<実施形態1>
1.ワーク処理装置の説明
図1はワーク処理装置の平面図、図2はワーク処理装置の正面図、図3はワーク処理装置の側面図である。ワーク処理装置1は、立体形状をしたワーク200、400に対して、所定処理を行う装置である。立体形状をしたワーク200、400としては、例えば、ヘッドランプや補聴器などを例示することが出来る。所定処理は、ワーク200、400に対して半田ペーストを塗布する塗布処理や、電子部品5を搭載する実装処理である。
尚、以下の説明において、図1の左右方向(ワーク200、400の搬送方向)をX方向、図1の上下方向(ワーク200、400の搬送方向に対して直交する方向)をY方向とする。また、図2、3の上下方向(鉛直方向)をZ方向とする。
また、本明細書において、ワーク200、400は、「塗布処理や実装処理などの所定処理が行われる対象物」を指す。
ワーク処理装置1は、基台10と、ロボット20と、ヘッドユニット70と、ヘッドユニット70を基台10上において平面方向(XY方向)に移動させる移動装置80と、ベース100Aを含む。ロボット20は、本発明の「調整ユニット」の一例である。
ベース100Aは、図4に示すように、ワーク200を固定するための固定部材であり、本例では、円盤形状をしている。図5は、ベース100Aを下方から見た図であり、ベース100Aの下面には、後述する保持部50に取り付けられたツメ部55の相手となるリング部材120が取り付けられている。
ロボット20は、ベース100Aを保持する保持部50を有している(図6参照)。ロボット20は、ヘッドユニット70による各処理(塗布処理、実装処理)が出来るように、ベース100Aを介して保持部50に保持されたワーク200の処理面の向き、Z方向の位置(高さ)の調整を行う。尚、処理面とは、塗布処理や実装処理を行う面である。
図1に示すように、ロボット20は基台10上に配置されている。ロボット20は、図6に示すように、ロボット本体30と、ロボット本体30に取り付けられた保持部50とを含む。
ロボット本体30は、図6〜図8に示すように、支柱31と、支柱31に沿ってZ方向にスライドするスライド部33と、モータM1を有している。支柱31には、Z方向に沿って、ボールねじ軸Lzが取り付けられている。ボールねじ軸Lzは、スライド部33に取り付けられたナットと共に、ボールねじ機構を構成している。モータM1は、ボールねじ機構の動力源であり、ベルト35を介してボールねじ軸Lzに連結されている。そのため、モータM1を駆動してボールねじ軸Lzを回転させると、ボールねじ機構の作用により、スライド部33が支柱31に沿ってZ方向にスライドすることが出来る。
また、ロボット本体30は、第1回転軸Ls1と、第1回転軸Ls1の先端に取り付けられた回転板41と、モータM2を有している。第1回転軸Ls1は、軸線が水平方向に沿った水平軸であり、スライド部33に固定されたプレート40に対して、軸受け37を介して回転可能に支持されている。モータM2のモータ軸は、ベルト38を介して第1回転軸Ls1に連結されている。そのため、モータM2を駆動させると、第1回転軸Ls1が回転し、回転板41が第1回転軸Ls1を中心に、S1方向に回転する。S1方向への回転を、チルトと呼ぶ。
また、ロボット本体30は、第2回転軸Ls2と、第2回転軸Ls2の先端に取り付けられた保持部50と、モータM3を有している。第2回転軸Ls2は、チルト角がゼロ度の状態で、鉛直な鉛直軸(Z方向の直線軸)であり、回転板41に対して軸受け43を介して回転可能に支持されている。モータM3のモータ軸はベルト45を介して第2回転軸Ls2に連結されている。そのため、モータM3を駆動させると、第2回転軸Ls2が回転し、保持部50が第2回転軸Ls2を中心にS2方向に回転する。
上記のように、ロボット本体30は3つの駆動軸Lz、Ls1、Ls2を備えており、Z方向(上下方向)への移動と、S1方向及びS2方向への回転の3つの自由度を有している。そして、各モータM1〜3を駆動させることで、保持部50に対して、以下(1)〜(3)の動きを独立又は複合的に行わせることが出来る。尚、自由度とは、ロボット1の運動の融通性を表す尺度であり、独立して行うことが出来る運動の数を意味する。一般に、駆動軸の数が、自由度の数となる。
(1)Z方向への直線移動
(2)S1方向への回転(チルト)
(3)S2方向への回転
保持部50は、図7に示すように、筒状をした本体部51と、本体部51の上面に配置された3つのツメ部55から構成されている。3つのツメ部55は、周方向に等間隔で配置されており、本体部51に対して径方向(中心に向かう方向、中心から離れる方向)に移動自在である。保持部50は、空圧式のシリンダ装置であり、空圧により3つのツメ部55を移動させることが出来る。
3つのツメ部55を、径方向の外側(本体部51の中心から離れる方向)に移動させて、ベース100Aの下面に取り付けられたリング部材120の内面3か所にツメ部55をそれぞれ押し当てることで、ベース100Aを保持することが出来る。また、3つのツメ部55を、径方向の内側(本体部51の中心に向かう方向)に移動させることで、保持を解くことが出来る。
ロボット20は、ワーク200、400に対して塗布処理や実装処理等の作業を行う前に、モータM2やモータM3を駆動して、ワーク200、400の処理面が、移載ヘッド73〜75や塗布ヘッド77と対向するように上方に向けつつ水平になるように、ベース100Aに固定されたワーク200、400の向きを調整する。具体的には、Ls1軸を中心とするS1方向の角度、Ls2軸を中心とするS2方向の角度を調整する。
また、モータM1を駆動して、ワーク200、400の処理面がZ方向(上下方向)で所定高さとなるように、ベース100Aを介して保持部50に固定されたワーク200、400のZ方向の位置を調整する。
ワーク処理装置1は、ヘッドユニット70と、ヘッドユニット70を基台10上において平面方向(XY方向)に移動させる移動装置80と、を含む。
ヘッドユニット70は、図2に示すように、ユニット本体71と、3本の移載ヘッド73〜75と、塗布ヘッド77とを備えている。移載ヘッド73〜75は、先端に負圧を生じさせることで、電子部品5を保持することが出来る。塗布ヘッド77は、先端に吐出孔を有しており、半田ペーストや、接着剤等を吐出する。
移載ヘッド73〜75と、塗布ヘッド77は、ユニット本体71に対してX方向に並んで取り付けられている。移載ヘッド73〜75及び塗布ヘッド77は、モータM6を駆動させることで、ユニット本体71に対して、Z方向に移動することが出来る。また、ヘッドユニット70には、基板認識カメラ79Aや変位センサ79Bが搭載されている。尚、移載ヘッド73〜75は、本発明の「処理ヘッド」の一例である。また、塗布ヘッド77は、本発明の「処理ヘッド」の一例である。
移動装置80は、ヘッドユニット70を基台10上にて、X方向及びY方向に移動させる装置である。移動装置80は、Y方向に沿った一対のYビーム81と、Xビーム85と、第1直線軸83、第2直線軸87、モータM4、モータM5を備えている。
Xビーム85は、X方向に長い形状であり、Yビーム81に対して、X方向の両端をスライド可能に支持されている。第1直線軸83は、Yビーム81に取り付けられ、Y方向に沿っている。第1直線軸83は、例えば、ボールねじ軸である。第1直線軸83は、Xビーム85に取り付けられたボールナットと共にボールねじ機構を構成している。そのため、モータM4を駆動して、第1直線軸83を回転させると、ボールねじ機構の作用により、Yビーム81に対して、Xビーム85及びヘッドユニット70をY方向に移動させることが出来る。
ヘッドユニット70は、Xビーム85に対して、スライド可能に取り付けられている。第2直線軸87は、Xビーム85に取り付けられ、X方向に沿っている。第2直線軸87は、例えば、ボールねじである。第2直線軸87は、ヘッドユニット70に取り付けられたボールナットと共にボールねじ機構を構成している。そのため、モータM5を駆動して、第2直線軸87を回転させると、ボールねじ機構の作用により、Xビーム81に対して、ヘッドユニット70をX方向に移動させることが出来る。
このように移動装置80は、駆動源としてモータM4、モータM5を備えており、モータM4の駆動により、ヘッドユニット70及びXビーム85を基台10上においてY方向に移動することが出来、モータM5の駆動により、ヘッドユニット70を基台10上においてX方向に移動することが出来る。
尚、基台10上には、部品認識カメラ90が設置されおり、移載ヘッド73〜75により保持された電子部品5を画像認識できるようになっている。
2.ロボット20に対するワーク200の移載と、ワーク200に対する塗布処理及び実装処理
ヘッドユニット70に搭載した2本の移載ヘッド73、75は、電子部品5の移載用として使用されるだけでなく、ワーク200の移載も行う。ワーク200はベース100Aに固定された状態で、図外の搬送装置により、基台10上に設置された搬送位置15に搬入される(図1参照)。
ヘッドユニット70は、搬送位置15の上方に移動した後、2本の移載ヘッド73、75を所定高さまで下降させつつ、ベース100Aの両端を吸着し、その後、2本の移載ヘッド73、75を上昇させることで、ワーク200を固定したベース100Aを、搬送位置15から取り出すことが出来る(図9参照)。
その後、ヘッドユニット70を基台10上にて移動して、ワーク200を固定したベース100Aをロボット20の上方に移動させた後、2本の移載ヘッド73、75をZ方向に移動して、ワーク200を固定したベース100Aを所定高さまで下降させる。
ベース100Aが所定高さまで下降したら、負圧によるベース100Aの保持を解き、その後、保持部50にエアを供給してツメ部55を外向きに移動させることで、ワーク200を固定したベース100Aを保持部50に保持することが出来る。
また、保持状態において、ベース100Aの中心O1は、ロボット20側の保持部50の中心と一致しており、ロボット20のLs2軸が、ベース100Aの中心O1を通る関係となっている。
ロボット20は、ベース100Aの保持後、モータM2やモータM3を駆動して、ワーク200の処理面が水平になるように、ワーク200の向きを調整する。また、モータM1を駆動して、ワーク200の処理面がZ方向(上下方向)で所定高さとなるように、ベース100Aの上下方向の位置を調整する。
ヘッドユニット70は、ワーク200の向きや高さの調整終了後、ワーク200の処理面に向けて、塗布ヘッド77を下降させつつ、ヘッド先端から半田ペーストを吐出する。これにより、ワーク200の処理面(例えば、上面)に対して、半田ペーストを塗布することが出来る。
また、ヘッドユニット70は、塗布処理の終了後、移載ヘッド73〜75を用いて、ワーク200の処理面(例えば、上面)に対して、電子部品5の実装処理を行う。すなわち、ヘッドユニット70は、基台10上に設置された部品供給部11の上方に移動して、移載ヘッド73〜75を用いて部品供給部11から電子部品5を取り出す。
次に、ヘッドユニット70は、ワーク200の上方に移動し、その後、移載ヘッド73〜75を所定高さまで下降させつつ、電子部品5がワーク200の高さに至るタイミングに合わせて負圧による電子部品5の保持を解く。これにより、ワーク200の処理面に、電子部品5を搭載することができる(実装処理)。
塗布処理、実装処理の終了後、ロボット20は、保持部50によるベース100Aの保持を解除する。その後、作業を終えたワーク200はベース100Aと共に、ヘッドユニット70の2本の移載ヘッド73、75により、搬送位置15に戻され、図外の搬送装置により搬出される。
3.ワークのオフセット配置
立体形状をしたワーク400は、図41の(A)、(B)に示すように、塗布処理や実装処理を、上面405だけでなく、側面410に対して行う場合がある。
塗布処理や実装処理を側面410に行う場合、図41の(B)に示すように、ベース100Aが縦向きになることから、塗布ヘッド77に設けられた接続部78が、ベース100Aと干渉する懸念がある。接続部78は、チューブ78Aを塗布ヘッド77に接続するための附属部品であり、塗布ヘッド78の外周面に設けられている。チューブ78Aは、半田ペーストや接着剤等の塗布液を塗布ヘッド77に供給するために設けられている。また、干渉は、塗布ヘッド77だけでなく、移載ヘッド73〜75の外周面に附属部品が設けられている場合にも、懸念される。
本構成では、塗布処理や実装処理をワーク400の側面に行う場合、図12、図13に示すように、配置ステップS1、調整ステップS2、処理ステップS3を行う。
配置ステップS1は、図13の(A)に示すように、水平方向を向いたベース100A上にワーク400を配置するステップである。ワーク400の配置は、例えば、2本の移載ヘッド73、74により行うことが出来る。
調整ステップS2は、塗布処理や実装処理を行う側面410が、塗布ヘッド77や移載ヘッド73〜75と対向するように、ワーク400の向きを、ロボット20により調整するステップである。塗布ヘッド77、移載ヘッド73〜75は、ワーク400を保持したロボット20から見て上方に位置するから、調整ステップS2では、図13の(B)に示すように、側面410が上方を向くように、ワーク400の向きが調整される。尚、第1側面410が上方、かつ水平な向きになるように、ワーク400の向きを調整することが好ましい。
処理ステップS3は、図13の(C)に示すように、ワーク400の側面410に対して、塗布ヘッド77や移載ヘッド73〜75で、塗布処理や実装処理を行うステップである。
そして、配置ステップS1では、ベース100Aの端部103から第1側面410までの距離が最も近くなるように、処理対象の第1側面410を、ベース100Aの外側(図13の(A)ではF矢印で示す方向)に向けつつ、ベース100Aの中心O1から外方にオフセットした位置に、ワーク400を配置する。図13の(A)、(D)にて、ワーク400のオフセット量(ベース100Aの中心O1からワーク400の中心O2まで距離)を、寸法Dで示している。「オフセット」とは離れていることを意味する。
ワーク400をベース100Aの中心O1からオフセットした位置に配置することで、向きを調整して第1側面410を上に向けた状態では、ワーク400は、ベース100Aの中心O1よりも上側にあって、第1側面410は、ベース100Aの上端部103に近い位置になる。
そのため、ヘッド先端を第1側面410の高さまで下降させた時に、塗布ヘッド77の附属部品(接続部78)が、ベース100Aの上端部103に干渉することを抑制できる。尚、この例では、塗布ヘッド77の接続部78が干渉する例を説明しているが、移載ヘッド73〜75の附属部品が干渉する場合も同様である。
以下、図11に示すワーク400について、塗布処理と実装処理を、4つの側面410〜440に行う方法について説明する。
ワーク400は、図11に示すように、水平方向を向いたベース100Aに対して配置する時の向きを基準としており、配置時に上側に位置する面405が上面、下側に位置する面が下面である。また410〜440が側面である。
ワーク400は、図11に示すように、中間プレート300に固定されている。ワーク400は、四角柱形状であり、上面405、第1側面410、第2側面420、第3側面430、第4側面440を有している。
中間プレート300は、ベース100Aよりも小さい金属製の円盤型である。中間プレート300は、ワーク400をベース100Aに固定するための部品である。
図11、図14に示すように、ベース100Aは、中間プレート400に対する固定部150を有している。固定部150は、ベース100A上にあって、ベース100Aの中心O1から外方にオフセットした位置に配置されている。
固定部150は、例えば、電磁マグネットであり、電流の入り切りにより、中間プレート300を磁力により固定又は固定解除することが出来る。固定部150の周囲には、中間プレート300を回転止めするための位置決め孔155が設けられている。中間プレート300の下面に設けられた突起(図略)を、位置決め孔155に嵌合させることで、固定部150に対して、中間プレート300を回転止めした状態で位置決めすることが出来る。
ベース100Aは、ロボット20の保持部50に対して取り付けられており、チルト角(S1方向への回転角)がゼロで水平である。ワーク400の配置作業は、ベース100Aを水平な向きに調整した状態で行われる。ベース100Aは、モータM3の駆動により、保持部50と共に回転する。具体的には、保持部50の第2回転軸Ls2を中心として回転することが出来る。
図14に示すように、ベース100Aの回転方向は、V方向(右回り)であり、搬送位置15の正面にあたる中心O1の真下を基準点0°として、V方向に、90°、180°、270°とする。固定部150は、初期位置(V方向の回転がゼロの位置)において、図15の(A)に示すように、基準点0°の位置にある。
図10に示すように、ワーク400は、中間プレート300に固定された状態で、搬送位置15に搬入される。
搬入後、ワーク400を、搬送位置15から、ロボット20に取り付けられたベース100A上において中心O1から外方にオフセットした位置に配置する(配置ステップ)。具体的には、図15の(B)で示すように、「0°」の位置に配置する。配置したワーク400は、固定部150を介して、ベース100Aに固定される。
「0°」の位置において、ワーク400の向きは、図15の(B)に示すように、第1側面410がベース100Aの外側(中心O1からワーク400の固定位置である0°の位置へ向かう方向であり、F1矢印の方向)を向いている。第1側面410は、中心O1から最も離れた位置にあり、ベース100Aの外周102の近傍に位置する関係となる。尚、図15にて「×」の表示は、固定部150の位置を示す。
尚、ワーク400の配置は、ヘッドユニット70により、行うことが出来る。図16に示すように、中間プレート300の両端を、2本の移載ヘッド73、74により吸着保持して、ヘッドユニット70を移動するとで、ワーク400を、搬送位置15からベース100A上に配置することが出来る。
次に、ワーク400の第1側面410が、塗布ヘッド77や移載ヘッド73〜75と対向するように、ワーク400の向きを調整する(調整ステップ)。詳細には、ロボット20側で、保持部50の向きを調整(Ls1軸を中心とするS1方向の角度、Ls2軸を中心とするS2方向の角度を調整)して、作業対象であるワーク400の第1側面410を上方に向ける。このとき、第1側面410が水平であるとよい。
その後、ワーク400の第1側面410に対して、塗布処理と実装処理を行う(処理ステップ)。具体的には、塗布ヘッド77を第1側面410の高さまで下降し、第1側面410に半田ペーストや接着剤などの塗布する処理を行う。また、移載ヘッド73〜75を第1側面410の高さまで下降し、第1側面410に電子部品5を実装する実装処理を行う。
第1側面410の作業終了後、保持部50の向きの調整が行われ、ベース100Aは水平な向きに戻される。調整ステップでV方向にベース100Aを回転させた場合、ベース100Aは回転前の状態(配置ステップ後の状態)に戻され、固定部150及びワーク400は「0°」に位置する。
以下、ワーク400の第2側面420に対する作業手順を説明する。
まず、既に塗布処理を行った第1側面410の向きを保ちつつ、ワーク400を、ベース100Aの中心O1に対して回転方向(V方向)に位置を移動する。具体的には、ベース100A上の「0°」の位置から「90°」の位置へ移動する(移動ステップ)。
ワーク400の移動方法は、以下の通りである。まず、中間プレート300の両端を2本の移載ヘッド73、74を用いて吸着保持する。そして、中間プレート300を上方に持ち上げて、ワーク400をベース100Aから離間させる。
中間プレート300を持ち上げたら、その後、モータM2を駆動して、ベース100Aを図14に示すV方向に90°回転させる。これにより、固定部150が「0°」の位置から「90°」の位置に移る。
固定部150が「90°」の位置に移ったら、その後、第1側面410の向きを変えないように、ワーク400の向きを保ちつつ、2本の移載ヘッド73、74で保持している中間プレート300を、ベース100A上の90°の位置、すなわち固定部150上に移載する。第1側面410の向きを変えないように、ワーク400の向きを保つとは、ワーク400が非回転(ワーク中心O2で非回転)で、第1側面410が一定方向(0°の方向)を向いた状態に保たれる、という意味である。
以上により、図15の(C)で示すように、ワーク400を、ベース100Aの「0°」の位置から「90°」の位置に移動できる。そして、ワーク400は、既に塗布処理と実装処理を行った第1側面410の向きを保った状態で、「0°」の位置から「90°」の位置に移される。すなわち、図15の(B)、(C)に示すように、0°から90°の位置に移載しても、第1側面410の向きは常に下方を向いており、ワーク400の向きが変わらない。「90°」の位置に移動後のワーク400の向きは、図15の(C)に示すように、次に作業を行う第2側面420がベース100Aの外側(中心O1からワーク400の固定位置である90°の位置へ向かう方向であり、F2矢印の方向)を向いている。第2側面420は、中心O1から最も離れた位置にあり、ベース100Aの外周102の近傍に位置する。
次に、ワーク400の第2側面420が、塗布ヘッド77や移載ヘッド73〜75と対向して上方を向くように、ワーク400の向きを調整する(調整ステップ)。このとき、第2側面420が上方、かつ水平な向きになるように、ワーク400の向きを調整することが好ましい。
その後、ワーク400の第2側面420に対して、塗布処理と実装処理を行う(処理ステップ)。
第2側面420の作業終了後、保持部50の向きの調整が行われ、ベース100Aは水平な向きに戻される。調整ステップで、V方向にベース100Aを回転させた場合、ベース100Aは、回転前の状態(移動ステップ後の状態)に戻され、固定部150及びワーク400は「90°」に位置する。
以下、ワーク400の第3側面430に対する作業手順を説明する。
まず、ワーク400を「0°」から「90°」の位置に移動した時と同じ方法で、図15の(D)に示すように、既に塗布処理と実装処理を行った第1側面410、第2側面420の向きを変えないように、ワーク400の向きを保ちつつ、ワーク400を、ベース100Aの中心O1に対して回転方向(V方向)に位置を移動する。具体的には、ベース100A上の「90°」の位置から「180°」の位置へ移動する(移動ステップ)。
ワーク400は、既に塗布処理と実装処理を行った第1側面410、第2側面420の向きを保った状態で、「90°」の位置から「180°」の位置に移される。「180°」の位置に移動後のワーク400の向きは、図15の(D)に示すように、次に作業を行う第3側面430がベース100Aの外側(中心O1からワーク400の固定位置である180°の位置へ向かう方向であり、F3矢印の方向)を向いている。第3側面430は、中心O1から最も離れた位置にあり、ベース100Aの外周102の近傍に位置する。
次に、ワーク400の第3側面430が、塗布ヘッド77や移載ヘッド73〜75と対向して上方を向くように、ワーク400の向きを調整する(調整ステップ)。このとき、第3側面430が上方、かつ水平な向きになるように、ワーク400の向きを調整することが好ましい。
その後、ワーク400の第3側面430に対して、塗布ヘッド77と移載ヘッド73〜75を用いて、塗布処理と実装処理を行う(処理ステップ)。
第3側面430の作業終了後、保持部50の向きの調整が行われ、ベース100Aは水平な向きに戻される。調整ステップで、V方向にベース100Aを回転させた場合、ベース100Aは、回転前の状態(移動ステップ後の状態)に戻され、固定部150及びワーク400は「180°」に位置する。
以下、ワーク400の第4側面440に対する作業手順を説明する。
まず、ワーク400を「0°」から「90°」の位置に移動した時と同じ方法で、図15の(E)に示すように、既に塗布処理と実装処理を行った第1側面410、第2側面420、第3側面430の向きを変えないように、ワーク400の向きを保ちつつ、ワーク400を、ベース100Aの中心O1に対して回転方向(V方向)に位置を移動する。具体的には、ベース上の「180°」の位置から「270°」の位置へ移動する(移動ステップ)。ワーク400は、既に塗布処理と実装処理を行った第1側面410〜第3側面430の向きを保った状態で、「180°」の位置から「270°」の位置に移される。「270°」の位置に移動後のワーク400の向きは、図15の(E)に示すように、次に作業を行う第4側面440がベース100Aの外側(中心O1からワーク400の固定位置である270°の位置へ向かう方向であり、F4矢印の方向)を向いている。第4側面440は、中心O1から最も離れた位置にあり、ベース100Aの外周102の近傍に位置する。
次に、ワーク400の第4側面440が、塗布ヘッド77や移載ヘッド73〜75と対向して上方を向くように、ワーク400の向きを調整する(調整ステップ)。このとき、第4側面440が上方、かつ水平な向きになるように、ワーク400の向きを調整することが好ましい。
その後、ワーク400の第4側面440に対して、塗布ヘッド77と移載ヘッド73〜75を用いて、塗布処理と実装処理を行う(処理ステップ)。
第4側面440の作業終了後、保持部50の向きの調整が行われ、ベース100Aは水平な向きに戻される。調整ステップで、V方向にベース100Aを回転させた場合、ベース100Aは、回転前の状態(移動ステップ後の状態)に戻され、固定部150及びワーク400は「270°」に位置する。
その後、ワーク400をベース100A上の「270°」の位置から搬送位置15に移載することで、全4面410〜440について作業を終えたワーク400を、搬出位置15より排出できる。
以上説明したように、ワーク400の第1側面410に対する作業工程は、配置ステップ、調整ステップ及び処理ステップから構成されている。また、第2側面420〜第4側面440に対する作業工程は、移動ステップ、調整ステップ及び処理ステップから構成されており(図17参照)、これらの3ステップを繰り返すことで、第2側面420〜第4側面440に対して塗布処理、実装処理を行うことが出来る。
3.効果説明
本構成では、ベース100Aの中心O1からオフセットした位置に、ワーク400を配置する。そのため、図13に示すように、ヘッド先端をワーク400の側面410の高さまで下降させた時に、チューブ78Aの接続部78など、塗布ヘッド77に設けられた附属部品が、ベース100Aの上端に干渉することを避けることが出来る。
<実施形態2>
実施形態1では、ベース100Aに、1つのワーク400を配置して、塗布処理と実装処理を行った例を示した。実施形態2では、ベース100B上に、最大4つのワーク400A〜400Dを配置して、塗布処理と実装処理を行う。
実施形態2では、実施形態1と同様に、中間プレート300を用いて、ワーク400をベース100B上に移載する。ベース100Bは、図18、図19に示すように、4つのワーク400A〜400Dを移載できるように、4つの位置P1〜P4に対応して、4つの固定部150を有している。
4つの位置P1〜P4は、ベース100Bの中心O1から等距離、オフセットしている。4つの位置P1〜位置P4は90°間隔である。図20に示すように、第1位置P1が回転方向の基準位置0°にある時、第2位置P2は回転方向で90°の位置、第3位置P3は回転方向で180°の位置、第4位置P4は回転方向で270°の位置にある。作業開始前の状態において、ベース100Bは、図20に示す、初期位置(第1位置P1が0°となる位置)にあるものとする。
図21、図22を参照して、ワーク400A〜400Dの作業工程について説明する。S10では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、1番目のワーク400Aを、第1側面410を0°に向けた状態で、搬送位置15からベース100B上の第1位置P1に配置する(配置ステップ)。
S11では、第1位置P1に配置された1番目のワーク400Aの上面405に対して塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。
S12では、作業対象の第1側面410が上方を向くように、ワーク400Aの向きが調整される。その後、第1側面410に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる(調整ステップ、処理ステップ)。
S13では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、1番目のワーク400Aを、処理を行った側面410の向きを保ちつつ、ベース100Bの第1位置P1から第2位置P2に移動する(移動ステップ)。
また、2番目のワーク400Bを、第1側面410を0°に向けた状態で、搬送位置15からベース100B上の第1位置P1に配置する(配置ステップ)。このように、S13では、ワーク400Aを回転方向で第1位置P1から次の第2位置P2に移動した後、ワーク400Aの移動前の第1位置P1に次のワーク400Bを配置しており、ベース100B上に2つのワーク400A、400Bを同時に配置している。
S14では、第1位置P1に配置された2番目のワーク400Bの上面405に対して塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。
S15では、ベース100B上に位置する各ワーク400A〜400Bの各側面420、410に対する作業が行われる。具体的には、作業対象の第2側面420が上方を向くように、1番目のワーク400Aの向きが調整される。その後、1番目のワーク400Aの第2側面420に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる(調整ステップ、処理ステップ)。
次に、作業対象の第1側面410が上方を向くように、2番目のワーク400Bの向きが調整される。その後、2番目のワーク400Bの第1側面410に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる(調整ステップ、処理ステップ)。このように、S15では、ベース100B上の第1位置P1と第2位置P2に配されたワーク400A、400Bごとに、向きを調整する処理と、塗布処理及び実装処理を行っている。
S16では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、処理を行った側面410、420の向きを保ちつつ、1番目のワーク400Aを、ベース100Bの第2位置P2から第3位置P3に移動する。また、処理を行った側面410の向きを保ちつつ、2番目のワーク400Bを、ベース100Bの第1位置P1から第2位置P2に移動する(移動ステップ)。
また、3番目のワーク400Cを、第1側面410を0°に向けた状態で、搬送位置からベース100B上の第1位置P1に配置する(配置ステップ)。このように、S16では、ワーク400Aを回転方向で第2位置P2から次の第3位置P3に移動した後、次のワーク400Bを第1位置P1から第2位置P2(ワーク400Aの移動前の位置)に移動する。そして、その次のワーク400Cを第1位置P1(ワーク400Bの移動前の位置)に配置し、ベース100B上に3つのワーク400A〜400Cを同時に配置している。
S17では、第1位置P1に配置された3番目のワーク400Cの上面405に対して塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。
S18では、ベース100B上に位置する各ワーク400A〜400Cの各側面430、420、410に対する作業が行われる。具体的には、作業対象の第3側面430が上方を向くように、1番目のワーク400Aの向きが調整される。その後、1番目のワーク400Aの第3側面430に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる(調整ステップ、処理ステップ)。
次に、作業対象の第2側面420が上方を向くように、2番目のワーク400Bの向きが調整される。その後、2番目のワーク400Bの第2側面420に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる(調整ステップ、処理ステップ)。
次に、作業対象の第1側面410が上方を向くように、3番目のワーク400Cの向きが調整される。その後、3番目のワーク400Cの第1側面410に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる(調整ステップ、処理ステップ)。このように、S18では、ベース100B上の第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3に配されたワーク400A、400B、400Cごとに、向きを調整する処理及び、側面410〜440に対する塗布処理と実装処理を行っている。
すなわち、実施形態2では、図22に示すように、ワーク400A〜400Dを、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4に対して順々に移動させつつ、ベース100B上の各位置P1〜P4にワーク400A〜400Dを同時に配置する。そして、各位置P1〜P4に配置されたワーク400A〜400D毎に、向きを調整する処理及び、側面410〜440に対する塗布処理と実装処理を行う。
そして、第4位置P4で第4側面440に対する塗布処理と実装処理が行われると、そのワーク400は、第4位置P4から搬送位置15に移動して搬出される。図21に示すS19は、第4側面440への処理を終えた1番目のワーク400Aを搬送位置15へ移動し、第3側面430への処理を終えた2番目のワーク400Bをベース100B上の第4位置P4に移動し、第2側面420への処理を終えた3番目のワーク400Cをベース100B上の第3位置P3に移動し、第1側面410への処理を終えた4番目のワーク400Dをベース100B上の第2位置P2に移動した段階を示している。そして、最終番のワーク400Nに対する作業が完了して、最終番のワーク400が搬送位置15に送られると、一連の処理は終了する(S20)。
このように、実施形態2では、ベース100B上に、最大で4つのワーク400A〜400Dを同時に配置して作業(塗布処理や実装処理)を行うので、作業効率がよい。
<実施形態3>
実施形態2では、ワーク400の上面405と、4つの側面410〜440に、塗布処理と実装処理を行った。実施形態3では、ワーク400の複数の側面410〜440のうち、処理対象が特定の側面410に限定されており、ワーク400の上面405と側面410に対して、塗布処理と実装処理を行う。実施形態3も、実施形態2と同様に周方向の4か所に90°間隔で固定部150を有するベース100Bを使用する。
図23、図24を参照して、作業手順を説明する。作業開始前の状態において、ベース100Bは、中心O1を軸とする回転方向について、図24の(A)に示す初期位置にあるものとする。初期位置では、搬送位置15の正面の0°の位置に、第1位置P1が位置する。
S100では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、1番目のワーク400Aを、図24の(B)に示すように、第1側面410を0°の方向に向けて、搬送位置15からベース100B上の第1位置P1に配置する。
S110では、ベース100Bを、初期位置から図24に示すV方向に、90°回転する。これにより、1番目のワーク400Aが90°の位置に移動する。また、搬送位置15の正面である0°の位置に、ベース100Bの第4位置P4が移動する。
S120では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、2番目のワーク400Bを、図24の(C)に示すように、第1側面410を0°の方向に向けて、搬送位置15からベース100B上の第4位置P4に配置する。
S130では、ベース100Bを、図24に示すV方向に、更に90°回転する。これにより、1番目のワーク400Aが180°の位置に移動し、2番目のワーク400Bが90°の位置に移動する。また、搬送位置15の正面である0°の位置に、ベース100Bの第3位置P3が移動する。
S140では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、3番目のワーク400Cを、図24の(D)に示すように、第1側面410を0°の方向に向けて、搬送位置15からベース100B上の第3位置P3に配置する。
S150では、ベース100Bを、図24に示すV方向に、更に90°回転する。これにより、1番目のワーク400Aが270°の位置に移動し、2番目のワーク400Bが180°の位置に移動し、3番目のワーク400Cが90°の位置に移動する。また、搬送位置15の正面である0°の位置に、ベース100Bの第2位置P2が移動する。
S160では、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、4番目のワーク400Dを、図24の(E)に示すように、第1側面410を0°の方向に向けて、搬送位置15からベース100B上の第2位置P2に配置する。
以上により、ベース100Bの第1位置P1〜第4位置P4に対して、ワーク400A〜400Dを配置することが出来る(配置ステップ)。尚、実施形態3では、ワーク400を載せた状態で、ベース100Bを回転させている。そのため、ベース100Bに配置された各ワーク400A〜400Dは、向きが90°づつ異なっている。図24の(E)に示すように、各ワーク400A〜400Dは、第1側面410がいずれもベース100Bの外側(中心O1から外側に向かう方向)を向いており、外周102の近傍に位置している。
S170では、ベース100B上に移載された各ワーク400A〜400Dの上面405に対して、塗布ヘッド77による塗布処理と、移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。
S180では、ベース100B上に移載されたワーク400A〜400D毎に、以下の処理が行われる。具体的には、1番目のワーク400Aについて、側面410が上方を向くように向きを調整する処理と、側面410に対して塗布ヘッド77による塗布処理と移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。
その後、2番目のワーク400Bについて、側面410が上方を向くように向きを調整する処理と、側面410に対して塗布ヘッド77による塗布処理と移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。その後、3番目のワーク400C、4番目のワーク400Dについて、側面410が上方を向くように向きを調整する処理と、側面410に対して塗布ヘッド77による塗布処理と移載ヘッド73〜75による電子部品5の実装処理が行われる。
S190では、ベース100Bを、V方向に90°間隔で回転させることにより、作業済みの各ワーク400A〜400Dを、「0°」の位置に順番に移動する。そして、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74により、各ワーク400A〜400Dを搬送位置15に順番に移動して、搬出する。
1番目のワーク400A、2番目のワーク400B、3番目のワーク400C、4番目のワーク400Dの順に搬出を行い、4番目のワーク400Dを搬出し終えると、一連の処理は終了する。
本構成では、ベース100B上の複数の位置P1〜P4に、最大で4つのワーク400A〜400Dを同時に配置して作業(塗布処理や実装処理)を行うことが出来るので、作業効率がよい。
<実施形態4>
実施形態1〜3は、円盤形状のベース100A、100Bを使用した例を示したが、実施形態4では、図25、図26に示すように、正方形のベース100Cを使用する。
ベース100Cは、図外の搬送装置を用いて搬送位置15に搬送される。そして、図25に示すように、基台10の右下に位置する部品供給位置12には、電子部品5の供給スペース12Aと、ワーク500の供給スペース12Bが設けられている。図27に示すように、ヘッドユニット70の移載ヘッド73、74で、ワーク上面を吸着保持することにより、ワーク500を供給スペースから搬送位置15のベース100C上に移載して配置することが出来る。
そして、ベース100Cに対するワーク500の配置が完了したら、ヘッドユニット70の移載ヘッド73〜75を用いて、ワーク500を配置したベース100Cを、搬送位置15から、ロボット20側に移動することが出来る。
ベース100Cの下面には、ベース100Aや100Bと同様に、リング部材120が取り付けられており、ベース100Cを、リング部材120を介してロボット20の保持部50に対して固定できる。
その後、ヘッドユニット70の塗布ヘッド77、移載ヘッド73〜75により、ロボット20に保持されたベース100C上の各ワーク500に対して、塗布処理、実装処理などの所定処理を行うことが出来る。
そして、ベース100C上に移載された全ワーク500に対する処理が全て完了したら、ヘッドユニット70の移載ヘッド73〜75を用いて、ベース100Cを、ロボット20側から、搬送位置15に移動することで、作業済みのワーク500をベース100Cと共に排出することが出来る。
ベース100Cは、図26に示すように、正方形のベース基板105と台部110とを有している。台部110は、ベース基板105の中心部O1に位置している。台部110の高さはHである。台部110の上面110Aは、ベース基板105の上面105Aを基準として、Z方向上側に高さH、オフセットしている。
本実施形態では、図30、図33、図36に示すように、ワーク500の全4側面510〜540のうち、所定処理(塗布処理や実装処理)を行う側面の面数に応じて、ベース100Cに対するワーク500の配列や配置数を変更する。
以下、所定処理の対象となる側面の面数に応じて決められたワーク500の配列パターンPA〜PCについて説明する。尚、ワーク500は、図28に示すように直方体形状であり、上面501、下面505、第1側面510、第2側面520、第3側面530、第4側面540を有している。
(A)ワーク500の上面501、第1側面510、第2側面520に、塗布処理や実装処理などの所定処理を行う場合(処理対象となる側面の面数が2の場合)
上記のように、4つの側面510〜540のうち、2つの側面510、520が処理対象(特定の側面)である場合、図30、図31に示すように、ベース基板105の4つのコーナに対応する位置P1〜P4に対して、ワーク500A、500B、500C、500Dを配置する。また、台部110の上面の4つのコーナに対応する位置P5〜P8対して、ワーク500E、500F、500G、500Hを配置する(配列パターンPA)。
ベース基板105に配置された4つのワーク500A〜500Dは、いずれも第1側面510、第2側面520がベース基板105のコーナに位置する。そのため、ワーク500の上面501に加えて、第1側面510と第2側面520の双方に、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。すなわち、塗布ヘッド77の附属部品である接続部78がベース基板105に干渉することなく、第1側面510と第2側面520の双方に、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。
尚、ワーク500A〜500Dは、処理対象となる第1側面510、第2側面520が、コーナを向くように、向きを調整しつつ配置する必要がある。図29に示す向きを基準として、ワーク500A〜500Dの回転角度R[deg]は、ワーク500の中心O2、V方向を正方向として、それぞれ、0°、90°、180°、−90°である。
また、ワーク500の回転は、図27に示すように、部品供給位置12からベース100Cに移載する際に、ワーク500を吸着保持する移載ヘッド73を、ヘッド中心線Lrで回転することにより、行うことが出来る。
また、台部110に配置された4つのワーク500E〜500Hは、ベース基板105の上面105Aから、台部110の高さHだけZ方向にオフセットしている。そのため、側面の作業を行う際に、塗布ヘッド77の附属部品である接続部78がベース基板105に干渉しない。従って、上面501だけでなく、第1側面510と第2側面520の双方に、塗布処理や実装処理などの所定の処理を行うことが出来る。
尚、ワーク500E〜500Fは、処理対象となる第1側面510、第2側面520が、外側を向くように、向きを調整しつつ移載する必要がある。ワーク500E〜500Hの回転角度R[deg]は、ワーク500の中心O2、V方向を正方向として、それぞれ、0°、90°、180°、−90°である。
図32は、ベース100Cに対するワーク500A〜500Hのオフセット量をまとめた図表である。DX[mm]は、ワーク500の中心O2からベースの中心O1までのX方向の距離、DY[mm]は、ワーク500の中心O2からベース100Cの中心O1までのY方向の距離である。また、DZ[mm]は、ワーク500の下面からベース基板105の上面105AまでのZ方向の距離(台部の高さH)を示している。尚、X方向、Y方向、Z方向は、ベース100Cを水平に置いた状態を基準としている。
(B)ワーク500の上面501、第1側面510に、塗布処理や実装処理などの所定処理を行う場合(処理対象となる側面の面数が1の場合)
上記のように、4つの側面510〜540のうち、1つの側面510だけが処理対象(特定の側面)である場合、図33に示すように、図30に示す配置に加えて、ワーク500A、500Bとの間に、500I、500Jを配置する。また、ワーク500B、500Cとの間に、500K、500Lを配置し、ワーク500C、500Dとの間に、500M、500Nを配置する。また、ワーク500D、500Aとの間に、500P、500Qを配置する(配列パターンPB)。
ベース基板105に配置された12個のワーク500A、500I、500J、500B、500K、500L、500C、500M、500N、500D、500P、500Qは、いずれも第1側面510が、ベース基板105の外側を向いており、ベース基板105の4つの外縁106〜109に近接している。そのため、各ワーク500の上面501に加えて、第1側面510に、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。すなわち、塗布ヘッド77の附属部品である接続部78がベース基板105に干渉することなく、第1側面510に、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。
このように、作業対象の側面が1つだけの場合、ベース基板105の外縁(外形線)に沿ってワーク500を配列することで、コーナだけに配置する場合に比べて、ベース100C上に多くのワーク500を配置することが可能である。そのため、作業効率がよいというメリットがある。また、図35は、ベース100Cに対するワーク500A〜500Qのオフセット量をまとめた図表である。
(C)ワーク500の上面501、第1側面510、第2側面520、第3側面530、に、塗布処理や実装処理などの所定の処理を行う場合(処理対象となる側面の面数が3の場合)
上記のように、4つの側面510〜540のうち、3つの側面510〜530が処理対象(特定の側面)である場合、図36、図37に示すように、ベース基板105の4つのコーナに対して、ワーク500A、500B、500C、500Dを、ワーク中心線Lrを中心として、所定角度ずつ回転させて配置する。具体的には、ワーク500Aを−45°回転させて配置し、ワーク500Bを45°回転させて配置し、ワーク500Cを−135°回転させて配置し、ワーク500Dを135°回転させて配置する。
また、台部110の4つのコーナに対して、ワーク500E、500F、500G、500Hを、ワーク中心線Lrを中心として、所定角度ずつ回転させて配置する。具体的には、ワーク500Eを−45°回転させて配置し、ワーク500Fを45°回転させて配置し、ワーク500Gを−135°回転させて配置し、ワーク500Hを135°回転させて配置する(配列パターンPC)。
ワーク400の側面510〜540をベース基板105に対して傾けて配置することで、図36に示すように、ベース基板105のコーナ付近において、ベース基板105の外縁から各側面510〜530までの距離が近くなる。
そのため、ワーク500の上面501に加えて、第1側面510〜第3側面530に対して、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。すなわち、塗布ヘッド77の附属部品である接続部78がベース基板105に干渉することなく、第1側面510〜第3側面530に対して、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。
また、ワーク400の側面510〜540を台部110に対して傾けて配置することで、台部110のコーナ付近において、台部110の外縁から各側面510〜530までの距離が近くなる。
そのため、ワーク500の上面501に加えて、第1側面510〜第3側面530に対して、塗布処理や実装処理などの所定の処理を行うことが出来る。すなわち、塗布ヘッド77の附属部品である接続部78がベース基板105に干渉することなく、第1側面510〜第3側面530に対して、塗布処理や実装処理などの所定処理を行うことが出来る。
また、図38は、ベース100Cに対するワーク500A〜500Hのオフセット量をまとめた図表である。
実施形態4では、所定処理の対象となる側面410〜440の面数に応じて決められた配列パターンPA〜PCに従って、ベース100C上に配置するワーク500の配列を変更する。そのため、面数が少ない場合には、より多くのワーク500を配置して作業を行うことで、作業効率を高めることが出来る。また、配列の変更により、多面の作業が可能となる。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(1)実施形態1では、ロボット20の一例として、3つの駆動軸Lz、Ls1、Ls2を備え、3つの自由度を持つ装置を例示した。ロボット20の構成は、実施形態1の構成に限定されるものではなく、他の構成、例えば多関節ロボットでもよい。また、自由度も3に限定されるものではない。4以上でもよい。
(2)実施形態1では、ワーク200、400をベース100Aに配置する作業や、ワーク200、400を配置したベース100Aをロボット20に移動する作業を、移載ヘッド73〜75を用いて行った例を示した。これらの作業は、移載ヘッド73〜75とは別に設けられた専用の移載装置で行うようにしてもよい。また、ワーク処理装置1は、ワーク200、400に対して、塗布処理か実装処理のいずれかのみを行うものでもよい。
(3)実施形態1、2では、ベース100A、100Bに対してマグネット式の固定部150を設けた構成を例示した。固定部は、何等かの方法で、ワーク400を固定できる構成であればよく、負圧による吸引式、ツメによる把持式としてもよい。また、中間プレート300は必ずしも必要ではなく、ワーク400をベース100A、100B上に直接固定するようにしてもよい。
(4)実施形態1では、ワーク400の4つの側面410〜440に塗布処理や実装処理を行うため、ベース100A上において、作業対象の側面410〜440ごとに、ワーク400の位置を、回転方向に移動させた(移動ステップ)。
ワーク400の回転操作が可能である場合、実施形態1の移動ステップに代えて、ベース100A上で、作業を行う各側面410〜440が、ベース100Aの外側を向くように、ワーク中心O2の回転方向で、ワーク400の向きを切り換えるようにしてもよい(切換ステップ)。
図39の(A)〜(D)は、第1側面410〜第4側面440に対して作業を行う場合について、ワーク400の向きを示している。ワーク90は、ベース100Aの基準位置「0°」の位置にあって、ワーク400の中心O2で、回転方向に90°ずつ向きが切り換わっており、向きの切り換え後、作業を行う各側面410〜440がいずれも、「0°」の方向に位置する。具体的には、(A)では、最初に処理を行う側面410がベース100Aの外側(0°の方向)を向いており、外周102の近傍に位置する。(B)では、次に処理を行う側面420がベース100Aの外側(0°の方向)を向いており、外周102の近傍に位置する。また、(C)では、その次に処理を行う側面430がベース100Aの外側(0°の方向)を向いており、(D)では、最後に処理を行う側面440がベース100Aの外側(0°の方向)を向いている。
このように、各側面410〜440が、ベース100Aの外側を向くように、ワーク400の向きを切り換えることで、移載ヘッド73〜75や塗布ヘッド77の附属部品との干渉を回避しつつ、各側面410〜440に、塗布処理や実装処理を行うことが出来る。
尚、ワーク中心O2でワーク400を回転させるには、例えば、図40に示すように、ワーク400を移載する2本の移載ヘッド73、74が、2本の移載ヘッドの軸中心Lmで、一体的に回転できる構成であればよい。図40に示す符号700は、2つの移載ヘッド73、74を連結して一体回転させるための連結部材である。