JPWO2019189380A1 - Trpチャネル活性抑制剤 - Google Patents

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文裕 岡田
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Abstract

TRPチャネルの活性を効果的に抑制することができるTRPチャネル活性抑制剤であって、TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンを含有していることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤を提供する。

Description

本発明は、TRPチャネル活性抑制剤に関する。さらに詳しくは、TRPチャネル活性抑制剤およびTRPチャネルの活性抑制方法に関する。
皮膚外用剤は、皮膚に適用され、皮膚に有用な効果を与える外用剤である。しかし、皮膚外用剤は、使用者の皮膚の状態などによっては、使用者に不快な感覚または不快な生理学的事象を引き起こさせることがある。しかし、近年、使用者の安全意識の高まりから、不快な感覚または不快な生理学的事象を使用者に引き起こさせないか、または引き起こさせにくく、しかも有用な効果を十分に発現する物質および方法が待ち望まれている。
ところで、TRPチャネルは、外界から受ける種々の刺激を受容する感覚受容などに関与する一過性受容体電位チャネルである。TRPチャネルの1つであるTRPA1は、例えば、アルカリ剤などによる不快な感覚の発現に関与することが、本発明者らによって見出されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−62304号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、TRPチャネルの活性を効果的に抑制するTRPチャネル活性抑制剤およびTRPチャネルの活性抑制方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)TRPチャネルの活性を抑制するためのTRPチャネル活性抑制剤であって、前記TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンを含有していることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤、
(2)TRPチャネルの活性を抑制するためのTRPチャネル活性抑制剤であって、前記TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンに解離する物質が配合されていることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤、および
(3)TRPチャネルの活性を抑制する活性抑制方法であって、アルミニウムイオンとTRPチャネルとを接触させることを特徴とするTRPチャネルの活性抑制方法
に関する。
本発明のTRPチャネル活性抑制剤およびTRPチャネルの活性抑制方法は、TRPチャネルの活性を効果的に抑制するという優れた効果を奏する。
試験例1において、TRPV1発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、TRPV1発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例3において、硫酸アルミニウムカリウム濃度とTRPV1活性との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例4において、TRPA1発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例5において、塩化アルミニウム濃度と抑制率との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例6において、TRPM8発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例7において、蛍光強度比の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例8において、蛍光強度比の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例9において、試料の種類とTRPV1活性との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例10において、試料の種類とTRPA1活性との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例11において、硫酸アルミニウムカリウム濃度と抑制率との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例12において、被験試料のpHと抑制率との関係を調べた結果を示すグラフである。
1.TRPチャネル活性抑制剤
本発明は、1つの側面では、TRPチャネルの活性を抑制するためのTRPチャネル活性抑制剤であって、TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンを含有していることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤(以下、「活性抑制剤A」という)に関する。
アルミニウムイオンは、アゴニストによるTRPチャネルの活性を抑制する。したがって、本発明の活性抑制剤Aは、アルミニウムイオンを有効成分として含有しているので、本発明の活性抑制剤AとTRPチャネルとを接触させることにより、TRPチャネルの活性を効果的に抑制することができる。
本発明の活性抑制剤Aでは、アルミニウムイオンは、例えば、水系溶媒中で解離した状態で存在していてもよい。水系溶媒としては、例えば、水、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。水系溶媒が水である場合、本発明の活性抑制剤AのpHは、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは7.5〜14(以下、「高pH」という)または1〜6.5(以下、「低pH」という)である。本発明の活性抑制剤AのpHが高pHである場合、本発明の活性抑制剤AのpHは、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは7.5以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは8.5以上であり、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは14以下、より好ましくは13以下である。本発明の活性抑制剤AのpHが低pHである場合、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは6.5以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明の活性抑制剤Aにおけるアルミニウムイオン濃度は、適用対象のTRPチャネルの種類、本発明の活性抑制剤Aの用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、適用対象のTRPチャネルの種類、本発明の活性抑制剤Aの用途などに応じて適宜決定することが好ましい。本発明の活性抑制剤Aにおけるアルミニウムイオン濃度は、通常、TRPチャネルの活性に対する抑制効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは10μM以上、より好ましくは100μM以上であり、本発明の活性抑制剤Aの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは20mM以下、より好ましくは10mM以下である。本明細書において、アルミニウムイオン濃度は、金属指示薬〔(株)同仁化学研究所製、商品名:Cu−PAN〕を用いて測定された値である。
本発明の活性抑制剤Aは、本発明の目的が妨げられない範囲内で、例えば、pH調整剤、界面活性剤などの他の成分を含有していてもよい。
本発明の活性抑制剤Aは、例えば、アルミニウムイオンに解離する物質と水系溶媒とを混合することによって製造することができる。本発明の活性抑制剤AがpH調整剤、界面活性剤などの他の成分を含有する場合、当該活性抑制剤Aは、例えば、アルミニウムイオンに解離する物質と他の成分とを混合することによって製造することができる。
アルミニウムイオンに解離する物質としては、例えば、ハロゲン化アルミニウム、無機酸アルミニウム塩、有機酸アルミニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ハロゲン化アルミニウムとしては、例えば、塩化アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。無機酸アルミニウム塩は、無機酸アルミニウム単塩であってもよく、無機酸アルミニウム複塩であってもよい。無機酸アルミニウム単塩としては、例えば、リン酸アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。無機酸アルミニウム複塩としては、例えば、硫酸アルミニウム複塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。硫酸アルミニウム複塩としては、例えば、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの硫酸アルミニウムアルカリ金属複塩、硫酸アルミニウムアンモニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。有機酸アルミニウム塩としては、例えば、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クエン酸アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルミニウムイオンに解離する物質のなかでは、TRPチャネルの活性に対する抑制効果を十分に発揮させる観点から、ハロゲン化アルミニウム、無機酸アルミニウム塩および有機酸アルミニウム塩が好ましく、ハロゲン化アルミニウムおよび硫酸アルミニウム複塩がより好ましく、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムおよび硫酸アルミニウムアンモニウムがより一層好ましく、塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウムがさらに好ましく、塩化アルミニウムがさらに一層好ましい。
本発明は、他の側面では、TRPチャネルの活性を抑制するためのTRPチャネル活性抑制剤であって、TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンに解離する物質が配合されていることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤(以下、「活性抑制剤B」という)に関する。
本発明の活性抑制剤BとTRPチャネルとを接触させたとき、アルミニウムイオンに解離する物質から解離されたアルミニウムイオンとTRPチャネルとが接触することにより、TRPチャネルの活性が効果的に抑制される。したがって、本発明の活性抑制剤Bは、アルミニウムイオンに解離する物質が配合されているので、TRPチャネルの活性を効果的に抑制することができる。
アルミニウムイオンに解離する物質は、TRPチャネルと接触させる際に、アルミニウムイオンに解離していればよい。本発明の活性抑制剤Bに用いられるアルミニウムイオンに解離する物質は、本発明の活性抑制剤Aの製造に用いられるアルミニウムイオンに解離する物質と同様である。アルミニウムイオンに解離する物質のなかでは、TRPチャネルの活性に対する抑制効果を十分に発揮させる観点から、ハロゲン化アルミニウム、無機酸アルミニウム塩および有機酸アルミニウム塩が好ましく、ハロゲン化アルミニウムおよび硫酸アルミニウム複塩がより好ましく、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムおよび硫酸アルミニウムアンモニウムがより一層好ましく、塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウムがさらに好ましく、塩化アルミニウムがさらに一層好ましい。
本発明の活性抑制剤Bでは、アルミニウムイオンに解離する物質は、水系溶媒中に溶解した状態で存在していてもよい。本発明の活性抑制剤Bに用いられる水系溶媒は、前述の活性抑制剤Aに用いられる水系溶媒と同様である。水系溶媒が水である場合、本発明の活性抑制剤BのpHは、アルミニウムイオンに解離する物質の種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、アルミニウムイオンに解離する物質の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。水系溶媒が水であるときの本発明の活性抑制剤BのpHは、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは前記高pHまたは前記低pHである。本発明の活性抑制剤BのpHが高pHである場合、本発明の活性抑制剤BのpHは、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは7.5以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは8.5以上であり、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは14以下、より好ましくは13以下である。本発明の活性抑制剤BのpHが低pHである場合、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、水中で解離した状態でアルミニウムイオンを安定に存在させる観点から、好ましくは6.5以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明の活性抑制剤Bにおけるアルミニウムイオンに解離する物質の濃度は、アルミニウムイオンに解離する物質の種類、適用対象のTRPチャネルの種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、アルミニウムイオンに解離する物質の種類、適用対象のTRPチャネルの種類などに応じて適宜決定することが好ましい。本発明の活性抑制剤B100質量部あたりのアルミニウムイオンに解離する物質の量は、通常、TRPチャネルの活性に対する抑制効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、TRPチャネルの活性に対する抑制効果を十分に発揮させる観点から、100質量部以下である。本発明の活性抑制剤がアルミニウムイオンに解離する物質以外の成分を含有する場合、本発明の活性抑制剤B100質量部あたりのアルミニウムイオンに解離する物質の量の上限値は、本発明の活性抑制剤Bの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましく1質量部以下である。
本発明の活性抑制剤Bは、本発明の目的が妨げられない範囲内で、例えば、pH調整剤、界面活性剤などの他の成分を含有していてもよい。
使用時における本発明の活性抑制剤Bのアルミニウムイオン濃度は、通常、TRPチャネル活性抑制作用を十分に発現させる観点から、好ましくは0.01mM以上、より好ましくは0.1mM以上であり、TRPチャネル活性抑制作用を十分に発現させる観点から、好ましくは10mM以下、より好ましくは5mM以下である。
本発明の活性抑制剤Bは、例えば、アルミニウムイオンに解離する物質と水系溶媒とを混合することによって製造することができる。本発明の活性抑制剤BがpH調整剤、界面活性剤などの他の成分を含有する場合、例えば、当該活性抑制剤Bは、アルミニウムイオンに解離する物質と他の成分とを混合することによって製造することができる。
TRPチャネルとしては、例えば、TRPA1、TRPM8、TRPV1、TRPV3、TRPV4などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのTRPチャネルのなかでは、効果的に活性を抑制することができることから、TRPA1、TRPM8、TRPV1、TRPV3およびTRPV4が好ましい。
TRPA1としては、例えば、ヒトTRPA1(例えば、GenBankアクセッション番号NM_007332など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1の活性としては、例えば、アリルイソチオシアネートなどによる化学刺激、pH10〜12の条件下での高pH刺激、17℃前後の温度での冷刺激、機械刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの輸送能;当該刺激による膜電位の調節能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1が有するカルシウムイオンの輸送能は、例えば、TRPA1発現細胞が有するTRPA1へのTRPA1アゴニストの結合に伴う細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの流入量を測定することによって調べることができる。TRPA1が有する膜電位の調節能は、例えば、TRPA1発現細胞が有するTRPA1へのTRPA1アゴニストの結合に伴う細胞内における電流の増加量などを測定することによって調べることができる。TRPA1アゴニストとしては、例えば、アリルイソチオシアナート、シンナムアルデヒド、アリシンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPA1の活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象としては、例えば、炎症性疼痛、神経因性疼痛などの痛み、過度の刺激感、過度の冷感などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
TRPM8としては、例えば、ヒトTRPM8(例えば、GenBankアクセッション番号NM_024080など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPM8の活性としては、メントールなどによる化学刺激、25〜28℃前後の温度での冷刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの輸送能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPM8が有するカルシウムイオンの輸送能は、例えば、TRPM8発現細胞が有するTRPM8へのTRPM8アゴニストの結合に伴う細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの流入量を測定することによって調べることができる。TRPM8アゴニストとしては、例えば、メントール、イシリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPM8の活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象としては、例えば、過度の冷感などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
TRPV1としては、例えば、ヒトTRPV1(例えば、GenBankアクセッション番号NM_080704など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV1の活性としては、例えば、カプサイシンなどによる化学刺激、pH3〜5.5の条件下での低pH刺激、43℃前後の温度での熱刺激、痛み刺激、機械刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの輸送能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV1が有するカルシウムイオンの輸送能は、例えば、TRPV1発現細胞が有するTRPV1へのTRPV1アゴニストの結合に伴う細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの流入量を測定することによって調べることができる。TRPV1アゴニストとしては、例えば、カプサイシン、カンファー、アリシンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV1の活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象としては、例えば、過度の熱感などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
TRPV3としては、例えば、ヒトTRPV3(例えば、GenBankアクセッション番号:NM_145068など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV3の活性としては、例えば、カンファーなどによる化学刺激、33〜39℃前後の温度での熱刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのカルシウムイオン輸送能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV3が有するカルシウムイオンの輸送能は、例えば、TRPV3発現細胞が有するTRPV3へのTRPV3アゴニストの結合に伴う細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの流入量を測定することによって調べることができる。TRPV3アゴニストとしては、例えば、カンファー、オイゲノール、カルバクロールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV3の活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象としては、例えば、過度の熱感、皮膚の過角化などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
TRPV4としては、例えば、ヒトTRPV4(例えば、GenBankアクセッション番号:NM_021625など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV4の活性としては、例えば、4α−ホルボール−12,13−ジデカノエートなどによる化学刺激、27〜34℃前後の温度での熱刺激、低浸透圧刺激、機械刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのカルシウムイオン輸送能などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV4が有するカルシウムイオンの輸送能は、例えば、TRPV4発現細胞が有するTRPV4へのTRPV4アゴニストの結合に伴う細胞外から細胞内へのカルシウムイオンの流入量を測定することによって調べることができる。TRPV4アゴニストとしては、例えば、4α−ホルボール 12,13−ジデカノエートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。TRPV4の活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象としては、例えば、過度の熱感、痒み感覚などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の活性抑制剤Aおよび活性抑制剤Bが有するTRPチャネル活性抑制作用は、例えば、TRPチャネルを発現する細胞(以下、「TRPチャネル発現細胞」という)の細胞内カルシウムイオン濃度、TRPチャネル発現細胞内における電流などを指標として用いることによって評価することができる。
TRPチャネル発現細胞は、内因性TRPチャネルを発現する細胞であってもよく、外因性TRPチャネルを発現する細胞であってもよい。TRPチャネル発現細胞は、1種類のTRPチャネルを発現する細胞であってもよく、2種類以上のTRPチャネルを発現する細胞であってもよい。外因性TRPチャネルを発現する細胞としては、例えば、外因性TRPチャネルをコードする核酸を宿主細胞に導入することによって得られる細胞などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
TRPチャネル活性抑制作用の評価方法の具体例としては、以下の評価法1、評価法2などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
<評価法1>
(1A)TRPチャネル発現細胞と本発明の活性抑制剤Aまたは活性抑制剤BとTRPチャネルのアゴニストとを接触させ、当該TRPチャネル発現細胞の細胞内カルシウムイオン濃度Aを測定するステップ、
(1B)TRPチャネル発現細胞とTRPチャネルのアゴニストとを接触させ、当該TRPチャネル発現細胞の細胞内カルシウムイオン濃度Bを測定するステップ、および
(1C)細胞内カルシウムイオン濃度Aと細胞内カルシウムイオン濃度Bとを比較するステップを含む方法。
<評価法2>
(2A)TRPチャネル発現細胞と本発明の活性抑制剤Aまたは活性抑制剤BとTRPチャネルのアゴニストとを接触させ、当該TRPチャネル発現細胞内における電流Aを測定するステップ、
(2B)TRPチャネル発現細胞とTRPチャネルのアゴニストとを接触させ、当該TRPチャネル発現細胞内における電流Bを測定するステップ、および
(2C)電流Aと電流Bとを比較するステップ
を含む方法。
評価法1における細胞内カルシウムイオン濃度Aおよび細胞内カルシウムイオン濃度Bの測定方法としては、例えば、カルシウムイオンに結合するカルシウム指示薬を用いる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。カルシウム指示薬を用いる方法では、TRPチャネル発現細胞に導入して当該TRPチャネル発現細胞内のカルシウムイオンにカルシウム指示薬を結合させ、カルシウムイオンと結合したカルシウム指示薬の量を調べることによって細胞内カルシウムイオン濃度を測定することができる。カルシウム指示薬は、カルシウムイオンと結合したカルシウム指示薬の量を簡便な操作で測定することができることから、カルシウムイオンとの結合前後の変化を光学的特性の変化などによって検出することができる試薬であることが好ましい。光学的特性の変化としては、例えば、蛍光強度の変化、吸光度の変化などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものでない。カルシウム指示薬としては、例えば、カルシウムイオンとの結合前後に蛍光強度が変化する蛍光カルシウム指示薬などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。カルシウム指示薬の具体例としては、1−[6−アミノ−2−(5−カルボキシ−2−オキサゾリル)−5−ベンゾフラニルオキシ]−2−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸ペンタアセトキシメチルエステル(Fura 2−AM)、1−[2−アミノ−5−(2,7−ジクロロ−6−ヒドロキシ−3−オキソ−9−キサンテニル)フェノキシ]−2−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸テトラアセトキシメチルエステル(Fluo 3−AM)、1−[2−アミノ−5−(2,7−ジフルオロ−6−アセトキシメトキシ−3−オキソ−9−キサンテニル)フェノキシ]−2−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸テトラアセトキシメチルエステル(Fluo 4−AM)などの蛍光カルシウム指示薬などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
評価法1では、細胞内カルシウムイオン濃度Bと比べて細胞内カルシウムイオン濃度Aが低い場合、本発明の活性抑制剤Aまたは活性抑制剤Bは、TRPチャネル活性抑制作用を有すると評価することができる。また、細胞内カルシウムイオン濃度Aと細胞内カルシウムイオン濃度Bとの間の差が大きいほど、本発明の活性抑制剤Aまたは活性抑制剤Bは、高いTRPチャネル活性抑制作用を有すると評価することができる。
評価法2における電流Aおよび電流Bの測定方法としては、例えば、パッチクランプ法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
評価法2では、電流Bの絶対値と比べて電流Aの絶対値が小さい場合、本発明の活性抑制剤Aまたは活性抑制剤Bは、TRPチャネル活性抑制作用を有すると評価することができる。また、電流Aの絶対値と電流Bの絶対値との間の差が大きいほど、本発明の活性抑制剤Aまたは活性抑制剤Bは、高いTRPチャネル活性抑制作用を有すると評価することができる。
以上説明したように、本発明のTRPチャネル活性抑制剤は、不快な感覚または生理学的事象の発現に関与するTRPチャネルの活性を抑制することができる。したがって、本発明のTRPチャネル活性抑制剤は、TRPチャネルの活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象の発現を抑制する用途、例えば、TRPA1の活性化に起因する刺激を抑制する用途に用いられる刺激抑制剤、TRPM8の活性化に起因する冷感を調整する用途に用いられる冷感調整剤、TRPV1の活性化に起因する痛みを抑制する用途に用いられる痛み抑制剤、TRPV3の活性化に起因する皮膚細胞の過角化を抑制する用途に用いられる皮膚細胞の過角化抑制剤、TRPV4の活性化に起因する痒みを抑制する用途に用いられる痒み抑制剤などに好適に用いることができる。
2.TRPチャネルの活性抑制方法
本発明のTRPチャネルの活性抑制方法(以下、「活性抑制方法」という)は、TRPチャネルの活性を抑制する活性抑制方法であって、アルミニウムイオンとTRPチャネルとを接触させることを特徴とするTRPチャネルの活性抑制方法である。なお、医療行為は、本発明の活性抑制方法の概念から除かれていてもよく、除かれていなくてもよい。本明細書において、医療行為は、医師および医師の指示を受けた者がヒトに対して治療を実施する行為をいう。本発明の活性抑制方法によれば、アルミニウムイオンとTRPチャネルとを接触させるので、TRPチャネルの活性を効果的に抑制することができる。
アルミニウムイオンとTRPチャネルとの接触は、TRPチャネルを含む部位にアルミニウムイオンを供給することによって行なうことができる。TRPチャネルを含む部位としては、例えば、皮膚表皮、気道上皮、末梢神経、眼粘膜などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
アルミニウムイオンとTRPチャネルとの接触の際には、アルミニウムイオンと、アルミニウムイオンを安定に維持する成分などとを併用することができる。アルミニウムイオンを安定に維持する成分としては、例えば、水系溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、アルミニウムイオンとTRPチャネルとの接触の際には、本発明の活性抑制剤を用いてもよい。
アルミニウムイオンは、通常、液体に含まれる状態でTRPチャネルと接触させる。TRPチャネルに接触させる液体に含まれるアルミニウムイオンの量は、本発明の活性抑制方法の用途、適用対象のTRPチャネルの種類、適用対象のTRPチャネルを含む部位の種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、本発明の活性抑制方法の用途、適用対象のTRPチャネルの種類、適用対象のTRPチャネルを含む部位の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。TRPチャネルと接触させる液体におけるアルミニウムイオンの量は、例えば、本発明の活性抑制方法の適用対象が末梢神経に含まれるTRPチャネルである場合、通常、TRPチャネル活性抑制作用を十分に発現させる観点から、好ましくは0.01mM以上、より好ましくは0.1mM以上であり、他の組織への作用を低減させる観点から、好ましくは10mM以下、より好ましくは5mM以下である。
アルミニウムイオンとTRPチャネルとの接触時間は、本発明の活性抑制方法の用途、適用対象のTRPチャネルの種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、本発明の活性抑制方法の用途、適用対象のTRPチャネルの種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
本発明の活性抑制方法によるTRPチャネル活性抑制効果は、前記活性抑制剤によるTRPチャネル活性抑制作用の評価と同様の手法によって評価することができる。
本発明の活性抑制方法によれば、痛み、過度の刺激感、過度の冷感、過度の熱感、痒みなどの不快な感覚の発現などとの関連性があるTRPチャネルの活性を効果的に抑制することができる。したがって、例えば、TRPチャネルの活性化に起因する不快な感覚を与える可能性がある成分を含む外用剤を使用するときに、アルミニウムイオンと当該外用剤とを併用して本発明の活性抑制方法を行なうことにより、TRPチャネルの活性を抑制し、TRPチャネルの活性化に起因する不快な感覚の発現を抑制することができる。
以上説明したように、本発明の活性抑制方法によれば、アルミニウムイオンとTRPチャネルとを接触させるので、TRPチャネルの活性を効果的に抑制することができる。したがって、本発明の活性抑制剤は、TRPチャネルの活性化に起因する不快な感覚または不快な生理学的事象の発現を抑制する用途、例えば、TRPA1の活性化に起因する刺激を抑制する用途、TRPM8の活性化に起因する冷感を調整する用途、TRPV1の活性化に起因する痛みを抑制する用途、TRPV3の活性化に起因する皮膚細胞の過角化を抑制する用途、TRPV4の活性化に起因する痒みを抑制する用途などに用いられることが期待される。
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。以下において、各略語の意味は、以下のとおりである。
<略語の説明>
DMEM:ダルベッコ改変イーグル培地
FBS:ウシ胎児血清
NMDG−Cl:N−メチル−D−グルカミン塩化物
BAPTA:1,2−ビス(o−アミノフェノキシド)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸
HEPES:2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸
AITC:アリルイソチオシアネート
4αPDD:4α−ホルボール−12,13−ジデカノエート
蛍光強度340nm:励起波長340nmにおける蛍光強度
蛍光強度380nm:励起波長380nmにおける蛍光強度
調製例1
(1)TRPV1発現細胞の調製
ヒトTRPV1 cDNA(GenBankアクセッション番号:NM_080704に示される塩基配列の276〜2795位に対応するcDNA)を、哺乳動物細胞用ベクター〔インビトロジェン社製、商品名:pcDNA3.1(+)〕のクローニングサイトに挿入し、ヒトTRPV1発現ベクターを得た。得られたヒトTRPV1発現ベクター1μgと、遺伝子導入用試薬〔インビトロジェン社製、商品名:PLUS Reagent(プラスリージェント)、カタログ番号:11514−015〕6μLとを混合し、混合物Iを得た。また、遺伝子導入用カチオン性脂質〔インビトロジェン社製、商品名:リポフェクタミン(登録商標)、カタログ番号:18324−012〕4μLと、血清使用量低減培地〔インビトロジェン社製、商品名:OPTI−MEM(登録商標)I Reduced−Serum Medium(カタログ番号:11058021)〕200μLとを混合し、混合物IIを得た。
5体積%二酸化炭素雰囲気中、37℃に維持された直径35mmのシャーレ上の10質量%FBS含有DMEM中において、5×10個のHEK293細胞を70%のコンフルエンシーになるまで培養した。得られた細胞培養物に、前記混合物Iと混合物IIとを添加することにより、HEK293細胞にヒトTRPV1発現ベクターを導入し、TRPV1発現細胞を得た。
(2)TRPA1発現細胞の調製
調製例1(1)において、ヒトTRPV1 cDNAを用いる代わりにヒトTRPA1 cDNA〔GenBankアクセッション番号:NM_007332に示される塩基配列の63〜3888位に対応するcDNA〕を用いたことを除き、調製例1(1)と同様の操作を行ない、TRPA1発現細胞を得た。
(3)TRPM8発現細胞の調製
調製例1(1)において、ヒトTRPV1 cDNAを用いる代わりにヒトTRPM8 cDNA〔GenBankアクセッション番号:NM_024080に示される塩基配列の41〜3355位に対応するcDNA〕を用いたことを除き、調製例1(1)と同様の操作を行ない、TRPM8発現細胞を得た。
(4)TRPV3発現細胞の調製
調製例1(1)において、ヒトTRPV1 cDNAを用いる代わりにヒトTRPV3 cDNA〔GenBankアクセッション番号:NM_145068に示される塩基配列の323〜2695位に対応するcDNA〕を用いたことを除き、調製例1(1)と同様の操作を行ない、TRPV3発現細胞を得た。
(5)TRPV4発現細胞の調製
調製例1(1)において、ヒトTRPV1 cDNAを用いる代わりにヒトTRPV4 cDNA〔GenBankアクセッション番号:NM_021625に示される塩基配列の90〜2705位に対応するcDNA〕を用いたことを除き、調製例1(1)と同様の操作を行ない、TRPV4発現細胞を得た。
実施例1
塩化アルミニウムをその濃度が5mMとなるように溶媒A〔組成:140mM NMDG−Cl、1mM塩化マグネシウム、5mM BAPTAおよび10mM HEPES緩衝液〕に添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:5mM)。
比較例1
溶媒Aに塩酸を添加することにより、溶媒AのpHを5に調整して低pH刺激用試料を得た。
試験例1
調製例1(1)で得られたTRPV1発現細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、TRPV1発現細胞を洗浄した。つぎに、洗浄後のTRPV1発現細胞を溶媒Aが入った循環定温チャンバーに入れた。循環定温チャンバー中のTRPV1発現細胞に電極の先端を接触させ、電流記録ソフトウェア〔モルキュラーデバイス社製、商品名:pCLAMP10〕と電流記録装置〔モルキュラーデバイス社製、商品名:Axopatch 200B Amplifier〕とを用い、電圧を−60mVに固定したときのTRPV1発現細胞内の電流を経時的に測定した。測定開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例1で得られた低pH刺激用試料を循環させた。低pH刺激用試料の循環開始時から50秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、実施例1で得られた被験試料を循環させた。実施例1で得られた被験試料の循環開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例1で得られた低pH刺激用試料を30秒間循環させた。その後、電流変化の測定を終了した。
試験例1において、TRPV1発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を図1に示す。図中、「pH5」は低pH刺激の継続期間、「被験試料」は被験試料の循環期間を示す。
図1に示された結果から、TRPV1発現細胞内の電流の絶対値は、低pH刺激によって増加するが、被験試料の添加によって減少することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、低pH刺激によって活性化されたTRPV1の活性を抑制する作用を有することがわかる。
実施例2
塩化アルミニウムおよびカプサイシンを塩化アルミニウムの濃度が5mMおよびカプサイシンの濃度が100nMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:5mM)。
比較例2
カプサイシンをその濃度が100nMとなるように溶媒Aに添加してアゴニスト含有試料を得た。
試験例2
試験例1において、実施例1で得られた被験試料を用いる代わりに実施例2で得られた被験試料を用いたことおよび比較例1で得られた低pH刺激用試料を用いる代わりに比較例2で得られたアゴニスト含有試料を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、TRPV1発現細胞内の電流を経時的に測定した。
試験例2において、TRPV1発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を図2に示す。図中、「CAP」はカプサイシンによる刺激の継続期間、「被験試料」は被験試料の循環期間を示す。
図2に示された結果から、TRPV1発現細胞内の電流の絶対値は、アゴニスト含有試料に含まれるカプサイシンによる刺激によって増加するが、被験試料の添加によって減少することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、カプサイシンによる刺激によって活性化されたTRPV1の活性を抑制する作用を有することがわかる。
なお、実施例2において、塩化アルミニウムを用いる代わりにリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの無機酸アルミニウム塩;酢酸アルミニウムなどのアルミニウムイオンに解離する他の物質を用いたときも、塩化アルミニウムを用いたときと同様の傾向が見られる。これらの結果から、アルミニウムイオンは、TRPV1の活性を抑制する作用を有することがわかる。
試験例3
(1)試料の調製
硫酸アルミニウムカリウムおよびカプサイシンを硫酸アルミニウムカリウムの濃度が1μM〔アルミニウムイオン濃度:1μM(実験番号1)〕、10μM〔アルミニウムイオン濃度:10μM(実験番号2)〕、100μM〔アルミニウムイオン濃度:100μM(実験番号3)〕、200μM〔アルミニウムイオン濃度:200μM(実験番号4)〕、500μM〔アルミニウムイオン濃度:500μM(実験番号5)〕、1000μM〔アルミニウムイオン濃度:1000μM(実験番号6)〕、5000μM(〔アルミニウムイオン濃度:5000μM(実験番号7)〕または10000μM〔アルミニウムイオン濃度:10000μM(実験番号8)〕およびカプサイシンの濃度が100nMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。
(2)蛍光強度比アゴニストの算出
調製例1(1)で得られたTRPV1発現細胞を、蛍光カルシウムイオン指示薬であるFURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%FBS含有DMEM中、室温で60分間インキュベーションすることにより、TRPV1発現細胞にFURA 2−AMを導入し、指示薬導入細胞を得た。指示薬導入細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置〔浜松ホトニクス(株)製、商品名:ARGUS−50〕の循環定温チャンバーに入れた後、溶媒Aで洗浄した。つぎに、循環定温チャンバーに比較例2で得られたアゴニスト含有試料を入れた。その後、アゴニスト存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度A)とアゴニスト存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度B)とを測定した。
また、前記において、比較例2で得られたアゴニスト含有試料を用いる代わりに対照(溶媒A)を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、対照存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度C)と対照存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度D)とを測定した。
蛍光強度A〜Dを用い、式(I):
[Δ蛍光強度比アゴニスト
=[蛍光強度A/蛍光強度B]−[蛍光強度C/蛍光強度D] (I)
にしたがい、Δ蛍光強度比アゴニストを算出した。
また、比較例2で得られたアゴニスト含有試料を用いる代わりに実験番号1〜8の各被験試料を用いたことを除き、比較例2で得られたアゴニスト含有試料を用いたときと同様の操作を行ない、アルミニウムイオンおよびアゴニストの存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度E)とアルミニウムイオンおよびアゴニストの存在下での蛍光強度380nmにおける(蛍光強度F)とを測定した。
蛍光強度C〜Fを用い、式(II):
[Δ蛍光強度比活性抑制剤
=[蛍光強度E/蛍光強度F]−[蛍光強度C/蛍光強度D] (II)
にしたがい、Δ蛍光強度比活性抑制剤を算出した。
算出されたΔ蛍光強度比アゴニストとΔ蛍光強度比活性抑制剤とを用い、式(III):
[TRPV1活性]
=[Δ蛍光強度比活性抑制剤/Δ蛍光強度比アゴニスト] (III)
にしたがい、TRPV1活性を算出した。
試験例3において、硫酸アルミニウムカリウム濃度とTRPV1活性との関係を調べた結果を図3に示す。
図3に示された結果を用い、TRPV1活性に対する硫酸アルミニウムカリウムの50%阻害濃度を算出した。その結果、TRPV1活性に対する硫酸アルミニウムカリウムの50%阻害濃度は、246μMであることがわかった。以上の結果から、TRPV1活性に対するアルミニウムイオンの50%阻害濃度は、246μMであることがわかった。
実施例3
塩化アルミニウムおよびAITCを塩化アルミニウムの濃度が5mMおよびAITCの濃度が20μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:5mM)。
比較例3
AITCをその濃度が20μMとなるように溶媒Aに添加してアゴニスト含有試料を得た。
試験例4
調製例1(2)で得られたTRPA1発現細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、TRPA1発現細胞を洗浄した。洗浄後のTRPA1発現細胞を溶媒Aが入った循環定温チャンバーに入れた。循環定温チャンバー中のTRPA1発現細胞に電極の先端を接触させ、電流記録ソフトウェアと電流記録装置とを用い、電圧を−60mVに固定したときのTRPA1発現細胞内の電流を経時的に測定した。測定開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例3で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例3で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から50秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、実施例3で得られた被験試料を循環させた。実施例3で得られた被験試料の循環開始時から25秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例3で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例3で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から50秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、溶媒Aを循環させ、電流変化の測定を終了した。
試験例4において、TRPA1発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を図4に示す。図中、「AITC」はAITCによる刺激の継続期間、「被験試料」は被験試料の循環期間を示す。
図4に示された結果から、TRPA1発現細胞内の電流の絶対値は、アゴニスト含有試料に含まれるAITCによる刺激によって増加するが、被験試料の添加によって減少することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、AITCによる刺激によって活性化されたTRPA1の活性を抑制する作用を有することがわかる。
なお、実施例3において、塩化アルミニウムを用いる代わりにリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの無機酸アルミニウム塩;酢酸アルミニウムなどのアルミニウムイオンに解離する他の物質を用いたときも、塩化アルミニウムを用いたときと同様の傾向が見られる。これらの結果から、アルミニウムイオンは、TRPA1の活性を抑制する作用を有することがわかる。
実施例4
塩化アルミニウムおよびAITCを塩化アルミニウムの濃度が500μMおよびAITCの濃度が20μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:500μM)。
実施例5
塩化アルミニウムおよびAITCを塩化アルミニウムの濃度が50μMおよびAITCの濃度が20μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:50μM)。
試験例5
調製例1(2)で得られたTRPA1発現細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、TRPA1発現細胞を洗浄した。つぎに、洗浄後のTRPA1発現細胞を溶媒Aが入った循環定温チャンバーに入れた。循環定温チャンバー中のTRPA1発現細胞に電極の先端を接触させ、電流記録ソフトウェアと電流記録装置とを用い、電圧を−60mVに固定したときのTRPA1発現細胞内の電流を経時的に測定した。測定開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例3で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例3で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から50秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、実施例5で得られた被験試料を30秒間、実施例4で得られた被験試料を30秒間、実施例3で得られた被験試料を30秒間循環させた。その後、循環定温チャンバー内において、比較例3で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例3で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、溶媒Aを循環させ、電流変化の測定を終了した。式(IV):
[抑制率]
=[(アゴニスト含有試料の循環前後の電流の変化量)−(被験試料の循環前後の電流の変化量)]/[アゴニスト含有試料の循環前後の電流の変化量] (IV)
にしたがい、抑制率を算出した。
試験例5において、塩化アルミニウム濃度と抑制率との関係を調べた結果を図5に示す。
図5に示された結果から、塩化アルミニウムは、濃度依存的にTRPA1の活性を抑制することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、濃度依存的にTRPA1の活性を抑制することがわかる。
実施例6
塩化アルミニウムおよびメントールを塩化アルミニウムの濃度が5mMおよびメントールの濃度が1mMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:5mM)。
比較例4
メントールをその濃度が1mMとなるように溶媒Aに添加してアゴニスト含有試料を得た。
試験例6
調製例1(3)で得られたTRPM8発現細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、TRPM8発現細胞を洗浄した。つぎに、洗浄後のTRPM8発現細胞を溶媒Aが入った循環定温チャンバーに入れた。循環定温チャンバー中のTRPM8発現細胞に電極の先端を接触させ、電流記録ソフトウェアと電流記録装置とを用い、電圧を−60mVに固定したときのTRPM8発現細胞内の電流を経時的に測定した。測定開始時から20秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例1で得られた低pH刺激用試料を循環させた。低pH刺激用試料の循環開始時から15秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例4で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例4で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、実施例6で得られた被験試料を循環させた。実施例6で得られた被験試料の循環開始時から30秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例4で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例4で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から50秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例1で得られた低pH刺激用試料を循環させた。低pH刺激用試料の循環開始時から60秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、溶媒Aを循環させ、電流変化の測定を終了した。
試験例6において、TRPM8発現細胞内の電流の経時的変化を調べた結果を図6に示す。図中、「メントール」はメントールによる刺激の継続期間、「pH5」は低pH刺激の継続期間、「被験試料」は被験試料の循環期間を示す。
図6に示された結果から、TRPM8発現細胞内の電流の絶対値は、アゴニスト含有試料に含まれるメントールによる刺激によって増加するが、低pH刺激によって減少し、被験試料の添加によってさらに減少することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、メントールによる刺激によって活性化されたTRPM8の活性を抑制する作用を有することがわかる。
なお、実施例6において、塩化アルミニウムを用いる代わりにリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの無機酸アルミニウム塩;酢酸アルミニウムなどのアルミニウムイオンに解離する他の物質を用いたときも、塩化アルミニウムを用いたときと同様の傾向が見られる。これらの結果から、アルミニウムイオンは、TRPM8の活性を抑制する作用を有することがわかる。
実施例7
塩化アルミニウムおよびカンファーを塩化アルミニウムの濃度が5mMおよびカンファーの濃度が1mMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:5mM)。
比較例5
カンファーをその濃度が1mMとなるように溶媒Aに添加してアゴニスト含有試料を得た。
試験例7
調製例1(4)で得られたTRPV3発現細胞を、蛍光カルシウムイオン指示薬であるFURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%FBS含有DMEM中、室温で60分間インキュベーションすることにより、TRPV3発現細胞にFURA 2−AMを導入し、指示薬導入細胞を得た。指示薬導入細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、指示薬導入細胞を洗浄した。洗浄後の指示薬導入細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置〔浜松ホトニクス(株)製、商品名:ARGUS−50〕の循環定温チャンバーに入れた後、対照(溶媒A)を循環させるとともに、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmの測定を開始した。対照(溶媒A)の循環開始時から50秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、比較例5で得られたアゴニスト含有試料を循環させた。比較例5で得られたアゴニスト含有試料の循環開始時から100秒間経過後に、循環定温チャンバー内において、実施例7で得られた被験試料を100秒間循環させた。
蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを用い、式(V):
[蛍光強度比]
=[蛍光強度340nm/蛍光強度380nm] (V)
にしたがい、蛍光強度比を算出した。
試験例7において、蛍光強度比の経時的変化を調べた結果を図7に示す。図中、「カンファー」はカンファーによる刺激の継続期間、「被験試料」は被験試料の循環期間を示す。
図7に示された結果から、蛍光強度比は、アゴニスト含有試料に含まれるカンファーによる刺激の開始によって増加するが、被験試料の添加によって減少することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、カンファーによる刺激によって活性化されたTRPV3の活性を抑制する作用を有することがわかる。
なお、実施例7において、塩化アルミニウムを用いる代わりにリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの無機酸アルミニウム塩;酢酸アルミニウムなどのアルミニウムイオンに解離する他の物質を用いたときも、塩化アルミニウムを用いたときと同様の傾向が見られる。これらの結果から、アルミニウムイオンは、TRPV3の活性を抑制する作用を有することがわかる。
実施例8
塩化アルミニウムおよび4αPDDを塩化アルミニウムの濃度が5mMおよび4αPDDの濃度が10μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを5に調整して被験試料を得た。得られた被験試料中にはアルミニウムイオンが解離した状態で存在していた(アルミニウムイオン濃度:5mM)。
比較例6
4αPDDをその濃度が10μMとなるように溶媒Aに添加してアゴニスト含有試料を得た。
試験例8
試験例7において、調製例1(4)で得られたTRPV3発現細胞を用いる代わりに調製例1(5)で得られたTRPV4発現細胞を用いたこと、比較例5で得られたアゴニスト含有試料を用いる代わりに比較例6で得られたアゴニスト含有試料を用いたことおよび実施例7で得られた被験試料を用いる代わりに実施例8で得られた被験試料を用いたことを除き、試験例7と同様の操作を行ない、蛍光強度比の経時的変化を調べた。
試験例8において、蛍光強度比の経時的変化を調べた結果を図8に示す。図中、「4αPDD」は4αPDDによる刺激の継続期間、「被験試料」は被験試料の循環期間を示す。
図8に示された結果から、蛍光強度比は、アゴニスト含有試料に含まれる4αPDDによる刺激の開始によって増加するが、被験試料の添加によって減少することがわかる。これらの結果から、塩化アルミニウムから解離したアルミニウムイオンは、4αPDDによる刺激によって活性化されたTRPV4の活性を抑制する作用を有することがわかる。
なお、実施例8において、塩化アルミニウムを用いる代わりにリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの無機酸アルミニウム塩;酢酸アルミニウムなどのアルミニウムイオンに解離する他の物質を用いたときも、塩化アルミニウムを用いたときと同様の傾向が見られる。これらの結果から、アルミニウムイオンは、TRPV4の活性を抑制する作用を有することがわかる。
比較例7
水酸化アルミニウムゲル(水酸化アルミニウムの含有率1.3質量%)およびカプサイシンを水酸化アルミニウムゲルの濃度が5質量%(20倍希釈)およびカプサイシンの濃度が1μMとなるように溶媒Aに添加して被験試料を得た。
比較例8
カプサイシンをその濃度が1μMとなるように溶媒Aに添加して被験試料を得た。
試験例9
調製例1(1)で得られたTRPV1発現細胞を、蛍光カルシウムイオン指示薬であるFURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%FBS含有DMEM中、室温で60分間インキュベーションすることにより、TRPV1発現細胞にFURA 2−AMを導入し、指示薬導入細胞を得た。指示薬導入細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、指示薬導入細胞を洗浄した。洗浄後の指示薬導入細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置の循環定温チャンバーに入れた。その後、溶媒Aを循環させるとともに、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmの測定を開始した。溶媒Aの循環開始時から50秒間経過時(対照の循環終了時)に対照存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度G)および対照存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度H)を取得した。循環定温チャンバー内において、比較例7で得られた被験試料を50秒間循環させ、当該被験試料の循環終了時に水酸化アルミニウムゲルおよびアゴニスト存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度I)および水酸化アルミニウムゲルおよびアゴニスト存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度J)を取得した。つぎに、循環定温チャンバー内において、対照(溶媒A)を100秒間循環させた。その後、循環定温チャンバー内において、比較例8で得られた被験試料を50秒間循環させ、当該被験試料の循環終了時にアゴニスト存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度K)およびアゴニスト存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度L)を取得した。
蛍光強度G,H、IおよびJを用い、式(VI):
[Δ蛍光強度比水酸化アルミニウムゲル
=[蛍光強度I/蛍光強度J]−[蛍光強度G/蛍光強度H] (VI)
にしたがい、Δ蛍光強度比水酸化アルミニウムゲルを算出した。
蛍光強度G、H、KおよびJを用い、式(VII):
[Δ蛍光強度比アゴニスト
=[蛍光強度K/蛍光強度L]−[蛍光強度G/蛍光強度H] (VII)
にしたがい、Δ蛍光強度比アゴニストを算出した。
算出されたΔ蛍光強度比水酸化アルミニウムゲルとΔ蛍光強度比アゴニストとを用い、式(VIII):
[TRPV1活性またはTRPA1活性]
=[Δ蛍光強度比水酸化アルミニウムゲル/Δ蛍光強度比アゴニスト] (VIII)
にしたがい、TRPV1活性を算出した。
試験例9において、試料の種類とTRPV1活性との関係を調べた結果を図9に示す。図中、レーン1は比較例7で得られた被験試料を用いたときのTRPV1活性、レーン2は比較例8で得られた被験試料を用いたときのTRPV1活性を示す。
図9に示された結果から、水酸化アルミニウムゲルとアゴニストとを含む被験試料(比較例7)を用いたときのTRPV1活性は、アゴニストを含む被験試料(比較例8)を用いたときのTRPV1活性と比べて高いことがわかる。これらの結果から、水酸化アルミニウムゲルは、TRPV1活性抑制作用を有しておらず、TRPV1活性促進作用を有していることがわかる。
比較例9
水酸化アルミニウムゲル(水酸化アルミニウムの含有率1.3質量%)およびAITCを水酸化アルミニウムゲルの濃度が5質量%(20倍希釈)およびAITCの濃度が20μMとなるように溶媒Aに添加して被験試料を得た。
比較例10
AITCをその濃度が20μMとなるように溶媒Aに添加して被験試料を得た。
試験例10
試験例9において、調製例1(1)で得られたTRPV1発現細胞を用いる代わりに調製例1(2)で得られたTRPA1発現細胞を用いたこと、比較例7で得られた被験試料を用いる代わりに比較例9で得られた被験試料を用いたことおよび比較例8で得られた被験試料を用いる代わりに比較例10で得られた被験試料を用いたことを除き、試験例9と同様の操作を行ない、TRPA1活性を算出した。
試験例10において、試料の種類とTRPA1活性との関係を調べた結果を図10に示す。図中、レーン1は比較例9で得られた被験試料を用いたときのTRPA1活性、レーン2は比較例10で得られた被験試料を用いたときのTRPA1活性を示す。
図10に示された結果から、水酸化アルミニウムゲルとアゴニストとを含む被験試料(比較例9)を用いたときのTRPA1活性は、アゴニストを含む被験試料(比較例10)を用いたときのTRPA1活性と比べて高いことがわかる。これらの結果から、水酸化アルミニウムゲルは、TRPA1活性抑制作用を有しておらず、TRPA1活性促進作用を有していることがわかる。
調製例2
(1)被験試料Aの調製
硫酸アルミニウムカリウムをその濃度が1μM〔アルミニウムイオン濃度:1μM(実験番号9)〕、10μM〔アルミニウムイオン濃度:10μM(実験番号10)〕、100μM〔アルミニウムイオン濃度:100μM(実験番号11)〕、200μM〔アルミニウムイオン濃度:200μM(実験番号12)〕、500μM〔アルミニウムイオン濃度:500μM(実験番号13)〕、1000μM〔アルミニウムイオン濃度:1000μM(実験番号14)〕、5000μM(〔アルミニウムイオン濃度:5000μM(実験番号15)〕または10000μM〔アルミニウムイオン濃度:10000μM(実験番号16)〕となるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを4に調整して被験試料Aを得た。
(2)被験試料Bの調製
硫酸アルミニウムカリウムおよびAITCを硫酸アルミニウムカリウムの濃度が1μM〔アルミニウムイオン濃度:1μM(実験番号9)〕、10μM〔アルミニウムイオン濃度:10μM(実験番号10)〕、100μM〔アルミニウムイオン濃度:100μM(実験番号11)〕、200μM〔アルミニウムイオン濃度:200μM(実験番号12)〕、500μM〔アルミニウムイオン濃度:500μM(実験番号13)〕、1000μM〔アルミニウムイオン濃度:1000μM(実験番号14)〕、5000μM(〔アルミニウムイオン濃度:5000μM(実験番号15)〕または10000μM〔アルミニウムイオン濃度:10000μM(実験番号16)〕およびAITCの濃度が5μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを4に調整して被験試料Bを得た。
調製例3
AITCをその濃度が5μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸を添加することにより、当該混合物のpHを4に調整してアゴニスト含有試料を得た。
試験例11
調製例1(2)で得られたTRPA1発現細胞を、FURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%FBS含有DMEM中、室温で60分間インキュベーションすることにより、TRPA1発現細胞にFURA 2−AMを導入し、指示薬導入細胞を得た。指示薬導入細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、指示薬導入細胞を洗浄した。洗浄後の指示薬導入細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置の循環定温チャンバーに入れた。その後、循環定温チャンバー内において、溶媒Aを循環させるとともに、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmの測定を開始した。
溶媒Aの循環開始時から50秒間経過時(対照の循環終了時)に対照存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度M)および対照存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度N)を取得した。その後、循環定温チャンバー内において、実験番号9の被験試料Aを50秒間循環させた。つぎに、循環定温チャンバー内において、実験番号9の被験試料Bを100秒間循環させ、当該被験試料Bの循環終了時にアルミニウムイオンおよびアゴニスト(AITC)存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度O)およびアルミニウムイオンおよびアゴニスト(AITC)存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度P)を取得した。つぎに、循環定温チャンバー内において、対照(溶媒A)を100秒間循環させた。その後、循環定温チャンバー内において、調製例3で得られたアゴニスト含有試料を100秒間循環させ、当該アゴニスト含有試料の循環終了時にアゴニスト存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度Q)およびアゴニスト存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度R)を取得した。
蛍光強度M、N、OおよびPを用い、式(IX):
[Δ蛍光強度比活性抑制剤
=[蛍光強度O/蛍光強度P]−[蛍光強度M/蛍光強度N]
(IX)
にしたがい、Δ蛍光強度比活性抑制剤を算出した。
蛍光強度M、N、QおよびRを用い、式(X):
[Δ蛍光強度比アゴニスト
=[蛍光強度Q/蛍光強度R]−[蛍光強度M/蛍光強度N]
(X)
にしたがい、Δ蛍光強度比アゴニストを算出した。
算出されたΔ蛍光強度比活性抑制剤とΔ蛍光強度比アゴニストとを用い、式(XI):
[抑制率]
=[Δ蛍光強度比アゴニスト−Δ蛍光強度比活性抑制剤]/[Δ蛍光強度比アゴニスト
(XI)
にしたがい、TRPA1活性の抑制率を算出した。
また、前記において、実験番号9の被験試料Aおよび被験試料Bを用いる代わりに実験番号10〜16の被験試料Aおよび被験試料Bを用いたことを除き、実験番号9の被験試料Aおよび被験試料Bを用いたときと同様の操作を行ない、TRPA1活性の抑制率を算出した。
試験例11において、硫酸アルミニウムカリウム濃度とTRPA1活性の抑制率との関係を調べた結果を図11に示す。
図11に示された結果を用い、TRPA1活性に対する硫酸アルミニウムカリウムの50%阻害濃度を算出した。その結果、TRPA1活性に対する硫酸アルミニウムカリウムの50%阻害濃度は、103μMであることがわかった。以上の結果から、TRPA1活性に対するアルミニウムイオンの50%阻害濃度は、103μMであることがわかった。
調製例4
(1)被験試料Cの調製
硫酸アルミニウムカリウムをその濃度が1000μM〔アルミニウムイオン濃度:1000μM〕となるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸または水酸化ナトリウムを添加することにより、当該混合物のpHを4、6(実験番号17)、6(実験番号18)または7.4(実験番号19)に調整して被験試料Cを得た。
(2)被験試料Dの調製
硫酸アルミニウムカリウムとカプサイシンを硫酸アルミニウムカリウムの濃度が1000μM〔アルミニウムイオン濃度:1000μM〕およびカプサイシンの濃度が100nMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸または水酸化ナトリウムを添加することにより、当該混合物のpHを4、6(実験番号17)、6(実験番号18)または7.4(実験番号19)に調整して被験試料Cを得た。
(3)被験試料Eの調製
硫酸アルミニウムカリウムとAITCを硫酸アルミニウムカリウムの濃度が1000μM〔アルミニウムイオン濃度:1000μM〕およびAITCの濃度が5μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸または水酸化ナトリウムを添加することにより、当該混合物のpHを4、6(実験番号17)、6(実験番号18)または7.4(実験番号19)に調整して被験試料Dを得た。
調製例5
カプサイシンをその濃度が100nMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸または水酸化ナトリウムを添加することにより、当該混合物のpHを4、6(実験番号17)、6(実験番号18)または7.4(実験番号19)に調整してアゴニスト含有試料を得た。
調製例6
AITCをその濃度が5μMとなるように溶媒Aに添加して混合物を得た。得られた混合物に塩酸または水酸化ナトリウムを添加することにより、当該混合物のpHを4、6(実験番号17)、6(実験番号18)または7.4(実験番号19)に調整してアゴニスト含有試料を得た。
試験例12
(1)TRPV1活性の抑制率の算出
調製例1(1)で得られたTRPV1発現細胞を、FURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%FBS含有DMEM中、室温で60分間インキュベーションすることにより、TRPV1発現細胞にFURA 2−AMを導入し、指示薬導入細胞を得た。指示薬導入細胞を溶媒A中、37℃で2分間振盪させながらインキュベーションすることにより、指示薬導入細胞を洗浄した。洗浄後の指示薬導入細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置の循環定温チャンバーに入れた後、溶媒Aを循環させるとともに、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmの測定を開始した。
溶媒Aの循環開始時から50秒間経過時(対照の循環終了時)に対照存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度M)および対照存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度N)を取得した。その後、循環定温チャンバー内において、実験番号17の被験試料Cを50秒間循環させた。つぎに、循環定温チャンバー内において、実験番号17の被験試料Dを100秒間循環させ、当該被験試料Dの循環終了時にアルミニウムイオンおよびアゴニスト(カプサイシン)存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度O)およびアルミニウムイオンおよびアゴニスト(カプサイシン)存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度P)を取得した。つぎに、循環定温チャンバー内において、対照(溶媒A)を100秒間循環させた。その後、循環定温チャンバー内において、調製例5で得られた実験番号17のアゴニスト含有試料を100秒間循環させ、当該アゴニスト含有試料の循環終了時にアゴニスト存在下での蛍光強度340nm(蛍光強度Q)およびアゴニスト存在下での蛍光強度380nm(蛍光強度R)を取得した。
蛍光強度M〜Rを用い、式(IX)、式(X)および式(XI)にしたがい、TRPV1活性の抑制率を算出した。
また、前記において、実験番号17の被験試料Cおよび被験試料Dを用いる代わりに実験番号18〜19の被験試料Cおよび被験試料Dを用いたことを除き、実験番号17の被験試料Cおよび被験試料Dを用いたときと同様の操作を行ない、TRPV1活性の抑制率を算出した。
試験例12において、被験試料のpHとTRPV1活性の抑制率との関係を調べた結果を図12に示す。
(2)TRPA1活性の抑制率の算出
試験例12(1)において、調製例1(1)で得られたTRPV1発現細胞を用いる代わりに調製例1(2)で得られたTRPA1発現細胞を用いたこと、被験試料Dを用いる代わりに被験試料Eを用いたことおよび調製例5で得られたアゴニスト含有試料を用いる代わりに調製例6で得られたアゴニスト含有試料を用いたことを除き、試験例12(1)と同様の操作を行ない、TRPA1活性の抑制率を算出した。
試験例12において、被験試料のpHとTRPA1活性の抑制率との関係を調べた結果を図12に示す。図中、黒色バーはTRPV1活性の抑制率、白色バーはTRPA1活性の抑制率を示す。
図12に示された結果から、TRPV1活性の抑制率およびTRPA1活性の抑制率は、pHが4、6および7.4の順に高いことがわかる。これらの結果から、アルミニウムイオンに解離する物質として硫酸アルミニウムカリウムを用いた場合、活性抑制剤のpHを1〜6.5、好ましくは4〜6に調整することにより、TRPV1活性およびTRPA1活性の抑制率を向上させることができることがわかる。
以上説明したように、アルミニウムイオンは、TRPA1、TRPV1、TRPM8、TRPV3、TRPV4などのTRPチャネルの活性を抑制することがわかる。したがって、本発明の活性抑制剤は、アルミニウムイオンを含有するので、TRPチャネルの活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象の発現を抑制または調整する薬剤、例えば、TRPA1の活性化に起因する刺激を抑制する用途に用いられる刺激抑制剤、TRPM8の活性化に起因する冷感を調整する用途に用いられる冷感調整剤、TRPV1の活性化に起因する痛みを抑制する用途に用いられる痛み抑制剤、TRPV3の活性化に起因する皮膚細胞の過角化を抑制する用途に用いられる皮膚細胞の過角化抑制剤、TRPV4の活性化に起因する痒みを抑制する用途に用いられる痒み抑制剤などの用途に用いられることが期待される。また、本発明の活性抑制方法は、アルミニウムイオンとTRPチャネルとを接触させるので、TRPチャネルの活性化に起因する不快な感覚または生理学的事象の発現の抑制または調整、例えば、TRPA1の活性化に起因する刺激の抑制、TRPM8の活性化に起因する冷感の調整、TRPV1の活性化に起因する痛みの抑制、TRPV3の活性化に起因する皮膚細胞の過角化の抑制、TRPV4の活性化に起因する痒みの抑制などに用いられることが期待される。

Claims (3)

  1. TRPチャネルの活性を抑制するためのTRPチャネル活性抑制剤であって、前記TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンを含有していることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤。
  2. TRPチャネルの活性を抑制するためのTRPチャネル活性抑制剤であって、前記TRPチャネルの活性を抑制するための有効成分としてアルミニウムイオンに解離する物質が配合されていることを特徴とするTRPチャネル活性抑制剤。
  3. TRPチャネルの活性を抑制する活性抑制方法であって、アルミニウムイオンとTRPチャネルとを接触させることを特徴とするTRPチャネルの活性抑制方法。
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