JPWO2019186859A1 - 扇風機 - Google Patents

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比出晴 小野
比出晴 小野
青木 普道
普道 青木
正樹 亀山
正樹 亀山
悠平 北島
悠平 北島
芳彦 安田
芳彦 安田
一馬 七野
一馬 七野
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Abstract

扇風機は、羽根車と、羽根車を回転させる電動機部と、電動機部の向きを変動させる首振り動作を行わせる首振り機構とを備え、首振り機構は、ステータ(6)と、ステータ(6)の内側に設置されたモータ軸(8)と、モータ軸(8)との間に隙間を設けてモータ軸(8)に差し込まれたロータ(7)とを有するステッピングモータ(3)を備え、ステッピングモータ(3)は、モータ軸(8)がステータ(6)の中心からずれることによって生じる不平衡磁気吸引力でロータ(7)が引っ張られる方向と同じ側に引っ張られながらロータ(7)が回転する速度で運転される。

Description

本発明は、ステッピングモータを用いた首振り機構を搭載した扇風機に関する。
ステッピングモータは、入力するパルスによって回転数及び回転角度を自由に変動させられるため、部品の角度調整及び回転数変更のために有用であり、多岐にわたる分野で部品回動用に用いられている。
近年、扇風機の首振り動作にステッピングモータが使用されるようになっている。扇風機は、電動機のシャフトに取り付けられた羽根車を回転させて風を発生させる送風部を備えている。送風機によって風を送る際、左右の広い範囲に風を送りたい場合は、左右に首振りさせ、室内の上下の空気を撹拌させる目的で上下の広い範囲に風を送りたい場合は、上下に首振りをさせる。
特許文献1には、左右首振り用のステッピングモータと上下首振り用のステッピングモータとを備え、左右の首振りと上下の首振りとの角度調整を実現する扇風機が開示されている。
特許第5786440号公報
ステッピングモータのロータは、自量のアンバランスにより回転中心と重心とがずれるため、回転時に発生する遠心力は、ロータを径方向に引っ張る力となる。したがって、ステッピングモータのロータは、通常はモータ内部に備え付けられているモータ軸の外周に沿って回転している。遠心力は回転中心から重心へ向かう方向に発生するため、遠心力の向きはロータの回転角度に合わせて変化する。
しかし一方で、モータ軸がステータの中心からずれて備え付けられている場合、ロータを回すためにステータが発生させる磁気吸引力が不平衡となっており、特定の方向へロータが引きつけられる。不平衡磁気吸引力が遠心力に比べて強い場合は、回転するロータに働く遠心力と不平衡磁気吸引力とが反対方向を向いたときに、ロータが引っ張られる。その際に、ロータがモータ軸又はステータといった内部部品と衝突するため、1回転に1度衝突音が発生する。ロータがモータ軸に衝突するか、ステータに衝突するかは、ロータとモータ軸との隙間と、ロータとステータとのクリアランスとに依存する。
首振り動作にステッピングモータを使用した扇風機は、首振り運転時にステッピングモータ内部で発生した衝突音が扇風機の構造体で増幅されることにより、ユーザが不快と感じる騒音が発生するという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、首振り運転時にステッピングモータから騒音が発生することを防止した扇風機を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、羽根車と、羽根車を回転させる電動機部と、電動機部の向きを変動させる首振り動作を行わせる首振り機構とを備える。首振り機構は、ステータと、ステータの内側に設置されたモータ軸と、モータ軸との間に隙間を設けてモータ軸に差し込まれたロータとを有するステッピングモータを備える。ステッピングモータは、モータ軸がステータの中心からずれることによって生じる不平衡磁気吸引力でロータが引っ張られる方向と同じ側に引っ張られながらロータが回転する速度で運転される。
本発明に係る扇風機は、首振り運転時にステッピングモータから騒音が発生することを防止できるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る扇風機の外観を示す図 実施の形態1に係る扇風機の前ガード及び後ガードの分解図 実施の形態1に係る扇風機の台座部の内部の構造を示す図 実施の形態1に係る扇風機の左右の首振り機構を実現するステッピングモータの斜視図 実施の形態1に係る扇風機の左右の首振り機構を実現するステッピングモータの分解斜視図 実施の形態1に係る扇風機のステッピングモータに不平衡磁気吸引力が発生している状態を示す図 実施の形態1に係る扇風機の左右の首振り機構を実現するステッピングモータの回転中の状態変化を示す図
以下に、本発明の実施の形態に係る扇風機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る扇風機の外観を示す図である。図2は、実施の形態1に係る扇風機の前ガード及び後ガードの分解図である。図3は、実施の形態1に係る扇風機の台座部の内部の構造を示す図である。扇風機100は、羽根車101と、羽根車101を回転させる電動機部102と、電動機部102を支持する支柱部103と、支柱部103を根元で保持する台座部104とを備えている。羽根車101は、電動機部102の電動機のシャフトに取り付けられている。電動機部102の電動機が羽根車101を回転させることで、扇風機100は風を発生させる。扇風機100は、回転する羽根車101にユーザが触ることができないように、羽根車101を保護する前ガード1及び後ガード2を備えている。
後ガード2は電動機部102に取付けられている。羽根車101は、後ガード2の内側に配置されている。後ガード2には、ガードリング33が取付けられており、前ガード1をガードリング33に組付けることで、羽根車101は前ガード1及び後ガード2によって前後から覆われ保護される。
電動機部102は、上下に駆動する首振り機構105を有している。また、台座部104は、支柱部103を回動させることによって左右に駆動する首振り機構106を備えている。電動機部102の上下方向の首振り機構105と、台座部104の左右方向の首振り機構106とを組み合わせることにより、ユーザは、送風方向を設定可能である。扇風機100の風量及び首振りの方向は、台座部104に設置されたスイッチ104aで操作される。なお、扇風機100の風量及び首振りの方向は、リモートコントローラ操作可能であってもよい。
台座部104の内部には、ステッピングモータ3が設置されている。ステッピングモータ3は、内部のロータが回転することでシャフトに取り付けられた駆動ギヤ4を回転させる。また、支柱部103は、台座部104によって回転可能に支持されている。支柱部103の下部には回動ギヤ5が取り付けられており、ステッピングモータ3の駆動ギヤ4が回転力を回動ギヤ5に伝達すると、支柱部103が回動する。すなわち、ステッピングモータ3及び回動ギヤ5は、扇風機100の左右の首振り機構106を構成している。支柱部103が回動することより、扇風機100の左右の首振り動作が行われる。
図4は、実施の形態1に係る扇風機の左右の首振り機構を実現するステッピングモータの斜視図である。図5は、実施の形態1に係る扇風機の左右の首振り機構を実現するステッピングモータの分解斜視図である。ステッピングモータ3は、モータブラケット3aの底面3bと垂直にモータ軸8が固定されている。筒状部材の表面に永久磁石を備え付けたロータ7は、モータ軸8との間に隙間を設けてモータ軸8に差し込まれている。ロータ7は、ステッピングモータ3の出力軸となるシャフト7aを備えている。シャフト7aの回転が、伝達機構3cによって駆動ギヤ4に伝達される。モータブラケット3aに固定されたモータ軸8にロータ7を差し込んだ状態でロータ7を回転させるため、ロータ7の内径とモータ軸8との間には、クリアランスを持たせている。ロータ7は、自量のアンバランスにより、回転時に遠心力が発生してぶれながら回転する。
一方、モータ軸8は、製造時のばらつきによりステータ6の中心からずれて固定されていることがある。モータ軸8がステータ6の中心からずれている場合、ロータ7の外周とステータ6の内径との隙間に不均一が生じている。図6は、実施の形態1に係る扇風機のステッピングモータに不平衡磁気吸引力が発生している状態を示す図である。図6に示すように、通電の際、不平衡磁気吸引力が生じると、ロータ7には、特定の方向の力が強く働く。
図7は、実施の形態1に係る扇風機の左右の首振り機構を実現するステッピングモータの回転中の状態変化を示す図である。実施の形態1に係る扇風機100は、磁気吸引力によってロータ7が引っ張られないように、ロータ7の回転速度を遅くして遠心力を小さくしている。すなわち、遠心力を小さくして磁気吸引力が勝るようにし、磁気吸引力によって引っ張られる方向と同じ側にロータ7を引っ張った状態で回転させる。ロータ7は、磁気吸引力によって引っ張られる方向と同じ側に引っ張られながら回転するため、ロータ7の急激な移動がなく衝突は発生しない。
図7には、不平衡磁気吸引力が遠心力よりも大きいが、力の差が小さい場合のロータ17の回転状態の変化を合わせて示している。ロータ17が高速回転する際には、ロータ17はモータ軸18の外周に沿って回転しており、遠心力が働く方向にクリアランスが確保された状態で回転する。しかし、遠心力が不平衡磁気吸引力と逆方向を向いたとき、遠心力には、不平衡磁気吸引力に対する法線方向の成分が含まれなくなるため、ロータ17はステータ16に引っ張られ、ロータ17はモータ軸18又はステータ16といったステッピングモータの内部の部品と衝突する。ロータ17の衝突は、遠心力が不平衡磁気吸引力と逆方向を向いたときに起こる現象であるため、ロータ17の衝突は、1回転につき1回発生する。
実施の形態1に係る扇風機100は、ロータ7の1分当たりの回転速度を70rpm程度に抑えることで、ロータ7に発生する遠心力を低減させる。遠心力はF=mrωで定義されているため、ロータ7とロータ17とが同じ形状であるとき、ロータ7が70rpmで回転することによって発生する遠心力は、ロータ17が100rpmで回転することによって発生する遠心力の0.56倍程度であり、遠心力が半分強に低減される。このため、ロータ7の回転速度は、50rpmから100rpmの間とすることが好ましい。
ロータ17の衝突によって発生する衝突音は、不平衡磁気吸引力と遠心力との差が小さいときに発生する事象である。すなわち、不平衡磁気吸引力が遠心力よりも勝っているが、回転時は遠心力によりロータ17がモータ軸18の外周に沿って回転する程度の力も持っているときに発生する事象である。実施の形態1に係る扇風機100のステッピングモータ3のロータ7に発生する遠心力は、ロータ17に発生する遠心力の半分強である。したがって、不平衡磁気吸引力と遠心力との差は、ロータ17よりもロータ7の方が大きくなるため、遠心力でロータ7がモータ軸8の外周に沿って回転することはなくなり、ロータ7は、決まった位置で不平衡磁気吸引力によって引っ張られ続けながら回転する。したがって、回転中のロータ7の急激な移動は避けられ、ロータ7の衝突による衝突音の発生が抑制される。
上記のようにロータ7が回転するのは、ロータ7とモータ軸8との間にクリアランスを設けているからであり、ロータ7とモータ軸8との間のクリアランスを極力小さくすることでロータ7の急激な移動は抑制される。しかし、ロータ7がプラスチックの成型品である場合は、ロータ7の寸法ばらつきが大きく、ロータ7の内径側のクリアランスを厳しく管理することは困難である。そこで、実施の形態1に係るステッピングモータ3は、ロータ7の衝撃音を低減する目的と、ロータ7の回転をスムーズにする目的とをかねて、ロータ7とモータ軸8との間のクリアランスにグリス9が充填されている。
また、ロータ7に発生する遠心力の原因は、ロータ7自量のアンバランスである。ロータ7の自重のアンバランスを抑えるには、ロータ7の寸法精度を上げる必要がある。ロータ7の内径側のクリアランスを厳しくすることは困難であるが、ロータ7の外径の寸法を管理することは比較的容易である。このため、実施の形態1に係るステッピングモータ3は、ロータ7とモータ軸8とのクリアランスの大きさは、ステータ6とロータ7との間の隙間以下となっている。したがって、ステッピングモータ3は、ロータ7の急激な移動があった場合でもロータ7とステータ6とが衝突することはない。なお、ステータ6内部のばらつき及びロータ7の振れも考慮し、ステータ6とロータ7との間の隙間の大きさを決定することで、ロータ7が衝突することによる衝突音の発生を低減する効果を高めることができる。
実施の形態1に係る扇風機100は、ロータ7を不平衡磁気吸引力で引っ張り続けながら回転させるため、回転中のロータ7の急激な移動を避け、ロータ7の衝突による衝突音の発生を抑制することができる。
上記の説明において、扇風機100は、左右方向の首振り機構106を実現するステッピングモータ3でのロータ7の衝突による衝突音の発生を抑制しているが、電動機部102が備える上下方向の首振り機構105をステッピングモータで実現する場合には、ステッピングモータ3と同様に、ロータを不平衡磁気吸引力で引っ張り続けながら回転させることにより、衝突音の発生を抑制することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 前ガード、2 後ガード、3 ステッピングモータ、3a モータブラケット、3b 底面、3c 伝達機構、4 駆動ギヤ、5 回動ギヤ、6,16 ステータ、7,17 ロータ、7a シャフト、8,18 モータ軸、9 グリス、33 ガードリング、100 扇風機、101 羽根車、102 電動機部、103 支柱部、104 台座部、105,106 首振り機構。

Claims (4)

  1. 羽根車と、
    前記羽根車を回転させる電動機部と、
    前記電動機部の向きを変動させる首振り動作を行わせる首振り機構とを備え、
    前記首振り機構は、ステータと、前記ステータの内側に設置されたモータ軸と、前記モータ軸との間に隙間を設けて前記モータ軸に差し込まれたロータとを有するステッピングモータを備え、
    前記ステッピングモータは、前記モータ軸が前記ステータの中心からずれることによって生じる不平衡磁気吸引力で前記ロータが引っ張られる方向と同じ側に引っ張られながら前記ロータが回転する速度で運転されることを特徴とする扇風機。
  2. 前記ロータと前記モータ軸との間のクリアランスに充填されたグリスを備えることを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
  3. 前記ロータと前記モータ軸との間のクリアランスは、前記ステータと前記ロータとの隙間以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の扇風機。
  4. 前記ロータの回転速度は、50rpmから100rpmの間であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の扇風機。
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