JPWO2019077820A1 - ジルコニウムの窒化物を製造する方法 - Google Patents

ジルコニウムの窒化物を製造する方法 Download PDF

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Abstract

低い圧力下において再現性よく、ジルコニウムの窒化物として、Zr3N4で表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質を製造する方法を提供することである。本発明のZr3N4で表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物を製造する方法は、ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、第2族元素の窒化物の粉末とを含有する原料粉末を、1100℃より大きく2500℃以下の温度範囲で、5GPa以上8GPa以下の圧力下で反応させるステップを包含する。

Description

本発明は、ジルコニウムの窒化物を製造する方法に関する。
立方晶窒化ジルコニウム(c−Zr)は硬質材料として期待されている。近年、c−Zrを製造する技術が報告されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。
非特許文献1によれば、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用い、Nと金属Zrとを、15.6GPa〜18GPaの圧力下で、2500K〜3000Kの温度で反応させることによって、c−Zrが製造される。しかしながら、DACを用いた場合には実用に十分な量のc−Zrが得ることはできないだけでなく、実用化に向けてはより低い圧力下で製造される必要があった。
非特許文献2によれば、マルチアンビル型高圧装置を用い、Zr−Nナノ粒子を12GPa、1900Kで処理することによりc−Zrが製造される。非特許文献2で得られたc−Zrは、多孔質な焼結体であり、十分な硬度が得られなかった。また、ここでも、実用化を考えればより低い圧力下で製造される必要があった。
これらからより低い圧力下でc−Zrを製造する試みがなされてきた(例えば、非特許文献3を参照)。非特許文献3では、複分解反応を用いることにより7.7GPaの圧力下でc−Zrの合成が示唆されるが、再現性よくc−Zrが合成されないという問題があった。
A.Zerrら,Nat.Mater.2,185,2003 A.Dzivenkoら,J.Alloy.Compounds 480,46,2009 谷口 尚ら,高圧力の科学と技術,Vol.21,特別号,2011
以上から、本発明の課題は、低い圧力下において再現性よく、ジルコニウムの窒化物として、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質を製造する方法を提供することである。
本発明によるZrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物を製造する方法は、ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、第2族元素の窒化物の粉末とを含有する原料粉末を、1100℃より大きく2500℃以下の温度範囲で、5GPa以上8GPa以下の圧力下で反応させるステップを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記ジルコニウムのハロゲン化物は、ZrF、ZrCl、ZrBrおよびZrIからなる群から少なくとも1つ選択される材料であってもよい。
前記第2族元素の窒化物は、Be、Mg、Ca、SrおよびRaからなる群から少なくとも1つ選択される材料であってもよい。
前記反応させるステップは、前記原料粉末を、1100℃より大きく1600℃以下の温度範囲で、5.5GPa以上7.7GPa以下の圧力下で反応させて行ってもよい。
前記反応させるステップは、前記原料粉末を、1300℃以上1600℃以下の温度範囲で、5.5GPa以上7.7GPa以下の圧力下で反応させて行ってもよい。
前記反応させるステップで得られた生成物を溶剤で処理し、第二相を除去するステップをさらに包含してもよい。
前記ジルコニウムのハロゲン化物はZrClであり、前記第2族元素の窒化物はCaであってもよい。
前記原料粉末は、前記ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、前記第2族元素の窒化物の粉末とが、モル比で、3:2.5〜3:1.2となるように混合されてもよい。
前記原料粉末は、反応抑制剤を含有してもよい。
前記原料粉末は、Mo製のカプセル内に充填され、前記カプセルは高圧装置内に設置されてもよい。
前記反応させるステップは、前記原料粉末を10分以上24時間以下の時間反応させて行ってもよい。
前記ジルコニウムの窒化物は、Zr3−x(N,O)(xは、−0.5≦x≦0.5)で表されてもよい。
前記反応させるステップは、ベルト型高圧装置を用いて行ってもよい。
前記反応させるステップで得られた生成物を成形し、1200℃以上2000℃以下の温度範囲で焼結するステップをさらに包含してもよい。
前記焼結するステップは、前記生成物を成形し、1300℃以上1600℃以下の温度範囲で2GPa以上8GPa以下の圧力下で焼結して行ってもよい。
前記焼結するステップは、生成物を10nm以上10μm以下の粒径を有するように粒度調整し、焼結して行ってもよい。
前記焼結するステップは、前記生成物に焼結助剤を添加し、焼結して行ってもよい。
前記焼結助剤は、h−BNおよび/またはc−BNであってもよい。
前記焼結するステップは、ベルト型高圧装置、マルチアンビル型高圧装置、ホットプレスおよび熱間静水圧プレス(HIP)からなる群から選択される少なくとも1つの装置を用いて行ってもよい。
本発明のZrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物を製造する方法は、ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、第2族元素の窒化物の粉末とを含有する原料粉末を、1100℃より大きく2500℃以下の温度範囲で、5GPa以上8GPa以下の圧力下で反応させるステップを包含する。ジルコニウムのハロゲン化物と第2族元素の窒化物とを上述の温度範囲および上述の圧力範囲において反応させることによって、複分解反応が促進し、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質が再現性よく製造できる。
(a)本発明の実施形態であるジルコニウムの窒化物の製造に用いるカプセルを備えた高圧セルを模式的に示す斜視図である。(b)本発明の実施形態であるジルコニウムの窒化物の製造に用いるカプセルを備えた高圧セルを模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態であるジルコニウムの窒化物の製造に用いるベルト型高圧装置を模式的に示す図である。 実施例4の試料(試料4)の形態を示すSEM像である。 実施例1〜5及び比較例1の各試料のXRDパターンを示す図である。 比較例2の試料のXRDパターンを示す図である。 実施例7の焼結体の様態を示す図である。 実施例7の焼結体のXRDパターンを示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
本発明では、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウム(c−Zr)の結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物に着目し、その製造方法を説明する。まず、本発明におけるc−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物について説明する。
Zrで表される立方晶窒化ジルコニウム(c−Zr(Th−type))は、立方晶系に属し、I−4d空間群(International Talbes for Crystallographyの220番の空間群)に属し、表1に示す結晶パラメータおよび原子座標位置を占める。
表1において、格子定数a、bおよびcは単位格子の軸の長さを示し、α、β、γは単位格子の軸間の角度を示す。原子座標は、単位格子中の各原子の位置を示す。
本発明において、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウム窒化物は、ZrとNとの比率が変わったり、他の元素(例えば、Nの一部がO(酸素))で置き換わったりすることによって格子定数が変化するが、結晶構造と、原子が占めるサイトおよびその座標によって与えられる原子位置とは、骨格原子間の化学結合が切れるほどには大きく変わることはない。本発明では、対象となる物質のX線回折や中性子回折の結果をI−43dの空間群でリートベルト解析して求めた格子定数と原子座標とから計算されたZr−Nの化学結合の長さが、表1に示すc−Zr結晶の格子定数と原子座標とから計算されたそれと比べて±5%以内の場合は同一の結晶構造と判定できる。化学結合の長さが±5%を超えると、化学結合が切れて別の結晶となり得る。別の簡易的な判定方法として、c−Zr結晶のX線回折の主要ピーク(例えば、回折強度の強い10本程度)と、対象となる物質のそれとを比較してもよい。
このような観点から、本発明のジルコニウムの窒化物は、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有する、c−Zrそれ自身、ZrとNとのモル比が化学量論組成からずれているもの(すなわち、ZrリッチまたはNリッチ)、ZrおよびNの一部が他の元素(例えば、O等)で置き換わったものも含むものとする。例えば、ジルコニウムの窒化物が、モル比が化学量論組成からずれており、一部が置換しているものとして、Zr3−x(N,O)(xは−0.5≦x≦0.5)で表されるものがある。xがこの範囲であれば、c−Zrの結晶構造が維持される(c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造となる)。上記化学式中の(N,O)は、Nの一部が酸素(O)で置換されていることを示す。
本発明によれば、上述のジルコニウムの窒化物は、ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、第2族元素の窒化物の粉末とを含有する原料粉末を、1100℃より大きく2500℃以下の温度範囲で、5GPa以上8GPa以下の圧力下で反応させるステップによって製造される。
本願発明者らは、ジルコニウムのハロゲン化物(ZrX:Xはハロゲン元素)と、第2属元素の窒化物(M:Mは第2属元素)とを、上述の温度範囲および圧力下において、反応させれば、以下のような複分解反応を生じ、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物を生成できることを見出した。
3ZrX+2M→Zr+6MX
驚いたことに、ジルコニウムのハロゲン化物と、第1族元素の窒化物(例えば、NaNやLiN)とでは、条件を精査しても、複分解反応が進行せず、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物を生成できなかった。すなわち、本願発明者らは、種々の実験を重ね、低い圧力下において、複分解反応を進行させる、原料の特異な組み合わせを見出したといえる。
ジルコニウムのハロゲン化物は、ZrF、ZrCl、ZrBrおよびZrIからなる群から少なくとも1つ選択される材料である。これらのハロゲン化物であれば入手が容易であり、複分解反応を進行させることができる。中でも、反応効率の観点から、ZrClが好ましい。
第2属元素の窒化物は、Be、Mg、Ca、SrおよびRaからなる群から少なくとも1つ選択される材料である。これらの窒化物であれば入手が容易であり、複分解反応を進行させることができる。中でも、反応効率の観点から、Caが好ましい。
ジルコニウムのハロゲン化物と、第2属元素の窒化物とは、モル比で、3:2.5〜3:1.2となるように混合されることが好ましい。この範囲であれば、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物を生成できる。より好ましくは、ジルコニウムのハロゲン化物と、第2属元素の窒化物とは、モル比で、3:2となるように混合される。これにより、c−Zrを製造できる。
原料は、いずれも、粉末で用いることが好ましいが、この場合、100nm以上500μm以下の粒径を有する粉末である。この範囲の粒径であれば、複分解反応の進行を促進する。より好ましくは、原料粉末は、好ましくは、200nm以上200μm以下の粒径を有する粉末である。なお、本願明細書において、粒径は、マイクロトラックやレーザ散乱法によって測定される体積基準のメディアン径(d50)とする。
さらに、原料粉末は、反応抑制剤を含有してもよい。反応抑制剤は、発熱を抑えるために希釈できるものであれば特に制限はないが、例示的には、塩化ナトリウム(NaCl)や第2属元素のハロゲン化物である。原料粉末に含有される量は、好ましくは、10wt%以上75wt%以下の範囲である。この範囲であれば、複分解反応が好ましく進行する。
原料粉末は、上述の温度範囲および圧力下においても耐久性のある耐圧耐熱カプセル内に保持される。耐圧カプセルは、原料粉末と反応性のない材料からなるが、好ましくは、モリブデン(Mo)製である。カプセル内に保持される原料粉末の嵩密度は、1.3g/cm以上3.0g/cm以下にするのが好ましい。このような嵩密度を満たす充填率とすることにより、粉末間における複分解反応を促進できる。
反応させるステップは、好ましくは、上述の原料粉末を、1100℃より大きく1600℃以下の温度範囲で、5.5GPa以上7.7GPa以下の圧力下で行われる。圧力範囲がこの範囲であれば、上述の複分解反応が好ましく進行する。
反応させるステップは、より好ましくは、上述の原料粉末を、1300℃以上1600℃以下の温度範囲で、5.5GPa以上7.7GPa以下の圧力下で行われる。圧力範囲がこの範囲であれば、上述の複分解反応がより好ましく進行し、第二相を低減したジルコニウムの窒化物が得られる。
反応させるステップは、さらに好ましくは、上述の原料粉末を、1300℃以上1600℃以下の温度範囲で、7GPa以上7.7GPa以下の圧力下で行われる。圧力範囲がこの範囲であれば、上述の複分解反応がさらに好ましく進行し、第二相を低減したジルコニウムの窒化物が得られる。
なお、反応の時間は、特に制限はないが、例示的には、上述の原料粉末を、10分以上24時間以下の時間で反応させる。10分未満の場合、上述の複分解反応が十分でない場合があり、24時間を超えて行ってもそれ以上反応が進まないため非効率であることがあり得る。
反応させるステップは、上述の温度条件および圧力条件を満たす限り、任意の装置を使用できるが、例えば、ベルト型高圧装置が好ましい。ベルト型高圧装置は、上述の条件を満たすだけでなく、大量製造も可能であり、実用的である。
ここで、例示的に、原料粉末を充填したカプセルを備えた高圧セルを用い、ベルト型高圧装置により反応する場合を示す。
図1は、本発明の実施形態であるジルコニウムの窒化物の製造に用いるカプセルを備えた高圧セルを模式的に示す図である。
図1(a)は、高圧セルの斜視図であり、図1(b)は、高圧セルの断面図である。高圧セル1は、円筒状のパイロフィライト11と、パイロフィライト11の筒内に、筒内壁面上部側および下部側に接するように配置された2つのスチールリング12A、12Bと、スチールリング12A、12Bの中心軸側に配置された円筒状のカーボンヒーター15と、カーボンヒーター15の内部に配置された耐圧耐熱カプセル16と、耐圧耐熱カプセル16の内部に充填された原料粉末17と備える。パイロフィライト11とカーボンヒーター15との間の隙間には充填用粉末13が充填されており、カーボンヒーター15と耐圧耐熱カプセル16との間の隙間にも充填用粉末14が充填されている。
図1では、耐圧耐熱カプセル16内にジルコニウムのハロゲン化物の粉末18と、第2属元素の窒化物の粉末19と、反応抑制剤20とを混合した原料粉末17が充填されている様子を示す。
一端側を円板状の蓋で閉じた円筒状のカーボンヒーター15の内底部に充填用粉末14を敷き詰めてから、耐圧耐熱カプセル16を円筒状のカーボンヒーター15内に同軸となるように配置し、耐圧耐熱カプセル16とカーボンヒーター15の内壁面との隙間に充填用粉末14を充填し、更に、耐圧耐熱カプセル16の上部に充填用粉末14を敷き詰めてから、他端側を円板状の蓋で密封する。
この円筒状のカーボンヒーター15を、筒状のパイロフィライト11内に同軸となるように配置してから、カーボンヒーター15とパイロフィライト11の内壁面との隙間に充填用粉末13を充填する。充填用粉末13、14としては、例えば、NaCl+10wt%ZrOを挙げることができる。
次に、パイロフィライト11の内壁面上部側の充填用粉末13に埋め込むようにスチールリング12Aを押し込むとともに、パイロフィライト11の内壁面下部側の充填用粉末13に埋め込むように別のスチールリング12Bを押し込む。以上のようにして、原料粉末17を耐圧耐熱カプセル16に充填した高圧セル1が得られる。
図2は、本発明の実施形態であるジルコニウムの窒化物の製造に用いるベルト型高圧装置を模式的に示す図である。
ベルト型高圧装置21のシリンダー27A、27Bの間であって、アンビル25A、25Bの間の所定の位置に、薄い金属板からなる導電体26A、26Bを接触させて、図1を参照して説明した高圧セル1を配置する。次に、これらの部材と高圧セル1との間に、パイロフィライト28を充填する。
アンビル25A、25B及びシリンダー27A、27Bを高圧セル1側に移動して、高圧セル1を上述の条件を満たすように加圧する。加圧した状態で、上述の条件を満たすように加熱し、所定時間、保持すればよい。
このようにしてc−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物が得られるが、反応させるステップに続いて、得られた生成物を溶剤で処理し、第二相を除去してもよい。これにより、生成物中のジルコニウムの窒化物の純度を向上させることができる。生成物には、上述の反応式に示されるように、第2属元素のハロゲン化物(MX)が第二相として含まれ得る。水、エタノールなどの溶剤で生成物を洗浄すれば、容易に第二相が溶解し、除去できる。なお、水を用いる場合、50℃以上90℃以下、好ましくは、75℃以上85℃以下の温度に加熱すると、溶解除去が促進するため好ましい。
このようにして本発明のジルコニウムの窒化物が得られるが、さらに、得られた生成物を成形し、焼結するステップを行ってもよい。例えば、上述の反応させるステップによって得られた生成物を原料として、より大きな焼結体を製造し、切削工具に加工する場合に好ましい。
なお、焼結に先立って、原料である生成物を粒度調整することが好ましく、具体的には、生成物が、10nm以上10μm以下の範囲を満たす粉末となるまで、粒度調整を行う。これにより、緻密な焼結体である硬質材料を製造できる。より好ましくは、反応物が、50nm以上5μm以下の範囲を満たす粉末となるまで、粒度調整を行う。これにより、緻密で粒成長が抑制された焼結体である硬質材料を製造できる。なお、粒度調整は、湿式または乾式によるボールミル、ジェットミル等を使用し、篩い分け等の分級を行ってもよい。
焼結は、成型体(ペレットなどに成形されていてもよいし、容器に充填された状態でもよい)を1200℃以上2000℃以下の温度範囲で焼結する。この温度範囲であれば、焼結が進行する。より好ましくは、成型体を1300℃以上1600℃以下の温度範囲で、2GPa以上8GPa以下の圧力下で焼結する。この温度範囲かつこの圧力下であれば、粒成長を抑制したまま、緻密な焼結体である硬質材料を製造できる。なお、焼結時間は、成形体の大きさにもよるが、例示的には、10分以上24時間以下の範囲である。焼結に際して、成型後通常の雰囲気炉にて焼結してもよいが、ベルト型高圧装置、ホットプレスや熱間静水圧プレス(HIP)などを用いて加圧下にて焼結してもよい。焼結は、好ましくは、窒素雰囲気中など還元雰囲気で行われる。
なお、焼結するステップにおいて、生成物に、TiN、BN(h−BN、c−BN)、WC、WN、TaC、Co、NiおよびCrからなる群から選択される材料を添加してもよい。これらは焼結助剤として機能し、より緻密な焼結体である硬質材料を提供できる。添加する量は、10重量%未満が好ましい。中でも、焼結助剤は、好ましくは、h−BN(六方晶窒化ケイ素)および/またはc−BN(立方晶窒化ケイ素)である。なお、焼結助剤の生成物への添加は、制御の観点からは、生成物と焼結助剤とが直接混合されて用いられることが好ましいが、生成物が接触/充填される部材(例えばカプセル材料)に焼結助剤と同様の材料を使用し、そのまま焼結させることも意図する。
なお、本発明の方法を採用して製造された、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物の組成分析を行うと、第2族元素がppmオーダ以上で検出される。そのため、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物が本発明の方法を採用して製造されたかどうかは、組成分析を行うことによって第2族元素がppmオーダ以上で検出されれば、本発明の方法によって製造されたと判定可能である。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[実施例1]
実施例1では、図1および図2に示す高圧セルを備えたベルト型高圧装置を用いて、ジルコニウムのハロゲン化物としてZrClと、第2属元素の窒化物としてCaとの原料粉末から、圧力7.7GPa、温度1600℃において本発明のジルコニウムの窒化物を製造した。具体的には以下のとおりである。
ZrCl(シグマアルドリッチ製)とCa(シグマアルドリッチ製)とを、モル比で、3:2となるように混合し、原料粉末とした。原料粉末の粒径は、100nm以上500μm以下であることを確認した。なお、混合は、窒素ガスを充填したグローブボックス(HOおよびOの濃度は1ppm以下に制御された)内で行った。
この原料粉末を、一端側を円板状の蓋で閉じたMo製の円筒状の耐圧耐熱カプセル(図1の符号16)内に充填してから、他端側を円板状のMo製の蓋で密封した。このとき、充填時の嵩密度は、1.8g/cmであった。次に、一端側を円板状の蓋で閉じた円筒状のカーボンヒーター(図1の符号15)の内底部に充填用粉末(NaCl+10wt%ZrO)を敷き詰めてから、この耐圧耐熱カプセルを円筒状のカーボンヒーター内に同軸となるように配置し、耐圧耐熱カプセルとカーボンヒーターの内壁面との隙間に充填用粉末(NaCl+10wt%ZrO)を充填し、更に、耐圧耐熱カプセルの上部に充填用粉末(NaCl+10wt%ZrO)を敷き詰めてから、他端側を円板状の蓋で密封した。
次に、この円筒状のカーボンヒーターを、筒状のパイロフィライト内に同軸となるように配置してから、カーボンヒーターとパイロフィライトの内壁面との隙間に充填用粉末(NaCl+10wt%ZrO)を充填した。
次に、パイロフィライトの内壁面上部側の充填用粉末にスチールリングを押し込むとともに、パイロフィライトの内壁面下部側の充填用粉末に別のスチールリングを押し込んだ。以上のようにして、高圧セル(図1の符号1)を作製した。
高圧セルを、図2に示すベルト型加圧装置の所定の位置に配置した。高圧セルを、7.7GPa(7万7千気圧)に加圧した。次に、加圧した状態で、1600℃に加熱した。この状態で、温度と圧力を1時間保持した。これにより、原料粉末を高温高圧反応させた。
室温及び常圧に戻し、耐圧耐熱カプセルの内部から生成物を取り出した。次に、生成物を80℃に加熱した水中で処理した。これにより、生成物に付着したCaClを溶解除去した。次に、生成物を溶媒(蒸留水)に分散させ、遠心分離機で沈降させた。得られた生成物を実施例1の試料と称する。
実施例1の試料を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−IT100、日本電子株式会社製)により観察し、粉末X線回折(XRD、RINT2200、株式会社リガク製)により同定した。結果を図4および表3に示す。
[実施例2]
実施例2では、温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様であるため説明を省略する。生成物を実施例2の試料と称する。実施例1と同様に、実施例2の試料をSEM観察し、XRDにより同定した。結果を図4および表3に示す。
[実施例3]
実施例3では、温度を1400℃とした以外は、実施例1と同様であるため説明を省略する。生成物を実施例3の試料と称する。実施例1と同様に、実施例3の試料をSEM観察し、XRDにより同定した。結果を図4および表3に示す。
[実施例4]
実施例4では、温度を1300℃とした以外は、実施例1と同様であるため説明を省略する。生成物を実施例4の試料と称する(この試料を試料4とも称する)。実施例1と同様に、実施例4の試料をSEM観察し、XRDにより同定した。結果を図3、図4および表3に示す。
[実施例5]
実施例5では、温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様であるため説明を省略する。生成物を実施例5の試料と称する。実施例1と同様に、実施例5の試料をSEM観察し、XRDにより同定した。結果を図4および表3に示す。
[比較例1]
比較例1では、温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様であるため説明を省略する。生成物を比較例1の試料と称する。実施例1と同様に、比較例1の試料をSEM観察し、XRDにより同定した。結果を図4および表3に示す。
[実施例6]
実施例6では、圧力を5.5GPa、温度を1400℃とした以外は、実施例1と同様であるため説明を省略する。生成物を実施例6の試料と称する。実施例1と同様に、実施例6の試料をSEM観察し、XRDにより同定した。結果を表3に示す。
[比較例2]
実施例1では、図1および図2に示す高圧セルを備えたベルト型高圧装置を用いて、ジルコニウムのハロゲン化物としてZrClと、第2属元素の窒化物に代えてNaNとの原料粉末から、種々の圧力2.5GPa、5.0GPa、7.7GPa、種々の温度1100℃、1300℃、1500℃においてジルコニウムの窒化物を製造した。また、7.7GPaおよび1500℃の条件において、耐熱耐圧カプセルとしてMo製とPt製とをそれぞれ用いた。ZrClとNaNとのモル比を3:12とし、製造手順は、実施例1と同様であった。比較例2で得られた種々の生成物について、実施例1と同様に、SEM観察し、XRDにより同定した。結果を図5および表3に示す。
以上の実施例1〜6及び比較例1〜2の反応条件の一覧を簡単のため表2に示し、結果を詳述する。ただし、表2では、比較例2の一部の反応条件のみを示す。
図3は、実施例4の試料(試料4)の形態を示すSEM像である。
図3によれば、試料4は、最大10μm、平均数μmを有する不定形の粉末であった。図示しないが、実施例1〜3、5及び6の各試料も同様の様態であった。特に、反応温度が、高温になるほど、粉末の粒径が大きくなる傾向が見られた。
図4は、実施例1〜5及び比較例1の各試料のXRDパターンを示す図である。
図5は、比較例2の試料のXRDパターンを示す図である。
図4によれば、反応温度が1100℃におけるXRDパターンには、ZrNおよびZrOを示すピークが見られたが、c−Zrを示す回折ピークは見られなかった。一方、反応温度が1200℃以上におけるXRDパターンにおいて、c−Zr結晶を示す回折ピークが見られた。このことから、実施例1〜5の各試料は、比較例1の試料と異なり、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物を主成分とすることが分かった。また、反応温度は、1100℃よりも高温がよいことが示された。
さらに、反応温度が1300℃以上におけるXRDパターンでは、c−Zr結晶を示す回折ピークのみが見られ、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物がほぼ単相で得られたことが分かった。このことから、反応温度は、1300℃以上1600℃以下が好ましいことが示された。また、SEMに付属のエネルギー分散型X線分光法(EDX)によれば、ZrおよびN以外の元素は検出されなかったので、ジルコニウムの窒化物は、c−Zrそれ自身、および/または、ZrとNとのモル比が化学量論組成からわずかにずれている無機物質と言える。なお、O(酸素)はEDXでは検出限界以下であったとみなせるが、Nの一部がOで置換されている場合もあり、Zr3−x(N,O)(xは−0.5≦x≦0.5)を満たし得る。
図示しないが、実施例6の試料のXRDパターンも、実施例1〜5の試料と同様のパターンを示した。このことから、装置の誤差も含めれば、5GPa以上8GPa以下の圧力範囲が好ましいことが示された。
図5には、Mo製耐熱耐圧カプセルを用い、圧力7.7GPaにおいて、種々の温度1100℃、1300℃、1500℃それぞれで反応させた生成物のXRDパターンを示す。いずれのXRDパターンにおいてもc−Zr結晶を示す回折ピークは見られなかった。図示しないが、比較例2において、他のすべての条件で得られた生成物のXRDパターンについてもc−Zr結晶を示す回折ピークは見られなかった。
これらから、第2属元素の窒化物に代えて、第1族元素の窒化物を原料粉末に用いると、複分解反応が生じず、ジルコニウムのハロゲン化物と、第2属元素の窒化物との組み合わせが必須であることが示された。これらの結果を表3に示す。
以上から、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物を製造する方法において、ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、第2族元素の窒化物の粉末とを含有する原料粉末を、1100℃より大きく2500℃以下の温度範囲で、5GPa以上8GPa以下の圧力下で反応させるステップを包含することが有効であることが示された。
[実施例7]
実施例7では、実施例4で製造した生成物を、六方晶窒化ホウ素(h−BN)製のカプセルを用いて、図1および図2のベルト型加圧装置によって焼結した。生成物を分級法によって粒径10nm以上10μm以下となるまで粒度調整した。粒度調整した生成物をh−BNカプセルに充填し、7.7GPaの圧力下、1400℃で、15分間焼結した。得られた焼結体の(研磨後)表面を観察し、X線回折測定、および、ビッカース硬さ試験を行った。結果を図6および図7に示す。
図6は、実施例7の焼結体の様態を示す図である。
図6によれば、焼結体の表面は光沢を有し、一見して多孔質ではなく硬質材料の様態であった。
図7は、実施例7の焼結体のXRDパターンを示す図である。
図7によれば、焼結体のXRDパターンもc−Zr結晶を示す回折ピーク(図中の黒丸)を示し、焼結のための加熱によっても、製造したc−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物が分解しないことが確認された。また、焼結体のXRDパターンは、一部に立方晶窒化ホウ素(c−BN)を示す回折ピークを示した。これは、カプセルに用いたh−BNが、焼結助剤として機能したことが示唆される。
さらに、ビッカース試験機(MV−1S、松沢精機株式会社製)を用いたビッカース硬さ試験をした。試験荷重を1kgとし、過重時間7秒の条件でビッカース試験を行った際の焼結体の試験片の厚さ方向のビッカース硬さは、H=24GPaであった。この値は、既存の硬質材料である炭化タングステン(H=20GPa)等のビッカース硬さに匹敵した。
このことから、本発明の製造方法を実施すれば、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物が得られ、さらにこれを焼結することにより、c−Zrの結晶構造と同一の結晶構造を有するジルコニウムの窒化物の焼結体を提供できることが示された。
本発明の製造方法は、硬度および耐摩耗性に優れたZrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であるジルコニウムの窒化物を再現性よく、しかも実用化可能な圧力範囲にて製造できる。このようにして得られたジルコニウムの窒化物は、研削・切削工具(例えば、ドリル、エンドミル、ボブ、フライス、旋盤、ピニオンカッタ等)に好ましく、加工工具産業、加工産業、加工用装置産業等で利用される。
1 高圧セル
11 パイロフィライト容器(筒)
12A、12B スチールリング
13、14 充填用粉末(NaCl+10wt%ZrO
15 カーボンヒーター
16 耐圧耐熱カプセル
17 原料粉末
18 ジルコニウムのハロゲン化物の粉末
19 第2属元素の窒化物の粉末
20 反応抑制剤
21 ベルト型高圧装置
25A、25B アンビル
26A、26B 導電体
27A、27B シリンダー
28 パイロフィライト(充填用)

Claims (19)

  1. ジルコニウムの窒化物を製造する方法であって、
    前記ジルコニウムの窒化物は、Zrで表される立方晶窒化ジルコニウムの結晶構造と同一の結晶構造を有する無機物質であり、
    ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、第2族元素の窒化物の粉末とを含有する原料粉末を、1100℃より大きく2500℃以下の温度範囲で、5GPa以上8GPa以下の圧力下で反応させるステップ
    を包含する、方法。
  2. 前記ジルコニウムのハロゲン化物は、ZrF、ZrCl、ZrBrおよびZrIからなる群から少なくとも1つ選択される材料である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2族元素の窒化物は、Be、Mg、Ca、SrおよびRaからなる群から少なくとも1つ選択される材料である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記反応させるステップは、前記原料粉末を、1100℃より大きく1600℃以下の温度範囲で、5.5GPa以上7.7GPa以下の圧力下で反応させることによって行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記反応させるステップは、前記原料粉末を、1300℃以上1600℃以下の温度範囲で、5.5GPa以上7.7GPa以下の圧力下で反応させることによって行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記反応させるステップで得られた生成物を溶剤で処理し、第二相を除去するステップをさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記ジルコニウムのハロゲン化物はZrClであり、前記第2族元素の窒化物はCaである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記原料粉末は、前記ジルコニウムのハロゲン化物の粉末と、前記第2族元素の窒化物の粉末とが、モル比で、3:2.5〜3:1.2となるように混合される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記原料粉末は、反応抑制剤を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記原料粉末は、Mo製のカプセル内に充填され、前記カプセルは高圧装置内に設置される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記反応させるステップは、前記原料粉末を10分以上24時間以下の時間反応させることによって行われる、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記ジルコニウムの窒化物は、Zr3−x(N,O)(xは、−0.5≦x≦0.5)で表される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記反応させるステップは、ベルト型高圧装置を用いることによって行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記反応させるステップで得られた生成物を成形し、1200℃以上2000℃以下の温度範囲で焼結するステップをさらに包含する、請求項1〜13に記載の方法。
  15. 前記焼結するステップは、前記生成物を成形し、1300℃以上1600℃以下の温度範囲で2GPa以上8GPa以下の圧力下で焼結することによって行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記焼結するステップは、生成物を10nm以上10μm以下の粒径を有するように粒度調整し、焼結することによって行われる、請求項14または15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記焼結するステップは、前記生成物に焼結助剤を添加し、焼結することによって行われる、請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記焼結助剤は、h−BNおよび/またはc−BNである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記焼結するステップは、ベルト型高圧装置、マルチアンビル型高圧装置、ホットプレスおよび熱間静水圧プレス(HIP)からなる群から選択される少なくとも1つの装置を用いることによって行われる、請求項14〜18のいずれかに記載の方法。
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