JPWO2019187602A1 - 改変型免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質に特異的に結合し、かつ、特にアルカリ溶液に対する化学的安定性に優れた、免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド、当該ペプチドをリガンドとして有するアフィニティ分離マトリックス、および当該アフィニティ分離マトリックスを用いたκ鎖可変領域含有タンパク質の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該ペプチドをコードするDNA、当該DNAを含むベクター、および当該ベクターにより形質転換された形質転換体を提供することも目的とする。ペプトストレプトコッカス・マグヌス株由来プロテインLのκ鎖可変領域結合ドメインに対して、適切な部位に変異を導入したペプチドをアフィニティ・リガンドとして利用することで、上記課題を解決する。

Description

本発明は、アルカリ溶液に対する化学的安定性が改良された免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド、当該ペプチドをリガンドとして有するアフィニティ分離マトリックス、当該アフィニティ分離マトリックスを用いる免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質の製造方法、当該ペプチドをコードするDNA、当該DNAを含むベクター、および、当該ベクターにより形質転換された形質転換体に関するものである。
タンパク質の重要な機能の一つとして、特定の分子に特異的に結合する機能が挙げられる。この機能は、生体内における免疫反応やシグナル伝達に重要な役割を果たしている。この機能を有用物質の分離精製に利用する技術開発も盛んになされている。実際に産業的に利用されている一例として、抗体医薬を動物細胞培養物から一度に高い純度でキャプチャリングして精製するために利用されるプロテインAアフィニティ分離マトリックス(以下、プロテインAを「SpA」と略記する場合がある)が挙げられる(非特許文献1,2)。
抗体医薬として開発されているのは基本的にモノクローナル抗体であり、組換え培養細胞技術などを用いて大量に生産されている。「モノクローナル抗体」とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体を指す。現在上市されている抗体医薬のほとんどは、分子構造的には免疫グロブリンG(IgG)サブクラスである。また、免疫グロブリンを断片化した分子構造を有する断片抗体からなる抗体医薬も盛んに臨床開発されており、様々な断片抗体医薬の臨床開発が進んでいる(非特許文献3)。
抗体医薬製造工程における初期精製工程には、先述のSpAアフィニティ分離マトリックスが利用されている。しかし、SpAは基本的にIgGのFc領域に特異的に結合するタンパク質である。よって、Fc領域を含まない断片抗体は、SpAアフィニティ分離マトリックスを利用したキャプチャリングができない。従って、抗体医薬精製プロセスのプラットフォーム開発の観点から、IgGのFc領域を含まない断片抗体をキャプチャリング可能なアフィニティ分離マトリックスに対する産業的なニーズは高い。
IgGのFc領域以外に結合するペプチドはすでに複数知られている(非特許文献4)。それらの中でも、結合できる断片抗体フォーマットの種類の多さ、および、IgMやIgAなどにも結合可能という観点からは、可変領域(抗原結合ドメイン)に結合できるペプチドが最も好ましく、例えば、プロテインL(以下、プロテインLを「PpL」と略記する場合がある)がよく知られている。PpLは、複数のκ鎖可変領域結合ドメイン(以下、κ鎖可変領域を「VL−κ」と略記する場合がある)を含むタンパク質であり、個々のVL−κ結合性ドメインのアミノ酸配列は異なる。また、菌株の種類によっても、VL−κ結合性ドメインの数、および個々のアミノ酸配列は異なる。例えば、ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)312株のPpLに含まれるVL−κ結合性ドメインの数は5個であり、ペプトストレプトコッカス・マグヌス株3316のPpLに含まれるVL−κ結合性ドメインの数は4個である(非特許文献5〜7,特許文献1〜2)。そして、それら計9個のVL−κ結合性ドメインの中に、互いに同じアミノ酸配列であるドメインは無い。
SpAの場合には、部位特異的に変異を導入し、アフィニティ分離マトリックス用リガンドとしての機能を改良するタンパク工学研究が盛んに進められており(非特許文献1,8,特許文献3〜8)、特にSpAアフィニティ分離マトリックスの洗浄に広く用いられる水酸化ナトリウム溶液に対する化学的安定性の向上を目的とした研究が多い。具体的には、アルカリ性条件下で脱アミド化反応を受け易いことが知られるアスパラギン残基、および、アスパラギン残基の後ろのグリシン残基へのアミノ酸置換変異が化学的安定性の向上に効果がある。しかし、SpA中の全てのアスパラギン残基に関し、このような変異がアルカリ耐性向上効果を示すわけではない(非特許文献8)。
PpLをリガンドとするアフィニティ分離マトリックスもすでに複数市販されている。PpLの結合力や結合様式を解析することを目的とした変異導入の報告は複数存在し(非特許文献7,9,10)、アフィニティリガンドとしての機能改変を意図した研究の報告も存在する(特許文献9,10)。しかし、SpAの場合に比較するとPpLの変異導入報告例は限られており、特にアルカリ溶液に対する化学的安定性は、SpAアフィニティ分離マトリックスの場合には、SpAの改良によって0.1〜0.5M水酸化ナトリウムでの洗浄が可能となっているのに対し、PpLアフィニティ分離マトリックスの場合には、0.02〜0.05M水酸化ナトリウムが推奨されている(非特許文献11)。近年になって、PpLのアルカリ溶液に対する化学的安定性が高いVL−κ結合性ドメインのアミノ酸配列(特許文献11,12,13)、および、当該特性を改良する変異(特許文献14,15,16)に関する報告もなされている。しかし、SpAの化学的安定性を指標とした場合には、PpLのアルカリ溶液に対する化学的安定性は、更なる改良が必要と言える。
特表平7−506573号公報 特表平7−507682号公報 米国特許第5143844号公報 特表2006−304633号公報 欧州特許第1123389号公報 国際公開第03/080655号パンフレット 米国公開第2006/0194950号公報 国際公開第2011/118699号パンフレット 国際公開第2016/121703号パンフレット 国際公開第2008/115151号パンフレット 特開2016−079149号公報 国際公開第2016/121703号パンフレット 国際公開第2016/096643号パンフレット 国際公開第2016/096644号パンフレット 国際公開第2017/069158号パンフレット 国際公開第2017/191748号パンフレット
Hober S.ら,J.Chromatogr.B,2007,848巻,40-47頁 Shukla A.A.ら,Trends Biotechnol.,2010,28巻,253-261頁 Nelson A.N.ら,Nat.Biotechnol.,2009,27巻,331-337頁 Bouvet P.J.,Int.J.Immunopharmac.,1994,16巻,419-424頁 Kastern W.ら,J.Biol.Chem.,1992,267巻,12820-12825頁 Murphy J.P.ら,Mol.Microbiol., 1994,12巻,911-920頁 Housden N.G.ら,Biochemical Society Transactions,2003,31巻,716-718頁 Linhult M. ら, PROTEINS, 2004, 55巻, 407-416頁 Housden N.G.ら,J.Biol.Chem.,2004,279巻,9370-9378頁 Tadeo X.ら,Biophys.J.,2009,97巻,2595-2603頁 Rodrigo G.ら,Antibodies,2015,4巻,259-277頁
免疫グロブリンのκ鎖に結合性を示し、アルカリ溶液に対する化学的安定性に優れた、新規な改変型プロテインL(PpL)、および、当該改変型PpLをリガンドとして有するアフィニティ分離マトリックス、および当該アフィニティ分離マトリックスを用いたκ鎖可変領域含有タンパク質の製造方法を提供することが、本発明の課題である。
本発明者らは、上記課題を解決するために、PpLのVL−κ結合性ドメインの変異体を分子設計し、タンパク質工学的手法および遺伝子工学的手法を用いて、該変異体を、形質転換細胞から取得し、取得した該変異体の物性を比較する検討を行った。
その結果として完成した本発明を以下に示す。
[1] 下記アミノ酸配列(I)〜(III)のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とする免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド。
(I) 配列番号1のアミノ酸配列において、(a)〜(h)の少なくとも1つ以上のアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列(但し、(b)または(e)の変異と(g)の変異、および、(c)または(d)の変異と(h)の変異を同時に導入しないものとする):
(a) 第3位のLysをArgに置換;
(b) 第9位のLysをArgに置換;
(c) 第16位のAspをGluに置換;
(d) 第18位のThrをLysまたはArgに置換;
(e) 第23位のThrをGluに置換;
(f) 第25位のLysをArgに置換;
(g) 第9位のLysをAspまたはGlu、かつ、第23位のThrをLysまたはArgに置換;
(h) 第16位のAspをLysまたはArg、かつ、第18位のThrをAspまたはGluに置換;
(II) 上記(I)に規定されるアミノ酸配列において、N末端および/もしくはC末端の1個もしくは2個のアミノ酸が欠失および/もしくは置換されたアミノ酸配列、並びに/または、N末端および/もしくはC末端に1個以上20個以下のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列;
(III) 上記(I)に規定されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列(但し、配列番号1における第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位から選択される1以上の位置のアミノ酸残基は、さらに変異しないものとする)。
[2] 上記(I)〜(III)のいずれかに規定されるアミノ酸配列において、(i)〜(j)の少なくとも1つ以上のアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列を有する上記[1]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド;
(i) 配列番号1における第44位のLysをArgに置換;
(j) 配列番号1における第48位のLysをArgに置換。
[3] 上記[1]または[2]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドを2個以上有することを特徴とする免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体。
[4] 2個以上の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドが、単一の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドである上記[3]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体。
[5] 上記[1]もしくは[2]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドまたは上記[3]もしくは[4]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体、および水不溶性担体を有し、免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドまたは免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体がリガンドとして水不溶性担体に固定化されたものであることを特徴とするアフィニティ分離マトリックス。
[6] 免疫グロブリンκ鎖可変領域を含むタンパク質を製造する方法であって、
上記[5]に記載のアフィニティ分離マトリックスと、免疫グロブリンκ鎖可変領域を含むタンパク質を含む液体試料とを接触させる工程、および、
アフィニティ分離マトリックスに結合した免疫グロブリンκ鎖可変領域を含むタンパク質を、アフィニティ分離マトリックスから分離する工程を含むことを特徴とする方法。
[7] 上記[1]もしくは[2]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドまたは上記[3]もしくは[4]に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体をコードすることを特徴とするDNA。
[8] 上記[7]に記載のDNAを含むことを特徴とするベクター。
[9] 上記[8]に記載のベクターにより形質転換されたものであることを特徴とする形質転換体。
本発明で得られた改変型PpLを固定化したアフィニティ精製用クロマトグラフィ担体は、アルカリ処理のダメージによるκ鎖結合活性の低下が少ないため、繰返し使用に際してのクリーニング時に、クロマトグラフィ担体に残留した有機物等の不純物除去効果が高い水酸化ナトリウムでの効果的な(具体的には高濃度または長時間での)洗浄が可能となる。
各々のペプチドのアルカリ処理後の残存活性値をプロットしたグラフである。
本発明は、下記(I)〜(III)のいずれかのアミノ酸配列を有する免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドに関する。以下、アミノ酸配列(I)〜(III)を有する免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドを「免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド(I)〜(III)」や「VL−κ結合性ペプチド(I)〜(III)」と略記する場合がある。
(I) 配列番号1のアミノ酸配列において、(a)〜(h)の少なくとも1つ以上のアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列(但し、(b)または(e)の変異と(g)の変異、および、(c)または(d)の変異と(h)の変異を同時に導入しないものとする):
(a) 第3位のLysをArgに置換;
(b) 第9位のLysをArgに置換;
(c) 第16位のAspをGluに置換;
(d) 第18位のThrをLysまたはArgに置換;
(e) 第23位のThrをGluに置換;
(f) 第25位のLysをArgに置換;
(g) 第9位のLysをAspまたはGlu、かつ、第23位のThrをLysまたはArgに置換;
(h) 第16位のAspをLysまたはArg、かつ、第18位のThrをAspまたはGluに置換;
(II) 上記(I)に規定されるアミノ酸配列において、N末端および/もしくはC末端の1個もしくは2個のアミノ酸が欠失もしくは置換されたアミノ酸配列、並びに/または、N末端および/もしくはC末端に1個以上20個以下のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列;
(III) 上記(I)に規定されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列(但し、配列番号1における第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位から選択される1以上の位置のアミノ酸残基は、さらに変異しないものとする)。
「免疫グロブリン(Ig)」は、リンパ球のB細胞が産生する糖タンパク質であり、特定のタンパク質などの分子を認識して結合する働きを持つ。免疫グロブリンは、この特定の分子(抗原)に特異的に結合する機能と、他の生体分子や細胞と協同して抗原を有する因子を無毒化・除去する機能を有する。免疫グロブリンは、一般的に「抗体」と呼ばれるが、それはこのような機能に着目した名称である。全ての免疫グロブリンは、基本的には同じ分子構造からなり、“Y”字型の4本鎖構造(軽鎖・重鎖の2本のポリペプチド鎖が2本ずつ)を基本構造としている。軽鎖(L鎖)には、λ鎖とκ鎖の2種類があり、すべての免疫グロブリンはこのどちらかを持つ。重鎖(H鎖)には、γ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖、ε鎖のという構造の異なる5種類があり、この重鎖の違いによって免疫グロブリンの種類(アイソタイプ)が変わる。免疫グロブリンG(IgG)は、単量体型の免疫グロブリンで、2本の重鎖(γ鎖)と2本の軽鎖から構成され、2箇所の抗原結合部位を持っている。
免疫グロブリンの“Y”字の下半分の縦棒部分にあたる場所をFc領域と呼び、上半分の“V”字の部分をFab領域と呼ぶ。Fc領域は抗体が抗原に結合した後の反応を惹起するエフェクター機能を有し、Fab領域は抗原と結合する機能を有する。重鎖のFab領域とFc領域はヒンジ部でつながっており、パパイヤに含まれるタンパク分解酵素パパインは、このヒンジ部を分解して2つのFab領域と1つのFc領域に切断する。Fab領域のうち“Y”字の先端に近い部分は、多様な抗原に結合できるように、アミノ酸配列に多彩な変化が見られるため、可変領域(V領域)と呼ばれている。軽鎖の可変領域をVL領域、重鎖の可変領域をVH領域と呼ぶ。V領域以外のFab領域とFc領域は、比較的変化の少ない領域であり、定常領域(C領域)と呼ばれる。軽鎖の定常領域をCL領域と呼び、重鎖の定常領域をCH領域と呼ぶが、CH領域はさらにCH1〜CH3の3つに分けられる。重鎖のFab領域はVH領域とCH1からなり、重鎖のFc領域はCH2とCH3からなる。ヒンジ部はCH1とCH2の間に位置する。プロテインLは、軽鎖がκ鎖である可変領域(本明細書では「VL−κ」と省略する場合がある)に結合する(非特許文献5〜7)。
本発明に係るペプチドは、免疫グロブリンのκ鎖可変領域(VL−κ領域)に結合する。本発明で得られたペプチドが結合すべきVL−κ領域含有タンパク質は、VL−κ領域を含むものであればよく、Fab領域とFc領域を不足なく含有するIgGであってもよいし、IgM、IgDおよびIgAなどの他のIg類であってもよいし、それらをタンパク質工学的に改変した免疫グロブリン分子の誘導体であってもよい。本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドが結合する免疫グロブリン分子誘導体は、VL−κ領域を有する誘導体であれば特に制限されない。例えば、免疫グロブリンGのFab領域のみに断片化されたFabフラグメント、免疫グロブリンGの可変領域のみからなるscFv、ヒト免疫グロブリンGの一部のドメインを他生物種の免疫グロブリンGのドメインに置き換えて融合させたキメラ型免疫グロブリンG、Fc領域の糖鎖に分子改変を加えた免疫グロブリンG、薬剤を共有結合したscFv断片などを挙げることができる。
本発明において「ペプチド」とは、ポリペプチド構造を有するあらゆる分子を含むものであって、いわゆるタンパク質のみならず、断片化されたものや、ペプチド結合によって他のペプチドが連結されたものも包含されるものとする。本明細書においては、ペプチドとタンパク質は基本的に同義である。「ドメイン」とは、タンパク質の高次構造上の単位であり、数十から数百のアミノ酸残基から構成され、なんらかの物理化学的または生物化学的な機能を発現するに十分なタンパク質の単位をいう。タンパク質やペプチドの「変異体」は、野生型のタンパク質やペプチドの配列に対し、アミノ酸レベルで、少なくとも1つ以上の置換、付加または欠失が導入されたタンパク質またはペプチドをいう。アミノ酸を置換する変異の表記について、置換位置の番号の前に、野生型または非変異型のアミノ酸を付し、置換位置の番号の後に、変異したアミノ酸を付して表記する。例えば、第29位のGlyをAlaに置換する変異は、G29Aと記載する。
「プロテインL(PpL)」は、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)に属する嫌気性グラム陽性球菌の細胞壁に由来するタンパク質である。好ましくは、ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)に由来するPpLであり、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株、および、ペプトストレプトコッカス・マグヌス3316株に由来する2種類のPpLが好ましいが、これらに限定されない(非特許文献4〜6)。なお、本明細書では、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株のPpLを「PpL312」、ペプトストレプトコッカス・マグヌス3316株由来のPpLを「PpL3316」と省略することがある。
PpLは、70〜80残基からなる複数のVL−κ結合性ドメインを含有する。PpL312に含まれるVL−κ結合性ドメインの数は5個であり、PpL3316に含まれるVL−κ結合性ドメインの数は4個である。PpL312のVL−κ結合性ドメインは、N末端から順に、B1、B2、B3、B4、B5ドメインと呼び、PpL3316のVL−κ結合性ドメインは、N末端から順に、C1、C2、C3、C4ドメインと呼ぶ(非特許文献5〜6)。本発明を適用するのは、これらのVL−κ結合性ドメインの中のB5ドメインが好ましい。
本発明を適用するのは、B5ドメインに特許文献6に記載の変異を導入した配列番号1に示すアミノ酸配列が好ましいが、例えば、野生型B5ドメインのアミノ酸配列(配列番号2)でもよく、PpL312のB4ドメインより後ろを全て含んだB5ドメインのアミノ酸配列(配列番号3)でもよく、特許文献12に記載のアミノ酸数が異なるB5ドメインのアミノ酸配列(配列番号4)でもよい。B5ドメインのアミノ酸配列のアミノ酸数が文献によって異なるのは、N末端の約20残基は特定の二次構造を取らないことが要因である。N末端領域を欠失させた場合にも、VL−κ結合性ドメインとして三次元構造を保持し、VL−κ結合性を示す(非特許文献7)。したがって、配列番号1で示すB5ドメインについても、N末端領域1〜5残基を欠失させることは可能である。配列番号1で示すアミノ酸配列の第1位は、非特許文献7〜8および特許文献9に倣って残基番号を付与すると第16位となる。
本発明は、野生型のPpLのVL−κ結合性ドメインに対し、特定のアミノ酸置換変異を導入することによって、アルカリ性水溶液に対する化学的安定性が、変異導入前に比べて向上していることを特徴とする変異体を創製する技術である。
改変型VL−κ結合性ペプチドは、後記の実施例において確かめられている通り、アルカリ性水溶液で処理(浸潤)した後の、アルカリによるダメージがより少なく、結合性能を高いレベルで維持している。
本発明に係るアミノ酸残基の置換部位は、配列番号1のアミノ酸配列における第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位から選択される1つ以上のアミノ酸残基である。配列番号1の第3位はLys、第9位はLys、第16位はAsp、第18位はThr、第23位はThr、および、第25位はLysである。変異導入前のB5ドメインのアミノ酸配列のアミノ酸数が異なる場合においても、配列同一性が90%以上である場合に、配列番号1の第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位に相当する位置を同定することは、当業者であれば容易に可能である。具体的には、アミノ酸配列多重アラインメント用プログラムであるClustal(http://www.clustal.org/omega/)、または、遺伝情報処理ソフトウエアであるGENETYX(https://www.genetyx.co.jp/)で、アラインメントをとって確かめることが可能である。なお、非特許文献7〜8および特許文献9に記載の残基番号に従えば、本発明に係るアミノ酸残基の置換部位はそれぞれ、第18位、第24位、第31位、第33位、第38位、および、第40位に相当する。
本発明に係るVL−κ結合性ペプチド(I)〜(III)は、上述の第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位から選択される1つ以上のアミノ酸残基が置換された配列番号1のアミノ酸配列を有する。置換される位置は、第3位、第9位、第16位、第18位、および、第25位が好ましく、第3位、第9位、第16位、および、第25位がさらにより好ましく、第3位、第9位、および、第25位がさらにより好ましく、第9位、および、第25位がさらにより好ましい。置換されるアミノ酸変異の数は、特に限定されないが、1つ以上が好ましく、2つ以上がより好ましく、3つ以上がさらにより好ましく、4つ以上がさらにより好ましい。当該変異数の上限は特に制限されず、6であってもよい。
本発明においてペプチドが「(特定の)アミノ酸配列を有する」とは、そのペプチドのアミノ酸配列が特定されたアミノ酸配列を含んでいればよく、且つ、そのペプチドの機能が維持されていることを意味する。ペプチドにおいて特定されたアミノ酸配列以外の配列としては、ヒスチジンタグや固定化のためのリンカー配列の他、−S−S−結合などの架橋構造などが挙げられる。
変異するアミノ酸の種類は、非タンパク質構成アミノ酸や非天然アミノ酸への置換を含め、特に限定されるものではないが、遺伝子工学的生産の観点から、天然型アミノ酸を好適に用いることができる。さらに、天然型アミノ酸は、中性アミノ酸;AspとGluの酸性アミノ酸;Lys、Arg、Hisの塩基性アミノ酸に分類される。中性アミノ酸は、脂肪族アミノ酸;Proのイミノ酸;Phe、Tyr、Trpの芳香族アミノ酸に分類される。脂肪族アミノ酸は、さらに、Gly;Ala;Val、Leu、Ileの分枝アミノ酸;Ser、Thrのヒドロキシアミノ酸;Cys、Metの含硫アミノ酸;Asn、Glnの酸アミドアミノ酸に分類される。また、Tyrはフェノール性水酸基を有することから、芳香族アミノ酸のみでなくヒドロキシアミノ酸に分類してもよい。さらに、別の観点からは、天然アミノ酸を、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Cys、Met、Pro、Pheの疎水性の高い非極性アミノ酸類;Asn、Gln、Ser、Thr、Tyrの中性の極性アミノ酸類;Asp、Gluの酸性の極性アミノ酸類;Lys、Arg、Hisの塩基性の極性アミノ酸類に分類することもできる。本発明においては、上記特定位置のアミノ酸を同一の群に分類されるアミノ酸に置換してもよいし、異なる群に分類されるアミノ酸に置換してもよい。
(a)〜(f)のアミノ酸置換変異については、単独でもアルカリに対する化学的安定性の向上に効果が期待できるが、複数導入しても同様の効果が期待できる。特に、(b)と(e)、および/または、(c)と(d)は、アミノ酸の側鎖が立体構造上近接しており、複数導入することで相乗効果が期待される。ゆえに、(g)や(h)のような変異も同様の効果が期待できる。
本発明に係るVL−κ結合性ペプチドは、上述のアミノ酸置換変異が導入されたアミノ酸配列(I)に対し、N末端および/もしくはC末端の1個または2個のアミノ酸が欠失および/もしくは置換されたアミノ酸配列、並びに/または、N末端および/もしくは末端に1個以上20個以下のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列(II)を有していても良い。
上記の欠失および/もしくは置換の変異の数としては、1または2が好ましく、1がより好ましい。付加の変異の数としては、15以下または10以下が好ましく、7以下、5以下または3以下がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が特に好ましい。アミノ酸残基の欠失/置換/付加の位置としては、例えば、N末端および/またはC末端を挙げることができる。これら部位は、特に欠失および/または付加の部位として好ましい。したがって、例えば、かかる変異を配列番号3や配列番号4のアミノ酸配列に適用できるが、これらに限定されない。例えば、PpL312のB1〜B4ドメインのN末端領域の配列を付加してもよく、例えば、配列番号1のN末端領域をB2ドメインのN末端領域のアミノ酸配列に置き換えた配列番号5に示すアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。この場合、配列番号1のアミノ酸配列の第1位は、配列番号5のアミノ酸配列においては第7位となる。付加配列の実施形態の一つとして、開始コドンに相当するMetのN末端への付加、および、リンカー残基やマトリックス固定化残基の役割を期待して、Gly、Ser、Cys、および/またはLysを含むアミノ酸配列のN末端および/もしくはC末端への付加が挙げられる。
本発明に係るVL−κ結合性ペプチドは、上述のアミノ酸置換変異が導入されたアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列(III)を有していても良い。例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。但し、配列番号1における第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位から選択される1以上の位置のアミノ酸残基は、さらに変異しないものとする。したがって、本発明で得られたアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有する限りにおいては、さらに変異を導入しても良い。上記配列同一性としては、90%以上または92%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、99%以上または99.5%以上がより更に好ましい。上記の配列同一性は、上述の通り、Clustalなどを使って評価することができる。
上述の特定のアミノ酸置換変異が導入されたアミノ酸配列に対して、更に(i)〜(j)の少なくとも1つ以上のアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列を有するVL−κ結合性ペプチドもまた本発明に含まれる。
(i) 配列番号1における第44位のLysをArgに置換;
(j) 配列番号1における第48位のLysをArgに置換。
本変異によって、例えば特許文献10で開示されるような、アミノ酸配列中のLysを限定して、マトリックスへの固定化のされ方を制御することが可能となる。
本発明に係るVL−κ結合性ペプチドは、そのアルカリ性水溶液に対する化学的安定性が、置換導入前に比べて向上していることを特徴とする。
「アルカリ性水溶液」とは、洗浄または殺菌の目的を達成し得る程度のアルカリ性を指す。より具体的には、0.01M以上1.0M以下または0.01N以上1.0N以下の水酸化ナトリウム水溶液などが該当するが、これに限定されるものではない。水酸化ナトリウムを例とした場合、その濃度の下限は、0.01Mが好ましく、0.02Mがより好ましく、0.05Mがさらにより好ましい。一方、水酸化ナトリウムの濃度の上限は、1.0Mが好ましく、0.5Mがより好ましく、0.3Mがさらにより好ましく、0.2Mがさらにより好ましく、0.1Mがさらにより好ましい。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液である必要はないが、そのpHは12以上14以下が好ましい。pHの下限に関し、pH12.0以上が好ましく、pH12.5以上がより好ましい。pHの上限に関し、pH14以下が好ましく、pH13.5以下がさらにより好ましく、pH13.0以下がさらにより好ましい。
「化学的安定性」とは、タンパク質がアミノ酸残基の化学変化などの化学修飾、および、アミド結合の転移や切断などの化学変性に対して、タンパク質の機能を保持する性質を指す。本発明においては、タンパク質の機能保持とは、VL−κへの結合活性の維持を指すものであり、すなわち、「化学的安定性」が高い程、アルカリ性水溶液への浸漬処理の後も、VL−κへの結合活性が低下する度合いが小さい。VL−κへの結合活性は、具体的には、化学変性を受けずにVL−κへの親和性を保持しているポリペプチドの割合をいう。なお、本明細書中における「アルカリ耐性」という用語も、「アルカリ性条件下における化学的安定性」と同義である。
アルカリに浸漬する時間は、アルカリの濃度や浸漬時の温度によってペプチドの受けるダメージは大きく異なるので、特に限定はされない。例えば、水酸化ナトリウムの濃度が0.05Mで、浸漬時の温度が室温の場合、アルカリに浸漬する時間の下限は、1時間が好ましく、2時間がより好ましく、4時間がより好ましく、10時間がより好ましく、20時間がより好ましいが、特に限定はされない。上記時間の上限も特に限定されないが、例えば50時間とすることができる。
免疫グロブリンに対する親和性は、表面プラズモン共鳴原理を用いたBiacoreシステム(GEヘルスケア社)や、バイオレイヤー干渉法を用いたOctet(ポール社)などのバイオセンサーによって試験することができるが、これに限定されるものではない。測定条件としては、本発明のペプチドがVL−κに結合した時の結合シグナルが検出できれば良い。測定条件としては、温度は20〜40℃の一定温度にし、結合状態を見るときのpHは5以上、8以下の中性条件にすることが好ましい。緩衝液の成分としては、中性の場合には、リン酸、トリス、ビストリスなどが挙げられるが、これらに限定されない。緩衝液の塩化ナトリウム濃度は、特に限定はされないが、0〜0.15M程度が好ましい。
VL−κに結合していることを示すパラメータとしては、例えば、親和定数(KA)や解離定数(KD)を用いることができる(永田他 著、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法」、シュプリンガー・フェアラーク東京、1998年、41頁)。本発明のタンパク質のVL−κに対する親和定数は、Biacoreシステムを利用して、センサーチップにヒトIgGを固定化して、温度25℃、pH7.4の条件下にて、各ドメイン変異体を流路添加する実験系で求めることができる。本発明に係るタンパク質について、ヒトVL−κへの親和定数(KA)が好ましくは1×105(M-1)以上、より好ましくは1×106(M-1)以上であるタンパク質を好適に用いることができる。しかし、親和定数は、VL−κ含有ペプチドの種類や、VL−κ結合性ペプチドのドメイン数によっても変わるので、これに限定されない。
ただし、アルカリ処理後の残存結合活性を求める場合には、結合パラメータとして、KAやKDは不適切である。アルカリ処理によって、VL−κに結合できる分子の比率が変化しても、ペプチド1分子のVL−κに対する結合能は変化しない場合には、パラメータとしては変化が見られないからである。ペプチドの残存結合活性を求める場合には、例えば、ペプチドを、センサーチップ(Biacore)またはバイオセンサー(Octet)に固定化し、ペプチドを化学処理する前と後で、同一濃度のVL−κ含有タンパク質を添加したときの、結合レスポンスの大きさを指標とするのが良い。結合レスポンスの大きさを示す単位は、Biacoreではレゾナンスユニット(RU)であり、Octetではナノメートル(nm)であるが、これらに限定されるものではない。例えば、VL−κ含有タンパク質を固定化した系に対し、同じ濃度のアルカリ処理していないペプチドとアルカリ処理したペプチドを添加して、結合レスポンスの大きさを比較しても良い。
残存結合活性は、アルカリ処理前後の比較なので、基本的には、アルカリ処理前の結合活性を分母とし、アルカリ処理後の結合活性を分子とする、比率(パーセンテージ)で表すことができる。その数値は、同じ条件でアルカリ処理した本発明の変異が導入されていないペプチドと比較して高ければ、特に限定はされないが、その比率が5%以上であるのが好ましく、10%以上であるのが好ましく、20%以上であるのがより好ましく、30%以上であるのがさらにより好ましく、40%以上であるのがさらにより好ましく、50%以上であるのがさらにより好ましい。上記比率の上限は、勿論100%が好ましい。
この際に重要なことは、比較対照とするサンプルは、本発明の変異が含まれていないという点だけが異なり、それ以外のアミノ酸配列は同じであり、かつ、アルカリ処理および残存結合活性の測定の条件を全て一緒にすることである。また、本発明のペプチドは、アルカリ性水溶液中(アルカリ条件下)ではVL−κ結合性は示さないので、アルカリ処理の後で酸による中和によってpHを中性にするなどの適切な処理が必要である。
PpLは、VL−κ結合性ドメインが4個または5個タンデムに並んだ形で含んだタンパク質である。したがって、本発明に係るVL−κ結合性ペプチドも、実施形態の1つとして、単量体または単ドメインである当該VL−κ結合性ペプチドが2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上連結された複数ドメインの多量体であってもよい。連結されるドメイン数の上限としては、10個以下、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である。これらの多量体は、単一のVL−κ結合性ペプチドの連結体であるホモダイマー、ホモトリマー等のホモポリマーであってもよいし、複数種類のVL−κ結合性ペプチドの連結体であるヘテロダイマー、ヘテロトリマー等のヘテロポリマーであってもよい。
本発明に係るVL−κ結合性ペプチド多量体における複数ドメインの連結のされ方としては、1または複数のアミノ酸残基で連結する方法、および、アミノ酸残基を挟まず直接連結する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。連結するアミノ酸残基数に特に制限は無いが、好ましくは20残基以下であり、より好ましくは15残基以下であり、さらにより好ましくは10残基以下であり、さらにより好ましくは5残基以下であり、さらにより好ましくは2残基以下である。これらのアミノ酸配列は、単量体タンパク質の3次元立体構造を不安定化しないものが好ましい。
その他、実施形態の1つとして、本発明により得られるVL−κ結合性ペプチドまたはその多量体が、1つの構成成分として、機能の異なる他のペプチドと融合されていることを特徴とする融合ペプチドが挙げられる。融合ペプチドの例としては、アルブミンやグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)が融合したペプチドを例として挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、DNAアプタマーなどの核酸、抗生物質などの薬物、ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子が融合されている場合も、本発明で得られたペプチドの有用性を利用するものであれば、本発明に包含される。
本発明は、本発明ペプチドを、免疫グロブリンやその断片、特にVL−κに親和性を有することを特徴とするアフィニティリガンドとして利用することも、実施形態の1つとして包含する。同様に、当該リガンドを水不溶性担体に固定化したことを特徴とするアフィニティ分離マトリックスも、実施形態の1つとして包含する。
本発明に係るアフィニティ分離マトリックスは、本発明に係る上記VL−κ結合性ペプチドまたは上記VL−κ結合性ペプチド多量体が、リガンドとして水不溶性担体に固定化されたものであることを特徴とする。
本発明において「リガンド」とは、抗原と抗体の結合に代表される、特異的な分子間の親和力に基づいて、ある分子の集合から目的の分子を選択的に捕集または結合する物質や官能基を指す用語であり、本発明においては、VL−κに対して特異的に結合するペプチドを指す。本発明においては、単に「リガンド」と表記した場合も、「アフィニティリガンド」と同意である。
本発明において「アフィニティリガンド」とは、抗原と抗体の結合に代表される、特異的な分子間の親和力に基づいて、ある分子の集合から目的の分子を選択的に捕集または結合する物質や官能基を指す用語であり、本発明においては、VL−κに対して特異的に結合するペプチドを指す。本発明においては、単に「リガンド」と表記した場合も、「アフィニティリガンド」と同意である。
本発明に用いる水不溶性担体としては、無機担体、有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機担体−有機担体、有機担体−無機担体などの複合担体などが挙げられる。無機担体の材料としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどが挙げられる。有機担体の材料としては合成高分子や多糖類などが挙げられ、合成高分子としては架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどが挙げられ、多糖類としては結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどが挙げられる。市販品としては、多孔質セルロースゲルであるGCL2000、アリルデキストランとメチレンビスアクリルアミドを共有結合で架橋したSephacryl(登録商標) S−1000、アクリレート系の担体であるToyopearl(登録商標)、アガロース系の架橋担体であるSepharose(登録商標) CL4B、および、セルロース系の架橋担体であるCellufine(登録商標)などを例示することができる。但し、本発明における水不溶性担体は、例示したこれらの担体のみに限定されるものではない。
また、本発明に用いる水不溶性担体は、本アフィニティ分離マトリックスの使用目的および方法からみて、表面積が大きいことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有する多孔質であることが好ましい。担体の形態としては、ビーズ状、モノリス状、繊維状、膜状(中空糸を含む)などいずれも可能であり、任意の形態を選ぶことができる。
上記リガンドは、直接またはリンカー基を介して、共有結合により上記水不溶性担体に固定化されている。当該リンカー基としては、例えば、C1-6アルキレン基、アミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、エステル基(−C(=O)O−または−OC(=O)−)、アミド基(−C(=O)NH−または−NHC(=O)−)、ウレア基(−NHC(=O)NH−);C1-6アルキレン基、アミノ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびウレア基からなる群より選択される2以上10以下の基が連結された基;アミノ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびウレア基からなる群より選択される基を一端または両端に有するC1-6アルキレン基を挙げることができる。上記の連結数としては、8以下または6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。また、上記C1-6アルキレン基は、水酸基などの置換基などにより置換されていてもよい。
本発明に係るアフィニティ分離マトリックスは、上記リガンドを上記水不溶性担体に固定化することにより製造することができる。
リガンドの固定化方法については、例えば、リガンドに存在するアミノ基、カルボキシ基またはチオール基を利用した、従来のカップリング法で担体に結合してよい。カップリング法としては、臭化シアン、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、トシルクロライド、トレシルクロライド、ヒドラジンまたは過ヨウ素酸ナトリウムなどと担体とを反応させて担体を活性化するか、或いは担体表面に反応性官能基を導入し、リガンドとして固定化する化合物とカップリング反応を行い固定化する方法、また、担体とリガンドとして固定化する化合物が存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬、または、グルタルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる固定化方法が挙げられる。
また、リガンドと担体の間に複数の原子からなるスペーサー分子を導入してもよいし、担体にリガンドを直接固定化してもよい。従って、固定化のために、本発明に係るVL−κ結合性ペプチドを化学修飾してもよいし、固定化に有用なアミノ酸残基を加えてもよい。固定化に有用なアミノ酸としては、側鎖に固定化の化学反応に有用な官能基を有しているアミノ酸が挙げられ、例えば、側鎖にアミノ基を含むLysや、側鎖にチオール基を含むCysが挙げられる。本発明の本質は、本発明においてペプチドに付与したVL−κ結合性が、当該ペプチドをリガンドとして固定化したマトリックスにおいても同様に付与されることにあり、固定化のためにいかように修飾・改変しても、本発明の範囲に含まれる。
本発明のアフィニティ分離マトリックスを利用して、免疫グロブリンのκ鎖可変領域を含むタンパク質(VL−κ含有タンパク質)をアフィニティカラム・クロマトグラフィ精製法により分離精製することが可能となる。これらのVL−κ含有タンパク質の精製法は、免疫グロブリンのアフィニティカラム・クロマトグラフィ精製法、例えばSpAアフィニティ分離マトリックスを利用した精製法に準じる手順により達成することができる(非特許文献1)。
即ち、VL−κ含有タンパク質の溶液を調製(pHは中性付近)した後、当該溶液を本発明のアフィニティ分離マトリックスを充填したアフィニティカラムに通過させ、VL−κ含有タンパク質を吸着させる。次いで、アフィニティカラムに純粋な緩衝液を適量通過させ、カラム内部を洗浄する。この時点では所望のVL−κ含有タンパク質はカラム内の本発明に係るアフィニティ分離マトリックスに吸着されている。そして、本発明で得られたペプチドをリガンドとして固定化したアフィニティ分離マトリックスは、このサンプル添加の工程からマトリックス洗浄の工程において、目的とするVL−κ含有タンパク質を吸着保持する性能に優れる。次いで、適切なpHに調整した酸性緩衝液をカラムに通液し、所望のVL−κ含有タンパク質を溶出することにより、高純度な精製が達成される。ペプチドを溶出するために用いられる上記酸性緩衝液には、マトリックスからの解離を促進する物質を添加してもよい。
本発明のアフィニティ分離マトリックスは、リガンド化合物や担体の基材が完全に機能を損なわない程度の、適当な強酸性、または、強アルカリ性の純粋な緩衝液を通過させて洗浄することにより、再利用が可能である。上記の再生用緩衝液には、適当な変性剤や有機溶剤を配合してもよい。本発明のアフィニティ分離マトリックスは、アルカリ性水溶液に対する化学的安定性に優れるので、強アルカリの純粋な緩衝液を通過させて洗浄することで再利用することが好ましい。しかし、強アルカリの純粋な緩衝液で再生する操作をするタイミングは、使用後に毎回である必要は無く、例えば、5回に1回、10回に1回でも構わない。
本発明は、上記改変型VL−κ結合性ペプチドをコードするDNAにも関する。かかるDNAの塩基配列は、例えば、上記ペプチドのアミノ酸配列を逆翻訳することにより決定することができる。本発明ペプチドをコードするDNAは、その塩基配列を翻訳したアミノ酸配列が、当該ペプチドを構成するものであればいずれでもよい。そのような塩基配列は、通常用いられる公知の方法、例えば、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(以下、「PCR」と略記する)法を利用して取得できる。また、公知の化学合成法で合成することも可能であり、さらに、DNAライブラリーから得ることもできる。当該塩基配列は、コドンが縮重コドンで置換されていてもよく、翻訳されたときに同一のアミノ酸をコードしている限り、本来の塩基配列と同一である必要性は無い。当該塩基配列を一つ又はそれ以上有する組換えDNA、または、当該組換えDNAを含む、プラスミドおよびファージなどのベクター、さらには、当該DNAを有するベクターにより形質転換された形質転換微生物/細胞、または、当該DNAを導入した遺伝子改変生物、または、当該DNAを転写の鋳型DNAとする無細胞タンパク質合成系を得ることができる。
また、本発明に係るVL−κ結合性ペプチドは、タンパク質発現を補助する作用または精製を容易にするという利点がある公知のタンパク質との融合ペプチドとして取得することができる。即ち、本発明に係るVL−κ結合性ペプチドを含む融合ペプチドをコードする組換えDNAを少なくとも一つ含有する微生物、または、細胞を得ることができる。上記タンパク質の例としては、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)等が挙げられるが、それらのタンパク質に限定されるものではない。
本発明のペプチドをコードするDNAを改変するための部位特異的な変異の導入は、以下のように、組換えDNA技術、PCR法等を用いて行うことができる。
即ち、組換えDNA技術による変異の導入は、例えば、本発明ペプチドをコードする遺伝子中において、変異導入を希望する目的の部位の両側に適当な制限酵素認識配列が存在する場合に、それら制限酵素認識配列部分を前記制限酵素で切断し、変異導入を希望する部位を含む領域を除去した後、化学合成等によって目的の部位のみに変異導入したDNA断片を挿入するカセット変異法によって行うことができる。
また、PCRによる部位特異的変異の導入は、例えば、本発明ペプチドをコードする二本鎖プラスミドを鋳型として、+鎖および−鎖に相補的な変異を含む2種の合成オリゴプライマーを用いてPCRを行うダブルプライマー法により行うことができる。
また、本発明の単量体ペプチド(1つのドメイン)をコードするDNAを、意図する数だけ直列に連結することにより、多量体ペプチドをコードするDNAを作製することもできる。例えば、多量体ペプチドをコードするDNAの連結方法として、DNA配列に適当な制限酵素部位を導入し、制限酵素で断片化した2本鎖DNAをDNAリガーゼで連結することができる。制限酵素部位は1種類でもよいが、複数の異なる種類の制限酵素部位を導入することもできる。また、多量体ペプチドをコードするDNAにおいて、各々の単量体ペプチドをコードする塩基配列が同一の場合には、宿主にて相同組み換えを誘発する可能性があるので、連結されている単量体ペプチドをコードするDNAの塩基配列間の配列同一性が90%以下、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下、さらにより好ましくは75%以下であることが好ましい。なお、塩基配列の同一性も、アミノ酸配列と同様に、常法により決定することが可能である。
本発明の「発現ベクター」は、前述した本発明ペプチドまたはその部分アミノ酸配列をコードする塩基配列、およびその塩基配列に作動可能に連結された宿主で機能しうるプロモーターを含む。通常は、本発明ペプチドをコードする遺伝子を、適当なベクターに連結もしくは挿入することにより得ることができ、遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で自律複製可能なものであれば特に限定されず、プラスミドDNAやファージDNAをベクターとして用いることができる。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、pQE系ベクター(キアゲン社)、pET系ベクター(メルク社)およびpGEX系ベクター(GEヘルスケアバイオサイエンス社)のベクターなどが挙げられる。
本発明の形質転換細胞は、宿主となる細胞へ本発明の組換えベクターを導入することにより得ることができる。宿主への組換え体DNAの導入方法としては、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、アグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法およびポリエチレングリコール法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、得られた遺伝子の機能を宿主で発現する方法としては、本発明で得られた遺伝子をゲノム(染色体)に組み込む方法なども挙げられる。宿主となる細胞については、特に限定されるものではないが、安価に大量生産する上では、大腸菌、枯草菌、ブレビバチルス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)等のバクテリア(真正細菌)を好適に使用しうる。
本発明に係るVL−κ結合性ペプチドは、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に本発明に係るペプチドを生成蓄積させ、該培養物から所望のペプチドを採取することにより製造することができる。また、本発明ペプチドは、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に、本発明ペプチドを含む融合ペプチドを生成蓄積させ、当該培養物から当該融合ペプチドを採取し、当該融合ペプチドを適切なプロテアーゼによって切断し、所望のペプチドを採取することにより製造することができる。
本発明の形質転換細胞を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。得られた形質転換体の培養に用いる培地は、本発明ペプチドを高効率、高収量で生産できるものであれば特に制限は無い。具体的には、グルコース、蔗糖、グリセロール、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸などの炭素源や窒素源を使用することができる。その他、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩等の無機塩類が必要に応じて添加される。栄養要求性の宿主細胞を用いる場合は、生育に要求される栄養物質を添加すればよい。また、必要であればペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ネオマイシンなどの抗生物質が添加されてもよい。
さらに、菌体内外に存在する宿主由来のプロテアーゼによる当該目的ペプチドの分解を抑えるために、公知の各種プロテアーゼ阻害剤、すなわち、Phenylmethane sulfonyl fluoride(PMSF)、Benzamidine、4−(2−aminoethyl)−benzenesulfonyl fluoride(AEBSF)、Antipain、Chymostatin、Leupeptin、Pepstatin A、Phosphoramidon、Aprotinin、Ethylenediaminetetra acetic acid(EDTA)および/またはその他市販されているプロテアーゼ阻害剤を適当な濃度で添加してもよい。
さらに、本発明に係るVL−κ結合性ペプチドを正しくフォールディングさせるために、例えば、GroEL/ES、Hsp70/DnaK、Hsp90、Hsp104/ClpBなどの分子シャペロンを利用してもよい。かかる分子シャペロンは、例えば、共発現、または、融合タンパク質化などの手法で、本発明のペプチドと共存させる。なお、本発明ペプチドの正しいフォールディングを目的とする場合には、正しいフォールディングを助長する添加剤を培地中に加える、および、低温にて培養するなどの手法もあるが、これらに限定されるものではない。
大腸菌を宿主として得られた形質転換細胞を培養する培地としては、LB培地(トリプトン1%,酵母エキス0.5%,NaCl1%)、または、2×YT培地(トリプトン 1.6%,酵母エキス1.0%,NaCl0.5%)等が挙げられる。
また、培養温度は、15〜42℃、好ましくは20〜37℃で、通気攪拌条件で好気的に数時間〜数日培養することにより本発明ペプチドを、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)、または、培養溶液(細胞外)に蓄積させて回収する。場合によっては、通気を遮断し嫌気的に培養してもよい。組換えペプチドが分泌生産される場合には、培養終了後に、遠心分離、ろ過などの一般的な分離方法で、培養細胞と分泌生産されたペプチドを含む上清を分離することにより生産された組換えペプチドを回収することができる。また、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)に蓄積される場合にも、例えば、培養液から遠心分離、ろ過などの方法により菌体を採取し、次いで、この菌体を超音波破砕法、フレンチプレス法などにより破砕し、および/または、界面活性剤等を添加して可溶化することにより、細胞内に蓄積生産されたペプチドを回収することができる。
本発明に係るペプチドの精製はアフィニティクロマトグラフィ、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ等を単独で、または、適宜組み合わせることによって行うことができる。得られた精製物質が目的のペプチドであることの確認は、通常の方法、例えばSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、N末端アミノ酸配列分析、ウエスタンブロッティング等により行うことができる。
本願は、2018年3月29日に出願された日本国特許出願第2018−64890号に基づく優先権の利益を主張するものである。2018年3月29日に出願された日本国特許出願第2018−64890号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例で取得した変異ペプチドは「ペプチド名−導入した変異」の形で表記し、変位を導入しない野生型ペプチドは「ペプチド名−Wild」の形で表記する。例えば、配列番号3で示される野生型PpL312のB5ドメインは「LB5−Wild」で示す。また、本実施例においては、配列番号1で示されるPpL312のB5ドメインを実験でメインに利用した。配列番号1のアミノ酸配列は、配列番号3のアミノ酸配列のN末端において二次構造を形成しない7残基を欠失させ、且つT21Hの変異を導入したものである。配列番号1で示されるPpL312のB5ドメインを配列番号3のB5ドメインと区別するため、「LB5m−T21H」と表記する。複数の変異を同時に導入した変異体の表記については、スラッシュを用いて併記する。例えば、変異T21HおよびK25Rを導入した場合は、「LB5m−T21H/K25R」と表記する。また、ドメイン数に関しては、ピリオドに続けて連結した数に「d」をつけて併記する。単ドメインからなる変異体の場合には、「LB5m−T21H.1d」と表記する。ただし、本明細書では、基本的にはLB5m−T21Hが変異前の配列であり、かつ、ドメイン数も1なので、単にT21H以外の変異のみを記載する場合がある。例えば表1では、LB5m−T21H/K25R.1dの変異体ペプチドを単にK25Rと表記している。
実施例1: 各種改変型VL−κ結合性ペプチドの調製
(1)発現プラスミド調製
LB5m−T21H.1d(配列番号1)のアミノ酸配列から逆翻訳を行い、当該ペプチドをコードする塩基配列(配列番号6)を設計し、本コードDNAを全合成してベクターに挿入したプラスミドpEX−LB5mを購入した(ユーロフィンジェノミクス社)。次に表1に示すオリゴDNAをプライマーとして用いるPCR反応を行い、各種変異体の発現プラスミドを調製した。まず、Blend Taq −Plus−(TOYOBO社)を用いて、表1の5’−primer(B)と3’−primerの2種をプライマーとし、pEX−LB5mを鋳型プラスミドとして、添付のプロトコルに従いPCR反応を行った。次に、表1の5’−primer(A)と3’−primerの2種をプライマーとし、先のPCR反応によって生成した二本鎖DNAを鋳型として含む反応液を用い、同様のPCR反応を行った。なお、表1のLB5m−K03R.1dの場合のみ、最初のPCR反応は省略し、表1の5’−primer(A)と3’−primerの2種をプライマーとし、pEX−LB5mを鋳型としたPCR反応を行った。
Figure 2019187602
合成・抽出した二本鎖DNAを、制限酵素SpeIとXhoI(いずれもタカラバイオ社)により切断した。次に、プラスミドベクターpET−49b(+)(メルクミリポア社)のマルチクローニングサイト中のSpeI/XhoIサイトに制限酵素処理した二本鎖DNAをサブクローニングした。サブクローニングにおけるライゲーション反応は、Ligation High Ver.2(TOYOBO社)を用いて、製品に添付のプロトコルに準ずる形で実施した。
上記ライゲーション反応液を用いて、コンピテント細胞DH5α(タカラバイオ社)の形質転換を、本コンピテント細胞製品に付属のプロトコルに従って行った。次いで、プラスミド精製キット(プロメガ社製「Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System」)を用い、キット付属の標準プロトコルに従って、形質転換した細胞を培養し、プラスミドDNAを増幅し、抽出した。発現プラスミドのコードDNAの塩基配列確認は、DNAシークエンサー(Applied Biosystems社製「3130xl Genetic Analyzer」)を用いて行った。遺伝子解析キット(Applied Biosystems社製「BigDye Terminator v.1.1 Cycle Sequencing Kit」)と、シークエンシング用DNAプライマー(配列番号45)を用いて、添付のプロトコルに従いシークエンシングPCR反応を行った。そのシークエンシング産物を、プラスミド精製キット(Applied Biosystems社製「BigDye XTerminator Purification Kit」)を用いて、添付のプロトコルに従い精製し、塩基配列解析に用いた。コードDNAの塩基配列を確認した発現プラスミドを用いて、コンピテント細胞BL21(DE3)(バイオダイナミクス社)の形質転換を行い、各種改変型VL−κ結合性ペプチドの発現用形質転換細胞を調製した。
(2)タンパク質の発現と精製
上記(1)で得られた各種形質転換細胞を、カナマイシンを30μg/mLの濃度で含有するオート・インダクション培地Magic Media(ライフテクノロジーズ社)を用いて、30℃で24時間培養した。培養終了後、遠心にて集菌し、PBS緩衝液に再懸濁した。超音波破砕にて細胞を破砕し、遠心分離して上清画分(無細胞抽出液)と不溶性画分に分画した。pET−49b(+)ベクターのマルチクローニングサイトに目的の遺伝子を導入すると、GSTがN末端に付与した融合ペプチドとして発現される。
GST融合ペプチドを含む各々の無細胞抽出液から、GSTに対して親和性のあるGSTrap HPカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いたアフィニティクロマトグラフィにて、GST融合ペプチドを粗精製した。具体的には、各々の無細胞抽出液をGSTrap HPカラムに添加し、標準緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM NaCl,pH7.4)にてカラムを洗浄し、続いて溶出用緩衝液(50mM Tris−HCl,20mMグルタチオン,pH8.0)にて目的のGST融合ペプチドを溶出した。
表1の5’−primer(A)を用いてサブクローニングすると、目的のペプチド配列のN末端とGSTとの間に、Ile−Glu−Gly−Argというアミノ酸配列が付加される。このアミノ酸配列は、配列特異的プロテアーゼFactor Xa(メルクミリポア社)の認識配列であり、このプロテアーゼを作用させるとArgの後ろで切断されるため、GSTを含むN末端側のベクター由来配列を切断して除去することが可能である。GST融合ペプチド含有溶出液をFactor Xa消化用緩衝液(20mM Tris−HCl,100mM NaCl、2mM CaCl2、pH8.0)にて透析し、添付プロトコルに従い酵素反応を行った。
本反応液から、Superdex 75 10/300 GLカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いたゲルろ過クロマトグラフィにて、目的のペプチドを精製した。具体的には、標準緩衝液にて平衡化したSuperdex 75 10/300 GLカラムに、各々の反応溶液を添加し、目的のペプチドを、切断したGST含有ベクター由来配列やFactor Xaから分離精製した。なお、以上のカラムを用いたクロマトグラフィによるペプチド精製は、全てAKTAprime plusシステム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を利用して実施した。
比較例1: 変異導入前のペプチド(LB5m−T21H.1d)の取得・評価
pEX−LB5mを鋳型とし、配列番号8の5’−primer(A)と配列番号19の3’−primerをプライマーとし、実施例1に記載のPCR反応を行い、その後は実施例1に記載の流れに沿って、配列番号1に示す変異導入前のペプチドLB5m−T21H.1dを調製した。
実施例2: 各種改変型VL−κ結合性ペプチドのIgG結合レスポンスを指標としたアルカリ処理後の残存結合活性評価
バイオレイヤー干渉法を用いて分子間相互作用を解析する装置Octet RED 384システム(ポール・フォルテバイオ社)を用いて、各種ペプチドをバイオセンサーに固定化し、それらのバイオセンサーを一定時間アルカリ溶液に浸漬した前後での、同一濃度のIgGに対する結合レスポンスの比から、アルカリ処理後の残存結合活性を評価した。
バイオセンサーとして、ペプチドのアミノ基を介して、ペプチドをセンサーに共有結合で固定化できるAR2Gバイオセンサーを用いた。実施例1および比較例1で精製した各種精製ペプチド溶液を、UV吸光度を基に10μMに濃度調整し、10mM AcOH−AcONa、pH4.5に透析した。各種ペプチドを、バイオセンサー標準のプロトコル(TECHNICAL NOTE 26)に従って固定化した。標準緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM NaCl,pH7.4)を測定用緩衝液とし、軽鎖がκ鎖からなる抗IgEモノクローナルIgG製剤(一般名:オマリズマブ,製品名:ゾレア,以後aIgE−IgGと略す)を標準緩衝液で10μMに濃度調整した。標準緩衝液でベースラインを取り、その後、1000rpmの条件でaIgE−IgGと2分間接触させ、結合レスポンス(付属の解析ソフトでResponseとして算出)を求め、これをアルカリ処理前の結合レスポンスとした。各種ペプチドを固定化したセンサーについて、測定ごとに再生用酸性緩衝液(50mM AcOH−AcONa,pH3.0)で再生し、それぞれのセンサーについて3サイクル(N=3)で測定した。そして、上記測定後のセンサーを20mM NaOHに室温下で8時間浸漬し、その後標準緩衝液に浸漬した。そして、同様の流れでaIgE−IgGに対する結合レスポンスを求めた。そして、アルカリ処理後の残存結合活性を、アルカリ処理後の結合レスポンス値をアルカリ処理前の結合レスポンスで除算した値とした。各サイクルごと(1番目、2番目、3番目)で分けて、それぞれ残存活性を求め、計N=3の残存活性の平均値を各ペプチドの残存活性値とした。
各々のペプチドの残存活性値をプロットしたグラフを図1に示す。なお、比較例1で得られたペプチドを、変異導入前の対照用ペプチドという意味で、Cont.と表記する。測定は2回に分けて2セットで別の日に行っており、グラフもスペースで2つに分割し、それぞれのセットで比較例(LB5m−T36H.1d,Cont.)の残存活性値を左端に示した。2セットでCont.の値が違うのは、室温下でアルカリ処理したため、実施した日によって違いが出たと考えられるが、同一セット内では同一の処理条件になっていることは担保されている。全てのペプチドがaIgE−IgGへの結合活性を示し、かつ、アルカリ処理後の残存活性値が変異導入前のペプチドよりも有意に高い値(アルカリ耐性)を示すことが分かった。K03R/K09R/T18R/K25Rなど、複数の変異を導入したペプチドも高いアルカリ耐性を示し、かつ、変異を単独で導入した場合よりもアルカリ耐性が高い傾向を示した。また、44位や48位に変異を導入しても、高いアルカリ耐性は維持されることも分かった。
特許文献15には、PpL312のB1〜B5、および、PpL3316のC1〜C4の間で保存されているLys残基(例えば、配列番号1の第25位のLys)を変異した例が示されているが、同文献では、当該変異の効果が見られたのはC1〜C4のみであって、B1〜B5では変異の効果が無かったと明記されている。そのような知見がある中で、変異の効果が見い出せる配列を特定し、さらに、似たような部位に対して適切な置換アミノ酸の種類も特定したことは、容易に着想・想定できないと考えられ、本発明が単なる最適化に止まらない重要な発見であることの証左と言える。

Claims (9)

  1. 下記アミノ酸配列(I)〜(III)のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とする免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド。
    (I) 配列番号1のアミノ酸配列において、(a)〜(h)の少なくとも1つ以上のアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列(但し、(b)または(e)の変異と(g)の変異、および、(c)または(d)の変異と(h)の変異を同時に導入しないものとする):
    (a) 第3位のLysをArgに置換;
    (b) 第9位のLysをArgに置換;
    (c) 第16位のAspをGluに置換;
    (d) 第18位のThrをLysまたはArgに置換;
    (e) 第23位のThrをGluに置換;
    (f) 第25位のLysをArgに置換;
    (g) 第9位のLysをAspまたはGlu、かつ、第23位のThrをLysまたはArgに置換;
    (h) 第16位のAspをLysまたはArg、かつ、第18位のThrをAspまたはGluに置換;
    (II) 上記(I)に規定されるアミノ酸配列において、N末端および/もしくはC末端の1個もしくは2個のアミノ酸が欠失および/もしくは置換されたアミノ酸配列、並びに/または、N末端および/もしくはC末端に1個以上20個以下のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列;
    (III) 上記(I)に規定されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列(但し、配列番号1における第3位、第9位、第16位、第18位、第23位、および、第25位から選択される1以上の位置のアミノ酸残基は、さらに変異しないものとする)。
  2. 上記(I)〜(III)のいずれかに規定されるアミノ酸配列において、(i)〜(j)の少なくとも1つ以上のアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列を有する請求項1に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド;
    (i) 配列番号1における第44位のLysをArgに置換;
    (j) 配列番号1における第48位のLysをArgに置換。
  3. 請求項1または2に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドを2個以上有することを特徴とする免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体。
  4. 2個以上の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドが、単一の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドである請求項3に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体。
  5. 請求項1もしくは2に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドまたは請求項3もしくは4に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体、および水不溶性担体を有し、免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドまたは免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体がリガンドとして水不溶性担体に固定化されたものであることを特徴とするアフィニティ分離マトリックス。
  6. 免疫グロブリンκ鎖可変領域を含むタンパク質を製造する方法であって、
    請求項5に記載のアフィニティ分離マトリックスと、免疫グロブリンκ鎖可変領域を含むタンパク質を含む液体試料とを接触させる工程、および、
    アフィニティ分離マトリックスに結合した免疫グロブリンκ鎖可変領域を含むタンパク質を、アフィニティ分離マトリックスから分離する工程を含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項1もしくは2に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドまたは請求項3もしくは4に記載の免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド多量体をコードすることを特徴とするDNA。
  8. 請求項7に記載のDNAを含むことを特徴とするベクター。
  9. 請求項8に記載のベクターにより形質転換されたものであることを特徴とする形質転換体。
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