JPWO2019078232A1 - 皮膚用二酸化炭素徐放パックおよび二酸化炭素を皮膚に徐放する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、非特許文献1では、二酸化炭素による肌質改善効果として、肌質改善を生じたケースで紅潮が認められたことが報告されている。
ここで、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の袋状容器には、十分な血行促進効果を得ることや、炭酸ガスを持続的に放出し、血行促進効果を長時間にわたり保持することに関して改善の余地があることが明らかになった。
内部に封入された二酸化炭素を徐放させて皮膚に接触させるための袋状の二酸化炭素徐放パックであって、
上記二酸化炭素徐放パックは、少なくとも樹脂シート(A)により袋状に構成されており、
上記樹脂シート(A)が少なくとも下記要件(A−1)および(A−2)を満たす皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(A−1)JIS K7126−1に準じて23℃および相対湿度0%の条件で測定される、二酸化炭素透過度が20L/(m2・day・atm)以上である
(A−2)JIS P8117:2009に準じて23℃で測定される、王研式透気度が5μm/(Pa・s)未満である
[2]
上記[1]に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)が下記要件(A−3)をさらに満たす皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(A−3)23℃でのヤング率Eが10MPa以上500MPa以下である
[3]
上記[1]または[2]に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)が下記要件(A−4)をさらに満たす皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(A−4)23℃での引張破断伸びが30%以上である
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記二酸化炭素徐放パックは下記要件(B−1)および(B−2)を満たす樹脂シート(B)をさらに備える皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(B−1)JIS L1092A:2009に準じて23℃で測定される、耐水度が350mbar以上である
(B−2)JIS P8117:2009に準じて23℃で測定される、王研式透気度が5μm/(Pa・s)未満である
[5]
上記[4]に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)が皮膚側に配置され、かつ、上記樹脂シート(B)が大気側に配置される皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)がポリオレフィンフィルムまたはシートを含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[7]
上記[6]に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記ポリオレフィンフィルムまたはシートがポリエチレン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、および4−メチル−1−ペンテン系重合体から選択される少なくとも一種を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[8]
上記[6]または[7]に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記ポリオレフィンフィルムまたはシートが微多孔フィルムまたはシートを含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[9]
上記[8]に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記微多孔フィルムまたはシートが、4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された発泡シート、ポリプロピレン系微多孔フィルム、およびフィラー含有ポリオレフィン系微多孔フィルムから選択される一種または二種以上を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)が、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位と4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを有する共重合体を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[11]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)の面上または上記樹脂シート(A)の内部に繊維状補強材をさらに含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[12]
上記[1]乃至[11]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記樹脂シート(A)が4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された層と、熱可塑性エラストマーにより構成された層と、を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[13]
上記[1]乃至[12]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
顔用のパックである皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[14]
上記[1]乃至[13]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
上記二酸化炭素徐放パックの内部に、二酸化炭素および二酸化炭素発生源から選択される少なくとも一種が封入されている皮膚用二酸化炭素徐放パック。
[15]
上記[1]乃至[14]のいずれか一つに記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックを用いて二酸化炭素を皮膚に徐放する方法であって、
上記樹脂シート(A)を上記皮膚に密着させるとともに、上記樹脂シート(A)と上記皮膚との間に上記皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部から二酸化炭素を徐放することによって上記二酸化炭素を上記皮膚に持続的に供給する方法。
また、本実施形態に係る樹脂シート(A)および(B)は、シートだけでなく、フィルムも含まれる。
本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックは、内部に封入された二酸化炭素を徐放させて皮膚に接触させるための袋状の二酸化炭素徐放パックであって、少なくとも樹脂シート(A)により袋状に構成されており、樹脂シート(A)が少なくとも下記要件(A−1)および(A−2)を満たす。
(A−1)JIS K7126−1に準じて23℃および相対湿度0%の条件で測定される、二酸化炭素透過度が20L/(m2・day・atm)以上である
(A−2)JIS P8117:2009に準じて23℃で測定される、王研式透気度が5μm/(Pa・s)未満である
ここで、樹脂シート(A)の二酸化炭素透過度が上記下限値以上であり、かつ、樹脂シート(A)の王研式透気度が上記上限値未満であることによって、皮膚に連続的に供給される二酸化炭素量が適度な値となり、血行促進効果を良好にすることができるとともに、血行促進効果を長時間にわたり保持することが可能となる。また、樹脂シート(A)の王研式透気度が上記上限値未満であると、供給される二酸化炭素量が多すぎず適度となり、長時間にわたって連続的に二酸化炭素を供給することができる。
本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックの身体における使用部位については特に限定されないが、例えば、図1および図2に示すような形態にすることにより、顔用のパックとして使用することができる。
図3および図4は、本発明に係る実施形態の皮膚用二酸化炭素徐放パックの構造の一部の例を模式的に示した斜視図である。
本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックの身体における使用部位については特に限定されないが、例えば、図3および図4に示すような形態をとり入れることにより、顔用のパックのほか、手、腕、首、肩、背中、腹部、および脚部等のパックとして使用することができる。
ここで、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の袋状容器には、十分な血行促進効果を得ることや、炭酸ガスを持続的に放出し、血行促進効果を長時間にわたり保持することに関して改善の余地があることが明らかになった。
そこで、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、二酸化炭素透過度および王研式透気度が特定の範囲にある樹脂シートを用いた二酸化炭素徐放パックが、血行促進効果に優れ、かつ、血行促進効果を長時間にわたり保持することが可能であるという知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックによれば、上記要件(A−1)および(A−2)を少なくとも満たす樹脂シート(A)を用いることにより、良好な血行促進効果が得られ、さらに血行促進効果を長時間にわたり保持することができる。
以上から、本実施形態によれば、血行促進効果に優れ、かつ、血行促進効果を長時間にわたり保持することが可能な皮膚用二酸化炭素徐放パックを実現することができる。
(B−1)JIS L1092A:2009に準じて23℃で測定される、耐水度が350mbar以上である
(B−2)JIS P8117:2009に準じて23℃で測定される、王研式透気度が5μm/(Pa・s)未満である
本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックが樹脂シート(B)をさらに備えることによって、樹脂シート(A)を皮膚側に配置し、かつ、樹脂シート(B)を大気側に配置することが可能となる。その結果、樹脂シート(B)により、大気側への二酸化炭素の漏れを抑制することができるため、皮膚用二酸化炭素徐放パックに封入された二酸化炭素を皮膚側により効果的に徐放させることができる。
樹脂シート(A)および/または樹脂シート(B)がヒートシール性を有する場合は、樹脂シート(A)および樹脂シート(B)を直接ヒートシールすることによって袋状に成形してもよいし、樹脂シート(A)と樹脂シート(B)との間に双方に相容性のある樹脂からなるヒートシール層を挟んでヒートシールすることによって袋状に成形してもよい。
また、樹脂シート(A)および樹脂シート(B)を接着剤により貼り合わせることによっても袋状に成形することができる。
樹脂シート(A)および樹脂シート(B)を用いて、ヒートシール等によって袋状の皮膚用二酸化炭素徐放パックを構成し、かつその内部に高濃度の二酸化炭素ガスを導入する場合、袋の内側に予め軟質スポンジフォームやパルプ、不織布等の緩衝材を挿入してもよい。袋の内側に軟質スポンジフォーム等の緩衝材があることで、身体表面に皮膚用二酸化炭素徐放パックを密着させたとき、身体表面の形状に追従し易くなり、触感も良好とすることができる。緩衝材が軟質スポンジフォームの場合、材質としては、例えば、ウレタン、NBR、SBR、ポリエチレン、およびポリプロピレン等を用いることができる。
軽量性と柔軟性の観点から、軟質スポンジフォームの密度は、0.05g/cm3以上0.3g/cm3以下が好ましい。形状追従性を確保する観点から、軟質スポンジフォームの厚さとしては、1mm以上30mm以下が好ましい。化粧用パフとして多用されているスポンジ材質等も好ましく用いることができる。例えば、顔面部位を対象とした皮膚用二酸化炭素徐放パックの場合、図2の模式図に示すように、顔面と当接する部分のシートを樹脂シート(A)、その反対側のシートを樹脂シート(B)とし、目、鼻、および口の部分のみ部分的な開口部を有し、外形は顔面の周縁部に沿う形状をもち、かつ、軟質スポンジフォームを内蔵する、ヒートシールにより袋状に形成されたものであってもよい。
真空成形性や注型成形性がある場合には、樹脂シート(A)および樹脂シート(B)のどちらか一方、または両方を身体の立体形状に倣い易い立体形状に賦形する技術を用いて袋状に成形してもよい。
ポート部は、スクリューキャップ方式、または、皮膚用二酸化炭素徐放パックの一端部に開口部を設け、当該箇所の樹脂シートを勘合タイプのクリップで挟むことにより、機械的に封止できる構造としてもよい。
例えば、樹脂シート(A)を用いて、図3に示すように、ヒートシールにより筒状の形状1を形成したのち、その両端部に、スクリューキャップ、または勘合タイプのクリップで挟むことにより封止できる構造としてもよい。
また、二酸化炭素ガス、または炭酸水を含む皮膚用二酸化炭素パックの膨れによる身体表面に対する追従性の悪化を改善する手法として、図4に示すように、例えば、皮膚用二酸化炭素パックの内部の一部2に、ピラー3をヒートシール等により設けることにより、膨らみを抑制し、身体表面の形状追従性を向上させた構造としてもよい。
また、本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックと皮膚との間への水分の供給方法としては、例えば、皮膚用二酸化炭素徐放パックを皮膚に当てる前に、スプレーを皮膚にかけたり、水を含んだ布帛で拭いたりして皮膚を水分で濡らしておく方法;水分を含む保湿性の化粧水や、化粧クリーム、化粧パック、ジェル等を皮膚に塗布しておく方法:厚さが薄く(例えば、厚さ範囲:0.05mm以上0.5mm以下)、吸水性、透水性および通気性に優れたリント布やコットン、パルプ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等からなる綿状、スポンジ、不織布、ガーゼ、包帯または化粧マスク等に水分を含ませて皮膚用二酸化炭素徐放パックと皮膚との間に挟む方法等が挙げられる。
皮膚の水分量の目安は、例えば、生体電気インピーダンス法を利用した皮膚用水分率測定装置を用いて定量的に判断することができる。このような皮膚用水分率装置として、株式会社ビューティフルエンジェル(綺麗堂)製、製品名:美ルル スキンチェッカー(品番:KRD1042)が挙げられる。水分率の測定方法としては、例えば、皮膚用二酸化炭素徐放パックを皮膚に当てる前に、皮膚側に水分を付与する場合、当該皮膚用二酸化炭素徐放パックを押し当てる皮膚の領域に対して、水分を付与する直前に測定した水分率X%および水分を付与した直後に測定した水分率Y%を測定し、水分を付与する前後の水分率の増加量Z%を次式により求める。
Z=Y−X(%)
このとき、皮膚用二酸化炭素徐放パックを皮膚に当てる前に、水分付与前後の水分率の増量Zが15%以上となるように水分を付与しておくことが好ましい。水分率の増量Zは、より好ましくは、20%以上30%以下である。
そして、本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックは、樹脂シート(A)を皮膚に密着させるとともに、樹脂シート(A)と皮膚との間に皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部から二酸化炭素を徐放することによって二酸化炭素を皮膚に持続的に供給することができる。
これらの中でも、皮膚用二酸化炭素徐放パックの取扱いが簡便になることから、二酸化炭素水溶液、すなわち炭酸水の形態で二酸化炭素が、皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部に保持される方式が好ましい。
また、二酸化炭素ガスの注入口やポート部を設けたり、二酸化炭素ガスを密閉封止したりする手間がなく、パック構造をシンプルにできる点から、逆拡散充填法も好ましい。
また、本実施形態に係る皮膚用二酸化炭素徐放パックに充填する二酸化炭素の量としては、例えば、二酸化炭素がガス状のみの場合は、皮膚用二酸化炭素徐放パックが適度に膨れる容量が挙げられる。
また、前記した逆拡散法により、密閉系の皮膚用二酸化炭素徐放パック内部に、二酸化炭素をガス状で導入する場合についても、例えば、二酸化炭素の量としては、皮膚用二酸化炭素徐放パックが、高濃度の二酸化炭素の雰囲気下に置く直前に空気を含む適度な膨らみの状態に対し、高濃度の二酸化炭素の雰囲気下に置いた後、二酸化炭素の拡散により、さらに膨れる状態となる容量が挙げられる。
また、二酸化炭素の徐放時間を長くしたり、徐放量を多くしたりすることができるように、皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部に、二酸化炭素の吸着性と徐放性を有する物質を収蔵してもよい。二酸化炭素の吸着性と徐放性をもつ物質としては、多孔体である場合、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、活性炭を挙げることができる。また、二酸化炭素の吸着性と徐放性を有する物質が樹脂である場合、ポリ乳酸(PLA)、およびポリメチルメタクリル酸(PMMA)など、化学構造として、カルボニル基密度が高い構造をもつものは、二酸化炭素の吸着性と徐放性が高く、好ましく用いることができる。この場合、粒状、フィルム状、または繊維状などの比表面積を大きくとった形態で用いることが好ましい。
また、炭酸水の状態で二酸化炭素を皮膚用二酸化炭素徐放パックに充填する場合、皮膚用二酸化炭素徐放パック内に封入する炭酸水の充填量は、皮膚用二酸化炭素徐放パックに純水を充満させたときの容積に対し、容積率100%でもよいが、好ましくは容積率30%以上90%以下、より好ましくは容積率50%以上80%以下の体積を充填させるのが好ましい。容積率が上記上限値以下であると、皮膚用二酸化炭素徐放パックに炭酸水を導入後、封止する際に、炭酸水が導入口から溢れたりして、取り扱いにくくなったりすることを抑制することができる。また、容積率が上記下限値以上であると、皮膚用二酸化炭素徐放パックからの二酸化炭素の徐放量を増やすことができ、二酸化炭素の経皮吸収による皮膚の血行促進効果をより向上させることができる。
本実施形態に係る樹脂シート(A)において、JIS K7126−1に準じて23℃および相対湿度0%の条件で測定される、二酸化炭素透過度が20L/(m2・day・atm)以上であるが、血行促進性および血行促進効果の持続性をより向上させる観点から、30L/(m2・day・atm)以上であることが好ましく、50L/(m2・day・atm)以上であることがより好ましく、100L/(m2・day・atm)以上であることがさらに好ましく、110L/(m2・day・atm)以上であることがさらにより好ましく、120L/(m2・day・atm)以上であることがさらにより好ましい。二酸化炭素透過度の上限値は特に限定されないが、例えば、1,000,000L/(m2・day・atm)以下である。
(A−3)23℃でのヤング率Eが10MPa以上500MPa以下、好ましくは50MPa以上400MPa以下、より好ましくは100MPa以上300MPa以下である。
本実施形態に係る樹脂シート(A)が要件(A−3)を満たすと、身体表面の広い面積部分に追従し易くなったり、身体表面の立体形状に追従し易くなったりするため好ましい。
身体曲面への追従性が良好であると、樹脂シート(A)と皮膚との間に生じるすき間を抑制できたり、密着面積を増加できたりするため、広い身体表面部分に対して、安定的に密着状態を確保し、二酸化炭素の経皮吸収をより良好にすることができる。
また、本実施形態に係る樹脂シート(A)が要件(A−3)を満たすと、袋の内部に高濃度の炭酸水を発生させたり、大気圧より高い圧力の炭酸ガスを導入して、少なくとも一時的に袋の内圧が上昇したとしても、袋が破袋したり、袋から二酸化炭素が急激に漏洩したりして安定的な皮膚への二酸化炭素の供給が不安定になったりすることを抑制することができる。
(A−4)23℃での引張破断伸びが30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上、さらに好ましくは150%以上、特に好ましくは200%以上である。
本実施形態に係る樹脂シート(A)が要件(A−4)を満たすと、身体表面の立体形状に追従し易くなるため好ましい。
本実施形態に係る樹脂シート(A)の23℃での引張破断伸びの上限値は特に限定されないが、例えば、2,000%以下である。
厚さtが上記下限値以上であると、フィルム強度が良好になり、袋を形成したときに、破袋の発生をより抑制することができる。また、上記上限値以下であると、二酸化炭素の透過性を良好にできたり、袋を形成して身体表面に密着させる際に、より柔らかくなり、身体表面への形状追従性をより一層良好にできたりすることができる。
さらに、樹脂シート(A)には、エンボス加工等により表面に微細凹凸を形成させて、樹脂シート同士のブロッキングを抑制したり、スリップ性を付与したりしてもよい。
無孔性フィルムまたはシートは、微細な孔をもたず、原料樹脂自体の二酸化炭素透過性が高い、または、薄肉化することにより、強度を維持した上で、二酸化炭素透過性や柔軟性を高めることができる樹脂フィルムまたはシートを意味する。このような特性を具備する樹脂を例示すると、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体等が挙げられ、スチレン系エラストマーとしては、SEBS、SEPS、SIS等が挙げられ、フッ素系樹脂としては、PTFE、FEP、ETFE、PFA等が挙げられ、シリコーン系樹脂としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等が挙げられる。また、ポリブタジエンも柔軟性と二酸化炭素透過性が高く好ましい。ポリウレタン、およびポリエーテルブロックアミド共重合体は、柔軟性があり、薄膜化が容易であるため好ましく用いることができる。
これらの樹脂を用いたフィルムまたはシートは単層、または、他樹脂との多層であってもよい。
本実施形態に係る樹脂シート(A)に用いる微多孔系フィルムまたはシートとしては、表裏を連通した多数の微細孔を有し、優先的に微細な孔を通じて、二酸化炭素をガス状または炭酸水の状態で透過させることができ、かつ、柔軟で、形状追従性も良いものが好ましい。このような微多孔系フィルムまたはシートとしては、例えば、ポリオレフィン系微多孔フィルム、フィラー含有ポリオレフィン系微多孔フィルム、連通孔を有する発泡シート等が挙げられる。特に、柔軟性と形状追従性に優れた4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された発泡シートが好ましく、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位と4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを含む共重合体により構成された発泡シートがより好ましく、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体により構成された発泡シートがさらに好ましい。発泡シートとしては、例えば、発泡押出成形シートが好ましい。
また、ポリプロピレン系微多孔フィルムまたはフィラー含有ポリオレフィン系微多孔フィルムとしては特に限定されないが、例えば、3Mジャパン株式会社製の製品名:マイクロポーラスフィルム、微細な炭酸カルシウムが充填されたポリプロピレンシートを二軸延伸にすることによって微細孔を形成したシート(株式会社トクヤマ製、製品名:NFシート)、ポリオレフィン系微多孔フィルム(三菱ケミカル株式会社製の透湿シート、製品名:KTFおよび商標名エクセポール)、ポリエチレンと無機フィラーとからなる微多孔フィルム(Mitsui Hygiene Materials(Thailand)社製:商標名エスポアール)等が挙げられる。
この他、非ポリオレフィン系フィルムとしては、PTFE系微多孔フィルム・シートが挙げられる。
本実施形態に係る樹脂シート(A)は4−メチル−1−ペンテン系重合体を含むことが好ましい。
本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体としては、柔軟性と形状追従性に優れる点から、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位(A1)と、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位(A2)とを含む4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A3)が挙げられる。
ここで、本実施形態において、「炭素原子数2〜20のα−オレフィン」は特に断らない限り4−メチル−1−ペンテンを含まないことを意味する。
また、本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A3)は、樹脂シート(A)の柔軟性や機械的特性等をより良好にする観点から、構成単位(A1)と構成単位(A2)との合計を100モル%としたとき、構成単位(A1)の含有量が10モル%以上90モル%以下であり、構成単位(A2)の含有量が10モル%以上90モル%以下であることがより好ましく、構成単位(A1)の含有量が15モル%以上90モル%以下であり、構成単位(A2)の含有量が10モル%以上85モル%以下であることがさらに好ましく、構成単位(A1)の含有量が40モル%以上90モル%以下であり、構成単位(A2)の含有量が10モル%以上60モル%以下であることがさらに好ましく、構成単位(A1)の含有量が50モル%以上90モル%以下であり、構成単位(A2)の含有量が10モル%以上50モル%以下であることがさらにより好ましく、構成単位(A1)の含有量が60モル%以上90モル%以下であり、構成単位(A2)の含有量が10モル%以上40モル%以下であることが特に好ましい。
分岐状のα−オレフィンの炭素原子数は好ましくは5〜20、より好ましくは5〜15である。分岐状のα−オレフィンとしては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン等が挙げられる。
環状オレフィンの炭素原子数は好ましくは5〜15である。環状オレフィンとしては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
共役ジエンの炭素原子数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン等が挙げられる。
上記水酸基含有オレフィンとしては、例えば、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状の末端水酸基化α−オレフィン等が挙げられる。
上記ハロゲン化オレフィンとしては、例えば、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状のハロゲン化α−オレフィン等が挙げられる。
非共役ポリエンとしては、炭素原子数が好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の直鎖状、分岐状又は環状のジエンの他、各種のノルボルネン、ノルボルナジエン等が挙げられる。これらの中でも、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
これにより、柔軟性、形状保持性、形状追従性、軽量性、機械的特性、取扱い性、外観、成形性、耐湿性等のバランスにより優れた樹脂シート(A)を得ることができる。
このような多層シートは、例えば、共押出成形法により作製することができ、具体的には以下のような構成が挙げられる。
(1)(皮膚側)4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された層/熱可塑性エラストマーにより構成された層/4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された層=25/50/25μm、総厚100μm
(2)(皮膚側)4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された層/熱可塑性エラストマーにより構成された層1/熱可塑性エラストマーにより構成された層2/熱可塑性エラストマーにより構成された層3/4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された層=25/10/30/10/25μm、総厚100μm
熱可塑性エラストマーとしてスチレン系エラストマーを使用し、上記(1)および(2)の樹脂シート(A)を用いて皮膚用二酸化炭素徐放パックを構成したとき、いずれも追従性および血行促進性が良好であり、かつ、低温環境下5℃で屈曲したとき、屈曲部のピンホールの発生が抑制されていることを確認した。
また、後述の繊維状補強材と多層化することにより、皮膚用二酸化炭素徐放パックの耐久性をさらに高めることが可能である。
これらの熱可塑性エラストマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱可塑性エラストマーの中で、特に、スチレン系エラストマーは、二酸化炭素透過度が高く、かつ4−メチル−1−ペンテン系重合体との適度な相容性があり、両者からなる共押出多層シートを構成したとき、層間接着力を確保し易いメリットがある。また、ヒートシールにより、袋状の皮膚用二酸化炭素徐放パックを構成したとき、ヒートシール部分の剥離強度を高く保つことができ、破袋しにくくなり、二酸化炭素徐放パックの信頼性を高めることができるため、好ましく用いることができる。また、スチレン系エラストマーの中では、スチレン含量が低い水素添加スチレン系エラストマーが、4−メチル−1−ペンテン系重合体と相容性が良く、かつ二酸化炭素透過度が高いため、好ましく用いることができる。このような水素添加スチレン系エラストマー製品の具体例としては、クレイトンポリマージャパン社製;銘柄クレイトンG1657MS、旭化成社製;銘柄タフテックH1221、銘柄タフテックH1062、銘柄タフテックH1521、銘柄タフテック1052、銘柄S.O.E.1606、クラレ社製;銘柄セプトン2004F、銘柄ハイブラー7311Fを挙げることができる。
繊維状補強材を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、綿、絹、羊毛等の天然繊維;ポリアミド6やポリアミド66等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維;ポリウレタン繊維等が挙げられる。
繊維状補強材の経編生地としては、例えば、パワーネット組織、サテンネット、ラッセルレース、ツーウェイトリコット等が挙げられ、適度な伸縮性をもつパワーネット組織が好ましい。
また、繊維状補強材として、不織布を用いてもよい。不織布としては、ポリプロピレン繊維とウレンタン繊維からなる伸縮性不織布を用いてもよい。
繊維状補強材の厚みは特に限定されないが、例えば、0.01mm以上0.5mm以下である。繊維状補強材がパワーネット組織の場合、その目合は特に限定されないが、例えば、0.5mm以上10mm以下である。
本実施形態に繊維状補強材を樹脂シート(A)の面上に熱ラミネートすることによって、樹脂シート(A)の面上に繊維状補強材を設けることができる。また、2枚の樹脂シート(A)の間に繊維状補強材を配置し、得られた積層体を熱ラミネートすることによって、樹脂シート(A)の内部に繊維状補強材を設けることができる。
本実施形態に係る樹脂シート(B)において、JIS L1092A:2009に準じて23℃で測定される、耐水度は350mbar以上であるが、好ましくは400mbar以上である。本実施形態に係る樹脂シート(B)の耐水度が上記下限値以上であると、皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部からの二酸化炭素の漏れがより抑制され、袋の内部に封入した二酸化炭素のロスが低減される点で好ましい。
耐水度の上限値は、例えば、10bar以下であるが、特に限定されない。
本実施形態に係る樹脂シート(B)の王研式透気度が上記上限値未満であると、皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部からの二酸化炭素の漏れが抑制され、袋の内部に封入した二酸化炭素のロスが低減される点で好ましい。
(B−3)23℃でのヤング率Eが10MPa以上500MPa以下、好ましくは50MPa以上400MPa以下、より好ましくは100MPa以上300MPa以下である。
本実施形態に係る樹脂シート(B)が要件(B−3)を満たすと、身体表面の広い面積部分に追従し易くなったり、身体表面の立体形状に追従し易くなったりするため好ましい。
身体曲面への追従性が良好であると、樹脂シート(A)と皮膚との間に生じるすき間を抑制できたり、密着面積を増加できたりするため、広い身体表面部分に対して、安定的に密着状態を確保し、二酸化炭素の経皮吸収をより良好にすることができる。
また、本実施形態に係る樹脂シート(B)が要件(B−3)を満たすと、袋の内部に高濃度の炭酸水を発生させたり、大気圧より高い圧力の炭酸ガスを導入して、少なくとも一時的に袋の内圧が上昇したとしても、袋が破袋したり、袋から二酸化炭素が急激に漏洩したりして安定的な皮膚への二酸化炭素の供給が不安定になったりすることを抑制することができる。
(B−4)23℃での引張破断伸びが30%以上、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。
本実施形態に係る樹脂シート(B)が要件(B−4)を満たすと、身体表面の立体形状に追従し易くなるため好ましい。
本実施形態に係る樹脂シート(B)の23℃での引張破断伸びの上限値は特に限定されないが、例えば、2,000%以下である。
樹脂シート(B)の二酸化炭素透過性を下げる手段としては、例えば、樹脂シート(B)自体の厚さを増す方法;樹脂シート(B)の片面または両面に、二酸化炭素のバリア性が高い樹脂層を設ける方法:樹脂シート(B)の片面または両面に、アルミニウムまたは酸化物系セラミックスの無機膜等の二酸化炭素バリア薄膜層を設ける方法等が挙げられる。
例えば、樹脂シート(A)を構成する樹脂がポリエチレンの場合には、樹脂シート(B)を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン系共重合体、SEBS、SEPS等のポリエチレンと相容性が良好な樹脂を選択することが好ましい。樹脂シート(A)を構成する樹脂がプロピレン系共重合体の場合には、樹脂シート(B)を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体、SEBS、SEPS等のプロピレン系共重合体と相容性が良好な樹脂を選択することが好ましい。
樹脂シート(A)を構成する樹脂がSEBS、SEPSの場合には、樹脂シート(B)を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン系共重合体、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体、スチレン系エラストマー等のSEBSやSEPSと相容性と相容性が良好な樹脂を選択することが好ましい。
さらに、樹脂シート(A)を構成する樹脂が4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A3)の場合、樹脂シート(B)を構成する樹脂としては、例えば、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A3)、ポリプロピレン、ポリプロピレン系共重合体等を用いると、ヒートシール強度を確保し易いため好ましい。
(1)樹脂シートの二酸化炭素透過度
JIS K7126−1に準じて、23℃および相対湿度0%の条件で樹脂シートの二酸化炭素透過度を測定した。二酸化炭素透過度の測定装置としては、二酸化炭素透過度測定装置(株式会社東洋精機製作所製、製品名:差圧法ガス透過率測定装置)を用いた。測定は2回おこない、それらの平均値を採用した。
ここで、表1および2において、二酸化炭素透過度が1,000L/(m2・day・atm)以上1,000,000L/(m2・day・atm)以下の範囲内のものを「1,000以上」と表記した。
JIS P8117:2009に準じて、23℃、大気雰囲気下、樹脂シートの王研式透気度を測定した。王研式透気度の測定装置としては、王研式透気度試験機(熊谷理機工業株式会社製、製品名:王研式平滑度・透気度試験機(水柱式))を用いた。測定は10回おこない、それらの平均値を採用した。
JIS L1092A:2009に準じて、23℃、相対湿度50%の環境下で、樹脂シートの耐水度を測定した。耐水度の測定装置としては、耐水圧試験装置(TEXTEST AG社製、製品名:Automatic Hydrostatic Head Tester FX3000 Hydrotester IV)を用いた。また、加圧速度は60mbar/minとした。測定は5回おこない、それらの平均値を採用した。
なお、表1に記載の厚さ0.01mm以下の無多孔フィルム、および厚さ0.04mm以下の多孔のフィルムについては強度が弱いため、樹脂製のメッシュでサポートして測定した。
ここで、表1および2において、耐水度が400mbar以上の範囲内のものを「400以上」と表記した。
樹脂シートの引張特性(ヤング率E、引張破断伸びおよび引張破断強度)は、23℃および相対湿度50%の環境下で、かつ、試験片形状:短冊状、試験片幅:15mm、チャック間距離:30mm、引張速度:1,000%/分の条件でMD方向とTD方向に対しそれぞれ3点ずつ測定し、それらの平均値を採用した。
(1)二酸化炭素徐放パックの追従性評価
得られた二酸化炭素徐放パックの形状追従性について、以下の基準で評価した。
◎:二酸化炭素徐放パックの樹脂シート(A)側の表面が柔らかく触感が良好であり、かつ、二酸化炭素徐放パックを皮膚に接触させたときの密着性が良好で、皮膚の形状への追従性(特に皮膚表面の微細凹凸への追従性)も良好であった。さらに長時間皮膚に接触させても、形状の弾性回復性が抑制され、形状の保持性も良好であった。
○:二酸化炭素徐放パックの樹脂シート(A)側の表面が柔らかく触感が良好であり、かつ、二酸化炭素徐放パックを皮膚に接触させたときの密着性が良好で、皮膚の形状への追従性も良好であった
×:二酸化炭素徐放パックの樹脂シート(A)側の表面が硬くて触感が悪く、かつ、二酸化炭素徐放パックを皮膚に接触させたときの密着性が不良で、皮膚の形状への追従性が乏しかった
二酸化炭素徐放パックの血行促進性を以下の方法により評価した。
得られた二酸化炭素徐放パックを前腕部の内側の皮膚に配置する前に、スプレーで前腕部の内側の皮膚に水を一定量噴霧した。そのスプレー噴霧の直前および直後で、株式会社ビューティフルエンジェル(綺麗堂)製、製品名:美ルル スキンチェッカー(品番:KRD1042)を用いて、皮膚の水分率を測定した。スプレーで水を皮膚に噴霧した後は、直ちに、前腕部の内側の皮膚に二酸化炭素徐放パックを配置した。次いで、二酸化炭素徐放パックを前腕部の内側の皮膚に配置してから5分後、10分後、および20分後の各時間における皮膚の紅潮度を目視で観察し、以下の基準で血行促進性を評価した。
◎:皮膚がはっきりと赤くなり貼付した境界が明確にわかる
〇:皮膚が赤くなり貼付境界が明確にわかる
△:皮膚が赤くなるが境界が不明確である
×:皮膚の紅潮が観察されない
実施例および比較例で用いた樹脂シート(A)および樹脂シート(B)を表1および表2にそれぞれ示す。
二酸化炭素徐放パック作製にあたり、表1に示す樹脂シート(A)および表2に示す樹脂シート(B)を用いた。
PE−1、PE−2およびPE−3は、Tダイ押出成形により得られた、厚さがそれぞれ、0.01mm、0.04mmおよび0.08mmの低密度ポリエチレンフィルムである。
PE−4は、ポリエチレンと無機フィラーとからなる微細な連通多孔をもつフィルム(Mitsui Hygiene Materials(Thailand)社製、商標名:エスポアール、厚さ0.019mm)である。
PE−5は、微多孔を有する高密度ポリエチレン不織布(デュポン株式会社製、商標名:タイベック、品番:1056−D、厚さ0.06mm)である。
PP−1は、プロピレン系共重合体フィルム(東洋紡株式会社製、商標名:パイレンフィルム、品名:P1128、厚さ0.06mm)である。
PP−2は、ポリプロピレン系微多孔フィルム(3Mジャパン社製、マイクロポーラスフィルム、厚さ0.04mm)である。
PMP−1は、4−メチル−1−ペンテン共重合体およびポリブテン−1を含むフィルム(リケンファブロ株式会社製、製品名:フォーラップ45、厚さ0.01mm)である。
PMP−2およびPMP−3は、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体1からなり、Tダイ押出成形により得られた厚さがそれぞれ0.05mm、および0.1mmのフィルムである。
PMP−4は、後述する4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体2からなり、Tダイ押出成形により得られたフィルム(厚さ0.05mm)である。
PMP−5は、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体1と4−メチル−1ペンテン/プロピレン共重合体2とを配合比率50/50質量%でブレンドしてTダイ押出成形により得られたフィルム(厚さ0.1mm)である。
PMP−6およびPMP−7は、PMP−2およびPMP−3と同じ、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体1を原料として用いて、超臨界CO2発泡押出シート成形により得られた発泡シートであり、密度はともに0.5g/cm3、厚さはそれぞれ1mm、および0.5mmである。
PMP−8は、PMP−2、PMP−3、PMP−6、およびPMP−7と同じ4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体1を原料として用いて、Tダイ押出シート成形により得られた厚さ0.6mmのシートである。
PMP−9は、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体1と4−メチル−1ペンテン/プロピレン共重合体2とを配合比率60/40質量%でブレンドして構成された層を(L1)、および水素添加スチレン系エラストマーとしてクレイトンポリマージャパン製クレイトンG1657MSのみで構成された層を(L2)としたとき、断面構成が(L1)/(L2)/(L1)=25/50/25μmとなるようTダイ共押出シート成形により得られた厚さ0.1mmのフィルムである。
PMP−10は、繊維状補強材として、ポリアミド6繊維とポリウレタン繊維のそれぞれを原糸として作製されたパワーネット組織(目合3mm、厚さ0.15mm)を用いて、その両面に対して、片面一枚ずつPMP−9のシートを熱ラミネーションすることにより得られた厚さ0.26mmのシートである。
PMP−11は、繊維状補強材として、ポリプロピレン繊維とポリウレタン繊維のそれぞれを用いて作製された伸縮性不織布(単位面積当たりの質量0.03kg/m2)を用いて、その両面に対して、片面一枚ずつPMP−9のシートを熱ラミネーションすることにより得られた厚さ0.28mmのシートである。
一方、上記した4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体2は、4−メチル−1−ペンテンとプロピレンとの共重合体(4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量:85モル%、プロピレン由来の構成単位の含有量:15モル%、135℃のデカリン中での極限粘度[η]:1.4dL/g、ASTM D1505(水中置換法)に従って測定された密度:0.84g/cm3)である。
次いで、得られた二酸化炭素徐放パックの内部に、二酸化炭素濃度が3,000ppmの炭酸水を容積率50%でそれぞれ注入した。次いで、インパルス溶着機を用いて開口部を溶着線幅5mmで封止し、炭酸水が封入された二酸化炭素徐放パックをそれぞれ得た。
得られた二酸化炭素徐放パックについて、前述した追従性評価および血行促進性評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表3に示す。
一方、要件(A−2)を満たすが、要件(A−1)を満たさない樹脂シート(A)を用いた比較例1および2の二酸化炭素徐放パックは血行促進性に劣っていた。また、要件(A−1)を満たすが、要件(A−2)を満たさない樹脂シート(A)を用いた比較例3の二酸化炭素徐放パックは初期の血行促進性は優れていたが、血行促進性が時間と共に低下し、血行促進効果を長時間にわたり保持することができなかった。
なお、要件(A−1)および(A−2)を満たす樹脂シート(A)を用いた二酸化炭素徐放パックは、二酸化炭素徐放パックを皮膚に接触させる直前に、皮膚に水分を付与しない場合は、血行促進効果が劣っていた(参考例1および2)。
Claims (15)
- 内部に封入された二酸化炭素を徐放させて皮膚に接触させるための袋状の二酸化炭素徐放パックであって、
前記二酸化炭素徐放パックは、少なくとも樹脂シート(A)により袋状に構成されており、
前記樹脂シート(A)が少なくとも下記要件(A−1)および(A−2)を満たす皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(A−1)JIS K7126−1に準じて23℃および相対湿度0%の条件で測定される、二酸化炭素透過度が20L/(m2・day・atm)以上である
(A−2)JIS P8117:2009に準じて23℃で測定される、王研式透気度が5μm/(Pa・s)未満である - 請求項1に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)が下記要件(A−3)をさらに満たす皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(A−3)23℃でのヤング率Eが10MPa以上500MPa以下である - 請求項1または2に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)が下記要件(A−4)をさらに満たす皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(A−4)23℃での引張破断伸びが30%以上である - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記二酸化炭素徐放パックは下記要件(B−1)および(B−2)を満たす樹脂シート(B)をさらに備える皮膚用二酸化炭素徐放パック。
(B−1)JIS L1092A:2009に準じて23℃で測定される、耐水度が350mbar以上である
(B−2)JIS P8117:2009に準じて23℃で測定される、王研式透気度が5μm/(Pa・s)未満である - 請求項4に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)が皮膚側に配置され、かつ、前記樹脂シート(B)が大気側に配置される皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)がポリオレフィンフィルムまたはシートを含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項6に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記ポリオレフィンフィルムまたはシートがポリエチレン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、および4−メチル−1−ペンテン系重合体から選択される少なくとも一種を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項6または7に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記ポリオレフィンフィルムまたはシートが微多孔フィルムまたはシートを含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項8に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記微多孔フィルムまたはシートが、4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された発泡シート、ポリプロピレン系微多孔フィルム、およびフィラー含有ポリオレフィン系微多孔フィルムから選択される一種または二種以上を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)が、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位と4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを有する共重合体を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)の面上または前記樹脂シート(A)の内部に繊維状補強材をさらに含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記樹脂シート(A)が4−メチル−1−ペンテン系重合体により構成された層と、熱可塑性エラストマーにより構成された層と、を含む皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
顔用のパックである皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックにおいて、
前記二酸化炭素徐放パックの内部に、二酸化炭素および二酸化炭素発生源から選択される少なくとも一種が封入されている皮膚用二酸化炭素徐放パック。 - 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の皮膚用二酸化炭素徐放パックを用いて二酸化炭素を皮膚に徐放する方法であって、
前記樹脂シート(A)を前記皮膚に密着させるとともに、前記樹脂シート(A)と前記皮膚との間に前記皮膚用二酸化炭素徐放パックの内部から二酸化炭素を徐放することによって前記二酸化炭素を前記皮膚に持続的に供給する方法。
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