JPWO2019151251A1 - X線管の制御方法及びx線管の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分散X線源を採用できる可能性を高めることのできるX線撮影装置及びトモシンセシス画像の合成方法を提供する。【解決手段】本発明によるX線管の制御方法は、カソード部及びゲート電極を有する電子放出部10、カソード部と対向するアノード面を有するアノード部11、アノード面に配置されたターゲットを含み、カソード部にグランド電位を供給するとともに、ゲート電極にゲート電圧を供給する制御装置2とともに用いられるX線管1の制御方法である。制御装置2は、カソード部と制御装置2との間に流れるカソード電流Icを検出するとともに、ゲート電極と制御装置2との間に流れるゲート電流Igを検出し、検出したカソード電流Ic及びゲート電流Igに基づいて、高電圧発生器Pからアノード部11に向かって流れるアノード電流Iaを取得し、取得したアノード電流Iaに基づいてゲート電極にゲート電圧Vgを供給する。【選択図】図2
Description
本発明は、X線管の制御方法及びX線管の制御装置に関する。
従来のX線管は電子放出素子としてフィラメントを用いており、このフィラメントから出る熱電子を電子源としている。これに対し、近年では、電子放出素子として冷カソードを用いるX線管(冷カソード形X線管)もいくつか提案されてきている(例えば、特許文献1〜3)。
ところで、冷カソード形X線管のようなカソード接地型のX線管では、ゲート電極に印加するゲート電圧を固定した状態だと、アノードに流れる電流(アノード電流)が経時的に変化してしまう。アノード電流を安定させるためにはゲート電圧の適応制御を行う必要があるが、アノード電流をリアルタイムに精度よく計測することは困難であるため、従来はゲート電圧の適応制御を行うことが困難で、その結果としてアノード電流を安定させることができていなかった。
したがって、本発明の目的は、アノード電流を安定させることのできるX線管の制御方法及びX線管の制御装置を提供することにある。
本発明によるX線管の制御方法は、カソード部及びゲート電極を有する電子放出部、前記カソード部と対向するアノード面を有するアノード部、及び前記アノード面に配置されたターゲットを含み、前記カソード部にグランド電位を供給するとともに、前記ゲート電極にゲート電圧を供給する制御装置、及び、前記グランド電位より高い電源電圧を前記アノード部に供給する高電位発生器とともに用いられるX線管の制御方法であって、前記制御装置が、前記カソード部と前記制御装置との間に流れるカソード電流を検出するとともに、前記ゲート電極と前記制御装置との間に流れるゲート電流を検出すること、前記制御装置が、検出した前記カソード電流及び前記ゲート電流に基づいて、前記高電圧発生器から前記アノード部に向かって流れるアノード電流を取得すること、及び、前記制御装置が、取得した前記アノード電流に基づいて前記ゲート電極に前記ゲート電圧を供給すること、を備えるX線管の制御方法である。
本発明によるX線管の制御装置は、カソード部及びゲート電極を有する電子放出部、前記カソード部と対向するアノード面を有するアノード部、及び前記アノード面に配置されたターゲットを含むX線管の制御装置であって、グランド電位より高い電源電圧を前記アノード部に供給する高電位発生器とともに用いられ、前記カソード部に前記グランド電位を供給するとともに、前記ゲート電極にゲート電圧を供給するよう構成され、前記カソード部と前記制御装置との間に流れるカソード電流、及び、前記ゲート電極と前記制御装置との間に流れるゲート電流に基づいて前記高電圧発生器から前記アノード部に向かって流れるアノード電流を取得し、取得した前記アノード電流に基づいて前記ゲート電極に前記ゲート電圧を供給する、X線管の制御装置である。
本発明によれば、カソード電流及びゲート電流からアノード電流を求め、その結果に基づいてゲート電圧を生成することができるので、アノード電流を直接計測せずとも、アノード電流を安定させることが可能になる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態による冷カソード形X線管1の模式的な断面図である。同図に示すように、X線管1は、電子放出部10と、アノード部11と、ターゲット12と、フォーカス構造13とが筐体15の内部に配置された構造を有している。同図には、X線管1の制御装置2についても図示している。
筐体15は、ガラス、セラミックス、及びステンレスのいずれかにより構成される密閉部材である。図示していないが筐体15にはバルブが設けられており、必要に応じ、このバルブを通じて筐体15の内部の排気及び筐体15の内部へのガス注入が行われる。例えば、制御装置2の制御によってX線管3を動作させる前には、真空ポンプを用いて排気することによって、筐体15内を真空状態とする。
図1(b)は、電子放出部10の模式的な断面図である。同図に示すように、電子放出部10は、カソード部20と、カソード部20の上面に配置される複数の電子放出素子21と、マトリクス状に配置された複数の開口部22hを有するゲート電極22とを備えて構成される。複数の電子放出素子21はそれぞれスピント型の冷カソードであり、開口部22h内に1つずつ配置される。各電子放出素子21の上端は、開口部22h内に位置している。カソード部20には制御装置2からグランド電位GNDが供給され、ゲート電極22には制御装置2からゲート電圧Vgが供給される。
アノード部11は、電子放出部10と対向して配置されたアノード面11aを有する金属部材であり、具体的には銅(Cu)によって構成される。アノード部11には、グランド電位より高い電源電圧Vaが高電圧発生器Pから供給される。したがって、図1(b)に示したゲート電極22がオンとなっている場合、高電圧発生器Pからアノード部11、電子放出部10、カソード部20を通って電流(アノード電流)が流れることになる。このとき、図1(b)に示した各電子放出素子21から複数の電子が放出される。これらの電子はアノード面11aに衝突し、アノード部11内を通って高電圧発生器Pに吸収される。アノード面11aは、図1(a)に示すように、電子の移動方向(図面上では、左から右に向かう方向)に対して傾斜して形成されている。
ターゲット12は、電子を受けてX線を発生する材料によって構成された部材であり、アノード面11aのうち各電子放出素子21から放出された電子が直接衝突する部分を覆うように配置される。ターゲット12がアノード面11a上に配置されていることから、アノード面11aに衝突する複数の電子の一部又は全部はターゲット12を通過し、通過の際に、ターゲット12内でX線が発生する。こうして発生したX線の放射方向は、アノード面11aの傾斜のために図面下向きとなる。
フォーカス構造13は、電子放出部10から放出された電子の軌道を修正する機能を有する構造物であり、電子放出部10と、アノード面11aに配置されるターゲット12との間に配置される。フォーカス構造13は窓13hを有しており、電子放出部10から放出された電子は、この窓13hを通ってターゲット12に向かう。フォーカス構造13には、制御装置2からフォーカス電圧Vfが供給される。このフォーカス電圧Vfは、フォーカス構造13による電子軌道の修正量を制御する役割を果たす。なお、フォーカス構造13は2つ以上の領域に分かれていてもよく、その場合、各領域に異なるフォーカス電圧Vfを印加することで、アノード面11aにおける電子線の焦点位置を調整することが可能になる。
制御装置2は、予め書き込まれたプログラム又は外部からの指示に従って動作するプロセッサであり、カソード部20にグランド電位GNDを供給する機能、ゲート電極22にゲート電圧Vgを供給する機能、及び、フォーカス構造13に対してフォーカス電圧Vfを供給する機能を有する。制御装置2は、このうちゲート電圧Vgについて、供給のオンオフと、アノード電流を安定させるための適応制御とを行うよう構成される。X線管1は、制御装置2の制御によってゲート電極22へのゲート電圧Vgの供給が開始された場合に動作中となり、X線の放射を開始する。ゲート電圧Vgの適応制御については、後述する。
図2は、本実施の形態による制御装置2の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、本実施の形態による制御装置2は機能的に、コントローラ30、パルス生成器31、ゲート電流検出器32、グランド/バイアス電源33、カソード電流検出器34、アノード電流演算器35、電流比較器36、ゲート電圧補正量取得部37、ゲート電圧生成器38を有して構成される。なお、これらの機能部の一部又はすべてをハードウェアによって実現することとしてもよく、後述する第3の実施の形態では、そのようにして構成した制御装置2の例を取り上げる。
コントローラ30は、制御装置2内の各部の制御及び各部へのデータの供給を行う機能部である。コントローラ30による各部の制御には、パルス生成器31の出力のオンオフ制御が含まれる。また、コントローラ30による各部へのデータの供給には、ゲート電圧補正量取得部37及びゲート電圧生成器38へのゲート電圧Vgの供給と、電流比較器36へのアノード電流Iaの目標値Idの供給とが含まれる。また、コントローラ30には、ゲート電流検出器32からゲート電圧Vgの現在値が供給される。コントローラ30がゲート電圧補正量取得部37及びゲート電圧生成器38に供給するゲート電圧Vgは、このゲート電圧Vgの現在値である。
パルス生成器31は、任意のパルス高及びデューティー比を有するゲート電圧パルスを生成し、電子放出部10内のゲート電極22(図1(b)を参照)に供給する機能部である。なお、ゲート電圧パルスを単一パルスとする場合もあり、そのような場合の「デューティー比」は「パルス幅」を意味する。パルス生成器31が生成するゲート電圧パルスのパルス高及びデューティー比は、ゲート電圧生成器38により制御される。この制御により、ゲート電極22に対して任意のゲート電圧Vgを供給することが実現される。また、パルス生成器31の出力は、コントローラ30によってオンオフ制御される。パルス生成器31の出力がオンとなっている場合、X線管1からX線が放射される。一方、パルス生成器31の出力がオフとなっている場合、X線管1によるX線の放射は停止状態となる。
ゲート電流検出器32は、ゲート電極22と制御装置2との間に流れるゲート電流Igを検出するとともに、ゲート電極22に印加されるゲート電圧Vgを検出する機能部である。検出されたゲート電流Igはアノード電流演算器35に供給され、検出されたゲート電圧Vgはコントローラ30に供給される。
グランド/バイアス電源33は、所定のグランド電位GNDを生成し、電子放出部10内のカソード部20(図1(b)を参照)に供給する機能部である。
カソード電流検出器34は、カソード部20と制御装置2との間に流れるカソード電流Icを検出する機能部である。検出されたカソード電流Icは、アノード電流演算器35に供給される。
アノード電流演算器35は、カソード電流検出器34から供給されたカソード電流Ic、及び、ゲート電流検出器32から供給されたゲート電流Igの差分Ic−Igを算出することにより、高電圧発生器Pからアノード部11に向かって流れるアノード電流Iaを算出する機能部である。このように、X線管1のアノード電流Iaは、カソード電流Ic及びゲート電流Igからの演算によって求めることができる。
電流比較器36は、コントローラ30から供給される目標値Idに対するアノード電流Iaの誤差を算出する機能部である。具体的には、アノード電流Iaの誤差として、アノード電流演算器35によって算出されたアノード電流Iaと、コントローラ30から供給される目標値Idとの差分Id−Iaを算出する。
ゲート電圧補正量取得部37は、アノード電流Iaを目標値Idに近づけるために必要なゲート電圧Vgの補正量ΔVgを取得する機能部である。そのためにゲート電圧補正量取得部37は、ゲート電圧Vg及びアノード電流Iaの誤差の組み合わせに対応付けてゲート電圧Vgの補正量ΔVgを記憶するゲート電圧補正マップを予め記憶している。
図3は、ゲート電圧補正量取得部37に予め格納されるゲート電圧補正マップの例を示す図である。同図に示すように、ゲート電圧補正マップは、一方の軸にアノード電流Iaの誤差Id−Iaを、他方の軸にゲート電圧Vgを有する2次元のマップであり、各交点にゲート電圧Vgの補正量ΔVgが格納されている。ゲート電圧補正量取得部37は、電流比較器36によって算出された差分Id−Iaと、コントローラ30から供給されているゲート電圧Vgの現在値とに基づいて、ゲート電圧補正マップからゲート電圧Vgの補正量ΔVgを取り出すことにより、アノード電流Iaを目標値Idに近づけるために必要な補正量ΔVgを取得するよう構成される。
ゲート電圧生成器38は、ゲート電圧補正量取得部37によって取得された補正量に基づいて、ゲート電圧Vgを生成する機能部である。具体的には、コントローラ30から供給されるゲート電圧Vgに補正量ΔVgを加算することによって、ゲート電圧Vgを生成する。そして、生成したゲート電圧Vgがゲート電極22に印加されることとなるよう、パルス生成器31が生成するゲート電圧パルスのパルス高及びデューティー比を制御する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、カソード電流Ic及びゲート電流Igからアノード電流Iaを求め、その結果に基づいてゲート電圧Vgを生成することができるので、アノード電流Iaを直接計測せずとも、アノード電流Iaを安定させることが可能になる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、ゲート電圧Vgの補正量ΔVgを決定するためにX線管1の温度も用いる点で、第1の実施の形態と相違する。以下、第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付したうえで、相違点に着目して詳しく説明する。
図4は、本実施の形態による制御装置2の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、本実施の形態による制御装置2は、温度計測器39を有する点、及び、ゲート電圧補正量取得部37に代えてゲート電圧補正量取得部37aを有する点で、図2に示した第1の実施の形態による制御装置2と相違する。
温度計測器39は、X線管1の温度Tを計測する機器である。温度計測器39は、X線管1に接触して計測するタイプ(抵抗温度計など)のものであってもよいし、接触せずに計測するタイプ(赤外放射計など)のものであってもよい。或いは、複数のタイプの温度計を組み合わせて、温度計測器39を構成することとしてもよい。接触して計測するタイプの温度計測器39を用いる場合には、熱をよく通し、電気絶縁性に優れた絶縁材を介して、温度計測器39をX線管1に接触させることが好ましい。また、接触せずに計測するタイプの温度計測器39を用いる場合には、アノード面11a上のフォーカススポットから電子放出部10の表面が受けている熱放射の量を計測し、計測結果からX線管1の温度Tを推定することが好ましい。
ゲート電圧補正量取得部37aは、ゲート電圧Vg、アノード電流Iaの誤差Id−Ia、及びX線管1の温度Tの組み合わせに対応付けてゲート電圧Vgの補正量ΔVgを記憶するゲート電圧補正マップを予め記憶している。
図5は、ゲート電圧補正量取得部37aに予め格納されるゲート電圧補正マップの例を示す図である。同図に示すように、ゲート電圧補正量取得部37aに予め格納されるゲート電圧補正マップは、図3に示したゲート電圧補正マップを温度Tごとに設けたものとなっている。ゲート電圧補正量取得部37aは、電流比較器36によって算出された差分Ia−Iaと、コントローラ30から供給されているゲート電圧Vgの現在値と、温度計測器39によって計測されたX線管1の温度Tとに基づいて、ゲート電圧補正マップからゲート電圧Vgの補正量ΔVgを取り出すことにより、ゲート電圧Vgの補正量ΔVgを取得するよう構成される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、X線管1の温度Tにも基づいて、ゲート電圧Vgの補正量ΔVgを取得することが可能になる。冷カソード形のX線管1は放出電子量の温度依存性が大きく、使用環境の温度変化や、X線管1自体の発熱、使用時のアノード部11からの放射熱による影響(特にX線強度への影響)が無視できないが、本実施の形態によれば、X線管1の温度によらずアノード電流Iaを一定に保つことができるので、X線管1の温度がX線の放出電子量に与える影響を低減することが可能になる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、制御装置2の機能の一部をアナログ回路によって構成する点で、第1の実施の形態と相違する。以下、第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付したうえで、相違点に着目して詳しく説明する。
図6は、本実施の形態による制御装置2の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、本実施の形態による制御装置2は、コントローラ40、ゲート電圧生成器41、グランド/バイアス電源42、双方向電流検出器43、I−V変換回路44、パルス生成器45を有して構成される。
コントローラ40は、パルス生成器45の出力のオンオフ制御を行う機能と、アノード電流Iaの目標値Idを示す電圧値VIdを生成し、パルス生成器45に対して供給する機能とを有するマイコンである。ゲート電圧生成器41は、固定電圧値であるゲート電圧Vgを生成し、パルス生成器45に供給する回路である。
グランド/バイアス電源42は、所定のグランド電位GNDを生成し、電子放出部10内のカソード部20(図1(b)を参照)に供給する電源回路である。
双方向電流検出器43は、カソード部20と制御装置2との間に流れるカソード電流Icと、ゲート電極22と制御装置2との間に流れるゲート電流Igとの差分Ic−Igを検出することにより、高電圧発生器Pからアノード部11に向かって流れるアノード電流Iaを検出する回路である。検出されたアノード電流Iaは、I−V変換回路44に供給される。
I−V変換回路44は、入力電流値を電圧値に変換して出力する回路である。本実施の形態では、入力電流値は、双方向電流検出器43から供給されるアノード電流Iaの電流値となる。I−V変換回路44は、アノード電流Iaの電流値を所定の変換方法によって変換することによって得た電圧値VIa(フィードバック電圧)をパルス生成器45に供給するよう構成される。
パルス生成器45は、ゲート電圧生成器41から供給されるゲート電圧Vg、I−V変換回路44から供給される電圧値VIa、及び、コントローラ40から供給される電圧値VIdに基づいて発生中のゲート電圧パルスの電圧を修正し、電子放出部10内のゲート電極22(図1(b)を参照)に供給することにより、ゲート電極22にゲート電圧Vgを供給する回路である。具体的に説明すると、パルス生成器45は、ゲート電圧Vgに基づいてゲート電圧パルスを生成し、そのパルス高及びデューティー比を電圧値VIa及び電圧値VIdの差分VId−VIaに応じて調整するよう構成される。この調整は、例えば、差分VId−VIaが大きいほど(つまり、アノード電流Iaが小さいほど)大きなゲート電圧Vgがゲート電極22に印加されることとなるように実行される。これにより、ゲート電極22にゲート電圧Vgを供給するとともに、その電圧値をアノード電流Iaの誤差Id−Iaに応じて調整することが実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、アナログ回路を含んで構成した制御装置2により、アノード電流Iaの誤差Id−Iaに応じたゲート電圧Vgの調整を行うことができる。したがって、第1の実施の形態よりさらに速やかに、同一パルス出力内において、アノード電流Iaを安定させることが可能になる。また、本実施の形態によれば、第1の実施の形態で発生し得る演算遅延の発生を回避することができるとともに、制御装置2のためのコストを第1の実施の形態に比べて低減することが可能になる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、アノード電流Iaの調整に合わせ、図1(a)に示したフォーカス構造13に供給するフォーカス電圧Vfの調整を行う点で、第1の実施の形態と相違する。以下、第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付したうえで、相違点に着目して詳しく説明する。
初めに、フォーカス電圧Vfの調整を行うことの意義について説明する。(高電圧発生器Pの)電源電圧Vaやアノード電流Iaを変化させると、アノード面11a上におけるフォーカススポットのサイズも変化する。これは必ずしも望ましいことではなく、電源電圧Vaやアノード電流Iaを変化させても、フォーカススポットのサイズは一定を保つことが好ましい。そこで本実施の形態による制御装置2は、フォーカススポットのサイズを所望の値にすることのできるフォーカス電圧Vfを、電源電圧Va及びアノード電流Iaの組み合わせに対応付けて予め記憶する。そして、実際に計測された電源電圧Va及びアノード電流Iaに基づいてフォーカス電圧Vfを調節することにより、フォーカススポットのサイズを安定させる。
図7は、本実施の形態による制御装置2の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、本実施の形態による制御装置2は、フォーカス電圧取得部50及びフォーカス電圧生成器51を有する点で、第1の実施の形態による制御装置2と相違する。
本実施の形態によるコントローラ30は、第1の実施の形態で説明した機能に加え、フォーカス電圧生成器51の出力のオンオフを制御する機能と、フォーカス電圧取得部50に電源電圧Vaの現在値を供給する機能とを有して構成される。
フォーカス電圧取得部50は、フォーカススポットのサイズを一定に保つために必要なフォーカス電圧Vfを取得する機能部である。そのためにフォーカス電圧取得部50は、電源電圧Va及びアノード電流Iaの組み合わせに対応付けてフォーカス電圧Vfを記憶するフォーカススポット補正マップを予め記憶している。
図8は、フォーカス電圧取得部50に予め格納されるフォーカススポット補正マップの例を示す図である。同図に示すように、フォーカススポット補正マップは、一方の軸にアノード電流Iaを、他方の軸に電源電圧Vaを有する2次元のマップであり、各交点にフォーカス電圧Vfの値が格納されている。フォーカス電圧取得部50は、アノード電流演算器35によって算出されたアノード電流Iaと、コントローラ30から供給されている電源電圧Vaの現在値とに基づいて、フォーカススポット補正マップからフォーカス電圧Vfの値を取り出すことにより、フォーカススポットのサイズを一定に保つために必要なフォーカス電圧Vfを取得するよう構成される。
フォーカス電圧生成器51は、コントローラ30によって出力がオンとされている場合に、フォーカス電圧取得部50によって取得された値のフォーカス電圧Vfを生成し、フォーカス構造13に供給する機能部である。こうしてフォーカス構造13に供給されるフォーカス電圧Vfにより、フォーカススポットのサイズが一定に保たれることになる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電源電圧Va及びアノード電流Iaの組み合わせに対応付けてフォーカス電圧Vfを記憶するフォーカススポット補正マップを用いてフォーカス電圧Vfを決定しているので、電源電圧Va及びアノード電流Iaによらず、フォーカススポットのサイズを一定に保つことが実現される。
なお、図8に示したフォーカス電圧生成器51は、実際には、第1乃至第3の実施の形態による制御装置2にも設けられるものであるが、第1乃至第3の実施の形態では図示及び説明を省略している。第1乃至第3の実施の形態においては、フォーカス電圧Vfの具体的な値は、コントローラ30からフォーカス電圧生成器51に供給される固定値となる。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、トモシンセシス撮影を撮影するために用いられる分散X線源(Distributed X-ray Source)を構成する複数のX線管1を1つの制御装置2によって制御する点で、第4の実施の形態と相違する。以下、第4の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付したうえで、相違点に着目して詳しく説明する。
図9は、本実施の形態による制御装置2の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、本実施の形態による制御装置2は、複数のパルス生成器31を有する点、ゲート電圧補正量取得部37に代えてゲート電圧補正量取得部37bを有する点、フォーカス電圧取得部50に代えてフォーカス電圧取得部50aを有する点で、第4の実施の形態による制御装置2と相違する。なお、ゲート電圧生成器38の出力端は複数のパルス生成器31に共通に接続され、グランド/バイアス電源33の出力端は複数のX線管1のカソード部20に共通に接続され、フォーカス電圧生成器51の出力端は複数のX線管1のフォーカス構造13に共通に接続される。
本実施の形態によるコントローラ30は、複数のパルス生成器31のオンオフを順次切り替えることにより、複数のX線管1を1つずつ順次に動作中状態とする。これにより、分散X線源を構成する複数のX線管1から順次X線が照射され、複数の角度からのX線画像を得ることが可能になる。
ゲート電圧補正量取得部37bは、上述したゲート電圧補正マップを複数のX線管1ごとに予め記憶するよう構成される。そして制御装置2は、複数のX線管1ごとに、ゲート電圧補正量取得部37bにより、アノード電流演算器35が算出したアノード電流Iaと該アノード電流Iaの目標値Idとの差分Id−Ia、及び、ゲート電流検出器32が検出したゲート電圧Vgの現在値に基づいて、対応するゲート電圧補正マップからゲート電圧Vgの補正量ΔVgを取り出し、ゲート電圧生成器38により、取り出された補正量ΔVgに基づいてゲート電圧Vgを生成する処理を行う。これにより、各X線管1の能力にバラツキがあったとしても、第1の実施の形態と同様に、各X線管1で流れるアノード電流Iaを安定させることが可能になる。
また、フォーカス電圧取得部50aは、上述したフォーカススポット補正マップを複数のX線管1ごとに予め記憶するよう構成される。そして制御装置2は、複数のX線管1ごとに、フォーカス電圧取得部50aにより、アノード電流演算器35が算出したアノード電流Ia、及び、(高電圧発生器Pの)電源電圧Vaの現在値に基づいて、対応するフォーカススポット補正マップからフォーカス電圧Vfの値を取り出し、フォーカス電圧生成器51により、取り出されたフォーカス電圧Vfの値に基づいてフォーカス構造13にフォーカス電圧Vfを供給する処理を行う。これにより、各X線管1の能力にバラツキがあったとしても、第4の実施の形態と同様に、各X線管1におけるフォーカススポットのサイズを一定に保つことが実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、分散X線源を構成する複数のX線管1のそれぞれに流れるアノード電流Iaを安定させることが可能になるとともに、それら各X線管1におけるフォーカススポットのサイズを一定に保つことが可能になる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
例えば、上記各実施の形態では、ゲート電圧補正マップ及びフォーカススポット補正マップを予め制御装置2内に記憶しておくこととしたが、電流比較器36で得られるアノード電流Iaの誤差Id−Iaを基に、リアルタイムでゲート電圧補正マップ及びフォーカススポット補正マップの少なくとも一方を修正していくこととしてもよい。
1 カソード形X線管
2 制御装置
10 電子放出部
11 アノード部
11a アノード面
12 ターゲット
13 フォーカス構造
13h 窓
15 筐体
20 カソード部
21 電子放出素子
22 ゲート電極
22h 開口部
30,40 コントローラ
31,45 パルス生成器
32 ゲート電流検出器
33,42 グラント/バイアス電源
34 カソード電流検出器
35 アノード電流演算器
36 電流比較器
37,37a,37b ゲート電圧補正量取得部
38,41 ゲート電圧生成器
39 温度計測器
43 双方向電流検出器
44 I−V変換回路
45 パルス生成器
50,50a フォーカス電圧取得部
51 フォーカス電圧生成器
GND グランド電位
Ia アノード電流
Ic カソード電流
Id アノード電流Iaの目標値
Ig ゲート電流
P 高電圧発生器
T 温度
Va 電源電圧
Vf フォーカス電圧
Vg ゲート電圧
ΔVg ゲート電圧Vgの補正量
2 制御装置
10 電子放出部
11 アノード部
11a アノード面
12 ターゲット
13 フォーカス構造
13h 窓
15 筐体
20 カソード部
21 電子放出素子
22 ゲート電極
22h 開口部
30,40 コントローラ
31,45 パルス生成器
32 ゲート電流検出器
33,42 グラント/バイアス電源
34 カソード電流検出器
35 アノード電流演算器
36 電流比較器
37,37a,37b ゲート電圧補正量取得部
38,41 ゲート電圧生成器
39 温度計測器
43 双方向電流検出器
44 I−V変換回路
45 パルス生成器
50,50a フォーカス電圧取得部
51 フォーカス電圧生成器
GND グランド電位
Ia アノード電流
Ic カソード電流
Id アノード電流Iaの目標値
Ig ゲート電流
P 高電圧発生器
T 温度
Va 電源電圧
Vf フォーカス電圧
Vg ゲート電圧
ΔVg ゲート電圧Vgの補正量
Claims (9)
- カソード部及びゲート電極を有する電子放出部、
前記カソード部と対向するアノード面を有するアノード部、及び
前記アノード面に配置されたターゲットを含み、
前記カソード部にグランド電位を供給するとともに、前記ゲート電極にゲート電圧を供給する制御装置、及び、前記グランド電位より高い電源電圧を前記アノード部に供給する高電位発生器とともに用いられるX線管の制御方法であって、
前記制御装置が、前記カソード部と前記制御装置との間に流れるカソード電流を検出するとともに、前記ゲート電極と前記制御装置との間に流れるゲート電流を検出すること、
前記制御装置が、検出した前記カソード電流及び前記ゲート電流に基づいて、前記高電圧発生器から前記アノード部に向かって流れるアノード電流を取得すること、及び、
前記制御装置が、取得した前記アノード電流に基づいて前記ゲート電極に前記ゲート電圧を供給すること、
を備えるX線管の制御方法。 - 前記制御装置は、
前記ゲート電圧及び前記アノード電流の誤差の組み合わせに対応付けて前記ゲート電圧の補正量を記憶するゲート電圧補正マップを予め記憶し、
取得した前記アノード電流と該アノード電流の目標値との差分、及び、前記ゲート電圧の現在値に基づいて、前記ゲート電圧補正マップから前記ゲート電圧の補正量を取り出し、
取り出した前記ゲート電圧の補正量に基づいて前記ゲート電圧を生成する、
請求項1に記載のX線管の制御方法。 - 前記X線管はさらに、前記X線管の温度を計測する温度計測器とともに用いられ、
前記ゲート電圧補正マップは、前記ゲート電圧、前記アノード電流の誤差、及び前記X線管の温度の組み合わせに対応付けて前記ゲート電圧の補正量を記憶するよう構成され、
前記制御装置は、取得した前記アノード電流と該アノード電流の目標値との差分、前記ゲート電圧の現在値、及び、前記温度計測器によって計測された前記X線管の温度に基づいて、前記ゲート電圧補正マップから前記ゲート電圧の補正量を取り出す、
請求項2に記載のX線管の制御方法。 - 前記X線管はさらに、前記電子放出部と前記ターゲットとの間に配置されたフォーカス構造を含み、
前記制御装置は、
前記電源電圧及び前記アノード電流の組み合わせに対応付けてフォーカス電圧の値を記憶するフォーカススポット補正マップを予め記憶し、
取得した前記アノード電流、及び、前記電源電圧の現在値に基づいて、前記フォーカススポット補正マップから前記フォーカス電圧の値を取り出し、
取り出した前記フォーカス電圧の値に基づいて、前記フォーカス構造にフォーカス電圧を供給する、
請求項1に記載のX線管の制御方法。 - 前記制御装置は、
複数の前記X線管それぞれの前記ゲート電極に対してゲート電圧を順次供給するよう構成され、
前記ゲート電圧及び前記アノード電流の誤差の組み合わせに対応付けて前記ゲート電圧の補正量を記憶するゲート電圧補正マップを前記複数のX線管ごとに予め記憶し、
前記複数のX線管ごとに、取得した前記アノード電流と該アノード電流の目標値との差分、及び、前記ゲート電圧の現在値に基づいて、対応する前記ゲート電圧補正マップから前記ゲート電圧の補正量を取り出し、取り出した前記ゲート電圧の補正量に基づいて前記ゲート電圧を生成する処理を行う、
請求項1に記載のX線管の制御方法。 - 前記複数のX線管はそれぞれ、前記電子放出部と前記ターゲットとの間に配置されたフォーカス構造をさらに含み、
前記制御装置は、
前記電源電圧及び前記アノード電流の組み合わせに対応付けてフォーカス電圧の値を記憶するフォーカススポット補正マップを前記複数のX線管ごとに予め記憶し、
前記複数のX線管ごとに、取得した前記アノード電流、及び、前記電源電圧の現在値に基づいて、対応する前記フォーカススポット補正マップから前記フォーカス電圧の値を取り出し、取り出した前記フォーカス電圧の値に基づいて、前記フォーカス構造にフォーカス電圧を供給する処理を行う、
請求項5に記載のX線管の制御方法。 - カソード部及びゲート電極を有する電子放出部、
前記カソード部と対向するアノード面を有するアノード部、及び
前記アノード面に配置されたターゲットを含むX線管の制御装置であって、
グランド電位より高い電源電圧を前記アノード部に供給する高電位発生器とともに用いられ、
前記カソード部に前記グランド電位を供給するとともに、前記ゲート電極にゲート電圧を供給するよう構成され、
前記カソード部と前記制御装置との間に流れるカソード電流、及び、前記ゲート電極と前記制御装置との間に流れるゲート電流に基づいて前記高電圧発生器から前記アノード部に向かって流れるアノード電流を取得し、取得した前記アノード電流に基づいて前記ゲート電極に前記ゲート電圧を供給する、
X線管の制御装置。 - 前記カソード電流を検出するカソード電流検出器と、
前記ゲート電流を検出するゲート電流検出器と、
前記カソード電流検出器によって検出された前記カソード電流、及び、前記ゲート電流検出器によって検出された前記ゲート電流の差分を算出することにより前記アノード電流を算出するアノード電流演算器と、
前記ゲート電圧及び前記アノード電流の誤差の組み合わせに対応付けて前記ゲート電圧の補正量を記憶するゲート電圧補正マップを予め記憶し、取得した前記アノード電流と該アノード電流の目標値との差分、及び、前記ゲート電圧の現在値に基づいて、前記ゲート電圧補正マップから前記ゲート電圧の補正量を取得するゲート電圧補正量取得部と、
前記ゲート電圧補正量取得部によって取得された前記補正量に基づいて前記ゲート電圧を生成するゲート電圧生成器と、
を含む請求項7に記載のX線管の制御装置。 - 前記カソード電流及び前記ゲート電流の差分を検出する双方向電流検出器と、
前記差分を電圧値に変換することにより、前記ゲート電圧を補正するためのフィードバック電圧を取得するI−V変換回路と、
固定電圧値、前記I−V変換回路によって取得された前記フィードバック電圧、及び、前記アノード電流の目標値に基づいて、前記ゲート電極に前記ゲート電圧を供給するパルス生成器と、
を含む請求項7に記載のX線管の制御装置。
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KR102328720B1 (ko) * | 2021-03-10 | 2021-11-22 | 어썸레이 주식회사 | 전자기파 발생 장치 및 그 제어 방법 |
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- 2019-01-29 CN CN201980011305.3A patent/CN111670611A/zh active Pending
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