JPWO2019039495A1 - 複合塗料及びガラス - Google Patents

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Abstract

本発明の複合塗料は、少なくとも塗膜形成樹脂とガラスとを含み、セメント硬化体の被覆に用いられる複合塗料であって、ガラスが、ガラス組成として、質量%で、ZrO212〜24%、TiO22〜20%を含有することを特徴とする。

Description

本発明は、セメント硬化体の被覆に用いる複合塗料及びガラスに関する。
従来、コンクリート構造物やセメント製品表面に様々な塗料を被覆し、経年劣化を抑制する方法が知られている。
セメント硬化体の被覆に用いられる塗料は、水とセメントとの化学反応により生成されるセメント硬化体と直接接触する。しかし、セメント硬化体からはアルカリ成分が溶出するため、被覆する塗料は、耐アルカリ性に優れた塗料が使用されている。
特公平4−21579号公報 特開2016−79193号公報
特許文献1では、コンクリート保護材料の耐アルカリ性の低下を抑制するために、エチレン性不飽和単量体を含む樹脂組成物を用いている。
さらに近年、コンクリート構造物やセメント製品の下地の色・柄を生かし、表面の透明感や光沢を出すことを目的として、無色塗料によるクリア塗装が行われるようになってきた。このクリア塗装は、コンクリート構造物表面の亀裂等の劣化を早期に発見するためにも有用である。
特許文献2では、コンクリート構造物の表面を被覆する透明塗膜に関し、塗膜のバリア性能及び透明性を向上させるためにガラスフレーク(鱗片状ガラス)が用いられている。
ところで、セメント硬化体の被覆に用いる塗料は、屋外で使用されることが多く、過酷な状況に晒される。その中でも特に紫外線は、塗料に含有されている樹脂を劣化させるため、塗膜の躯体からの剥がれ、変色、クラック等を惹起する虞がある。
そのため、紫外線への対応として、チタンや亜鉛などの無機ナノ粒子、また有機系の紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤、更に、顔料を導入させる場合がある。
これらの紫外線吸収性化合物のうち、無機ナノ粒子は塗料中の他成分への影響が少なく安定であるが、高コストとなると共に、一定量以上含有させると塗膜特性を損なう可能性がある。一方、有機系の紫外線吸収剤は安定性に欠ける上、塗料中の他成分への影響が大きく反応が起こる虞があるため、こちらも一定量以上の導入が難しい。加えて顔料は、安価で効果が大きく安定性も良いが、塗膜の透明性が失われ母材の状態が確認し難くなるため、一定量以上含有させないことが好ましい。このように、紫外線吸収化合物や顔料を多量に含有させることができない塗料では、紫外線による塗膜の劣化を抑制することが困難であった。
本発明の課題は、セメント硬化体に用いる複合塗料であって、耐アルカリ性に優れ、しかも、紫外線によって劣化し難い塗膜を形成できる複合塗料及び複合塗料に用いるガラスを提供することである。
本発明者等はセメント硬化体に用いる複合塗料に関して鋭意実験した結果、塗膜のアルカリ溶出による劣化や、紫外線による劣化は、ガラス組成として、ZrO2及びTiO2を必須成分として含有させたガラスを用いることにより解決できることを見出した。
すなわち、本発明の複合塗料は、少なくとも塗膜形成樹脂とガラスとを含み、セメント硬化体の被膜に用いられる複合塗料であって、ガラスが、ガラス組成として、質量%で、ZrO2 12〜24%、TiO2 2〜20%を含有することを特徴とする。
このようにすることで、耐アルカリ性に優れ、しかも、紫外線によって劣化し難い塗膜を形成することができる複合塗料を得ることができる。
本発明の複合塗料は、ガラスが、更に、ガラス組成として、質量%で、SiO2 50〜65%、Li2O+Na2O+K2O 10〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有することが好ましい。
このようにすることで、ガラスの化学耐久性(耐酸性、耐水性、耐アルカリ性)がより向上し、ひいては塗膜の化学耐久性が向上する。
本発明の複合塗料は、ガラスの光路長3μm、波長555nmにおける透過率が75%以上であることが好ましい。
このようにすることで、塗膜の可視域(特に555nm)における透過率が高くなるため、塗膜の透明性が高くなり、その結果、可視光に対して透明な塗膜を得易くなる。なお、本発明において、「透明」とは、「目視で塗膜の向こう側が視認できる状態」を指す。また、「ガラスの透過率」は、厚み3μmのガラスを分光光度計(日本分光製 V−670)にて測定した値である。
本発明の複合塗料は、ガラスの光路長3μm、波長275nmにおける透過率が70%以下であることが好ましい。
このようにすることで、ガラスに紫外域(200〜380nm)の波長が吸収され易いため、塗膜の紫外線による劣化をより抑制できる。
本発明の複合塗料は、ガラスの表面がシランカップリング剤で被覆されていることが好ましい。
このようにすることで、ガラスと樹脂界面の濡れ性や接着性を確保できることから、塗膜の透過率や強度を向上できる。
本発明の複合塗料は、ガラスの含有量が0.1〜30質量%であることが好ましい。
このようにすることで、塗膜のバリア性能や強度が向上する。
本発明の複合塗料は、ガラスが鱗片状ガラスを含むことが好ましい。
このようにすることで、塗膜中或いはセメント硬化体上にガラスを効率よく配置できるため、紫外線等に対するバリア性能に優れ、セメント硬化体を劣化し難くできる。なお、本発明では、「鱗片状」とは、ガラス膜を破砕して鱗片状にしたものである。
本発明の複合塗料は、鱗片状ガラスの平均厚みが0.1〜20μmであり、且つ、前記鱗片状ガラスの平均粒径が20〜1000μmであることが好ましい。
このようにすることで、塗膜のバリア性能が向上する。なお、平均厚みは、試料10枚を採取し、ダイヤルゲージを用いて1枚ごとにμm単位まで測定し、算出した平均値であり、平均粒径は、レーザ回折法により測定した光散乱相当径の粒度分布において、粒径が小さなものから体積累計50%に相当する粒径(D50)である。
本発明の複合塗料は、ガラスがミルドファイバーを含むことが好ましい。
このようにすることで、塗料中におけるガラスの分散性が良好になり、塗膜中或いはセメント硬化体上に均一な塗膜を形成できるため、紫外線等に対する塗膜のバリア性に優れ、セメント硬化体を劣化し難くできる。なお、本発明では、「ミルドファイバー」とは、ガラス長繊維を粉砕して粉末状にしたものを指す。
本発明の複合塗料は、ミルドファイバーのアスペクト比(平均単繊維長/平均単繊維直径)が1〜100であることが好ましい。
このようにすることで、よりガラスの分散性が良い複合塗料を得ることができる。また、その結果、均一な塗膜を得ることが容易になる。なお、平均単繊維直径はJIS R 3420:2013のA法(輪郭法)で測定した値であり、平均単繊維長はJIS R 3420:2013のA法(輪郭法)に準ずる方法で測定した値である。
本発明の複合塗料は、ミルドファイバーの平均単繊維直径が3〜30μmであり、且つミルドファイバーの平均単繊維長が20〜400μmであることが好ましい。
このようにすることで、より分散性が良い複合塗料を得ることができる。また、その結果、より均一な塗膜を得ることが容易になり、紫外線に対する塗膜のバリア性能が向上する。
本発明の複合塗料は、塗膜形成樹脂が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂の中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
このようにすることで、セメント硬化体を被覆する塗膜を形成することができる。なお、選択される樹脂は耐アルカリ性を有するものが好ましく、エマルジョン化されたものでも良い。
本発明の複合塗料は、更にシリコーン系化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、フッ素系化合物の中から選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
このようにすることで、塗膜の撥水性が向上する。
本発明の複合塗料は、更に紫外線吸収性化合物を0〜5質量%含むことが好ましい。
紫外線吸収性化合物の含有量をこのように規制することで、複合塗料を低コストにできる。また、複合塗料の安定性や塗膜特性を確保しつつも紫外線吸収性能を向上させることができる。
本発明のガラスは、ガラス組成として、質量%で、ZrO2 12〜24%、TiO2 2〜20%を含有し、且つセメント硬化体の被覆に用いることを特徴とする。
本発明のガラスを用いると、耐アルカリ性に優れ、しかも、紫外線によって劣化し難い塗膜を形成することができる。
本発明のガラスは、更に、ガラス組成として、質量%で、SiO2 50〜65%、Li2O+Na2O+K2O 10〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有することが好ましい。
このようにすることで、ガラスの化学耐久性がより向上する。
本発明のガラスは、鱗状片ガラスであることが好ましい。
このようにすることで、ガラスが、塗膜中或いはセメント硬化体上に効率よく配置できるため、紫外線等に対するバリア性能に優れ、セメント硬化体を劣化し難くできる。
本発明のガラスは、ミルドファイバーであることが好ましい。
このようにすることで、塗料中の分散性が良好になり、塗膜中或いはセメント硬化体上に均一な塗膜を形成できるため、紫外線等に対する塗膜のバリア性に優れ、セメント硬化体を劣化し難くできる。
実施例と比較例のガラスの透過率を示す図である。
本発明のガラスは、鱗片状ガラス又はミルドファイバーの形態を取りうる。すなわち、本発明のガラスは、鱗片状ガラス及びミルドファイバーのうち、鱗片状ガラスのみを含んでいてもよいし、ミルドファイバーのみを含んでいてもよい。以下の説明は、特に断りがない限り、ガラスが鱗片状ガラスである場合と、ミルドファイバーである場合との両方に当てはまるものとする。
本発明のガラスは、ガラス組成として、質量%で、ZrO2 12〜24%、TiO2 2〜20%を含有する。なお、本発明において「%」表示は「質量%」のことを示す。
本発明のガラスは、ガラス組成として、ZrO2を必須成分として含有する。ZrO2は、ガラスの耐アルカリ性、耐酸性及び耐水性を向上させる成分である。そのため、ガラス組成として、ZrO2の含有量が多いガラスを複合塗料に含有させることで、塗膜がセメント由来のアルカリ成分に浸食され難くなる。
ZrO2の含有量は12〜24%であり、13〜20%、14〜19.5%、特に16〜19%が好ましい。ZrO2の含有量が少なすぎると、耐アルカリ性、耐酸性及び耐水性が低下し、ひいては塗膜の耐アルカリ性、耐酸性及び耐水性が低下する。一方、ZrO2の含有量が多すぎるとガラスの液相温度が高くなって生産性が低下する上、原料コストも高くなる。
本発明のガラスは、ガラス組成として、TiO2を必須成分として2質量%以上含有する。TiO2は、ガラスの耐水性と耐アルカリ性を向上させると共に、液相温度を大幅に低下させる成分である。本発明では、ガラス組成として、TiO2を含有させることで、紫外域(200〜380nm)の透過率を低下させて、紫外線吸収性能を顕著に向上させることが可能である。このように、TiO2は高い紫外線吸収性能を有するため、TiO2を一定以上含有させたガラスを複合塗料に含有させることで、塗膜の紫外線による劣化を抑制できる。また、紫外線吸収性化合物の添加量に比べると、TiO2はガラス中に高密度で含有させることが可能な上、可視光域におけるガラスの透過率をあまり低下させない。そのため、特に透明な複合塗料において、塗膜の透明性を維持したまま紫外線による劣化を効果的に抑制できる。
TiO2の含有量は2〜20%であり、5〜19%、より好ましくは5.6〜18%、6〜17%、6.5〜16%、6.8〜15%、特に7〜13%が好ましい。TiO2の含有量が少なすぎると、ガラスの耐水性と耐アルカリ性が低下する上、ガラスの紫外線吸収性能が低下する。また、成形温度が上昇して生産コストが高くなる。一方、TiO2の含有量が多すぎると、ガラス中にTiO2を含む結晶が析出し易くなって生産性が低下する上、原料コストが高くなる。
また、本発明のガラスは、更に、ガラス組成として、質量%で、SiO2 50〜65%、Li2O+Na2O+K2O 10〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有する。
SiO2は、ガラスの骨格構造を形成する主要成分である。また、ガラスの耐酸性を向上させる成分である。SiO2の含有量は50〜65%が好ましく、55〜60%、特に57〜60%が好ましい。SiO2の含有量が少なすぎると、ガラスの機械的強度や耐酸性が低下し易くなり、ひいては塗膜の強度や耐酸性が低下する。一方、SiO2の含有量が多すぎると、ガラスの耐アルカリ性が低下し、塗膜の耐アルカリ性が低下してしまう。また、ガラスの粘度が高くなってガラスの溶融に必要なエネルギーが増大し、製造コストが高くなる。
アルカリ金属酸化物は、ガラスの粘度を低下させ、溶融性や成形性を高める成分である。一方、アルカリ金属酸化物は、多量に含有しすぎるとガラスの耐水性を低下させてしまう成分である。アルカリ金属酸化物の合量(Li2O+Na2O+K2O)は10〜30%が好ましく、12〜25%、14〜22%、特に15〜18%が好ましい。アルカリ金属酸化物の合量が少なすぎると、ガラスの粘度が高くなってガラスの溶融に必要なエネルギーが増大し、製造コストが高くなる。一方、アルカリ金属酸化物の合量が多すぎると、ガラスの耐水性が低下し易くなり、ひいては塗膜の耐水性が低下する。
Li2Oは少量の添加によって液相温度を大幅に下げ生産性を向上させる成分である。Li2Oの含有量は、0〜5%が好ましく、0〜1%、特に0〜0.6%が好ましい。一方、Li2Oの含有量が多すぎると製造コストが増加する上、原料供給不安の懸念があるため、不可避不純物を除いて、含有しなくても良い。
Na2Oはガラスの粘度を低下させることによって、ガラスの溶融性や成形性を高める成分である。Na2Oの含有量は10〜20%が好ましく、10〜18%、特に12〜18%が好ましい。Na2Oの含有量が少なすぎると、ガラスの粘度が高くなってガラスの溶融に必要なエネルギーが増大し、製造コストが高くなる。一方、Na2Oの含有量が多すぎるとガラスの液相温度が高くなり、生産性が低下する。また、ガラスの耐水性が低下し易くなり、ひいては塗膜の耐水性が低下する。
2Oはガラスの粘度を低下させることによって、ガラスの溶融性や成形性を高める成分である。また、液相温度を下げる働きがあり、組成変化による失透性の変動を小さくする効果が大きい。K2Oの含有量は0〜5%が好ましく、0〜3%、0〜2.5%、特に0.1〜2%が好ましい。K2Oの含有量が少なすぎると、組成変化によって失透性が急激に変化するため好ましくない。一方、K2Oの含有量が多すぎるとガラスの耐水性が低下し易くなり、ひいては塗膜の耐水性が低下する。また、K2Oの含有量が多すぎると原料バッチが水分を吸収しやすくなり、原料粉末の凝集体(いわゆる「だま」)が形成されやすくなる。その結果、原料バッチの溶解性が悪化し、ガラス中に未溶解のジルコニアが残留しやすくなって好ましくない。
アルカリ土類金属酸化物は、ガラスの粘度を低下させる成分である。アルカリ土類金属酸化物の合量(MgO+CaO+SrO+BaO)は0〜10%が好ましく、0.1〜5%、0.3〜3%、特に0.4〜2%が好ましい。アルカリ土類金属酸化物の合量が少なすぎると上記効果を得難くなる。一方、アルカリ土類金属酸化物の合量が多すぎるとガラス中にZr、Si、Na、アルカリ土類金属酸化物等からなる結晶が析出し易くなり、ガラスの液相温度が高くなり生産性が低下する。
CaOはガラスの粘度を低下させる成分である。CaOの含有量は0〜10%が好ましく、0.1〜5%、0.3〜3%、特に0.4〜2%が好ましい。CaOの含有量が少なすぎると上記効果を得難くなる。一方、CaOの含有量が多すぎるとガラス中にZr、Si、Na、Ca等からなる結晶が析出し易くなり、ガラスの液相温度が高くなり生産性が低下する。
Al23は、ガラスの化学的耐久性や機械的強度を高める成分である。一方、Al23は、ガラスの粘度を高める成分でもある。Al23の含有量は0〜5%が好ましく、0〜3%、特に0〜1%が好ましい。Al23の含有量が少なすぎると、ガラスの化学耐久性が低下し易くなり、ひいては塗膜の化学耐久性が低下する。一方、Al23の含有量が多すぎるとガラスの粘度が高くなってガラスの溶融に必要なエネルギーが増大する。
また本発明のガラスは、上記した成分(ZrO2及びTiO2、SiO2、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、Al23)以外の成分を含みうる。ただし上記した成分の含有量が合量で98%以上、特に99%以上となるように組成を調節することが望ましい。その理由は、これらの成分の合量が98%未満の場合、意図しない異種成分の混入によって耐アルカリ性、耐酸性、耐水性が低下したり、生産性が低下したりする等の不都合が生じ易いからである。
上記した成分以外の成分として、例えばH2、CO2、CO、H2O、He、Ne、Ar、N2等の微量成分をそれぞれ0.1%まで含有してもよい。また、ガラス中にPt、Rh、Au等の貴金属元素を500ppmまで添加してもよい。
さらに耐アルカリ性、耐酸性、耐水性、液相温度の改善のために、B23、ZnO、Fe23、P25、Cr23、Sb23、SO3、MnO、SnO2、CeO2、Cl2、La23、WO3、Nb25、Y23等を合量で2%まで含有してもよい。
本発明のガラスは、光路長3μm、波長555nmにおける透過率が75%以上であることが好ましく、78%以上、80%以上、特に85%以上であることが好ましい。更に、可視域(380〜780nm)における平均透過率も、75%以上、78%以上、80%以上、85%以上であれば、より好ましい。このようにすれば、ガラスの透過率が向上するため、塗膜の透過率を向上させることができる。その結果、透明性に優れた塗膜を得ることが可能になる。
なお、更に塗膜の透明性を向上させるためには、上記のようにガラスの透過率を向上させるだけではなく、ガラスと塗膜形成樹脂塗膜の屈折率を整合させることが好ましい。屈折率差は、0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下、0.2%以下、特に0.1%以下であることが好ましい、このようにすると、複合塗料の塗膜の透明性を向上させることができる。
本発明のガラスは、光路長3μm、波長275nmにおける透過率は70%以下であることが好ましく、65%以下、60%以下、50%以下、特に30%以下であることが好ましい。更に、紫外域(200〜380nm)における平均透過率も、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下であれば、より好ましい。このようにすれば、ガラスが紫外線を吸収するため、塗膜が紫外線によって劣化し難くなる。
本発明のガラスは、各種シランカップリング剤で被覆されていることが好ましい。シランカップリング剤としては、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、ウレイドシラン等、各種カップリング剤を用いることができる。このようにすると、ガラス表面のシラノール結合部分との相溶性が良いため、ガラスと塗膜形成樹脂、更には被覆物との密着性を向上できる。
本発明のガラスが鱗片状ガラスの形態である場合、鱗片状ガラスは、平均厚みが0.1〜20μm、平均粒径が20〜1000μmであることが好ましい。また、鱗片状ガラスは、平均粒径が50〜1000μmであることがより好ましい。更に、鱗片状ガラスは、最長の粒径/厚みの比率が10以上になることが好ましい。
塗膜にバリア性能を持たせる観点からは、鱗片状ガラスの平均厚みが0.1〜20μmであることが好ましく、1〜15μm、2〜14μm、特に2〜10μmであることが好ましい。また、例えばセメント硬化体塗布後の塗膜の乾燥厚みが200μm以下の場合には、鱗片状ガラスを効率よく塗膜内に並列に配列させる観点からも上記範囲が好ましい。なお、複合塗料は、必要に応じて2回以上重ねて塗布してもよい。
また、耐火塗膜など塗膜に耐火性、耐熱性が要求される場合は鱗片状ガラスの平均厚みは0.1〜20μmであることが好ましく、2〜18μm、特に3〜15μmであることが好ましい。このようにすると、塗膜の耐熱性を効果的に高めることができる。
また、塗膜内や塗布面に均一に鱗片状ガラスを分散させるためには、鱗片状ガラスの平均粒径が20〜1000μmであることが好ましく、30〜1000μm、40〜1000μm、50〜1000μm、100〜900μm、200〜850μm、特に300〜800μmであることが好ましい。上記の範囲外であると塗布し難くなり、鱗片状ガラスを均一に分散し難くなる。また、塗膜のバリア性能及び耐熱性が低下する。
本発明のガラスがミルドファイバーの形態である場合、ミルドファイバーは、アスペクト比(平均単繊維長/平均単繊維直径)が1〜100であることが好ましく、1.5〜50、2.0〜20、特に2.5〜10であることが好ましい。塗装又はコンクリート構造物への補修・補強などの目的でシート状の補強材を貼り付ける際の塗布工程は屋外等様々な自然条件の中で施工されるため、塗布後に乾燥・収縮する際に塗膜にひび割れが発生する場合があるが、本発明の複合塗料中に含まれるミルドファイバーは繊維状であるため、前記ひび割れを抑制する効果がある。しかし、アスペクト比が小さすぎると、応力を分散し難くなるため、その効果が得難い。一方、アスペクト比が大きすぎると、ミルドファイバーを塗料に分散させ難くなる上、塗膜の表面状態が悪化する。塗膜の表面状態が悪化すると、美観を損なうだけではなく、塗膜のひび割れや、セメント硬化体のひび割れを惹起する虞がある。
また、ミルドファイバーは、平均単繊維直径が、3〜30μm、8〜20μm、9〜17μm、特に10〜14μmであることが好ましい。平均単繊維直径が小さすぎると長繊維化が困難になり、生産性が悪化する。一方、平均単繊維直径が大きすぎると、塗膜を形成したときに、塗膜表面にミルドファイバーが突出しやすくなるため、表面状態が悪化する。塗膜の表面状態が悪化すると、美観を損なうだけではなく、塗膜のひび割れや、セメント硬化体のひび割れを惹起する虞がある。
また、ミルドファイバーは、平均単繊維長が、20〜400μm、30〜300μm、40〜250μm、50〜200μm、特に60〜150μmであることが好ましい。ミルドファイバーは、長繊維を粉砕加工して製造することから、平均単繊維長が短すぎると粉砕が困難になるばかりか、製造コストが上昇する。一方、平均単繊維長が長すぎると、ミルドファイバー同士の絡まりにより、塗料に分散させ難くなる上、塗膜の表面状態が悪化する。塗膜の表面状態が悪化すると、美観を損なうだけではなく、塗膜のひび割れや、セメント硬化体のひび割れを惹起する虞がある。
本発明の複合塗料は、ガラスを含む。ガラスの詳細は既述のとおりであり、ここでは説明を省略する。
本発明の複合塗料は、ガラスの含有量が0.1〜30%であることが好ましく、1〜20%、特に3〜10%であることが好ましい。ガラスの含有量が少なすぎると、紫外線吸収性能が発揮できず、また、塗膜のバリア性能が低下するため、塗膜やコンクリート硬化体への水或いは大気中の二酸化炭素の進入を阻害し難くなる。更に、機械的強度も低下する。一方、ガラスの含有量が多すぎると、複合塗料中のガラスの分散性が悪化し易くなり、均一な塗膜を得難い。また、塗布し難くなり、所望の塗膜特性を得られなくなる。なお、複合塗料は、必要に応じて2回以上重ねて塗布してもよい。
本発明の複合塗料は、少なくとも塗膜形成樹脂を含む。
塗膜形成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、シラン樹脂、アクリルシリコン樹脂、などが挙げられる。特にこれらの中でも、耐アルカリ性に優れるものが好ましい。
また、塗膜形成樹脂は、所望の特性や用途に合わせて、上述した樹脂やそれ以外から選択される1種又は2種以上のものを任意で選択可能である。例えば、主に美観を求められるような塗装用途としてはアクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂やウレタン樹脂、強度を求められるような剥落防止用途としてはエポキシ樹脂やアクリル樹脂が好適に用いられる。また、耐候性や耐薬品性を求められる用途には、例えば、フッ素樹脂を用いることができる。本発明の複合塗料は、耐アルカリ性に優れる上、紫外線による劣化が抑制されているため、いずれの用途でも、上塗り(保護塗装)なしで施工することが可能である。
また、本発明の複合塗料は、更に、シリコーン系化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、フッ素系化合物のいずれかを含有することができる。特にシラン系化合物の場合、ガラス表面のシラノール結合部分との相溶性が良く、ガラスと塗膜形成樹脂、更には被覆物との密着性を向上できる。
本発明の複合塗料は、耐アルカリ性及び紫外線吸収性能が高いガラスを含有するため、塗膜の紫外線劣化を抑制できる。特に、塗布乾燥後に透明性を有する塗膜の場合、すなわち可視光線領域で75%以上の透過率を有する塗膜では、その効果が顕著である。
また、本発明の複合塗料は、更に、紫外線吸収性化合物を0〜5%含んでもよく、0〜3%、特に0〜1%含むことが好ましい。
紫外線吸収性化合物としては、チタンや亜鉛などの無機ナノ粒子、また有機系の紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤、更に、顔料を導入させる場合があり、このうちの1種又は2種以上をそれぞれ上記の量まで含有させてもよい。しかし、紫外線吸収性化合物は、コストや塗膜特性、安定性、塗料中の他成分への影響を鑑みると、一定量以上含有させないことが好ましい。本発明の複合塗料は、紫外線吸収性能が高いガラスを含有しているため、紫外線吸収性化合物の含有量を低減できる。
また、本発明の複合塗料は、例えば、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等を含有させることで、塗膜に撥水機能を付与してもよい。
また、本発明の複合塗料は、必要に応じて、顔料等の着色成分を添加することで着色してもよい。
更に、本発明の複合塗料は、必要に応じて、鱗片状ガラスとミルドファイバーの両方を含んでいてもよい。
この場合、鱗片状ガラス及びミルドファイバーの両方が、本発明のガラスであってもよいし、いずれか一方が本発明とは異なるガラスであってもよい。例えば、本発明とは異なるガラスとしては、本発明のガラスとは組成の異なるAガラス、Eガラス、ECガラス等が挙げられる。このようにすることで、紫外線、水、ガスに対する塗膜のバリア性能をより向上させることができる。
また、複合塗料中における鱗片状ガラスとミルドファイバーの配合割合は、要求される特性に合わせて任意で調整可能である。例えば、複合塗料の分散性や、塗膜の均一性をより高めたい場合は、ミルドファイバーを高割合で配合させればよい。一方、紫外線、水、ガスに対する塗膜のバリア性能をより高めたい場合には、鱗片状ガラスを高割合で配合させればよい。
更に、本発明の複合塗料は、セメント硬化体へと直接塗布するだけではなく、中塗りや、上塗り(保護塗装)として用いることもできる。具体的には、セメント硬化体補修後の表面や、補強用繊維(剥落防止用ネット等)の保護塗料として用いても良い。本発明の複合塗料は、耐アルカリ性に優れる上、紫外線による劣化が抑制されているため、耐久性が向上する。
なお、上述したとおり、本発明のガラスは、紫外線吸収性能が高いことはもちろん、耐アルカリ性に優れ、バリア性能が高いため、複合塗料の他にも、様々な用途の複合材料に展開可能である。例えば、本発明のガラスは、有機溶剤と混合することで、撥水剤として用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、シラン系化合物、シリコーン系化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、フッ素系化合物等が挙げられる。特にシラン系化合物の場合、ガラス表面のシラノール結合部分との相溶性が良く、ガラスと被覆物との密着性を向上できる。そのため、セメント硬化体浸透性の撥水剤にも好適に使用できる。また、前述の有機溶剤を主剤とする撥水剤に、更にフッ素樹脂等の塗膜形成樹脂を混合させることで、浸透性を有しかつ塗膜も形成するような撥水剤とすることもよい。
本発明のガラスが鱗片状ガラスである場合、鱗片状であることから、塗面表面や、塗膜中の塗面方向と平行に配向し易いため、塗膜やコンクリート硬化体への水或いは大気中の二酸化炭素の進入を顕著に阻害できる。これにより、塗膜自体の膨れや、コンクリート硬化体の収縮変形、中性化を抑制できる。
また、本発明のガラスがミルドファイバーである場合、塗料中にガラスを均一に分散できる上、繊維状であるため、塗膜のひび割れを抑制することができ、塗膜やコンクリート硬化体への水或いは大気中の二酸化炭素の進入を顕著に阻害できる。これにより、塗膜自体の膨れや、コンクリート硬化体の収縮変形、中性化を抑制できる。更に、塗料中での分散性が良いため、複合塗料にガラスを多く含有でき、前述した効果を効果的に享受できる。
本発明のガラスは、紫外線吸収性能が高いため、撥水剤に用いた際にも撥水剤の紫外線劣化を抑制できるため、被膜性能が向上し、撥水効果が長持ちする。また、塗面表面や、塗膜中の塗面方向に並列に配向し易いため、バリア性能が高く、コンクリート硬化体の劣化が抑制できる。特に、塗布乾燥後に透明性を有する撥水剤の場合、すなわち可視光線領域で75%以上の透過率を有する撥水剤には顕著な効果が期待できる。
その他に、本発明のガラスは、コンクリートのひび割れ補修に用いるための補修材料或いはコンクリート片の剥落を防止する剥落防止材料として用いてもよい。なお、補修材料とは、例えば、コンクリートのひび割れにエポキシ樹脂やアクリル樹脂を注入し充填或いは塗布することで、補強し、防水性能を向上させ、ひび割れの進展を抑えるものである。また、剥落防止材料は、既設・新設問わず、構造的に剥落防止が必要な箇所にエポキシ樹脂やアクリル樹脂を塗布し、コンクリート片の剥落防止を行うものである。
本発明のガラスを用いると、補修或いは剥落防止材料のバリア性能が向上し、劣化が抑制され耐久性が向上する。その結果、補修或いは剥落防止材料そのものやコンクリート躯体への水或いは大気中の二酸化炭素の進入を阻害する効果を長期にわたって高めることができる。なお、前記材料は、透明性を有するものだけでなく、美観や、コンクリートと色調を合わせる目的のために、必要に応じて顔料等の着色成分を添加してもよい。更に、必要に応じて補強用繊維(剥落防止用ネット等)と複合して使用してもよい。
表1は本発明の実施例(試料No.1、2)及び比較例(試料No.3、4)を示している。なお、実施例No.1、2及び比較例No.3は鱗片状ガラスを含む例であり、比較例No.4は鱗片状ガラスを含まない例である。実施例No.1、2は、本発明のガラス組成を満たす鱗片状ガラスを含んでいる。
表の各試料は、次のようにして作製した。
まず、表中のガラス組成になるように、天然原料、化成原料等の各種ガラス原料を秤量、混合して、ガラスバッチを作製した。次に、このガラスバッチを白金ロジウム合金製坩堝に投入した後、間接加熱電気炉内で1550℃、5時間加熱して、溶融ガラスを得た。なお、均質な溶融ガラスを得るために、加熱時に、耐熱性撹拌棒を用いて、溶融ガラスを複数回攪拌した。その後、耐熱鋼製チューブに溶融ガラスを巻き付け、反対側から空気を流し込みガラスを膨らませた後、冷却してから破砕して、平均厚み3μm、平均粒径600μmの鱗片状ガラスを得た。
厚み3μmの鱗片状ガラスについて、下記の条件で透過率測定を行った。その結果を図1に示す。
機器:日本分光製 分光光度計 V−670
サンプリングピッチ:1nm
走査速度:200nm/min
図1から分かるように、実施例No.1、2のガラスは、比較例No.3のガラスに比べて紫外域(200〜380nm)の波長が吸収されやすいにも関わらず、可視域(特に555nm)における透過率は同等である。そのため、本発明のガラスを用いた複合塗料は、紫外線による塗膜の劣化を抑制できる上、塗膜にしたときの可視域における透明性を確保し易い。
また、ガラスの耐アルカリ性は次のようにして測定した。まず、上記したような方法で得た溶融ガラスを流し出し板状のガラス試料を作製した。その板状ガラスを粉砕し、直径300〜500μmの粒度のガラスを比重×2重量分だけ精秤し、続いて10質量%NaOH溶液100ml中に浸漬して、80℃、90時間の条件で振とうした。その後、ガラス試料の重量減少率を測定した。この値が小さいほど耐アルカリ性に優れていることになる。
続いて、アクリルポリオール系ウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートを4:1の割合に調合し、混練した2液性樹脂の中に、試料No.1〜3の鱗片状ガラスを15質量%添加した。その後、酢酸エチル、酢酸ブチルなどからなるシンナーを添加し、複合塗料を塗布可能な粘度に調整することで複合塗料を得た。なお、比較例No.4は、鱗片状ガラスを添加せずに作製した塗料である。
次に、得られた複合塗料又は塗料を、砂セメント比が1かつ水セメント比が0.42のモルタルと、13mmの長さのガラス繊維を混練して得た、板状の繊維補強セメント硬化体上に乾燥後の塗膜の厚みが100μmになるように塗布した。
それぞれの塗膜に関し、塗膜付セメント硬化体の下地の透過具合について、目視にて評価を行い、目視にて下地が全く透過していないものを×、少し透過しているものを△、透過しているものを○、十分透過しているものを◎として評価を行った。
その後、塗膜付セメント硬化体にJIS K5600−7−7キセノンランプ法(放射照度180w/m2)に準じた紫外線を1000時間照射し、目視にて着色や剥がれ等の変化に関し、変化が顕著であったものを×、あったものを△、ほとんどなかったものを○、全くなかったものを◎として評価を行った。
本発明の鱗片状ガラスは、可視域における透過率が高く、紫外線吸収性能が高い。そのため、実施例No.1、2で示すように、本発明の複合塗料は、塗膜にしたときの可視域における透明性が良好であり、更に紫外線による塗膜の劣化が抑制されていた。
表2は本発明の実施例(試料No.5、6)及び比較例(試料No.7〜9)を示している。なお、実施例No.5、6及び比較例No.7、8はミルドファイバーを含む例であり、比較例No.9はミルドファイバーを含まない例である。実施例No.5、6は、本発明のガラス組成を満たすミルドファイバーを含んでいる。
透過率及び耐アルカリ性の測定に供するため、実施例1で説明した方法で表の各試料を作製した。なお、透過率及び耐アルカリ性は、ガラス組成に依存するところが大きい。試料No.5は実施例1の試料No.1と同じガラス組成であり、試料No.6は実施例1の試料No.2と同じガラス組成であり、試料No.7及びNo.8は実施例1の試料No.3と同じガラス組成である。そのため、試料No.5〜8の透過率測定及び耐アルカリ性の測定の各結果は、実施例1の対応する試料の測定結果と同じになる。したがって、試料No.5〜8の透過率測定及び耐アルカリ性の測定の各結果は、実施例1の対応する試料の測定結果を援用し、詳しい説明を割愛する。
次に、実施例1で説明した方法で得た溶融ガラスを、数百のノズルを有する貴金属製ブッシングに供給し、繊維状に引き出して所定の平均単繊維直径を有するガラス繊維を得た。得られたガラス繊維をまず3mmにカットし、その後、ヘンシェルミキサーとボールミル式粉砕機によって所定の平均単繊維長になるように粉砕し、ミルドファイバーを得た。
得られたミルドファイバーについて、JIS R 3420:2013のA法(輪郭法)で平均単繊維直径を測定し、JIS R 3420:2013のA法(輪郭法)に準ずる方法で平均単繊維長を測定した。なお、アスペクト比は、平均単繊維長を平均単繊維直径で割った値である。
続いて、アクリルポリオール系ウレタン樹脂とヘキサメチレンジイソシアネートを4:1の割合に調合し、混練した2液性樹脂の中に、試料No.5〜8のミルドファイバーを15質量%添加した。その後、酢酸エチル、酢酸ブチルなどからなるシンナーを添加し、複合塗料を塗布可能な粘度に調整することで複合塗料を得た。また、比較例No.9は、ミルドファイバーを添加せずに作製した塗料である。
このようにして作製した複合塗料又は塗料を、目盛付きの500mlのビーカーに移して30分間整置した後、蛍光灯光をビーカーの横から透過させた状態でミルドファイバーの沈降状態を目視にて確認した。分散性の評価は、殆どのミルドファイバーが200mlの目盛より下側に沈降していたものを×、400mlの目盛より下側に沈降していたものを△、殆ど沈降していなかったものを〇とした。
次に、得られた複合塗料を、砂セメント比が1かつ水セメント比が0.42のモルタルと、13mmの長さのガラス繊維を混練して得た、板状の繊維補強セメント硬化体上に乾燥後の塗膜の厚みが100μmになるように塗布した。
それぞれの塗膜に関し、塗膜付セメント硬化体の下地の透視具合について、目視にて評価を行い、下地が全く透視できないものを×、少し透視できるものを△、透視できるものを○、十分透視できるものを◎として塗膜の透明性の評価を行った。
その後、塗膜付セメント硬化体にJIS K5600−7−7キセノンランプ法(放射照度180w/m2)に準じた紫外線を1000時間照射し、目視にて着色や剥がれ等の
変化に関し、変化が顕著であったものを×、あったものを△、ほとんどなかったものを○、全くなかったものを◎として紫外線照射後の塗膜の状態の評価を行った。
本発明のミルドファイバーは、可視域における透過率が高く、紫外線吸収性能が高い。そのため、実施例No.5、6で示すように、本発明の複合塗料は、塗膜にしたときの可視域における透明性が良好であり、更に紫外線による塗膜の劣化が抑制されていた。
本発明の複合塗料およびガラスは、コンクリート構造物やセメントの塗装用に用いられ、特に、クリア塗装用として好適に用いられる。また、本発明のガラスは、有機溶剤と混合することで、撥水剤として用いることも可能である。更に、コンクリートのひび割れ補修に用いるための補修材料或いはコンクリート片の剥落を防止する剥落防止材料として用いてもよい。

Claims (18)

  1. 少なくとも塗膜形成樹脂とガラスとを含み、セメント硬化体の被覆に用いられる複合塗料であって、
    前記ガラスが、ガラス組成として、質量%で、ZrO2 12〜24%、TiO2 2〜20%を含有することを特徴とする複合塗料。
  2. 前記ガラスが、更に、ガラス組成として、質量%で、SiO2 50〜65%、Li2O+Na2O+K2O 10〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有することを特徴とする請求項1に記載の複合塗料。
  3. 前記ガラスの光路長3μm、波長555nmにおける透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合塗料。
  4. 前記ガラスの光路長3μm、波長275nmにおける透過率が70%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の複合塗料。
  5. 前記ガラスの表面がシランカップリング剤で被覆されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の複合塗料。
  6. 前記ガラスの含有量が0.1〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の複合塗料。
  7. 前記ガラスが鱗片状ガラスを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の複合塗料。
  8. 前記鱗片状ガラスの平均厚みが0.1〜20μmであり、且つ、前記鱗片状ガラスの平均粒径が20〜1000μmであることを特徴とする請求項7に記載の複合塗料。
  9. 前記ガラスがミルドファイバーを含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の複合塗料。
  10. 前記ミルドファイバーのアスペクト比(平均単繊維長/平均単繊維直径)が1〜100であることを特徴とする請求項9に記載の複合塗料。
  11. 前記ミルドファイバーの平均単繊維直径が3〜30μmであり、且つ、前記ミルドファイバーの平均単繊維長が20〜400μmであることを特徴とする請求項9又は10に記載の複合塗料。
  12. 前記塗膜形成樹脂が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂の中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の複合塗料。
  13. 更にシリコーン系化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、フッ素系化合物の中から選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の複合塗料。
  14. 更に紫外線吸収性化合物を0〜5質量%含むことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の複合塗料。
  15. ガラス組成として、質量%で、ZrO2 12〜24%、TiO2 2〜20%を含有し、且つセメント硬化体の被覆に用いることを特徴とするガラス。
  16. 更に、ガラス組成として、質量%で、SiO2 50〜65%、Li2O+Na2O+K2O 10〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有することを特徴とする請求項15に記載のガラス。
  17. 鱗状片ガラスを含むことを特徴とする請求項15又は16に記載のガラス。
  18. ミルドファイバーを含むことを特徴とする請求項15〜17の何れか1項に記載のガラス。
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