実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の構成を例示した概略図である。図1に示すように、空気調和装置100は、室外機40と室内機50とを有する。室外機40は、圧縮機41と、四方弁42と、熱源側熱交換器43と、熱源側絞り装置44と、アキュムレータ45と、を有する。室内機50は、負荷側熱交換器51を有する。すなわち、空気調和装置100は、圧縮機41、四方弁42、熱源側熱交換器43、熱源側絞り装置44、負荷側熱交換器51、及びアキュムレータ45が冷媒配管61を介して接続され、冷媒が循環する冷媒回路60を有している。
また、室外機40には、上位制御装置46と、電動機制御装置10と、第1電動機21と、第2電動機22と、第1ファン31と、第2ファン32とが設けられている。室内機50には、負荷側ファン52と、ファンモータ52aと、負荷側上位制御装置53と、負荷側電動機制御装置54とが設けられている。
圧縮機41は、例えばインバータによって駆動される圧縮機モータ(図示せず)を有し、冷媒を吸入して圧縮する。四方弁42は、圧縮機41に接続されており、上位制御装置46により制御されて冷媒の流路を切り替える。四方弁42は、熱源側熱交換器43が凝縮器として機能し、負荷側熱交換器51が蒸発器として機能する冷房運転時において、図1の実線の流路となる。一方、四方弁42は、負荷側熱交換器51が凝縮器として機能し、熱源側熱交換器43が蒸発器として機能する暖房運転時において、図1の破線の流路となる。
熱源側熱交換器43は、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器からなり、冷媒回路60を流れる冷媒と外気との間で熱交換させる。熱源側絞り装置44は、例えば電子膨張弁からなり、冷媒を減圧し膨張させる。アキュムレータ45は、過剰な冷媒を貯留し、圧縮機41への液冷媒の流入を抑制する。
電動機制御装置10は、第1電動機21及び第2電動機22のそれぞれの回転数と、電動機の運転台数とを制御することで、室外機40における熱交換能力を制御する。第1ファン31及び第2ファン32は、熱源側熱交換器43に付設されており、熱源側熱交換器43に送風する。第1ファン31は、第1電動機21に接続されており、第1電動機21を動力源として回転する。第2ファン32は、第2電動機22に接続されており、第2電動機22を動力源として回転する。
ここで、第1電動機21の回転数をf1とし、第2電動機22の回転数をf2とする。一般に、電動機の並列運転、つまり電動機の複数台同時運転のとき、各電動機の回転数は等しくなる。すなわち、通常の2台同時運転のとき、第1電動機21の回転数f1と第2電動機22の回転数f2とは等しくなる。そのため、本実施の形態1の各処理を行っていない通常の2台同時運転時の第1電動機21及び第2電動機22の回転数をfとする。
負荷側熱交換器51は、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器からなり、冷媒回路60を流れる冷媒と室内の空気との間で熱交換させる。第1電動機21及び第2電動機22は、負荷側上位制御装置53に設けられたインバータ(図示せず)によって駆動される。負荷側ファン52は、ファンモータ52aを動力源として回転し、負荷側熱交換器51に空気を送風する。負荷側上位制御装置53は、負荷側電動機制御装置54を介して、負荷側ファン52の動作を制御する。負荷側電動機制御装置54は、ファンモータ52aの回転数を制御することで、室内機50における熱交換能力を制御する。
図2は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置の構成を例示した制御ブロック図である。電動機制御装置10は、互いに並列に接続された複数台の電動機を駆動するものである。図2に示すように、電動機制御装置10は、制御部1と、直流電源2と、直流電圧を三相電圧に変換する電力変換装置3と、電力変換装置3と第2電動機22との間をオンオフ動作によって電気的に接続し又は切断するスイッチ装置7と、を有する。
スイッチ装置7は、例えばリレーであり、電力変換装置3の三相のうちの1つの相に接続された第1接点部7xと、電力変換装置3の三相のうちの他の1つの相に接続された第2接点部7yと、を有する。本実施の形態1において、第1接点部7xは、電力変換装置3の三相のうちのU相に接続され、三相電力線9のうちのU2相の電力線を電気的に接続し又は切断する。第2接点部7yは、電力変換装置3の三相のうちのW相に接続され、三相電力線9のうちのW2相の電力線を電気的に接続し又は切断する。
電力変換装置3は、例えばインバータであり、電力を変換して互いに並列に接続された複数台の電動機に三相電圧を供給する。本実施の形態1では、電動機制御装置10の制御対象となる第1電動機21及び第2電動機22が並列に接続されている。ここで、電動機制御装置10、第1電動機21、第2電動機22、第1ファン31、及び第2ファン32は、熱交換器ユニット30に含まれている。熱交換器ユニット30は、室外機40であってもよいし、室外機40の一部の構成であってもよい。
第1電動機21及び第2電動機22は、例えばブラシレスDCモータであり、電力変換装置3によって駆動される。第1電動機21には、負荷となる第1ファン31が取り付けられており、第2電動機22には、負荷となる第2ファン32が取り付けられている。第1電動機21は、三相電力線8を介して電力変換装置3と接続されている。ここで、本実施の形態1では、電力変換装置3と直接接続されている第1電動機21が、1台運転させる電動機に設定されている。つまり、第1電動機21は、本発明の「設定電動機」に相当する。
第2電動機22は、三相電力線8の途中から分岐した三相電力線9を介して電力変換装置3と接続されている。三相電力線9における三相電力線8との分岐と第2電動機22との間には、スイッチ装置7が設けられている。第1電動機21及び第2電動機22は、それぞれ、回転子(不図示)と、印加される三相電圧にしたがって回転子の周囲に回転磁界を発生させる固定子(不図示)と、を有する。
ここで、ブラシレスDCモータは、回転子の位置に応じて適切な位相及び周波数の三相交流電圧を固定子(不図示)に印加し、回転子の周囲に回転磁界を発生させ、回転磁界と回転子との吸引及び反発を利用して、回転子を所望の回転数で回転させる。その際、回転子の位置を検出する必要がある。回転子の位置を検出する方法としては、例えば、電動機に設置されたホールセンサによって検出する方法、又は周知の電動機に流れる三相電流から演算によって算出する方法を用いることができる。本実施の形態1では、電動機制御装置10が、後者の方法によって回転子の位置を推定する場合を例示する。
直流電源2は、例えば、電動機制御装置10の外部の単相電源又は三相電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換して出力する整流回路である。電力変換装置3は、制御部1からの三相電圧指令値Vuvw_refに基づいて、第1電動機21及び第2電動機22を駆動する。すなわち、電力変換装置3は、制御部1から出力される三相電圧指令値Vuvw_refを、変調が行われていない基準信号であるキャリア波と比較し、PWM制御を実行する。
制御部1は、第1電動機21の回転数f1と、第2電動機22の回転数f2とを経時的に取得する。制御部1は、上位制御装置46から入力される回転数指令値ω_refと、検出した三相電流Iuvwに基づいて、周知のベクトル制御を実施し、電力変換装置3に三相電圧指令値Vuvw_refを出力する。また、制御部1は、スイッチ装置7に切替指示信号SWを出力する。切替指示信号SWは、例えば、スイッチ装置7に対して、オフ状態からオン状態への切り替え、又はオン状態からオフ状態への切り替えを指示するものである。
ここで、スイッチ装置7は、制御部1から切替指示信号SWを受け取ると、切替指示信号SWにしたがって、電力変換装置3と第1電動機21とを接続する三相電力線8に第2電動機22を接続したり、三相電力線8から第2電動機22を切り離したりする。すなわち、スイッチ装置7は、第1接点部7x及び第2接点部7yがオンであるオン状態のときに、第2電動機22を三相電力線8に接続し、第1接点部7x及び第2接点部7yがオフであるオフ状態のときに、第2電動機22を三相電力線8から切り離す。
また、第1ファン31及び第2ファン32は、第1電動機21及び第2電動機22のそれぞれに個別に接続されている。そして、スイッチ装置7がオフ状態にあるとき、第2電動機22は、電力変換装置3と電気的に切り離された状態となる。したがって、外風などの外乱トルクによって第2電動機22が回転しても、スイッチ装置7がオフ状態であれば、第2電動機22が第1電動機21と接続されていないため、第2電動機22の回転で発生する回生電流の第1電動機21に対する影響を遮断できる。すなわち、フリーラン状態の第2ファン32が、第1ファン31の負荷とならないようになっている。
制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信したとき、電力変換装置3を構成している6個のスイッチング素子4a〜4fのそれぞれに素子オフ信号を出力する全スイッチング素子オフ処理を実行する。6個のスイッチング素子4a〜4fは、それぞれ、素子オフ信号によりオフとなる。そして、制御部1は、6個のスイッチング素子4a〜4fにオフの状態を維持させたまま、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力するスイッチ装置オフ処理を実行する。スイッチ装置7は、接点オフ信号によりオフ状態となる。すなわち、第1接点部7x及び第2接点部7yは、それぞれ、接点オフ信号によりオフとなる。
さらに、制御部1は、スイッチ装置7をオフ状態にした後、後続する起動処理へ移るため、第1電動機21にブレーキをかけて第1電動機21の回転を止めるブレーキ処理を実行する。ここで、第1電動機21及び第2電動機22は、自身が回転することによって生じる電気エネルギーを素早く消費することで、素早く減速することができる。すなわち、制御部1は、第1電動機21の電気エネルギーを素早く消費するために、ブレーキ処理の一環として、第1電動機21の線間を短絡させる。第1電動機21の線間の短絡は、例えばスイッチング素子4a〜4cを同時にオンすること、又はスイッチング素子4d〜4fを同時にオンすることによって実現される。
また、制御部1は、ブレーキ処理に移行したとき、つまり第1電動機21の線間を短絡させたときからカウントを開始する。そして、制御部1は、カウントの積算値であるカウント時間が所定のブレーキ処理時間に到達したときに、起動処理を開始する。なお、制御部1は、起動処理を開始したとき、カウント時間をリセットする。
ここで、ブレーキ処理時間は、全スイッチング素子オフ処理へ移行する直前の回転数f、つまり複数のスイッチング素子4a〜4fを全てオフにする直前の回転数fである初期回転数f0に応じて定まる。すなわち、本実施の形態1では、予め、初期回転数f0を想定した複数の回転数fごとに、全スイッチング素子オフ処理、スイッチ装置オフ処理、及びブレーキ処理を実施しておく。その際、ブレーキ処理の開始から第1電動機21の回転数f1が0[r/min]になるまでの時間データを、ブレーキ処理時間として取得する。そして、複数の回転数fと複数のブレーキ処理時間とを関連づけた処理時間テーブルを作成し、制御部1の記憶部1aに記憶させておく。処理時間テーブルでは、複数の回転数fと複数のブレーキ処理時間とが、回転数fが増加すると、ブレーキ処理時間が増加するように関連づけられている。よって、制御部1は、回転数fを処理時間テーブルに照らすことにより、ブレーキ処理時間を求めることができる。
制御部1は、起動処理として、第1電動機21が正転して駆動するのに必要な三相電圧指令値Vuvw_refを電力変換装置3に出力する。制御部1は、三相電圧指令値Vuvw_refを、上位制御装置46から入力される回転数指令値ω_refに基づいて生成する。すなわち、第1電動機21は、回転数指令値ω_refに応じて加速する。本実施の形態1の第1電動機21は、ブラシレスDCモータであるため、制御部1は、三相電圧指令値Vuvw_refを出力する前に、固定子と回転子の磁極位置をあわせる同期引き込み動作を実施する。
制御部1は、例えば、マイコンなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各機能を実現させるソフトウェアとによって構成することができる。制御部1は、上記の各機能のうちの一部又は全部を実現する回路デバイスのようなハードウェアを含んで構成してもよい。
上位制御装置46は、第1電動機21及び第2電動機22のそれぞれの回転数を示す回転数指令値ω_refを制御部1に出力する。上位制御装置46は、種々の情報を記憶する記憶部46aを有している。記憶部46aには、電動機の台数を切り替える際の判定基準となる回転数であり、実機試験などにより予め設定された基準回転数X1が記憶されている。基準回転数X1は、第1電動機21と第2電動機22との2台同時運転から第1電動機21の1台運転に切り替える際の基準となる回転数である。
本実施の形態1において、基準回転数X1は、2台同時運転時の吸込風量が、1台運転時の吸込風量の最大値と等しくなるときの回転数fに設定される。吸込風量とは、第1ファン31及び第2ファン32によって熱交換器ユニット30へ吸い込まれる風量のことである。1台運転時の吸込風量の最大値とは、1台運転時において、電動機の回転数fを最大にしたとき、あるいは回転数fを切替回転数にしたときに、熱交換器ユニット30へ吸い込まれる風量のことである。切替回転数は、例えば、1台の電動機における回転数fの最大値の80[%]に設定され、適宜変更することができる。
上位制御装置46は、制御部1から第1電動機21及び第2電動機22の回転数fを取得するようになっている。また、上位制御装置46は、記憶部46aから基準回転数X1を読み出し、回転数fが基準回転数X1以下であるか否かを判定する。そして、上位制御装置46は、回転数fが基準回転数X1以下であれば、制御部1に台数切替指令を送信する。
上位制御装置46は、マイコンなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各機能を実現させるソフトウェアとによって構成することができる。また、上位制御装置46は、上記の各機能のうちの一部又は全部を実現する回路デバイスのようなハードウェアを含んでいてもよい。
図3は、図2に示した電力変換装置の構成の一例を示す図である。図3に示すように、電力変換装置3は、6個のスイッチング素子4a〜4fと、各スイッチング素子4a〜4fに並列に設けられた逆流防止素子5a〜5fと、三相電流Iuvwの演算用の電流検出部6と、を有する。電力変換装置3は、制御部1から受け取る三相電圧指令値Vuvw_refに対応して、直流電源2の直流電圧をPWM制御し、直流電圧を三相電圧に変換して第1電動機21及び第2電動機22に供給する。スイッチング素子4a〜4fは、それぞれ、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。逆流防止素子5a〜5fは、それぞれ、例えばダイオードである。
また、図3では、電流検出部6の一例として、シャント抵抗6u〜6wを含む構成を示している。シャント抵抗6uは電力変換装置3のU相に設けられ、シャント抵抗6vは電力変換装置3のV相に設けられ、シャント抵抗6wは電力変換装置3のW相に設けられている。すなわち、本実施の形態1において、制御部1は、シャント抵抗6u〜6wを用いた電流検出方法により、三相電流Iuvwを検出する。
具体的には、電力変換装置3の各相に設けられたシャント抵抗6u〜6wに電流が流れると、各相のそれぞれの電流値に応じた三相電圧降下dVuvwが生じる。三相電圧降下dVuvwは、シャント抵抗6uの電圧降下dVuと、シャント抵抗6vの電圧降下dVvと、シャント抵抗6wの電圧降下dVwとからなり、それぞれ制御部1に入力される。
制御部1は、三相電圧降下dVuvwをAD変換し、適当なゲインを乗じて、シャント抵抗6u〜6wに流れる三相電流Iuvwを検出する。もっとも、シャント抵抗6u〜6wの代わりに、電流検出部6として、ACCT又はDCCTなどの周知の電流センサを採用し、電流検出部6が直接的に三相電流Iuvwを計測して制御部1へ出力してもよい。
図4は、図1の上位制御装置による処理を示すフローチャートである。図5は、図1の制御部による一部の処理を示すフローチャートである。図6は、図1の制御部による一部の処理を示すタイムチャートである。図4〜図6を参照して、電動機の運転状態を2台同時運転から1台運転に切り替える場合の動作を説明する。
まず、図4を参照して、上位制御装置46が電動機の台数切り替えに関して行う制御の手順を説明する。上位制御装置46は、制御部1から回転数fを受信する(ステップS101)。次いで、上位制御装置46は、制御部1から受信した回転数fと基準回転数X1とを比較し、回転数fが基準回転数X1以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
上位制御装置46は、回転数fが基準回転数X1以下であれば(ステップS102/YES)、制御部1に対し、台数切替指令を送信する(ステップS103)。一方、上位制御装置46は、回転数fが基準回転数X1よりも大きければ(ステップS102/NO)、ステップS101の処理に戻る。
次に、図5を参照して、第1電動機21と第2電動機22との2台同時運転から第1電動機21のみの1台運転に切り替える際に制御部1が行う制御の手順を説明する。
まず、制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信するまで待機する(ステップS201/NO)。すなわち、制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信しなければ、電動機の台数切り替えに関する処理を行わない。
制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信すると(ステップS201/YES)、各スイッチング素子4a〜4fのそれぞれに素子オフ信号を出力する。これにより、各スイッチング素子4a〜4fはオフとなる(ステップS202)。次いで、制御部1は、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する。これにより、スイッチ装置7はオフ状態となる(ステップS203)。
次に、制御部1は、第1電動機21の線間を短絡させて、第1電動機21の回転にブレーキをかける。その際、制御部1は、カウントを開始する(ステップS204)。次いで、制御部1は、カウント時間がブレーキ処理時間以上になるまで待機する(ステップS205/NO)。そして、制御部1は、カウント時間がブレーキ処理時間以上になると、ブレーキ処理を終了し、第1電動機21が正転して駆動するのに必要な三相電圧指令値Vuvw_refを電力変換装置3に出力する。これにより、第1電動機21が駆動を開始する(ステップS206)。
続いて、図6では、2台同時運転を行っているときに、台数切替指令が送信されてから第1電動機21が起動処理を実行するまでの動作の流れを示している。図6のタイムチャートでは、横軸に経過時間をとり、縦軸の1段目に電動機の回転数をとり、縦軸の2段目にスイッチ装置7の駆動状態をとっている。つまり、1段目には、第1電動機21の回転数を実線で表し、第2電動機22の回転数を破線で表している。また、2段目には、スイッチ装置7のオンオフ状態を表している。
ここで、期間T1は、図5のステップS202の全スイッチング素子オフ処理に対応し、期間T2は、図5のステップS203のスイッチ装置オフ処理に対応する。また、期間T3は、図5のステップS204及びS205のブレーキ処理に対応し、期間T4は、図5のステップS206の起動処理に対応する。図6を参照して、図5の各処理に対応する期間ごとに、第1電動機21及び第2電動機22の動作と、スイッチ装置7の動作とを説明する。
[全スイッチング素子オフ処理(T1)]
期間T0では、第1電動機21と第2電動機22とが等しい回転数fで同期しながら運転している。このとき、第1電動機21と第2電動機22とは、何れも電力変換装置3と電気的に接続されているため、スイッチ装置7はオンの状態である。制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受けると、期間T1において、電力変換装置3を構成する6個のスイッチング素子4a〜4fにオフ信号を出力する。6個のスイッチング素子4a〜4fがオフすると、電力変換装置3から第1電動機21及び第2電動機22に電流が流れなくなり、第1電動機21及び第2電動機22はフリーラン状態になる。また、スイッチ装置7には、電流が流れない状態となる。フリーラン状態になった第1電動機21及び第2電動機22は、それぞれ、空気抵抗等の影響により、回転数が徐々に減少する。
[スイッチ装置オフ処理(T2)]
期間T2において、第1電動機21及び第2電動機22はフリーラン状態である。制御部1からスイッチ装置7に対し、接点オフ信号が出力されると、スイッチ装置7はオフ状態となり、第2電動機22が電力変換装置3から電気的に切り離される。このとき、全スイッチング素子オフ処理により、スイッチ装置7に流れる電流は遮断されている。
[ブレーキ処理(T3)]
期間T3において、第1電動機21は、電力変換装置3と電気的に接続されており、フリーラン状態である。ブレーキ処理が開始され、第1電動機21の線間が短絡すると、第1電動機21は減速し、回転数f1は0[r/min]となる。このときの第1電動機21の減速スピードは、フリーラン状態で減速するスピードよりも速い。つまり、フリーラン状態よりも短時間で、第1電動機21の回転数f1は0[r/min]となる。
[起動処理(T4)]
期間T4が始まる時刻において、第1電動機21の回転数は、0[r/min]である。また、スイッチ装置7はオフ状態である。このとき、第2電動機22は、フリーラン状態であっても問題はない。同期引き込み動作が実施された後、第1電動機21は、電力変換装置3により制御され、第1電動機21の回転数f1は目標回転数まで増加する。
(実施の形態1の作用効果)
以上のように、本実施の形態1の電動機制御装置10は、スイッチ装置7をオフする前に、6個のスイッチング素子4a〜4fをオフすることにより、電力変換装置3から第2電動機22に流れる電流を遮断することができる。すると、電力変換装置3からスイッチ装置7に流れる電流が遮断されるため、スイッチ装置7をオフした際の電流変化量が小さくなり、スイッチ装置7をオフする際の電流変化に比例するサージ電圧も小さくなる。すなわち、制御部1は、2台の電動機が運転している状態から設定電動機だけが運転する1台運転に切り替える際、運転している2台の電動機の回転数を現在の回転数よりも低下させてからスイッチ装置7をオフ状態にする。よって、電動機制御装置10によれば、スイッチ装置7をオフする際に、スイッチ装置7に流れる電流を小さくすることができるため、電流変化量に比例するサージ電圧を低く抑えることができる。そのため、スイッチ装置7の破損及び寿命低下を抑制すると共に、電動機制御装置10の信頼性を高めることができる。
また、電動機制御装置10は、スイッチ装置7をオフにし、第2電動機22を電力変換装置3から電気的に切り離してからブレーキ処理を実施する。そのため、2台の電動機に対して同時にブレーキをかける場合と比べて、ブレーキ時に発生する電流を小さくすることができる。加えて、本実施の形態1のブレーキ処理によれば、2台の電動機に対して同時にブレーキをかける場合よりも短い時間で、迅速に第1電動機21の回転数f1を0[r/min]にすることができる。そのため、再起動までの時間を短くすることができ、第1ファン31が回転していないことによる熱交換器ユニット30の熱交換能力の低下を緩和することができる。
複数の初期回転数f0と複数のブレーキ処理時間とを関連づけた処理時間テーブルを参照して、ブレーキ処理時間を決定することにより、第1電動機21の回転数f1が0[r/min]になるタイミングを予測して、第1電動機21の再起動を開始する。そのため、再起動までの時間をさらに短くすることができる。もっとも、制御部1は、処理時間テーブルの代わりに、初期回転数f0とブレーキ処理時間とを関連づけたグラフなどを用いてもよい。
また、電動機制御装置10は、全スイッチング素子オフ処理と、スイッチ装置オフ処理と、ブレーキ処理とを、この順に実行する。よって、第2電動機22にはブレーキがかからず、フリーラン状態を保つことができるため、熱交換器ユニット30の熱交換能力の低下を緩和することができる。
すなわち、本実施の形態1の電動機制御装置10によれば、スイッチ装置7にかかるサージ電圧を低く抑えることができるため、スイッチ装置7の破損及び寿命低下を抑制することができる。その結果、電動機制御装置10の信頼性を高めることができる。また、熱交換器ユニット30の熱交換能力への影響を抑えながら、電動機の運転台数の切り替え処理を実施することができる。
さらに、基準回転数X1は、2台同時運転時の吸込風量が、1台運転時の吸込風量の最大値と等しくなるときの回転数fに設定される。すなわち、基準回転数X1は、1台のファンによって吸い込むことのできる風量が基準となっているため、1台運転への切り替え時に吸込風量を維持することができ、熱交換器ユニット30の熱交換能力を保つことができる。
実施の形態2.
本実施の形態2の空気調和装置及び電動機制御装置の構成は図1と同様であるため、前述した実施の形態1と同等の構成については同一の符号を付して説明は省略する。本実施の形態2の制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信すると、全スイッチング素子オフ処理と、スイッチ装置オフ処理と、推定処理と、起動処理と、をこの順で実行する。すなわち、制御部1は、実施の形態1におけるブレーキ処理の代わりに、推定処理を行うようになっている。
本実施の形態2において、制御部1は、フリーラン状態になっている第1電動機21の回転数f1と、第1電動機21の回転子の位置とを推定し、各推定値に基づいて起動処理を実行する。なお、回転子の位置は、回転子の位相に対応する。本実施の形態2において、制御部1の記憶部1aには、第1電動機21、第2電動機22、第1ファン31、及び第2ファン32の慣性等の特性を示す特性情報の他、後述する回転数低下情報などが記憶されている。
制御部1は、第1電動機21の回転数f1の推定、及び第1電動機21の回転子の磁極位置の推定を、初期回転数f0と、初期位置情報と、オフ後経過時間と、特性情報と、を用いて行う。初期回転数f0は、全スイッチング素子オフ処理に移行する直前の回転数fである。初期位置情報は、全スイッチング素子オフ処理に移行する直前の第1電動機21の回転子の磁極位置の情報である。つまり、初期位置情報は、複数のスイッチング素子4a〜4fを全てオフにする直前の設定電動機の回転子の磁極位置の情報である。オフ後経過時間は、複数のスイッチング素子4a〜4fを全てオフにしてからの経過時間であり、制御部1が計時するようになっている。特性情報は、第1電動機21及び第1ファン31の慣性等の特性を示す情報である。なお、全スイッチング素子オフ処理に移行する直前において、回転数fと回転数f1とは等しくなっている。
より具体的に、本実施の形態2では、予め、使用する電動機及びファンがある回転数で運転しているときに、6個のスイッチング素子4a〜4fをオフにすると、その後、時間の経過とともにフリーラン回転数がどのように変化するかを実験にて確認しておく。ここで、フリーラン回転数とは、フリーラン状態にある電動機の回転数であり、本実施の形態2では、各スイッチング素子4a〜4fをオフしてからの第1電動機21の回転数f1のことである。
すなわち、実機での試験などにより、回転数fごとに、フリーラン回転数の経時的な変化を示す情報を記録し、回転数低下情報として記憶部1aに記憶させておく。回転数低下情報は、オフ後経過時間とフリーラン回転数の推定値である推定回転数とを関連づけた情報であり、オフ後経過時間が増加すると、推定回転数が減少するように構成される。回転数低下情報としては、オフ後経過時間と推定回転数とを関連づけた低下情報テーブル、又はオフ後経過時間と推定回転数とを関連づけたグラフなどを採用することができる。
したがって、制御部1は、初期回転数f0とオフ後経過時間とを用いて、フリーラン状態になっている第1電動機21の回転数f1を推定することができる。つまり、制御部1は、オフ後経過時間を、初期回転数f0に対応する回転数低下情報に照らすことにより、推定回転数を求めることができる。
回転子の磁極位置は、回転子の回転角速度の時間積分により計算できる。すなわち、制御部1は、予め実験にて確認したオフ後経過時間とフリーラン回転数との関係を示す情報、オフ後経過時間、及び初期位置情報をもとに、フリーラン状態になっている第1電動機21の回転子の磁極位置を推定することができる。つまり、制御部1は、フリーラン状態になっている第1電動機21の回転子の磁極位置の推定値を、推定位置情報として求める。本実施の形態2において、制御部1は、オフ後経過時間とフリーラン回転数との関係を示す情報として、回転数低下情報から求めた推定回転数を用いる。
そして、制御部1は、起動処理として、直前の推定処理で推定した推定回転数及び推定位置情報を用いることにより、三相電圧指令値Vuvw_refを生成し、電力変換装置3に出力する。これにより、電力変換装置3は、第1電動機21に対し、回転子に同期した大きさ、周波数、及び位相の電圧を出力する。第1電動機21は、固定子と回転子とが同期した後、目標回転数に追従する。
すなわち、制御部1は、オフ後経過時間を回転数低下情報に照らして推定回転数を求める。また、制御部1は、求めた推定回転数と、初期位置情報と、オフ後経過時間とを用いて推定位置情報を求める。そして、制御部1は、求めた推定位置情報を用いて設定電動機の回転子と固定子の磁極位置を同期させ、設定電動機を再起動させる。
図7は、本発明の実施の形態2に係る電動機制御装置の制御部による一部の処理を示すフローチャートである。図8は、本発明の実施の形態2に係る電動機制御装置の制御部による一部の処理を示すタイムチャートである。図7及び図8を参照して、電動機の運転状態を2台同時運転から1台運転に切り替える場合の動作を説明する。図5及び図6と同様の処理については同一の符号を用いて説明は省略する。なお、上位制御装置46による動作は、図4の場合と同様である。
まず、図7を参照して、第1電動機21と第2電動機22との2台同時運転から第1電動機21のみの1台運転に切り替える際に制御部1が行う制御の手順を説明する。制御部1は、ステップS201〜S203までの処理を、図5の場合と同様に実行する。
次に、制御部1は、計時中のオフ後経過時間を、初期回転数f0に対応する回転数低下情報に照らすことにより、第1電動機21の推定回転数を求める(ステップS301)。そして、制御部1は、オフ後経過時間とフリーラン回転数との関係、オフ後経過時間、及び初期位置情報を用いて、第1電動機21の回転子の磁極位置の推定値である推定位置情報を求める(ステップS302)。
次いで、制御部1は、推定回転数及び推定位置情報を用いて、第1電動機21の固定子と回転子とが同期し、かつ第1電動機21の回転数f1を目標回転数に追従させるための三相電圧指令値Vuvw_refを生成する。そして、制御部1は、生成した三相電圧指令値Vuvw_refを電力変換装置3に出力する(ステップS303)。
続いて、図8では、2台同時運転を行っているときに、台数切替指令が送信されてから第1電動機21が起動処理を実行するまでの動作の流れを示している。図8のタイムチャートの基本的な構成は、図6のタイムチャートと同様である。期間T1は、図7のステップS202の全スイッチング素子オフ処理に対応し、期間T2は、図7のステップS203のスイッチ装置オフ処理に対応している。また、期間T5は、図7のステップS301及びS302の推定処理に対応し、期間T4は、図7のステップS303の起動処理に対応している。図8を参照して、推定処理を中心に、第1電動機21及び第2電動機22の動作と、スイッチ装置7の動作とを説明する。
期間T1において、6個のスイッチング素子4a〜4fをオフにすると、第1電動機21及び第2電動機22はフリーラン状態となり、それぞれの回転数が徐々に減少する。次に、期間T2でスイッチ装置7をオフにした後、期間T5において、推定回転数及び推定位置情報を求める。ここで、期間T1、期間T2、及び期間T5までの間、第1電動機21及び第2電動機22はフリーラン状態である。期間T4では、期間T5の推定処理で求めた推定回転数及び推定位置情報を用いて第1電動機21を再起動する。その後、第1電動機21は、目標回転数まで加速する。
本実施の形態2では、第1電動機21の回転数f1が減少している途中の期間T5及び期間T4において、推定処理及び起動処理を実施するため、第1電動機21の回転数f1が0[r/min]まで減少しない。一方、第2電動機22は、期間T2でスイッチ装置7をオフした後、電力変換装置3からは電気的に切り離されているので、フリーラン状態のまま、回転数f2は0[r/min]まで減少する。
(実施の形態2の作用効果)
以上のように、本実施の形態2の制御部1は、2台の電動機が運転している状態から設定電動機だけが運転する1台運転に切り替える際、運転している2台の電動機の回転数を現在の回転数よりも低下させてからスイッチ装置7をオフ状態にする。したがって、本実施の形態2の電動機制御装置10によっても、実施の形態1と同様、スイッチ装置7にかかるサージ電圧を低く抑えることができ、スイッチ装置7の破損及び寿命低下を抑制することができる。よって、信頼性の高い電動機制御装置10を提供することができる。加えて、熱交換器ユニット30の熱交換能力への影響を抑えながら、電動機の運転台数の切り替え処理を実施することができる。
また、本実施の形態2の電動機制御装置10は、第1電動機21の回転数f1が減少している途中で、回転数推定処理と起動処理を実施するため、フリーラン状態の第1ファン31の回転を停止させることなく、第1電動機21を再起動させることができる。そのため、熱交換器ユニット30の熱交換能力の低下をさらに緩和することができる。
さらに、電動機制御装置10は、ブレーキ処理を行わないため、ブレーキ処理に要する時間が不要となる。加えて、電動機制御装置10は、第1電動機21の回転数f1を0[r/min]までは低下させないため、0[r/min]から第1電動機21を加速させる動作が不要となる。そのため、電動機の運転台数の切り替え処理に要する時間を短縮することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3の空気調和装置及び電動機制御装置の構成は図1と同様であるため、上述した実施の形態1及び2と同等の構成については同一の符号を付して説明は省略する。本実施の形態3の制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信すると、減速処理と、電流ゼロクロス検出処理と、スイッチ装置オフ処理と、加速処理と、をこの順に実行する。すなわち、制御部1は、実施の形態1におけるブレーキ処理の代わりに、減速処理及び電流ゼロクロス検出処理を行うようになっている。
減速処理は、制御部1が、第1電動機21及び第2電動機22を運転可能な最低回転数まで減速させる処理である。すなわち、制御部1は、第1電動機21及び第2電動機22を運転可能な最低回転数で運転させるための三相電圧指令値Vuvw_refを、減速指令として電力変換装置3に出力する。
スイッチ装置7に流れる電流は、その値である電流値の正負が周期的に変化する交流電流である。つまり、電流ゼロクロス検出処理は、制御部1が、電流値が正から負、又は負から正に切り替わるタイミング、すなわちゼロクロスを検出する処理である。
ここで、シャント抵抗6u〜6wを用いて検出される各相の電流は、それぞれ、スイッチ装置7の各相に流れる電流と同位相である。つまり、シャント抵抗6u〜6wを用いて制御部1が検出した三相電流Iuvwのゼロクロスと、スイッチ装置7に流れる電流のゼロクロスとは一致する。したがって、本実施の形態3の制御部1は、電流ゼロクロス検出処理として、三相電流Iuvwのゼロクロスである電流ゼロクロスを検出する。
また、本実施の形態3において、制御部1は、スイッチ装置オフ処理として、電流ゼロクロスにてスイッチ装置7をオフできるように、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する。ここで、実際には、制御部1が電流ゼロクロスを検出してからスイッチ装置7がオフ状態になるまでにはタイムラグが生じる。電流ゼロクロスを検出した後、制御部1がスイッチ装置7にオフ信号を出力し、スイッチ装置7がオフ状態になる、という一連の動作が存在するからである。つまり、制御部1は、電流ゼロクロスを検出した時点で、即座にスイッチ装置7をオフ状態にすることはできない。
そのため、本実施の形態3では、より厳密に電流ゼロクロスにてスイッチ装置7をオフするため、制御部1は、電流ゼロクロスのタイミングに対して所定のオフセットをかけて、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力するようになっている。制御部1は、電流の周波数、及びスイッチ装置7がオフするまでの遅れ時間に基づいて、所定のオフセットを演算する。
ところで、図1に示す構成では、スイッチ装置7において、U2相とW2相との2相に接点部が接続されている。つまり、U2相に第1接点部7xが接続され、W2相に第2接点部7yが接続されている。また、U2相に流れる電流と、W2相に流れる電流との間には、240°の位相差があり、U2相の電流とW2相の電流との双方が同時にゼロクロスすることはない。しかしながら、制御部1がスイッチ装置7に送信する切替指示信号SWは、相ごとに分かれておらず、複数の相を同一の指令で一括して管理する構成となっている。そのため、U2相の電流とW2相の電流とがゼロクロスするタイミングで、第1接点部7xと第2接点部7yとのそれぞれに独立して、切替指示信号SWとしての接点オフ信号を送信することはできない。
ここで、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する契機を、U2相の電流がゼロクロスするタイミングに固定すると、W2相に接続された第2接点部7yにかかるストレスが大きくなる。逆の場合も同様である。つまり、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する契機を、一方の相の電流がゼロクロスするタイミングに固定すると、他方の相の接点部の負担が相対的に大きくなる。そのため、他方の相の接点部が、一方の相の接点部よりも早く寿命を迎えることとなる。
そこで、本実施の形態3では、制御部1が、接点オフ信号を出力する契機を、U2相の電流がゼロクロスするタイミングと、W2相の電流がゼロクロスするタイミングとで、交互に入れ替えるようになっている。すなわち、制御部1は、三相電流Iuvwのゼロクロスとして、電力変換装置3のU相に流れる電流のゼロクロスと、電力変換装置3のW相に流れる電流のゼロクロスとを交互に用いるようになっている。より具体的に、制御部1は、U2相に流れる電流がゼロクロスするタイミングでスイッチ装置7をオフにすると、次のスイッチ装置オフ処理の際は、W2相に流れる電流がゼロクロスするタイミングでスイッチ装置7をオフにする。
もっとも、ゼロクロスを検出する相は、スイッチ装置オフ処理の度に入れ替えるのではなく、例えば一定の回数ごとに入れ替えてもよい。つまり、制御部1は、接点オフ信号を出力する契機を、U2相の電流がゼロクロスするタイミングと、W2相の電流がゼロクロスするタイミングとで、定期的に入れ替えるとよい。このようにすれば、スイッチ装置7における第1接点部7xと第2接点部7yとの間で負担を分散することができる。
加速処理は、運転可能な最低回転数で運転している第1電動機21を目標回転数まで加速する処理である。つまり、制御部1は、加速処理として、第1電動機21の回転数f1を目標回転数に追従させる三相電圧指令値Vuvw_refを生成し、電力変換装置3に出力する。
図9は、本発明の実施の形態3に係る電動機制御装置の制御部による一部の処理を示すフローチャートである。図10は、本発明の実施の形態3に係る電動機制御装置の制御部による一部の処理を示すタイムチャートである。図9及び図10を参照して、電動機の運転状態を2台同時運転から1台運転に切り替える場合の動作を説明する。図5及び図6と同様の処理については同一の符号を用いて説明は省略する。なお、上位制御装置46による動作は、図4の場合と同様である。
まず、図9を参照して、第1電動機21と第2電動機22との2台同時運転から第1電動機21の1台運転に切り替える際に制御部1が行う制御の手順を説明する。
制御部1は、上位制御装置46から台数切替指令を受信すると(ステップS201/YES)、第1電動機21及び第2電動機22が運転可能な最低回転数で運転するよう、電力変換装置3に減速指令を出力する(ステップS401)。次いで、制御部1は、回転数fが最低回転数に低下するまで待機する(ステップS402/NO)。
制御部1は、回転数fが最低回転数まで低下すると(ステップS402/YES)、三相電流Iuvwにおける電流ゼロクロスを検出する(ステップS403)。そして、制御部1は、電流ゼロクロスのタイミングに対して所定のオフセットをかけて、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する(ステップS404)。そして、制御部1は、第1電動機21の回転数f1が目標回転数となるように三相電圧指令値Vuvw_refを生成し、電力変換装置3に出力する(ステップS405)。
続いて、図10では、2台同時運転を行っているときに、台数切替指令が送信されてから第1電動機21が起動処理を実行するまでの動作の流れを示している。図10のタイムチャートの基本的な構成は、図6及び図8のタイムチャートと同様である。期間T6は、図9のステップS401及びS402の減速処理に対応し、期間T7は、図9のステップS403の電流ゼロクロス検出処理に対応している。また、期間T2は、図9のステップS404のスイッチ装置オフ処理に対応し、期間T8は、図9のステップS405の加速処理に対応している。図10を参照して、第1電動機21及び第2電動機22の動作と、スイッチ装置7の動作とを説明する。
期間T6において、上位制御装置46から台数切替指令を受けた制御部1は、第1電動機21及び第2電動機22が運転可能な最低回転数で運転するように、電力変換装置3に三相電圧指令値Vuvw_refを出力する。そのため、第1電動機21及び第2電動機22は、制御定数として定められた減速スピードで最低回転数まで減速する。
第1電動機21及び第2電動機22が最低回転数まで減速した後、期間T7での電流ゼロクロス検出処理を経て、期間T2に移行し、スイッチ装置7はオフ状態へと遷移する。スイッチ装置7がオフ状態になると、第2電動機22は、電力変換装置3から電気的に切り離され、フリーラン状態となる。そのため、図10に示すように減速して、第2電動機22の回転数f2は、0[r/min]まで減少する。
一方、期間T2において、第1電動機21は、電力変換装置3と電気的に接続されたままであり、それまでの運転状態が継続される。つまり、第1電動機21は、最低回転数での運転を継続する。そして、期間T8に移行すると、第1電動機21は、目標回転数まで加速する。
(実施の形態3の作用効果)
以上のように、本実施の形態3の制御部1は、2台の電動機が運転している状態から設定電動機だけが運転する1台運転に切り替える際、運転している2台の電動機の回転数を現在の回転数よりも低下させてからスイッチ装置7をオフ状態にする。より具体的に、本実施の形態3の電動機制御装置10は、スイッチ装置7をオフ状態にする前に、減速処理により、第1電動機21及び第2電動機22の回転数fを最低回転数まで減速させる。つまり、電動機制御装置10は、スイッチ装置7に流れる電流を最小した上で、スイッチ装置7をオフ状態にするため、スイッチ装置7にかかるサージ電圧を低く抑えることができる。さらに、電動機制御装置10は、U2相又はW2相の電流がゼロクロスするタイミングでスイッチ装置7をオフ状態にする。そのため、スイッチ装置7にかかるサージ電圧をさらに抑制することができる。
加えて、スイッチ装置7をオフ状態にするタイミングは、U2相の電流ゼロクロスを採用した次の回はW2相の電流ゼロクロスを採用するという風に、ゼロクロスの判定に用いる相を交互に入れ替えるようになっている。つまり、制御部1は、スイッチ装置7をオフ状態にする条件に用いる電流の相を、スイッチ装置7をオフ状態にする度に切り替える。よって、一方の相に接続されたスイッチ装置7の接点部のみにストレスがかかり続けることを防止することができるため、スイッチ装置7の故障を抑制し、寿命を延ばすことができる。
すなわち、本実施の形態3の電動機制御装置10によっても、実施の形態1と同様、スイッチ装置7にかかるサージ電圧を低く抑えることができ、スイッチ装置7の破損及び寿命低下を抑制することができる。よって、信頼性の高い電動機制御装置10を提供することができる。また、熱交換器ユニット30の熱交換能力への影響を抑えながら、電動機の運転台数の切り替え処理を実施することができる。
そして、電動機制御装置10は、スイッチ装置7をオフ状態にする際、第1電動機21の駆動を停止させずに再起動させることから、第1ファン31の回転を停止させることがない。そのため、実施の形態2と同様、熱交換器ユニット30の熱交換能力の低下を緩和することができる。
また、実施の形態2と同様、ブレーキ処理に要する時間が不要であり、かつ第1電動機21の0[r/min]からの加速が不要であることから、電動機の運転台数の切り替え処理に要する時間を短縮することができる。また、フリーラン状態の第1電動機21における回転子の磁極と固定子の磁極とを同期させて再起動させる、という処理が不要となるため、制御内容を簡素化することができる。
実施の形態4.
本実施の形態4の空気調和装置及び電動機制御装置の構成は図1と同様であるため、上述した実施の形態1〜3と同等の構成については同一の符号を付して説明は省略する。本実施の形態4は、前述した実施の形態3における電流ゼロクロス検出処理の代わりに、制御部1が、電流ピーク検出処理を行う点に特徴がある。その他の制御構成は実施の形態3と同様である。
図11は、本発明の実施の形態4に係る空気調和装置の電動機に流れる三相交流電流の波形を示すグラフである。図11では、U2相の電流、V2相の電流、及びW2相の電流の経時的な変化を例示している。図11では、U2相の電流を実線で示し、V2相の電流を破線で示し、W2相の電流の一点鎖線で示している。
ここで、U2相の電流及びW2相の電流の大きさに偏りがなく、できる限り最小になるのは、図11に示す点Aである。そして、図11によると、点Aが位置する時刻において、V2相の電流が最大値又は最小値となっている。そこで、本実施の形態4では、上記のような各相の電流の関連性を利用して、V2相の電流のピークを検出することにより、図11の点Aで示すポイントを検出するという構成を採っている。
すなわち、本実施の形態4の制御部1は、電流ピーク検出処理として、接点部が設けられていないV2相の電流の正弦波の山又は谷、つまり電流ピークを検出するようになっている。そして、制御部1は、スイッチ装置オフ処理として、電流ピーク検出処理で検出したV2相の電流ピークでスイッチ装置7をオフできるように、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する。
ここで、実際には、制御部1がV2相の電流ピークを検出してからスイッチ装置7がオフ状態になるまでにはタイムラグが生じる。そのため、本実施の形態4では、より厳密にV2相の電流ピークにてスイッチ装置7をオフするために、制御部1は、V2相の電流ピークのタイミングに対して所定のオフセットをかけて、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力するようになっている。制御部1は、電流の周波数、及びスイッチ装置7がオフするまでの遅れ時間に基づいて、所定のオフセットを演算する。
図12は、本発明の実施の形態4に係る電動機制御装置の制御部による一部の処理を示すフローチャートである。図12を参照して、電動機の運転状態を2台同時運転から1台運転に切り替える場合の動作を説明する。図9と同様の処理については同一の符号を用いて説明は省略する。なお、実施の形態4におけるタイムチャートは、実施の形態3における図10と同様になるため省略する。また、上位制御装置46による動作は、図4の場合と同様である。
制御部1は、ステップS201、S401、及びS402の処理を図9の場合と同様に実行する。そして、制御部1は、回転数fが最低回転数まで減速すると(ステップS402/YES)、制御部1は、接点部が設けられていないV2相の電流ピークを検出する(ステップS501)。そして、制御部1は、V2相の電流ピークのタイミングに対して所定のオフセットをかけて、スイッチ装置7に接点オフ信号を出力する(ステップS502)。次いで、制御部1は、ステップS405の処理を図9の場合と同様に実行する。
(実施の形態4の作用効果)
本実施の形態4の電動機制御装置10は、スイッチ装置7をオフ状態にする前に、減速処理により、第1電動機21及び第2電動機22の回転数fを最低回転数まで減速させる。さらに、電動機制御装置10は、U2相の電流とW2相の電流の大きさに偏りがなく、できる限り最小になるタイミングでスイッチ装置7をオフ状態にする。そのため、スイッチ装置7にかかるサージ電圧を低く抑えることができる。
加えて、スイッチ装置7をオフ状態にするタイミングであるV2相の電流ピークでは、U2相の電流値とW2相の電流値とが、等しく且つ相対的に小さな値となる。したがって、U2相の第1接点部7x及びW2相の第2接点部7yにかかるストレスを小さくし、かつ第1接点部7xと第2接点部7yとの間で負担を分散することができる。よって、スイッチ装置7の故障を抑制し、寿命を延ばすことができる。その他の作用効果は、実施の形態3と同様である。
実施の形態5.
本実施の形態5の空気調和装置は、上述した実施の形態1〜4と比較して、電動機制御装置の構成の一部が異なる。また、上位制御装置による制御内容が図4のフローチャートとは異なる。ただし、空気調和装置の構成は図1と同様であるため、上述した実施の形態1〜4と同等の構成については同一の符号を付して説明は省略する。
図13は、本発明の実施の形態5に係る電動機制御装置の構成を例示した制御ブロック図である。本実施の形態5の電動機制御装置110は、図2の電動機制御装置10と比較すると、電流検出装置13が追加されている。電流検出装置13は、例えば電流センサであり、第1電動機21と電力変換装置3とを接続している三相電力線8に流れる電流を検出する。また、電動機制御装置110は、制御部1の代わりに、制御部101を有している。制御部101は、2台の電動機が運転している状態から設定電動機だけが運転する1台運転に切り替える際、運転している2台の電動機の回転数を現在の回転数よりも低下させてからスイッチ装置7をオフ状態にする。
ここで、第1電動機21と第2電動機22の並列運転においては、第1電動機21と第2電動機22との回転数差の影響で、乱調現象が発生する。乱調現象が発生すると、制御が不安定となって電流が発散し、電動機を制御することが困難になる。そこで、本実施の形態5では、乱調現象が発生したことを、第1電動機21に流れる電流Iuvw1と第2電動機22に流れる電流Iuvw2との差分である電流差分値Idが基準電流値X2以上になったことから判断する。そして、電流差分値Idが基準電流値X2以上になったときに、第1電動機21と第2電動機22の並列運転から、第1電動機21のみの単独運転に切り替える。
第1電動機21に流れる電流Iuvw1は、電流検出装置13によって検出される。ここで、図3に示したシャント抵抗6u〜6wによって検出される電流は、第1電動機21に流れる電流Iuvw1と第2電動機22に流れる電流Iuvw2との和になっている。よって、第2電動機22に流れる電流Iuvw2は、シャント抵抗6u〜6wによって検出される三相電流Iuvwから電流検出装置13によって検出される電流Iuvw1を引くことで求められる。
より具体的に、制御部101は、第1電動機21及び第2電動機22の回転数fを取得して、上位制御装置46に出力する。制御部101は、経時的に、電流検出装置13から第1電動機21に流れる電流Iuvw1を取得する。また、制御部101は、三相電流Iuvwから電流Iuvw1を減算することにより、第2電動機22に流れる電流Iuvw2を求める。そして、制御部101は、電流Iuvw1と電流Iuvw2との差分である電流差分値Idを求め、求めた電流差分値Idを上位制御装置46へ出力する。制御部101の他の構成は、実施の形態1〜4の制御部1と同様である。
上位制御装置46は、上記各実施の形態と同様、制御部101から受信した回転数fと基準回転数X1と比較し、回転数fが基準回転数X1以下である場合に、制御部1に対して台数切替指令を送信する。また、本実施の形態5の上位制御装置46は、制御部101から出力される電流差分値Idと基準電流値X2とを比較し、電流差分値Idが基準電流値X2以上である場合にも、制御部1に対して台数切替指令を送信する。
図14は、本発明の実施の形態5に係る空気調和装置の上位制御装置による処理を示すフローチャートである。図14を参照して、上位制御装置46が電動機の台数切り替えに関して行う制御の手順を説明する。図14では、図4と比較して、台数切替指令を送信する際の判定条件が異なっている。図4と同様の処理については同一の符号を用いて説明は省略する。
上位制御装置46は、制御部1から回転数fと電流差分値Idとを受信する(ステップS601)。次いで、上位制御装置46は、回転数fが基準回転数X1以下であるか否かを判定する。また、上位制御装置46は、電流差分値Idと基準電流値X2とを比較し、電流差分値Idが基準電流値X2以上であるか否かを判定する(ステップS602)。
上位制御装置46は、回転数fが基準回転数X1以下、又は電流差分値Idが基準電流値X2以上であるという判定条件を満たせば(ステップS602/YES)、制御部1に対し、台数切替指令を送信する(ステップS103)。一方、上位制御装置46は、上記の判定条件を満たさなければ(ステップS602/NO)、ステップS601の処理に戻る。
上記の動作説明では、回転数fと基準回転数X1との比較判定と、電流差分値Idと基準電流値X2との比較判定を同じタイミングで行う例を示したが、これに限らず、上位制御装置46は、各比較判定を異なるタイミングで行ってもよい。したがって、制御部1から回転数fを受信するタイミングと、制御部1から電流差分値Idを受信するタイミングとは、異なっていてもよい。
また、上記の説明では、制御部101が電流差分値Idを求めて上位制御装置46へ出力する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、制御部101は、電流Iuvw1及び電流Iuvw2、又は電流Iuvw1及び電流Iuvw1を上位制御装置46へ出力してもよい。この場合は、上位制御装置46が、電流差分値Idを求めた上で、基準電流値X2との比較を行うことになる。
(実施の形態5の作用効果)
本実施の形態5の電動機制御装置110によっても、実施の形態1〜4と同様、スイッチ装置7にかかるサージ電圧を低く抑えることができ、スイッチ装置7の破損及び寿命低下を抑制することができる。よって、電動機制御装置110の信頼性を高めることができる。また、熱交換器ユニット30の熱交換能力への影響を抑えながら、電動機の運転台数の切り替え処理を実施することができる。
さらに、本実施の形態5の電動機制御装置110には、電流Iuvw1と電流Iuvw2との差分である電流差分値Idが基準電流値X2以上のときにも、上位制御装置46から台数切替指令が送信される。よって、乱調現象によって電流が発散し、電動機の運転継続が困難になる前に、第1電動機21と第2電動機22の並列運転から第1電動機21のみの単独運転に切り替えることができる。そのため、第1電動機21及び第2電動機22の異常停止を回避し、第1ファン31の回転を継続させることができる。
ところで、乱調現象の発生を抑制する方法として、乱調を抑制する制御も存在するが、電動機の低回転領域では、乱調を抑制することが難しいことがあり、このような乱調を抑制する制御が有効に働かない場合がある。この点、本実施の形態5の手法によれば、電動機の低回転領域においても、電動機の異常停止を回避し、運転を継続させることができる。ここで、実施の形態5の構成は、実施の形態1〜4のそれぞれに適用することができる。
上述した実施の形態は、電動機制御装置における好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、図1及び図13では、スイッチ装置7が、電力変換装置3と第2電動機22との間にだけ設けられている場合を例示したが、これに限らず、スイッチ装置7は、三相電力線8と三相電力線9との分岐と第1電動機21との間に設けられてもよい。すなわち、スイッチ装置7は、少なくとも、電力変換装置3と1台を除く電動機との間に設けられる。スイッチ装置7が第1電動機21及び第2電動機22の双方に接続されている場合、制御部1及び101は、例えば第1電動機21の稼働時間と第2電動機22の稼働時間とが等しくなるように、1台運転させる電動機の設定を定期的に変更するとよい。つまり、制御部1及び101は、第1電動機21と第2電動機22との負荷バランスに基づいて、設定電動機を適宜変更するとよい。
また、図1、図2、及び図13では、電動機制御装置10又は110に2台の電動機が接続された構成を例示したが、これに限らず、電動機制御装置10又は110には、3台以上の電動機が接続されてもよい。この場合、制御部1及び101は、2台以上の電動機が運転している状態から、設定電動機だけが運転する1台運転に切り替える際、運転している2台以上の電動機の回転数を現在の回転数よりも低下させてからスイッチ装置をオフ状態にする。スイッチ装置7は、電力変換装置3と1台を除く電動機との間にそれぞれ設けられてもよいし、全ての電動機のそれぞれに対応づけて設けられてもよい。すなわち、スイッチ装置7は、少なくとも、電力変換装置3と1台を除く電動機との間にそれぞれ設けられてもよい。スイッチ装置7が全ての電動機のそれぞれに対応づけて設けられている場合、制御部1及び101は、例えば全ての電動機の稼働時間が均等になるよう、1台運転させる電動機の設定を定期的に変更するとよい。つまり、制御部1及び101は、全ての電動機の負荷バランスに基づいて、設定電動機を適宜変更するとよい。加えて、基準回転数X1は、2台以上の電動機が運転している場合の複数のファンによる吸込風量が、1台の電動機だけが運転している場合の吸込風量の最大値と等しくなるときの電動機の回転数に設定される。また、実施の形態3及び4の制御部1は、運転している2台以上の電動機のそれぞれの回転数を運転可能な最低回転数まで低下させた後、電動機に流れる三相電流のゼロクロスを検出したときに、スイッチ装置7にオフ信号を出力してスイッチ装置7をオフ状態にする。
さらに、上記各実施の形態では、室外機40に電動機制御装置10又は110が設けられた例を示したが、これに限定されない。例えば、室内機50に負荷側ファン52及びファンモータ52aが複数台ずつ設けられている場合は、負荷側電動機制御装置54に、電動機制御装置10又は110と同様の機能をもたせてもよい。加えて、上記各実施の形態では、電動機として、ファンを駆動するモータを例示したが、これに限らず、各実施の形態における電動機は、圧縮機を駆動する圧縮機モータなどであってもよい。
また、上記各実施の形態では、回転数fが基準回転数X1以下であるか否かの判定を上位制御装置46が行う場合を例示したが、これに限らず、回転数fが基準回転数X1以下であるか否かの判定は、制御部1及び101が行ってもよい。この場合、基準回転数X1は記憶部1aに記憶させるとよい。そして、制御部1及び101は、2台以上の電動機の回転数fが基準回転数X1以下になったとき、設定電動機の1台運転に切り替えるとよい。
加えて、上記実施の形態5では、電流差分値Idが基準電流値X2以上であるか否かの判定を上位制御装置46が行う場合を例示したが、これに限らず、電流差分値Idが基準電流値X2以上であるか否かの判定は、制御部101が行ってもよい。この場合、基準電流値X2は記憶部1aに記憶させるとよい。そして、制御部1は、電流差分値Idが基準電流値X2以上になったときに、設定電動機の1台運転に切り替えるとよい。
ところで、回転数fが基準回転数X1以下となった瞬間に設定電動機の1台運転に切り替えると、複数台同時運転と1台運転との切り替え回数が増え、制御が煩雑になる可能性がある。そのため、上位制御装置46又は制御部1及び101は、回転数fが基準回転数X1以下である状態が一定時間継続したときに、設定電動機の1台運転に切り替えるよう制御してもよい。同様に、上位制御装置46又は制御部101は、電流差分値Idが基準電流値X2以上である状態が一定時間継続したときに、設定電動機の1台運転に切り替えるよう制御してもよい。
また、図2及び図13では、スイッチ装置7の接点部が、電力変換装置3のU相とW相とに接続された場合を例示したが、これに限らず、スイッチ装置7の接点部は、電力変換装置3の三相のうちの何れか2つの相に接続されていればよい。つまり、実施の形態3の制御部1は、三相電流Iuvwのゼロクロスとして、電力変換装置3の三相のうちの1つの相に流れる電流のゼロクロスと、電力変換装置3の三相のうちの他の1つの相に流れる電流のゼロクロスとを定期的に入れ替えて用いる。さらに、実施の形態4の制御部1は、電力変換装置3の三相のうちの各接点部が接続されていない残りの1つの相に流れる電流のピークを検出したときに、スイッチ装置7にオフ信号を出力する。
加えて、空気調和装置100の構成は、冷媒配管によって室外機と室内機とが接続された図1のような構成に限らず、空気調和装置100は、チラーなどの室外機と室内機とを組み合わせたものであってよい。さらに、各実施の形態のうちの一部を除いても、上記各効果を得ることができる場合がある。また、各実施の形態のそれぞれの構成の一部を他の実施の形態に組み込んで電動機制御装置を構成してもよい。
本発明に係る電動機制御装置は、電力を変換して互いに並列に接続された複数台の電動機に三相電圧を供給する電力変換装置と、少なくとも、電力変換装置と1台を除く前記電動機との間をオンオフ動作によって電気的に接続し又は切断するスイッチ装置と、前記電力変換装置及び前記スイッチ装置の動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、2台以上の前記電動機が運転している状態から、設定された1台の前記電動機である設定電動機だけが運転する1台運転に切り替える際、運転している2台以上の前記電動機の回転数を低下させてから前記スイッチ装置をオフ状態にするものであって、前記電力変換装置は、前記三相電圧を生成する複数のスイッチング素子を有し、前記制御部は、複数の前記スイッチング素子を全てオフにすることで、前記電力変換装置から前記スイッチ装置に流れる電流を遮断すると共に、運転している2台以上の前記電動機の回転数を低下させるものであり、前記スイッチ装置をオフした後、前記設定電動機にブレーキをかけて回転数を低下させるブレーキ処理を実施するものであって、複数の前記スイッチング素子を全てオフにする直前の前記電動機の回転数である初期回転数に応じて定まるブレーキ処理時間が経過したときに、前記設定電動機を再起動させるものである。