JPWO2019159842A1 - トルク伝達用継手および電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

トルク伝達用継手および電動式パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

駆動軸の回転方向を反転させる際に、異音の発生を抑えることができる、トルク伝達用継手の構造を提供する。中間伝達部材17は、周方向複数箇所に中間伝達歯21を有する。1対の端部伝達部材18は、周方向複数箇所に端部伝達歯37と、端部伝達歯37よりも軸方向外側に中間伝達部材17の軸方向外側面に対向する端部側面部39を有する。弾性部材19は、周方向複数箇所に端部伝達歯37が軸方向に挿通する挿通孔を有する。挿通孔を周方向隙間なく軸方向に挿通した端部伝達歯37と、中間伝達歯21とが、周方向に関して交互にかつ周方向隙間を介して配置される。

Description

本発明は、各種機械装置に組み込まれ、駆動軸と被駆動軸との間でトルクを伝達するためのトルク伝達用継手、および、該トルク伝達用継手が組み込まれた電動式パワーステアリング装置に関する。
図18および図19は、特開2004−306898号公報などに記載された従来の電動式パワーステアリング装置の1例を示す。この電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1が取り付けられたステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の前端部を回転自在に支持するハウジング3と、ステアリングシャフト2により回転駆動される部分に固定されたウォームホイール4と、ウォームホイール4と噛合するウォーム歯5を軸方向中間部に有し、電動モータ6により回転駆動されるウォーム7とを備える。
ウォーム7の軸方向両端部は、深溝型玉軸受などの1対の転がり軸受8、9により、ハウジング3内に回転自在に支持されている。ウォーム7の先端部で転がり軸受8よりも突出した部分に、押圧駒10が外嵌されており、押圧駒10とハウジング3との間に、コイルばね11などの付勢機構が配置されている。コイルばね11は、押圧駒10を介して、ウォーム7のウォーム歯5を、ウォームホイール4に向け付勢する。このような構成により、ウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュに起因する歯打ち音の発生が抑えられている。
従来の電動式パワーステアリング装置においては、ウォーム歯5とウォームホイール4との噛合部における歯打ち音の発生は抑えられているが、電動モータ6の出力軸12の先端部とウォーム7の基端部との結合部における異音の発生を抑える観点から、改良の余地がある。この点について、以下に説明する。
従来の電動式パワーステアリング装置では、電動モータ6の出力軸12の先端部とウォーム7の基端部とをトルクの伝達を可能に結合するために、ウォーム7の基端部のスプライン孔13と、出力軸12の先端部のスプライン軸部14とをスプライン係合させている。スプライン軸部14とスプライン孔13とが、周方向隙間をゼロにした状態、すなわち、バックラッシュが存在しない状態でスプライン係合していれば、出力軸12の先端部とウォーム7の基端部とのスプライン係合部で、異音が発生することはない。しかしながら、実際には、このスプライン係合部にはバックラッシュが存在する。特に、ウォーム歯5をウォームホイール4に向け付勢する構造では、ウォーム7を揺動変位させる必要があり、スプライン係合部のバックラッシュを完全に解消することはできない。このため、従来の電動式パワーステアリング装置には、電動モータ6の出力軸12の回転方向を反転させる際に、このスプライン係合部のバックラッシュに起因する異音の発生を抑える観点から、改良の余地がある。
一方、特開2012−131249号公報には、電動モータの出力軸とウォームとを、金属製で円柱状の動力伝達部材を介して結合することにより、ウォームの揺動変位を円滑に行わせることができる構造が記載されている。ただし、このような構造でも、ウォームを揺動変位させるために、動力伝達部材の両端部に設けられたスプライン軸部と、ウォームおよび電動モータの出力軸のそれぞれの端部に設けられたスプライン孔とのスプライン係合部には、それぞれバックラッシュが存在する。このため、このような構造においても、これらのバックラッシュに起因する異音の発生を抑える観点から、改良の余地がある。
特開2004−306898号公報 特開2012−131249号公報
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、駆動軸の回転方向を反転させる際の異音の発生を抑えることができるトルク伝達用継手および電動式パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明のトルク伝達用継手は、中間伝達部材と、1対の端部伝達部材と、弾性部材とを備える。
前記中間伝達部材は、周方向複数箇所に備えられた中間伝達歯と、軸方向両側部に配された軸方向外側面とを有する。
前記1対の端部伝達部材は、前記中間伝達部材の軸方向両側に配置され、該1対の端部伝達部材のそれぞれは、周方向複数箇所に備えられた端部伝達歯と、該端部伝達歯よりも軸方向外側に配置され、前記軸方向外側面のいずれかに対向する端部側面部とを有する。
前記弾性部材は、前記中間伝達部材に組み付けられ、周方向複数箇所に配置され、前記端部伝達歯が軸方向に挿通する挿通孔を有する。前記端部伝達歯が前記挿通孔を軸方向に挿通した状態で、前記端部伝達歯と前記中間伝達歯とは、周方向に関して交互にかつ周方向隙間を介して配置される。前記挿通孔の周方向両側縁同士の周方向間隔は、前記中間伝達歯のうちの隣り合う中間伝達歯同士の周方向間隔よりも小さくなっている。
好ましくは、前記中間伝達部材と前記端部側面部とが軸方向に対向する径方向の範囲において、前記弾性部材は、前記中間伝達部材の軸方向外側面よりも軸方向外側に張り出している。すなわち、前記弾性部材の軸方向両側部の軸方向外側面が、前記中央伝達部材の軸方向両側部の前記軸方向外側面よりも、前記1対の端部円達部材の端部側面部により近い側に位置する。
好ましくは、前記弾性部材は、前記中間伝達部材よりも径方向内側に張り出している。すなわち、前記端部伝達歯の先端面と前記挿通孔の底面との間に存在する径方向隙間は、前記端部伝達歯の前記先端面と前記中間伝達歯のうちの前記隣り合う1対の中間伝達歯の間部分の底面との間に存在する径方向隙間よりも小さくなっている。
前記弾性部材は、前記挿通孔のそれぞれの周方向両側縁の少なくとも一方の側縁の径方向一部に、周方向中央側に向けて突出する弾性突起を備えることができる。好ましくは、該弾性突起は、前記挿通孔のそれぞれの周方向両側縁の径方向外寄り部に備えられる。
前記弾性部材は、前記端部側面部と軸方向に対向する周方向複数箇所に、軸方向外側に突出する突出部を備えることができる。
本発明の電動式パワーステアリング装置は、ハウジングと、ウォームホイールと、ウォームと、電動モータとを備える。
前記ウォームホイールは、前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
前記ウォームは、前記ウォームホイールと噛合した状態で、前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
前記電動モータは、前記ウォームを回転駆動するための出力軸を有する。
特に、本発明の電動式パワーステアリング装置は、前記電動モータの出力軸と前記ウォームとの間に、前記電動モータの出力軸と前記ウォームとをトルク伝達を可能に接続する、トルク伝達用継手を備える。
該トルク伝達用継手は、本発明のトルク伝達用継手により構成される。前記1対の端部伝達部材のうちの一方の端部伝達部材は、前記電動モータの出力軸の先端部に固定または一体に形成されている。また、前記1対の端部伝達部材のうちの他方の端部伝達部材は、前記ウォームの基端部に固定または一体に形成されている。
好ましくは、前記1対の端部伝達部材の前記端部側面部同士の間の軸方向距離が、前記中間伝達部材の軸方向幅寸法よりも大きくなっている。
本発明の電動式パワーステアリング装置では、前記ウォームが前記電動モータの出力軸に対して揺動可能であり、かつ、前記ウォームの先端部と前記ハウジングとの間に、前記ウォームを前記ウォームホイールに向けて付勢する付勢機構を備えることができる。
本発明のトルク伝達用継手および電動式パワーステアリング装置によれば、1対の端部伝達部材のうちの一方の端部伝達部材を固定または一体成形された駆動軸と、1対の端部伝達部材のうちの他方の端部伝達部材を固定または一体成形された被駆動軸とのうち、駆動軸の回転方向を反転させる際に、異音の発生を抑えることができる。
図1は、実施の形態の第1例の電動式パワーステアリング装置を示す部分切断側面図である。 図2は、一部を省略して示す、図1のA部拡大図である。 図3は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の斜視図である。 図4は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手を、径方向外側から見た図である。 図5は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手を、図4の軸方向側方から見た図である。 図6は、図5のB−B断面図である。 図7は、図5のC−O−C断面図である。 図8は、図7の右上部の拡大図である。 図9は、図6のD−D断面図である。 図10は、図6のE−E断面図である。 図11は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手から、中間伝達部材と弾性部材との結合体を取り出して示す、図5のB−B断面図に相当する断面図である。 図12(a)〜図12(c)は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の中間伝達部材を示す図であり、図12(a)は、一方の側面図であり、図12(b)は、図12(a)のF−F断面図であり、図12(c)は、他方の側面図である。 図13(a)〜図13(c)は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の弾性部材を示す図であり、図13(a)は、一方の側面図であり、図13(b)は、図13(a)のG−G断面図であり、図13(c)は、他方の側面図である。 図14は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の端部伝達部材を示す図であり、図14(a)は、端面図であり、図14(b)は、図14(a)のH−H断面図である。 図15は、実施の形態の第2例のトルク伝達用継手の中間伝達部材と弾性部材との結合体を、軸方向側方から見た図である。 図16は、実施の形態の第2例のトルク伝達用継手に関する、図7に相当する図である。 図17は、図16の右上部の拡大図である。 図18は、電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示す部分切断側面図である。 図19は、図18の拡大I−I断面図である。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、図1〜図14を用いて説明する。本例の電動式パワーステアリング装置は、ハウジング3と、ハウジング3に対し回転自在に支持されているウォームホイール4と、ウォームホイール4と噛合した状態で、ハウジング3に対し回転自在に支持されているウォーム7aと、ウォーム7aを回転駆動するための出力軸12aを有する電動モータ6とを備える。ハウジング3は、後端部にステアリングホイール1が取り付けられたステアリングシャフト2の前端部(図18および図19参照)を、回転可能に支持する。ウォームホイール4は、ステアリングシャフト2により回転駆動される部分に固定される。より具体的には、ウォーム7aは、ウォームホイール4と噛合するウォーム歯5を軸方向中間部に有し、ウォーム7aの軸方向両端部は、深溝玉軸受などの1対の転がり軸受8、9により、ハウジング3内に回転可能に支持されている。
ウォーム7aの先端部に外嵌された転がり軸受8と、ハウジング3との間には、コイルばね、板ばねなどの弾性体を含む付勢機構15が備えられている。付勢機構15の弾性体の弾力に基づいて、ウォーム7aのウォーム歯5は、ウォームホイール4に向けて、押圧あるいは付勢されている。このような構成により、ウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュに起因する歯打ち音の発生が抑えられている。
本発明の電動式パワーステアリング装置は、駆動軸となる電動モータ6の出力軸12aと被駆動軸となるウォーム7aとをトルク伝達を可能に接続するトルク伝達用継手16を備える。本例では、軸方向に関して互いに直列に配置された、電動モータ6の出力軸12aの先端部と、ウォーム7aの基端部とが、トルク伝達用継手16を介して結合されている。
トルク伝達用継手16は、中間伝達部材17と、1対の端部伝達部材18と、弾性部材19とを備える。1対の端部伝達部材18を構成する一方(図2、図4、図6、図7における右方)の端部伝達部材18は、出力軸12aに取り付けられる。他方(図2、図4、図6、図7における左方)の端部伝達部材18は、ウォーム7aの基端部に取り付けられる。中間伝達部材17は、一方の端部伝達部材18と他方の端部伝達部材18の間でトルクを伝達する。弾性部材19は、ゴムおよびその他のエラストマーを含む弾性材料からなり、一方の端部伝達部材18と中間伝達部材の間、および、他方の端部伝達部材18と中間伝達部材17の間で、緩衝機能を発揮する。
以下の説明において、トルク伝達用継手16を構成するそれぞれの部材に関する軸方向の内外は、トルク伝達用継手16を組み立てた状態での、トルク伝達用継手16の軸方向中央部を基準とする。すなわち、トルク伝達用継手16の軸方向中央側が軸方向内側に相当し、トルク伝達用継手16の軸方向両側が軸方向外側に相当する。
中間伝達部材17は、弾性部材19を構成する弾性材料に比べて弾性変形しにくい(剛性が高い)材料により、全体として円環状に構成されている。中間伝達部材17を構成する材料としては、布でゴムを強化したベルト材料、必要に応じて強化繊維を混入したPPS、PEEK、ポリアミドなどの合成樹脂、炭素鋼などの鉄合金、アルミニウム合金などの金属が挙げられる。中間伝達部材17は、これらの材料に、射出成形、鋳造、鍛造、焼結、切削などの加工を施すことにより形成される。
中間伝達部材17は、周方向複数箇所に中間伝達歯21を有する。本例では、図12(a)〜図12(c)に示すように、中間伝達部材17は、円筒状の中間筒部20を備え、中間伝達歯21は、中間筒部20の径方向内側部の等間隔となる周方向複数箇所に放射状に配置されている。また、中間伝達部材17は、中間筒部20の軸方向両側部に配された軸方向外側面を有する。
中間筒部20は、軸方向両側部の径方向中間部に、両側の軸方向外側面に開口する周方向凹部22を有する。周方向凹部22は、中間伝達部材17の周方向に、かつ、中間伝達部材17の全周にわたって伸長する。周方向凹部22の内面を構成する内径側周面23と外径側周面24とは、中間伝達部材17の中心軸を中心とする円筒面である。中間筒部20は、軸方向両側部の径方向外端部に、軸方向両側に突出した円筒状の覆い部25を有する。覆い部25の内周面は、周方向凹部22の外径側周面24と単一円筒面を構成する。
中間伝達歯21のそれぞれの径方向外端部は、中間筒部20の内周面に結合されている。図示の例では、隣り合う1対の中間伝達歯21の互いに対向する周方向側面は、互いに平行な平面からなる。隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分には、後述するように、端部伝達部材18を構成する端部伝達歯37が軸方向両側から挿入されて、中間伝達歯21と端部伝達歯37とが、周方向に関して交互に配置される。
中間伝達歯21のそれぞれの軸方向外側面の周方向中央部には、軸方向に突出する係合凸部26が備えられている。係合凸部26は、軸方向から見た形状が、中間伝達部材17の放射方向に伸長する略矩形状である。また、係合凸部26の先端面である軸方向外側面のうちの径方向外側部は、傾斜側面部27により構成されている。傾斜側面部27は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜している。さらに、係合凸部26のうちの周方向に関して1つ置きに配置された係合凸部26の径方向内側面の軸方向外半部には、径方向内方に張り出した爪部28が備えられている。傾斜側面部27を含む係合凸部26の先端面は、中間伝達部材17の軸方向外側面の一部を構成し、中間伝達部材17の軸方向外側面のうち最も軸方向外側に位置する。
本例の弾性部材19は、1対の弾性部材19により構成される。1対の弾性部材19のそれぞれは、弾性材料により全体として円輪状に構成されている。弾性部材19を構成する弾性材料として、具体的には、NBR、HNBRなどのゴム、ポリウレタン、シリコンなどのエラストマーが挙げられる。本例では、1対の弾性部材19のそれぞれは、互いに同形および同大である。1対の弾性部材19は、中間伝達部材17の軸方向両側部に、対称に組み付けられている。
図13(a)〜図13(c)に示すように、1対の弾性部材19のそれぞれは、中間伝達歯21と同位相となる周方向複数箇所に、貫通孔である係合凹部29を有している。また、弾性部材19は、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分(歯間部)と同位相となる周方向複数箇所に、スリット状の挿通孔30を有している。本例の弾性部材19では、係合凹部29と挿通孔30とが、周方向に交互に配置される。
係合凹部29は、軸方向から見た形状が弾性部材19の放射方向に伸長する略矩形状である。係合凹部29は、中間伝達歯21の軸方向外側面に備えられた係合凸部26と係合して、弾性部材19が中間伝達部材17に対し相対回転することを阻止する。
弾性部材19のうち、係合凹部29の径方向内側部のうちの軸方向外側部には、係合凹部29を径方向内側に延長したような形状を有する除肉部が備えられている。係合凹部29の径方向内側部のうちの軸方向内側部には、周方向に伸長した係合梁31が備えられている。
挿通孔30は、弾性部材19の放射方向に伸長し、かつ、弾性部材19の内周縁に開口する。挿通孔30には、後述するように、端部伝達部材18の端部伝達歯37が軸方向外側から挿通する。図9および図10に示すように、挿通孔30の周方向両側縁同士の周方向間隔t30は、隣り合う中間伝達歯21同士の周方向間隔T21よりも小さくなっている(t30<T21)。
弾性部材19は、挿通孔30のそれぞれの周方向両側縁の少なくとも一方の側縁の径方向一部に、周方向中央側に向けて突出する弾性突起32を備えることができる。本例では、挿通孔30の周方向両側縁の径方向外寄り部には、周方向中央側に向けて突出する弾性突起32が備えられている。この場合、周方向に対向する弾性突起32の先端面同士の周方向間隔が、挿通孔30の周方向両側縁同士の周方向間隔t30に相当する。本例では、弾性突起32から径方向に外れた部分同士の間の周方向間隔に関しても、隣り合う中間伝達歯21同士の周方向間隔T21よりも小さくなっている。弾性突起32の軸方向から見た形状は、凸円弧形である。挿通孔30の周方向両側縁のうち、弾性突起32から径方向に外れた部分は、互いに平行な平坦部となっている。
本発明を実施する場合、弾性突起32の形状や形成位置は、図示の構造に限られない。たとえば、弾性突起32の軸方向から見た形状として、三角形や台形などの他の形状を採用することもできる。弾性突起は、挿通孔の周方向両側縁の径方向外寄り部に配置されることが好ましいが、たとえば挿通孔の周方向両側縁の径方向中央部に配置することもできる。弾性突起の数も、1個に限られず、複数個とすることもできる。弾性突起32を省略して、挿通孔の周方向両側縁のうちの一方または両方の全体を平坦部により構成することもできる。
弾性部材19は、係合凹部29および挿通孔30よりも径方向外側に位置する径方向外端部に、軸方向内側に突出した周方向凸部33を有する。周方向凸部33は、弾性部材19の周方向に、かつ、弾性部材19の全周にわたって伸長する。
弾性部材19の軸方向外側面の径方向中間部は、傾斜側面部34により構成されている。傾斜側面部34は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜している。
1対の弾性部材19は、中間伝達部材17の軸方向両側部に対称に組み付けられて、中間伝達部材17と1対の弾性部材19との結合体35が構成される。結合体35が構成された状態では、1対の弾性部材19により、中間伝達部材17の両側の軸方向外側面は覆われる。
結合体35が構成された状態において、中間伝達部材17の周方向凹部22の内側に、弾性部材19の周方向凸部33が圧入され、周方向凹部22の内径側周面23と周方向凸部33の内周面、および、周方向凹部22の外径側周面24と周方向凸部33の外周面が、いずれも弾性的に接触して強く摩擦係合する。また、中間伝達部材17の覆い部25に弾性部材19が締り嵌めで内嵌され、覆い部25の内周面と弾性部材19の外周面とが、弾性的に接触して強く摩擦係合する。これらの摩擦係合によって、中間伝達部材17に対する弾性部材19の軸方向外側への変位、並びに、中間伝達部材17と弾性部材19との分離の防止が図られている。さらに、弾性部材19の外周面が覆い部25により覆われるため、搬送中に、弾性部材19の外周面に他の物品がぶつかったり、引っ掛かったりすることに起因する、中間伝達部材17と弾性部材19との分離の防止が図られている。本発明を実施する場合には、たとえば、内径側周面23と周方向凸部33の内周面との間の周方向少なくとも1箇所に隙間が備えられた構造、外径側周面24と周方向凸部33の外周面との間の周方向少なくとも1箇所に隙間が備えられた構造、内径側周面23と外径側周面24とのうちの一方の周面にのみ、周方向凸部33の周面を弾性的に接触させた構造、覆い部25の内周面と弾性部材19の外周面との間に隙間が備えられた構造、周方向凸部33の周方向少なくとも1箇所に不連続部が備えられた構造なども、採用することもできる。
弾性部材19の係合凹部29の内側に、中間伝達部材17の係合凸部26が挿入され係合することで、中間伝達部材17と弾性部材19との相対回転が阻止される。また、係合凸部26の径方向内側に備えられた爪部28が係合梁31の軸方向外側面に係合する。これにより、中間伝達部材17に対して弾性部材19が軸方向外側に変位することの防止、および、中間伝達部材17と弾性部材19との分離の防止が図られている。弾性部材19を中間伝達部材17に取り付けた状態で、スリット状の挿通孔30が、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分と同位相となる位置に配置される。
弾性部材19の軸方向外側面は、中間伝達部材17の両側の軸方向外側面のうち最も軸方向外側に位置する係合凸部26の先端面よりも、軸方向外側に位置する。すなわち、弾性部材19は、中間伝達部材17の両側の軸方向外側面よりも軸方向外側に張り出している。したがって、結合体35の軸方向幅寸法W35は、中間伝達部材17の軸方向幅寸法W17よりも大きくなる(W35>W17)。また、弾性部材19の内周面は、中間伝達部材17の中間伝達歯21の径方向内側面および爪部28の径方向内端縁よりも、径方向内側に位置している。すなわち、弾性部材19は、中間伝達部材17よりも径方向内側に張り出している。
本例では、中間伝達部材17と1対の弾性部材19との結合体35の両側の軸方向外側面の径方向中間部に、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜した傾斜側面部27、34が配される。
1対の端部伝達部材18のそれぞれは、全体として円環状に構成される。端部伝達部材18を構成する材料としては、必要に応じて強化繊維を混入したPPS、PEEK、ポリアミドなどの合成樹脂や、鉄合金、銅合金、アルミニウム合金などの金属が挙げられる。端部伝達部材18は、これらの材料に、射出成形、鋳造、鍛造、焼結、切削などの加工を施すことにより形成される。本例では、1対の端部伝達部材18は、互いに同形および同大である。1対の端部伝達部材18は、中間伝達部材17と1対の弾性部材19との結合体35の軸方向両側部に係合する。
図14(a)および図14(B)に示すように、1対の端部伝達部材18のそれぞれは、端部連結部である円筒状の端部筒部36と、複数個の端部伝達歯37と、円輪状の鍔部38とを有する。鍔部38の径方向内端部は、端部筒部36の軸方向外端部に結合されている。複数個の端部伝達歯37のそれぞれは、略矩形板状であり、端部筒部36の径方向外側の周方向等間隔となる複数箇所に放射状に配置されている。端部伝達歯37のそれぞれの径方向内端部は、端部筒部36の外周面に結合され、かつ、端部伝達歯37のそれぞれの軸方向外端部は、鍔部38の軸方向内側面である端部側面部39に結合されている。
1対の端部伝達部材18の軸方向内端部から中間部までが、結合体35の軸方向両側部の径方向内側に挿入される。この状態で、一方(図2、図4、図6、図7における右方)の端部伝達部材18に備えられた端部伝達歯37は、一方の弾性部材19の挿通孔30に周方向のがたつきなく(たとえば、周方向の締め代を有する状態で)係合し、中間伝達部材17の中間伝達歯21に対して周方向隙間を介して係合する。また、他方(図2、図4、図6、図7における左方)の端部伝達部材18の端部伝達歯37は、他方の弾性部材19の挿通孔30に周方向のがたつきなく(たとえば、周方向の締め代を有する状態で)係合し、中間伝達部材17の中間伝達歯21に対して周方向隙間を介して係合する。すなわち、図10に示すように、端部伝達歯37と中間伝達歯21との周方向側面同士の間には、周方向隙間αが存在する。なお、本発明を実施する場合には、端部伝達歯37を弾性部材19の挿通孔30に対して周方向隙間を介して係合させることもできる。ただし、この場合にも、この周方向隙間よりも、周方向隙間αを大きくする。
本例では、図10に示すように、端部伝達歯37の先端面である径方向外端面と、挿通孔30の底面との間に径方向隙間βが介在し、端部伝達歯37の径方向外端面と、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分の底面(中間筒部20の内周面)との間に径方向隙間γが介在する。径方向隙間βは、径方向隙間γよりも小さくなっている(β<γ)。また、隣り合う1対の端部伝達歯37の間部分の底面(端部筒部36の外周面)と、弾性部材19の内周面との間に径方向隙間εが介在し、隣り合う1対の端部伝達歯37の間部分の底面と、中間伝達歯21の先端面である径方向内端面との間に径方向隙間ηが介在する。径方向隙間εは、径方向隙間ηよりも小さくなっている(ε<η)。
本例では、図7および図8に示すように、結合体35の両側の軸方向外側面である、1対の弾性部材19の軸方向外側面および複数の係合凸部26の軸方向外側面と、1対の端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向する。
本例のトルク伝達用継手16を電動式パワーステアリング装置に組み付けた状態で、一方の端部伝達部材18の端部筒部36は、出力軸12a(図1および図2参照)の先端部に対し、締め代を有する円筒面嵌合、締め代を有するスプライン嵌合、かしめなどのトルク伝達可能な構造により、外嵌固定されている。また、他方の端部伝達部材18の端部筒部36は、一方の端部伝達部材18と同様に、ウォーム7a(図1および図2参照)の基端部に外嵌固定されている。ただし、端部伝達部材18は、出力軸12aの先端部やウォーム7aの基端部と一体に形成することもできる。図8に示すように、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間の軸方向距離L39が、結合体35の軸方向幅寸法W35よりも大きくなっている(L39>W35)。したがって、軸方向距離L39は、中間伝達部材17の軸方向幅寸法W17よりも大きくなっている(L39>W17)。本例では、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39によって、結合体35の軸方向位置が規制されている。すなわち、結合体35は、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間でのみ、軸方向に変位することが可能である。
本例の電動式パワーステアリング装置では、電動モータ6の出力軸12aとウォーム7aとの間で伝達されるトルクが比較的小さい場合には、出力軸12aの回転トルクは、一方の端部伝達部材18、一方の弾性部材19、中間伝達部材17、他方の弾性部材19、他方の端部伝達部材18、およびウォーム7aの順に伝達される。具体的には、出力軸12aの回転トルクは、一方の端部伝達部材18から一方の弾性部材19に、端部伝達歯37と挿通孔30との係合部を通じて伝達される。一方の弾性部材19に伝達されたトルクは、中間伝達部材17に、一方の弾性部材19の係合凹部29と中間伝達部材17の係合凸部26との係合部を通じて伝達される。中間伝達部材17に伝達されたトルクは、他方の弾性部材19に、中間伝達部材17の係合凸部26と他方の弾性部材19の係合凹部29との係合部を通じて伝達される。他方の弾性部材19に伝達されたトルクは、他方の端部伝達部材18およびウォーム7aに、挿通孔30と端部伝達歯37との係合部を通じて伝達される。
これに対して、出力軸12aとウォーム7aとの間で伝達されるトルクが大きくなると、一方の弾性部材19の一部が、一方の端部伝達部材18の端部伝達歯37によって、周方向に弾性的に押し潰され、かつ、他方の弾性部材19の一部が、他方の端部伝達部材18の端部伝達歯37によって、周方向に弾性的に押し潰される。そして、一方の端部伝達部材18の端部伝達歯37および他方の端部伝達部材18の端部伝達歯37と、中間伝達部材17の中間伝達歯21との、それぞれの周方向側面同士が直接当接する。これらの当接の勢いは、一方の弾性部材19および他方の弾性部材19の弾性変形により弱められているため、当接に伴う異音の発生は抑えられる。この状態では、出力軸12aの回転トルクの大部分は、一方の端部伝達部材18から中間伝達部材17に直接伝達され、中間伝達部材17に伝達されたトルクの大部分は、中間伝達歯21から他方の端部伝達部材18に直接伝達される。また、残りのトルクは、上述したトルクが小さい場合と同様にして、出力軸12aからウォーム7aに伝達される。
本例では、電動モータ6の出力軸12aの回転方向を反転させる際にも、一方の端部伝達部材18の端部伝達歯37および他方の端部伝達部材18の端部伝達歯37と、中間伝達部材17の中間伝達歯21との、それぞれの周方向側面同士の当接の勢いを、一方の弾性部材19および他方の弾性部材19の弾性変形により弱められるため、当接に伴う異音の発生が抑えられる。
本例では、隣り合う1対の中間伝達歯21の互いに対向する周方向側面は、互いに平行な平面になっており、かつ、端部伝達歯37の周方向両側面も、互いに平行な平面になっている。ただし、本発明を実施する場合には、トルク伝達時に中間伝達歯21と端部伝達歯37との周方向側面同士が面で当接(面接触)しやすくなるように、周方向に隣り合う1対の中間伝達歯21の互いに対向する周方向側面同士を互いに傾斜させる構成と、端部伝達歯37の周方向両側面同士を互いに傾斜させる構成とのうちの、少なくとも一方の構成を採用することもできる。
以上のように、本例の電動式パワーステアリング装置は、トルク伝達用継手16の捩り剛性が、伝達するトルクが小さい場合には小さくなり、伝達するトルクが大きい場合には大きくなるといった、2段階特性を有する。ただし、本発明を実施する場合には、たとえば、1対の端部伝達部材18同士で周方向隙間αの大きさを互いに異ならせたりすることによって、トルク伝達用継手16の捩り剛性を2段階よりも多くすることもできる。
1対の端部伝達部材18のそれぞれに関して、端部伝達歯37と弾性部材19との係合部、および、端部伝達歯37と中間伝達歯21との係合部に、それぞれ径方向隙間β、γ、ε、ηが介在する。また、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間の軸方向距離L39が、結合体35の軸方向幅寸法W35よりも大きくなっている(L39>W35)。さらに、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39と軸方向に対向する、結合体35の両側の軸方向外側面の径方向中間部が、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜した傾斜側面部27、34になっている。このため、結合体35と1対の端部伝達部材18との中心軸同士の傾きを無理なく許容することができる。なお、本発明を実施する場合、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間の軸方向距離L39は、中間伝達部材17の軸方向幅寸法W17よりも大きければ(L39>W17)、結合体35の軸方向幅寸法W35以下(L39≦W35)とすることもできる。
本例では、径方向隙間β、γ、ε、ηに関して、β<γ、および、ε<ηの関係が成立する。このため、1対の端部伝達部材18同士の間で、大きな偏心や傾きなどが生じた場合でも、弾性部材19の存在に基づいて、隣り合う1対の端部伝達歯37の間部分の底面が、中間伝達歯21の先端面に当接したり、端部伝達歯37の先端面が、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分の底面に当接したりすることが防止される。仮にこれらの面同士が当接した場合でも、当接の勢いは、弾性部材19の弾性変形により弱められるため、当接に伴う異音の発生は抑えられる。
本例では、少なくとも中間伝達部材17と端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向する径方向範囲において、弾性部材19の軸方向外側面が係合凸部26の軸方向外側面よりも軸方向外側に位置している。このため、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間で中間伝達部材17が軸方向に変位したり、1対の端部伝達部材18同士の間で大きな偏心や傾きなどが生じたりした場合でも、弾性部材19の存在に基づいて、端部側面部39が係合凸部26の軸方向外側面に当接することが防止される。仮に弾性部材19が弾性的に押し潰されて、端部側面部39が係合凸部26の軸方向外側面に当接する場合でも、これらの当接の勢いは、弾性部材19の弾性変形により弱められるため、当接に伴う異音の発生は抑えられる。
本例では、結合体35を構成する、中間伝達部材17の係合凸部26および1対の弾性部材19の軸方向外側面と、1対の端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向している。このため、1対の端部伝達部材18の端部側面部39同士の間で、中間伝達部材17が軸方向に変位したり、1対の端部伝達部材18同士の間で大きな偏心や傾きなどが生じたりした場合でも、端部側面部39が弾性部材19の軸方向外側面あるいは係合凸部26の軸方向外側面に当接して、結合体35の姿勢を安定化させる効果、すなわち、結合体35のセンタリング効果を得ることができる。その結果、本例のトルク伝達用継手では、トルクの伝達が滑らかに行われる。
本例では、中間伝達歯が、中間伝達部材の径方向内側部に備えられており、端部伝達歯が、1対の端部伝達部材の径方向外側部に備えられている。ただし、本発明を実施する場合には、中間伝達歯が、中間伝達部材の径方向外側部に備えられ、端部伝達歯が、端部伝達部材の径方向内側部に備えられている構成を採用することもできる。
本例では、弾性部材は、一方の端部伝達部材に係合する弾性部材と、他方の端部伝達部材に係合する弾性部材とからなる1対の弾性部材により構成されている。ただし、本発明を実施する場合には、弾性部材は、一方の端部伝達部材に係合する部分と他方の端部伝達部材に係合する部分とを含む1個の弾性部材により構成することもできる。この場合、弾性部材の有する弾性を利用して、弾性部材を中間伝達部材に組み付けることが可能である。
本発明を実施する場合には、中間伝達部材と弾性部材との相対回転を阻止することができれば、中間伝達部材の係合凸部の数および円周方向位置、並びに、弾性部材の係合凹部の数および円周方向位置についても、特に問われない。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図15〜図17を用いて説明する。本例では、1対の弾性部材19のそれぞれは、複数の突出部40を有する。これらの突出部40は、中間伝達部材17と端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向する径方向範囲に位置する、弾性部材19の径方向内端部の周方向複数箇所から、軸方向外側に突出する。より具体的には、突出部40は、周方向に隣り合う係合凹部29(係合梁31)と挿通孔30との間部分から、1つずつ軸方向外側に突出する。図示の例では、突出部40は、軸方向外側に向かうほど外径寸法が小さくなる円すい台状の形状を有する。
本例では、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間で中間伝達部材17が軸方向に変位したり、1対の端部伝達部材18同士の間で大きな偏心や傾きなどが生じたりした場合でも、突出部40の軸方向外端面が端部側面部39に当接することに基づいて、端部側面部39と中間伝達部材17の係合凸部26の軸方向外側面とが、より当接しにくくなる。
本発明を実施する場合、突出部40の形状および数は特に問われない。ただし、端部側面部39が中間伝達部材17の係合凸部26の軸方向外側面に当接しにくくなる効果を得やすくする観点から、突出部40は、周方向3箇所以上に備えられることが望ましい。また、突出部40の径方向位置は、弾性部材19のうちの端部側面部39と軸方向に対向する範囲にある位置であれば、特に問われない。ただし、1対の端部伝達部材18同士の間での偏心や傾きを許容しやくする観点から、突出部40は、本例のように弾性部材19の径方向内端部に備えることが望ましい。その他の構成および作用は、実施の形態の第1例と同様である。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6 電動モータ
7、7a ウォーム
8 転がり軸受
9 転がり軸受
10 押圧駒
11 コイルばね
12、12a 出力軸
13 スプライン孔
14 スプライン軸部
15 付勢機構
16 トルク伝達用継手
17 中間伝達部材
18 端部伝達部材
19 弾性部材
20 中間筒部
21 中間伝達歯
22 周方向凹部
23 内径側周面
24 外径側周面
25 覆い部
26 係合凸部
27 傾斜側面部
28 爪部
29 係合凹部
30 挿通孔
31 係合梁
32 弾性突起
33 周方向凸部
34 傾斜側面部
35 結合体
36 端部筒部
37 端部伝達歯
38 鍔部
39 端部側面部
40 突出部
本発明は、各種機械装置に組み込まれ、駆動軸と被駆動軸との間でトルクを伝達するためのトルク伝達用継手、および、該トルク伝達用継手が組み込まれた電動式パワーステアリング装置に関する。
図18および図19は、特開2004−306898号公報などに記載された従来の電動式パワーステアリング装置の1例を示す。この電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1が取り付けられたステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の前端部を回転自在に支持するハウジング3と、ステアリングシャフト2により回転駆動される部分に固定されたウォームホイール4と、ウォームホイール4と噛合するウォーム歯5を軸方向中間部に有し、電動モータ6により回転駆動されるウォーム7とを備える。
ウォーム7の軸方向両端部は、深溝型玉軸受などの1対の転がり軸受8、9により、ハウジング3内に回転自在に支持されている。ウォーム7の先端部で転がり軸受8よりも突出した部分に、押圧駒10が外嵌されており、押圧駒10とハウジング3との間に、コイルばね11などの付勢機構が配置されている。コイルばね11は、押圧駒10を介して、ウォーム7のウォーム歯5を、ウォームホイール4に向け付勢する。このような構成により、ウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュに起因する歯打ち音の発生が抑えられている。
従来の電動式パワーステアリング装置においては、ウォーム歯5とウォームホイール4との噛合部における歯打ち音の発生は抑えられているが、電動モータ6の出力軸12の先端部とウォーム7の基端部との結合部における異音の発生を抑える観点から、改良の余地がある。この点について、以下に説明する。
従来の電動式パワーステアリング装置では、電動モータ6の出力軸12の先端部とウォーム7の基端部とをトルクの伝達を可能に結合するために、ウォーム7の基端部のスプライン孔13と、出力軸12の先端部のスプライン軸部14とをスプライン係合させている。スプライン軸部14とスプライン孔13とが、周方向隙間をゼロにした状態、すなわち、バックラッシュが存在しない状態でスプライン係合していれば、出力軸12の先端部とウォーム7の基端部とのスプライン係合部で、異音が発生することはない。しかしながら、実際には、このスプライン係合部にはバックラッシュが存在する。特に、ウォーム歯5をウォームホイール4に向け付勢する構造では、ウォーム7を揺動変位させる必要があり、スプライン係合部のバックラッシュを完全に解消することはできない。このため、従来の電動式パワーステアリング装置には、電動モータ6の出力軸12の回転方向を反転させる際に、このスプライン係合部のバックラッシュに起因する異音の発生を抑える観点から、改良の余地がある。
一方、特開2012−131249号公報には、電動モータの出力軸とウォームとを、金属製で円柱状の動力伝達部材を介して結合することにより、ウォームの揺動変位を円滑に行わせることができる構造が記載されている。ただし、このような構造でも、ウォームを揺動変位させるために、動力伝達部材の両端部に設けられたスプライン軸部と、ウォームおよび電動モータの出力軸のそれぞれの端部に設けられたスプライン孔とのスプライン係合部には、それぞれバックラッシュが存在する。このため、このような構造においても、これらのバックラッシュに起因する異音の発生を抑える観点から、改良の余地がある。
特開2004−306898号公報 特開2012−131249号公報
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、駆動軸の回転方向を反転させる際の異音の発生を抑えることができるトルク伝達用継手および電動式パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明のトルク伝達用継手は、中間伝達部材と、1対の端部伝達部材と、弾性部材とを備える。
前記中間伝達部材は、周方向複数箇所に備えられた中間伝達歯と、軸方向両側部に配された軸方向外側面とを有する。
前記1対の端部伝達部材は、前記中間伝達部材の軸方向両側に配置され、該1対の端部伝達部材のそれぞれは、周方向複数箇所に備えられた端部伝達歯と、該端部伝達歯よりも軸方向外側に配置され、前記軸方向外側面のいずれかに対向する端部側面部とを有する。
前記弾性部材は、前記中間伝達部材に組み付けられ、周方向複数箇所に配置され、前記端部伝達歯が軸方向に挿通する挿通孔を有する。前記端部伝達歯が前記挿通孔を軸方向に挿通した状態で、前記端部伝達歯と前記中間伝達歯とは、周方向に関して交互にかつ周方向隙間を介して配置される。前記挿通孔の周方向両側縁同士の周方向間隔は、前記中間伝達歯のうちの隣り合う中間伝達歯同士の周方向間隔よりも小さくなっている。
また、前記中間伝達部材と前記端部側面部とが軸方向に対向する径方向範囲において、前記弾性部材は、前記中間伝達部材の軸方向外側面よりも軸方向外側に張り出している。すなわち、前記弾性部材の軸方向両側部の軸方向外側面が、前記中伝達部材の軸方向両側部の前記軸方向外側面よりも、前記1対の端部達部材の端部側面部により近い側に位置する。
また、前記1対の端部伝達部材のうちの一方の端部伝達部材の前記端部伝達歯と、前記1対の端部伝達部材のうちの他方の端部伝達部材の前記端部伝達歯とが、軸方向隙間を介して軸方向に対向している。
また、前記1対の端部伝達部材の前記端部側面部同士の間の軸方向距離が、前記中間伝達部材と前記弾性部材との結合体の軸方向幅寸法よりも大きい。
好ましくは、前記弾性部材は、前記中間伝達部材よりも径方向内側に張り出している。すなわち、前記端部伝達歯の先端面と前記挿通孔の底面との間に存在する径方向隙間は、前記端部伝達歯の前記先端面と前記中間伝達歯のうちの前記隣り合う1対の中間伝達歯の間部分の底面との間に存在する径方向隙間よりも小さくなっている。
前記弾性部材は、前記挿通孔のそれぞれの周方向両側縁の少なくとも一方の側縁の径方向一部に、周方向中央側に向けて突出する弾性突起を備えることができる。好ましくは、該弾性突起は、前記挿通孔のそれぞれの周方向両側縁の径方向外寄り部に備えられる。
前記弾性部材は、前記端部側面部と軸方向に対向する周方向複数箇所に、軸方向外側に突出する突出部を備えることができる。
本発明の電動式パワーステアリング装置は、ハウジングと、ウォームホイールと、ウォームと、電動モータとを備える。
前記ウォームホイールは、前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
前記ウォームは、前記ウォームホイールと噛合した状態で、前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
前記電動モータは、前記ウォームを回転駆動するための出力軸を有する。
特に、本発明の電動式パワーステアリング装置は、前記電動モータの出力軸と前記ウォームとの間に、前記電動モータの出力軸と前記ウォームとをトルク伝達を可能に接続する、トルク伝達用継手を備える。
該トルク伝達用継手は、本発明のトルク伝達用継手により構成される。前記1対の端部伝達部材のうちの一方の端部伝達部材は、前記電動モータの出力軸の先端部に固定または一体に形成されている。また、前記1対の端部伝達部材のうちの他方の端部伝達部材は、前記ウォームの基端部に固定または一体に形成されている。
本発明の電動式パワーステアリング装置では、前記ウォームが前記電動モータの出力軸に対して揺動可能であり、かつ、前記ウォームの先端部と前記ハウジングとの間に、前記ウォームを前記ウォームホイールに向けて付勢する付勢機構を備えることができる。
本発明のトルク伝達用継手および電動式パワーステアリング装置によれば、1対の端部伝達部材のうちの一方の端部伝達部材を固定または一体成形された駆動軸と、1対の端部伝達部材のうちの他方の端部伝達部材を固定または一体成形された被駆動軸とのうち、駆動軸の回転方向を反転させる際に、異音の発生を抑えることができる。
図1は、実施の形態の第1例の電動式パワーステアリング装置を示す部分切断側面図である。 図2は、一部を省略して示す、図1のA部拡大図である。 図3は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の斜視図である。 図4は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手を、径方向外側から見た図である。 図5は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手を、図4の軸方向側方から見た図である。 図6は、図5のB−B断面図である。 図7は、図5のC−O−C断面図である。 図8は、図7の右上部の拡大図である。 図9は、図6のD−D断面図である。 図10は、図6のE−E断面図である。 図11は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手から、中間伝達部材と弾性部材との結合体を取り出して示す、図5のB−B断面図に相当する断面図である。 図12(a)〜図12(c)は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の中間伝達部材を示す図であり、図12(a)は、一方の側面図であり、図12(b)は、図12(a)のF−F断面図であり、図12(c)は、他方の側面図である。 図13(a)〜図13(c)は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の弾性部材を示す図であり、図13(a)は、一方の側面図であり、図13(b)は、図13(a)のG−G断面図であり、図13(c)は、他方の側面図である。 図14は、実施の形態の第1例のトルク伝達用継手の端部伝達部材を示す図であり、図14(a)は、端面図であり、図14(b)は、図14(a)のH−H断面図である。 図15は、実施の形態の第2例のトルク伝達用継手の中間伝達部材と弾性部材との結合体を、軸方向側方から見た図である。 図16は、実施の形態の第2例のトルク伝達用継手に関する、図7に相当する図である。 図17は、図16の右上部の拡大図である。 図18は、電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示す部分切断側面図である。 図19は、図18の拡大I−I断面図である。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、図1〜図14を用いて説明する。本例の電動式パワーステアリング装置は、ハウジング3と、ハウジング3に対し回転自在に支持されているウォームホイール4と、ウォームホイール4と噛合した状態で、ハウジング3に対し回転自在に支持されているウォーム7aと、ウォーム7aを回転駆動するための出力軸12aを有する電動モータ6とを備える。ハウジング3は、後端部にステアリングホイール1が取り付けられたステアリングシャフト2の前端部(図18および図19参照)を、回転可能に支持する。ウォームホイール4は、ステアリングシャフト2により回転駆動される部分に固定される。より具体的には、ウォーム7aは、ウォームホイール4と噛合するウォーム歯5を軸方向中間部に有し、ウォーム7aの軸方向両端部は、深溝玉軸受などの1対の転がり軸受8、9により、ハウジング3内に回転可能に支持されている。
ウォーム7aの先端部に外嵌された転がり軸受8と、ハウジング3との間には、コイルばね、板ばねなどの弾性体を含む付勢機構15が備えられている。付勢機構15の弾性体の弾力に基づいて、ウォーム7aのウォーム歯5は、ウォームホイール4に向けて、押圧あるいは付勢されている。このような構成により、ウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュに起因する歯打ち音の発生が抑えられている。
本発明の電動式パワーステアリング装置は、駆動軸となる電動モータ6の出力軸12aと被駆動軸となるウォーム7aとをトルク伝達を可能に接続するトルク伝達用継手16を備える。本例では、軸方向に関して互いに直列に配置された、電動モータ6の出力軸12aの先端部と、ウォーム7aの基端部とが、トルク伝達用継手16を介して結合されている。
トルク伝達用継手16は、中間伝達部材17と、1対の端部伝達部材18と、弾性部材19とを備える。1対の端部伝達部材18を構成する一方(図2、図4、図6、図7における右方)の端部伝達部材18は、出力軸12aに取り付けられる。他方(図2、図4、図6、図7における左方)の端部伝達部材18は、ウォーム7aの基端部に取り付けられる。中間伝達部材17は、一方の端部伝達部材18と他方の端部伝達部材18の間でトルクを伝達する。弾性部材19は、ゴムおよびその他のエラストマーを含む弾性材料からなり、一方の端部伝達部材18と中間伝達部材の間、および、他方の端部伝達部材18と中間伝達部材17の間で、緩衝機能を発揮する。
以下の説明において、トルク伝達用継手16を構成するそれぞれの部材に関する軸方向の内外は、トルク伝達用継手16を組み立てた状態での、トルク伝達用継手16の軸方向中央部を基準とする。すなわち、トルク伝達用継手16の軸方向中央側が軸方向内側に相当し、トルク伝達用継手16の軸方向両側が軸方向外側に相当する。
中間伝達部材17は、弾性部材19を構成する弾性材料に比べて弾性変形しにくい(剛性が高い)材料により、全体として円環状に構成されている。中間伝達部材17を構成する材料としては、布でゴムを強化したベルト材料、必要に応じて強化繊維を混入したPPS、PEEK、ポリアミドなどの合成樹脂、炭素鋼などの鉄合金、アルミニウム合金などの金属が挙げられる。中間伝達部材17は、これらの材料に、射出成形、鋳造、鍛造、焼結、切削などの加工を施すことにより形成される。
中間伝達部材17は、周方向複数箇所に中間伝達歯21を有する。本例では、図12(a)〜図12(c)に示すように、中間伝達部材17は、円筒状の中間筒部20を備え、中間伝達歯21は、中間筒部20の径方向内側部の等間隔となる周方向複数箇所に放射状に配置されている。また、中間伝達部材17は、中間筒部20の軸方向両側部に配された軸方向外側面を有する。
中間筒部20は、軸方向両側部の径方向中間部に、両側の軸方向外側面に開口する周方向凹部22を有する。周方向凹部22は、中間伝達部材17の周方向に、かつ、中間伝達部材17の全周にわたって伸長する。周方向凹部22の内面を構成する内径側周面23と外径側周面24とは、中間伝達部材17の中心軸を中心とする円筒面である。中間筒部20は、軸方向両側部の径方向外端部に、軸方向両側に突出した円筒状の覆い部25を有する。覆い部25の内周面は、周方向凹部22の外径側周面24と単一円筒面を構成する。
中間伝達歯21のそれぞれの径方向外端部は、中間筒部20の内周面に結合されている。図示の例では、隣り合う1対の中間伝達歯21の互いに対向する周方向側面は、互いに平行な平面からなる。隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分には、後述するように、端部伝達部材18を構成する端部伝達歯37が軸方向両側から挿入されて、中間伝達歯21と端部伝達歯37とが、周方向に関して交互に配置される。
中間伝達歯21のそれぞれの軸方向外側面の周方向中央部には、軸方向に突出する係合凸部26が備えられている。係合凸部26は、軸方向から見た形状が、中間伝達部材17の放射方向に伸長する略矩形状である。また、係合凸部26の先端面である軸方向外側面のうちの径方向外側部は、傾斜側面部27により構成されている。傾斜側面部27は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜している。さらに、係合凸部26のうちの周方向に関して1つ置きに配置された係合凸部26の径方向内側面の軸方向外半部には、径方向内方に張り出した爪部28が備えられている。傾斜側面部27を含む係合凸部26の先端面は、中間伝達部材17の軸方向外側面の一部を構成し、中間伝達部材17の軸方向外側面のうち最も軸方向外側に位置する。
本例の弾性部材19は、1対の弾性部材19により構成される。1対の弾性部材19のそれぞれは、弾性材料により全体として円輪状に構成されている。弾性部材19を構成する弾性材料として、具体的には、NBR、HNBRなどのゴム、ポリウレタン、シリコンなどのエラストマーが挙げられる。本例では、1対の弾性部材19のそれぞれは、互いに同形および同大である。1対の弾性部材19は、中間伝達部材17の軸方向両側部に、対称に組み付けられている。
図13(a)〜図13(c)に示すように、1対の弾性部材19のそれぞれは、中間伝達歯21と同位相となる周方向複数箇所に、貫通孔である係合凹部29を有している。また、弾性部材19は、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分(歯間部)と同位相となる周方向複数箇所に、スリット状の挿通孔30を有している。本例の弾性部材19では、係合凹部29と挿通孔30とが、周方向に交互に配置される。
係合凹部29は、軸方向から見た形状が弾性部材19の放射方向に伸長する略矩形状である。係合凹部29は、中間伝達歯21の軸方向外側面に備えられた係合凸部26と係合して、弾性部材19が中間伝達部材17に対し相対回転することを阻止する。
弾性部材19のうち、係合凹部29の径方向内側部のうちの軸方向外側部には、係合凹部29を径方向内側に延長したような形状を有する除肉部が備えられている。係合凹部29の径方向内側部のうちの軸方向内側部には、周方向に伸長した係合梁31が備えられている。
挿通孔30は、弾性部材19の放射方向に伸長し、かつ、弾性部材19の内周縁に開口する。挿通孔30には、後述するように、端部伝達部材18の端部伝達歯37が軸方向外側から挿通する。図9および図10に示すように、挿通孔30の周方向両側縁同士の周方向間隔t30は、隣り合う中間伝達歯21同士の周方向間隔T21よりも小さくなっている(t30<T21)。
弾性部材19は、挿通孔30のそれぞれの周方向両側縁の少なくとも一方の側縁の径方向一部に、周方向中央側に向けて突出する弾性突起32を備えることができる。本例では、挿通孔30の周方向両側縁の径方向外寄り部には、周方向中央側に向けて突出する弾性突起32が備えられている。この場合、周方向に対向する弾性突起32の先端面同士の周方向間隔が、挿通孔30の周方向両側縁同士の周方向間隔t30に相当する。本例では、弾性突起32から径方向に外れた部分同士の間の周方向間隔に関しても、隣り合う中間伝達歯21同士の周方向間隔T21よりも小さくなっている。弾性突起32の軸方向から見た形状は、凸円弧形である。挿通孔30の周方向両側縁のうち、弾性突起32から径方向に外れた部分は、互いに平行な平坦部となっている。
本発明を実施する場合、弾性突起32の形状や形成位置は、図示の構造に限られない。たとえば、弾性突起32の軸方向から見た形状として、三角形や台形などの他の形状を採用することもできる。弾性突起は、挿通孔の周方向両側縁の径方向外寄り部に配置されることが好ましいが、たとえば挿通孔の周方向両側縁の径方向中央部に配置することもできる。弾性突起の数も、1個に限られず、複数個とすることもできる。弾性突起32を省略して、挿通孔の周方向両側縁のうちの一方または両方の全体を平坦部により構成することもできる。
弾性部材19は、係合凹部29および挿通孔30よりも径方向外側に位置する径方向外端部に、軸方向内側に突出した周方向凸部33を有する。周方向凸部33は、弾性部材19の周方向に、かつ、弾性部材19の全周にわたって伸長する。
弾性部材19の軸方向外側面の径方向中間部は、傾斜側面部34により構成されている。傾斜側面部34は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜している。
1対の弾性部材19は、中間伝達部材17の軸方向両側部に対称に組み付けられて、中間伝達部材17と1対の弾性部材19との結合体35が構成される。結合体35が構成された状態では、1対の弾性部材19により、中間伝達部材17の両側の軸方向外側面は覆われる。
結合体35が構成された状態において、中間伝達部材17の周方向凹部22の内側に、弾性部材19の周方向凸部33が圧入され、周方向凹部22の内径側周面23と周方向凸部33の内周面、および、周方向凹部22の外径側周面24と周方向凸部33の外周面が、いずれも弾性的に接触して強く摩擦係合する。また、中間伝達部材17の覆い部25に弾性部材19が締り嵌めで内嵌され、覆い部25の内周面と弾性部材19の外周面とが、弾性的に接触して強く摩擦係合する。これらの摩擦係合によって、中間伝達部材17に対する弾性部材19の軸方向外側への変位、並びに、中間伝達部材17と弾性部材19との分離の防止が図られている。さらに、弾性部材19の外周面が覆い部25により覆われるため、搬送中に、弾性部材19の外周面に他の物品がぶつかったり、引っ掛かったりすることに起因する、中間伝達部材17と弾性部材19との分離の防止が図られている。本発明を実施する場合には、たとえば、内径側周面23と周方向凸部33の内周面との間の周方向少なくとも1箇所に隙間が備えられた構造、外径側周面24と周方向凸部33の外周面との間の周方向少なくとも1箇所に隙間が備えられた構造、内径側周面23と外径側周面24とのうちの一方の周面にのみ、周方向凸部33の周面を弾性的に接触させた構造、覆い部25の内周面と弾性部材19の外周面との間に隙間が備えられた構造、周方向凸部33の周方向少なくとも1箇所に不連続部が備えられた構造なども、採用することもできる。
弾性部材19の係合凹部29の内側に、中間伝達部材17の係合凸部26が挿入され係合することで、中間伝達部材17と弾性部材19との相対回転が阻止される。また、係合凸部26の径方向内側に備えられた爪部28が係合梁31の軸方向外側面に係合する。これにより、中間伝達部材17に対して弾性部材19が軸方向外側に変位することの防止、および、中間伝達部材17と弾性部材19との分離の防止が図られている。弾性部材19を中間伝達部材17に取り付けた状態で、スリット状の挿通孔30が、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分と同位相となる位置に配置される。
弾性部材19の軸方向外側面は、中間伝達部材17の両側の軸方向外側面のうち最も軸方向外側に位置する係合凸部26の先端面よりも、軸方向外側に位置する。すなわち、弾性部材19は、中間伝達部材17の両側の軸方向外側面よりも軸方向外側に張り出している。したがって、結合体35の軸方向幅寸法W35は、中間伝達部材17の軸方向幅寸法W17よりも大きくなる(W35>W17)。また、弾性部材19の内周面は、中間伝達部材17の中間伝達歯21の径方向内側面および爪部28の径方向内端縁よりも、径方向内側に位置している。すなわち、弾性部材19は、中間伝達部材17よりも径方向内側に張り出している。
本例では、中間伝達部材17と1対の弾性部材19との結合体35の両側の軸方向外側面の径方向中間部に、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜した傾斜側面部27、34が配される。
1対の端部伝達部材18のそれぞれは、全体として円環状に構成される。端部伝達部材18を構成する材料としては、必要に応じて強化繊維を混入したPPS、PEEK、ポリアミドなどの合成樹脂や、鉄合金、銅合金、アルミニウム合金などの金属が挙げられる。端部伝達部材18は、これらの材料に、射出成形、鋳造、鍛造、焼結、切削などの加工を施すことにより形成される。本例では、1対の端部伝達部材18は、互いに同形および同大である。1対の端部伝達部材18は、中間伝達部材17と1対の弾性部材19との結合体35の軸方向両側部に係合する。
図14(a)および図14(B)に示すように、1対の端部伝達部材18のそれぞれは、端部連結部である円筒状の端部筒部36と、複数個の端部伝達歯37と、円輪状の鍔部38とを有する。鍔部38の径方向内端部は、端部筒部36の軸方向外端部に結合されている。複数個の端部伝達歯37のそれぞれは、略矩形板状であり、端部筒部36の径方向外側の周方向等間隔となる複数箇所に放射状に配置されている。端部伝達歯37のそれぞれの径方向内端部は、端部筒部36の外周面に結合され、かつ、端部伝達歯37のそれぞれの軸方向外端部は、鍔部38の軸方向内側面である端部側面部39に結合されている。
1対の端部伝達部材18の軸方向内端部から中間部までが、結合体35の軸方向両側部の径方向内側に挿入される。この状態で、一方(図2、図4、図6、図7における右方)の端部伝達部材18に備えられた端部伝達歯37は、一方の弾性部材19の挿通孔30に周方向のがたつきなく(たとえば、周方向の締め代を有する状態で)係合し、中間伝達部材17の中間伝達歯21に対して周方向隙間を介して係合する。また、他方(図2、図4、図6、図7における左方)の端部伝達部材18の端部伝達歯37は、他方の弾性部材19の挿通孔30に周方向のがたつきなく(たとえば、周方向の締め代を有する状態で)係合し、中間伝達部材17の中間伝達歯21に対して周方向隙間を介して係合する。すなわち、図10に示すように、端部伝達歯37と中間伝達歯21との周方向側面同士の間には、周方向隙間αが存在する。なお、本発明を実施する場合には、端部伝達歯37を弾性部材19の挿通孔30に対して周方向隙間を介して係合させることもできる。ただし、この場合にも、この周方向隙間よりも、周方向隙間αを大きくする。
本例では、図10に示すように、端部伝達歯37の先端面である径方向外端面と、挿通孔30の底面との間に径方向隙間βが介在し、端部伝達歯37の径方向外端面と、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分の底面(中間筒部20の内周面)との間に径方向隙間γが介在する。径方向隙間βは、径方向隙間γよりも小さくなっている(β<γ)。また、隣り合う1対の端部伝達歯37の間部分の底面(端部筒部36の外周面)と、弾性部材19の内周面との間に径方向隙間εが介在し、隣り合う1対の端部伝達歯37の間部分の底面と、中間伝達歯21の先端面である径方向内端面との間に径方向隙間ηが介在する。径方向隙間εは、径方向隙間ηよりも小さくなっている(ε<η)。
本例では、図7および図8に示すように、結合体35の両側の軸方向外側面である、1対の弾性部材19の軸方向外側面および複数の係合凸部26の軸方向外側面と、1対の端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向する。
本例のトルク伝達用継手16を電動式パワーステアリング装置に組み付けた状態で、一方の端部伝達部材18の端部筒部36は、出力軸12a(図1および図2参照)の先端部に対し、締め代を有する円筒面嵌合、締め代を有するスプライン嵌合、かしめなどのトルク伝達可能な構造により、外嵌固定されている。また、他方の端部伝達部材18の端部筒部36は、一方の端部伝達部材18と同様に、ウォーム7a(図1および図2参照)の基端部に外嵌固定されている。ただし、端部伝達部材18は、出力軸12aの先端部やウォーム7aの基端部と一体に形成することもできる。図8に示すように、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間の軸方向距離L39が、結合体35の軸方向幅寸法W35よりも大きくなっている(L39>W35)。したがって、軸方向距離L39は、中間伝達部材17の軸方向幅寸法W17よりも大きくなっている(L39>W17)。本例では、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39によって、結合体35の軸方向位置が規制されている。すなわち、結合体35は、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間でのみ、軸方向に変位することが可能である。
本例の電動式パワーステアリング装置では、電動モータ6の出力軸12aとウォーム7aとの間で伝達されるトルクが比較的小さい場合には、出力軸12aの回転トルクは、一方の端部伝達部材18、一方の弾性部材19、中間伝達部材17、他方の弾性部材19、他方の端部伝達部材18、およびウォーム7aの順に伝達される。具体的には、出力軸12aの回転トルクは、一方の端部伝達部材18から一方の弾性部材19に、端部伝達歯37と挿通孔30との係合部を通じて伝達される。一方の弾性部材19に伝達されたトルクは、中間伝達部材17に、一方の弾性部材19の係合凹部29と中間伝達部材17の係合凸部26との係合部を通じて伝達される。中間伝達部材17に伝達されたトルクは、他方の弾性部材19に、中間伝達部材17の係合凸部26と他方の弾性部材19の係合凹部29との係合部を通じて伝達される。他方の弾性部材19に伝達されたトルクは、他方の端部伝達部材18およびウォーム7aに、挿通孔30と端部伝達歯37との係合部を通じて伝達される。
これに対して、出力軸12aとウォーム7aとの間で伝達されるトルクが大きくなると、一方の弾性部材19の一部が、一方の端部伝達部材18の端部伝達歯37によって、周方向に弾性的に押し潰され、かつ、他方の弾性部材19の一部が、他方の端部伝達部材18の端部伝達歯37によって、周方向に弾性的に押し潰される。そして、一方の端部伝達部材18の端部伝達歯37および他方の端部伝達部材18の端部伝達歯37と、中間伝達部材17の中間伝達歯21との、それぞれの周方向側面同士が直接当接する。これらの当接の勢いは、一方の弾性部材19および他方の弾性部材19の弾性変形により弱められているため、当接に伴う異音の発生は抑えられる。この状態では、出力軸12aの回転トルクの大部分は、一方の端部伝達部材18から中間伝達部材17に直接伝達され、中間伝達部材17に伝達されたトルクの大部分は、中間伝達歯21から他方の端部伝達部材18に直接伝達される。また、残りのトルクは、上述したトルクが小さい場合と同様にして、出力軸12aからウォーム7aに伝達される。
本例では、電動モータ6の出力軸12aの回転方向を反転させる際にも、一方の端部伝達部材18の端部伝達歯37および他方の端部伝達部材18の端部伝達歯37と、中間伝達部材17の中間伝達歯21との、それぞれの周方向側面同士の当接の勢いを、一方の弾性部材19および他方の弾性部材19の弾性変形により弱められるため、当接に伴う異音の発生が抑えられる。
本例では、隣り合う1対の中間伝達歯21の互いに対向する周方向側面は、互いに平行な平面になっており、かつ、端部伝達歯37の周方向両側面も、互いに平行な平面になっている。ただし、本発明を実施する場合には、トルク伝達時に中間伝達歯21と端部伝達歯37との周方向側面同士が面で当接(面接触)しやすくなるように、周方向に隣り合う1対の中間伝達歯21の互いに対向する周方向側面同士を互いに傾斜させる構成と、端部伝達歯37の周方向両側面同士を互いに傾斜させる構成とのうちの、少なくとも一方の構成を採用することもできる。
以上のように、本例の電動式パワーステアリング装置は、トルク伝達用継手16の捩り剛性が、伝達するトルクが小さい場合には小さくなり、伝達するトルクが大きい場合には大きくなるといった、2段階特性を有する。ただし、本発明を実施する場合には、たとえば、1対の端部伝達部材18同士で周方向隙間αの大きさを互いに異ならせたりすることによって、トルク伝達用継手16の捩り剛性を2段階よりも多くすることもできる。
1対の端部伝達部材18のそれぞれに関して、端部伝達歯37と弾性部材19との係合部、および、端部伝達歯37と中間伝達歯21との係合部に、それぞれ径方向隙間β、γ、ε、ηが介在する。また、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間の軸方向距離L39が、結合体35の軸方向幅寸法W35よりも大きくなっている(L39>W35)。さらに、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39と軸方向に対向する、結合体35の両側の軸方向外側面の径方向中間部が、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜した傾斜側面部27、34になっている。このため、結合体35と1対の端部伝達部材18との中心軸同士の傾きを無理なく許容することができる。なお、本発明の技術的範囲からは外れるが、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間の軸方向距離L39は、中間伝達部材17の軸方向幅寸法W17よりも大きければ(L39>W17)、結合体35の軸方向幅寸法W35以下(L39≦W35)とすることもできる。
本例では、径方向隙間β、γ、ε、ηに関して、β<γ、および、ε<ηの関係が成立する。このため、1対の端部伝達部材18同士の間で、大きな偏心や傾きなどが生じた場合でも、弾性部材19の存在に基づいて、隣り合う1対の端部伝達歯37の間部分の底面が、中間伝達歯21の先端面に当接したり、端部伝達歯37の先端面が、隣り合う1対の中間伝達歯21の間部分の底面に当接したりすることが防止される。仮にこれらの面同士が当接した場合でも、当接の勢いは、弾性部材19の弾性変形により弱められるため、当接に伴う異音の発生は抑えられる。
本例では、少なくとも中間伝達部材17と端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向する径方向範囲において、弾性部材19の軸方向外側面が係合凸部26の軸方向外側面よりも軸方向外側に位置している。このため、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間で中間伝達部材17が軸方向に変位したり、1対の端部伝達部材18同士の間で大きな偏心や傾きなどが生じたりした場合でも、弾性部材19の存在に基づいて、端部側面部39が係合凸部26の軸方向外側面に当接することが防止される。仮に弾性部材19が弾性的に押し潰されて、端部側面部39が係合凸部26の軸方向外側面に当接する場合でも、これらの当接の勢いは、弾性部材19の弾性変形により弱められるため、当接に伴う異音の発生は抑えられる。
本例では、結合体35を構成する、中間伝達部材17の係合凸部26および1対の弾性部材19の軸方向外側面と、1対の端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向している。このため、1対の端部伝達部材18の端部側面部39同士の間で、中間伝達部材17が軸方向に変位したり、1対の端部伝達部材18同士の間で大きな偏心や傾きなどが生じたりした場合でも、端部側面部39が弾性部材19の軸方向外側面あるいは係合凸部26の軸方向外側面に当接して、結合体35の姿勢を安定化させる効果、すなわち、結合体35のセンタリング効果を得ることができる。その結果、本例のトルク伝達用継手では、トルクの伝達が滑らかに行われる。
本例では、中間伝達歯が、中間伝達部材の径方向内側部に備えられており、端部伝達歯が、1対の端部伝達部材の径方向外側部に備えられている。ただし、本発明を実施する場合には、中間伝達歯が、中間伝達部材の径方向外側部に備えられ、端部伝達歯が、端部伝達部材の径方向内側部に備えられている構成を採用することもできる。
本例では、弾性部材は、一方の端部伝達部材に係合する弾性部材と、他方の端部伝達部材に係合する弾性部材とからなる1対の弾性部材により構成されている。ただし、本発明を実施する場合には、弾性部材は、一方の端部伝達部材に係合する部分と他方の端部伝達部材に係合する部分とを含む1個の弾性部材により構成することもできる。この場合、弾性部材の有する弾性を利用して、弾性部材を中間伝達部材に組み付けることが可能である。
本発明を実施する場合には、中間伝達部材と弾性部材との相対回転を阻止することができれば、中間伝達部材の係合凸部の数および円周方向位置、並びに、弾性部材の係合凹部の数および円周方向位置についても、特に問われない。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図15〜図17を用いて説明する。本例では、1対の弾性部材19のそれぞれは、複数の突出部40を有する。これらの突出部40は、中間伝達部材17と端部伝達部材18の端部側面部39とが軸方向に対向する径方向範囲に位置する、弾性部材19の径方向内端部の周方向複数箇所から、軸方向外側に突出する。より具体的には、突出部40は、周方向に隣り合う係合凹部29(係合梁31)と挿通孔30との間部分から、1つずつ軸方向外側に突出する。図示の例では、突出部40は、軸方向外側に向かうほど外径寸法が小さくなる円すい台状の形状を有する。
本例では、1対の端部伝達部材18のそれぞれの端部側面部39同士の間で中間伝達部材17が軸方向に変位したり、1対の端部伝達部材18同士の間で大きな偏心や傾きなどが生じたりした場合でも、突出部40の軸方向外端面が端部側面部39に当接することに基づいて、端部側面部39と中間伝達部材17の係合凸部26の軸方向外側面とが、より当接しにくくなる。
本発明を実施する場合、突出部40の形状および数は特に問われない。ただし、端部側面部39が中間伝達部材17の係合凸部26の軸方向外側面に当接しにくくなる効果を得やすくする観点から、突出部40は、周方向3箇所以上に備えられることが望ましい。また、突出部40の径方向位置は、弾性部材19のうちの端部側面部39と軸方向に対向する範囲にある位置であれば、特に問われない。ただし、1対の端部伝達部材18同士の間での偏心や傾きを許容しやくする観点から、突出部40は、本例のように弾性部材19の径方向内端部に備えることが望ましい。その他の構成および作用は、実施の形態の第1例と同様である。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6 電動モータ
7、7a ウォーム
8 転がり軸受
9 転がり軸受
10 押圧駒
11 コイルばね
12、12a 出力軸
13 スプライン孔
14 スプライン軸部
15 付勢機構
16 トルク伝達用継手
17 中間伝達部材
18 端部伝達部材
19 弾性部材
20 中間筒部
21 中間伝達歯
22 周方向凹部
23 内径側周面
24 外径側周面
25 覆い部
26 係合凸部
27 傾斜側面部
28 爪部
29 係合凹部
30 挿通孔
31 係合梁
32 弾性突起
33 周方向凸部
34 傾斜側面部
35 結合体
36 端部筒部
37 端部伝達歯
38 鍔部
39 端部側面部
40 突出部

Claims (7)

  1. 周方向複数箇所に備えられた中間伝達歯と、軸方向両側部に配された軸方向外側面とを有する中間伝達部材と、
    前記中間伝達部材の軸方向両側に配置され、それぞれが周方向複数箇所に備えられた端部伝達歯と、該端部伝達歯よりも軸方向外側に配置され、前記軸方向外側面のいずれかに対向する端部側面部とを有する1対の端部伝達部材と、
    前記中間伝達部材に組み付けられ、周方向複数箇所に配置され、前記端部伝達歯が軸方向に挿通する挿通孔を有する弾性部材と、
    を備え、
    前記端部伝達歯が前記挿通孔を軸方向に挿通した状態で、前記端部伝達歯と前記中間伝達歯とが、周方向に関して交互にかつ周方向隙間を介して配置されており、および、
    前記挿通孔の周方向両側縁同士の周方向間隔は、前記中間伝達歯のうちの隣り合う中間伝達歯同士の周方向間隔よりも小さくなっている、
    トルク伝達用継手。
  2. 前記中間伝達部材と前記端部側面部とが軸方向に対向する径方向範囲において、前記弾性部材は、前記中間伝達部材の軸方向外側面よりも軸方向外側に張り出している、請求項1に記載のトルク伝達用継手。
  3. 前記弾性部材は、前記中間伝達部材よりも径方向内側に張り出している、請求項1または2に記載のトルク伝達用継手。
  4. 前記弾性部材は、前記挿通孔のそれぞれの周方向両側縁の少なくとも一方の側縁の径方向一部に、周方向中央側に向けて突出する弾性突起を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のトルク伝達用継手。
  5. 前記弾性部材は、前記端部側面部と軸方向に対向する周方向複数箇所に、軸方向外側に突出する突出部を備える、請求項1〜4のいずれかに記載のトルク伝達用継手。
  6. ハウジングと、
    前記ハウジングに対し回転可能に支持されたウォームホイールと、
    前記ウォームホイールと噛合した状態で、前記ハウジングに対し回転可能に支持されたウォームと、
    前記ウォームを回転駆動するための出力軸を有する電動モータと、
    を備えた、電動式パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータの出力軸と前記ウォームとの間に、前記電動モータの出力軸と前記ウォームとをトルク伝達を可能に接続する、トルク伝達用継手が備えられており、該トルク伝達用継手は、請求項1〜5のいずれかに記載のトルク伝達用継手により構成され、前記1対の端部伝達部材のうちの一方の端部伝達部材は、前記電動モータの出力軸の先端部に固定または一体に形成されており、前記1対の端部伝達部材のうちの他方の端部伝達部材は、前記ウォームの基端部に固定または一体に形成されている、
    電動式パワーステアリング装置。
  7. 前記1対の端部伝達部材の前記端部側面部同士の間の軸方向距離が、前記中間伝達部材の軸方向幅寸法よりも大きい、
    請求項6に記載の電動式パワーステアリング装置。
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