JP2023062254A - タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ及びタイヤコード繊維製造用押出機 - Google Patents

タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ及びタイヤコード繊維製造用押出機 Download PDF

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Keita Suzuki
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Abstract

【課題】タイヤコードに用いられる高い強度の繊維となる樹脂原料を、安定した品質で製造する。【解決手段】計量部32fは、マドック型ミキシング部40と、マドック型ミキシング部40よりも上流に設けられるクロスソー型ミキシング部50と、を有し、クロスソー型ミキシング部50を通過する溶融樹脂の流動抵抗FR1が、マドック型ミキシング部40を通過する溶融樹脂の流動抵抗FR2よりも小さい(FR1<FR2)。これにより、タイヤコード繊維製造用押出機は、タイヤコードに用いられる高い強度の繊維となる樹脂原料を、安定した品質で製造することが可能となる。【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤコード製造設備に用いられるタイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ及びタイヤコード繊維製造用押出機に関する。
樹脂ペレットを溶融させて溶融樹脂を吐出する押出機に用いられるスクリュが、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたスクリュには、その基端側から先端側に向けて、供給部,溶融促進部,計量および混練混合部が設けられている。また、計量および混練混合部には、スクリュの軸方向に間隔をおいて第1の混練・混合部および第2の混練・混合部が設けられている。
特許第2824624号公報
特許文献1の第1の混練・混合部および第2の混練・混合部はいずれも同じ形状の混練・混合部であり、衣料用の繊維の製造用であった。タイヤコードの繊維(産業資材用)には、高い強度および安定した品質が求められる。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施形態によれば、計量部は、第1のミキシング部と、第1のミキシング部よりも上流に設けられる第2のミキシング部と、を有し、第2のミキシング部を通過する樹脂原料の流動抵抗が、第1のミキシング部を通過する樹脂原料の流動抵抗よりも小さい。
一実施形態によれば、タイヤコードに用いられる高い強度の繊維となる樹脂原料を、安定した品質で製造することが可能となる。
タイヤコードを製造する設備の一例を示す模式図である。 タイヤコード繊維製造用押出機の構造を示す部分断面図である。 図2のスクリュを単体で示す平面図である。 図3の破線円A部の拡大斜視図である。 図3の破線円B部の拡大斜視図である。 スクリュの計量部での圧力変動を比較したグラフである。 実施例のスクリュの能力(仕様)を示す表である。 比較例のスクリュの能力(仕様)を示す表である。 変形例1のミキシング部を示す拡大図である。 変形例2のミキシング部を示す拡大図である。
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一または実質的に同一の機能を有する部材や機器などには同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
<タイヤコード製造設備の概要>
図1に示されるタイヤコード製造設備10は、樹脂ペレットPRを原料に、タイヤコードTCを製造する設備である。ここで、タイヤコードTCは、タイヤTRの形状を保持するための補強材であり、[押出工程],[繊維製造工程],[撚糸工程],および[製織工程]を経て製造される。
[押出工程]では、タイヤコード繊維製造用押出機20を用い、固形物である樹脂ペレットPRを溶融させて溶融樹脂MRとする処理を行う。なお、タイヤコード繊維製造用押出機20は、タイヤコード製造設備10の全体を統括的に制御するコントローラにより制御される。その後、溶融樹脂MRは、[繊維製造工程]に送られる。
[繊維製造工程]では、溶融樹脂MRをフィルタに通して不純物等を除去(濾過)するとともに、紡糸機を用いて溶融樹脂MRを複数の細い繊維とする。その後、これらの細い繊維を、例えば冷却風に曝して硬化させ、これにより、複数の細い繊維が完成する。なお、硬化されて完成した繊維は、ボビンによって巻き取られる。
[撚糸工程]では、[繊維製造工程]で仕上げられた複数の細い繊維に撚りをかける作業を行う。具体的には、複数の細い繊維を束ねつつ右撚りまたは左撚りで撚りをかけて撚糸とする。これにより、繰り返しの大きな荷重の付加に対して、タイヤコードTCの耐久性を向上させることが可能となる。
[製織工程]では、[撚糸工程]を経て形成された撚糸を、送り出し機を用いてクリールから引き出し、かつ織機本体に送り出す。その後、織機本体を用いて撚糸を布状に編み込む処理が行われる。これにより、タイヤコードTCが完成する。
次に、タイヤコード繊維製造用押出機20の構造について説明する。
<ホッパ>
図1および図2に示されるように、タイヤコード繊維製造用押出機20は、ホッパ21を備えている。ホッパ21は略筒状に形成され、その内部には粒状に形成された無数の樹脂ペレット(ポリマー)PRが貯留されている。ホッパ21は、ペレット投入口22およびペレット排出口23を有し、ホッパ21に貯留された樹脂ペレットPRは、ペレット排出口23からその下流に配置されたペレット供給ブロック35に供給される。
ここで、図2に示されるように、タイヤコード繊維製造用押出機20のホッパ21が配置された側(樹脂ペレットPR側)が「上流」であり、タイヤコード繊維製造用押出機20のノズル部材36が配置された側(溶融樹脂MR側)が「下流」である。
<駆動部>
また、タイヤコード繊維製造用押出機20は、駆動部24を備えている。駆動部24は、駆動源である駆動モータ25と、当該駆動モータ25の回転を減速して高トルク化する減速機26と、を備えている。減速機26の出力軸は、混練処理部30を形成するスクリュ(タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ)32の基端部に連結され、これによりスクリュ32は一方向に回転される。
なお、スクリュ32の回転数は、駆動モータ25の制御により高精度で制御可能となっている。ここで、タイヤコード繊維製造用押出機20は、スクリュ32を1本のみ備えた単軸型の押出機となっている。
<混練処理部>
さらに、タイヤコード繊維製造用押出機20は、混練処理部30を備えている。混練処理部30は、略筒状に形成されたシリンダ31を有しており、当該シリンダ31は、駆動モータ25および減速機26の軸線上に設けられている。シリンダ31の内部には、スクリュ32が回転自在に収容されている。スクリュ32は、シリンダ31に供給された樹脂ペレットPRおよび溶融樹脂MR(樹脂原料)を、上流から下流に向けて混練しながら搬送する機能を備えている。
また、シリンダ31には、その軸方向に並ぶようにして合計6つのヒータ33が設けられている。これらのヒータ33は、略筒状に形成され、スクリュ32の周りを囲むようにして配置されている。ヒータ33は、スクリュ32の回転により搬送される樹脂原料を加熱するもので、ヒータ33の温度管理は、コントローラにより高精度で行われる。
ここで、樹脂ペレットPRは、ヒータ33による加熱の他にも、スクリュ32の回転に伴うせん断作用に起因した発熱(摩擦熱)によっても加熱される。すなわち、コントローラは、スクリュ32の回転数とヒータ33による加熱状態とをバランス良く制御し、ひいては溶融樹脂MRの粘度等を高精度で管理可能となっている。
さらに、図2に示されるように、混練処理部30を形成するシリンダ31の内部には、樹脂ペレットPRおよび溶融樹脂MRを搬送する搬送路34が設けられている。搬送路34は、シリンダ31の内壁31aと、スクリュ32を形成する本体部32aの外壁32bと、スクリュ32のフライト32cと、によって囲まれて形成されている。
ここで、スクリュ32に設けられるフライト32cは、スクリュ32の軸方向に螺旋状に設けられ、かつシリンダ31の内壁31aに摺接可能となっている。これにより、搬送路34の内部の樹脂ペレットPRおよび溶融樹脂MRは、スクリュ32の一方向への回転に伴い、シリンダ31の上流から下流に向けて搬送される。
また、シリンダ31の上流には、ペレット供給ブロック35が一体に設けられている。ペレット供給ブロック35には、供給口35aが設けられ、当該供給口35aは、ホッパ21のペレット排出口23と対向している。これにより、ホッパ21に貯留された樹脂ペレットPRは、供給口35aおよびペレット供給ブロック35の内部を介して、シリンダ31に供給されて搬送路34に入り込む。
さらに、シリンダ31の下流(搬送路34の下流)には、スクリュ32の回転により溶融された溶融樹脂MRを吐出するノズル部材36が一体に設けられている。ノズル部材36は、溶融樹脂MRを濾過するフィルタへと繋がる搬送パイプPの上流に接続され、ノズル部材36から吐出された溶融樹脂MRは、搬送パイプPに送り出される。なお、搬送パイプPの下流はフィルタに接続されている。
混練処理部30は、その上流から下流に向けて、供給領域AR1,圧縮領域AR2および計量領域AR3を備えている。また、これに対応させて、シリンダ31の内部に収容されたスクリュ32には、図3に示されるように、供給部32d,圧縮部32eおよび計量部32fが設けられている。つまり、供給領域AR1に供給部32dが配置され、圧縮領域AR2に圧縮部32eが配置され、計量領域AR3に計量部32fが配置されている。
<供給部>
図2および図3に示されるように、供給領域AR1に配置される供給部32dは、矢印M1のようにホッパ21から供給された樹脂ペレットPRを、スクリュ32の一方向への回転に伴い、圧縮領域AR2(圧縮部32e)に向けて搬送する。供給部32dの搬送路34では、樹脂ペレットPRが押し潰される。そして、その際のせん断作用に起因した発熱(摩擦熱)やヒータ33の加熱により、徐々に樹脂ペレットPRが軟化される。
供給部32dでは、十分な量の樹脂ペレットPRを供給可能とすべく、搬送路34の溝深さG1がその軸方向全域で一定となっている。また、供給部32dは、樹脂ペレットPRを軟化させるために十分な長さL1となっている。
<圧縮部>
圧縮領域AR2に配置される圧縮部32eは、供給部32dの下流に設けられている。圧縮部32eは、供給部32d(供給領域AR1)から搬送されて軟化された樹脂ペレットPRを圧縮し、当該樹脂ペレットPRを完全に溶融させて溶融樹脂MR(図1および図2参照)とする。圧縮部32eは、スクリュ32の一方向への回転に伴い、計量領域AR3(計量部32f)に向けて矢印M2のように樹脂ペレットPR(溶融樹脂MR)を搬送する。圧縮部32eの搬送路34では、その下流に向かうに連れて徐々に樹脂ペレットPR(溶融樹脂MR)が圧縮される。
具体的には、圧縮部32eにおける本体部32aの外壁32bは、図3に示されるように、計量部32fに向けて緩やかな傾斜角度α°で傾斜されている。これにより、圧縮部32eにおける搬送路34の容積は、その上流から下流に向かうに連れて徐々に小さくなる。つまり、圧縮部32eにおける搬送路34の溝深さは、供給部32dの溝深さG1から徐々に浅く(小さく)なっている。
これにより、圧縮部32eでは、軟化された樹脂ペレットPRのシリンダ31の内壁31aに接した部分から溶融されていき、その後、圧縮部32eの下流において完全に溶融されて溶融樹脂MRとなる。ここで、圧縮部32eの長さは、樹脂ペレットPRを完全に溶融させて溶融樹脂MRにし得る長さL2となっている。
<計量部>
計量領域AR3に配置される計量部32fは、圧縮部32eの下流に設けられている。計量部32fは、圧縮部32e(圧縮領域AR2)の搬送路34を経て溶融された溶融樹脂MRを均質化させる。計量部32fは、スクリュ32の一方向への回転に伴い、均質化された溶融樹脂MRをノズル部材36に向けて、脈動等を生じさせずに安定した状態で搬送する。その後、ノズル部材36から搬送パイプPに向けて、矢印M3のように溶融樹脂MRが送り出される。
具体的には、計量部32fにおける搬送路34の溝深さは、供給部32dにおける搬送路34の溝深さG1よりも若干浅い溝深さG2となっている(G2<G1)。また、計量部32fの長さは、溶融樹脂MRを十分に均質化させることが可能な長さL3となっている。
ここで、スクリュ32では、フライト32cのピッチ(フライトピッチ)Ptは軸方向全域で一定であり、スクリュ32の有効長Lとフライト32cの部分の直径寸法Dとの比は[28]となっている(L/D=28)。なお、スクリュ32の有効長Lは、供給部32dの長さL1と、圧縮部32eの長さL2と、計量部32fの長さL3とを加えた値である(L=L1+L2+L3)。
さらに、計量部32fには、計量領域AR3の部分において溶融樹脂MRをより均質化させるべく、溶融樹脂MRの混練性を高めるマドック型ミキシング部(第1のミキシング部)40およびクロスソー型ミキシング部(第2のミキシング部)50が設けられている。マドック型ミキシング部40は、計量部32fの下流に設けられ、クロスソー型ミキシング部50は、マドック型ミキシング部40と圧縮部32eとの間に設けられている。すなわち、クロスソー型ミキシング部50は、マドック型ミキシング部40よりも上流に設けられている。
<マドック型ミキシング部>
マドック型ミキシング部40は、図4に示されるような形状を成している。具体的には、マドック型ミキシング部40は、スクリュ32における本体部32aの外壁32bから径方向外側に膨らんだ膨出部41を備えている。また、膨出部41には、スクリュ32の軸方向に延びるようにして、複数の溝部42および溝部43が設けられている。これらの溝部42および溝部43は、スクリュ32の周方向に交互に等間隔で並んでいる。
また、スクリュ32の周方向において、溝部42と溝部43との間には、仕切壁44および仕切壁45が設けられている。仕切壁44および仕切壁45は、それぞれ溝部42と溝部43とを仕切っており、スクリュ32の周方向に交互に等間隔で並んでいる。そして、仕切壁44は、仕切壁45に対して、スクリュ32の径方向内側に若干窪んでいる。これにより、溶融樹脂MRは、仕切壁44とシリンダ31の内壁31a(図2参照)との間を通過するようになっている。
さらに、溝部42の上流(図中左)には、溶融樹脂MRが流れ込む入口部42aが設けられ、溝部43の下流(図中右)には、溶融樹脂MRが排出される出口部43aが設けられている。これにより、スクリュ32の一方向への回転に伴い、マドック型ミキシング部40の部分を通過する溶融樹脂MRは、破線矢印に示されるように、入口部42aから溝部42,仕切壁44および溝部43を介して出口部43aに到達する。
その際に、溶融樹脂MRは、仕切壁44とシリンダ31の内壁31aとの間の狭い隙間を通り、かつスクリュ32の軸方向および周方向にクランク状に流れる(破線矢印参照)。これにより、マドック型ミキシング部40の部分において、溶融樹脂MRの混練性が高められる。
<クロスソー型ミキシング部>
クロスソー型ミキシング部50は、図5に示されるような形状を成している。具体的には、クロスソー型ミキシング部50は、スクリュ32の軸方向において、隣り合うフライト32cの間に設けられ、かつスクリュ32における本体部32aの外壁32bから径方向外側に膨らんだ複数の凸部51を備えている。複数の凸部51は、鋭角部CNを有するよう鋸刃状に形成されている。これにより、溶融樹脂MRに対する複数の凸部51の接触面積を増大させつつ、クロスソー型ミキシング部50の部分を通過する溶融樹脂MRの混練性が高められる。
さらに、クロスソー型ミキシング部50には、複数の凸部51の間を横切るようにして、スクリュ32の軸線に対して傾斜された複数の溝部GR(図中二点鎖線参照)が設けられている。また、複数の凸部51の突出高さh1は、フライト32cの突出高さh2よりも若干小さくなっている(h1<h2)。
これにより、溶融樹脂MRは、マドック型ミキシング部40の部分よりも、クロスソー型ミキシング部50の部分の方を通過し易くなっている。言い換えれば、図3に示されるように、クロスソー型ミキシング部50を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR1が、マドック型ミキシング部40を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR2よりも小さくなっている(FR1<FR2)。
図3に示されるように、圧縮部32e(圧縮領域AR2)から計量部32f(計量領域AR3)に供給された溶融樹脂MRは、クロスソー型ミキシング部50の上流で圧力P1に高められた後で、マドック型ミキシング部40の上流で圧力P2に更に高められる(P1<P2)。すなわち、計量領域AR3の内部の圧力は、上流から下流に向けて段階的に高められる。
ここで、図6の「圧力(MPa)-時間(分)グラフ」に示されるように、スクリュ32の計量部32f(計量領域AR3)における圧力変動について解析した。その結果、クロスソー型ミキシング部50を備えない「比較例」(図6右側)では、スクリュ32の回転数が大きい状態(例えば回転数70rpm)のときに圧力変動が大きかった。これは、圧縮部32e(圧縮領域AR2)から計量部32f(計量領域AR3)に一気に溶融樹脂MRが流れ込み、これにより溶融樹脂MRの内部に気泡が発生したこと等に起因すると考えられる。ただし、スクリュ32の回転数が小さい状態(例えば回転数10rpm)であれば、クロスソー型ミキシング部50を備えない「比較例」でも何ら問題は生じない。
このように、クロスソー型ミキシング部50を備えない「比較例」では、スクリュ32の回転数を大きくして効率を上げようとする(高吐出とする)と、溶融樹脂MRの内部に気泡が発生してしまい、その結果、混練不良を発生することが判った。このような混練不良の発生は、後に仕上げられる繊維の剛性低下を招くことになる。
これに対し、クロスソー型ミキシング部50を備える「実施例」(図6左側)では、上述したように、計量部32f(計量領域AR3)において、その内部の圧力を圧力P1から圧力P2へと段階的に昇圧させる。つまり、クロスソー型ミキシング部50を備える「実施例」では、クロスソー型ミキシング部50の上流をある程度の圧力(圧力P1)に高めておくことが可能となっている。よって、スクリュ32の回転数が大きい状態(例えば回転数70rpm)であっても、クロスソー型ミキシング部50を備えない「比較例」程に大きな圧力変動を生じず、溶融樹脂MRの内部に気泡が発生し難いことが判った。
なお、クロスソー型ミキシング部50をマドック型ミキシング部40と同じものに変更すると、溶融樹脂MRの「過混練」を招き、溶融樹脂MRの温度が高くなり過ぎて、後に仕上げられる繊維の剛性低下を招いてしまう。すなわち、マドック型ミキシング部40とクロスソー型ミキシング部50とを組み合わせることで、スクリュ32の回転数を大きくして高吐出としても、溶融樹脂MRの温度が高くなり過ぎることが抑えられ、かつ溶融樹脂MRの混練不足を解消でき、ひいては高い強度(高剛性)のタイヤコードTC用の繊維を安定して得ることが可能となる。
<実施例および比較例の能力比較>
クロスソー型ミキシング部50を備える「実施例」では、図7に示されるようなデータが得られた。これに対し、クロスソー型ミキシング部50を備えない「比較例」では、図8に示されるようなデータが得られた。
なお、これらのデータを得るための条件として、計量部32f(計量領域AR3)における溶融樹脂MRの粘度(溶融粘度)を、タイヤコードTCに適した高い強度の繊維が得られる粘度である10000[poise]~30000[poise]の範囲に入るようにし、当該範囲の粘度の溶融樹脂MRを計量部32fで均質化させた。また、計量部32f(計量領域AR3)における溶融樹脂MRの温度(ポリマー温度)を、タイヤコードTCに適した高い強度の繊維が得られる温度である310℃以下となるようにした。
「実施例」では、例えば、図7の星印に示されるように、スクリュ32のサイズ(直径)が[90mmφ]で、かつL/Dが[28]であり、さらにはモータ容量が[75kW]の仕様のタイヤコード繊維製造用押出機20では、スクリュ32の回転数が[6~80rpm]で、かつ吐出能力が[100~320kg/h]において、後の[繊維製造工程]で品質に問題無く繊維を仕上げられることが判った。
これに対し、「比較例」では、例えば、図8の星印に示されるように、スクリュ32のサイズ(直径)が[90mmφ]で、かつL/Dが[28]であり、さらにはモータ容量が[75kW]の仕様のタイヤコード繊維製造用押出機20、すなわち、「実施例」と同じ体格のタイヤコード繊維製造用押出機20では、スクリュ32の回転数が[6~60rpm]で、かつ吐出能力が[70~200kg/h]において、後の[繊維製造工程]で品質に問題無く繊維を仕上げられることが判った。
つまり、同じ体格のタイヤコード繊維製造用押出機20で比較した場合、「実施例」は「比較例」に比して、スクリュ32の高速回転化(高効率化)に対応することができ、ひいては溶融樹脂MRの吐出能力のアップを図ることが可能となる。具体的には、クロスソー型ミキシング部50を備える「実施例」では、クロスソー型ミキシング部50を備えない「比較例」に対して、最大で約1.6倍の吐出能力のアップが図れた。
さらに「実施例」と「比較例」とを比較すると、図7および図8の網掛部分に示されるように、吐出能力を[70~200kg/h]で固定して考えたときに、「比較例」では、スクリュ32のサイズ(直径)が[90mmφ]で、かつL/Dが[28]であり、さらにはモータ容量が[75kW]の仕様のタイヤコード繊維製造用押出機20が対応することが判った。これに対し、「実施例」では、スクリュ32のサイズ(直径)が[75mmφ]で、かつL/Dが[28]であり、さらにはモータ容量が[55kW]の仕様のタイヤコード繊維製造用押出機20が対応することが判った。
すなわち、「実施例」では「比較例」に比して、タイヤコード繊維製造用押出機20の小型化を実現することができ、ひいてはタイヤコード繊維製造用押出機20の低廉化および低消費電力化を図ることが可能となる。
なお、上述では、星印を付したスクリュ32のサイズ(直径)が[90mmφ]の体格のタイヤコード繊維製造用押出機20で比較したが、スクリュ32のサイズ(直径)が[115mmφ],[125mmφ],[130mmφ],[150mmφ],[175mmφ]の体格(複数のバリエーション)のタイヤコード繊維製造用押出機20においても、上述と略同様のことが言える。
また、参考として、スクリュ32のサイズ(直径)が[90mmφ]の体格のタイヤコード繊維製造用押出機20において、「実施例」では、スクリュ32の回転数が[30~65rpm]のときに、ポリマー温度(溶融樹脂MRの温度)が[287~296℃]となり、目標の310℃以下となることが判った。これに対し、「実施例」と同じ体格の「比較例」では、スクリュ32の回転数が[20~45rpm]のときに、ポリマー温度が[295~300℃]となり、目標の310℃には近いがこれ以下となることが判った。
以上詳述したように、本実施形態のタイヤコード繊維製造用押出機20のスクリュ32およびタイヤコード繊維製造用押出機20によれば、計量部32fは、マドック型ミキシング部40と、マドック型ミキシング部40よりも上流に設けられるクロスソー型ミキシング部50と、を有し、クロスソー型ミキシング部50を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR1が、マドック型ミキシング部40を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR2よりも小さい(FR1<FR2)。
これにより、タイヤコード繊維製造用押出機20は、タイヤコードTCに用いられる高い強度の繊維となる樹脂原料(溶融樹脂MR)を、安定した品質で製造することが可能となる。
なお、マドック型ミキシング部40よりも上流に設けられるミキシング部(第2のミキシング部)は、クロスソー型ミキシング部50に限らず、他の型式のミキシング部を採用することもできる。
以下、第2のミキシング部の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。
<変形例1>
図9Aに示される第2のミキシング部は、ダルメージ型ミキシング部60となっている。ダルメージ型ミキシング部60は、スクリュ32の本体部32aよりも大径となった大径部61と、当該大径部61と同じ形状の大径部62と、を備えている。つまり、ダルメージ型ミキシング部60は、スクリュ32の軸方向に大径部61と大径部62とが並べられた2段構造を採用する。
それぞれの大径部61,62には、スクリュ32の軸線に対して傾斜された複数の傾斜溝61a,62aが設けられている。これらの傾斜溝61a,62aは、それぞれの大径部61,62の周方向に等間隔で配置されている。そして、複数の傾斜溝61a,62aの内部には、溶融樹脂MRが出入りするようになっている。これにより、計量領域AR3(図2参照)における溶融樹脂MRの混練性が高められる。
なお、それぞれの大径部61,62の直径寸法d1は、スクリュ32のフライト32cの部分の直径寸法Dよりも若干小さくなっている(d1<D)。また、ダルメージ型ミキシング部60を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR3においても、クロスソー型ミキシング部50(図3参照)と同様に、マドック型ミキシング部40を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR2よりも小さくなっている(FR3<FR2)。
以上のように形成された変形例1のダルメージ型ミキシング部60においても、上述したクロスソー型ミキシング部50と略同様の作用効果を奏することができる。
<変形例2>
図9Bに示される第2のミキシング部は、バリアミキシング型ミキシング部70となっている。具体的には、バリアミキシング型ミキシング部70は、サブフライト71を備えている。サブフライト71は、スクリュ32の軸方向に螺旋状に設けられ、フライト32cに対して、スクリュ32の軸方向に略半ピッチ(≒Pt/2)の分だけずれた位置に配置されている。そして、サブフライト71の上流側端部71aおよび下流側端部71bは、それぞれフライト32cに連結されている。
また、サブフライト71の本体部32aからの突出高さh3は、フライト32cの本体部32aからの突出高さh2よりも若干小さくなっている(h3<h2)。さらに、バリアミキシング型ミキシング部70を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR4においても、クロスソー型ミキシング部50(図3参照)と同様に、マドック型ミキシング部40を通過する溶融樹脂MRの流動抵抗FR2よりも小さくなっている(FR4<FR2)。
このように、フライト32cの間に略半ピッチの分だけずらしてサブフライト71を設けることで、計量領域AR3(図2参照)における溶融樹脂MRの混練性が高められる。
以上のように形成された変形例2のバリアミキシング型ミキシング部70においても、上述したクロスソー型ミキシング部50と略同様の作用効果を奏することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述の実施形態では、図3に示されるように、計量領域AR3におけるマドック型ミキシング部40と圧縮部32eとの間の略真ん中に、クロスソー型ミキシング部50(ダルメージ型ミキシング部60,バリアミキシング型ミキシング部70)を配置したものを示したが、本発明はこれに限らない。
例えば、スクリュ32に必要とされる仕様に応じて、クロスソー型ミキシング部50(ダルメージ型ミキシング部60,バリアミキシング型ミキシング部70)を、圧縮部32e寄りに配置しても良いし、マドック型ミキシング部40寄りに配置しても良い。
その他、上述の実施形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の実施形態に限定されない。
10:タイヤコード製造設備
20:タイヤコード繊維製造用押出機
21:ホッパ
22:ペレット投入口
23:ペレット排出口
24:駆動部
25:駆動モータ
26:減速機
30:混練処理部
31:シリンダ
31a:内壁
32:スクリュ(タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ)
32a:本体部
32b:外壁
32c:フライト
32d:供給部
32e:圧縮部
32f:計量部
33:ヒータ
34:搬送路
35:ペレット供給ブロック
35a:供給口
36:ノズル部材
40:マドック型ミキシング部(第1のミキシング部)
41:膨出部
42:溝部
42a:入口部
43:溝部
43a:出口部
44:仕切壁
45:仕切壁
50:クロスソー型ミキシング部(第2のミキシング部)
51:凸部
60:ダルメージ型ミキシング部(第2のミキシング部)
61:大径部
61a:傾斜溝
62:大径部
62a:傾斜溝
70:バリアミキシング型ミキシング部(第2のミキシング部)
71:サブフライト
71a:上流側端部
71b:下流側端部
AR1:供給領域
AR2:圧縮領域
AR3:計量領域
CN:鋭角部
FR1~FR4:流動抵抗
GR:溝部
L:有効長
MR:溶融樹脂(樹脂原料)
P:搬送パイプ
P1:圧力(低)
P2:圧力(高)
PR:樹脂ペレット(樹脂原料)
TC:タイヤコード
TR:タイヤ

Claims (6)

  1. タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュであって、
    樹脂原料を搬送する供給部と、
    前記供給部の下流に設けられ、前記供給部から搬送された前記樹脂原料を圧縮して溶融させる圧縮部と、
    前記圧縮部の下流に設けられ、前記圧縮部で溶融された前記樹脂原料を均質化させる計量部と、
    を備え、
    前記計量部は、
    第1のミキシング部と、
    前記第1のミキシング部よりも上流に設けられる第2のミキシング部と、
    を有し、
    前記第2のミキシング部を通過する前記樹脂原料の流動抵抗が、前記第1のミキシング部を通過する前記樹脂原料の流動抵抗よりも小さい、
    タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ。
  2. 請求項1に記載のタイヤコード繊維製造用押出機のスクリュにおいて、
    前記計量部は、粘度が10000[poise]~30000[poise]の前記樹脂原料を均質化可能である、
    タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のタイヤコード繊維製造用押出機のスクリュにおいて、
    前記第1のミキシング部がマドック型ミキシング部であり、前記第2のミキシング部がクロスソー型ミキシング部である、
    タイヤコード繊維製造用押出機のスクリュ。
  4. タイヤコード繊維製造用押出機であって、
    樹脂原料が供給されるシリンダと、
    前記シリンダに供給された前記樹脂原料を混練しながら搬送するスクリュと、
    を有し、
    前記スクリュは、
    前記樹脂原料を搬送する供給部と、
    前記供給部の下流に設けられ、前記供給部から搬送された前記樹脂原料を圧縮して溶融させる圧縮部と、
    前記圧縮部の下流に設けられ、前記圧縮部で溶融された前記樹脂原料を均質化させる計量部と、
    を備え、
    前記計量部は、
    第1のミキシング部と、
    前記第1のミキシング部よりも上流に設けられる第2のミキシング部と、
    を有し、
    前記第2のミキシング部を通過する前記樹脂原料の流動抵抗が、前記第1のミキシング部を通過する前記樹脂原料の流動抵抗よりも小さい、
    タイヤコード繊維製造用押出機。
  5. 請求項4に記載のタイヤコード繊維製造用押出機において、
    前記計量部は、粘度が10000[poise]~30000[poise]の前記樹脂原料を均質化可能である、
    タイヤコード繊維製造用押出機。
  6. 請求項4または請求項5に記載のタイヤコード繊維製造用押出機において、
    前記第1のミキシング部がマドック型ミキシング部であり、前記第2のミキシング部がクロスソー型ミキシング部である、
    タイヤコード繊維製造用押出機。
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