JP7299561B2 - 複合塗料 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスフィラーを含有する複合塗料に関する。
従来、コンクリート構造物やセメント製品表面に様々な塗料を被覆し、経年劣化を抑制する方法が知られている。しかし、コンクリート構造物やセメント製品は、長期間使用するため、経年劣化によるひび割れや、剥落を完全に防止することは極めて困難である。
そこで近年、上記ひび割れやその伸展を抑制するだけではなく、ひび割れやその伸展具合を早期に発見、監視することにより、適時補修を行い、安全性を保つ方法が採用されている。
特開2007-2514号公報
特許文献1では、樹脂ネットやガラスクロスをコンクリート補強層内に固着させ、更に、コンクリート補強層を構成する塗膜形成樹脂の全光線透過率と屈折率をガラスクロスと近似させることにより、コンクリート補強層の透明性を向上させ、被塗面に対する視認性を確保している。
しかし、特許文献1に記載の工法では、コンクリート補強層内にガラスクロス等を固着させることにより補強効果を付与しているものの、塗料としては、可視光硬化型ビニルエステル樹脂を使用するのみであり、塗膜そのものの機械的強度としては不十分であった。
本発明の課題は、コンクリート等の被塗面の表面に発生するひび割れの発生を早期に発見し得る透明性を有し、更に、塗膜の機械的特性に優れた複合塗料を提案することである。
すなわち、本発明の複合塗料は、少なくとも塗膜形成樹脂及びガラスフィラーを含み、ガラスフィラーと、塗膜形成樹脂の屈折率差|Δnd|が0.2以下、アッベ数差|Δνd|が8以下であることを特徴とする。
複合塗料にガラスフィラーを混合することで、塗膜の機械的強度を向上させることができる。また、複合塗料中のガラスフィラーと塗膜形成樹脂の光学定数の差を小さくすることで、塗料中における光の散乱が起こりにくくなり、塗膜の透明性が向上する。その結果、コンクリート等の被塗面の表面に発生するひび割れの発生を早期に発見し得る視認性を向上させることができる。
なお、本発明において、「屈折率nd」は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対し測定した値であり、「アッベ数νd」は上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.1nm)及びC線(656.3nm)の屈折率の値を用い、アッベ数(νd)=[(nd-1)/(nF-nC)]式から算出した値である。なお、本発明において、塗膜形成樹脂の屈折率及びアッベ数は、硬化後の値である。
本発明の複合塗料は、前記ガラスフィラーの屈折率ndが1.4以上、アッベ数νdが10以上であることが好ましい。
このようにすると、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂の光学定数が整合しやすくなる。その結果、塗膜の透明性が向上し、被塗面の視認性が良好な複合塗料を得やすくできる。
本発明の複合塗料は、前記ガラスフィラーの厚み1mmのときの300~800nmにおける最大透過率が、50%以上であることが好ましい。なお、透過率は、上記試料を分光光度計(島津製作所製UV-3100)により全光線透過率測定を行い、300~800nmにおける最大透過率を測定した値である。
このようにすると、ガラスフィラーの透明性が向上するため、塗膜の透明性も向上する。その結果、被塗面の視認性が良好な複合塗料を得やすくできる。
本発明の複合塗料は、前記ガラスフィラーが、ガラス組成として、質量%で、SiO 20~80%、B 0~50%、Nb 0~20%、WO 0~20%を含有することが好ましい。
このようにすると、ガラスフィラーの光学定数を調整しやすくなる。
本発明の複合塗料は、前記ガラスフィラーの平均粒子径D50が、1~200μmであることが好ましい。なお本発明において、平均粒子径D50は、一次粒子のメジアン径での50%体積累積径を示し、レーザー回折式粒度分布測定法により測定された値をいう。
このようにすると、複合塗料中の粘度を適正な範囲にでき、更に、塗膜表面の凹凸を低減できる。
本発明の複合塗料は、前記ガラスフィラーが、略球状であることが好ましい。
このようにすると、複合塗料の流動性を高めやすくできる。また、散乱の原因となる界面泡が発生しにくくなり、その結果、塗膜の透明性が向上しやすくなる。
本発明の複合塗料は、前記ガラスフィラーの密度が、2.2~3.0g/cmであることが好ましい。なお、ガラスフィラーの密度はアルキメデス法で測定した。
このようにすると、複合塗料中において、ガラスフィラーの沈降を抑制することができる。
本発明の複合塗料は、無機ナノフィラーを含むことが好ましい。
このようにすると、複合塗料の粘度を調整しやすくできる。
本発明の複合塗料は、前記無機ナノフィラーの平均粒子径D50が、1~500nmであることが好ましい。
本発明の複合塗料は、前記無機ナノフィラーが少なくともSiO、Al、MgO、ZrOの何れかを含むことが好ましい。
本発明の複合塗料は、(無機ナノフィラーの体積)/{(無機ナノフィラーの体積)+(塗膜形成樹脂の体積)}が、0.001以上であることが好ましい。
このようにすると、複合塗料の粘度を適切な範囲に調整しやすくなる。
本発明の複合塗料は、粘度が、100~1000000m・Paであることが好ましい。なお、粘度はブルックフィールド粘度計(DV-3)により測定した値である。
本発明の複合塗料は、セメント硬化体の被覆に用いることが好ましい。
本発明によれば、コンクリート等の被塗面の表面に発生するひび割れの発生を早期に発見し得る透明性を有し、更に、塗膜の機械的特性に優れた複合塗料を得ることが容易になる。
本発明の複合塗料は、塗膜形成樹脂及びガラスフィラーを含む。
以下、塗膜形成樹脂について説明する。
塗膜形成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が好ましい。例えば、以下に代表的なものを挙げるが、本発明の趣旨からも、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、フッ素樹脂、シラン樹脂、アクリルシリコン樹脂、などが挙げられる。
上記した塗膜形成樹脂の中でも、光硬化性樹脂であれば、紫外線ランプを照射する等して硬化できるため、施工時の硬化時間を大幅に短縮することができる。光硬化性樹脂としては、重合性のビニル系化合物、エポキシ系化合物等種々の樹脂を選択することができる。また単官能性化合物や多官能性化合物のモノマーやオリゴマーが用いられる。これらの単官能性化合物、多官能性化合物は、特に限定されるものではない。
重合性のビニル系化合物の単官能性化合物としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジンクロペンテニルアクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、プロピレングリコールアクリレート、ビニルピロリドン、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。また多官能性化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。これらの単官能性化合物や多官能性化合物の1種以上を単独又は混合物の形で使用することができる。
ビニル系化合物の重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、フルオレノン、ベズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、ミヒラーケトン等が代表的なものとして挙げることができ、これらの開始剤を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。必要に応じてアミン系化合物等の増感剤を併用することも可能である。熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパ-オキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が代表的なものとして挙げることができる。これらの重合開始剤又は熱重合開始剤の使用量は、ビニル系化合物に対してそれぞれ0.1~10重量%であることが好ましい。
エポキシ系化合物としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物を用いる場合には、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のエネルギー活性カチオン開始剤を用いることができる。
さらに液状光硬化性樹脂には、レベリング剤、界面活性剤、有機高分子化合物、有機可塑剤等を必要に応じて添加してもよい。
また、塗膜形成樹脂は、所望の特性や用途に合わせて、上述した樹脂やそれ以外から選択される1種又は2種以上を任意で選択可能である。例えば、主に美観を求められるような塗装用途としてはアクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂やウレタン樹脂、強度を求められるような剥落防止用途としてはエポキシ樹脂やアクリル樹脂が好適に用いられる。また、耐候性や耐薬品性、撥水機能を求められる用途には、例えば、シリコーン樹脂やフッ素樹脂を用いることができる。また、本発明の複合塗料は、塗膜の機械的強度に優れているため、いずれの用途でも、上塗り(保護塗装)なしでも施工することが可能である。
また、本発明の複合塗料は、更に、シリコーン系化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、フッ素系化合物のいずれかを含有することができる。特にシラン系化合物の場合、ガラス表面のシラノール結合部分との相溶性が良く、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂の密着性を向上できる。
また、本発明の複合塗料は、更に、紫外線吸収性化合物を0~5%含んでもよく、0~3%、特に0~1%含むことが好ましい。
紫外線吸収性化合物としては、チタンや亜鉛などの無機ナノフィラー、また有機系の紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤、更に、顔料を導入させる場合があり、このうちの1種又は2種以上をそれぞれ上記の量まで含有させてもよい。
次に、本発明の複合塗料に含まれるガラスフィラーについて、以下に説明する。
本発明に係るガラスフィラーは、ガラスフィラーと、塗膜形成樹脂の屈折率差|Δnd|が0.2以下、アッベ数差|Δνd|が8以下である。本発明において、ガラスフィラーの光学定数と塗膜形成樹脂の光学定数は、できるだけ整合していることが好ましい。そのため、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂との屈折率差|Δnd|の値は、好ましくは0.15以下であり、0.1以下、0.08以下、0.06以下、0.04以下、0.03以下、0.025以下、0.02以下、0.015以下、0.01以下、0.0075以下、特に0.005以下が好ましい。また、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂のアッベ数差|△νd|は、好ましくは7未満であり、6以下、5以下、4以下、3以下、2.5以下、2以下、1以下、0.8未満、0.7以下、0.5以下、0.3以下である。このようにすれば、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂の光学定数が整合しやすいため複合樹脂中における光の散乱が起こりにくくなり、塗膜の透明性を向上させやすくできる。その結果、被塗面の視認性が向上し、コンクリート等の表面に発生するひび割れの発生を早期に発見しやすくなる。
ガラスフィラーの屈折率ndは、1.4以上が好ましく、また、アッベ数νdは、10以上であることが好ましい。ガラスフィラーの光学定数は、組み合わせる樹脂にもよるが、例えば屈折率ndが、1.40~1.90、1.40~1.65、1.45~1.60、特に1.50~1.55であることが好ましく、アッべ数νdも、組み合わせる樹脂によるが、例えば10~70、20~65、40~65、45~60、特に50~55であることが好ましい。このようにすると、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂の光学定数が整合しやすくなる。その結果、被塗布面の視認性が良好な複合塗料を得やすくできる。
特に、ガラスフィラーの屈折率ndが1.5~1.55、且つアッべ数νdが50~55であれば、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ABS樹脂等多くの樹脂と光学定数が整合するため幅広い用途に使用可能である。
また、ガラスフィラーの厚み1mmのときの300~800nmにおける最大透過率は、好ましくは50%以上であり、60%以上、70%以上、特に80%以上であることが好ましい。また更に、300~800nmにおける平均透過率が40%以上、60%以上、特に80%以上であることが望ましい。このようにすると、ガラスフィラーの透明性が向上するため、塗膜の透明性も向上する。その結果、被塗面の視認性が良好な複合塗料を得やすくできる。
ガラスフィラーの平均粒子径D50は、好ましくは1~200μmmであり、1超~200μm、1.5~150μm、2~100μm、3~50μm、特に4~40μmであることが好ましい。また、ガラスフィラーの最大粒子径は、500μm以下、特に300μm以下であることが好ましく、最小粒子径は、0.1μm以上、特に0.5μm以上であることが好ましい。ガラスフィラーの粒度は、小さくなるほど複合塗料の粘度を上昇させる効果が高くなり、塗布時のダレを抑制しやすいが、複合塗料の流動性を低下させやすい。一方、ガラスフィラーの粒度が大きすぎると、塗膜を形成した際に凹凸が表面に現れやすくなって外観が劣る上、保護膜としての働きが低下する。また、複合塗料中でガラスフィラーが沈降しやすくなる。
本発明に係るガラスフィラーは、どのような形状であってもよいが、例えば、略球状であることが好ましい。その他、円柱形状や角柱形状等のロッド等、破砕状、板形状、鱗片状、繊維状を、単独又は混合して使用することが可能である。特にガラスビーズは球状であることから流動性に優れている。また、ファイアポリッシュ等の方法で作製すれば、表面粗さの小さい表面仕上げが可能であり、より流動性を高めることができる。また、ガラスビーズは、粉砕等で作製される粉末ガラスに比べ、同じ添加量の場合、複合塗料の不当な粘度上昇を抑制できるという特徴がある。更に、略球状であれば、散乱の原因となる界面泡が発生しにくくなり、塗膜の透明性が向上する。
また、ガラスフィラーが繊維状の場合、アスペクト比(平均単繊維長/平均単繊維直径)が1~100であることが好ましく、1.5~50、2~20、特に2~10であることが好ましい。塗装又はコンクリート構造物への補修・補強などの塗布工程は屋外等様々な自然条件の中で施工されるため、塗布後に乾燥・収縮する際に、塗膜にひび割れが発生する場合があるが、ガラスフィラーを繊維状にすると、前記ひび割れを抑制する効果がある。しかし、アスペクト比が小さすぎると、応力を分散し難くなるため、その効果が得にくい。一方、アスペクト比が大きすぎると、塗料に分散させ難くなる上、塗膜の表面状態が悪化する。塗膜の表面状態が悪化すると、美観を損なうだけではなく、塗膜のひび割れや、セメント硬化体のひび割れを惹起する虞がある。
また、ガラスフィラーが繊維状の場合、平均単繊維直径は、3~30μm、8~20μm、9~17μm、特に、10~14μmであることが好ましい。平均単繊維直径が小さすぎると長繊維化が困難になり、生産性が悪化する。一方、平均単繊維直径が大きすぎると、塗膜を形成したときに、塗膜表面ガラスフィラーが突出しやすくなるため、表面状態が悪化する。また、平均単繊維長は、30~300μm、40~250μm、50~200μm、特に60~150μmであることが好ましい。平均単繊維長が短すぎると粉砕が困難になり、製造コストが上昇する。一方、平均単繊維長が長すぎると、ガラスフィラーが絡まり塗料に分散させ難くなる上、塗膜の表面状態が悪化する。塗膜の表面状態が悪化すると、上記したように、美観を損なうだけではなく、塗膜のひび割れや、セメント硬化体のひび割れを惹起する虞がある。なお、平均単繊維直径はJIS R 3420:2013のA法(輪郭法)で測定した値であり、平均単繊維長はJIS R 3420:2013のA法(輪郭法)に準ずる方法で測定した値である。
また、ガラスフィラーの比表面積は、0.1~5m/g、0.1~3.5m/g、0.5~3.2m/g、特に0.75~3m/gであることが好ましい。ガラスフィラーの比表面積が小さすぎると、粒子径が大きくなるため、複合塗料中に添加可能なガラスフィラーの含有量が低下しやすくなる。一方、ガラスフィラーの比表面積が大きすぎると、複合塗料の流動性が低下したり、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂との界面に存在する泡が抜けにくくなったりする。また、複合塗料中のガラスフィラーの分散性が悪化する。
なお、複合塗料中のガラスフィラーの分散性を向上させるためには、ガラスフィラーの比表面積と粒子径や、表面粗さの関係を適切化することが好ましい。例えば、ガラスフィラーの比表面積が大きい場合は、粒子径を小さくしたり、粒子の表面粗さを小さくする、もしくは、球状にしたりすることで分散性を向上できる。
また、ガラスフィラーの比表面積は、塗膜の透明性にも影響する。例えば、ガラスフィラーの光学定数が塗膜形成樹脂と近い場合は、比表面積が小さいほど樹脂と界面との散乱が抑制でき、透明性を向上させやすい。一方、ガラスフィラーの光学定数が塗膜形成樹脂と乖離する場合は、比表面積が小さいほど塗膜形成樹脂とガラスフィラーの界面で散乱が起こり、塗膜が不透明になりやすい。
また、ガラスフィラーの密度は、2.2~3.0g/cm、2.3~2.9g/cm、2.4~2.8g/cm、特に2.5~2.7g/cmであることが好ましい。ガラスフィラーの密度が低すぎると、軟化点が不当に高くなる傾向がある。一方、ガラスフィラーの密度が大きすぎると、複合樹脂中でガラスフィラーが沈降分離しやすくなる。なお、複合塗料中のガラスフィラーの沈降分離を抑制するためには、ガラスフィラーの比表面積と密度の関係を適切化することが好ましい。例えば、ガラスフィラーの密度が大きい場合は比表面積を大きくする、密度が小さい場合は比表面積を小さくすることでガラスフィラーの分散性を向上できる。
ガラスフィラーの含有量は、0.1~30Vol%、1~25Vol%、2~20Vol%、3~15Vol%、特に5~10Vol%であることが好ましい。ガラスフィラーの含有量が少なすぎると塗膜の機械的強度が低下する。また、塗膜に耐火性、耐熱性を得難くなる。一方、ガラスフィラーの含有量が多すぎると、複合塗料中のガラスフィラーの分散性が悪化し易くなり、均一な塗膜を得難い。また、塗布し難くなり所望の塗膜特性を得られなくなる。
また、ガラスフィラーは、その表面がシランカップリング剤によって処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で処理すれば、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂の結合力を高めることができ、より機械的強度の優れた塗膜を得ることが可能になる。さらに、ガラスフィラーと塗膜形成樹脂のなじみがよくなり、界面の泡や空隙が減少して光散乱を抑制でき、塗膜の透過率が高くなる。シランカップリング剤としては、例えばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等が好ましい。なおシランカップリング剤は、用いる樹脂によって適宜選択すればよく、例えば光硬化性樹脂としてビニル系不飽和化合物を用いる場合にはアクリルシラン系シランカップリング剤が最も好ましく、またエポキシ系化合物を用いる場合にはエポキシシラン系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
また、ガラスフィラーは、上記した光学定数を満足するものであれば組成は制限されない。例えばSiO-B-R’O(R’はアルカリ金属元素)系ガラス、SiO-Al-RO(Rはアルカリ土類金属元素)系ガラス、SiO-Al-R’O-RO系ガラス、SiO-Al-B-R’O系ガラス、SiO-Al-B-R’O-RO系ガラス、SiO-R’O系ガラス、SiO-R’O-RO系ガラス等が使用できる。また、Eガラス、ECガラス、Aガラス等も好ましい。更に、SiO、Al、MgO、β-石英固溶体等の結晶を含む結晶化ガラスであってもよい。
なお、ガラスフィラーは、着色を抑制するために、ガラス組成中のFe、NiO、Cr及びCuOの含有量が合量で1質量%以下、0.75質量%以下、特に0.5質量%以下であることが好ましい。
またガラス組成中のLa、Gd3、及びBiの含有量は合量で20質量%以下、15質量%以下、特に10質量%以下とすることが好ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、ガラスフィラーの着色を抑制しやすくなることや屈折率の上昇が抑制できることから、無色透明な塗膜を得ることができる。
また環境上の理由から、ガラス組成中の鉛、アンチモン、ヒ素、塩素、硫黄の含有量は合量で1質量%以下、0.5質量%以下、特に0.1質量%以下とすることが好ましい。
特に、ガラスフィラーは、ガラス組成として、例えば、質量%で、SiO 20~80%、B 0~50%、Nb 0~20%、WO 0~20%を含有することが好ましい。このようにすると、ガラスフィラーの光学定数を調整しやすくなる。
塗膜の透明性を向上させたい場合、ガラスフィラーの光学定数は、組み合わせる塗膜形成樹脂の光学定数と整合させることが重要である。例えば、アクリル系樹脂の屈折率ndは1.4~1.6、アッべ数νdは45~65程度であり、これに整合する光学定数が得られるガラスフィラーとして、例えば質量%でSiO 50~80%、Al 0~30%、B0~50%、CaO 0~25%、NaO 0~30%、KO 0~30%、LiO 0~10%、TiO 0~15%、Nb 0~20%、WO 0~20%、F 0~10%含有するガラスを使用することが好ましい。上記組成範囲のガラスは、概ね屈折率ndが1.4~1.6、アッべ数νdが45~65であり、アクリル系樹脂と組み合わせて透明な塗膜を得ることが可能である。
組成範囲を上記のように限定した理由は、以下の通りである。なお以降の説明において特に断りのない限り「%」は質量%を意味する。
SiOはガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分であり、塗膜の化学耐久性も向上させる。SiOは、50~80%、55~75%、特に60~70%であることが望ましい。SiOが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。また、ガラスの粘度が高くなり成形しにくくなる。SiOが少なすぎると、ガラスの化学耐久性が低下したり、失透しやすくなったりする。また、塗膜の化学耐久性も低下しやすくなる。
Alはガラス化安定成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。Alは、0~30%、2.5~25%、特に5~20%であることが望ましい。Alが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。また、ガラスの粘度が高くなり成形しにくくなる。
はガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。Bは、0~50%、2.5~40%、特に5~30%であることが望ましい。Bが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。またガラスの粘度が高くなり成形しにくくなる。
CaOは、アルカリ土類であり、ガラス中で中間物質として機能してガラスを安定化させる成分である。また、ガラスの耐久性を大きく低下させることなく、溶融性を向上させ、成形時にガラスを軟化しやすくする成分である。CaOは、0~25%、0.5~20%、特に1~15%であることが望ましい。CaOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
なお、CaO以外にも、MgO、SrO、BaO及びZnOを含有させてもよい。MgO、SrO、BaO及びZnOは合量で0.1~50質量%、1~40%、特に2~30%であることが好ましい。これらの成分は、CaOと同様にガラスの耐久性を大きく低下させずにガラスの粘度を低下させやすい成分である。一方、これらの成分が多すぎると、ガラスの粘度が高くなり、ガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
NaOは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。NaOは、0~30%、0.1~25%、0.5~20%、特に1~15%であることが望ましい。NaOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
Oは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。KOは、0~30%、0.1~25%、0.5~20%、特に1~15%であることが望ましい。KOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
LiOは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。LiOは、0~10%、0.1~9%、0.5~7%、特に1~5%であることが望ましい。LiOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
TiOは、屈折率やアッベ数を調整できる成分であり、ガラスの粘度を低下させる成分である。また、化学耐久性を向上させる成分でもある。また、可視域の透過率をあまり低下させずに、紫外域の透過率を低下させて、紫外線吸収性能を向上させる成分でもあるため、紫外線による塗膜の劣化を抑制できる。TiOは0~15%、0.1~12%、0.5~10%、特に1~5%であることが望ましい。TiOが多すぎると屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。またガラスに着色が起こりやすい。
Nbは、屈折率、アッベ数を調整できる成分である。また、化学耐久性を向上させる成分でもある。Nbは、0~20%、0.1~15%、0.5~10%、特に1~5%であることが望ましい。Nbが多すぎると屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる。さらにガラスが失透しやすくなる。
WOは、屈折率、アッベ数を調整できる成分であり、またガラスの粘度を低下させる成分である。WOは、0~20%、0.1~15%、0.5~10%、特に1~5%であることが望ましい。WOが多すぎると、屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる。さらにガラスが着色しやすくなる傾向がある。
また、ガラス組成中のTiO、Nb、WOの含有量は合量で0~30%、0.1~25%、1~20%、特に3~15%とすることが望ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、屈折率やアッベ数の調整がしやすく、またガラスの失透の抑制が容易になる。また化学耐久性の高いガラスを得やすくなる。
また、ガラス組成中のNb、WOの含有量は、合量で0~30%、0.1~25%、1~20%、特に2~10%とすることが望ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、屈折率やアッベ数の調整がしやすくなるとともに、着色しにくくなる。またガラスの失透の抑制が容易になる。さらに化学耐久性の高いガラスを得やすくなる。
Fは、ガラス骨格を形成する成分である。また、透過率を高めることが可能な成分である。Fは、0~10%、0.1~7.5%、0.5~5%、特に1~3%であることが望ましい。Fが多すぎると、屈折率が小さくなり、またアッベ数が大きくなる傾向がある。また化学耐久性が悪化しやすい。さらにFは揮発性が高く、例えば、ガラスビーズ作製時に昇華した成分がガラス表面に付着し、表面性状を悪化させる虞がある。
またエポキシ系樹脂の屈折率ndは1.5~1.8、アッべ数νdは20~55であり、これに整合する光学定数が得られるガラスフィラーとして、例えば質量%でSiO 20~70%、Al 0~30%、 B 0~50%、CaO 0~25%、NaO 0~10%、KO 0~10%、LiO 0~10%、TiO 0~15%、Nb 0~20%、WO 0~20%、F 0~10%含有するガラスを使用することが好ましい。上記組成範囲のガラスは、概ね屈折率ndが1.5~1.8、アッべ数νdが20~55であり、エポキシ系樹脂と組み合わせて透明な塗膜を得ることが可能である。
組成範囲を上記のように限定した理由は、以下の通りである。
SiOはガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分であり、塗膜の化学耐久性も向上させる。SiOは、20~70%、30~65%、特に40~60%であることが望ましい。SiOが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。また、ガラスの粘度が高くなり成形しにくくなる。SiOが少なすぎると、ガラスの化学耐久性が低下したり、失透しやすくなったりする。また、塗膜の化学耐久性も低下しやすくなる。
Alはガラス化安定成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。Alは、0~30%、2.5~25%、特に5~20%であることが望ましい。Alが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。またガラスの粘度が高くなり成形しにくくなる
はガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。Bは、0~50%、2.5~40%、特に5~30%であることが望ましい。Bが多すぎると、溶融性が低下しやすくなり、またガラスの粘度が高くなり成形しにくくなる
CaOは、ガラス中で中間物質として機能してガラスを安定化させる成分である。また、ガラスの耐久性を大きく低下させることなく、溶融性を向上させ、成形時にガラスを軟化しやすくする成分である。CaOは、0~25%、0.5~20%、特に1~15%であることが望ましい。CaOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
なお、CaO以外にも、MgO、SrO、BaO及びZnOを含有させてもよい。MgO、SrO、BaO及びZnOは合量で0.1~50%、1.0~40%、特に2~30%であることが好ましい。これらの成分は、CaOと同様にガラスの耐久性を大きく低下させずにガラスの粘度を低下させやすい成分である。一方、これらの成分が多すぎると、ガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
NaOは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。NaOは、0~10%、0.1~7.5%、0.5~5%、特に1~2.5%であることが望ましい。NaOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
Oは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。KOは、0~10%、0.1~7.5%、0.5~5%、特に1~2.5%であることが望ましい。KOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
LiOは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。LiOは、0~10%、0.1~9%、0.5~7%、特に1~5%であることが望ましい。LiOが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
またガラス組成中のNaO、KO、LiOの含有量は合量で10%以下、7.5%以下、5%以下、特に2.5%以下とすることが好ましい。これらの成分の合量を上記のように限定すれば、化学耐久性の低下を抑制できることから、例えばアルカリ溶出によるエポキシ樹脂の劣化が抑制できる。それゆえ無色透明な塗膜が得やすくなり、また得られた塗膜の経時的な劣化を防止することができる。さらにガラスの熱膨張係数を小さくできることから、塗膜の熱収縮が抑制できる。
TiOは、屈折率、アッベ数を調整できる成分であり、またガラスの粘度を低下させる成分である。また、化学耐久性を向上させる成分でもある。また、可視域の透過率をあまり低下させずに、紫外域の透過率を低下させて、紫外線吸収性能を向上させる成分でもあるため、紫外線による塗膜の劣化を抑制できる。TiOは、0~15%、0.1~12%、0.5~10%、特に1~5%であることが望ましい。TiOが多すぎると、屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。またガラスが着色しやすくなる。
Nbは、屈折率、アッベ数を調整できる成分である。Nbは、0~20%、0.1~15%、0.5~10%、特に1~5%であることが望ましい。Nbが多すぎると、屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。さらにガラスが失透しやすくなる。
WOは、屈折率、アッベ数を調整できる成分であり、またガラスの粘度を低下させる成分である。WOは、0~20%、0.1~15%、0.5~10%、特に1~5%であることが望ましい。WOが多すぎると、屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。さらにガラスが着色しやすくなる傾向がある。
またガラス組成中のTiO、Nb、WOの含有量は合量で0~30%、0.1~25%、1~20%、特に3~15とすることが望ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、屈折率やアッベ数の調整がしやすく、またガラスの失透の抑制が容易になる。さらに化学耐久性の高いガラスを得やすくなる。
またガラス組成中のNb、WOの含有量は合量で0~30%、0.1~25%、1~20%、特に2~15%とすることが望ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、屈折率やアッベ数の調整がしやすくなるとともに、着色しにくくなる。またガラスの失透の抑制が容易になる。さらに化学耐久性の高いガラスを得やすくなる。
Fは、ガラス骨格を形成する成分である。また透過率を高めることができる成分である。Fは、0~10%、0.1~7.5%、0.5~5%、特に1~3%であることが望ましい。Fが多すぎると屈折率が小さくなり、またアッベ数が大きくなる傾向がある。また化学耐久性が悪化しやすい。さらにFは揮発性が高く、ガラスビーズ作製時に昇華した成分がガラス表面に付着し、表面性状を悪化させる虞がある。
また、上記したガラス以外にも、エポキシ系樹脂に適するガラスとして、Eガラスが挙げられる。Eガラスは、安価に生産でき入手しやすいため、コストの面で好ましい。
更に、本発明の複合塗料は、塗料の粘度調整のために、可視光波長より小さい粒子である無機ナノフィラーを添加してもよい。無機ナノフィラーとしては、SiO、Al、MgO、ZrO等が使用できる。なお、無機ナノフィラーは、可視光波長程度かそれよりも小さい粒子であるため、一般に、可視域で光散乱を発生せず、樹脂硬化体の透明性に影響しにくい。
なお、無機ナノフィラーが凝集し、凝集による二次粒子径が100nmより大きくなると、可視光透過率が低下したり、粘度低下が起こったりしやすい。しかし、本発明の複合塗料はガラスフィラーを含むため、無機ナノフィラーを凝集しにくくできる。更に、含有するガラスフィラーの粒子径を1μm以上にすると、凝集抑制の効果を特に得やすくできる。また、更に凝集を抑制する方法としては、混錬装置として3本ロールミルやビーズミル、ディゾルバーを用いることが好ましい。このようにすると、凝集を解砕しやすくできる。
無機ナノフィラーは、平均粒子径D50が、好ましくは1~500nmであり、2~200nm、3~100nm、3~70nm、5~50nm、特に5~30nmが好ましい。無機ナノフィラーの平均粒度D50が小さすぎると、材料コストが高くなる。また、複合塗料の流動性が低下したり、界面泡が抜けにくくなったりする虞がある。一方、無機ナノフィラーの平均粒子D50が大きすぎると、複合塗料の粘度を上昇させる効果が得られにくくなる。なお、無味ナノフィラーの平均粒子径D50は、凝集していない一次粒子の平均粒子径D50を測定したものである。
無機ナノフィラーの含有量は、好ましくは0~10Vol%であり、0.01~8Vol%、0.1~6Vol%、0.2~5Vol%未満である。無機ナノフィラーの含有量が多すぎると、材料コストが高くなる上、複合塗料の粘度が上昇しすぎる虞がある。また、複合塗料の流動性が低下したり、UV硬化性が低下しやすくなり、界面泡が抜けにくくなったりする虞がある。
また、無機ナノフィラーの含有量は、(無機ナノフィラーの体積)/{(無機ナノフィラーの体積)+(塗膜形成樹脂の体積)}が、0.001以上、好ましくは0.005~0.250であり、0.01~0.190、0.03~0.170、特に0.05~0.150が好ましい。このようにすると、複合塗料の粘度を適切な範囲に調整しやすくなる。
本発明に係るガラスフィラーは、あらかじめ無機ナノフィラーでガラスフィラーを被覆したり、それらを熱処理等で結着したりすることにより、無機ナノフィラー被覆ガラスフィラーとすることができる。このようにすると、無機ナノフィラーの凝集を抑制し、複合塗料中のガラスフィラー及び無機ナノフィラーの分散性を向上できる。なお、上述したガラスフィラーや無機ナノフィラーのそれぞれの粒子径は既述のため、ここでは割愛する。
本発明の複合塗料は、粘度が、好ましくは100~1000000m・Paであり、特に200~800000m・Pa、300~500000m・Pa、400~8000000m・Pa、特に500~100000m・Paであることが好ましい。粘度が低すぎると、塗布した際にダレが発生しやすくなり、塗膜の厚みに差が出たり、所望の外観が得にくくなったりする。一方、粘度が高すぎると、複合塗料が硬くなりすぎて塗りスジが付いたりムラが出たりして、滑らかに塗布しにくくなる。
本発明の複合塗料は、塗膜の厚み0.5mmのときの300~800nmにおける最大透過率が、好ましくは20%以上であり、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、特に80%以上であることが好ましい。また更に、300~800nmにおける平均透過率が20%以上、30%以上、特に40%以上であることが望ましい。塗膜の透明性が向上すると、被塗面の視認性も向上する。
本発明の複合塗料は、塗膜の厚み0.5mmのときの-40~85℃における熱膨張係数が、好ましくは900×10-7/℃以下であり、850×10-7/℃以下、800×10-7/℃以下、特に780×10-7/℃以下であることが好ましい。このようにすると、環境の変化による塗膜の伸縮による塗膜の劣化を抑制しやすい。また、その結果起こる、塗膜の剥がれや浮きによる被塗面の視認性の低下も抑制することができる。なお、膨張係数は、ディラトメーターを用いて、-40~85℃の範囲で測定した値である。
本発明の複合塗料は、塗膜の厚み0.5mmのときのヤング率が、好ましくは10GPa以上であり、12GPa以上、13GPa以上、特に15GPa以上である。塗膜のヤング率が高いと塗膜の機械的強度が高くなる。その結果、塗膜が破断しにくくなったり、塗膜自体が傷つきにくくなったりして、被塗面を保護する効果を高くできる。なお、本発において、ヤング率は共振法により測定した値である。
また、本発明の複合塗料は、コンクリートのひび割れ補修に用いるための補修材料或いはコンクリート片の剥落を防止する剥落防止材料として用いてもよい。なお、補修材料とは、例えば、コンクリートのひび割れに注入し充填或いは塗布することで補強し、防水性能を向上させ、ひび割れの伸展を抑えるものである。剥落防止材料は、既設・新設問わず、構造的に剥落防止が必要な箇所に施工し、コンクリート片の剥落防止を行うものである。剥落防止材料としては、現場で所望の箇所に直接塗布する塗料の形態や、塗料を適切な粘度に調整し予め工場でシート状に成形した後に、現場で所望の部分に貼付する方法で施工する形態等、どのような形態も採用可能である。
本発明の複合塗料は、補修或いは剥落防止材料として用いた場合に、塗膜そのものやコンクリート躯体への水或いは大気中の二酸化炭素の進入を阻害する効果を長期にわたって高めることができる。なお、前記材料は、透明性を有するものだけでなく、美観や、コンクリートと色調を合わせる目的のために、必要に応じて顔料等の着色成分を添加してもよい。更に、必要に応じて補強用繊維(剥落防止用ネット等)と複合して使用してもよい。
更に、本発明の複合塗料は、セメント硬化体へと直接塗布するだけではなく、中塗りや、上塗り(保護塗装)として用いることもできる。具体的には、セメント硬化体補修後の表面や、補強用繊維(剥落防止用ネット等)の保護塗料として用いても良い。なお、複合塗料は、必要に応じて2回以上重ねて塗布してもよい。
なお、本発明の複合塗料の別の形態として、ガラスフィラーの代わりに無機ナノフィラーのみを添加してもよい。このようにすると、塗料にチキソトロピー性を付与し、粘度を調節できる。無機ナノフィラーは可視光波長より小さい粒子であるため、一般に可視域で光散乱を発生せず、塗膜の透明性を損ないにくい。そのため、塗膜の光学特性を変えることなく、上記効果を効果的に得ることができる。
以下に、本発明について、実施例に基づいて説明する。
まず、表1に示すような材料を準備した。具体的には、塗膜形成樹脂として、アクリル系光硬化性樹脂(樹脂A)、エポキシ系光硬化性樹脂(樹脂B)を準備した。また、ガラスフィラーとして、ガラスフィラーA、B、Cを準備した。更に、無機ナノフィラーとして、無機ナノフィラーA、Bを準備した。なお、ガラスフィラーは以下のようにして調整した。
Figure 0007299561000001
ガラスフィラーとして、下記表2に示す組成となるように調合した原料を溶融した後、セラミック製ボールミルによる摩砕で粉砕し、平均粒子径12μmの粉末ガラスを作製した。そのうち、ガラスAについては、粉砕後の粉末ガラスを一部採取し、分級をすることで平均粒子径12μmの破砕状のガラスフィラーA0を得た。更に、ガラスA、B、Cそれぞれについて、前記粉砕後の粉末ガラスを、更に酸素バーナーのフレームに当て、球状に成形し、その後、分級をすることで表1に記載のガラスフィラーA、B、Cを得た。
Figure 0007299561000002
屈折率ndとアッベ数νdは、精密屈折率計(島津デバイス製KPR-2000)により測定した。
また、膨張係数はディラトメーターを用いて、-40~85℃の範囲で測定した。
粘度は、ブルックフィールド粘度計(DV-3)により測定した。
粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定法により測定した。
表3に本発明の実施例(No.1~11)及び比較例(No.12)を示している。
Figure 0007299561000003
表3の各試料は、次のようにして作製した。
表3に示す割合で混合し、蓋を閉めたポリケースに入れた混合塗料を、自転公転ミキサー(シンキー製ARV-310)で5分間混練し、ガラスフィラーやナノフィラーを均質に分散させた複合塗料を得た。この複合塗料を、0.5mmのスペーサーを挟んだガラス板2枚の間に流し込み、500mW、波長364nmの光を照射して、硬化させ、80℃にてキュアを行い、塗膜を得た。
透過率は、上記試料を分光光度計(島津製作所製UV-3100)により全光線透過率測定を行い、300~800nmにおける最大透過率を測定した。
ヤング率は、共振法により測定した。
表3に示すとおり、本発明の複合塗料は、透過率が25%以上と透明性が高いため、塗膜がコンクリート等の被塗面の表面に発生するひび割れを早期に発見し得る。また、塗膜のヤング率が17GPa以上であり、塗膜の機械的特性に優れている。そのため、本発明の複合塗料は、塗膜が破断しにくく被塗面を保護する効果が高いと考えられる。

Claims (12)

  1. 少なくとも塗膜形成樹脂及びガラスフィラーを含み、ガラスフィラーと、塗膜形成樹脂の屈折率差|Δnd|が0.2以下、アッベ数差|Δνd|が8以下であり、
    ガラスフィラーが、ガラス組成として、質量%で、SiO 20~80%、B 0~50%、Nb 3.5~20%、WO 4~20%を含有することを特徴とする複合塗料。
  2. ガラスフィラーの屈折率ndが1.4以上、アッベ数νdが10以上であることを特徴とする請求項1に記載の複合塗料。
  3. ガラスフィラーの厚み1mmのときの300~800nmにおける最大透過率が、50%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合塗料。
  4. ガラスフィラーの平均粒子径D50が、1~200μmであることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の複合塗料。
  5. ガラスフィラーが、略球状であることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の複合塗料。
  6. ガラスフィラーの密度が、2.2~3.0g/cmであることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の複合塗料。
  7. 無機ナノフィラーを含むことを特徴とする請求項1~の何れかに記載の複合塗料。
  8. 無機ナノフィラーの平均粒子径D50が、1~500nmであることを特徴とする請求項に記載の複合塗料。
  9. 無機ナノフィラーが少なくともSiO、Al、MgO、ZrOの何れかを含むことを特徴とする請求項又はに記載の複合塗料。
  10. (無機ナノフィラーの体積)/{(無機ナノフィラーの体積)+(塗膜形成樹脂の体積)}が、0.001以上であることを特徴とする請求項の何れかに記載の複合塗料。
  11. 粘度が、100~1000000m・Paであることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載の複合塗料。
  12. セメント硬化体の被覆に用いることを特徴とする請求項1~11の何れかに記載の複合塗料。
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