JPWO2019022236A1 - 弾性波装置、分波器および通信装置 - Google Patents

弾性波装置、分波器および通信装置 Download PDF

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Abstract

基板3と、前記基板3上に位置している多層膜5と、前記多層膜5上に位置している、LiTaO3の単結晶により構成されているLT層7と、前記LT層7上に位置しているIDT電極19と、を有している。前記多層膜5は、前記LT層7の横波音速よりも高い音速を有する膜の密度と厚みとを乗じた値の合計値から、前記LT層7の横波音速よりも遅い音速を有する膜の密度と厚みとを乗じた値の合計値を引いた差分値Dが負となり、前記LT層7の厚さが、前記IDT電極19の電極指のピッチをpとしたときに、2p未満である、弾性波装置である。

Description

本開示は、弾性波を利用する電子部品である弾性波装置、当該弾性波装置を含む分波器および通信装置に関する。
圧電体上のIDT(interdigital transducer)電極に電圧を印加して、圧電体を伝搬する弾性波を生じさせる弾性波装置が知られている。IDT電極は、1対の櫛歯電極を有している。1対の櫛歯電極は、それぞれ複数の電極指(櫛の歯に相当する)を有しており、互いに噛み合うように配置される。弾性波装置においては、電極指のピッチの2倍を波長とする弾性波の定在波が形成され、この定在波の周波数が共振周波数となる。従って、弾性波装置の共振点は、電極指のピッチによって規定される。
国際公開第2012/086639号には、弾性波装置として、基板と、基板上に位置している高音速膜と多層膜と、高音速膜上に位置している低音速膜と、低音速膜上に位置している圧電体層と、圧電体層上に位置しているIDT電極とを有するものを提案している。この弾性波装置によれば、多層膜を配置することで圧電体膜に弾性波を閉じ込めることができるので、高いQ値を実現することができる。
Q値が高い弾性波装置、分波器および通信装置が提供されることが望まれる。
本開示の一態様に係る弾性波装置は、基板と、前記基板上に位置している多層膜と、前記多層膜上に位置している、LiTaOの単結晶により構成されているLT層と、前記LT層上に位置しているIDT電極と、を有している。そして、前記多層膜は、前記LT層の横波音速よりも高い音速を有する膜の密度と厚みとを乗じた値の合計値から、前記LT層の横波音速よりも遅い音速を有する膜の密度と厚みとを乗じた値の合計値を引いた差分値が負となっている。さらに、前記LT層の厚さは、前記IDT電極の電極指のピッチをpとしたときに、2p未満である。
本開示の一態様に係る分波器は、アンテナ端子と、前記アンテナ端子へ出力される信号をフィルタリングする送信フィルタと、前記アンテナ端子から入力される信号をフィルタリングする受信フィルタと、を有しており、前記送信フィルタおよび前記受信フィルタの少なくとも一方が上記の弾性波装置を含んでいる。
本開示の一態様に係る通信装置は、アンテナと、前記アンテナに前記アンテナ端子が接続されている上記の分波器と、前記送信フィルタおよび前記受信フィルタに対して信号経路に関して前記アンテナ端子とは反対側に接続されているICと、を有している。
上記の構成によれば、Q値の高い弾性波素子を提供することができる。
実施形態に係る弾性波装置を示す平面図である。 図1の弾性波装置のII−II線における断面図である。 図3(a)、図3(b)、および図3(c)はそれぞれ基本構成のシミュレーション結果を示す図である。 基本構成のシミュレーション結果を示す図である。 基本構成の周波数特性を示す線図である。 比較例に係る弾性波装置の周波数特性を示す線図である。 図7(a)、図7(b)、図7(c)はそれぞれ、基本構成と比較例に係る弾性波装置の位相特性を示す線図である。 図8(a)、図8(b)および図8(c)はモデル1〜モデル3の固着基板の構成を示す模式的な断面図である。 モデル1のシミュレーション結果を示す図である。 モデル2のシミュレーション結果を示す図である。 モデル3のシミュレーション結果を示す図である。 基本構成、モデル1〜モデル3、参考例のロバスト性を検証した表である。 図1の弾性波装置の利用例としての分波器の構成を模式的に示す回路図である。 図1の弾性波装置の利用例としての通信装置の構成を模式的に示す回路図である。 変形例に係るモデルのロバスト性を検証した表である。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
本開示に係る弾性波装置は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、D1軸、D2軸およびD3軸からなる直交座標系を定義するとともに、D3軸の正側を上方として、上面または下面等の用語を用いることがある。また、平面視または平面透視という場合、特に断りがない限りは、D3軸方向に見ることをいう。なお、D1軸は、後述するLT層の上面に沿って伝搬する弾性波の伝搬方向に平行になるように定義され、D2軸は、LT層の上面に平行かつD1軸に直交するように定義され、D3軸は、LT層の上面に直交するように定義されている。
(弾性波装置の全体構成)
図1は、弾性波装置1の要部の構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線における要部断面図である。
弾性波装置1は、例えば、基板3(図2)と、基板3上に位置する多層膜5(図2)と、多層膜5上に位置するLT層7と、LT層7上に位置する導電層9とを有している。各層は、例えば、面内で概ね一定の厚さとされている。なお、基板3、多層膜5およびLT層7の組み合わせを固着基板2(図2)ということがある。
弾性波装置1では、導電層9に電圧が印加されることによって、LT層7を伝搬する弾性波が励振される。弾性波装置1は、例えば、この弾性波を利用する共振子および/またはフィルタを構成している。多層膜5は、例えば、弾性波を反射して弾性波のエネルギーをLT層7に閉じ込めることに寄与している。基板3は、例えば、多層膜5およびLT層7の強度を補強することに寄与している。
(固着基板の概略構成)
基板3は、直接的には、弾性波装置1の電気的特性に与える影響は少ない。従って、基板3の材料および寸法は適宜に設定されてよい。基板3の材料は、例えば、絶縁材料であり、絶縁材料は、例えば、樹脂またはセラミックである。なお、基板3は、LT層7等に比較して熱膨張係数が低い材料によって構成されていてもよい。この場合には、温度変化によって弾性波装置1の周波数特性が変化してしまうおそれを低減することができる。このような材料としては、例えば、シリコン等の半導体、サファイア等の単結晶および酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックを挙げることができる。なお、基板3は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。基板3の厚さは、例えば、LT層7よりも厚い。すなわち、後述のpを基準として2p以上の厚みを備える。
多層膜5は、LT層7と基板3との間に位置し、各層(各膜)の合計膜厚が後述のpを基準として2p以下の構造体である。そして、多層膜5は、少なくともLT層7を伝搬する横波音速よりも遅い音速の低音速膜を含む。以下、横波音速を単に音速ということもある。そして、多層膜5を構成する各層毎に膜の厚みに密度を乗じた値を算出し、その内、LT層7の横波音速に比べて早い横波音速を有する膜の値を足し合わせたものから、LT層7の横波音速に比べて遅い横波音速を有する膜の値を足し合わせたものの差をとったときに負の値となるように各層の厚み及び材料を設計する。
より具体的には、(膜厚(単位:p),密度(単位:kgcm−3))と表示する場合に、LT層7の横波音速よりも速い音速を有する高音速膜の膜厚と密度との組み合わせを、(dh1,ρh1),(dh2,ρh2)・・・・とし、低音速膜の膜厚と密度との組み合わせを、(dL1,ρL1),(dL2,ρL2)・・・・とし、高音速膜の膜厚と密度とを乗じた値の合計値をS、低音速膜の膜厚と密度とを乗じた値の合計値をS、その差分値をDでそれぞれ表すとすると以下の通りとなる。
=dh1×ρh1+dh2×ρh2・・・・
=dL1×ρL1+dL2×ρL2・・・・
D=S−S<0
このような関係を満たす多層膜5を構成することで、弾性波の漏れを低減し、高いQ値を実現することができる。
なお、多層膜5を構成する各層の厚み、材料、積層順序、積層数等については後述する。
LT層7は、タンタル酸リチウム(LiTaO、LT)の単結晶によって構成されている。LT層7のカット角は、特に限定されない。例えば、36°〜50°Y回転X伝搬基板としてもよいし、オイラー角で(0°±10°,0°以上55°以下,0°±10°)としてもよい。
また、LT層7の厚さは、比較的薄くされており、例えば、後述するピッチpを基準として、2p未満である。さらには、p未満としてもよく、より好ましくは0.6p以上0.8p以下としてもよい。LT層7のカット角および厚さをこのように設定することにより、薄いLT層7に弾性波を閉じ込めることができるのでQ値を高めることができる。さらに、弾性波として、SHモードやSVモード(スラブモード)に近い振動モードのものを利用することも可能になる。その結果、比較的広い電極指ピッチで高周波数で共振する弾性波装置1を提供できるものとなる。
また、LT層7の厚みを1p未満とするときには、通常のバンド帯(例えば2500MHz以下のバンド帯)においてはバルク波スプリアスの影響を無視することができるので、より周波数特性の優れた弾性波装置1を提供することができる。
(導電層の概略構成)
導電層9は、例えば、金属により形成されている。金属は、適宜な種類のものとされてよく、例えば、アルミニウム(Al)またはAlを主成分とする合金(Al合金)である。Al合金は、例えば、アルミニウム−銅(Cu)合金である。なお、導電層9は、複数の金属層から構成されていてもよい。また、AlまたはAl合金と、LT層7との間に、これらの接合性を強化するためのチタン(Ti)からなる比較的薄い層が設けられていてもよい。
導電層9は、図1の例では、共振子15を構成するように形成されている。共振子15は、いわゆる1ポート弾性波共振子として構成されており、概念的かつ模式的に示す端子17Aおよび17Bの一方から所定の周波数の電気信号が入力されると共振を生じ、その共振を生じた信号を端子17Aおよび17Bの他方から出力可能である。
導電層9(共振子15)は、例えば、IDT電極19と、IDT電極19の両側に位置する1対の反射器21とを含んでいる。
IDT電極19は、1対の櫛歯電極23を含んでいる。なお、視認性を良くするために、一方の櫛歯電極23にはハッチングを付している。各櫛歯電極23は、例えば、バスバー25と、バスバー25から互いに並列に延びる複数の電極指27と、複数の電極指27間においてバスバー25から突出するダミー電極29とを含んでいる。1対の櫛歯電極23は、複数の電極指27が互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
バスバー25は、例えば、概ね一定の幅で弾性波の伝搬方向(D1軸方向)に直線状に延びる長尺状に形成されている。そして、一対のバスバー25は、弾性波の伝搬方向に直交する方向(D2軸方向)において互いに対向している。なお、バスバー25は、幅が変化したり、弾性波の伝搬方向に対して傾斜したりしていてもよい。
各電極指27は、例えば、概ね一定の幅で弾性波の伝搬方向に直交する方向(D2軸方向)に直線状に延びる長尺状に形成されている。各櫛歯電極23において、複数の電極指27は、弾性波の伝搬方向に配列されている。また、一方の櫛歯電極23の複数の電極指27と他方の櫛歯電極23の複数の電極指27とは、基本的には交互に配列されている。
複数の電極指27のピッチp(例えば互いに隣り合う2本の電極指27の中心間距離)は、IDT電極19内において基本的に一定である。なお、IDT電極19の一部に、他の大部分よりもピッチpが狭くなる狭ピッチ部、または他の大部分よりもピッチpが広くなる広ピッチ部が設けられてもよい。このような狭ピッチ部、広ピッチ部は例えばIDT電極19全体の10%未満とする。
なお、以下において、ピッチpという場合、特に断りがない限りは、上記のような狭ピッチ部または広ピッチ部のような特異な部分を除いた部分(複数の電極指27の大部分)のピッチをいうものとする。また、特異な部分を除いた大部分の複数の電極指27においても、ピッチが変化しているような場合においては、大部分の複数の電極指27のピッチの平均値をピッチpの値として用いてよい。
電極指27の本数は、共振子15に要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。なお、図2は模式図であることから、電極指27の本数は少なく示されている。実際には、図示よりも多くの電極指27が配列されてよい。後述する反射器21のストリップ電極33についても同様である。
複数の電極指27の長さは、例えば、互いに同等である。なお、IDT電極19は、複数の電極指27の長さ(別の観点では交差幅)が伝搬方向の位置に応じて変化する、いわゆるアポダイズが施されていてもよい。電極指27の長さおよび幅は、要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。
ダミー電極29は、例えば、概ね一定の幅で弾性波の伝搬方向に直交する方向に突出している。その幅は、例えば電極指27の幅と同等である。また、複数のダミー電極29は、複数の電極指27と同等のピッチで配列されており、一方の櫛歯電極23のダミー電極29の先端は、他方の櫛歯電極23の電極指27の先端とギャップを介して対向している。なお、IDT電極19は、ダミー電極29を含まないものであってもよい。
1対の反射器21は、弾性波の伝搬方向において複数のIDT電極19の両側に位置している。各反射器21は、例えば、電気的に浮遊状態とされてもよいし、基準電位が付与されてもよい。各反射器21は、例えば、格子状に形成されている。すなわち、反射器21は、互いに対向する1対のバスバー31と、1対のバスバー31間において延びる複数のストリップ電極33とを含んでいる。複数のストリップ電極33のピッチ、および互いに隣接する電極指27とストリップ電極33とのピッチは、基本的には複数の電極指27のピッチと同等である。
なお、特に図示しないが、LT層7の上面は、導電層9の上から、SiOやSi等からなる保護膜によって覆われていてもよい。保護膜はこれらの材料からなる複数層の積層体としてもよい。保護膜は、単に導電層9の腐食の発生を低減するためのものであってもよいし、温度補償に寄与するものであってもよい。保護膜が設けられる場合等において、IDT電極19および反射器21の上面または下面には、弾性波の反射係数を向上させるために、絶縁体または金属からなる付加膜が設けられてもよい。
図1および図2に示した構成は、適宜にパッケージされてよい。パッケージは、例えば、不図示の基板上に隙間を介してLT層7の上面を対向させるように図示の構成を実装し、その上から樹脂封止するものであってもよいし、LT層7上にキャップ型のカバーを設けるウェハレベルパッケージ型のものであってもよい。
(弾性波の利用)
1対の櫛歯電極23に電圧が印加されると、複数の電極指27によってLT層7に電圧が印加され、圧電体であるLT層7が振動する。これにより、D1軸方向に伝搬する弾性波が励振される。弾性波は、複数の電極指27によって反射される。そして、複数の電極指27のピッチpを概ね半波長(λ/2)とする定在波が立つ。定在波によってLT層7に生じる電気信号は、複数の電極指27によって取り出される。このような原理により、弾性波装置1は、ピッチpを半波長とする弾性波の周波数を共振周波数とする共振子として機能する。なお、λは、通常、波長を示す記号であり、また、実際の弾性波の波長は2pからずれることもあるが、以下でλの記号を用いる場合、特に断りがない限り、λは2pを意味するものとする。
ここで、上述のように、LT層の厚さは、2p未満と比較的薄くされている。この場合には、厚み方向に伝搬する弾性波を低減することができる。その結果、ロスを低減した、弾性波装置1を提供することができる。
ここで、上述のように、LT層7の厚さは、2p未満と比較的薄くされていることから、例えばスラブモード等、一般的なSAW(Surface Acoustic Wave)の伝搬速度より早い伝搬速度を有するモードの弾性波を利用可能になっている。例えば、一般的なSAWの伝搬速度が3000〜4000m/sであるのに対して、スラブモードの弾性波の伝搬速度は10000m/s以上である。従って、従来と同等のピッチpで、従来よりも高周波領域での共振を実現することができる。例えば、1μm以上のピッチpで5GHz以上の共振周波数を実現することができる。
(各層の材料および厚さの設定)
本願発明者は、多層膜5の材料および厚さ、圧電体層(本実施形態ではLT層7)の厚さを種々変更して、弾性波装置1の周波数特性についてシミュレーションした。
その結果、LT層7の厚みが1λ(2p)よりも薄くなることで、LT層7の厚みの変化により周波数特性が変化しやすくなるが、LT層7の厚み変動に対してロバスト性の高い弾性波装置1を提供できる多層膜5の条件を見出した。すなわち、LT層7の厚みは変動しても、共振周波数(fr)、反共振周波数(fa)の変動が少なく、Δf(共振周波数と反共振周波数との差)の変動も少なくすることのできる条件を見出した。
具体的には、以下のとおりである。なお、以下のシミュレーションでは種々の膜厚はピッチpで規格化した値を示した。シミュレーションはピッチpを2.7μmとして行なったが、ピッチを変化させた場合も、ピッチにしたがって実際の膜厚を変化させれば、共振特性は周波数依存性が全体的にシフトするだけで同様の結果となる。
(多層膜の材料)
まず、圧電体層(LT層7)および多層膜5の材料を種々変更してシミュレーションを行った結果、圧電体層の材料としてLTの単結晶を用い、多層膜5を低音速膜としてSiOおよびTaを用い、高音速膜としてSiを用いることによって、Q値が高く、LT層7の厚さが変動しても周波数特性の安定した共振を実現できることを見出した。
図3(a)〜図3(c)は、そのようなシミュレーション結果の例を示している。図3(a)はLT層7の厚さに対する共振周波数の値を、図3(b)はLT層7の厚さに対するΔfの値を、図3(c)はLT層7の厚さに対するQ値をそれぞれ示している。これらの図において、横軸はLT層7の厚さを示しており、縦軸は図3(a),図3(b)は周波数を、図3(c)はQ値(単位:無次元)を、それぞれ示している。
図3のシミュレーションに共通の条件は、以下のとおりである。
圧電体層:
材料:LiTaO
厚さ:0.4p〜1.0p
カット角:42°
多層膜:
構成: LT層7側から順に、第1低音速膜11,第1高音速膜12、第2低音速膜13の積層構造(図2:以下、この構成を基本構成ということがある)
材料:第1低音速膜11・・Ta
第1高音速膜12・・Si
第2低音速膜13・・SiO
厚さ:第1低音速膜11・・0.019p
第1高音速膜12・・0.02p〜0.04p
第2低音速膜13・・0.08p
導電層:
材料:Al
厚さ:0.08λ
多層膜5において第1低音速膜11の厚さ、第1高音速膜12の厚さ、第2低音速膜13の厚さについて種々の値を仮定し、シミュレーションした。すなわち、実際には図3に図示した3ケースよりも多くのシミュレーションを行なった。なお、図3には、第1低音速膜11,第2低音速膜13の膜厚を一定とし、第1高音速膜12の膜厚を3段階変化させた場合のシミュレーション結果を示している。
その結果、多層膜に高い音速の膜の膜厚を厚くしていくと共振周波数frが高くなり、低い音速の膜を厚くしていくと共振周波数frが低くなっていくことを確認した。そして、多層膜を構成する各層の厚みの比率によるfrのバラツキ、LT層の厚みによるfrのバラツキ共に多層膜を構成する各層の厚みの組み合わせにより大きく変動していた。このことからも、多層膜を構成する各層の厚みのバランスをとることが必要であることを確認した。
そして、図3(a)に破線で示すように、共振周波数frは、LT層7の厚みにより変動するが、安定した周波数特性を有する多層膜構成があることを確認できた。具体的には、第1低音速膜11、第1高音速膜12、第1低音速膜13の厚さを順に、0.019p、0.02p、0.08pとした多層膜構成においてLT層の厚み変動に対して安定した周波数特性を実現していている。特にLT層の厚みが0.6p以上0.8p以下の場合には安定した周波数特性を実現することができる。
なお、図3(b)に示すように、この構成の多層膜において同じLT層の厚さ範囲でΔfも変化せずに安定している。さらに、図3(c)に示すように、この構成の多層膜において同じLT層の厚さ範囲で高いQ値を安定して得ることができる。特に、LT層7の厚みが0.8pを超える場合にはQ値が低下する傾向を確認している。この点からもLT層7の厚みは0.8p以下としてもよい。
また、図3(a)から明らかなように、上述の厚さの組み合わせたときに、同じLT層の厚さ範囲で多層膜を構成する各層の厚みを変化させても比較的近い共振周波数frを得ている。このことから、LT層の厚みのみではなく、多層膜を構成する各層の厚さにおいてもロバスト性を備えていることを確認した。
図4に、上述の多層膜の構成において、積層順は変えずに各層の厚みを異ならせたときの差分値Dとfrのシフト量との関係を示す。LT層、第1低音速膜11、第1高音速膜12、第2低音速膜13の横波音速と密度の関係は、(音速(m/s)、密度(kg/cm))とすると、順に(4214,7460)、(2856,7760)、(5961,3200)、(3740,2200)である。
図4から明らかなように、差分値Dとfrシフト量との間には相関があり、差分値Dが―441以上−184以下とするときにfrシフト量を±5MHz以下にすることができる。
このような差分値Dを実現できる第1低音速膜11、第1高音速膜12、第1低音速膜13の厚さは、順に、0.001p以上0.04p以下、0.01p以上0.045p以下、0.042p以上0.15p以下となっている。上述のシミュレーションにて特にQ値が高くロバスト性に優れた弾性波素子を得ることのできる組合せとされたケールである、第1低音速膜11、第1高音速膜12、第1低音速膜13の厚さを順に、0.019p、0.02p、0.08pの場合には、D値は以下の通りとなる。
D=S−S=(3200×0.02)−(7760×0.019+2200×0.08)=―259.44
なお、差分値Dを実現する多層膜の厚みの合計は、LT層と合わせて1p以下としてもよい。この場合には、多層膜も弾性波への影響が大きくなることから、多層膜構造の影響が強まるからである。また、このような厚みとすることで、スラブモードの弾性波を用いた場合であっても多層膜によるQ値およびロバスト性を高める効果を、より効果的に発現することができる。
ここで、多層膜において、各層の積層順、材料を異ならせて差分値Dとfrのシフト量との相関を測定したところ、いずれの構成においても差分値Dが正の方向に大きくなるほどシフト量がマイナス方向に大きくなっており、かつ、シフト量が0となる差分値Dは負の値となっていた。以上より、差分値Dを負とするように、各層の厚み及び材料を選定すればよい。
上述の通り、D値が負の値となるよう、第1低音速膜11、第1高音速膜12、第1低音速膜13の厚さを順に、0.019p、0.02p、0.08pとした場合の弾性波装置1の周波数特性を測定した結果を図5に示す。図5において、横軸は周波数を、縦軸はインピーダンスの絶対値を示しており、実線でLT層の厚みが0.6pの場合の特性を、破線で0.8pの場合の特性を示している。この図からも明らかなように、LT層の厚みが0.2p変動しても共振周波数、反共振周波数共に大きな周波数シフトはなく、ロバスト性に優れた弾性波装置を提供できることを確認した。
また、比較例として図6に、多層膜を介在させない場合について同様に周波数特性を測定した結果を示す。比較例の弾性波装置によればLT層の厚みの変化により周波数特性が変化し、安定した周波数特性が得られないことが確認できた。
さらに、図7にLT層の厚みを同一としたときの、図5に示すモデル(基本構成)の弾性波素子と比較例に係る弾性波素子の位相特性を示す。図7において横軸は周波数であり、縦軸は位相(単位:deg)である。位相が90°もしくは―90°に近い程損失が少ないことを示す。なお、図7(a)は広い周波数の範囲における特性を示し、図7(b)は共振周波数と反共振周波数の間の周波数帯を、図7(c)は反共振周波数よりも高周波数側における―90°付近の位相特性をそれぞれ示している。
図7からも明らかなように、共振周波数と反共振周波数の間の周波数帯においても、反共振周波数よりも高周波数側の周波数帯においても、基本構成の弾性波装置の損失が少ないことが確認された。
(検証:基板3)
なお、上述の例は、多層膜5を設けることで、LT層7に弾性波を閉じ込める構成であるため、基板3は比較的自由に選択することができる。また、基板3としてSiを用いた場合には、Siの音速は9620m/sでありLT層7に比べ早いので、多層膜5の低音速側の特性が強い傾向をLT層7から離れた位置で緩和することができる。
(他の多層膜構成)
本願発明者は、多層膜を構成する層数、各層の材料および厚み、積層順序について、種々の値を仮定して、弾性波装置1の周波数特性についてシミュレーション計算を行った。その結果、種々のパラメータの値について、良好なQ値とロバスト性を備える範囲を見出した。
以下では、まず、比較的良好な特性が得られたパラメータの値の組み合わせについて説明する。次に、この組み合わせを中心(基準)として、各種のパラメータを変化させたときの特性の変化について説明し、併せて、各種のパラメータの値の好適な範囲の例について説明する。なお、以下に説明する範囲は、あくまで好適な範囲の一例であり、この範囲を超えて各種のパラメータの値が設定されてもよいことはもちろんである。
(基準となるパラメータの値)
上記のように、シミュレーション計算を行った結果、上述の基本構成以外の構成で、比較的良好な周波数特性を示すモデル1,モデル2,モデル3が得られた。
図8(a)にモデル1、図8(b)にモデル2、図8(c)にモデル3の固着基板の模式的な断面図を示す。当該図面を参照に、各モデルの構成について説明する。
モデル1:
多層膜はLT層7側から順に、第1低音速膜41,第2低音速膜43が積層されてなる。
材料:第1低音速膜41・・Ta
第2低音速膜43・・SiO
厚さ:第1低音速膜41・・0.029p
第2低音速膜43・・0.028p
LT層の厚み:0.74p
モデル2:
多層膜はLT層7側から順に、第1低音速膜51,第2低音速膜53が積層されてなる。
材料:第1低音速膜51・・SiO
第2低音速膜53・・Ta
厚さ:第1低音速膜51・・0.068p
第2低音速膜53・・0.019
LT層の厚み:0.64p
モデル3:
多層膜はLT層7側から順に、第1高音速膜62,第1低音速膜61が積層されてなる。
材料:第1高音速膜62・・Si
第1低音速膜61・・Ta
厚さ:第1高音速膜62・・0.052p
第1低音速膜61・・0.1p
LT層の厚み:0.65p
モデル1〜3において、共振特性、Q値、ロバスト性共に良好であることを確認した。さらに、モデル1〜3について、図4と同様に、層構成は変えずに各層の厚みを変化させて差分値Dを異ならせたときのfrシフト量をシミュレーションし、その結果を、図9,図10,図11にそれぞれ示す。
図9〜11からも明らかなように、いずれのモデルにおいてもD値とfrのシフト量とは高い相関があり、いずれのモデルにおいても差分値Dを負の値としたときにシフト量を±5MHz以内にすることができることを確認した。
具体的には、モデル1の場合には、差分値Dを−366〜−216としたときにシフト量を±5MHz以内にすることができる。このような値を実現する第1低音速膜41と第2低音速膜43との厚みの範囲は、順にそれぞれ、0.021p〜0.037p、0.015p〜0.04pである。なお、モデル1はLT層の厚み変動に対してfr、Δf共に安定していた。また、Q値も安定して高い値を維持することを確認した。
モデル2の場合には、差分値Dを−417〜−197としたときにシフト量を±5MHz以内にすることができる。このような値を実現する第1低音速膜51と第2低音速膜53との厚みの範囲は、順にそれぞれ、0.054p〜0.082p、0.029p〜0.048pである。なお、モデル2はLT層の厚み変動に対して特にfrが安定していた。また、モデル2はモデル1に比べてΔfが大きくなっていた。
モデル3の場合には、差分値Dを−732〜−521としたときにシフト量を±5MHz以内にすることができる。このような値を実現する第1高音速膜62と第1低音速膜51との厚みの範囲は、順にそれぞれ、0.039p〜0.064p、0.089p〜0.11pである。なお、モデル3はLT層の厚み変動に対してfr、Δf共に安定していた。
なお、基本構成、モデル1〜3について、各モデルの各層の厚さの代表値からの公差をシミュレーションした結果を図12に示す。公差は、共振周波数frの変化が±1MHz未満、Δfの変化が±0.5MHz未満を実現可能な厚さ範囲とした。
図12からも明らかなように、全モデルともに、LT層の公差が5%以上を実現できていることを確認した。特にモデル3についてはLT層の公差を20%以上とすることができ、ロバスト性の高い弾性波素子を実現できることを確認した。
また、多層膜を構成する各層の厚みの公差も10%を超えており、モデル1,2については全ての層の厚さの公差が20%を超えており、ロバスト性が高い弾性波素子を実現できることを確認した。多層膜を構成する各層は厚さが非常に薄い為、各層の厚さに対するロバスト性が高いことで生産性を高めることができる。
なお、図12には、参考例として特許文献1に記載の構成についても同様の計算を行なった結果を付加している。具体的には、LT層側から順にSiO層、AlN層を0.0174p、0.5pの厚みで形成した構成についてシミュレーションを行なった結果をまとめた。AlNの音速および密度は、6426m/s,3260kg/cmである。したがて、D値は1630で正の値をとる。本構成においては、LT層の厚みの変化に対してfr、Δf変化を低減できる総厚みの組み合わせを見出すことはできなかった。また、LT層、SiO層の公差はいずれも5%未満、10%未満となっていた。
以上より、本開示の固着基板2を用いた弾性波装置1によれば、Q値が高く、かつロバスト性の高いものとすることができることが確認された。
なお、上述の例では、多層膜5と基板3とが直接接合している場合について説明したが、両者の間に中間層が存在していてもよい。中間層の厚さは多層膜の機能に影響のない範囲の厚さとする。その厚さは、例えば、0.01p未満としたり、5nm未満としたりすればよい。中間層は接続強化層として機能したり、放熱層として機能したり、バルク波のみを吸収する不要波低減層として機能したりしていてもよい。不要波低減層は、低抵抗層で構成する。
このような低抵抗層を多層膜5と基板3との間に配置した場合について、弾性波装置の周波数特性等につき上述の実施形態と同様のシミュレーションを行なった。
低抵抗層としては、厚さを2nmとし、抵抗率を0.018Ω・cmとした。このような厚さおよび抵抗率は、例えば、Si基板の多層膜側の面にドーパントを注入し、そのドーパント濃度で所望の抵抗率を実現してもよいし、Fe,Ni,Ta,Li等の各種金属量を調整した層を形成して実現してもよい。
このような低抵抗層を設けることでバルク波スプリアスの強度がなまり、その影響を低減することができる。一方で、弾性波の損失が発生する虞があるため、損失を低減するために比較的良好な特性が得られたパラメータの値の組み合わせについて説明する。次に、この組み合わせを中心(基準)として、各種のパラメータを変化させたときの特性の変化について説明し、併せて、各種のパラメータの値の好適な範囲の例について説明する。なお、以下に説明する範囲は、あくまで好適な範囲の一例であり、この範囲を超えて各種のパラメータの値が設定されてもよいことはもちろんである。
上記のように、シミュレーション計算を行った結果、上述の基本構成以外の構成で、比較的良好な周波数特性を示すモデル4〜モデル7が得られた。図15に、モデル4〜7についてシミュレーションを行ない、そのロバスト性をまとめた結果を示す。
モデル4〜7は以下の通りである。
モデル4:
LT層7側から順に、以下の層が配置されてなる。
AlN層:厚さ0.2p
Ta層:厚さ0.297p
LT層の厚さ:0.683p
モデル5:
LT層7側から順に、以下の層が配置されてなる。
SiO層:厚さ0.366p
Ta層:厚さ0.04p
LT層の厚さ:0.706p
モデル6:
LT層7側から順に、以下の層が配置されてなる。
Ta層:厚さ0.101p
Si層:厚さ0.316p
SiO層:厚さ0.234p
LT層の厚さ:0.650p
モデル7:
LT層7側から順に、以下の層が配置されてなる。
Ta層:厚さ0.099p
Si層:厚さ0.6p
AlN層:厚さ0.775p
LT層の厚さ:0.650p
シミュレーションを行なった結果、モデル4〜7はいずれも、LT層のロバスト性を5%以上とするか、多層膜の各層の厚さのロバスト性を10%以上にするかのいずれかを実現している。LT層7は薄層化および膜厚制御が難しいため、LT層のロバスト性を高めることで生産性を高くすることができる。一方で多層膜5を構成する各層は、LT層7よりもさらに薄い厚みであり公差を大きくすることが望まれる。
なお、モデル5は、LT層の厚さのロバスト性は4%である。すなわち、参考例と同等のロバスト性を参考例よりも薄い多層膜で実現することができる。
ここで、モデル4〜6は、差分値Dが負の値となっているが、モデル7は差分値Dは正の値となっている。これは、モデル7の多層膜の厚さが他のモデルに比べて大きくなており、メカニズムが変わっているためと推察される。
すなわち、多層膜の全厚みが1p未満の場合には、差分値Dが負の値とすることで、ロバスト性が高く、Q値の高い弾性波装置を提供できるものと推察される。
なお、上述の例では、多層膜5と基板3との間に中間層(低抵抗層)を設けた場合について説明したが、同様に、LT層7と多層膜5との間に中間層が位置していてもよい。
(弾性波装置の製造方法)
弾性波装置1は、公知の種々の工程を組み合わせて製造されてよい。例えば、基板3となるウェハ上に、CVD(chemical vapor deposition)等の薄膜形成法によって、低音速膜や高音速膜を順次形成していく。なお、基板3がSiからなり、多層膜5のうち最も基板3の側に位置する層がSiO層の場合には個の層を熱酸化にとり形成してもよい。一方で、一般的なLT基板のウェハと同様の作製工程によってLT層7となるウェハを準備しておく。そして、LT層7となるウェハを、基板3および多層膜5となるウェハに対して貼り合わせる。貼り合わせでは、多層膜5の最上層に対してLT層7を直接に当接させる。その当接の前または後に熱処理等がなされてもよい。その後、LT層7となるウェハの上面に対して導電層9となる金属層の形成およびパターニングが行われ、ウェハがダイシングされる。これにより、弾性波装置1が作製される。パッケージの態様等に応じて適宜な工程が追加されてよいことはもちろんである。
(弾性波装置の利用例:分波器)
図13は、弾性波装置1の利用例としての分波器101の構成を模式的に示す回路図である。この図の紙面左上に示された符号から理解されるように、この図では、櫛歯電極23が二叉のフォーク形状によって模式的に示され、反射器21は両端が屈曲した1本の線で表わされている。
分波器101は、例えば、送信端子105からの送信信号をフィルタリングしてアンテナ端子103へ出力する送信フィルタ109と、アンテナ端子103からの受信信号をフィルタリングして1対の受信端子107に出力する受信フィルタ111とを有している。
送信フィルタ109は、例えば、複数の共振子15がラダー型に接続されて構成された、ラダー型フィルタによって構成されている。すなわち、送信フィルタ109は、送信端子105とアンテナ端子103との間に直列に接続された複数(1つでも可)の共振子15と、その直列のライン(直列腕)と基準電位とを接続する複数(1つでも可)の共振子15(並列腕)とを有している。なお、送信フィルタ109を構成する複数の共振子15は、例えば、同一の固着基板2(3、5および7)に設けられている。
受信フィルタ111は、例えば、共振子15と、多重モード型フィルタ(ダブルモード型フィルタを含むものとする。)113とを含んで構成されている。多重モード型フィルタ113は、弾性波の伝搬方向に配列された複数(図示の例では3つ)のIDT電極19と、その両側に配置された1対の反射器21とを有している。なお、受信フィルタ111を構成する共振子15および多重モード型フィルタ113は、例えば、同一の固着基板2に設けられている。
なお、送信フィルタ109および受信フィルタ111は、同一の固着基板2に設けられていてもよいし、互いに異なる固着基板2に設けられていてもよい。図13は、あくまで分波器101の構成の一例であり、例えば、受信フィルタ111が送信フィルタ109と同様にラダー型フィルタによって構成されるなどしてもよい。
なお、分波器101として、送信フィルタ109と受信フィルタ111とを備える場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ダイプレクサでもよいし、3以上のフィルタを含んだマルチプレクサであってもよい。
(弾性波装置の利用例:通信装置)
図14は、弾性波装置1(分波器101)の利用例としての通信装置151の要部を示すブロック図である。通信装置151は、電波を利用した無線通信を行うものであり、分波器101を含んでいる。通信装置151は、アンテナ159とこれに電気的に接続された分波器101と、信号経路でみたときに、送信フィルタ109および受信フィルタ111に対してアンテナ159と反対側に接続されたIC(後述のRF−IC等)とを含む。
通信装置151において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)153によって変調および周波数の引き上げ(搬送波周波数の高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ155によって送信用の通過帯以外の不要成分が除去され、増幅器157によって増幅されて分波器101(送信端子105)に入力される。そして、分波器101(送信フィルタ109)は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯以外の不要成分を除去し、その除去後の送信信号TSをアンテナ端子103からアンテナ159に出力する。アンテナ159は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号(電波)に変換して送信する。
また、通信装置151において、アンテナ159によって受信された無線信号(電波)は、アンテナ159によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器101(アンテナ端子103)に入力される。分波器101(受信フィルタ111)は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯以外の不要成分を除去して受信端子107から増幅器161へ出力する。出力された受信信号RSは、増幅器161によって増幅され、バンドパスフィルタ163によって受信用の通過帯以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF−IC153によって周波数の引き下げおよび復調がなされて受信情報信号RISとされる。
なお、送信情報信号TISおよび受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号もしくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯は、適宜に設定されてよく、本実施形態では、比較的高周波の通過帯(例えば5GHz以上)も可能である。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調もしくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。回路方式は、図14では、ダイレクトコンバージョン方式を例示したが、それ以外の適宜なものとされてよく、例えば、ダブルスーパーヘテロダイン方式であってもよい。また、図14は、要部のみを模式的に示すものであり、適宜な位置にローパスフィルタやアイソレータ等が追加されてもよいし、また、増幅器等の位置が変更されてもよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。例えば、各層の厚さおよびLT層のオイラー角は、実施形態で例示した範囲外の値とされてもよい。
1…弾性波装置、3…基板、5…多層膜、7…LT層、19…IDT電極

Claims (18)

  1. 基板と、
    前記基板上に位置している多層膜と、
    前記多層膜上に位置している、LiTaOの単結晶により構成されているLT層と、
    前記LT層上に位置しているIDT電極と、
    を有しており、
    前記多層膜は、前記LT層の横波音速よりも高い音速を有する膜の密度と厚みとを乗じた値の合計値から、前記LT層の横波音速よりも遅い音速を有する膜の密度と厚みとを乗じた値の合計値を引いた差分値が負となり、
    前記LT層の厚さが、前記IDT電極の電極指のピッチをpとしたときに、2p未満である、弾性波装置。
  2. 前記LT層と前記多層膜との厚みの合計はp未満である、請求項1に記載の弾性波装置。
  3. 前記LT層の厚みは、0.6p以上0.8p未満である、請求項1または2に記載の弾性波装置。
  4. 前記基板は、前記LT層の横波音速よりも高い音速を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波装置。
  5. 前記多層膜は、前記LT層よりも音速の遅い第1低音速膜、前記LT層と第1低音速膜との間の音速を有する第2低音速膜が、前記LT層の側から順に位置している、請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波装置。
  6. 前記第1低音速膜は、Taからなり、前記第2低音速膜は、SiOからなり、
    前記差分値は―366以上―216以下である、請求項5に記載の弾性波装置。
  7. 前記LT層の厚さが0.74p±0.09pであり、前記第1低音速膜の厚さが0.029p±0.008pであり、前記第2低音速膜の厚さが0.028p±0.012pである、請求項6に記載の弾性波装置。
  8. 前記多層膜は、前記LT層よりも音速の遅い第1低音速膜、前記第1低音速膜よりも遅い音速を有する第2低音速膜が、前記LT層の側から順に位置している、請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波装置。
  9. 前記第1低音速膜は、SiOからなり、前記第2低音速膜は、Taからなり、
    前記差分値は―417以上―197以下である、請求項8に記載の弾性波装置。
  10. 前記LT層の厚さが0.67p±0.06pであり、前記第1低音速膜の厚さが0.068p±0.014pであり、前記第2低音速膜の厚さが0.039p±0.009pである、請求項9に記載の弾性波装置。
  11. 前記多層膜は、前記LT層よりも音速の早い第1高音速膜、前記LT層よりも音速の低い第1低音速膜が、前記LT層の側から順に位置している、請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波装置。
  12. 前記第1高音速膜は、Siからなり、前記第1低音速膜は、Taからなり、
    前記差分値は―732以上―521以下である、請求項11に記載の弾性波装置。
  13. 前記LT層の厚さが0.65p±0.15pであり、前記第1高音速膜の厚さが0.052p±0.013pであり、前記第1低音速膜の厚さが0.1p±0.011pである、請求項12に記載の弾性波装置。
  14. 前記多層膜は、前記LT層よりも音速の遅い第1低音速膜、前記LT層よりも音速の早い第1高音速膜、前記LT層と前記第1低音速膜との間の音速を有する第2低音速膜が、前記LT層の側から順に位置している、請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波装置。
  15. 前記第1低音速膜は、Taからなり、前記第1高音速膜は、Siからなり、前記第2低音速膜は、SiOからなり、
    前記差分値は―441以上―184以下である、請求項14に記載の弾性波装置。
  16. 前記LT層の厚さが0.65p±0.05pであり、前記第1低音速膜の厚さが0.023p±0.004pであり、前記第1高音速膜の厚さが0.02p±0.01pであり、前記第2低音速膜の厚さが0.084p±0.010pである、請求項15に記載の弾性波装置。
  17. アンテナ端子と、
    前記アンテナ端子へ出力される信号をフィルタリングする送信フィルタと、
    前記アンテナ端子から入力される信号をフィルタリングする受信フィルタと、
    を有しており、
    前記送信フィルタおよび前記受信フィルタの少なくとも一方が請求項1〜16のいずれか1項に記載の弾性波装置を含んでいる
    分波器。
  18. アンテナと、
    前記アンテナに前記アンテナ端子が接続されている請求項17に記載の分波器と、
    前記送信フィルタおよび前記受信フィルタに対して信号経路に関して前記アンテナ端子とは反対側に接続されているICと、
    を有している通信装置。
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