JPWO2019189071A1 - アンチグレア膜付き基板、積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

アンチグレア膜付き基板、積層体、及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

アンチグレア膜付き基板(11)は、基板(12)と、基板(12)に設けられたアンチグレア膜(13)とを備える。アンチグレア膜付き基板(11)のアンチグレア膜(13)は、水酸基を有し、かつ飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上の表面を有する。

Description

本発明は、アンチグレア膜付き基板、積層体、及び積層体の製造方法に関する。
例えば、ガラス基板をカバー部材として用いる場合、ガラス基板には、汚れが付着することを抑える防汚膜が設けられる場合がある。防汚膜の材料としては、フッ素基を有する化合物が知られている(特許文献1参照)。一方、ガラス基板をカバー部材として用いる場合、ガラス基板には、アンチグレア膜が設けられる場合もある。アンチグレア膜の例としては、シリカ前駆体から形成されるシリカ膜が知られている(特許文献2参照)。
特表2015−511174号公報 特開2005−038288号公報
ガラス基板等の基板に設けられたアンチグレア膜に対して、さらに防汚膜を設けた積層体では、アンチグレア性能に加えて防汚性能をさらに発揮させることができる。このように設けられた防汚膜は、比較的過酷な条件下でも防汚性能が維持され易い耐久性を有していることが好ましい。本発明は、防汚膜の耐久性が維持され易い構成を見出すことでなされたものである。
本発明の目的は、防汚膜の耐久性を高めることを可能にしたアンチグレア膜付き基板、積層体、及び積層体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する一態様のアンチグレア膜付き基板は、基板と、前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板であって、前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、かつ飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上の表面を有する。
上記課題を解決する別の態様のアンチグレア膜付き基板は、基板と、前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板であって、前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、前記アンチグレア膜の表面における水の接触角は、10°以下である。
上記アンチグレア膜付き基板において、前記アンチグレア膜は、SiOを含むことが好ましい。
上記アンチグレア膜付き基板において、前記基板は、ガラス基板であることが好ましい。
上記課題を解決する積層体は、上記アンチグレア膜付き基板と、前記アンチグレア膜の水酸基と化学的に結合された防汚膜と、を備える。
上記課題を解決する一態様の積層体の製造方法は、基板と前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板と、前記アンチグレア膜に設けられた防汚膜と、を備える積層体を製造する積層体の製造方法であって、前記アンチグレア膜付き基板における前記アンチグレア膜の表面を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程で洗浄された前記アンチグレア膜の表面上に前記防汚膜を成膜する成膜工程と、を備え、前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、前記洗浄工程は、前記アンチグレア膜の表面が、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上となるまで洗浄を行う工程であり、前記成膜工程は、前記アンチグレア膜の水酸基と化学的に結合される防汚膜を成膜する。
上記課題を解決する別の態様の積層体の製造方法は、基板と前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板と、前記アンチグレア膜に設けられた防汚膜と、を備える積層体を製造する積層体の製造方法であって、前記アンチグレア膜付き基板における前記アンチグレア膜の表面を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程で洗浄された前記アンチグレア膜の表面上に前記防汚膜を成膜する成膜工程と、を備え、前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、前記洗浄工程は、前記アンチグレア膜の表面における水の接触角が、10°以下となるまで洗浄を行う工程であり、前記成膜工程は、前記アンチグレア膜の水酸基と化学的に結合される防汚膜を成膜する。
上記積層体の製造方法において、前記洗浄工程は、水を含む洗浄液を用いることが好ましい。
本発明によれば、防汚膜の耐久性を高めることが可能となる。
実施形態におけるアンチグレア膜付き基板を示す概略断面図である。 積層体を示す概略断面図である。 積層体の製造方法を示すフロー図である。
(第1実施形態)
以下、アンチグレア膜付き基板、積層体、及び積層体の製造方法の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の各部分の寸法比率について、実際と異なる場合がある。
図1に示すように、アンチグレア膜付き基板11は、基板12と、基板12に設けられたアンチグレア膜13とを有している。
基板12は、ガラス又は樹脂材料から構成される。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス等の公知のガラスを用いることができる。また、化学強化ガラス等の強化ガラスやLAS系結晶化ガラス等の結晶化ガラスも用いることができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。
基板12の厚さは、機械的物性等を考慮して設定すればよく、例えば、0.05mm以上、10mm以下の範囲であることが好ましい。
基板12としては、耐熱性や強度の観点から、ガラス基板を用いることが好ましい。
アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13は、凹凸面によって光を散乱させる膜である。アンチグレア膜13は、水酸基を有し、かつ飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上、好ましくは130000以上の表面を有している。
アンチグレア膜13は、例えば、SiO、Al、ZrO、及びTiOから選ばれる少なくとも一種の酸化物により構成されることが好ましく、SiOを含むことがより好ましい。SiO等の酸化物の表面は、水酸基を有し、この水酸基は、TOF−SIMSによる分析により水酸化物イオンとして検出することが可能である。
アンチグレア膜13の厚さは、例えば、40nm以上、500nm以下の範囲である。
図2に示すように、積層体14は、アンチグレア膜付き基板11と、アンチグレア膜13の水酸基と化学的に結合された防汚膜15とを有する。防汚膜15は、アンチグレア膜13上に形成され、アンチグレア膜付き基板11に撥水性、撥油性、防汚性、滑り性等の機能性を付与する。防汚膜15は、アンチグレア膜13の水酸基と脱水反応(脱水縮合)するシラノール基によってアンチグレア膜13の水酸基と化学的に結合することができる。
防汚膜15は、フッ素基を有することが好ましく、パーフルオロポリエーテル基を有することがより好ましい。防汚膜15の厚さは、例えば、1nm以上、30nm以下の範囲である。
次に、積層体14の製造方法について説明する。
図3に示すように、積層体14の製造方法は、アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13の表面を洗浄する洗浄工程S11と、洗浄工程S11で洗浄されたアンチグレア膜13の表面上に防汚膜15を成膜する成膜工程S12とを備えている。
洗浄工程S11に供されるアンチグレア膜付き基板11は、アンチグレア膜形成用のコーティング剤を基板12上に塗布した後、乾燥(加熱)することで得られる。このコーティング剤は、アンチグレア膜13の前駆体を含有する。コーティング剤を塗布する方法は、スプレー塗布法であることが好ましい。コーティング剤のスプレー塗布には、周知の2流体ノズルや1流体ノズル等のノズルを用いることができる。アンチグレア膜13の表面性状(表面粗さ等)は、例えば、ノズルから噴射されるコーティング剤の液滴の粒径によって制御することができる。
ノズルから噴射されるコーティング剤の液滴の粒径は、例えば、0.1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。液滴の粒径が0.1μm以上の場合、塗膜をより短時間で形成することができる。液滴の粒径が100μm以下の場合、アンチグレア膜13の性能を高め易くなる。液滴の粒径は、ノズルの種類、スプレー圧力、液量等によって調整することができる。例えば、2流体ノズルを用いる場合、スプレー圧力が高くなるほど液滴は小さくなり、また、液量が多くなるほど液滴は大きくなる。なお、液滴の粒径は、レーザー測定器によって測定されるザウター平均粒子径である。
基板12上の塗布層を乾燥後、例えば、100℃以上、400℃以下の温度範囲で焼成することで、アンチグレア膜13が形成される。
アンチグレア膜形成用のコーティング剤に含有される前駆体としては、例えば、シリカ前駆体、アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体等の無機前駆体が挙げられる。アンチグレア膜13の前駆体は、アンチグレア膜13の屈折率が低いこと、及び反応性を制御し易いことから、シリカ前駆体を含むことが好ましい。シリカ前駆体としては、例えば、ケイ素原子に結合した炭化水素基及び加水分解性基を有するシラン化合物、シラン化合物の加水分解縮合物、並びにシラザン化合物が挙げられる。シリカ前駆体は、アンチグレア膜13におけるクラックの発生を抑えるという観点から、シラン化合物、及びシラン化合物の加水分解縮合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
シラン化合物は、ケイ素原子に結合した炭化水素基、及び加水分解性基を有する。炭化水素基は、炭素原子間に−O−、−S−、−CO−、及び−NR’−(R’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つ又は2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。
炭化水素基は、1つのケイ素原子に結合した1価の炭化水素基であってもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等が挙げられる。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられ、シラン化合物の安定性と加水分解のしやすさとのバランスの点から、アルコキシ基、イソシアネート基、及びハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
シラン化合物としては、アルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等)、アルキル基を有するアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。これらのシラン化合物のなかでも、アルコキシシラン、及びアルコキシシランの加水分解縮合物のいずれか一方、又は両方を用いることが好ましく、アルコキシシランの加水分解縮合物を用いることがより好ましい。
シラザン化合物は、その構造内にケイ素と窒素の結合(−SiN−)を有する化合物である。シラザン化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物(所定の繰り返し単位を有するポリマー)であってもよい。低分子系のシラザン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げられる。
アルミナ前駆体としては、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドの加水分解縮合物、水溶性アルミニウム塩、アルミニウムキレート等が挙げられる。ジルコニア前駆体としては、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。チタニア前駆体としては、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。
コーティング剤には、前駆体を溶解する液状媒体がさらに含有される。液状媒体としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。含窒素化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。液状媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、液状媒体は、水を含む液状媒体、すなわち、水、又は水と他の液状媒体の混合液であることが好ましい。他の液状媒体としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが特に好ましい。
また、アンチグレア膜形成用のコーティング剤は、前駆体の加水分解及び縮合を促進する酸触媒を含むものであってもよい。酸触媒としては、無機酸(硝酸、硫酸、塩酸等)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等)が挙げられる。
積層体14の製造方法における洗浄工程S11は、アンチグレア膜13の表面が、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上、好ましくは130000以上となるまで洗浄を行う工程である。
洗浄工程S11の条件は、アンチグレア膜13の表面状態に応じて設定することができる。具体的には、アンチグレア膜付き基板11のサンプルを所定の条件で洗浄した後、上記TOF−SIMSによる分析を行うことで決定することができる。例えば、洗浄工程S11における洗浄条件をアンチグレア膜13の表面の清浄性をより高めるように設定することで、アンチグレア膜13の表面においてTOF−SIMSにより検出される上記水酸化物イオンのカウント数が増加する傾向となる。具体的には、例えば、洗浄工程S11における洗浄時間をより長くしたり、洗浄液の温度を高めたりすることで、上記水酸化物イオンのカウント数が増加する傾向となる。洗浄液の温度は、35℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上である。アンチグレア膜13の表面に洗浄液を接触させる時間は、1秒以上であることが好ましい。
洗浄工程S11で用いる洗浄液としては、例えば、アルコール等の親水性溶媒、水等を用いることができる。洗浄液には、アルカリ成分、界面活性剤等の洗浄成分を含有させてもよい。なお、アンチグレア膜13の表面に残留する洗浄成分を洗浄液に含有させる場合は、水やアルコールのみでアンチグレア膜13の表面を洗い流す仕上げの洗浄を行うことで、アンチグレア膜13の表面に残留する洗浄成分を除去することができる。
積層体14の製造方法における成膜工程S12では、アンチグレア膜13の水酸基と化学的に結合される防汚膜15を成膜する。防汚膜15は、防汚膜形成用のコーティング剤をアンチグレア膜13上に塗布した後、乾燥(加熱)することで得られる。成膜工程S12において、コーティング剤を塗布する方法は、スプレー塗布法であることが好ましい。なお、成膜工程S12では、スプレーコーティング以外に、例えば、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、ロールコーティング、又はグラビアコーティングを用いることもできる。
防汚膜形成用のコーティング剤に含有される前駆体としては、フッ素基を有するシラン化合物を用いることができる。フッ素基を有するシラン化合物は、ケイ素原子に結合した炭化水素基及び加水分解性基をさらに有している。前駆体は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含むことが好ましい。パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の加水分解性基が加水分解されることで、アンチグレア膜13の水酸基と脱水反応(脱水縮合)するシラノール基が形成される。
パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物としては、例えば、下記一般式(1a)に示す化合物、及び下記一般式(1b)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2019189071
上記式中、Rfは、1個又は2個以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。a、b、c及びsは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c及びsの和は、少なくとも1である。a、b、c又はsを付した括弧内の各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、d及びfは、0又は1であり、e及びgは、0以上2以下の整数であり、m及びlは、1以上10以下の整数である。Xは、水素原子又はハロゲン原子を表し、Yは、水素原子又は低級アルキル基を表し、Zは、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基を表し、Tは、加水分解性基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基を表し、nは、1以上3以下の整数である。
詳述すると、Rfは、1個又は2個以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
a、b、c及びsの和は、1〜100であることが好ましい。a、b、c及びsを付した括弧内の繰り返し単位のうち、繰り返し単位の−(OC)−は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、−(OCFCFCFCF)−であることが好ましい。繰り返し単位の−(OC)−は、直鎖又は分岐鎖あってもよく、−(OCFCFCF)−であることが好ましい。繰り返し単位の−(OC)−は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、−(OCFCF)−であることが好ましい。
Xがハロゲン原子の場合、ヨウ素原子、塩素原子、又はフッ素原子であることが好ましい。
Yが低級アルキル基の場合、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。
Zが低級フルオロアルキル基の場合、その低級フルオロアルキル基としては、例えば、炭素数1〜3のフルオロアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基であり、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。d及びfは1であり、Zはフッ素原子であることが好ましい。
Tで表す加水分解性基としては、例えば、−OA、−OCOA、−O−N=C(A)、−N(A)、−NHA、ハロゲンが挙げられる。ここで、Aは、置換又は非置換の炭素数1〜3のアルキル基を示す。
は、炭素数1〜22のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
また、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物としては、例えば、下記一般式(2a)に示す化合物、及び下記一般式(2b)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2019189071
上記式中、Rfは、1個又は2個以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。a、b、c及びsは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b及びcの和は少なくとも1である。a、b、c又はsを付した括弧内の各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、d及びfは、0又は1であり、h及びjは、1又は2であり、i及びkは、2以上20以下の整数である。Zは、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基を表し、Tは、加水分解性基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基を表し、nは、1以上3以下の整数である。
詳述すると、Rfは、1個又は2個以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
a、b、c及びsの和は、1〜100であることが好ましい。a、b、c及びsを付した括弧内の各繰り返し単位のうち、−(OC)−は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、−(OCFCFCFCF)−であることが好ましい。繰り返し単位の−(OC)−は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、−(OCFCFCF)−であることが好ましい。繰り返し単位の−(OC)−は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、−(OCFCF)−であることが好ましい。
Zが低級フルオロアルキル基の場合、その低級フルオロアルキル基としては、例えば、炭素数1〜3のフルオロアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基であり、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。d及びfは、1であり、Zは、フッ素原子であることが好ましい。
Tで表す加水分解性基としては、例えば、−OA、−OCOA、−O−N=C(A)、−N(A)、−NHA、ハロゲンが挙げられる。ここで、Aは、置換又は非置換の炭素数1〜3のアルキル基を示す。
は、炭素数1〜22のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
また、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Rf[−Lp−X−R31−Si(OR32・・・(3)
式中、Rfは、パーフルオロポリエーテル基を表し、炭素数1〜300のパーフルオロポリエーテル基であることが好ましい。但し、Rf中の末端炭素原子に結合するフッ素原子の少なくとも一部は、水素原子であってもよい。pは、0又は1を表す。qは、1又は2を表す。R31は、アルキレン基を表し、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましい。R32は、アルキル基を表し、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。Lは、−CO−を表す。Xは、−O−、−NR33−、−S−、−SO−、−SONR33−、及び−NR33CO−から選ばれる基を表し、−O−であることが好ましい。R33は、水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す。
パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、特許文献1に開示されるものを用いてもよい。
防汚膜形成用のコーティング剤には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物等を溶解し得る溶媒が含有される。溶媒としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)を用いることができる。ハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、及びパーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)が挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
防汚膜形成用のコーティング剤には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物に加えて、例えば、特許文献1に開示される触媒、含フッ素オイル、シリコーンオイル等を含有させることもできる。また、コーティング剤には、ハードコート剤等の機能性付与剤をさらに含有させることもできる。
積層体14の用途としては、例えば、ディスプレイ用途、タッチパネル用途、電子デバイス用途等が挙げられる。また、積層体14の適用箇所としては、例えば、電気機器、車両等が挙げられる。
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1−1)アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13は、水酸基を有し、かつTOF−SIMSで検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上の表面を有している。
上記アンチグレア膜13の表面に防汚膜15をさらに設ける場合、アンチグレア膜13の表面の水酸基に対する防汚膜15の化学的な結合を増加させることができると考えられる。
上記構成によれば、アンチグレア膜13上に設けられた防汚膜15が剥離し難くなる。これにより、防汚膜15の耐久性を高めることが可能となる。
(1−2)アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13は、SiOを含むことが好ましい。この場合、例えば、アンチグレア膜13におけるクラックの発生を抑えることができる。
(1−3)アンチグレア膜付き基板11における基板12は、ガラス基板であることが好ましい。この場合、例えば、アンチグレア膜付き基板11の耐熱性や強度を高めることができる。
(1−4)積層体14は、アンチグレア膜付き基板11と、アンチグレア膜13の水酸基と化学的に結合された防汚膜15とを備えている。
この構成によれば、上述したようにアンチグレア膜13上に設けられた防汚膜15が剥離し難くなるため、防汚膜15の耐久性を高めることが可能となる。
(1−5)積層体14の製造方法は、アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13の表面を洗浄する洗浄工程S11と、洗浄工程S11で洗浄されたアンチグレア膜13の表面上に防汚膜15を成膜する成膜工程S12とを備えている。アンチグレア膜13は、水酸基を有し、洗浄工程S11は、アンチグレア膜13の表面が、TOF−SIMSで検出される上記水酸化物イオンのカウント数が127000以上の表面となるまで洗浄を行う工程である。成膜工程S12は、アンチグレア膜13の水酸基と化学的に結合される防汚膜15を成膜する工程である。
この方法によれば、防汚膜15が剥離し難い積層体14を容易に得ることができる。
(1−6)積層体14の製造方法において、洗浄工程S11では、水を含む洗浄液を用いることが好ましい。この場合、洗浄液の取り扱い性が良好となるため、洗浄設備を簡略化することが可能となる。
(第2実施形態)
アンチグレア膜付き基板11、積層体14、及び積層体14の製造方法の第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2実施形態のアンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13は、水酸基を有し、アンチグレア膜13の表面における水の接触角は、10°以下である。水の接触角は、JIS R3257(1999)に準拠して測定することができる。積層体14の製造方法における洗浄工程S11は、アンチグレア膜13の表面における水の接触角が、10°以下となるまで洗浄を行う工程である。
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2−1)アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13は、水酸基を有し、アンチグレア膜13の表面における水の接触角は、10°以下である。
上記アンチグレア膜13の表面に防汚膜15をさらに設ける場合、アンチグレア膜13の表面の水酸基に対して、水酸基と結合する防汚膜15を形成するための成分が接触し易くなることで、アンチグレア膜13の表面の水酸基に対する防汚膜15の化学的な結合を増加させることができると考えられる。
上記構成によれば、アンチグレア膜13上に設けられた防汚膜15が剥離し難くなる。これにより、防汚膜15の耐久性を高めることが可能となる。
(2−2)第2実施形態のアンチグレア膜付き基板11についても、第1実施形態の(1−2)〜(1−4)欄で述べた効果と同様の効果が得られる。
(2−3)積層体14の製造方法は、アンチグレア膜付き基板11におけるアンチグレア膜13の表面を洗浄する洗浄工程S11と、洗浄工程S11で洗浄されたアンチグレア膜13の表面上に防汚膜15を成膜する成膜工程S12とを備えている。アンチグレア膜13は、水酸基を有し、洗浄工程S11は、アンチグレア膜13の表面における水の接触角が、10°以下となるまで洗浄を行う工程である。成膜工程S12は、アンチグレア膜13の水酸基と化学的に結合される防汚膜15を成膜する工程である。
この方法によれば、防汚膜15が剥離し難い積層体14を容易に得ることができる。
(2−4)第2実施形態の積層体14の製造方法においても、第1実施形態の(1−6)欄で述べた効果と同様の効果が得られる。
次に、試験例について説明する。
(試験例1−1)
ガラス基板(ソーダライムガラス、厚さ2.5mm)の一方の主面にアンチグレア膜形成用のコーティング剤をスプレーコートし、乾燥することで、基材に塗布層を形成した。アンチグレア膜形成用のコーティング剤としては、水を含む液状媒体にアンチグレア膜の前駆体(オルトケイ酸テトラエチル)を溶解した溶液(前駆体の濃度:3質量%)を用いた。ガラス基板上の塗布層を180℃、30分の条件で焼成することで、アンチグレア膜付きガラス基板のサンプル11Aを得た。
次に、サンプル11Aのアンチグレア膜の表面を洗浄することで、サンプル11Bを得た。この洗浄では、表1に示すように、サンプル11Aを400mm/minの速度で搬送しながら、濃度6.5%、温度45℃に調整した水性アルカリ洗浄液を、シャワーノズルを用いてアンチグレア膜の表面に噴射した後、水洗、乾燥させた。
サンプル11Bのアンチグレア膜の表面について、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて以下の条件で分析した。
分析装置名:IONTOF社製、TOF−SIMS IV
一次ビームの条件:Ga,+2.5keV,0.1pA
二次質量分析;飛行時間型質量分析器
サンプル11Bのアンチグレア膜の表面をTOF−SIMSで分析した結果、検出された総陰イオン数を100万として標準化した際の水酸化物イオンのカウント数は141000であった。
また、サンプル11Bのアンチグレア膜に、防汚膜形成用のコーティング剤をスプレーコートし、乾燥することで、アンチグレア膜上に塗布層を形成した。防汚膜形成用のコーティング剤は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する市販品0.1質量部と、溶媒(パーフルオロブチルエチルエーテル)99.9質量部とを混合することで調製した。アンチグレア膜上の塗布層を180℃、30分の条件で加熱することで、防汚膜を有する積層体のサンプル11Cを得た。
(試験例1−2)
試験例1−2では、試験例1−1のサンプル11Aと同様にしてサンプル12Aを得た。
次に、サンプル12Aのアンチグレア膜の表面を洗浄することで、サンプル12Bを得た。この洗浄では、表1に示すように、サンプル12Bを500mm/minの速度で搬送しながら、濃度6.5%、温度45℃に調整した水性アルカリ洗浄液を、シャワーノズルを用いてアンチグレア膜の表面に噴射した後、水洗、乾燥させた。
サンプル12Bのアンチグレア膜の表面について、TOF−SIMSを用いて試験例1−1と同様にして分析した結果、検出された総陰イオン数を100万として標準化した際の水酸化物イオンのカウント数は132000であった。
また、サンプル12Bのアンチグレア膜に試験例1−1と同様にして防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル12Cを得た。
(試験例1−3)
試験例1−3では、試験例1−1のサンプル11Aと同様にしてサンプル13Aを得た。
次に、サンプル13Aのアンチグレア膜の表面を洗浄することで、サンプル13Bを得た。この洗浄では、表1に示すように、サンプル13Bを1000mm/minの速度で搬送しながら、濃度6.5%、温度45℃に調整した水性アルカリ洗浄液を、シャワーノズルを用いてアンチグレア膜の表面に噴射した後、水洗、乾燥させた。
サンプル13Bのアンチグレア膜の表面について、TOF−SIMSを用いて試験例1−1と同様にして分析した結果、検出された総陰イオン数を100万として標準化した際の水酸化物イオンのカウント数は125000であった。
また、サンプル13Bのアンチグレア膜に試験例1−1と同様にして防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル13Cを得た。
(試験例1−4)
試験例1−4では、試験例1−1のサンプル11Aと同様にしてサンプル14Aを得た。
次に、サンプル14Aのアンチグレア膜の表面を洗浄することで、サンプル14Bを得た。この洗浄では、表1に示すように、サンプル14Bを1000mm/minの速度で搬送しながら、濃度5.0%、温度37℃に調整した水性アルカリ洗浄液を、シャワーノズルを用いてアンチグレア膜の表面に噴射した後、水洗、乾燥させた。
サンプル14Bのアンチグレア膜の表面について、TOF−SIMSを用いて試験例1−1と同様にして分析した結果、検出された総陰イオン数を100万として標準化した際の水酸化物イオンのカウント数は123000であった。
また、サンプル14Bのアンチグレア膜に試験例1−1と同様にして防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル14Cを得た。
(試験例1−5)
試験例1−5では、試験例1−1のサンプル11Aと同様にしてサンプル15Aを得た。
次に、サンプル15Aのアンチグレア膜の表面を洗浄することで、サンプル15Bを得た。この洗浄では、表1に示すように、サンプル15Bを1000mm/minの速度で搬送しながら、濃度3.0%、温度37℃に調整した水性アルカリ洗浄液を、シャワーノズルを用いてアンチグレア膜の表面に噴射した後、水洗、乾燥させた。
サンプル15Bのアンチグレア膜の表面について、TOF−SIMSを用いて試験例1−1と同様にして分析した結果、検出された総陰イオン数を100万として標準化した際の水酸化物イオンのカウント数は90000であった。
また、サンプル15Bのアンチグレア膜に試験例1−1と同様にして防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル15Cを得た。
Figure 2019189071
(試験例2−1)
試験例2−1では、まず試験例1−1のサンプル11Aと同様にしてサンプル21Aを得た後、表2に示すように、サンプル11Aと同様にしてサンプル21Aを洗浄することで、サンプル21Bを得た。
サンプル21Bのアンチグレア膜の表面における純水の接触角を測定した結果、3.3°であった。
次に、試験例1−1のサンプル11Bと同様にしてサンプル21Bに防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル21Cを得た。
(試験例2−2)
試験例2−2では、まず試験例1−2のサンプル12Aと同様にしてサンプル22Aを得た後、表2に示すように、サンプル12Aと同様にしてサンプル22Aを洗浄することで、サンプル22Bを得た。
サンプル22Bのアンチグレア膜の表面における純水の接触角を測定した結果、7.8°であった。
次に、試験例1−2のサンプル12Bと同様にしてサンプル22Bに防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル22Cを得た。
(試験例2−3)
試験例2−3では、まず試験例1−3のサンプル13Aと同様にしてサンプル23Aを得た後、表2に示すように、サンプル13Aと同様にしてサンプル23Aを洗浄することで、サンプル23Bを得た。
サンプル23Bのアンチグレア膜の表面における純水の接触角を測定した結果、11.9°であった。
次に、試験例1−3のサンプル13Bと同様にしてサンプル23Bに防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル23Cを得た。
(試験例2−4)
試験例2−4では、まず試験例1−4のサンプル14と同様にしてサンプル24Aを得た後、表2に示すように、サンプル14Aと同様にしてサンプル24Aを洗浄することで、サンプル24Bを得た。
サンプル24Bのアンチグレア膜の表面における純水の接触角を測定した結果、22.7°であった。
次に、試験例1−4のサンプル14Bと同様にしてサンプル24Bに防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル24Cを得た。
(試験例2−5)
試験例2−5では、まず試験例1−5のサンプル15Aと同様にしてサンプル25Aを得た後、表2に示すように、サンプル15Aと同様にしてサンプル25Aを洗浄することで、サンプル25Bを得た。
サンプル25Bのアンチグレア膜の表面における純水の接触角を測定した結果、22.7°であった。
次に、試験例1−5のサンプル15Bと同様にしてサンプル25Bに防汚膜を設けることで、防汚膜を有する積層体のサンプル25Cを得た。
Figure 2019189071
<防汚膜の耐久性の評価>
上記試験例1−1〜1−5のサンプル11C〜15Cの耐久性について、スチールウール擦り試験によって評価した。スチールウール擦り試験は、防汚膜の表面に対するスチールウール(縦10mm×横10mm、日本スチールウール社製、ボンスター業務用等級#0000)の荷重500g、揺動ストローク60mm、揺動速度60往復/分の条件で行った。スチールウール擦り試験において、往復回数100回後の水の接触角を測定した。その結果を表1に示す。この結果から、試験例1−1,1−2のサンプル11C,12Cの防汚膜の耐久性は、試験例1−3〜1−5のサンプル13C〜15Cよりも優れることが分かる。
また、表2に示すように、試験例2−1,2−2のサンプル21C,22Cの防汚膜の耐久性についても、試験例2−3〜2−5のサンプル23C〜25Cよりも優れることが上記スチールウール擦り試験によって確認された。
11…アンチグレア膜付き基板、12…基板、13…アンチグレア膜、14…積層体、15…防汚膜。

Claims (8)

  1. 基板と、前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板であって、
    前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、かつ飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上の表面を有することを特徴とするアンチグレア膜付き基板。
  2. 基板と、前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板であって、
    前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、
    前記アンチグレア膜の表面における水の接触角は、10°以下であることを特徴とするアンチグレア膜付き基板。
  3. 前記アンチグレア膜は、SiOを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンチグレア膜付き基板。
  4. 前記基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンチグレア膜付き基板。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアンチグレア膜付き基板と、
    前記アンチグレア膜の水酸基と化学的に結合された防汚膜と、を備えることを特徴とする積層体。
  6. 基板と前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板と、
    前記アンチグレア膜に設けられた防汚膜と、を備える積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    前記アンチグレア膜付き基板における前記アンチグレア膜の表面を洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程で洗浄された前記アンチグレア膜の表面上に前記防汚膜を成膜する成膜工程と、を備え、
    前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、
    前記洗浄工程は、前記アンチグレア膜の表面が、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で検出される総陰イオンのカウント数を100万として標準化した場合の水酸化物イオンのカウント数が127000以上となるまで洗浄を行う工程であり、
    前記成膜工程は、前記アンチグレア膜の水酸基と化学的に結合される防汚膜を成膜することを特徴とする積層体の製造方法。
  7. 基板と前記基板に設けられたアンチグレア膜とを備えるアンチグレア膜付き基板と、
    前記アンチグレア膜に設けられた防汚膜と、を備える積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    前記アンチグレア膜付き基板における前記アンチグレア膜の表面を洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程で洗浄された前記アンチグレア膜の表面上に前記防汚膜を成膜する成膜工程と、を備え、
    前記アンチグレア膜は、水酸基を有し、
    前記洗浄工程は、前記アンチグレア膜の表面における水の接触角が、10°以下となるまで洗浄を行う工程であり、
    前記成膜工程は、前記アンチグレア膜の水酸基と化学的に結合される防汚膜を成膜することを特徴とする積層体の製造方法。
  8. 前記洗浄工程は、水を含む洗浄液を用いることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の積層体の製造方法。
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