以下、本発明の実施形態に係る部品補給管理システム及び部品実装システムについて図面に基づいて説明する。
[部品実装システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装システム1の構成を概略的に示す図である。部品実装システム1は、部品実装ライン2Lと、部品補給管理システム3と、生産計画管理装置4と、基板情報管理装置5と、作業者により操作される台車6及び携帯端末装置7と、を備える。部品実装システム1において、部品実装ライン2Lを構成する各部品実装機2の実装制御装置20、生産計画管理装置4、基板情報管理装置5、及び携帯端末装置7は、部品補給管理システム3とデータ通信可能に接続されている。
部品実装ライン2Lは、複数の部品実装機2が連結されて構成されている。部品実装ライン2Lにおいて、複数の部品実装機2の各々は、部品実装機2間において基板を搬送する連結コンベアによって、直線状に並ぶように連結される。図1に示す例では、部品実装ライン2Lにおいて、6台の部品実装機2が連結されている。なお、図1では、1つの部品実装ライン2Lのみを図示しているが、部品実装システム1は、複数の部品実装ライン2Lを備えた構成であってもよい。
<部品実装機の構成>
まず、図2を参照して部品実装機2の構成を説明する。図2は、部品実装機2の構成を示す平面図である。なお、以下では、方向関係についてはXY直交座標軸を用いて説明する。X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「−X側」と称する。また、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「−Y側」と称する。
部品実装機2は、基板Pに部品を搭載して部品搭載基板を生産する装置である。部品実装機2は、本体フレーム21と、移動フレーム22と、コンベア23と、部品供給部24と、ヘッドユニット25と、第1駆動機構26と、第2駆動機構27と、基板支持装置28とを備える。
本体フレーム21は、部品実装機2を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、基板PをX軸方向に搬送する。コンベア23上を搬送される基板Pは、所定の作業位置(基板P上に部品が搭載される部品搭載位置)に、基板支持装置28によって位置決めされるようになっている。基板支持装置28は、バックアップピンにより基板Pを支持することにより、当該基板Pを位置決めする。
部品供給部24は、本体フレーム21におけるY軸方向の+Y側及び−Y側の領域部分にそれぞれ、X軸方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給部24は、基板Pに搭載される部品を供給するものであり、複数の部品供給装置が並設される。部品供給部24に配置される部品供給装置については後述する。
移動フレーム22は、X軸方向に延び、本体フレーム21に、所定の移動方向(Y軸方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム22にヘッドユニット25が搭載されている。ヘッドユニット25は、X軸方向に移動可能となるように、移動フレーム22に搭載される。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム22の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム22に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給部24とコンベア23により搬送された基板Pの所定の作業位置とにわたって移動可能とされ、部品供給部24から部品を取り出すとともに、その取り出した部品を基板P上に搭載(実装)する。ヘッドユニット25は、吸着ノズル251を備えている。吸着ノズル251は、部品供給部24により供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル251は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル251に負圧が供給されることで当該吸着ノズル251による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
第1駆動機構26は、本体フレーム21の+X側及び−X側の端部に配設される。第1駆動機構26は、移動フレーム22をY軸方向に移動させる機構である。第1駆動機構26は、例えば、駆動モーターと、Y軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム22に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構26は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム22をY軸方向に移動させる。
第2駆動機構27は、移動フレーム22に配設される。第2駆動機構27は、ヘッドユニット25を移動フレーム22に沿ったX軸方向に移動させる機構である。第2駆動機構27は、第1駆動機構26と同様に、例えば、駆動モーターと、X軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット25に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構27は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット25をX軸方向に移動させる。
<部品供給装置について>
部品供給部24に並設される部品供給装置は、部品供給方式の違いにより、テープフィーダー、トレイフィーダー及びスティックフィーダーに大別される。部品実装機2の各部品供給部24には、部品供給方式が同一の1種の部品供給装置が配置されていてもよいし、部品供給方式が異なる2種以上の部品供給装置がそれぞれ配置されていてもよい。
(テープフィーダー)
まず、部品供給装置としてのテープフィーダーは、部品収納部材としてのリールに、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回され、そのリールから部品収納テープが送出されるように構成されている。テープフィーダーは、一般的に、スプライシングフィーダーと自動ローディングフィーダー(AF)とに大別される。スプライシングフィーダーは、1本のリールが装着されるように構成されており、そのリールからの部品収納テープの送出が完了して部品切れになる前に、当該部品収納テープから後続の部品収納テープへと移行させるために、先行する部品収納テープの末端部と後続の部品収納テープの先端部との間をスプライシングテープ等で貼り付けて両者を接続する。すなわち、スプライシングフィーダーでは、1本のリールからの部品収納テープの送出が完了して部品切れになる前に、スプライシングテープ等で貼り付けるスプライシング作業が行われるので、後続の部品収納テープが巻回されたリールの補給タイミングは、先行の部品収納テープの送出が完了した時点に拘束される。
一方、AFは、複数のリールが装着可能に構成されており、複数のリールのうち、部品供給が先行して行われる部品収納テープ(以下、「先行の部品収納テープ」という)が巻回された先行のリールからの部品収納テープの送出が完了すると、AFに挿入済みの後続する部品収納テープがあればスプライシング作業を行うことなく自動的に、後続する部品収納テープが巻回された後続のリールから部品収納テープが送出される。すなわち、AFにおいて、新たなリールの補給タイミングは、先行の部品収納テープが巻回された先行のリールからの部品収納テープの送出が完了した時点に拘束されることなく、AFに後続する部品収納テープを挿入可能な状態であればいつでも部品補給作業を行うことができるため、スプライシングフィーダーに比べて自由度がある。
本実施形態では、部品供給部24に配置されるテープフィーダーとしては、スプライシングフィーダーとAFとが混在しても構わないが、部品収納部材としてのリールを複数装着可能なAFが、部品供給装置として複数配置されている。この部品供給装置としてのAFからなるテープフィーダーについて、図3及び図4を参照して説明する。図3はAF241の構成を概略的に示す図であり、図4はAF241に装着される部品収納テープ243を示す斜視図である。
部品供給部24においてAF241は、台車242に配置される。AF241は、部品収納テープ243が巻回された複数のリール2420を装着可能である。
AF241の構成を説明するに先立って、図4を参照して部品収納テープ243を説明する。部品収納テープ243は、キャリアテープ2431とカバーテープ2434とからなる。キャリアテープ2431は、部品Eを収納する部品収納部2433が所定の間隔をおいて複数配列されたテープである。また、キャリアテープ2431には、その幅方向一端部に、後述するAF241における第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの歯部と嵌合し、第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aにより部品収納テープ243を送出させるための搬送力が伝達される搬送力伝達孔2432が所定の間隔を有して配列されている。カバーテープ2434は、部品収納部2433を覆うようにキャリアテープ2431に貼付されたテープである。
図3に示すように、AF241は、部品供給部24に設けられたフィーダー取付部2417Aに取り付けられている。詳しくは、部品供給部24には、フィーダー取付部2417Aと、リール支持部2419とが設けられている。フィーダー取付部2417Aには、X軸方向に一定間隔で並びかつY軸方向に互いに平行に延びる複数のスロット2417Bと、これらスロット2417Bよりも前側の位置でX軸方向に延びる固定台2417Cとが設けられている。そして、各スロット2417BにAF241がセットされ、各AF241が固定台2417Cに固定されている。これにより、部品供給部24において複数のAF241が台車242に並設されている。
リール支持部2419は、フィーダー取付部2417Aの後方下側に位置しており、リール2420を回転可能に支持する第1リールホルダ2419A及び第2リールホルダ2419Bを、上下方向に互いに離間した状態で支持する。第1リールホルダ2419A及び第2リールホルダ2419Bの各々に支持されるリール2420には、部品収納テープ243が巻回されている。
AF241は、フィーダー本体2411を備えている。AF241は、スロット2417Bにフィーダー本体2411が挿入(セット)された状態で、固定台2417Cに固定されている。フィーダー本体2411には、第1テープ送出部2412を構成する第1スプロケット2412Aと、その第1スプロケット2412Aに対してリール支持部2419から離れるようにY軸方向に離間した、第2テープ送出部2413を構成する第2スプロケット2413Aとが、回転可能に支持されている。第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aはそれぞれ、周方向に所定の間隔を有して配列した複数の歯部を備える。第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの歯部は、部品収納テープ243のキャリアテープ2431に形成された搬送力伝達孔2432と嵌合可能である。
第1リールホルダ2419A及び第2リールホルダ2419Bの各々に支持されるリール2420に巻回された部品収納テープ243は、リール支持部2419の上端に配設されたガイドローラー2418にガイドされつつ第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aに導かれる。搬送力伝達孔2432が第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの歯部と嵌合された部品収納テープ243は、第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの回転により送出され、部品供給位置P1で部品Eの取り出しが行われる。
AF241は、更に、フィーダー本体2411の後端部に着脱可能に固定されたテープ支持部材2414と、フィーダー本体2411の後部上面に配置された操作入力部2415と、第1、第2テープ検知センサ2416A、2416Bと、を備えている。
テープ支持部材2414は、図3に示すように、フィーダー本体2411の内部において部品収納テープ243が走行するテープ走行通路2414Aの後端部分を、上下の2つの通路(上側通路2414AA、下側通路2414AB)に分けるとともに、上側通路2414AAを通過する部品収納テープ243を下側から支持するものである。詳しくは、テープ走行通路2414Aの後端部分は、その前方から後方に向かって上下方向に広がる形状とされている。テープ支持部材2414は、フィーダー本体2411の後方からテープ走行通路2414A内に挿入され、当該フィーダー本体2411に着脱可能に固定されている。これにより、テープ走行通路2414Aの後端部分が、テープ支持部材2414によって上側通路2414AAと下側通路2414ABとに分けられている。
第1テープ検知センサ2416A及び第2テープ検知センサ2416Bは、テープ走行通路2414Aに臨む状態で設けられており、テープ走行通路2414Aを通過する部品収納テープ243の有無を検出する。より具体的には、第1テープ検知センサ2416Aは、上側通路2414AAと下側通路2414ABとの合流地点よりも前方であってテープ走行通路2414Aに下方から臨む位置に設けられている。一方、第2テープ検知センサ2416Bは、上側通路2414AAに上方から臨む位置に設けられており、これにより、上側通路2414AAにおける部品収納テープ243の有無を検知する。
操作入力部2415は、作業者が必要に応じて部品収納テープ243の送出及び逆送を行うものである。
以上のように構成されるAF241の部品供給動作は、次の通りである。まず準備作業として、作業者は、リール支持部2419の下段の第1リールホルダ2419Aに先行する部品収納テープ243が巻回されたリール2420を取り付ける。この際、作業者は、リール2420に設けられた部品種特定用バーコードBR(記録部、図3参照)をバーコードリーダ8(図7)で読み取る読取操作を行う。部品種特定用バーコードBRは、リール2420に巻回された部品収納テープ243に収納された部品Eの部品種を特定するための補給部品種情報等をコード化して記録されたものである。
作業者は、第1リールホルダ2419Aに取り付けたリール2420に巻回された部品収納テープ243の先端部をフィーダー本体2411の後方から上側通路2414AAに挿入する。これにより、先行する部品収納テープ243の先端部は、第1スプロケット2412Aと嵌合された状態で、テープ支持部材2414により支持される。その後、作業者は、操作入力部2415を操作し、第1スプロケット2412Aを回転させる指示を入力して部品収納テープ243を送出させ、部品供給テープ243の先端部を第2スプロケット2413Aと嵌合させる。
上記の準備作業が終了した状態で、AF241の部品供給動作が開始される。AF241において、第2スプロケット2413Aは回転し、これにより部品収納テープ243を送出する。なお、第1スプロケット2412Aは空転するように構成されており、このとき、第2スプロケット2413Aを回転させるのみで部品収納テープ243を送出することができる。
次に、リール2420から先行する部品収納テープ243が送出されている状態で、作業者は、フィーダー本体2411からテープ支持部材2414を取り外す。テープ支持部材2414が取り外されると、部品収納テープ243がその自重によってテープ走行通路2414A底面部に変位する。これにより、先行する部品収納テープ243の第1スプロケット2412Aとの嵌合が解除される。このとき、部品収納テープテープ243は、第2スプロケット2413Aと嵌合されているので、第1スプロケット2412Aとの嵌合が解除されても、第2スプロケット2413Aの回転により送出され続ける。
次に、リール2420から先行する部品収納テープ243が送出されている状態で、作業者は、テープ支持部材2414をフィーダー本体2411に装着し、先行する部品収納テープ243が巻回されたリール2420を下段の第1リールホルダ2419Aから上段の第2リールホルダ2419Bに移動させる。次に、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から先行する部品収納テープ243が送出されている状態で、作業者は、後続する部品収納テープ243が巻回されたリール2420を下段の第1リールホルダ2419Aに取り付け、その部品収納テープ243の先端部をフィーダー本体2411の後方から上側通路2414AAに挿入する。これにより、後続する部品収納テープ243の先端部は、第1スプロケット2412と嵌合された状態で、テープ支持部材2414により支持される。このようにして、リール2420に巻回される先行の部品収納テープ243の部品切れが発生していない状態で、後続の部品収納テープ243が巻回されたリール2420を装着することができる。なお、後続の部品収納テープ243が巻回されたリール2420を装着する際も、先行の部品収納テープ243の場合と同様に、作業者は、リール2420に設けられた部品種特定用バーコードBRをバーコードリーダ8(図7)で読み取る読取操作を行う。
その後、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から、先行する部品収納テープ243が全て引き出され、その後端が第2テープ検知センサ2416Bの位置を通過して、先行する部品収納テープ243が無いことが検知されると、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリール2420からの、後続する部品収納テープ243の送出が自動的に開始される。そして、作業者は、部品切れとなったリール2420を上段の第2リールホルダ2419Bから取り外し、後続する部品収納テープ243が巻回されたリール2420を下段の第1リールホルダ2419Aから上段の第2リールホルダ2419Bに移動させる。このとき、作業者は、部品収納テープ243が巻回された新たなリールを、AF241に対して補給することができる。AF241に対して補給された新たなリールは、作業者によって下段の第1リールホルダ2419Aに取り付けられる。この際にも、作業者は、新たなリールに設けられた部品種特定用バーコードをバーコードリーダ8で読み取る読取操作を行う。ここで、新たなリールの部品補給作業のタイミングは、先行する部品収納テープ243が巻回されたリール2420が部品切れとなる時点に拘束されることはなく、部品補給管理システム3によって特定される。
なお、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から先行する部品収納テープ243が送出され、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリール2420に巻回された後続する部品収納テープ243の先端部が上側通路2414AAに挿入された状態では、新たなリールの装着が不能である。一方、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から、先行する部品収納テープ243が全て引き出され、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリール2420からの、後続する部品収納テープ243の送出が自動的に開始された状態では、新たなリールの装着が可能である。
(トレイフィーダー)
次に、部品供給装置としてのトレイフィーダーについて、図5を参照して説明する。図5は、トレイフィーダー245の構成を概略的に示す図である。部品供給部24には、複数のトレイフィーダー245が並設可能である。トレイフィーダー245は、1つのマガジン2453がカバー体2451内を上下方向に移動可能に構成されている。このマガジン2453には、複数の第1パレット2454と、複数の第2パレット2455と、複数の第3パレット2456とが収容されている。
各第1パレット2454には、複数の部品が保持された少なくとも1つの第1トレイTR1が載置されている。第1トレイTR1に保持される部品は、第1パレット2454ごとに同じ種類の部品である。同様に、各第2パレット2455には、複数の部品が保持された少なくとも1つの第2トレイTR2が載置されている。第2トレイTR2に保持される部品は、第2パレット2455ごとに同じ種類の部品である。但し、第2トレイTR2に保持される部品は、第1トレイTR1に保持される部品とは種類が異なる。また、各第3パレット2456には、複数の部品が保持された少なくとも1つの第3トレイTR3が載置されている。第3トレイTR3に保持される部品は、第3パレット2456ごとに同じ種類の部品である。但し、第3トレイTR3に保持される部品は、第1トレイTR1及び第2トレイTR2の各々に保持される部品とは種類が異なる。
第1パレット2454、第2パレット2455、及び第3パレット2456の各々は、複数の部品が保持されたトレイTR1,TR2,TR3が載置される、部品収納部材としての機能を有する。マガジン2453に収容された第1パレット2454、第2パレット2455、及び第3パレット2456の各々は、部品搭載基板の生産時に、カバー体2451から外方に突出して設けられたテーブル2452に移動され、これによってトレイTR1,TR2,TR3に保持された状態で部品が供給される。
部品搭載基板の生産中において、複数の第1パレット2454のうちの1つの第1パレット2454に載置された第1トレイTR1に保持された部品が部品切れになったとしても、他の第1パレット2454がテーブル2452に移動され、これによって第1トレイTR1に保持された状態で部品が供給される。このとき、作業者は、部品搭載基板の生産中において、部品切れとなった第1パレット2454をカバー体2451から取り出し、新たな第1パレットをトレイフィーダー245に対して補給することができる。同様に、部品搭載基板の生産中において、複数の第2パレット2455のうちの1つの第2パレット2455に載置された第2トレイTR2に保持された部品が部品切れになったとしても、他の第2パレット2455がテーブル2452に移動され、これによって第2トレイTR2に保持された状態で部品が供給される。このとき、作業者は、部品搭載基板の生産中において、部品切れとなった第2パレット2455をカバー体2451から取り出し、新たな第2パレットをトレイフィーダー245に対して補給することができる。また、部品搭載基板の生産中において、複数の第3パレット2456のうちの1つの第3パレット2456に載置された第3トレイTR3に保持された部品が部品切れになったとしても、他の第3パレット2456がテーブル2452に移動され、これによって第3トレイTR3に保持された状態で部品が供給される。このとき、作業者は、部品搭載基板の生産中において、部品切れとなった第3パレット2456をカバー体2451から取り出し、新たな第3パレットをトレイフィーダー245に対して補給することができる。
なお、新たなパレットをトレイフィーダー245に対して補給する際には、作業者は、新たなパレットに設けられた部品種特定用バーコードをバーコードリーダ8で読み取る読取操作を行う。トレイフィーダー245に対する新たなパレットの部品補給作業の計画に関する管理は、部品補給管理システム3によって行われる。
(スティックフィーダー)
次に、部品供給装置としてのスティックフィーダーについて、図6を参照して説明する。図6は、スティックフィーダー246の構成を概略的に示す図である。部品供給部24には、複数のスティックフィーダー246が並設可能である。スティックフィーダー246は、筒状の部品収納部材としてのスティック2469に収納された部品Eを当該スティック2469から押し出しながら供給するように構成されている。スティックフィーダー246は、フレーム本体2461と、このフレーム本体2461の上部に設けられたスティックテーブル2462、第1チャック2463及び第2チャック2464と、部品押し出し機構部2465と、ガイドフレーム2466と、一対のガイドレール2467と、搬送ベルト2468と、を備える。
フレーム本体2461は、上部が開口した中空箱形の形状を有している。スティックテーブル2462は、フレーム本体2461の上部内側に配設されている。スティックテーブル2462上には、複数のスティック2469を積層状態で載置することが可能である。第1チャック2463は、スティックテーブル2462上の複数のスティック2469のうちの最下位以外のスティック2469の前端部を同時に保持することが可能である。同様に、第2チャック2464は、スティックテーブル2462上の複数のスティック2469のうちの最下位以外のスティック2469の後端部を同時に保持することが可能である。
部品押し出し機構部2465は、スティックテーブル2462上の複数のスティック2469のうち、最下位のスティック2469からその前方に部品Eを押し出す。ガイドフレーム2466は、フレーム本体2461の前部に固定され、このガイドフレーム2466に一対のガイドレール2467が支持されている。そして、一対のガイドレール2467の間に搬送ベルト2468が設けられている。部品押し出し機構部2465により前方に押し出された部品Eは、一対のガイドレール2467に沿って、搬送ベルト2468によって搬送される。これにより、スティック2469に収納された部品Eが、部品供給位置に供給される。
部品供給動作に伴い最下位のスティック2469が部品切れとなると、第1及び第2チャック2463,2464が最下位以外のスティック2469を保持する。この状態でスティックテーブル2462がスティック2469の支持を解除する支持解除位置に変位することによって、最下位のスティック2469のみを自重でフレーム本体2461の内底部に落下させるようになっている。なお、部品切れのスティック2469の廃棄後は、スティックテーブル2462がスティック2469の支持位置に復帰し、第1及び第2チャック2463,2464が開放されることにより、スティックテーブル2462上に残りのスティック2469が載置され、次の(最下位の)スティック2469から部品Eの供給が行われる。
部品搭載基板の生産中において、部品切れとなったスティック2469がフレーム本体2461の内底部に落下すると、作業者は、新たなスティックをスティックフィーダー246に対して補給することができる。なお、新たなスティックをスティックフィーダー246に対して補給する際には、作業者は、新たなスティックに設けられた部品種特定用バーコードをバーコードリーダ8で読み取る読取操作を行う。
スティックフィーダー246に対する新たなスティックの部品補給作業の計画に関する管理は、部品補給管理システム3によって行われる。
<部品実装機の制御系について>
部品実装機2の制御系について、図7のブロック図を参照して説明する。部品実装機2は、実装制御装置20を備えている。実装制御装置20は、部品実装機2の部品搭載動作を統括的に制御するとともに、AF241、トレイフィーダー245、及びスティックフィーダー246を含む部品供給装置の動作を制御する装置である。実装制御装置20は、例えば制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶装置が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、前記制御プログラムが読み出されることにより、部品実装機1の部品搭載動作及び部品供給装置の動作を制御する。実装制御装置20は、バス20Aを介して接続された、通信部201、記憶部202、表示部203、外部入出力部204、部品搭載動作処理部205、及び部品供給動作処理部206を含む。
通信部201は、部品供給装置及び部品補給管理システム3とデータ通信するためのインターフェースである。部品実装機2の各部品供給部24に配置される部品供給装置は全て、通信部201に接続されている。外部入出力部204は、バーコードリーダ8とデータ通信するためのインターフェースである。
記憶部202は、図8に示す取付情報JH1を記憶する。取付情報JH1は、部品実装機2の各部品供給部24に配置される部品供給装置における部品に関する情報である。取付情報JH1は、実装機種情報J11と、セット位置情報J12と、装置種情報J13と、部品種情報J14と、先行部品残数情報J15と、合計部品残数情報J16と、部品残数警告値情報J17と、部品残数停止値情報J18とを関連付けた情報である。実装機種情報J11は、部品実装機2を特定するための情報である。セット位置情報J12は、部品供給装置の部品供給部24内での位置を表す情報である。部品供給装置がAF241である場合、セット位置情報J12は、フィーダー取付部2417Aにおけるスロット2417Bの位置で特定される情報である。各スロット2417Bには、互いに異なるスロット番号が割り当てられており、このスロット番号によって各スロット2417Bの位置、すなわちセット位置が特定されるようになっている。装置種情報J13は、部品供給装置の種類(部品供給方式の種類)を表す情報である。
部品種情報J14は、各部品供給装置により供給される部品の部品種を特定するための情報であり、部品を識別する識別情報や部品の名称を表す部品名情報などで示される。先行部品残数情報J15は、各部品供給装置において、先行の部品収納部材の部品残数を表す情報である。合計部品残数情報J16は、各部品供給装置における部品の合計部品残数を表す情報である。部品残数警告値情報J17は、各部品供給装置において、部品が部品切れとなる前の、前記合計部品残数情報J16で表される合計部品残数が、警告を報知すべき所定値(部品残数警告値)である旨を表す情報である。部品残数停止値情報J18は、特にスプライシングフィーダーに適用される情報であり、前記合計部品残数情報J16で表される合計部品残数が、スプライシング作業用にテープの送出を停止すべき所定値(部品残数停止値)である旨を表す情報である。スプライシングフィーダーにおいては、先行の部品収納テープにおける部品残数が「0:ゼロ」になってから当該先行の部品収納テープの送出を停止させても補給用のテープを繋ぎ合わせるスプライシング作業を行うことができなくなる。このため、スプライシングフィーダーにおいて、部品残数停止値情報J18にて表される部品残数停止値は、通常、「0:ゼロ」より大きな値に設定されるのが好ましい。AF241、トレイフィーダー245、及びスティックフィーダー246には、スプライシングフィーダーのように「スプライシング作業用にテープの送出を停止すべき所定値」という概念は存在しない。このため、AF241、トレイフィーダー245、及びスティックフィーダー246において、部品残数停止値情報J18にて表される部品残数停止値は、通常、実際に部品がなくなるときである「0:ゼロ」若しくは前記部品残数警告値よりも小さい値に設定されるのが好ましい。
表示部203は、通信部201によって受信される、後述の部品補給管理システム3から送信される情報などを表示する。部品搭載動作処理部205は、部品実装機2による部品搭載基板の生産において、ヘッドユニット25などの動作を制御する。部品供給動作処理部206は、通信部201を介して各部品供給装置のフィーダー制御部240に制御信号を送信することにより、各部品供給装置の動作を統括的に制御する処理を行う。
なお、図2に示すように、部品実装機2には、作業者による部品補給作業が行われる作業領域WAが設定されている。本実施形態では、部品実装機2には、部品実装機2の−Y側に配置された部品供給部24が含まれる作業領域WAと、部品実装機2の+Y側に配置された部品供給部24が含まれる作業領域WAとが設定されている。部品実装機2が複数連結されてなる部品実装ライン2Lにおいては、各部品実装機2の−Y側に位置する作業領域WAがX軸方向に並んで配置されるとともに、各部品実装機2の+Y側に位置する作業領域WAがX軸方向に並んで配置される。以下では、部品実装ライン2Lにおける、各部品実装機2の−Y側に位置する作業領域WAの並びと、各部品実装機2の+Y側に位置する作業領域WAの並びとを、それぞれ「レーン」と称する。
[部品補給管理システムの構成]
部品補給管理システム3は、各部品実装機2に設定された作業領域WA内における、部品搭載基板の生産に応じて作業者が実施すべき部品補給作業の計画を管理するシステムである。部品補給作業としては、AF241に対する新たなリールの補給作業、トレイフィーダー245に対する新たなパレットの補給作業、並びにスティックフィーダー246に対する新たなスティックの補給作業、スプライシングフィーダーに対するスプライシング作業が含まれる。
図9は、部品補給管理システム3の構成を示すブロック図である。部品補給管理システム3は、図1に示すように、各部品実装機2の実装制御装置20、生産計画管理装置4、基板情報管理装置5、及び作業者が携帯する携帯端末装置7とデータ通信可能に接続されている。また、部品補給管理システム3は、例えばマイクロコンピュータを含み、図9に示すように、通信部31と、操作部32と、表示部33と、制御部34とを備える。
操作部32は、タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キー等を備え、部品補給管理システム3に対する作業者の操作や各種の設定を受付ける。表示部33は、後述の制御部34の補給管理部343により生成され、作業進捗判定部344及び抽出部345により更新される部品補給管理情報を表示する。通信部31は、各部品実装機2の実装制御装置20、生産計画管理装置4、基板情報管理装置5、及び携帯端末装置7とのデータ通信を実現させるためのインターフェースである。通信部31は、各部品実装機2の実装制御装置20、生産計画管理装置4、基板情報管理装置5、及び携帯端末装置7から送信される情報を取得し、その取得した情報を制御部34に与える。また、通信部31は、補給管理部343により生成され、作業進捗判定部344及び抽出部345により更新される部品補給管理情報が制御部34から与えられ、その部品補給管理情報を各部品実装機2の実装制御装置20、及び携帯端末装置7に送信(出力)する。
ここで、部品補給管理システム3とデータ通信可能に接続される生産計画管理装置4及び基板情報管理装置5について説明する。生産計画管理装置4は、各部品実装機2による部品搭載基板の生産計画を管理するための装置である。生産計画管理装置4は、例えばマイクロコンピュータからなる。生産計画管理装置4は、生産計画を立案する作業者の操作によって、部品搭載基板の生産計画に関する生産計画情報を部品補給管理システム3に送信する。図10は、生産計画管理装置4から送信され、部品補給管理システム3に入力される生産計画情報JH2を説明するための図である。生産計画情報JH2は、生産順序情報J21、基板品種情報J22、生産数情報J23、及びサイクルタイム情報J24が関連付けられた情報である。生産順序情報J21は、部品搭載基板の生産順序を表す情報である。基板品種情報J22は、部品搭載基板の生産に供される基板Pの品種を表す情報である。生産数情報J23は、基板品種ごとの部品搭載基板の生産数を表す情報である。サイクルタイム情報J24は、基板Pに部品を搭載するときに1枚の部品搭載基板を仕上げるのに要する時間(秒/枚)を表す情報である。
基板情報管理装置5は、各部品実装機2による部品搭載基板の生産時に参照される基板情報を管理するための装置である。基板情報管理装置5は、例えばマイクロコンピュータからなる。基板情報管理装置5は、作業者の操作によって、基板情報を部品補給管理システム3に送信する。図11は、基板情報管理装置5から送信され、部品補給管理システム3に入力される基板情報JH3を説明するための図である。基板情報JH3は、前記基板品種情報J22、前記セット位置情報J12、前記部品種情報J14、及び部品必要数情報J31が関連付けられた情報である。部品必要数情報J31は、1枚の部品搭載基板の生産に必要な部品の必要数(数/枚)に関する情報である。基板情報JH3は、基板品種情報J22にて表される基板Pの品種が切り換えられる毎に、書き換えられる。
基板情報JH3は、部品補給管理システム3を介して各部品実装機2の実装制御装置20に送信され、各部品実装機2による部品搭載基板の生産時に参照される。具体的には、実装制御装置20の部品搭載動作処理部205は、部品実装機2による部品搭載基板の生産において、基板情報JH3に基づきヘッドユニット25などの動作を制御する。基板情報JH3において、基板品種情報J22にて表される基板品種の生産時に、セット位置情報J12にて表されるセット位置に配置された部品供給装置によって部品が供給されると、ヘッドユニット25は、部品種情報J14にて表される部品を部品供給装置から取り出すように制御される。基板情報管理装置5に格納されているのは現在生産している基板品種の基板情報JH3である。言い換えると、基板情報管理装置5に格納された基板情報JH3が部品補給管理システム3を介して実装制御装置20に送信されると、当該基板情報JH3に基づき部品搭載基板の生産が行われることとなる。従って、現在の基板情報JH3の基板品種の基板の生産が終了した後に次の基板品種の基板の生産をするためには、次の基板品種の基板情報JH3を基板情報管理装置5に格納させなければならない。
部品補給管理システム3の制御部34は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部34は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより通信部31、操作部32及び表示部33を制御するとともに、部品補給作業の計画の管理に関する各種情報を生成する。制御部34は、図9に示すように、設定部341と、部品供給監視部342と、補給管理部343と、作業進捗判定部344と、抽出部345と、記憶部346とを含む。
図9に加えて図12〜図17を参照して、制御部34における設定部341、部品供給監視部342、補給管理部343、作業進捗判定部344、抽出部345及び記憶部346を説明する。図12は、部品供給監視部342及び補給管理部343の制御動作を説明するための図である。図13は、補給管理部343及び作業進捗判定部344により生成される部品補給管理情報JH4を説明するための図である。図14は、部品補給管理システム3の動作を説明するための図である。図15は、抽出部345による抽出動作に関する情報が付加された部品補給管理情報JH4を説明するための図である。図16及び図17は、抽出部345の抽出結果が付加された部品補給管理情報JH4を説明するための図である。
<設定部について>
図14に示すように、部品実装ライン2Lには作業エリアTWAが設定されている。作業エリアTWAは、部品実装ライン2Lの各部品実装機2に付設される部品供給装置に対する部品補給作業の、1人の作業者OPが担当する範囲を表す。作業エリアTWA内には、当該作業エリアTWA内に配置される部品実装機2に設定された作業領域WAが含まれる。作業者OPが部品補給作業を担当する部品実装機2が複数の部品実装ライン2Lに跨る場合には、作業エリアTWA内には当該複数の部品実装ライン2Lが含まれる。
作業者OPは、携帯端末装置7を携帯し、作業エリアTWA内において、各部品実装機2の作業領域WAを通る部品実装ライン2Lに沿った移動経路6R上を、カート6を押しながら移動して各作業領域WAにて部品補給作業を実施する。なお、カート6は、部品補給作業用の物品Gを収容可能な荷台部61を有する。荷台部61に収容される物品Gとしては、部品補給作業に必要な新たな部品収納部材(リール、パレット、スティック)や部品補給作業後に回収される回収物などが含まれる。また、カート6は、無人搬送車であるAGV(Automated Guided Vehicle)を用いて無人搬送させるようにしてもよい。この場合、後述の部品補給管理情報JH4に基づいて作成されたAGV用指示データがAGVに配信される。AGV用指示データは、AGVが停止すべき作業領域WAの位置、停止時間などが記述されたファイルである。AGVは、作業エリアTWA内において、作業者OPを誘導するように移動経路6Rに沿って各作業領域WAに順次移動して停車する。これにより、作業者OPは、AGVを目印として移動経路6Rに沿って移動し、AGVが停車した位置の作業領域WAにおいて部品補給作業を実施することができる。
なお、図14に示す例では、作業エリアTWA内において、部品実装ライン2Lの各部品実装機2が、移動経路6Rの上流から下流に向かって順番に、第1部品実装機2A、第2部品実装機2B、第3部品実装機2C、第4部品実装機2D、第5部品実装機2E、第6部品実装機2Fと示されている。また、第1部品実装機2Aに設定された作業領域が第1作業領域WA1と示されており、同様に、第2部品実装機2Bの作業領域が第2作業領域WA2、第3部品実装機2Cの作業領域が第3作業領域WA3、第4部品実装機2Dの作業領域が第4作業領域WA4、第5部品実装機2Eの作業領域が第5作業領域WA5、第6部品実装機2Fの作業領域が第6作業領域WA6と示されている。
設定部341は、部品実装ライン2Lに設定された作業エリアTWA内における作業者OPの作業許容時間を設定する。作業許容時間は、作業エリアTWA内において作業者OPが1つの移動経路6R上を移動しながら部品補給作業を実施する際に、部品補給作業を開始してから完了させるまでに要する時間として許容される時間を表す。作業エリアTWA内における作業者OPによる部品補給作業の開始時刻は、例えば携帯端末装置7等に対する作業者OPの操作により、作業開始を通知する通知情報が通信部31を介して部品補給管理システム3に入力された時点でもよく、又は、後述の補給管理部343の補給対象特定部3431が設定する重複補給時間帯(図12のTWD1,TWD2,TWD3)の最も早い時刻(最早時刻)であってもよい。また、作業許容時間は、作業者OPが作業エリアTWA内で部品補給作業を実施する際に、作業エリアTWA内での滞在が許容される時間を表すというように考えて設定されてもよい。より詳しくは、作業許容時間は、部品実装ライン2Lに沿った移動経路6R上を移動しながら部品補給作業を実施する作業者OPの、作業エリアTWA内での移動経路6Rの始点6RSから終点6REに至るまでに許容される時間を表す。なお、作業エリアTWAが複数の部品実装ライン2Lを含むように設定された場合には、作業許容時間は、複数の部品実装ライン2Lに跨る全移動経路6Rの始点6RSから終点6REに至るまでに許容される時間を表すことになる。また、作業エリアTWA内の移動経路6Rは、各部品実装ライン2Lにおける各部品実装機2の−Y側及び+Y側に配置された作業領域WAにおいて、部品補給作業の対象となる部品供給装置が配置された作業領域WAを通るように設定される経路であり、図14に示すような部品実装ライン2Lに沿った経路に限定されるものではない。例えば、各部品実装機2の−Y側に配置された作業領域WAと+Y側に配置された作業領域WAとの間をジグザグに通過するような経路が移動経路6Rとして設定されてもよいし、場合によっては一方向に通過した後に逆戻りするような経路が移動経路6Rとして設定されてもよい。
設定部341は、予め決められた時間を作業許容時間として設定してもよいし、操作部32を介して入力された値を作業許容時間として設定してもよい。又は、設定部341は、後述の補給対象特定部3431が設定する重複補給時間帯の最も遅い時刻(最遅時刻)が作業許容時間の終りとなるように、作業許容時間を設定してもよい。又は、設定部341は、後述の補給対象特定部3431が設定する特定期間(図12のTW11,TW12,TW13)の時間間隔を規定する特定時間を、作業許容時間として設定してもよい。又は、設定部341は、後述の補給対象特定部3431が生成する部品補給管理情報JH4(図13)に含まれる作業リスト情報J4を参照し、移動経路番号情報J41にて表される移動経路番号が同一の、作業標準時間情報J50にて表される作業標準時間の合計時間を、作業許容時間として設定してもよい。また、設定部341が設定する作業許容時間は、作業エリアTWA内における作業開始時に作業者OPが次の作業予定等により適宜変更できるようにしてもよい。このとき作業者OPは、作業エリアTWA内における作業の完了時刻を入力するようにしてもよい。
<部品供給監視部について>
主として図12を参照して部品供給監視部342について説明する。図12は、第1生産期間TW01において第1の基板品種の部品搭載基板が生産され、その後、基板品種が切換えられて、第2生産期間TW02において第2の基板品種の部品搭載基板が生産される例を示している。また、図12では、第1生産期間TW01において、部品実装ライン2Lの各部品実装機2に備えられる複数の部品供給装置のうち、3台のAF241A1、241A2、241A3、2台のトレイフィーダー245A1、245A2、及び1台のスティックフィーダー246A1から部品を供給し、部品搭載基板を生産する例が示されている。部品搭載基板の生産に応じて作業者OPが実施すべき部品補給作業としては、AF241A1、241A2、241A3の各々に対して新たなリールを補給する部品補給作業、トレイフィーダー245A1、245A2の各々に対して新たなパレットを補給する部品補給作業、並びにスティックフィーダー246A1に対して新たなスティックを補給する部品補給作業が含まれる。AF241A1、241A2、241A3、トレイフィーダー245A1、245A2、及びスティックフィーダー246A1を総称するときには、「部品供給装置241、245、246」と称し、リール、パレット及びスティックを総称するときには、「部品収納部材」と称する。
まず、部品供給監視部342は、AF241A1、241A2、241A3、トレイフィーダー245A1、245A2、及びスティックフィーダー246A1の各々に対する部品補給作業の計画の、管理の開始時刻を表す管理開始時刻TSを取得する。部品供給監視部342は、第1生産期間TW01での部品搭載基板の生産を開始する時刻を管理開始時刻TSとして取得してもよいし、管理開始を指令する指令情報が操作部32を介して入力された場合に、その指令情報が入力された時刻を管理開始時刻TSとして取得してもよい。
部品供給監視部342は、管理開始時刻TSを取得すると、当該管理開始時刻TSから部品供給装置241、245、246の各々における部品の供給状況を監視する。部品供給監視部342は、部品補給作業が可能な時間帯を表す補給可能時間帯を、部品供給装置241、245、246ごとに特定する。図12に示す例では、AF241A1に対しては補給可能時間帯TWSAが特定され、AF241A2に対しては補給可能時間帯TWSBが特定され、AF241A3に対しては補給可能時間帯TWSCが特定されている。また、トレイフィーダー245A1に対しては補給可能時間帯TWSDが特定され、トレイフィーダー245A2に対しては補給可能時間帯TWSEが特定されている。更に、スティックフィーダー246A1に対しては補給可能時間帯TWSFが特定されている。
補給可能時間帯TWSA〜TWSFの各々における最も早い時刻(以下、「最早時刻」という)は、部品供給装置241、245、246に装着された複数の部品収納部材のうちの、部品供給が先行して行われる先行の部品収納部材が部品切れとなる時刻である。先行の部品収納部材が部品切れとなると、新たな部品収納部材の補給が可能となる。また、補給可能時間帯TWSA〜TWSFの各々における最も遅い時刻(以下、「最遅時刻」という)は、部品供給装置241、245、246に装着された複数の部品収納部材の合計部品残数が所定の部品残数警告値に達する時刻である。
部品供給監視部342は、通信部31から制御部34に与えられた情報であって、各部品実装機2の実装制御装置20からの取付情報JH1、生産計画管理装置4からの生産計画情報JH2、及び基板情報管理装置5からの基板情報JH3に基づいて、部品供給装置241、245、246ごとに補給可能時間帯TWSA〜TWSFを特定する。
具体的には、部品供給監視部342は、まず、取付情報JH1の先行部品残数情報J15に基づき、先行の部品収納部材における部品残数を求める。更に、部品供給監視部342は、基板情報JH3の部品必要数情報J31にて表される、1枚の部品搭載基板の生産に必要な部品種情報J14で特定される部品ごとの必要数を、生産計画情報JH2のサイクルタイム情報J24にて表される、基板品種情報J22で特定される基板ごとの、1枚の部品搭載基板を仕上げるのに要する時間で除算し、1秒当たりの使用部品数を求める。そして、部品供給監視部342は、先行の部品収納部材における前記部品残数を、1秒当たりの前記使用部品数で除算することにより、補給可能時間帯TWSA〜TWSFの各々における最早時刻を求める。一方、部品供給監視部342は、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数から、部品残数警告値情報J17にて表される部品残数警告値を減算した部品数を、1秒当たりの前記使用部品数で除算することにより、補給可能時間帯TWSA〜TWSFの各々における最遅時刻を求める。
ところで、先行部品残数情報J15にて表される先行の部品収納部材における部品残数と、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数は、ヘッドユニット25にて部品が取り出されるごとに減算される。詳細については後述するが、先行の部品収納部材から部品が取り出されるごとに先行部品残数情報J15が更新される。また、先行の部品収納部材が部品切れとなり、部品供給装置241、245、246に対して新たな部品収納部材が補給されたときには、その新たな部品収納部材に収納される部品の数(初期設定数)を、ヘッドユニット25にて部品が取り出されるごとに変化する合計部品残数に加算することにより、合計部品残数が更新される。新たな部品収納部材に収納される部品の数(初期設定数)は、制御部34のROM等に、部品種情報J14で特定される部品ごとに記憶されている。なお、使用途中の部品収納部材が新たな部品収納部材として補給された場合には、その部品収納部材に収納されている実際の部品数にて、制御部34のROM等に記憶されている前記初期設定数が書き換えられる。
部品供給監視部342は、先行部品残数情報J15及び合計部品残数情報J16が更新されることに応じて、所定の周期(例えば30秒周期)で補給可能時間帯TWSA〜TWSFの特定結果を更新する。また、部品供給監視部342は、第1の基板品種の第1生産期間TW01における補給可能時間帯TWSA〜TWSFを特定するように構成されていてもよいし、第1の基板品種に加えて第2の基板品種以降の生産期間をも考慮して補給可能時間帯TWSA〜TWSFを特定するように構成されていてもよい。
<補給管理部について>
次に、補給管理部343は、部品供給監視部342により特定された補給可能時間帯TWSA〜TWSFに基づいて、AF241A1、241A2、241A3、トレイフィーダー245A1、245A2、及びスティックフィーダー246A1の各々に対する部品補給作業の計画を管理する。補給管理部343は、図9に示すように、補給対象特定部3431と補給タイミング特定部3432とを含む。
補給対象特定部3431は、部品供給装置241、245、246の各々における部品の供給状況に基づいて、部品補給作業が可能な部品供給装置を、当該部品補給作業の対象となる部品補給対象装置として特定する。具体的には、補給対象特定部3431は、まず、補給可能時間帯TWSA〜TWSFの各々で重複する重複補給時間帯を認識する。図12に示す例では、補給対象特定部3431は、時系列の早い方から順に、第1重複補給時間帯TWD1、第2重複補給時間帯TWD2、及び第3重複補給時間帯TWD3の、複数の重複補給時間帯を認識している。第1重複補給時間帯TWD1は、AF241A1の補給可能時間帯TWSAと、AF241A2の補給可能時間帯TWSBとで重複する時間帯である。第1重複補給時間帯TWD1の最も早い時刻(最早時刻)は、AF241A2の補給可能時間帯TWSBにおける最早時刻T1に一致し、第1重複補給時間帯TWD1の最も遅い時刻(最遅時刻)は、AF241A1の補給可能時間帯TWSAにおける最遅時刻T2に一致している。
第2重複補給時間帯TWD2は、AF241A3の補給可能時間帯TWSCと、トレイフィーダー245A1の補給可能時間帯TWSDとで重複する時間帯である。第2重複補給時間帯TWD2の最も早い時刻(最早時刻)は、AF241A3の補給可能時間帯TWSCにおける最早時刻T3に一致し、第2重複補給時間帯TWD2の最も遅い時刻(最遅時刻)は、トレイフィーダー245A1の補給可能時間帯TWSDにおける最遅時刻T4に一致している。第3重複補給時間帯TWD3は、トレイフィーダー245A2の補給可能時間帯TWSEと、スティックフィーダー246A1の補給可能時間帯TWSFとで重複する時間帯である。第3重複補給時間帯TWD3の最も早い時刻(最早時刻)は、スティックフィーダー246A1の補給可能時間帯TWSFにおける最早時刻T5に一致し、第3重複補給時間帯TWD3の最も遅い時刻(最遅時刻)は、トレイフィーダー245A2の補給可能時間帯TWSEにおける最遅時刻T6に一致している。
そして、補給対象特定部3431は、各重複補給時間帯TWD1、TWD2、TWD3内で部品補給作業が可能な全ての部品供給装置を、部品補給対象装置として特定する。補給対象特定部3431は、第1〜第3重複補給時間帯TWD1、TWD2、TWD3ごとに、部品補給対象装置を特定する。図12に示す例では、補給対象特定部3431は、第1重複補給時間帯TWD1内で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、AF241A1、241A2を特定する。また、補給対象特定部3431は、第2重複補給時間帯TWD2内で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、AF241A3、トレイフィーダー245A1を特定する。また、補給対象特定部3431は、第3重複補給時間帯TWD3内で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、トレイフィーダー245A2、スティックフィーダー246A1を特定する。
このように、補給対象特定部3431は、各重複補給時間帯TWD1、TWD2、TWD3内で部品補給作業が可能な全ての部品供給装置を、部品補給対象装置として特定する。これにより、各重複補給時間帯TWD1、TWD2、TWD3内で部品収納部材を補給可能な部品供給装置241、245、246に対しては、作業者OPによる部品補給作業をまとめて行う、「まとめ補給」が可能となる。このため、部品供給装置241、245、246が付設された各部品実装機2のもとに作業者OPが行く頻度を低減することができ、作業者OPによる部品補給作業の負荷を軽減することができる。
なお、上記のように、部品供給監視部342による補給可能時間帯TWSA〜TWSFの特定結果が所定の周期で更新されると、補給対象特定部3431は、部品補給対象装置の特定結果を更新する。また、部品供給監視部342と同様に、補給対象特定部3431は、第1の基板品種の第1生産期間TW01における部品補給対象装置を特定するように構成されていてもよいし、第1の基板品種に加えて第2の基板品種以降の生産期間をも考慮して部品補給対象装置を特定するように構成されていてもよい。
次に、補給タイミング特定部3432は、補給対象特定部3431により特定された部品補給対象装置に対して同一の、部品補給作業の補給作業タイミングを、第1〜第3重複補給時間帯TWD1、TWD2、TWD3ごとに特定する。図12に示す例では、補給タイミング特定部3432は、AF241A1、241A2に対して同一の、第1重複補給時間帯TWD1内での部品補給作業のタイミングとして、第1補給作業タイミングTH1を特定する。また、補給タイミング特定部3432は、AF241A3、トレイフィーダー245A1に対して同一の、第2重複補給時間帯TWD2内での部品補給作業のタイミングとして、第2補給作業タイミングTH2を特定する。また、補給タイミング特定部3432は、トレイフィーダー245A2、スティックフィーダー246A1に対して同一の、第3重複補給時間帯TWD3内での部品補給作業のタイミングとして、第3補給作業タイミングTH3を特定する。
補給タイミング特定部3432は、第1重複補給時間帯TWD1内での第1補給作業タイミングTH1として、第1重複補給時間帯TWD1の最早時刻T1を特定することが望ましい。第1重複補給時間帯TWD1の最早時刻T1は、当該第1重複補給時間帯TWD1内で最も早い時刻である。このような、第1重複補給時間帯TWD1内で最も早い時刻となる最早時刻T1を、第1補給作業タイミングTH1とすることによって、作業者OPは、時間的な余裕がある状態で、AF241A1、241A2に対する部品補給作業を、まとめて行うことができる。
同様に、補給タイミング特定部3432は、第2重複補給時間帯TWD2内での第2補給タイミングTH2として第2重複補給時間帯TWD2の最早時刻T3を特定し、第3重複補給時間帯TWD3内での第3補給タイミングTH3として第3重複補給時間帯TWD3の最早時刻T5を特定することが望ましい。
(補給管理部の変形例)
また、補給対象特定部3431は、第1生産期間TW01を、所定の特定時間を時間間隔とする複数の特定期間TW11、TW12、TW13に区画するように構成されていてもよい。各特定期間TW11、TW12、TW13の時間間隔を規定する前記特定時間は、操作部32を介して作業者OPにより入力され、例えば30分間などの任意の時間に設定される。以下では、時系列の順序で早い方から順に、第1特定期間TW11、第2特定期間TW12、第3特定期間TW13と称する。第1〜第3特定期間TW11、TW12、TW13の各々における時間間隔は、一定に設定される。なお、第1〜第3特定期間TW11、TW12、TW13の時間間隔を規定する前記特定時間は、設定部341により設定される前記作業許容時間と同値であってもよい。
補給対象特定部3431は、部品供給装置241、245、246の各々に対応した補給可能時間帯TWSA〜TWSFで重複する第1〜第3重複補給時間帯TWD1〜TWD3を認識する。更に、補給対象特定部3431は、第1〜第3特定期間TW11、TW12、TW13の各々において、第1〜第3重複補給時間帯TWD1〜TWD3のいずれかの時間帯の最早時刻が含まれるか否かを判断する。図12に示す例では、第1特定期間TW11に第1重複補給時間帯TWD1の最早時刻が含まれ、第2特定期間TW12に第2重複補給時間帯TWD2の最早時刻が含まれ、第3特定期間TW13に第3重複補給時間帯TWD3の最早時刻が含まれている。
この場合、補給対象特定部3431は、第1重複補給時間帯TWD1内において、当該第1重複補給時間帯TWD1の最早時刻と、第1特定期間TW11の最も遅い時刻(最遅時刻)との間の時間帯で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、AF241A1、241A2を特定する。また、補給対象特定部3431は、第2重複補給時間帯TWD2内において、当該第2重複補給時間帯TWD2の最早時刻と、第2特定期間TW12の最も遅い時刻(最遅時刻)との間の時間帯で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、AF241A3、トレイフィーダー245A1を特定する。また、補給対象特定部3431は、第3重複補給時間帯TWD3内において、当該第3重複補給時間帯TWD3の最早時刻と、第3特定期間TW13の最も遅い時刻(最遅時刻)との間の時間帯で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、トレイフィーダー245A2、スティックフィーダー246A1を特定する。
補給タイミング特定部3432は、第1重複補給時間帯TWD1内において、当該第1重複補給時間帯TWD1の最早時刻と、第1特定期間TW11の最遅時刻との間の時間帯内で、AF241A1、241A2に対して同一の第1補給作業タイミングTH1を特定する。また、補給タイミング特定部3432は、第2重複補給時間帯TWD2内において、当該第2重複補給時間帯TWD2の最早時刻と、第2特定期間TW12の最遅時刻との間の時間帯内で、AF241A3、トレイフィーダー245A1に対して同一の第2補給作業タイミングTH2を特定する。また、補給タイミング特定部3432は、第3重複補給時間帯TWD3内において、当該第3重複補給時間帯TWD3の最早時刻と、第3特定期間TW13の最遅時刻との間の時間帯内で、トレイフィーダー245A2、スティックフィーダー246A1に対して同一の第3補給作業タイミングTH3を特定する。
(補給管理部により生成される部品補給管理情報について)
補給管理部343の補給対象特定部3431は、部品補給対象装置の特定結果を表す情報として、図13に示す部品補給管理情報JH4を生成する。補給対象特定部3431は、部品補給対象装置を特定する際に設定した、図12に示す各重複補給時間帯TWD1,TWD2,TWD3、又は各特定期間TW11,TW12,TW13毎に、部品補給管理情報JH4を生成する。換言すると、部品補給管理情報JH4は、補給タイミング特定部3432により特定された各補給タイミングTH1,TH2,TH3(図12参照)毎に、補給対象特定部3431により生成される。部品補給管理情報JH4は、作業リスト情報J4に、設定部341により設定された作業許容時間WPTを表す作業許容時間情報J40と、後述の作業進捗判定部344による部品補給作業の進捗状況の判定結果を表す作業進捗状況情報とが付加された情報である。部品補給管理情報JH4において、作業リスト情報J4は、部品補給対象装置が配置される部品実装機2の作業領域WAを表す作業対象領域を、当該作業対象領域内で部品補給作業が実施される部品補給対象装置と関連付けてリスト化した情報である。作業リスト情報J4においては、部品補給対象装置が配置される作業対象領域が、作業者OPの移動経路6Rの上流から下流に向かって順番に並べられてリスト化されている。
作業リスト情報J4は、図13に示すように、移動経路番号情報J41、作業対象領域番号情報J42、部品実装ライン名情報J43、レーン名情報J44、前記実装機種情報J11、前記セット位置情報J12、前記装置種情報J13、前記部品種情報J14、前記合計部品残数情報J16、前記部品必要数情報J31、補給可能時間情報J45、警告時間情報J46、停止時間情報J47、生産可能時間情報J48、作業進捗状況情報J49、及び作業標準時間情報J50が関連付けられた情報である。
作業リスト情報J4を構成する各情報について、図13及び図14を参照して説明する。なお、図14に示す例では、第1部品実装機2Aの第1作業領域WA1には、複数のAF241とスプライシングフィーダーSPFとが混在して配置され、これらのうちの2台のAF241AとスプライシングフィーダーSPFとが補給対象特定部3431によって部品補給対象装置として特定され、これにより第1作業領域WA1が作業対象領域とされている。第2部品実装機2Bの第2作業対象領域WA2には、複数のAF241が配置され、これらのうちの1台のAF241Aが補給対象特定部3431によって部品補給対象装置として特定され、これにより第2作業領域WA2が作業対象領域とされている。第3部品実装機2Cの第3作業対象領域WA3には、複数のAF241が配置され、これらのうちの4台のAF241Aが補給対象特定部3431によって部品補給対象装置として特定され、これにより第3作業領域WA3が作業対象領域とされている。第4部品実装機2Dの第4作業領域WA4には、複数のトレイフィーダー245が配置され、これらのうちの2台のトレイフィーダー245Aが補給対象特定部3431によって部品補給対象装置として特定され、これにより第4作業領域WA4が作業対象領域とされている。第5部品実装機2Eの第5作業領域WA5には、複数のAF241が配置されているが、これらの中には補給対象特定部3431によって部品補給対象装置として特定された装置は存在していない。第6部品実装機2Fの第6作業領域WA6には、複数のスティックフィーダー246が配置され、これらのうちの2台のスティックフィーダー246Aが補給対象特定部3431によって部品補給対象装置として特定され、これにより第6作業領域WA6が作業対象領域とされている。
移動経路番号情報J41は、作業エリアTWA内における移動経路6Rを特定するための移動経路番号を表す情報である。部品補給管理情報JH4の作業リスト情報J4は、移動経路6R毎に生成されている。そして、1つの移動経路6Rに対して1つの移動経路番号が割り当てられているので、1つの部品補給管理情報JH4の作業リスト情報J4においては、移動経路番号情報J41にて表される移動経路番号は同じとされる。作業リスト情報J4においては、移動経路番号情報J41にて表される移動経路番号が同じである1つの移動経路6Rの上流から下流に向かって順番に、部品補給対象装置が配置される作業対象領域が並べられている。つまり、作業リスト情報J4においては、上から下へと向かう順に、移動経路6R上を上流から下流に向かって移動しながら作業者OPにより実施される部品補給作業が並べられている。作業対象領域番号情報J42は、補給対象特定部3431により特定された部品補給対象装置が配置される各作業対象領域(第1作業領域WA1、第2作業領域WA2、第3作業領域WA3、第4作業領域WA4、第6作業領域WA6)を識別するための情報である。部品実装ライン名情報J43は、作業エリアTWA内における部品実装ライン2Lを特定するための情報である。レーン名情報J44は、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域が、各部品実装機2A〜2Fの−Y側及び+Y側の何れに位置する作業領域の並び(レーン)に属するかを表す情報である。
補給可能時間情報J45は、作業対象領域番号情報J42にて表される各作業対象領域において、セット位置情報J12にて表されるセット位置に配置される部品補給対象装置に対し、部品補給作業が可能となるまでの現時点からの時間を表す情報である。部品補給作業が可能となるまでの時間は、先行部品残数情報J15にて表される先行の部品収納部材における部品残数、又は、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数に応じて変化する。このため、補給可能時間情報J45は、先行部品残数情報J15又は合計部品残数情報J16が更新されることに応じて、所定の周期(例えば30秒周期)で更新される。
警告時間情報J46は、セット位置情報J12にて表されるセット位置に配置される部品補給対象装置において、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数が部品残数警告値に達するまでの現時点からの時間を表す情報である。警告時間情報J46は、合計部品残数情報J16が更新されることに応じて、所定の周期(例えば30秒周期)で更新される。停止時間情報J47は、セット位置情報J12にて表されるセット位置に配置される部品補給対象装置において、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数が部品残数停止値に達するまでの現時点からの時間を表す情報である。部品補給対象装置としてのAF241A、トレイフィーダー(TF)245A、及びスティックフィーダー(SF)246Aにおいて、例えば前記部品残数停止値がゼロ(0)に設定された場合、停止時間情報J47は合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数がゼロ(0)に達するまでの現時点からの時間を表す情報となる。部品補給対象装置としてのスプライシングフィーダーSPFにおいて、例えば前記部品残数停止値がスプライシング作業用にテープの送出を停止すべき所定値に設定された場合、停止時間情報J47は合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数が前記所定値に達するまでの現時点からの時間を表す情報となる。生産可能時間情報J48は、セット位置情報J12にて表されるセット位置に配置される部品補給対象装置において、部品搭載基板の生産に応じた部品供給の継続が可能な時間となる生産可能時間を表す情報である。生産可能時間情報J48にて表される生産可能時間は、現時点からの部品供給の継続が可能な時間範囲を示す。また、生産可能時間情報J48にて表される生産可能時間は、設定によって変えられるようにしてもよいが、停止時間情報J47にて表される停止時間と同じとなるのが通常である。
警告時間情報J46、停止時間情報J47及び生産可能時間情報J48の各々は、合計部品残数情報J16が更新されることに応じて、所定の周期(例えば30秒周期)で更新される。また、警告時間情報J46、停止時間情報J47及び生産可能時間情報J48の各々は、部品補給対象装置に対して部品補給作業の実施が必要となるまでの制限時間を表す部品補給制限時間を規定する情報でもある。部品供給装置241,245,246には、部品補給制限時間が設定されている。部品補給制限時間としては、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数が部品残数警告値に達するまでの時間、合計部品残数情報J16にて表される合計部品残数が部品残数停止値に達するまでの時間、並びに、部品補給対象装置による部品供給の継続が不能となるまでの時間、などが挙げられる。つまり、部品補給制限時間に達するまでに部品補給対象装置に対する部品補給作業を実施しないと、部品補給対象装置による部品供給停止の可能性が高まり、部品搭載基板の生産に影響を及ぼす。
作業進捗状況情報J49は、後述の作業進捗判定部344による部品補給作業の進捗状況の判定結果を表す情報である。作業標準時間情報J50は、部品補給対象装置に対する部品補給作業の作業開始から作業終了までに要する作業標準時間を表す情報である。作業標準時間情報J50にて表される作業標準時間は、部品補給作業の作業種ごとに設定されている。例えば、AF241Aに対して新たなリールを補給する部品補給作業の作業標準時間は「30秒」に設定され、トレイフィーダー245Aに対して新たなパレットを補給する部品補給作業の作業標準時間は「50秒」に設定され、スティックフィーダー246Aに対して新たなスティックを補給する部品補給作業の作業標準時間は「45秒」に設定されている。また、スプライシングフィーダーSPFに対するスプライシング作業の作業標準時間は、例えば「90秒」に設定されている。なお、作業標準時間情報J50にて表される作業標準時間は、作業者OPの各部品補給作業に対する作業能力に応じて重み付け係数が付されたものであってもよい。
補給対象特定部3431により生成された作業リスト情報JH4を含む部品補給管理情報JH4は、部品補給管理システム3の記憶部346に記憶されるとともに、表示部33に表示される。更には、部品補給管理情報JH4は、通信部31を介して各部品実装機2の実装制御装置20、及び作業者OPが携帯する携帯端末装置7に送信される。部品補給管理システム3の記憶部346は、補給対象特定部3431が所定の周期で部品補給対象装置の特定結果を更新することに応じて更新された作業リスト情報J4を含む部品補給管理情報JH4を記憶する。各部品実装機2の実装制御装置20に部品補給管理情報JH4が入力されると、実装制御装置20の表示部203には当該部品補給管理情報JH4が表示される。また、作業者OPが携帯する携帯端末装置7に部品補給管理情報JH4が入力されると、携帯端末装置7には当該部品補給管理情報JH4が表示される。
作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に基づいて、作業エリアTWA内において、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域に順次移動し、各作業対象領域において部品補給作業を実施することができる。各作業対象領域において部品補給作業を実施するに際しては、作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に基づいて、当該作業対象領域に配置された部品補給対象装置を把握することができる。
<作業進捗判定部について>
次に、作業進捗判定部344は、補給対象特定部3431により特定された部品補給対象装置の各々に対して実施される部品補給作業の進捗状況をリアルタイムに監視し、当該進捗状況が作業終了及び作業未実施の何れの状況であるかを判定する。作業進捗判定部344による部品補給作業の進捗状況の判定結果を表す作業進捗状況情報J49は、前述したように、部品補給管理情報JH4の作業リスト情報J4に付加される。
作業進捗判定部344は、作業者OPによる部品補給対象装置に対する部品補給作業が未実施である場合、当該部品補給作業を「作業未実施」と判定し、その判定結果を表す作業進捗状況情報J49を作業リスト情報J4に付加する。図13及び図14に示す例では、作業進捗判定部344は、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域(第2作業領域WA2、第3作業領域WA3、第4作業領域WA4、第6作業領域WA6)での部品補給作業が「作業未実施」であると判定している。そして、作業進捗判定部344は、これらの作業対象領域に対応した作業進捗状況情報J49を、「未実施」としている。
作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域において、作業者OPによるバーコードリーダ8を用いた部品種特定用バーコードの読取操作が行われると、当該作業対象領域が設定された部品実装機2の実装制御装置20に、外部入出力部204を介して補給部品種情報JH01(図14)が入力される。補給部品種情報JH01が入力された実装制御装置20は、通信部201を介して当該補給部品種情報JH01を部品補給管理システム3へ送信する。部品補給管理システム3では、実装制御装置20から送信された補給部品種情報JH01を通信部31が受信すると、作業進捗判定部344は、作業リスト情報J4に基づき部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」から「作業開始」へ移行したと判定する。より詳しく説明すると、作業進捗判定部344は、補給部品種情報JH01が入力されると、当該補給部品種情報JH01の部品種と同種の部品を表す部品種情報J13と関連付けられたセット位置情報J12を抽出する。そして、作業進捗判定部344は、抽出したセット位置情報J12にて表されるセット位置に配置された部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況が、「作業未実施」から「作業開始」へ移行したと判定する。
作業者OPによるバーコードリーダ8を用いた部品種特定用バーコードの読取操作が行われた後に、部品補給対象装置から補給検知情報JH02(図14)が出力されると、フィーダー制御部240から実装制御装置20へ補給検知情報JH02が送信される。補給検知情報JH02は、部品補給対象装置に対する部品補給作業が終了したことを表す情報である。例えば、部品補給対象装置がAF241Aである場合、第1テープ検知センサ2416Aが部品収納テープを検知したときに当該第1テープ検知センサ2416Aから出力される検知情報が、AF241Aに対する部品補給作業が終了したことを表す補給検知情報JH02となる。
補給検知情報JH02が入力された実装制御装置20は、通信部201を介して当該補給検知情報JH02を部品補給管理システム3へ送信する。部品補給管理システム3では、実装制御装置20から送信された補給検知情報JH02を通信部31が受信すると、作業進捗判定部344は、作業リスト情報JH4に基づき部品補給作業の進捗状況が「作業開始」から「作業終了」へ移行したと判定する。
より詳しく説明すると、作業進捗判定部344は、補給検知情報JH02が入力されると、当該補給検知情報JH02を出力した部品補給対象装置が配置されたセット位置を表すセット位置情報J12を抽出する。そして、作業進捗判定部344は、抽出したセット位置情報J12にて表されるセット位置に配置された部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況が、「作業開始」から「作業終了」へ移行したと判定し、その判定結果を表す作業進捗状況情報J49を作業リスト情報J4に付加する。図13及び図14に示す例では、作業進捗判定部344は、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域である第1作業領域WA1において、セット位置情報J12にて表されるセット位置「S11」、「S12」に配置されたAF241A、セット位置「S13」に配置されたスプライシングフィーダーSPFに対する部品補給作業の進捗状況が、「作業開始」から「作業終了」へ移行したと判定している。そして、作業進捗判定部344は、セット位置情報J12のセット位置「S11」、「S12」、「S13」に対応した作業進捗状況情報J49を、「作業終了」としている。
<抽出部について>
部品補給管理情報JH4に基づき作業者OPが作業エリアTWA内での部品補給作業を開始する前において、補給対象特定部3431により特定された全ての部品補給対象装置に対する部品補給作業について、作業標準時間情報J50にて表される作業標準時間の合計が、作業許容時間情報J40にて表される作業許容時間WPTを超えている場合がある。このような場合、作業エリアTWA内での部品補給作業の開始前に、抽出部345は、補給対象特定部3431により特定された全ての部品補給対象装置のうち、作業許容時間WPT内で部品補給作業が実施されるべき部品補給対象装置を抽出する初期抽出動作を実行する。
抽出部345は、部品補給管理情報JH4の作業リスト情報J4に基づいて、前記初期抽出動作を実行する。具体的には、初期抽出動作において抽出部345は、作業リスト情報J4の警告時間情報J46、停止時間情報J47又は生産可能時間情報J48にて表される各時間(部品補給制限時間)に基づき、部品補給作業の実施の優先度が高い順に、作業許容時間WPT内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する。抽出部345は、生産可能時間情報J48にて表される生産可能時間が短いものを、部品補給作業の実施の優先度が高いものとする。但し、抽出部345は、警告時間情報J46又は停止時間情報J47にて表される各時間が短いものを、部品補給作業の実施の優先度が高いものとして認識するように構成されていてもよい。抽出部345による初期抽出動作において抽出されなかった部品補給対象装置に対する部品補給作業は、作業者OPによる次回の作業エリアTWA内の巡回時に実施が先送りされることになる。なお、補給対象特定部3431が作業許容時間WPTを時間間隔とする特定期間TW11、TW12、TW13内で部品補給作業が可能な部品補給対象装置を特定するように構成されていた場合には、抽出部345は、前記初期抽出動作を省略する。
作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に基づいて、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域に順次移動し、各作業対象領域において部品補給作業を実施する。この部品補給作業の実施の過程で作業に手間取るなどした場合、作業者OPが部品補給管理情報JH4に基づいて移動経路6R上を移動しながら順番に部品補給作業を実施していると、全ての部品補給対象装置に対する部品補給作業が終了しないうちに作業許容時間WPTが経過してしまう可能性がある。作業許容時間WPT内で終了できなかった部品補給作業の中に実施の不可欠な作業が存在していた場合には、部品補給作業の未実施の影響で部品供給装置241,245,246からの部品の供給が停止し、部品搭載基板の生産効率の低下を招いてしまう虞がある。
そこで、抽出部345は、部品補給管理情報JH4の作業リスト情報J4における作業進捗状況情報J49にて表される部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置のうち、作業者OPによる作業エリアTWA内での作業時間が作業許容時間WPTに達するまでに部品補給作業が実施されるべき部品補給対象装置を抽出する。抽出部345による抽出動作は、1つの部品補給対象装置に対する部品補給作業が終了されるごとに、すなわち1つの部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」から「作業終了」に移行したと作業進捗判定部344により判定されるごとに、実行される。或いは、抽出部345による抽出動作は、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域に配置される部品補給対象装置に対する各部品補給作業が終了されるごとに、実行される。
より詳しく説明すると、抽出部345は、作業者OPによる作業エリアTWA内での作業時間が作業許容時間WPTに達するまでの残り時間LTを計時する。図15及び図16に示すように、抽出部345によって計時された残り時間LTを表す残り時間情報J51は、部品補給管理情報JH4に付加される。そして、抽出部345は、作業進捗状況情報J49にて表される部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置のうち、残り時間LT内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する。抽出部345は、作業リスト情報J4の警告時間情報J46、停止時間情報J47又は生産可能時間情報J48にて表される各時間(部品補給制限時間)に基づき、部品補給作業の実施の優先度が高い順に、残り時間LT内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する。抽出部345は、生産可能時間情報J48にて表される生産可能時間が短いものを、部品補給作業の実施の優先度が高いものとする。但し、抽出部345は、警告時間情報J46又は停止時間情報J47にて表される各時間が短いものを、部品補給作業の実施の優先度が高いものとして認識するように構成されていてもよい。抽出部345は、作業リスト情報J4の作業標準時間情報J50にて表される作業標準時間の合計が、残り時間LTを超えない範囲で部品補給対象装置を抽出する。すなわち、抽出部345による抽出対象の部品補給対象装置に対する部品補給作業の作業標準時間を合計した合計作業時間TOは、残り時間LTを超えないようにされている。図15及び図16に示すように、前記合計作業時間TOを表す合計作業時間情報J52は、部品補給管理情報JH4に付加される。
抽出部345は、作業進捗状況情報J49にて表される部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置において、抽出対象外の部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況を、「スキップ」状態とする。このとき、抽出部345は、抽出対象外の部品補給対象装置に対応した部品補給制限時間(警告時間、停止時間又は生産可能時間)が、作業者OPによる次回の作業エリアTWA内の巡回時に設定される作業許容時間内であることを確認した上で、当該抽出対象外の部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況を「スキップ」状態とする。抽出部345によって作業進捗状況情報J49が「スキップ」状態とされた部品補給作業は、作業者OPによる次回の作業エリアTWA内の巡回時に実施が先送りされることになる。
ここで、スプライシングフィーダーSPFに対するスプライシング作業のように、作業実施タイミングが先行の部品収納テープの部品切れに拘束される部品補給作業は、作業の実施が可能なときには常に優先度が高い状態であるので、作業者OPによる次回の巡回時に先送りすることはできない。一方、AF241A、トレイフィーダー245A、及びスティックフィーダー246Aに対しては部品補給作業をまとめて行う「まとめ補給」が可能であり、この「まとめ補給」は、先行の部品収納部材の部品切れに拘束されることなく、後続の部品収納部材を装着可能な状態であればいつでも行うことができる。このため、「まとめ補給」の対象となる部品補給対象装置に対する部品補給作業は、作業の実施が可能なときに常に優先度が高い状態であるわけではなく、作業者OPによる次回の巡回時に先送りすることが可能となる。つまり、部品収納部材を複数装着可能な部品供給装置241,245,246に対する部品補給作業のように、「まとめ補給」が可能な作業であるからこそ、「次回の巡回時に先送りする」という概念の適用が可能である。
図15に示す例では、抽出部345は、まず、作業進捗状況情報J49にて表される部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置を、警告時間情報J46、停止時間情報J47又は生産可能時間情報J48にて表される部品補給制限時間が短い順(部品補給作業の実施の優先度が高い順)に並べる。そして、抽出部345は、作業標準時間情報J50にて表される作業標準時間を合計した合計作業時間TOが、残り時間LTを超えない範囲で、部品補給対象装置を抽出する。図15に示す例では、セット位置「S21」にセットされたAF241A、セット位置「S31」にセットされたAF241A、セット位置「S41」にセットされたトレイフィーダー245A、セット位置「S33」にセットされたAF241Aが、抽出部345による抽出対象とされている。更に、抽出部345は、抽出対象外の部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況を「スキップ」状態とする。図15に示す例では、セット位置「S61」,「S62」にセットされたスティックフィーダー246A、セット位置「S32」,「S34」にセットされたAF241A、セット位置「S42」にセットされたトレイフィーダー245Aが抽出対象外とされ、それらに対する部品補給作業の進捗状況が「スキップ」状態とされている。
部品補給対象装置の抽出を完了すると、抽出部345は、警告時間情報J46、停止時間情報J47又は生産可能時間情報J48にて表される部品補給制限時間が短い順に並べられた作業リスト情報J4(図15参照)を、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域が移動経路6Rの上流から下流に向かって順番に並べられた作業リスト情報J4に変換する(図16参照)。抽出部345は、並び順を変換した作業リスト情報J4を含む部品補給管理情報JH4を、部品補給対象装置の抽出結果が反映された部品補給管理情報JH4として出力する。
抽出部345から出力された、部品補給対象装置の抽出結果が反映された部品補給管理情報JH4は、携帯端末装置7等に表示される。作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された、部品補給対象装置の抽出結果が反映された部品補給管理情報JH4に基づいて、作業進捗状況情報J49が「スキップ」状態とされた部品補給作業の実施を先送りすればよい。そして、作業者OPは、抽出部345によって抽出された部品補給対象装置に対する、実施の不可欠な優先度の高い部品補給作業を、作業許容時間WPT内で実施することができる。これにより、作業者OPによる部品補給対象装置に対する部品補給作業の効率化を図ることが可能となる。
抽出部345による上記の抽出動作が、例えば1つの部品補給対象装置に対する部品補給作業が終了されるごとに繰り返され、その抽出動作の抽出結果が反映された部品補給管理情報JH4に基づき作業者OPによる部品補給作業が進行していく。図17に示す例では、作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に基づいて、移動経路6R上を移動しつつ、作業対象領域番号情報J42にて表される作業対象領域としての第1作業領域WA1、第2作業領域WA2、第3作業領域WA3、第4作業領域WA4の順に部品補給作業を実施している。第1作業領域WA1のセット位置「S11」,「S12」,「S13」、第2作業領域WA2のセット位置「S21」、第3作業領域WA3のセット位置「S31」,「S33」の各セット位置にセットされた部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況が「作業終了」状態とされ、第3作業領域WA3のセット位置「S32」,「S34」にセットされた部品補給対象装置に対する部品補給作業が「スキップ」状態とされている。
そして、作業者OPは第4作業領域WA4に滞在し、セット位置「S41」にセットされた部品補給対象装置に対する部品補給作業の実施に応じて進捗状況が「作業終了」状態とされている。図17に示す例では、この時点で、部品補給作業が早く進むことなどにより、作業者OPによる作業エリアTWA内での作業時間が作業許容時間WPTに達しておらず、抽出部345による抽出動作が実行される。抽出部345による抽出動作によって第6作業領域WA6のセット位置「S61」,「S62」にセットされたスティックフィーダー246Aが、残り時間LT内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置として抽出されている。抽出部345による最新の抽出動作によって抽出されたセット位置「S61」,「S62」にセットされた部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況は、「作業未実施」状態とされる。
抽出部345による最新の抽出動作によって抽出されたセット位置「S61」,「S62」にセットされた部品補給対象装置は、以前の抽出動作では抽出対象外とされ、当該部品補給対象装置に対する部品補給作業が「スキップ」状態とされていた(図16参照)。このように、抽出部345による抽出動作が繰り返される過程で、部品補給作業が早く進むことなどにより、抽出対象外の「スキップ」状態とされていた部品補給対象装置が、残り時間LT内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置として抽出される場合がある。但し、図17に示す例のように、作業者OPが第4作業領域WA4に滞在している状態においては、当該第4作業領域WA4よりも上流側に位置する第3作業領域WA3は通過してしまっている。このため、作業者OPが通過した第3作業領域WA3のセット位置「S32」,「S34」にセットされた部品補給対象装置は、抽出部345によって抽出されることはない。なお、上記のように、抽出部345は、作業者OPが通過したか否かの判断に基づき、「スキップ」状態とされていた部品補給対象装置から、残り時間LT内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する。この場合、抽出部345は、部品実装機2に設定された作業領域WA毎に作業者OPの通過を判断するように構成されるのが望ましいが、作業領域WAに配置された部品供給装置毎に作業者OPの通過を判断するように構成されていてもよい。
以上説明したように、部品補給管理システム3では、作業エリアTWA内での作業者OPの作業許容時間WPTが設定部341によって設定され、作業者OPによる部品補給作業の対象となる部品補給対象装置が補給対象特定部3431によって特定される。作業者OPは、作業許容時間WPTを目安とし、作業エリアTWA内において移動経路6R上を移動しながら部品補給対象装置に対する部品補給作業を実施することができる。部品補給作業の実施の過程で作業に手間取るなどした場合、作業者OPが移動経路6R上を移動しながら順番に部品補給作業を実施していると、全ての部品補給対象装置に対する部品補給作業が終了しないうちに作業許容時間WPTが経過してしまう可能性がある。そこで、作業エリアTWA内での作業者OPによる部品補給作業の進捗状況が、作業進捗判定部344によってリアルタイムに判定される。そして、抽出部345は、部品補給作業のリアルタイムな進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置のうち、作業者OPによる作業エリアTWA内での作業時間が作業許容時間WPTに達するまでに部品補給作業が実施されるべき部品補給対象装置を抽出する。これにより、作業者OPは、抽出部345による抽出対象外の部品補給対象装置に対する部品補給作業を先送りし、抽出部345によって抽出された部品補給対象装置に対する、実施の不可欠な優先度の高い部品補給作業を作業許容時間WPT内で実施することができる。
なお、抽出部345は、抽出対象外の部品補給対象装置を「スキップ」状態とする代わりに、又は「スキップ」状態とすると共に、他の作業者にその部品補給対象装置への部品補給作業を依頼するための情報(作業依頼情報)が付加された部品補給管理情報JH4を出力するように構成されていてもよい。前記作業依頼情報が付加された部品補給管理情報JH4は、他の作業者を含めた各作業者OPが携帯する携帯端末装置7等に表示される。他の作業者は、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に付加された前記作業依頼情報に基づいて、「スキップ」状態とされた部品補給作業を実施することができる。
また、移動経路6Rの終点6REに作業者OPが到達し、「スキップ」状態とされた部品補給対象装置に対する部品補給作業以外の全ての部品補給作業が終了したときに、作業者OPによる作業エリアTWA内での作業時間が作業許容時間WPTに達していない場合がある。この場合、抽出部345は、例えば「スキップ」状態とされた部品補給対象装置に対する部品補給作業の実施を要請するための情報(作業要請情報)が付加された部品補給管理情報JH4を出力するように構成されていてもよい。前記作業要請情報が付加された部品補給管理情報JH4は、各作業者OPが携帯する携帯端末装置7等に表示される。作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に付加された前記作業要請情報にて要請される部品補給作業について、移動経路6Rを終点6REから始点6RSに向かって逆戻りして実施することができる。
また、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4の作業リスト情報J4に基づいて作業者OPが順次部品補給作業を進行していく過程で、例えば一の部品実装機2に設定された作業領域WAでの部品補給作業を忘れて、次の部品実装機2に設定された作業領域WAでの部品補給作業を開始してしまう場合がある。この場合、抽出部345は、作業者OPが忘れた一の部品補給作業の進捗状況を「スキップ」状態とするように構成されていてもよい。但し、作業者OPが忘れた一の部品補給作業が、作業許容時間WPT内での実施が不可欠な優先度の高い作業である場合には、抽出部345は、部品補給作業が忘れられていることを警告するための警告情報を出力する。抽出部345が前記警告情報を出力するタイミングは、例えば、次の部品実装機2の実装制御装置20からの補給部品種情報JH01が通信部31を介して入力されたタイミングである。作業者OPは、前記警告情報に基づいて、部品補給作業を忘れていることを認識することができる。或いは、抽出部345は、一の部品補給作業が忘れられた状態で、次の部品実装機2の実装制御装置20からの補給部品種情報JH01が通信部31を介して入力されたときに、当該次の部品実装機2に設定された作業領域WAでの部品補給作業を不許可とする作業不許可情報を出力するように構成されていてもよい。前記作業不許可情報は、一の部品補給作業が終了されない限り、前記補給部品種情報JH01に対応した部品補給作業の実施を不許可とする情報である。作業者OPは、前記作業不許可情報に基づいて、忘れていた部品補給作業を実施した後に、前記補給部品種情報JH01に対応した部品補給作業を実施することができる。
また、今回の部品補給作業の対象となる部品補給対象装置として、例えば第1重複補給時間帯TWD1に属する部品供給装置が抽出部345によって抽出された場合を想定する。この場合、第1重複補給時間帯TWD1に属する部品供給装置が部品補給対象装置とされているが、例えば第2重複補給時間帯TWD2に属する部品供給装置について、第1重複補給時間帯TWD1の範囲内での部品補給作業が可能である場合がある。この部品供給装置について、移動経路6Rの終点6REに作業者OPが到達し、第1重複補給時間帯TWD1に属する部品補給対象装置に対する部品補給作業の全てが終了すると想定されるタイミングにおいて、作業者OPによる作業時間が作業許容時間WPTに達していないと想定される場合、抽出部345は次のように動作するように構成されていてもよい。すなわち、抽出部345は、次回の部品補給作業の対象として予定されていた、第2重複補給時間帯TWD2に属する部品供給装置に対する部品補給作業の実施を許可するための情報(作業許可情報)が付加された部品補給管理情報JH4を出力する。抽出部345が前記作業許可情報を付加した部品補給管理情報JH4を出力するタイミングは、作業者OPの移動経路6R上の移動途中であってもよいし、作業者OPが移動経路6Rの終点6REに到達した時点であってもよい。前記作業許可情報が付加された部品補給管理情報JH4は、各作業者OPが携帯する携帯端末装置7等に表示される。作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4に付加された前記作業許可情報に基づいて、第2重複補給時間帯TWD2に属する部品供給装置に対する部品補給作業を実施することができる。
<部品補給管理システムの動作の変形例について>
設定部341は、作業エリアTWAを複数の単位エリアに区画し、当該単位エリアごとに制限時間を、合計時間が作業許容時間WPTとなるように設定する構成であってもよい。この場合、抽出部345は、単位エリアごとに部品補給対象装置を抽出するように構成される。
(第1変形例)
図18Aは、部品補給管理システム3の動作の第1変形例を説明するための図である。設定部341は、移動経路6Rが均等に分割されるように、又は、部品補給対象装置の存在数が均等になるように、作業エリアTWAを複数の単位エリアTWA1,TWA2に区画する。或いは、設定部341は、作業エリアTWAを部品実装ライン2Lのラインごとに区画してもよい。図18Aに示す例では、設定部341は、移動経路6Rが均等に2分割されるように作業エリアTWAを、第1単位エリアTWA1と第2単位エリアTWA2とに区画している。以下では、設定部341が作業エリアTWAを2分割するように第1単位エリアTWA1と第2単位エリアTWA2とに区画する例について説明する。
設定部341は、第1及び第2単位エリアTWA1,TWA2ごとに制限時間を、合計時間が作業許容時間WPTとなるように設定する。この際、設定部341は、各単位エリアTWA1,TWA2に存在する部品補給対象装置に対する部品補給作業の作業標準時間に基づいて、各単位エリアTWA1,TWA2の制限時間を設定する。或いは、設定部341は、作業許容時間WPTが各単位エリアTWA1,TWA2に対して均等に分配されるように、各単位エリアTWA1,TWA2の制限時間を設定してもよい。
上記のように、設定部341によって作業エリアTWAが複数の第1及び第2単位エリアTWA1,TWA2に区画された場合、抽出部345は、単位エリアTWA1,TWA2ごとに部品補給対象装置を抽出する。抽出部345による抽出動作を、図19を参照して以下に説明する。図19は、部品補給管理システム3の動作の変形例に関し、抽出部345による抽出動作が実行された場合の抽出結果が付加された部品補給管理情報JH4Aを説明するための図である。なお、図19に示す部品補給管理情報JH4Aは、前述の図13等に示す部品補給管理情報JH4と同様に、作業リスト情報J4及び作業許容時間情報J40を含み、更には、設定部341によって単位エリアTWA1,TWA2ごとに設定された制限時間を表す制限時間情報J5を含んでいる。
抽出部345は、作業者OPによる単位エリアTWA1,TWA2内での作業時間が、制限時間情報J5にて表される制限時間に達するまでの残り時間LT1,LT2を、単位エリアTWA1,TWA2ごとに計時する。図19に示すように、抽出部345によって計時された残り時間LT1,LT2を表す残り時間情報J51は、部品補給管理情報JH4Aに付加される。そして、抽出部345は、作業リスト情報J4内の作業進捗状況情報にて表される部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置のうち、残り時間LT1,LT2内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を、単位エリアTWA1,TWA2ごとに抽出する。
抽出部345は、作業リスト情報J4内の警告時間情報、停止時間情報又は生産可能時間情報にて表される部品補給制限時間に基づき、部品補給作業の実施の優先度が高い順に、残り時間LT1,LT2内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を、単位エリアTWA1,TWA2ごとに抽出する。抽出部345は、作業リスト情報J4内の作業標準時間情報にて表される作業標準時間の合計が、残り時間LT1,LT2を超えない範囲で部品補給対象装置を抽出する。すなわち、抽出部345による抽出対象の部品補給対象装置に対する部品補給作業の作業標準時間を、単位エリアTWA1,TWA2ごとに合計した合計作業時間TO1,TO2は、残り時間LT1,LT2を超えないようにされている。図19に示すように、前記合計作業時間TO1,TO2を表す合計作業時間情報J52は、部品補給管理情報JH4Aに付加される。
抽出部345は、作業リスト情報J4内の作業進捗状況情報にて表される部品補給作業の進捗状況が「作業未実施」の部品補給対象装置において、抽出対象外の部品補給対象装置に対する部品補給作業の進捗状況を、「スキップ」状態とする。抽出部345によって作業進捗状況情報が「スキップ」状態とされた部品補給作業は、作業者OPによる次回の作業エリアTWA内の巡回時に実施が先送りされることになる。部品補給対象装置の抽出を完了すると、抽出部345は、部品補給対象装置の抽出結果が反映された部品補給管理情報JH4Aを出力する。
抽出部345から出力された、単位エリアTWA1,TWA2ごとの部品補給対象装置の抽出結果が反映された部品補給管理情報JH4Aは、携帯端末装置7等に表示される。作業者OPは、携帯端末装置7等に表示された部品補給管理情報JH4Aに基づいて、作業リスト情報J4内の作業進捗状況情報が「スキップ」状態とされた部品補給作業の実施を先送りすればよい。そして、作業者OPは、抽出部345によって抽出された部品補給対象装置に対する、実施の不可欠な優先度の高い部品補給作業を、単位エリアTWA1,TWA2ごとに設定された制限時間内で実施することができる。
以上説明したように、部品補給管理システム3の動作の第1変形例に関し、抽出部345は、設定部341によって設定された単位エリアTWA1,TWA2ごとに、制限時間に達するまでの残り時間LT1,LT2内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する。これにより、部品補給作業の実施が先送りされる、抽出部345による抽出対象外の部品補給対象装置が、例えば移動経路6Rの下流側に集中することを可及的に抑止することができる。このため、作業者OPは、移動経路6Rの上流から下流にわたって単位エリアTWA1,TWA2ごとにバランスよく、抽出部345によって抽出された部品補給対象装置に対する部品補給作業を実施することができる。
(第2変形例)
図18Bは、部品補給管理システム3の動作の第2変形例を説明するための図である。設定部341は、図19に示す部品補給管理情報JH4Aにおける作業リスト情報J4内の警告時間情報、停止時間情報又は生産可能時間情報にて表される部品補給制限時間が最短の部品補給対象装置を注目装置として認識し、当該注目装置を基準として作業エリアTWAを複数の単位エリアTWA1,TWA2に区画してもよい。図18Bに示す例では、設定部341は、第2作業領域WA2内にセットされたAF241Aを注目装置として認識し、移動経路6Rにおいて最も上流側の第1単位エリアTWA1の下流端に前記注目装置が配置されるように作業エリアTWAを、第1単位エリアTWA1と第2単位エリアTWA2とに区画している。
設定部341は、第1及び第2単位エリアTWA1,TWA2ごとに制限時間を、合計時間が作業許容時間WPTとなるように設定する。この際、設定部341は、前記注目装置に設定された部品補給制限時間を、当該注目装置が配置された第1単位エリアTWA1における制限時間として設定する。
上記のように、設定部341によって作業エリアTWAが複数の第1及び第2単位エリアTWA1,TWA2に区画された場合、抽出部345は、単位エリアTWA1,TWA2ごとに部品補給対象装置を抽出する。この態様では、作業者OPは、部品補給制限時間が最短の、すなわち部品補給作業の実施の優先度が最も高い注目装置に対する部品補給作業を、当該注目装置に設定された部品補給制限時間を目安として実施することができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一の局面に係る部品補給管理システムは、部品収納部材を複数装着可能な複数の部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する部品実装機が複数連結された1つ又は複数の部品実装ラインにおいて、前記複数の部品供給装置の各々に対して前記部品収納部材を補給する部品補給作業を管理するシステムである。この部品補給管理システムは、前記部品実装ラインに設定された作業エリア内において、所定の移動経路上を移動しながら前記部品補給作業を実施する作業者の、前記作業エリア内での前記移動経路の始点から終点に至るまでの作業許容時間を設定する設定部と、前記複数の部品供給装置の各々における部品の供給状況に基づいて、前記部品補給作業が可能な複数の部品供給装置を、前記部品補給作業の対象となる部品補給対象装置として特定する補給対象特定部と、前記部品補給対象装置の各々に対する前記部品補給作業の進捗状況を監視し、当該進捗状況が作業終了及び作業未実施の何れの状況であるかを判定する作業進捗判定部と、前記部品補給作業の進捗状況が前記作業未実施の前記部品補給対象装置のうち、前記作業者による前記作業エリア内での作業時間が前記作業許容時間に達するまでに前記部品補給作業が実施されるべき部品補給対象装置を抽出する抽出部と、を備える。
この部品補給管理システムによれば、作業エリア内での作業者の作業許容時間が設定部によって設定され、作業者による部品補給作業の対象となる部品補給対象装置が補給対象特定部によって特定される。作業者は、作業許容時間を目安とし、作業エリア内において移動経路上を移動しながら部品補給対象装置に対する部品補給作業を実施することができる。部品補給作業の実施の過程で作業に手間取るなどした場合、作業者が移動経路上を移動しながら順番に部品補給作業を実施していると、全ての部品補給対象装置に対する部品補給作業が終了しないうちに作業許容時間が経過してしまう可能性がある。そこで、作業エリア内での作業者による部品補給作業の進捗状況が、作業進捗判定部によってリアルタイムに判定される。そして、抽出部は、部品補給作業のリアルタイムな進捗状況が作業未実施の部品補給対象装置のうち、作業者による作業エリア内での作業時間が作業許容時間に達するまでに部品補給作業が実施されるべき部品補給対象装置を抽出する。これにより、作業者は、抽出部による抽出対象外の部品補給対象装置に対する部品補給作業を先送りし、抽出部によって抽出された部品補給対象装置に対する、実施の不可欠な部品補給作業を作業許容時間内で実施することができる。このため、作業者による部品補給対象装置に対する部品補給作業の効率化を図ることが可能となる。
上記の部品補給管理システムにおいて、前記部品補給作業には、作業開始から作業終了までに要する作業標準時間が設定されている。そして、前記抽出部は、前記作業者による前記作業エリア内での作業時間が前記作業許容時間に達するまでの残り時間を計時し、前記作業標準時間に基づき前記残り時間内で前記部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する構成であってもよい。
また、上記の部品補給管理システムにおいて、前記部品供給装置には、前記部品補給作業の実施が必要となるまでの部品補給制限時間が設定されている。そして、前記抽出部は、前記部品補給制限時間に基づき前記部品補給作業の実施の優先度が高い順に、前記残り時間内で前記部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する構成であってもよい。
この態様では、部品補給作業の実施の優先度が高い順に、作業実施対象の部品補給対象装置が抽出される。これにより、作業者は、抽出部によって抽出された部品補給対象装置に対する、優先度の高い部品補給作業を作業許容時間内で実施することができる。
上記の部品補給管理システムにおいて、前記設定部は、前記作業エリアを複数の単位エリアに区画し、当該単位エリアごとに制限時間を、合計時間が前記作業許容時間となるように設定し、前記抽出部は、前記作業者による前記単位エリア内での作業時間が前記制限時間に達するまでの残り時間を単位エリアごとに計時し、当該残り時間内での前記部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を単位エリアごとに抽出する構成であってもよい。
この態様では、抽出部は、設定部によって設定された単位エリアごとに、制限時間に達するまでの残り時間内で部品補給作業の実施が可能な部品補給対象装置を抽出する。これにより、部品補給作業の実施が先送りされる、抽出部による抽出対象外の部品補給対象装置が、例えば移動経路の下流側に集中することを可及的に抑止することができる。このため、作業者は、移動経路の上流から下流にわたって単位エリアごとにバランスよく、抽出部によって抽出された部品補給対象装置に対する部品補給作業を実施することができる。
上記の部品補給管理システムにおいて、前記設定部は、前記部品補給制限時間が最短の前記部品供給装置を注目装置として認識し、前記移動経路において最も上流側の前記単位エリアの下流端に前記注目装置が配置されるように前記作業エリアを区画し、前記注目装置に設定された前記部品補給制限時間を、前記注目装置が配置された前記単位エリアにおける前記制限時間として設定する構成であってもよい。
この態様では、作業者は、部品補給制限時間が最短の、すなわち部品補給作業の実施の優先度が最も高い注目装置に対する部品補給作業を、当該注目装置に設定された部品補給制限時間を目安として実施することができる。
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、部品収納部材を装着可能な複数の部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する部品実装機が複数連結された1つ又は複数の部品実装ラインと、前記複数の部品供給装置の各々に対して前記部品収納部材を補給する部品補給作業を管理する、上記の部品補給管理システムと、を備える。
この部品実装システムによれば、部品供給装置に対する部品補給作業の効率化を図ることが可能な部品補給管理システムを備えているので、部品搭載基板の生産中に、作業者による補給作業の遅れに起因して部品供給装置からの部品の供給が停止することが、可及的に抑止される。これにより、部品搭載基板の生産効率の低下を抑止することができる。
以上説明した通り、本発明によれば、部品供給装置に対する部品補給作業の効率化を図ることが可能な部品補給管理システム、及びそれを備えた部品実装システムを提供することができる。