図1は本発明に係る部品実装装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1に示す部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。部品実装装置10は、図1に示すように、基台11と、この基台11上に配置されて部品が実装される基板Bを搬送する基板搬送部12とを備えている。基板搬送部12は、互いに平行な一対のベルト式コンベア12a、12bと、図外の搬送用モータと、搬送用モータの動力を伝達する伝動機構等とを備えている。装置全体を制御する制御ユニット50からの動作指令に応じて搬送用モータが作動すると、両コンベア12a、12bが同期して駆動され、両コンベア12a、12bで基板Bの両側辺部を支持しつつ、この基板Bを搬送方向X(図1の例では左から右)に搬送する。つまり、基板BはX1側からX2側に搬送される。なお、本実施形態では、搬送方向Xと直交する水平方向Yを「幅方向」と称し、幅方向Yのうち部品実装装置10の手前側を「Y1側」とし、奥側を「Y2側」と称する。
本実施形態では、基板搬送部12により搬送される基板Bを搬送方向Xにおいて互いに異なる2つの基板停止位置P1、P2で一時停止させ、各基板停止位置P1、P2で基板Bを保持した上で部品の実装作業が行われる。これら2つの基板停止位置のうち搬送方向Xの上流側(X1側)を「上流実装位置」と称する一方、下流側(X2側)を「下流実装位置」と称する。また、上流実装位置P1および下流実装位置P2にそれぞれ対応し、図略の上流側ストッパおよび下流側ストッパが両コンベア12a、12bの内側に設けられている。上流側ストッパおよび下流側ストッパはストッパ駆動部14(図2)に接続されている。このため、制御ユニット50の外部入出力部54からの指令に応じてストッパ駆動部14が作動し、これに応じて上流側ストッパおよび下流側ストッパが基板Bを停止させる停止状態と停止を解除する停止解除状態との間で切り替えられる。さらに、上流実装位置および下流実装位置には、それぞれ基板保持部(図示せず)が設けられている。各基板保持部はプッシュアップピン等を有しており、ストッパにより停止させられた基板Bをプッシュアップピンにより基板搬送部12から浮かせて保持する。このように、本実施形態では、ストッパと基板保持部とが基板位置決め装置として機能する。
また、基板搬送部12の手前側(Y1側)において2つの部品供給部211、212が設けられている。部品供給部211、212は図1に示すように搬送方向Xに並設されている。これら2つの部品供給部211、212のうち搬送方向Xの上流側(X1側)を「上流部品供給部211」と称する一方、下流側(X2側)を「下流部品供給部212」と称する。上流部品供給部211は上流実装位置の近傍で多数列のテープフィーダ231を備えている。これらのテープフィーダ231は、上流実装位置に位置決めされた基板(以下「上流側基板」という)Bに実装すべき部品(例えばIC、トランジスタ、コンデンサ等)を供給するように構成されている。そして、上流部品供給部211から供給される部品をヘッドユニット22A、22Bがピックアップし、上流側基板Bの上方位置に移動した後、所定の搭載点上に載置する。こうして上流側基板Bへの部品実装が行われる。
一方、下流部品供給部212についても同様に構成されている。すなわち、下流部品供給部212は下流実装位置の近傍で多数列のテープフィーダ232を備えている。これらのテープフィーダ232は下流実装位置に位置決めされた基板(以下「下流側基板」という)Bに実装すべき部品を供給し、当該部品をヘッドユニット22A、22Bが吸着し、部品吸着状態のまま下流側基板Bの上方位置に移動した後、所定の搭載点上に載置する。こうして下流側基板Bへの部品実装が行われる。
各ヘッドユニット22A、22Bには、1又は複数のノズル部材(図示せず)が昇降及び回転可能に設けられるとともに、ノズル部材を昇降させるZ軸モータ24及びノズル部材を回転させるR軸モータ25が装備されている(図2参照)。ヘッドユニット22A、22Bは駆動機構30A、30Bによって、それぞれ独立して搬送方向X及び幅方向Yに移動可能となっている。駆動機構30A、30Bは、上記基台11上に固定されてY方向に延びる一対の固定レール31A、31Bと、この固定レール31A、31Bに取り付けられたボールねじ軸32A、32Bと、このボールねじ軸32A、32Bの端部に連結されて、ボールねじ軸32A、32Bをそれぞれ回転駆動するY軸モータ33A、33Bと、上記固定レール31A、31B上に配置され、上記ボールねじ軸32A、32Bに螺合しているナット部分(図示せず)を備えたヘッドユニット支持部材34A、34Bとを備えている。また、各ヘッドユニット支持部材34A、34Bには、X軸方向に延びるボールねじ軸35A、35Bと、このボールねじ軸35A、35Bの端部にそれぞれ連結されてボールねじ軸35A、35Bを回転駆動するX軸モータ36A、36Bとが設けられている。各ボールねじ軸35A、35Bには、ヘッドユニット22A、22Bに設けられたナット部分(図示せず)が螺合している。このため、制御ユニット50のモータ制御部53からの動作指令に応じて各Y軸モータ33A、33Bが作動することによりボールねじ軸32A、32Bが回転して、上記ヘッドユニット支持部材34A、34Bが幅方向Yに移動する。また、モータ制御部53からの動作指令に応じて各X軸モータ36A、36Bが作動することによりボールねじ軸35A、35Bが回転して、ヘッドユニット22A、22Bがヘッドユニット支持部材34A、34Bに対して搬送方向Xに移動する。なお、図面では省略されているが、ヘッドユニット支持部材34A、34Bには、ヘッドユニット22A、22BをX軸方向にガイドするガイド部材が設けられており、ヘッドユニット22A、22Bは、このガイド部材上で滑らかにX軸方向に往復移動する。
本実施形態では、部品実装装置10による部品実装を円滑かつ高精度に行うために、複数のカメラを有している。より具体的には、基板Bが上流実装位置P1および下流実装位置P2に停止したときに基板Bの特定部位を上方から撮像する定置式撮像手段として、第1基板カメラ41及び第2基板カメラ42が基台11の定位置から吊り下げられている。また、基台11上に部品認識用のカメラ(以下「部品認識カメラ」という)43が装備されている。当該部品認識カメラ43は、ヘッドユニット22A、22Bによる部品吸着後に上記カメラ43A、43Bで吸着部品が撮像され、それに基づいて部品吸着位置のずれ等が調べられるようになっている。さらに、ヘッドユニット22A、22Bには、基板Bに付されているフィデューシャルマーク(基板認識用のマーク)を撮像する移動カメラ44A、44Bがそれぞれ装備されている。移動カメラ44A、44Bは、対応するヘッドユニット22A、22Bの側部で下向きに配置されたCCDカメラ等で構成されており、ヘッドユニット22A、22Bと一体に移動するようになっている。
上記のように構成された部品実装装置10の装置各部を制御するために、制御ユニット50が設けられている。制御ユニット50は、CPU等で構成され、外部の表示ユニット60と接続される演算処理部51と、基板搬送、部品搭載等のための各種データや搭載プログラムを記憶する記憶部52と、各モータ24、25、33A、33B、36A、36Bを制御するモータ制御部53と、外部入出力部54と、画像処理部55とを有している。
モータ制御部53は、各モータ24、25、33A、33B、36A、36Bに取り付けられたエンコーダからの信号と演算処理部51から与えられる目標値とに基づいてモータ24、25、33A、33B、36A、36Bを制御する。また、外部入出力部54には、入力要素として基板Bの搬入、搬出を検出するセンサ等の各種センサ類SNが接続される一方、出力要素としてストッパ駆動部14が接続されている。なお、このほかに、図外の搬送用駆動機構やコンベア間隔調整用駆動機構等も外部入出力部54に接続されている。そして、演算処理部51は、部品を基板Bに搭載するための搭載プログラムならびにセンサ類SNからの信号などに基づいて装置各部を以下のように制御して部品実装動作を実行する。
図3は第1実施形態に係る部品実装装置で実行される部品実装動作の一例を示すフローチャートである。また、図4は図3の部品実装動作の各ステップを模式的に示す図である。この実施形態で部品実装の対象となっている基板Bは同一回路を形成する2つのブロックb1、b2を幅方向Yに並設する、いわゆる多面取り基板(「割り基板」と称されることもある)である。そして、以下に詳述するように、基板Bが上流実装位置P1に位置している間に各ブロックb1、b2に対して上流部品供給部211から供給される部品(以下「上流部品」という)が実装され、基板Bが下流実装位置P2に位置している間に各ブロックb1、b2に対して下流部品供給部212から供給される部品(以下「下流部品」という)が実装される。これらの点を図4(および後で説明する図6)において理解容易とするために、上流部品を供給する上流部品供給部211および上流部品が実装されたブロックb1、b2にハッチングを施す一方、下流部品を供給する下流部品供給部212および下流部品が実装されたブロックb1、b2にドットを施している。さらに、次に詳述する部品実装を行うことで、各ブロックb1、b2において上流部品が実装される領域と下流部品が実装される領域とは本来的には幅方向Yにおいて分離しており、それらの領域の境界線は搬送方向Xに平行な水平線となる。しかしながら、各ブロックb1、b2において上流部品と下流部品とが混在し、その点を模式的に明示するために、図4においては部品が実装されたブロックに上記ハッチングやドットを付した特殊図形(直角三角形)を表示している。この点については後で説明する図6においても同様であり、ハッチングやドットを付した特殊図形(台形や直角三角形)を表示している。
また、図4(および後で説明する図6)中における括弧部分は以下に説明するステップを表している。また、本実施形態では2枚の基板Bに対して部品実装を並行して行うことから、基板Bを区別するために1枚目ないし3枚目の基板Bに対し、それぞれ符号「B1」、「B2」、「B3」を付している。
次に、図3のフローチャートに基づいて部品実装動作に説明するとともに、当該部品実装動作の一例(図4)を適宜参照する。第1実施形態では、演算処理部51は基板搬送部12を作動させて基板Bを搬送方向Xに搬送して上流実装位置P1および下流実装位置P2に基板Bを位置決めする(ステップS11)。これにより、例えば図4の(ステップS11)に示すように上流実装位置P1に位置決めされた基板B1は下流実装位置P2に搬送されて位置決めされると同時に、新たな基板B2が搬送方向Xに搬送され、上流実装位置P1に位置決めされる。
基板搬送が完了すると、図3および図4の(S12=S12A+S12B)に示すように、上流実装動作および下流実装動作が並行して実行される(ステップS12)。すなわち、手前側ヘッドユニット22Aが上流部品供給部211にアスクセスして上流部品をピックアップした後で上流側基板B2の手前側ブロックb1の上方位置に移動し、当該上流部品を手前側ブロックb1に実装する(ステップS12A:上流実装動作)。こうして上流側基板B2に対する部品実装の一部が実行される。また、これと並行して手前側ヘッドユニット22Aよりも下流側(X2側)かつ奥側(Y2側)に位置した状態のまま、奥側ヘッドユニット22Bが下流部品供給部212にアスクセスして下流部品をピックアップした後で下流側基板B1の奥側ブロックb2の上方位置に移動し、当該下流部品を奥側ブロックb2に実装する(ステップS12B:下流実装動作)。このため、奥側ヘッドユニット22Bは手前側ヘッドユニット22Aと干渉することなく、図4の(S12=S12A+S12B)に示すように、既に上流部品が実装されている奥側ブロックb2への部品実装が実行される。その結果、奥側ブロックb2に対して所定の部品がすべて実装されたことになる。このように、ステップS12A、S12B,S12がそれぞれ本発明の「第1工程」、「第2工程」および「第5工程」の一例に相当している。
次のステップS13では、X方向におけるヘッドユニット22A、22Bの入替えが行われる。つまり、図4の(S13)に示すように、手前側ヘッドユニット22Aが上流側(X1側)から下流側(X2側)に移動して下流実装位置P2に位置する。また同時に、奥側ヘッドユニット22Bが下流側(X2側)から上流側(X1側)に移動して上流実装位置P1に位置する。
こうしたヘッドユニット22A、22Bの入替動作によって、次の部分的な部品実装の準備が完了すると、図3および図4の(S14=S14A+S14B)に示すように、ステップS12とは異なる別の上流実装動作および下流実装動作が並行して実行される(ステップS14)。すなわち、奥側ヘッドユニット22Bが上流部品供給部211にアスクセスして上流部品をピックアップした後で上流側基板B2の奥側ブロックb2の上方位置に移動し、当該上流部品を奥側ブロックb2に実装する(ステップS14A:上流実装動作)。こうして上流側基板B2に対する上流部品の実装が完了する(ただし、この時点では下流部品の実装は一切行われておらず、上流側基板B2は半製品状態である)。また、これと並行して奥側ヘッドユニット22Bよりも下流側かつ手前側に位置した状態のまま、手前側ヘッドユニット22Aが下流部品供給部212にアスクセスして下流部品をピックアップした後で下流側基板B1の手前側ブロックb1の上方位置に移動し、当該下流部品を手前側ブロックb1に実装する(ステップS14B:下流実装動作)。このため、手前側ヘッドユニット22Aは奥側ヘッドユニット22Bと干渉することなく、図4の(S14=S14A+S14B)に示すように、既に上流部品が実装されている手前側ブロックb1への部品実装が実行される。その結果、手前側ブロックb1に対しても所定の部品がすべて実装され、基板B1への部品実装が完了する。このように、ステップS14A、S14B,S14がそれぞれ本発明の「第3工程」、「第4工程」および「第6工程」の一例に相当している。
こうして基板B1の製造が完了すると、これで予定していた部品実装が完了したか否かを演算処理部51が判定する(ステップS15)。ここで、部品実装の完了を判定した場合(ステップS15で「YES」)には、演算処理部51は完成品である基板B1を搬出して一連の部品実装動作を終了する。一方、予定している部品実装が残っていると判定した(ステップS15で「NO」)場合には、上記した一連の動作(ステップS11〜S15)と類似した動作(ステップS16〜S20)を実行する。
演算処理部51は基板搬送部12を作動させて完成品である基板B1を搬出するとともに、図4の(ステップS16)に示すように上流実装位置P1に位置決めされている基板B2を下流実装位置P2に搬送されて位置決めすると同時に、新たな基板B3を搬送方向Xに搬送して上流実装位置P1に位置決めする。
基板搬送が完了すると、ステップS14と同様にして上流側基板B3の奥側ブロックb2への上流部品の実装と下流側基板B3の手前側ブロックb1への下流部品の実装とを並行して行う。すなわち、図4の(S17=S17A+S17B)に示すように、奥側ヘッドユニット22Bが上流部品供給部211にアスクセスして上流部品をピックアップした後で上流側基板B3の奥側ブロックb2の上方位置に移動し、当該上流部品を奥側ブロックb2に実装する(ステップS17A:上流実装動作)。また、これと並行して奥側ヘッドユニット22Bよりも下流側かつ手前側に位置した状態のまま、手前側ヘッドユニット22Aが下流部品供給部212にアスクセスして下流部品をピックアップした後で下流側基板B2の手前側ブロックb1の上方位置に移動し、当該下流部品を手前側ブロックb1に実装する(ステップS17B:下流実装動作)。このため、手前側ヘッドユニット22Aは奥側ヘッドユニット22Bと干渉することなく、図4の(S17=S17A+S17B)に示すように、既に上流部品が実装されている手前側ブロックb1への部品実装が実行される。このように、ステップS17A、S17B,S17がそれぞれ本発明の「第3工程」、「第4工程」および「第6工程」の一例に相当している。
次のステップS18では、X方向におけるヘッドユニット22A、22Bの入替えが行われる。つまり、図4の(S18)に示すように、手前側ヘッドユニット22Aが下流側から上流側に移動して上流実装位置P1に位置する。また同時に、奥側ヘッドユニット22Bが上流側から下流側に移動して下流実装位置P2に位置する。
こうしたヘッドユニット22A、22Bの入替動作によって、次の部分的な部品実装の準備が完了すると、ステップS12と同様にして上流側基板B3の手前側ブロックb1への上流部品の実装と下流側基板B2の奥側ブロックb2への下流部品の実装とを並行して行う。すなわち、図3および図4の(S19=S19A+S19B)に示すように、手前側ヘッドユニット22Aが上流部品供給部211にアスクセスして上流部品をピックアップした後で上流側基板B3の手前側ブロックb1の上方位置に移動し、当該上流部品を手前側ブロックb1に実装する(ステップS19A:上流実装動作)。また、これと並行して手前側ヘッドユニット22Aよりも下流側かつ奥側に位置した状態のまま、奥側ヘッドユニット22Bが下流部品供給部212にアスクセスして下流部品をピックアップした後で下流側基板B2の奥側ブロックb2の上方位置に移動し、当該下流部品を奥側ブロックb2に実装する(ステップS19B:下流実装動作)。このため、奥側ヘッドユニット22Bは手前側ヘッドユニット22Aと干渉することなく、図4の(S19=S19A+S19B)に示すように、既に上流部品が実装されている奥側ブロックb2への部品実装が実行される。その結果、基板B2への部品実装が完了する。このように、ステップS19A、S19B,S19がそれぞれ本発明の「第1工程」、「第2工程」および「第5工程」の一例に相当している。
こうして基板B2の製造が完了すると、ステップS15と同様に、これで予定していた部品実装が完了したか否かを演算処理部51が判定する(ステップS20)。そして、部品実装の完了を判定した場合(ステップS20で「YES」)には、演算処理部51は基板B2を搬出して一連の部品実装動作を終了する。一方、予定している部品実装が残っていると判定した(ステップS20で「NO」)場合には、ステップS11に戻って上記した一連の動作(ステップS11〜S15)を実行する。
以上のように、第1実施形態では、部品実装装置10の手前側(幅方向YのY1側)において搬送方向Xに沿って上流部品供給部211および下流部品供給部212が設けられている。そして、手前側ヘッドユニット22Aに対して奥側ヘッドユニット22Bが奥側、つまり幅方向YのY2側に位置した状態で上流実装動作および下流実装動作が実行される。したがって、ヘッドユニット22A、22Bの相互干渉は発生せず、干渉ロスを発生させることなく、2つのヘッドユニット22A、22Bを同時に駆動して部品の実装効率を高めることが可能となっている。
本実施形態では、搬送方向Xにおいてヘッドユニット22A、22Bがそれぞれ上流実装位置P1および下流実装位置P2に位置した状態で、手前側ヘッドユニット22Aによる上流実装動作と、奥側ヘッドユニット22Bによる下流実装動作とを並行して実行している(ステップS12、S19)。また、搬送方向Xにおいてヘッドユニット22A、22Bがそれぞれ下流実装位置P2および上流実装位置P1に位置した状態で、手前側ヘッドユニット22Aによる下流実装動作と、奥側ヘッドユニット22Bによる上流実装動作とを並行して実行している(ステップS14、S17)。このため、上流実装動作と下流実装動作とをそれぞれ搬送方向Xにおいて離れた位置で実行することができ、搬送方向Xにおけるヘッドユニット22A、22Bの相互干渉を確実に防止することができる。また、上流実装動作および下流実装動作の並行処理により部品実装をより効率的に行うことができる。
また、上記のように搬送方向Xにおけるヘッドユニット22A、22Bの位置関係を逆転させてヘッドユニット22A、22Bの相互干渉の防止と部品実装の効率化のために、ヘッドユニット22A、22Bの入替動作を実行している(ステップS13、S18)が、それは基板Bの搬送毎に1回だけ行われている。このように入替動作を最小限とすることで部品実装に要する時間、つまりタクトタイムの増大を抑えることができる。
また、図4に示したように、基板Bが上流部品および下流部品の被実装領域となるブロックb1、b2を幅方向Yに2つ並設する多面取り基板である場合、本発明を好適に実施することができる。つまり、上記した2つの上流実装動作(ステップS12、S14)がそれぞれブロックb1、b2に適用されるとともに上記した2つの下流実装動作(ステップS12、S14)がそれぞれブロックb1、b2に適用され、多面取り基板に対する部品実装を効率的に行うことができる。
また、本実施形態では、部品実装装置10の手前側(幅方向YのY1側)に部品供給部211、212を配置して上記した上流実装動作および下流実装動作を実行しているため、多面取り基板への部品実装を特許文献1に記載の装置により行う場合よりも有利な作用効果を有している。つまり、特許文献1に記載の装置により当該部品実装を行うためには、各部品について部品実装装置の手前側および奥側の部品供給部に準備しておく必要がある。一方、本実施形態では、このような部品の二重準備は不要であり、装置のコンパクト化を図ることができる。
ところで、上記第1実施形態では、同一回路を形成する2つのブロックb1、b2を有する多面取り基板に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象基板はこれに限定されるものではなく、例えば互いに異なる回路を形成する2つのブロックを有する多面取り基板や3つ以上のブロックを有する多面取り基板に対しても本発明を適用することができる。また、単一ブロックのみを有する基板にも本発明を適用することができる。例えば基板のうち部品の被実装領域を幅方向Yにおいて2つのエリアに区分けし、本発明を適用してもよい(第2実施形態)。以下、図5および図6を参照しつつ第2実施形態について説明する。
図5は第2実施形態に係る部品実装装置で実行される部品実装動作の一例を示すフローチャートである。また、図6は図5の部品実装動作の各ステップを模式的に示す図である。第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、ブロックb1、b2の代わりにエリアa1、a2が設定されている点であり、その他の構成および動作は同一である。したがって、基本的には、第1実施形態の説明における「ブロックb1」および「ブロックb2」をそれぞれ「エリアa1」および「エリアa2」に読み換えることで第2実施形態を理解することができる。ただし、第2実施形態では、エリアa1、a2に同一回路が形成されることは少なく、例えば図7に示すように、互いに異なる部品PA〜PDが異なる領域内に実装されることが多い。このような場合、幅方向Yにおいて手前側エリアa1に実装される部品点数と奥側エリアa2に実装される部品点数とが同じあるいはほぼ同一となるようにエリア分割を行うのが好適である。この実施形態では、部品点数に着目してエリアを分割しているが、分割基準はこれに限定されるものではなく、例えばエリア毎の合計実装時間を基準としてもよい。
第2実施形態では、演算処理部51が記憶部52に記憶されている部品搭載のためのデータに基づいてエリア分割を行う。ここで、エリア分割の具体的方法として、例えば複数のエリアa1、a2に共通する部品について使用点数が多いものから順番に部品分割してもよい。例えば図7に示す例では、使用点数の最も多い部品PAについて部品分割を行い、次いで部品PBについて部品分割を行っている。より具体的には、手前側エリアa1では部品PA、PB、PCをそれぞれ「120点」、「20点」、「10点」で合計150点の部品を上流部品として実装する一方、奥側エリアa2では部品PA、PB、PDをそれぞれ「80点」、「30点」、「40点」で合計150点の部品を下流部品として実装するように演算処理部51はエリア分割している。なお、この場合、上流部品供給部211には部品PA、PB、PCを供給するテープフィーダ231が装着される一方、下流部品供給部212には部品PA、PB、PDを供給するテープフィーダ232が装着される。
第2実施形態では、演算処理部51は基板搬送部12を作動させて基板Bを搬送方向Xに搬送して上流実装位置P1および下流実装位置P2に基板Bを位置決めする(ステップS21)と、図5および図6の(S22=S22A+S22B)に示すように、手前側ヘッドユニット22Aによる上流実装動作によって上流実装位置P1の基板B2の手前側エリアa1に上流部品のうちの約半分を実装する(ステップS22A)とともに、奥側ヘッドユニット22Bによる下流実装動作によって下流実装位置P2の基板B1の奥側エリアa2に下流部品のうちの約半分を実装する(ステップS22B)。このように、ステップS22A、S22B,S22がそれぞれ本発明の「第1工程」、「第2工程」および「第5工程」の一例に相当している。
次のステップS23では、図6の(S23)に示すように、X方向におけるヘッドユニット22A、22Bの入替えが行われる。それに続いて、図5および図6の(S24=S24A+S24B)に示すように、奥側ヘッドユニット22Bによる上流実装動作によって残りの上流部品を上流側基板B2に実装して上流側基板B2への上流部品の実装を完了させる(ステップS24A)。ただし、この時点では下流部品の実装は一切行われておらず、上流側基板B2は半製品状態である。また、これと並行して奥側ヘッドユニット22Bよりも下流側かつ手前側に位置した状態のまま、手前側ヘッドユニット22Aによる下流実装動作によって下流実装位置P2の基板B1に残りの下流部品を実装して下流側基板B1への下流部品の実装を完了させる(ステップS24B)。これによって、基板B1への全部品(=上流部品+下流部品)の実装が完了する。このように、ステップS24A、S24B,S24がそれぞれ本発明の「第3工程」、「第4工程」および「第6工程」の一例に相当している。
こうして基板B1の製造が完了すると、これで予定していた部品実装が完了したか否かを演算処理部51が判定する(ステップS25)。ここで、部品実装の完了を判定した場合(ステップS25で「YES」)には、演算処理部51は完成品である基板B1を搬出して一連の部品実装動作を終了する。一方、予定している部品実装が残っていると判定した(ステップS25で「NO」)場合には、上記した一連の動作(ステップS21〜S25)と類似した動作(ステップS26〜S20)を実行する。
演算処理部51は基板搬送部12を作動させて完成品である基板B1を搬出するとともに、図6の(ステップS26)に示すように上流実装位置P1に位置決めされている基板B2を下流実装位置P2に搬送されて位置決めすると同時に、新たな基板B3を搬送方向Xに搬送して上流実装位置P1に位置決めする。
基板搬送が完了すると、図4の(S27=S27A+S27B)に示すように、ステップS24と同様にして上流側基板B3の手前側エリアa1への上流部品の実装(ステップS27A)と下流側基板B3の奥側エリアa2への下流部品の実装とを並行して行う(ステップS27B)。ステップS27A、S27Bがそれぞれ本発明の「第3工程」および「第4工程」の一例に相当し、これらを並行して行う工程が「第6工程」の一例に相当している。
次のステップS28では、X方向におけるヘッドユニット22A、22Bの入替えが行われる。それに続いて、ステップS22と同様にして上流側基板B3の手前側エリアa1への上流部品の実装(ステップS29A)と下流側基板B2の奥側エリアa2への下流部品の実装(ステップS29B)とを並行して行う。これによって、基板B2への部品実装が完了する。ステップS29A、29Bがそれぞれ本発明の「第1工程」および「第2工程」の一例に相当し、これらを並行して行う工程が「第5工程」の一例に相当している。
こうして基板B2の製造が完了すると、ステップS25と同様に、これで予定していた部品実装が完了したか否かを演算処理部51が判定する(ステップS30)。そして、部品実装の完了を判定した場合(ステップS30で「YES」)には、演算処理部51は基板B2を搬出して一連の部品実装動作を終了する。一方、予定している部品実装が残っていると判定した(ステップS30で「NO」)場合には、ステップS21に戻って上記した一連の動作(ステップS21〜S25)を実行する。
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ヘッドユニット22A、22Bの相互干渉は発生せず、干渉ロスを発生させることなく、2つのヘッドユニット22A、22Bを同時に駆動して部品の実装効率を高めることが可能となっている。また、上流実装動作および下流実装動作の並行処理により部品実装をより効率的に行うことができる。さらに、入替動作を最小限とすることで部品実装に要する時間、つまりタクトタイムの増大を抑えることができる。
このように第1実施形態では、幅方向Y、Y1側およびY2側がそれぞれ本発明の「水平方向」、「水平方向の一方側」および「水平方向の他方側」の一例に相当している。また、手前側ヘッドユニット22Aおよび奥側ヘッドユニット22Bがそれぞれ本発明の「第1ヘッドユニット」および「第2ヘッドユニット」の一例に相当している。手前側ブロックb1および奥側ブロックb2がそれぞれ「一方側ブロック」および「他方側ブロック」の一例に相当している。また、手前側エリアa1および奥側エリアa2がそれぞれ「一方側エリア」および「他方側エリア」の一例に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、部品供給部211,212を部品実装装置10の手前側(幅方向YのY1側)に配設しているが、部品実装装置10の奥側(幅方向YのY2側)に配設した部品実装装置にも本発明を適用することができる。
また、部品供給部211、212の配設位置は、幅方向Yの一方側のみに限定されるものではなく、部品実装装置10の手前側(幅方向YのY1側)および部品実装装置10の奥側(幅方向YのY2側)に配設してもよい(第3実施形態)。このような部品実装装置10では、例えば部品実装装置10の手前側の部品供給部211、212を用いて第1実施形態や第2実施形態と同様にして部品実装を行う(以下「手前側供給タイプの部品実装動作」という)間に、次の生産プログラムに対応した部品段取りを奥側の部品供給部211、212に対して予め行うことができる。つまり、部品実装装置10の奥側の部品供給部211、212を用いて第1実施形態や第2実施形態と同様にして部品実装を行う(以下「奥側供給タイプの部品実装動作」という)ためには、部品実装装置10の奥側の部品供給部211、212について、次の生産プログラムに対応した部品段取りを行う必要がある。ただし、第3実施形態では、手前側供給タイプの部品実装動作を行っている間に、上記部品段取りを行うことが可能であり、生産プログラムの切り替えを行った時点で直ちに奥側供給タイプの部品実装動作を開始することができる。すなわち、生産プログラム切り替え後の段取り時間を削減することができ、効率的な部品実装を行うことができる。
また、より多くの部品を基板Bに実装するために、手前側および奥側の部品供給部211に上流部品を振り分けて準備するとともに、手前側および奥側の部品供給部212に下流部品を振り分けて準備することでより多くの部品を基板Bに実装することができる。例えば、手前側部品供給部211、212を用いて上流実装動作および下流実装動作を並行して実行するのに続いて、奥側部品供給部211、212を用いて上流実装動作および下流実装動作を並行して実行することができる。そして、X方向におけるヘッドユニット22A、22Bの入替えを行った後で、手前側部品供給部211、212を用いて上流実装動作および下流実装動作を並行して実行し、さらに奥側部品供給部211、212を用いて上流実装動作および下流実装動作を並行して実行してもよい。これによって、数多くの部品を基板Bに実装することができる。