以下において、本発明の好適な態様および実施形態を、添付図面を参照してより詳細に説明する。異なる図面および実施形態における同一または同様の特徴を、同様の参照番号によって示す。なお、様々な好適な態様および好適な例示の実施形態に関する以下の詳細な説明は本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解されたい。
図1は、例えば自律運転システムを含む運転支援システムなど例示の実施形態による運転支援システムを備えた車両100を例示的に図示する。
本発明の意味において、自律運転システムは、運転手の影響なく、または少なくとも極めて少ない運転手の影響もしくは制御によって例えばクルーズコントロール、追い越し操作、車線変更操作、転回操作、停車動作などの車両の運転動作を自動的(または少なくとも半自動的)に制御するように構成されたシステムである。
ただし、本発明の例示の実施形態の運転支援システムは様々な異なる運転動作または運転操作を制御するように任意で構成され、例えば対象ルートに沿って車両を完全かつ自律的に制御するように構成されてもよいが、例示の実施形態は、車両が道路の一車線から該道路の別の車線へ連続的に移行するように動作される車線変更運転動作の制御に具体的に関してもよく、特に、高速道路の車線と合流するアクセス車線上において例えば車両が高速道路などに進入する場合の車線合流動作に関することが好ましい。
車両100は2輪、3輪、4輪以上の車輪を有する車両でもよく、車両は燃焼エンジン、電動機またはその組み合わせによって駆動されてもよい。車両は、前輪駆動、後輪駆動または四輪駆動によって駆動されてもよい。例示的に、図1の車両100は、左前輪「FL車輪」、右前輪「FR車輪」、左後輪「RL車輪」および右後輪「RR車輪」を含む4輪を有する車として具体化される。
車輪のそれぞれはブレーキ16FL、16FR、16RLおよび16RR(例えばブレーキシリンダ、ピストン、ブレーキパッドなどを含む)4つのブレーキのそれぞれのブレーキを例示的に備えており、例示的に、それぞれの車輪速度センサは、4つのブレーキ16FL、16FR、16RLおよび16RRのそれぞれに対応している。図1の例示の車輪速度センサ22FL、22FR、22RLおよび22RRを参照。
図1の車両100の運転支援システムは、ステアリング制御機構10を制御するように構成されたステアリング制御部8(ステアリング制御部)と、ブレーキ制御機構13を制御するように構成されたブレーキ制御部15(ブレーキ制御部)と、車両100のスロットル制御機構20を制御するように構成されたスロットル制御部19(スロットル制御部)とに通信可能に接続された運転支援制御部1(運転支援制御部)を例示的に含む。
一般に、それぞれの制御機構10、13および20のそれぞれの制御部8、15および19に対して運転支援制御部1は制御値および/または制御信号を出力するように構成され、それぞれの制御機構10、13および20のそれぞれの制御部8、15および19は通信によって運転支援制御部1からそれぞれのコマンド値またはコマンド信号を受信するように構成され、コマンド値に基づいて制御機構10、13および20のアクチュエータを制御するように構成される。
いくつかの例示の実施形態において、運転支援制御部1は、車両100によって実行される運転動作を制御するためにそれぞれの制御機構10、13および20を自律的および自動的に制御するように構成された自律運転制御部として実現されてもよい。
例示的に、運転支援制御部1は、図示しないが、中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および入力/出力部を含んでもよい。例えば下記に説明するように、車両運転支援動作の処理手順はROMに格納されてもよい。
さらに、マップデータ(例えば道路システムの地理的配置を示すナビゲーションマップデータまたはその他のマップデータ)はROMに格納されてもよく、車両100の周囲を示す特定のマップデータは、例えばGPSセンサ(図示せず)データ、各車輪の回転速度および/または検出ステアリング角度に基づいてなどの衛星ナビゲーションシステムに基づいて例えば位置センサを用いて算出された自車両位置に応じて抽出可能である。
詳細には後述するが、運転支援制御部1は、車線変更ができない場合、外部認識センサによって検出される自車両と周囲車両との間の相対距離および相対速度に基づいて、例えば車線変更を可能にするようになど所望の運転動作の制御を実現するために、車両を案内するそれぞれの制御機構10、13および20の制御部8、15および19に対して供給されたコマンド値を算出するように構成される。
上述したように、運転支援制御部1は、車両100の周囲領域に関するセンサ情報を含むセンサ情報に基づいて動作してもよい。図1の例において、車両100は複数のセンサ2、3、および5を例示的に含む。
例えば、センサ2、3、4および5は、車両100の周囲領域を検知するため、および/または車両100の周囲の障害物検出するための車両の外側を認識または認知するためのセンサ装置を備えてもよい。そのようなセンサは、1つ以上のカメラ(CCDカメラ、赤外線カメラおよび/またはステレオカメラなどの通常のカメラを含む)と、1つ以上のレーダ、および/または1つ以上のライダーまたはレーザレーダなどとを備えてもよい。
例として、図1において、車両の外側を認識するセンサは、車両前方に配置されたカメラ2と、その右側および左側に配置されたレーザレーダ3および4と、その後方に配置されたミリメートル波レーダ5を含むことによって、車両100(自車両)と周囲車両との間の相対距離および相対速度を検出可能にする。
例示の実施形態において、上記センサの組み合わせはセンサ構造体の一例として使用される。ただし、本発明はそれに限定されず、超音波センサ、ステレオカメラ、赤外線カメラまたはその組み合わせも上記センサとともに使用されてもよく、上記センサの代わりに使用されてもよい。センサの信号は運転支援制御部1に供給可能である。
さらに、例として、車線変更支援入力装置11への運転手の入力は運転支援制御部1に対して供給される。例として、車線変更支援入力装置11は、例えば、ウィンカーおよび/または点滅信号灯を使用してもよく、車線変更支援動作はそのオン/オフ情報に基づいて決定可能である。ただし、車線変更支援入力装置11はウィンカーまたは点滅信号灯に限定されず、専用の入力装置を使用してもよい。
通常、車線変更支援入力装置11は、車線変更などを実行する運転手の命令および/または運転手の意図を示す運転手の動作を受信するように構成された入力インタフェースを含む。
上記を要約すると、例示の実施形態による運転支援システムは、車両の外側を認識または認知するための複数のセンサ2、3、4および5と、センサによって認識された情報に基づいて車線変更を支援するステアリング制御機構10、ブレーキ制御機構13、およびスロットル制御機構20、制御機構10、13および20のアクチュエータに対して供給されたコマンド値を算出する運転支援制御部1と、運転支援制御部1からのコマンド値に基づいてステアリング制御機構10を制御するステアリング制御部8と、各車輪に対する制動力の分配を調節するために上記コマンド値に基づいてブレーキ制御機構13を制御するためのブレーキ制御部15と、エンジンのトルク出力を調節するために上記コマンド値に基づいてスロットル制御機構20を制御するためのスロットル制御部19とを含む。さらに、図1の運転支援システムは、例として警告装置23を含む。
さらに、運転支援制御部1は、例として、例えば縦方向の加速度、横方向の加速度およびヨーレート、車輪に取り付けられた車輪速度センサ22FL〜22RRからのセンサ信号、運転支援制御部1からの制動力コマンド、および/またはステアリング角度検出器21からステアリング制御部8を介して供給されるセンサ信号を検出可能な合成車両システムセンサ14からセンサ信号が供給される。
さらに、ブレーキ制御部15の出力は、例として、ポンプ(不図示)および制御弁を含むことが可能なブレーキ制御機構13に接続され、ブレーキ制御部15は運転手のブレーキペダル動作からは独立して車輪に対してかけられる任意の制動力を生成可能である。ブレーキ制御部15は、上記の情報に基づいて車両100のスピン、ドリフトおよびロックを推測可能であり、それらを抑制するために関連車輪に対する制動力を生成可能であることによって、運転手の動作または運転動作のハンドリングおよび安定性が向上可能となる。
運転支援制御部1はブレーキ制御部15に対してブレーキコマンドを送信可能であることによって、車両100において任意の制動力を生成可能である。なお、本発明はブレーキ制御部に限定されるものではなく、ブレーキバイワイヤなどの他のアクチュエータを使用可能である。
図1の運転支援システムのブレーキ制御システムは、例として、ブレーキ作動制御信号に基づいてブレーキ16FL、16FR、16RLおよび16RRを作動させるためのブレーキ制御機構13および/またはそれぞれのブレーキ16FL、16FR、16RLおよび16RRに対してブレーキ制御部15から送信されるブレーキ作動制御信号に例えば基づいて、ブレーキ16FL、16FR、16RLおよび16RRの動作を制御するように構成されたブレーキ制御部15に対して通信可能に接続されたブレーキ制御機構13を含む。
例として、ブレーキ制御部15は電気制御信号を出力するが、ブレーキ制御機構13は電気アクチュエータを有する電気制御システムとして実現されてもよい。ただし、ブレーキ制御機構13はさらにまたは代替として機械的、油圧および/または空気作用によるアクチュエータを有してもよい。
例として、車両100は、例えば、車両100の車両制御に影響するまたはブレーキ制御を引き継ぐために、車両運転手によって作動可能なブレーキペダル12をさらに含む。すなわち、車両100は、運転手が車両100のブレーキペダル12またはさらにハンドル6またはアクセルペダル17などの専用の入力装置によって車両100の制御に影響するさらには制御を引き継ぐことが可能なように構成される。
例えば、ブレーキペダル12を踏むという運転手ペダル作業は、マスターシリンダー(不図示)によるペダル操作に従って油圧を生成するためにブレーキブースター(不図示)によって増幅(例えば二倍)されることが可能である。生成された油圧はブレーキ制御機構13を介して、ブレーキ16FL〜16RRの車輪のそれぞれのブレーキシリンダに対して供給されてもよい。車輪のブレーキ16FL〜16RRはシリンダ(不図示)と、ピストンと、ブレーキパッドなどとから構成されてもよい。ピストンは、マスターシリンダー(不図示)から供給されたブレーキ液によって推進されてもよく、そのピストンと接続されたブレーキパッドは円盤回転子上で加圧されてもよい。円盤回転子は車輪(不図示)とともに回転可能である。そのため、円盤回転子上に作用するブレーキトルクは車輪と道路との間に作用する制動力となる。それによって、運転手のブレーキペダル動作に応じて車輪に対して所望の制動力が発揮可能となる。
例として、ブレーキ制御部15は、図1に詳細に図示しないが、例えば中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および入力/出力部を含んでもよい。
図1の運転支援システムのステアリング制御システムは、例として、ステアリング作動制御信号に基づいてステアリング制御部8からステアリング制御機構10に対して送信される例えばステアリング作動制御信号に基づいて、例として前輪に対応するステアリング制御機構10の動作を制御するように構成されたステアリング制御部8に対して通信可能に接続されたステアリング制御機構10を含む。
例として、ステアリング制御部8は電気制御信号を出力するが、ステアリング制御機構10は電気アクチュエータを有する電気制御システムとして実現されてもよい。ただし、ステアリング制御機構10は機械、油圧および/または空気作用アクチュエータをさらにまたは代替として有してもよい。
例として、車両100は、例えば車両100の車両制御に影響するため、またはステアリング制御を引き継ぐために、車両運転手によって作動可能なハンドル6さらに含む。すなわち、車両100は、運転手が、車両100のハンドル6またはさらにブレーキペダル12またはアクセルペダル17などの専用の入力装置によって車両100の制御に影響するまたは引き継ぐまでも可能となるように構成される。
例として、運転手によってハンドル6を介して入力されたステアリングトルクおよび/またはステアリング角度は、それぞれステアリングトルク検出器7および/またはステアリング角度検出器21によって検出可能であり、ステアリング制御部8は支援トルクを生成するために検出情報に基づいて内燃機関を制御可能である。
図1には詳細に示さないが、例として、運転支援制御部1と同様に、ステアリング制御部8は、例えば、中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および入力/出力部を含み得る。ステアリング制御機構10は、前輪を回転させるための運転手のステアリングトルクおよび内燃機関による支援トルクの合成された力によって動作されることが可能である。一方、道路表面からの反力は、前輪の回転角度に応じてステアリング制御機構10に対して送信された後、運転手に対して送信可能である。
ステアリング制御部8は、運転手のステアリング動作から独立して内燃機関9によってトルクを生成可能であり、ステアリング制御機構10を制御可能である。それによって、運転支援制御部1はステアリング制御部8に対してステアリング力コマンドを送信することによって前輪を任意の回転角度に回転するように制御可能である。ただし、本発明は、ステアリング制御部の使用に限定されるものではなく、ステアリングバイワイヤーなどの他のアクチュエータを使用可能である。
図1の運転支援システムのスロットル制御システムは、例として、例えばスロットル作動制御信号に基づいてスロットル制御部19からスロットル制御機構20に対して送信されたスロットル作動制御信号に基づいて、スロットル制御機構20の動作を制御するように構成されたスロットル制御部19に対して通信可能に接続されたスロットル制御機構20を含む。
例として、スロットル制御部19は電気制御信号を出力するが、スロットル制御機構20は電気アクチュエータを有する電気制御システムとして実現可能である。ただし、スロットル制御機構20は、さらにまたは代替として機械的、油圧および/または空気作用によるアクチュエータを有してもよい。スロットル制御機構20は、さらに、燃焼エンジンおよび/または電気駆動内燃機関を例えば含む車両100の駆動システムを含んでもよい。
例として、車両100は、さらに、例えば車両制御に影響する、または車両100のスロットル制御を引き継ぐために車両運転手によって作動可能なアクセルペダル17を含む。すなわち、車両100は、車両100のアクセルペダル17またはさらにハンドル6またはブレーキペダル12などの専用の入力装置によって車両100の制御に影響または引き継ぐことまで運転手ができるように構成される。
例として、運転手のアクセルペダル17のペダル踏込み量はストロークセンサ18によって検出可能であり、スロットル制御部19に対して入力可能である。スロットル制御部19は、さらに、図1に詳細に示していないが、例えば、運転支援制御部1と同様に、中央演算処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および入力/出力部を含んでもよい。スロットル制御部19は、スロットル制御機構20の駆動システムを制御するために、アクセルペダル踏込み量に応じてスロットル開口部を調節可能である。それによって、車両100は運転手のアクセルペダル動作に応じて加速可能である。さらに、スロットル制御部は、運転手のアクセルペダル動作とは独立してスロットル開口部を制御可能である。そのため、運転支援制御部1は車両100において任意の加速度を実現するためにスロットル制御部に対して加速度コマンドを送信可能である。
要約すると、上記の制御動作にしたがって、自律運転システムが自動車線合流の制御を例として実行する場合、ブレーキ制御機構およびスロットル制御機構は、車両100の速度を適切に制御するために車両100(自車両)の近傍の周囲車両の状況に応じて調節されることによって、車線変更が可能な位置に車両を案内可能である。また、車線変更のためのシステム制御ステアリングは、ステアリング制御機構の制御を実行することによって実現可能である。
図2は、例示の実施形態による運転支援システムの制御処理のフローチャートを例示的に図示する。具体的には、図2は、例えば運転支援制御部1のメモリに格納されるなど、制御プログラムまたは制御プログラム部分の処理命令に応じて自動合流処理の制御処理を例として示すフローチャートである。
まず、運転支援制御部1は車線変更/自動合流が必要であるか否かを判断する(工程S201)。例えば、運転支援制御部1は以下の判断基準の1つ以上に基づいて車線変更が必要であると判断できる。すなわち、車両のナビゲーションシステムによって決定された通りのナビゲーションルートをたどるために車線変更が必要である、例えば車線変更支援入力装置11に対しての入力に基づいて車線変更の意図または要求を運転手が示すために車線変更が必要である、自車両(車両100)の前方の他車両が目標速度条件を満たすために追い越さなければいけないために車線変更が必要である、(例えば高速道路入口において)他の車線に合流するために車線変更が必要である、現在の車線が無くなろうとしている、または道路条件、障害物などに起因して不適切であるため車線変更が必要である、指示された回転動作の前に回転するために指示された車線に進入するために車線変更が必要であるという判断基準である。
工程S201の判断がYESの場合処理は工程S202に進み、NOの場合車線変更/自動合流は必要なく、処理は戻る。
工程S202の処理において、図3A、3Bおよび3Cに例示的示すように、運転支援制御部1は、車両100(自車両)の車線変更の意図を周囲の他車両に通知する処理を実行する。
図3A、3Bおよび3Cは、車線変更の意図を示す異なる選択肢を周囲車両に示す。
まず、図3Aに例示的に示すように自車両100においてウィンカー(点滅信号灯)をオン状態とすることによって、例えば他車両101などの周囲車両に対して車線変更の意図を示す方法がある。
さらに、またはあるいは、自車両100を制御することによって、図3Bに例示的に示すように運転手が現在の車線から変更を希望している隣接した車線との境界に沿って自車両101が移動される方法がある。
上記の制御を実現するために、運転支援制御部1は、まず、車両前方に配置されたカメラ2の情報を使用することによって車線を検出してもよい。運転支援制御部1は、その後、上記の動きに必要な目標ステアリング角度またはステアリング支援トルクを算出してもよい。目標ステアリング角度またはトルクはステアリング制御部8に対して送信可能である。それによって、車両は隣接した車線との境界に沿って移動するように制御可能である。
さらにまたはあるいは、車両101などの他車両に対して自車両100の車線変更意図を通知する方法として、図3Cに例示的に示すように、工程S202において、他車両に対して車両間通信によって車両の車線変更意図を送信する方法もある。
上述のように、運転手の車線変更意図は工程S202の処理によって明確に自車両100から他車両に対して送信可能であるため、図3A〜3Cの車両101などの他車両は自車両の車線変更意図を認識可能であり、それによって車線変更が円滑に実行可能となる。
図2に戻り、次に、運転支援制御部1は自車両101の周囲の1台以上の後続車両が、意図した車線変更の対象車線を走行しているか否かを検出可能であるかを判断する(工程S203)。YESの場合処理は工程S204に進み、そうでなければ処理は工程S210に進む。
すなわち、工程S203において、センサ2、3、4および/または5から取得されたセンサ情報に基づいて、自車両100の周囲の1台以上の車両が、自車両100の次または後ろ(後方)で対象車線(すなわち車両100の経路が変更され車両100が車線変更動作後に走行予定の対象車線)の内側を走行していることを検出可能であるかが確認される。
上述したように、工程S203において、自車両101の周囲において少なくとも1台の後続車両が意図した車線変更の対象車線を走行していると検出された場合、処理は工程S204へと続く。
工程S204において、例えば、運転支援制御部1は、図4に例示的に示すように、車両の前方部分を検出するカメラ2、車両の側方部分を検出するレーザレーダ3および4、車両の後方部分を検出するミリメートル波レーダ5などのセンサの情報に基づいて自車両100と検出周囲車両との間の相対距離および相対速度を決定または算出する。
図4は、自車両100が3台の他車両101、102および103によって囲まれて道路を走行している状況例を例示的に図示する。
例として、図4において、自車両100は道路の左車線を走行しており、3台の他車両101、102および103によって囲まれている。車両103は、例として、自車両の前方の自車両100と同じ車線を走行している。車両101は、例として、自車両100の次の他車線(車線変更が制御対象である場合の可能な対象車線)を走行しており、車両102も、例として、その他車線(すなわち、車線変更が制御対象の場合の可能な対象車線)であるが自車両100の後方を走行している。
図4において、参照番号A2、A3、A4およびA5は、例として、車両100の前方(センサ2の検知領域A2)および後方(センサ5の検知領域A5)、ならびに車両100の左(センサ3の検知領域A3)および右(センサ4の検知領域A4)にある障害物(例えば車両)を検知するセンサ2、3、4および5のそれぞれの検知領域に関する。したがって、自車両100の周囲にある車両のうち、車両102はセンサ領域A5に配置されているため車両102はセンサ5によって検出可能であり、車両101はセンサ領域A4に配置されるため車両101はセンサ4によって検出可能であり、車両103はセンサ領域A2に配置されているため車両103はセンサ2によって検出可能である。
例として、図4の状況において、工程S203の結果がYESであり、運転支援制御部1が工程S204において自車両と車両102との間の相対距離および速度を算出し、自車両と車両101との間の相対距離および速度もおそらく算出し、車線変更が所望または意図されている場合に、その両方が可能な対象車線に配置されているとする。
例えば、自車両100の速度は車輪速度センサ22FL〜22RRの情報に基づいて推定可能である。例えば、4個の車輪速度センサの情報の最高速度が推定車両速度として設定されるように選択可能である。車両速度の推定方法はそれに限定されず、車輪速度センサの平均値を使用する他の方法が使用可能である。
他車両の相対位置および相対速度は、例えば自車両100の重心を原点にし、例としてX軸を自車両100の前方に向かって設定し(例えば車両100の軸方向に沿う)、例としてY軸を自車両100の左側に設定する共垂直(covertical)(例えば共動)座標系で表現可能である。
例えば、時間tにおける自車両100の重心とX軸方向の周囲車両(i=1,2,3,..,i)との間の相対距離Xi(例えば車両101はX1、車両102はX2、および車両103はX3)および相対速度Vi(例えば車両101はV1、車両102はV2、および車両103はV3)は、以下の式で表わすことができる。
例えば車両101に対してi=1、車両102に対してi=2など、例として、接尾辞iはi番目の車両を表わす。さらに、i番目の車両の相対速度Viは、例として、周囲のi番目の車両が自車両100に接近する方向の速度が正となるように定義される。
図2に戻り、工程S204において他車両の相対位置および相対速度を決定すると、工程S206において、運転支援制御部1は、例として、車線がそれぞれ決定された相対位置および相対速度に基づいて変更される場合、好ましくは、検出された周囲の車両、または少なくとも車線変更の対象車線において検出された周囲車両のそれぞれに対して、衝突危険性を算出する処理に進む。
例として、上記で推定された自車両の速度は、車線変更に必要な時間T1を算出するために、図5に例示的に示すように、車線変更/合流に必要な自車両100の車両速度V0対時間T1の所定の相関マッピングに適用される。
図5は、自車両100の車両速度V0に応じた車線変更/合流に必要な時間T1の相関マッピングを例示的に図示する。
図5に例示的に示す相関マッピングは、自車両100の車両速度V0が高いほど車線変更に必要な時間T1が短いように設定される。それによって、高速度では車線変更(または車線合流)に必要な時間T1が短く、低速度では時間T1が長いため、車線変更に必要な時間T1は自車両100の車両速度V0に応じて正しく算出可能である。
そのような相関マッピングは事前に決定されることが可能であり、その他の例示の実施形態では、自車両100の車両速度V0に応じて車線変更に必要な推定時間T1を決定するために使用可能である。一方、車線変更に必要な時間は、自車両の前方の車両速度に基づいて、さらに検出された車線幅に基づいて(例えば車両前方のカメラ2の検出ビューに基づいて)算出してもよい。
次に、時刻t+T1における自車両100の周囲のi番目の車両までの車間距離Xi^gapおよび車線変更が行われる時刻t(車線変更に必要な時間T1後)における衝突危険性を表わす同時刻t+T1における衝突までの推定時間または衝突予測時間Ti^ttcが、以下の式によって車線変更に必要な算出時間T1に基づいて算出される。
上記式において、L0は自車両100の全長(前後方向)、Liは自車両100の周囲の車両iの長さを表わす。
したがって、i番目の車両に対して、時刻t+T1における車間距離Xi^gapは、車線変更動作の開始時間tと車線変更動作の推定時間T1、さらには車線変更が完了すると予想される時刻t+T1における自車両100からi番目の車両までの予想される相対距離Xiを考慮した場合のi番目の車両と自車両100との間の車線変更(または車線合流)完了後の推定間隙距離を表わす。例えば、時刻t+T1における自車両100からi番目の車両への予想相対距離Xiは、工程S204において算出された自車両100に対するi番目の車両の相対距離Xiおよび相対速度Viに基づいて推定してもよい。
さらに、例として、同じ時刻t+T1における推定衝突予測時間Ti^ttcは、車線変更完了後のi番目の車両と自車両100との間で衝突が起きるまでの時間の推定を表わす。
次に、運転支援制御部1は、周囲車両のそれぞれに対して、または少なくとも所望の車線変更の対象車線を走行している周囲車両のそれぞれに対して、式(2)および(3)によって算出された算出車間距離Xi^gap(t+T1)および衝突予測時間Ti^ttc(t+T1)に基づいて、車線変更が実行可能か否かを判断する(図2の工程S207)。
例として、車線変更が可能であると判断できるとすると、算出車間距離Xi^gap(t+T1)は、相対距離の閾値Xi^gap_a(以下第1の所定値と呼ばれる)よりも大きく(またはそれ以上)、算出衝突予測時間Ti^ttc(t+T1)が衝突予測時間に対する閾値Ti^ttc_a(以下第2の所定値と呼ばれる)よりも大きい(またはそれ以上)。
例えば、図6は、車間距離Xi^gap(横軸)および衝突予測時間Ti^ttc(縦軸)の対に対する許可可能な/可能な車線変更の破線範囲領域を例示的に図示する。
図2における工程S207に対する判断基準は、周囲車両iのすべてに対して、または少なくとも対象車線にある周囲車両i毎の相対距離および衝突予測時間が十分な時間を有する場合、すなわち、上述の第1のおよび第2の閾値Xi^gap_aおよびTi^ttc_aに基づいて、以下の式が満足された場合に車線変更が実行可能であると設定可能であることが好ましい。もしくは、例えば以下に式(4)で表わす条件が満足されないまたは満たされない場合、車線変更が実行可能でないと工程S207において判断される。
ここで、例として、対象車線における2台の車両101(i=1)および102(i=2)を有する図4の例に基づき、X1^gap_aは、例として、対象空間において前方の車両101に対して車線変更が実行可能であるかを判断するための相対距離の閾値(以下第1の所定値と呼ばれる)であり、X2^gap_aは、例として、対象空間における後方または後続車両102に対して車線変更が実行可能であるかを判断するための相対距離に対する閾値(以下第3の所定値と呼ばれる)である。
例えば、運転手が上記相対距離内に存在する(車線を変更している)相対速度にかかわらず、車線変更が実行されないと考えられる距離の第1および第3の所定値が与えられることが望ましい(例えば第1の所定値として7m、第3の所定値として10m)。
なお、これらの所定の閾値は事前に決定可能であるが固定である必要はなく、いくつかの例示の実施形態において、自車両100の車両速度V0に応じてまたは運転手によって変更可能である。例えば、第1および/または第3の閾値は、所定の関数(複数の関数可)に基づく車両速度V0に基づいて算出してもよく、例えばそれによって第1および/または第3の閾値は高車両速度V0に対して大きく決定されてもよく、第1および/または第3の閾値は自車両100の低車両速度V0に対して小さく決定されてもよい。
一方、例として対象車線において2台の車両101(i=1)および102(i=2)を有する図4の例に基づくと、時間パラメータT1^TTC_aは、例として、対象空間において前方の車両101に対して車線変更可能かを判断するための衝突予測時間(以下第2の所定値と呼ばれる)の閾値であり、時間パラメータT2^TTC_aは、対象空間における後続車両に対し車線変更可能かを判断するための衝突予測時間(以下第4の所定時刻と呼ばれる)の閾値である。
好ましくは、第2および第4の所定の閾値は、算出時刻(複数可)が衝突予測時間内にある場合に運転手が危険な状況であると感じる時間パラメータ(例えば5sを第2の所定値および6sを第4の所定値とする)である。
さらに、これらの所定の閾値は事前に決定可能であるが固定である必要はなく、いくつかの例示の実施形態において、自車両100の車両速度V0に応じてまたは運転手によって変更可能である。例えば、第2および/または第4の閾値は、所定の関数(複数の関数可)に基づく車両速度V0に基づいて算出してもよく、例えばそれによって第2および/または第4の閾値は高車両速度V0に対して大きく決定されてもよく、第2および/または第4の閾値は自車両100の低車両速度V0に対して小さく決定されてもよい。
上記式(4)の例示の判断基準によれば、例えば、相対距離が大きくても、衝突予測時間が短いと判断された(すなわちそれぞれの相対速度が大きい)状態で車線変更される場合、すなわち、車線変更直後に後続車に自車両100が追い越し可能な場合、安全上の理由により車線が変更できないと工程S207において依然として判断されることが好ましい。
決定された相対速度が負の場合でも、すなわちそれぞれのi番目の車両がいなくなって自車両100からの距離が増加した場合、相対距離が短く、好ましくは車線変更後の車間の間隙が小さくなることを回避するために、工程S207において車線変更は実行不可であると判断可能である。
例えば上記の判断によって車線変更が実行可能であると工程S207において判断される場合(工程S207はYESに戻る場合)、処理は図2の工程S209に進み、所望の車線変更が運転支援制御部1の制御によって実行される。
一方、S207の判断がNO(すなわち)の場合、処理は工程S208に進み、自車両100の運転手に対して警告が発せられる。
なお、車線変更適正判定は図6(または上記式4)のものに限定されるものではなく、その他の例示の実施形態において、図6の横軸に設定された定義は例えば相対速度Viと置き換えられてもよい。
工程S208において、工程S207がNOに戻った場合、運転支援制御部1は例えば図7に示すように自車両の運転手に対して警告を発する警告処理を実行する。
図7は、自車両100の機器パネル上の警告を点灯するおよび/または警告音を作動する警告処理を例示的に図示する。光および/または音による警告は、算出危険性のレベルに応じて輝度および音量においてそれぞれ変化可能である。
まず、図7に示すように、警告装置23(図1も参照)の警告ランプの表示サイズおよび警告音の音量は、図7に示すように工程S206において算出された衝突危険性に応じて変化可能であるため、例えば、運転手は車線変更が不可であるということを知らされる(工程S208)。例えば衝突危険性に応じて表示警告光および/または警告音量は変更可能であるため、運転手が車線変更可能な時を予測できる。
一方、図2に戻り、工程S207がYESに戻る場合、工程S209において、所望の車線変更は運転支援制御部1の制御によって実行される。
例えば、運転支援制御部1は、例えば図8に示すように車線変更に対する制御の処理を実行可能である。
図8は、運転支援制御部1による車線変更制御処理のフローチャートを例示的に図示する。
まず、図8に例示的に示すように、車線変更のための目標経路が、例えばカメラ2によって自車両100の前方に検出された車線標識に基づくなど、例えば取得された車線標識情報に基づいて、工程S901において算出される。同様に、またはさらに、車線変更のための目標経路を、検出された車両位置の前方の道路の車線位置に関するマップ情報を含むナビゲーション情報に基づいて決定してもよい。
工程S902において、工程S901において決定された目標経路に基づいて、目標経路をたどるようにステアリング支援トルクが算出され、ステアリング支援トルクは、工程S902で決定された目標ステアリング支援トルクに基づいてステアリング制御機構10を制御するようにステアリング制御部8に対して指示され、車両100は、運転支援制御部1の制御に基づいて車線変更を実行する。
工程S903において、運転支援制御部1は車線変更が終了したか否かを判断する。工程S903がYESに戻った場合、車線変更に対する制御の処理は終了する。工程S903がNOに戻る場合、処理は工程S901に戻る。
上記において、図2に戻り、自車両101の周囲の少なくとも1台以上の後続車両が意図した車線変更の対象車線を走行していることを運転支援制御部1が検出した場合(工程S203はYESに戻る)の処理を説明した。
次に、運転支援制御部1が意図した車線変更の対象車線において自車両101の周囲における後続の車両が走行しているのを検出しなかった場合(工程S203はNOに戻る)の処理を説明する。
すなわち、車線変更の対象車線において後続の車両が検出されないと工程S203において判断された場合、すなわち車線変更の対象車線において後続の車両が1台も検出されない場合、工程S210において検知領域が算出される。これを図9に例示的に図示する。
図9は、自車両100が車線変更を実行し、対象車線における後続車両101が実際の検知領域を限定する障害物(例えば壁)に起因して検出できない状況を例示的に示す。
具体的には、図9の例において、自車両100のセンサ(複数可)を介して利用可能な実際の検知領域は、破線領域が障害物(例えば壁)に起因して検知不可であるため、この状況において破線領域は実際の検知領域に含まれない点で限定されている。実際の検知領域は、実際に利用可能な検知領域とも呼ばれ、最大限に利用可能な検知領域(自車両100のセンサの検知領域を限定する障害物が全くない場合に利用可能)と比較される。実際に利用可能な検知領域は、検知領域において障害物が全くない場合に最大限利用可能な検知領域に対応しているが、実際に利用可能な検知領域は、検知領域が検知領域の内側の障害物によって限定される場合(例えばレーダなどの2Dセンサの場合)最大限に利用可能な検知領域よりも小さい場合がある。
例えば、実際の検知領域は、例として、自車両100のセンサによって検出される1つ以上の障害物に対する放射状最大距離に基づいて算出可能である。ただし、実際の検知領域の算出方法は上記方法に限定されない。例えば、3Dセンサ(例えばステレオカメラまたはレーザレーダ装置)の場合、検出された道路表面領域は実際の検知領域として設定可能である。また、実際の検知領域は占有格子地図として表わされることも可能である。
次に、図2に戻り、工程S211において、例えば図10に図示するような例示の処理に基づいて最大相対速度が算出される。
図10は、最大相対速度を決定している処理の一例のフローチャートを例示的に図示する。
例として、最大相対速度は図10において工程S1101において算出され、自車両100の速度は、例えば上述したように各車輪の回転速度に基づいて決定/算出されることを含む。
工程S1102において、仮想の他車両の最大速度は、現在の道路部分の制限速度、時刻、季節、道路表面条件および/またはこの地域における蓄積速度データ(統計車両速度データなど)などのうちの少なくとも1つに基づいて決定/算出される。なお、仮想車両の最大速度の推定方法は上述の態様に限定されない。例えば、車両の最大速度は、現在の道路部分の制限速度に基づいてまたはそれに応じて決定されてもよく、閾値によって調節してもよい(例えば、交通条件、季節的条件、道路条件などに応じて、後続車両がある速度パーセントだけ制限速度を超過する可能性を含むなど)。
すなわち、工程S1101において自車両100の現在の速度が決定され、工程S1102において車線変更の対象車線上を走行している非検出の可能性のある後続車両(仮想車両)の最大速度が、例えば現在の道路部分の制限速度に基づいて、および/または現在の道路部分に対して利用可能な統計速度データに基づいて推定される。
工程S1102において決定された仮想車両の最大速度または工程S1101において決定された自車両速度に基づいて、工程S1103において、自車両100と他の仮想車両との間の最大相対速度が算出または決定される。
例えば(以下の数は例示の値に過ぎない)、自車両が自車両速度80km/時でランプ道路上におり、このランプ道路は制限速度100km/時の高速道路に合流される場合、自車両100と他の仮想車両との間の最大相対速度は、自車両速度と、高速道路上の対象車線上を制限速度で走行していると仮定される仮想車両の決定された最大速度との差に基づいて20km/時と決定できる。また、例えば10km/時を安全性の限界と考える場合、(仮想車両が10km/時だけ制限速度を超過している可能性があると仮定した場合)、自車両100と他の仮想車両との間の最大相対速度は、安全性の限界を考慮すると、自車両速度と、高速道路上の対象車線上を制限速度で走行していると仮定される仮想車両の決定された最大速度との差に基づいて30km/時と決定できる。また、時刻、予想される交通条件、季節条件、統計データなどに応じて、安全性を理由として最大相対速度をさらに調節可能である。
次に、図2に戻り、工程S212において、工程S211で決定された最大相対速度に基づいて、車線変更および/または合流に対して必要な検知領域が算出または決定される。
例えば、隣接した車線(対象車線)に沿った車線変更に必要な長さは、工程S212において決定された最大相対速度に基づいて算出可能である。この必要な長さは、相対速度に応じて算出可能である。例えば、相対速度が高いほど必要な長さは長く決定され、相対速度が低いほど必要な長さは短く決定される。さらに、この必要な長さは、上述したように車線変更/合流に必要な決定/推定時間T1に基づいて決定可能である。
その後、例として、車線変更を安全に実行するために利用可能となるように必要であると推定される必要な検知領域、すなわち車線変更/合流の要件と見なされる検知領域は、決定された必要な長さに基づいて算出または決定され、さらにマップデータおよび/または自車両100のセンサによって検出された車線標識情報に基づいて決定されてもよい。
例として、必要な検知領域が例えばマップデータおよび/または自車両100のセンサによって取得された車線標識情報に基づいた隣接した車線(対象車線)の形状に基づいて算出/決定可能であるため、例として、上記のアルゴリズムは、道路の曲線の曲線形状とは関係なく合流または車線変更にも適用可能である。ただし、実際の検知領域の算出方法は上記の方法に限定されない。例えば、必要な検知領域は、隣接した車線および隣接した車線の次の車線に基づいて算出可能である。
工程S213において、運転支援制御部1は、工程S212において決定された必要な検知領域が工程S210において決定された実際の検知領域に含まれるかを判断する。例えば、工程S213において、工程S212において決定された必要な検知領域は工程S210において決定された実際の検知領域よりも小さい、または少なくとも等しいかが決定される。
すなわち、運転支援制御部1は、現在の車線変更状況または合流状況において検知領域要件(検知領域条件)が満足されるかを工程S213において判断する。
工程S213がNOに戻る場合、処理は工程S214に進み、運転は自車両100の運転手に移行される。例えば、視覚および/または聴覚警告または車両に取り付けられた人間−機械インタフェースによって出力された移行命令によって、運転手は自車両100の制御を引き継ぐように指示され、または少なくとも、自車両100の制御が手動制御によって移行される必要があると警告される。
例えば、図11は運転手に対して警告メッセージを出力する自車両の機器パネルを例示的に図示する。
この警告メッセージは、警告メッセージの出力に加えて、運転手が運転制御を引き継ぐ必要がある場合に、運転手による車両の制御を引き継ぐ必要性の理由を示す表示を含むことによって、運転手は、手動制御が何故必要であるか、例えば何故自動化レベルが低減しているかについての情報および/またはいつまでに運転手が車両の手動制御を開始する必要があるかを理解できる。
工程S213がYESに戻る場合、処理は工程S209に進み、運転支援制御部1は、例えば図8と関連して例として上述したように車線変更を実行する。
なお、本発明の主な態様は図2の工程S210〜S214と関連して説明される。
すなわち、上記を要約すると、実際に利用可能な検知領域の限定に起因して、例えば検知領域における障害物に起因して、所望の車線変更/合流動作の対象車線において他車両(後続車両)が全く検出されない場合、車線変更を安全に実行するために必要とされる必要な検知領域は、例えば後続車両がブラインド合流状況において実際の検知領域の外側から高速度で接近している場合でも安全に合流を実現することを目的とする。
さらに、必要な検知領域が実際の検知領域に含まれていない場合、運転制御は代わりに運転手に移行される。この態様は、例えば合流領域の端部で運転手に対して制御移行が突然発生することを回避することを助けることによって運転手が車線変更または合流状況の開始前でも容易かつ安全に車両制御を引き継ぐことができるという利点を有する。
図12は、その他の例示の実施形態による運転支援システムの他の制御処理のフローチャートを例示的に図示する。
図12は運転支援制御部1のメモリに格納可能な自動合流処理を例示的に図示し、運転支援制御部1は対応する制御処理を実行するように構成されてもよい。
図12において、工程S1301〜S1314は、例として、上記図2のS201〜S214と同様である。
工程S1313がNOに戻ると、工程S315において、例として最も遅い合流開始点(または最も遅い車線変更点)が例えば自車両100のカメラ2またはその他の前方センサによって検出された情報および/またはマップ情報に基づいて算出または決定される。
最も遅い合流開始点は、例として、そこから自車両100が安全に合流できるまたは安全に車線変更もできる位置を表わす。
その後、工程S1316において、合流開始点における実際の検知領域は現在の実際の検知領域および決定された合流開始点に基づいて推定される。
工程S1317において、合流開始点における必要な検知領域は、必要な長さ、マップデータおよび/または自車両100のセンサによって検出された車線標識情報に基づいて算出または決定される(例えば工程S211と類似しているが、決定された一番遅い合流開始点に関するものである)。
S1318において、運転支援制御部1は、該合流開始点における必要な検知領域が該合流開始点における実際の検知領域に含まれるかを判断する(例えば工程S212に類似しているが、決定された最も遅い合流開始点に関するものである)。
工程S1318がYESに戻る場合、処理は工程S1319に進んで、合流操作(または車線変更操作)を継続する。
工程S1319において、最も遅い合流開始点において推定された実際の検知領域におけるブラインド領域を減らすために、車両は制御可能である。これは、自動合流または自動車線変更の実行の可能性を高くするという利点を有する。
工程S1318がNOに戻る場合、処理は工程S1314に進み、上記工程S214と類似して運転制御が運転手に移行される。
工程S1315〜S1319の処理の結果として、合流のための検知要件(検知条件)(すなわち工程S1318の判断)が少なくとも合流開始点または最も遅い合流開始点で満たされた場合、車両は合流操作または車線変更操作の実行を継続できる。
図13は、例えば高速道路の例示の合流部分の概略を例示的に図示する。
ここで、図12による例示の実施形態において、合流部分に進入する際に自車両100のセンサに対して利用可能な実際の検知領域が例として壁または類似の障害物によって邪魔されている間、例として、自車両100が合流部分の始まりにある時に、自車両100の運転支援制御部1が例として最も遅い合流開始点の必要な検知領域を合流開始点の実際の検知領域と比較する。これは、自動合流動作/車線変更動作が状況に応じて実行できるという利点を有する。
図14は、事前に取得されたデータに基づく実際の検知領域の算出/決定を例示的に図示する。
図14の上部は、例として、車両位置に関する実際の検知情報を時刻Aにおいてデータベースに格納する処理を示す。図14の下部は、例として、時刻B(時刻Aよりも遅い)において事前に格納された実際の検知情報を抽出する処理を示す。そのようなデータベースは車両に設けられてもよく、またはそのようなデータベースは遠隔地に配置されてもよく、例えばサービスプロバイダのデータベースセンタに配置されてもよく、そのようなセンタおよび/またはデータベースが無線通信を介して運転支援制御部1と通信してもよい。
例えば、自車両100は、最も遅い合流開始点で実際の検知領域を正確に推定可能となるように、自車両100が合流部分に到達する前に、合流部分の前方において実際の検知情報および/または可視性情報(例えば低/中/高可視性)を抽出可能である。
また、この情報は人間−機械インタフェースを介して運転手に対して表示可能である。これは、合流部分に到達する前または少なくとも最も遅い合流開始点に到達する前に、運転手が自車両100の制御を引き継ぐ準備ができるため、そのような情報は運転手にとって非常に有効であるという利点を有する。
上述したように、例示の実施形態においてデータベースは自車両100に実装可能であるが、データベースの位置および特定の構成は限定されず、データベースは上述したような他の例示の実施形態におけるデータセンタに実装可能である。データベースがデータセンタに取り付けられている場合、例えばカーツーX通信(Car-to-X communicationsまたはC2X)を使用して無線情報によって同じ情報を他車両が使用可能である。
当業者によって理解されるように、上述したような本発明および添付図面は、方法(例えばコンピュータ実装処理またはその他の処理)、制御装置(装置、機械、システム、コンピュータプログラム製品および/またはその他の装置)、またはその組み合わせとして具体化されてもよい。
したがって、本発明の実施形態は全体としてハードウェア実施形態、全体としてソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなど)、またはここで「システム」と一般に呼ばれるソフトウェアおよびハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形状をとってもよい。さらに、本発明の実施形態は、媒体において具体化されるコンピュータ実行可能プログラムコードを有するコンピュータ読込可能媒体上のコンピュータプログラム製品の形状をとってもよい。
以上、本発明の実施形態を方法および装置のフローチャート図および/またはブロック図を参照して説明した。なお、フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、および/またはフローチャート図および/またはブロック図の各ブロックの組み合わせはコンピュータ実行可能プログラムコードによって実現可能である。
コンピュータ実行可能プログラムコードは、特定の機械を製作するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、その他のプログラム可能なデータ処理装置の制御部などの処理装置に対して供給して、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行するプログラムコードがフローチャート、ブロック図、ブロック、図、および/または明細書で特定される機能/動作/出力を実現する手段を作成するようにする。これらのコンピュータ実行可能プログラムコードは、さらの特定の方法で機能するようにコンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置に指示可能なコンピュータ読込可能メモリに格納してもよく、コンピュータ読込可能メモリに格納されたプログラムコードはフローチャート、ブロック図、ブロック、図、および/または明細書で特定される機能/動作/出力を実現する命令手段を含む製品を作製する。コンピュータ実行可能プログラムコードは、コンピュータ実装処理を作製するために一連の動作工程をコンピュータまたはその他のプログラム可能装置上で実行させるコンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置にロードして、コンピュータまたはその他のプログラム可能装置上で実行するプログラムコードがフローチャート、ブロック図、ブロック、図、および/または明細書で特定される機能/動作/出力を実現する工程を実現するようにする。あるいは、コンピュータプログラム実行工程または動作は、本発明の実施形態を実行するためにオペレータまたは人間が実行した工程または動作と組み合わされてもよい。
なお、論理フローは本発明の様々な態様を表現するために本明細書において説明したが、本発明を特定の論理フローまたは論理実施例に限定すると解釈されるべきではない。説明した論理は、全体的な結果を変更せずに、もしくは本発明の真の範囲から逸脱することなく異なる論理ブロック(例えばプログラム、モジュール、機能、またはサブルーチン)に分割されてもよい。しばしば、論理要素は、全体的な結果を変更せずに、もしくは本発明の真の範囲から逸脱することなく、追加、修正、省略、異なる順番での実行、または異なる論理構造(例えば、論理ゲート、ループするプリミティブ、条件付き論理、およびその他の論理構造)を使用して実現可能である。
特定の例示の実施形態を添付図面において説明および図示したが、そのような実施形態は例示目的に過ぎず、広範な発明を限定するものではなく、上記パラグラフに記載のものに加えて様々なその他の変更、組み合わせ、省略、修正、置換が可能であるため、本発明の実施形態は図示および説明された特定の構造および配置に限定されるものではない。上述の実施形態の様々な適応、修正および/または組み合わせは、本発明の範囲および精神から逸脱することなく構成可能であることを当業者は理解されたい。したがって、添付の請求項の範囲内において、本発明は本明細書で具体的に説明した以外で実行可能であることを理解されたい。例えば、特記しない限り、本明細書で説明した処理の工程は、本明細書で説明した順番と異なる順番で実行可能であり、1つ以上の工程を組み合わせ、分割または同時に実行してもよい。当業者は、本開示を鑑みて、本明細書で説明する本発明の異なる実施形態を組み合わせて本発明の他の実施形態を形成してもよい。