有するTiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例A16から実施例A18に係る混合溶液のそれぞれに、約3μmの平均粒子径を有するTiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。ここで、約2.5体積%のTiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例A1、実施例A4、実施例A7、実施例A10、実施例A13および実施例A16に係る絶縁性ペーストとした。約7.5体積%のTiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例A2、実施例A5、実施例A8、実施例A11、実施例A14および実施例A17に係る絶縁性ペーストとした。約12.5体積%のTiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例A3、実施例A6、実施例A9、実施例A12、実施例A15および実施例A18に係る絶縁性ペーストとした。
<<実施例B1からB9に係る絶縁性ペースト>>
ここでは、実施例B1から実施例B9に係る混合溶液のそれぞれに、SiOの粒状体とアクリル樹脂の粒状体とを添加した。具体的には、実施例B1から実施例B3に係る混合溶液のそれぞれに、約1μmの平均粒子径を有するSiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例B4から実施例B6に係る混合溶液のそれぞれに、約2.5μmの平均粒子径を有するSiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。実施例B7から実施例B9に係る混合溶液のそれぞれに、約3μmの平均粒子径を有するSiOの粒状体と約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体とを添加した。ここで、約2.5体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例B1、実施例B4および実施例B7に係る絶縁性ペーストとした。約7.5体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例B2、実施例B5および実施例B8に係る絶縁性ペーストとした。約12.5体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例B3、実施例B6および実施例B9に係る絶縁性ペーストとした。
<<実施例C1からC27に係る絶縁性ペースト>>
ここでは、実施例C1から実施例C27に係る混合溶液のそれぞれに、TiOの粒状体、SiOの粒状体およびアクリル樹脂の粒状体を添加した。具体的には、実施例C1から実施例C9に係る混合溶液のそれぞれに、約0.5μmの平均粒子径を有するTiOの粒状体、約10nmの平均粒子径を有するSiOの粒状体および約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体を添加した。実施例C10から実施例C18に係る混合溶液のそれぞれに、約1μmの平均粒子径を有するTiOの粒状体、約10nmの平均粒子径を有するSiOの粒状体および約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体を添加した。実施例C19から実施例C27に係る混合溶液のそれぞれに、約2μmの平均粒子径を有するTiOの粒状体、約10nmの平均粒子径を有するSiOの粒状体および約100nmの平均粒子径を有するアクリル樹脂の粒状体を添加した。ここで、約2.5体積%のTiOの粒状体と約25体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C1、実施例C10および実施例C19に係る絶縁性ペーストとした。約7.5体積%のTiOの粒状体と約25体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C2、実施例C11および実施例C20に係る絶縁性ペーストとした。約12.5体積%のTiOの粒状体と約25体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C3、実施例C12および実施例C21に係る絶縁性ペーストとした。約2.5体積%のTiOの粒状体と約27.5体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C4、実施例C13および実施例C22に係る絶縁性ペーストとした。約7.5体積%のTiOの粒状体と約27.5体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C5、実施例C14および実施例C23に係る絶縁性ペーストとした。約12.5体積%のTiOの粒状体と約27.5体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C6、実施例C15および実施例C24に係る絶縁性ペーストとした。約2.5体積%のTiOの粒状体と約30体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C7、実施例C16および実施例C25に係る絶縁性ペーストとした。約7.5体積%のTiOの粒状体と約30体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C8、実施例C17および実施例C26に係る絶縁性ペーストとした。約12.5体積%のTiOの粒状体と約30体積%のSiOの粒状体と約7.5体積%のアクリル樹脂の粒状体とを有する混合溶液を、実施例C9、実施例C18および実施例C27に係る絶縁性ペーストとした。
<<実施例D1からD18に係る絶縁性ペースト>>
ここでは、上記実施例Amに係る絶縁性ペーストの一部を、実施例Dmに係る絶縁性ペーストとした(ただし、mは1から18の整数)。
<1-5-2.太陽電池素子>
次に説明するように、上記実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の絶縁性ペーストをそれぞれ用いて、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の太陽電池素子1を作製した。また、参考例R0および参考例R1から参考例R9の絶縁性ペーストをそれぞれ用いて、参考例R0および参考例R1から参考例R9の太陽電池素子を作製した。
まず、鋳造法で作製したp型の多結晶シリコンのインゴットを、200μm程度の厚さにスライスすることで、平面視して一辺が約156mmである正方形状の半導体基板2を作製した。ここでは、半導体基板2は、p型のシリコン基板であった。
次に、半導体基板2の表面に対して、水酸化ナトリウム水溶液でごく微量のエッチングを施すことで半導体基板2の切断面の機械的なダメージを受けた層および汚染された層を除去した。その後、半導体基板2を洗浄した。
次に、半導体基板2の第2前面2fs側にRIE法を用いてテクスチャを形成した。
次に、半導体基板2に、オキシ塩化リンを拡散源とした気相熱拡散法で、リンを拡散させた。これにより、シート抵抗が90Ω/□程度であるn型の第2半導体領域22を形成した。その後、半導体基板2の外周面2ss側および第2裏面2bs側に形成された第2半導体領域をフッ硝酸溶液で除去し、半導体基板2の第2前面2fs上に残留した燐ガラスをフッ酸溶液で除去した。
次に、ALD法を用いて半導体基板2の第2裏面2bsを含む全面の上にパッシベーション膜4として酸化アルミニウム層を形成した。このとき、成膜装置のチャンバー内に載置された半導体基板2の表面温度を200℃程度に維持し、アルミニウム原料としてTMAを使用するとともに酸化剤としてオゾンガスを使用することで、約30nmの厚さの酸化アルミニウム層を形成した。
次に、半導体基板2の第2前面2fs側に形成されたパッシベーション膜4の上に、PECVD法を用いて窒化シリコン膜を含む反射防止膜3を形成した。
次に、半導体基板2の第2裏面2bs上に形成されたパッシベーション膜4上に、スクリーン印刷法で、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9および実施例C1から実施例C27、参考例R0および参考例R1から参考例R9のそれぞれに係る絶縁性ペーストを複数の孔部5hを有するパターンで塗布した。そして、塗布後の絶縁性ペーストを、乾燥炉内の温度が300℃であり、乾燥時間が10分間である条件で乾燥させた。これにより、膜厚が約10μmである、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9および実施例C1から実施例C27のそれぞれに係る保護層5をそれぞれ形成し、参考例R0および参考例R1から参考例R9に係る保護層をそれぞれ形成した。
次に、半導体基板2の第2前面2fs側に、第2金属ペースト(銀ペースト)を前面電極6のパターンとなるように塗布し、半導体基板2の第2裏面2bs側には第3金属ペースト(銀ペースト)を第2出力取出電極7aのパターンとなるように塗布した。また、半導体基板2の第2裏面2bs側の第2出力取出電極7aのパターンを除くほぼ全面に、第1金属ペースト(Alペースト)を第2集電電極7bのパターンとなるように塗布した。そして、これらの金属ペーストを、最高温度が750℃となるように焼成することで、第3半導体領域23、前面電極6および裏面電極7を形成した。これにより、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9および実施例C1から実施例C27の太陽電池素子1と、参考例R0および参考例R1から参考例R9の太陽電池素子と、を作製した。
また、上記の太陽電池素子1とは別に、実施例D1から実施例D18に係る絶縁性ペーストを用いて、1層の保護層5の代わりに第2保護層と保護層5とを積層させることで、実施例D1から実施例D18の太陽電池素子1を作製した。ここでは、上述したように第2裏面2bs上に形成されたパッシベーション膜4上に、PECVD法を用いて約200nmの厚さを有する第2保護層としての窒化シリコン膜を形成した。次に、この第2保護層の上に、スクリーン印刷法で、実施例D1から実施例D18に係る絶縁性ペーストのそれぞれを塗布した。そして、塗布後の絶縁性ペーストを、乾燥炉内の温度が300℃であり、乾燥時間が10分間である条件で乾燥させた。これにより、膜厚が約9.8μmである、実施例D1から実施例D18に係る保護層5を形成した。その後、レーザー光を照射することで、保護層5および第2保護層を貫通している複数の孔部5hを形成した。このとき、保護層5、第2保護層およびパッシベーション膜4を連続して貫通している複数の貫通孔45hが形成された。
<1-5-3.保護層における粒状体>
上記のようにして作製された、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の太陽電池素子1のそれぞれにおける保護層5の切断面をSEMで観察した。このとき、実施例A1から実施例A18および実施例D1から実施例D18の各保護層5に、酸化シリコンの非空隙部5a1および複数の空隙部5a2を有する母材部5aと、複数のTiOの粒状体と、が存在していることが確認された。実施例B1から実施例B9の各保護層5には、酸化シリコンの非空隙部5a1および複数の空隙部5a2を有する母材部5aと、複数のSiOの粒状体と、が存在していることが確認された。実施例C1から実施例C27の各保護層5には、酸化シリコンの非空隙部5a1および複数の空隙部5a2を有する母材部5aと、複数のTiOの粒状体と、複数のSiOの微細な粒状体と、が存在していることが確認された。
また、上記のようにして作製された、参考例R0および参考例R1から参考例R9の太陽電池素子における保護層の切断面をSEMで観察した。このとき、参考例R0に係る保護層には、空隙部5a2も粒状体5bも存在していないことが確認された。参考例R1から参考例R9に係る保護層には、空隙部5a2が存在しておらず、複数のSiOの粒状体が存在していることが確認された。
さらに、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の各太陽電池素子1を対象として、保護層5における複数の粒状体5bの体積率と、母材部5aにおける複数の空隙部5a2の体積率と、を測定した。ここで、保護層5における複数の粒状体5bの体積率は、保護層5の5箇所の切断面をSEMで観察することで得られた、母材部5aの平面積と、複数の粒状体5bの平面積の総和と、の比を用いた算出によって得た。また、母材部5aにおける複数の空隙部5a2の体積率は、保護層5の5箇所の切断面をSEMで観察することで得られた、母材部5aの平面積と、複数の空隙部5a2の平面積の総和と、の比を用いた算出によって得た。
ここでは、表1で示されるように、実施例A1、実施例A4、実施例A7、実施例A10、実施例A13および実施例A16に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のTiOの粒状体の体積率は、約5体積%であった。実施例A2、実施例A5、実施例A8、実施例A11、実施例A14および実施例A17に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のTiOの粒状体の体積率は、約15体積%であった。実施例A3、実施例A6、実施例A9、実施例A12、実施例A15および実施例A18に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のTiOの粒状体の体積率は、約25体積%であった。
Figure 0007109539000001
表2で示されるように、実施例B1、実施例B4および実施例B7に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のSiOの粒状体の体積率は、約5体積%であった。実施例B2、実施例B5および実施例B8に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のSiOの粒状体の体積率は、約15体積%であった。実施例B3、実施例B6および実施例B9に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のSiOの粒状体の体積率は、約25体積%であった。
Figure 0007109539000002
表3で示されるように、実施例C1、実施例C10および実施例C19に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約5体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約50体積%であった。実施例C2、実施例C11および実施例C20に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約15体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約50体積%であった。実施例C3、実施例C12および実施例C21に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約25体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約50体積%であった。実施例C4、実施例C13および実施例C22に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約5体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約55体積%であった。実施例C5、実施例C14および実施例C23に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約15体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約55体積%であった。実施例C6、実施例C15および実施例C24に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約25体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約55体積%であった。実施例C7、実施例C16および実施例C25に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約5体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約60体積%であった。実施例C8、実施例C17および実施例C26に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約15体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約60体積%であった。実施例C9、実施例C18および実施例C27に係る各保護層5では、複数のTiOの粒状体の体積率は、約25体積%であり、複数のSiOの微粒子の体積率は、約60体積%であった。
Figure 0007109539000003
表4で示されるように、実施例D1、実施例D4、実施例D7、実施例D10、実施例D13および実施例D16に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のTiOの粒状体の体積率は、約5体積%であった。実施例D2、実施例D5、実施例D8、実施例D11、実施例D14および実施例D17に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のTiOの粒状体の体積率は、約15体積%であった。実施例D3、実施例D6、実施例D9、実施例D12、実施例D15および実施例D18に係る各保護層5では、複数の粒状体5bとしての複数のTiOの粒状体の体積率は、約25体積%であった。
Figure 0007109539000004
また、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18に係る各保護層5について、母材部5aにおける複数の空隙部5a2の体積率は、約15体積%であった。
参考例R0および参考例R1から参考例R9に係る各太陽電池素子についても、保護層における複数の粒状体の体積率と、母材部における複数の空隙部の体積率と、を測定した。この測定方法としては、上記の実施例A1から実施例A18などに係る各太陽電池素子1と同様な測定方法を用いた。
表5で示されるように、参考例R0に係る保護層では、複数の粒状体の体積率も、母材部における複数の空隙部の体積率も、0(ゼロ)体積%であった。また、参考例R1、参考例R4および参考例R7に係る各保護層では、複数の粒状体としてのSiOの粒状体の体積率は、約5体積%であった。参考例R2、参考例R5および参考例R8に係る各保護層では、複数の粒状体としての複数のSiOの粒状体の体積率は、約15体積%であった。参考例R3、参考例R6および参考例R9に係る各保護層では、複数の粒状体としての複数のSiOの粒状体の体積率は、約25体積%であった。
Figure 0007109539000005
参考例R1から参考例R9の各太陽電池素子における保護層では、母材部における複数の空隙部の体積率は0(ゼロ)体積%であった。
<1-5-4.出力特性の測定結果>
ここで、上記のようにして作製された、実施例A1から実施例A18、実施例B1から実施例B9、実施例C1から実施例C27および実施例D1から実施例D18の各太陽電池素子1、ならびに参考例R0および参考例R1から参考例R9の各太陽電池素子、を対象として、最大出力(Pm)を測定した。ここでは、Pmを、日本工業規格(JIS)C8913に準拠した条件で測定した。具体的には、定常光ソーラシミュレーターを用いて、受光面に対する光の照射強度が100mW/cmであり且つAM(エアマス)が1.5である条件下で測定した。以下では、測定で得られた各Pmは、保護層に粒状体も空隙部も存在していなかった参考例R0の太陽電池素子におけるPmを基準値である1.00として正規化した値で示す。
表5で示されるように、参考例R1から参考例R9の各太陽電池素子におけるPmは、参考例R0の太陽電池素子におけるPmと略同一である1.00であった。上述したように、参考例R1から参考例R9の各太陽電池素子では、保護層において母材部も複数の粒状体も同じ酸化シリコンで構成されており、空隙部も存在していなかった。このため、参考例R1から参考例R9の各太陽電池素子では、母材部と複数の粒状体との間で屈折率にほとんど差がなく、半導体基板2を透過した赤外線が保護層で散乱および反射を生じにくく、太陽電池素子の変換効率が上昇しなかったものと推定された。
表2で示されるように、実施例B1から実施例B9の各太陽電池素子におけるPmは、参考例R0の太陽電池素子におけるPmよりも高い、1.01であった。上述したように、実施例B1から実施例B9の各太陽電池素子では、保護層5において母材部5aの非空隙部5a1と複数の粒状体5bとが同じ酸化シリコンで構成されていたものの、母材部5aに複数の空隙部5a2が存在していた。このため、母材部5aの屈折率が、複数の空隙部5a2の存在によって複数の粒状体5bの屈折率よりも低くなることで、半導体基板2を透過した赤外線が保護層5で散乱および反射を生じやすく、太陽電池素子1の変換効率が上昇したものと推定された。
表1で示されるように、実施例A1から実施例A18の各太陽電池素子におけるPmは、参考例R0の太陽電池素子におけるPmよりも高い、1.01から1.02であった。上述したように、実施例A1から実施例A18の各太陽電池素子では、保護層5において、母材部5aの非空隙部5a1が酸化シリコンで構成され、複数の粒状体5bがTiOで構成されていた。このため、非空隙部5a1の酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)と、複数の粒状体5bのTiOの屈折率(2.52から2.71)と、が明らかに異なる状態であった。これにより、半導体基板2を透過した赤外線が保護層5で散乱および反射を生じやすく、太陽電池素子1の変換効率が上昇したものと推定された。
表3で示されるように、実施例C1から実施例C27の各太陽電池素子におけるPmも、実施例A1から実施例A18の各太陽電池素子と同様に、参考例R0の太陽電池素子におけるPmよりも高い、1.01から1.02であった。上述したように、実施例C1から実施例C18の各太陽電池素子では、保護層5において、母材部5aの非空隙部5a1が酸化シリコンで構成され、複数の粒状体5bの少なくとも一部がTiOで構成されていた。このため、非空隙部5a1の酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)と、複数の粒状体5bのTiOの屈折率(2.52から2.71)と、が明らかに異なる状態であった。これにより、半導体基板2を透過した赤外線が保護層5で散乱および反射を生じやすく、太陽電池素子1の変換効率が上昇したものと推定された。
表4で示されるように、実施例D1から実施例D18の各太陽電池素子におけるPmも、実施例A1から実施例A18の各太陽電池素子と同様に、参考例R0の太陽電池素子におけるPmよりも高い、1.01から1.02であった。上述したように、実施例D1から実施例D18の各太陽電池素子でも、保護層5において、母材部5aの非空隙部5a1が酸化シリコンで構成され、複数の粒状体5bがTiOで構成されていた。このため、非空隙部5a1の酸化シリコンの屈折率(1.45から1.5)と、複数の粒状体5bのTiOの屈折率(2.52から2.71)と、が明らかに異なる状態であった。これにより、半導体基板2を透過した赤外線が保護層5で散乱および反射を生じやすく、太陽電池素子1の変換効率が上昇したものと推定された。また、ここでは、実施例A1から実施例A18の各太陽電池素子と比較して、パッシベーション膜4と保護層5との間に第2保護層が存在していても、Pmが低下しないことが確認された。
<1-6.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る太陽電池素子1では、例えば、保護層5が、非空隙部5a1とこの非空隙部5a1の内部に存在している複数の空隙部5a2とを含む母材部5aと、この母材部5a内に位置している複数の粒状体5bと、を含む。ここで、例えば、複数の粒状体5bの屈折率が、母材部5aの屈折率とは異なっていることで、半導体基板2を透過した赤外線が、保護層5において複数の粒状体5bの存在によって散乱および反射され得る。これにより、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、この半導体基板2に対して種々の角度で再入射し得る。その結果、例えば、半導体基板2を一旦透過した赤外線が、半導体基板2に吸収されやすくなる。また、例えば、半導体基板2を透過した赤外線が、裏面電極7まで到達しにくく、裏面電極7の発熱が生じにくい。これにより、例えば、太陽電池素子1の過熱による出力特性の低下が生じにくい。したがって、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
また、ここで、例えば、各空隙部5a2は、保護層5のうちの厚さ方向における半導体基板2側の第1面Sf1と第1部分7b1側の第2面Sf2との間の一部の領域に位置しているため、複数の粒状体5bの間に母材部5aが充填されるように位置している。これにより、例えば、保護層5よりも半導体基板2側に位置している部分が、保護層5によって十分に保護され得る。また、例えば、複数の粒状体5bの間に母材部5aが充填されるように位置していれば、保護層5上に金属ペーストを塗布して裏面電極7を形成する際に、保護層5に金属ペーストが染み込みにくい。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光の保護層5内への入射が遮られにくく、半導体基板2を透過した光が保護層5内で散乱および反射しやすい。その結果、例えば、半導体基板2を透過した光が、半導体基板2に吸収されやすい。
また、例えば、前面電極6および裏面電極7を形成する際の金属ペーストの焼成時に、非空隙部5a1と複数の粒状体5bとの界面および半導体基板2と保護層5と裏面電極7との間に熱膨張の差に応じた応力が生じても、この応力は、複数の空隙部5a2によって緩和され得る。これにより、例えば、複数の粒状体5bを存在させても保護層5に割れが生じにくい。この場合には、例えば、母材部5aと複数の粒状体5bとを含む保護層5によって半導体基板2を保護する性能が向上し得る。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
<2-1.第2実施形態>
上記第1実施形態では、半導体基板2の第2裏面2bs側において、第2集電電極7bの代わりに、例えば、図6で示されるように、第2出力取出電極7aに交差するように接続している状態の複数本の第2集電電極7bが存在していてもよい。この場合には、各第2集電電極7bは、第2裏面2bsに沿った長手方向を有する。図6の例では、この長手方向は+X方向である。換言すれば、複数本の第2集電電極7bが、上述した複数の第1集電電極6bと同様に、いわゆるフィンガー状の形態を有していてもよい。各第2集電電極7bは、例えば、第2出力取出電極7aの幅よりも小さい、50μmから200μm程度の幅を有する線状の電極である。複数本の第2集電電極7bは、例えば、互いに1mmから3mm程度の間隔を空けて並んでいる状態で位置している。このような構成を有する第2実施形態に係る太陽電池素子1では、第1裏面1bsに照射される光も半導体基板2に入射され得る。換言すれば、第2実施形態に係る太陽電池素子1は、第1前面1fsおよび第1裏面1bsの双方に入射する光を発電に利用するタイプの素子である。このため、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
<2-2.第3実施形態>
上記各実施形態において、例えば、図7で示されるように、複数の粒状体5bが、第1材料を含有する第1粒状体5b1と、第1材料とは異なる第2材料を含有する第2粒状体5b2と、を含んでいてもよい。ここでは、例えば、SiO、Al、TiO、Fe、CuO、Nb、ZrO、HfO、ZnO、ZnS、SiCおよびSiNのうちの相互に異なる材料が、第1粒状体5b1の材料および第2粒状体5b2の材料として採用され得る。
ところで、例えば、絶縁性ペースト中における複数の粒状体5bは、材料に応じて凝集しやすい水素イオン指数(pH)が異なる。このため、例えば、複数の粒状体5bが、相互に凝集しやすいpHが異なる材料の複数の第1粒状体5b1と複数の第2粒状体5b2とを含んでいれば、絶縁性ペーストにおいて複数の粒状体5bが凝集しにくい。これにより、例えば、保護層5において、複数の粒状体5bが凝集せずに適度に分散している状態となり得る。その結果、例えば、半導体基板2を透過した光が、保護層5において散乱および反射されやすくなり、半導体基板2を透過した光が半導体基板2に吸収されやすくなる。また、例えば、金属ペーストの塗布および焼成によって前面電極6および裏面電極7を形成する際に、母材部5aと複数の粒状体5bとの間における熱膨張の差に起因して生じる応力が大きくなりにくい。これにより、例えば、保護層5に複数の粒状体5bを存在させても保護層5に割れが生じにくく、保護層5による半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する性能が向上し得る。また、例えば、第1粒状体5b1の第1材料の屈折率と第2粒状体5b2の第2材料の屈折率とが異なっていれば、同じ材料の粒状体5bが接している部分とは異なり、第1粒状体5b1と第2粒状体5b2とが接している部分でも、屈折率の差に起因して赤外線の散乱および反射が生じ得る。したがって、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
<2-3.第4実施形態>
上記各実施形態において、例えば、図8で示されるように、保護層5は、この保護層5の厚さ方向において、中央部5ctから半導体基板2側に位置している第1領域51と、中央部5ctから第1部分7b1側に位置している第2領域52と、を有していてもよい。そして、例えば、第1領域51における複数の粒状体5bの存在密度が、第2領域52における複数の粒状体5bの存在密度よりも大きくてもよい。このような構成を有する保護層5は、例えば、パッシベーション膜4上に、第1領域51を形成するための絶縁性ペースト(第1絶縁性ペーストともいう)と、第2領域52を形成するための絶縁性ペースト(第2絶縁性ペーストともいう)と、をこの記載の順に塗布することで、形成され得る。ここでは、例えば、第1絶縁性ペーストが、第2絶縁性ペーストよりも高い密度で複数の粒状体5bを有していればよい。上記構成が採用されれば、例えば、半導体基板2を透過した光が、保護層5のうちの半導体基板2に近い第1領域51で散乱および反射され得る。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光が、保護層5を通過する距離が短くなり、保護層5で吸収されにくくなる。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
また、例えば、第2領域52は、複数の粒状体5bを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。例えば、第2領域52が複数の粒状体5bを含む場合には、第2領域52が非空隙部5a1を含んでいれば、保護層5に割れが生じにくい。
<2-4.第5実施形態>
上記第1実施形態から上記第3実施形態において、例えば、図9および図10で示されるように、保護層5は、この保護層5の厚さ方向において、順に位置している、第1領域51と、第2領域52と、を有していてもよい。第2領域52は、例えば、半導体基板2と第1領域51との間に位置しているとともに、少なくとも非空隙部5a1を含む。第1領域51は、例えば、母材部5aと複数の粒状体5bとを含む。また、第1領域51および第2領域52は、例えば、母材部5aの材料が同じであるものであってもよいし、母材部5aの材料が相互に異なる第1保護層および第2保護層であってもよい。このような構成を有する保護層5は、例えば、パッシベーション膜4上に第2絶縁性ペーストを塗布して乾燥させることで第2領域52を形成し、第2領域52上に第1絶縁性ペーストを塗布して乾燥させることで第1領域51を形成することで、実現され得る。
ここで、例えば、図9で示されるように、第2領域52が複数の粒状体5bを含んでいなければ、第2領域52が緻密な層となり得る。これにより、例えば、第2領域52によって半導体基板2およびパッシベーション膜4を保護する機能が向上し得る。この場合には、例えば、第2領域52に空隙部5a2が存在していなければ、第2領域52がさらに緻密な層となり得る。また、例えば、第2領域52を形成するために第2絶縁性ペーストを塗布する際に、粒状体5bによるパッシベーション膜4の損傷が生じにくい。
また、ここで、例えば、図10で示されるように、第2領域52が、複数の粒状体5bを含んでおり、第2領域52における複数の粒状体5bの存在密度が、第1領域51における複数の粒状体5bの存在密度よりも小さくてもよい。この場合には、例えば、第1領域51と第2領域52との間で、母材部5aと複数の粒状体5bとの間における屈折率の差を異ならせることができる。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光が、保護層5において散乱および反射しやすくなる。また、この場合には,例えば、第1領域51よりも第2領域52を緻密な層とすることができる。例えば、第1領域51と比較して、第2領域52における複数の粒状体5bの存在密度および複数の空隙部5a2の存在密度を低減することで、第1領域51よりも第2領域52を緻密な層とすることができる。また、この場合には、例えば、第2領域52を形成するために第2絶縁性ペーストを塗布する際に、粒状体5bによってパッシベーション膜4が損傷されにくい。
<2-5.第6実施形態>
上記各実施形態において、例えば、図11で示されるように、複数の粒状体5bには、表面の一部に金属の反射膜(金属反射膜ともいう)5cが位置している粒状体が含まれていてもよい。ここでは、例えば、絶縁性ペーストの製造時において、混合溶液への複数の粒状体の添加前に、スパッタリングなどで粒状体の表面上にアルミニウムなどの金属の薄膜を形成することで、金属反射膜5cが表面の一部に位置している粒状体5bが形成され得る。
ところで、例えば、保護層5において粒状体5bの存在によって光を散乱させるとき、半導体基板2に向けた光と、裏面電極7に向けて粒状体5bを透過するように進む光と、を生じる。このとき、例えば、粒状体5bの表面に金属反射膜5cが存在していれば、裏面電極7に向けて粒状体5bを透過するように進む光が金属反射膜5cによって反射され得る。これにより、例えば、半導体基板2を透過した光のうち、保護層5によって半導体基板2に向けて散乱および反射される光の割合が高くなり得る。その結果、例えば、太陽電池素子1の光電変換効率が向上し得る。
<3.その他>
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、例えば、各粒状体5bが、母材部5aの非空隙部5a1と同じ材料で構成された本体部と、この本体部の表面を被覆している、非空隙部5a1と異なる材料で構成された被覆部と、を有していてもよい。ここで、例えば、非空隙部5a1の材料が酸化シリコンである場合に、各粒状体5bが、SiOで構成された本体部と、この本体部の表面を被覆するように位置している、TiOで構成された被覆部と、有する構成が考えられる。この場合には、各粒状体5bは、例えば、絶縁性ペーストを製造する際に、予めSiOの粒の表面に、スパッタリングなどを用いてTiOの膜を成膜することで準備することができる。また、例えば、絶縁性ペーストに、平均粒子径が約1μmのSiOの粒状体と、平均粒子径が約10nmから50nmのTiOの多数の微粒子と、を含有させておいてもよい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、半導体基板2は、単結晶または多結晶のシリコンではなく、例えば、非晶質のシリコンを用いたシリコン基板であってもよい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、半導体基板2は、例えば、シリコン基板ではなく、銅とインジウムとガリウムとセレンの4種類の元素、またはカドニウムとテルルの2種類の元素などを用いた化合物半導体を有する基板であってもよい。この場合には、例えば、半導体基板2の材料に応じて、半導体基板2を透過しやすい光の波長域が異なる。このため、例えば、複数の粒状体5bの粒子径は、半導体基板2を透過しやすい光の波長域に対して、光の散乱が生じやすくなるように設定されればよい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、複数の粒状体5bの素材として、例えば、TiOよりも柔らかいZrOを用いれば、絶縁性ペーストの塗布によってパッシベーション膜4に損傷が生じにくい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、例えば、複数の粒状体5bの材料の屈折率が、母材部5aの非空隙部5a1の材料の屈折率よりも低くてもよい。換言すれば、母材部5aの非空隙部5a1の材料と複数の粒状体5bの材料との間で、屈折率が異なっていればよい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、母材部5aの非空隙部5a1の材料は、例えば、酸化シリコンではなく、酸化アルミニウムまたは酸化チタンなどのその他の材料であってもよい。母材部5aの非空隙部5a1の材料には、例えば、1種以上の材料が適用されてもよい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、絶縁性ペーストが含む有機材料の粒状体が、例えば、保護層5を形成するために絶縁性ペーストを乾燥させる温度では熱分解せずに、前面電極6および裏面電極7を形成するために金属ペーストを焼成する温度で熱分解してもよい。このような構成は、例えば、絶縁性ペーストが含む有機材料の粒状体を構成している材料と、保護層5を形成するために塗布後の絶縁性ペーストを乾燥させる温度と、を適宜調整することで、実現され得る。このような構成が採用されれば、例えば、裏面電極7を形成するために金属ペーストを焼成する際に、保護層5がより緻密なものとなり、第1金属ペーストによってパッシベーション膜4が焼成貫通されにくい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、太陽電池素子1は、PERC型の太陽電池素子ではなく、例えば、IBC(Interdigitated Back Contact)、MWT(Metal Wrap Through)およびEWT(Emitter Wrap Through)などの構造を有するバックコンタクトタイプの太陽電池素子であってもよい。この場合には、太陽電池素子1では、例えば、パッシベーション膜4は存在していなくてもよく、半導体基板2の第2裏面2bs上に少なくとも保護層5および裏面側の電極が存在していればよい。ここでは、例えば、パッシベーション膜4が存在していない場合には、空隙部5a2は、保護層5と隣接している状態にある層としての半導体基板2および第2集電電極7bの第1部分7b1のうちの少なくとも一方の層に接していてもよい。この場合も、保護層5は、例えば、それぞれ保護層5と隣接している状態にある層としての半導体基板2と第1部分7b1との間の領域全体に位置している状態にある。
上記第1実施形態から上記第6実施形態のそれぞれにおいて、例えば、第2出力取出電極7aが、保護層5上に位置せずに、半導体基板2上に位置していてもよい。この場合には、例えば、太陽電池素子1を製造する際に、第2出力取出電極7aが形成される部分に、保護層5の厚さ方向に貫通している孔部が存在するように、保護層5を形成する構成が考えられる。ここでは、例えば、半導体基板2の第2裏面2bs側において、複数の粒状体5bの存在に応じた光の散乱の有無によって、保護層5が存在している部分と、保護層5が存在していない部分と、を区別することが可能となり得る。これにより、例えば、撮像および画像処理などを用いて、半導体基板2の第2裏面2bs側において、保護層5が存在していない領域に合わせて、第2出力取出電極7aを精度よく形成することができる。このようにして製造される太陽電池素子1では、例えば、第2出力取出電極7aが半導体基板2に直接接続している状態にあるため、第2出力取出電極7aの剥離が生じにくい。
上記第1実施形態から上記第6実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせることが可能であることは、言うまでもない。
1 太陽電池素子
2 半導体基板
3 反射防止膜
4 パッシベーション膜
5 保護層
51 第1領域
52 第2領域
5a 母材部
5a1 非空隙部
5a2 空隙部
5b 粒状体
5b1 第1粒状体
5b2 第2粒状体
5c 金属反射膜
5ct 中央部
5h 孔部
6 前面電極
6a 第1出力取出電極
6b 第1集電電極
6c 補助電極
7 裏面電極
7a 第2出力取出電極
7b 第2集電電極
7b1 第1部分
7b2 第2部分
45h 貫通孔
Sf1 第1面
Sf2 第2面

Claims (9)

  1. 光電変換を行う半導体基板と、
    該半導体基板の上に位置しているパッシベーション膜と、
    パッシベーション膜の上に位置している保護層と、
    該保護層の上に位置している第1部分、ならびに前記保護層および前記パッシベーション膜を連続して貫通している貫通孔内に位置しており且つ前記半導体基板にしている状態にある第2部分を有する電極と、を備え、
    前記保護層は、母材部と該母材部内に位置している複数の粒状体とを含み、
    前記母材部は、非空隙部と複数の空隙部とを含み、
    前記保護層は、該保護層の厚さ方向において、前記半導体基板側の第1面と、前記第1部分側の第2面と、を有し、
    前記複数の空隙部のそれぞれは、前記保護層のうちの前記厚さ方向における前記第1面と前記第2面との間の一部の領域に位置しており、
    前記複数の粒状体の屈折率は、前記母材部の屈折率とは異なる、太陽電池素子。
  2. 光電変換を行う半導体基板と、
    該半導体基板の上に位置している保護層と、
    該保護層の上に位置している第1部分および前記半導体基板に電気的に接続している状態にある第2部分を有する電極と、を備え、
    前記保護層は、母材部と該母材部内に位置している複数の粒状体とを含み、
    前記母材部は、非空隙部と複数の空隙部とを含み、
    前記保護層は、該保護層の厚さ方向において、前記半導体基板側の第1面と、前記第1部分側の第2面と、を有し、
    前記複数の空隙部のそれぞれは、前記保護層のうちの前記厚さ方向における前記第1面と前記第2面との間の一部の領域に位置しており、
    前記複数の粒状体の屈折率は、前記母材部の屈折率とは異な
    前記複数の粒状体は、表面の一部に金属反射膜が位置している粒状体を含む、太陽電池素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の太陽電池素子であって、
    前記半導体基板は、シリコン基板を含み、
    前記保護層は、可視光線の波長域の光よりも赤外線の波長域の光をより多く散乱および反射させる性質を有する、太陽電池素子。
  4. 求項2に記載の太陽電池素子であって、
    前記半導体基板と前記保護層との間に位置しているパッシベーション膜、をさらに備えている、太陽電池素子。
  5. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記複数の粒状体は、第1材料を含有する第1粒状体と、前記第1材料とは屈折率が異なる第2材料を含有する第2粒状体と、を含む、太陽電池素子。
  6. 請求項1から請求項3および請求項5の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記保護層は、該保護層の厚さ方向における中央部から前記半導体基板側に位置している第1領域と、前記厚さ方向における前記中央部から前記第1部分側に位置している第2領域と、を有しており、
    前記第1領域における前記複数の粒状体の存在密度は、前記第2領域における前記複数の粒状体の存在密度よりも大きい、太陽電池素子。
  7. 請求項1から請求項3および請求項5の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記保護層は、該保護層の厚さ方向において順に位置している、第1領域と、第2領域と、を有し、
    前記第2領域は、前記半導体基板と前記第1領域との間に位置しているとともに、少なくとも前記非空隙部を含んでおり、
    前記第1領域は、前記母材部と前記複数の粒状体とを含む、太陽電池素子。
  8. 請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記第2領域における前記複数の粒状体の存在密度は、前記第1領域における前記複数の粒状体の存在密度よりも小さい、太陽電池素子。
  9. 請求項1から請求項3および請求項5から請求項8の何れか1つの請求項に記載の太陽電池素子であって、
    前記非空隙部の材料は、酸化シリコンを含む、太陽電池素子。
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