JPWO2019130440A1 - 搬送無端ベルトおよび硬貨処理装置 - Google Patents

搬送無端ベルトおよび硬貨処理装置 Download PDF

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亮介 中尾
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Abstract

厚さの異なる搬送対象物であっても確実に搬送できる搬送無端ベルトを提供する。回転部材に噛み合った状態で搬送対象物を搬送面に押圧しながら搬送方向となる周方向に沿って搬送する搬送無端ベルトであって、回転部材に支持される本体部と、本体部から幅方向に延出した弾性変形部と、を備え、弾性変形部は、本体部よりも弾性率が小さく構成されており、弾性変形部の端部と搬送対象物とが接触したとき、弾性変形部の端部が幅方向および周方向と垂直な方向である径方向に変形して、搬送対象物が弾性変形部の端部により押圧保持される。

Description

本開示は、回転部材に噛み合った状態で搬送対象物を搬送面に押圧しながら周方向に沿って搬送する搬送無端ベルトおよび搬送無端ベルトを備えた硬貨処理装置に関する。
硬貨入金機やATM等に内蔵される硬貨処理装置は、プーリー(回転部材)に噛み合った状態で硬貨(搬送対象物)を搬送面に押圧しながら周方向に沿って搬送する搬送無端ベルトを備えている。
特許文献1には、硬貨選別通路装置において、硬貨を押圧して搬送しながら選別を行う丸ベルトが開示されている。特許文献2には、プーリーに噛み合う内周面に接続する一方の側面に熱可塑性ウレタン製の係止板を設け、該係止板に硬貨を係止して搬送するピン付きベルトが開示されている。
特開平7−168958号公報 特開平7−69416号公報
ところで、硬貨は複数種類のものが存在し、特に外国の硬貨においては、少なくとも厚さが2倍以上異なる複数種類の硬貨が存在している。
特許文献1に記載の丸ベルトにおいては、厚さが最も大きい硬貨が押圧された状態のとき、全体的にベルトが撓んで該硬貨の周辺には大きな空間が作り出される。このとき、隣り合う厚さが最も小さい硬貨が存在すると、大きな空間が形成されることにより丸ベルトで硬貨を押圧することができず、硬貨を搬送することができないおそれがある。
特許文献2に記載のピン付きベルトにおいては、硬貨を押圧して搬送する形態ではなく、硬貨を係止板で係止して搬送する形態であるため、硬貨の搬送姿勢が安定しない。その結果、硬貨の識別や振分け選別が正確に行えないという問題があった。
そこで、厚さの異なる搬送対象物であっても確実に搬送できる搬送無端ベルトおよび該搬送無端ベルトを有する硬貨処理装置が望まれている。
本開示の一態様における搬送無端ベルトの特徴構成は、回転部材に噛み合った状態で搬送対象物を搬送面に押圧しながら搬送方向となる周方向に沿って搬送する搬送無端ベルトであって、前記回転部材に支持される本体部と、前記本体部から幅方向に延出した弾性変形部と、を備え、前記弾性変形部は、前記本体部よりも弾性率が小さく構成されており、前記弾性変形部の端部と前記搬送対象物とが接触したとき、前記端部が前記幅方向および前記周方向と垂直な方向である径方向に変形して、前記搬送対象物が前記端部により押圧保持される点にある。
本構成では、搬送無端ベルトを本体部と本体部から幅方向に延出した弾性変形部とで形成し、この弾性変形部は本体部よりも弾性率(変形のしにくさを表す物性値)が小さく構成されている。つまり、弾性変形部は、本体部よりも径方向に弾性変形し易く構成されている。これにより、本体部は回転部材に支持された状態で変形し難く、搬送無端ベルトが搬送対象物に接触したときには弾性変形部が径方向に変形して、弾性変形部の端部で搬送対象物を押圧保持する。
その結果、弾性変形部の端部の押圧保持によって搬送対象物の搬送姿勢が安定するので、搬送対象物の検査(硬貨の場合の識別)や振分け選別といった所定の処理を正確に行うことができる。しかも、弾性率の小さい弾性変形部の端部を径方向に変形させることにより該端部で搬送対象物を保持するので、全体的にベルトが撓むことなく、該端部に保持された搬送対象物と隣接する部位には、弾性変形部の変形により生じる空間を最小限とすることが可能となる。よって、隣り合う搬送対象物の厚さが異なる場合であっても、搬送対象物を弾性変形部の端部によって確実に保持することができる。
このように、厚さの異なる搬送対象物であっても確実に搬送できる搬送無端ベルトを提供できた。
他の特徴構成は、前記本体部と前記弾性変形部とは同一材料で構成されており、前記弾性変形部の前記径方向の厚さが前記本体部の前記径方向の厚さよりも小さく形成されている点にある。
本構成のように、本体部および弾性変形部における径方向の厚さを異ならせるだけで、弾性変形部における弾性率を本体部における弾性率よりも小さく構成することが可能となるので、製造効率を高めることができる。
他の特徴構成は、前記本体部には、前記周方向に伸縮しない芯体が埋設されている点にある。
本構成のように本体部に周方向に伸縮しない芯体を埋設すれば、弾性変形部の捻れに連動して本体部が捻れるといったことが無い。その結果、搬送対象物を押圧する弾性変形部の変形により生じる空間が、本体部の捻れによって拡大されるといった不都合を防止できる。
他の特徴構成は、前記弾性変形部は、前記周方向に沿って互いに離間した複数の棒状部位を有しており、複数の前記棒状部位は、前記周方向に伸縮可能な伸縮体により互いに結合されている点にある。
本構成では、弾性変形部が複数の棒状部位を有しているので、仮に搬送対象物が周方向に滑り移動したとしても、棒状部位のエッジによって該移動を阻止することができる。しかも、本構成では、これら棒状部位を周方向に伸縮可能な伸縮体により互いに結合しているので、弾性変形部が捻れ変形した場合でも、伸縮体が捻れ変形に追従する。つまり、互いに離間した棒状部位が捻れ変形に追従する伸縮体によって結合されているので、棒状部位の根元部位が捻れ変形することによって亀裂が発生するといった不都合を防止することができる。
他の特徴構成は、前記搬送対象物は、少なくとも厚さの異なる複数種類の硬貨である点にある。
本構成のように搬送対象物を厚さの異なる複数種類の硬貨の場合には、搬送無端ベルトを厚さが大きく異なる複数種類の硬貨にも対応させることができる。よって、本構成の搬送無端ベルトを厚さが2倍以上異なる外国硬貨の処理にも使用することができ、硬貨処理装置のグローバル化も可能となる。
本開示の一態様における硬貨処理装置の特徴構成は、回転する硬貨搬送円盤と、前記搬送無端ベルトと、を備え、前記硬貨搬送円盤は、上面に接触した硬貨を前記搬送無端ベルトに向けて搬送し、前記弾性変形部の前記端部は、前記硬貨搬送円盤の前記上面にある前記硬貨に接触して前記径方向に弾性変形した状態で前記硬貨を押圧保持し、前記硬貨を前記硬貨搬送円盤の外部へ搬送する点にある。
本構成では、硬貨搬送円盤によって硬貨が搬送無端ベルトまで搬送され、弾性変形部の端部に接触した硬貨は搬送無端ベルトの端部に押圧保持されながら硬貨搬送円盤の外部に移動する。このとき、上述したように弾性率の小さい弾性変形部の端部を径方向に変形させることにより該端部で搬送対象物を保持するので、全体的にベルトが撓むことなく、該端部に保持された搬送対象物と隣接する部位には、弾性変形部の変形により生じる空間を最小限とすることが可能となる。よって、硬貨搬送円盤から複数の硬貨が連なって移動してきた場合でも、これらの硬貨を硬貨搬送円盤の外部へと円滑に搬送することができる。
本開示の一態様における硬貨処理装置の特徴構成は、硬貨を搬送する搬送通路と、前記搬送無端ベルトと、前記搬送無端ベルトを前記搬送通路に沿って配置するベルト駆動機構と、を備え、前記ベルト駆動機構は、前記弾性変形部の前記端部を前記搬送通路の搬送面に対して前記幅方向に所定間隔を空けて配置し、前記弾性変形部の弾性復元作用により、前記搬送通路の一方側に形成された基準面に硬貨を寄せつつ搬送する点にある。
本構成では、弾性変形部の端部と搬送通路の搬送面との間に形成された所定間隔に硬貨が進入し、搬送無端ベルトの端部によって該硬貨が押圧保持される。このとき、径方向に弾性変形する弾性変形部の弾性復元作用により、搬送通路の一方側に形成された基準面に硬貨を寄せつつ搬送するので、硬貨を基準面に確実に寄せた状態で搬送することができる。
は、硬貨入金機の内部構成の概略を示す側面図である。 は、硬貨入金機の内部構成の概略を示す正面図である。 は、硬貨繰出装置および入金搬送部の概略を示す構成図である。 は、ベルトの構造を示す斜視図である。 は、図4のV−V線断面図である。 は、硬貨搬送円盤の上面と平行な方向から見たベルトによる硬貨の押圧および搬送の状態を示す説明図である。 は、押圧部材および付勢機構の構造を示す図3におけるVII−VII断面図である。 は、カバー部材および開閉部位の構造を示す図3におけるVIII−VIII断面図である。 は、開閉部位が開いた状態を示す断面図である。 は、硬貨繰出装置による硬貨の繰り出しの動作を示す説明図である。 は、ベルトによる重送硬貨の捌きの動作を示す図10におけるX−X断面図である。 は、別実施形態に係るベルトの構造を示す斜視図である。 は、図12のXIII−XIII線断面図である。 は、硬貨搬送円盤の上面と平行な方向から見たベルトによる硬貨の押圧および搬送の状態を示す説明図である。 は、別実施形態2に係るベルトを備えた入金搬送部の側面図である。 は、図15のXVI−XVI線断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本実施形態に係る搬送無端ベルトを有する硬貨処理装置としての硬貨入金機について説明する。図1および図2に示すように、硬貨入金機10は、筐体12、硬貨受入口14、硬貨繰出装置30、一時保留部40、および制御部80を備えている。以下では、図1および図2に示す状態を、硬貨入金機10が地面に載置された状態として上下左右方向を定義して説明する。
筐体12は、略直方体形状の筐体であり、硬貨入金機10を構成する各装置が収容される。硬貨受入口14は、筐体12外から硬貨(搬送対象物の一例)を受入れる。硬貨繰出装置30は、硬貨受入口14で受入れられた硬貨が送られて貯留され、貯留した硬貨を1枚ずつ繰り出して搬送する。硬貨繰出装置30は、識別部22および選別部24を含む入金搬送部20を有している。識別部22は、入金搬送部20により搬送される硬貨の識別を行う。選別部24は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて硬貨の選別を行う。
一時保留部40は、選別部24により選別された硬貨を金種毎に区分けされた状態で一時的に保留する。一時保留部40は、筐体12内において入金搬送部20の下方に設けられている。
制御部80は、硬貨入金機10の各構成要素の制御を行う制御部であり、筐体12の内部に配置されている。
以下、硬貨入金機10の各構成要素の詳細について説明する。
図1および図2に示すように、筐体12外から内部に投入された硬貨を受け入れる硬貨受入口14が筐体12の上部に設けられており、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨は自重により硬貨繰出装置30に送られるようになっている。硬貨受入口14から硬貨繰出装置30に送られた硬貨は、当該硬貨繰出装置30に一時的に貯留されるようになっている。
(硬貨繰出装置)
硬貨繰出装置30は、図3に示すように、ベース部材31、硬貨搬送円盤32、入金搬送部20、ベルト33(搬送無端ベルトの一例)、ベルト駆動機構34、カバー部材35、外周ベルト37、案内部材38およびレバー部材39を有して構成される。
ベース部材31は、板状の部材であって、硬貨繰出装置30の各構成要素が取り付けられる部材である。硬貨搬送円盤32は、上下方向に対して傾斜した姿勢で回転する円盤であって、硬貨貯留空間36に貯留された硬貨を硬貨搬送円盤32の下部領域から上部領域へ搬送する。すなわち、硬貨搬送円盤32は、上面に接触した硬貨をベルト33へ向けて搬送する。
入金搬送部20は、硬貨搬送円盤32から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送しつつ選別する。
ベルト33は、ゴム等の弾性部材で構成されており、後述する第1プーリー34a(回転部材の一例)および第2プーリー34e(回転部材の一例)に噛み合った状態で硬貨を搬送面(後述する硬貨搬送円盤32の摩擦搬送部位32cの上面、後述する入金搬送部20の搬送路側面21c)に押圧しながら搬送方向に沿って搬送する。ベルト駆動機構34は、ベルト33を搬送通路(後述する摩擦搬送部位32c、後述する入金搬送部20の搬送路21a)に沿って配置して移動させる。
カバー部材35は、硬貨搬送円盤32の下部領域を覆う樹脂製の部材であって、硬貨搬送円盤32との間に硬貨貯留空間36を形成する。硬貨貯留空間36は、硬貨受入口14から送られた硬貨を貯留する空間であって、硬貨搬送円盤32とカバー部材35との間に形成される空間である(図2,図7〜図9参照)。
外周ベルト37は、硬貨搬送円盤32の下部領域の硬貨と接触して、硬貨搬送円盤32による硬貨の搬送を補助する。案内部材38の内面38a(基準面の一例)は、硬貨搬送円盤32の上の硬貨と接触して、ベルト33によって搬送される硬貨を入金搬送部20へと案内する。レバー部材39は、ベルト33に対して、硬貨搬送円盤32による硬貨の搬送方向の上流側に配置され、摩擦搬送部位32c(搬送通路の一例)の上の硬貨と接触して、硬貨を段差部位32dに向けて移動させる。
このような硬貨繰出装置30の構成の詳細について図3〜図11を用いて説明する。
(硬貨搬送円盤)
硬貨搬送円盤32は上述の通り、上下方向に対して傾斜した姿勢にて、回転軸32aを回転軸として回転する円盤であって、硬貨貯留空間36に貯留された硬貨を硬貨搬送円盤32の下部領域から上部領域へ、すなわちベルト33へ向けて搬送する。硬貨搬送円盤32は、図3、図6等に示すように、摩擦搬送部位32cおよび段差部位32dを有して構成される。硬貨搬送円盤32は、摩擦搬送部位32cの上面(搬送面の一例)がベース部材31の上面と平行となるように配置される。このとき回転軸32aは、ベース部材31と垂直である。
硬貨搬送円盤32の傾斜角度(地面に対する角度)に関し、傾斜角度が大きいほど、異物が硬貨搬送円盤32の上部領域に到達し難くなり異物の排除能力が向上するが、硬貨の搬送も困難になる。硬貨搬送円盤32の傾斜角度は35°以上が好ましく、35°以上40°以下が好適である。
摩擦搬送部位32cは、硬貨搬送円盤32の上面に形成された環状の部位である。摩擦搬送部位32cの幅は、硬貨入金機10の搬送対象物となる複数種類の硬貨の最大直径よりも大きい。摩擦搬送部位32cは、硬貨との摩擦が大きくなるよう形成された部位であって、具体的には、硬貨搬送円盤32の表面にゴムや樹脂等が貼り付けられて形成されている。摩擦搬送部位32cは、当該摩擦搬送部位32cに接触した硬貨を、当該硬貨との摩擦力により硬貨搬送円盤32の上部領域に搬送する。
段差部位32dは、硬貨搬送円盤32の上面において、摩擦搬送部位32cの径方向内側に形成され、摩擦搬送部位32cに対して上側に突出した部位である。本実施形態の段差部位32dは、円盤状の薄板部材を、その中心軸を硬貨搬送円盤32の回転軸32aと一致させた状態で硬貨搬送円盤32の上面に取り付けて形成されている。段差部位32dの外周面32e(基準面の一例)と、硬貨搬送円盤32の外周32bとは、いずれも硬貨搬送円盤32の回転軸32aを中心とする円形状である。
段差部位32dの上面は、摩擦搬送部位32cの上面よりも上側に位置している。本実施形態では、段差部位32dの外周近傍に傾斜部位32fが形成されており(図6〜図7参照)、段差部位32dの周囲はテーパ状となっている。段差部位32dの外周面32eの上端と、摩擦搬送部位32cの上面との距離は、搬送対象物である複数種類の硬貨の最小の厚さより小さい。そうすると、複数種類の硬貨のうち厚さが最小の硬貨が2枚、硬貨搬送円盤32の上で重なって搬送され、段差部位32dに接触した場合には、下側の硬貨すなわち硬貨搬送円盤32(摩擦搬送部位32cの上面)に接触している硬貨のみが段差部位32dに当接し、他方の硬貨(硬貨の上に重なっている硬貨)は、段差部位32dに接触し得ない。これにより、重送硬貨の捌きを適切に行うことが可能となる。
(入金搬送部)
入金搬送部20は、左右方向に沿って延びる上部搬送部分20aと、上部搬送部分20aから送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変える折り返し搬送部分20bと、上部搬送部分20aの下方に設けられると共に左右方向に沿って延び、折り返し搬送部分20bから送られた硬貨を搬送する下部搬送部分20cとを有している。そして、硬貨搬送円盤32から繰り出された硬貨は上部搬送部分20a、折り返し搬送部分20b、下部搬送部分20cの順に搬送されるようになっている。また、上部搬送部分20aおよび下部搬送部分20cには、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて硬貨の選別を行う選別部24(24a〜24h)がそれぞれ複数設けられている(図1および図3参照)。
上部搬送部分20aは、左右方向に沿って延びる搬送路21a(搬送通路の一例)と、この搬送路21aに沿って設けられたベルト33とから構成されており、搬送路21aに沿ってベルト33により硬貨が1枚ずつ搬送されるようになっている。より詳細には、搬送路21aは搬送路側面21c(搬送面の一例)および搬送路底面21d(基準面の一例)から構成されており、搬送路側面21cは上下方向に対して所定の角度で傾斜した傾斜面となっている。そして、図3に示すように、搬送路21aにおいて、硬貨は自重により搬送路底面21dに接触するよう、ベルト33により搬送路側面21cに沿って図3における右方向に搬送されるようになっている。また、硬貨は、後述するベルト33の弾性変形部33bの弾性復元作用により硬貨が搬送路側面21cおよび搬送路底面21dの両方に押圧された状態で搬送される(図6参照)。
ベルト33は、摩擦搬送部位32cの上面又は搬送路側面21cと当該ベルト33の弾性変形部33bの端部33b1との間で硬貨を押圧保持しながら当該硬貨を搬送するようになっている。また、上部搬送部分20aには複数(具体的には5つ)の選別部24(24a〜24e)が設けられている。また、図3に示すように、上部搬送部分20aにおける各選別部24の上流側には識別部22が設けられており、この識別部22は、硬貨繰出装置30から繰り出された硬貨の金種や真偽等の識別を行うようになっている。
上部搬送部分20aに設けられた各選別部24は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、この上部搬送部分20aにより搬送される硬貨を選別してリジェクト部47やオーバーフローボックス49、又は一時保留部40に送るようになっている(図1〜図2参照)。具体的には、上部搬送部分20aに設けられた合計5つの選別部24のうち、硬貨の搬送方向における最も上流側にある選別部24aは、リジェクト硬貨(真正でない硬貨)の選別を行うリジェクト選別部として機能するようになっており、この選別部24aによりリジェクト硬貨が選別されてリジェクト部47に送られるようになっている。また、上部搬送部分20aに設けられた合計5つの選別部24のうち、硬貨の搬送方向において上流側から3番目に配置された選別部24cは、一時保留部40の下流に位置する収納繰出装置(不図示)が既に満杯であるようなオーバーフロー硬貨の選別を行うオーバーフロー選別部として機能するようになっており、この選別部24cによりオーバーフロー硬貨が選別されてオーバーフローボックス49に送られるようになっている。
また、上部搬送部分20aに設けられた合計5つの選別部24のうち、上述した選別部24a、24c以外の選別部24b、24d、24eは、金種別に硬貨を選別する金種別選別部として機能するようになっている。より具体的には、例えば本実施形態の硬貨入金機10においてユーロ(EURO)硬貨の処理が行われるときに、硬貨の搬送方向において上流側から2番目に配置された選別部24bは、識別部22により1セント硬貨であると識別された硬貨を選別し、硬貨の搬送方向において上流側から4番目に配置された選別部24dは、識別部22により5セント硬貨であると識別された硬貨を選別し、硬貨の搬送方向において上流側から5番目に配置された選別部24eは、識別部22により10セント硬貨であると識別された硬貨を選別するようになっている。
各選別部24の構成の詳細について図3を用いて説明する。図3に示すように、上部搬送部分20aにおける搬送路21aの搬送路側面21cには、各選別部24にそれぞれ対応して開口25が設けられている。各開口25にはシュート26(図1および図2参照)が接続されている。ベルト33により搬送路21aに沿って搬送される硬貨が開口25に入ったときに、この硬貨は対応するシュート26に送られて、最終的にはシュート26を介して自重によりリジェクト部47やオーバーフローボックス49、又は一時保留部40に硬貨が送られるようになる。
また、各開口25の下方には分岐部材27がそれぞれ設けられている。各分岐部材27は、通常時には搬送路21aにおける搬送路底面21dの下方に位置しており、硬貨の選別を行う際には搬送路底面21dの上方に進出するようになっている。より詳細には、分岐部材27が搬送路21aの搬送路底面21dの下方に位置しており、分岐部材27の最も高い位置がこの搬送路底面21dと同じ高さに位置しているときには、搬送路21aで搬送される硬貨は分岐部材27により搬送路底面21dから上方に押し上げられることはない。このため、搬送路21aで搬送される硬貨は開口25に入ることはない。一方、分岐部材27が搬送路21aの搬送路底面21dから上方に進出したときは、搬送路21aで搬送される硬貨は分岐部材27により搬送路底面21dから図3における上方に持ち上げられ、この硬貨は開口25に入ることとなる。このように、搬送される硬貨が搬送路底面21dに沿って搬送されているときに該硬貨が開口25に入ることなく通過する。一方、分岐部材27によって硬貨が搬送路底面21dから離れたときには該硬貨が開口25に入り選別されるため、搬送路底面21dが選別のための基準面を形成することとなる。このとき、弾性変形部33bの弾性復元作用により硬貨をその基準面に寄せつつ搬送することができる。さらに、弾性変形部33bの弾性復元作用は、硬貨が分岐部材27により選別されたときに該硬貨を開口25に落とし込むという作用も備えている。
このように、各選別部24は開口25、分岐部材27等から構成されており、分岐部材27が搬送路底面21dから上方に進出するか否かを制御部80により制御することにより、各選別部24は硬貨の選別を行うようになっている。
上部搬送部分20aにおいて各選別部24により選別されなかった硬貨は折り返し搬送部分20bに送られるようになる。ここで、折り返し搬送部分20bは、図1および図3に示すように、硬貨入金機10を側方から見て円弧形状となっている。そして、折り返し搬送部分20bにおいて、硬貨は自重による落下によって上部搬送部分20aから下部搬送部分20cに搬送されるようになっている。
下部搬送部分20cは、折り返し搬送部分20bから硬貨が送られる第1搬送部分20dと、硬貨の搬送方向における第1搬送部分20dの下流側に設けられた第2搬送部分20eとから構成されている。より詳細には、第1搬送部分20dには搬送ベルト21eが設けられており、第2搬送部分20eにも搬送ベルト21fが設けられている。第1搬送部分20dに設けられた搬送ベルト21eは、折り返し搬送部分20bにおいて自重による落下によって上部搬送部分20aから送られた硬貨を図3における左方向に搬送するようになっている。また、第2搬送部分20eに設けられた搬送ベルト21fは、搬送ベルト21eにより搬送される硬貨が受け渡されるようになっており、この搬送ベルト21fは、搬送ベルト21eから受け渡された硬貨を図3における左方向に搬送するようになっている。本実施形態では、搬送ベルト21eおよび搬送ベルト21fは、後述するベルト33と同様の構造のものを用いることができる。
なお、第2搬送部分20eに設けられた搬送ベルト21fによる硬貨の搬送速度は、第1搬送部分20dに設けられた搬送ベルト21eによる硬貨の搬送速度よりも大きくなっている。このため、第1搬送部分20dに設けられた搬送ベルト21eから第2搬送部分20eに設けられた搬送ベルト21fに硬貨が受け渡される際に硬貨間隔が広くなり、確実に硬貨を選別できると共に、ジャム等のトラブルが発生することなくスムーズに硬貨の受け渡しを行うことができるようになる。
下部搬送部分20cには、上部搬送部分20aの搬送路21aと同様の構成の搬送路が設けられている。また、下部搬送部分20cにおける第2搬送部分20eには3つの選別部24(選別部24f〜24h)が設けられている。下部搬送部分20cの第2搬送部分20eに設けられた各選別部24は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、この第2搬送部分20eにより搬送される硬貨を選別して一時保留部40に送るようになっている。具体的には、各選別部24f〜24hは、金種別に硬貨を選別する金種別選別部として機能するようになっている。より詳細には、例えば本実施形態の硬貨入金機10においてユーロ(EURO)硬貨の処理が行われるときに、硬貨の搬送方向において最も上流側に配置された選別部24fは、識別部22により2ユーロ硬貨であると識別された硬貨を選別し、硬貨の搬送方向において上流側から2番目に配置された選別部24gは、識別部22により1ユーロ硬貨であると識別された硬貨を選別する。また、硬貨の搬送方向において上流側から3番目に配置された選別部24hは、識別部22により2セント硬貨であると識別された硬貨を選別するようになっている。さらに、下部搬送部分20cの第2搬送部分20eにおいて、硬貨の搬送方向におけるこれらの3つの選別部24f〜24hの下流側には開口24iが設けられており、この開口24iには、各選別部24f〜24hにより選別されなかった硬貨、具体的には例えば20セント硬貨が入るようになっている。なお、この開口24iにもシュート26が接続されており、開口24iに入った20セント硬貨はシュート26を介して一時保留部40に送られるようになっている。
(搬送無端ベルト)
ベルト33は、硬貨搬送円盤32の上の硬貨を押圧保持して移動させ、重送硬貨の捌きを行うと共に、入金搬送部20において硬貨を押圧保持して搬送する。具体的には、ベルト33は、摩擦搬送部位32cの上面の硬貨に接触して弾性変形し、硬貨を段差部位32dに向けて移動させた後、硬貨搬送円盤32の外部となる入金搬送部20の搬送路21aにおいて硬貨を搬送する。
本実施形態におけるベルト33は、図3に示すように、第1プーリー34aと第2プーリー34eとの間に掛け回されて、第1プーリー34aによって駆動され、移動する。図4〜図6に示すように、ベルト33は、環状に構成されており、本体部33aと、本体部33aから幅方向W(図5の断面長手方向)に延出した弾性変形部33bと、を有している。これら本体部33aおよび弾性変形部33bは、ゴム等の同一材料で構成されている。以下、ベルト33が硬貨を搬送する方向を「周方向Ro」とし、ベルト33の幅方向Wおよび周方向Roと垂直な方向を「径方向Ra」(ベルト33の厚さ方向)として説明する。これは、ベルト33が環状に構成されていることから、ベルト33を基準とした「周方向Ro」、「径方向Ra」として定義しているものである。
本体部33aは、ベルト33の搬送方向に垂直な方向の断面が径方向Raよりも幅方向Wが大きい矩形状に構成されている(図5〜図6参照)。本体部33aの内周面には、第1プーリー34aの外周面に形成された複数の凹状部34a1と噛み合う複数の凸状部33a1が形成されている。また、本体部33aの内周面には、幅方向Wの一対の凸状部33a1の間に、第1プーリー34aの外周面の中央部分に形成された環状凸部34a2に係合する環状溝33a2が形成されている。つまり、第1プーリー34aの複数の凹状部34a1に本体部33aの複数の凸状部33a1が噛み合うと共に、本体部33aの環状溝33a2が、第1プーリー34aの環状凸部34a2に係合することにより、本体部33aが第1プーリー34aに支持されている。なお、第2プーリー34eが本体部33aと噛み合う構成は、第1プーリー34aと同様であるため、説明を省略する。
また、本実施形態における本体部33aの径方向Ra中央部分には、周方向Roに伸縮しない布、樹脂等で構成される芯体33cが埋設されている。この芯体33cは、複数の環状糸状部材が幅方向Wに複数並列する状態で構成されている。「周方向Roに伸縮しない芯体33c」とは、ベルト駆動機構34の駆動力ではほぼ伸縮しない芯体33cを意味し、所定値以上の大きな応力で引っ張った場合には伸縮する芯体33cも含まれる。
弾性変形部33bは、断面が長方形であり、ベルト33において弾性変形が可能なように構成された部位である。弾性変形部33bは、本体部33aよりも少なくとも径方向Raの弾性率(変形のしにくさを表す物性値、剪断変形率,引張弾性率および体積弾性率の少なくとも1つ)が小さく構成されている。本実施形態の弾性変形部33bは、本体部33aよりも径方向Raの厚さを小さく形成することにより、本体部33aよりも弾性率を小さく構成している。この弾性変形部33bの厚さは、本体部33aに埋設された芯体33cが含まれない領域に設定されており、本体部33aの厚さの3分の1以下に設定されている。なお、弾性変形部33bの厚さを本体部33aと同等とに構成して、芯体33cの有無により弾性率を異ならせてもよい。
弾性変形部33bの幅方向Wの長さ、すなわち弾性変形部33bが本体部33aから延出している長さは、硬貨繰出装置30が搬送対象物となる複数種類の硬貨の最大厚さよりも大きい。また、弾性変形部33bの幅方向Wの長さは、径方向Raの厚さよりも大きく構成されており、径方向Raの厚さの5倍以上に設定されている。さらに、弾性変形部33bは周方向Roに接続された環状に形成されていることから、ベルト33の径方向Raについての弾性変形部33bの曲げ剛性が、ベルト33の周方向Ro(ベルト33の走行方向)についての弾性変形部33bの曲げ剛性よりも小さくなっている。
(ベルト駆動機構)
ベルト駆動機構34は、ベルト33を硬貨搬送円盤32の内側に向けて移動させる(図10〜図11参照)。本実施形態のベルト駆動機構34は、図3に示すように、第1プーリー34a、上面押圧プーリー34c、側面押圧プーリー34dおよび第2プーリー34eを有して構成される。
第1プーリー34aは、その回転軸34bがベース部材31および硬貨搬送円盤32と垂直になる姿勢にて、ベース部材31の上に配置される。第2プーリー34eは、その回転軸が硬貨搬送円盤32と垂直になる姿勢にて、入金搬送部20に配置される。ここで硬貨搬送円盤32の回転軸32aも同様にベース部材31と垂直であるから、第1プーリー34aの回転軸34bは硬貨搬送円盤32の回転軸32aと平行である。第1プーリー34aはモータ(図示なし)により、回転軸34bの回りに回転駆動される。
上面押圧プーリー34cは、その回転軸がベース部材31と平行になる姿勢にて、ベルト33の上面に接する状態で配置される。上面押圧プーリー34cは、ベルト33が硬貨と接触して弾性変形することによる上方向(幅方向W)への移動を抑制する。
側面押圧プーリー34dは、その回転軸がベース部材31と垂直になる姿勢にて、ベルト33の側面に接する状態で配置される。側面押圧プーリー34dは、ベルト33が硬貨と接触して弾性変形することによる横方向(径方向Ra)への移動を抑制する。
ここで図3および図6を参照して、ベルト33およびベルト駆動機構34による硬貨の搬送について説明する。図6は、硬貨搬送円盤32の上面と平行な方向から見た、ベルト33による硬貨の押圧および搬送の状態を示す説明図である。
ベルト駆動機構34の第1プーリー34aおよび第2プーリー34eが回転駆動されると、ベルト33は、第1プーリー34aおよび第2プーリー34eの周りを図3に示される矢印の方向(周方向Ro)、すなわち図3で反時計回りに走行(移動)する。詳しくは、ベルト33は、ベルト駆動機構34により次のように移動(走行)する。
まず、ベルト33は第1プーリー34aの外周に沿って移動し、硬貨搬送円盤32の上側から回転軸32aに向けて、すなわち直径方向に向けて進入する。そしてベルト33は、第1プーリー34aの外周に沿って移動方向を徐々に変化させる。換言すれば、ベルト33は第1プーリー34aの回転軸34bを中心とする円軌道に沿って移動する。このときベルト33は、硬貨搬送円盤32の段差部位32dの近傍を走行する。続いてベルト33は、第1プーリー34aから離れて第2プーリー34eに向けて図3の右方向に移動し、硬貨搬送円盤32の上から退出する。換言すれば、ベルト33は硬貨搬送円盤32の上から硬貨搬送円盤32の外部へ移動(走行)する。次いでベルト33は、入金搬送部20に進入し、識別部22を通り、搬送路21aを走行する。そしてベルト33は、第2プーリー34eの外周に沿って移動して、第1プーリー34aへと循環する。
硬貨搬送円盤32によってベルト33に向けて搬送されてきた硬貨C32は、ベルト33と接触して、ベルト33の弾性復元作用によって段差部位32dへ向けて押し付けられ、段差部位32dと接触し、ベルト33の下側(すなわちベルト33と硬貨搬送円盤32との間)に潜り込む(図6に示す硬貨C32の状態)。
換言すれば、ベルト33が、第1プーリー34aの外周に沿って段差部位32dに向けて移動してきた際、硬貨C32が硬貨搬送円盤32によってベルト33に向けて移動し、硬貨C32がベルト33に接触する。硬貨C32は、段差部位32dに当接した状態で、硬貨搬送円盤32と共に回転して図3の右方向へ移動するから、硬貨C32がベルト33を第1プーリー34aの回転軸34bに向かって、すなわち第1プーリー34aの内側に向かって押すことになる。そうするとベルト33は、第1プーリー34aの回転軸34bに向かって、すなわち第1プーリー34aの内側(径方向Ra内方)に向かって弾性変形する。そしてベルト33は、第1プーリー34aの外周に沿って移動し、硬貨C32の上側へと移動する(図6に示す硬貨C32の状態)。
図6に示す硬貨C32の状態は、硬貨C32がベルト33、詳しくはベルト33の弾性変形部33bの端部33b1を弾性変形させて、ベルト33と硬貨搬送円盤32との間に潜り込んだ状態を示している。このときベルト33の複数の弾性変形部33bの端部33b1が、硬貨C32により、弾性変形部33bの幅方向Wの中程で折れ曲がり、第1プーリー34aの径方向Ra内方に向かって弾性変形した状態となる。そして硬貨C32は、弾性変形した弾性変形部33bの端部33b1の側面によって、摩擦搬送部位32cの上面に向けて押圧保持されている。この硬貨C32は、弾性変形部33bの弾性復元作用により、段差部位32dの外周面32eに寄せられて当接している。
図6に示す硬貨C33の状態は、硬貨C32よりも薄く小さい硬貨がベルト33と硬貨搬送円盤32との間に潜り込んだ状態を示している。このとき、弾性変形部33bが、硬貨C34により先端付近で折れ曲がり、第1プーリー34aの径方向Ra内方に向かって弾性変形している。そして硬貨C33は、弾性変形した弾性変形部33bの端部33b1の側面によって、摩擦搬送部位32cの上面に向けて押圧保持されている。この硬貨C33は、弾性変形部33bの弾性復元作用により、案内部材38の内面38aに寄せられて当接している。
図6に示す硬貨C34の状態は、硬貨C32よりも厚く大きい硬貨がベルト33とベース部材31(搬送路21a)との間に潜り込んだ状態を示している。このとき、弾性変形部33bが、硬貨C34により幅方向Wの上部付近で折れ曲がり、第1プーリー34aの径方向Ra内方に向かって弾性変形している。そして硬貨C34は、弾性変形した弾性変形部33bによって、ベース部材31(搬送路21aの搬送路側面21c)に向けて押圧されている。この硬貨C34は、弾性変形部33bの弾性復元作用により、搬送路21aの搬送路底面21dに寄せられて当接している。このように、径方向Ra内方に弾性変形する弾性変形部33bの弾性復元作用により、摩擦搬送部位32c又は搬送路21aの一方側に形成された段差部位32dの外周面32e,案内部材38の内面38a又は搬送路底面21dに硬貨を寄せつつ搬送するので、硬貨を一列に整列させた状態で搬送することができる。
ベルト33の弾性変形部33bが硬貨C34によって変形している領域の長さ(ベルト33の周方向Roに沿った長さ)は、硬貨C33によって変形している領域の長さよりも大きい。また、弾性変形部33bの硬貨C34による径方向Ra内方への変形量(例えば、折れ曲がった部分の長さ)は、硬貨C33による変形量よりも大きい。このように、ベルト33(弾性変形部33b)は、接触する硬貨の大きさおよび厚さに応じて弾性変形する。本実施形態では、弾性変形部33bの弾性率が本体部33aの弾性率よりも小さく構成されているため、弾性変形部33bの硬貨C34による変形によって生じる空間は、隣り合う硬貨C33まで影響しない。同様に、弾性変形部33bの硬貨C32による変形によって生じる空間は、隣り合う硬貨C33まで影響しない。よって、本実施形態のベルト33を用いることにより、厚さの異なる硬貨C32,C33,C34であっても、夫々の硬貨C32,C33,C34を確実に押圧保持することができる。
硬貨搬送円盤32および搬送路21aと、弾性変形部33bの先端との間の距離D1(所定間隔の一例)は、複数種類の硬貨の最小厚さより小さい。すなわち、硬貨搬送円盤32の上面および搬送路21aの搬送路側面21cと、ベルト33の端部33b1との間の距離D1は、硬貨繰出装置30が処理の対象とする処理対象硬貨の最小の厚さより小さい。また、硬貨搬送円盤32と、弾性変形部33bの根元との間の距離D2は、複数種類の硬貨の最大厚さより大きい。これにより、処理対象硬貨のうち最も厚さが小さい硬貨であっても、弾性変形部33bの端部33b1が押圧保持して、当該硬貨を搬送することができる。また、処理対象硬貨のうち最も厚さが大きい硬貨であっても、当該硬貨が本体部33aに接触せず、当該硬貨によって弾性変形部33bが弾性変形することができる。
そして図6に示すように、弾性変形部33bによって押圧された硬貨C32、C33、C34は、ベルト駆動機構34によるベルト33の移動に伴い、摩擦搬送部位32cの上面から搬送路21aの搬送路側面21c、すなわち硬貨搬送円盤32の外部へ移動し、入金搬送部20へと移動する。このとき、弾性率の小さい弾性変形部33bの端部33b1を径方向Ra内方に変形させることにより硬貨C32、C33、C34を保持するので、全体的にベルト33が撓むことなく、弾性変形部33bの端部33b1に保持された硬貨C32、C33、C34と隣接する部位には、弾性変形部33bの変形により生じる空間を最小限とすることが可能となる。しかも、本実施形態のように本体部33aに周方向Roに伸縮しない芯体33cを埋設すれば、弾性変形部33bの捻れに連動して本体部33aが捻れるといったことが無い。その結果、硬貨C32、C33、C34を押圧する弾性変形部33bの変形により生じる空間が、本体部33aの捻れによって拡大されるといった不都合を防止できる。よって、硬貨搬送円盤32から複数の硬貨C32、C33、C34が連なって移動してきた場合でも、これらの硬貨C32、C33、C34を搬送路21aで円滑に搬送することができる。
(カバー部材)
図7〜図9に示すように、カバー部材35は、硬貨搬送円盤32の下部領域を覆う樹脂製の部材であって、硬貨搬送円盤32との間に硬貨貯留空間36を形成する。カバー部材35は、開閉部位35a、軸部材35bおよび押圧部材35cを有して構成され、付勢機構35dを介してベース部材31に取り付けられている。付勢機構35dは、支柱、バネおよび板状部材を有して構成され、支柱はベース部材31に設けられ、バネを介して支柱に取り付けられた板状部材が、カバー部材35を硬貨搬送円盤32に向けて付勢している。
押圧部材35cは金属製の板状の部材であって、硬貨搬送円盤32およびカバー部材35の外周の円弧に沿う形状に形成されている。押圧部材35cは、その外周の円弧がカバー部材35の外周に沿う姿勢で、かつ、硬貨搬送円盤32の摩擦搬送部位32cに対向する位置にて、カバー部材35の硬貨搬送円盤32側の面に取り付けられる。
ここでカバー部材35は付勢機構35dにより硬貨搬送円盤32に向けて付勢されている。すると、図7に示すように押圧部材35cと硬貨搬送円盤32の摩擦搬送部位32cとの間に硬貨が入り込むと、押圧部材35cが硬貨を硬貨搬送円盤32に押し付けることになる。
すなわち硬貨繰出装置30は、押圧部材35cと、付勢機構35dとを有し、押圧部材35cは、硬貨搬送円盤32の摩擦搬送部位32cに対向する姿勢にて、硬貨搬送円盤32の下部領域において硬貨搬送円盤32の上側に配置され、付勢機構35dは、押圧部材35cを硬貨搬送円盤32に向けて付勢して、押圧部材35cが硬貨を硬貨搬送円盤32に押し付ける。そうすると、硬貨と摩擦搬送部位32cとの間の摩擦力が増加して、硬貨搬送円盤32による硬貨の搬送が確実に行われることになる。これにより、硬貨貯留空間36に少数の硬貨が存在する場合であっても、硬貨の繰り出しが確実に行われて、硬貨繰出装置30に繰り出されない硬貨が残留する事態を抑制することができる。また、硬貨と摩擦搬送部位32cとの間の摩擦力が増加するから、硬貨搬送円盤32の回転速度を増加させることが可能となる。
開閉部位35aは、カバー部材35に形成された部位であって、開閉することにより、硬貨貯留空間36の内部の異物E(例えば、クリップやカギなど)を硬貨貯留空間36の外部に排出する(図8、図9参照)。本実施形態の開閉部位35aは、軸部材35bを介してカバー部材35に取り付けられており、不図示のソレノイド等により駆動されて軸部材35bの回りに回動し、開閉の動作を行う。開閉部位35aの開閉による硬貨貯留空間36からの異物Eの排出は、硬貨貯留空間36の内部に硬貨が貯留されていない際に行われる。例えば、硬貨貯留空間36の内部の硬貨の有無を検知するセンサを硬貨繰出装置30に設け、制御部80が当該センサの出力に基づいて開閉部位35aの開閉を制御する。例えば制御部80は、センサが硬貨を検知していない際に、開閉部位35aを開閉する。これにより硬貨貯留空間36の内部に異物があった場合には、当該異物は排出される。例えば、硬貨搬送円盤32を駆動させても硬貨が入金搬送部20に繰出されない状態で、当該センサが検出信号を出力している場合には、制御部80は、硬貨貯留空間36の内部に異物が残留していると判断して、開閉部位35aを開閉する。これにより硬貨貯留空間36の内部の異物が排出される。
すなわち硬貨繰出装置30はカバー部材35を有し、カバー部材35は硬貨搬送円盤32との間に硬貨を収容する硬貨貯留空間36を形成し、カバー部材35は硬貨貯留空間36の異物を排出する開閉部位35aを有する。これにより、硬貨貯留空間36からの異物の排除を可能として、硬貨繰出装置30の異物の排除能力を更に高めることができ好適である。
(外周ベルト)
図3および図7示すように、外周ベルト37は、硬貨搬送円盤32の下部領域の硬貨と接触して、硬貨搬送円盤32による硬貨の搬送を補助する。外周ベルト37は、その搬送面が硬貨搬送円盤32の外周に対向する姿勢にて、硬貨搬送円盤32の下部領域において硬貨搬送円盤32に隣接して配置されている。
本実施形態では外周ベルト37は平ベルトであって、3つの外周プーリー37aの周囲に巻き回されている。3つの外周プーリー37aは自由に回転可能である。外周ベルト37は、硬貨搬送円盤32の近傍では、ベース部材31の周壁31aと硬貨搬送円盤32との間に、硬貨搬送円盤32の外周32bに接触する状態で配置されている。硬貨搬送円盤32が回転すると、外周ベルト37は、硬貨搬送円盤32と接触した状態のまま、硬貨搬送円盤32と共に移動する。
そうすると図7に示すように、摩擦搬送部位32cの上の硬貨C60は、その外周が外周ベルト37と接触した状態で、硬貨搬送円盤32によって搬送される。このとき外周ベルト37は硬貨搬送円盤32と同期して走行し、硬貨C60と共に硬貨搬送円盤32の上部領域へと移動する。よって硬貨C60の搬送に際して硬貨C60と壁面等との摺動が生じず、硬貨C60の搬送がスムーズに行われることになる。また別の言い方をすれば、硬貨C60は硬貨搬送円盤32の摩擦搬送部位32cと外周ベルト37との両方から力を受けて、硬貨搬送円盤32の上部領域へ搬送される。
すなわち硬貨繰出装置30は、外周ベルト37を有し、外周ベルト37は、その搬送面が硬貨搬送円盤32の外周32bに対向する姿勢にて、硬貨搬送円盤32の下部領域において硬貨搬送円盤32に隣接して配置され、硬貨搬送円盤32の回転方向と同じ方向に移動し、摩擦搬送部位32cの上の硬貨と接触して硬貨搬送円盤32による硬貨の搬送を補助する。なお、外周ベルト37を上述したベルト33のように、弾性変形部33bの端部33b1で硬貨を押圧保持しながら搬送するように構成してもよい。
(レバー部材)
図3に示すように、レバー部材39は、ベルト33に対して、硬貨搬送円盤32による硬貨の搬送方向の上流側に配置され、摩擦搬送部位32cの上の硬貨と接触して、硬貨を段差部位32dに向けて移動させる。本実施形態のレバー部材39は、弧状に湾曲した部材であって、軸39aの回りに回転可能な状態で、一方の端部がベース部材31に取り付けられている。そしてレバー部材39の他方の端部が、硬貨搬送円盤32の摩擦搬送部位32cの上に位置する状態で配置されている。レバー部材39にはバネ39bが接続されており、レバー部材39が硬貨搬送円盤32の上の硬貨により硬貨搬送円盤32の外側へ向けて変位すると、バネ39bがレバー部材39を硬貨搬送円盤32の内側へ向けて付勢する。
硬貨搬送円盤32により搬送される硬貨は、遠心力によって、例えば図3に示す硬貨C31のように硬貨搬送円盤32の外周寄りに位置して搬送される。そのような硬貨がレバー部材39に接触すると、レバー部材39によって硬貨搬送円盤32の内側へ向けて移動され、硬貨搬送円盤32の段差部位32dに接触する。
次に、硬貨繰出装置30で行われる重送硬貨の捌きについて、図10および図11を用いて説明する。
硬貨が硬貨搬送円盤32によって下部領域から搬送される際、図3に示す硬貨C30〜C32のように1枚ずつ搬送される場合と、図10に示す硬貨C91〜C97のように、複数枚の硬貨が固まったり重なったりして搬送される場合がある。これは硬貨搬送円盤32の回転が高速で、遠心力が大きくなる場合に顕著である。
図10に示す硬貨C92は硬貨C91に引っ掛かって搬送されているが、この位置を越えると重力の作用で下方に落下する可能性が高い。硬貨C94はレバー部材39と接触し、レバー部材39によって段差部位32dに向けて移動されている。このときレバー部材39は、硬貨C94に押されて上方に変位している。硬貨C95は、レバー部材39と接触して段差部位32dに向けて移動されるが、硬貨C94と重なっていることから段差部位32dに引っ掛からず、重力の作用により下方に落下している。
硬貨C96は、段差部位32dに接触した状態でベルト33に接触し、ベルト33の下に潜り込んだ状態となっている。一方、硬貨C97は硬貨C96と重なっていることから、段差部位32dの外周面32eと接触しない状態でベルト33と接触している。そうすると硬貨C97は、ベルト33の弾性変形部33bを変形させることができず、またベルト33の下に潜り込むことができず、ベルト33に押されて下方に落下する。このようにして硬貨繰出装置30のベルト33にて重送硬貨の捌きが行われると共に、硬貨搬送円盤32の径方向(繰出し方向に直角な方向)に並んだ硬貨も一列状態にすることができ、入金搬送部20への一層一列状態での繰り出し(硬貨C98、C99)が実現される。
本実施形態の硬貨入金機10では、上部搬送部分20aに設けられた選別部24(選別部24b、24d、24e)により選別される硬貨の直径の大きさ(具体的には、1セント硬貨、5セント硬貨、10セント硬貨の直径の大きさ)は、下部搬送部分20cに設けられた選別部24(選別部24f〜24h)により選別されたり開口24iに入ったりする硬貨の直径の大きさ(具体的には、2ユーロ硬貨、1ユーロ硬貨、2セント硬貨、50セント硬貨、20セント硬貨の直径の大きさ)よりも小さくなっている。このため、直径が比較的小さな硬貨が折り返し搬送部分20bを経て下部搬送部分20cに送られることが抑制され、このことにより、このような直径が比較的小さな硬貨により折り返し搬送部分20bや下部搬送部分20cでジャム等のトラブルが発生してしまうことを防止することができるようになる。
また、下部搬送部分20cの第2搬送部分20eに設けられた搬送ベルト21fによる硬貨の搬送速度は、上部搬送部分20aに設けられたベルト33による硬貨の搬送速度と同一となっている。なお、前述したように、第2搬送部分20eに設けられた搬送ベルト21fによる硬貨の搬送速度は、第1搬送部分20dに設けられた搬送ベルト21eによる硬貨の搬送速度よりも大きくなっている。
また、本実施形態の硬貨入金機10では、上部搬送部分20aおよび下部搬送部分20cにそれぞれ設けられた選別部24により選別される硬貨の金種は、選別部24毎に自在に設定可能となっている。すなわち、図3に示される各選別部24a〜24hについて、例えば処理されるべき硬貨のうち特定の金種の硬貨の枚数が多いことが予めわかっている場合には、複数の選別部24にこの特定の金種を割り当てるようにしてもよい。
上述の実施形態では、ベルト33の弾性変形部33bの径方向Raの厚さを、本体部33aの径方向Raの厚さよりも小さく形成した。ベルト33の形態としては、以下示すような異なる形態も可能である。なお以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
(別実施形態1)
図12〜図14に示すように、本実施形態に係るベルト133は、ゴム等の弾性部材により環状に構成されており、本体部133aと、本体部133aから幅方向W(図13の断面長手方向)に延出した弾性変形部133bと、を有している。
本体部133aは、断面が径方向Raよりも幅方向Wが大きい矩形状に構成されている。図13〜図14に示すように、本体部133aの内周面には、第1プーリー34aの外周面に形成された複数の凹状部34a1と噛み合う複数の凸状部133a1が形成されている。また、本体部133aの内周面には、幅方向Wの一対の凸状部133a1の間に、第1プーリー34aの外周面の中央部分に形成された環状凸部34a2に係合する環状溝133a2が形成されている。
また、図13に示すように、本実施形態における本体部133aの径方向Ra中央部分には、周方向Roに伸縮しない樹脂等で構成される芯体133cが埋設されている。芯体133cの径方向Raの両側面には、周方向Roに伸縮可能な伸縮体133d(薄手の帆布等)が環状に配置されている。この伸縮体133dは、径方向Raに変形可能な厚さで構成されている。
弾性変形部133bは、断面が長方形である複数の棒状部位133eを有しており、ベルト133において弾性変形が可能なように構成された部位である。複数の棒状部位133eは、周方向Roに沿って等間隔に互いに離間している。弾性変形部133bは、本体部133aよりも弾性率(変形のしにくさを表す物性値、剪断変形率,引張弾性率および体積弾性率の少なくとも1つ)が小さく構成されている。本実施形態の弾性変形部133bは、本体部133aと同等の厚さを有しているが、本体部133aには芯体133cが埋設されていることにより、本体部133aよりも弾性率が小さく構成されている。また、弾性変形部133bの内周面(本体部133aの側の面)には、本体部133aに設けられた一方の伸縮体133dと連続する伸縮体133dが配置されている。この伸縮体133dによって複数の棒状部位133eが互いに結合されている。さらに、弾性変形部133bの一端は、本体部133aの一方の凸状部133a1まで延びた連結部133b2を有する状態で、本体部133aと接続されている。
硬貨搬送円盤32の上面および搬送路21aの搬送路側面21cと、ベルト133の端部133b1との間の距離D1は、硬貨繰出装置30が処理の対象とする処理対象硬貨の最小の厚さより小さい。また、弾性変形部133bの幅方向Wの長さ、すなわち弾性変形部133bが本体部133aから延出している長さは、硬貨繰出装置30が処理の対象とする処理対象硬貨の最大の厚さよりも大きい。また、弾性変形部133bの幅方向Wの長さは、径方向Raの厚さよりも大きく構成されており、径方向Raの厚さの5倍以上に設定されている。さらに、弾性変形部133bは周方向Roに接続された環状に形成されていることから、ベルト133の径方向Raについての弾性変形部133bの曲げ剛性が、ベルト133の周方向Ro(ベルト133の走行方向)についての弾性変形部133bの曲げ剛性よりも低くなっている。
図14に示す硬貨C140の状態は、硬貨C140がベルト133、詳しくはベルト133の弾性変形部133bを弾性変形させて、ベルト133と硬貨搬送円盤32との間に潜り込んだ状態を示している。このときベルト133の弾性変形部133bが、硬貨C140により、弾性変形部133bの長手方向の中程で折れ曲がり、第1プーリー34aの内側に向かって弾性変形した状態となっている。そして硬貨C140は、弾性変形した弾性変形部133bの端部133b1の側面によって、摩擦搬送部位132cの上面に向けて押圧保持されている。この硬貨C140は、弾性変形部133bの弾性復元作用により、段差部位32dの外周面32eに寄せられて当接している。
図14に示す硬貨C141の状態は、硬貨C140よりも薄く小さい硬貨がベルト133とベース部材31(搬送路21a)との間に潜り込んだ状態を示している。このとき、硬貨C141は、弾性変形した弾性変形部133bによって、ベース部材31(搬送路21a)に向けて押圧されている。そして硬貨C141は、弾性変形した弾性変形部133bの端部133b1の側面によって、摩擦搬送部位32cの上面に向けて押圧保持されている。この硬貨C141は、弾性変形部133bの弾性復元作用により、案内部材38の内面38aに寄せられて当接している。
図14に示す硬貨C142の状態は、硬貨C140よりも厚く大きい硬貨がベルト133とベース部材31(搬送路21a)との間に潜り込んだ状態を示している。このとき、硬貨C142は、弾性変形した弾性変形部133bによって、ベース部材31に向けて押圧されている。そして硬貨C142は、弾性変形した弾性変形部133bによって、ベース部材31(搬送路21aの搬送路側面21c)に向けて押圧されている。この硬貨C142は、弾性変形部133bの弾性復元作用により、搬送路21aの搬送路底面21dに寄せられて当接している。このように、径方向Raに弾性変形する弾性変形部133bの弾性復元作用により、摩擦搬送部位32c又は搬送路21aの一方側に形成された段差部位32dの外周面32e,案内部材38の内面38a又は搬送路側面21cに硬貨を寄せつつ搬送するので、硬貨を一列に整列させた状態で搬送することができる。
ベルト133の弾性変形部133bが硬貨C142によって変形している領域の長さ(ベルト133の周方向Roに沿った長さ)は、硬貨C141によって変形している領域の長さよりも大きい。弾性変形部133bの硬貨C142による径方向Ra内方への変形量(例えば、折れ曲がった部分の長さ)は、硬貨C141による変形量よりも大きい。このように、ベルト133(弾性変形部133b)は、接触する硬貨の大きさおよび厚さに応じて弾性変形する。
本実施形態においても上述した実施形態と同様に、弾性率の小さい弾性変形部133bの端部133b1を径方向Raに変形させることにより硬貨C140、C141、C142を保持するので、全体的にベルト133が撓むことなく、弾性変形部133bの端部133b1に保持された硬貨C140、C141、C142と隣接する部位には、弾性変形部133bの変形により生じる空間を最小限とすることが可能となる。よって、硬貨搬送円盤32から複数の硬貨C140、C141、C142が連なって移動してきた場合でも、これらの硬貨C140、C141、C142を搬送路21aで円滑に搬送することができる。
また、本実施形態では、弾性変形部133bが複数の棒状部位133eを有しているので、仮に硬貨とベルト133との間で滑りが生じたとしても、棒状部位133eのエッジによって該移動を阻止することができる。さらに、本実施形態では、これら棒状部位133eを周方向Roに伸縮可能な伸縮体133dにより互いに結合しているので、弾性変形部133bが捻れ変形した場合でも、伸縮体133dが捻れ変形に追従する。つまり、互いに離間した棒状部位133eが捻れ変形に追従する伸縮体133dによって結合されているので、棒状部位133eの根元部位が捻れ変形することによって亀裂が発生するといった不都合を防止することができ、ベルト133によって確実に硬貨を搬送することができる。
(別実施形態2)
図15〜図16に示すように、本実施形態に係るベルト233は、ゴム等の弾性部材により環状に構成されており、本体部233aと、本体部233aから幅方向W(図16の断面長手方向)に延出した弾性変形部233bと、を有している。本実施形態のベルト233は、本体部233aと弾性変形部233bとが同一の寸法を有している。なお、本体部233aに上述した実施形態における芯体33c,133cを設けて、弾性変形部233bの弾性率を本体部233aの弾性率よりも小さく構成することが好ましい。
本実施形態における本体部233aは、ベルト駆動機構34の一部を構成する断面コの字状の支持部材34fに嵌合されている。これによって、弾性変形部233bを弾性変形させて硬貨を押圧保持することが可能となる。
(他の実施形態)
(1)ベルト33,133,233は、上述の実施形態のように、本体部33a,133a,233aと弾性変形部33b,133b,233bとを同一材料で一体に形成してもよいし、両者を別材料として弾性変形部33b,133b,233bの弾性率が本体部33a,133a,233aの弾性率よりも小さく構成してもよい。この場合、本体部33a,133a,233aは、金属等の弾性を有さない材料(例えばチェーン等)で形成してもよい。また、上述した実施形態では、ベルト33,133,233を径方向Ra内方に変形すると説明したが、径方向Ra外方に変形する使用形態でもよい。さらに上述したベルト33,133,233をVベルトで構成しても良い。この場合、Vベルトのうち厚みが小さくなる端部の側を弾性変形部33b,133b,233bとして活用することが好ましい。
(2)上述した実施形態における芯体33c,133cを省略してもよい。また、別実施形態における伸縮体133dを芯体133cの両側に設けずに、本体部133aの外周面と弾性変形部133bの内周面とに連続する伸縮体133dのみで構成してもよい。さらに、本体部133aの外周面と弾性変形部133bの内周面とに連続する伸縮体133dを省略して、互いに結合されない複数の棒状部位133eで構成しても良いし、複数の棒状部位133eを幅方向Wの一部で結合する伸縮体133dを設けても良い。
(3)上述の別実施形態における弾性変形部133bは、互いに離間した棒状部位133eを有していた。この弾性変形部133bの断面は、円形や楕円形とすることも可能である。弾性変形部133bの間隔は任意に変更可能であり、複数の弾性変形部133bが隣接した形態も可能である。また、弾性変形部133bを、ベルト133の長手方向に連続した形態とすることも可能である。例えば弾性変形部133bを、本体部133aよりも薄いフィン状としたり、厚さが大きい部位と小さい部位とが交互に配置された形態としたりすることも可能である。
(4)上述した実施形態では、ベルト33,133,233の弾性変形部33b,133b,233bの弾性復元力によって硬貨が寄せられる基準面を搬送路底面21dとし、識別部22により識別された硬貨を開口25に入れる場合には、分岐部材27を搬送路21aの搬送路底面21dから上方に進出させて選別を行っていた。これに代えて、搬送路底面21dに隣接する搬送路側面21cに直径の異なる複数の開口25を設け、常に搬送路底面21dを基準面とした状態で径差による硬貨選別を行ってもよい。
(5)上述の実施形態では、硬貨搬送円盤32は、上下方向に対して傾斜した姿勢にて配置された。硬貨搬送円盤の盤面を地面と水平に配置することも可能である。
(6)硬貨処理装置は、上述した硬貨入金機10の他、様々な装置として適用可能である。例えば、ATM、つり銭機などの硬貨を処理する装置や、遊技機等に用いられるメダルを処理する装置(メダル計数機等)に適用可能である。
本開示は、回転部材に噛み合った状態で搬送対象物を搬送面に押圧しながら周方向に沿って搬送する搬送無端ベルトおよび搬送無端ベルトを備えた硬貨処理装置に利用可能である。
10 :硬貨入金機(硬貨処理装置)
21a :搬送路(搬送通路)
21c :搬送路側面(搬送面)
21d :搬送路底面(基準面)
32 :硬貨搬送円盤
32c :摩擦搬送部位(搬送通路)
32e :外周面(基準面)
33 :ベルト(搬送無端ベルト)
33a :本体部
33b :弾性変形部
33b1 :端部
33c :芯体
34 :ベルト駆動機構
34a :第1プーリー(回転部材)
34e :第2プーリー(回転部材)
38 :案内部材
38a :内面(基準面)
133 :ベルト(搬送無端ベルト)
133a :本体部
133b :弾性変形部
133b1:端部
133c :芯体
133d :伸縮体
133e :棒状部位
233 :ベルト(搬送無端ベルト)
233a :本体部
233b :弾性変形部
C30等 :硬貨
D1 :距離(所定間隔)
Ra :径方向
Ro :周方向
W :幅方向

Claims (7)

  1. 回転部材に噛み合った状態で搬送対象物を搬送面に押圧しながら搬送方向となる周方向に沿って搬送する搬送無端ベルトであって、
    前記回転部材に支持される本体部と、
    前記本体部から幅方向に延出した弾性変形部と、を備え、
    前記弾性変形部は、前記本体部よりも弾性率が小さく構成されており、
    前記弾性変形部の端部と前記搬送対象物とが接触したとき、前記端部が前記幅方向および前記周方向と垂直な方向である径方向に変形して、前記搬送対象物が前記端部により押圧保持される搬送無端ベルト。
  2. 前記本体部と前記弾性変形部とは同一材料で構成されており、
    前記弾性変形部の前記径方向の厚さが前記本体部の前記径方向の厚さよりも小さく形成されている請求項1に記載の搬送無端ベルト。
  3. 前記本体部には、前記周方向に伸縮しない芯体が埋設されている請求項1又は2に記載の搬送無端ベルト。
  4. 前記弾性変形部は、前記周方向に沿って互いに離間した複数の棒状部位を有しており、
    複数の前記棒状部位は、前記周方向に伸縮可能な伸縮体により互いに結合されている請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送無端ベルト。
  5. 前記搬送対象物は、少なくとも厚さの異なる複数種類の硬貨である請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送無端ベルト。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送無端ベルトを備えた硬貨処理装置であって、
    回転する硬貨搬送円盤と、前記搬送無端ベルトと、を備え、
    前記硬貨搬送円盤は、上面に接触した硬貨を前記搬送無端ベルトに向けて搬送し、
    前記弾性変形部の前記端部は、前記硬貨搬送円盤の前記上面にある前記硬貨に接触して前記径方向に弾性変形した状態で前記硬貨を押圧保持し、前記硬貨を前記硬貨搬送円盤の外部へ搬送する硬貨処理装置。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送無端ベルトを備えた硬貨処理装置であって、
    硬貨を搬送する搬送通路と、前記搬送無端ベルトと、前記搬送無端ベルトを前記搬送通路に沿って配置するベルト駆動機構と、を備え、
    前記ベルト駆動機構は、前記弾性変形部の前記端部を前記搬送通路の搬送面に対して前記幅方向に所定間隔を空けて配置し、前記弾性変形部の弾性復元作用により、前記搬送通路の一方側に形成された基準面に硬貨を寄せつつ搬送する硬貨処理装置。
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