JPWO2019176650A1 - 射出成形機およびそれを用いた樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を現状より長くして、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等に優れた樹脂成形体を製造できる射出成形機と、それを用いた樹脂成形体の製造方法を提供する。射出成形機1は、スクリュー10の繊維混練ステージS2において、ベース樹脂2、および強化繊維の通過を抑制しながら、スクリューの回転に伴って上記ベース樹脂、および強化繊維を搬送方向Fに搬送する第1フライト12間に構成される空間の縦断面積を、上記搬送方向の下流側で、上流側より大きくした。樹脂成形体7の製造方法は、上記射出成形機1のシリンダ3内で可塑化させたベース樹脂2中に、強化繊維を含む長尺のロービング14を、長尺のまま連続的に供給して繊維強化樹脂16を調製し、調製した繊維強化樹脂を、金型8内の型内空間に充填する。
Description
本発明は、繊維強化樹脂からなる樹脂成形体の製造に用いる射出成形機と、それを用いた樹脂成形体の製造方法に関するものである。
自動車の構造部品などとしては、自動車の軽量化や静粛性の向上等を目的として、樹脂成形体が多用される。とくに、強度や剛性が求められる部品は、ベース樹脂中に、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化樹脂からなる樹脂成形体によって形成されるのが一般的である。これらの部品としては、たとえば、歯車、ローラ部品、軸受の保持器、電動パワーステアリング装置のハウジング、電動オイルポンプのハウジングなどが挙げられる。
繊維強化樹脂としては、たとえば、ベース樹脂に短繊維状の強化繊維を配合し、二軸混練機のニーディングディスク等を用いて、高温、高圧下で混練した短繊維コンパウンドを用いるのが一般的である。
しかし近年の、自動車用機器類の小型化、高出力化の要求に伴って、上述した各種の部品についても、より一層の高強度化、高剛性化、および耐摩耗性や耐疲労特性の向上等が求められつつある。
繊維強化樹脂からなる樹脂成形体の場合、これらの要求に対応するためには、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を長くするのが有効であることが知られている。そのため、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を長くするべく、樹脂成形体の製造方法について、種々検討されている。
たとえば、特許文献1では、射出成形機のシリンダ内を搬送途中のベース樹脂に、長尺のロービングを、長尺のまま連続的に供給して調製した繊維強化樹脂を、シリンダの先端部にノズルを介して接続された金型の型内空間に充填して、樹脂成形体を製造している。
詳しくは、まずベース樹脂を、シリンダの基端側に設けた樹脂供給部から、当該シリンダ内に供給する。そうすると、供給されたベース樹脂は、シリンダ内で、当該シリンダ内に回転可能に挿通されたスクリューの回転に伴って、先端部へ向かう搬送方向に搬送されながら加熱されて可塑化される。
それとともに長尺のロービングを、シリンダの途中に設けた繊維供給部から、当該シリンダ内に連続的に供給する。そうすると、供給されたロービングは、スクリューの回転によるベース樹脂の搬送に伴ってシリンダ内に連続的に引き込まれて、ベース樹脂と連続的に混練され、それによって繊維強化樹脂が調製される。
調製された繊維強化樹脂は、シリンダの先端に、ノズルを介して接続された金型の型内空間に充填されて、樹脂成形体が製造される。
上記の製造方法によれば、射出成形時の混練によって切断されて短くはなるものの、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を、短繊維コンパウンドを用いた場合に比べて長くすることができる。
ところが、発明者の検討によれば、上記特許文献1に記載の製造方法〔Direct Fiber Feeding Injection Molding (DFIM)、以下「ダイレクトロービング法」と記載する場合がある。〕に使用する射出成形機は、スクリューの形状の検討が不十分である。スクリューの形状次第では、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を現状よりもさらに長くして、より一層高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体を製造できる可能性がある。
本発明の目的は、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を現状よりもさらに長くして、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体を製造することができる射出成形機と、それを用いた樹脂成形体の製造方法とを提供することにある。
請求項1の発明は、基端側に、ベース樹脂(2)が供給される樹脂供給部(5)を備え、先端部に、可塑化した前記ベース樹脂を射出するノズル(6)を備えているとともに、前記樹脂供給部と前記先端部との間には、強化繊維からなる長尺のロービング(14)が連続的に供給される繊維供給部(15)を有する筒状のシリンダ(3)と、外周にらせん状のフライト(12)を備え、前記シリンダ内に、中心軸を前記シリンダの軸線(X)と一致させて、当該軸線を中心として回転可能に挿通されたスクリュー(10)とを含み、前記スクリューは、前記回転に伴って、前記ベース樹脂を、前記基端側から前記先端部へ向かう搬送方向(F)に搬送しながら、前記繊維供給部から供給される前記ロービングを、前記シリンダ内に連続的に引き込んで、前記ベース樹脂と混練して繊維強化樹脂(16)を調製する繊維混練ステージ(S2)を備えているとともに、前記繊維混練ステージは、前記フライトとして、前記ベース樹脂、および前記強化繊維の通過を抑制しながら、前記スクリューの回転に伴って前記ベース樹脂、および前記強化繊維を前記搬送方向に搬送する第1フライト(12a)〜(12c)を少なくとも備えており、前記繊維混練ステージのうち前記ベース樹脂の搬送方向の上流側における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)と、前記搬送方向の下流側における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)とが、式(I):
A2a<A2b (I)
を満足している射出成形機(1)である。
A2a<A2b (I)
を満足している射出成形機(1)である。
請求項2のように、繊維混練ステージ(S2)のうち前記搬送方向(F)の上流側には、2条以上の前記第1フライト(12a)〜(12c)を備える上流側の領域(S2a)が設けられているとともに、前記上流側の領域より前記搬送方向の下流側の領域(S2b)では、前記2条以上の第1フライトのうち1条の第1フライト(12a)を残して他の第1フライト(12b)(12c)が省略されることにより、残された1条の前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、2条以上の隣り合う前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足しているのが好ましい。
また請求項3のように、搬送方向(F)の下流側の領域(S2b)では、前記2条以上の第1フライト(12a)〜(12c)のうち1条の第1フライト(12a)を残して、他の第1フライト(12b)(12c)に代えて、残された前記1条の第1フライトよりも前記シリンダ(3)の内周面(3a)とのクリアランス(C2)が大きく(C2>C1)されて、前記ベース樹脂(2)、および前記強化繊維の通過を許容する第2フライト(12b′)(12c′)が、前記他の第1フライトに連続して設けられることにより、残された1条の前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、2条以上の隣り合う前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足してもよい。
さらに請求項4のように、搬送方向(F)の下流側の領域(S2b)では、前記2条以上の第1フライト(12a)〜(12c)のうち1条の第1フライト(12a)を残して、他の第1フライト(12b)(12c)に代えて、前記搬送方向の上流側と下流側とを繋ぐ切欠(21)を備え、前記切欠を通して前記ベース樹脂(2)、および前記強化繊維の通過を許容する第2フライト(12b′)(12c′)が、前記他の第1フライトに連続して設けられることにより、残された1条の前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、2条以上の隣り合う前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足してもよい。
また請求項5のように、繊維混練ステージ(S2)のうち前記搬送方向(F)の下流側には、前記搬送方向の上流側の領域(S2a)より前記第1フライト(12)のピッチ幅(P2b)が大きい(P2b>P2a)下流側の領域(S2b)が設けられることにより、前記下流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足してもよい。
さらに請求項6のように、繊維混練ステージ(S2)のうち前記搬送方向(F)の下流側には、前記搬送方向の上流側の領域(S2a)より前記第1フライト(12)間に構成される凹溝(13)の、径方向の深さD2bが大きい(D2b>D2a)下流側の領域(S2b)が設けられることにより、前記下流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足してもよい。
請求項7の発明は、ベース樹脂(2)と強化繊維とを含む繊維強化樹脂(16)からなる樹脂成形体(7)の製造方法であって、前記本発明の射出成形機(1)の前記シリンダ(3)に、前記樹脂供給部(5)から前記ベース樹脂を供給し、供給された前記ベース樹脂を、前記スクリュー(10)の回転に伴って前記先端部へ向かう前記搬送方向(F)に搬送しながら加熱して可塑化させるとともに、前記繊維供給部(15)から供給された長尺の前記ロービング(14)を、前記スクリューの回転に伴って前記シリンダ内に連続的に引き込んで、前記ベース樹脂と混練して前記繊維強化樹脂を調製する工程、および調製した前記繊維強化樹脂を、前記ノズル(6)を介して前記シリンダに接続された金型(8)の型内空間に充填して、前記樹脂成形体を成形する工程を含む樹脂成形体の製造方法である。
なお、この項においてカッコ内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号によって、特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1の発明によれば、スクリューの外周面にらせん状に形成される第1フライト間に構成される空間の、スクリューの軸方向に沿う縦断面積が、繊維混練ステージのうち、ベース樹脂の搬送方向の下流側(シリンダの先端部側)において、上流側(シリンダの基端側)よりも大きくされることで、強化繊維の折損を抑制することができる。
すなわち強化繊維は、応力が加わって曲げられた際に、その角度が一定の範囲を超えると、折損して繊維長が短くなる。この強化繊維の折損には、隣り合う第1フライト間の空間内で発生するせん断速度分布や速度分布の乱れ、つまり繊維強化樹脂の乱流が関わっている。そして、隣り合う第1フライト間の空間の縦断面積によって規定される空間容積を大きくするほど、乱流の影響を小さくして、強化繊維の折損を抑制することができる。
しかも、上記の構成によれば、繊維供給部から供給された直後のロービングを、繊維混練ステージのうち、第1フライト間の空間の縦断面積が小さい上流側において、当該上流側の空間内で発生するせん断力によって、個々の強化繊維に良好に解繊させて、ベース樹脂中に均一に分散させることもできる。
したがって、上記の構成によれば、主に繊維混練ステージのうち下流側における、第1フライト間の空間の機能によって、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状よりもさらに長くすることができる上、繊維長を長くすることで低下しがちな強化繊維の分散性を、主として繊維混練ステージのうち上流側における、第1フライト間の空間の機能によって向上させることができる。そして、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体を製造することが可能となる。
請求項2〜4の発明によれば、繊維混練ステージのうち、ベース樹脂の搬送方向の上流側の領域(以下「第1繊維混練ステージ」と略記する場合がある。)を、2条以上の第1フライトを備えた多条構造とし、かつ第1繊維混練ステージより下流側の領域(以下「第2繊維混練ステージ」と略記する場合がある。)を、上記多条構造のフライトのうち1条の第1フライトを残して、下記の各形状のうちの少なくとも1種の、ベース樹脂、および強化繊維の通過を許容しうる形状としている。
・ 他の第1フライトを省略する。
・ 他の第1フライトに代えて、クリアランスの大きい第2フライトを形成する。
・ 他の第1フライトに代えて、切欠を備える第2フライトを形成する。
・ 他の第1フライトを省略する。
・ 他の第1フライトに代えて、クリアランスの大きい第2フライトを形成する。
・ 他の第1フライトに代えて、切欠を備える第2フライトを形成する。
そのため、当該第2繊維混練ステージにおける、残された1条の第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージにおける、2条以上の隣り合う第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)よりも大きい、任意の値に設定することができる。
しかも第2繊維混練ステージは、たとえば、第1繊維混練ステージと同じ多条構造のフライトを形成した後、1条の第1フライトを加工せずに残して他のフライトを加工するだけで、上記少なくとも1種の形状とすることができ、加工が容易である。ただし第2繊維混練ステージは、あとから加工するのではなく、あらかじめ、上記少なくとも1種の形状に形成してもよい。
請求項5、6の発明によれば、繊維混練ステージを構成するフライトが1条のみの単状構造、あるいは2条以上の多条構造に拘らず、第2繊維混練ステージにおいて第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージにおいて第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)よりも大きい、任意の値に設定することができる。
請求項7の発明によれば、前述したスクリューの形状による効果に基づいて、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状のダイレクトロービング法による場合よりもさらに長くすることができる上、繊維長を長くすることで低下しがちな強化繊維の分散性をも向上することができる。そして高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体を製造することができる。
〈射出成形機〉
図1は、本発明の射出成形機1の、実施の形態の一例の概略を説明する、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿う断面図である。
図1は、本発明の射出成形機1の、実施の形態の一例の概略を説明する、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿う断面図である。
図1を参照して、射出成形機1は、ベース樹脂2を、図中に白抜きの矢印で示す搬送方向Fに搬送しながら加熱して可塑化させるシリンダ3を含んでいる。シリンダ3は、筒状に形成されている。
シリンダ3の、搬送方向Fの上流側(図では右側)の基端付近には、たとえば、ペレット状とされたベース樹脂2を収容するホッパ4が、樹脂供給装置5を介して接続されている。樹脂供給装置5は、ホッパ4に収容されるベース樹脂2を、たとえば、あらかじめ設定された供給量で、シリンダ3に供給する樹脂供給部の一例である。
シリンダ3の、搬送方向Fの下流側(図では左側)の先端部にはノズル6が接続され、当該ノズル6を介して、製造する樹脂成形体7の形状に対応した金型8が接続されている。ノズル6は、図に示すように少なくとも射出成形時には、金型8のスプルーに接続される。
シリンダ3の外周には、シリンダ3内を搬送されるベース樹脂2を加熱して可塑化させるための筒状のヒータ9が、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿って複数個、シリンダ3の外周を囲むように設けられている。複数のヒータ9は、たとえば、一括して温度調整してもよいし、それぞれ個別に温度調整してもよい。
シリンダ3内には、シリンダ3内でベース樹脂2を混練しながら、上記搬送方向Fに搬送するためのスクリュー10が設けられている。スクリュー10は、シリンダ3の略全長に亘る回転軸11と、回転軸11の外周面から外方に突設された、らせん状のフライト12とを含んでいる。回転軸11とフライト12とは、たとえば、一体に形成されている。
スクリュー10は、回転軸11の中心軸を、シリンダ3の軸線Xと一致させて、シリンダ3内に、上記軸線Xを中心として回転可能に挿通されている。
回転軸11は、ベース樹脂2の搬送方向Fの略全長に亘って、シリンダ3の内周面より小径とされている。
フライト12の、径方向の外縁は、軸線Xと直交する平面への投影形状が、軸線Xを中心とする円形とされ、フライト12の円形は、回転軸11と同心状に配設されている。
またフライト12の円形の外径は、シリンダ3の内周面の内径より僅かに小径とされている。そのため、回転軸11の中心軸を、シリンダ3の軸線Xと一致させた図の配設状態において、フライト12の、径方向の外縁は、シリンダ3の内周面と、その全周に亘って、所定のクリアランス(図3(a)〜(c)中のC1)を隔てて対峙している。
またスクリュー10の外周には、回転軸11の外周面とフライト12との間に、シリンダ3の内周面との間でベース樹脂2を収容し、搬送するためのらせん状の凹溝13が構成されている。
ベース樹脂2は、ホッパ4から、樹脂供給装置5を介して凹溝13内に供給される。
スクリュー10は、図示しない回転機構により、図中に実線の矢印で示すように一方向に回転される。そうすると、ホッパ4から凹溝13内に供給されたベース樹脂2は、スクリュー10の回転に伴って、フライト12からせん断力を受けて混練されながら、白抜きの矢印で示す搬送方向Fに搬送されるとともに、ヒータ9からの熱によって加熱されて、徐々に可塑化される。
シリンダ3の、ベース樹脂2の搬送方向Fの途中には、その内外を繋いで、長尺のロービング14をシリンダ3内に連続的に供給するための繊維供給部としての繊維供給口15が設けられている。
シリンダ3内を搬送途中のベース樹脂2中に、上記繊維供給口15を通して連続的に供給されたロービング14は、スクリュー10の回転に伴ってフライト12からせん断力を受けて、個々の強化繊維に解繊されながら、ベース樹脂2と混練される。これにより、繊維供給口15からノズル6に達するまでの間のシリンダ3内で、樹脂成形体7のもとになる繊維強化樹脂16が調製される。
スクリュー10は、調製された射出成形前の繊維強化樹脂16の量が徐々に増加するのに合わせて、シリンダ3内を、ベース樹脂2の搬送方向Fの上流側に徐々に移動される。これにより、シリンダ3の、ノズル6が接続された先端部側に、調製された繊維強化樹脂16が蓄積される。
そして、ノズル6を介してシリンダ3に金型8が接続された状態で、スクリュー10が、上記搬送方向Fの下流側に移動される。そうすると、シリンダ3の上記先端部側に蓄積された繊維強化樹脂16が、ノズル6を通して射出され、金型8の型内空間に充填されて、樹脂成形体7が製造される。
繊維供給口15は、ベース樹脂2を加熱して可塑化させた際に発生するガスや水分等を除去するベント口としても機能する。
金型8は、図1の例では、樹脂成形体7の外観形状に対応した外型(キャビティ)8aと、樹脂成形体7の内部形状に対応した内型(コア)8bとを含んでいる。しかし、製造する樹脂成形体7の形状に応じて、金型8の形状や構造は、任意に設定することができる。
図2は、図1の例の射出成形機1に組み込まれるスクリュー10の、具体的な外観の一例を示す正面図である。
図2を参照して、スクリュー10は、1本の円柱状に形成されており、図中に白矢印で示すベース樹脂2の搬送方向Fの上流側から下流側へかけて順に、図示しない回転機構との接続部17、本体部18、およびノズル6に臨む先端部19を含んでいる。
本体部18の、ベース樹脂2の搬送方向Fの途中の位置には、たとえば、十分に可塑化されていないベース樹脂が搬送方向Fの下流側に搬送されるのを抑制したりするためのダルメージ20が設けられている。
また本体部18の、ダルメージ20より上記搬送方向Fの上流側の領域は、樹脂供給装置5から供給されたベース樹脂を、スクリュー10の回転に伴って上記搬送方向Fに搬送しながら加熱して可塑化させるための可塑化ステージS1とされている。可塑化ステージS1では、1条のフライト12が、一定のピッチ幅P1で形成されている。
また本体部18の、ダルメージ20より上記搬送方向Fの下流側の領域は、繊維供給口15から供給されたロービング14を、スクリュー10の回転に伴って、その周囲に巻き付けながらシリンダ3内に連続的に引き込んで、可塑化されたベース樹脂と混練して繊維強化樹脂16を調製する繊維混練ステージS2とされている。
本体部18を構成する上記各部は、先に説明した射出成形の一連の動作に伴ってスクリュー10がシリンダ3内を搬送方向Fの上流側、下流側に移動しても、繊維混練ステージS2のうちダルメージ20の近傍の領域が、常に繊維供給口15に臨むように、それぞれの形成位置と軸方向の長さが設定されている。これにより、繊維供給口15から供給されたロービング14を繊維混練ステージS2にスムースに供給して、ベース樹脂2と混練することができる。
繊維混練ステージS2は、前述したように、ベース樹脂の搬送方向Fの上流側の第1繊維混練ステージS2aと、それより下流側の第2繊維混練ステージS2bとを備えている。
図3(a)は、図2のスクリュー10のうち第1繊維混練ステージS2aの一部を、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿って拡大して示す断面図である。
図2および図3(a)を参照して、上記第1繊維混練ステージS2aは、3条の第1フライト12a〜12cを備えた多条構造とされている。
各第1フライト12a〜12cの、径方向の外縁は、シリンダ3の内周面3aと、その全周に亘って、所定のクリアランスC1を隔てて対峙している。
クリアランスC1は、シリンダ3内でのスクリュー10の回転を許容し、かつスクリュー10が振れ回りしてもシリンダ3の内周面3aと接触するのを抑制しうる寸法に設定されている。
またクリアランスC1は、前述したようにベース樹脂2や強化繊維の通過を完全に制限する寸法ではないが、上記ベース樹脂2、および強化繊維の通過を抑制しながら、スクリュー10の回転に伴って、上記ベース樹脂2、および強化繊維を、搬送方向Fに搬送しうる寸法に設定されている。
クリアランスC1は、とくに限定されないが、たとえば、0.05mm以上であるのが好ましく、0.5mm以下、とくに0.2mm以下であるのが好ましい。これに対して、強化繊維の直径は、たとえば、5〜50μm程度である。
また、各第1フライト12a〜12cは、可塑化ステージS1の、1条のフライト12のピッチ幅P1よりも大きい一定のピッチ幅P2(>P1)で、当該ピッチ幅P2の1/3ずつベース樹脂の搬送方向Fにずらして、当該搬送方向Fに等間隔に形成されている。
第1フライト12a〜12cのピッチ幅P2を、上記のようにP2>P1とすると、ベース樹脂2の搬送速度が、ダルメージ20より下流側(繊維混練ステージS2側)において上流側(可塑化ステージS1側)より速くなる、および/またはベース樹脂2の搬送量が、ダルメージ20より下流側において上流側より多くなる。
そのため、シリンダ3内を搬送途中のベース樹脂2が繊維供給口15から漏出する、いわゆるベントアップの発生が抑制される。
なおベントアップの発生を抑制するためには、上述したピッチ幅を調整することに加えて、たとえば、下記のいずれか1種または2種以上の手段を併用してもよい。
・ スクリュー10の、回転軸11の外径を調整して、ダルメージ20に隣接するフライト12間の凹溝13の、径方向の深さを、ダルメージ20より下流側(繊維混練ステージS2側)の凹溝13において上流側(可塑化ステージS1側)の凹溝13より大きくする。
・ ヒータ9による加熱温度を、繊維供給口15の上流側と下流側で異なる温度に設定する。
・ ホッパ4からのベース樹脂2の供給量を、樹脂供給装置5によって調整する。
・ その他、従来知られている、ベントアップの発生を抑制する手法を採用する。
・ スクリュー10の、回転軸11の外径を調整して、ダルメージ20に隣接するフライト12間の凹溝13の、径方向の深さを、ダルメージ20より下流側(繊維混練ステージS2側)の凹溝13において上流側(可塑化ステージS1側)の凹溝13より大きくする。
・ ヒータ9による加熱温度を、繊維供給口15の上流側と下流側で異なる温度に設定する。
・ ホッパ4からのベース樹脂2の供給量を、樹脂供給装置5によって調整する。
・ その他、従来知られている、ベントアップの発生を抑制する手法を採用する。
図3(b)は、図2のスクリュー10のうち第2繊維混練ステージS2bの一部を、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿って拡大して示す断面図である。
図2および図3(b)を参照して、第2繊維混練ステージS2bは、第1繊維混練ステージS2aから連続する、同じピッチ幅P2と同じ形成間隔を有する3条のフライトを備えた多条構造とされている。
ただし、第2繊維混練ステージS2bでは、1条の第1フライト12aを残して、他の2条の第1フライト12b、12cに代えて、第2フライト12b′、12c′が、上記他の2条の第1フライト12b、12cに連続して設けられている。
第2フライト12b′、12c′は、径方向の外縁と、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2が、それぞれ第1フライト12a〜12cのクリアランスC1よりも大きく(C2>C1)されている。詳しくは、クリアランスC2は、ベース樹脂2や強化繊維の通過を許容しうる寸法に設定される。
クリアランスC2は、とくに限定されないが、たとえば、0.8mm以上、とくに1mm以上であるのが好ましい。
これにより、残された1条の第1フライト12a間の3つの凹溝13を、第2フライト12b′、12c′の、クリアランスC2を設けることで径方向の外縁の外側に形成される間隙を介して一つに繋いで、1条の第1フライト12a間に、より大きい空間を構成することができる。
そして、当該空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージS2aにおける、1つの凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2a(mm2)よりも大きくして、式(I)を満足させることができる。
そのため、前述したように、残された1条の第1フライト12a間の空間の縦断面積A2b(mm2)によって規定される空間容積を大きくし、乱流の影響を小さくして、強化繊維の折損を抑制することができる。そして、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状よりもさらに長くすることができる。
したがって、第1繊維混練ステージS2aにおいて、繊維供給口15から供給された直後のロービング14を、個々の強化繊維に良好に解繊させて、ベース樹脂中に均一に分散できることと相まって、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体7を製造することが可能となる。
第2フライト12b′、12c′は、たとえば、あらかじめ第1繊維混練ステージS2aの第1フライト12b、12cと連続して同寸法に形成した2条のフライトの外縁を研削加工等するだけで形成することができ、加工が容易である。
しかも、研削加工等の加工量を調整するだけで、残された1条の第1フライト12a間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)を、容易に、任意の値に設定することもできる。
ただし第2フライト12b′、12c′は、あとから研削加工等して形成するのではなく、あらかじめ、上記所定のクリアランスC2を有する高さに形成してもよい。
なお図の例では、第2フライト12b′、12c′のクリアランスC2を同じ寸法に設定していたが、それぞれの第2フライト12b′、12c′で、クリアランスC2を違えてもよい。ただし、加工の容易性等を考慮すると、それぞれの第2フライト12b′、12c′で、クリアランスC2を同じにするのが好ましい。
図3(c)は、第2繊維混練ステージS2bの変形例の一部を、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿って拡大して示す断面図である。
図2、図3(c)を参照して、この例では、第2繊維混練ステージS2bにおいて、1条の第1フライト12aを残して、他の2条の第1フライト12b、12cが省略されている。
これにより、残された1条の第1フライト12a間の3つの凹溝13を、一つの大きな凹溝13として、1条の第1フライト12a間に、より大きい空間を形成することができる。そして、当該空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージS2aにおける、1つの凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2a(mm2) よりも大きくして、式(I)を満足させることができる。
そのため、やはり乱流の影響を小さくして、強化繊維の折損を抑制し、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状よりもさらに長くすることができる。
そして、第1繊維混練ステージS2aにおいて、繊維供給口15から供給された直後のロービング14を、個々の強化繊維に良好に解繊させて、ベース樹脂中に均一に分散できることと相まって、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体7を製造することが可能となる。
なお図3(c)の例では、第1フライト12b、12cを両方とも省略していたが、このうち一方のみ省略して他方は、図3(b)の例と同様に、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2の大きい第2フライトとしてもよい。
第1フライト12b、12cを省略するには、たとえば、あらかじめ第1繊維混練ステージS2aの第1フライト12b、12cと連続して同寸法に形成した2条のフライトを研削加工等して除去するだけでよく、加工が容易である。
ただし第1フライト12b、12cは、あとから研削加工等して除去するのではなく、あらかじめ形成するのを省略してもよい。
図4(a)は、第2繊維混練ステージS2bの、さらに他の変形例の一部を、ベース樹脂2の搬送方向Fに沿って拡大して示す正面図、図4(b)は、上記変形例の一部を、ベース樹脂2の搬送方向Fと交差方向に沿って拡大して示す断面図である。
図2、図4(a)(b)を参照して、この例では、第2繊維混練ステージS2bは、第1繊維混練ステージS2aから連続する、同じピッチ幅P2と同じ形成間隔を有する3条のフライトを備えた多条構造とされている。
ただし、第2繊維混練ステージS2bでは、1条の第1フライト12aを残して、他の2条の第1フライト12b、12cに代えて、第2フライト12b′、12c′が、他の2条の第1フライト12b、12cに連続して設けられている。
第2フライト12b′、12c′は、図中に白矢印で示すベース樹脂2の搬送方向Fの上流側と下流側とを繋ぐ切欠21を備えており、当該切欠21を介して、ベース樹脂2、および強化繊維の通過が許容されている。
これにより、残された1条の第1フライト12a間の3つの凹溝13を、切欠21を介して一つに繋いで、1条の第1フライト12a間に、より大きい空間を構成することができる。そして、当該空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージS2aにおける、1つの凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2a(mm2)よりも大きくして、式(I)を満足させることができる。
そのため、やはり乱流の影響を小さくして、強化繊維の折損を抑制し、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状よりもさらに長くすることができる。
そして、第1繊維混練ステージS2aにおいて、繊維供給口15から供給された直後のロービング14を、個々の強化繊維に良好に解繊させて、ベース樹脂中に均一に分散できることと相まって、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体7を製造することが可能となる。
なお切欠21を、図では第2フライト12b′、12c′の周方向の1箇所のみ示しているが、切欠21は、周方向の複数か所に、等角度で、あるいは不等角度で、任意に設けることができる。
また、切欠21の大きさも、任意に設定することができる。
たとえば、図の例では切欠21は、スクリュー10の回転軸11の中心軸を中心とする開角度θ1の範囲に亘って、フライト12b、12cの径方向の外縁から回転軸11の外周面に達する範囲に設けられている。
切欠21の開角度θ1は、0°を超え、360°未満の任意の範囲に設定することができる。また、図4(c)に示すように切欠21は、第2フライト12b′、12c′の径方向の外縁から、当該12b、12cの径方向の途中までの範囲に設けてもよい。
切欠21は、フライト12b、12cの外縁を研削加工等して形成することができ、形成する切欠21の数や大きさを上記のように調整するだけで、残された1条の第1フライト12a間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)を、容易に、任意の値に設定することもできる。
ただし切欠21は、あとから研削加工等して形成するのではなく、第2フライト12b′、12c′を、あらかじめ、上記所定の切欠21を備えた形状に形成してもよい。
なお図4(a)の例では、第2フライト12b′、12c′の両方に切欠21を備えていたが、このうち一方のみに切欠21を設けて他方は図3(b)の例と同様に、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2を大きくしたり、図3(c)の例と同様に省略したりしてもよい。
なお、強化繊維の繊維長をできるだけ長くするためには、上述した空間の縦断面積を調整することに加えて、たとえば、下記のいずれか1種または2種以上の手段を併用してもよい。
・ シリンダ3の内周面3aと、フライト12の径方向の外縁とのクリアランスC1を調整する。
・ ノズル6のノズル径や、金型8のランナー径等を、通常よりも拡大する。
・ その他、従来知られている、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を長くする手法を採用する。
・ シリンダ3の内周面3aと、フライト12の径方向の外縁とのクリアランスC1を調整する。
・ ノズル6のノズル径や、金型8のランナー径等を、通常よりも拡大する。
・ その他、従来知られている、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を長くする手法を採用する。
なお、上記各図の例では、繊維混練ステージS2のうち少なくとも第2繊維混練ステージS2bにおいて、ベース樹脂2の搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて、回転軸11の外径が徐々に大きくされている。
これにより、各フライト12a〜12c間に構成される凹溝13の、径方向の深さ(図3(a)〜(c)中のD1)を、上記搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて徐々に小さくし、凹溝13内で発生するせん断力を徐々に高めて、ベース樹脂2と強化繊維とをより強固に結合させることができる。
図5(a)は、図1の例の射出成形機1に組み込まれるスクリュー10の、他の例の一部を拡大して示す正面図である。
なお図5(a)では、スクリュー10のうち、ダルメージ20より、図中に白矢印で示すベース樹脂2の搬送方向Fの下流側のみ示しており、上流側は図示していないが、全体は、図2のスクリュー10と同様に構成されている。
すなわち図2、図5(a)を参照して、この例のスクリュー10は、1本の円柱状に形成されており、上記搬送方向Fの上流側から下流側へかけて順に、接続部17、本体部18、およびノズル6に臨む先端部19を含んでいる。
また本体部18の、ベース樹脂2の搬送方向Fの途中の位置にはダルメージ20が設けられており、ダルメージ20より上流側は、可塑化ステージS1とされている。可塑化ステージS1では、1条のフライト12が、一定のピッチ幅P1で形成されている。
本体部18の、ダルメージ20より搬送方向Fの下流側の領域は、繊維供給口15から供給されたロービング14を、スクリュー10の回転に伴って、その周囲に巻き付けながらシリンダ3内に連続的に引き込んで、可塑化されたベース樹脂と混練する繊維混練ステージS2とされている。
繊維混練ステージS2は、前述したように、ベース樹脂の搬送方向Fの上流側の第1繊維混練ステージS2aと、それより下流側の第2繊維混練ステージS2bとを備えている。
第1繊維混練ステージS2aは、3条の第1フライト12を備えた多条構造とされている。
各第1フライト12は、ベントアップの発生を抑制するため、可塑化ステージS1の、1条のフライト12のピッチ幅P1よりも大きい一定のピッチ幅P2a(>P1)で、当該ピッチ幅P2aの1/3ずつベース樹脂の搬送方向Fにずらして、当該搬送方向Fに等間隔に形成されている。
第2繊維混練ステージS2bは、第1繊維混練ステージS2aから連続する、3条の第1フライト12を備えた多条構造とされている。
ただし、第2繊維混練ステージS2bでは、各第1フライト12のピッチ幅P2bが、第1繊維混練ステージS2aにおける各第1フライト12のピッチ幅P2aより大きく(P2b>P2a)されている。
より詳しくは、ピッチ幅P2bが、第1繊維混練ステージS2aとの境界部において、ピッチ幅P2aより大きくされ、なおかつ先端部19へ向けて、さらにピッチ幅P2bが徐々に大きくされている。
これにより、第2繊維混練ステージS2bにおいて、各第1フライト12間の凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージS2aにおいて、各第1フライト12間の凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2a(mm2)よりも大きくして、式(I)を満足させることができる。
そのため、やはり乱流の影響を小さくして、強化繊維の折損を抑制し、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状よりもさらに長くすることができる。
そして、第1繊維混練ステージS2aにおいて、繊維供給口15から供給された直後のロービング14を、個々の強化繊維に良好に解繊させて、ベース樹脂中に均一に分散できることと相まって、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体7を製造することが可能となる。
なお図5(a)の例においては、3条の第1フライト12のうち1条を残して、他の2条のフライト12について、さらに
・ 図3(b)の例と同様に、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2の大きい第2フライトとする、
・ 図3(c)の例と同様に省略する、および
・ 図4(a)の例と同様に切欠21を備えた第2フライトとする、
のうちの少なくとも1種としてもよい。
・ 図3(b)の例と同様に、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2の大きい第2フライトとする、
・ 図3(c)の例と同様に省略する、および
・ 図4(a)の例と同様に切欠21を備えた第2フライトとする、
のうちの少なくとも1種としてもよい。
また第1フライト12を、1条のみの単状構造としてもよい。
また図の例では、繊維混練ステージS2を第1繊維混練ステージS2aと第2繊維混練ステージS2bに分けて、後者の第1フライト12のピッチ幅P2bを、前者の第1フライト12のピッチ幅P2aより大きくしていた。しかし繊維混練ステージS2を2つのステージに分けずに、上流側(ダルメージ20側)から下流側(先端部19)へ向けて、連続して、ピッチ幅を徐々に大きくしてもよい。
また図の例では、繊維混練ステージS2のうち少なくとも第2繊維混練ステージS2bにおいて、ベース樹脂2の搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて、回転軸11の外径が徐々に大きくされている。
これにより、各フライト12間に構成される凹溝13の、径方向の深さを、上記搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて徐々に小さくし、凹溝13内で発生するせん断力を徐々に高めて、ベース樹脂2と強化繊維とをより強固に結合させることができる。
図5(b)は、図1の例の射出成形機1に組み込まれるスクリュー10の、さらに他の例の一部を拡大して示す正面図である。
この図5(b)でも、やはりスクリュー10のうち、ダルメージ20より、図中に白矢印で示すベース樹脂2の搬送方向Fの下流側のみ示しており、上流側は図示していないが、全体は、図2のスクリュー10と同様に構成されている。
すなわち図2、図5(b)を参照して、この例のスクリュー10は、1本の円柱状に形成されており、上記搬送方向Fの上流側から下流側へかけて順に、接続部17、本体部18、およびノズル6に臨む先端部19を含んでいる。
また本体部18の、ベース樹脂2の搬送方向Fの途中の位置にはダルメージ20が設けられており、ダルメージ20より上流側は、可塑化ステージS1とされている。可塑化ステージS1では、1条のフライト12が、一定のピッチ幅P1で形成されている。
本体部18の、ダルメージ20より搬送方向Fの下流側の領域は、繊維供給口15から供給されたロービング14を、スクリュー10の回転に伴って、その周囲に巻き付けながらシリンダ3内に連続的に引き込んで、可塑化されたベース樹脂と混練する繊維混練ステージS2とされている。
繊維混練ステージS2は、前述したように、ベース樹脂の搬送方向Fの上流側の第1繊維混練ステージS2aと、それより下流側の第2繊維混練ステージS2bとを備えている。
第1繊維混練ステージS2aは、3条の第1フライト12を備えた多条構造とされている。
各第1フライト12は、ベントアップの発生を抑制するため、可塑化ステージS1の、1条のフライト12のピッチ幅P1よりも大きい一定のピッチ幅P2a(>P1)で、当該ピッチ幅P2aの1/3ずつベース樹脂の搬送方向Fにずらして、当該搬送方向Fに等間隔に形成されている。
また図の例では、第1繊維混練ステージS2aにおいて、ベース樹脂2の搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて、回転軸11の外径が徐々に大きくされている。
これにより、各第1フライト12間に構成される凹溝13の、径方向の深さD2aを、上記搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて徐々に小さくし、凹溝13内で発生するせん断力を徐々に高めて、ベース樹脂2と強化繊維とを、より強固に結合させることができる。
第2繊維混練ステージS2bは、第1繊維混練ステージS2aから連続する、3条の第1フライト12を備えた多条構造とされている。
ただし、第2繊維混練ステージS2bでは、ベース樹脂2の搬送方向Fの上流側から下流側へ向けて、回転軸11の外径が徐々に小さくされている。
これにより、各第1フライト12間に構成される凹溝13の、径方向の深さD2bが、上記下流側へ向けて徐々に大きくされて、第1繊維混練ステージS2aの、とくに搬送方向Fの下流側の領域における上記凹溝13の深さD2aよりも大きく(D2b>D2a)されている。
そのため、第2繊維混練ステージS2bにおいて、各第1フライト12間の凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2b(mm2)を、第1繊維混練ステージS2aにおいて、各第1フライト12間の凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2a(mm2)よりも大きくして、式(I)を満足させることができる。
したがって、やはり乱流の影響を小さくして、強化繊維の折損を抑制し、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状よりもさらに長くすることができる。
そして、第1繊維混練ステージS2aにおいて、繊維供給口15から供給された直後のロービング14を、個々の強化繊維に良好に解繊させて、ベース樹脂中に均一に分散できることと相まって、より高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体7を製造することが可能となる。
なお図5(b)の例においては、3条の第1フライト12のうち1条を残して、他の2条のフライト12について、さらに
・ 図3(b)の例と同様に、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2の大きい第2フライトとする、
・ 図3(c)の例と同様に省略する、および
・ 図4(a)の例と同様に切欠21を備えた第2フライトとする、
のうちの少なくとも1種としてもよい。
・ 図3(b)の例と同様に、シリンダ3の内周面3aとのクリアランスC2の大きい第2フライトとする、
・ 図3(c)の例と同様に省略する、および
・ 図4(a)の例と同様に切欠21を備えた第2フライトとする、
のうちの少なくとも1種としてもよい。
また図5(b)の例、もしくは、それに上記3種のうちの1種を組み合わせた上に、さらに図5(a)の例と同様に、3条の第1フライト12のピッチ幅を大きくしてもよい。
また第1フライト12を、1条のみの単状構造としてもよい、
また図の例では、繊維混練ステージS2を第1繊維混練ステージS2aと第2繊維混練ステージS2bに分けて、後者の凹溝13の深さD2bを、前者の凹溝13の深さD2aより大きくしていた。しかし繊維混練ステージS2を2つのステージに分けずに、上流側(ダルメージ20側)から下流側(先端部19)へ向けて、連続して、凹溝13の深さを徐々に大きくしてもよい。
また図の例では、繊維混練ステージS2を第1繊維混練ステージS2aと第2繊維混練ステージS2bに分けて、後者の凹溝13の深さD2bを、前者の凹溝13の深さD2aより大きくしていた。しかし繊維混練ステージS2を2つのステージに分けずに、上流側(ダルメージ20側)から下流側(先端部19)へ向けて、連続して、凹溝13の深さを徐々に大きくしてもよい。
〈樹脂成形体の製造方法〉
上記いずれかのスクリュー10を含む射出成形機1と、金型8とを用いて、本発明の製造方法によって樹脂成形体7を製造するためには、まずホッパ4に、ベース樹脂2を供給する。また、長尺の連続したロービング14を用意する。
上記いずれかのスクリュー10を含む射出成形機1と、金型8とを用いて、本発明の製造方法によって樹脂成形体7を製造するためには、まずホッパ4に、ベース樹脂2を供給する。また、長尺の連続したロービング14を用意する。
ベース樹脂2としては、樹脂成形体7の形成材料である繊維強化樹脂16を構成し得る、種々の樹脂が使用可能である。とくに、前述した強度や剛性、耐摩耗性等が求められる樹脂成形体7を形成するためのベース樹脂2としては、たとえば、ポリアミド(PA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。
ポリアミドの具体例としては、たとえば、PA6、PA66、PA46、PA12、PA612、PA610、PA11、PA410等の脂肪族ポリアミドや、PA6T、PA9T、PA10T、PAMXD6等の芳香族ポリアミド等が挙げられる。ベース樹脂2は、従来同様に、ペレット状等として供給すればよい。
ポリアミドは、たとえば、製造した樹脂成形体7を非酸化性雰囲気中で加熱することにより、末端に残留するカルボキシル基(−COOH)とアミノ基(−NH2)との反応によって高分子量化される。また、上記の加熱によってカルボキシル基およびアミノ基が強化繊維と反応して、当該強化繊維と強固に密着される。
かかる反応を促進するため、ポリアミドには、反応助剤を配合してもよい。
反応助剤としては、たとえば、カルボジイミド等が挙げられる。カルボジイミドは、分子中のカルボジイミド基(−N=C=N−)の作用によって、ポリアミドの末端のカルボキシル基とアミノ基の反応を進行させたり、カルボキシル基およびアミノ基を強化繊維と反応させたり、それ自体がカルボキシル基およびアミノ基と反応したりする。そのため、カルボジイミドによれば、ポリアミドを高分子量化することができる。また、ポリアミドと強化繊維の密着性を向上することもできる。
カルボジイミドとしては、分子中にカルボジイミド基を有する化合物であれば、とくに制限されず、カルボジイミド基を1つ有するモノカルボジイミドであってもよいし、カルボジイミド基を複数有するポリカルボジイミドであってもよい。また、脂肪族系カルボジイミド、芳香族系カルボジイミド、カルボジイミド変性体等の、種々のカルボジイミドが使用可能である。
カルボジイミドの配合割合は、とくに限定されないが、繊維強化樹脂16の調製に用いる原料の総量中の0.5質量%以上であるのが好ましく、4質量%以下であるのが好ましい。
カルボジイミドは、たとえば、単体で供給してもよいし、ポリアミドとドライブレンドしたマスターバッチとして供給してもよい。
ロービング14を構成する強化繊維としては、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。ロービング14は、従来同様に、これらの強化繊維を集束剤によって集束して作製される。
すなわち、ロービング14は、たとえば、液状の集束剤を、塗布ローラ等を用いて強化繊維に塗布し、高温乾燥させて集束したストランドを、さらに所定の本数、引き揃えて巻き取る等して作製することができる。
次いで、本発明の製造方法では、複数のヒータ9を、たとえば、それぞれ個別に温度管理しながら樹脂供給装置5を作動させて、ホッパ4に収容されたベース樹脂2を、あらかじめ設定された供給量でもって、シリンダ3に供給を開始する。そうすると、供給されたベース樹脂2は、前述したように、スクリュー10の回転に伴ってフライト12からせん断力を受けて混練されながら、白抜きの矢印で示す搬送方向Fに搬送されるとともに、ヒータ9からの熱によって加熱されて、徐々に可塑化される。
この状態で、シリンダ3内を搬送途中のベース樹脂2中に、ロービング14を、繊維供給口15を通して、連続的に供給する。そうすると、供給されたロービング14が、スクリュー10の回転に伴ってフライト12からのせん断力を受けて、個々の強化繊維に解繊されながら、ベース樹脂2と混練される。これにより、繊維供給口15からノズル6に達するまでの間のシリンダ3内で、樹脂成形体7のもとになる繊維強化樹脂16が調製される。
調製された繊維強化樹脂16は、前述したように、ノズル6を通して、金型8の、キャビティ8aとコア8bとの間の型内空間に注入され、充填される。そして、型内空間の形状に対応した樹脂成形体7が成形される。
このあと、金型8から取り出した樹脂成形体7を、必要に応じて、非酸化性雰囲気中で加熱したり、あるいは大気中でアニールしたりすることにより、樹脂成形体7が製造される。
非酸化性雰囲気としては、たとえば、減圧雰囲気、不活性ガス雰囲気、減圧雰囲気+不活性ガス雰囲気等が挙げられる。
上記の製造方法によれば、前述したスクリュー10の形状による効果に基づいて、樹脂成形体7中に含まれる強化繊維の繊維長を、現状のダイレクトロービング法による場合よりもさらに長くすることができる。そして、高強度でかつ高剛性で、しかも耐摩耗性や耐疲労特性等にも優れた樹脂成形体7を製造することができる。
なお、以上で説明した各図の例において、たとえば、繊維混練ステージS2のフライト12は、3条には限定されず、1条、2条、または4条以上としてもよい。また、可塑化ステージS1のフライト12は、2条以上の多条構造としてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
以下に、本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これらの実施例、比較例によって限定されるものではない。
〈実施例1〉
図1の射出成形機1を用いて、国際標準化機構規格ISO3167において規定された、ISO多目的試験片A形(厚み:4mm、狭い部分の幅:10mm)を、樹脂成形体7として製造した。
図1の射出成形機1を用いて、国際標準化機構規格ISO3167において規定された、ISO多目的試験片A形(厚み:4mm、狭い部分の幅:10mm)を、樹脂成形体7として製造した。
すなわち、長尺のロービング14を、射出成形機1のシリンダ3内を搬送途中のベース樹脂2中に、長尺のまま連続的に供給して繊維強化樹脂16を調製し、シリンダ3の先端にノズル6を介して接続された金型8の型内空間に充填して樹脂成形体7を成形した。
ベース樹脂2としては、非強化のPA66〔旭化成(株)製のレオナ(登録商標)1402S〕を用い、ロービング14としては、ガラス繊維を集束剤によって集束したロービングを用いた。ガラス繊維の割合は、ガラス繊維とベース樹脂の総量の30質量%とした。
スクリュー10としては、下記の構造を有するものを用いた。
(可塑化ステージS1)
図2に示すように、1条のフライト12(幅:3.3mm)を、一定のピッチ幅P1(=28mm)で形成した。
図2に示すように、1条のフライト12(幅:3.3mm)を、一定のピッチ幅P1(=28mm)で形成した。
(第1繊維混練ステージS2a)
図3(a)に示すように、3条の第1フライト12a〜12c(いずれも幅:3.3mm)を、それぞれピッチ幅P2(=45mm)で、当該ピッチ幅P2の1/3ずつベース樹脂の搬送方向Fにずらして、当該搬送方向Fに等間隔に形成した多条構造とした。1つの凹溝13の深さは5.5mm、幅は11.7mm、当該1つの凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2aは64.4mm2であった。
図3(a)に示すように、3条の第1フライト12a〜12c(いずれも幅:3.3mm)を、それぞれピッチ幅P2(=45mm)で、当該ピッチ幅P2の1/3ずつベース樹脂の搬送方向Fにずらして、当該搬送方向Fに等間隔に形成した多条構造とした。1つの凹溝13の深さは5.5mm、幅は11.7mm、当該1つの凹溝13によって構成される空間の縦断面積A2aは64.4mm2であった。
(第2繊維混練ステージS2b)
第1繊維混練ステージS2aと同じ3条の第1フライト12a〜12cのうち、1条の第1フライト12aを残して、他の2条の第1フライト12b、12cの径方向の外縁を研削加工して、第2フライト12b′、12cとした。
第1繊維混練ステージS2aと同じ3条の第1フライト12a〜12cのうち、1条の第1フライト12aを残して、他の2条の第1フライト12b、12cの径方向の外縁を研削加工して、第2フライト12b′、12cとした。
第2フライト12b′、12c′のクリアランスC2は、第1繊維混練ステージS2aにおける第1フライト12a〜12c、および第2繊維混練ステージS2bにおける残された1条の第1フライト12aのクリアランスC1より2mm大きくした。
また、回転軸11の直径を、テーパー部を介して徐々に太くして、ノズル6に臨む先端部19の近傍で、凹溝の深さを3.3mmとした。
残された1条のフライト12a間の幅は41.7mm、残された1条のフライト12a間に構成される空間の縦断面積A2bは、第1繊維混練ステージS2aに続く、深さ5.5mmの領域で206.3mm2、先端部19の近傍で129.0mm2であった。
〈比較例1〉
第2繊維混練ステージS2bの3条の第1フライト12a〜12cを、いずれも研削加工せずに同じ高さのままとして、3つの凹溝13を繋がなかった従来のスクリュー10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、同形状、同寸法の樹脂成形体7を製造した。
第2繊維混練ステージS2bの3条の第1フライト12a〜12cを、いずれも研削加工せずに同じ高さのままとして、3つの凹溝13を繋がなかった従来のスクリュー10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、同形状、同寸法の樹脂成形体7を製造した。
個々の凹溝13によって構成される空間の縦断面積は、第1繊維混練ステージS2aと、それに続く第2繊維混練ステージS2bの、深さ5.5mmの領域で64.4mm2、ノズル6に臨む先端部19の近傍の、深さ3.3mmの領域で38.6mm2であった。
〈強化繊維の繊維長の測定〉
実施例1、比較例1で製造した樹脂成形体中の、強化繊維の数平均繊維長(mm)を、下記の方法によって求めた。
実施例1、比較例1で製造した樹脂成形体中の、強化繊維の数平均繊維長(mm)を、下記の方法によって求めた。
すなわち、樹脂成形体を、灰化炉を用いて、大気雰囲気(窒素および酸素雰囲気)下で燃焼させた後、残渣として残ったガラス繊維を無作為に抽出して繊維長を測定し、その数平均値を、数平均繊維長(mm)として求めた。
その結果、図6に示すように、実施例1によれば、比較例1に比べて、樹脂成形体中に含まれる強化繊維の繊維長を長くできることが判った。
〈引張強度測定〉
各実施例、比較例で製造した樹脂成形体(ISO多目的試験片A形)の引張強度を、国際標準化機構規格ISO527所載の測定方法に則って測定した。
各実施例、比較例で製造した樹脂成形体(ISO多目的試験片A形)の引張強度を、国際標準化機構規格ISO527所載の測定方法に則って測定した。
その結果、図7に示すように、実施例1によれば、比較例1に比べて、樹脂成形体の引張強度を向上できることが判った。
本出願は、2018年3月15日に日本国特許庁に提出された特願2018−48309号に対応しており、この出願の全開示は、個々に引用により組み込まれるものとする。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは、本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明は、これらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
1:射出成形機、2:ベース樹脂、3:シリンダ、3a:内周面、5:樹脂供給装置(樹脂供給部)、6:ノズル、7:樹脂成形体、8:金型、10:スクリュー、12:フライト、12、12a、12b、12c:第1フライト、12b′、12c′:第2フライト、13:凹溝、14:ロービング、15:繊維供給口(繊維供給部)、16:繊維強化樹脂、21:切欠、C1、C2:クリアランス、D2a、D2b:深さ、F:搬送方向、P2a、P2b:ピッチ幅、S2:繊維混練ステージ、S2a:第1繊維混練ステージ、S2b:第2繊維混練ステージ、X:軸線
Claims (7)
- 基端側に、ベース樹脂が供給される樹脂供給部を備え、先端部に、可塑化した前記ベース樹脂を射出するノズルを備えているとともに、前記樹脂供給部と前記先端部との間には、強化繊維からなる長尺のロービングが連続的に供給される繊維供給部を有する筒状のシリンダと、
外周にらせん状のフライトを備え、前記シリンダ内に、中心軸を前記シリンダの軸線と一致させて、当該軸線を中心として回転可能に挿通されたスクリューとを含み、
前記スクリューは、前記回転に伴って、前記ベース樹脂を、前記基端側から前記先端部へ向かう搬送方向に搬送しながら、前記繊維供給部から供給される前記ロービングを、前記シリンダ内に連続的に引き込んで、前記ベース樹脂と混練して繊維強化樹脂を調製する繊維混練ステージを備えているとともに、
前記繊維混練ステージは、前記フライトとして、前記ベース樹脂、および前記強化繊維の通過を抑制しながら、前記スクリューの回転に伴って前記ベース樹脂、および前記強化繊維を前記搬送方向に搬送する第1フライトを少なくとも備えており、
前記繊維混練ステージのうち前記ベース樹脂の搬送方向の上流側における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)と、前記搬送方向の下流側における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)とが、式(I):
A2a<A2b (I)
を満足している射出成形機。 - 前記繊維混練ステージのうち前記搬送方向の上流側には、2条以上の前記第1フライトを備える上流側の領域が設けられているとともに、前記上流側の領域より前記搬送方向の下流側の領域では、前記2条以上の第1フライトのうち1条の第1フライトを残して他の第1フライトが省略されることにより、残された1条の前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、2条以上の隣り合う前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足している請求項1に記載の射出成形機。
- 前記繊維混練ステージのうち前記搬送方向の上流側には、2条以上の前記第1フライトを備える上流側の領域が設けられているとともに、前記上流側の領域より前記搬送方向の下流側の領域では、前記2条以上の第1フライトのうち1条の第1フライトを残して、他の第1フライトに代えて、残された前記1条の第1フライトよりも前記シリンダの内周面とのクリアランスが大きくされて、前記ベース樹脂、および前記強化繊維の通過を許容する第2フライトが、前記他の第1フライトに連続して設けられることにより、残された1条の前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、2条以上の隣り合う前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足している請求項1または2に記載の射出成形機。
- 前記繊維混練ステージのうち前記搬送方向の上流側には、2条以上の前記第1フライトを備える上流側の領域が設けられているとともに、前記上流側の領域より前記搬送方向の下流側の領域では、前記2条以上の第1フライトのうち1条の第1フライトを残して、他の第1フライトに代えて、前記搬送方向の上流側と下流側とを繋ぐ切欠を備え、前記切欠を通して前記ベース樹脂、および前記強化繊維の通過を許容する第2フライトが、前記他の第1フライトに連続して設けられることにより、残された1条の前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、2条以上の隣り合う前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足している請求項1ないし3のいずれか1項に記載の射出成形機。
- 前記繊維混練ステージのうち前記搬送方向の下流側には、前記搬送方向の上流側の領域より前記第1フライトのピッチ幅が大きい下流側の領域が設けられることにより、前記下流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の射出成形機。
- 前記繊維混練ステージのうち前記搬送方向の下流側には、前記搬送方向の上流側の領域より前記第1フライト間に構成される凹溝の、径方向の深さが大きい下流側の領域が設けられることにより、前記下流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2b(mm2)が、前記上流側の領域における、前記第1フライト間に構成される空間の縦断面積A2a(mm2)に対して前記式(I)を満足している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の射出成形機。
- ベース樹脂と強化繊維とを含む繊維強化樹脂からなる樹脂成形体の製造方法であって、
前記請求項1ないし6のいずれか1項に記載の射出成形機の前記シリンダに、前記樹脂供給部から前記ベース樹脂を供給し、供給された前記ベース樹脂を、前記スクリューの回転に伴って前記先端部へ向かう前記搬送方向に搬送しながら加熱して可塑化させるとともに、前記繊維供給部から供給された長尺の前記ロービングを、前記スクリューの回転に伴って前記シリンダ内に連続的に引き込んで、前記ベース樹脂と混練して前記繊維強化樹脂を調製する工程、および
調製した前記繊維強化樹脂を、前記ノズルを介して前記シリンダに接続された金型の型内空間に充填して、前記樹脂成形体を成形する工程
を含む樹脂成形体の製造方法。
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