JPWO2019207989A1 - 絶縁被膜剥離装置および絶縁被膜剥離方法 - Google Patents

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Abstract

角線または平角線の絶縁被膜(2)を、一方側およびその反対側である他方側の双方について同等に、均一に、かつ高効率に剥離できる絶縁被膜剥離装置(100)は、少なくとも1対の回転工具(101,102)と、1対の押さえ部材(111,112)とを備える。少なくとも1対の回転工具(101,102)は、絶縁被膜(2)を有する剥離対象物(10)が設置された状態で、剥離対象物(10)を挟むように対向する。1対の押さえ部材(111,112)は、剥離対象物(10)の主表面に沿うように拡がり、剥離対象物(10)を挟みかつ1対の回転工具(101,102)に隣接するように配置される。1対の押さえ部材(111,112)のそれぞれは、剥離対象物(10)の主表面に交差する方向についての、1対の押さえ部材(111,112)からの1対の回転工具(101,102)のそれぞれの突出量を制御可能である。

Description

本発明は絶縁被膜剥離装置および絶縁被膜剥離方法に関し、特に、導線を被覆する絶縁被膜を剥離する絶縁被膜剥離装置および絶縁被膜剥離方法に関するものである。
モータおよび変圧器などの固定子を構成するコイルには、導線が絶縁被膜に覆われた素線が用いられる場合がある。その場合、複数のコイルの端末同士を結線し電気的に接続するために、当該コイルの各端末の絶縁被膜を除去し導線の部分を露出させる必要がある。なお導線の断面形状は円形である場合の他に、正方形に類似する形状または長方形に類似する形状である場合がある。
溶液を用いて絶縁被膜を溶解させることでこれを剥離する方法は、安全性、作業性、および品質の面で課題がある。このため絶縁被膜は、回転工具を用いた機械的な切削加工により剥離されることが望まれる。切削加工による剥離方法として、たとえば特開平4−2104号公報(特許文献1)には、正方形断面の素線であるいわゆる角線、または長方形断面の素線であるいわゆる平角線に含まれる絶縁被膜を剥離する方法が開示されている。具体的には、特開平4−2104号公報には、滑車に適正なテンションで架張された角線または平角線の絶縁被膜の延びる面に、当該素線が僅かにたわむように回転砥石が接触させ、回転砥石の回転運動により絶縁被覆を剥離する技術が開示されている。
また、たとえば実用新案登録第3145907号公報(特許文献2)に開示される剥離装置は、あらかじめ角線などの絶縁被膜の厚みを記憶する。それにより、当該装置に含まれる歯切り棒状の回転工具の位置が決められ、切込み量が制御される。その上で、当該回転工具が角線または平角線を挟むように対向して配置され、制御された切込み量だけ絶縁被膜を剥離する。
特開平4−2104号公報 実用新案登録第3145907号公報
特開平4−2104号公報のような1台の回転砥石を工具としそこに素線を接触させ絶縁被膜を剥離する方法は、導線に与える張力によるたわみおよび反力が変動する。このため絶縁被膜が剥離される厚みが不均一になる問題が生じ得る。
また実用新案登録第3145907号公報においては、コイルのエナメルが剥離される厚みを0.01mm単位で微調整することが可能である。しかし1対の回転工具と剥離されるコイルとの相対的な位置決めが困難である。このためコイルの位置が、1対の回転工具のうちいずれか一方の側に偏った場合には、1対の回転工具のそれぞれの切込み深さに大きな差が生じ、剥離後のコイル形状が不均一になる問題が生じ得る。
本発明は上記の課題に鑑みなされたものである。その目的は、角線または平角線の絶縁被膜を、一方側およびその反対側である他方側の双方について同等に、均一に、かつ高効率に剥離することが可能な絶縁被覆剥離装置および絶縁被膜剥離方法を提供することである。
本発明の絶縁被膜剥離装置は、少なくとも1対の回転工具と、1対の押さえ部材とを備える。少なくとも1対の回転工具は、絶縁被膜を有する剥離対象物が設置された状態で、剥離対象物を挟むように対向する。1対の押さえ部材は、剥離対象物の主表面に沿うように拡がり、剥離対象物を挟みかつ1対の回転工具に隣接するように配置される。1対の押さえ部材のそれぞれは、剥離対象物の主表面に交差する方向についての、1対の押さえ部材からの1対の回転工具のそれぞれの突出量を制御可能である。
本発明の絶縁被膜剥離方法は、まず対向する少なくとも1対の回転工具の間に剥離対象物が配置される。剥離対象物の主表面に沿うように拡がり、剥離対象物を挟みかつ1対の回転工具に隣接するように1対の押さえ部材が配置される。剥離対象物の主表面に交差する方向についての、1対の押さえ部材からの1対の回転工具のそれぞれの突出量が制御される。1対の回転工具の突出量が制御された状態で1対の回転工具を回転させ、剥離対象物に含まれる絶縁被膜が剥離される。
本発明によれば、1対の回転工具と1対の押さえ部材とにより、角線または平角線の絶縁被膜を、一方側およびその反対側である他方側の双方について同等に、均一に、かつ高効率に剥離することができる。
本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線の構成の第1例を示す概略断面図である。 本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線の構成の第2例を示す概略断面図である。 本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線が複数束ねられた束線の構成を示す概略斜視図である。 束線を用いて形成されたコイルの一例の構成を示す概略斜視図である。 図4に示す平面コイルが複数、電気的に接続される態様の第1例を示す概略断面図である。 図4に示す平面コイルが複数、電気的に接続される態様の第2例を示す概略断面図である。 図6のVII−VII線に沿う部分の概略断面図である。 実施の形態1に係る絶縁被膜剥離装置の外観態様を示す概略斜視図である。 図8の絶縁被膜剥離装置に含まれる各構成要素の配置態様を説明するために、当該各構成要素が分解されるように図示された概略斜視図である。 実施の形態1の絶縁被膜剥離装置を用いた絶縁被膜剥離方法の第1工程を示す概略断面図である。 実施の形態1の絶縁被膜剥離装置を用いた絶縁被膜剥離方法の第2工程を示す概略断面図である。 実施の形態1の絶縁被膜剥離装置を用いた絶縁被膜剥離方法の第3工程を示す概略断面図である。 比較例としての、溶液による素線からの絶縁被膜の剥離工程を示す概略図である。 第1比較例における絶縁被膜剥離方法の第1工程を示す概略断面図である。 第1比較例における絶縁被膜剥離方法の第2工程を示す概略断面図である。 第2比較例における絶縁被膜剥離方法の一工程を示す概略断面図である。 実施の形態2に係る絶縁被膜剥離装置の外観態様を示す概略斜視図である。 図17の絶縁被膜剥離装置に含まれる各構成要素の配置態様を説明するために、当該各構成要素が分解されるように図示された概略斜視図である。 実施の形態2の絶縁被膜剥離装置を用いた絶縁被膜剥離方法の第1工程を示す概略断面図である。 実施の形態2の絶縁被膜剥離装置を用いた絶縁被膜剥離方法の第2工程を示す概略断面図である。 実施の形態2の絶縁被膜剥離装置を用いた絶縁被膜剥離方法の第3工程を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
実施の形態1.
まず本実施の形態の剥離対象物としての素線および束線の構成について、図1〜図7を用いて説明する。図1は本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線の構成の第1例を示す概略断面図である。図2は本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線の構成の第2例を示す概略断面図である。
図1を参照して、本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線10の第1例は、導線1と、絶縁被膜2とを含んでいる。図1の導線1は、その延びる方向に交差する方向での断面が、概ね横方向の寸法a、およびそれに直交する縦方向の寸法bを有している。図1においては寸法aと寸法bとの値がほぼ等しい。このため導線1は、隅の角部が曲線形状を有するものの、概ね正方形に近い断面形状を有している。一方、導線1の外側は絶縁被膜2に覆われている。絶縁被膜2は、厚みがたとえばtとなっている。導線1が正方形に近い断面形状を有するため、絶縁被膜2に覆われた素線10の全体も、概ね正方形に近い断面形状を有している。このような形状を有するため、図1の素線10は角線と呼ばれる。
図2を参照して、本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線10の第2例も、導線1と、絶縁被膜2とを含んでいる。図2の導線1も、その延びる方向に交差する方向での断面が、概ね横方向の寸法a、およびそれに直交する縦方向の寸法bを有している。図2においては寸法aの値の方が寸法bの値よりも大きい。このため導線1は、隅の角部が曲線形状を有するものの、概ね長方形に近い断面形状を有している。一方、導線1の外側は絶縁被膜2に覆われている。絶縁被膜2は、厚みがたとえばtとなっている。導線1が長方形に近い断面形状を有するため、絶縁被膜2に覆われた素線10の全体も、概ね長方形に近い断面形状を有している。このような形状を有するため、図2の素線10は平角線と呼ばれる。
導線1はたとえば銅またはアルミニウムなどの金属材料からなることが好ましいが、他の導電性の材料であってもよい。絶縁被膜2はPVF(ポリフッ化ビニル)、PU(ポリウレタン)、PEs(ポリエステル)、PEI(ポリエステルイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PI(ポリイミド)からなる群から選択されるいずれかの材料からなることが好ましい。上記はすべて樹脂材料であるが、絶縁被膜2としては上記の樹脂材料に限られない。すなわち絶縁被膜2としては、樹脂材料以外の絶縁性の材料が用いられてもよい。
図3は本実施の形態の絶縁被膜剥離装置の剥離対象物としての素線が複数束ねられた束線の構成を示す概略斜視図である。図3を参照して、本実施の形態の束線20は、たとえば図2に示す平角線の素線10が複数束ねられたものである。すなわち束線20においては、複数の平角線の素線10のそれぞれの延びる方向における絶縁被膜2同士が互いに接触しながら重なるように積み上げられている。そして当該複数の素線10の外周が絶縁性シート4で覆われ一体としてまとめられることにより、束線20が形成されている。なお束線20を形成するための絶縁性シート4は、絶縁性を有する紙でもよいがこれに限らず、ポリエステル製の紐材などでもよい。また図3においては3本の素線10が束ねられ束線20を構成しているが、これに限らず束線20に含まれる素線10の本数は任意である。図3においては図2の平角線の素線10が束ねられた束線20が図示されている。しかしこれに限らず、たとえば図1の角線の素線10が束ねられた束線20が用いられてもよい。
図4は束線20を用いて形成されたコイルの一例の構成を示す概略斜視図である。図4を参照して、当該コイルとしての平面コイル30は、たとえば図3の平角線の素線10による束線20が、図4に示すように複数回、渦巻状に周回されることにより形成されている。そして周回される束線20の一方の端部、および当該一方と反対側の他方の端部は、端末部5となる。すなわち端末部5は、周回される束線20の最も外側および内側の端部に配置される。なお以下において端末部5とは、束線20の最も端の面の部分のみならず、それに隣接する領域も含むものとする。
図5は、図4に示す平面コイル30が複数、電気的に接続される態様の第1例を示す概略断面図である。図5においては、3本の素線10が束ねられた束線20による平面コイル30が1対、互いに電気的に接続されている。図5を参照して、複数のコイル同士の接続の第1例においては、それぞれの平面コイル30を構成する束線20に含まれる3本の素線10は、その端末部5において、絶縁被膜2が剥離され導線1が露出した状態となっている。
なお3本の導線1の部分は、束線20が巻かれた平面コイル30において、図5の上下方向に互いに積み重なるように配置されている。1対の平面コイル30は、それぞれに含まれる複数の導線1の部分同士が、図5の左右方向に互いに対向するように配置されている。1対の各平面コイル30に含まれる、束ねられた3本の素線10のそれぞれの端末部5は、ろう付け用のろう材6により互いに接合されている。以上により各導線1が結線されている。
図6は、図4に示す平面コイル30が複数、電気的に接続される態様の第2例を示す概略断面図である。図6においては、3本の素線10が束ねられた束線20による平面コイル30が1対、互いに電気的に接続されている。図6を参照して、複数のコイル同士の接続の第2例においては、それぞれの平面コイル30の束線20に含まれる3本の露出した導線1の部分同士が、圧着端子7により、互いに密着され電気的に接続されている。なお図6におけるそれぞれの素線10の態様は基本的に図5と同様であり、端末部5において導線1が露出している。
図7は、図6のVII−VII線に沿う部分の概略断面図である。図6および図7を参照して、圧着端子7は、たとえば側面が図6の左右方向に延びる円筒形状を有している。各平面コイル30の複数の導線1の部分は、円筒形状の圧着端子7の空洞部分内に挿入されるように配置されている。すなわち当該3本の導線1の部分が図6の上下方向に互いに積み重なるように配置されている。また1対の平面コイル30は、それぞれに含まれる複数の導線1の部分同士が、図6の左右方向に互いに対向するように配置されている。
これら1対の平面コイル30の複数の導線1が、圧着端子7の空洞部分内に挿入される。圧着端子7には、たとえば図6の上側および下側から、円筒形状の側面が延びる部分に、これらを互いに圧縮させる方向の外力が加わる。これにより圧着端子7は塑性変形し、圧着端子7内に挿入された複数の導線1の部分は互いに密着した状態となる。したがって、圧着端子7内にて複数の導線1同士が互いに電気的に接続されている。以上により各導線1が結線されている。
次に、本実施の形態に係る絶縁被膜剥離装置の構成について、図8および図9を用いて説明する。
図8は、実施の形態1に係る絶縁被膜剥離装置の外観態様を示す概略斜視図である。図9は、図8の絶縁被膜剥離装置に含まれる各構成要素の配置態様を説明するために、当該各構成要素が分解されるように図示された概略斜視図である。図8を参照して、実施の形態1に係る絶縁被膜剥離装置100は、剥離対象物としての素線10に含まれる、絶縁被膜2を剥離する装置である。図8に示すように、絶縁被膜剥離装置100には、たとえばX方向に沿って延びるように素線10が設置される。
図9を参照して、絶縁被膜剥離装置100は、回転工具動力源11を有している。回転工具動力源11は、後述する回転工具を回転するための動力源である。回転工具動力源11に用いられる動力源としては、電気または空気のいずれが用いられてもよい。
絶縁被膜剥離装置100は、少なくとも1対の回転工具101,102と、1対の押さえ部材111,112とを有している。回転工具101および回転工具102はいずれも素線10の主表面に沿った方向であるたとえば水平方向に沿って延在する。具体的には、回転工具101および回転工具102は、たとえばY方向に沿って延び、円柱形状またはそれに近い形状を有する、切削加工用の部材である。具体的には、1対の回転工具101,102はたとえばエンドミルであることが好ましい。
なお図9、および以下の図10以降の説明においては、回転工具101と回転工具102は同一形状、同一サイズであることを前提とする。しかし本実施の形態においてはそのような態様に限られない。
回転工具101は、回転工具102よりもZ方向上方に配置されている。また回転工具101よりZ方向下方、回転工具102よりZ方向上方に、素線10が配置されている。すなわち1対の回転工具101,102は、剥離対象物としての素線10を挟むように、Z方向に関して対向して配置されている。なお図9においては回転工具101は回転工具102よりもX方向正側に配置されているが、以降の図10〜図12に示すように回転工具101は回転工具102よりもX方向負側に配置されてもよい。いずれにせよ、回転工具101と回転工具102とのX方向に関する位置は異なっており、両者は必ずしも平面視において重なっていない。しかしこのような場合も以下ではZ方向に関して回転工具101と回転工具102とは対向していると記載することとする。
図9においては1対の回転工具101,102が配置されるがこれに限られない。すなわち絶縁被膜剥離装置100は少なくとも1対の回転工具を含み、3つ以上の回転工具が配置されてもよい。
押さえ部材111および押さえ部材112は、いずれもたとえばXY平面に沿って拡がり、X方向に沿って延びる部材である。言い換えれば、押さえ部材111および押さえ部材112は、剥離対象物である素線10の主表面すなわち絶縁被膜2の主表面に沿うように拡がっている。図9においては一例として、押さえ部材111はX方向寸法よりもY方向寸法の方が長く、押さえ部材112はY方向寸法よりもX方向寸法の方が長い態様として図示されている。しかし押さえ部材111,112の平面視における形状は上記のような態様に限られない。
押さえ部材111は、押さえ部材112よりもZ方向上方に配置されている。また押さえ部材111よりZ方向下方、押さえ部材112よりZ方向上方に、素線10が配置されている。すなわち押さえ部材111,112は、剥離対象物としての素線10を挟むように1対、配置されている。図9では押さえ部材111と押さえ部材112とのXY平面上の位置が異なっているが、このような場合も以下では押さえ部材111と押さえ部材112とは素線10を挟むように配置されると記載することとする。
押さえ部材111にはZX平面に沿い鉛直方向に延びる部分が含まれ、当該部分を貫通するたとえば円形の平面形状の貫通孔が形成されている。Y方向に沿って延びる回転工具101の中心軸は、図9中のY方向に延びる中心軸C1に一致するように配置される。組み立てられた状態においては、中心軸C1が、押さえ部材111の上記円形の貫通孔の中心に重なり、貫通孔内に回転工具101が貫通されるよう配置される。これにより、回転工具101は押さえ部材111のXY平面に拡がる領域よりもZ方向下側を通るように配置され、Z方向に関して押さえ部材111に対する位置が固定される。
同様に、押さえ部材112にもZX平面に沿い鉛直方向に延びる部分が含まれ、当該部分を貫通するたとえば円形の平面形状の貫通孔が形成されている。ただし押さえ部材111と押さえ部材112とは図9のように当該鉛直方向に延びる部材の形状が異なっていてもよい。Y方向に沿って延びる回転工具102の中心軸は、図9中のY方向に延びる中心軸C2に一致するように配置される。組み立てられた状態においては、中心軸C2が、押さえ部材112の上記円形の貫通孔の中心に重なり、貫通孔内に回転工具102が貫通されるよう配置される。これにより、回転工具102は押さえ部材112のXY平面に拡がる領域よりもZ方向上側を通るように配置され、Z方向に関して押さえ部材112に対する位置が固定される。
絶縁被膜剥離装置100においては、中心軸C1に沿うように回転工具101と結合され、中心軸C2に沿うように回転工具102と結合される他の各部材が存在する。これにより回転工具101は中心軸C1周りに、回転工具102は中心軸C2周りに、回転可能である。次に当該各部材について説明する。
絶縁被膜剥離装置100には、3つの回転伝達機構121,122,123が含まれる。回転伝達機構121,122,123はたとえば歯車である。回転伝達機構121は回転工具101と中心軸が一致するように配置されている。すなわち回転伝達機構121はその中心が中心軸C1に沿うようY方向に延在している。同様に回転伝達機構122は回転工具102と中心軸が一致するように配置されている。すなわち回転伝達機構122はその中心が中心軸C2に沿うようY方向に延在している。
一方、回転伝達機構123の中心軸はY方向に沿うが、中心軸C1、中心軸C2のいずれとも異なる位置に延びている。回転伝達機構123の中心軸は、回転工具動力源11に含まれる図示されない回転軸に一致する。このため、当該回転工具動力源11の回転軸が動力源を利用して回転すれば、それにより回転伝達機構123の歯車は回転する。回転伝達機構123の歯車の歯と回転伝達機構122の歯車の歯とは噛み合っている。また回転伝達機構122の歯車の歯と回転伝達機構121の歯車の歯とも噛み合っている。このため回転伝達機構123が回転すれば、それに合わせて回転伝達機構122および回転伝達機構121も回転する。
絶縁被膜剥離装置100には、2つの動力伝達軸131,132が含まれる。動力伝達軸131,132はたとえば細長い円柱形状を有しているがこれに限られない。動力伝達軸131は回転工具101と中心軸が一致するように配置されている。すなわち動力伝達軸131はその中心が中心軸C1に沿うようY方向に延在している。同様に動力伝達軸132は回転工具102と中心軸が一致するように配置されている。すなわち動力伝達軸132はその中心が中心軸C2に沿うようY方向に延在している。
動力伝達軸131は回転伝達機構121のY方向負側に隣接するように配置される。このため回転伝達機構121の回転により動力伝達軸131に回転が伝達される。同様に、動力伝達軸132は回転伝達機構122のY方向負側に隣接するように配置される。このため回転伝達機構122の回転により動力伝達軸132に回転が伝達される。
動力伝達軸131と回転工具101との間にはカップリング141が配置される。カップリング141は回転工具101と中心軸が一致するように配置されている。すなわちカップリング141はその中心が中心軸C1に沿うようY方向に延在している。カップリング141は、ZX平面におけるサイズが動力伝達軸131および回転工具101よりも大きいことが好ましい。カップリング141は動力伝達軸131のY方向負側、および回転工具101のY方向正側に隣接するように配置されている。すなわちカップリング141は動力伝達軸131と回転工具101との間に配置されており、Y方向に関して動力伝達軸131と回転工具101とを接続している。これによりカップリング141は、動力伝達軸131の回転を回転工具101に伝達する。
動力伝達軸132と回転工具102との間にはカップリング142が配置される。カップリング142は回転工具102と中心軸が一致するように配置されている。すなわちカップリング142はその中心が中心軸C2に沿うようY方向に延在している。カップリング142は、ZX平面におけるサイズが動力伝達軸132および回転工具102よりも大きいことが好ましい。カップリング142は動力伝達軸132のY方向負側、および回転工具102のY方向正側に隣接するように配置されている。すなわちカップリング142は動力伝達軸132と回転工具102との間に配置されており、Y方向に関して動力伝達軸132と回転工具102とを接続している。これによりカップリング142は、動力伝達軸132の回転を回転工具102に伝達する。
以上により、回転工具動力源11から回転伝達機構123に伝えられた回転は、そこから回転伝達機構122,121に伝達される。回転伝達機構121と動力伝達軸131とカップリング141と回転工具101とはいずれも中心軸C1を中心としてY方向に互いに連結されている。このため回転伝達機構121の回転は動力伝達軸131、カップリング141を経由して回転工具101に伝達される。同様に、回転伝達機構122と動力伝達軸132とカップリング142と回転工具102とはいずれも中心軸C2を中心としてY方向に互いに連結されている。このため回転伝達機構122の回転は動力伝達軸132、カップリング142を経由して回転工具102に伝達される。
また上記のように、回転工具101は押さえ部材111の貫通孔内に貫通され、回転工具102は押さえ部材112の貫通孔内に貫通される。このためZ方向に関する押さえ部材111に対する回転工具101の位置は固定され、Z方向に関する押さえ部材112に対する回転工具102の位置は固定される。
その他、絶縁被膜剥離装置100においては、たとえば押さえ部材111に隣接する領域には、集塵部19が設けられていてもよい。集塵部19は、切削屑の飛散防止用の機構である。
また図示されないが、絶縁被膜剥離装置100においては、Z方向下側の押さえ部材112に、ガイド溝が形成されてもよい。ガイド溝は、回転工具101,102が素線10の剥離加工の際に剥離面から下方へ脱落することを防止すべくこれをガイドする機能を有する溝である。
図10〜図12は、図9中の特に点線で囲まれた領域Aにおける構成、および当該領域Aでの回転工具、押さえ部材および剥離対象物の配置および加工工程を示す概略断面図である。すなわち絶縁被膜剥離装置100を用いた絶縁被膜2の剥離工程においては、図10、図11、図12の順に工程が進行する。以下、図10〜図12を用いて、本実施の形態の絶縁被膜剥離方法について説明する。なお図10〜図12に示す各部材、特に押さえ部材111および押さえ部材112の形状は模式的に示されており図9におけるこれらの形状と必ずしも一致しない。
図10を参照して、まず絶縁被膜剥離装置100の、図9中の点線で囲まれた領域Aに、Z方向に関して互いに対向する少なくとも1対の回転工具101,102が設置される。Z方向に関してこれらの1対の回転工具101,102の間に、剥離対象物としての素線10が配置される。
また素線10の主表面、すなわち絶縁被膜2の主表面に沿うように拡がる、1対の押さえ部材111,112が配置される。なお図10においては絶縁被膜2および押さえ部材111,112はX方向に延びるように拡がるように見えるが、実際には絶縁被膜2および押さえ部材111,112はXY平面に沿うように拡がっている。
Z方向に関する押さえ部材111に対する回転工具101の固定された距離は、図10中ではZ1で表される。またZ方向に関する押さえ部材112に対する回転工具102の固定された距離も、図10中ではZ1で表される。言い換えれば、押さえ部材111からの回転工具101のZ方向下方への突出量、および押さえ部材112からの回転工具102のZ方向上方への突出量がいずれも等しいZ1となるように、回転工具101,102のZ方向位置が固定されている。そのために回転工具101,102は押さえ部材111,112に隣接(たとえば接触)した状態を保ちながら図中矢印で示すM1,M2の方向に移動する。さらに、図10中において、素線10の主表面に交差するZ方向に関する押さえ部材111の絶縁被膜2からの距離はZ2で表示される。この距離Z2は、回転工具101と回転工具102との間に剥離対象物としての素線10を挿入し配置するために、回転工具101と素線10との間に設けられる隙間である。また図10中において、Z方向に関する押さえ部材112の絶縁被膜2からの距離はZ2で表示される。ただし図10での押さえ部材111と素線10との距離Z2と、押さえ部材112と素線10との距離Z2とは、等しくてもよいが等しくなくてもよい。両者が等しくない場合、押さえ部材111と素線10との距離Z2の方が押さえ部材112と素線10との距離Z2より大きくてもよい。あるいは押さえ部材112と素線10との距離Z2の方が押さえ部材111と素線10との距離Z2より大きくてもよい。
図10中において、押さえ部材111,112の面は、絶縁被膜2の表面とほぼ平行になるように拡がっている。なお押さえ部材111,112の面は、距離Z2の大きさに依らず常に絶縁被膜2の表面とほぼ平行となるように保たれている。ここで、絶縁被膜2からの距離がZ2となる押さえ部材111,112の面は、図9における押さえ部材111,112のXY平面に拡がる領域に対応する。
また図10の状態においては、X方向に関する回転工具101の中心軸C1と回転工具102の中心軸C2との距離はX1である。この距離X1はゼロすなわちXY平面上で回転工具101と回転工具102とが完全に重なるように配置されてもよい。しかし距離X1がゼロでなく、図10のようにX方向に関して中心軸C1と中心軸C2との間にずれが存在してもよい。ただしその場合においても、X方向に関して回転工具101と回転工具102とは、少なくとも一部がZ方向に関して(XY平面上で)重なるように配置されることがより好ましい。
図11を参照して、図10のように押さえ部材111からの回転工具101のZ方向下方への突出量、および押さえ部材112からの回転工具102のZ方向上方への突出量がいずれも等しいZ1である状態が保たれる。この状態を保ちながら、押さえ部材111および回転工具101がZ方向下方へ、押さえ部材112および回転工具102がZ方向上方へ移動する。これにより、1対の押さえ部材111,112がZ方向に関する素線10からの距離Z2が制御される。当該距離Z2は、たとえば押さえ部材111,112と素線10とが接触する場合はゼロとなる。
図11においては距離Z2はほぼゼロとなっており、このために押さえ部材111,112に対する回転工具101,102の突出量Z1が絶縁被膜2の厚みtにほぼ等しくなっている。このようにすれば、回転工具101,102は絶縁被膜2をすべて切削除去し、導線1をまったく削らないようにすることができる。このため導線1を露出させるとともに、導線1が削られることによる導線1の導通方向に交差する方向の断面(図1、図2参照)の断面積の減少を抑制することができる。このことは導線1の電気抵抗の増加を抑制できることをも意味する。また導線1を確実に露出させることにより、導線1同士の結線材料であるろう材6または圧着端子7(図5、図6参照)との導通を可能とする。
しかし上記のように距離Z2をゼロにして突出量Z1を絶縁被膜2の厚みtに等しくするような態様に限られない。すなわち、距離Z2はゼロでなく、絶縁被膜2と押さえ部材111との間に、絶縁被膜2と押さえ部材112との間とほぼ同一の間隔を有していてもよい。たとえば絶縁被膜2と押さえ部材111,112とが接触しないが両者の間隔が非常に狭く設置されるような場合も想定される。このような場合は距離Z2はゼロより大きな正の値となり、押さえ部材111,112に対する回転工具101,102の突出量Z1が絶縁被膜2の厚みtより大きくなる。以上をまとめると本実施の形態においては、押さえ部材111,112に対する回転工具101,102の突出量Z1は絶縁被膜2の厚みt以上となる。また後述するように、たとえ距離Z2がほぼゼロであっても、寸法誤差を考慮して、突出量Z1を絶縁被膜2の厚みtより大きくする場合もある。
図11においても図10と同様に、絶縁被膜2からの距離がZ2となる押さえ部材111,112の面は、絶縁被膜2の表面とほぼ平行になるように拡がっている。したがって絶縁被膜2からの距離がZ2となる押さえ部材111,112の面は、そのほぼ全体において、絶縁被膜2の表面との距離がZ2すなわちゼロとなるように保たれている。したがって押さえ部材111,112の面は、絶縁被膜2の表面に接触している。これにより1対の押さえ部材111,112は、素線10の表面を接触しながら挟み、かつ1対の回転工具101,102に隣接(たとえば接触)するように配置されている。
このように図11においては、図10と同様に、押さえ部材111と押さえ部材112との、Z方向に関する素線10(絶縁被膜2)からの距離をZ2としている。上記のように、ここでは押さえ部材111と素線10との距離Z2と、押さえ部材112と素線10との距離Z2とが等しい場合と等しくない場合との双方を含む。この状態を保ちながら、回転工具101の押さえ部材111からのZ方向下方への突出量、および回転工具102の押さえ部材112からのZ方向上方への突出量のそれぞれが制御される。図11においては押さえ部材111からの回転工具101のZ方向についての突出量、および押さえ部材112からの回転工具102のZ方向についての突出量がともにZ1となるように制御される。なお図11の状態においても、図10の状態と同様に、X方向に関する回転工具101の中心軸C1と回転工具102の中心軸C2との距離はX1である。
すなわち1対の押さえ部材111,112のそれぞれは、素線10の絶縁被膜2の主表面に交差するZ方向に関して、絶縁被膜2の主表面からの距離をZ2とした状態とされる。その状態で、押さえ部材111からの回転工具101の突出量Z1と、押さえ部材112からの回転工具102の突出量Z1とが等しくなる状態を保つように制御可能である。
回転工具101,102が押さえ部材111,112からZ方向に関して突出する。これにより、回転工具101,102は、素線10の主表面すなわちXY平面に沿った方向に延在しながら、素線10のうち絶縁被膜2の内側に配置される剥離対象物基材としての導線1を挟むことが可能である。
以上のように、1対の回転工具101,102および1対の押さえ部材111,112がZ方向に関して素線10の導線1を挟み込むように接近する。ここで図11に示すように回転工具101,102を回転させる。具体的には、回転工具101はZX平面に沿う円形状(に近い形状)の周が図中の矢印R1で示すように回転し、回転工具102はZX平面に沿う円形状(に近い形状)の周が図中の矢印R2で示すように回転する。これにより、回転工具101は図11の上側の絶縁被膜2を切削し始め、回転工具102は図11の下側の絶縁被膜2を切削し始める。
図11に示すように、押さえ部材111,112に対する回転工具101,102のZ方向の突出量Z1は、絶縁被膜2の厚みtにほぼ等しくなっている。図12を参照して、図11と同様に1対の回転工具101,102の押さえ部材111,112に対する突出量がZ1であり、押さえ部材111,112が絶縁被膜2の表面に接触した状態を保つよう制御される。また図11中の距離X1もそのまま保たれる。その状態で、回転工具101,102を回転させる。ここでは図11と同様に、回転工具101は図中の矢印R1のように、回転工具102は図中の矢印R2のように回転する。
そのまま素線10をたとえば図12中に矢印M3で示すようにX方向左側に移動させる。あるいは逆に、素線10を動かさずに回転工具101,102および押さえ部材111,112をX方向右側へ移動させてもよい。これにより回転工具101は図12の上側の絶縁被膜2を、回転工具102は図12の下側の絶縁被膜2を、図12の右側の端末部5に向けて剥離する。このようにすれば、当初回転工具101,102が接触した位置よりも端末部5側の領域に配置された絶縁被膜2が剥離され、それ以外の領域の絶縁被膜2が残存する態様となるように素線10が加工される。
図12においても図11と同様に、素線10のZ方向上側の距離Z1とZ方向下側のZ1とが等しいとはいえ、両者間に0.01mmより少ない誤差が生じ得る。また図12においても図11と同様に、素線10のZ方向上側の距離Z2とZ方向下側のZ2とがたとえほぼ等しくなるよう制御されたとしても、両者間に0.01mmより少ない誤差が生じ得る。なお本実施の形態にて切削される絶縁被膜2の想定される厚みは、一般的に15μm以上100μm以下程度である。また図12の工程時にいったん調整された突出量Z1などは、それ以降の同工程時に再調整し直さずそのまま使用される。このため機械の寸法誤差、および絶縁被膜2の厚みばらつきなどを考慮し、距離Z1は絶縁被膜2の厚みtより大きく設定されてもよい。具体的には、距離Z2がほぼゼロの場合であっても、当該突出量Z1は絶縁被膜2の厚みtより2μm以上5μm以下程度大きく設定されることが好ましい。
次に、図11および図12においては、回転工具101の回転R1と回転工具102の回転R2とは同じ方向である。しかし本実施の形態においてはこれに限らず、回転R1と回転R2とは互いに逆方向であってもよい。本実施の形態においては剥離されるのは絶縁被膜2であり、その厚みt(図10、図11参照)は1mm以下である。また回転工具101,102はエンドミルであり、これらは切り刃を有する切削工具である。このため絶縁被膜2のような薄膜を剥離する場合には切削抵抗が低い。つまり図11および図12においては回転工具の回転方向が剥離後に露出する導線1の表面の品質等に与える影響はほとんどないと考えられる。したがって本実施の形態においては回転工具101,102の回転方向は不問である。
なお図12のように回転R1と回転R2とが互いに同方向であれば、素線10のX方向に生じる切削抵抗は導線1の上側と下側とで同方向となる。また仮に回転R1と回転R2とが互いに逆方向であれば、素線10のX方向に生じる切削抵抗は導線1の上側と下側とで逆方向となりこれらは互いに相殺される。
ただし本実施の形態においては、図12に示すように、絶縁被膜2を剥離する工程において、1対の回転工具101,102は、素線10に対しダウンカットする方向に回転することが好ましい。ここでダウンカットする方向とは、回転工具101,102の刃が未切削の部分に当たり、主表面側から内部側へ削りながら下がることにより切削加工がなされる加工方法を意味する。このようにすれば、端末部5と回転工具101,102の切れ刃との過剰な接触を抑えることができる。
次に、本実施の形態の背景技術および課題について説明したうえで、本実施の形態の作用効果について説明する。まず図13を用いて、本実施の形態の絶縁被膜剥離装置および絶縁被膜剥離方法においては回転工具を用いた切削加工がなされることが好ましいとする理由を説明する。
図13は比較例としての、溶液による素線からの絶縁被膜の剥離工程を示す概略図である。図13を参照して、比較例においては、平面コイル30を形成する束線20の端末部5(図4参照)の絶縁被膜2を剥離するために、容器8に入っている剥離液9に素線10が浸漬される。浸漬された素線10の部分の絶縁被膜2が剥離される。なお剥離液9は、剥離しようとする絶縁被膜2の材質により様々な種類の溶液が用いられる。
当該比較例の場合、図13のように素線10の端末部5が鉛直下向きとなるように素線10の端末部5などが剥離液9中に浸漬される必要がある。このため平面コイル30の周回態様によっては束線20を、端末部5が他の領域と異なる方向に延在するように折り曲げるように浸漬する必要がある。この場合、複数の平面コイル30を結線する際には、束線20を折り曲げた部分を再度元の折り曲げられていない状態に戻すために曲げ直す作業が発生する。このため作業性が低下するという問題がある。
また当該比較例の場合、素線10からの絶縁被膜2の剥離の効率を高めるために、強酸または強アルカリの溶液を用いることもある。この場合、当該作業時の人体への影響も懸念される。
また近年は絶縁被膜2の耐熱性が高く、かつ絶縁被膜2の導線1への密着性が高い傾向にある。このため図13に示す工程においては剥離液9を加温することもある。このとき、剥離液9から臭気が放出される問題が生じ得る。また剥離液9の加温により揮発した溶液の蒸気が素線10の表面を上方に濡れ広がることによりその濡れ広がった部分の絶縁被膜2が導線1から剥離され、導線1から絶縁被膜2が剥離される領域が制御されない問題が生じ得る。
上記の剥離液9を用いた絶縁被膜剥離方法においては、同時に複数本の素線10を剥離液9に浸漬させ絶縁被膜2を剥離できる利点がある反面、上記のような問題が生じる。
さらに、素線10を火炎であぶり、絶縁被膜2を炭化することにより導線1から剥離するという他の比較例も存在する。しかしこの方法においては高熱となる加熱部の導線1が劣化し、素線10に要求される引張強度の低下を招く問題がある。
そもそも、角線(図1参照)または平角線(図2参照)を複数本束ねた束線20を渦巻状に周回されることにより形成される大形変圧器用の平面コイル30においては、素線10に含まれる導線1を覆う絶縁被膜2として、耐熱性、耐摩耗性および絶縁性の高い材料が用いられる。このため当該素線10においては、導線1に対する絶縁被膜2の密着性が高い。したがって当該素線10の絶縁被膜2を導線1から剥離することが困難となる傾向がある。また平面コイル30用の素線10は、電流密度を増加し、変圧器の大容量化すなわち小型軽量化を図るために、導線1が細線化されたものが多用される傾向にある。当該素線10は、角線よりも薄い平角線が多用される傾向にある。このことから、平面コイル30の、耐摩耗性が高く剥離が困難な絶縁被膜2を安定に効率良く剥離する方法が求められている。
以上のような問題があるとの理由により、剥離液9、または火炎を用いた絶縁被膜剥離方法よりも、切削などの機械的な剥離方法が用いられることが好ましい。
次に図14〜図16を用いて、切削による絶縁被膜剥離方法の比較例およびその課題について説明する。なお図14〜図16の各図において本実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
図14は第1比較例における絶縁被膜剥離方法の第1工程を示す概略断面図である。なお図14が示す工程は、本実施の形態における概ね図10および図11が示す工程に対応する。図14を参照して、本実施の形態に対する第1比較例としての絶縁被膜剥離装置は、本実施の形態のような押さえ部材を有さない。また図14では対向する1対の回転工具101,102の相対位置が不変となっている。そのため図14では回転工具101の中心軸C1と回転工具102の中心軸C2との距離も不変となっている。
図14の場合には、絶縁被膜剥離方法において、まず図14中に点線で示すように素線10が配置された後、図14中に矢印で示す回転R3のように、中心軸C1と中心軸C2との中間点を中心として素線10を回転させる。これにより当該素線10を図14のように水平方向に沿って延びるように配置させる。またこれにより、当該素線10の図14における上面は回転工具101に接触し、素線10の図14における下面は回転工具102に接触するように配置される。この場合、素線10の上面および下面の回転工具101,102が接触する部分には、切削抵抗が生じる。
図15は第1比較例における絶縁被膜剥離方法の第2工程を示す概略断面図である。なお図15が示す工程は、本実施の形態における概ね図12が示す工程に対応する。図15を参照して、図14の態様の後に切削工程がなされれば、素線10には図中矢印で示す回転力R4が加わる。素線10には種々の厚みのものが存在するため、たとえば素線10の細線化または薄肉化によっては当該素線10が塑性変形する。つまり図15に示すように素線10が回転力R4によりたわんで塑性変形を起こせば、回転工具101と回転工具102の切込み量および切削抵抗が不均一になる問題がある。またたとえば1つの回転工具101が切削する領域内にて切込み量および切削抵抗が不均一になる問題もある。
図16は第2比較例における絶縁被膜剥離方法の一工程を示す概略断面図である。なお図16が示す工程は、本実施の形態における概ね図12が示す工程に対応する。図16を参照して、本実施の形態に対する第2比較例としての絶縁被膜剥離装置は、本実施の形態のような押さえ部材を有さない。また図16では対向する1対の回転工具101,102の相対位置が可変となっている。そのため図16では回転工具101の中心軸C1と回転工具102の中心軸C2との距離も可変となっている。ただし図16においては、回転工具101が素線10を表面から図の上下方向に切込む量ZA、および回転工具102が素線10を表面から図の上下方向に切込む量ZBが等しくない。すなわちZAとZBとの間に上記の許容誤差を超える差異がある。したがって回転工具101と回転工具102との切込み深さに大きな差が生じ、剥離後のコイル形状が不均一になる問題が生じ得る。
そこで本実施の形態の絶縁被膜剥離装置は、素線10を挟む1対の回転工具101,102に加え、1対の押さえ部材111,112を備えている。1対の押さえ治具111,112は、素線10を挟みかつ1対の回転工具101,102に隣接するように配置される。また本実施の形態の剥離方法では上記装置が用いられる。当該剥離方法では、素線10を挟むように1対の押さえ部材111,112が配置され、押さえ部材111,112からの回転工具101,102のそれぞれの突出量が制御される。たとえば素線10からの距離が裏表両側で等しくなるよう(たとえば素線10に接触しこれを押さえ込むよう)配置された押さえ部材111,112を基準に、そこからの回転工具101,102のZ方向の突出量が制御される。ただしこれは一例であり、素線10から押さえ部材111,112のそれぞれまでのZ方向の距離は互いに異なっていてもよい。
このため回転工具101と回転工具102との切込み量が不変となり、回転工具101と回転工具102とのZ方向に関する切込み量が均一化される。押さえ部材111は回転工具101に隣接し、押さえ部材112は回転工具102に隣接する。このため押さえ部材111,112の位置を基準に回転工具101,102の位置を制御することが容易となる。また仮に回転工具101,102が押さえ部材111,112に接触しながらたとえば図10中の矢印M1,M2に示すように下降する。このためより回転工具101,102の押さえ部材111,112に対する位置調整が容易になる。したがって、角線または平角線の絶縁被膜2を、一方側およびその反対側である他方側の双方について同等に、均一に、かつ高効率に剥離することができる。
なお押さえ部材111,112は、回転工具101,102の切込み量を規定する機構である。このため図11のように、押さえ部材111,112は素線10の絶縁被膜2の表面に接触しながら素線10を挟んだ状態で、それに対する回転工具101,102の突出量が定められることがより好ましい。このようにすれば、押さえ部材111,112は絶縁被膜2の表面上に固定されることからその位置が容易に固定される。このため押さえ部材111,112の位置精度が高められる。これにより、押さえ部材111,112に対する回転工具101,102の位置精度もより高められ、切削量をより均一化させることができる。
1対の回転工具はエンドミルである。これにより、回転工具101,102を水平状態に保ちながら、その真下または真上の絶縁被膜2を容易に剥離することができる。
また回転工具101,102のそれぞれは素線10の主表面に沿う水平方向に沿って延在しながら、絶縁被膜2の内側の導線1を挟む。これにより回転工具101,102のそれぞれは、素線10の表側および裏側の絶縁被膜2の双方を同時に剥離加工することができる。また押さえ部材111,112が素線10を挟み込み、回転工具101,102が素線10内の導線1を挟み込む構成により、素線10全体を係止することができる。回転工具101,102の切込みによる切削抵抗が素線10の塑性変形を防止できるため、切込み量の均一化、切込み効率の向上、および剥離後の素線10の品質を向上させることができる。このことは、省エネルギ化および歩留り向上にも寄与する。
またさらに、平面コイル30が変圧器などに組み込まれた後に、端末部5において絶縁被膜2が剥離される領域の長さおよび位置などが定められる場合がある。このような場合は、巻回前または巻回直後(製品への組み込み前)の素線10の端末部5を剥離することができない。このように変圧器などに組み込まれた後の平面コイル30の束線20の端末部5の絶縁被膜2を剥離するためには、当該部分を装置に組み込み可能とすべく、小型の絶縁被膜剥離装置が用いられることが求められる。組み込まれた後の平面コイル30には周囲に変圧器の筐体などの部材が存在するため、当該部材と絶縁被膜剥離装置の構成部材との干渉を防ぐ観点から、このような装置の小型化が求められる。
そこで本実施の形態の絶縁被膜剥離装置100は、図9に示すように、1対の回転工具101,102を回転させる動力源は、単一の回転工具動力源11のみとなっている。このようにすれば、たとえば複数の回転工具動力源11を有する場合に比べて、絶縁被膜剥離装置100全体を小型化させることができる。ただし小型の回転工具動力源11を複数有し、全体として小型化された絶縁被膜剥離装置100が採用されてもよい。
実施の形態2.
まず、本実施の形態に係る絶縁被膜剥離装置の構成について、図17および図18を用いて説明する。
図17は、実施の形態2に係る絶縁被膜剥離装置の外観態様を示す概略斜視図である。図18は、図17の絶縁被膜剥離装置に含まれる各構成要素の配置態様を説明するために、当該各構成要素が分解されるように図示された概略斜視図である。図17を参照して、実施の形態2に係る絶縁被膜剥離装置200は、そこに設置された剥離対象物としての素線10に含まれる絶縁被膜2を剥離する装置である。図17に示すように、絶縁被膜剥離装置200には、たとえばX方向に沿って延びるように素線10が設置される。
図18を参照して、絶縁被膜剥離装置200は、回転工具動力源12を有している。これは実施の形態1の回転工具動力源11と同様に機能する。
絶縁被膜剥離装置200は、少なくとも1対の回転工具201,202と、1対の押さえ部材211,212とを有している。回転工具201および回転工具202はいずれも素線10の主表面に交差(直交)する方向であるたとえば鉛直方向に沿って延在する。回転工具201,202はZ方向に沿って延び、円柱形状またはそれに近い形状を有している。1対の回転工具201,202はたとえばエンドミルである。ただし回転工具201,202は、延在方向の先端部が平面形状の切削工具であることがより好ましい。ただし当該工具の下端部および上端部は、半球状のいわゆるボールエンドミルとして形成されていてもよい。
回転工具201は、回転工具202よりもZ方向上方に配置されている。また回転工具201よりZ方向下方、回転工具202よりZ方向上方に、素線10が配置されている。1対の回転工具201,202は、実施の形態1と同様に、剥離対象物としての素線10を挟むように、Z方向に関して対向して配置されている。なお図18においては回転工具201は回転工具202よりもX方向正側に配置されているがこれに限られない。
押さえ部材211および押さえ部材212は、剥離対象物である素線10の主表面すなわち絶縁被膜2の主表面に沿うように拡がっている。ただし図18においては、押さえ部材211はXY平面に沿う円形状およびZ方向に沿う柱状を有する円筒形状を有している。押さえ部材212はXY平面に沿う矩形状を有し、Z方向に延びる直方体状を有している。これらの押さえ部材211,212は、剥離対象物としての素線10を挟むように1対、配置されている。
押さえ部材211は円筒形状を有するため、XY平面における中央部には空洞が形成されている。この空洞は円柱状に延びている。Z方向に沿って延びる回転工具201の中心軸は、図18中のZ方向に延びる中心軸C1bに一致するように配置される。なお中心軸C1bは、後述する中心軸C1の一部である。組み立てられた状態においては、押さえ部材211の中心軸すなわち押さえ部材211の空洞の中心軸は、回転工具201の中心軸C1bと重なる。すなわち押さえ部材211の空洞に回転工具201が挿入され、回転工具201が押さえ部材211の下方に少し突出するよう配置される。これにより、回転工具201は押さえ部材211のXY平面に拡がる領域よりもZ方向下側を通るように配置され、Z方向に関して押さえ部材211に対する位置が固定される。
一方、押さえ部材212にも直方体状の基材をZ方向に延びるように貫通する、円柱状の空洞が形成されている。Z方向に沿って延びる回転工具202の中心軸は、図18中のZ方向に延びる中心軸C2に一致するように配置される。組み立てられた状態においては、押さえ部材212の空洞の中心軸は、回転工具202の中心軸C2と重なる。すなわち押さえ部材212の空洞に回転工具202が挿入され、回転工具202が押さえ部材212の上方に少し突出するよう配置される。これにより、回転工具202は押さえ部材212のXY平面に拡がる領域よりもZ方向下側を通るように配置され、Z方向に関して押さえ部材212に対する位置が固定される。
次に絶縁被膜剥離装置200における、中心軸C1周りおよび中心軸C2周りに回転可能な他の各部材について説明する。
絶縁被膜剥離装置200には、3つのたとえば歯車としての回転伝達機構221,222,223が含まれる。回転伝達機構221は回転工具201に回転力を直接伝達可能であり、回転工具201と同一の中心軸C1を有している。ただし回転伝達機構221の中心軸は回転工具201の中心軸C1bとは異なる軸としての中心軸C1aである。すなわち中心軸C1は、ここでは回転伝達機構221が回転力を直接伝達する部材の中心軸としての中心軸C1aと中心軸C1bとをまとめたものと定義される。同様に回転伝達機構222は回転工具202と中心軸が一致するように配置されている。すなわち回転伝達機構222はその中心が中心軸C2に沿うようY方向に延在している。
一方、回転伝達機構223の中心軸はY方向に沿うが、中心軸C1(中心軸C1a,C1b)、中心軸C2のいずれとも異なる位置に延びている。回転伝達機構223の中心軸は、回転工具動力源12に含まれる図示されない回転軸に一致する。このため、当該回転工具動力源12の回転軸が動力源を利用して回転すれば、それにより回転伝達機構223の歯車は回転する。回転伝達機構223の歯車の歯と回転伝達機構222の歯車の歯とは噛み合っている。また回転伝達機構222の歯車の歯と回転伝達機構221の歯車の歯とも噛み合っている。このため回転伝達機構223が回転すれば、それに合わせて回転伝達機構222および回転伝達機構221も回転する。
絶縁被膜剥離装置200には、2つの動力伝達軸231,232が含まれる。動力伝達軸231,232はたとえば細長い円柱形状を有しているがこれに限られない。動力伝達軸231は回転工具201と中心軸が一致するように配置されている。すなわち動力伝達軸231はその中心が中心軸C1に沿うようZ方向に延在している。なお動力伝達軸231は、3つの動力伝達軸231A,231B,231Cを含んでいる。動力伝達軸231Aと動力伝達軸231Cとの中心は中心軸C1aに一致し、動力伝達軸231Bの中心は中心軸C1bに一致する。同様に動力伝達軸232は回転工具202と中心軸が一致するように配置されている。すなわち動力伝達軸232はその中心が中心軸C2に沿うようY方向に延在している。
動力伝達軸231Cは回転伝達機構221のZ方向正側に隣接するように配置される。同様に、動力伝達軸232は回転伝達機構222のZ方向正側に隣接するように配置される。
動力伝達軸231CのZ方向正側にはカップリング241が配置され、さらにそのZ方向正側には動力伝達軸231Aを挟んで回転伝達機構221Sが配置されている。これらはすべて一直線状に並び、これらの中心が中心軸C1aに沿うようにZ方向に延在している。なお回転伝達機構221Sは図17、図18において円筒形状に示されているが、ここには歯車の歯が形成されていることが好ましい。一方、回転伝達機構221SとXY平面上で並ぶように回転伝達機構222Sが配置されている。回転伝達機構222Sも歯車の歯が形成されていることが好ましい。回転伝達機構222Sと回転伝達機構221Sとの歯が噛み合い、両者間に動力伝達される。回転伝達機構222SのZ方向負側には、動力伝達軸231Bを挟んで、回転工具201が配置されている。これらはすべて一直線状に並び、これらの中心がC1bに沿うようにZ方向に延在している。
動力伝達軸232のZ方向正側にはカップリング242が配置され、さらにそのZ方向正側には回転工具202が配置されている。これらはすべて一直線状に並び、これらの中心が中心軸C2に沿うようにZ方向に延在している。
以上により、回転工具動力源12から回転伝達機構223に伝えられた回転は、そこから回転伝達機構222,221に伝達される。回転伝達機構221と動力伝達軸231Cとカップリング241と動力伝達軸231Aと回転伝達機構221Sとはいずれも中心軸C1aを中心としてZ方向に互いに連結されている。このため回転伝達機構221の回転は、動力伝達軸231C、カップリング241、動力伝達軸231Aおよび回転伝達機構221Sに伝達され、そこから回転伝達機構222Sを経由して動力伝達軸231Bおよび回転工具201に伝達される。このようにして回転伝達機構221から回転工具201まで動力が伝達される。この動力伝達経路は、中心軸C1が上向きに動力伝達する中心軸C1aに沿う経路と、その逆である下向きに動力伝達する中心軸C1bに沿う経路との双方を含んでいる。すなわち当該動力伝達経路においては、回転伝達機構221Sから回転伝達機構222Sにかけての位置において、動力伝達の方向がZ方向正側から負側へと折り返される。
また回転伝達機構222と動力伝達軸232とカップリング242と回転工具202とはいずれも中心軸C2を中心としてZ方向に互いに連結されている。このため回転伝達機構222の回転は、動力伝達軸232およびカップリング242を経由して回転工具202に伝達される。このようにして回転伝達機構222から回転工具202まで動力が伝達される。
以上のように絶縁被膜剥離装置200においては、絶縁被膜剥離装置100に比べて、回転伝達機構が多く設けられている。このようにすれば、たとえば回転伝達機構221から動力伝達方向をいったん折り返しさせることで、回転伝達機構221の真上以外の位置に配置された回転工具201に動力を伝えることができる。したがって回転工具201の配置される位置の選択余地を拡張することができる。
図19〜図21は、図18中の特に点線で囲まれた領域Bにおける構成、および当該領域Bでの回転工具、押さえ部材および剥離対象物の配置および加工工程を示す概略断面図である。すなわち絶縁被膜剥離装置200を用いた絶縁被膜2の剥離工程においては、図19、図20、図21の順に工程が進行する。以下、図19〜図21を用いて、本実施の形態の絶縁被膜剥離方法について説明する。なお図19〜図21においては各部材が模式的に示されている。また以下では説明を簡略化するために、回転工具201の最下面および回転工具202の最上面は平面を前提としている。
図19を参照して、本工程は基本的に実施の形態1の図10の工程と同様である。まず絶縁被膜剥離装置200の、図18中の点線で囲まれた領域Bに、Z方向に関して互いに対向する少なくとも1対の回転工具201,202が設置される。Z方向に関してこれらの1対の回転工具201,202の間に、剥離対象物としての素線10が配置される。また素線10の主表面、すなわち絶縁被膜2の主表面に沿うように拡がる、1対の押さえ部材211,212が配置される。
押さえ部材211からの回転工具201のZ方向下方への突出量、および押さえ部材212からの回転工具202のZ方向上方への突出量がいずれも等しいZ1となるように、回転工具201,202が矢印M1,M2で示すように移動する。これにより回転工具201,202のZ方向位置が固定されている。図19において、素線10の主表面に交差するZ方向に関する押さえ部材211の絶縁被膜2からの距離はZ2で表示される。この距離Z2は、回転工具201と回転工具202との間に剥離対象物としての素線10を挿入し配置するために、回転工具201と素線10との間に設けられる隙間である。また図19中において、Z方向に関する押さえ部材212の絶縁被膜2からの距離はZ2で表示される。ただし図19での押さえ部材211と素線10との距離Z2と、押さえ部材212と素線10との距離Z2とは、等しくてもよいが等しくなくてもよい。両者が等しくない場合、押さえ部材211と素線10との距離Z2の方が押さえ部材212と素線10との距離Z2より大きくてもよい。あるいは押さえ部材212と素線10との距離Z2の方が押さえ部材211と素線10との距離Z2より大きくてもよい。
図20を参照して、本工程は基本的に図11の工程と同様である。図19のように回転工具201,202の押さえ部材211,212に対する突出量がZ1である状態が保たれながら、押さえ部材および回転工具がZ方向に関して移動する。これにより、1対の押さえ部材211,212がZ方向に関する素線10と当接する。
図20においても図19と同様に、絶縁被膜2と押さえ部材211,212の面は、絶縁被膜2の表面と常に平行になるように拡がった状態が保たれている。したがって押さえ部材211,212の面は、絶縁被膜2の表面に接触している。これにより1対の押さえ部材211,212は、素線10の表面を接触しながら挟み、かつ1対の回転工具201,202に隣接(たとえば接触)するように配置されている。
このように図20においては、図10と同様に、押さえ部材211と押さえ部材212とが素線10(絶縁被膜2)に対し平行である状態を保っている。この状態を保ちながら、回転工具201の押さえ部材211からのZ方向下方への突出量、および回転工具202の押さえ部材212からのZ方向上方への突出量のそれぞれが制御される。
すなわち1対の押さえ部材211,212のそれぞれは、素線10の絶縁被膜2の主表面に交差するZ方向についての、押さえ部材211からの回転工具201の突出量Z1と、押さえ部材212からの回転工具202の突出量Z1とが等しくなる状態を保つように制御可能である。
回転工具201,202が押さえ部材211,212からZ方向に関して突出する。これにより、1対の回転工具201,202のそれぞれは、素線10の主表面に交差する方向に延在しながら、1対の回転工具201,202のそれぞれの先端部が、素線10のうち絶縁被膜2の内側に配置される剥離対象物基材としての導線1を挟むことが可能である。ここで回転工具201の先端部とは回転工具201の最下部であり、回転工具202の先端部とは回転工具202の最上部を意味する。
図20に示すように、押さえ部材211,212に対する回転工具201,202のZ方向の突出量Z1は、絶縁被膜2の厚みtにほぼ等しくなっている。図21を参照して、本工程は基本的に図12の工程と同様である。図21においては、図20と同様に1対の回転工具201,202の押さえ部材211,212に対する突出量がZ1であり、押さえ部材211,212が絶縁被膜2の表面に接触した状態を保つよう制御される。また図11中の距離X1もそのまま保たれる。その状態で、回転工具201,202を回転させる。
そのまま素線10をたとえば図12中に矢印M3で示すようにX方向左側に移動させる。これにより回転工具201は図21の上側の絶縁被膜2を、回転工具202は図21の下側の絶縁被膜2を、図21の右側の端末部5に向けて剥離する。
なお本実施の形態において上記しなかった基本事項については実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
次に、本実施の形態の作用効果を説明する。本実施の形態では、回転工具201,202のそれぞれの先端部は、素線10の主表面に交差する鉛直方向に沿って延在しながら、絶縁被膜2の内側の導線1を挟む。これにより回転工具201,202のそれぞれは、素線10の表側および裏側の絶縁被膜2の双方を同時に剥離加工することができる。その他の本実施の形態の各作用効果は実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 導線、2 絶縁被膜、4 絶縁性シート、5 端末部、6 ろう材、7 圧着端子、8 容器、9 剥離液、10 素線、11,12 回転工具動力源、19 集塵部、20 束線、30 平面コイル、100,200 絶縁被膜剥離装置、101,102,201,202 回転工具、111,112,211,212 押さえ部材、121,122,123,221,221S,222,222S,223 回転伝達機構、131,132,231,231A,231B,231C,232 動力伝達軸、141,142,241,242 カップリング、C1,C1a,C1b,C2 中心軸。

Claims (9)

  1. 絶縁被膜を有する剥離対象物が設置された状態で、前記剥離対象物を挟むように対向する少なくとも1対の回転工具と、
    前記剥離対象物の主表面に沿うように拡がり、前記剥離対象物を挟みかつ前記1対の回転工具に隣接するように配置される1対の押さえ部材とを備え、
    前記1対の押さえ部材のそれぞれは、前記剥離対象物の前記主表面に交差する方向についての、前記1対の押さえ部材からの前記1対の回転工具のそれぞれの突出量を制御可能である、絶縁被膜剥離装置。
  2. 前記1対の回転工具はエンドミルである、請求項1に記載の絶縁被膜剥離装置。
  3. 前記1対の回転工具のそれぞれは前記主表面に沿った方向に延在しながら、前記剥離対象物のうち前記絶縁被膜の内側に配置される剥離対象物基材を挟むことが可能である、請求項1または2に記載の絶縁被膜剥離装置。
  4. 前記1対の回転工具のそれぞれは前記主表面に交差する方向に延在し、前記1対の回転工具のそれぞれの先端部が、前記剥離対象物のうち前記絶縁被膜の内側に配置される剥離対象物基材を挟む、請求項1または2に記載の絶縁被膜剥離装置。
  5. 前記1対の回転工具を回転させる動力源は単一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁被膜剥離装置。
  6. 対向する少なくとも1対の回転工具の間に剥離対象物を配置する工程と、
    前記剥離対象物の主表面に沿うように拡がり、前記剥離対象物を挟みかつ前記1対の回転工具に隣接するように1対の押さえ部材を配置する工程と、
    前記剥離対象物の前記主表面に交差する方向についての、前記1対の押さえ部材からの前記1対の回転工具のそれぞれの突出量を制御する工程と、
    前記1対の回転工具の突出量が制御された状態で前記1対の回転工具を回転させ、前記剥離対象物に含まれる絶縁被膜を剥離する工程とを備える、絶縁被膜剥離方法。
  7. 前記剥離する工程において、前記1対の回転工具は、前記剥離対象物に対しダウンカットする方向に回転する、請求項6に記載の絶縁被膜剥離方法。
  8. 前記剥離対象物は、前記絶縁被膜に覆われる剥離対象物基材を含み、
    前記突出量を制御する工程においては、前記1対の回転工具のそれぞれは前記主表面に沿った方向に延在しながら、前記剥離対象物基材を挟む、請求項6または7に記載の絶縁被膜剥離方法。
  9. 前記剥離対象物は、前記薄膜に覆われる剥離対象物基材を含み、
    前記突出量を制御する工程においては、前記1対の回転工具のそれぞれは前記主表面に交差する方向に延在し、前記1対の回転工具のそれぞれの先端部が、前記剥離対象物基材を挟む、請求項6または7に記載の絶縁被膜剥離方法。
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