JPWO2019069594A1 - 硬化性組成物及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、光学部材、特にレンズには、色収差を低減することが求められることがある。そのため、硬化性組成物としては、アッベ数が高い硬化物を得ることができるものが求められることがある。
エチレン性不飽和基を有するシラン化合物で表面修飾されたシリカ微粒子と、環構造を有さない(メタ)アクリレートと、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートと、重合開始剤とを含む硬化性組成物(特許文献1)。
・硬化物を高温高湿下に置くと、シラン化合物で表面修飾されたシリカ微粒子の表面の有機分が加水分解され、シリカ微粒子の表面から遊離する。シリカ微粒子の表面から遊離した有機分は、高温高湿下で酸化され、黄変するため、硬化物の着色の原因となる。硬化物が着色すると、透過率が下がり、透明性が低くなる。
・シリカ微粒子の表面にエチレン性不飽和基が多く存在するため、硬化性組成物を硬化するときにシリカ微粒子の周辺で局所的に収縮が大きくなりやすい。そのため、硬化性組成物を硬化するとき、硬化後に焼成するとき、硬化物を高温高湿下に置いたとき等に硬化物にクラックが発生しやすい。硬化物にクラックが発生した場合、光学部材への使用が難しくなる。
<1>有機分が5質量%以下であり、メディアン径が5〜20nmである中実シリカ微粒子Aと、
脂環式縮合環を有し、単独重合体のガラス転移温度が90〜350℃である(メタ)アクリレートBと、
芳香族環を有さず、エチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gであるエポキシ(メタ)アクリレートC(ただし、前記(メタ)アクリレートBを除く。)と、
芳香族環を有さないウレタン(メタ)アクリレートD(ただし、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCを除く。)と、
酸化防止剤と、重合開始剤と、を含み、
前記酸化防止剤が、フェノール部位を有する酸化防止剤と、スルフィド部位を有する酸化防止剤(ただし、前記フェノール部位を有する酸化防止剤を除く。)とを含み、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB、前記エポキシ(メタ)アクリレートC及び前記ウレタン(メタ)アクリレートDの合計のうち、前記中実シリカ微粒子Aが3〜55質量%であり、前記(メタ)アクリレートBが3〜70質量%であり、前記エポキシ(メタ)アクリレートCが10〜80質量%であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートDが0〜60質量%であり、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB、前記エポキシ(メタ)アクリレートC及び前記ウレタン(メタ)アクリレートDの合計100質量部に対して、前記酸化防止剤が、0.1〜10質量部であり、前記重合開始剤が、0.1〜10質量部である、硬化性組成物。
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCの合計のうち、前記中実シリカ微粒子Aが15〜50質量%であり、前記(メタ)アクリレートBが25〜65質量%であり、前記エポキシ(メタ)アクリレートCが20〜50質量%であり、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCの合計100質量部に対して、前記酸化防止剤が、0.1〜10質量部であり、前記重合開始剤が、0.1〜10質量部である、前記<1>の硬化性組成物。
<3>前記(メタ)アクリレートBにおける前記脂環式縮合環が、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基及びアマンチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基に由来する環である、前記<1>又は<2>の硬化性組成物。
<4>前記(メタ)アクリレートBが有するエチレン性不飽和基の数が、1個又は2個である、前記<1>〜<3>のいずれかの硬化性組成物。
<5>前記ウレタン(メタ)アクリレートDのエチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gである、前記<1>〜<4>のいずれかの硬化性組成物。
<6>前記(メタ)アクリレートB、前記エポキシ(メタ)アクリレートCと前記ウレタン(メタ)アクリレートD、酸化防止剤及び重合開始剤を溶解可能な溶媒を含有する、
前記<1>〜<5>のいずれかの硬化性組成物。
<7>前記<1>〜<6>のいずれかの硬化性組成物を硬化した硬化物。
<9>温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持する前における、前記硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率に対する、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持した後における、前記硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率の保持率が、90%以上である、前記<8>の硬化物。
<11>前記脂環式縮合環が、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基及びアマンチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基に由来する環である、前記<8>〜<10>のいずれかの硬化物。
<12>前記マトリックス樹脂及び前記中実シリカ微粒子の合計のうち、前記中実シリカ微粒子が15〜50質量%であり、前記マトリックス樹脂が、50〜85質量%である、前記<8>〜<11>のいずれかの硬化物。
<13>前記硬化物のガラス転移温度が90〜350℃である、前記<8>〜<12>のいずれかの硬化物。
<14>前記硬化物の波長589nmの光に対する屈折率が、1.45以上である、前記<8>〜<13>のいずれかの硬化物。
<15>下記の式Iで求めた前記硬化物のアッベ数が、54以上である、前記<8>〜<14>のいずれか一項に記載の硬化物。
νD=(nD−1)/(nF−nC) 式I
ただし、νDは、アッベ数であり、nDは、波長589nmの光に対する屈折率であり、nFは、波長486nmの光に対する屈折率であり、nCは、波長656nmの光に対する屈折率である。
本発明の硬化物は、アッベ数が高く、透明性及び耐クラック性に優れ、かつ長期にわたって透明性の低下を抑制できる。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
「光」は、紫外線、可視光線、赤外線、電子線及び放射線の総称である。
中実シリカ微粒子の有機分は、熱重量測定装置を用いて、窒素雰囲気下で中実シリカ微粒子を10℃から500℃まで25℃/分の速度で昇温したときの熱重量減少量である。
硬化性組成物中の中実シリカ微粒子のメディアン径は、動的光散乱法による粒度分布測定器を用いて求めた値である。
硬化物中の中実シリカ微粒子のメディアン径は、薄片について透過型電子顕微鏡で観察し、この薄片で確認できる充分な数(例えば100個以上、好ましくは200個以上)の中実シリカ微粒子について直径を計測し、それらを平均した値である。
硬化物の波長400nmの光の透過率は、実施例に記載の方法で得られた評価用硬化物についてJIS K 7361:1997(ISO 13468−1:1996)に記載された方法によって波長400nmの光を用いて25℃で測定された値である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本発明の硬化性組成物は、特定の中実シリカ微粒子Aと、特定の(メタ)アクリレートBと、特定のエポキシ(メタ)アクリレートCと、特定の酸化防止剤と、重合開始剤とを必須成分として含む。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて他の(メタ)アクリレート、添加剤、溶媒等を含んでいてもよい。
中実シリカ微粒子Aは、硬化物のアッベ数を高くする成分である。その微粒子の形状は球状であってもよく、鎖状であってもよく、その他の形状でもよい。なかでも、中実シリカ微粒子Aが凝集しにくく、硬化物の透明性の低下が抑えられる点から、球状が好ましい。
中実シリカ微粒子Aの表面修飾とは、表面処理によって有機ケイ素化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物等を被覆することや、表面処理によらず静電相互作用、水素結合等の分子間力によって表面に有機物が付着することを意味する。
中実シリカ微粒子Aの有機分は、5質量%以下であり、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。かかる有機分が前記範囲の上限値以下であれば、高温高湿下における有機分の酸化による黄変が抑えられ、硬化物の透明性の低下が抑えられる。中実シリカ微粒子Aの有機分は少なければ少ないほどよく、有機分の下限値は0質量%である。
(メタ)アクリレートBは、脂環式縮合環を有する。
脂環式縮合環は、複数の脂環式環が縮合したものである。脂環式縮合環は、炭素原子間の結合力が高く、高温高湿下における酸化や結合切断が起こりにくいため、硬化物が着色しにくく、透明性が低下しにくい。
(メタ)アクリレートBが有するエチレン性不飽和基の数は、入手の容易さや、分子内に占める脂環式縮合環の割合の大きさの点から、1個又は2個が好ましく、1個が特に好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加させたもの(ただし、(メタ)アクリレートBを除く。)である。エポキシ(メタ)アクリレートCは、エポキシ基の開環によって形成された水酸基を有するため、表面にシラノール基を有する中実シリカ微粒子Aとの相溶性がよい。また、(メタ)アクリレートBとも相溶性がよい。そのため、エポキシ(メタ)アクリレートCを含む硬化性組成物中では、中実シリカ微粒子Aと(メタ)アクリレートBとエポキシ(メタ)アクリレートCとが相溶し、その結果、硬化物の透明性が高くなる。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、芳香族環を有さない。エポキシ(メタ)アクリレートCがアッベ数を低下させる芳香族環を有さないため、硬化物のアッベ数の低下が抑えられる。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートDは、ウレタン結合を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物(但し、(メタ)アクリレートB及びエポキシ(メタ)アクリレートCを除く)である。ウレタン(メタ)アクリレートDは、水素結合性を示すウレタン結合を有するため、表面にシラノール基を有する中実シリカ微粒子Aとの相溶性がよい。また、(メタ)アクリレートB及びエポキシ(メタ)アクリレートCとも相溶性がよい。そのため、ウレタン(メタ)アクリレートDを含む硬化性組成物中では、中実シリカ微粒子Aと(メタ)アクリレートBとエポキシ(メタ)アクリレートCとウレタン(メタ)アクリレートDが相溶し、その結果、硬化物の透明性が高くなる。さらに、水素結合性を示すウレタン結合を有し、硬化物の柔軟性を向上させることができるため、耐クラック性が高くなる。特に硬化物の厚みが5mm以上のときや硬化物の体積が1cm3以上となるときにその効果が顕著となる。評価用硬化物の作製の簡便さの観点から、厚みは50mm以下、体積は50cm3以下が望ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートDにおけるエチレン性不飽和基の物質量は、0.1〜3.0mmol/gであり、0.3〜2.7mmol/gが好ましく、0.5〜2.5mmol/gがより好ましい。かかる物質量が前記範囲の下限値以上であれば、充分に硬化できる。かかる物質量が前記範囲の上限値以下であれば、硬化性組成物を硬化するときに硬化物が収縮しにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。そのため、硬化物を光学部材として好適に使用できる。
酸化防止剤は、フェノール部位を有する酸化防止剤と、スルフィド部位を有する酸化防止剤(ただし、前記フェノール部位を有する酸化防止剤を除く。)とを含む。
フェノール部位を有する酸化防止剤は、硬化物中に発生した着色の原因となるラジカルを捕捉し、硬化物の透明性の低下を抑える。スルフィド部位を有する酸化防止剤は、ラジカルを捕捉したフェノール部位を有する酸化防止剤を再生できる。よって、フェノール部位を有する酸化防止剤とスルフィド部位を有する酸化防止剤とを併用することによって、長期にわたって硬化物の透明性の低下を抑制できる。
スルフィド部位を有する酸化防止剤の市販品としては、東京化成工業社製の硫黄系酸化防止剤T0205、ADEKA社製のアデカスタブ(商品名)(AO−412S、AO−503等)が挙げられる。スルフィド部位を有する酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤中のフェノール部位を有する酸化防止剤及びスルフィド部位を有する酸化防止剤の合計の割合は、50質量%以上が好ましく、100質量%が特に好ましい。
フェノール部位を有する酸化防止剤及びスルフィド部位を有する酸化防止剤の合計のうちのフェノール部位を有する酸化防止剤の割合は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、15〜85質量%がさらに好ましい。
重合開始剤は、硬化方法(光硬化又は熱硬化)等に応じて適宜選択される。
重合開始剤としては、光重合開始剤又は熱重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、硬化物の製造のしやすさの点から、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤がある。その中でも光を吸収することによってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤が、硬化物の製造のしやすさの点から好ましい。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、界面活性剤、チクソトロピック剤、消泡剤、光安定剤、ゲル化防止剤、光増感剤、樹脂、樹脂オリゴマー、炭素化合物、金属微粒子、金属酸化物粒子(ただし、中実シリカ微粒子Aを除く。)、シランカップリング剤、他の有機化合物等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、溶媒を含んでもよい。ただし、硬化性組成物を硬化する前には、溶媒を除去することが好ましい。
溶媒としては、(メタ)アクリレートB、エポキシ(メタ)アクリレートC、酸化防止剤、重合開始剤を溶解可能な溶媒であればいずれも用いることができる。なかでも、エステル構造、ケトン構造、水酸基、芳香族炭化水素基、エーテル構造のいずれか1つ以上を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の好ましい具体例としては、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−プロパノール、トルエンなどが挙げられる。これらの中でも、メチルエチルケトン、2−プロパノール、又はトルエンが特に好ましい。
また、本発明において溶媒を使用する場合、硬化性組成物中の溶媒の含有量は、目的の粘度、塗布性、目的とする膜厚等によって適宜調整すればよい。
中実シリカ微粒子Aの割合は、中実シリカ微粒子A、(メタ)アクリレートB、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計のうち、3〜55質量%であり、5〜51質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましく、17〜46質量%がさらに好ましく、19〜42質量%が特に好ましい。中実シリカ微粒子Aの割合が前記範囲の下限値以上であれば、硬化物のアッベ数が高くなる。中実シリカ微粒子Aの割合が前記範囲の上限値以下であれば、他の成分との相溶性がよく、硬化性組成物において中実シリカ微粒子Aが均一に分散しやすく、硬化物の透明性に優れる。また、硬化物が脆くなりにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。
・アッベ数の低い(メタ)アクリレートB及びエポキシ(メタ)アクリレートCの割合を抑え、アッベ数の高い中実シリカ微粒子Aを特定の割合で含有できるため、硬化物のアッベ数が高くなる。
・エポキシ(メタ)アクリレートCがアッベ数を低下させる芳香族環を有さないため、硬化物のアッベ数の低下が抑えられる。
・ウレタン(メタ)アクリレートDがアッベ数を低下させる芳香族環を有さないため、硬化物のアッベ数の低下が抑えられる。
・中実シリカ微粒子Aが表面修飾されていないか、又は表面修飾されていても有機分が5質量%以下であるため、高温高湿下における有機分の酸化による黄変が抑えられ、硬化物の透明性の低下が抑えられる。
・中実シリカ微粒子Aのメディアン径が5〜20nmであるため、硬化物の透明性が高くなる。
・中実シリカ微粒子Aの割合が多すぎないため、硬化性組成物において中実シリカ微粒子Aが均一に分散しやすく、硬化物の透明性に優れる。
・(メタ)アクリレートBが脂環式縮合環を有するため、硬化物が着色しにくく、透明性が低下しにくい。
・エポキシ(メタ)アクリレートCを特定の割合で含むため、各成分の相溶性がよく、硬化物の透明性に優れる。
・ウレタン(メタ)アクリレートDを特定の割合で含むため、各成分の相溶性がよく、硬化物の透明性に優れる。
・中実シリカ微粒子Aの割合が多すぎないため、硬化物が脆くなりにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。
・中実シリカ微粒子Aの表面にエチレン性不飽和基が存在しない、又は中実シリカ微粒子Aの表面の有機分がすべてエチレン性不飽和基であったとしても5質量%以下であるため、硬化物にクラックが発生しにくい。
・エポキシ(メタ)アクリレートCにおけるエチレン性不飽和基の物質量が多すぎないため、硬化物にクラックが発生しにくい。
・ウレタン(メタ)アクリレートDが、水素結合性を示すウレタン結合を有するため、柔軟性が向上し、耐クラック性を向上させられる。
また、本発明の硬化性組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートDを含む場合には、硬化物の柔軟性を向上させることができるため、硬化物作製時の熱処理中又は熱処理後、耐湿熱試験後でのクラックが発生しない硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、インプリント法、注型成形法等に用いることができ、インプリント法に用いる硬化性組成物として好適である。
本発明の硬化物は、脂環式縮合環を有するマトリックス樹脂と、マトリックス樹脂中に分散したメディアン径が5〜20nmである中実シリカ微粒子とを含む。
マトリックス樹脂は、例えば、本発明の硬化性組成物における(メタ)アクリレートB、エポキシ(メタ)アクリレートC等の、中実シリカ微粒子A以外の成分が硬化したものである。
マトリックス樹脂の割合は、マトリックス樹脂及び中実シリカ微粒子の合計のうち、50〜85質量%が好ましく、54〜83質量%がより好ましく、58〜81質量%がさらに好ましい。また、中実シリカ微粒子の割合が前記範囲の下限値以上であれば、硬化物のアッベ数が高くなる。また、中実シリカ微粒子の割合が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物の透明性に優れる。また、硬化物が脆くなりにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。
本発明の硬化物を基材の表面に形成して、本発明の硬化物からなる層と基材からなる層とを有する積層体としてもよい。ここにおける基材の好ましい例としては、シリコンウェハ、ガラス、石英ガラス、金属等の無機材料製基材やフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機材料製基材があげられる。これら基材は、平面状の基材であっても曲面状の基材であってもよい。
本発明の硬化物のガラス転移温度は、90〜350℃であり、100〜350℃が好ましく、150〜350℃がより好ましく、200〜350℃がさらに好ましい。(メタ)本発明の硬化物のガラス転移温度が下限値以上であれば、高温高湿下で硬化物が軟化しにくく、硬化物の各種特性に優れる。本発明の硬化物のガラス転移温度が上限値以下であれば、本発明の硬化性組成物を入手しやすい。
硬化物の波長589nmの光に対する屈折率は、1.45以上が好ましく、1.48〜1.53がより好ましい。屈折率が前記範囲内であれば、ガラスなどの他部材と組み合せた場合であってもフレネル反射が起こりにくく、透過率の損失が少ない。
νD=(nD−1)/(nF−nC) 式I
ただし、νDは、アッベ数であり、nDは、波長589nmの光に対する屈折率であり、nFは、波長486nmの光に対する屈折率であり、nCは、波長656nmの光に対する屈折率である。
硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の透過率は下式IIから求める。
硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の透過率=
T1×(1−r)2 式II
ただし、r= {(n−1)/(n+1)}2である。T1は、硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率であり、下式IIIから求める。nは、硬化物の25℃における波長400nmの光に対する屈折率である。
T1=(TY/100)1/Y×100 式III
ただし、TYは、硬化物の厚さYmmあたりの波長400nmの光の内部透過率であり、下式IVから求める。
TY=(硬化物の厚さYmmあたりの波長400nmの光の透過率)/(1−r)2 式IV
硬化物の厚さ0.1mmあたりの内部透過率=(硬化物の厚さYmmあたりの内部透過率/100)0.1/Y×100 式V
硬化方法は、光硬化又は熱硬化が挙げられ、重合開始剤に応じて適宜選択すればよい。
硬化方法としては、硬化物の製造のしやすさの点から、光硬化が好ましい。
例1〜12は実施例であり、例13〜19は比較例である。
動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子社製、FPAR1000)を用いて求めた。
(中実シリカ微粒子の有機分)
熱重量測定装置(TAインスツルメント社製、TGA−Q500)を用い、窒素雰囲気下で中実シリカ微粒子を10℃から500℃まで25℃/分の速度で昇温し、それによる中実シリカ微粒子の熱重量減少量を求めた。熱重量減少量を中実シリカ微粒子Aの有機分とした。
FT−NMR装置(日本電子社製、JNM−AL300)を用いて、エポキシ(メタ)アクリレート又は硬化性組成物の1H−NMRスペクトルを測定した(300MHz、溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)。内部標準を1,4−ビス(トリフルオロベンゼン)とし、6ppm付近のエチレン性不飽和基の物質量を算出した。
アッベ屈折計(アタゴ社製、多波長アッベ屈折計DR−M2)を用い、温度:25℃、波長:589nmにおいて測定した。
(硬化性組成物のアッベ数)
アッベ屈折計(同上)を用い、温度:25℃で、波長:589nm、486nm及び656nmのそれぞれの屈折率を測定し、前記式Iから算出した。
離型処理した石英ガラス基板の表面に硬化性組成物を塗布した。一方、硬化物との密着性を向上させるためにプライマー処理したガラス基板を用意した。厚みが1mmのスペーサーを介して石英ガラス基板とガラス基板との間に硬化性組成物を挟み込み、高圧水銀ランプから紫外線を露光量:3000mJ/cm2で硬化性組成物に照射した。離型処理した石英ガラス基板を剥がすことによって、プライマー処理したガラス基板の表面に密着した、約100mm3の硬化物を得た。得られた硬化物に、180℃で15分間熱処理を施し、厚さ:1mmの評価用硬化物を得た。
屈折率測定装置(米国メトリコン社製プリズムカプラ:2010/M)を用いて、温度25℃で、評価用硬化物の波長473nm、594nm及び658nmの光に対する屈折率を測定し、装置付属のMetricon Fitを用いて波長589nmの光に対する屈折率を算出した。
前記屈折率測定装置付属のMetricon Fitを用いて各波長における評価用硬化物の屈折率を算出し、上式Iからアッベ数を算出した。
(硬化物の透過率)
紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所社製、Solid Spec−3700)を用いて透過率を測定した。波長400nmの光に対する透過率、及び透過率が85%以上である最短の波長を求めた。
前記屈折率測定装置付属のMetricon Fitを用いて評価用硬化物の波長400nmに対する屈折率nを算出した。硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率を前記式III及び式IVから算出した。さらに、硬化物の厚さ0.1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率を前記式Vから算出した。
評価用硬化物を目視にて観察し、下記基準にて外観を評価した。
A+:評価用硬化物を作製する際に250℃で15分間熱処理を施した後、及び後述する耐湿熱試験後ともにクラックの発生は見られなかった。
A:評価用硬化物を作製する際に180℃で15分間熱処理を施した後、及び後述する耐湿熱試験後ともにクラックの発生は見られなかった。
B:評価用硬化物を作製する際に180℃で15分間熱処理を施した後にクラックの発生が見られた。
評価用硬化物を温度:85℃、相対湿度:85%の雰囲気下で1000時間保持する試験(耐湿熱試験)に付した。試験後の硬化物について、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所社製、Solid Spec−3700)を用いて透過率を測定した。波長400nmにおける透過率、及び透過率が85%以上となる波長領域における最短の波長を求めた。また、試験後の硬化物について、前記方法と同様にして硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率及び硬化物の厚さ0.1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率を求めた。
下式VIによって算出した。
内部透過率の保持率(%)=(耐熱試験後の硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率/耐熱試験前の硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率)×100 式VI
透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2010F)を用いて求めた。硬化物をエポキシ樹脂(BUEHLER社製、エポキュアー)に包埋した後、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製、EMUC6i)を用いて25℃にて厚さ50nmの薄片を切削し、得られた薄片をCu製カーボングリッド上に採取した。採取した薄片について、加速電圧100kVにて透過型電子顕微鏡観察に供した。この薄片で確認できる充分な数(例えば100個以上、好ましくは200個以上)の中実シリカ微粒子について電子顕微鏡像を撮影し、これらの直径を計測し累積分布を求め、その50%粒子径をメディアン径とした。
離型処理した石英ガラス基板の表面に(メタ)アクリレート又は硬化性組成物を塗布した。100μmのスペーサーを介してもう1枚の離型処理した石英ガラス基板を重ね、2枚の石英ガラス基板の間に(メタ)アクリレート又は硬化性組成物を挟み込み、高圧水銀ランプから紫外線を露光量3000mJ/cm2で(メタ)アクリレート又は硬化性組成物に照射した。離型処理した石英ガラス基板を剥がすことによって硬化物を得た。得られた硬化物に、100℃で15分間熱処理を施し、厚さ100μmの(メタ)アクリレートの単独重合体、又は硬化性組成物の硬化物を得た。
示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、DSC−Q20)を用い、窒素雰囲気下で単独重合体又は硬化物を10℃から350℃まで20℃/分の速度で昇温し、ガラス転移温度を求めた。350℃でガラス転移温度が観測されないものについては、ガラス転移温度は350℃以上とした。
中実シリカ微粒子A−1分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST−40、分散媒:メチルエチルケトン、SiO2濃度:40質量%、微粒子の形状:球状、微粒子のメディアン径:10nm、微粒子の有機分:3質量%)。
中実シリカ微粒子A−2分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、TOL−ST、分散媒:トルエン、SiO2濃度:40質量%、微粒子の形状:球状、微粒子のメディアン径:10nm、微粒子の有機分:5質量%)。
中実シリカ微粒子A−3分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、IPA−ST、分散媒:2−プロパノール、SiO2濃度:30質量%、微粒子の形状:球状、微粒子のメディアン径:10nm、微粒子の有機分:3質量%)。
中実シリカ微粒子A’−1分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−AC−2140Z、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面修飾された微粒子の分散液、分散媒:メチルエチルケトン、SiO2濃度:40質量%、微粒子の形状:球状、微粒子のメディアン径:10.3nm、微粒子の有機分:9質量%)。
中実シリカ微粒子A’−2分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST−L、分散媒:メチルエチルケトン、SiO2濃度:30質量%、微粒子の形状:球状、微粒子のメディアン径:40nm、微粒子の有機分:4質量%)。
中実シリカ微粒子A’−3分散液:日本特許第6132776号公報に記載の比較例3に則して作製した表面修飾シリカ微粒子の分散液(分散媒:2−プロパノール、SiO2濃度:27質量%、微粒子の形状:球状、微粒子のメディアン径:11.5nm、微粒子の有機分:18質量%)。
アクリレートB−1:ジシクロペンタニルアクリレート(東京化成工業社製、単独重合体のガラス転移温度:120℃)。
アクリレートB−2:イソボルニルアクリレート(東京化成工業社製、単独重合体のガラス転移温度:90℃)。
メタクリレートB−3:1−アダマンチルメタクリレート(大阪有機化学工業社製、ADMA、単独重合体のガラス転移温度:250℃)。
アクリレートB’−1:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成社製、単独重合体のガラス転移温度:24℃)。
アクリレートB’−2:シクロヘキシルアクリレート(東京化成工業社製、単独重合体のガラス転移温度:32℃)。
エポキシアクリレートC−1:エポキシアクリレート(新中村化学工業社製、NKオリゴEA−5311、トリメチロールプロパンとエピクロロヒドリンとの反応物にアクリル酸を付加した化合物、エチレン性不飽和基の物質量:2.8mmol/g)。
エポキシアクリレートC−2:エポキシアクリレート(新中村化学工業社製、NKオリゴEA−5511、グリシジルエーテルにアクリル酸を付加した化合物、エチレン性不飽和基の物質量:1.5mmol/g)。
エポキシアクリレート(C’−1):エポキシアクリレート(ナガセケムテックス社製、DA−722、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステルにアクリル酸を付加した化合物、エチレン性不飽和基の物質量:3.7mmol/g)。
エポキシアクリレートC’−2:エポキシアクリレート(ナガセケムテックス社製、DA−314、グリセロールとエピクロロヒドリンとの反応物にアクリル酸を付加した化合物、エチレン性不飽和基の物質量:4.8mmol/g)。
ウレタンアクリレートD−1:ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、UA−4200、質量平均分子量:1300、エチレン性不飽和基の物質量:1.5mmol/g)。
酸化防止剤E−1:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(BASFジャパン社製、IRGANOX(商品名)1010)。
酸化防止剤E−2:2、2’−チオジエチルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製、IRGANOX(商品名)1035)。
酸化防止剤E−3:3,3’−チオジプロピオン酸ジドデシル(東京化成工業社製)。
重合開始剤F−1:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(BASFジャパン社製、Irgacure(商品名)1173)。
重合開始剤F−2:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、Irgacure(商品名)TPO)。
固形分の割合が表1、表3に示す割合となるように、中実シリカ微粒子分散液、(メタ)アクリレート、及びエポキシ(メタ)アクリレートを、溶媒としてメチルエチルケトン、トルエン、又は2−プロパノールを単独又は二種以上用いて均一になるように混合し、40℃で溶媒を減圧留去した。具体的には、例1、例2、例5、例7〜14ではメチルエチルケトン、例4、例15ではメチルエチルケトン及び2−プロパノール、例3、例6、例16〜19ではメチルエチルケトン及びトルエンを使用した。表1、表2及び表5に示す添加量となるように、得られた混合物に酸化防止剤及び重合開始剤を添加し、例1〜19に示される硬化性組成物を得た。評価結果を表3、表4、表6に示す。
特に、ウレタン(メタ)アクリレートDを含む例11及び12は、評価用硬化物を作成する際の熱処理を250℃−15分間とした後も、硬化物にクラックの発生は見られなかった。また、耐湿熱試験後も硬化物にクラックの発生は見られなかった。これはウレタン(メタ)アクリレートDによって、硬化物の柔軟性が向上し、熱収縮によるクラックが抑制されたため、耐クラック性がさらに優れたものとなった。
例13は、中実シリカ微粒子の有機分が5質量%を超えているため、硬化物の透明性に劣っていた。そのため、硬化物の屈折率及び透過率の測定は行わなかった。例14は、中実シリカ微粒子のメディアン径が20nmを超えているため、硬化物の透明性に劣っていた。
例18,例19は、いずれも、エポキシ(メタ)アクリレートにおけるエチレン性不飽和基の物質量が3.0mmol/gを超えているため、硬化物にクラックが発生した。
例18では、硬化物にクラックが発生した。硬化物にクラックが発生したため、硬化物の屈折率及び透過率の測定は行わず、例19では、耐湿熱試験後に硬化物にクラックが発生した。
なお、2017年10月5日に出願された日本特許出願2017−195229号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (15)
- 有機分が5質量%以下であり、メディアン径が5〜20nmである中実シリカ微粒子Aと、
脂環式縮合環を有し、単独重合体のガラス転移温度が90〜350℃である(メタ)アクリレートBと、
芳香族環を有さず、エチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gであるエポキシ(メタ)アクリレートC(ただし、前記(メタ)アクリレートBを除く。)と、
芳香族環を有さないウレタン(メタ)アクリレートD(ただし、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCを除く。)と、
酸化防止剤と、
重合開始剤と、を含み、
前記酸化防止剤が、フェノール部位を有する酸化防止剤と、スルフィド部位を有する酸化防止剤(ただし、前記フェノール部位を有する酸化防止剤を除く。)とを含み、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB、前記エポキシ(メタ)アクリレートC及び前記ウレタン(メタ)アクリレートDの合計のうち、前記中実シリカ微粒子Aが3〜55質量%であり、前記(メタ)アクリレートBが3〜70質量%であり、前記エポキシ(メタ)アクリレートCが10〜80質量%であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートDが0〜60質量%であり、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB、前記エポキシ(メタ)アクリレートC及び前記ウレタン(メタ)アクリレートDの合計100質量部に対して、前記酸化防止剤が、0.1〜10質量部であり、前記重合開始剤が、0.1〜10質量部である、硬化性組成物。 - 前記ウレタン(メタ)アクリレートDが0質量%であり、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCの合計のうち、前記中実シリカ微粒子Aが15〜50質量%であり、前記(メタ)アクリレートBが25〜65質量%であり、前記エポキシ(メタ)アクリレートCが20〜50質量%であり、
前記中実シリカ微粒子A、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCの合計100質量部に対して、前記酸化防止剤が、0.1〜10質量部であり、前記重合開始剤が、0.1〜10質量部である、請求項1に記載の硬化性組成物。 - 前記(メタ)アクリレートBにおける前記脂環式縮合環が、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基及びアマンチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基に由来する環である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリレートBが有するエチレン性不飽和基の数が、1個又は2個である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記ウレタン(メタ)アクリレートDのエチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリレートB、前記エポキシ(メタ)アクリレートCと前記ウレタン(メタ)アクリレートD、酸化防止剤及び重合開始剤を溶解可能な溶媒を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化した硬化物。
- 脂環式縮合環を有するマトリックス樹脂と、前記マトリックス樹脂中に分散したメディアン径が5〜20nmである中実シリカ微粒子とを含む硬化物であり、
前記硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率が90%以上であり、かつ、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持した後における、前記硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率が、90%以上である、硬化物。 - 温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持する前における、前記硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率に対する、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持した後における、前記硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率の保持率が90%以上である、請求項8に記載の硬化物。
- 温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持した後における、前記硬化物の透過率が85%以上となる波長領域における最短の波長が、420nm以下である、請求項8又は9に記載の硬化物。
- 前記脂環式縮合環が、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基及びアマンチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基に由来する環である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の硬化物。
- 前記マトリックス樹脂及び前記中実シリカ微粒子の合計のうち、前記中実シリカ微粒子が15〜50質量%であり、前記マトリックス樹脂が50〜85質量%である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の硬化物。
- 前記硬化物のガラス転移温度が90〜350℃である、請求項8〜12のいずれか一項に記載の硬化物。
- 前記硬化物の波長589nmの光に対する屈折率が、1.45以上である、請求項8〜13のいずれか一項に記載の硬化物。
- 下記の式Iで求めた前記硬化物のアッベ数が、54以上である、請求項8〜14のいずれか一項に記載の硬化物。
νD=(nD−1)/(nF−nC) 式I
ただし、νDは、アッベ数であり、nDは、波長589nmの光に対する屈折率であり、nFは、波長486nmの光に対する屈折率であり、nCは、波長656nmの光に対する屈折率である。
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