JPWO2019059077A1 - 近赤外線カットフィルタの製造方法、積層体およびキット - Google Patents

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Abstract

平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できる近赤外線カットフィルタの製造方法、積層体およびキットを提供する。この近赤外線カットフィルタの製造方法は、基板の表面に支持体層を形成する工程と、支持体層の表面に、近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層を形成する工程と、近赤外線吸収組成物層を硬化処理して近赤外線カットフィルタ層を形成する工程と、基板から、支持体と近赤外線カットフィルタ層との積層体を剥離する工程と、基板から剥離した積層体から支持体層を剥離する工程と、を含む。

Description

本発明は、近赤外線カットフィルタの製造方法に関する。また近赤外線カットフィルタの製造方法に用いられる積層体およびキットに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子である、電荷結合素子(CCD)や、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などが用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタを用いることが多い。
近赤外線カットフィルタとしては、ガラス基板などの剛性の高い基板上に近赤外線吸収剤を含む組成物を塗布して製膜したものなどが用いられている。
例えば、特許文献1には、基板と、基板上に配設された、テトラアザポルフィリン系色素と、ジイモニウム塩の非晶質体からなるジイモニウム系近赤外線吸収色素と、紫外線吸収剤と、銅錯体またはニッケル錯体からなる光安定剤と、アクリル系粘着剤を含有する粘着層と、を備える光学フィルタが記載されている。また、段落番号0174〜0177には、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの表面にシリコーン樹脂層を形成した剥離フィルム上に、粘着剤組成物を塗布し、乾燥して厚さ25μmの近赤外線吸収粘着層を形成して粘着フィルムを製造し、得られた粘着フィルムを反射防止フィルムに貼り合わせた後、剥離フィルムを剥がし、これをガラス基板に貼り合わせて光学フィルタを製造することが記載されている。
特許文献2には、透明基材と、極大吸収波長が750nm〜920nmである近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収層と、コレステリック液晶相を固定化してなる少なくとも1層の近赤外線反射層とを有する赤外線カットフィルムが記載されている。
特開2015−1649号公報 特開2014−71356号公報
近赤外線吸収剤を含む組成物を用いて膜を形成する際において、膜の平面性や厚みムラなどを抑制するためガラス基板などの剛性の高い基板上に近赤外線吸収剤を含む組成物を塗布して製膜されている。従来より近赤外線カットフィルタとしては、前述の膜をガラス基板などに積層した状態で用いられていたが、近年では前述の膜自体に剛性を付与して自己支持性(自立性)を有する膜とし、製膜後の膜を基板などから剥離して用いることが検討されている。
しかしながら、本発明者の検討によれば、製膜後の膜を基板などから剥離する際において、膜に亀裂や割れなどが生じることがあった。特に膜の剛性が高い場合においては、基板からの剥離が困難な場合があり、剥離時に膜に亀裂や割れなどが生じやすかった。剥離時に膜に亀裂や割れなどが生じると、製品の歩留まりが低下するので生産性の低下につながる。
なお、特許文献1、2は、近赤外線吸収剤を含む組成物を用いて得られる膜を基板に積層して用いたり、他の部材に貼り付けたりラミネートして用いているが、基板などから近赤外線吸収剤を含む組成物を用いて得られる膜のみを剥離することについての記載はない。
よって、本発明の目的は、平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できる近赤外線カットフィルタの製造方法、積層体およびキットを提供することにある。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、後述する工程を経ることにより、平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> 基板の表面に支持体層を形成する工程と、
支持体層の表面に、近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層を形成する工程と、
近赤外線吸収組成物層を硬化処理して近赤外線カットフィルタ層を形成する工程と、
基板から、支持体層と近赤外線カットフィルタ層との積層体を剥離する工程と、
基板から剥離した積層体から支持体層を剥離する工程と、
を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
<2> 基板の平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が支持体層よりも大きい、<1>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<3> 支持体層は高分子フィルムを含む、<1>または<2>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<4> 高分子フィルムの軟化温度が、近赤外線吸収組成物層の硬化処理時の最高到達温度よりも高い、<3>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<5> 高分子フィルムの23℃での破断伸び率が5%以上であって、かつ、近赤外線カットフィルタ層の破断伸び率よりも大きく、
高分子フィルムの23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が4×10−6Pa・m以下で、かつ、近赤外線カットフィルタ層の幅1mmあたりの曲げ剛性よりも小さい、<3>または<4>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<6> 支持体層は、近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が9N/25mm以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<7> 支持体層は、基板側の剥離力が15.5N/25mm以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<8> 支持体層の近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が、基板側の剥離力よりも大きい、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<9> 支持体層の近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が、基板側の剥離力よりも小さい、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<10> 支持体層の近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が、基板側の剥離力と同じである、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<11> 近赤外線吸収組成物層を形成する工程は、支持体層の表面に近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層を形成するとともに、支持体層の表面の少なくとも一部に近赤外線吸収組成物層が設けられていない余白部を形成する、<1>〜<10>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<12> 支持体層の膜厚が1〜1000μmである、<1>〜<11>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<13> 近赤外線カットフィルタ層の膜厚が1〜500μmである、<1>〜<12>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<14> 近赤外線カットフィルタ層は、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が5×10−6Pa・m以下で、23℃での破断伸び率が10%以下である、<1>〜<13>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<15> 近赤外線吸収組成物は、銅錯体と樹脂とを含む、<1>〜<14>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<16> 樹脂は、架橋性基を有する樹脂を含む、<15>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<17> 近赤外線吸収組成物は、架橋性基を有するモノマーを含む、<15>または<16>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<18> 基板と、支持体層と、近赤外線吸収剤を含む近赤外線カットフィルタ層とを有し、
支持体層の一方の面が基板と接しており、支持体層の他方の面が近赤外線カットフィルタ層と接しており、
支持体層は、高分子フィルムを有し、
基板は、平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が支持体層よりも大きい、積層体。
<19> <1>〜<17>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法に用いられるキットであって、
高分子フィルムを有する支持体層と、
平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が支持体層よりも大きい基板と、
近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物と、を有するキット。
本発明によれば、平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できる近赤外線カットフィルタの製造方法、積層体およびキットを提供することができる。
近赤外線カットフィルタの製造方法における支持層を形成する工程を示す図面である。 図1の平面図であって、基板10に対して垂直方向下面側から見た平面図である。 近赤外線カットフィルタの製造方法における近赤外線吸収組成物層を形成する工程を示す図面である。 図3の平面図であって、基板10に対して垂直方向上面側から見た平面図である。 近赤外線カットフィルタの製造方法における近赤外線カットフィルタ層を形成する工程を示す図面である。 近赤外線カットフィルタの製造方法における積層体を剥離する工程(第一剥離工程)を示す図面である。 近赤外線カットフィルタの製造方法における近赤外線カットフィルタ層を剥離する工程(第二剥離工程)を示す図面である。 近赤外線カットフィルタの製造方法における剥離準備工程を示す図面である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
本明細書において、近赤外線とは、波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。
<近赤外線カットフィルタの製造方法>
本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法について、図面を用いて説明する。図1〜5は、本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法の工程を示す図である。
本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法は、
基板10の表面に支持体層20を形成する工程(図1、2参照)と、
支持体層20の表面に、近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層30を形成する工程(図3、4参照)と、
近赤外線吸収組成物層30を硬化処理して近赤外線カットフィルタ層31を形成する工程(図5参照)と、
基板10から、支持体層20と近赤外線カットフィルタ層31との積層体40を剥離する工程(図6参照)と、
基板から剥離した上記の積層体40から支持体層20を剥離する工程(図7参照)と、
を含むことを特徴とする。
本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法によれば、平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できる。
すなわち、表面に支持体層20が形成された基板10上に近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層30を形成するので、近赤外線吸収組成物の塗布性が良好であり、塗布ムラや製膜時の厚みムラの発生を効果的に抑制できる。このため、平面性の高い近赤外線カットフィルタを形成することができる。
そして、図5〜7に示すように、支持体層20の表面に形成した近赤外線吸収組成物層30を硬化処理して近赤外線カットフィルタ層31を形成した後、この基板10と支持体層20と近赤外線カットフィルタ層31との積層体から、支持体層20と近赤外線カットフィルタ層31との積層体40を剥離して、積層体40と、基板10とに分離し、次いで、積層体40から支持体層20を剥離して、支持体層20と近赤外線カットフィルタ層31とに分離することにより、近赤外線カットフィルタ層31の剥離時において、近赤外線カットフィルタ層31の曲率を抑えて剥離することができる。このため、剥離時における近赤外線カットフィルタ層31の割れ等の発生を効果的に抑制できる。このため、本発明によれば、平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できる。以下、本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法の各工程について詳細に説明する。
(支持体層を形成する工程)
図1、2に示すように、まず、基板10の表面に支持体層20を形成する。基板10の表面に支持体層20を押圧、転圧等の方法で積層することで、基板10の表面に支持体層20を形成することができる。なお、図2に示すように、この実施形態では、基板10の表面に形成された支持体層20の平面面積が基板10の平面面積より大きく、支持体層20の基板10より外側に基板10が存在しない余白部が設けられているが、基板10の表面に形成された支持体層20の平面面積は、基板10の平面面積と同じであってもよく、基板10の平面面積の方が大きくてもよい。剥離性の観点から、支持体層20は、基板10より外側に余白部が設けられていることが好ましい。この態様によれば、後述の図6に示す工程にて、支持体層20の余白部を把持して上述の積層体40を基板10から剥離することができ、剥離時の作業性が良好である。
基板10の材質としては、特に限定はなく、ガラス、セラミックス、金属等が挙げられる。基板10は、平面度および曲げ剛性の高いことが好ましい。曲げ剛性および平面度の高い基板を用いることで、塗布ムラや、厚みムラのより少ない近赤外線吸収組成物層を形成することができる。このため、より平面度の高い近赤外線カットフィルタを製造することができる。また、曲げ剛性の高い基板は湾曲させにくいが、このような曲げ剛性の高い基板を用いた場合であっても、本発明によれば、基板10の剥離時における近赤外線カットフィルタ層31の曲率を小さくできる。このため、割れ等が生じることなく近赤外線カットフィルタ層31を基板10から分離でき、本発明の効果がより顕著である。
基板10の平面度は、14μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、7μm以下であることが更に好ましい。なお、基板の平面度は平面測定用フィゾー干渉計を用い、直径60mm範囲の干渉縞をカウントして測定した値である。
測定装置としては、「F601」(富士フイルム(株)製)を用いることができる。
基板10の幅1mmあたりの曲げ剛性は、支持体層よりも大きいことが好ましい。ここで、曲げ剛性とは、ある力を加えた際にどの程度曲がるかを示す値であり、曲げ剛性の値が大きいほど、曲がりにくいことを表している。このような曲げにくい基板を用いた場合においても、本発明によれば基板10の剥離時における近赤外線カットフィルタ層の曲率を抑えて剥離することができ、本発明の効果がより顕著である。基板10の幅1mmあたりの曲げ剛性は、6×10−6Pa・m以上であることが好ましく、2×10−5Pa・m以上であることがより好ましく、9×10−5Pa・m以上であることが更に好ましい。なお、基板の曲げ剛性はJIS K 7171に準拠した方法に基づき23℃で測定したヤング率及び使用する基板形状から算出される断面二次モーメントに基づいた計算値である。
基板10の厚さは、0.1〜10mmであることが好ましい。上限は8mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。下限は0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。厚みの大きい基板は湾曲させにくい傾向にあるが、本発明によれば、厚みの大きい基板を用いた場合であっても、支持体層20が介在していることによって基板10の剥離時における近赤外線カットフィルタ層31の曲率を小さくすることができるので、割れ等が生じることなく近赤外線カットフィルタ層31を基板10から分離でき、本発明の効果がより顕著である。
支持体層20の膜厚は1〜1000μmであることが好ましい。上限は900μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましい。下限は25μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。
支持体層20としては、高分子フィルムを含むことが好ましい。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエチレンスルフィド樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;スチレン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;セルロースアセテート等のセルロース樹脂などの素材からなるフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。
高分子フィルムの軟化温度は、近赤外線吸収組成物層30の硬化処理時の最高到達温度よりも高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、40℃以上高いことが更に好ましい。この態様によれば、近赤外線吸収組成物層の硬化処理において、支持体層20の変形などを効果的に抑制できる。その結果、厚みムラのより少ない近赤外線カットフィルタ層を形成し易く、より平面性の高い近赤外線カットフィルタが得られやすい。また、高分子フィルムの軟化温度は100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。なお、高分子フィルムの軟化温度はJIS K 7196に準拠した方法で測定した値である。また、硬化処理時の最高到達温度とは、近赤外線吸収組成物層30の硬化処理時において、近赤外線吸収組成物層30の温度の表面温度が最高点に到達した時点での温度の値を指す。
高分子フィルムは、破断伸び率が5%以上であって、かつ、近赤外線カットフィルタ層31の破断伸び率よりも大きく、幅1mmあたりの曲げ剛性が4×10−6Pa・m以下で、かつ、近赤外線カットフィルタ層の幅1mmあたりの曲げ剛性よりも小さいことが好ましい。破断伸び率はJIS K 7161の方法で測定した23℃での値である。幅あたりの曲げ剛性はJIS K 7171に基づき23℃で測定したヤング率及び使用する高分子フィルムの形状から算出される断面二次モーメントに基づいた計算値である。このような高分子フィルムを含む支持体層を用いることで、剥離時における近赤外線カットフィルタ層31の割れ等の発生を効果的に抑制できる。
高分子フィルムの膜厚は、1〜1000μmであることが好ましい。上限は900μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましい。下限は25μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。
支持体層20は、高分子フィルムのみで構成されていてもよく、高分子フィルムの表面に離型層が形成されていてもよいが、剥離性の観点から高分子フィルムの表面に離型層が形成されていることが好ましく、高分子フィルムの両面に離型層が形成されていることがより好ましい。高分子フィルムの表面に離型層を形成する方法としては、高分子フィルムの表面に離型剤を含む離型層形成用組成物を塗布および乾燥して離型層を形成する方法、高分子フィルムの表面に離型フィルムを貼付して離型層を形成する方法などが挙げられる。離型層形成用組成物に用いられる離型剤としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤などが挙げられる。離型フィルムとしては、例えば、SG−1、SG−2S、TP−03、PX125H8C50、PX125AFP2SKB50(以上、パナック(株)製)などが挙げられる。
支持体層20の近赤外線カットフィルタ層31側の剥離力は、9N/25mm以下であることが好ましく、7N/25mm以下であることがより好ましく、5N/25mm以下であることが更に好ましい。また、支持体層20の基板10側の剥離力は、15.5N/25mm以下であることが好ましく、10N/25mm以下であることがより好ましく、5N/25mm以下であることが更に好ましく、2N/25mm以下であることが更により好ましく、0.5N/25mm以下であることがより一層好ましく、0.2N/25mm以下であることが更に一層好ましく、0.15N/25mm以下であることが特に一層好ましく、0.1N/25mm以下であることが最も一層好ましい。支持体層20の剥離力が上記範囲であれば、剥離性が良好であり、剥離時における近赤外線カットフィルタ層31の割れ等の発生を効果的に抑制できる。なお、剥離力は接着対象に31Bテープ(日東電工(株)製)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度とし、その他はJIS Z 0237に準拠した方法で測定した値である。
支持体層20の近赤外線カットフィルタ層31側の剥離力は、支持体層20の基板10側の剥離力と同じであってもよく、支持体層20の基板10側の剥離力よりも小さくてもよく、支持体層20の基板10側の剥離力よりも大きくてもよい。支持体層20の近赤外線カットフィルタ層31側の剥離力が支持体層20の基板10側の剥離力よりも大きい場合は、後述の第一剥離工程で積層体40を剥がす際、支持体層20から近赤外線カットフィルタ層31が剥離しにくく、近赤外線カットフィルタ層に意図しない曲げ応力がかかりにくくできるので、近赤外線カットフィルタ層に割れ等がより発生しにくくできる。支持体層20の剥離力は、支持体層20を構成する素材や製造条件などを適宜変更することで調整できる。例えば、支持体層20が高分子フィルムのみからなる場合においては、高分子フィルムの素材や製造条件などを適宜変更することで調整できる。また、高分子フィルムの表面に離型層を有する場合においては、離型層を形成する材料を適宜選択することで調整できる。
(近赤外線吸収組成物層を形成する工程、近赤外線カットフィルタ層を形成する工程)
次に、支持体層の表面に、近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層を形成する(図3、4参照)。次いで、近赤外線吸収組成物層を加熱硬化して近赤外線カットフィルタ層を形成する(図5参照)。近赤外線吸収組成物については後述する。なお、図4に示すように、この実施形態では、支持体層20の表面に形成された近赤外線吸収組成物層30の平面面積が、支持体層20の平面面積未満であり、支持体層20の一部が近赤外線吸収組成物層30の設けられていない余白部をなしているが、近赤外線吸収組成物層30の平面面積は、支持体層20の平面面積と同じであってもよい。剥離性の観点から、前述の余白部が設けられていることが好ましい。また、前述の余白部は、支持体層20の端部の少なくとも一部に設けられていることが好ましい。この態様によれば、後述の図7に示す工程にて、前述の余白部の支持体層20を把持して近赤外線カットフィルタ層31から支持体層20を剥離することができ、剥離時の作業性が良好である。すなわち、本発明において、近赤外線吸収組成物層を形成する工程は、支持体層20の表面に近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層30を形成するとともに、支持体層20の表面の少なくとも一部に近赤外線吸収組成物層30が設けられていない余白部を形成することが好ましく、支持体層20の端部から1〜5mmの範囲に前述の余白部を形成することが好ましい。
近赤外線吸収組成物層を形成する工程において、近赤外線吸収組成物の適用方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法;ブレードコート法;バーコート法;アプリケーター塗布法などが挙げられる。インクジェットによる適用方法としては、組成物を吐出可能な方法であれば特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住べテクノリサーチ」に示された特許公報に記載の方法(特に115ページ〜133ページ)や、特開2003−262716号公報、特開2003−185831号公報、特開2003−261827号公報、特開2012−126830号公報、特開2006−169325号公報などに記載の方法を用いることができる。
近赤外線吸収組成物層を形成した後、硬化処理を行う前に、乾燥処理を行ってもよい。乾燥条件としては、近赤外線吸収組成物に含まれる各成分の種類や含有量等によっても異なる。例えば、乾燥温度としては、40〜160℃が好ましい。下限は60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。上限は140℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。加熱時間としては、1〜600分が好ましい。下限は10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。上限は300分以下が好ましく、180分以下がより好ましい。また、室温(例えば25℃)から一定の昇温速度で所定の乾燥温度まで昇温し、その温度に保持して乾燥する方法も挙げられる。昇温温度としては、0.5〜10℃/分が好ましく、1.0〜5℃/分がより好ましい。
近赤外線吸収組成物層を硬化処理する工程において、近赤外線吸収組成物層の硬化処理方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、露光処理、加熱処理などが挙げられ、機械物性に優れた近赤外線カットフィルタ層が得られやすいという理由から加熱処理が好ましい。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
近赤外線吸収組成物として、架橋性基を有する樹脂や架橋性基を有するモノマーを含む組成物を用いた場合、近赤外線吸収組成物層の硬化処理においては、近赤外線吸収組成物層の架橋率が、50〜90%となる条件で行うことが好ましい。ここで、架橋率とは、架橋した架橋性基の数/架橋性基の総数のことであり、NMR(核磁気共鳴)等の方法で測定することができる。
露光処理としては、近赤外線吸収組成物層に対して放射線を照射して行うことが好ましい。放射線としては、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線が好ましい。露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯を用いた露光などが挙げられる。露光量は5〜3000mJ/cmが好ましい。上限は、2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。下限は、10mJ/cm以上が好ましく、50mJ/cm以上がより好ましい。露光装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などの紫外線露光機が挙げられる。
加熱処理における加熱温度としては、100〜180℃が好ましい。下限は120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましい。上限は170℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。加熱時間としては、0.5〜48時間が好ましい。下限は1時間以上が好ましく、1.5時間以上がより好ましい。上限は24時間以下が好ましく、6時間以下がより好ましい。加熱装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱風乾燥器、ドライオーブン、ホットプレート、赤外線ヒーター、波長制御乾燥機などが挙げられる。
また、硬化処理後の近赤外線吸収組成物層(近赤外線カットフィルタ層)に対してエージングを行ってもよい。エージングにおいては、近赤外線吸収組成物層(近赤外線カットフィルタ層)を高温高湿処理することが好ましい。エージング温度としては、60〜150℃が好ましい。下限は70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。上限は140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。湿度としては、30〜100%が好ましい。下限は40%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。上限は95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。エージング時間としては、0.5〜100時間が好ましい。下限は1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。上限は50時間以下が好ましく、25時間以下がより好ましい。エージング装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高温高湿炉などが挙げられる。
また、近赤外線吸収組成物を支持体層の表面に適用して形成した近赤外線吸収組成物層に対し、上述した硬化工程を経ずに上述したエージングを行ってもよい。この態様においては、エージングが硬化工程を兼ねている。
近赤外線カットフィルタ層31の膜厚は、1〜500μmであることが好ましい。上限は、450μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましい。下限は、5μm以上がより好ましく、10μm以上がより好ましく、25μm以上が更に好ましく、50μm以上がより一層好ましく、60μm以上が特に好ましい。従来は、近赤外線カットフィルタ層31の膜厚が大きくなるに伴い、剥離時に近赤外線カットフィルタ層31に割れ等が生じやすい傾向にあったが、本発明によれば、近赤外線カットフィルタ層31の膜厚が大きくても、剥離時における割れ等の発生を効果的に抑制できる。
本発明における近赤外線カットフィルタ層31は、曲げ剛性および破断伸び率が小さい場合において特に効果的である。曲げ剛性および破断伸び率が小さい近赤外線カットフィルタ層は、曲げ応力に対して弱く、従来の方法では剥離が困難であったが、本発明によれば、このような機械物性を有する近赤外線カットフィルタ層31であっても、割れ等を生じることなく、剥離することができる。
本発明で用いられる近赤外線カットフィルタ層31は、幅1mmあたりの曲げ剛性が5×10−6Pa・m以下で破断伸び率が10%以下である場合において特に効果的である。近赤外線カットフィルタ層31の曲げ強度は、3×10−6Pa・m以下である場合がより効果であり、9×10−7Pa・m以下である場合が更に効果的である。また、近赤外線カットフィルタ層31の破断伸び率は、8%以下である場合がより効果的であり、6%以下である場合が更に効果的である。なお、近赤外線カットフィルタ層31の曲げ剛性はJIS K 7171に基づき23℃で測定したヤング率及び近赤外線カットフィルタ層の形状から算出される断面二次モーメントに基づいた計算値であり、破断伸び率は、JIS K 7171に準拠した方法で測定した23℃での値である。このような機械物性を有する近赤外線カットフィルタ層は、曲げ応力に対して弱い傾向にあるが、本発明によれば、このような機械物性を有する近赤外線カットフィルタ層31であっても、割れ等を生じることなく、剥離することができるので本発明の効果がより顕著である。また、上記の機械物性を有する近赤外線カットフィルタ層31は、自己支持膜としての特性も有している。ここで、自己支持膜とは、膜自体が自立性を有している膜のことであり、基板などが存在していなくても、膜としての形状を保つことができる膜を意味する。より具体的には、膜の自重によって発生する鉛直下向きの力に対抗して、膜の強度によってその形状を保つことができる膜を意味する。
近赤外線カットフィルタ層31の上記機械物性は、いかなる手段によって達成されてもよいが、近赤外線カットフィルタ層31の製造において、近赤外線吸収組成物の樹脂などの成分の種類、含有量、および、製膜条件(例えば、乾燥条件、硬化条件、架橋率の調整)などを適宜調整することで達成できる。例えば、架橋性基を有する樹脂、および/または、架橋性基を有するモノマーを含有する近赤外線吸収組成物を用いて、近赤外線カットフィルタ層31を形成する方法が一例として挙げられる。架橋性基を有する樹脂と、架橋性基を有するモノマーとを併用することが好ましい。この場合においては、近赤外線吸収組成物が架橋性基を有する樹脂100質量部に対して架橋性基を有するモノマーを1〜30質量部含有することが好ましく、3〜20質量部含有することがより好ましく、5〜15質量部含有することが更に好ましい。また、近赤外線吸収組成物の乾燥温度、硬化条件などを適宜調整して、樹脂膜の架橋率を50〜90%とすることも好ましい。ここで、架橋率とは、架橋した架橋性基の数/架橋性基の総数のことであり、NMR(核磁気共鳴)などの方法で測定することができる。
本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法においては、近赤外線カットフィルタ層31を形成した後、更に、近赤外線カットフィルタ層31の表面に各種の機能層を形成してもよい。機能層としては、誘電体多層膜等の無機膜や、紫外線吸収層などが挙げられる。なお、これらの機能層は、以下の図5の工程後、図6の工程前に形成してもよく、図6の工程後、図7の工程前に形成してもよく、図7の工程後に形成してもよい。図8の工程を経る場合は、図8の工程後、図7の工程前に形成してもよい。
(積層体を剥離する工程(第一剥離工程))
次に、図6に示すように、基板10から、支持体層20と近赤外線カットフィルタ層31との積層体を剥離する。積層体40の剥離方法としては、特に限定はない。近赤外線カットフィルタ層31に曲げ応力がかからないように剥離することが好ましい。例えば、支持体を把持し、近赤外線カットフィルタ層31に曲げ応力がかからないよう水平に近い角度で引っ張って剥離する方法や、剥離点付近を順次適当な力で真空吸引して剥離する方法などが挙げられる。
(近赤外線カットフィルタ層を剥離する工程(第二剥離工程))
次に、図7に示すように、上記の基板10から剥離した積層体40から、支持体層20を剥離して、支持体層20と近赤外線カットフィルタ層31とに分離する。このようにして、近赤外線カットフィルタ層31の単独膜からなる近赤外線カットフィルタ、または、近赤外線カットフィルタ層31の表面に更に機能層を有する場合においては、近赤外線カットフィルタ層31と他の機能層との積層膜からなる近赤外線カットフィルタが得られる。
支持体層20の剥離方法としては、特に限定はない。近赤外線カットフィルタ層31に曲げ応力がかからないように剥離することが好ましい。例えば、支持体層20側を大きく曲げ近赤外線カットフィルタ31側に曲げ応力がかからないよう剥離する方法や、近赤外線カットフィルタ31全面を真空吸着等で固定し支持体層20側を剥離する方法が挙げられる。
また、図8に示すように、近赤外線カットフィルタ層31の端部近傍に切り込み32を形成した後、近赤外線カットフィルタ層31を支持体層20から剥離することも好ましい。この態様によれば、支持体層20からの近赤外線カットフィルタ層31の剥離性が良好で、近赤外線カットフィルタ層31の割れ等の発生をより効果的に抑制できる。また、塗布形成した近赤外線カットフィルタ層31の厚さは端部において薄くなってしまうことがあるが、そうした場合においては、切り込みを入れることがより効果的である。近赤外線カットフィルタ層31の端部近傍に切り込み32を形成する場合、支持体層20の端部から1〜5mmの範囲に前述の切り込み32を形成することが好ましい。
本発明によって得られる近赤外線カットフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
<近赤外線吸収組成物>
次に、本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法に用いられる近赤外線吸収組成物について説明する。
近赤外線吸収組成物は近赤外線吸収剤を含む。近赤外線吸収剤としては、波長700〜1500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物などが挙げられる。近赤外線吸収剤は、波長700〜1300nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましく、波長700〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が更に好ましい。近赤外線吸収剤としては、銅錯体、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、ジイモニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物などが挙げられる。ピロロピロール化合物としては、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載の化合物、特開2011−68731号公報の段落番号0037〜0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0033に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。シアニン化合物としては、特開2009−108267号公報の段落番号0044〜0045に記載の化合物、特開2002−194040号公報の段落番号0026〜0030に記載の化合物、特開2015−172004号公報に記載の化合物、特開2015−172102号公報に記載の化合物、特開2008−88426号公報に記載の化合物、特開2017−031394号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。スクアリリウム化合物としては、特開2011−208101号公報の段落番号0044〜0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060〜0061に記載の化合物、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0040に記載の化合物、国際公開WO2013/133099号公報に記載の化合物、国際公開WO2014/088063号公報に記載の化合物、特開2014−126642号公報に記載の化合物、特開2016−146619号公報に記載の化合物、特開2015−176046号公報に記載の化合物、特開2017−25311号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/154782号公報に記載の化合物、特許5884953号公報に記載の化合物、特許6036689号公報に記載の化合物、特許5810604号公報に記載の化合物、特開2017−068120号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006−343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013−195480号公報の段落番号0013〜0029に記載の化合物、特許第6081771号公報に記載のバナジウムフタロシアニンが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ナフタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。ジイモニウム化合物としては、例えば、特表2008−528706号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収組成物に用いられる近赤外線吸収剤は、銅錯体であることが好ましい。銅錯体としては、銅と、銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)との錯体が好ましい。銅に対する配位部位としては、アニオンで配位する配位部位、非共有電子対で配位する配位原子が挙げられる。銅錯体は、配位子を2つ以上有していてもよい。配位子を2つ以上有する場合は、それぞれの配位子は同一であってもよく、異なっていてもよい。銅錯体は、4配位、5配位および6配位が例示され、4配位および5配位がより好ましく、5配位がさらに好ましい。また、銅錯体は、銅と配位子によって、5員環および/または6員環が形成されていることが好ましい。このような銅錯体は、形状が安定であり、安定性に優れる。
銅錯体は、フタロシアニン銅錯体以外の銅錯体であることも好ましい。ここで、フタロシアニン銅錯体とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を配位子とする銅錯体である。フタロシアニン骨格を有する化合物は、分子全体にπ電子共役系が広がり、平面構造を取る。フタロシアニン銅錯体は、π−π*遷移で光を吸収する。π−π*遷移で近赤外領域の光を吸収するには、配位子をなす化合物が長い共役構造をとる必要がある。しかしながら、配位子の共役構造を長くすると、可視透明性が低下する傾向にある。このため、フタロシアニン銅錯体は、可視透明性が不十分な場合がある。
また、銅錯体は、400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有さない化合物を配位子とする銅錯体であることも好ましい。400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物を配位子とする銅錯体は、可視領域(例えば、400〜600nmの波長領域)に吸収を有するため、可視透明性が不十分な場合がある。400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物としては、長い共役構造を有し、π−π*遷移の光の吸収の大きい化合物が挙げられる。具体的には、フタロシアニン骨格を有する化合物が挙げられる。
銅錯体は、例えば銅成分(銅または銅を含む化合物)に対して、銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)を混合・反応等させて得ることができる。銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)は、低分子化合物であってもよく、ポリマーであってもよい。両者を併用することもできる。
銅成分は、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。銅成分としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、例えば、カルボン酸銅(例えば、酢酸銅、エチルアセト酢酸銅、ギ酸銅、安息香酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅など)、スルホン酸銅(例えば、メタンスルホン酸銅など)、リン酸銅、リン酸エステル銅、ホスホン酸銅、ホスホン酸エステル銅、ホスフィン酸銅、アミド銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、メチド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅、過塩素酸銅、フッ化銅、塩化銅、臭化銅が好ましく、カルボン酸銅、スルホン酸銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、フッ化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅がより好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、フェノキシ銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅が更に好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、塩化銅、硫酸銅が特に好ましい。
(低分子タイプの銅錯体)
低分子タイプの銅錯体としては、例えば、式(Cu−1)で表される銅錯体を用いることができる。この銅錯体は、中心金属の銅に配位子Lが配位した銅錯体であり、銅は、通常2価の銅である。この銅錯体は、例えば銅成分に対して、配位子Lとなる化合物またはその塩を反応等させて得ることができる。
Cu(L)n1・(X)n2 式(Cu−1)
上記式中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、対イオンを表す。n1は、1〜4の整数を表す。n2は、0〜4の整数を表す。
Xは、対イオンを表す。銅錯体は、電荷を持たない中性錯体のほか、カチオン錯体、アニオン錯体になることもある。この場合、銅錯体の電荷を中和するよう、必要に応じて対イオンが存在する。
対イオンが負の電荷をもつ対イオン(対アニオン)の場合、例えば、無機陰イオンでもよく、有機陰イオンでもよい。例えば、対イオンとしては、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン、置換または無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換または無置換のアリールカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、ホウ素酸イオン、スルホネートイオン、イミドイオン、ホスフェートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が挙げられる。対アニオンの詳細については、特開2017−067824号公報の段落番号0024の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
対イオンが正の電荷をもつ対イオン(対カチオン)の場合、例えば、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えば、テトラブチルアンモニウムイオンなどのテトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルベンジルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオンなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン、トリエチルフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオンまたはプロトンが挙げられる。
また、対イオンは金属錯体イオン(例えば銅錯体イオンなど)であってもよい。
配位子Lは、銅に対する配位部位を有する化合物であり、銅に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する化合物が挙げられる。アニオンで配位する配位部位は、解離していてもよく、非解離でも良い。配位子Lは、銅に対する配位部位を2個以上有する化合物(多座配位子)が好ましい。また、配位子Lは、可視透明性を向上させるために、芳香族などのπ共役系が連続して複数結合していないことが好ましい。配位子Lは、銅に対する配位部位を1個有する化合物(単座配位子)と、銅に対する配位部位を2個以上有する化合物(多座配位子)とを併用することもできる。単座配位子としては、銅に対しアニオンで配位する配位部位を1個有する化合物であるアニオンで配位する単座配位子や、銅に対し非共有電子対で配位する配位原子を1個有する化合物である非共有電子対で配位する単座配位子が挙げられる。単座配位子の具体例としては、特開2017−067824号公報の段落番号0025の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
配位子Lが有するアニオンとしては、銅原子に配位可能なものであればよく、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンが好ましい。アニオンで配位する配位部位は、以下の1価の官能基群(AN−1)、または、2価の官能基群(AN−2)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、配位子を構成する原子団との結合位置である。
群(AN−1)
Figure 2019059077
群(AN−2)
Figure 2019059077
上記式中、Xは、NまたはCRを表し、Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。上記式の詳細については、特開2017−067824号公報の段落番号0029の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
配位子Lが有する非共有電子対で配位する配位原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子がより好ましく、酸素原子、窒素原子がさらに好ましく、窒素原子が特に好ましい。非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子である場合、窒素原子に隣接する原子が炭素原子、または、窒素原子であることが好ましく、炭素原子がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれるか、または、以下の1価の官能基群(UE−1)、2価の官能基群(UE−2)、3価の官能基群(UE−3)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、配位子を構成する原子団との結合位置である。
群(UE−1)
Figure 2019059077
群(UE−2)
Figure 2019059077
群(UE−3)
Figure 2019059077
群(UE−1)〜(UE−3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。上記式の詳細については、特開2017−067824号公報の段落番号0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれていてもよい。非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、5〜12員環が好ましく、5〜7員環がより好ましい。
配位子Lは、少なくとも2個の配位部位を有する化合物(多座配位子ともいう)が好ましい。配位子Lは、配位部位を少なくとも3個有することがより好ましく、3〜5個有することが更に好ましく、4〜5個有することが特に好ましい。多座配位子は、銅成分に対し、キレート配位子として働く。すなわち、多座配位子が有する少なくとも2つの配位部位が、銅とキレート配位することにより、銅錯体の構造が歪んで、優れた可視透明性が得られ、更には、赤外線の吸光能力を向上でき、色価も向上すると考えられる。また、多座配位子は、非共有電子対で配位する配位原子を含む化合物であることが好ましく、非共有電子対で配位する配位原子として窒素原子を含む化合物であることがより好ましく、非共有電子対で配位する配位原子として窒素原子を含み、この窒素原子にアルキル基(好ましくはメチル基)が置換されている化合物であることがより好ましい。多座配位子の詳細については、特開2017−067824号公報の段落番号0042〜0043の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
配位子をなす化合物の具体例としては、特開2014−41318号公報の段落0022〜0042、特開2015−43063号公報の段落0021〜0039、特開2016−006476号公報の段落0049、特開2017−067824号公報の段落番号0045、0052に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
銅錯体は、例えば、以下の(1)〜(5)の態様が好ましい一例として挙げられ、(2)〜(5)がより好ましく、(3)〜(5)が更に好ましく、(4)または(5)が一層好ましい。これらの詳細については、特開2017−067824号公報の段落番号0047〜0051の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
(1)2つの配位部位を有する化合物の1つまたは2つを配位子として有する銅錯体。
(2)3つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体。
(3)3つの配位部位を有する化合物と2つの配位部位を有する化合物とを配位子として有する銅錯体。
(4)4つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体。
(5)5つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体。
(ポリマータイプの銅錯体)
ポリマータイプの銅錯体としては、側鎖に銅錯体部位を有する銅含有ポリマーなどが挙げられる。銅錯体部位としては、銅と、銅に対して配位する部位(配位部位)とを有するものが挙げられる。銅に対して配位する部位としては、アニオンまたは非共有電子対で配位する部位が挙げられる。また、銅錯体部位は、銅に対して4座配位または5座配位する部位を有することが好ましい。配位部位の詳細については、上述した低分子タイプの銅化合物で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
銅含有ポリマーは、配位部位を含むポリマー(ポリマー(B1)ともいう)と、銅成分との反応で得られるポリマーや、ポリマー側鎖に反応性部位を有するポリマー(以下ポリマー(B2)ともいう)と、ポリマー(B2)が有する反応性部位と反応可能な官能基を有する銅錯体とを反応させて得られるポリマーが挙げられる。銅含有ポリマーの重量平均分子量は、2000以上が好ましく、2000〜200万がより好ましく、6000〜200,000がさらに好ましい。
銅含有ポリマーは、銅錯体部位を有する繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位としては、架橋性基を有する繰り返し単位などが挙げられる。
近赤外線吸収剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して5〜90質量%であることが好ましい。下限は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。銅錯体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。銅錯体を2種以上併用する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。近赤外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。近赤外線吸収剤を2種以上併用する場合は、それらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
近赤外線吸収剤は銅錯体を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、70質量%以上含有することが更に好ましい。
銅錯体の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して5〜90質量%であることが好ましい。下限は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。銅錯体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。銅錯体を2種以上併用する場合は、それらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
近赤外線吸収組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂の種類としては、光学材料に使用しうるものであれば特に制限されない。樹脂は透明性の高い樹脂が好ましい。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、カルボキシル化ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;酢酸ビニル樹脂;ハロゲン化ビニル樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリアミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアリレート(PAR)等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ樹脂;ポリマレイミド樹脂;ポリウレア樹脂;ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリマレイミド樹脂、ポリウレア樹脂が好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂がさらに好ましい。また、樹脂として、アルコキシシリル基を有する化合物のゾルゲル硬化物を用いることも好ましい。アルコキシシリル基を有する化合物としては、後述する架橋性化合物として説明する材料が挙げられる。樹脂の重量平均分子量は、1000〜300,000が好ましい。下限は、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましく、5000以上が特に好ましい。上限は、100,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましい。樹脂の数平均分子量は、500〜150,000が好ましい。下限は、1000以上がより好ましく、2,000以上がさらに好ましい。上限は、100,000以下が好ましい。
樹脂は、下記式(A1−1)〜(A1−7)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する樹脂であることも好ましい。
Figure 2019059077
式中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、L〜Lはそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R10〜R13はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。R14およびR15は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
が表すアルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。Rは、水素原子またはメチル基が好ましい。
〜Lが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−、−NR−(Rは水素原子あるいはアルキル基を表す)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
10〜R13が表すアルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。R10〜R13が表すアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。
10は、直鎖もしくは分岐のアルキル基またはアリール基であることが好ましく、直鎖もしくは分岐のアルキル基であることがより好ましい。
11およびR12は、それぞれ独立して直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
13は、直鎖もしくは分岐のアルキル基またはアリール基であることが好ましい。
14およびR15が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、−NRa1a2、−CORa3、−COORa4、−OCORa5、−NHCORa6、−CONRa7a8、−NHCONRa9a10、−NHCOORa11、−SOa12、−SOORa13、−NHSOa14または−SONRa15a16が挙げられる。Ra1〜Ra16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。なかでも、R14およびR15の少なくとも一方は、シアノ基または−COORa4を表すことが好ましい。Ra4は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表すことが好ましい。
式(A1−7)で表される繰り返し単位を有する樹脂の市販品としては、ARTON F4520(JSR(株)製)などが挙げられる。また、式(A1−7)で表される繰り返し単位を有する樹脂の詳細については、特開2011−100084号公報の段落番号0053〜0075、0127〜0130の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
樹脂としては、式(A1−4)で表される繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましく、式(A1−1)で表される繰り返し単位と、式(A1−4)で表される繰り返し単位とを有する樹脂であることがより好ましい。この態様によれば、耐熱衝撃性に優れた近赤外線カットフィルタを製造できる。更には、銅錯体と樹脂との相溶性が向上し、析出物などの少ない近赤外線カットフィルタが得られやすい。
樹脂は、架橋性基を有することも好ましい。架橋性基は、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基が好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、アルコキシシリル基がより好ましく、環状エーテル基、アルコキシシリル基が更に好ましく、アルコキシシリル基が特に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。環状エーテル基としては、エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタニル基、脂環エポキシ基などが挙げられる。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられる。
架橋性基を有する樹脂においては、樹脂の架橋性基価は0.5〜4mmol/gであることが好ましい。下限は、0.6mmol/g以上であることが好ましく、0.8mmol/g以上であることがより好ましく、1mmol/g以上であることが更に好ましい。上限は、3.5mmol/g以下であることが好ましく、3mmol/g以下であることがより好ましく、2mmol/g以下であることが更に好ましい。なお、樹脂の架橋性基価は、樹脂1g中に含まれる架橋性基の当量のことである。樹脂の架橋性基価は、滴定等の方法で測定することができる。
樹脂が有する架橋性基がアルコキシシリル基である場合、樹脂のSi価は0.5〜4mmol/gであることが好ましい。下限は、0.6mmol/g以上であることが好ましく、0.8mmol/g以上であることがより好ましく、1mmol/g以上であることが更に好ましい。上限は、3.5mmol/g以下であることが好ましく、3mmol/g以下であることがより好ましく、2mmol/g以下であることが更に好ましい。なお、樹脂のSi価は、樹脂1g中に含まれるアルコキシシリル基の当量のことである。樹脂のSi価は、滴定等の方法で測定することができる。
架橋性基を有する樹脂としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましく、式(A1−1)および/または式(A1−4)で表される繰り返し単位と、架橋性基を有する繰り返し単位とを含む樹脂が好ましい。
架橋性基を有する繰り返し単位としては、下記式(A2−1)〜(A2−4)で表される繰り返し単位等が挙げられ、式(A2−1)〜(A2−3)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2019059077
は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。Rは、水素原子またはメチル基が好ましい。
51は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(A1−1)〜(A1−7)のL〜Lで説明した2価の連結基が挙げられる。L51は、アルキレン基または、アルキレン基と−O−とを組み合わせてなる基が好ましい。L51の鎖を構成する原子の数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましい。上限は、例えば200以下とすることができる。
は、架橋性基を表す。架橋性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基等が挙げられ、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、アルコキシシリル基が好ましく、環状エーテル基、アルコキシシリル基がより好ましく、アルコキシシリル基が更に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、アルコキシシリル基の詳細については上述した通りである。アルコキシシリル基におけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が特に好ましい。
樹脂が、架橋性基を有する繰り返し単位を含む樹脂である場合、樹脂は、架橋性基を有する繰り返し単位を、樹脂の全繰り返し単位中5〜100モル%含有することが好ましい。下限は、6モル%以上が好ましく、8モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。上限は、95モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、60モル%以下が更に好ましい。この態様によれば、機械特性に優れた樹脂層を形成し易い。
樹脂は、上述した繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位を構成する成分については、特開2010−106268号公報の段落番号0068〜0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の段落番号0112〜0118)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
樹脂の具体例としては、以下に示す構造の樹脂が挙げられる。
Figure 2019059077
近赤外線吸収組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、10〜90質量%であることが好ましい。下限は30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。また、樹脂の全量中における架橋性基を有する樹脂の含有量は、5〜100質量%であることが好ましく、8〜100質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であることが更に好ましい。樹脂は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収組成物は、架橋性基を有するモノマー(以下、架橋剤ともいう)を含有することが好ましい。架橋性基の種類としては、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基等が挙げられ、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、アルコキシシリル基が好ましく、環状エーテル基、アルコキシシリル基がより好ましく、アルコキシシリル基が更に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、アルコキシシリル基の詳細については、架橋性基を有する樹脂で説明した基が挙げられる。
架橋剤の分子量は、100〜3000であることが好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上が更に好ましい。
架橋剤の架橋性基価は、3〜20mmol/gであることが好ましい。下限は、3.5mmol/g以上であることが好ましく、4mmol/g以上であることがより好ましく、5mmol/g以上であることが更に好ましい。上限は、19mmol/g以下であることが好ましく、17mmol/g以下であることがより好ましく、15mmol/g以下であることが更に好ましい。なお、架橋剤の架橋性基価とは、架橋剤1g中に含まれる架橋性基の当量のことである。架橋剤の架橋性基価は、滴定等の方法で測定することができる。
架橋剤は、1分子中に架橋性基を2〜5個有する化合物であることが好ましい。架橋性基の数の上限は、4個以下が好ましく、3個以下がより好ましい。また、架橋剤は、1分子中にSi原子を2〜5個以上含む化合物であることが好ましい。Si原子の数の上限は、4個以下が好ましく、3個以下がより好ましい。架橋剤におけるSi原子の数は2個であることが好ましい。また、架橋剤は、1分子中にアルコキシシリル基を2〜5個以上含む化合物であることが好ましい。アルコキシシリル基の数の上限は、4個以下が好ましく、3個以下がより好ましい。アルコキシシリル基の数は2個であることが好ましい。アルコキシシリル基は、ジアルコキシシリル基またはトリアルコキシシリル基であることが好ましく、トリアルコキシシリル基であることがより好ましい。また架橋剤が有する2個のアルコキシシリル基は、2〜10個の原子を隔てて結合していることが好ましく、3〜9個の原子を隔てて結合していることがより好ましく、4〜8個の原子を隔てて結合していることが更に好ましい。また、2個のアルコキシシリル基は、炭素数2〜10のアルキレン基を介して結合していることが好ましく、炭素数3〜9のアルキレン基を介して結合していることがより好ましく、炭素数4〜8のアルキレン基を介して結合していることが更に好ましい。
架橋剤がアルコキシシリル基を有する化合物である場合においては、架橋剤のSi価は3〜20mmol/gであることが好ましい。Si価の下限は、3.5mmol/g以上であることが好ましく、4mmol/g以上であることがより好ましく、5mmol/g以上であることが更に好ましい。Si価の上限は、19mmol/g以下であることが好ましく、17mmol/g以下であることがより好ましく、15mmol/g以下であることが更に好ましい。なお、架橋剤のSi価は、架橋剤1g中に含まれる架橋性基の当量のことである。架橋剤のSi価は、滴定等の方法で測定することができる。
アルコキシシリル基を有する化合物としては、特開2017−067824号公報の段落番号0167に記載された化合物を用いることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物としては、特開2017−067824号公報の段落番号0150〜0152に記載された化合物を用いることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。環状エーテル基を有する化合物としては、特開2013−011869号公報の段落番号0034〜0036、特開2014−043556号公報の段落番号0147〜0156、特開2014−089408号公報の段落番号0085〜0092に記載された化合物を用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収組成物が架橋剤を含有する場合、近赤外線吸収組成物は、樹脂100質量部に対して架橋剤を3〜30質量部含有することが好ましく、5〜20質量部含有することがより好ましく、7〜15質量部含有することが更に好ましい。また、近赤外線吸収組成物は、架橋性基を有する樹脂100質量部に対して架橋剤を3〜30質量部含有することが好ましく、5〜20質量部含有することがより好ましく、7〜15質量部含有することが更に好ましい。架橋剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収組成物は重合開始剤を含有することができる。重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により、架橋性基を有する樹脂や架橋剤の架橋を開始する能力を有する限り、特に制限はない。光で架橋させる場合、紫外領域から可視領域の光線に対して感光性を有する重合開始剤が好ましい。また、熱で架橋させる場合には、150〜250℃で分解する重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、芳香族基を有する化合物が好ましい。例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物、チオール化合物などが挙げられる。重合開始剤は、オキシム化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、及び、アシルホスフィン化合物が好ましい。オキシム化合物としては、後述するラジカルトラップ剤で挙げたオキシム化合物などを使用することもできる。重合開始剤は、特開2013−253224号公報の段落0217〜0228の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。重合開始剤は1種類のみでも、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤の種類は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤の例としては、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。また、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドも溶解性向上の観点から好ましい。本発明において有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
溶剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の固形分濃度(全固形分)が5〜80質量%となる量が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより一層好ましく、55質量%以上が更に一層好ましく、60質量%以上が特に好ましい。上限は、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。近赤外線吸収組成物の固形分濃度(全固形分)を高めることで、一回の塗布で厚みのある近赤外線吸収組成物層を形成することができる。例えば、近赤外線吸収組成物の全固形分を50質量%以上とすることで、一回の塗布で5〜40μmの厚みの近赤外線吸収組成物層を形成することができる。また、近赤外線吸収組成物の全固形分が80質量%以下であれば、近赤外線吸収組成物中の成分の溶解性が良好である。溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線吸収組成物は、触媒を含んでもよい。例えば、アルコキシシリル基等の架橋性基を有する樹脂を用いた場合や、架橋剤を用いた場合においては、近赤外線吸収組成物が触媒を含有することで、架橋性基の架橋反応を促進して、機械物性、耐溶剤性、耐熱性などに優れた近赤外線カットフィルタが得られ易い。触媒としては、有機金属系触媒、酸系触媒、アミン系触媒などが挙げられ、有機金属系触媒が好ましい。有機金属系触媒は、Na、K、Ca、Mg、Ti、Zr、Al、Zn、Sn、及びBiからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、炭酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシド、水酸化物、及び置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、上記金属の、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、及び置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アセチルアセトナート錯体が更に好ましい。有機金属系触媒の具体例としては、例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウムなどが挙げられる。近赤外線吸収組成物が、触媒を含有する場合、触媒の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して0.01〜5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。下限は、0.05質量%以上が好ましい。
近赤外線吸収組成物は、ラジカルトラップ剤を含有することもできる。ラジカルトラップ剤としてはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物の市販品としては、IRGACURE−OXE01、IRGACURE−OXE02、IRGACURE−OXE03、IRGACURE−OXE04(以上、BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)、アデカアークルズNCI−930((株)ADEKA製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報に記載の光重合開始剤2)等を用いることができる。また、オキシム化合物として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載の化合物、特表2014−500852号公報に記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報に記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。また、オキシム化合物として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落番号0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落番号0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007〜0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。また、オキシム化合物として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014−137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。また、オキシム化合物として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載されている化合物OE−01〜OE−75が挙げられる。
近赤外線吸収組成物がラジカルトラップ剤を含有する場合、ラジカルトラップ剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
近赤外線吸収組成物は、界面活性剤を含有することもできる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用でき、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。フッ素系界面活性剤におけるフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素系界面活性剤におけるフッ素含有率が上述した範囲であれば、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的である。フッ素系界面活性剤としては、下記構造の化合物などが挙げられる。
Figure 2019059077
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
界面活性剤については、特開2017−067824号公報の段落番号0187〜0189の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%が好ましい。下限は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。上限は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
近赤外線吸収組成物は、さらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含んでいてもよい。これらの成分は、特開2017−067824号公報の段落番号0191〜0196、特開2012−208374号公報の段落番号0052〜0072、特開2013−68814号公報の段落番号0317〜0334、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収組成物は、上述した各成分を混合して調製できる。近赤外線吸収組成物の調製に際しては、近赤外線吸収組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解および/または分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
近赤外線吸収組成物の粘度は、1〜3000mPa・sであることが好ましい。下限は、10mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上が更に好ましい。上限は、2000mPa・s以下が好ましく、1500mPa・s以下が更に好ましい。
<積層体>
次に、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、基板と、支持体層と、近赤外線吸収剤を含む近赤外線カットフィルタ層とを有し、
支持体層の一方の面が基板と接しており、支持体層の他方の面が近赤外線カットフィルタ層と接しており、
支持体層は、高分子フィルムを有し、
基板は、平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が支持体層よりも大きいことを特徴とする。
積層体に用いられる基板、支持体層および近赤外線カットフィルタ層の好ましい範囲については、上述した範囲と同様であり、好ましい範囲も同様である。
<キット>
次に、本発明のキットについて説明する。
本発明のキットは、上述した本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法に用いられるキットであって、
高分子フィルムを有する支持体層と、
平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が支持体よりも大きい基板と、
近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物と、を有する。
基板、支持体層および近赤外線吸収組成物の好ましい範囲については、上述した範囲と同様であり、好ましい範囲も同様である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
<重量平均分子量(Mw)>
重量平均分子量(Mw)は、以下の方法で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて測定した。
装置:HLC−8220 GPC(東ソー株式会社製)
検出器:RI(Refractive Index)検出器
カラム:ガードカラム HZ−Lと、TSK gel Super HZM−Mと、TSK gel Super HZ4000と、TSK gel Super HZ3000と、TSK gel Super HZ2000(東ソー株式会社製)とを連結したカラム
溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤含有)
カラム温度:40℃
注入量:10μL
分析時間:26min.
流量:流速 0.35mL/min.(サンプルポンプ) 0.20mL/min.(リファレンスポンプ)
検量線ベース樹脂:ポリスチレン
<曲げ剛性の測定>
ガラス基板、支持体層および近赤外線カットフィルタ層の曲げ剛性は、JIS K 7171に準じた方法に基づき23℃で測定したヤング率及びガラス基板、支持体層または近赤外線カットフィルタ層の形状から算出される断面二次モーメントに基づいて算出した。
曲げ剛性=E×I
E:ヤング率[Pa]、I:断面二次モーメント[m
計算するガラス基板、支持体層及び近赤外線カットフィルタ層の形状は矩形とみなし、その断面二次モーメントは以下の式から算出した。
断面二次モーメントI=b×h/12
b:幅[m]、h=厚さ/2[m]
<破断伸び率の測定>
破断伸び率はJIS K 7161に準拠した方法で測定した。破断伸び率の値は23℃での値である。
<近赤外線吸収組成物の調製>
下記原料を混合して固形分濃度62質量%の近赤外線吸収組成物を調製した。
・近赤外線吸収剤(下記構造の銅錯体) ・・・40質量部
Figure 2019059077
・樹脂(下記構造の樹脂、Mw=15000、側鎖に付記した数値はモル比である) ・・・49質量部
Figure 2019059077
・架橋剤(KBM−3066、信越シリコーン(株)製、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン) ・・・6質量部
・ラジカルトラップ剤(下記構造の化合物) ・・・5質量部
Figure 2019059077
・触媒(トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)) ・・・0.03質量部
・界面活性剤(下記化合物、Mw=14,000、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。) ・・・0.01質量部
Figure 2019059077
・シクロペンタノン ・・・残部
<支持体層の製造>
(支持体層1〜5)
厚さ25μmの光学粘着フィルム(製品名PD―S1、パナック(株)製)を用いて、下記表に記載のフィルムの離型層を外側に向けてローラを用いて転圧し支持体層を形成した。また、支持体層表面の剥離力についても併せて以下の表に記載する。なお、表中に記載の剥離力の値は、接着対象に31Bテープ(日東電工(株)製)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度とし、その他はJIS Z 0237に準拠した方法で測定した値である。支持体層6、7の剥離力についても同じである。
Figure 2019059077
(支持体層6)
厚さ25μmの光学粘着フィルム(製品名PD−S1、パナック(株)製)の片面から離型紙を剥離し、これを支持体層とした。この支持体層表面(離型紙を剥離した側の面)の剥離力は、15.5N/25mmであった。
(支持体層7)
SG−2Sを支持体層とした。この支持体層表面の剥離力は、4N/25mmであった。
<近赤外線カットフィルタの製造>
(実施例1〜5)
厚さ1mmのガラス基板(平面度7μm)の表面に、下記表に記載の支持体層を積層した。次に、支持体層の表面に、近赤外線吸収組成物をスピンコートして、近赤外線吸収組成物層を形成した。次いで、ホットプレートを用いて近赤外線吸収組成物層を100℃で1時間乾燥したのち、ホットプレートを用いて近赤外線吸収組成物層を150℃で1.5時間加熱して厚さ200μmの近赤外線カットフィルタ層を形成した。
次に、ガラス基板から、支持体層と近赤外線カットフィルタ層との積層体を剥離し、ついで、基板から剥離した前述の積層体から支持体層を剥離して、近赤外線カットフィルタ(近赤外線カットフィルタ層)を得た。
このガラス基板の23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性は、支持体層1〜6の曲げ剛性よりも大きかった。また、得られた近赤外線カットフィルタ(近赤外線カットフィルタ層)は、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が5×10−6Pa・m以下で、23℃での破断伸び率が10%以下であった。また、実施例で用いた支持体層は、23℃での破断伸び率が5%以上であって、かつ、近赤外線カットフィルタ層の破断伸び率よりも大きかった。また、支持体層の23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性は、4×10−6Pa・m以下で、かつ、近赤外線カットフィルタ層の幅1mmあたりの曲げ剛性よりも小さかった。
(比較例1)
支持体層を用いなかった以外は、実施例1〜5と同様の工程を経て近赤外線カットフィルタ(近赤外線カットフィルタ層)を得た。
(比較例2、3)
基板を用いなかった以外は、実施例1〜5と同様の工程を経て近赤外線カットフィルタ(近赤外線カットフィルタ層)を得た。
<平面性の評価>
得られた近赤外線カットフィルタの膜厚分布を、近赤外線カットフィルタ層形成範囲の外側10mmを除いた範囲を9分割し、各エリアの中心点を接触式膜厚計で測定し、以下の基準で平面性を評価した。
A:膜厚の分布が、平均膜厚の95〜105%の範囲である。
B:膜厚の分布が平均膜厚の95%未満であるもの、あるいは、105%を超えるものが存在している。
<剥離品質の評価>
基板の剥離時および支持体層の剥離時の近赤外線カットフィルタ(近赤外線カットフィルタ層)の表面の割れの有無を目視で観察し、以下の基準で剥離品質を評価した。
A:割れが存在していない。
B:一部に割れが存在しているが使用可能な部分があった
C:全面に割れが存在し使用不可能、または、下層から近赤外線カットフィルタ層を剥離できなかった
Figure 2019059077
上記表に示すように、実施例は、平面性が良好で、割れ等のない近赤外線カットフィルタを得ることができた。このため、実施例においては、平面性の高い近赤外線カットフィルタを生産性よく製造できた。
10:基板
20:支持体層
30:近赤外線吸収組成物層
31:近赤外線カットフィルタ層
32:切り込み
40:積層体

Claims (19)

  1. 基板の表面に支持体層を形成する工程と、
    前記支持体層の表面に、近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層を形成する工程と、
    前記近赤外線吸収組成物層を硬化処理して近赤外線カットフィルタ層を形成する工程と、
    前記基板から、前記支持体層と前記近赤外線カットフィルタ層との積層体を剥離する工程と、
    前記基板から剥離した積層体から前記支持体層を剥離する工程と、
    を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
  2. 前記基板の平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が前記支持体層よりも大きい、請求項1に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  3. 前記支持体層は高分子フィルムを含む、請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  4. 前記高分子フィルムの軟化温度が、前記近赤外線吸収組成物層の硬化処理時の最高到達温度よりも高い、請求項3に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  5. 前記高分子フィルムの23℃での破断伸び率が5%以上であって、かつ、近赤外線カットフィルタ層の破断伸び率よりも大きく、
    前記高分子フィルムの23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が4×10−6Pa・m以下で、かつ、近赤外線カットフィルタ層の幅1mmあたりの曲げ剛性よりも小さい、請求項3または4に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  6. 前記支持体層は、近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が9N/25mm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  7. 前記支持体層は、前記基板側の剥離力が15.5N/25mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  8. 前記支持体層の前記近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が、前記基板側の剥離力よりも大きい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  9. 前記支持体層の前記近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が、前記基板側の剥離力よりも小さい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  10. 前記支持体層の前記近赤外線カットフィルタ層側の剥離力が、前記基板側の剥離力と同じである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  11. 前記近赤外線吸収組成物層を形成する工程は、前記支持体層の表面に近赤外線吸収組成物を塗布して近赤外線吸収組成物層を形成するとともに、前記支持体層の表面の少なくとも一部に前記近赤外線吸収組成物層が設けられていない余白部を形成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  12. 前記支持体層の膜厚が1〜1000μmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  13. 前記近赤外線カットフィルタ層の膜厚が1〜500μmである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  14. 前記近赤外線カットフィルタ層は、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が5×10−6Pa・m以下で、23℃での破断伸び率が10%以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  15. 前記近赤外線吸収組成物は、銅錯体と樹脂とを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  16. 前記樹脂は、架橋性基を有する樹脂を含む、請求項15に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  17. 前記近赤外線吸収組成物は、架橋性基を有するモノマーを含む、請求項15または16に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  18. 基板と、支持体層と、近赤外線吸収剤を含む近赤外線カットフィルタ層とを有し、
    前記支持体層の一方の面が前記基板と接しており、前記支持体層の他方の面が前記近赤外線カットフィルタ層と接しており、
    前記支持体層は、高分子フィルムを有し、
    前記基板は、平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が前記支持体層よりも大きい、積層体。
  19. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法に用いられるキットであって、
    高分子フィルムを有する支持体層と、
    平面度が14μm以下で、23℃での幅1mmあたりの曲げ剛性が前記支持体層よりも大きい基板と、
    近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物と、を有するキット。
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