JPWO2019172443A1 - 光ファイバテープ心線及び光ファイバケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接する光ファイバ着色心線同士を、間欠連結部により接着、連結してなる間欠連結型の光ファイバテープ心線について、高速での製造にも対応が可能な光ファイバテープ心線及び光ファイバケーブルを提供すること。【解決手段】本発明の光ファイバテープ心線2は、間欠連結部3を構成する材料に対して、重量平均分子量が特定範囲のポリオールを含有することに加え、レオロジーコントロール剤を特定の範囲で含有しているので、間欠連結部3を構成する材料の低せん断速度域と高せん断速度域の間のニュートン域を調整することができるため、製造時に当該材料を塗布する塗布ロール等の回転に伴い生ずる遠心力により材料の飛散を抑え、光ファイバ着色心線1への塗布量を安定させることができる。かつ、かかる飛散の抑制等を、線速を高速とした製造でも維持できる光ファイバテープ心線2となる。【選択図】図3

Description

本発明は光ファイバテープ心線及び光ファイバケーブルに関する。さらに詳しくは、隣接する光ファイバ着色心線同士を、間欠連結部により長手方向及びテープ幅方向に対して間欠的に接着、連結してなる光ファイバテープ心線及び当該光ファイバテープ心線を備えた光ファイバケーブルに関する。
近年、情報の多様化により通信量が大容量化している。そのため、各種のコンピュータやデータ通信等の装置を設置、運用することに特化した、いわゆるデーターセンタ等が各所に増設されている。それに伴って、光ファイバケーブルも細径化及び高密度化が求められている。
そこで、光ファイバケーブルの細径化及び高密度化を実現すべく、種々の光ファイバテープ心線が提案されており、例えば、隣接する光ファイバ同士を長手方向に間欠的に連結し、テープ幅方向に隣接する連結部が重ならないように交互に配置している光ファイバテープ心線が提供されている(例えば、特許文献1を参照。)。
ここで、光ファイバテープ心線とは、光ファイバに紫外線硬化樹脂等により保護被覆を施した光ファイバ心線(光ファイバ着色心線)を複数本平面状に配し、紫外線硬化樹脂等からなる連結部で連結一体化したものである。隣接する光ファイバ着色心線同士を長手方向に間欠的に連結してテープ心線とすることにより、複数本のテープ心線を束ねるときに形状変化しやすくなるので、光ファイバケーブルの細径化・高密度化を図ることができる。
光ファイバ着色心線同士を間欠的に接着するための塗布手段としては、ディスペンサーによって吐出して付着させるもの(例えば、特許文献2等を参照。)や、シャッター機構を用いたもの(例えば、特許文献3等を参照。)等が提案されている。また、塗布ロールに接触させて光ファイバ着色心線同士を接着させる方法(例えば、特許文献4等を参照。)等も提案されている。
特許第5117519号公報 特開2001−264604号公報 特許第5149230号公報 特許第6169060号公報
ここで、光ファイバ着色心線同士が任意の間隔で間欠的に接着された光ファイバテープ心線を得るためには、光ファイバ着色心線と光ファイバ着色心線の間に樹脂を塗布する動作の同期が必要である。そのため、線速を高速(例えば、光ファイバ着色心線の線速として200m/分超の線速。以下同じ。)で光ファイバテープ心線を製造するには、樹脂を塗布する際の粘度や樹脂のすり切れ易さが大きく影響する。
しかしながら、前記した特許文献2に開示された方法では、ディスペンサーによる動作には限界があり、線速は15〜100m/分に制限されるため、高速での製造が難しかった。加えて、特許文献3に開示されるようなシャッター機構を用いた場合においても、その線速はシャッター動作により線速が制限されてしまっていた。そして、特許文献4のような回転体からの転写を用いた場合、回転体の表面に付着した樹脂が回転に伴い生ずる遠心力により飛散してしまい、光ファイバ着色心線への塗布量が安定しないという問題がある。また、この影響は線速を高速とした製造時により顕著になっていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、隣接する光ファイバ着色心線同士を、間欠連結部により接着、連結してなる間欠連結型の光ファイバテープ心線について、高速での製造にも対応が可能な光ファイバテープ心線及び光ファイバケーブルを提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係る光ファイバテープ心線は、光ファイバの周囲に当該光ファイバを被覆する少なくとも2つの被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線を並列に配置し、隣接する前記光ファイバ着色心線が、間欠連結部によって長さ方向に連結されてなる光ファイバテープ心線であって、前記間欠連結部が、重量平均分子量が2500〜4000のポリオールを含有し、かつ、低せん断速度域と高せん断速度域の間のニュートン域を高せん断領域側にシフトさせるレオロジーコントロール剤を前記間欠連結部全体に対して1〜10質量%含有したことを特徴とする。
本発明に係る光ファイバテープ心線は、前記した本発明において、前記間欠連結部が、前記ポリオールを前記間欠連結部全体に対して4〜30質量%含有することを特徴とする。
本発明に係る光ファイバテープ心線は、前記した本発明において、前記レオロジーコントロール剤が疎水性のヒュームドシリカであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバテープ心線は、前記した本発明において、前記間欠連結部を形成する材料の粘度が、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度が3〜11Pa・sであり、かつ、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度が0.2〜2.5Pa・sであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバテープ心線は、前記した本発明において、前記25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度と、35℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度の比(25℃の粘度/35℃の粘度)が3以下であることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバテープ心線は、前記した本発明において、前記光ファイバ着色心線と前記間欠連結部との間の接着強度が0.07N以上であることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバケーブルは、前記した本発明の光ファイバテープ心線を備えたことを特徴とする。
本発明の光ファイバテープ心線は、間欠連結部を構成する材料(紫外線硬化樹脂組成物)に対して、重量平均分子量が2500〜4000のポリオールを含有することに加え、レオロジーコントロール剤を特定の範囲で含有している。かかる構成により、間欠連結部を構成する材料が、当該材料に対して低せん断速度域では比較的高粘度となり、高せん断速度域では比較的低粘度となる一方、高せん断速度域である10 1/sより高いせん断速度域にシアシニング(shear thining)をシフトし、ニュートン域が長くなるような性質を維持することができるため、製造時に当該材料を塗布する塗布ロール等の回転に伴い生ずる遠心力により材料の飛散を抑えることができ、光ファイバ着色心線への塗布量を安定させることができる。かつ、かかる飛散の抑制等を高速の製造でも維持することができる光ファイバテープ心線及び当該光ファイバ着色心線を備えた光ファイバケーブルとなる。
光ファイバ着色心線の構造の一例を示した断面図である。 光ファイバ着色心線の構造の他の例を示した断面図である。 光ファイバテープ心線の一態様を示した正面図である。 光ファイバテープ心線の連結状態を示した図である。 光ファイバテープ心線の連結状態を示した図である。 せん断速度と粘度の関係の一例を示した図である。 塗布ロールの一例を示した図である。 塗布ロールの他の例を示した斜視図である。 図8の塗布ロールに形成された塗布孔の拡大図である。 塗布ロール近傍の装置を示した断面図である。 光ファイバケーブルの一態様を示した図である。 光ファイバケーブルの他の態様を示した図である。 マスターカーブを示した図である。 せん断速度と粘度の関係を示した図である。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明に係る光ファイバテープ心線2は、光ファイバ10の周囲に当該光ファイバ10を被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、かかる被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線1を並列に配置し、隣接する光ファイバ着色心線1が、間欠連結部3によって長さ方向に間欠的に連結されて構成されている。
(I)光ファイバ着色心線1の構造:
まず、光ファイバテープ心線2を構成する光ファイバ着色心線1の一態様を説明する。図1は、光ファイバ着色心線1の構造の一例を示した断面図である。また、図2は、光ファイバ着色心線1の構造の他の例を示した断面図である。図1及び図2中、1は光ファイバ着色心線、10は光ファイバ、11は一次被覆層、12は二次被覆層、12aは着色された二次被覆層(図2のみ)、13は着色層(図1のみ)、をそれぞれ示す。
図1の構成にあっては、ガラス光ファイバ等の光ファイバ10の周囲に一次被覆層11(プライマリ層)、一次被覆層11の周囲に二次被覆層12(セカンダリ層)、二次被覆層12の周囲に着色された着色層13がこの順で形成されており、光ファイバ着色心線1を構成する。また、着色層13が光ファイバ着色心線1の最外層となる。
一方、図2の構成にあっては、光ファイバ10の周囲に一次被覆層11、一次被覆層11の周囲に着色された二次被覆層12aがこの順で形成されており、光ファイバ着色心線1となる。また、着色された二次被覆層12aが光ファイバ着色心線1の最外層となる。なお、以下の説明において、光ファイバ着色心線1の最外層となる着色層13と着色された二次被覆層12aとを併せて、着色層13等とする場合がある。
(II)光ファイバテープ心線2の構造:
図3は、光ファイバテープ心線2の一態様を示した正面図である。図4及び図5は、光ファイバテープ心線2の連結状態を示した図(図4は間欠連結部31を含む図3のA−A断面図、図5は間欠連結部32を含む図3のB−B断面図である。)である。なお、図3ないし図5では、便宜的に、12心の光ファイバ着色心線1から構成される光ファイバテープ心線2を示している。
図3ないし図5に示すように、間欠連結型の光ファイバテープ心線2は、並列に配置された光ファイバ着色心線1について、隣接する光ファイバ着色心線1が、間欠連結部3(間欠型連結部とも呼ばれる。)によって長さ方向に間欠的に連結されてなるものである。並列に配置された光ファイバ着色心線1に間欠的に連結部(間欠連結部3)を設けることで、光ファイバ着色心線1を連結一体化することができる。
図3に示す12心の光ファイバテープ心線2において、光ファイバ着色心線1aと光ファイバ着色心線1bからなる1組の光ファイバ着色心線対t1は、間欠連結部31によって長さ方向(図3参照。)に間欠的に連結されている。光ファイバ着色心線対t1において、隣り合う間欠連結部31は等間隔に設けることができ、間欠連結部31の長さも等しくすることができる。以上については、光ファイバ着色心線1cと光ファイバ着色心線1dからなる光ファイバ着色心線対t3、光ファイバ着色心線1eと光ファイバ着色心線1fからなる光ファイバ着色心線対t5、光ファイバ着色心線1gと光ファイバ着色心線1hからなる光ファイバ着色心線対t7、光ファイバ着色心線1iと光ファイバ着色心線1jからなる光ファイバ着色心線対t9、光ファイバ着色心線1kと光ファイバ着色心線1lからなる光ファイバ着色心線対t11、についても共通する。
これらの6組の光ファイバ着色心線対t1,t3,t5,t7,t9,t11においては、テープ幅方向の配置が同じとなるように間欠連結部31が設けられている(図3参照。)。したがって、6組の光ファイバ着色心線対t1,t3,t5,t7,t9,t11の非連結部(間欠連結部3が形成されていない単心となる部分(単心部)で、図3の点線で囲まれる部分。)33も、テープ幅方向から見て共通する位置となる。
また、光ファイバ着色心線1bと光ファイバ着色心線1cからなる光ファイバ着色心線対t2も、間欠連結部32によって長さ方向に間欠的に連結されている。隣り合う間欠連結部32は等間隔に設けることができ、間欠連結部32の長さも等しくすることができる。以上については、光ファイバ着色心線1dと光ファイバ着色心線1eからなる光ファイバ着色心線対t4、光ファイバ着色心線1fと光ファイバ着色心線1gからなる光ファイバ着色心線対t6、光ファイバ着色心線1hと光ファイバ着色心線1iからなる光ファイバ着色心線対t8、光ファイバ着色心線1jと光ファイバ着色心線1kからなる光ファイバ着色心線対t10、について共通する。
これらの5組の光ファイバ着色心線対t2,t4,t6,t8,t10においては、テープ幅方向の配置が同じとなるように間欠連結部32が設けられている。したがって、5組の光ファイバ着色心線対t2,t4,t6,t8,t10の非連結部33も、テープ幅方向から見て共通する位置となる。
このように、間欠連結型の光ファイバテープ心線2は、隣接する2心(2本)の光ファイバ着色心線1について、長さ方向及びテープ幅方向に、間欠連結部31,32と非連結部33が、それぞれ所定の長さで交互に配置されるように形成され、隣接する光ファイバ着色心線1を、間欠連結部3によって長さ方向に間欠的に連結する(例えば、図3に示した光ファイバ着色心線1aと光ファイバ着色心線1bからなる光ファイバ着色心線対t1、光ファイバ着色心線1bと光ファイバ着色心線1cからなる光ファイバ着色心線対t2等を参照。)。
加えて、テープ幅方向では、図3ないし図5に示すように、間欠連結部31,32が形成された隣接する2心(2本)からなる光ファイバ着色心線対t1〜t11の、間欠連結部3が形成されている部分のテープ幅方向の両側(外側)は、連結されていない構成とされる(例えば、図4に示した光ファイバ着色心線1cと光ファイバ着色心線1dからなる光ファイバ着色心線対t3には、2心の光ファイバ着色心線1c,1dを連結する間欠連結部31が形成される一方、間欠連結部3が形成されている部分のテープ幅方向の両側(外側)は、連結されていないことになる。)。
例えば、図3に示した12心のものであれば、光ファイバテープ心線2における間欠連結部31,32の長さL1は、概ね5〜35mmとすることが好ましく、非連結部33の長さL2は、概ね5〜15mmとすることが好ましい。また、光ファイバテープ心線2におけるピッチP(長さ方向に隣り合う間欠連結部31から間欠連結部31(あるいは間欠連結部32から間欠連結部32)の長さを指す。図3では間欠連結部31から間欠連結部31で示している。)は、100mm以下とすることが好ましく、概ね20〜90mmとすることが好ましいが、特にこの範囲には制限されない。
なお、図3は、間欠連結部3がテープ幅方向から見て共通する位置に形成されている構成を示すため、非連結部33もテープ幅方向から見て共通する位置に形成されている。一方、非連結部は、間欠連結部3が形成されていない単心となる部分(単心部)を指し、例えば、図3に示すXも非連結部(長さがLXの非連結部X。)に該当する。ここで、1対の光ファイバ着色心線対(例えば、光ファイバ着色心線対t1。)における非連結部Xの長さ(2つの間欠連結部31の間の長手方向における長さ)LXは、概ね、15〜55mmとすることが好ましいが、特にこの範囲には制限されない。
(III)間欠連結部3:
前記した図3等に示した間欠連結部3は、例えば、下記の成分を硬化させて形成することができる。本発明において、間欠連結部3を構成する成分としては、重量平均分子量(M)が2500〜4000のポリオールを含有する。かかる重量平均分子量(以下、単に「分子量」とすることもある。)のポリオールは、間欠連結部3を構成する紫外線硬化樹脂の網目に反応しないで存在することができる。間欠連結部3は、紫外線硬化樹脂の稠密な網目構造にポリオールが膨潤していることになり、紫外線硬化樹脂に対して可塑剤的な役割を果たす。これにより、間欠連結部3のヤング率を適度にさせるとともに、低温条件下でも間欠連結部3にしなやかさ及び伸びを付与することができる。また、ポリオールは、間欠連結部3の表面にブリードして、光ファイバユニット21同士の摩擦を抑えることができる。
また、ポリオールの重量平均分子量が前記した範囲であれば、光ファイバ着色心線1の着色層13の分子量より大きくなると考えられるため、着色層13の網目を通らず、移行することもない。また、ポリオールの分子量が2500〜4000と大きいので、ポリオールの含有量を増加させることで、間欠連結部3のヤング率をコントロールすることが可能である。このように、間欠連結部3にポリオールを存在させることにより、低温条件下でも間欠連結部3にしなやかさ及び伸びを付与することができるとともに、ポリオールは、間欠連結部3の表面にブリードして、光ファイバユニット21同士の摩擦を抑えることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられるが、この中で、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコール等といった分岐構造をもたないものは、低温時に結晶化する場合があり、着色層13と間欠連結部3との界面で結晶による曲げが発生しロス増を起こす原因になる場合がある。一方、分岐構造を有しているポリプロピレングリコールは、−60℃の低温でも結晶せず、前記したポリオールの効果を確実に奏することができるため、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ポリプロピレングリコールはアルカリ触媒を使用しポリプロピレンオキシド(PO)を多官能アルコールに付加重合して製造されるが、反応を高めるためにエチレンオキシド(EO)を付加重合させ利用する場合があるが、エチレンオキシドを付加すると親水性が高くなることから付加物質としてポリプロピレンオキシド(PO)のみの使用が好ましい。
間欠連結部3に含有されるポリオールの重量平均分子量は、前記したように、2500〜4000とする。ポリオールの重量平均分子量が2500より小さいと、ポリオールが間欠連結部3と接する着色層13を通り抜けて移行する可能性がある。また、光ファイバケーブル4とした場合に、間欠連結部3に接する光ファイバケーブルの緩衝層や被覆層(シース)に移行する場合がある。このようなポリオールの移行により、前記した効果が奏されない場合がある。
一方、ポリオールの重量平均分子量が4000を超えると、紫外線硬化樹脂と混合したときに粘度が上昇するため、製造時に間欠連結部3を塗布する際の塗出量が低下し、接着不良の原因になる場合がある。また、塗出量を多くするため、加熱温度を上げる等により粘度を下げることができるが、加熱温度を上昇させると塗布時の樹脂量が増加しやすく、間欠連結部3の厚さが増大する要因となる場合がある。また、間欠連結部とロール部で糸引きが起こり、周囲を汚染する要因になる場合がある。なお、ポリオールの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)等の、従来公知の高分子物質の分子量分布や平均分子量分布等を測定する手法による測定値を採用すればよい。
間欠連結部3に含有されるポリオールの含有量は、間欠連結部3全体(間欠連結部3を構成する成分全体)に対して4〜30質量%とすることが好ましい。間欠連結部3全体に対するポリオールの含有量が4質量%より小さいと、ユニット化した時のしなやかさ及び伸びが足りず、しごきを受けた場合において間欠連結部3の割れの発生リスクが高くなる場合がある。加えて、低せん断速度域から高せん断速度域の間のニュートン域が狭くなり、シアシニングも高せん断速度域に達する前から確認される場合がある。すなわち、高せん断速度域での安定性が悪くなり、塗布時の材料の飛散等に繋がる場合がある。また、含有量が30質量%を超えた場合も、粘度が低下し、塗布不良の要因になったり、ロールからの飛散の要因になったりする場合があることから、間欠連結部3に含有されるポリオールの含有量は、間欠連結部3全体に対して、4〜30質量%とすることが好ましい
間欠連結部3を構成する他の成分としては、例えば、光ファイバを被覆する紫外線硬化樹脂及びその添加成分等として一般に使用される成分等を使用することができ、具体的には、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、フィラーその他各種添加剤等を使用することができる。
オリゴマーとしては、例えば、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコーンアクリレート等を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。オリゴマーの骨格構造と分子量、及び後記する希釈モノマーの種類と添加量によって、間欠連結部3全体のヤング率やガラス転移温度(Tg)を調整することができる。後記するように、オリゴマーの分子量を小さくすることや、モノマーの官能基を増やすこと等により、ヤング率を調整することができる。
また、オリゴマーとしてポリエーテル系ウレタンアクリレートを使用する場合には、中間ブロックは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールを使用することができるが、分岐構造を有するポリプロピレングリコールを使用することが好ましく、かかるポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、紫外線に対して反応性を有する不飽和二重結合を有するヒドロキシ化合物を結合させたオリゴマーを使用することが好ましい。
そして、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用し、オリゴマーとしてポリプロピレングリコールを中間ブロックとしたオリゴマーを使用することにより、−60℃の低温でも結晶しないため、低温時の結晶化を効率よく防止することができ好ましい。使用するオリゴマーは、重量平均分子量が500〜2000のものを使用することが好ましく、1000〜2000のものを使用することが特に好ましい。
芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、ヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。
なお、オリゴマーを単独で使用した場合は粘度が高すぎる場合があるため、後記するレオロジーコントロール剤の添加の目的及び効果を妨げない範囲で、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。
添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ラウリルアクリレート等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。
光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
増感剤としては、例えば、チオキサントン類やベンゾフェノン類等の三重項増感剤が好適で、特にチオキサントンは三重項状態の寿命が長いため効果が高く、組み合わせて使用することができる。
本発明の光ファイバテープ心線2を構成する間欠連結部3は、構成成分としてレオロジーコントロール剤を添加している。レオロジーコントロール剤は、添加した材料(本発明にあっては、間欠連結部3を構成する紫外線硬化樹脂組成物を指す。)に対して、低せん断速度域で比較的高粘度にさせる効果がある。さらに、温度依存性に対し傾きを小さくする効果がある。さらに、今回の検討で、レオロジーコントロール剤の添加により高せん断速度域である10 1/sより高いせん断速度域にシアシニングをシフトさせ、塗布を安定させることができることを見出した。すなわち、レオロジーコントロール剤は、低せん断速度域と高せん断速度域の間のニュートン域を高せん断領域側にシフトさせ、また、ニュートン域が長くなるような性質を付与することができる。本発明にあって、低せん断速度域(低せん断速度域)とは、例えば、概ね10(=10)(1/s)以下の領域を指し、また、高せん断速度域(高せん断力域)とは、例えば、概ね10(=1000000)(1/s)付近の領域を指す。
このような低せん断速度域と高せん断速度域の間のニュートン域を高せん断領域側にシフトさせるレオロジーコントロール剤としては、例えば、ヒュームドシリカ(Fumed Silica:フュームドシリカとも呼ばれる。)等のシリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ベントナイト、スメクタイト等の無機フィラーや有機フィラー等、あるいは液状を呈する成分等を用いることができる。レオロジーコントロール剤は、その1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することができる。
レオロジーコントロール剤としては、ヒュームドシリカ等のシリカを使用することが好ましい。また、ヒュームドシリカとしては、疎水性のヒュームドシリカや親水性のヒュームドシリカ等が挙げられるが、疎水性のヒュームドシリカを使用することが特に好ましい。疎水性のヒュームドシリカを使用することで、間欠連結部3を構成する紫外線硬化樹脂組成物に添加した場合に混合性が良好となり、材料に好適に分散される。また、材料(樹脂組成物)が隣り合う光ファイバ着色心線1の表面と裏面に良好に塗布され、外観が良好となる。
疎水性のヒュームドシリカとしては、例えば、AEROSIL(登録商標。以下、「AEROSIL」について同じ。) R974(日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。親水性のヒュームドシリカとしては、例えば、AEROSIL 200(日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。
レオロジーコントロール剤の形状としては、固体の場合、粒子状、粉状、球状等のものを好ましく使用することができ、また、液状のものを使用するようにしてもよい。平均粒径(平均一次粒子径)としては、特に制限はないが、0.005μm〜10μmとすることが好ましく、0.007μm〜1μmとすることがさらに好ましく、0.01μm〜0.1μmとすることが特に好ましい。これらの平均粒径の範囲は、レオロジーコントロール剤として疎水性のヒュームドシリカを使用した場合に特に効果的である。
本発明にあって、レオロジーコントロール剤は、間欠連結部3全体(間欠連結部3を構成する成分全体)に対して1〜10質量%とする。レオロジーコントロール剤を前記の含有量で添加することにより、間欠連結部3を構成する紫外線硬化樹脂組成物の低せん断速度域と高せん断速度域の間のニュートン域を調整することができる。すなわち、紫外線硬化樹脂組成物の粘度について、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(低せん断速度域を想定。)を3〜11Pa・sの範囲とし、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(高せん断速度域を想定。)を0.2〜2.5Pa・sの範囲内とすることができる。レオロジーコントロール剤を添加しない場合と比べると、シアシニングの位置をシフトさせることができる。
一方、レオロジーコントロール剤の含有量が1質量%より小さいと、レオロジーの調整が不十分となる場合があり、粘度が前記の範囲に収まらない場合がある。含有量が10質量%を超えると、塗布ロールによって光ファイバ着色心線1間に材料を塗布する場合の塗布量が少なくなり、光ファイバ着色心線1同士の密着力が低下するという問題が生じる場合がある。
ここで、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(低せん断速度域を想定。)を3〜11Pa・sの範囲とし、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(高せん断速度域を想定。)を0.2〜2.5Pa・sの範囲内に収めることによる利点を、図6を用いて説明する。
図6は、せん断速度と粘度の関係の一例を示した図である。縦軸は粘度η(Pa・s)、横軸はせん断速度γ(1/s)である。なお、後述するように、せん断速度γ(1/s)は周波数ω(rad/s)と等価である。ライン1は、ポリオール及びレオロジーコントロール剤の含有量等について、本発明の要件を具備する粘度を備えた流体の挙動を示したカーブである。ライン1は、せん断速度10 1/sの粘度が3〜11Pa・sの範囲を維持し、せん断速度10 1/sの粘度が0.2〜2.5Pa・sを維持している。このように、10 1/sより高いせん断速度域にシアシニングをシフトすることができるため、ニュートン域が長くなる。よって、低せん断速度域に対する高せん断速度域における粘度変化を小さく抑えることができるため、線速を高速にした製造においても塗布ロール等による材料の飛散を抑え、材料の塗布量を安定させることができる。これにより、間欠連結部3を構成する材料が光ファイバ着色心線1に好適に塗布されることになる。
一方、ライン2は、例えば、本発明の要件に対してレオロジーコントロール剤を添加しないようなケースである。この場合、せん断速度として10より低いところ(例えば、10 1/s等。)を境として粘度が下がるシアシニングが確認され、高せん断速度域では安定しない挙動となることが考えられる。ライン3は、例えば、ポリオールを添加しないようなケースであるが、ニュートン域が狭く、シアシニングもせん断速度が10 1/sより低いところ(例えば、10 1/s等。)から確認され、これも高せん断速度域では安定しない挙動となることが考えられる。これらは、いずれも、塗布ロールによる材料の塗布時に飛散等を抑えることが困難となると考えられる。
なお、間欠連結部3を構成する材料の低せん断速度域から高せん断速度域の粘度は、市販される粘度測定機器(レオメータ)を用いて測定することができ、例えば、レオメータ MCR301(Anton Paar社製)等を用いることができる。
また、図6に示したせん断速度と粘度の関係を得るには、例えば、まず、25φパラレルプレート,ギャップ 0.5mm,周波数 62.8〜0.68rad/s(10〜0.1Hz 対数4点/桁 全9点)、歪量 5%、温度−50℃〜50℃(10℃刻み。)等の条件を用いて、周波数分散(周波数と粘度の関係)を求めるようにする。
次いで、基準温度(例えば、間欠連結部3を構成する材料を塗布する温度である25℃等。)におけるω、η、δの関係についてW.L.F式(Williams, Landel,Ferry)を使用して、水平移動量と温度変化の関係を示すシフトファクターLogαTを定義し、マスターカーブを求め(例えば、後記する図13を参照。)、これを、Cox−Merz則より、周波数ω(rad/s)とせん断速度γ(1/s)は等価として扱うことができることにより周波数をHz→rad/s→せん断速度γ(1/s)に変換して得るようにすればよい。
また、前記した粘度の範囲において、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度は、5〜11Pa・sの範囲内、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度は、0.4〜2.4Pa・sの範囲内とすることがさらに好ましい。
また、樹脂材料の粘度の温度依存性(25℃と35℃における粘度の関係)として、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度と、35℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度の比(25℃の粘度/35℃の粘度)が3以下となることが好ましい。粘度の比を3以下とすることにより、せん断発熱の影響が小さい。一方、かかる粘度の比を超えると、せん断発熱の影響が大きく、粘度変化が大きくなるため、前記の粘度の比(25℃の粘度/35℃の粘度)は、2以下となることが特に好ましい。
かかる粘度の比とするため、35℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度は、1.5〜6Pa・sの範囲内とすることが好ましい。
光ファイバ着色心線1と間欠連結部3との間の接着強度は、0.07N以上であることが好ましい。接着強度がかかる範囲であれば、前記した効果が効率よく奏されるとともに、光ファイバ着色心線1と間欠連結部3とが適度に接着(密着)される。接着強度は、0.07〜0.25Nであることがより好ましく、0.07〜0.20Nであることがさらに好ましく、0.07〜0.15Nであることが特に好ましい。接着強度がかかる範囲であれば、光ファイバ着色心線1と間欠連結部3とが適度に接着(密着)されるとともに、光ファイバ着色心線1の分離(作業)性を維持することができる。
かかる接着強度は、光ファイバ着色心線1と、間欠連結部3を構成する樹脂の界面の接着面とで担保される。一般に、間欠連結部3の樹脂の塗布量は製造時の樹脂圧(塗布圧と同意。以下同じ。)でコントロールされ、間欠連結部3の樹脂量が少なくなる(接着面が小さくなる)につれて接着強度が小さくなると考えられるが、光ファイバ着色心線1より高くなるように樹脂を塗布してしまうと、光ファイバテープ心線2を折りたたみ、高密度化してケーブル化した時、隣同士の光ファイバテープ心線2が当たってマクロベンドを起こしたり(伝送損失増加)、間欠連結部3が割れたりするという問題が生じる場合がある。
また、接着強度が過大に高すぎると分離(作業)性も担保できなくなるので、2本の光ファイバ着色心線1間の高さを超えない程度に間欠連結部3を構成する樹脂を塗布することにより、マクロベンドを抑えることができるため好ましい。
接着強度と分離(作業)性は、1本の光ファイバ着色心線1と間欠連結部3が接する界面の長さ(接着部分の長さ)等により左右される場合が多い。接着部分の長さは、間欠連結部3を構成する材料や間欠連結部3の形状等により適宜決定されるが、概ね5〜35mmとすることが好ましく、接着部分の長さがかかる範囲であれば、良好な接着強度と分離(作業)性が両立して担保される。
光ファイバ着色心線1と間欠連結部3との間の接着強度を前記した範囲とするためには、間欠連結部3として前記あるいは後記した材料等を用いて、材料等の種類等を適宜選択して、樹脂の樹脂圧、接着部分の長さや、照射量等の紫外線硬化の条件等を調整することによって行われる。
光ファイバ着色心線1と間欠連結部3との間の接着強度は、例えば、下記のようにして測定することができる。間欠連結部3が形成された2本の光ファイバ着色心線1を取り出し、かかる光ファイバ着色心線1を引張試験機の上部に固定し、2本の光ファイバ着色心線1の間にφ0.5mmの針金を通し、針金を下方向に100mm/分の速度で移動させて間欠連結部3から光ファイバ着色心線1を剥離させるために必要な強度(N)を計測して、光ファイバ着色心線1と間欠連結部3との間の接着強度とすればよい。
前記の成分のほか、間欠連結部3を構成する樹脂材料(紫外線硬化樹脂組成物)には、下記の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤、熱重合禁止剤等の劣化防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、水素吸収剤、連鎖移動剤、シリコーン、滑剤等を、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、必要により添加することができる。
また、間欠連結部3は着色してもよい。間欠連結部3を着色する場合に添加される顔料としては、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキザン、ベンスイミダゾロンの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料等が挙げられる。なお、着色成分として、顔料と、前記した材料に代表される紫外線硬化樹脂等を混合した着色材を用いるようにしてもよい。着色材の含有量は、間欠連結部3を構成する材料や、着色材に含まれる顔料の含有量や、紫外線硬化樹脂等他の成分の種類等により適宜決定すればよいが、間欠連結部3全体に対して0.5〜3.0質量%とすることが好ましく、1.5〜2.5質量%とすることが特に好ましい。なお、間欠連結部3を着色することにより、光ファイバテープ心線2を製造する場合に、製造ライン中で連続的に間欠連結部3と光ファイバテープ心線2の接着確認を行うことができる。
(IV)一次被覆層11、二次被覆層12、着色された二次被覆層12a及び着色層13:
本発明に係る光ファイバ着色心線1の一次被覆層11(プライマリ層)及び二次被覆層12(セカンダリ層)の構成材料となる樹脂材料や、光ファイバ着色心線1の着色層13の構成材料としては、前記した間欠連結部3を構成する成分として挙げた紫外線硬化樹脂及びその添加剤である、例えば、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料(及び顔料と紫外線硬化樹脂等を混合した着色材)、滑剤等、前記した各種の添加剤等の成分を好ましく使用することができる。
オリゴマーとしては、例えば、一次被覆層11や二次被覆層12としては、前記した間欠連結部3を構成するのと同様の、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることでヤング率を調整することができる。使用するオリゴマーの重量平均分子量は、一次被覆層11として使用する場合は、1000〜4000のものを使用することが好ましく、二次被覆層12として使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色層13として使用する場合は、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色された二次被覆層12aとして使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましい。
具体的には、一次被覆層11や二次被覆層12としては、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用し、オリゴマーとしてポリプロピレングリコールを中間ブロックとしたオリゴマーを使用することにより、−60℃の低温でも結晶しないため、低温時の結晶化を効率よく防止することができる。芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、ヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。オリゴマー単独では粘度が高すぎる場合があるため、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、着色層13を構成するオリゴマーとしては、前記した一次被覆層11や二次被覆層12と同様に、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、着色層13を構成する樹脂には、例えば、ウレタンアクリレートやヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物等を使用することができ、加えて、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができる。なお、着色された二次被覆層12aが着色層13を兼ねる場合には、かかる着色された二次被覆層12aをこれらの成分とするようにしてもよい。
具体的には、オリゴマーとしては、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、例えば、オリゴマーとして、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができ、さらに、ウレタンアクリレートやヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物等も使用することができる。さらにまた、表面のすべり性を向上させるために、変性シリコーンを添加することが好ましく、例えば、両末端型アクリル変性シリコーン片末端型アクリル変性シリコーン、側鎖端アクリル変性シリコーン等を使用することができる。光開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等を使用することができる。
光ファイバ着色心線1における各層の外径は、光ファイバ素線(後記参照)としての特性を維持するために、一般に、光ファイバ10の外径は80μm〜125μm、一次被覆層11の外径は120μm〜200μm、二次被覆層12の外径は160μm〜242μm、着色層13の外径は173μm〜255μmの範囲内とすることが好ましい。また、図2に示すように、二次被覆層12が着色層13を兼ねるような構成の場合、着色された二次被覆層12aは、外径を160μm〜255μmの範囲内とすることが好ましい。
(V)光ファイバテープ心線2の製造方法:
本発明に係る光ファイバテープ心線2の製造方法の一例を説明する。なお、以下において、光ファイバ10としてガラス光ファイバ10を例に挙げて説明し、一次被覆層11と二次被覆層12とが被覆された石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)を光ファイバ素線とよんでいる。
光ファイバ着色心線1を製造するには、例えば、まず、石英ガラスを主成分とするプリフォームを線引炉によって加熱溶融して、石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)とする。次に、このガラス光ファイバ10にコーティングダイスを用いて液状の紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布し、続いて、紫外線照射装置(UV照射装置)で塗布された紫外線硬化樹脂を含む成分に紫外線を照射してかかる成分を硬化させる。このようにして、ガラス光ファイバ10に一次被覆層11と二次被覆層12が被覆された光ファイバ素線が製造される。線引き後、ガラス光ファイバ10の外周に直ちに紫外線硬化樹脂を含む成分を被覆して一次被覆層11及び二次被覆層12を形成することにより、得られる光ファイバ素線の強度低下を防止することができる。
次工程において、得られた光ファイバ素線の外周に着色層13を被覆することにより、光ファイバ着色心線1が製造される。なお、前記したように、二次被覆層12に着色することで、最外層が着色された二次被覆層12aとした光ファイバ着色心線1とするようにしてもよい。
そして、得られた光ファイバ着色心線1を、所望の本数並べて、前記した間欠連結部3を構成する材料を所定のパターンで塗布し、所定の条件で硬化させることにより間欠連結部3を形成し、光ファイバテープ心線2を得ることができる。
光ファイバテープ心線2の製造は、例えば、複数本の光ファイバ着色心線1を集合させて並列する整列手段と、外周の一部に間欠連結部3の構成材料を間欠的に塗布可能な塗布ロール6(後記する図7等を参照。)を備えた製造装置を用いて実施することができ、例えば、特許第6169060号公報等に示される製造装置及び製造方法を用いて実施することができる。
すなわち、複数本の光ファイバ着色心線1を、それぞれの塗布ロールに接触させて、光ファイバ着色心線1の側面に間欠連結部3の構成材料を間欠的に塗布する一方、整列手段で、側面に間欠連結部3を構成する材料が塗布された光ファイバ着色心線1の側面同士が接触するように整列し、前記した構成材料を紫外線照射等で硬化させることにより、間欠連結部3で光ファイバ着色心線1同士を間欠的に連結して、光ファイバテープ心線2を得るようにすればよい。
間欠連結部3の構成材料を間欠的に塗布可能な塗布ロール6としては、例えば、図7に示すような構成を採用してもよい。図7は、塗布ロール6の一例を示した図である。図7に示した塗布ロール6は、V溝71が形成された1対のV溝ロール7で塗布ロール6を挟み込むような構成を採用しており、塗布ロール6には、光ファイバ着色心線1が接触することになる。
また、図8は、塗布ロール6の他の例を示した斜視図、図9は図8の塗布ロール6に形成された塗布孔61の拡大図である。図8に示した塗布ロール6は、図9に示した塗布孔61が設けられており、かかる塗布孔61は、連続した一つの長穴ではなく、複数の小孔62が一列に整列して構成される。すなわち、塗布孔61は、所定幅、所定長さに、複数の小孔62が連続して配置されることで形成されている。
このような構成の塗布孔61を用いることで、間欠連結部を構成する材料(紫外線硬化樹脂)Rの押出量が安定する。塗布孔61では、それぞれの小孔62が独立しているため、各小孔62からはほぼ一定の材料Rが押し出される。したがって、塗布孔61(小孔62が形成される範囲。)に対して、ほぼ一定の量の材料Rを押し出すことができるため、光ファイバ着色心線1への材料Rの塗布量が安定する。
図10は、塗布ロール6近傍の装置Dを示した断面図である。図10に示した装置Dは、塗布ロール6の近傍において、ダイス9を材料Rの押出方向に向けて、所定の荷重で押し付ける構成を採用しており、また、ダイス9を保持する部材としてエアシリンダ8が設けられている。
装置Dにあっては、かかるエアシリンダ8によってダイス9が、V溝ロール7のV溝71に接触される光ファイバ着色心線1への材料Rの塗布側に向けて一定の荷重で押し付けられて、塗布孔61から材料Rが塗布されることになる。なお、エアシリンダ8に代えて、バネ等の弾性部材を設けてもよい。
(VI)発明の効果:
以上説明した本発明に係る光ファイバテープ心線2は、間欠連結部3を構成する材料(紫外線硬化樹脂組成物)に対して、重量平均分子量が2500〜4000のポリオールを含有することに加え、レオロジーコントロール剤を特定の範囲で含有している。かかる構成により、間欠連結部3を構成する材料が、当該材料に対して低せん断速度域では比較的高粘度となり、高せん断速度域では比較的低粘度となる一方、高せん断速度域である10 1/sより高いせん断速度域にシアシニングをシフトし、ニュートン域が長くなるような性質を備え、製造時に当該材料を塗布する塗布ロール6等の回転に伴い生ずる遠心力により材料の飛散を抑え、光ファイバ着色心線1への塗布量を安定させることができる。かつ、かかる飛散の抑制等を、線速を高速とした製造でも維持することができる光ファイバテープ心線2となる。
そして、本発明に係る光ファイバテープ心線2を備えた光ファイバケーブル4は、前記した光ファイバテープ心線2が奏する効果を享受する。すなわち、間欠連結部3の製造の際の塗布ロール6等による材料の飛散を抑え、光ファイバ着色心線1への塗布量を安定させることができ、かかる飛散の抑制等を、線速を高速とした製造でも維持することができる光ファイバテープ心線2を備えた光ファイバケーブル4を提供する。
ここで、光ファイバケーブル4の構成は、本発明に係る光ファイバテープ心線2を備えているものであれば特に限定はない。図11は、光ファイバケーブル4の一態様を示した図である。所定の心数の光ファイバテープ心線2を所定の本数(図11では8本。)撚り合わせ又は束ね合わせた光ファイバユニット21を、所定の本数(図11では25本。)撚り合わせ又は束ね合わせてケーブルコア41が構成されている。そして、かかるケーブルコア41の周囲には、例えば、不織布の押さえ巻テープ等からなる緩衝層42が形成され、さらにその周囲に、2本の鋼線(テンションメンバ)43及び2本の引き裂き紐44を内蔵した、熱可塑性樹脂等からなる被覆層(シース)46が形成されている。
図12は、光ファイバケーブル4の他の態様を示した図である。図12の光ファイバケーブル4は、所定の心数の光ファイバテープ心線2(図12では図示せず。)を所定の本数撚り合わせ又は束ね合わせて形成される光ファイバユニット21を所定の本数(図12では8本。)撚り合わせ又は束ね合わせた状態でルースチューブ5に内蔵し、かかる光ファイバユニット21及びそれを内蔵したルースチューブ5を鋼線(テンションメンバ)43の周囲に所定の本数(図12では8本。)撚り合わせる。
その周囲には、例えば、不織布の押さえ巻テープ等からなる緩衝層42が形成され、さらにその周囲に、光ファイバユニット21及びそれを内蔵したルースチューブ5を所定の本数(図12では15本。)撚り合わせて配置する。そして、その周囲に、例えば、不織布の押さえ巻テープ等からなる緩衝層42及び熱可塑性樹脂等からなる被覆層(シース)46が形成されている。
なお、便宜上、図11及び図12について、図11の光ファイバテープ心線2や図12の光ファイバユニット21のハッチングは省略している。また、図11の光ファイバテープ心線2及び光ファイバユニット21の符号、図12の光ファイバユニット21及びルースチューブ5の符号については、一部について載せている。
なお、本発明に係る光ファイバケーブル4としては、センターチューブ型、ルースチューブ型、スロット型などの光ファイバケーブルが考えられ、光ファイバテープ心線2を収容した光ファイバケーブルであれば特に制限されない。被覆層46は、例えば、2.0〜3.0mmとすることができるが、特にこの範囲には限定されない。
(VII)実施形態の変形:
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記した実施形態では、光ファイバテープ心線2として、図3ないし図5に示した12心の構成を例に挙げて説明したが、光ファイバテープ心線2における心数(光ファイバ着色心線1の数)については、12心のほか、4心、8心、24心等、任意に決定することができる。また、間欠連結部3の断面形状については、光ファイバ着色心線1と接する2辺が円弧状の略三角形状の態様を例に挙げたが、これには制限されず、隣接する光ファイバ着色心線1を長さ方向に間欠的に連結することができる任意の形状とすることができる。
また、図6で示したせん断速度と粘度の関係はあくまでも一例であり、例えば、本発明の要件を具備する成分を間欠連結部3の構成材料としたライン1についても、本発明の要件を具備する範囲での、間欠連結部3に使用される成分の種類の含有量等の調整により、そのカーブの形状等は発明の目的及び効果を妨げない範囲で変更されるものである。
また、前記した実施形態では、光ファイバテープ心線2を備えた光ファイバケーブル4として、図11及び図12に示した構造を例に挙げて説明したが、光ファイバケーブル4の構造は前記の構成に限定されないことに加え、例えば、被覆層46の種類、厚さ等や、光ファイバ着色心線1や光ファイバテープ心線2の数やサイズ、光ファイバユニット21の数やサイズ、光ファイバユニット21における光ファイバテープ心線2の本数、鋼線(テンションメンバ)43の種類、数やサイズ等や、緩衝層42の種類や厚さ、層の数についても、自由に選定することができる。また、光ファイバケーブル4の外径や断面形状等も自由に選定することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
光ファイバテープ心線の製造:
表1に示した内容及び下記に示した成分を用いて、下記(1)、(2)に示した方法により、図1及び図2に示した光ファイバ着色心線を備えた、図3ないし図5に示した構成の光ファイバテープ心線を製造した。なお、下記の内容において、分子量とは「重量平均分子量」を指す。なお、一次被覆層、二次被覆層、着色層及び間欠連結部については、下記の成分を使用した。
(1)光ファイバ着色心線の製造:
光ファイバである、石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を195μm、二次被覆層(セカンダリ層)の外径を242μmとしてそれぞれの層を被覆して光ファイバ素線とした。得られた光ファイバ素線に対して、別工程にて二次被覆層の周囲に着色層(着色層となる成分は成分aとした。)を被覆して、図1に示した構成の外径255μmの光ファイバ着色心線を得た。
(2)光ファイバ着色心線の製造:
光ファイバである、石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を185μm、着色された二次被覆層(着色された二次被覆層となる成分は成分bとした。)の外径を255μmとしてそれぞれの層を被覆して、図2に示した構成の外径255μmの光ファイバ着色心線を得た。
(一次被覆層及び二次被覆層の成分)
一次被覆層及び二次被覆層は、紫外線硬化樹脂としてポリプロピレングリコールを使用したオリゴマー(ポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマー、光開始剤、添加剤を適当量混合して使用した。
(a)成分a(図1の構成となる光ファイバ着色心線):
着色層となる成分a(着色材成分a)を構成する紫外線硬化樹脂は、オリゴマーとしてはウレタンアクリレートやビスフェノールAエポキシアクリレートを使用し、モノマーとして二官能モノマーや多官能モノマーを添加することでヤング率を調整した。また、両末端型アクリル変性シリコーンを着色層全体に対して3質量%含有させた。光開始剤は、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure907)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ルシリンTPO)、2,4−ジエチルチオキサントン(カヤキュアーDETX−S)を添加した。製造における酸素濃度は3〜5%で調整し、紫外線照射量は80mJ/cm以下とした。
(b)成分b(図2の構成となる光ファイバ着色心線):
着色された二次被覆層(着色層)となる成分b(着色材成分b)を構成する紫外線硬化樹脂は、オリゴマーとして、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用し、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整した。また、強靱性の向上のため、ビスフェノールAエポキシアクリレートを添加し、また、側鎖端アクリル変性シリコーンを着色層全体に対して2質量%含有させた。光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure184)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルーフォスフィンオキサイド(ルシリンTPO)を添加した。製造における酸素濃度は0.01%〜22%で調整し、紫外線照射量は80mJ/cm以下とした。
(3)光ファイバテープ心線の製造:
前記のようにして得られた光ファイバ着色心線を12本並列に並べて、図3ないし図5に示すような構造となるように、特許第6169060号に示される製造装置及び製造方法により、塗布ロールとして図7及び図8、塗布ロール近傍の装置として図10に示したものを用い、間欠連結部を構成する材料(紫外線硬化樹脂組成物)を下記の材料として、下記のように200m/分、400m/分、600m/分の3種類の線速(光ファイバ着色心線を進行させる速度のこと。以下同じ。)を用いて、所定のパターン(間欠連結部の長さ:30mm、非連結部の長さ:10mm、ピッチの長さ:80mm)となるように樹脂圧(塗布圧)を調整しながら塗布し、硬化させることにより間欠連結部(及び非連結部)を形成し、光ファイバテープ心線とした。
また、光ファイバテープ心線を製造する際の、間欠連結部を構成する材料の粘度等を下記の方法で確認するとともに、間欠連結部を構成する材料の塗布における材料の飛散の有無を確認した。そして、光ファイバ着色心線と間欠連結部との間の接着強度も測定するとともに、ベース材料に対するレオロジーコントロール剤の混合の程度(混合性)及び間欠連結部の外観も参考として確認した。組成とあわせて結果を表1に示す。
間欠連結部の成分として使用したベース材料:
紫外線硬化樹脂としてのオリゴマー(重量平均分子量2000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを使用した。光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤、シリコーン(重量平均分子量:約10000)を添加剤として適当量混合した。これらの成分で構成される材料をベース材料とし、下記に示すポリオールやレオロジーコントロール剤をそれぞれ所定の含有量で添加するようにして間欠連結部を構成する材料(紫外線硬化樹脂組成物)とした(比較例1ではポリオール、比較例2ではレオロジーコントロール剤のみ添加。)。
(実施例1)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、紫外線硬化樹脂組成物(間欠連結部を構成する材料であり、以下、単に「組成物」とする場合もある。)全体に対して23質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して5質量%添加した。
(実施例2)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して23質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して4質量%添加した。
(実施例3)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して25質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)を組成物全体に対して6質量%添加した。
(実施例4)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して20質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して5質量%添加した。
(実施例5)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して4質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として、疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して1質量%添加した。
(実施例6)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して30質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して10質量%添加した。
(実施例7)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して23質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として親水性ヒュームドシリカ(AEROSIL 200:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して5質量%添加した。
(比較例1)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して23質量%添加した。なお、レオロジーコントロール剤は添加しなかった。
(比較例2)
前記ベース材料に、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して5質量%添加した。なお、ポリオールは添加しなかった。
(比較例3)
前記ベース材料に、ポリオールとして重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PP3000:三洋化成工業(株)製)を、組成物全体に対して17質量%添加した。また、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R974:日本アエロジル(株)製)を組成物全体に対して0.5質量%添加した。
(粘度の測定方法及び粘度の算出方法等)
レオメータ(MCR301: Anton Paar社)を使用して、低せん断速度域から高せん断速度領域の粘度を測定した。25φパラレルプレート、ギャップ 0.5mm、周波数 62.8〜0.68rad/s(10〜0.1Hz 対数4点/桁 全9点)、歪量 5%、温度 −50℃〜50℃(10℃刻み。)の条件で、周波数分散(周波数と粘度の関係)を求めた。
次に、間欠連結部を構成する材料を塗布する25℃を基準温度として、周波数ω、粘度η、位相角δの関係についてW.L.F(Williams,Landel,Ferry)式を使用して、水平移動量と温度変化の関係を示すシフトファクターLogαTを定義し、図13に示すマスターカーブを求めた。
そして、Cox−Merz則より、周波数ω(rad/s)とせん断速度γ(1/s) は等価として扱うことができることから周波数をHz →rad/s→せん断速度γ (1/s)に変換し、図14のように算出した。図14は、せん断速度と粘度の関係を示した図である。なお、図14では、代表例として実施例1、比較例1及び比較例2を載せている。また、表1に、粘度(Pa・s)として、(x)25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(粘度 25℃ 101 1/s)、(y)25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(粘度 25℃ 106 1/s)、(z)35℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度(粘度 35℃ 101 1/s)、及び粘度比(小数点第二位を四捨五入して記載。)として(粘度 25℃ 10^1 1/s)/(粘度 35℃ 101 1/s)(=(x)/(z))を載せている。
(材料の飛散確認)
前記した装置を使用して間欠連結部の形成の際に間欠連結部を構成する材料を2本の光ファイバ着色心線の間に塗布する際の材料のロールからの飛散の有無を、線速を200、400、600m/分の3種類として、長さ50kmの飛散をアクリルケースで覆い確認した。ロール部分及びその他パスラインを汚染しないで50km塗布でき、安定した塗布量であったと判断できる場合を「○」、飛散が多く確認され、光ファイバ着色心線に垂れる状態やロール部分及びその他パスラインを汚染し、50km塗布しきれなかった場合を「×」として判定した。3種類の線速の全てで「○」と判定された場合、総合も「○」とした。一方、3種類の線速の少なくとも1つで「×」と判定された場合、総合も「×」とした。
(接着強度の測定)
間欠連結部が形成された2本の光ファイバ着色心線を取り出し、かかる光ファイバ着色心線を引張試験機の上部に固定し、2本の光ファイバ着色心線の間にφ0.5mmの針金を通し、針金を下方向に100mm/分の速度で引っ張って間欠連結部から光ファイバ着色心線を剥離させるために必要な強度(N)を計測して、光ファイバ着色心線と間欠連結部との間の接着強度とした。なお、測定対象は、600m/分で製造した光ファイバテープ心線とした。
(外観(参考として評価))
塗布ロールの接地側と裏面、及び断面状態については、デジタルマイクロスコープ VHX−5000((株)キーエンス製)を使用して観察した。材料(樹脂組成物)が隣り合う光ファイバ着色心線の表面と裏面に良好に塗布されている場合を「○」、実用上問題ないが一方の面への塗布が不足する場合を「△」、一方の面への塗布が過度に不足し、実用上問題があると判断された場合を「×」として判定した。
(混合性(参考として評価))
樹脂組成物の対するレオロジーコントロール剤の混合及び脱泡は、攪拌・脱泡装置(ARE310:(株)シンキー製)を用いて、回転数を2000rpmとして行った。その後、スピンコーター1H−DX−2(ミカサ(株)製)を使用してガラス基板に35μmになるように回転数を設定してスピンコートを行った。その際の混合の度合い及び塗布性について、樹脂組成物に対してレオロジーコントロール剤が良好に混合、分散されているかを目視で確認し、平滑に分散され良好であると判断された場合を「○」、実用上問題ないが、流れ等が表面に確認され分散がやや悪い状態と判断される場合を「△」、分散が悪い状態と判断される場合を「×」として判定した。
(組成及び結果)
Figure 2019172443
表1に粘度の測定結果を示す。間欠連結部が、重量平均分子量が2500〜4000のポリオールを含有し、かつ、レオロジーコントロール剤を間欠連結部全体に対して1〜10質量%する実施例1〜実施例7は、材料の飛散確認も、線速を600m/分とした場合でも材料の飛散は認められず、安定した塗布量であったと判断でき、総合の判定も「○」であった。実施例1〜実施例7は、間欠連結部を構成する材料(塗布される紫外線硬化樹脂組成物)の粘度を測定した結果、いずれも25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度を3〜11Pa・sの範囲とし、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度を0.2〜2.5Pa・sの範囲内であった。
一方、比較例1〜比較例3は、材料の飛散確認は、塗布時に材料の飛散が確認され、総合の判定も「×」であった。かかる材料の粘度を測定した結果、前記の粘度の範囲内に収まらないものであった。
図14より、レオロジーコントロール剤を含有しない比較例1は、10 1/sを境にして粘度が下がるシアシニングが確認でき、材料の飛散確認の評価も、線速が400m/分、及び600m/分となると材料の飛散が確認された。
実施例1は、ニュートン領域が長くなり、10 1/s以降にシアシニングがシフトしており、高せん断域での粘度変化(粘度の低下)が小さかった。よって、材料の飛散確認の評価も、線速が400m/分、600m/分となっても材料の飛散は確認されず、飛散の防止には有効であった。
レオロジーコントロール剤を所定量含有する一方ポリオールを含有しない比較例2は、前記した実施例1と比較してもニュートン領域が狭く、かつ、図14に示すようにシアシニングが10 1/sから観察されることから、高せん断速度域では安定しなかった。そして、材料の飛散確認の評価も、線速が200m/分の段階で材料の飛散が確認された。
接着強度の測定結果を表1にあわせて示した。実施例1〜実施例5は、光ファイバ着色心線と間欠連結部を構成する材料(塗布される紫外線硬化樹脂組成物)の接着強度を測定した結果、高線速(600m/分)の製造でも0.07N以上の高い接着強度が得られた。一方、比較例1〜比較例3は、線速に追従しないため、満足な光ファイバテープ心線が製造しにくく、接着している部分の測定を行ったが、接着強度が低い(0.07Nより低い)結果が確認された。
なお、参考として実施した混合性及び外観の評価では、レオロジーコントロール剤として疎水性ヒュームドシリカを用いたものは、ともに「○」の判定であった。また、親水性ヒュームドシリカを用いた実施例7については、混合性及び外観はともに「△」の判定であり、実使用上は問題ない。
(光ファイバケーブルの製造)
実施例1の光ファイバテープ心線を用いて、光ファイバケーブルを下記のようにして製造した。
(4)光ファイバケーブルの製造:
12心の光ファイバテープ心線を8本撚り合わせた光ファイバユニットを18本(または36本)撚り合わせてケーブルコアとし、その周囲に緩衝層として不織布押さえ巻テープを巻き付けた。さらに、緩衝層の外周に、φ4mmのFRP及び鋼線2本と、引き裂き紐2本とともに、被覆層を形成した。ケーブル化については、被覆層(シース)として熱可塑性樹脂を被覆し、図11の構造(光ファイバユニットの数は異なる。)のケーブルとした。
上述のように、本発明の光ファイバテープ心線を用いても、従来の光ファイバテープ心線と同様にケーブル化でき、光ファイバケーブルとして好適に使用できることを確認した。
本発明は、製造時に間欠連結部を構成する材料の飛散を防止できる光ファイバテープ心線及び光ファイバケーブルを提供する手段として有効に利用することができ、産業上の利用可能性は高い。
1 …… 光ファイバ着色心線
1a〜1l …… 光ファイバ着色心線
10 …… 光ファイバ(ガラス光ファイバ)
11 …… 一次被覆層(プライマリ層)
12 …… 二次被覆層(セカンダリ層)
12a …… 着色された二次被覆層
13 …… 着色層
2 …… 光ファイバテープ心線
21 …… 光ファイバユニット
3 …… 間欠連結部
31,32 …… 間欠連結部
33,X …… 非連結部(単心部)
4 …… 光ファイバケーブル
41 …… ケーブルコア
42 …… 緩衝層
43 …… 鋼線(テンションメンバ)
44 …… 引き裂き紐
46 …… 被覆層(シース)
5 …… ルースチューブ
6 …… 塗布ロール
61 …… 塗布孔
62 …… 小孔
7 …… V溝ロール
71 …… V溝
8 …… エアシリンダ
9 …… ダイス
D …… 装置
R …… 間欠連結部を構成する材料
t1〜t11 …… 光ファイバ着色心線対

Claims (7)

  1. 光ファイバの周囲に当該光ファイバを被覆する少なくとも2つの被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線を並列に配置し、隣接する前記光ファイバ着色心線が、間欠連結部によって長さ方向に連結されてなる光ファイバテープ心線であって、
    前記間欠連結部が、重量平均分子量が2500〜4000のポリオールを含有し、かつ、
    低せん断速度域と高せん断速度域の間のニュートン域を高せん断領域側にシフトさせるレオロジーコントロール剤を前記間欠連結部全体に対して1〜10質量%含有したことを特徴とする光ファイバテープ心線。
  2. 前記間欠連結部が、前記ポリオールを前記間欠連結部全体に対して4〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバテープ心線。
  3. 前記レオロジーコントロール剤が疎水性のヒュームドシリカであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバテープ心線。
  4. 前記間欠連結部を形成する材料の粘度が、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度が3〜11Pa・sであり、かつ、25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度が0.2〜2.5Pa・sであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光ファイバテープ心線。
  5. 前記25℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度と、35℃での動的粘弾性から求めたせん断速度10 1/sの粘度の比(25℃の粘度/35℃の粘度)が3以下であることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバテープ心線。
  6. 前記光ファイバ着色心線と前記間欠連結部との間の接着強度が0.07N以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光ファイバテープ心線。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の光ファイバテープ心線を備えたことを特徴とする光ファイバケーブル。
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