JPWO2019208628A1 - 滅菌袋、および、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法 - Google Patents

滅菌袋、および、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法 Download PDF

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Abstract

カバー(6)、ガス透過部(2)及び開口部(5)を備え、前記ガス透過部(2)を介して通気が可能な略長方形の封筒状の滅菌袋(1)であって、前記ガス透過部(2)は、前記滅菌袋(1)の少なくとも一方の面(面A)に配置され、前記ガス透過部(2)の重心が、前記面Aの対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、面Aのいずれかの辺からの距離が0.02から0.2の距離に存在し、前記ガス透過部(2)の面積は、前記面Aの全面積に対して4%以上25%以下であり、前記カバー(6)が、前記ガス透過部(2)の全面を覆うことができる構成である。さらに、該滅菌袋(1)を用いた滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法を提供する。

Description

本発明は、滅菌袋、および、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法に関する。
更に詳しくは、滅菌処理に使用される滅菌袋および十分に滅菌された繊維製品を包装してなる滅菌処理された繊維製品パッケージ体であって、内部における滅菌ガスの残留が抑制された滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法に関する。
細胞培養加工施設、臨床検査施設、医薬品・化粧品・医療機器製造施設等のクリーンルームに搬入されて使用する防護服、マスク、手袋等の繊維製品は、使い捨てが主流となっている。これらの繊維製品は、滅菌袋と呼ばれる袋に封入され、袋のまま中の繊維製品が滅菌処理されることが一般的である。つまり、滅菌袋に入った繊維製品は、滅菌処理が行われ、滅菌処理済み繊維製品となる。滅菌方法としては、高圧蒸気滅菌法、エチレンオキサイドガス滅菌法、プラズマ滅菌法、ガンマ線や電子線による放射線滅菌法等が知られている。プラズマ滅菌法や放射線滅菌法を実施した場合、繊維製品の材料劣化や変色、臭気の発生を伴うことがあり、素材によっては適さない場合がある。そこで、高圧蒸気やエチレンオキサイドガスによるガス滅菌法が使用される。ガス滅菌用の滅菌袋には、外から内へガスを通気させるため、ガス透過部が設けられている。ガス透過部は、紙、または、不織布で構成される。
一方、滅菌袋に入った防護服、マスク、手袋等の滅菌処理済み繊維製品は、細胞培養加工施設、臨床検査施設、医薬品・化粧品・医療機器製造施設等のクリーンルーム外で一旦保管されることが一般的である。そのため、クリーンルーム内に搬入する前に、滅菌袋の外側に付着した汚れや微生物を除去する必要がある。滅菌袋に付着した汚れや微生物は、エタノール拭き取り洗浄や紫外線照射を行って除去する。特に、エタノール拭き取り洗浄は、取り扱いが容易なことから多くの施設で行われているが、ガス透過部が設けられた滅菌袋は、以下の点から、エタノール拭き取り洗浄に適さなかった。
滅菌袋に配設したガス透過部は、気体透過性と微生物不通過性とを併せ持つ、紙、または不織布、またはそれらの複合体である滅菌紙が使われることが一般的である(例えば、日油技研工業社製の品番TS−3000などが挙げられる)。しかしながら、滅菌紙が露出しているため、滅菌袋全体をエタノールで拭き取る際、滅菌紙部分からエタノールが浸入し、繊維製品を濡らす不具合があった。さらに露出した滅菌紙の部分は物理的強度にも劣るため、取り扱い時に損傷を受けて、滅菌紙から塵が発生したり、滅菌袋が破れるというリスクがあった。
上記課題を解決する方法として、特許文献1には、ガス透過部の外側が、外装材の側縁部で覆われたカバー付きの滅菌袋が開示されている。
実公昭52−52812号公報
特許文献1に記載の滅菌袋は、エタノール拭き取り洗浄に対し適性が認められ、滅菌紙部分の保護も十分な強度となる。しかし、特許文献1に記載の滅菌袋には以下の課題がある。
ガス滅菌工程では、滅菌袋に入れられた繊維製品は、複数個を滅菌用ケース内に入れた状態で滅菌処理を行う。ガス滅菌においては、滅菌ガスがガス透過部から滅菌袋の内部に十分に浸入することで、滅菌袋に封入された繊維製品が滅菌処理される。この際、繊維製品を滅菌袋に詰めると滅菌袋の真ん中が膨らみやすいことから、繊維製品が入った滅菌袋の中央部は、隣接する滅菌袋や滅菌用ケースの壁面に接触し、ガス透過部が塞がれやすい。特に、ガス透過部の外側が外装材で覆われたカバー付きの滅菌袋においては、ガス透過部がかさ高になり、ガス透過部とカバーとが密着しふさがれる可能性が高くなる。従って、特許文献1に記載の滅菌袋のように、ガス透過部が滅菌袋の中央部に位置していると、滅菌ガスの流入出路がふさがれてしまうため、十分に繊維製品の滅菌が出来なかったり、滅菌ガスが滅菌袋の内部に残留しやすいという課題があった。
すなわち、滅菌袋のガス透過部は、複数の滅菌袋を重ねて滅菌処理を行う場合においても、滅菌ガスの拡散を妨げず、かつ、エタノールを用いた滅菌袋のふき取り洗浄が可能な構成が必要である。
本発明は上記の現状を鑑みてなされたものであり、ガス滅菌用の滅菌袋を提供し、十分に滅菌された滅菌繊維製品を包装してなる滅菌処理済み繊維製品パッケージ体であって、内部における滅菌ガスの残留が抑制された滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、開口部とガス透過部とを有し、略長方形の少なくとも2面を有する、滅菌処理に供される滅菌袋であって、
前記開口部は、前記略長方形の一辺に含まれ、
前記ガス透過部は、滅菌袋の少なくとも一方の面(かかる面を面Aと称する)に配置されており、かつ、前記ガス透過部は、該ガス透過部の全部を覆うことが可能なカバーを有し、
前記カバーは、前記ガス透過部を含む面Aに、一部分で固定されており、
かつ、前記ガス透過部が、以下の(1)および(2)を同時に満たす、滅菌袋。
(1)前記ガス透過部の重心が、前記面Aの対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、面Aのいずれかの辺からの距離が0.02から0.2までの範囲に存在する。
(2)前記ガス透過部の面積(Sgas)は、前記面Aの全面積(S)に対し4%以上25%以下である。
さらに、開口部とガス透過部とを有し、略長方形の少なくとも2面を有する、滅菌袋と、滅菌ガスを導入する滅菌用ケースを、少なくとも備え、繊維製品が、滅菌袋に収納される工程Aと、 前記滅菌袋の開口部を密閉し、繊維製品パッケージ体を得る工程Bと、 複数の前記繊維製品パッケージ体を滅菌用ケースに収納する際、前記滅菌袋に備えたガス透過部を上部に配置する工程Cと、複数の前記繊維製品パッケージ体が収納された前記滅菌用ケース滅菌ガスに暴露させる工程Dと、を有する、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法である。
本発明によれば、カバー付きのガス透過部を一辺の端部に備える滅菌袋は、複数の滅菌袋を重ねて滅菌処理を行う場合においても、滅菌ガスの拡散が十分行われる。また、エタノールを用いた滅菌袋のふき取り洗浄においても、中身の繊維製品をエタノールで濡らすことなく洗浄ができる滅菌袋が得られる。そして、繊維製品を包装してなる繊維製品パッケージ体であって、滅菌処理がなされ、かつ、滅菌ガスの残留が少ない、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体を提供することができる。
本発明の滅菌袋の一例(カバーを1辺にヒートシールした滅菌袋を正面から見た外観概念図)。 本発明の滅菌袋の一例(カバーを1辺にヒートシールした滅菌袋を背面から見た外観概念図)。 本発明の滅菌袋の一例(カバーを3辺にヒートシールした滅菌袋を正面から見た外観概念図)。 滅菌袋における各辺の長さを示した概略図である。 滅菌袋に繊維製品を封入した状態の概略図である。 繊維製品パッケージ体を滅菌用ケースへ収納した概略図である。 カバーのない滅菌袋の一例を示す外観の概略図。 従来の滅菌袋の一例を示す外観概略図。 従来の滅菌袋における各辺の長さを示した概略図。 本発明における、複数の繊維製品パッケージ体を収納した滅菌用ケースのガス流出入を説明する概念図である。 従来技術における、複数の繊維製品パッケージ体を収納した滅菌用ケースのガス流出入を説明する概念図である。 ガス透過部の重心の位置を説明する概略図である。
説明の順は、最初に、滅菌袋に繊維製品を封入し、滅菌ケースに入れて、滅菌処理を行う工程について、ガス透過部と滅菌ガスの流れを説明する。そして、ガス滅菌処理に供される本発明にかかる滅菌袋について説明を行う。最後に、滅菌済み繊維製品パッケージ体の製造方法について、説明する。
繊維製品の滅菌処理は次の工程で処理される。まず、滅菌処理を行う繊維製品は、カバーおよびガス透過部および開口部を備え、かつ、略長方形の封筒状の滅菌袋に収納される。そして、前記開口部を密閉し、繊維製品パッケージ体を得る。複数の繊維製品パッケージ体は滅菌用ケースに積み重ねて収納され複数の繊維製品パッケージ体が収納された滅菌用ケースを殺菌ガスに暴露させる。これにより、繊維製品パッケージ体の中に包装された繊維製品が滅菌処理される。
以下、滅菌袋に封入された繊維製品を滅菌処理する際の滅菌ガスの流れを説明する。複数の滅菌袋を重ねて滅菌処理を行う場合においても、滅菌ガスが拡散されやすく、滅菌処理の効果が得られるメカニズムについて図10および11を用いて説明する。
ここで、図10は、本発明において複数の繊維製品パッケージ体81を収納した滅菌用ケースの断面概略図を示し、図11は、従来技術において複数の繊維製品パッケージ体80を収納した滅菌用ケースの断面概略図を示す。
滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法においては、図10および11に示されるとおり、複数の繊維製品パッケージ体81を滅菌用ケース42に立てた状態で収納し、滅菌ガスによる滅菌工程に供するのが一般的である。そして、生産効率を考慮して、滅菌用ケースには可能な限り多くの繊維製品パッケージを収納したいとの要望がある。そうすると、繊維製品を滅菌袋に詰めると繊維製品パッケージ体の中央部から下方部が膨らみやすい事から、繊維製品パッケージ体の中央部から下方部は、隣接する繊維製品パッケージ体80や滅菌用ケースの壁面82に接触し、これらによって圧迫されることとなる。図11では、従来の繊維製品パッケージ体80が滅菌ケース42に入れられた状態を示している。滅菌袋の一方の面の中央部のみにガス透過部2とカバー6が存在する滅菌袋に、繊維製品が包装されてなる繊維製品パッケージ体80が複数個あり、それらが滅菌用ケースに収納されてなるものの断面図が示されている。このような場合、ガス透過部2は、このガス透過部が属する滅菌袋に包装されている繊維製品やカバー6と滅菌用ケースの壁面82または隣接する他の繊維製品パッケージ体とに圧迫され、それらが密着することで、ガス透過部2が塞がれてしまう。そのため、図11に示すように、ガス透過部には滅菌ガスの流れ83が到達しにくい。そして、このガス透過部2を介した滅菌ガスの滅菌袋内部への流出入が抑制され、結果として、滅菌袋に入れた繊維製品の滅菌が不十分となったり、滅菌ガスが繊維製品パッケージ体80の内部に残留しやすくなると考える。
一方で、図10では、ガス透過部2は、滅菌袋の上部、つまり、滅菌袋の一方の端部に設けられた滅菌袋に、繊維製品が包装されてなる繊維製品パッケージ体81が複数個、滅菌用ケースに収納されてなるものの断面図が示されている。このような場合、ガス透過部2は、滅菌袋におけるガス透過部2の特徴的な配置位置や繊維製品パッケージ体の滅菌用ケースへの特徴的な収納方法等により、このガス透過部2が属する滅菌袋に包装されている繊維製品やカバー6と滅菌用ケースの壁面82または隣接する他の繊維製品パッケージ体等とに圧迫されることはなく、ガス透過部2の周囲には十分な空間が確保される。そのため、図10に示すように、ガス透過部2を介して滅菌ガスの流れ83が滅菌袋内部まで到達しやすい。そして、滅菌ガス暴露工程における滅菌用ケース42が収納される滅菌空間への減圧処理後の滅菌ガス流入により繊維製品を滅菌するのに十分な量の滅菌ガスが短時間で滅菌袋内部に流入することとなる。ここで、滅菌空間とは、滅菌処理が行われる袋の内部空間のことである。結果として、得られる滅菌処理済み繊維製品パッケージ体に包装される繊維製品は十分に滅菌されたものとなる。また、滅菌処理工程が終了した後の滅菌空間への減圧処理により繊維製品パッケージ体81の内部の滅菌ガスはより確実に繊維製品パッケージ体の外に流出することとなると考える。
(滅菌袋について)
次に、上述のガス透過部2滅菌袋の実施形態の一例について図1、図2を用いて説明する。図1は、滅菌袋の一方の面(面Aと称する)の正面から見た概略図である。図2は、滅菌袋のもう一方の面から見た概略図である。
図1に示す滅菌袋1は、略長方形の封筒状の袋であり、ガス透過部2とカバー6とを有する。ガス透過部2は、カバー6で全面を覆われており、カバー6はヒートシール部4aにおいてヒートシールされることで、滅菌袋1に接合されている。滅菌袋1のガス透過部2、カバー6を除いた部分は、図1、2に示すとおり樹脂フィルム(正面)3a、樹脂フィルム(背面)3bからなり、ヒートシールすることで本発明でいう略長方形の封筒状の袋の形態としている。また、袋の4辺のうちの1辺は、繊維製品を封入後ヒートシールするための開口部5を設けている。
ここで、ガス透過部2は、滅菌袋1の少なくとも一方の面(面A)に配置されている。ガス透過部2の重心は、前記面Aの対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、前記2つの辺の少なくとも一方の辺から0.8以上0.98以下の位置、すなわち、面Aのいずれかの辺から0.02から0.2までの範囲に存在し、前記ガス透過部の面積(Sga )の前記面Aの面積(S)に対する割合(%)、つまり、(Sgas)/(S)×100 において、4%以上25%以下であり、前記カバー6は前記ガス透過部2の全面を覆うことが可能であり、前記滅菌袋は、該滅菌袋の内部と外部とが前記面Aにおけるガス透過部を介して通気が可能である。
なお、ここで面Aが長方形である場合を例にとれば、対向する辺を長辺とした場合は、長辺の長さ(L)を1として、短辺から重心Gまでの距離に拠って求め、対向する辺を短辺とした場合は、短辺の長さ(W)を1として、長辺から重心Gまでの距離に拠って求める(図12を参照する)。なお、距離とは辺からの最短距離である。ここで面Aの全面がガス透過部2の場合には、重心Gの最短距離は、0.5となる
本発明で言う「滅菌袋の内部と外部とが前記面Aにおける前記ガス透過部を介して通気が可能」とは、滅菌ガスが滅菌袋の内側に流入し、滅菌後に排出することが可能な状態をいう。そのためには、ガス透過部2を覆うことができるカバー6は、面Aのガス透過部2において周縁部の一部分で固定されており、ガス透過部2とカバー6の間が接合されておらず隙間が存在する部位がある。このような特徴を備える滅菌袋を用いて、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体を得ることで、繊維製品は十分に滅菌されたものとなるとともに、滅菌ガスが残留することも抑制される。
次に、開口部の位置について説明する。開口部は、滅菌袋に繊維製品を入れるための出入り口であり、滅菌袋に少なくとも1か所あればよい。開口部5は、滅菌袋のいずれかの辺に備えられる。滅菌袋が長方形である場合を例にとれば、長辺の一方の辺、または、短辺の一方の辺に少なくとも1つ備えられる。そして、開口部5は、ガス透過部2の位置との関係において、ガス透過部2の重心Gと最短距離にある辺に存在することが好ましい。図1では、開口部5は滅菌袋の短辺に備えられ、ガス透過部2の重心Gと最短距離にある辺に存在している。
図4を用いて、面積比について以下に説明する。滅菌袋の面Aの面積(S)は、ヒートシール部4a、4bを含めた外寸とする。面Aの面積(S)は、図4において、縦辺L(mm)と横辺W(mm)を乗じた、L×W(mm)となる。ガス透過部2の面積は、ヒートシール部は除いた有効内寸で考える。ヒートシール部については、後述する。ガス透過部2の面積(Sgas)は、図4において、縦辺lと横辺wを乗じたl×wとなる。従って、ガス透過部の面積(Sgas)の面A(S)に対する割合(%)は、
(Sgas)/(S)×100= (l×w)/(L×W)×100 で求められる。
(滅菌袋のガス透過部について)
次に、本発明のガス透過部2について詳細に説明する。ガス透過部2はガス滅菌時に、高温の水蒸気やエチレンオキサイドガス(以下、EOGと記載する)等の滅菌ガスの滅菌袋の内外への通気部となる。
ガス透過部に使用される材料や原料、素材は、滅菌ガスを透過させることができ、かつ、菌を透過させない性質を有し、強度、ヒートシール性があれば特に限定されるものではないが、なかでも、滅菌紙が好ましい。ここで言う滅菌紙とは、気体透過性と微生物不通過性、強度、ヒートシール性とを併せ持つ、紙、または不織布、またはそれらの複合体の総称である。中でも不織布が好ましく、以下、不織布を例に説明する。
ガス透過部に使用される不織布を形成する繊維の原料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、6ナイロンや66ナイロン等のポリアミド、テフロン(登録商標)、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、ポリカーボネート、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物を適宜用いることができる。また、これらの熱可塑性樹脂を芯鞘構造に共押し出しした繊維も使用することができる。
不織布の材質としては、例えば、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、ウォータジェットパンチ式乾式不織布、メルトブロー式乾式不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布が使用できる。なかでも、フラッシュ紡糸式乾式不織布は、繊維カスの発生が少なく、糸抜けも少ないため、より好適に用いることができる。例えば、市販されているタイベック(登録商標)が、気体透過性と微生物不通過性、強度、ヒートシール性がよく好適に用いられる。不織布の表面にヒートシール性が無い場合、ヒートシール剤を公知の技術によって付与できる。例えば、予め、グラビアコート、ディップコート、エアナイフコート、ブレードコート、ロールコート、バーコート等、公知のコーティング方法によって塗布してよい。ヒートシール性を持たせることで、ガス透過部とその他の部位とのヒートシールが可能となる。ヒートシール剤としては、ポリエチレンなどの融点が160℃以下の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
不織布の目付は、30g/m2以上、150g/m2以下のものが好ましい。目付が30g/m2以上にすることで、摩耗強度や突き刺し強度が高くなり、不織布が破れる事による袋内部へのバクテリアが混入するリスクが低くなる。一方、目付を150g/m2以下にする事で、ガスの透過性を確保でき、かつコスト的にも有利となり好ましい。
不織布の透気度は、JIS P8117ガーレー法で1秒/100ml以上、600秒/100ml以下であることが好ましい。透気度が小さいほど、ガス滅菌時に滅菌袋の内部にガスが流出入しやすいため、ガス滅菌時間を短くできるため好ましい。一方、1秒/100ml未満の場合は、外気からバクテリアが混入するリスクが高くなるため、好ましくない。逆に、透気度が600秒/100mlより大きいと、滅菌袋にガスが流入出するのに時間を要するため、ガス滅菌時間が長くなってしまい、生産上好ましくない。不織布のバクテリアバリア性は、高いほど好ましいが、例えばASTM F1608法でLRV2以上が好ましく、更には3以上がより好ましく、4以上が特に好ましい。
(滅菌袋の外装の材質について)
滅菌袋を形成する樹脂フィルムは、滅菌袋の正面を形成する樹脂フィルム(正面)3aと滅菌袋の背面を形成する樹脂フィルム(背面)3bからなる。通常、樹脂フィルム(正面)3aと樹脂フィルム(背面)3bは同じ材料が用いられる。
樹脂フィルムに使用される材料や原料、素材は、強度、ヒートシール性があれば特に限定されず公知のものを使用できる。
樹脂フィルムは、その材質について特に限定されることはなく、従来公知の材質、加工技術・条件を用いて作製される。袋の内容物の視認性の点から半透明もしくは透明が好ましく、溶融押出法やカレンダー法等で成形したヒートシール性を有する樹脂フィルムが好適に用いられる。一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、6ナイロンや66ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体及びこれらの積層フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの樹脂のうち、耐エタノール性の観点からは、ポリオレフィンやポリエステルが特に好ましく使用できる。ポリアミド等、耐エタノール性に若干劣る樹脂についても、耐エタノール性に優れた他の樹脂と積層して使用することは何ら差し支えない。
樹脂フィルムの耐エタノール性は、JIS T8030(2005)に定める耐透過性試験において、エタノールで試験した場合、クラス1以上が好ましく、より好ましくはクラス2以上、更により好ましくはクラス3以上である。
樹脂フィルムの表面にヒートシール性が無い場合、ヒートシール性のある樹脂フィルムを接着剤で貼り合わせたり、共押し出し法やタンデム法によってヒートシール性のある樹脂フィルムを積層成膜したり、予め、グラビアコート、ディップコート、エアナイフコート、ブレードコート、ロールコート、バーコート等、公知のコーティング方法によってヒートシール剤を塗布してよい。ヒートシール性を持たせることで、ガス透過部や樹脂フィルムの他部位等とヒートシールが可能となる。ヒートシール性のある樹脂としては、ポリエチレンなどの融点が160℃以下の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
(滅菌袋の構成と滅菌ケースへの収納)
本発明の滅菌袋の形状は、略長方形の封筒状である。本発明で言う略長方形とは、概ね長方形であればよく、4つの角がすべて直角ではなく丸まっていても良い。
図6に例示したように、滅菌袋の形状が略長方形等の封筒状であると、評価用繊維製品パッケージ体50を、ガス透過部(図6では、ガス透過部2はカバー6の下に存在する)が配設された部位を上にして、滅菌用ケース42に入れやすい。そして、まとめて滅菌する際などに滅菌袋が安定するため、取り扱いも楽であるし、ガス透過部2が重なることで滅菌ガスの流入出路を塞ぐことも少ない。その結果、滅菌性能にばらつきが少ないガス滅菌処理を行う事が可能となる。
ガス透過部が配設されている位置は滅菌袋の少なくとも一方の面(面A)である。また、ガス透過部の重心は、面A(面Aは、略長方形である)の対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、前記2つの辺の一方の辺から0.8以上0.98以下の位置、すなわち、面Aのいずれかの辺から0.02から0.2までの範囲に存在する。つまり、ガス透過部は、面Aが有する4つの端部のうちの一つの端部に特定の位置に、寄って存在している。この様な構成であることで、繊維パッケージを滅菌用ケースに収納する際に、ガス透過部が略鉛直方向の上方にくるように、繊維製品パッケージ体を滅菌用ケース42に収納することで、上記の本発明の効果が得られるのである。ここで、滅菌袋の面Aは略長方形であるため、面Aは4つの辺を有する。つまり、滅菌袋の面Aは、2組の対向する2つの辺のセットを有する。ここで、本発明においては、2組の対向する2つの辺のセットのうち、少なくとも1組の対向する2つの辺において、ガス透過部の重心が、対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、前記2つの辺の一方の辺から0.8以上0.98以下の位置、すなわち、面Aのいずれかの辺から0.02から0.2までの範囲に存在していればよい。滅菌袋に繊維製品が充填される場合、滅菌袋の辺の端部、つまり、滅菌袋の上方ほど繊維製品がかからない範囲が存在するため、ガスが透過しやすくなる。このような例としては、前記2つの辺の一方の辺から0.9以上0.98以下の位置、すなわち、面Aのいずれかの辺から0.02から0.1までの範囲がより好ましい。このとき、長方形のガス透過部は、およそ端部から0.2の範囲内となる。
ガス滅菌においては、滅菌ガスがガス透過部から滅菌袋の内部に十分に浸入することで、滅菌袋に封入された繊維製品が滅菌処理される。そのため、滅菌ガスの拡散を妨げないだけの空間がガス透過部の周囲に必要である。そして、上記のとおり、繊維製品パッケージ体を滅菌用ケース42に収納する際に、ガス透過部が略鉛直方向の上方にくるように繊維パッケージを滅菌用ケースに収納することで、ガス透過部が隣接する繊維製品パッケージや、滅菌用ケースの壁面からの干渉を受けにくく、安定した滅菌が可能となる。また、滅菌袋は複数のガス透過部を有していても良く、少なくとも1つのガス透過部が滅菌袋の一辺の端部にあればよい。
また、滅菌袋の面Aの面積に対するガス透過部の面積の割合((ガス透過部の面積/面Aの面積)×100)が4%以上25%以下である。ここで、ガス透過部の面積割合が4%未満の場合は、滅菌用ガスの流入・排出を十分でなく、繊維製品の滅菌が十分に行われなかったり、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の内部に滅菌ガスが残留する傾向がみられる。また、上記の割合が、5%未満であっても、滅菌時間を長くすることで、繊維製品の十分な滅菌が達成される可能性はあるが、この場合には、滅菌時間が長期化することで滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の生産性が劣ったものとなる傾向がみられる。一方で、ガス透過部の面積を、徒らに広げてもガス滅菌の効果が飛躍的に向上するわけではなく、ガス透過部を大きくすれば、それに伴って高価な傾向にあるガス透過部の材料の使用量が増えてコストアップに至るため、上限としては25%である。
(ガス透過部のカバーについて)
滅菌袋は、ガス透過部の全面を覆うようにカバー6を備えている。
本発明におけるカバー6は、滅菌袋のガス透過部をエタノール等で拭き取り洗浄した時に、ガス透過部とエタノールが接触することを抑制できる。また、ガス透過部の全面をカバーすることでガス透過部の損傷も抑制する事が可能となる。もし、カバー6がガス透過部の全面を覆っていないと、エタノール等で滅菌袋を拭き取り洗浄した際に、カバーで覆われていないガス透過部から、滅菌袋内にエタノールが浸透し、繊維製品が濡れて染みになったり、エタノールに溶解した汚れ等の不純物が滅菌袋内に導入されてしまうため好ましくない。また、カバー6で覆われていない部分の損傷を抑制することが出来ないため好ましくない。カバー6の設置形態の一例について図面を参照して説明する。カバーは、図1と図3に示すようにガス透過部全面を覆っており、カバー6とガス透過部2とが接合されてヒートシール部4aが形成される。また、カバー6の3辺(上端部、左右端部)がコの字型にガス透過部とヒートシール部4a、4bを形成した3辺固定の方が好ましい。3辺固定することで、滅菌袋取り扱い時にカバー6がめくれて、ガス透過部が露出するリスクを抑制でき、さらにエタノール拭き取り洗浄がしやすく、滅菌用ケースに収納する際もカバーがめくれないため収納がしやすくなる。
なお、本発明の滅菌袋においては、ガス透過部の全面がカバー6で、滅菌袋の内部と外部とがガス透過部を介して通気可能な状態で覆われている。具体的には、カバー6とガス透過部2とが固定された部位に囲まれていないガス透過部を少なくともガス透過部の一部に有する。言い換えると、ガス透過部の少なくとも一辺とカバーの対応する一辺とが、周縁で接合されていない。これにより、ガス透過部の全体がカバーで覆われていても滅菌袋の内部と外部とがガス透過部を介して通気可能な状態が実現される。
本発明において、ガス透過部とカバーの面積比は1:1から1:1.5、すなわち、カバー6の面積(Scov)が、ガス透過部2の面積(Sgas)に対して、100%以上150%以下である。より好ましくは、1:1から1:1.1、すなわち、カバーの面積(Scov)が、ガス透過部の面積(Sgas)に対して100%以上110%以下である。カバー6の面積比が1未満(100%未満)の場合は、被覆されないガス透過部が生じるため、エタノール拭き取り洗浄時に、その被覆されない部分からエタノールが浸透してしまい、好ましくない。また、カバー6の面積比が1.5(150%)を超えると、滅菌ガスの流入・排出がしにくくなるし、カバー6として使用する樹脂フィルムが増えることで、廃棄時の環境負荷の増大にも繋がるため、好ましくない。
図4を引用して面積比について以下に説明する。ガス透過部2、及びカバー6のいずれにおいても、ヒートシール部は除いた有効内寸で考える。ガス透過部の面積は、縦辺lと横辺wを乗じたl×wとなり、カバーの面積は、縦辺cyと横辺cxを乗じたcy×cxとなる。従ってガス透過部とカバーの面積比は、(l×w):(cy×cx)となる。従って、カバーの面積(Scov)のガス透過部の面積(Sgas)に対する割合(%)は、(Scov)/(Sgas)×100=(cy×cx)/(l×w)×100 で求められる。
なお、図4においては説明の便宜上、ガス透過部を配設した袋体と、カバーとを分離した形で描写しているが、実際には、図3に示す通り、カバーはヒートシール部4a、4bを介して袋体と一体化されている。滅菌袋の組み立て方法である、ヒートシールについては、後述する。
カバー6に使用される材料や原料、素材は、ヒートシール性および耐エタノール性があれば特に限定されない。
カバー6の材質として、前記の樹脂フィルムやガス透過部と同様の樹脂材料を使用することができる。エタノール拭き取り洗浄適性や防塵、ガス透過部の損傷抑制の観点から、カバー6は、不織布や紙の形態であるよりは、樹脂フィルム形態である事が好ましく、生産の観点からは、樹脂フィルムと同素材であることがより好ましい。カバー6が不織布や紙の場合、予め撥アルコール性を付与する必要があるが、その方法は特に限定されることはなく、従来公知の加工技術・条件を適宜選択できる。例えば、シリコン系やフッ素系の撥水撥油剤を用いた撥水撥油処理が挙げられる。
カバー6の表面にヒートシール性が無い場合、ヒートシール性のある樹脂フィルムを接着剤で貼り合わせたり、共押し出し法やタンデム法によってヒートシール性のある樹脂フィルムを積層成膜したり、予め、グラビアコート、ディップコート、エアナイフコート、ブレードコート、ロールコート、バーコート等、公知のコーティング方法によってヒートシール剤を塗布してよい。ヒートシール性のある樹脂としては、ポリエチレンなどの融点が160℃以下の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
(滅菌ガスの残留について)
本発明で言う滅菌袋の内部と外部が通気可能な状態とは、滅菌ガスが滅菌袋の内側に流入し、滅菌後に排出することが可能な状態をいう。特に、ISO10993−7:2008では、一時的暴露医療機器の患者に対する1日のエチレンオキサイド(以下、EOと記載する)の平均容量は、4mgを超えてはならないと規定されている。後述する実施例のEOG滅菌条件でEOG滅菌をした時に、後述する測定方法(4)項のJIS T0993−7:2012に基づき測定した繊維製品のEO残留濃度がエアレーションルームに120時間保管後において4mg以下/繊維製品が好ましく、エアレーションルームに24時間保管後において4mg以下/繊維製品が好ましい。エアレーションルームの保管日数が120時間より長いと、繊維製品の出荷までに時間を要すため好ましくなく、エアレーションルームの保管日数が短いほど、生産上好ましい。
(ヒートシール部の剥離強度について)
各ヒートシール部の一例として、樹脂フィルム(正面)3a/樹脂フィルム(背面)3b、カバー6/ガス透過部2、樹脂フィルム(正面)3a/ガス透過部2、樹脂フィルム(正面)3a/ガス透過部2/樹脂フィルム(背面)3bの固定方法は、例えば、電動シーラーによる固定や高周波ウェルダーによる固定、超音波による固定、接着剤による固定、ヒートシールによる固定、両面テープによる固定など、公知の加工技術・条件を選択することができる。樹脂フィルムと、ガス透過部と、カバーとを一工程で安定に接合できる、ヒートシールによる固定が特に好ましい。ヒートシールの方式は特に限定されず、熱板方式、インパルス方式等、公知の方式が適用できる。
ガス透過部とカバー、および、ガス透過部と樹脂フィルムを固定する際、ヒートシール部の剥離強度は、2N/12mm以上が好ましく、4N/12mm以上がより好ましい。2N/12mm以上にすることで、ヒートシール部が剥離することによる滅菌袋内部へバクテリアが混入するリスクが低くなる。一方、上限は、40N/12mm以下が好ましく、より好ましくは30N/12mm以下である。40N/12mm以上の場合、ガス透過部がフィルムと強固に結合し、シール部分が硬くなり折り曲げた時に損傷しやすくなるため好ましくない。
樹脂フィルム(正面)3aと樹脂フィルム(背面)3bのヒートシール部の剥離強度は10N/12mm以上が好ましく、20N/12mm以上がより好ましい。上限は60N/12mm以下が好ましい。10N/12mm未満の場合、ヒートシールが弱く、接合部が剥がれやすくなる。60N/12mm以上の場合、シール部分が硬くなり好ましくない。
樹脂フィルムとガス透過部、および、カバーに使用される材質は、滅菌処理における耐熱性の観点から、融点の下限は、90℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。90℃未満になると、EOG滅菌条件によっては樹脂が変形したり、ヒートシール部の剥離強度が弱くなるため好ましくない。一方、融点の上限は特に限定されないが、焼却処分の観点から400℃以下であることが好ましい。
滅菌袋は、開口部から繊維製品を挿入し、開口部をヒートシールした繊維製品パッケージ体をガス滅菌して使用する。本発明の滅菌袋を用いれば、ガス滅菌後、無菌状態を保つことができる。なお、ここで言う繊維製品は、例えば滅菌服が好適な事例として挙げられるが、滅菌袋に挿入することができる繊維製品であれば特に限定されるものではない。
本発明の滅菌袋には、図1に示した様なノッチ7等の開封開始部を設けてもよい。ノッチ7の位置は、図1に例示したとおり、開封時にガス透過部の破壊による紙粉・糸くずの発生を避けるため、ガス透過部とは逆の端部付近に設けることが好ましい。
(滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法)
続いて、滅菌袋に封入された繊維製品パッケージ体を滅菌し滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法を説明する。製造工程は少なくとも次の工程を含む。滅菌袋に繊維製品を収納する工程Aと、前記開口部を密閉し、繊維製品パッケージを得る工程Bと、複数の繊維製品パッケージを滅菌用ケースに収納する工程Cと、複数の前記繊維製品パッケージが収納された前記滅菌用ケースを殺菌ガスに暴露させる工程Dである。そして、前記工程Cは、前記2つの辺の少なくとも一方の辺が前記ガス透過部に対し略鉛直方向の上方に位置するように複数の繊維製品パッケージ体を滅菌用ケースに収納する工程である。
ここで、前記ガス透過部は、前記滅菌袋の少なくとも一方の面(面A)に配置されており、前記ガス透過部の重心は、前記面Aの対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、前記2つの辺の一方の辺から0.8以上0.98以下の位置、すなわち、面Aのいずれかの辺から0.02から0.2までの範囲に存在し、前記ガス透過部の面積の前記面Aの面積に対する割合((ガス透過部の面積/面Aの面積)×100)が4%以上25%以下である。前記カバーは、前記ガス透過部の全面を覆うことが可能で、前記滅菌袋は、前記ガス透過部の全面が前記カバーで覆われた状態にて、前記滅菌袋の内部と外部とが通気可能である。さらに、前記工程Cは、前記ガス透過部が前記2つの辺の一方の辺に対し略鉛直方向の上方に位置するように複数の繊維製品パッケージを滅菌用ケースに収納する工程である、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法である。
以下、本発明の滅菌袋の実施例を説明するが、本発明の滅菌袋の形態は実施例で説明する滅菌袋の具体的形態例には限定されない。なお、実施例および比較例にて用いた評価は次の方法で実施した。
<評価・測定方法>
(1)ガス透過部の透気度
JIS P8117:2009 ガーレー試験法(試験機B形)に基づき測定する。6枚の試験片について測定し、得られた測定値の平均を試験結果とする。
(2)エタノール拭き取り洗浄
70%エタノール水溶液100質量部にローダミンB(染料)を2質量部溶解して試験液を作製する。この試験液を滅菌袋の一方の面の全面に、この一方の面から30cmの距離から試験液の付着量が0.3〜0.5mg/cmになるようにスプレーし、キムワイプ(登録商標)で試験液滴をカバーがめくれないように拭き取る。拭き取り直後の状態を目視で確認し、滅菌袋の一方の面の全面のいずれかの場所に染料の着色が認められなかったものを○、着色が認められたものを×とする。滅菌袋のもう一方の面についても同様に試験を行う。
(3)滅菌性能
(評価用サンプルの準備)
図5に示すとおり、繊維製品41(LIVMOA(登録商標) 型番A−01−001、Mサイズ、東レ製)とバイオロジカルインジケーター55を滅菌袋に入れ、開口部を電動シーラー(富士インパルス株式会社製Fi−600Y)にて幅10mmのヒートシールを施して、評価用繊維製品パッケージ体50を得る。次に、図6の一例では、評価用繊維製品パッケージ体50のガス透過部が、上になるよう向きを選択する。これにより、滅菌用ケース42に梱包した際に、ガス透過部の重心が上方になる。評価用繊維製品パッケージ体を滅菌用ケース42に12個入れ梱包し、評価用サンプルを準備する。滅菌用ケースは、段ボール(横30cm×奥行き48cm×高さ40cm、材質5mm A/F)を使用する。
(EOG滅菌処理)
以下に示す条件でEOG滅菌を行い、滅菌性能確認1(残留EO測定)と滅菌性能確認2(バイオロジカルインジケーターの合格率)を行う。また、以後EOG滅菌した後の滅菌処理済み繊維製品パッケージ体を被滅菌物と呼ぶことがある。
[EOG滅菌条件]
・滅菌装置:ステリテック製(型式:GMS−090−SW−AJ) 9m
・使用ガス:カポックス−20(EOG20%)
・温度40℃、相対湿度50%Rh
・加温時間:5分
・作用圧力:−0.085MPa〜0.093MPa
・初期減圧時の所用時間:7分
・初期減圧時の保持時間:10分
・滅菌ガス導入時間:12分
・滅菌作用時間:3時間
・排ガス所用時間:25分
・エアレーション(分真空、分常圧):5回
・空気置換減圧時間(分真空):10分
・空気置換導入時間(分常圧):5分 。
[EOG残留ガスの排出条件]
40℃、50%Rhのエアレーションルームに、図6に示す、滅菌用ケース60を保管する。滅菌用ケース60は、滅菌処理後の複数の繊維製品パッケージ体を収納した状態のままである。保管時間は、24時間または120時間とする。
(滅菌性能確認1[残留EO測定])
JIS T0993−7:2012に基づき測定する。被滅菌物は、エアレーションルーム保管後24時間経過時と120時間経過時にそれぞれ5個を回収する。回収した被滅菌物は30分以内に開封し、繊維製品生地を1cm角に細切したもの200gを試料とし、3000mlのメジウム瓶に入れる。次に、純水1900mlを加えた後、メジウム瓶を密封し、密封後のメジウム瓶を37℃で24時間静置する。これに内部標準液(プロピレンオキサイド)を加えたものを試験溶液とし、ガスクロマトグラフによりEO濃度を測定し、各N=5の平均値を24時間後と120時間後の残留EO濃度とする。測定条件は下記の通りである。
<分析条件>
ガスクロマトグラフ:GC−17A Shimadzu
検出器:FID
カラム:InertCAP FFAP 60m×0.32mm、 df=0.25μm
カラム温度:50℃(4分保持)、130℃(at20℃/分)、210℃(at8℃/分)、8分保持
注入温度:210℃
キャリヤーガス:He138kPa、水素50kPa、空気50kPa
(滅菌性能確認2[バイオロジカルインジケーターの合格率])
バイオロジカルインジケーターは、3M(登録商標) Attest(登録商標) 1264−S Bacillus atorophaeus ATCC:9372を使用する。被滅菌物からバイオロジカルインジケーターを回収し、回収したバイオロジカルインジケーターを35℃で48時間静置する。評価は、48時間静置後のバイオロジカルインジケーターを目視し、液体培地が変色せずに青色のままのものを合格、黄色く変色したものや混濁があるものを不合格と判定し、合格率を式1で算出し、試験結果とする。
バイオロジカルインジケーターの合格率(%)=合格数÷12×100 式1
(4)ヒートシール部の剥離強度
(a)樹脂フィルムと樹脂フィルム間のヒートシール部の剥離強度
滅菌袋から樹脂フィルム(正面)と樹脂フィルム間(背面)のヒートシール部の一部を有する試験片(幅12mm×長さ100mm)を各2枚用意し、JIS Z1707:1997の7.5項に基づき測定する。測定条件:つかみ具間隔50mm、引張速度300mm/分にて剥離強度を測定し、平均した数値を試験結果とする。
(b)ガス透過部と樹脂フィルム間のヒートシール部の剥離強度
ガス透過部と樹脂フィルム間のヒートシール部から試験片(幅12mm×長さ100mm)を各2枚用意し、JIS Z1707:1997の7.5項に基づき測定する。測定条件:つかみ具間隔50mm、引張速度300mm/分にて剥離強度を測定し、平均した数値を試験結果とする。
(c)ガス透過部とカバー間のヒートシール部の剥離強度
ガス透過部とカバー間のヒートシール部から試験片(幅12mm×長さ100mm)を各2枚用意し、JIS Z1707:1997の7.5項に基づき測定する。測定条件:つかみ具間隔50mm、引張速度300mm/分にて剥離強度を測定し、平均した数値を試験結果とする。
実施例、比較例で用いたガス透過部および樹脂フィルムは、以下を使用した。
<ガス透過部>
ガス透過部を形成する滅菌紙として、タイベック(登録商標)1073B(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ製)を使用した。物性は、目付75g/m2、厚み190μm、バクテリアバリア性LRV=5(ASTM F1608:2000)、ガーレー透気度22秒/100mlであった。
<樹脂フィルム>
滅菌袋のガス透過部を除いた部分、及びカバーを形成する樹脂フィルムとして、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、ヒートシール層となる厚み60μmの低密度ポリエチレンフィルムを準備し、接着剤として、ウレタン樹脂系の2液混合型ラミネート接着剤(塗布量3g/m)を介して積層したものを使用した。樹脂フィルムの物性は、厚み75μm、引張強度(JIS K 7127:1999の6.1.1項)はMD方向が60N/15mm、CD方向が55N/15mm、引裂強度(JIS K 7128−2:1998のエレメンドルフ引裂法)はMD方向が0.24N、CD方向が0.23Nであった。
[実施例1]
(滅菌袋の作製)
図3、図7を用いて説明する。まず、図7に示すカバーのない滅菌袋65を作製した。このカバーのない滅菌袋65は、ヒートシール部4とガス透過部2を有し、ガス透過部2は開口部5があるほうの端部側に配した。次いで、図3に示すとおり、カバー6をヒートシール部4a、4bでヒートシールする事により、カバーを3辺固定した滅菌袋30を得た。なお、ヒートシールは、電動シーラー(富士インパルス株式会社製Fi−600Y、片側加熱式、ヒートシール幅10mm)を用いた。電動シーラーは、カバーの面の上から加熱することで、カバーとガス透過部をヒートシールした(開口部5はヒートシールされていない)。
作製した滅菌袋は、L=375mm、W=300mm、l=20mm、w=280mm、cy=20mm、cx=280mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合は5%、ガス透過部:カバーの面積比は1:1であった。次に、前述の評価・測定方法(4)滅菌性能の評価用サンプルの準備に基づき、評価用サンプルを準備した。
ガス透過部とカバー、ガス透過部と樹脂フィルムのヒートシール部の剥離強度は、10N/12mm、樹脂フィルム同士のヒートシール部が35N/12mmであった。また、開口部5をシールした箇所(背面樹脂フィルム/ガス透過部間)のヒートシールの剥離強度は10N/12mmであった。
得られた滅菌袋を用い、上述の各種評価した結果を表2に示す。滅菌袋は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。
Figure 2019208628
なお、表1中の「重心の位置」とは、滅菌袋の面Aの4つの辺で構成される2組の対向する2つの辺のうちガス透過部の重心から近い方の辺とガス透過部の重心との距離、すなわち、前記面Aの対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、面Aのいずれかの辺からの最短距離に基づくものである。
[実施例2]
l=16mm、cy=16mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合を4%に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、実施例1と同じく、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。
[実施例3]
l=40mm、cy=40mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合を10%に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。残留EO(滅菌性能)は、実施例1よりもガス透過部の面積割合を4%から10%と大きくしたことで、ガスの排出がしやすくなったと推定され、残留EO濃度が実施例1よりも低かった。
[実施例4]
l=100mm、cy=100mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合を25%に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。残留EO(滅菌性能)は、実施例3よりもガス透過部の面積割合を10%から25%と大きくしたことで、ガスの排出がしやすくなったと推定され、残留EO濃度が実施例3よりも低かった。
[実施例5]
l=112mm、cy=112mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合を28%に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。残留EO(滅菌性能)は、実施例4よりもガス透過部の面積割合を25%から28%と大きくしたが、残留EO濃度は実施例4と大差がなかった。
[実施例6]
l=124mm、cy=124mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合を31%に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。残留EO(滅菌性能)は、実施例4よりもガス透過部の面積割合を25%から31%と大きくしたが、残留EO濃度は実施例4と大差がなかった。
実施例4〜6の結果より、面積割合を25%以上増やしてもコストアップになるだけで、発明の効果を実現するガス透過部の面積割合上限は25%で十分である事が示された。
[実施例7]
カバーを1辺(ヒートシール部4a)のみヒートシールした以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを1辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であったが、滅菌性能評価のため滅菌用ケースに繊維製品パッケージ体を収納しようとすると、1辺固定のためカバーがめくれてガス透過部が露出しやすかった。評価は、繊維製品パッケージ体のカバーがめくれないように滅菌袋を収納して実施した。評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。
[実施例8]
cy=22mm、ガス透過部:カバーの面積比は1:1.1に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。
[実施例9]
cy=30mm、ガス透過部:カバーの面積比は1:1.5に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格し、滅菌性能も満足する結果が得られた。
[実施例10]
cy=34mm、ガス透過部:カバーの面積比は1:1.7に変更した以外は実施例1と同様にして、目的とするカバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。得られた滅菌袋について評価した結果を表2に示す。滅菌袋は、エタノール拭き取り洗浄に合格した。バイオロジカルインジケーターの合格率(滅菌性能)は、92%であったが、滅菌時間を調整することでバイオロジカルインジケーターの合格率を100%にする事ができ、実用上問題なかった。
[比較例1]
図7に示すカバーのない滅菌袋を作成した。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。得られた滅菌袋を用い、各種評価した結果、滅菌性能は有しているが、エタノール拭き取り洗浄が不合格であった。これらのことから、エタノール拭き取り洗浄適正がないため、滅菌袋としては適さなかった。
[比較例2]
cy=19mm、ガス透過部:カバーの面積比は1:0.95に変更した以外は実施例1と同様にして、カバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
得られた滅菌袋を用い、各種評価した結果、滅菌性能は有しているが、エタノール拭き取り洗浄が不合格であった。これらのことから、エタノール拭き取り洗浄適正がないため、滅菌袋としては適さなかった。
[比較例3]
cy=16mm、ガス透過部:カバーの面積比は1:0.80に変更した以外は実施例1と同様にして、カバーを3辺固定した滅菌袋を得た。各シール部の剥離強度は実施例1と同等であった。
得られた滅菌袋を用い、各種評価した結果、滅菌性能は有しているが、エタノール拭き取り洗浄が不合格であった。これらのことから、エタノール拭き取り洗浄適正がないため、滅菌袋としては適さなかった。
[比較例4]
(滅菌袋の作製)
図8、図9を用いて説明する。樹脂フィルム71とガス透過部2をセンタシール製袋機(トタニ技研工業社製FD−35V)にて図8に示すガス透過部を中央部に配置し、カバーを2辺固定した滅菌袋を作製した。次に、繊維製品(LIVMOA(登録商標) 型番A−01−001、Mサイズ、東レ製)とバイオロジカルインジケーターを滅菌袋に入れ、開口部5を電動シーラー(富士インパルス株式会社製Fi−600Y)にて幅10mmのヒートシールを施して、図9に示すカバーを3辺固定した包装された繊維製品を得た。
滅菌袋は、L=375mm、W=300mm、l=355mm、w=16mm、cy=355mm、cx=15mm、袋片面に占めるガス透過部の面積割合は4%、ガス透過部:カバーの面積比は1:1であり、実施例1と同様のガス透過部面積割合、ガス透過部:カバーの面積比であるが、袋の中央部にガス透過部が配設された例である。ガス透過部の重心は長辺から0.5の距離であった。ヒートシール部の剥離強度は、樹脂フィルム71とガス透過部2のヒートシール部が10N/12mm、樹脂フィルム71同士のヒートシール部が35N/12mmであった。
評価結果は、エタノール拭き取り洗浄に合格した。バイオロジカルインジケーターの合格率(滅菌性能)は、66%であり、ガス透過部が隣接する袋や内包する繊維製品と接触する事で、滅菌袋へのEOGの流入・排出がされにくくなったと推定され、滅菌性能に劣り、実用性に欠けるものであった。
表2の結果から、実施例1〜10の滅菌袋が本発明の課題を解決できている事が分かる。特に、本発明者の鋭意努力により、カバーをガス透過部全面に配置し、かつその位置とサイズを設計することで、ガスの流出入を妨げず高い滅菌性能を保持し、使用時のエタノール洗浄を可能としている。その結果、実用性に優れるガス滅菌に適した滅菌袋を提供される。
本発明の滅菌袋は、十分なガス滅菌性能を有し、エタノール拭き取り洗浄に適し、ガス透過部の物理的強度を高めて取り扱い時に損傷を起こす事が無い滅菌袋として使用でき、細胞加工施設、臨床検査施設、医薬品・化粧品・医療機器製造施設等のクリーンルームに搬入して使用する滅菌袋として好適である。
1 滅菌袋(カバーの固定は1辺の状態)
2 ガス透過部
3a 樹脂フィルム(正面)
3b 樹脂フィルム(背面)
4 ヒートシール部
4a ヒートシール部
4b ヒートシール部
5 開口部
6 カバー
7 ノッチ(開封開始部)
10 滅菌袋の背面
30 カバーを3辺につけた状態の滅菌袋の正面
39 滅菌袋30のカバーを取り外した状態の滅菌袋
41 繊維製品
42 滅菌用ケース
50 評価用繊維製品パッケージ体
55 バイオロジカルインジケーター
60 評価用繊維製品パッケージ体を収納した滅菌用ケース
65 カバーのない滅菌袋
70 カバーを2辺につけた状態の滅菌袋の正面
71 樹脂フィルム
74 ヒートシール部
75 ヒートシール部
80 従来の繊維製品パッケージ体
81 繊維製品パッケージ体
82 滅菌用ケースの壁面
83 滅菌ガスの流れ
W 滅菌袋の横辺の長さ
L 滅菌袋の縦辺の長さ
w ガス透過部の横辺の長さ
l ガス透過部の縦辺の長さ
cy カバーの縦辺の長さ
cx カバーの横辺の長さ
G ガス透過部の重心

Claims (8)

  1. 開口部とガス透過部とを有し、略長方形の少なくとも2面を有する、滅菌処理に供される滅菌袋であって、
    前記開口部は、前記略長方形の一辺に含まれ、
    前記ガス透過部は、滅菌袋の少なくとも一方の面(かかる面を面Aと称する)に配置されており、かつ、前記ガス透過部は、該ガス透過部の全部を覆うことが可能なカバーを有し、
    前記カバーは、前記ガス透過部を含む面Aに、一部分で固定されており、
    かつ、前記ガス透過部が、以下の(1)および(2)を同時に満たす、滅菌袋。
    (1)前記ガス透過部の重心が、前記面Aの対向する2つの辺の間の距離を1としたときに、面Aのいずれかの辺からの距離が0.02から0.2までの範囲に存在する。
    (2)前記ガス透過部の面積(Sgas)は、前記面Aの全面積(S)に対し4%以上25%以下である。
  2. 前記カバーの面積(Scov)が、前記ガス透過部の面積(Sgas)に対して100%以上150%以下である、請求項1に記載の滅菌袋。
  3. 前記ガス透過部の形状が、略長方形である、請求項1または2に記載の滅菌袋。
  4. 前記カバーの形状が略長方形であって、かつ、前記ガス透過部の少なくとも1辺と前記カバーの対応する1辺とが、周縁で接合されない、請求項1〜3のいずれかに記載の滅菌袋。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の滅菌袋に、滅菌処理された繊維製品が封入された、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体。
  6. 開口部とガス透過部とを有し、略長方形の少なくとも2面を有する、滅菌袋と、
    滅菌ガスを導入する滅菌用ケースを、少なくとも備え、
    繊維製品が、滅菌袋に収納される工程Aと、
    前記滅菌袋の開口部を密閉し、繊維製品パッケージ体を得る工程Bと、
    複数の前記繊維製品パッケージ体を滅菌用ケースに収納する際、前記滅菌袋に備えたガス透過部を上部に配置する工程Cと、
    複数の前記繊維製品パッケージ体が収納された前記滅菌用ケースを滅菌ガスに暴露させる工程Dと、を有する、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法。
  7. 請求項6に記載の滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法において、請求項1〜4いずれかに記載の滅菌袋を用いる、滅菌処理済み繊維製品パッケージ体の製造方法。
  8. 請求項5に記載の複数の滅菌処理済み繊維製品パッケージ体が滅菌用ケースに収納された滅菌梱包体。
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