JPWO2019078171A1 - ポリマー化合物の濃縮もしくは分離方法 - Google Patents

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卓史 植村
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Abstract

本開示は、少なくとも1つのヘテロ原子含有末端基が異なる複数のポリマー化合物から特定のヘテロ原子含有末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物を濃縮もしくは分離する方法であって、前記特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物は、下記式(I):[化1]〔式中、Y1は水素原子、メチル基、CH3CH(CH3)-、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。Y2は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。但し、Y1が1価のヘテロ原子含有末端基の場合、Y1とY2は同一であっても異なっていてもよい。RUは式(II):[化2](式中、zは2以上の整数を示す)で表されるポリマー本体を示す。〕で表わされ、複数の前記ポリマー化合物は溶媒の存在下又は非存在下に多孔性チャネル材料と混合され、前記特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物は多孔性チャネル材料の細孔内に濃縮もしくは分離される、方法を提供するものである。

Description

本開示は、ポリマー化合物の濃縮もしくは分離方法に関する。
生体応用に向けた背景から、末端修飾PEGなどの末端修飾ポリマー材料は極めて高い純度での製造が求められるが、これまでのカラムクロマトグラフィーを用いた手法では、末端基のみの違いを認識して精製することが困難となっており、価格は非常に高い。
特許文献1〜5は、金属有機構造体(MOF)などの多孔性チャネル材料を用いてガスの分離、貯蔵などが行えることを記載しているが、ポリマーの分離についての開示はない。
特表2017-500204 特表2017-501862 特表2012-530718 特公表2011-524870 特表2010-521290
本開示は、末端基の異なるポリマー化合物を濃縮もしくは分離する方法及び分離材、ポリマー化合物と多孔性チャネル材料との複合体を提供することを目的とする。
本開示は、以下のポリマー化合物の濃縮もしくは分離方法及び分離材、ポリマー化合物と多孔性チャネル材料との複合体を提供するものである。
項1. 少なくとも1つのヘテロ原子含有末端基が異なる複数のポリマー化合物から特定のヘテロ原子含有末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物を濃縮もしくは分離する方法であって、前記特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物は、下記式(I):
Figure 2019078171
〔式中、Y1は水素原子、メチル基、 CH3CH(CH3)-、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。Y2は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。但し、Y1が1価のヘテロ原子含有末端基の場合、Y1とY2は同一であっても異なっていてもよい。RUは式(II):
Figure 2019078171
(式中、zは2以上の整数を示す)
で表されるポリマー本体を示す。〕
で表わされ、複数の前記ポリマー化合物は溶媒の存在下又は非存在下に多孔性チャネル材料と混合され、前記特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物は多孔性チャネル材料の細孔内に濃縮もしくは分離される、方法。
項2. 前記ポリマー本体が、ポリアルキレングリコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリエチレン又はポリプロピレンである、項1に記載の方法。
項3. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体又は有機ケージ化合物である、項1又は2に記載の方法。
項4. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体である、項3に記載の方法。
項5. 多孔性チャネル材料からなる、ヘテロ原子含有末端基を有するポリマー化合物の分離材。
項6. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体又は有機ケージ化合物である、項5に記載の分離材。
項7. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体である、項6に記載の分離材。
項8. 下記式(I):
Figure 2019078171
〔式中、Y1は水素原子、メチル基、CH3CH(CH3)- 、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。Y2は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。但し、Y1が1価のヘテロ原子含有末端基の場合、Y1とY2は同一であっても異なっていてもよい。RUは式(II):
Figure 2019078171
(式中、zは2以上の整数を示す)
で表されるポリマー本体を示す。〕
で表わされるポリマー化合物と多孔性チャネル材料との複合体。
項9. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体又は有機ケージ化合物である、項8に記載の複合体。
項10. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体である、項9に記載の複合体。
一実施形態において、本開示によれば、末端基の異なる複数のポリマー化合物の混合物から少なくとも1つの特定の末端基を有するポリマー化合物を濃縮もしくは分離することができる。
一実施形態において、本開示は、例えば、様々なPEG修飾剤の精製に使用でき、これまでに比べて大幅に安価な修飾PEGを提供できる。
図1は、実施例1で得られた複合体のX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)測定の結果を示す。X=Trの複合体は粒子が凝集し、MOF表面にPEG(X=Tr)が存在する。 図2は、実施例1で得られた複合体の示差走査熱量測定(DSC)の結果を示す。X=H, CH3の場合、細孔内に導入されることで、融解吸熱ピークが消失。X=Trの場合、細孔に導入されないPEG由来のピークを確認した。本図において、「○」は細孔内に導入されたことを示し、「×」は細孔内に導入されなかったことを示す。 図3は、実施例2で得られた複合体のDSC及び1H−NMRの結果を示す。1H-NMRは、1-PEGのCHCl2を用いた洗浄前後で測定した。細孔内のPEG(X=H)は洗浄作業でも漏出しなかった。 図4は、実施例3で得られた複合体のDSCの結果を示す。細孔に導入されないPEG由来のピークが確認された。 図5は、実施例4で得られた複合体のDSCの結果を示す。X=Hの場合、細孔内に導入されることで、融解吸熱ピークが消失した。X=Trの場合、細孔に導入されないPEG由来のピークが確認された。末端基のサイズが厳密認識された。 図6は、実施例5で得られた複合体のXRDの結果を示す。(a)open構造に変化、(b)closedな構造のまま、(c)末端基の極性のわずかな違いを認識、(d)50%構造変化時間、H:100h以上、Me:0.3h、Et:2.5h、Bu:11.5h。 図7は、多孔性チャネル材料の好ましい1つの実施形態を示す。(a) X = H, Me, Et, Buのポリマー化合物をサイズにより認識もしくは分離することは不可能である。(b) フレキシブルなMOFの利用。フレキシブルなMOFは、ゲストの極性や官能基の違いを認識してゲートを開閉する。 図8は、CoNDCとヘプタン酸メチル、1-オクタノール、オクタン酸とを相互作用させたときのXRDの結果を示す。ヘプタン酸メチルは滴下後すぐにCoNDCの細孔内に入る。1-オクタノールは滴下後5分程度でCoNDCの細孔内に入る。オクタン酸はCoNDCの細孔内に入らない。(a)10分後、(b)5分後、(c)滴下直後 図9は、1-ヘキサデカノール、ペンタデカン酸メチルとCoNDCを相互作用させたときのXRDの結果を示す。(a) CoNDC + 1-Hexadecanol:1-Hexadecanolは融解後30分程度かけてCoNDCの細孔内に徐々に入った。(b) CoNDC + Methyl pentadecanoate: 昇温中に反応が開始し50℃に到達すると同時にMethyl pentadecanoateはCoNDCの細孔内にほぼ入り終わった。比較のためにより早く50℃に到達させようと10℃/minで昇温する実験も行ったが、オーバーヒートしたうえに温度が安定する前に反応が完了したので測定を中止した。また、全く加熱をしなかった場合は滴下後すぐにMethyl pentadecanoateが細孔内に入り始め、ゆっくり約1時間かけて全部のMethyl pentadecanoateがCoNDCの細孔内に入った。◆は1-Hexadecanol融解時に一瞬現れるピークで▲とは異なる。
本開示のポリマー化合物は、一方又は両方の末端基にヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を少なくとも1個有している。ポリマー化合物の分子量は、100〜800,000であり、分子量の好ましい下限は、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、450、500、600、700、900、1000、1200、1500、2000、3000、4000、5000のいずれかである。分子量の上限は、700,000、600,000、500,000、450,000、400,000、350,000、300,000、250,000、200,000、150,000、120,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000のいずれかである。
ポリマー化合物は、多孔性チャネル材料の細孔内に入り得る鎖状の骨格を有する。鎖状の骨格は、メチル基、エチル基などのアルキル基、ハロゲン原子(F, Cl, Br, I)、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、タンパク質に含まれる20種の天然アミノ酸(Ala, Phe, Tyr, Trp, Ser, Thr, Cys, Met, Pro, Arg, Lys, Asp, Asn, Glu, Gln, Gly, His, Ile, Leu, Val)の側鎖などで置換されていてもよい。好ましいポリマー化合物は、下記式(I)で表される:
Figure 2019078171
〔式中、Y1は水素原子、メチル基、CH3CH(CH3)- 、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。Y2は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。但し、Y1が1価のヘテロ原子含有末端基の場合、Y1とY2は同一であっても異なっていてもよい。RUは式(II):
Figure 2019078171
(式中、zは2以上の整数を示す)
で表されるポリマー本体を示す。〕
整数zは、2以上であるが、一実施形態において、2〜20000の範囲にあり、他の実施形態において、4〜15000の範囲にある。
は、水素原子、メチル基、CH3CH(CH3)-、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。
1つの好ましい実施形態において、ポリマー化合物は、炭素数6〜10の中鎖化合物(中鎖のアルコール、カルボン酸、アルデヒド、C〜Cアルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステルなど))、炭素数11〜40の長鎖化合物(長鎖のアルコール(OH)、カルボン酸(COOH)又はその塩、アルデヒド(CHO)、アミド(CONH)、チオアルコール(SH)、アミン(NH)、アセチルオキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、C〜Cアルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステルなど))を包含する。なお、中鎖化合物、長鎖化合物の炭素数にはエステル部分(C〜Cアルキル)は含まれない。
ポリマー化合物は、末端基(Y,Y)の一方又は両方にヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を少なくとも1個有していればよい。ポリマー化合物は、鎖状の骨格を構成する繰り返し単位に少なくとも1個のヘテロ原子を含むものであってもよく、繰り返し単位はヘテロ原子を含まないものであってもよい。繰り返し単位にヘテロ原子を含む場合、1つの繰り返し単位に含まれるヘテロ原子の数は、1〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個である。なお、鎖状の骨格には、メチル基、エチル基等の枝分かれがあってもよく、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−C≡C−などの不飽和結合があってもよい。例えば−CH=CH−は、ポリマー化合物がオレイン酸、パルミトオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHAなどの不飽和高級脂肪酸に含まれる。
ポリマー化合物の分離工程におけるポリマー化合物と多孔性チャネル材料の使用比率は、一実施形態において、ポリマー化合物/多孔性チャネル材料=0.05〜300(wt./wt.)、別の実施形態において、0.10〜100(wt./wt.)である。
例示的な実施形態において、繰り返し単位にヘテロ原子を含むポリマー化合物としては、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロック共重合体、エチレングリコールとブチレングリコールのブロック共重合体など)、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール、ポリエステル(ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド(ポリグリシン、ポリ(βアラニン)、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミド)、ポリシラン(ジメチルポリシラン、メチルフェニルポリシラン、ジフェニルポリシランなど)、ポリシロキサン(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなど)、ポリウレタン、オリゴペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、核酸(DNA,RNA)、糖鎖などが挙げられ、これらの化合物の末端が水酸基(OH)の場合には、エステル(アセチルオキシ、プロピオニルオキシなど)、エーテル(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)に、末端がカルボン酸(COOH)の場合には、エステル(メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル)、アミド(CONH)に、末端がアミン(NH)の場合には、アルカノイルアミノ(アセチルアミノ、プロピオニルアミノなど)に各々変換したものは全て本開示の「ポリマー化合物」に包含される。
他の実施形態において、本開示のポリマー化合物は、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜30の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜30の飽和又は不飽和の脂肪族ジカルボン酸、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アルデヒド、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アルコール等が挙げられる。繰り返し単位にヘテロ原子を含まないポリマー化合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレンは、例えば酸素の存在下にラジカル重合を行うと末端にOH、エポキシなどの少なくとも1つのヘテロ原子含有末端基を含むものが得られる。末端OH基は、常法に従いCHO、COOH、エステル(−OCOCH,−COOCH)などに変換可能である。
他の好ましい実施形態において、本開示のポリマー化合物は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、スフィンゴリン脂質、グリセロリン脂質、リポタンパク質、カロテノイド、テルペン類などが挙げられる。
繰り返し単位としては、例えば、−(CH2CH2O)−、−(CH2CH2CH2O)−、−(CH2CH2CH2CH2O)−、−(CH2CH(CH3)O)−、−OCH(CH3)CO−、−OCH2CO−、−(OCH2CH2CH2CH2OCOCH2CH2CO)−、−(OCH2CH2CH2CH2OCOCH2CH2CH2CH2CO)−、−(OCH2CH2OCOC6H4CO)−、−(OCH2CH2CH2CH2OCOC6H4CO)−、−(OCH2CH2OCOCH2CH2CO)−、−(OCH2CH2OCOCH2CH2CH2CH2CO)−、−(NHCH2CH2CH2CO)−、−(NHCH2CH2CO)−、−(NHCH2CH2CH2CO)−、−(NHCH2CH2CH2CH2CH2CO)−、−(CO(CH2)4CONH(CH2)6NH)−、−(CO(CH2)8CONH(CH2)6NH)−、−(NH(CH2)10CO)−、−(NH(CH2)11CO)−、−(COC6H4CONHC6H4NH)−、−(CH2CH2)−、−(CH2CH2CH2)−、−(CH2CH(CH3))−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−C≡C−、1,4-フェニレン、1,4-シクロへキシレン、-CO-CHRa-NH-(Raは20種のアミノ酸の側鎖である)、-6-β-D-Glup-1-、-4-β-D-Glup-1-、-6-β-D-Galp-1-、-4-β-D-Galp-1-、-6-β-D-Manp-1-、-4-β-D-Manp-1-、-6-β-D-GlupNAc-1-、-4-β-D-GlupNAc-1-、-6-β-D-GalpNAc-1-、-4-β-D-GalpNAc-1-、-6-β-D-Fluf-1-、-4-β-D-Fluf-1-、
Figure 2019078171
(式中、Rbはアデニン、グアニン、シトシン、チミン又はウラシルを示し、Xは、H又はOHを示す。)
などが挙げられるが、これに限定されない。ここで、
「-6-β-D-Glup-1-」は、β-D-グルコピラノースの6位と1位で結合する繰り返し単位、「-4-β-D-Glup-1-」は、β-D-グルコピラノースの4位と1位で結合する繰り返し単位、
「-6-β-D-Galp-1-」は、β-D-ガラクトピラノースの6位と1位で結合する繰り返し単位、「-4-β-D-Galp-1-」は、β-D-ガラクトピラノースの4位と1位で結合する繰り返し単位、
「-6-β-D-Manp-1-」は、β-D-マンノピラノースの6位と1位で結合する繰り返し単位、
「-4-β-D-Manp-1-」は、β-D-マンノピラノースの4位と1位で結合する繰り返し単位、
「-6-β-D-GlupNAc-1-」は、β-D-N-アセチルグルコサミンの6位と1位で結合する繰り返し単位、
「-4-β-D-GlupNAc-1-」は、β-D-N-アセチルグルコサミンの4位と1位で結合する繰り返し単位、
「-6-β-D-GalpNAc-1-」は、β-D-N-アセチルガラクトサミンの6位と1位で結合する繰り返し単位、
「-4-β-D-GalpNAc-1-」は、β-D-N-アセチルガラクトサミンの4位と1位で結合する繰り返し単位、
「-6-β-D-Fluf-1-」は、β-D-フルクトフラノースの6位と1位で結合する繰り返し単位、「-4-β-D-Fluf-1-」は、β-D-フルクトフラノースの4位と1位で結合する繰り返し単位、
を各々示す。
また、上記糖残基のOH基はアセチル化されていてもよい。
ポリマー化合物は、1種の繰り返し単位から構成されていてもよく、2種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい(例えば、式(II)における整数zが2であるとき、2種の「繰り返し単位」を1つずつ含む構成を妨げない)。2種以上の繰り返し単位を含む場合、その順序は問わない。
本開示のポリマー化合物として、ポリエチレングリコールを例に取り、その例示的な実施形態を以下に説明する。ポリエチレングリコールは以下の式により表すことができる:
H−〔(OCH2CH2m〕−OH
(式中、mは2〜20000の整数を示す。)。mの数値は、ポリマー化合物の分子量に依存する。
一般式(I)において、H(水素原子)がY1に該当し、OH基がY2に該当し、−〔(OCH2CH2m〕−がポリマー本体に該当し、繰り返し単位は−OCH2CH2−である。
ポリエチレングリコールの末端の2つのOHは、Y1,Y2で表される任意の1価のヘテロ原子含有末端基であってもよく、Y1,Y2の一方又は両方が異なるポリエチレングリコール誘導体の混合物から、本開示により特定の末端基を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを濃縮もしくは分離することができる。
ポリエチレングリコール以外のポリマー化合物についても同様にY1,Y2の一方又は両方が異なるポリマー化合物の混合物から、本開示により特定のポリマー化合物を濃縮もしくは分離することができる。
本明細書において、ポリマー本体は、ポリマー化合物の両側のY1,Y2以外の部分を指す。
本明細書において、Y1、Y2で表わされる1価のヘテロ原子含有末端基としては、OH、SH、NH2、NO2、COOH、N3、ハロゲン原子、アルコキシ、アルキルチオ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アラルキルチオ、スクシンイミジルオキシ、マレイミジルオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、保護アミノ基、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アラルキルオキシカルボニルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アラルキルオキシカルボニルアミノ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイルなどが挙げられる。
本開示の方法は、無溶媒で実施してもよく、溶媒の存在下に実施してもよい。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロルエタンなどの塩素化炭化水素、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の方法を実施するときの温度は、室温から250℃程度、好ましくは室温から200℃程度であり、1〜48時間程度、或いは2〜24時間程度行うことができる。
複数のポリマー化合物と多孔性チャネル材料を混合後、多孔性チャネル材料をろ過し、多孔性チャネル材料の細孔内に存在する特定のポリマー材料を回収することで、濃縮又は分離することができる。ポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内にある場合、ポリマー化合物と多孔性チャネル材料の複合体から、ポリマー化合物を溶解する溶媒を用いて溶出すること、或いは多孔性チャネル材料の構造を破壊することでポリマー化合物を回収することができる。
本開示では、ヘテロ原子含有末端基の一方又は両方が異なる末端基を有する複数のポリマー化合物の混合物から、特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物を分離することができる。
ポリマー化合物は、(i)親水性/疎水性バランス、(ii)嵩高さ、(iii)長さの3つの因子により主として分離される。これらの因子は、ポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入る速度に影響するので、この速度の差に基づき、複数のポリマー化合物の分離を行うことができる。親水性/疎水性バランスと嵩高さは、Y1,Y2で表わされる末端基が主に関与するが、ポリマー本体の親水性/疎水性バランスと嵩高さもポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入る速度に影響する。例えば両末端基がOHであり、かつ、長さが同じポリエチレンとポリエチレングリコールは、ポリマー本体の繰り返し単位が-CH2CH2-と-CH2CH2O-で異なるので、多孔性チャネル材料の細孔内に入る速度に違いがあるために分離することができる。また、ポリマー化合物の長さが長いほど、ポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入る速度が低下し、かつ、Y1,Y2で表わされる末端基の前記速度に対する影響が小さくなる傾向にある。
例えば、オクタノール、オクタン酸、オクタン酸メチルを多孔性チャネル材料(CoNDC)と相互作用させる場合、末端が極性の低いCOOCHであるオクタン酸メチルはCoNDCの細孔に速やかに入り、末端が極性のOHであるオクタノールはCoNDCの細孔にゆっくり入り、末端が最も極性の高いCOOHであるオクタン酸はCoNDCの細孔に入る速度が極めて遅く、実質的に細孔に入らない。これらは、Y=H、Y=COOCH,OH,COOHの場合であるが、Yがこれら以外のヘテロ原子含有末端基(例えば、CHO,OCH、OC,OC,OC,NH,NHCH、NHCOCH,CONH,COOC,COOC,COOCなど)であるポリマー化合物についても、末端基の相違によりポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入る速度に違いがあるので、この速度の違いにより全体の構造が類似している複数のポリマー化合物を分離することができる。ポリマー化合物が細孔内に入る速度の差が小さい場合、1回の分離工程で分離することができないことがあり得るが、1回の分離工程で各成分の濃縮が可能であるので、複数回の分離工程によりポリマー化合物を分離することができる。また、Y=Y=COOCH,OH又はCOOHであるC8のポリマー化合物は、細孔内へ入る速度差がより大きくなり、より容易に分離することができる。また、Y=H、Y=COOCH,OH又はCOOHであるC9以上のポリマー化合物はC8のポリマー化合物と同様に分離可能であるが細孔内に入る速度差は長さが長くなるにつれてやや減少する傾向がある。
例えば、高級脂肪酸のモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの場合、トリグリセリドは嵩高いため多孔性チャネル材料の細孔内に入らないか速度が相当遅く、モノグリセリドとジグリセリドは細孔内に入るがその速度が異なるために容易に分離できる。
また、高級不飽和脂肪酸又はそのエステル、高級不飽和脂肪アルコールのようなポリマー本体の繰り返し単位に1以上の二重結合を有する場合、シスとトランス異性体が存在するが、シス異性体は細孔内に入る速度がより速く、トランス異性体はより遅いため、これらを分離することができる。
例えばポリマー化合物がポリエチレングリコールの場合、両末端がOHとO(トリチル)の2種のポリマー化合物の混合物は、OH基は中に入ることができるが、O(トリチル)は中に入れない適切な細孔径の多孔性チャネル材料を選択することにより、分離することができる。このように末端基の嵩高さは、複数のポリマー化合物の分離に大きな影響を与える
多孔性チャネル材料の細孔径を選択することにより、両末端が(OH、OH)、(OH,OCH)、(OCH,OCH)の3種のポリマー化合物の混合物は、容易に分離することができる。一実施形態において、両末端が(OH,OCH)のポリマー化合物が細孔内に入る速度は、両末端が(OH、OH)、(OCH,OCH)の2種のポリマー化合物の中間になる。OHとOCH以外の任意の2種の両末端基の組み合わせの場合も、同様に特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマーを分離することができる。
また、ステアリルアルコールとイソステアリルアルコールのような末端の分岐構造が異なるポリマー化合物は、多孔性チャネル材料の細孔内に入る速度が異なるために分離することができる。
ポリマー化合物が炭素数16の2種(メチルペンタデカノエート、1−ヘキサデカノール)の混合物の場合、メチルペンタデカノエートは50℃に加温することで速やかに多孔性チャネル材料(CoNDC)に入り、1−ヘキサデカノールは融解後30分程度かけて徐々に入る。このように、多孔性チャネル材料との反応速度の差異により、メチルペンタデカノエートと1−ヘキサデカノールは互いに分離することができる(図9)
上記のように、Y1/Y2の一方又は両方の1価のヘテロ原子含有末端基が異なる構造的に非常に類似した複数のポリマー化合物は、本開示の方法により分離することができる。
複数のポリマー化合物と多孔性チャネル材料は溶媒中で混合してポリマー化合物を分離してもよく、無溶媒で混合し、分離してもよい。無溶媒で分離するポリマー化合物が室温で液体の場合、これらを混合することにより分離することができる。無溶媒で分離するポリマー化合物が室温で固体の場合、加熱によりポリマー化合物を融解することで多孔性チャネル材料により分離することができる。溶媒を使用する場合、分離工程の温度は室温から溶媒の沸点以下の温度が挙げられ、無溶媒でポリマー化合物を分離する場合、分離工程の温度は多孔性チャネル材料が分解しない温度、例えば500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。分離工程の温度が高くなると粘度が下がり、分離を短時間で行えるメリットがある。
本開示で使用される「多孔性チャネル材料」としては、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体(COF)、有機ケージ化合物が挙げられる。多孔性チャネル材料は、ポリマー化合物が入り得る多数の細孔を有するものである。多数の該細孔は規則的であることが好ましい。細孔は、ポリマー化合物が長さ方向に沿って内部に入るために直線状であることが好ましい。また、多孔性チャネル材料は、細孔の細孔径、形状、内部の官能基などの特性を適切に制御するように設計できるものが好ましい。多孔性チャネル材料の細孔径の上限は、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下、さらに好ましくは2nm以下、特に好ましくは1.5nm以下であり、細孔径の下限は好ましくは0.3nm以上、より好ましくは0.5nm以上、さらに好ましくは0.7nm以上である。細孔の測定は、単結晶X線回折、粉末X線回折によって行うことができる。また、窒素吸着測定によっても細孔径を測定することができる。細孔径が上記の範囲内にあれば、核酸、タンパク質、糖鎖などの比較的大きな側鎖を有するポリマー化合物が余裕を持って細孔内に入ることができる。
多孔性金属錯体は、遷移金属イオンとそれを連結する有機架橋配位子によって多孔性3次元構造を有する金属錯体であり、好ましくは、遷移金属カチオンと第1有機架橋配位子から構成される2次元シートが層をなし、2座配位可能な第2有機架橋配位子が各層に存在する遷移金属カチオンに配位することで隣接するシートとシートを連結させ、その間に細孔が形成されている構造を有する配位ポリマー、相互嵌入型の配位ポリマーなどが挙げられる。本開示の多孔性金属錯体は、MOF、PCPなどとして知られている多孔性金属錯体を広く包含する。多孔性金属錯体の細孔は、1次元細孔、2次元細孔、3次元細孔のいずれでもよいが、1次元細孔が好ましい。
本開示において、多孔性チャネル材料によるポリマー化合物の分離・精製は、多孔性チャネル材料の細孔とポリマー化合物の相互作用により行われる。より具体的には、複数のポリマー化合物は、
(1)多孔性チャネル材料の細孔内に入り込むポリマー化合物と多孔性チャネル材料の細孔内に入ることができないポリマー化合物に分離されるか、或いは
(2)ポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入り込む速度により分離される。
上記(1)は、多孔性チャネル材料の細孔径が一定であるrigidな多孔性チャネル材料の場合に該当し、上記(2)は、多孔性チャネル材料の細孔径がポリマー化合物との関係で変化するフレキシブルな多孔性チャネル材料の場合に該当する。
本開示によるポリマー化合物の分離・精製は、ポリマー化合物の末端基の大きさ(嵩高さ)、親水性/疎水性のバランス、ポリマー本体の長さと多孔性チャネル材料の細孔径の関係が重要であるが、細孔の内側を適当な官能基で修飾することにより、ポリマー化合物の細孔内への入り込みの程度及び速度を調節することができる。細孔の内側の修飾は、例えばMOFの場合、配位子に適当な置換基を導入することにより実現することができ、MOF以外の多孔性チャネル材料の場合にも同様に構成要素への置換基の導入により実現できる。
本開示において、ポリマー化合物の分離には、ポリマー化合物及び多孔性チャネル材料の親水性又は疎水性の相互作用も寄与するので、このような相互作用も多孔性チャネル材料とポリマー化合物の選択/組み合わせを決定する因子の1つになる。
1つの好ましい実施形態において、本開示で分離精製の対象となるポリマー化合物は、骨格が鎖状の高分子であり、デンドリマーのような大きく枝分かれした高分子、或いは、架橋した高分子は含まない。ポリマー化合物の骨格部分は鎖状であるので、ポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入り込むか否かは、末端基の嵩高さと極性により決まることになる。末端基は嵩高い基(例えばトリチル基、tert-ブチル基)或いは高極性(例えばCOOH、SOH、POH)の場合、細孔内に入り難いか入らず、小さい基もしくは極性の低い基(例えば、ハロゲン原子、H、CH3、OCH3、OCOCH3、COOCH3など)は細孔内に入りやすい:
(i)2つの末端基がともに嵩高いか、ともに極性が高いか、一方は嵩高く他方は極性が高く、細孔内に入ることができない場合、ポリマー化合物は多孔性チャネル材料の外側に存在する。
(ii)2つの末端基がともに細孔径に対し小さいか極性が低く、細孔内に入ることができる場合、ポリマー化合物は多孔性チャネル材料の細孔内に速やかに入り込む。
(iii)2つの末端基の一方が嵩高いもしくは高極性、他方が細孔径に対し小さいか低極性の場合、ポリマー化合物は嵩高いもしくは高極性の末端基を除いて細孔内に入ることができるが、嵩高いもしくは高極性の末端基は細孔の外側に存在する。
上記の(i)〜(iii)の3種のポリマー化合物を適切な細孔径の多孔性チャネル材料と混合すると、上記(i)のポリマー化合物は多孔性チャネル材料の細孔外に存在し、無溶媒の場合には適当な溶媒を用いて細孔外の(i)のポリマーを溶出し、(ii)及び(iii)のポリマー化合物が細孔内に入った多孔性チャネル材料に分離し、次に分離した多孔性チャネル材料を(iii)のポリマー化合物が溶解する溶媒で希釈することで、(iii)のポリマー化合物を回収することができる。
(iii)のポリマーが多孔性チャネル材料の細孔内に入る反応は平衡反応であるので、この溶出操作を繰り返すか、多孔性チャネル材料に対し溶媒を大量に使用することで、(iii)のポリマーを多孔性チャネル材料から溶出することができる。
上記(ii)のポリマーは、細孔内に奥深く入り込んでいるので、細孔外に溶出することは難しいが、多孔性チャネル材料の構造を破壊して回収することができる。なお、多孔性チャネル材料の構成要素(例えばMOFの場合には金属イオンと配位子、有機ケージ化合物の場合には、前記化合物を構成する有機化合物など)を回収し、多孔性チャネル材料の調製に再利用することができる。
本開示において、多孔性チャネル材料が硬い(rigid)MOFのような細孔径が実質的に変化しない材料の場合には、ポリマー化合物を分離・精製するための多孔性チャネル材料の選択は、末端基の嵩高さを考慮して決定される。
具体例としては、末端基のサイズが0.6nmのポリマー化合物と1.2nmのポリマー化合物を分離する場合、多孔性チャネル材料の細孔径は、0.6nm<細孔径<1.2nm、好ましくは0.7nm≦細孔径≦1.1nm、より好ましくは0.8nm≦細孔径≦1.0nmである。
なお、多孔性チャネル材料が硬い(rigid)MOFのような細孔径が実質的に変化しない材料の場合には、例えば末端基が、鎖状のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシなど)は、嵩高さとしては同様に取り扱うことができる。つまり、長さが異なる鎖状の末端基を有する複数のポリマー化合物は、細孔径が実質的に変化しない多孔性チャネル材料により分離することが難しいが、後述するフレキシブルな多孔性チャネル材料を使用することにより、細孔内に入る速度に基づいて分離・精製することができる。
(a)鎖状末端基、(b)分岐を有する末端基、(c)少なくとも1つの芳香族基を有する末端基、(d)単環又は多環末端基などを有するポリマー化合物は互いに分離することができる。さらに、(b)異なる分岐度を有する末端基を備えた2種以上のポリマー化合物、(c)芳香環の大きさ又は芳香環置換基の数が異なる少なくとも1つの芳香族基を有する末端基を備えた2種以上のポリマー化合物、(d)環の数及び/又は環の大きさの異なる多環末端基を備えた2種以上のポリマー化合物は、多孔性チャネル材料により互いに分離することができる。さらに、極性の異なる末端基を有する複数のポリマーを本明細書に記載の技術により分離することができる。
鎖状末端基は、全ての炭素原子に対し隣接する炭素原子又はヘテロ原子の数は1個又は2個である基であり、例えばアルコキシ基の場合には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシなどが挙げられ、アルコキシカルボニル基の場合には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニルなどが挙げられる。アルコキシ基、アルコキシカルボニル基は単なる例示であり、他の鎖状末端基も当然に含まれる。
分岐を有する末端基は、少なくとも1つの炭素原子に対し隣接する炭素原子又はヘテロ原子の数が3個又は4個である基であり、隣接する炭素原子又はヘテロ原子の数が3個のアルコキシ基としては、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシなどが挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、イソプロポキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニルなどが挙げられる。隣接する炭素原子又はヘテロ原子の数が4個のアルコキシ基としては、tert−ブトキシ、ネオペンチルオキシなどが挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、tert−ブトキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニルなどが挙げられる。これらは枝分かれの例示であり、他の分岐を有する末端基も広く包含される。また、分岐の程度の異なる末端基を有するポリマー化合物は、適切な細孔径を有する多孔性チャネル材料を用いて分離することができる。
少なくとも1つの芳香族基を有する末端基としては、例えばアリールオキシ基の場合、フェニルオキシ、ナフチルオキシなどの芳香族基が1つの末端基、ジフェニルメチルオキシなどの芳香族基が2つの末端基、トリチルオキシなどの芳香族基が3つの末端基が挙げられ、これらを有するポリマー化合物は互いに分離することができる。アリールオキシ基は単なる例示であり、少なくとも1つの芳香族基を有する末端基も広く包含される。
単環又は多環末端基としては、例えばエーテル系の末端基の場合、シクロヘキシルオキシなどの−O−(シクロアルキル基)、ジシクロヘキシルメチルオキシなどの−O−CH(シクロアルキル基)2、トリシクロヘキシルメチルオキシなどの−O−C(シクロアルキル基)3、アダマンチルオキシなどのスピロ系の基が挙げられる。環の数と環の大きさにより嵩高さが異なるので、ポリマー化合物を分離することができる。
次に、ポリマー化合物が多孔性チャネル材料の細孔内に入り込む速度により分離する場合について説明する。
多孔性チャネル材料は、相互作用する物質との関係で細孔径を変化させる一群の材料が知られている。このようなフレキシブルな多孔性チャネル材料としては、例えば相互嵌入型の多孔性金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示において、フレキシブルな多孔性チャネル材料は、ポリマー化合物との関係で細孔径を変えるので、反応時間を長くすることで複数のポリマー化合物を全てその細孔内に取り込むことができる。しかしながら、ポリマー化合物の細孔内への取り込み速度は末端基の構造により大きく影響される。
例えば、図6および図7に示すように、末端基がOH、OMe、OEt、OBuである4つのPEG誘導体をフレキシブルな多孔性チャネル材料(図の例ではMOFを使用している)と反応させると50%構造変化時間は、末端基により大きく異なり、図6の例では、OH(100時間以上)、OMe(0.3時間)、OEt(2.5時間)、OBu(11.5時間)になっている。つまり、反応時間を制御することで、末端基の構造が非常に類似しているポリマー化合物を分離することができる。末端基がOH、OMe、OEt、OBuである4つのPEG誘導体は、硬い(rigid) 多孔性チャネル材料では分離は難しいが、フレキシブルな多孔性チャネル材料を使用することで容易に分離できる。
図6および図7は、2つの末端基が同一の場合の結果であるが、2つの末端基が異なるポリマー化合物の混合物についても同様に反応時間を制御することにより分離・精製が可能である。
末端基の嵩高さが実質的に同様なポリマー化合物の混合物の場合、フレキシブルな多孔性チャネル材料を使用した分離方法は、特に有用である。
多孔性金属錯体は、第1有機架橋配位子とともに単座有機配位子を含んでいてもよい。単座有機配位子を加えることで、錯体結晶のサイズを調節することができる。
遷移金属イオンとしては、周期表の1〜12族に属する金属の金属イオン、具体的には、金、白金、銀、銅、ルテニウム、スズ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉄、イットリウム、マグネシウム、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、カルシウム、カドミウム、バナジウム、クロム、モリブデン、スカンジウムなどのイオンが挙げられ、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、白金、モリブデン、ジルコニウム、スカンジウムなどのイオンが好ましく、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの金属のイオンが挙げられる。
有機架橋配位子のうち、第1有機架橋配位子としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、インダン、インデン、ピレン、1,4−ジヒドロナフタレン、テトラリン、ビフェニレン、トリフェニレン、アセナフチレン、アセナフテンなどの芳香環に2個、3個又は4個のカルボキシル基が結合した化合物(前記有機配位子は、F,Cl、Br,Iなどのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基などのアシルアミノ基、シアノ基、水酸基、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、メトキシ、エトキシなどの直鎖又は分岐を有する炭素数1〜4のアルコキシ基、メチル、エチル、プロピル、tert-ブチル、イソブチルなどの直鎖又は分岐を有する炭素数1〜4のアルキル基、SH、トリフルオロメチル基、スルホン酸基、カルバモイル基、メチルアミノなどのアルキルアミノ基、ジメチルアミノなどのジアルキルアミノ基などの置換基で1,2又は3置換されていてもよい)、炭素数5〜12個の環状飽和脂肪族多価カルボン酸化合物(例えば、1,2−シス−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−トランス−シクロプロパンジカルボン酸、1,3−シス−シクロブタンジカルボン酸、1,3−トランス−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シス−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,3−アダマンタンジカルボン酸など)、(1α,2α,4α)−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和2価カルボン酸などが挙げられ、好ましくは、イソフタル酸、5−メトキシイソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−ヨードイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸及び5−シアノイソフタル酸、テレフタル酸(tp)、2−メチルテレフタル酸、2−メトキシテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、ジヒドロシクロブタ[1,2−b]テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸(pzdc)、テトラフルオロテレフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、オクタフルオロ−4,4’−ビ安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,7−フルオレンジカルボン酸、2,7−ピレンジカルボン酸、4,5,9,10−テトラヒドロピレン−2,7−ジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アセチレンジガルボン酸等のジカルボン酸類が挙げられる。
本開示の錯体には、第1有機架橋配位子と組み合わせて単座有機配位子、例えば、モノカルボン酸をさらに有していてもよい。モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。単座配位子を使用することで多孔性金属錯体のサイズを小さくし、細孔の長さを短くすることができる。
有機架橋配位子のうち、第2有機架橋配位子としては、例えば、ピラジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4’−ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、トリエチレンジアミン(ted)、4,4’−ビピリジル(bpy)、ジアザピレン、2,5−ジメチルピラジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、3,6−ジ(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、2,6−ジ(4−ピリジル)−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、N,N’−ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシジイミド、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4’−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、1,3−ビス(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(4−ピリジル)−グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の実施形態にとして、多孔性金属錯体は、例えば以下の文献、総説(Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 2334-2375.;Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 2-14.;Chem. Soc. Rev., 2008, 37, 191-214.;PNAS, 2006, 103, 10186-10191.;Chem.Rev.,2011, 111, 688-764.;Nature, 2003, 423, 705-714.)などに記載されているが、これらに限定されず、公知の多孔性金属錯体あるいは今後製造され得る多孔性金属錯体を広く使用することができる。多孔性金属錯体としては、以下に例示するものが挙げられるがこれに限定されない。CD-MOF-1、CD-MOF-2、CD-MOF-3、CPM-13、FJI-1、FMOF-1、HKUST-1、IRMOF-1、IRMOF-2、IRMOF-3、IRMOF-6、IRMOF-8、IRMOF-9、IRMOF-13、IRMOF-20、JUC-48、JUC-62、MIL-101、MIL-100、MIL-125、MIL-53、MIL-88(MIL-88A、MIL-88B、MIL-88C、MIL-88Dシリース゛を含む)、MOF-5、MOF-74、MOF-177、MOF-210、MOF-200、MOF-205、MOF-505、MOROF-2、MOROF-1、NOTT-100、NOTT-101、NOTT-102、NOTT-103、NOTT-105、NOTT-106、NOTT-107、NOTT-109、NOTT-110、NOTT-111、NOTT-112、NOTT-113、NOTT-114、NOTT-140、NU-100、rho-ZMOF、PCN-6、PCN-6'、PCN9、PCN10、PCN12、PCN12'、PCN14、PCN16、PCN-17、PCN-21、PCN46、PCN66、PCN68、PMOF-2(Cu)、PMOF-3、SNU-5、SNU-15'、SNU-21S、SNU-21H、SNU-50、SNU-77H、UiO-66、UiO-67、soc-MOF、sod-ZMOF、TUDMOF-1、UMCM-2、UMCM-150、UTSA-20、ZIF-2、ZIF-3、ZIF-4、ZIF-8、ZIF-9、ZIF-10、ZIF-11、ZIF-12、ZIF-14、ZIF-20、ZIF-21、ZIF-23、ZIF-60、ZIF-61、ZIF-62、ZIF-64、ZIF-65、ZIF-67、ZIF-68、ZIF-69、ZIF-70、ZIF-71、ZIF-72、ZIF-73、ZIF-74、ZIF-75、ZIF-76、ZIF-77又はZIF-90など。
本開示の例示的な実施形態で使用される多孔性金属錯体の例とその細孔径を以下に示す。この細孔径に合わせてポリマー化合物を選択すればよい。
IRMOF-1, Zn4O(BDC)3 (H2BDC= benzenedicarboxylate 細孔径 = 15.0 × 15.0 Å2
MOF-69C, Zn3(OH)2(BDC)2 細孔径 = 6.5× 6.5 Å2
MOF-74, M2(DOBDC) (H2DOBDC=2,5-dihydroxyterephthalate, M=Zn, Co, Ni, Mg 細孔径 = 11.0 × 11.0 Å2
HKUST-1, Cu3(BTC)2 (H3BTC=1,3,5-benzenetricarboxylate 細孔径 = 9.0 × 9.0 Å2
MOF-177, Zn4O(BTB)2 (BTB=4,4',4"-benzene-1,3,5-triyl-tribenzoate 細孔径 = 11.8 × 11.8 Å2
MOF-508, Zn(BDC)(bipy)0.5 細孔径 = 4.0 × 4.0 Å2
Zn-BDC-DABCO,Zn2(BDC)2(DABCO), (DABCO=1,4-diazabicyclo[2.2.2]-octane 細孔径 = 7.5 ×7.5 Å2
Cr-MIL-101, Cr3F(H2O)2O(BDC)3 細孔径 = 29.0 × 29.0 Å2
Al-MIL-110, Al8(OH)12[(OH)3(H2O)3][BTC]3 細孔径 = 16.0 × 16.0 Å2
MIL-103, M(BTB), (M =light rare-earth elements [La-Ho] 細孔径 = 10.7×10.7 Å2
Al-MIL-53, Al(OH)[BDC] 細孔径 = 8.5×8.5 Å2
ZIF-8, Zn(MeIM)2, (H-MeIM=2-methylimidazole細孔径 = 12.0×12.0 Å2
MIL-88B, Cr3OF(O2C-C6H4-CO2)3 細孔径 = 15.6 × 15.6 Å2
MIL-88C, Fe3O(O2C-C10H6-CO2)3 細孔径 = 18.7 × 18.7 Å2
MIL-88D, Cr3OF(O2C-C12H8 -CO2)3 細孔径 = 20.5 × 20.5 Å2
CID-1 [Zn2(ip)2(bpy)2]n (Hip=isophthalic acid, bpy=4,4'-bipyridine 細孔径 = 5.0×6.0 Å2
[ZrO(bpdc)]n (bpdc = 4,4'-biphenyl dicarboxylate) 細孔径 = 6.4×6.4 Å2(図1) 、
[Al(OH)(ndc)]n (ndc = 2,6-naphthalene dicarboxylate) 細孔径 = 8.5×8.5 Å2(図1)。
共有結合性有機構造体(COF)としては、例えば、ジボロン酸、ヘキサヒドロキシトリフェニレン、ジシアノベンゼン、C94BO2などの誘導体を縮合させることによって得られるもの、ならびに、ベンゼン−1,4−ジボロン酸(BDBA)、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシルトリフェニレン(HHTP)、テトラキス(4−ブロモフェニル)メタン、テトラキス(4−エチニルフェニル)メタン(TEPM)、1,3,5,7−テトラキス(4−エチニルフェニル)アダマンチン(TEPA)、1,3,5,7−テトラキス(4−ブロモフェニル)アダマンチン(TBPA)から得られるものなどが挙げられる。本開示の好ましい実施態様において、共有結合性有機構造体(COF)としては、COF−1 (細孔径 = 9.0 × 9.0 Å2)、COF−2、COF−5 (細孔径 = 27.0 × 27.0 Å2)、COF−6 (細孔径 = 9.0 × 9.0 Å2),COF−8 (細孔径 = 16.0 × 16.0 Å2)、COF−10 (細孔径 = 32.0 × 32.0 Å2)、COF−11 (細孔径 = 11.0 × 11.0 Å2)、COF−14 (細孔径 = 14.0 × 14.0 Å2)、COF−16 (細孔径 = 16.0 × 16.0 Å2)、COF−18 (細孔径 = 18.0 × 18.0 Å2),COF−42 (細孔径 = 23.0 × 23.0 Å2)、COF−43 (細孔径 = 38.0 × 38.0 Å2)、COF−66 (細孔径 = 23.0 × 23.0 Å2)、COF−102 (細孔径 = 12.0 × 12.0 Å2)、COF−103 (細孔径 = 12.0 × 12.0 Å2)、COF−105 (細孔径 = 10.3 × 10.3 Å2)、COF−108 (細孔径 = 15.5 × 15.5 Å2)、COF−202 (細孔径 = 11.0 × 11.0 Å2),COF−300 (細孔径 = 7.2 × 7.2 Å2)、COF−366 (細孔径 = 20.0 × 20.0 Å2)が挙げられるが、これらに限定されない。
有機ケージ化合物としては、Cooperら、J. Am. Chem. Soc., 134, 588 (2012)に記載された1,3,5-トリホルミルベンゼンと各種ジアミン化合物との縮合反応物、固体状態で多孔性を示すかご状イミン(Tozawa, T. et al., Porous organic cages. Nat. Mater. 8, 973-978 (2009))、室温で液状の多孔性材料(James, S. L. and coworker, Chem. Sci. 2012, 3, 2153)、多孔性有機分子結晶(Jones, J. T. A.ら、Nature 474, 367-371 (2011))、ループ状に閉じたクラウンエーテルを置換基に用いた化合物(Giri, N.ら、Nature 2015, 527, 216)などが挙げられるが、これらに限定されない。
多孔性チャネル材料からなる分離材は、ポリマー化合物100質量部あたり、200〜500質量部程度使用することで、複数のポリマー化合物の分離を行うことができる。
本開示の複合体は、多孔性チャネル材料と少なくとも1種のポリマー化合物の複合体から構成される。ポリマー化合物は、多孔性チャネル材料の細孔内に一部または全部が入り込んでいる。多孔性チャネル材料の細孔内部に少なくとも一部が入り込んだポリマー化合物は、多孔性チャネル材料の構造を破壊することで、回収できる。
ヘテロ原子含有末端基が、OH、メトキシ、エトキシ、ブトキシのようにサイズが近い場合には、ゲストの極性や官能基の違いを認識してゲートを開閉するフレキシブルな多孔性チャネル材料(図7)を利用することで構造が類似したポリマー化合物の分離が可能である。
本明細書において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ及びヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシが挙げられる。
アルキルチオとしては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ及びヘキシルチオなどのC1-6アルキルチオが挙げられる。
アルキニルオキシとしては、例えば、エチニル、1−若しくは2−プロピニル、1−、2−若しくは3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニルなどのC1-6アルキニルが挙げられる。
アリールオキシとしては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、フルオレニルオキシ、アントリルオキシ、ビフェニリルオキシ、テトラヒドロナフチルオキシ、クロマニルオキシ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルオキシ、インダニルオキシ及びフェナントリルオキシが挙げられる。
アラルキルオキシとしては、例えば、ベンジルオキシ、ナフチルメチルオキシ、フルオレニルメチルオキシ、アントリルメチルオキシ、ビフェニリルメチルオキシ、テトラヒドロナフチルメチルオキシ、クロマニルメチルオキシ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルメチルオキシ、インダニルメチルオキシ、フェナントリルメチルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルエチルオキシ、フルオレニルエチルオキシ、アントリルエチルオキシ、ビフェニリルエチルオキシ、テトラヒドロナフチルエチルオキシ、クロマニルエチルオキシ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルエチルオキシ、インダニルエチルオキシ、フェナントリルエチルオキシ、トリチルオキシ、ジフェニルメチルオキシが挙げられる。
アラルキルチオとしては、例えば、ベンジルチオが挙げられる。
モノアルキルアミノとしては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ヘキシルアミノなどのC1-6アルキルでモノ置換されたアミノ基が挙げられる。
ジアルキルアミノとしては、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジtert−ブチルアミノ、ジn−ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ、ジヘキシルアミノなどのC1-6アルキルでジ置換されたアミノ基が挙げられる。
保護アミノ基の保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz) 、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、トリフルオロアセチル、フタロイル(Pht)、p-トルエンスルホニル基(Tos)、2-ニトロベンゼンスルホニルなどが挙げられる。
アルコキシカルボニルとしては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルなどのC1-6アルコキシカルボニルが挙げられる。
アリールオキシカルボニルとしては、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル、フルオレニルオキシカルボニル、アントリルオキシカルボニル、ビフェニリルオキシカルボニル、テトラヒドロナフチルオキシカルボニル、クロマニルオキシカルボニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルオキシカルボニル、インダニルオキシカルボニル及びフェナントリルオキシカルボニルが挙げられる。
アラルキルオキシカルボニルとしては、例えば、ベンジルオキシカルボニル、ナフチルメチルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル、アントリルメチルオキシカルボニル、ビフェニリルメチルオキシカルボニル、テトラヒドロナフチルメチルオキシカルボニル、クロマニルメチルオキシカルボニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルメチルオキシカルボニル、インダニルメチルオキシカルボニル、フェナントリルメチルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル、ナフチルエチルオキシカルボニル、フルオレニルエチルオキシカルボニル、例えば、アントリルエチルオキシカルボニル、ビフェニリルエチルオキシカルボニル、テトラヒドロナフチルエチルオキシカルボニル、クロマニルエチルオキシカルボニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルエチルオキシカルボニル、インダニルエチルオキシカルボニル、フェナントリルエチルオキシカルボニル、トリチルオキシカルボニル、ジフェニルメチルオキシカルボニルが挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシとしては、例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、イソブトキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、ペンチルオキシカルボニルオキシ、イソペンチルオキシカルボニルオキシ及びヘキシルオキシカルボニルオキシなどのC1-6アルコキシカルボニルオキシが挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシとしては、例えば、フェニルオキシカルボニルオキシ、ナフチルオキシカルボニルオキシ、フルオレニルオキシカルボニルオキシ、アントリルオキシカルボニルオキシ、ビフェニリルオキシカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルオキシカルボニルオキシ、クロマニルオキシカルボニルオキシ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルオキシカルボニルオキシ、インダニルオキシカルボニルオキシ及びフェナントリルオキシカルボニルオキシが挙げられる。
アラルキルオキシカルボニルオキシとしては、例えば、ベンジルオキシカルボニルオキシ、ナフチルメチルオキシカルボニルオキシ、フルオレニルメチルオキシカルボニルオキシ、アントリルメチルオキシカルボニルオキシ、ビフェニリルメチルオキシカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルメチルオキシカルボニルオキシ、クロマニルメチルオキシカルボニルオキシ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルメチルオキシカルボニルオキシ、インダニルメチルオキシカルボニルオキシ、フェナントリルメチルオキシカルボニルオキシ、フェネチルオキシカルボニルオキシ、ナフチルエチルオキシカルボニルオキシ、フルオレニルエチルオキシカルボニルオキシ、アントリルエチルオキシカルボニルオキシ、ビフェニリルエチルオキシカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルエチルオキシカルボニルオキシ、クロマニルエチルオキシカルボニルオキシ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルエチルオキシカルボニルオキシ、インダニルエチルオキシカルボニルオキシ、フェナントリルエチルオキシカルボニルオキシ、トリチルオキシカルボニルオキシ、ジフェニルメチルオキシカルボニルオキシが挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノとしては、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、ペンチルオキシカルボニルアミノ、イソペンチルオキシカルボニルアミノ及びヘキシルオキシカルボニルアミノなどのC1-6アルコキシカルボニルアミノが挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノとしては、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ、ナフチルオキシカルボニルアミノ、フルオレニルオキシカルボニルアミノ、アントリルオキシカルボニルアミノ、ビフェニリルオキシカルボニルアミノ、テトラヒドロナフチルオキシカルボニルアミノ、クロマニルオキシカルボニルアミノ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルオキシカルボニルアミノ、インダニルオキシカルボニルアミノ及びフェナントリルオキシカルボニルアミノが挙げられる。
アラルキルオキシカルボニルアミノとしては、例えば、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ナフチルメチルオキシカルボニルアミノ、フルオレニルメチルオキシカルボニルアミノ、アントリルメチルオキシカルボニルアミノ、ビフェニリルメチルオキシカルボニルアミノ、テトラヒドロナフチルメチルオキシカルボニルアミノ、クロマニルメチルオキシカルボニルアミノ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルメチルオキシカルボニルアミノ、インダニルメチルオキシカルボニルアミノ、フェナントリルメチルオキシカルボニルアミノ、フェネチルオキシカルボニルアミノ、ナフチルエチルオキシカルボニルアミノ、フルオレニルエチルオキシカルボニルアミノ、アントリルエチルオキシカルボニルアミノ、ビフェニリルエチルオキシカルボニルアミノ、テトラヒドロナフチルエチルオキシカルボニルアミノ、クロマニルエチルオキシカルボニルアミノ、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニルエチルオキシカルボニルアミノ、インダニルエチルオキシカルボニルアミノ、フェナントリルエチルオキシカルボニルアミノ、トリチルオキシカルボニルアミノ、ジフェニルメチルオキシカルボニルアミノが挙げられる。
モノアルキルカルバモイルとしては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、イソブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、n−ペンチルカルバモイル、イソペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイルなどのC1-6アルキルでモノ置換されたカルバモイル基が挙げられる。
ジアルキルカルバモイルとしては、例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジn−プロピルカルバモイル、ジイソプロピルカルバモイル、ジn−ブチルカルバモイル、ジイソブチルカルバモイル、ジtert−ブチルカルバモイル、ジn−ペンチルカルバモイル、ジイソペンチルカルバモイル、ジヘキシルカルバモイルなどのC1-6アルキルでジ置換されたカルバモイル基が挙げられる。
以下に、本開示を例示的な実施例により更に詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、以下の試薬を使用した。
(1)XO−(CH2CH2O)n−X
・X=H、分子量1000、n=23、商品名ポリエチレングリコール 1,000、アルドリッチ社製
・X=H、分子量2000、n=45、商品名ポリエチレングリコール 2,000、東京化成販売株式会社製
・X=H、分子量20000、n=450、商品名ポリエチレングリコール 20,000、アルファ・エイサー社製
・X=Me、分子量2000、n=45、商品名ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、アルドリッチ社製
・X=Me、分子量1000、n=23、論文名:Zhang, ZらElectrophoresis 2010, 31, 3129・X=Et、分子量1000、n=23、論文名:Zhang, ZらElectrophoresis 2010, 31, 3129・X=n−Bu、分子量1000、n=23、論文名:Zhang, ZらElectrophoresis 2010, 31, 3129
・X=トリチル、分子量2000、n=45、論文名:Pikington-Miksa, M. A.ら Eur. J. Org. Chem. 2008, 17, 2900.
・X=トリチル、分子量20000、n=450、論文名:Pikington-Miksa, M. A.ら Eur. J. Org. Chem. 2008, 17, 2900.
・X=Me、トリチル、分子量2000、n=45、論文名:Pikington-Miksa, M. A.ら Eur. J. Org. Chem. 2008, 17, 2900.
(2)多孔性チャネル材料
・MOF();[Zn2(1,4-naphthalenedicarboxylate)2triethylenediamine]n、論文名:Chun, H.ら Chem. Eur. J. 2005, 11, 3521.
・フレキシブルMOF(2);[Co2(2,6-naphthalenedicarboxylate)2(4, 4’-bipyridine)]n、論文名:Aggarwal, H.らChem. Sci. 2015, 6, 4986.
・CoNDC:論文名:Aggarwal, H.らChem. Sci. 2015, 6, 4986.
(3)重量平均分子量
重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、PMMA換算値で求めた。ここでは、GPC装置として、ShodexK805L(品番)を用いた。
(4)DSC
JIS K7121試験法に準拠して、230℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後室温から230℃までを10℃/分で昇温させる条件にて示差走査熱量測定法にてDSC曲線を測定した。測定装置としてSII DSCG220(品番)を用いた。
(5)XRD
アルゴン雰囲気下にて、PEG又はその誘導体と多孔性チャネル材料との複合体について、X線回折(XRD)測定を行った。測定は(株)リガク製の水平型X線回折装置SmartLab(商品名)を用いた。
(6)SEM
走査型電子顕微鏡(SEM)測定は、日立ハイテクノロジーズ社製のHitachi S-3000Nを用いて行った。
なお、Me(メチル)、Et(エチル)、Bu(ブチル)、Tr(トリチル)の略号を用いた。
実施例1
末端基の異なる単品のPEG又はその誘導体〔一般式XO−(CH2CH2O)n−Xにおいて、n=45(分子量2000)、X=H,Me,Tr〕15mgを1mlのCH3CNに溶解し、PEG/MOF=0.15(wt./wt.)の割合でMOF()と混合し、70℃で12時間減圧下に溶媒を蒸発させた。得られた複合体について、XRDパターン及びSEM画像(図1)、DSC測定(図2)を行った。
PEG(X=H)と末端修飾PEG(X=Me)は、MOFの内部に取り込まれた複合体が生成したが、末端修飾PEG(X=Tr)は、末端Tr基がMOF()の細孔内に入ることができず、MOF()の表面に存在するために凝集粒子となった。DSC(図2)において、X=H,MeのPEGは細孔内に導入されることで融解吸熱ピークが消失し、X=TrのPEGは細孔内に導入されないPEG由来の融解吸熱ピークを確認した。
実施例2
末端基の異なる2種類のPEG又はその誘導体〔一般式XO−(CH2CH2O)n−Xにおいて、n=45(分子量2000)、X=H,Tr〕の混合物30mgを1mlのCH3CNに溶解し、PEG/MOF=0.2(wt./wt.)の割合でMOF(1)と混合し、100℃で12時間減圧下に溶媒を蒸発させた。得られた複合体(−PEG)について、DSC及び1H−NMR測定(図3)を行った。
PEG(X=H)は、MOFの内部に取り込まれ、末端修飾PEG(X=Tr)は、末端Tr基がMOF()の細孔内に入ることができず、MOF()の表面に存在した。
得られた複合体を塩化メチレンで洗浄すると末端修飾PEG(X=Tr)のみが溶出され、PEG(X=H)は、MOF()の内部に取り込まれたままであった。PEG(X=H)とMOF()の複合体は、酸処理、キレート剤処理などによりMOFの構造を破壊することで、PEG(X=H)を純粋な物質として回収することができ、本開示の方法により、PEG(X=H)とPEG(X=Tr)が分離精製できることが明らかになった。
実施例3
末端基の異なる単品のPEG誘導体〔一般式XO−(CH2CH2O)n−Xにおいて、n=45(分子量2000)、Xは一方がMe、他方がTr〕を用い、実施例1と同様に複合体を作製した。DSCの結果を図4に示す。PEG(X=Me,Tr)は、MOF()の細孔内に導入されないことが明らかになった。
実施例4
末端基の異なる単品の高分子量PEG誘導体〔一般式XO−(CH2CH2O)n−Xにおいて、n=450(分子量20000)、X=H、Tr〕を用い、実施例1と同様に複合体を作製した。DSCの結果を図5に示す。PEG(X=H)は、MOF()の細孔内に導入され、PEG(X=Tr)は、MOF()の細孔内に導入されないことが明らかになった。
実施例5
末端基の異なる単品の4種類のPEG又はその誘導体〔一般式XO−(CH2CH2O)n−Xにおいて、n=23(分子量1000)、X=H,Me,Et,Bu〕10mgを、フレキシブルMOF()5mgと混合し、45℃で加熱し、得られた複合体(−PEG)について、XRD測定(図6)を行った。
PEG(X=H)は、複合体を形成するのに100時間以上必要であったが、PEG(X=Me)は0.3時間、PEG(X=Et)は2.5時間、PEG(X=n−Bu)は11.5時間であり、複合体形成の反応速度により、末端官能基の異なるポリマー化合物を濃縮又は分離できることが明らかになった。
実施例6
炭素数8の3種のポリマー化合物(メチルヘプタノエート、1−オクタノール、オクタン酸)を、ポリマー化合物/MOF=1.0(wt./wt.)の割合でMOF(CoNDC)に滴下し、滴下直後、滴下5分後、滴下10分後及びCoNDC単独のXRDパターンを測定した。結果を図8に示す。
実施例7
以下に示すプロトコールに従い炭素数16の2種のポリマー化合物(メチルペンタデカノエート、1−ヘキサデカノール)とMOF(CoNDC)をポリマー化合物/MOF=1.0(wt./wt.)の割合で混合(滴下または粉体混合)して、室温から50℃に加熱し、50℃で1時間維持した。昇温startからXRDパターンを複数回測定した。結果を図9に示す。
Figure 2019078171
本開示で濃縮・分離されるポリマー化合物は、医薬品開発などのバイオ応用の他、様々な用途が期待できる。例えば濃縮・分離されるポリマー化合物がPEG誘導体の場合には、これを使った機能性材料(リチウムイオン電池)などの開発にもつながる。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つのヘテロ原子含有末端基が異なる複数のポリマー化合物から特定のヘテロ原子含有末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物を濃縮もしくは分離する方法であって、前記特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物は、下記式(I):
    Figure 2019078171
    〔式中、Y1は水素原子、メチル基、CH3CH(CH3)- 、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。Y2は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。但し、Y1が1価のヘテロ原子含有末端基の場合、Y1とY2は同一であっても異なっていてもよい。RUは式(II):
    Figure 2019078171
    (式中、zは2以上の整数を示す)
    で表されるポリマー本体を示す。〕
    で表わされ、複数の前記ポリマー化合物は溶媒の存在下又は非存在下に多孔性チャネル材料と混合され、前記特定の末端基を有する少なくとも1つのポリマー化合物は多孔性チャネル材料の細孔内に濃縮もしくは分離される、方法。
  2. 前記ポリマー本体が、ポリアルキレングリコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリエチレン又はポリプロピレンである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体又は有機ケージ化合物である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体である、請求項3に記載の方法。
  5. 多孔性チャネル材料からなる、ヘテロ原子含有末端基を有するポリマー化合物の分離材。
  6. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体又は有機ケージ化合物である、請求項5に記載の分離材。
  7. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体である、請求項6に記載の分離材。
  8. 下記式(I):
    Figure 2019078171
    〔式中、Y1は水素原子、メチル基、CH3CH(CH3)- 、CH3CH(CH2CH3)-又は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。Y2は1価のヘテロ原子含有末端基を示す。但し、Y1が1価のヘテロ原子含有末端基の場合、Y1とY2は同一であっても異なっていてもよい。RUは式(II):
    Figure 2019078171
    (式中、zは2以上の整数を示す)
    で表されるポリマー本体を示す。〕
    で表わされるポリマー化合物と多孔性チャネル材料との複合体。
  9. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体、共有結合性有機構造体又は有機ケージ化合物である、請求項5に記載の複合体。
  10. 前記多孔性チャネル材料が、多孔性金属錯体である、請求項6に記載の複合体。
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