図1および図2に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、モータ20と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、第1配線部材91と、第2配線部材92と、第1ベアリング51と、第2ベアリング54と、第3ベアリング55と、第4ベアリング56と、を備える。モータ20は、ロータ22と、ステータ23と、制御基板70と、バスバー80と、回転検出部75と、を備える。ロータ22は、第1中心軸(中心軸)J1に沿って延びるモータシャフト21を有する。つまりモータ20は、モータシャフト21を有する。減速機構30は、モータシャフト21に連結される。出力部40は、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される出力シャフト部41を有する。出力シャフト部41は、第1中心軸J1の軸方向に延びる。出力シャフト部41は、モータシャフト21が配置される軸方向の位置とは異なる軸方向の位置に配置される。本実施形態の例では、第1中心軸J1の軸方向が、上下方向である。
本実施形態では、第1中心軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、モータシャフト21から出力シャフト部41へ向かう方向を軸方向一方側と呼び、出力シャフト部41からモータシャフト21へ向かう方向を軸方向他方側と呼ぶ。軸方向一方側は、第1中心軸J1に沿ってモータ20から減速機構30および出力部40へ向かう方向である。軸方向他方側は、第1中心軸J1に沿って出力部40および減速機構30からモータ20へ向かう方向である。本実施形態の例では、軸方向一方側が下側であり、図1および図2の下側である。軸方向他方側は上側であり、図1および図2の上側である。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
第1中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、第1中心軸J1に接近する方向を径方向内側と呼び、第1中心軸J1から離れる方向を径方向外側と呼ぶ。第1中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
ケース11は、モータ20、減速機構30、出力部40および回転検出装置60を収容する。ケース11は、モータケース12と、減速機構ケース13と、を有する。モータケース12および減速機構ケース13は、樹脂製である。つまり、ケース11は樹脂製である。図1に示すように、ケース11は、ブリーザ部17を有する。ブリーザ部17は、ケース11の内部と外部とを繋ぐ呼吸孔を有する。図2に示すように、モータケース12は、軸方向一方側に開口する第1開口部12iを有する。減速機構ケース13は、軸方向他方側に開口する第2開口部13jを有する。ケース11は、モータケース12と減速機構ケース13とが、各々の開口部を軸方向に対向させた状態で固定される構成を有する。つまり、モータケース12と減速機構ケース13とは、第1開口部12iと第2開口部13jとが軸方向に対向した状態で互いに固定される。モータケース12と減速機構ケース13とが互いに固定された状態において、第1開口部12iの内部と第2開口部13jの内部とは、互いに通じる。
モータケース12には、モータ20、第1配線部材91および第3ベアリング55が収容される。モータケース12は、周壁部12aと、蓋体12gと、仕切り壁部12dと、ベアリング保持部12eと、コネクタ部12cと、第1配線保持部14と、を有する。
周壁部12aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる筒状である。周壁部12aは、円筒状である。周壁部12aは、軸方向一方側の端部が開口する。周壁部12aは、軸方向他方側の端部が開口する。周壁部12aの軸方向一方面および軸方向他方面は、それぞれ開口する。つまり周壁部12aは、軸方向の両側に開口する。周壁部12aは、第1中心軸J1に沿って第1中心軸J1の周囲を覆う。
周壁部12aには、ステータ23が収容される。周壁部12aは、ステータ23の径方向外側を囲む。周壁部12aの内部は、後述する仕切り壁部12dにより軸方向一方側の部分と軸方向他方側の部分とに仕切られる。周壁部12aの内部のうち、仕切り壁部12dよりも軸方向一方側の部分は、ステータ収容部である。周壁部12aの内部のうち、仕切り壁部12dよりも軸方向他方側の部分は、制御基板収容部12fである。本実施形態の例では、制御基板収容部12fの内径が、ステータ収容部の内径よりも大きい。
図1および図2に示すように、蓋体12gは、板状である。蓋体12gは、周壁部12aの軸方向他方側に開口する開口部を塞ぐ。蓋体12gは、制御基板収容部12fの軸方向他方側の開口を塞ぐ。周壁部12aに対して蓋体12gは、ネジ16を用いて取り外し可能に装着される。
図2に示すように、仕切り壁部12dは、周壁部12aの内周面から径方向内側に広がる円環板状である。仕切り壁部12dは、ステータ23を軸方向他方側から覆う。仕切り壁部12dは、ロータ22およびステータ23と、制御基板70と、の間に位置する。仕切り壁部12dは、軸方向に沿うロータ22およびステータ23と、制御基板70と、の間に配置される。仕切り壁部12dには、仕切り壁部12dを軸方向に貫通する貫通孔が設けられる。貫通孔には、例えばコイル線等が通される。コイル線は、後述するステータ23のコイルから延び、貫通孔内を通って、制御基板70に電気的に接続される。
ベアリング保持部12eは、筒状である。ベアリング保持部12eは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。ベアリング保持部12eは、仕切り壁部12dの径方向内縁部に設けられる。ベアリング保持部12eの内周面には、第3ベアリング55が固定される。ベアリング保持部12eは、第3ベアリング55を保持する。
図1に示すように、コネクタ部12cは、周壁部12aの外周面から径方向外側に突出する。コネクタ部12cは、径方向に延びる筒状である。コネクタ部12cは、径方向外側に開口する。本実施形態の例では、コネクタ部12cが、長円筒状である。コネクタ部12cの開口部の形状は、周方向の長さが軸方向の長さよりも長い長円形である。図2に示すように、コネクタ部12cは、仕切り壁部12dと径方向に重なる位置に配置される。コネクタ部12cは、後述するバスバー80を保持する。コネクタ部12cは、ケース11外の電気的配線との接続が行われる部分である。コネクタ部12cには、外部電源(図示省略)が接続される。
図2および図3に示すように、第1配線保持部14は、周壁部12aから径方向外側に突出する。図2に示すように、第1配線保持部14は、軸方向に延びる。第1配線保持部14は、軸方向一方側に開口する。第1配線保持部14の軸方向他方側の端部の軸方向位置は、仕切り壁部12dの軸方向位置と同じである。第1配線保持部14の周方向位置は、コネクタ部12cの周方向位置と異なる。
減速機構ケース13には、減速機構30、出力部40、回転検出装置60、第2配線部材92、第1ベアリング51、第2ベアリング54および第4ベアリング56が収容される。図1および図2に示すように、減速機構ケース13は、底壁部13aと、支持筒部13dと、取付け壁部13hと、突出筒部13cと、カバー筒部13bと、第2配線保持部15と、脚部13mと、を有する。
図2に示すように、底壁部13aは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。底壁部13aは、減速機構30を軸方向一方側から覆う。底壁部13aの軸方向他方側を向く面は、減速機構30と軸方向に対向する。底壁部13aは、ケース11の内面のうち、減速機構30の軸方向一方側に位置する部分である。底壁部13aには、支持筒部13dが設けられる。支持筒部13dは、底壁部13aの軸方向他方側を向く面から軸方向他方側に突出する筒状である。支持筒部13dは、円筒状である。支持筒部13dは、底壁部13aの径方向内縁部から軸方向他方側へ延びる。支持筒部13dは、軸方向他方側に開口する。支持筒部13dの軸方向他方側を向く端面13iは、第1中心軸J1に垂直に広がる平面状である。端面13iは、円環状の平面である。端面13iの軸方向位置は、後述するカバー筒部13bの軸方向他方端の軸方向位置よりも、軸方向一方側に配置される。
取付け壁部13hは、底壁部13aの軸方向他方側を向く面から軸方向他方側に突出する。取付け壁部13hは、支持筒部13dの外周面から径方向外側に延びる。取付け壁部13hは、支持筒部13dから後述する第2配線保持部15内へ向けて延びる。取付け壁部13hの径方向内縁部は、支持筒部13dの外周面に接続する。取付け壁部13hの径方向外縁部は、第2配線保持部15内に配置される。取付け壁部13hの径方向外縁部の径方向位置は、後述するカバー筒部13bの内周面の径方向位置よりも、径方向外側に配置される。取付け壁部13hの軸方向他方側を向く面は、支持筒部13dの端面13iよりも軸方向一方側に位置する。図示しないが、底壁部13aの軸方向他方側を向く面において取付け壁部13hは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態の例では、取付け壁部13hが2個で一組とされ、一組の取付け壁部13h同士が、一定の間隔をあけて互いに平行に延びる。取付け壁部13hは、支持筒部13dから径方向外側に延びる例えば2本のリブである。取付け壁部13hは、後述する第1回転センサ62を周方向に挟んで固定する。
突出筒部13cは、底壁部13aの径方向内縁部から軸方向一方側に突出する筒状である。突出筒部13c内には、出力シャフト部41が配置される。カバー筒部13bは、底壁部13aの径方向外縁部から軸方向他方側に突出する筒状である。カバー筒部13bは、円筒状である。カバー筒部13bは、軸方向他方側に開口する。カバー筒部13bは、第1中心軸J1に沿って第1中心軸J1の周囲を覆う。カバー筒部13bの軸方向他方側の端部は、周壁部12aの軸方向一方側の端部に接触して固定される。
図2および図3に示すように、第2配線保持部15は、カバー筒部13bから径方向外側に突出する。図2に示すように、第2配線保持部15は、軸方向他方側に開口する箱状である。第2配線保持部15の内部は、カバー筒部13bの内部と通じる。第2配線保持部15の軸方向一方側の端部の軸方向位置は、底壁部13aの軸方向位置と同じである。第2配線保持部15は、第1配線保持部14と軸方向に対向する。第2配線保持部15の内部は、第1配線保持部14の内部と通じる。
図1および図3に示すように、脚部13mは、カバー筒部13bから径方向外側に突出する。カバー筒部13bの外周面において脚部13mは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態の例では、3個の脚部13mが、周方向に互いに不等間隔をあけて配置される。また、3個の脚部13mのカバー筒部13bからの突出長さが、互いに異なる。脚部13mを用いて、電動アクチュエータ10を例えば車両等の対象物に装着することができる。
図2に示すように、ロータ22は、モータシャフト21と、ロータコアと、ロータマグネットと、バランスウェイト24と、を有する。モータシャフト21は、第1ベアリング51および第3ベアリング55によって、第1中心軸J1回りに回転可能に支持される。第1ベアリング51は、モータシャフト21の軸方向一方側の端部に嵌め合わされる。第3ベアリング55は、モータシャフト21の軸方向他方側の部分に嵌め合わされる。モータシャフト21と減速機構30とは、第4ベアリング56を介して、第2中心軸J2回りに相互に回転可能に連結される。第4ベアリング56は、軸方向に沿う第1ベアリング51と第3ベアリング55との間に配置されて、モータシャフト21に嵌め合わされる。第1ベアリング51、第3ベアリング55および第4ベアリング56は、例えば、ボール軸受である。モータシャフト21の軸方向他方側の端部は、ベアリング保持部12e内から軸方向他方側に突出する。モータシャフト21の軸方向他方側の端部は、仕切り壁部12dよりも軸方向他方側に突出する。
モータシャフト21は、ロータコア固定軸部21aと、偏芯軸部21bと、ウェイト取付軸部21cと、大径部21dと、を有する。ロータコア固定軸部21aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。ロータコア固定軸部21aの外周面には、ロータコアが固定される。ロータコア固定軸部21aにおいてロータコアよりも軸方向他方側に位置する部分には、第3ベアリング55が嵌め合わされる。
偏芯軸部21bは、ロータコア固定軸部21aよりも軸方向一方側に位置する。偏芯軸部21bは、モータシャフト21の軸方向一方側の端部に、軸方向他方側から接続する。偏芯軸部21bは、第1中心軸J1に対して偏芯する。偏芯軸部21bは、第1中心軸J1に対して偏芯した第2中心軸J2を中心として延びる。第2中心軸J2は、第1中心軸J1と平行である。よって偏芯軸部21bは、軸方向に延びる。偏芯軸部21bは、第4ベアリング56内に嵌め合わされる。偏芯軸部21bは、第4ベアリング56を介して、減速機構30の後述する外歯ギア31を支持する。
ウェイト取付軸部21cは、軸方向に沿うロータコア固定軸部21aと偏芯軸部21bとの間に配置される。ウェイト取付軸部21cは、偏芯軸部21bに軸方向他方側から接続する。ウェイト取付軸部21cは、偏芯軸部21bよりも大きい径を有する。ウェイト取付軸部21cは、第4ベアリング56の軸方向他方側に配置されて、第4ベアリング56の内輪と軸方向に対向する。
大径部21dは、ウェイト取付軸部21cの軸方向他方側に配置される。大径部21dは、ウェイト取付軸部21cに軸方向他方側から接続する。大径部21dは、ロータコア固定軸部21aの軸方向一方側に配置される。大径部21dは、ロータコア固定軸部21aに軸方向一方側から接続する。大径部21dは、ウェイト取付軸部21cよりも大きい径を有する。本実施形態の例では、大径部21dが、モータシャフト21において最も大径の部分である。
ロータコアは、筒状であり、ロータコア固定軸部21aの外周面に固定される。ロータマグネットは、ロータコアの外周面に固定される。図2および図3に示すように、バランスウェイト24は、ウェイト取付軸部21cに取り付けられる。バランスウェイト24は、第1中心軸J1に対して偏芯する重心軸を有する。バランスウェイト24の重心軸は、偏芯軸部21bの重心軸(第2中心軸J2)と周方向に180度間隔をあけて配置される。図2に示すように、バランスウェイト24は、大径部21dの軸方向一方側を向く面に接触する。
ステータ23は、ロータ22と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ23は、ロータ22の径方向外側を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着される複数のコイルと、を有する。図示しないが、ステータコアは、バックヨークと、ティースと、を有する。バックヨークは、周方向に延びる環状である。ティースは、バックヨークから径方向内側へ向けて延び、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。
制御基板70は、板状である。制御基板70の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。制御基板70は、制御基板収容部12f内に収容される。制御基板70は、仕切り壁部12dの軸方向他方側に配置される。本実施形態の例では、制御基板70が、仕切り壁部12dから軸方向他方側に離れて配置される。制御基板70は、ステータ23と電気的に接続される。制御基板70には、ステータ23のコイルのコイル線が接続される。制御基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。
バスバー80は、コネクタ部12cに保持される。バスバー80は、コネクタ部12cに埋め込まれる。バスバー80の両端部のうち、第1端部は、制御基板70に固定される。図1に示すように、バスバー80の両端部のうち、第2端部は、コネクタ部12cの径方向外側の開口部内に配置されて、ケース11の外部に露出する。バスバー80は、コネクタ部12cに接続される外部電源と電気的に接続される。バスバー80および制御基板70を通して、外部電源からステータ23のコイルに電源が供給される。
回転検出部75は、ロータ22の回転を検出する。図2に示すように、回転検出部75は、制御基板収容部12f内に配置される。回転検出部75は、仕切り壁部12dと制御基板70との間のスペースに配置される。回転検出部75は、取付部材73と、第2マグネット74と、第2回転センサ71と、を有する。
取付部材73は、例えば、非磁性体製である。なお取付部材73は、磁性体製であってもよい。取付部材73は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。取付部材73の内周面は、モータシャフト21の外周面における軸方向他方側の端部に固定される。取付部材73は、第3ベアリング55およびベアリング保持部12eの軸方向他方側に配置される。取付部材73の径方向外縁部は、径方向外縁部の径方向内側に位置する部分よりも軸方向一方側に位置する。
第2マグネット74は、周方向に延びる環状である。第2マグネット74は、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。第2マグネット74の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。第2マグネット74は、取付部材73に取り付けられる。第2マグネット74は、取付部材73の径方向外縁部において軸方向他方側を向く面に固定される。第2マグネット74は、例えば接着剤等により、取付部材73に固定される。第2マグネット74の軸方向他方側および径方向外側は、マグネットカバーによって覆われる。取付部材73および第2マグネット74は、モータシャフト21とともに第1中心軸J1回りに回転する。
第2回転センサ71は、第2マグネット74に隙間をあけて対向する。第2回転センサ71は、第2マグネット74と軸方向に対向する。第2回転センサ71は、第2マグネット74の軸方向他方側に位置する。第2回転センサ71は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ71は、例えばホール素子である。第2回転センサ71は、周方向に互いに等間隔をあけて複数設けられる。第2回転センサ71は、例えば、周方向に互いに120度間隔をあけて3個設けられる。第2マグネット74によって生じる磁界は、第2マグネット74がモータシャフト21とともに回転することにより変化する。この磁界の変化を第2回転センサ71が検出することにより、モータシャフト21の回転を検出できる。第2回転センサ71は、例えば、ケース11に対するモータシャフト21の周方向の回転角度位置を検出する。第2回転センサ71は、例えば、回転角度位置検出センサまたは回転角センサ等と言い換えてもよい。第2回転センサ71は、制御基板70の軸方向一方側を向く板面に実装される。第2回転センサ71、第2マグネット74、取付部材73の径方向外縁部およびベアリング保持部12eは、軸方向から見て互いに重なる位置に配置される。
減速機構30は、モータシャフト21の軸方向一方側の部分に連結される。減速機構30は、モータシャフト21の軸方向一方側の部分の径方向外側に配置される。減速機構30は、径方向から見て偏芯軸部21bに重なる位置に配置される。減速機構30は、軸方向に沿う底壁部13aとステータ23との間に配置される。
図2および図3に示すように、減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、環状板部40cと、を有する。外歯ギア31は、第2中心軸J2を中心とする略円環板状である。外歯ギア31の板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。外歯ギア31の外周面には、歯車部が設けられる。外歯ギア31は、偏芯軸部21bに第4ベアリング56を介して接続する。つまり減速機構30は、第4ベアリング56を介してモータシャフト21に連結される。第4ベアリング56は、外歯ギア31内に嵌め合わされる。第4ベアリング56は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、第2中心軸J2回りに相互に回転可能に連結する。
外歯ギア31は、複数のピン32を有する。ピン32は、外歯ギア31の軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に突出する円柱状である。複数のピン32は、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿って等間隔に配置される。本実施形態の例では、ピン32が8個設けられる。
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで減速機構ケース13に固定される。内歯ギア33は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア33は、カバー筒部13bの内周面の窪み部13n内に配置されて、カバー筒部13bに固定される。窪み部13nは、カバー筒部13bの内周面における軸方向他方側の端部に位置し、軸方向他方側および径方向内側に開口する。図示しないが、内歯ギア33の外周面は、軸方向から見て多角形状である。内歯ギア33の外周面は、周方向に並ぶ複数の平面部を有する。窪み部13nの内周面には、内歯ギア33の平面部に対して径方向外側から接触する凸部が設けられる。内歯ギア33の平面部と、窪み部13nの凸部とが接触することで、減速機構ケース13に対する内歯ギア33の回転が抑制される。内歯ギア33の軸方向一方側を向く面は、窪み部13nにおいて軸方向他方側を向く面に接触する。内歯ギア33の軸方向他方側を向く面は、周壁部12aの軸方向一方側を向く端面に接触する。
内歯ギア33は、外歯ギア31と噛み合う。内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。内歯ギア33の歯車部は、周方向の一部(図2および図3の各左側部分)において外歯ギア31の歯車部と噛み合う。内歯ギア33の歯車部の歯数と、外歯ギア31の歯車部の歯数とは、互いに異なる。内歯ギア33の歯車部の歯数は、外歯ギア31の歯車部の歯数よりも多い。
環状板部40cは、出力部40の一部である。環状板部40cは、減速機構30と出力部40とを連結する連結部である。図2に示すように、環状板部40cは、外歯ギア31の軸方向一方側に配置される。環状板部40cは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。環状板部40cのうち径方向外側の部分は、径方向内側の部分よりも軸方向他方側に位置する。環状板部40cの径方向外側の部分は、環状板部40cの径方向内側の部分よりも軸方向の厚さが厚い。環状板部40cは、環状板部40cを軸方向に貫通する複数の孔40dを有する。孔40dは、環状板部40cの径方向外側の部分に配置される。
図3に示すように、複数の孔40dは、第1中心軸J1を中心とする周方向に沿って等間隔に配置される。本実施形態の例では、孔40dが8個設けられる。孔40dの数は、ピン32の数と同じである。孔40dは、円孔状である。孔40dの内径は、ピン32の外径よりも大きい。複数の孔40dには、複数のピン32がそれぞれ挿入される。ピン32の外周面は、孔40dの内周面と内接する。つまりピン32の外周面と、孔40dの内周面とは、周面の一部において接触する。孔40dの内周面は、ピン32を介して、外歯ギア31を揺動可能に支持する。
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図2に示すように、出力部40は、筒状壁部40bと、環状板部40cと、出力シャフト部41と、を有する。筒状壁部40bは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる筒状である。筒状壁部40bは、環状板部40cの径方向内縁部から軸方向一方側に延びる円筒状である。筒状壁部40bは、軸方向他方側に開口する有底の円筒状である。筒状壁部40bの内周面における軸方向一方側の端部には、第1ベアリング51が嵌め合わされる。これにより第1ベアリング51は、モータシャフト21と出力部40とを相互に回転可能に連結する。第1ベアリング51は、モータシャフト21と出力部40とを、第1中心軸J1回りに相対的に回転可能に連結する。筒状壁部40bの内部には、モータシャフト21の軸方向一方側の端部が位置する。モータシャフト21の軸方向一方側を向く端面は、筒状壁部40bの底部の軸方向他方側を向く面に、隙間をあけて対向する。
筒状壁部40bは、支持筒部13d内に配置される。筒状壁部40bと支持筒部13dとの間には、第2ベアリング54が配置される。支持筒部13dには、第2ベアリング54が嵌合される。つまり支持筒部13d内に、第2ベアリング54が嵌め合わされる。第2ベアリング54内には、筒状壁部40bが嵌め合わされる。第2ベアリング54は、筒状壁部40bの外周面と、支持筒部13dの内周面との間に挟まれる。第2ベアリング54は、ケース11に対して出力部40を回転可能に支持する。
筒状壁部40bは、第1ベアリング51と第2ベアリング54との間に径方向から挟まれる。径方向に沿う支持筒部13dと第1ベアリング51との間に、第2ベアリング54および筒状壁部40bが挟まれる。第1ベアリング51、筒状壁部40b、第2ベアリング54および支持筒部13dは、径方向に重なる位置に配置される。つまり、第1ベアリング51、出力部40、第2ベアリング54および支持筒部13dは、径方向から見て互いに重なる位置に配置される。本実施形態によれば、径方向に沿うモータシャフト21と支持筒部13dとの間に、第1ベアリング51、出力部40および第2ベアリング54が挟まれる。つまり、支持筒部13dが、第1ベアリング51、出力部40および第2ベアリング54を介して、モータシャフト21を径方向外側から支持する。このため、モータシャフト21が高速で回転させられた場合でも、偏芯荷重による出力部40の径方向の振動が抑えられる。また、減速機構30の歯車部から騒音が発生することを抑えられる。出力部40および減速機構30の異常摩耗が抑制される。電動アクチュエータ10の出力トルクが安定して、電動アクチュエータ10の作動信頼性が高められる。本実施形態とは異なり、例えば、第1ベアリング51と第2ベアリング54とが、径方向から見て互いに異なる位置に配置される場合、下記の問題が生じる可能性がある。すなわち、モータシャフト21が高速回転させられて偏芯荷重が発生すると、偏芯荷重が第1ベアリング51を介して出力部40に作用し、出力部40は第2ベアリング54を支点として径方向に振動させられ、減速機構30の歯車部から騒音が発生する可能性がある。このような問題を、本実施形態によれば抑制できる。
第2ベアリング54は、軸方向に延びる筒状である。第2ベアリング54は、滑り軸受である。本実施形態では、第2ベアリング54が滑り軸受であるので、出力部40を介して、第1ベアリング51およびモータシャフト21を径方向外側から強固に支持できる。第2ベアリング54は、軸方向において第1ベアリング51の軸方向一方側および軸方向他方側に突出する。つまり、第2ベアリング54は、第1ベアリング51に対して軸方向の両側に突出する。第1ベアリング51は、径方向から見て第2ベアリング54の内部に位置する。本実施形態によれば、第1ベアリング51が、出力部40を介して、軸方向全長にわたって第2ベアリング54により径方向外側から支持されるので、振動および騒音がより抑制される。
第2ベアリング54は、ベアリング筒部54aと、ベアリングフランジ部54bと、を有する。ベアリング筒部54aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ベアリング筒部54aは、筒状壁部40bと支持筒部13dとの間に径方向から挟まれる。
ベアリングフランジ部54bは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。ベアリングフランジ部54bは、ベアリング筒部54aの軸方向他方側の端部から径方向外側に広がる。ベアリングフランジ部54bの板面は軸方向を向き、軸方向に垂直に広がる。ベアリングフランジ部54bは、支持筒部13dの軸方向他方側を向く端面13iと、環状板部40cとの間に軸方向から挟まれる。ベアリングフランジ部54bの軸方向一方側を向く面は、支持筒部13dの端面13iに接触する。ベアリングフランジ部54bの軸方向他方側を向く面は、環状板部40cの径方向内側の部分の軸方向一方側を向く面に接触する。第2ベアリング54は、ケース11に対して径方向および軸方向に移動することが抑制される。本実施形態によれば、出力部40が、滑り軸受である第2ベアリング54のベアリング筒部54aおよびベアリングフランジ部54bを介して、支持筒部13dに支持される。支持筒部13dの径方向外側に後述する回転検出装置60の収容スペースを確保しつつ、出力部40の姿勢がより安定する。
環状板部40cは、筒状壁部40bの軸方向他方側の端部から径方向外側に広がる。出力シャフト部41は、軸方向に延び、モータシャフト21の軸方向一方側に配置される。出力シャフト部41は、第1中心軸J1を中心とする円柱状である。出力シャフト部41は、筒状壁部40bの底部から軸方向一方側に延びる。出力シャフト部41は、突出筒部13c内に挿入される。出力シャフト部41の軸方向一方側の部分は、突出筒部13cよりも軸方向一方側に突出する。出力シャフト部41の軸方向一方側の部分には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。本実施形態において出力部40は、単一の部材である。
モータシャフト21が第1中心軸J1回りに回転させられると、偏芯軸部21b(第2中心軸J2)は、第1中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏芯軸部21bの公転は、第4ベアリング56を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、内歯ギア33内で第1中心軸J1回りに公転する。外歯ギア31は、孔40dの内周面とピン32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。このとき、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。外歯ギア31の歯数と内歯ギア33の歯数とは互いに異なり、かつ、内歯ギア33は、減速機構ケース13に固定されて回転しない。このため、外歯ギア31が、内歯ギア33に対して第2中心軸J2回りに自転する。
外歯ギア31が自転する向きは、モータシャフト21が回転する向きと反対方向となる。外歯ギア31の第2中心軸J2回りの回転(自転)は、孔40dとピン32とを介して、環状板部40cに伝達される。これにより、環状板部40cが第1中心軸J1回りに回転し、出力部40が第1中心軸J1回りに回転する。このように、モータシャフト21の回転が、減速機構30を介して出力シャフト部41に伝達される。
出力部40の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30では、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rが、R=−(N2−N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の右辺の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転方向に対して、減速される出力部40の回転方向が逆向きになることを示す。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、−1/60となる。このように、本実施形態の減速機構30は、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rを大きくできる。これにより、出力部40の回転トルクを大きくできる。
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。図2に示すように、回転検出装置60は、第1マグネット(マグネット)63と、第1回転センサ(回転センサ)62と、を有する。回転検出装置60の少なくとも一部は、支持筒部13dの径方向外側に対向する位置に配置される。つまり、回転検出装置60の少なくとも一部は、径方向外側から支持筒部13dに対向する。本実施形態によれば、ケース11の内面に支持筒部13dが設けられ、支持筒部13dの径方向外側に回転検出装置60の収容スペースが配置される。つまり、支持筒部13dと径方向に重なる位置に、回転検出装置60が配置される。これにより、電動アクチュエータ10の軸方向の外形を小さく抑えることができる。
第1マグネット63は、周方向に延びる環状である。第1マグネット63は、第1中心軸J1を中心とする円筒状である。第1マグネット63は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。第1マグネット63は、環状板部40cの軸方向一方側を向く面に取り付けられる。第1マグネット63は、環状板部40cの径方向外側の部分に固定される。つまり、第1マグネット63は、出力部40に固定される。第1マグネット63は、環状板部40cとともに第1中心軸J1回りに回転する。
第1マグネット63は、径方向から見て、支持筒部13dと重なる位置に配置される。第1マグネット63は、支持筒部13dの径方向外側に対向する位置に配置される。第1マグネット63は、支持筒部13dの径方向外側を囲む。第1マグネット63の内周面と、支持筒部13dの外周面との間には、隙間が設けられる。第1マグネット63は、径方向に沿う支持筒部13dとカバー筒部13bとの間に位置する。第1マグネット63は、支持筒部13dの径方向外側のスペースに配置される。第1マグネット63は、環状板部40cと底壁部13aとの間のスペースに配置される。
第1回転センサ62は、第1マグネット63に隙間をあけて対向する。第1回転センサ62は、第1マグネット63と軸方向に対向する。第1回転センサ62は、第1マグネット63の軸方向一方側に位置する。第1回転センサ62は、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ62は、例えばホール素子である。第1マグネット63によって生じる磁界は、第1マグネット63が出力部40とともに回転することにより変化する。この磁界の変化を第1回転センサ62が検出することにより、出力部40の回転を検出できる。第1回転センサ62は、例えば、ケース11に対する出力部40の周方向の回転角度位置を検出する。第1回転センサ62は、例えば、回転角度位置検出センサまたは回転角センサ等と言い換えてもよい。
第1回転センサ62は、径方向から見て、支持筒部13dと重なる位置に配置される。第1回転センサ62は、支持筒部13dの径方向外側に対向する位置に配置される。第1回転センサ62は、底壁部13aの軸方向他方側に位置する。第1回転センサ62は、底壁部13aと第1マグネット63との間に配置される。第1回転センサ62は、取付け壁部13hに取り付けられる。第1回転センサ62は、取付け壁部13hに保持される。第1回転センサ62は、互いに平行に延びる一組の取付け壁部13h同士の間に架け渡されて、固定される。第1回転センサ62と底壁部13aとの間には、隙間が設けられる。取付け壁部13hは、底壁部13aの軸方向他方側を向く面に設けられ、支持筒部13dの外周面に接続されるため、剛性が確保される。この取付け壁部13hに第1回転センサ62が取り付けられることで、第1回転センサ62の検出が安定する。図示を省略するが、第1回転センサ62には、3個のセンサ端子が設けられる。3個のセンサ端子は、電源用のセンサ端子と、信号伝達用のセンサ端子と、接地用のセンサ端子と、である。
第1配線部材91および第2配線部材92は、制御基板70と第1回転センサ62とを電気的に接続する。第1配線部材91および第2配線部材92は、3本の配線をそれぞれ有する。第1配線部材91は、モータケース12に保持される。第1配線部材91は、第1配線保持部14を通る。第1配線部材91の少なくとも一部は、第1配線保持部14に埋め込まれる。第1配線部材91は、制御基板70と第2配線部材92とに電気的に接続される。第2配線部材92は、減速機構ケース13に保持される。第2配線部材92は、第2配線保持部15を通る。第2配線部材92の少なくとも一部は、第2配線保持部15に埋め込まれる。第2配線部材92は、第1回転センサ62と第1配線部材91とに電気的に接続される。モータケース12と減速機構ケース13とが組み立てられることで、第1配線部材91と第2配線部材92とは、互いに電気的に接続される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、第1回転センサ62が、取付け壁部13hに取り付けられる例を挙げたが、これに限定されない。例えば、第1回転センサ62は、底壁部13aに取り付けられてもよい。第1回転センサ62は、出力部40の回転を検出できればよく、例えば磁気抵抗素子であってもよい。第2回転センサ71は、モータシャフト21の回転を検出できればよく、例えば磁気抵抗素子であってもよい。
また、回転検出装置60が、図示しない回路基板を有してもよい。この場合、回路基板は、減速機構ケース13内に配置される。第1回転センサ62は回路基板に電気的に接続され、回路基板は制御基板70に電気的に接続される。回路基板が、支持筒部13dの径方向外側に対向する位置に配置されてもよい。回転検出装置60において、第1マグネット63、第1回転センサ62および回路基板の少なくとも一部が、支持筒部13dの径方向外側に対向する位置に配置されればよい。
前述の実施形態では、第2ベアリング54が、軸方向において第1ベアリング51の軸方向一方側および軸方向他方側に突出する例を挙げたが、これに限定されない。第2ベアリング54は、軸方向において第1ベアリング51の軸方向一方側または軸方向他方側に突出してもよい。第2ベアリング54は、軸方向において第1ベアリング51の軸方向一方側および軸方向他方側に突出しなくてもよい。ただし、第2ベアリング54が、軸方向において第1ベアリング51の軸方向一方側および軸方向他方側に突出することで、出力部40および減速機構30の振動および騒音がより抑制され、好ましい。また、第2ベアリング54は、ベアリングフランジ部54bを有していなくてもよい。また、第2ベアリング54は、滑り軸受に限定されない。
また、減速機構30は、モータシャフト21の回転を減速させて出力部40に伝達することで、トルクを増大させる機能を有すればよく、前述の実施形態で説明した構成に限定されない。
前述の実施形態では、出力部40が単一の部材であるが、これに限定されない。例えば、出力部40の環状板部40cおよび筒状壁部40bと、出力シャフト部41とが、溶接等により固定されてもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本出願は、2017年9月28日に出願された日本特許出願である特願2017−189031号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願に記載されたすべての記載内容を援用する。