JPWO2019203148A1 - 木構造建築物の耐力壁構造及び耐力壁施工方法 - Google Patents

木構造建築物の耐力壁構造及び耐力壁施工方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、木構造耐力壁のパンチングシェア現象の発生を確実に防止するとともに、木構造耐力壁の壁倍率を向上することを目的とする。耐力壁は、裏面を耐力面材(10)の外面に密着又は接着する補剛金属板(30)を有する。補剛金属板は、留め具(20)が貫入する面材の部分を補強する。補剛金属板は、留め具の間隔と実質的に同一の間隔(S1)を隔てて面材の外周部に配置される。補剛金属板同士は互いに離間し、補剛金属板が存在しない面材の非補強域が外周部に形成される。留め具は、作業工具によって金属板に打込まれる。留め具の軸部(21)は、補剛金属板を穿孔し且つ貫通して壁下地(2,3,5)に嵌入又は圧入する。補剛金属板は、留め具の頭部(22)を面材の外面と実質的に同一の位置に保持し、支持し又は支承する。

Description

本発明は、木構造建築物の耐力壁構造及び耐力壁施工方法に関するものであり、より詳細には、パンチングシェア現象の発生を確実に防止するとともに、耐力壁の靱性を高めてその壁倍率を向上することができる木構造建築物の耐力壁構造及び耐力壁施工方法(structure and construction method of bearing wall of wooden construction building)に関するものである。
住宅建築物等の比較的小規模な建築物の工法として、長い歴史を有する木造軸組工法、1970年代以降に普及した壁構造の木造枠組壁工法、1960年代以降に普及した鉄骨軸組工法、近年において普及しつつあるスチールハウス工法等が知られている。木造軸組工法は、一般に角形断面の材木を柱・梁として組付けて木造軸組構造を構築する工法であり、我が国(日本国)において最も普及した在来工法である。木造枠組壁工法は、ツーバイフォー工法とも呼ばれ、「木材を使用した枠組に構造用合板その他これに類するものを打ち付けることにより、壁及び床版を設ける工法」(平成14年、国土交通省告示第1540号及び第1541号)である。鉄骨軸組工法は、柱、梁及びブレース等を構成する鋼材を組付けて鋼構造軸組を構築する工法である。スチールハウス工法は、概念的には木造枠組壁工法の木製枠組材を軽量形鋼に置換した構成のものであり、薄板軽量形鋼造(平成13年、国土交通省告示1641号)に規定された鋼構造枠組壁工法である。また、小規模建築物に関する他の構造として、ラーメン構造形式又は壁構造形式の鉄筋コンクリート構造等が知られている。
我が国における小規模建築物としては、このように多種多用な構造の建築物が知られているが、以下、本発明と関連する技術として、木構造建築物の耐震性能について説明する。
一般に、木構造建築物の工法は、木造軸組工法及び木造枠組壁工法に大別される。近年の大規模地震等の影響により、木構造建築物の耐震性等に関する研究が、我が国において近年殊に注目されている。我が国における建築設計の実務においては、短期水平荷重(地震力、風圧等)に抗する木構造建築物の強度を示す指標として、構造耐力上有効な耐力壁の軸組長さ(建築平面図における壁の長さ)が一般に使用される(特許文献1:特開2001−227086号公報)。軸組長さの算定には、耐力壁の構造に相応した壁倍率が用いられる。壁倍率は、耐力壁の耐震性能又は耐力性能の指標であり、その数値が大きいほど、耐震強度が大きい。特定枚数の耐力壁を設計上採用すべき場合、壁倍率が比較的高い耐力壁構造を採用すると、建築物全体の耐震性を向上することができる。即ち、我が国においては、木構造建築物は、所要の耐震性を発揮し得る建築基準法上の必要壁量を要し、短期水平荷重に抗する木造建築物の強度は、耐力壁の壁倍率に壁長を乗じた値に比例し、通常の建築設計においては、必要壁量以上の存在壁量(耐力壁の軸組長さ×壁倍率)を梁間方向及び桁行方向の双方において設計上確保する必要がある。一般に、壁倍率が比較的大きい耐力壁構造を採用すると、耐力壁の枚数(設置箇所数)を低減し、設計自由度を向上することができ、逆に、壁倍率が比較的小さい耐力壁構造を採用すると、耐力壁の枚数(設置箇所数)が増大し、設計自由度が低下する。従って、壁倍率の数値が大きい壁構造は、建築物の設計自由度及び耐震性を向上する上で有利である。
長年に亘って我が国で使用されてきた汎用の木構造耐力壁の壁倍率は、建築基準法施行令第46条及び建設省告示第1100号(昭和56年6月1日)に規定されている。他方、このような汎用の壁構造に属しない近年の多くの耐力壁については、同条第4項表1(八)に規定された国土交通大臣の認定に基づいて壁倍率を定める必要がある。このため、近年施工される多くの木構造耐力壁の壁倍率は、指定性能評価機関が実施する性能試験に基づいて壁倍率を設定する必要があり、この性能試験の試験方法等は、各試験・検査機関が公表している「木造の耐力壁及びその倍率 性能試験・評価業務方法書」等に詳細に記載されている。
「木造の耐力壁及びその倍率 性能試験・評価業務方法書」等の多くの文献に記載されたとおり、木構造耐力壁の壁倍率を求める性能試験は、耐力壁の面内せん断(剪断)試験である。この試験においては、耐力壁の試験体に対して所定の水平荷重が繰り返し加力され、水平荷重とせん断変形角との関係等が求められる。壁倍率は、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計[1](2017年版)」、第63頁及び第300頁(非特許文献1)等の多くの技術文献に記載される如く、水平荷重及びせん断変形角に基づいて短期許容せん断耐力を算定し、これを所定の耐力(壁長(m)×1.96(kN/m))で除した値である。従って、壁倍率は、短期許容せん断耐力を基準数値で除して指数化した値である。ここに、壁倍率算出の根拠である短期許容せん断耐力は、以下の4つの指標のうち最も小さい値を示す値(短期基準耐力)に対し、ばらつき係数を乗じ且つ所定の係数(耐力低下の要因を評価する係数)を乗じた値である。
(1)降伏耐力
(2)塑性率に基づいて補正した終局耐力の値(以下、「終局耐力(補正値)」という。)
(3)最大耐力の2/3の値(以下、「最大耐力相当値」という。)
(4)せん断変形角=1/120radの時の耐力
例えば、特定のせん断変形角において最大耐力が得られた後、せん断変形角を僅かに増大した時点で面材の縁切れ、割れ等が発生して耐力が急激に低下し又は早期にせん断破壊する耐力壁の場合、最大耐力相当値が比較的大きな値を示したとしても、終局耐力(補正値)が小さく、この結果、比較的小さい値の壁倍率しか得られないことが比較的多い。これに対し、特定のせん断変形角において最大耐力が得られた後、最大耐力を発揮したせん断変形角を更に増大しても、耐力が大きく低下せず、しかも、せん断破壊し難いことがある。このような耐力壁の場合、終局耐力(補正値)が比較的大きく、従って、最大耐力相当値が比較的小さい値であったとしても、比較的大きな値の壁倍率を設定し得ることが多い。即ち、木構造耐力壁の壁倍率は、必ずしも最大耐力相当値の増大のみに依存したものではなく、終局耐力等の他の要因と関連した総合的検討により、所望の如く増大し得る性質を有する。
また、近年の木構造建築物の施工では、釘打機、ビス打機等の作業工具が多用される傾向があり、面材を柱、梁等に固定するための釘、ビス、ねじ等の固定具、係留具又は留め具(以下、単に「留め具」という。)は、多くの場合、釘打機(ネイルガン、ネイラー)や、ビス打機等の作業工具によって面材に圧入され又は打込まれる。この種の作業工具で留め具を面材に圧入し又は打込むと、留め具の頭部が面材内にめり込み、この結果、水平荷重加力時に留め具が面材から抜け出し又は突き抜ける所謂パンチングシェアの現象が発生し易い。パンチングシェア現象は、耐力壁の耐力を急激に低下させる要因の一つであると考えられる。
特許文献2〜5(特許第5415156号公報、特開2013−209809号公報、特開2013−238068号公報、特開2012−202112号公報)には、帯状補強材を使用して耐力面材を柱、梁等の木造軸組部材又は木造架構部材の壁下地に固定する木構造耐力壁の面材固定方法が記載されている。この種の面材固定方法は、合成繊維織物等の帯状補強材、或いは、鋼板又は木質繊維板等の帯状補強材を面材の縁に沿って連続的に敷設し、各帯状補強材に対して所定間隔で多数の釘等の留め具を打込み、これにより、面材を壁下地に固定するように構成したものである。このような帯状補強材を使用した木構造耐力壁によれば、留め具の間隔を最適化するとともに、帯状補強材によって留め具の面材保持作用を向上し、これにより、短期水平荷重に対する最大耐力を増大し、耐力壁の壁倍率を比較的大きく増大し得るかもしれない。また、留め具の頭部が面材にめり込むのを防止し得る帯鉄板等の鋼板製帯状補強材を用いた場合には、最大耐力を増大し得るだけではなく、パンチングシェア現象の発生を未然に防止し得ると考えられる。
特開2001−227086号公報 特許第5415156号公報 特開2013−209809号公報 特開2013−238068号公報 特開2012−202112号公報
木造軸組工法住宅の許容応力度設計[1](2017年版)、第63頁及び第300頁
上記の如く、鋼板製の帯状補強材を耐力面材の縁部に沿って配置し、帯状補強材の上から多数の留め具を作業工具等で圧入し又は打込むことにより、短期水平荷重に対する最大耐力を比較的大きく増大し、しかも、パンチングシェア現象の発生を未然に防止し得る可能性がある。しかしながら、鋼板製の帯状補強材を配置した耐力壁では、帯状補強材を配置した面材の縁部帯域の剛性が全体的に向上する反面、この帯域の剛性と、帯状補強材から離間した非補強域(帯状補強材等の板状補強材が存在せず又は板状補強材によって覆われておらず、板状補強材によって補強されていない領域)の剛性とが比較的大きく相違する。このような極端な剛性の変化に起因して、亀裂又は破損等が面材の非補強域に発生し、この結果、耐力壁の終局耐力が比較的大きく低下する現象があることが本発明者等の実験により判明した。このような現象は、壁倍率の向上を困難にする。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐力面材を壁下地に留付ける留め具と関連した金属製の補強材を使用して耐力壁にパンチングシェア現象が発生するのを確実に防止するとともに、このような補強材の適切な配設によって耐力壁の靱性を高め、これにより、壁倍率の向上を妨げる阻害要因を解消することができる木構造建築物の耐力壁構造及び耐力壁施工方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成すべく、木造軸組工法又は木造枠組壁工法の木構造壁下地と、軸部及び頭部を備えた留め具によって前記壁下地に留付けられた耐力面材とから構成され、前記留め具は、所定間隔を隔てて前記面材の外周部及び中間部に配置され、前記軸部は、前記留め具に対する作業工具の打撃力又は圧力により前記面材を貫通して前記壁下地に延入、圧入、貫入又は螺入し、前記頭部は、前記面材の外面と同等の位置に配置され、該面材は、前記留め具の保持力により前記壁下地に一体的に保持される木構造建築物の耐力壁構造において、
前記留め具の間隔と実質的に同一の間隔を隔てて前記面材の両側の縁部帯域に該面材の全高に亘って配列され、裏面を前記面材の外面に密着又は接着し、各留め具の近傍の面材部分を補強する補剛金属板を有し、
該補剛金属板同士は互いに離間し、隣合う補剛金属板の間には、該補剛金属板が存在しない非補強域が前記縁部帯域に形成され、
前記補剛金属板は、前記留め具の打撃時又は圧入時に該留め具に作用する前記作業工具の打撃力又は圧力により前記軸部で穿孔され、該軸部を貫通せしめるが、前記留め具の前記頭部を前記面材の外面と実質的に同一の位置に保持し、支持し又は支承する強度及び板厚を有することを特徴とする耐力壁構造を提供する。
本発明は又、木造軸組工法又は木造枠組壁工法の木構造壁下地に対して耐力面材を位置決めし、軸部及び頭部を備えた留め具を前記面材の外周部に所定間隔を隔てて打込み、前記留め具に対する作業工具の打撃力又は圧力により前記面材を穿孔して該面材を貫通した軸部を前記壁下地に延入、圧入、貫入又は螺入せしめるとともに、前記頭部を前記面材の外面と同等の位置に配置して該面材を前記留め具の保持力により前記壁下地に構造的に一体的に保持する木構造建築物の耐力壁施工方法において、
裏面を前記面材の外面に密着又は接着して各留め具の近傍の面材部分を補強する補剛金属板を前記留め具の間隔と実質的に同一の間隔を隔てて前記面材の両側の縁部帯域に該面材の全高に亘って配列するとともに、前記補剛金属板同士を互いに離間させることにより、該補剛金属板が存在しない前記面材の非補強域を前記縁部帯域に形成し、
前記留め具の軸部が前記補剛金属板を穿孔して該補剛金属板を貫通するように前記作業工具によって該留め具を前記補剛金属板に打込み、前記留め具の前記頭部を前記面材の外面と実質的に同一の位置において前記補剛金属板によって保持し、支持し又は支承することを特徴とする耐力壁施工方法を提供する。
なお、「木構造壁下地」は、木造建築物の外壁及び内壁に関し、内装側及び外装側の各壁下地を含む概念であり、面材の「外周部」は、面材の外周部分を意味し、面材の両側の縁部帯域と、面材の上端部及び下端部の縁部帯域とを包含する概念である。また、面材の「中間部」は、一般に間柱等に固定又は係止される面材の部分であって、上下の縁部帯域の間において上下方向又は鉛直方向に延びる帯域を意味する。更に、「支承」は、「理論上の支点を工学的に実用化したもの。」(「建築大辞典 第2版」(彰国社発行))を意味し、「支承する」は、このような「支承」を構成し又は形成することを意味する。また、留め具の頭部と面材の外面とに関し、「実質的に同一の位置」とは、留め具の頭部の外面と、面材の外面とが概ね同一の面内に位置することを意味する。
本発明の上記構成によれば、補剛金属板は、留め具の頭部が面材内にめり込むのを阻止し、これにより、水平荷重加力時に留め具が面材から抜け出し又は突き抜けるパンチングシェア現象の発生を効果的に防止する。また、補剛金属板は、縁部帯域全体の剛性を補強するのではなく、留め具近傍の面材部分の剛性を局所的に増大する補強手段を構成する。このため、縁部帯域を含む面材全域の剛性は、全体的に平準化した状態を維持し、面材は、帯状補強材を縁部帯域に連続的に敷設した従来の構成(特許文献2〜5)に比べ、全体的に一様又は均等な剛性を発揮する。従って、上記構成の耐力壁構造によれば、面材の補強域と面材の非補強域との間で剛性が変化し又は相違することに起因して非補強域、或いは、補強域と非補強域との境界部分等に応力集中状態等が局部的に発生するのを防止し、これにより、面材に亀裂又は破損等が発生する事態を未然に防止することができる。
本発明者等の耐力検証試験(面内せん断試験)によれば、本発明に係る耐力壁は、縁部帯域において連続的に延びる帯状補強材を有する従来構成の耐力壁(特許文献2〜5に記載される如く、細長い帯状補強材を面材の縁部に沿って配置した耐力壁)に比べ、面材に亀裂又は破損等が発生し難く、この結果、靱性に富み、比較的高い壁倍率を発揮する傾向を有する。これは、本発明に係る耐力壁では、面材全域の剛性が均等又は平準な状態を維持するので、せん断変形時に発生する応力が比較的良好に分散するとともに、面材が素材本来の靱性及び変形追随性を有効且つ十分に発揮したことを意味する。即ち、本発明によれば、従来構成の耐力壁(特許文献2〜5)に比べて最大耐力相当値が若干劣ったとしても、靱性及び変形追随性と関連して得られる終局耐力(補正値)が比較的高く、結果的に、高い壁倍率を発揮する耐力壁が得られる。
他の観点より、本発明は、上記構成の耐力壁構造を有する木構造建築物の耐力壁を提供する。更に他の観点より、本発明は、このような耐力壁を有する木構造建築物を提供する。本発明は又、上記構成の耐力壁構造において使用可能な無機系の面材であって、少なくとも面材の縁部帯域において上記補剛金属板の本体を面材の外面に一体的に配設してなる無機系面材を提供する。
本発明に係る木構造建築物の耐力壁構造及び耐力壁施工方法によれば、耐力面材を壁下地に留付ける留め具と関連した金属製の補強材を使用して耐力壁にパンチングシェア現象が発生するのを確実に防止するとともに、該補強材の適切な配設によって耐力壁の靱性を高め、これにより、壁倍率の向上を妨げる阻害要因を解消することができる。
図1は、木構造建築物の耐力壁構造を示す正面図である。 図2(A)は、釘及び補剛金属板によって面材を柱に留付けてなる耐力壁の面材留付部分の構成を示す面材留付部分の正面図であり、図2(B)は、図2(A)のI−I線における断面図であり、図2(C)及び図2(D)は、補剛金属板に対して釘を打込む態様を示す面材留付部分の斜視図である。 図3(A)及び図3(B)は、面材に取付けられた補剛金属板に釘を打込む態様を示す耐力壁構造の部分斜視図である。 図4は、補剛金属板の変形例を示す耐力壁の面材留付部分の正面図である。 図5は、面材に取付けられた円形輪郭の補剛金属板に釘を打込む態様を示す耐力壁構造の部分斜視図である。 図6は、円形輪郭の補剛金属板を使用した木構造建築物の耐力壁構造を示す正面図である。 図7は、図6に示す耐力壁構造の変形例を示す正面図である。 図8は、本発明の実施例に係る耐力壁構造の面内せん断試験において使用された試験体の構成を示す正面図である。 図9は、比較例に係る耐力壁構造の面内せん断試験において使用された試験体の構成を示す正面図である。 図10は、汎用の石膏ボードを耐力面材として備えた試験体の面内せん断試験に関し、その試験結果を示す線図であり、図10には、耐力(荷重)及び変位(せん断変形角)の相関関係が示されている。 図11は、ガラス繊維を混入した石膏系面材を耐力面材として備えた試験体の面内せん断試験に関し、その試験結果を示す線図であり、図11には、耐力(荷重)及び変位(せん断変形角)の相関関係が示されている。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記面材として無機質系の面材が使用され、上記留め具として釘、ビス又はねじが使用され、各々の上記補剛金属板は、単一の留め具によって面材に留付けられる。釘、ビス又はねじは、釘打機、ビス打機又はねじ打機等の作業工具によって補剛金属板に打込まれる。作業工具の打撃力又は圧力が、釘、ビス又はねじの頭部に作用し、釘、ビス又はねじの軸部は、その先端部によって補剛金属板を穿孔するとともに、面材及び壁下地(柱、梁又は横架材)に貫入又は圧入し、壁下地と一体化する。
本発明の好適な実施形態において、補剛金属板は更に、面材の上端部及び下端部の縁部帯域において面材の全幅に亘って配列され、補剛金属板同士は互いに離間し、補剛金属板が存在しない非補強域が、上端部及び下端部の縁部帯域において、隣合う補剛金属板の間に形成される。本発明の他の好適な実施形態において、補剛金属板は更に、面材の中間部において該面材の全高に亘って配列され、補剛金属板同士は互いに離間し、補剛金属板が存在しない非補強域が、中間部おいて、隣合う補剛金属板の間に形成される。好ましくは、補剛金属板は、実質的に均等な間隔で面材の縁部帯域(及び中間部)に配列され又は整列配置される。所望により、補剛金属板と係合せずに耐力面材を壁下地に留付ける留め具が、列をなす補剛金属板の一部を省略することにより補剛金属板の間に配設され、或いは、補剛金属板の間の非補強域に付加的に配設される。
好ましくは、補剛金属板は、留め具の施工前に金属板の本体を面材の外面に保持するための粘着手段、接着手段、係留手段又は係止手段を有し、面材の外面に取付けられ又は仮留めされる。補剛金属板は、面材の製造時、工場出荷時、保管時等に面材の縁部帯域に予め取付けられ又は仮留めされ、或いは、建設現場又は施工現場において面材の縁部帯域に取付けられ又は仮留めされる。粘着手段又は接着手段として、補剛金属板の裏面に塗布された粘着剤(材)又は接着剤(材)、或いは、補剛金属板及び面材の間に介挿される粘着テープ又は両面テープ等が挙げられる。また、係留手段又は係止手段として、ステープル、ピン等が挙げられる。所望により、留め具の打込み位置を示す指標が補剛金属板の中心部に設けられる。指標は、ケガキ、塗料、インク、印刷、隆起、窪み、凹凸、突起等の手段により補剛金属板上に刻設、形成、塗着又は配設される。指標として、留め具の軸部の直径よりも小さい直径を有する小径の貫通孔を補剛金属板に穿設しても良い。
好適には、上記補剛金属板は、正面視円形、多角形又は方形の輪郭を有し、補剛金属板の正面視最大寸法は、留め具の軸芯と面材の縁部との間の距離に対し、該距離の2倍以下の寸法に設定され、金属板の正面視最小寸法は、頭部の直径又は外寸(外形最大寸法)の2倍以上の寸法に設定される。好ましくは、金属板の板厚は、0.05〜2.0mmの範囲内の寸法に設定される。更に好適には、金属板は、0.2〜0.8mmの範囲内の板厚を有し、直径又は一辺が20〜30mmの範囲内の寸法を有する正面視真円形又は正方形の鋼板からなり、鋼板の中心部又は重心位置は、留め具の打込み位置に配置される。
本発明の好適な実施形態において、上記留め具及び補剛金属板は、特定の留め具の軸心もしくは特定の補剛金属板の中心点を起点に200mm以下且つ50mm以上の間隔で縁部帯域に配置され、上記面材は、比重0.85以下、好ましくは、0.8以下の石膏系面材(石膏ボード又は石膏板)からなる。前述のとおり、補剛金属板は、地震時等の短期水平荷重作用時又は加振時に、石膏系面材に亀裂又は破損等が発生する事態を未然に防止し、壁倍率の向上に寄与する。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例に係る耐力壁構造の構成について詳細に説明する。
図1は、木構造建築物の耐力壁構造を示す正面図である。
図1に示す耐力壁は、厚さ9.5mm、幅910mm、高さ約2800〜3030mm(例えば、2900mm)の石膏系面材10をコンクリート(RC)基礎1上の木造軸組に固定した構造を有する。例えば、石膏系面材10として、平板状の石膏コアの両面を石膏ボード用原紙で被覆してなる石膏ボード(JIS A 6901)、或いは、ガラス繊維を混入した平板状コアの両面を石膏ボード用原紙で被覆してなる石膏ボード又は石膏板(以下、「ガラス繊維補強石膏ボード」という。)を好適に使用し得る。後述する本発明の実施例では、前者の石膏系面材として、比重0.67の石膏ボード(JIS A 6901)が使用され、後者の石膏ボード又は石膏板として、製品名「タイガーEXボード」(登録商標、吉野石膏株式会社製品)を改良した比重0.79のガラス繊維補強石膏ボードが使用される。
図1に示す如く、石膏系面材10(以下、「面材10」という。)は、土台2、柱3、間柱4及び横架材(胴差)5に対し、釘20によって固定される。釘20は、例えば、めっき鉄丸くぎ(NZくぎ:JIS A 5508)である。本例では、釘20として、例えば、NZ50くぎ(長さ50mm、頭部径約6.6mm、軸部径約2.75mm)が使用される。釘20は、面材10の四周外周帯域において間隔S1を隔てて配置され、鉛直方向に延びる面材10の中央帯域において間隔S2を隔てて配置される。好ましくは、間隔S1は、50mm〜200mmの範囲内の寸法に設定され、間隔S2は、50mm〜300mmの範囲内の寸法に設定される。面材10の外周帯域には、補剛金属板30が、面材10の外縁に沿って釘20と同一の間隔S1で配列される。釘20は、面材10の外周部において、釘打機等によって補剛金属板30の中心部に打込まれ、面材10の鉛直中央帯域において、釘打機等によって面材10に直に打込まれる。外周部の釘20は、補剛金属板30の中心部を穿孔して補剛金属板30を貫通するとともに、面材10の外周部に貫入して壁下地材2、3、5(土台2、柱3、横架材5)に圧入する。他方、中央帯域の釘20は、鉛直方向に延びる面材10の中央帯域に貫入して間柱4に圧入する。
かくして、図1に示す耐力壁構造は、釘20及び補剛金属板30を使用して面材10の四周外周部を土台2、柱3、横架材5に一体的に留付けるとともに、釘20によって面材中央の縦方向帯域(鉛直中央帯域)を間柱4に一体的に留付けた構成を有する。後述する本発明者等の耐力検証試験によれば、このような木構造耐力壁の構成は、壁倍率を向上する上で有利である。
図2(A)は、釘20及び補剛金属板30によって面材10を柱3に留付けてなる耐力壁の面材留付部分の構成を示す面材留付部分の正面図であり、図2(B)は、図2(A)のI−I線における断面図であり、図2(C)、図2(D)は、補剛金属板30に対して釘20を打込む態様を示す面材留付部分の斜視図である。図3(A)及び図3(B)は、面材に取付けられた補剛金属板30に釘20を打込む態様を示す耐力壁構造の部分斜視図である。
図2(A)及び図2(B)には、補剛金属板30と、釘20、面材10及び柱3との位置関係等が示されている。補剛金属板30は、幅W及び高さHの寸法を有する方形の薄い無開孔又は無開口の金属製盲板であり、本例においては、幅W及び高さHを約25mmに設定した正面視正方形輪郭の金属板である。補剛金属板30は、好ましくは、厚さ0.05〜2.0mm、更に好ましくは、厚さ0.2〜0.8mm(例えば、厚さ0.4mm)の亜鉛めっき鋼板からなる。この種の鋼板は、耐腐蝕性、耐蟻性、経済性等の点で比較的優れているので、金属板の素材として好適に使用し得るが、他の種類の鋼板や、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板(例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標))、アルミニウム合金板、ステレンス合金板、銅板、鉛板等の汎用的な金属材料の板体を補剛金属板30として使用しても良い。また、樹脂被覆した金属板や、異種金属板の積層体等を補剛金属板30として使用しても良い。
一般に、釘20は、面材10の縁から距離S3を隔てた位置に配置され、補剛金属板30の中心は、面材10の縁から距離S3を隔てた位置に位置決めされる。距離S3は、約5〜20mmの範囲内の寸法、好ましくは、10〜15mm(本例では12mm)に設定される。
図2(C)、図2(D)及び図3(A)には、面材10に取付けられた補剛金属板30に対して釘20を打込む態様が示されている。釘20は、釘打機等の打撃力又は圧力により面材10を貫通して壁下地に貫入又は圧入する軸部21と、面材10の外面と同等の位置において面材10によって保持、支持又は支承すべき頭部22とを有する。
補剛金属板30は、面材10の製造時、工場出荷時、保管時等に取付け手段33によって面材10の縁部帯域に予め取付けられ、或いは、建設現場又は施工現場において取付け手段33によって面材10の縁部帯域に取付けられる。補剛金属板30は、必ずしも堅固に面材10に固定する必要はなく、仮留め又は仮固定の態様で補剛金属板30を面材10に取付けても良い。補剛金属板30の取付け手段33として、補剛金属板30の裏面に塗布された粘着剤(材)又は接着剤(材)、或いは、補剛金属板30及び面材10の間に介挿される粘着テープ又は両面テープ等が挙げられる。補剛金属板30には、釘20の打込み位置を示す十字形の指標31が設けられる。指標31は、好ましくは、補剛金属板30の中心部又は重心位置に設けられる。ケガキ、塗料、インク、印刷、隆起、窪み、凹凸、突起等の手段により任意の表示を指標31として補剛金属板30に刻設し、塗着し、形成し又は配設しても良い。
図2(C)及び図3(A)に示す如く、釘20の先端部を指標31の中心に圧入するように釘打機(図示せず)を位置決めし、釘打機の打込み圧力Prにより釘20を補剛金属板30に打込むと、軸部21の先端部は、補剛金属板30を穿孔して補剛金属板30を貫通する。釘打ち後の釘20において、頭部22の外面は、図2(D)に示す如く、補剛金属板30の外面と概ね面一である。かくして、頭部22は、面材10の外面と実質的に同一の位置において補剛金属板30によって保持され、支持され又は支承され、釘20は、図2(D)及び図3(A)に示す如く、面材10及び柱3に貫入又は圧入し、この結果、面材10は、柱3に一体的に留付けられる。なお、図3(A)に示す如く、面材10は、間柱4に対応する位置において釘打機等によって面材10に直に打込まれた釘20によって、間柱4に更に留付けられる。
図3(B)に示す如く、補剛金属板30を予め面材10に取付けず、釘打機(図示せず)によって釘20を補剛金属板30に打込む際に補剛金属板30を作業工具、治具又は手指等で面材10の縁部に位置決めし、釘20の圧力のみによって補剛金属板30を面材10に固定することも可能である。所望により、ハンマー等の手動式作業工具によって釘20を補剛金属板30に打ち付けることにより、釘20を面材10及び柱3に貫入又は圧入させても良い。
図4は、補剛金属板30の変形例を示す耐力壁の面材留付部分の正面図である。図4(A)には、直径Dの真円形輪郭を有する補剛金属板35が示され、図4(B)には、幅W、高さH(=W)の六角形輪郭を有する補剛金属板36が示され、図4(C)には、幅W、高さHの寸法を有する縦長の長方形輪郭の補剛金属板37が示され、図4(D)には、幅W’の正三角形輪郭を有する補剛金属板38が示されている。各金属板35〜38の重心位置には、釘20の打込み位置を示す指標(図示せず)が配置され、釘20は、各金属板35〜38の重心位置に打込まれる。
図5は、円形輪郭の補剛金属板35に釘を打込む態様を示す耐力壁構造の部分斜視図であり、図6は、補剛金属板35を使用した木構造建築物の耐力壁構造を示す正面図である。図7は、図6に示す耐力壁構造の変形例を示す正面図である。
図5に示す如く、円形輪郭の補剛金属板35は、正方形輪郭の補剛金属板30と全く同じ態様で面材10の縁部帯域に取付けられる。前述の如く、釘20は、釘打機(図示せず)の打込み圧力Prにより補剛金属板35に打込まれ、面材10及び柱3に貫入又は圧入し、面材10は、柱3に一体的に留付けられる。また、面材10は、前述のとおり、釘打機等によって面材10に直に打込まれた釘20によって間柱4に更に留付けられる。
かくして施工された耐力壁構造の正面図が図6に示されている。図6に示す耐力壁構造は、面材10の外周部全周(四周)に間隔S1で等間隔に釘20及び補剛金属板35を配列した構成を有する。
図7には、面材10の上縁及び下縁の補剛金属板35を省略した構成を有する耐力壁構造の正面図が示されている。補剛金属板35は、必ずしも面材10の外周部全周(四周)に亘って配列しなくとも良く、図7に示す如く、鉛直方向に延びる両側の縁部帯域のみに補剛金属板35を配列すること可能である。
図8は、図6に示す耐力壁構造の面内せん断試験において使用された試験体(実施例1、2)の構成を示す正面図である。図9は、後述する比較例1−2、2−2の試験体の構成を示す正面図である。図8及び図9において、前述の各実施例の構成要素又は構成部材に相当又は相応する構成要素又は構成部材については、同一の参照符号が付されている。また、図10及び図11は、面内せん断試験の試験結果を示す線図である。
本発明者等は、「木造の耐力壁及びその倍率 性能試験・評価業務方法書」に記載された試験体仕様に従って、図8に示す耐力壁構造を有する壁幅1820mm、高さ2730mmの試験体を製作し、無載苛式試験装置を用いた面内せん断試験を実施した。図8に示す試験体は、図6に示す耐力壁構造の試験体であり、面材10(10a:10b)の外周部全周(四周)に間隔S1で等間隔に釘20及び補剛金属板35を配列した構成を有する。
図8に示す試験体は、断面105×105mmのスギ製材の土台2及び柱3と、柱3によって支持された断面180×105mmのベイマツ製材の横架材5とからなる木造軸組の主要構造部を有する。柱3間の中央部には、断面45×105mmのスギ製材の継手間柱4’が立設され、柱3と継手間柱4’との間には、断面30×105mmのスギ製材の間柱4が立設される。スギ製材又はベイマツ製材の胴つなぎ5’が、柱3と間柱4との間に架設されるとともに、間柱4と継手間柱4’との間に架設される。試験用治具として、引き寄せ金物40が、土台2及び柱3の接合部に配設されるとともに、梁5及び柱3の接合部に配設される。土台2、柱3、継手間柱4’、間柱4、横架材5、胴つなぎ5’は、耐力壁構造の軸材を構成しており、これら部材によって矩形状の軸組が形成される。
図8に示す試験体において、土台2及び梁3の鉛直離間距離h1、胴つなぎ5’の高さh2、胴つなぎ5’に対する梁3の相対高さh3は夫々、h1=2625mm、h2=1790mm、h3=835mmに設定され、柱3及び継手間柱4’の間隔(柱芯間隔)w1は、w1=910mmに設定され、壁の長さLは、1.82mに設定された。面材10は、胴つなぎ5’によって上下に分割され、下側の面材10aは、幅910mm、高さ1820mmの寸法を有し、上側に配置された面材10bは、幅910mm、高さ865mmの寸法を有する。面材10a、10bのかかり代寸法h4、h5は、30mmに設定された。
図8に示す試験体において、面材10a、10bを土台2、柱3、継手間柱4’、横架材5及び胴つなぎ5’に留付けるための釘20及び補剛金属板35は、面材10a、10bの縁部帯域全周に亘って等間隔(間隔S1=75mm)に配列された。面材10a、10bを間柱4に留付けるための釘20は、面材10a、10bの鉛直中央帯域に等間隔(間隔S2=150mm)に配列された。釘20として、NZ50くぎ(長さ50mm、頭部径約6.6mm、軸部径約2.75mm)が使用され、補剛金属板35として、直径24mm、板厚0.4mmの亜鉛めっき鋼板(真円形盲板)が使用された。
本発明者等は、以下の2種類の試験体を製作し、無載苛式試験装置を用いた面内せん断試験を実施した。
(1)図8に示す構成において、厚さ9.5mm、幅910mm、比重0.67の石膏ボード(JIS A 6901)を面材10a、10bとして用いた実施例(以下、「実施例1」という。)の試験体
(2)図8に示す構成において、厚さ9.5mm、幅910mm、比重0.79のガラス繊維補強石膏ボードを面材10a、10bとして用いた実施例(以下、「実施例2」という。)の試験体
実施例1及び2の各試験体の試験結果が図10及び図11に示されている。各図に示された試験結果の評価については、後述する。
本発明者等は更に、比較例1−1、1−2、2−1及び2−2として、以下の構成を有する試験体を製作し、無載苛式試験装置を用いた面内せん断試験を実施した。
(1)比較例1−1
図8に示す構成の試験体において、補剛金属板35を全く使用せず、釘20だけを使用して面材10a、10bを図8の壁下地に留付けた試験体が、比較例1として用意された。釘20の間隔S1、S2は、図8に示す試験体と同じく、S1=75mm、S2=150mmである。面材10a、10bは、実施例1の試験体と同じく、厚さ9.5mm、幅910mm、比重0.67の石膏ボード(JIS A 6901)である。
(2)比較例1−2
図8に示す構成の試験体において、図9に示す如く補剛金属板35を従来の帯鉄板(帯状補強材)50に置換し、釘20を帯鉄板50に打ち込んで面材10a、10bを図8の壁下地に留付けてなる試験体が、比較例1−2として用意された。面材10a、10bは、実施例1の試験体と同じく、厚さ9.5mm、幅910mm、比重0.67の石膏ボード(JIS A 6901)である。図9に示す帯鉄板50の寸法は、長さ約800〜900mm、幅60mm、厚さ0.4mmである。釘20の間隔S1、S2は、図8に示す試験体と同じく、S1=75mm、S2=150mmである。帯鉄板50と同様の帯鉄板は、前述の特許文献2〜5(特許第5415156号公報、特開2013−209809号公報、特開2013−238068号公報、特開2012−202112号公報)に記載されているので、更なる詳細な説明は、省略する。
(3)比較例2−1
比較例1−1の試験体と同様、補剛金属板35を全く使用せず、釘20だけを使用して面材10a、10bを図8の試験体の壁下地に留付けた試験体であるが、厚さ9.5mm、幅910mm、比重0.79のガラス繊維補強石膏ボードを面材10a、10bとして用いた試験体が、比較例2−1として用意された。
(4)比較例2−2
比較例1−2の試験体と同様、釘20を帯鉄板50に打ち込んで面材10a、10bを図8の壁下地に留付けてなる試験体であるが、厚さ9.5mm、幅910mm、比重0.79のガラス繊維補強石膏ボードを面材10a、10bとして用いた試験体が、比較例2−2として用意された。
図10及び図11は、本発明に係る耐力壁構造(実施例1、2)及び比較例1−1、1−2、2−1、2−2の耐力壁構造における耐力(荷重)及び変位(せん断変形角)の特性を示す線図である。図10及び図11において、各包絡線上の黒塗り丸印は、最大耐力(最大荷重)Pmax後の0.8Pmax荷重低下域を示す。図10及び図11には、各実施例及び各比較例の最大耐力が、Pmax1〜Pmax6として示され、0.8Pmax荷重低下域の包絡線上のせん断変形角、即ち、終局変位δuが、各実施例及び各比較例に関し、δu1〜δu6として示されている。
本書の冒頭において説明したとおり、壁倍率は、短期許容せん断耐力Paを所定の基準値(L×1.96)で除した値であり、短期許容せん断耐力Paは、図10及び図11の数式より理解し得るとおり、短期基準耐力P0に所定の低減係数αを乗じた値であり、短期基準耐力P0の値に比例する。本発明者等が実施した実施例1、2及び比較例1−1、1−2、2-1、2-2の試験結果においては、いずれも、前述の終局耐力(補正値)が最も小さい値を示し、従って、終局耐力(補正値)が短期基準耐力P0として採用された。終局耐力(補正値)の値は、図10及び図11の数式より理解し得るとおり、終局耐力Puを塑性率μに基づいて補正した値である。なお、図10及び図11の各図に示す耐力及び変位の特性や、短期許容せん断耐力Pa及び壁倍率の値は、同一面材に関する実施例及び比較例の相対的な性能比較のためのものであるので、説明を簡略化すべく、低減係数α=1.0と仮定した。
殊に、石膏系面材等の無機系面材を用いた耐力壁において短期許容せん断耐力Pa(従って、壁倍率)を増大するには、短期基準耐力P0を増大させる必要があり、短期基準耐力P0を増大するには、短期基準耐力P0を構成する因子、即ち、終局耐力Pu及び塑性率μの双方を増大させ、或いは、終局耐力Pu及び塑性率μの一方を大きく低下させることなく、他方を増大させる必要がある。最大耐力Pmaxを増大し得たとしても、塑性率μが比較的大きく低下した場合、短期許容せん断耐力Pa及び壁倍率を所望の如く増大させることはできない。なお、塑性率μは、終局変位δuの値に比例し、荷重を加え続けると弾性変形域を超えて(破壊又は崩壊せずに)変形し続ける性質を客観的に示す数値であり、従って、塑性率μは、靱性及び変形追随性の指標と見做すことができる。
図10に示す試験結果より、以下の傾向又は性質を理解し得る。
(1)帯鉄板50で補強した耐力壁構造(比較例1−2)の場合、帯鉄板50も補剛金属板35も有しない耐力壁構造(比較例1−1)に比べ、最大耐力Pmaxが大きく増大するが、終局変位δuが大きく低下(この結果、塑性率μが大きく低下)するので、短期基準耐力P0が大きく増大することはなく、従って、短期許容せん断耐力Pa及び壁倍率を所望の如く増大させることはできない。
(2)補剛金属板35で補強した耐力壁構造(実施例1)の場合、帯鉄板50も補剛金属板35も有しない耐力壁構造(比較例1−1)に比べ、終局変位δuが大きく低下することなく(従って、塑性率μが大きく低下することなく)、最大耐力Pmaxが大きく増大するので、短期基準耐力P0が顕著に増大し、従って、短期許容せん断耐力Pa及び壁倍率が比較的大きく増大する。
図11に示す試験結果より、以下の傾向又は性質を理解し得る。
(1)補剛金属板35で補強した耐力壁構造(実施例2)及び帯鉄板50で補強した耐力壁構造(比較例2−2)の場合、帯鉄板50も補剛金属板35も有しない耐力壁構造(比較例2−1)に比べ、最大耐力Pmax及び塑性率μの双方が増大するので、短期基準耐力P0が大きく増大し、従って、短期許容せん断耐力Pa及び壁倍率が大きく増大する。
(2)補剛金属板35で補強した耐力壁構造(実施例2)と、帯鉄板50で補強した耐力壁構造(比較例2−2)とを対比すると、実施例2の耐力壁構造は、最大耐力Pmaxにおいて比較例2−2の耐力壁構造よりも若干劣るが、塑性率μにおいて比較例2−2の耐力壁構造よりも優れる。この結果、実施例2の耐力壁構造は、比較例2-2の耐力壁構造よりも更に大きい短期許容せん断耐力Pa及び壁倍率を発揮する。
このような試験結果より、耐力壁の短期許容せん断耐力及び壁倍率を確実に向上させるには、隣り合う釘20を帯鉄板50で架橋せず、各釘20毎に独立させた本発明の補剛金属板30を使用することが有効な対策又は改良であることが判る。以下、この点について、面内せん断試験において実際に観られた現象に基づいて更に説明する。
図10及び図11に示す如く、比較例1−2、2−2の試験体の最大耐力Pmax3、 Pmax6は、比較列1−1、2−1の試験体の最大耐力Pmax2、Pmax5に比べ、かなり増大しており、この値は、実施例1、2の試験体の最大耐力Pmax1、Pmax4と概ね同等の値である。しかしながら、比較例1−2、2−2の試験体の耐力は、図10に示す如く、最大耐力Pmax3が比較的早期に顕れ、しかも、図11に示す如く、最大耐力Pmax6の後にせん断変形角δが増大すると、その耐力が比較的急激に低下する傾向がある。これは、縁部帯域に連続敷設した帯鉄板50が多数の釘20を架橋し、縁部帯域の剛性を全体的に高めていることから、帯鉄板50によって覆われた領域である補強域と、この補強域に囲まれた面材10の内側の非補強域(帯鉄板50が存在せず又は帯鉄板50によって覆われておらず、帯鉄板50によって補強されていない領域)との間に比較的大きな剛性の相違が生じ、剛性の変化又は相違に起因して面材の非補強域、或いは、補強域と非補強域との境界部分等に過大な歪み、応力の集中、或いは、過大な応力等が局所的に発生し、面材に亀裂又は破損等が発生することに起因すると考えられる。
即ち、帯鉄板50によって補強した耐力壁(比較例1−2、2−2)の場合、面材10の縁部帯域の剛性が全体的に向上する反面、この帯域の剛性と、帯状補強材から離間した非補強域の剛性とが比較的大きく相違し、このような極端な剛性の変化に起因して、面材10の非補強域に亀裂又は破損等が発生し易い。このため、降伏点変位δvに対して終局変位δuが比較的小さく、この結果、塑性率μが低下し、壁倍率及び短期許容せん断耐力を所望の如く向上し難い。
これに対し、実施例1、2の試験体の耐力は、図10及び11に示す如く、最大耐力Pmaxが得られた後、せん断変形角δが増大しても、比較的高い耐力を持続する傾向がある。これは、実施例1、2の試験体では、面材全域の剛性が均等又は平準な状態を維持しており、従って、せん断変形時に発生する応力が比較的良好に分散するとともに、面材10が素材本来の靱性及び変形追随性を有効且つ十分に発揮し、この結果、実施例1、2においては、最大耐力Pmax1、4が、比較例1−3の最大耐力Pmax3と同等、或いは、比較例2−3の最大耐力Pmax4よりも若干低下しているにもかかわらず、短期基準耐力P0が相対的に高い値を示す。これは、実施例1、2の耐力壁構造を採用することにより、壁体の靱性が向上して短期基準耐力P0が増大し、これにより、壁倍率及び短期許容せん断耐力が効果的に向上し得たことを意味する。
以上説明したとおり、本実施例に係る耐力壁構造によれば、耐力壁は、裏面を面材10の外面に密着又は接着して面材10を部分的にのみ補強する補剛金属板30を有し、補剛金属板30は、釘20の間隔と実質的に同一の間隔S1を隔てて面材10の外周部に配置される。補剛金属板30同士は互いに離間し、補剛金属板30が存在しない面材の非補強域が外周部に形成される。釘20は、釘打機等の作業工具によって金属板に打込まれ、釘の軸部21は、補剛金属板を穿孔し且つ貫通して壁下地材(土台2、柱3、横架材5)に嵌入又は圧入する。補剛金属板30は、釘20の頭部22を面材の外面と実質的に同一の位置に保持し、支持し又は支承する。頭部22は、通常時又は平常時には、面材10に対して実質的な固定状態を維持し、地震時等の短期水平荷重作用時又は加振時には、構造体の変形に追随するように相対変位し得るが、釘20及び面材10の間で荷重又は応力伝達可能な状態を維持するように面材10を支持し続ける。
このような耐力壁構造によれば、面材10を壁下地材(土台2、柱3、横架材5)に留付ける釘20と関連した補剛金属板30により、パンチングシェア現象の発生を確実に防止するとともに、壁体の靱性を向上して終局耐力(補正値)を増大し、これにより、壁体の壁倍率を向上することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態及び実施例は、木構造建築物の1階レベルの耐力壁に関するものであるが、本発明は、2階又は3階レベルの耐力壁についても同様に適用し得るものである。2階又は3階レベルの耐力壁の場合、耐力面材の下端部は、2階床又は3階床レベルの横架材等に留付けられる。
また、上記実施形態及び実施例は、木造軸組工法の耐力壁構造に関するものであるが、本発明は、木造枠組壁工法の耐力壁構造に対して同様に適用することができる。この場合、耐力面材は、土台、柱及び横架材に換えて、縦枠、下枠、上枠等に留付けられる。
更に、本発明に係る耐力壁構造を面材の種別により分類すると、(1)無機質系耐力壁と、(2)木質系耐力壁とに大別される。上記実施形態及び実施例では、耐力面材として石膏系面材が使用されているが、石膏系面材を使用した耐力壁は、無機質系耐力壁に属する。無機質系耐力壁において使用可能な他の面材として、各種石膏ボード、各種石膏板、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板、セメント板、バーミキュライト板等の無機質系面材が挙げられる。また、木質系耐力壁において使用可能な面材として、例えば、合板材料(構造用合板)、パーティクルボード、OSB(配向性ストランドボード)、MDF(中密度繊維板)等の木質系面材が挙げられる。
また、上記実施形態では、厚さ9.5mm、幅910mm、高さ約2800〜3030mmの石膏系面材を使用しているが、面材の寸法又は比重や、面材原料の配合・組成等は、上記実施形態における特定事項に限定されるものではなく(例えば、910mm〜3030mmの寸法範囲の石膏系面材が市販されている。)、また、図8に示す試験体の如く、高さ方向中間位置に横桟、胴つなぎ等の部材を任意の高さ位置に配設することも可能である。
本発明は、木造軸組工法又は木造枠組壁工法の木構造壁下地に対して耐力面材を留付け、耐力面材を壁下地に構造的に一体的に保持するように構成された木構造建築物の耐力壁構造に適用される。本発明は又、木造軸組工法又は木造枠組壁工法の木構造壁下地に対して耐力面材を留付け、耐力面材を壁下地に構造的に一体的に保持する工程を有する木構造建築物の壁施工方法に適用される。本発明によれば、木構造建築物の耐力壁構造において、パンチングシェア現象の発生を確実に防止するとともに、壁倍率の向上を図ることができる。
1 基礎
2 土台
3 柱
4 間柱
4’ 継手間柱
5 横架材(胴差、軒桁、妻桁)
5’ 胴つなぎ
10、10a、10b 石膏系面材
20 釘(留め具)
21 軸部
22 頭部
30、35、36、37、38 補剛金属板
31 指標
33 取付け手段
W、W’ 幅
H 高さ
D 直径
S1、S2 釘の間隔
S3 距離
Pr 釘打機(図示せず)の打込み圧力

Claims (25)

  1. 木造軸組工法又は木造枠組壁工法の木構造壁下地と、軸部及び頭部を備えた留め具によって前記壁下地に留付けられた耐力面材とから構成され、前記留め具は、所定間隔を隔てて前記面材の外周部および中間部に配置され、前記軸部は、前記留め具に対する作業工具の打撃力又は圧力により前記面材を貫通して前記壁下地に延入、圧入、貫入又は螺入し、前記頭部は、前記面材の外面と同等の位置に配置され、該面材は、前記留め具の保持力により前記壁下地に一体的に保持される木構造建築物の耐力壁構造において、
    前記留め具の間隔と実質的に同一の間隔を隔てて前記面材の両側の縁部帯域に該面材の全高に亘って配列され、裏面を前記面材の外面に密着又は接着し、各留め具の近傍の面材部分を補強する補剛金属板を有し、
    該補剛金属板同士は互いに離間し、隣合う補剛金属板の間には、該補剛金属板が存在しない非補強域が前記縁部帯域に形成され、
    前記補剛金属板は、前記留め具の打撃時又は圧入時に該留め具に作用する前記作業工具の打撃力又は圧力により前記軸部で穿孔され、該軸部を貫通せしめるが、前記留め具の前記頭部を前記面材の外面と実質的に同一の位置に保持し、支持し又は支承する強度及び板厚を有することを特徴とする耐力壁構造。
  2. 前記補剛金属板は更に、前記面材の上端部及び下端部の縁部帯域に該面材の全幅に亘って配列されており、該補剛金属板同士は上端部及び下端部の縁部帯域において互いに離間し、補剛金属板が存在しない非補強域が、上端部及び下端部の縁部帯域において、隣合う補剛金属板の間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の耐力壁構造。
  3. 前記補剛金属板は更に、前記面材の中間部に該面材の全高に亘って配列されており、該補剛金属板同士は該中間部において互いに離間し、前記補剛金属板が存在しない非補強域が、前記中間部おいて、隣合う補剛金属板の間に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐力壁構造。
  4. 各々の前記補剛金属板は、単一の留め具によって留付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  5. 前記補剛金属板は、前記留め具の施工前に前記補剛金属板の本体を前記面材の外面に保持するための粘着手段、接着手段、係留手段又は係止手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  6. 前記面材は、無機質系の面材であり、前記留め具は、釘、ビス又はねじであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  7. 前記補剛金属板は、正面視円形、多角形又は方形の輪郭を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  8. 前記補剛金属板の正面視最大寸法は、前記留め具の軸芯と前記面材の縁部との間の距離に対し、該距離の2倍以下の寸法に設定され、前記補剛金属板の正面視最小寸法は、前記頭部の直径又は外寸の2倍以上の寸法に設定され、前記補剛金属板の板厚は、0.05〜2.0mmの範囲内の寸法に設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  9. 前記補剛金属板は、0.2〜0.8mmの範囲内の板厚を有し、直径又は一辺が20〜30mmの範囲内の寸法を有する正面視真円形又は正方形の鋼板からなり、該鋼板の中心部は、前記留め具の打込み位置に配置されることを特徴とする請求項8に記載の耐力壁構造。
  10. 前記面材として無機系面材を使用し、前記留め具及び前記補剛金属板を特定の該留め具の軸心もしくは特定の補剛金属板の中心部又は重心位置を起点に200mm以下且つ50mm以上の間隔で前記縁部帯域に配置した構造を有し、前記補剛金属板の外側面中心部又は重心位置には、前記留め具の打込み位置を示す指標が設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  11. 前記補剛金属板と係合せずに前記耐力面材を前記壁下地に留付ける留め具が、列をなす前記補剛金属板の一部を省略することにより前記補剛金属板の間に配設され、或いは、該補剛金属板の間の非補強域に付加的に配設されることを特徴する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の耐力壁構造。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載された耐力壁構造を有する木構造建築物の耐力壁。
  13. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載された耐力壁構造の耐力壁を有する木構造建築物。
  14. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載された耐力壁構造において使用可能な無機系の面材であって、少なくとも前記縁部帯域において前記補剛金属板の本体を前記面材の外面に一体的に配設したことを特徴とする無機系面材。
  15. 木造軸組工法又は木造枠組壁工法の木構造壁下地に対して耐力面材を位置決めし、軸部及び頭部を備えた留め具を前記面材の外周部および中間部に所定間隔を隔てて打込み、前記留め具に対する作業工具の打撃力又は圧力により前記面材を穿孔して該面材を貫通した軸部を前記壁下地に延入、圧入、貫入又は螺入せしめるとともに、前記頭部を前記面材の外面と同等の位置に配置して該面材を前記留め具の保持力により前記壁下地に構造的に一体的に保持する木構造建築物の耐力壁施工方法において、
    裏面を前記面材の外面に密着又は接着して各留め具の近傍の面材部分を補強する補剛金属板を前記留め具の間隔と実質的に同一の間隔を隔てて前記面材の両側の縁部帯域に該面材の全高に亘って配列するとともに、前記補剛金属板同士を互いに離間させることにより、該補剛金属板が存在しない前記面材の非補強域を前記縁部帯域に形成し、
    前記留め具の軸部が前記補剛金属板を穿孔して該補剛金属板を貫通するように前記作業工具によって該留め具を前記補剛金属板に打込み、前記留め具の前記頭部を前記面材の外面と実質的に同一の位置において前記補剛金属板によって保持し、支持し又は支承することを特徴とする耐力壁施工方法。
  16. 前記補剛金属板を前記面材の上端部及び下端部の縁部帯域に該面材の全幅に亘って更に配列するとともに、該補剛金属板同士を互いに離間させて、補剛金属板が存在しない前記面材の非補強域を上端部及び下端部の縁部帯域に形成することを特徴とする請求項15に記載の耐力壁施工方法。
  17. 前記補剛金属板を前記面材の中間部に該面材の全高に亘って更に配列するとともに、該補剛金属板同士を互いに離間させて、補剛金属板が存在しない前記面材の非補強域を前記中間部に形成することを特徴とする請求項15又は16に記載の耐力壁施工方法。
  18. 前記留め具の施工前に粘着手段、接着手段、係留手段又は係止手段によって前記補剛金属板を前記面材の外面に保持することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
  19. 前記面材として無機質系の面材を使用し、前記留め具として釘、ビス又はねじを使用し、各々の前記補剛金属板を単一の留め具によって前記面材に留付けることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
  20. 前記補剛金属板は、正面視円形、多角形又は方形の輪郭を有することを特徴とする請求項15乃至19のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
  21. 前記補剛金属板の板厚を0.05〜2.0mmの範囲内の寸法に設定した鋼板を前記補剛金属板として使用し、前記補剛金属板の正面視最大寸法を前記留め具の軸芯と前記面材の縁部との間の距離の2倍以下の寸法に設定し、前記補剛金属板の正面視最小寸法を前記頭部の直径又は外寸の2倍以上の寸法に設定したことを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
  22. 板厚を0.2〜0.8mmの範囲内の寸法に設定し且つ直径又は一辺の寸法を20〜30mmの範囲内に設定した正面視真円形又は正方形の鋼板を前記補剛金属板として使用し、該鋼板の中心部を前記留め具の打込み位置に位置決めすることを特徴とする請求項21に記載の耐力壁施工方法。
  23. 前記留め具の打込み位置を示す指標を前記補剛金属板の中心部又は重心位置に設けることを特徴とする請求項15乃至22のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
  24. 前記面材として無機系の面材を使用し、前記留め具及び前記補剛金属板を200mm以下且つ50mm以上の間隔で前記縁部帯域に配置することを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
  25. 前記補剛金属板と係合せずに前記耐力面材を前記壁下地に留付ける留め具が、列をなす前記補剛金属板の一部を省略することにより前記補剛金属板の間に配設され、或いは、該補剛金属板の間の非補強域に付加的に配設されることを特徴する請求項15乃至24のいずれか1項に記載の耐力壁施工方法。
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