本発明は、直流電源から負荷に直流電圧を供給する直流電圧供給回路に関し、更に詳しくは、異常発熱に対するより安全な保護機能を備えた直流電圧供給回路に関する。
直流電源から負荷に直流電圧を供給する直流電圧供給回路において、過電流や、異常発熱が発生した場合には、負荷への電圧の供給を停止し、負荷および直流電圧供給回路のさらなる損傷を未然に防止することが重要である。
特許文献1(特開平5−260647号公報)に、そのような機能を備えた直流電圧供給回路が開示されている。
図21に、特許文献1に開示された直流電圧供給回路(電流遮断装置)1100を示す。
直流電圧供給回路1100は、直流電源101を備える。直流電源101は、電源ライン102と接地ライン103とを経由して、負荷(負荷側基板)104に直流電圧を供給する。
直流電圧供給回路1100の電源ライン102に、正特性サーミスタ105が挿入されている。
直流電圧供給回路1100は、過電流や、異常発熱が発生した場合に、正特性サーミスタ105の抵抗値が上昇し、直流電源101から負荷104への直流電圧の供給を停止する。
特許文献1に開示された直流電圧供給回路1100には、直流電源101から負荷104への電力の供給が停止された後に、正特性サーミスタ105が自然に冷却されると、正特性サーミスタ105の抵抗値が降下し、直流電源101から負荷104への直流電圧の供給が自動的に再開してしまうという問題があった。
すなわち、直流電源101から負荷104への直流電圧の供給が停止された後に、過電流や異常発熱の原因となった短絡等の原因が解消されていれば良いが、短絡等の原因が解消されていないまま直流電圧の供給が再開されると、再度、過電流や異常発熱が発生するという問題があった。そして、再度の過電流や異常発熱において、再度の直流電圧の供給の停止に失敗すると、負荷または直流電圧供給回路がさらに損傷してしまう虞があった。
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明の直流電圧供給回路は、直流電源と負荷との間に挿入される、電源ラインと接地ラインとを備え、更に、第1状態と第2状態を取ることが可能に構成される状態保持回路と、電源ラインおよび接地ラインの少なくとも何れか一方に挿入され、状態保持回路が第1状態である場合に接続状態となり、状態保持回路が第2状態である場合に遮断状態となる電源接続回路と、異常発熱を検知し状態保持回路を第2状態にする温度検知部と、状態保持回路を第1状態にするリセット回路とを備える。かかる構成を有する本発明の直流電圧供給回路は、電源接続回路が遮断状態となった後に、温度検知部が自然に冷却されても、状態保持回路が第2状態を保持している限り、リセット回路によって状態保持回路が第1状態にされるまでは、直流電圧供給が自動的に再開されることがない。
好ましくは、電源接続回路は、電源ラインに挿入された第1スイッチング素子を備える。温度検知部は、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に挿入された、第1抵抗とサーミスタとが直列に接続された分圧回路を備える。状態保持回路は、ゲートが分圧回路の第1抵抗とサーミスタとの接続点に接続され、カソードが第1スイッチング素子の制御電極に接続されたサイリスタを備える。電源接続回路は、第1スイッチング素子の制御電極と接地ラインとの間に接続される第2抵抗をさらに備える。リセット回路は、電源ラインとサイリスタのアノードとの間に接続され、負荷に接続される電源端子の電圧に応じて変化する信号を制御電極に受ける第2スイッチング素子を備える。このような構成とすることによってサーミスタが検知する温度の上昇に応じて第1スイッチング素子がオフ状態となって、電源ラインの直流電圧供給を停止し、第2スイッチング素子がオン状態、かつ、サイリスタSCRがオン状態となって、電源ラインの直流電圧供給の停止を継続するものとした。
好ましくは、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子の各々は、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタのいずれか一方である。
直流電圧供給回路を、負荷側の電源ラインと負荷とを切り離すことにより、第2スイッチング素子がオフ状態、かつ、第1スイッチング素子がオン状態となって、電源ラインの直流電圧供給の停止を解除するように構成することもできる。この場合には、電源ラインの直流電圧供給が停止した後に、直流電圧供給回路から負荷を切り離し、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷に交換したうえで、改めて直流電圧供給回路と負荷を接続することにより、直流電圧供給を安全に再開させることができる。
サイリスタが、PNP型トランジスタとNPN型トランジスタとを含み、PNP型トランジスタのコレクタと、NPN型トランジスタのベースとが接続され、PNP型トランジスタのベースと、NPN型トランジスタのコレクタとが接続され、PNP型トランジスタのエミッタが、サイリスタのアノードに該当し、PNP型トランジスタのコレクタとNPN型トランジスタのベースとの接続点が、サイリスタのゲートに該当し、NPN型トランジスタのエミッタが、サイリスタのコレクタに該当するようにサイリスタが構成されても良い。すなわち、サイリスタは、単体の電子部品である必要はなく、複数のトランジスタで構成しても良い。
サーミスタが正特性サーミスタであり、分圧回路の第1固定抵抗側の端部が、電源ラインに接続され、分圧回路の正特性サーミスタ側の端部が、接地ラインに接続されるように直流電圧供給回路を構成することができる。この場合には、異常発熱が発生し、正特性サーミスタの温度が上昇し、正特性サーミスタの抵抗値が上昇すると、分圧回路の第1抵抗と正特性サーミスタとの接続点の電圧が上昇し、第1スイッチング素子がオフ状態となる。
サーミスタが負特性サーミスタであり、分圧回路の負特性サーミスタ側の端部が、電源ラインに接続され、分圧回路の第1固定抵抗側の端部が、接地ラインに接続されるように直流電圧供給回路を構成することができる。この場合には、異常発熱が発生し、負特性サーミスタの温度が上昇し、負特性サーミスタの抵抗値が降下すると、分圧回路の負特性サーミスタと第1抵抗との接続点の電圧が上昇し、第1スイッチング素子がオフ状態となる。
分圧回路のサーミスタと並列に接続された第1コンデンサ、第2抵抗と並列に接続された第2コンデンサ、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に接続された第3コンデンサ、直流電源側の電源ラインとPNP型トランジスタのベースとの間に接続された第6抵抗、および、第1スイッチング素子の制御電極と、サイリスタのカソードとの間に接続された第7抵抗、のうちの少なくとも1つのコンデンサもしくは抵抗が接続されていることも好ましい。
第1コンデンサC1を付加することにより、ノイズによる誤作動によって直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることを抑制できる。第2コンデンサC2を付加することにより、ノイズによって第1電界効果トランジスタFET1が誤動作することを抑制できる。第3コンデンサC3を付加することにより、ノイズに対する誤動作を抑制できる。第6固定抵抗R6を付加することにより、異常発熱時に、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給を確実に停止することができる。第7固定抵抗R7を付加することにより、ノイズによって第1電界効果トランジスタFET1が誤動作することを抑制できる。
第1スイッチング素子と負荷との間の電源ライン、および、接地ラインにおける第2抵抗の接続点と負荷との間の接地ラインの各々が、途中で分断可能とされ、分断された電源ラインおよび接地ラインが、1対のコネクタで接続され、サーミスタが、コネクタ近傍の異常発熱を監視するようにしても良い。この場合には、コネクタの接続点に異物が挟まること等を原因とする異常発熱をサーミスタにより検知して、正電位ラインの直流電圧供給を停止させることができる。コネクタには、たとえば、USBコネクタを使用することができる。
好ましくは、温度検知部は、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第1抵抗およびサーミスタと、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第2抵抗および第3抵抗と、第1抵抗およびサーミスタの接続点の電圧と第2抵抗および第3抵抗の接続点の電圧とを比較する比較器を含むように構成しても良い。
好ましくは、温度検知部は、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第1電流源およびサーミスタと、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第2電流源および基準抵抗と、第1電流源およびサーミスタの接続点の電圧と第2電流源および基準抵抗の接続点の電圧とを比較する比較器を含むように構成しても良い。
好ましくは、状態保持回路は、温度検知部の出力をクロック端子に受け、D入力端子が直流電源側の電源ラインに接続され、リセット回路の出力に応じてリセットされるフリップフロップ回路を備えるように構成しても良い。
好ましくは、状態保持回路は、温度検知部の出力に応じて第2状態にセットされ、リセット回路の出力に応じて第1状態にリセットされるSRラッチ回路を備えるように構成しても良い。
本発明の直流電圧供給回路は、異常発熱を検知して、電源ラインの直流電圧供給を停止した後に、温度検知部が自然に冷却されて温度が降下しても、状態保持回路が第2状態を保持し、電源接続回路がオフ状態を継続するため、直流電圧供給が自動的に再開されることがない。そのため、再度の直流電圧の供給に失敗し、負荷または直流電圧供給回路がさらに損傷してしまうことがない。
第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の機能ブロック図である。
直流電圧供給回路100の回路構成例を示す図である。
サイリスタをトランジスタで構成し、第1および第2スイッチング素子を電界効果トランジスタで構成した回路例である。
図3の回路の変形例である。
第2実施形態にかかる直流電圧供給回路200の等価回路図である。
第3実施形態にかかる直流電圧供給回路300の等価回路図である。
図6の回路の第1変形例である。
図6の回路の第2変形例である。
第4実施形態にかかる直流電圧供給回路400の等価回路図である。
第5実施形態にかかる直流電圧供給回路410の構成を示す図である。
図10の回路の変形例である。
第6実施形態にかかる直流電圧供給回路430の構成を示す図である。
温度検知部の第1変形例である温度検知部26の構成を示す回路図である。
温度検知部の第2変形例である温度検知部36の構成を示す回路図である。
温度検知部の第3変形例である温度検知部46の構成を示す回路図である。
第7実施形態にかかる直流電圧供給回路440の構成を示す図である。
第7実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路450の構成を示す図である。
第8実施形態にかかる直流電圧供給回路500を、アダプタ51、ケーブル52、USBコネクタ53(オス型USBコネクタ53a)に組込み、電子機器54と接続した場合の説明図である。
第8実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路510の構成を示す図である。
第9実施形態にかかる直流電圧供給回路600の構成を示す図である。
特許文献1に開示された直流電圧供給回路1100の等価回路図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、実施形態の理解を助けるためのものであり、必ずしも厳密に描画されていない場合がある。たとえば、描画された構成要素ないし構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の機能ブロック図である。図1を参照して、直流電圧供給回路100は、電源ライン1および接地ライン2と、状態保持回路8と、電源接続回路9と、温度検知部6と、リセット回路7とを備える。電源ライン1に、電源スイッチ5が接続されている。ただし、この電源スイッチ5は必ずしも備えていなくても良い。
電源ライン1および接地ライン2は、直流電源3と負荷4との間に挿入される。状態保持回路8は、第1状態と第2状態を取ることが可能に構成される。
電源接続回路9は、電源ライン1および接地ライン2の少なくとも何れか一方に挿入される。図1には、電源ライン1に電源接続回路9が挿入される例が示されているが、電源ライン1に代えて接地ライン2に電源接続回路9を挿入してもよく、電源ライン1と接地ライン2の両方に電源接続回路9を挿入しても良い。電源接続回路9は、状態保持回路8が第1状態である場合に接続状態となり、状態保持回路8が第2状態である場合に遮断状態となる。
温度検知部6は、異常発熱を検知し状態保持回路8を第2状態にセットする。温度検知部6は、異常発熱を検知すると電源接続回路9を遮断するように状態保持回路8の状態を変更する。リセット回路7は、状態保持回路8を第1状態にリセットする。リセット回路7は、異常発熱の原因が除去されたときに電源接続回路9の接続を再開するように状態保持回路8の状態を変更する。
図2は、直流電圧供給回路100の回路構成例を示す図である。電源接続回路9は、第1スイッチング素子SW1と抵抗R2とを含む。電源ライン1に、第1スイッチング素子SW1が挿入されている。抵抗R2は、第1スイッチング素子SW1の制御電極と接地ライン2との間に接続される。
温度検知部6は、直流電源3側の電源ライン1aと接地ライン2との間に直列に接続された第1固定抵抗R1と、正特性サーミスタPTCとを含む。第1固定抵抗R1の一端は電源ライン1に接続され、他端は接続点Xに接続されている。正特性サーミスタPTCの一端は接地ライン2に接続され、他端は接続点Xに接続されている。正特性サーミスタPTCは、異常発熱を監視するためのものであり、直流電圧供給回路100において、異常発熱を監視したい所定の位置に配置されている。
直流電圧供給回路100は、サイリスタSCRを備える。サイリスタSCRのゲートGが、温度検知部6の第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとの接続点Xに接続されている。サイリスタSCRのカソードKが接続点Yに接続されている。
サイリスタSCRのアノードAはリセット回路7に接続される。リセット回路7は、第2スイッチング素子SW2と抵抗R4とを含む。直流電源3側の電源ライン1aとサイリスタSCRのアノードAとの間に、第2スイッチング素子SW2が接続されている。第2スイッチング素子SW2の制御電極は接続点Zに接続されている。抵抗R4は、接続点Zと直流電源3側の電源ライン1aとの間に接続される。また接続点Zは、負荷4側の電源ライン1bにも接続されている。
以下、図2に示す直流電圧供給回路の動作について説明する。
正常動作時には、第1スイッチング素子SW1はオン状態(導通状態)、第2スイッチング素子SW2はオフ状態(非導通状態)となるように接続点X,Yの電圧が設定されている。その結果、直流電源3から負荷4に直流電圧が供給される。
サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れるか否かは、第2スイッチング素子SW2の状態と接続点Xの電圧とによって決まる。すなわち、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間の電流は、第2スイッチング素子SW2がオン状態の時に流れ得るが、オフ状態の時には流れない。よって、正常動作状態においては、第2スイッチング素子SW2はオフ状態であるため、サイリスタのアノードAとカソードKとの間に電流は流れない。
これに対して、異常発熱時において負荷側にて短絡等に起因する異常発熱が発生すると、急激に正特性サーミスタPTCの温度が上昇し、正特性サーミスタPTCの抵抗値も上昇する。すると、正特性サーミスタPTCの抵抗値上昇に伴い接続点Xの電圧が上昇する。接続点Xの電圧が上昇すると、サイリスタSCRのゲートG、カソードKを介して、接続点Yの電位も上昇する。
その結果、第1スイッチング素子SW1がオフ状態(非導通状態)となる。これにより、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止する。
直流電圧供給停止継続時には、負荷4側の電源ライン1bが短絡の電位(もしくは短絡に近い電位)になることにより、第2スイッチング素子SW2がオン状態となる。その結果、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れる。
負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電位である限り、第2スイッチング素子SW2がオン状態を継続する。その結果、第1スイッチング素子SW1もオフ状態を継続し、直流電圧供給の停止も継続する。
直流電圧供給回路100から負荷4を切り離すと、直流電圧供給回路100の負荷4側の電源ライン1b端は開放状態となるので抵抗R4によって接続点Zの電圧は電源電圧となる。そのため、第2スイッチング素子SW1はオフ状態となり、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流は流れなくなる。
そして、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4と交換したうえで、改めて直流電圧供給回路100と負荷4を接続すると、直流電圧供給回路100は正常動作状態に復帰する。
図3は、サイリスタをトランジスタで構成し、第1および第2スイッチング素子を電界効果トランジスタで構成した回路例である。図3に示す構成では、電源接続回路9は、第1スイッチング素子SW1として第1電界効果トランジスタFET1を含む。またリセット回路7は、第2スイッチング素子SW2として第2電界効果トランジスタFET2を含む。また状態保持回路8はサイリスタSCRとしてPNP型トランジスタQ1およびNPN型トランジスタQ2を含む。
図4は、図3の回路の変形例である。図4に示す直流電圧供給回路100の構成では、リセット回路7に代えてリセット回路17が含まれ、さらに固定抵抗R3が含まれる。リセット回路17は、接続点Zと負荷4側の電源ライン1bとの間に接続された抵抗R5が追加される。抵抗R3は、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される。適切な抵抗値の抵抗R3,R5を追加することにより、接続点YおよびZの電圧を調整することができる。図2、図3、図4の基本的な構成と動作は共通するので、以降は図4を用いて詳細な説明を行なう。
図4には、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の等価回路図が示される。
直流電圧供給回路100は、電源ライン1と接地ライン2とを備える。電源ライン1および接地ライン2は、それぞれ、一端が直流電源3に接続され、他端が負荷4に接続されている。
電源ライン1に、電源スイッチ5が接続されている。ただし、この電源スイッチ5は必ずしも備えていなくても良い。
また、電源ライン1に、第1電界効果トランジスタFET1が挿入されている。より具体的には、直流電源3側の電源ライン1aに第1電界効果トランジスタFET1のソースSが接続され、負荷4側の電源ライン1bに第1電界効果トランジスタFET1のドレインDが接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aと接地ライン2との間に、温度検知部6が接続されている。温度検知部6は、第1固定抵抗R1と、正特性サーミスタPTCとが、接続点Xを介して、直列に接続されたものからなる。温度検知部6の第1固定抵抗R1側が、電源ライン1に接続されている。温度検知部6の正特性サーミスタPTC側が、接地ライン2に接続されている。正特性サーミスタPTCは、異常発熱を監視するためのものであり、直流電圧供給回路100において、異常発熱を監視したい所定の位置に配置されている。
直流電圧供給回路100は、PNP型トランジスタQ1と、NPN型トランジスタQ2を備える。PNP型トランジスタQ1のコレクタCとNPN型トランジスタQ2のベースBとが接続され、PNP型トランジスタQ1のベースBとNPN型トランジスタQ2のコレクタCとが接続されている。これらのPNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2によって、サイリスタSCRとして機能する。
すなわち、PNP型トランジスタQ1のエミッタEが、サイリスタSCRのアノードAに該当する。PNP型トランジスタQ1のコレクタCとNPN型トランジスタQ2のベースBとの接続点が、サイリスタSCRのゲートGに該当する。NPN型トランジスタQ2のエミッタEが、サイリスタSCRのカソードKに該当する。以下、本実施形態においては、この様に接続したPNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2の接続体も、サイリスタSCRと称して説明する。
サイリスタSCRのアノードAが、第2電界効果トランジスタFET2を介して直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。サイリスタSCRのゲートGが、温度検知部6の第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとの接続点Xに接続されている。サイリスタSCRのカソードKが、第2固定抵抗R2を介して接地ライン2に接続されている。サイリスタSCR(カソードK)と第2固定抵抗R2とは、接続点Yを介して、直列に接続されている。直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に、第3固定抵抗R3が接続されている。
サイリスタSCRのカソードKと、第2固定抵抗R2と第3固定抵抗R3との接続点、すなわち接続点Yが、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGに接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aとサイリスタSCRのアノードAとの間に、第2電界効果トランジスタFET2が接続されている。より具体的には、直流電源3側の電源ライン1aに第2電界効果トランジスタFET2のソースSが接続され、サイリスタSCRのアノードA(PNP型トランジスタQ1のエミッタE)側に第2電界効果トランジスタFET2のドレインDが接続されている。
また、第1電界効果トランジスタFET1のソースSとドレインDとの間に、並列に、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5とが、接続点Zを介して、直列に接続されている。接続点Zと第2電界効果トランジスタFET2のゲートGとが接続されている。
かかる構成からなる直流電圧供給回路100は、次のように作動する。
直流電圧供給回路100の電源スイッチ5をオンにすると、直流電源3から負荷4に、直流電圧が供給される。正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態(正常動作状態)において、第1電界効果トランジスタFET1はオン状態、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる様に設定される。その結果、直流電源3から負荷4に直流電圧が供給される。
第1電界効果トランジスタFET1は、第3固定抵抗R3と第2固定抵抗R2との分圧回路によって定まる、接続点Yの電圧、すなわち第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧によって、オン状態とオフ状態が切り替わる。正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態において、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも低く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧を超えるため、第1電界効果トランジスタFET1はオン状態となる。
第2電界効果トランジスタFET2は、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5との分圧回路によって定まる、接続点Zの電圧、すなわち第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧によって、オン状態とオフ状態が切り替わる。正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態において、第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第2電界効果トランジスタFET2のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧を超えないため、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。
サイリスタSCRは、第1固定抵抗R1の抵抗値と正特性サーミスタPTCの抵抗値とによって定まる、温度検知部6の接続点Xの電圧、すなわちサイリスタSCRのゲートGの電圧によって、オン状態とオフ状態が切り替わる。なお、このサイリスタSCRは、常時、サイリスタSCRのゲートGの電圧(ゲートG−カソードK間の電圧)が、その閾値電圧よりも高く設定され、オン状態となる様に設定しておく。
これにより、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れるか否かは、第2電界効果トランジスタFET2の状態によって決まる。すなわち、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間の電流は、第2電界効果トランジスタFET2がオン状態の時に流れ、オフ状態の時には流れない。よって、正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態においては、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態であるため、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流は流れない。
直流電源3から負荷4に直流電圧が供給されている状態において、短絡等に起因する異常発熱が発生すると、急激に正特性サーミスタPTCの温度が上昇する。正特性サーミスタPTCの温度が上昇すると、正特性サーミスタPTCの抵抗値が上昇し、温度検知部6の接続点Xの電圧が上昇する。
なお、この異常発熱は、負荷4が短絡することに起因する場合だけではない。第1電界効果トランジスタFET1のドレインDと負荷4との間の電源ライン1bと、接地ライン2における第2固定抵抗R2の接続点と負荷4との間の接地ライン2と、の間が短絡することに起因する場合も起こり得る。
接続点Xの電圧が上昇すると、NPN型トランジスタQ2のベースB−エミッタE間に流れる電流が増加する。この電流が第2固定抵抗R2を流れることにより、接続点Yの電位も上昇する。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低くなるため、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となる。
第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となることによって、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止される。すなわち、直流電圧供給回路100は、正特性サーミスタPTCによって異常発熱を検知することにより、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給を停止する。
第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となると、直流電圧供給回路100の負荷4側の電源ライン1bの電位は、負荷4側が短絡状態の電位、すなわち0Vもしくは0Vに近い電位となる。この時、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5とによって定まる接続点Zの電圧、すなわち第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は所定値よりも低く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧を超える。その結果、第2電界効果トランジスタFET2がオン状態となる。第2電界効果トランジスタFET2がオン状態となると、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れる。
すなわち、負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電位である限り、第2電界効果トランジスタFET2がオン状態を継続する。その結果、接続点Yの電圧、すなわち、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも高い電圧が維持される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低い状態を維持するため、第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態を継続する。
オン状態のサイリスタSCRは、電源ライン1とサイリスタSCRのアノードAとの導通を切らない限り、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流が流れ続ける。すなわち、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されて、異常発熱が停止し、正特性サーミスタPTCが自然に冷却され、正特性サーミスタPTCの抵抗値が降下しても、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流は流れ続ける。これは、NPN型トランジスタQ2がオンし、PNP型トランジスタQ1がオンの場合、温度検知部6の接続点Xの電圧が低下しても、NPN型トランジスタQ2のベースBにPNP型トランジスタQ1のコレクタCの電流(電圧)が印加され続けるため、NPN型トランジスタQ2がオン状態を継続し、それに伴ってPNP型トランジスタQ1もオン状態を継続するからである。
したがって、直流電圧供給回路100は、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることにより、異常発熱が停止し、正特性サーミスタPTCが自然に冷却され、正特性サーミスタPTCの抵抗値が降下しても、負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電位である限り、第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態を継続する。よって、直流電圧の供給が自動的に再開されることはない。
直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止された後、直流電圧供給回路100から負荷4を切り離すと、直流電圧供給回路100の負荷4側の電源ライン1b端は開放状態となる。そのため、接続点Zの電圧、すなわち第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は、第4固定抵抗R4を介して、電源ライン1の電圧となる。この時の第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第2電界効果トランジスタFET2のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低下するため、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。これにより、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流は流れなくなる。
そして、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4と交換したうえで、改めて直流電圧供給回路100と負荷4を接続すると、正常動作状態に復帰し、直流電圧の正常な供給を再開する。
以上のように、直流電圧供給回路100は、負荷4側の短絡等に起因する異常発熱により、いったん直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されると、その後に正特性サーミスタPTCの温度が降下したとしても、負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電圧である限り、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が再開されることはない。
したがって、本実施形態にかかる直流電圧供給回路100においては、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止した後に、直流電圧供給回路100から負荷4を切り離し、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4に交換したうえで、改めて直流電圧供給回路100と負荷4を接続することにより、安全に直流電圧の供給を再開させることができる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態にかかる直流電圧供給回路200の回路図である。ただし、図5に示すのは、直流電圧供給回路200の等価回路図である。
直流電圧供給回路200は、図4に示した第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、温度検知部6が、直列に接続された第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとで構成され、第1固定抵抗R1側が電源ライン1に接続され、正特性サーミスタPTC側が接地ライン2に接続されていた。直流電圧供給回路200は、これに変更を加え、温度検知部16を、直列に接続された負特性サーミスタNTCと第1固定抵抗R11とで構成し、負特性サーミスタNTC側を電源ライン1に接続し、第1固定抵抗R11側を接地ライン2に接続した。直流電圧供給回路200の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
直流電圧供給回路200では、異常発熱が発生すると、負特性サーミスタNTCの温度が上昇し、負特性サーミスタNTCの抵抗値が降下し、温度検知部16の接続点Xの電圧が上昇する。そして、接続点Xの電圧が上昇すると、NPN型トランジスタQ2のベースB−エミッタE間に流れる電流が増加し、接続点Yの電位も上昇する。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低くなるため、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となる。その結果、第1電界効果トランジスタFET1によって直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止される。
本実施形態にかかる直流電圧供給回路200も、異常発熱により直流電圧の供給が停止した後には、その後に負特性サーミスタNTCの温度が降下したとしても、直流電圧供給回路200から負荷4を切り離し、改めて直流電圧供給回路200と負荷4を接続しなければ直流電圧の供給が再開されないため、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷に交換したうえで、安全に直流電圧の供給を再開させることができる。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態にかかる直流電圧供給回路300の構成を示す図である。ただし、図6に示すのは、直流電圧供給回路300の等価回路図である。
直流電圧供給回路300も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路300は、直流電圧供給回路100の温度検知部6の正特性サーミスタPTCと並列に、更に、第1コンデンサC1を接続した。また、接続点Yと接地ライン2との間に、第2コンデンサC2を接続した。さらに、直流電源3側の電源ライン1aと接地ライン2との間に、第3コンデンサC3を接続した。さらに、直流電源3側の電源ライン1aとPNP型トランジスタQ1のベースB(NPN型トランジスタQ2のコレクタC)との間に、第6固定抵抗R6を接続した。さらに、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGと接続点Yとの間に、第7固定抵抗R7を接続した。直流電圧供給回路300の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
図7は、図6の回路の第1変形例である。図7に示す直流電圧供給回路300の構成では、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される抵抗R3が追加される。適切な抵抗値の抵抗R3を追加することにより、接続点Yの電圧を調整することができる。
図8は、図6の回路の第2変形例である。図7に示す直流電圧供給回路300の構成では、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される抵抗R3が追加され、さらに、リセット回路7に代えてリセット回路17が含まれる。リセット回路17は、接続点Zと負荷4側の電源ライン1bとの間に接続された抵抗R5が追加される。適切な抵抗値の抵抗R3,R5を追加することにより、接続点YおよびZの電圧を調整することができる。図6、図7、図8の基本的な構成と動作は共通するので、以降は図8を用いて詳細な説明を行なう。
直流電圧供給回路300は、第1コンデンサC1を付加したことにより、サイリスタSCRのゲートG(NPN型トランジスタQ2のベースB)にノイズが印加されても、そのノイズを第1コンデンサC1経由で接地ライン2に落とすことができる。そのため、この様なノイズによって第2固定抵抗R2に流れる電流による、接続点Yの電位の変動が抑制され、第1電界効果トランジスタFET1が誤作動によってオフ状態になることがなく、誤って直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることがない。
本実施形態にかかる直流電圧供給回路300は、第1コンデンサC1を付加したことにより、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによる誤作動によって直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることがないという効果も奏している。
また直流電圧供給回路300は、第2コンデンサC2を付加したことにより、ノイズ等による接続点Yの電位の微小変動が緩和されるため、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG電位が安定する。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによって第1電界効果トランジスタFET1が誤動作することが抑制されるという効果も奏している。
さらに直流電圧供給回路300は、第3コンデンサC3を付加したことにより、ノイズ等による電源電位の微小変動が緩和される。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズに対する直流電圧供給回路300が誤動作することが抑制されるという効果も奏している。
さらに直流電圧供給回路300は、第6固定抵抗R6を付加したことにより、異常発熱時に、NPN型トランジスタQ2に流れる電流を増幅し、確実に第1電界効果トランジスタFET1がオン状態になる。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、異常発熱時に、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給を確実に停止することができるという効果も奏している。
さらに直流電圧供給回路300は、第7固定抵抗R7を付加したことにより、ノイズ等による接続点Yの電位の微小変動が緩和されるため、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG電位が安定する。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによって第1電界効果トランジスタFET1が誤動作することが抑制されるという効果も奏している。
図8の構成においては、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、第6固定抵抗R6、第7固定抵抗R7の全てを備えた回路が開示されているが、これに限らない。図6、図7に例示したように、これらの素子の少なくとも1つを備えることによって、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、よりよい効果を奏することが可能となる。
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態にかかる直流電圧供給回路400の構成を示す図である。ただし、図9に示すのは、直流電圧供給回路400の等価回路図である。
直流電圧供給回路400も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、サイリスタSCRが、PNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2とで構成されていた。直流電圧供給回路400は、これに変更を加え、サイリスタSCRとして、単体の電子部品を使用した。直流電圧供給回路400の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
単体の電子部品からなるサイリスタSCRも、PNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2とで構成されたサイリスタSCRと同等に機能する。
このように、本発明の直流電圧供給回路において使用するサイリスタSCRは、PNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2とで構成しても良いし、単体の電子部品であっても良い。
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態にかかる直流電圧供給回路410の構成を示す図である。ただし、図10に示すのは、直流電圧供給回路410の等価回路図である。
直流電圧供給回路410も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、電源接続回路9のスイッチング素子として、第1電界効果トランジスタFET1を使用し、リセット回路7のスイッチング素子として第2電界効果トランジスタFET2を使用した。直流電圧供給回路410は、リセット回路7に代えてリセット回路27を備え、電源接続回路9に代えて電源接続回路29を備える。電源接続回路29は、第1電界効果トランジスタFET1に代えてPNPバイポーラトランジスタBT1およびベース電流の制限抵抗R7を備え、リセット回路27は、第2電界効果トランジスタFET2に代えてPNPバイポーラトランジスタBT2およびベース電流の制限抵抗R8を備える。直流電圧供給回路400の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
図11は、図10の回路の変形例である。図11に示す直流電圧供給回路410の構成では、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される抵抗R3が追加される。適切な抵抗値の抵抗R3を追加することにより、接続点Yの電圧を調整することができる。また、図11に示す直流電圧供給回路300の構成では、さらにコンデンサC1〜C3が追加される。コンデンサの追加により、第3実施形態と同様にノイズ耐性が向上する。
図10、図11で示した構成のPNPバイポーラトランジスタBT1,BT2も、電界効果トランジスタFET1,FET2と同等に機能する。
このように、本発明の直流電圧供給回路において使用するスイッチング素子は、電界効果トランジスタで構成しても良いし、バイポーラトランジスタで構成しても良い。またIGBTなど他のスイッチング素子を使用しても良く、これらを組み合わせて使用しても良い。
[第6実施形態]
第6実施形態では、主として図1の温度検知部6の変形について説明する。
図12は、第6実施形態にかかる直流電圧供給回路430の構成を示す図である。ただし、図12に示すのは、直流電圧供給回路430の等価回路図である。
直流電圧供給回路430も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、温度検知部6が抵抗R1と正特性サーミスタPTCを直列に接続した構成であったが、直流電圧供給回路430は、温度検知部6に代えて温度検知部26を備える。
また、直流電圧供給回路430は、リセット回路7および電源接続回路9に代えてそれぞれリセット回路27および電源接続回路19を備える。直流電圧供給回路430の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。なお、リセット回路27については、図10、図11で説明しており、電源接続回路19については、図6〜8で説明しているのでここでは説明を省略し、温度検知部26について詳細に説明する。
図13は、温度検知部の第1例である温度検知部26の構成を示す回路図である。温度検知部26は、固定抵抗R1および正特性サーミスタPTCと、固定抵抗R9および基準抵抗Rrefと、コンパレータCPとを含む。固定抵抗R1および正特性サーミスタPTCは、電源ライン1aと接地ライン2との間に直列に接続され、中間接続点から電圧Vptcを出力する。固定抵抗R9および基準抵抗Rrefは、電源ライン1aと接地ライン2との間に直列に接続され、中間接続点から電圧Vrefを出力する。コンパレータCPは、電圧Vptcと電圧Vrefを比較する。
電圧Vrefは、固定電圧であり、電圧Vptcは温度の上昇に応じて上昇する電圧である。正常時には、Vptc<Vrefとなっており、異常発熱時にはVptc>Vrefとなるように、正特性サーミスタPTCの特性に合わせて固定抵抗R1,R9、基準抵抗Rrefの抵抗値が決められている。
コンパレータCPの負極性入力ノードは、電圧Vrefを受ける。またコンパレータCPの正極性入力ノードは、電圧Vptcを受ける。したがって、正常時には、コンパレータCPは、ローレベルを出力し、異常発熱時にはコンパレータCPは、ハイレベルを出力する。その結果、接続点Yの電圧は、正常時よりも異常発熱時に上昇するので、第1電界効果トランジスタはオフ状態となる。このように実施の形態1ではサイリスタSCRは常時オン状態としていたが、このようにサイリスタSCRは初期状態においてオフ状態であっても良い。
図14は、温度検知部の第2例である温度検知部36の構成を示す回路図である。図13の固定抵抗R1,R9の代わりに、図14に示すように定電流源IS1,IS2を使用してもコンパレータCPは同様に動作する。このように、抵抗による分圧で電圧を決める構成に代えて、定電流源で電圧を決める構成としても良い。
図15は、温度検知部の第3例である温度検知部46の構成を示す回路図である。温度検知部46のように、図13または図14の構成において、正特性サーミスタPTCを電源ライン1a側に接続し、抵抗R1または定電流源IS1を接地ライン2側に接続するように配置を入れ替え、正特性サーミスタPTCを電源ライン1a側に接続し、抵抗R9または定電流源IS2を接地ライン2側に接続するように配置を入れ替えた場合には、コンパレータCPが正極性入力にVref2を受け、負極性入力にVptc2を受けるように接続を変更すればよい。
なお、図12〜図15では、感温素子として正特性サーミスタPTCを例示したが、感温素子として、負特性サーミスタNTC、熱電対、バイメタルブレーカー、IC温度センサなどを使用しても良い。
[第7実施形態]
第7実施形態では、主として図1の状態保持回路8の変形について説明する。
図16は、第7実施形態にかかる直流電圧供給回路440の構成を示す図である。直流電圧供給回路440は、温度検知部26と、リセット回路7と、状態保持回路であるリセット端子付きフリップフロップ18と、リセット端子の電位を決定するためのプルダウン抵抗R11と、電源接続回路である第1電界効果トランジスタFET1とを備える。温度検知部26は、第6実施形態で説明したように、コンパレータCPが出力部に設けられている。リセット端子付きフリップフロップ18は、ハイレベルおよびローレベルを出力可能であるので、図3等の抵抗R2は不要である。リセット回路7および他の構成は、実施の形態1と同じである。以下、フリップフロップ18の動作を説明する。
フリップフロップ18のD端子は常にハイレベル(論理1)に設定されている。フリップフロップ18のCLK端子には温度検知部6の出力が接続されている。
負荷4が接続されていない初期状態において、直流電圧供給回路440が直流電源3に接続されると、接続点Zはハイレベルとなるので、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。このためプルダウン抵抗R11によってリセット端子がローレベル(アクティブ)に設定され、フリップフロップ18の出力Qの初期値はローレベル(論理0)に設定される。これにより、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態となり、負荷4が接続されると直流電圧を供給可能である。
正常状態において、正特性サーミスタPTCの抵抗値が低い場合、コンパレータCPからの出力はローレベルのまま変化しないので出力Qはローレベルを維持し、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態を維持する。
異常発熱によって温度検知部26の温度が上昇しコンパレータCPの出力がローレベルからハイレベルに変化すると、立ちあがりエッジで出力Qはハイレベルに変化し、第1電界効果トランジスタFET1をオフにする。このとき、負荷4またはコネクタ端子の短絡によって、電源ライン1bの電圧が降下していればリセット回路7の第2電界効果トランジスタFET2が導通し、リセット端子/Rの電圧がハイレベルとなるので、フリップフロップ18のリセットが解除される。
その後温度が下がりコンパレータCPの出力がハイレベルからローレベルに立ち下がっても、フリップフロップ18は出力Qをハイレベルに保持するため第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態のままである。
リセット端子/Rは、負荷4を電源ライン1bから外すとリセット回路7によってリセットがかかる。すなわち、短絡状態にあった負荷4が外れると、電源ライン1bがハイレベルとなるため、第2電界効果トランジスタFET2がオフ状態となり、リセット端子/Rがプルダウン抵抗R11によってローレベル(アクティブ)になり、フリップフロップ18はリセットされる。これにより、フリップフロップ18の出力Qはローレベルに変化するので、第1電界効果トランジスタFET1は導通し、直流電圧供給回路440は再び負荷4に直流電圧を供給可能な状態となる。
図17は、第7実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路450の構成を示す図である。直流電圧供給回路450は、図16の構成のフリップフロップ18が状態保持回路28に置換されたものである。他の構成は、図16と同じである。
状態保持回路28は、インバータ281と、SRラッチ回路282とを含む。SRラッチ回路282は、NORゲート283,284によって構成される。
負荷4が接続されていない初期状態において、直流電圧供給回路450が直流電源3に接続されると、接続点Zはハイレベルとなるので、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。このためプルダウン抵抗R11およびインバータ281によってSRラッチ回路282のリセット端子Rがハイレベル(アクティブ)に設定され、SRラッチ回路282の出力Qの初期値はローレベル(論理0)、出力/Qの初期値はハイレベル(論理1)に設定される。出力/Qがインバータ285によって反転され、これがゲートに与えれられるので、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態となり、負荷4が接続されると直流電圧を供給可能となる。
正常状態においては、コンパレータCPからの出力はローレベルのまま変化しないのでSRラッチ回路282の出力/Qはハイレベルを維持し、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態を維持する。
異常発熱によって温度検知部26の温度が上昇しコンパレータCPの出力がローレベルからハイレベルに変化すると、SRラッチ回路282のセット端子Sはハイレベルに変化し、応じて直ちに出力/Qはローレベルに変化する。すると、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態に変化する。このとき、負荷4またはコネクタ端子の短絡によって、電源ライン1bの電圧が降下していればリセット回路7の第2電界効果トランジスタFET2が導通するので、SRラッチ回路282のリセット端子/Rはローレベルとなる。
その後温度が下がり温度検知部26の出力がハイレベルからローレベルに立ち下がっても、SRラッチ回路282は出力/Qをローレベルに保持するため第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態のままである。
負荷4を電源ライン1bから外すとリセット回路7によってSRラッチ回路282にリセットがかかる。すなわち第2電界効果トランジスタFET2がオフし、抵抗R11とインバータ281によってSRラッチ回路282のリセット端子Rはハイレベルとなる。これにより、SRラッチ回路282の出力/Qはハイレベルに変化するので、第1電界効果トランジスタFET1は導通し、直流電圧供給回路440は再び負荷4に直流電圧を供給可能な状態となる。
以上図16、図17に示したように状態保持回路をフリップフロップやラッチ回路などで構成してもよい。
[第8実施形態]
図18は、第8実施形態にかかる直流電圧供給回路500の構成を示す図である。ただし、図18は、直流電圧供給回路500の説明図である。
直流電圧供給回路500は、第4実施形態にかかる直流電圧供給回路400を、アダプタ51、ケーブル52、USBコネクタ53(オス型USBコネクタ53a)に組込んだものである。なお、USBとは、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)を略したものであり、コンピュータ等の情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つである。
アダプタ51は、直流電源3と電源スイッチ5とを備える。直流電源3は、たとえば、交流の商用電源を、所望の電圧の直流に変換した電源である。なお、本実施形態においてはアダプタ51を使用したが、アダプタ51に代えて、パーソナルコンピュータなどの電源を、直流電源として使用しても良い。また、電源スイッチ5は必須のものではない。
ケーブル52には、複数の信号ライン55と、電源ライン1と、接地ライン2、異常発熱検知ライン57、58とが含まれている。信号ライン55は、アダプタ51と電子機器54との間の信号交換に使用される。また、上述したように、アダプタ51に代えてパーソナルコンピュータを使用した場合には、信号ライン55は、パーソナルコンピュータと電子機器54との間の信号交換に使用される。
USBコネクタ53は、オス型USBコネクタ53aと、メス型USBコネクタ53bとで構成されている。オス型USBコネクタ53aとメス型USBコネクタ53bとは、相互に、嵌合と離脱とが可能になっている。オス型USBコネクタ53aとメス型USBコネクタ53bとは、それぞれ接点を備え、それぞれの接点どうしを接触させることにより、所定のラインどうしの電気的接続をはかることができる。
オス型USBコネクタ53aは、ケーブル52を介して、アダプタ51に接続されている。メス型USBコネクタ53bは、電子機器54の筐体に取付けられている。
オス型USBコネクタ53aの絶縁体部分には、第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとからなる温度検知部6が埋設されている。第1固定抵抗R1は、一端が異常発熱検知ライン57の一端に接続され、他端が接続点Xに接続されている。異常発熱検知ライン57の他端はケーブル52を経由して、直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。正特性サーミスタPTCは、一端が接地ライン2に接続され、他端が接続点Xに接続されている。接続点Xは、ケーブル52を経由して、異常発熱検知ライン58によって、アダプタ51内に設けられたサイリスタSCRのゲートGに接続されている。
電子機器54の種類は任意であるが、たとえば、携帯電話、スマートフォン、音楽プレーヤーなどである。アダプタ51の内部には、サイリスタSCR、電界効果トランジスタFET1,FET2、第2固定抵抗R2、第3固定抵抗R3、負荷4が設けられている。負荷4は、たとえば、電子機器54の蓄電池などである。
上述したとおり、サイリスタSCRのゲートGが、温度検知部6の接続点Xに接続されている。また、サイリスタSCRのアノードAが、第2電界効果トランジスタFET2を介して、直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。サイリスタSCRのカソードKが、第2固定抵抗R2を介して、接地ライン2に接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に、第3固定抵抗R3が接続されている。
電源ライン1に、第1電界効果トランジスタFET1が挿入されている。より具体的には、第1電界効果トランジスタFET1のソースSが、直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。電界効果トランジスタFET1のドレインDが、負荷4側の電源ライン1bに接続されている。第1電界効果トランジスタFET1のゲートGが、サイリスタSCRのカソードKと、第2固定抵抗R2と第3固定抵抗R3との接続点Yに接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aとサイリスタSCRのアノードAとの間に、第2電界効果トランジスタFET2が接続されている。より具体的には、直流電源3側の電源ライン1aに第2電界効果トランジスタFET2のソースSが接続され、サイリスタSCRのアノードA(PNP型トランジスタQ1のエミッタE)側に第2電界効果トランジスタFET2のドレインDが接続されている。
また、第1電界効果トランジスタFET1のソースSとドレインDとの間に、並列に、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5とが、接続点Zを介して、直列に接続されている。接続点Zと第2電界効果トランジスタFET2のゲートGとが接続されている。
直流電圧供給回路500においては、電源ライン1および接地ライン2を経由して、直流電源3から負荷4へ直流電圧が供給される。なお、上述したとおり、第1電界効果トランジスタFET1のドレインDと負荷4との間の電源ライン1、および、接地ライン2における第2固定抵抗の接続点と負荷4との間の接地ライン2は、それぞれ、途中で分断可能とされ、分断された電源ライン1および接地ライン2が、オス型USBコネクタ53aおよびメス型USBコネクタ53bからなるUSBコネクタによって接続されている。直流電圧供給回路500の他の構成は、直流電圧供給回路400と同じにした。
直流電圧供給回路500は、正特性サーミスタPTCによってUSB53近傍の異常発熱を監視し、異常発熱を検知した場合には、接続点Xの電圧が上昇し、NPN型トランジスタQ2のベースB−エミッタE間に流れる電流が増加し、接続点Yの電位も上昇する。これにより、第1電界効果トランジスタFET1をオフ状態にして、直流電源3から負荷4へ直流電圧の供給を停止させる。
なおこの異常発熱は、電子機器54内の負荷4が直接異常状態となって、異常な負荷4を介して電源ライン1と接地ライン2との間が短絡状態となる場合だけでなく、例えば、USBコネクタ53に異物が挟まり、これが原因で負荷4側の電源ライン1bと接地ライン2との間が短絡状態となる場合などでも発生する。
直流電圧供給回路500は、異常発熱を検知して、直流電圧供給を停止した後に、正特性サーミスタPTCが自然に冷却されて温度が降下しても、直流電圧供給回路500から負荷4を切り離さない限り、サイリスタSCRがオン状態を継続し、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態を継続し、直流電圧の供給が自動的に再開されることがない。したがって、直流電圧供給回路500は、直流電圧の供給が停止した後に、直流電圧供給回路500から負荷4を切り離し、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4に交換したうえで、改めて直流電圧供給回路500と負荷4を接続することにより、直流電圧の供給を安全に再開させることができる。この直流電圧供給回路500においては、負荷4の切り離し、および、再接続を、オス型USBコネクタ53aとメス型USBコネクタ53bを切り離し、および、再接続することによって容易におこなうことができる。
図19は、第8実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路510の構成を示す図である。図18に示した構成では、オス型USBコネクタ53aの絶縁体部分には、第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとからなる温度検知部6が埋設され、直流電圧供給回路500の他の構成要素は、ケーブル52によって接続されたアダプタ51内に配置されていた。これに対し、図19に示す直流電圧供給回路510では、USBコネクタ53に代えてUSBコネクタ153を備える。
USBコネクタ153は、オス型USBコネクタ153aと、メス型USBコネクタ153bとで構成されている。
オス型USBコネクタ153aは、ケーブル52を介して、アダプタ151に接続されている。メス型USBコネクタ153bは、電子機器54の筐体に取付けられている。
オス型USBコネクタ153aの絶縁体部分には、第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとからなる温度検知部6だけではなく、直流電圧供給回路510全体が埋設されている。
図19に示すように、オス型USBコネクタ153aの絶縁体部分に直流電圧供給回路510全体を埋設することによって、アダプタ151の構成を簡単にすることができる。
[第9実施形態]
第9実施形態は、リセット回路の構成を変更したものである。第1〜第8実施形態では、リセット回路7は、電源ライン1bの電圧がローレベルからハイレベルに復帰したことに応じて状態保持回路をリセットしていた。しかし、状態保持回路のリセットは、必ずしも電源ライン1bの電圧に基づいて実行する必要はない。たとえば、負荷側コネクタが直流電圧供給回路から外されたことを検出しても良い。
図20は、第9実施形態にかかる直流電圧供給回路600の構成を示す図である。直流電圧供給回路600は、図3に示した第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、リセット回路7によって状態保持回路8をリセットした。直流電圧供給回路600は、リセット回路7に代えてリセット回路37を備える。またコネクタ43によって負荷4と接続される。
コネクタ43は、オス型コネクタ43aと、メス型コネクタ43bとで構成されている。オス型コネクタ43aとメス型コネクタ43bとは、相互に、嵌合と離脱とが可能になっている。オス型コネクタ43aとメス型コネクタ43bとは、それぞれ接点を備え、それぞれの接点どうしを接触させることにより、所定のラインどうしの電気的接続をはかることができる。
オス型コネクタ43aとメス型コネクタ43bとが嵌合状態となると、スイッチCNTが導通し、抵抗R9の端部が接地ライン2に接続される。これにより接続点Zの電圧が低下し、第2電界効果トランジスタFET2が導通する。一方、オス型コネクタ43aからメス型コネクタ43bが離脱されると、スイッチCNTはオフし、抵抗R9の端部は開放状態となる。これにより接続点Zの電圧がハイレベルとなり、第2電界効果トランジスタFET2がオフする。なお、スイッチCNTは、必ずしも設けなくても良く、単にメス型コネクタ43b側で抵抗R9の端子を接地ラインに接続するように配線されていればよい。
直流電圧供給回路600の他の構成は、図3の直流電圧供給回路100と同じであるので、説明は繰り返さない。
なお、図20では、負荷側コネクタが直流電圧供給回路から外されたことを検出してリセットを行なう例を示したが、例えばユーザが操作するリセットスイッチを設けても良い。
以上、第1実施形態〜第9実施形態にかかる直流電圧供給回路100〜600について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更を加えることができる。
たとえば、各実施形態の等価回路図は、本発明に関連する構成を抜き出して示したものであり、他の電子部品や、他の機能が付加されても良い。また、本発明の趣旨を損なわない範囲で、回路が変更されても良い。
各実施形態において、直流電圧供給回路100〜600から負荷4を切り離すとは、負荷4の部分だけを電源ライン1から切り離すことだけを意味しない。第1電界効果トランジスタFET1のドレインDと第5固定抵抗R5との接続点と、負荷4との間の電源ライン1b上で、その接続を切り離すことも、この意味に含まれる。
また、直流電圧供給回路500では、コネクタにUSBコネクタ53(オス型USBコネクタ53a、メス型USBコネクタ53b)を使用したが、他の種類のコネクタであっても良い。また、直流電圧供給回路500では、正特性サーミスタPTCをオス型USBコネクタ53aに設けたが、これに代えて、正特性サーミスタPTCを電子機器54側に設けても良い。
また、各実施形態を相互に組み合わせて用いても良い。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1a,1b,102 電源ライン、2,103 接地ライン、3,101 直流電源、4,104 負荷、5 電源スイッチ、6,16,26,36,46 温度検知部、7,17,27,37 リセット回路、8,28 状態保持回路、9,19,29 電源接続回路、18 フリップフロップ、43,43a,43b,53,53a,53a,53b,153,153a,153b コネクタ、51,151 アダプタ、52 ケーブル、54 電子機器、55 信号ライン、57,58 異常発熱検知ライン、100,200,300,400,410,430,440,450,500,510,600,1100 直流電圧供給回路、105,PTC 正特性サーミスタ、281,285 インバータ、282 ラッチ回路、283,284 NORゲート、BT1,BT2 バイポーラトランジスタ、C1〜C3 コンデンサ、CNT スイッチ、CP コンパレータ、FET,FET1,FET2 電界効果トランジスタ、IS1,IS2 定電流源、NTC 負特性サーミスタ、PTC 正特性サーミスタ、Q1,Q2 トランジスタ、R1〜R11,Rref 抵抗、SCR サイリスタ、SW1,SW2 スイッチング素子。
本発明は、直流電源から負荷に直流電圧を供給する直流電圧供給回路に関し、更に詳しくは、異常発熱に対するより安全な保護機能を備えた直流電圧供給回路に関する。
直流電源から負荷に直流電圧を供給する直流電圧供給回路において、過電流や、異常発熱が発生した場合には、負荷への電圧の供給を停止し、負荷および直流電圧供給回路のさらなる損傷を未然に防止することが重要である。
特許文献1(特開平5−260647号公報)に、そのような機能を備えた直流電圧供給回路が開示されている。
図21に、特許文献1に開示された直流電圧供給回路(電流遮断装置)1100を示す。
直流電圧供給回路1100は、直流電源101を備える。直流電源101は、電源ライン102と接地ライン103とを経由して、負荷(負荷側基板)104に直流電圧を供給する。
直流電圧供給回路1100の電源ライン102に、正特性サーミスタ105が挿入されている。
直流電圧供給回路1100は、過電流や、異常発熱が発生した場合に、正特性サーミスタ105の抵抗値が上昇し、直流電源101から負荷104への直流電圧の供給を停止する。
特許文献1に開示された直流電圧供給回路1100には、直流電源101から負荷104への電力の供給が停止された後に、正特性サーミスタ105が自然に冷却されると、正特性サーミスタ105の抵抗値が降下し、直流電源101から負荷104への直流電圧の供給が自動的に再開してしまうという問題があった。
すなわち、直流電源101から負荷104への直流電圧の供給が停止された後に、過電流や異常発熱の原因となった短絡等の原因が解消されていれば良いが、短絡等の原因が解消されていないまま直流電圧の供給が再開されると、再度、過電流や異常発熱が発生するという問題があった。そして、再度の過電流や異常発熱において、再度の直流電圧の供給の停止に失敗すると、負荷または直流電圧供給回路がさらに損傷してしまう虞があった。
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明の直流電圧供給回路は、直流電源と負荷との間に挿入される、電源ラインと接地ラインとを備え、更に、第1状態と第2状態を取ることが可能に構成される状態保持回路と、電源ラインおよび接地ラインの少なくとも何れか一方に挿入され、状態保持回路が第1状態である場合に接続状態となり、状態保持回路が第2状態である場合に遮断状態となる電源接続回路と、異常発熱を検知し状態保持回路を第2状態にする温度検知部と、状態保持回路を第1状態にするリセット回路とを備える。かかる構成を有する本発明の直流電圧供給回路は、電源接続回路が遮断状態となった後に、温度検知部が自然に冷却されても、状態保持回路が第2状態を保持している限り、リセット回路によって状態保持回路が第1状態にされるまでは、直流電圧供給が自動的に再開されることがない。
好ましくは、電源接続回路は、電源ラインに挿入された第1スイッチング素子を備える。温度検知部は、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に挿入された、第1抵抗とサーミスタとが直列に接続された分圧回路を備える。状態保持回路は、ゲートが分圧回路の第1抵抗とサーミスタとの接続点に接続され、カソードが第1スイッチング素子の制御電極に接続されたサイリスタを備える。電源接続回路は、第1スイッチング素子の制御電極と接地ラインとの間に接続される第2抵抗をさらに備える。リセット回路は、電源ラインとサイリスタのアノードとの間に接続され、負荷に接続される電源端子の電圧に応じて変化する信号を制御電極に受ける第2スイッチング素子を備える。このような構成とすることによってサーミスタが検知する温度の上昇に応じて第1スイッチング素子がオフ状態となって、電源ラインの直流電圧供給を停止し、第2スイッチング素子がオン状態、かつ、サイリスタがオン状態となって、電源ラインの直流電圧供給の停止を継続するものとした。
好ましくは、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子の各々は、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタのいずれか一方である。
直流電圧供給回路を、負荷側の電源ラインと負荷とを切り離すことにより、第2スイッチング素子がオフ状態、かつ、第1スイッチング素子がオン状態となって、電源ラインの直流電圧供給の停止を解除するように構成することもできる。この場合には、電源ラインの直流電圧供給が停止した後に、直流電圧供給回路から負荷を切り離し、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷に交換したうえで、改めて直流電圧供給回路と負荷を接続することにより、直流電圧供給を安全に再開させることができる。
サイリスタが、PNP型トランジスタとNPN型トランジスタとを含み、PNP型トランジスタのコレクタと、NPN型トランジスタのベースとが接続され、PNP型トランジスタのベースと、NPN型トランジスタのコレクタとが接続され、PNP型トランジスタのエミッタが、サイリスタのアノードに該当し、PNP型トランジスタのコレクタとNPN型トランジスタのベースとの接続点が、サイリスタのゲートに該当し、NPN型トランジスタのエミッタが、サイリスタのコレクタに該当するようにサイリスタが構成されても良い。すなわち、サイリスタは、単体の電子部品である必要はなく、複数のトランジスタで構成しても良い。
サーミスタが正特性サーミスタであり、分圧回路の第1抵抗側の端部が、電源ラインに接続され、分圧回路の正特性サーミスタ側の端部が、接地ラインに接続されるように直流電圧供給回路を構成することができる。この場合には、異常発熱が発生し、正特性サーミスタの温度が上昇し、正特性サーミスタの抵抗値が上昇すると、分圧回路の第1抵抗と正特性サーミスタとの接続点の電圧が上昇し、第1スイッチング素子がオフ状態となる。
サーミスタが負特性サーミスタであり、分圧回路の負特性サーミスタ側の端部が、電源ラインに接続され、分圧回路の第1抵抗側の端部が、接地ラインに接続されるように直流電圧供給回路を構成することができる。この場合には、異常発熱が発生し、負特性サーミスタの温度が上昇し、負特性サーミスタの抵抗値が降下すると、分圧回路の負特性サーミスタと第1抵抗との接続点の電圧が上昇し、第1スイッチング素子がオフ状態となる。
分圧回路のサーミスタと並列に接続された第1コンデンサ、第2抵抗と並列に接続された第2コンデンサ、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に接続された第3コンデンサ、直流電源側の電源ラインとPNP型トランジスタのベースとの間に接続された第6抵抗、および、第1スイッチング素子の制御電極と、サイリスタのカソードとの間に接続された第7抵抗、のうちの少なくとも1つのコンデンサもしくは抵抗をさらに備えていることも好ましい。
第1コンデンサを付加することにより、ノイズによる誤作動によって直流電源から負荷への直流電圧の供給が停止されることを抑制できる。第2コンデンサを付加することにより、ノイズによって第1スイッチング素子が誤動作することを抑制できる。第3コンデンサを付加することにより、ノイズに対する誤動作を抑制できる。第6抵抗を付加することにより、異常発熱時に、直流電源から負荷への直流電圧の供給を確実に停止することができる。第7抵抗を付加することにより、ノイズによって第1スイッチング素子が誤動作することを抑制できる。
第1スイッチング素子と負荷との間の電源ライン、および、接地ラインにおける第2抵抗の接続点と負荷との間の接地ラインの各々が、途中で分断可能とされ、分断された電源ラインおよび接地ラインが、1対のコネクタで接続され、サーミスタが、コネクタ近傍の異常発熱を監視するようにしても良い。この場合には、コネクタの接続点に異物が挟まること等を原因とする異常発熱をサーミスタにより検知して、電源ラインの直流電圧供給を停止させることができる。コネクタには、たとえば、USBコネクタを使用することができる。
好ましくは、温度検知部は、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第1抵抗およびサーミスタと、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第2抵抗および第3抵抗と、第1抵抗およびサーミスタの接続点の電圧と第2抵抗および第3抵抗の接続点の電圧とを比較する比較器を含むように構成しても良い。
好ましくは、温度検知部は、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第1電流源およびサーミスタと、直流電源側の電源ラインと接地ラインとの間に直列に接続された第2電流源および基準抵抗と、第1電流源およびサーミスタの接続点の電圧と第2電流源および基準抵抗の接続点の電圧とを比較する比較器を含むように構成しても良い。
好ましくは、状態保持回路は、温度検知部の出力をクロック端子に受け、D入力端子が直流電源側の電源ラインに接続され、リセット回路の出力に応じてリセットされるフリップフロップ回路を備えるように構成しても良い。
好ましくは、状態保持回路は、温度検知部の出力に応じて第2状態にセットされ、リセット回路の出力に応じて第1状態にリセットされるSRラッチ回路を備えるように構成しても良い。
本発明の直流電圧供給回路は、異常発熱を検知して、電源ラインの直流電圧供給を停止した後に、温度検知部が自然に冷却されて温度が降下しても、状態保持回路が第2状態を保持し、電源接続回路がオフ状態を継続するため、直流電圧供給が自動的に再開されることがない。そのため、再度の直流電圧の供給の停止に失敗し、負荷または直流電圧供給回路がさらに損傷してしまうことがない。
第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の機能ブロック図である。
直流電圧供給回路100の回路構成例を示す図である。
サイリスタをトランジスタで構成し、第1および第2スイッチング素子を電界効果トランジスタで構成した回路例である。
図3の回路の変形例である。
第2実施形態にかかる直流電圧供給回路200の等価回路図である。
第3実施形態にかかる直流電圧供給回路300の等価回路図である。
図6の回路の第1変形例である。
図6の回路の第2変形例である。
第4実施形態にかかる直流電圧供給回路400の等価回路図である。
第5実施形態にかかる直流電圧供給回路410の構成を示す図である。
図10の回路の変形例である。
第6実施形態にかかる直流電圧供給回路430の構成を示す図である。
温度検知部の第1変形例である温度検知部26の構成を示す回路図である。
温度検知部の第2変形例である温度検知部36の構成を示す回路図である。
温度検知部の第3変形例である温度検知部46の構成を示す回路図である。
第7実施形態にかかる直流電圧供給回路440の構成を示す図である。
第7実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路450の構成を示す図である。
第8実施形態にかかる直流電圧供給回路500を、アダプタ51、ケーブル52、USBコネクタ53(オス型USBコネクタ53a)に組込み、電子機器54と接続した場合の説明図である。
第8実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路510の構成を示す図である。
第9実施形態にかかる直流電圧供給回路600の構成を示す図である。
特許文献1に開示された直流電圧供給回路1100の等価回路図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、実施形態の理解を助けるためのものであり、必ずしも厳密に描画されていない場合がある。たとえば、描画された構成要素ないし構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の機能ブロック図である。図1を参照して、直流電圧供給回路100は、電源ライン1および接地ライン2と、状態保持回路8と、電源接続回路9と、温度検知部6と、リセット回路7とを備える。電源ライン1に、電源スイッチ5が接続されている。ただし、この電源スイッチ5は必ずしも備えていなくても良い。
電源ライン1および接地ライン2は、直流電源3と負荷4との間に挿入される。状態保持回路8は、第1状態と第2状態を取ることが可能に構成される。
電源接続回路9は、電源ライン1および接地ライン2の少なくとも何れか一方に挿入される。図1には、電源ライン1に電源接続回路9が挿入される例が示されているが、電源ライン1に代えて接地ライン2に電源接続回路9を挿入してもよく、電源ライン1と接地ライン2の両方に電源接続回路9を挿入しても良い。電源接続回路9は、状態保持回路8が第1状態である場合に接続状態となり、状態保持回路8が第2状態である場合に遮断状態となる。
温度検知部6は、異常発熱を検知し状態保持回路8を第2状態にセットする。温度検知部6は、異常発熱を検知すると電源接続回路9を遮断するように状態保持回路8の状態を変更する。リセット回路7は、状態保持回路8を第1状態にリセットする。リセット回路7は、異常発熱の原因が除去されたときに電源接続回路9の接続を再開するように状態保持回路8の状態を変更する。
図2は、直流電圧供給回路100の回路構成例を示す図である。電源接続回路9は、第1スイッチング素子SW1と抵抗R2とを含む。電源ライン1に、第1スイッチング素子SW1が挿入されている。抵抗R2は、第1スイッチング素子SW1の制御電極と接地ライン2との間に接続される。
温度検知部6は、直流電源3側の電源ライン1aと接地ライン2との間に直列に接続された第1固定抵抗R1と、正特性サーミスタPTCとを含む。第1固定抵抗R1の一端は電源ライン1に接続され、他端は接続点Xに接続されている。正特性サーミスタPTCの一端は接地ライン2に接続され、他端は接続点Xに接続されている。正特性サーミスタPTCは、異常発熱を監視するためのものであり、直流電圧供給回路100において、異常発熱を監視したい所定の位置に配置されている。
直流電圧供給回路100は、サイリスタSCRを備える。サイリスタSCRのゲートGが、温度検知部6の第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとの接続点Xに接続されている。サイリスタSCRのカソードKが接続点Yに接続されている。
サイリスタSCRのアノードAはリセット回路7に接続される。リセット回路7は、第2スイッチング素子SW2と抵抗R4とを含む。直流電源3側の電源ライン1aとサイリスタSCRのアノードAとの間に、第2スイッチング素子SW2が接続されている。第2スイッチング素子SW2の制御電極は接続点Zに接続されている。抵抗R4は、接続点Zと直流電源3側の電源ライン1aとの間に接続される。また接続点Zは、負荷4側の電源ライン1bにも接続されている。
以下、図2に示す直流電圧供給回路の動作について説明する。
正常動作時には、第1スイッチング素子SW1はオン状態(導通状態)、第2スイッチング素子SW2はオフ状態(非導通状態)となるように接続点X,Yの電圧が設定されている。その結果、直流電源3から負荷4に直流電圧が供給される。
サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れるか否かは、第2スイッチング素子SW2の状態と接続点Xの電圧とによって決まる。すなわち、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間の電流は、第2スイッチング素子SW2がオン状態の時に流れ得るが、オフ状態の時には流れない。よって、正常動作状態においては、第2スイッチング素子SW2はオフ状態であるため、サイリスタのアノードAとカソードKとの間に電流は流れない。
これに対して、異常発熱時において負荷側にて短絡等に起因する異常発熱が発生すると、急激に正特性サーミスタPTCの温度が上昇し、正特性サーミスタPTCの抵抗値も上昇する。すると、正特性サーミスタPTCの抵抗値上昇に伴い接続点Xの電圧が上昇する。接続点Xの電圧が上昇すると、サイリスタSCRのゲートG、カソードKを介して、接続点Yの電位も上昇する。
その結果、第1スイッチング素子SW1がオフ状態(非導通状態)となる。これにより、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止する。
直流電圧供給停止継続時には、負荷4側の電源ライン1bが短絡の電位(もしくは短絡に近い電位)になることにより、第2スイッチング素子SW2がオン状態となる。その結果、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れる。
負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電位である限り、第2スイッチング素子SW2がオン状態を継続する。その結果、第1スイッチング素子SW1もオフ状態を継続し、直流電圧供給の停止も継続する。
直流電圧供給回路100から負荷4を切り離すと、直流電圧供給回路100の負荷4側の電源ライン1b端は開放状態となるので抵抗R4によって接続点Zの電圧は電源電圧となる。そのため、第2スイッチング素子SW2はオフ状態となり、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流は流れなくなる。
そして、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4と交換したうえで、改めて直流電圧供給回路100と負荷4を接続すると、直流電圧供給回路100は正常動作状態に復帰する。
図3は、サイリスタをトランジスタで構成し、第1および第2スイッチング素子を電界効果トランジスタで構成した回路例である。図3に示す構成では、電源接続回路9は、第1スイッチング素子SW1として第1電界効果トランジスタFET1を含む。またリセット回路7は、第2スイッチング素子SW2として第2電界効果トランジスタFET2を含む。また状態保持回路8はサイリスタSCRとしてPNP型トランジスタQ1およびNPN型トランジスタQ2を含む。
図4は、図3の回路の変形例である。図4に示す直流電圧供給回路100の構成では、リセット回路7に代えてリセット回路17が含まれ、さらに固定抵抗R3が含まれる。リセット回路17は、接続点Zと負荷4側の電源ライン1bとの間に接続された抵抗R5が追加される。抵抗R3は、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される。適切な抵抗値の抵抗R3,R5を追加することにより、接続点YおよびZの電圧を調整することができる。図2、図3、図4の基本的な構成と動作は共通するので、以降は図4を用いて詳細な説明を行なう。
図4には、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の等価回路図が示される。
直流電圧供給回路100は、電源ライン1と接地ライン2とを備える。電源ライン1および接地ライン2は、それぞれ、一端が直流電源3に接続され、他端が負荷4に接続されている。
電源ライン1に、電源スイッチ5が接続されている。ただし、この電源スイッチ5は必ずしも備えていなくても良い。
また、電源ライン1に、第1電界効果トランジスタFET1が挿入されている。より具体的には、直流電源3側の電源ライン1aに第1電界効果トランジスタFET1のソースSが接続され、負荷4側の電源ライン1bに第1電界効果トランジスタFET1のドレインDが接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aと接地ライン2との間に、温度検知部6が接続されている。温度検知部6は、第1固定抵抗R1と、正特性サーミスタPTCとが、接続点Xを介して、直列に接続されたものからなる。温度検知部6の第1固定抵抗R1側が、電源ライン1に接続されている。温度検知部6の正特性サーミスタPTC側が、接地ライン2に接続されている。正特性サーミスタPTCは、異常発熱を監視するためのものであり、直流電圧供給回路100において、異常発熱を監視したい所定の位置に配置されている。
直流電圧供給回路100は、PNP型トランジスタQ1と、NPN型トランジスタQ2を備える。PNP型トランジスタQ1のコレクタCとNPN型トランジスタQ2のベースBとが接続され、PNP型トランジスタQ1のベースBとNPN型トランジスタQ2のコレクタCとが接続されている。これらのPNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2によって、サイリスタSCRとして機能する。
すなわち、PNP型トランジスタQ1のエミッタEが、サイリスタSCRのアノードAに該当する。PNP型トランジスタQ1のコレクタCとNPN型トランジスタQ2のベースBとの接続点が、サイリスタSCRのゲートGに該当する。NPN型トランジスタQ2のエミッタEが、サイリスタSCRのカソードKに該当する。以下、本実施形態においては、この様に接続したPNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2の接続体も、サイリスタSCRと称して説明する。
サイリスタSCRのアノードAが、第2電界効果トランジスタFET2を介して直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。サイリスタSCRのゲートGが、温度検知部6の第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとの接続点Xに接続されている。サイリスタSCRのカソードKが、第2固定抵抗R2を介して接地ライン2に接続されている。サイリスタSCR(カソードK)と第2固定抵抗R2とは、接続点Yを介して、直列に接続されている。直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に、第3固定抵抗R3が接続されている。
サイリスタSCRのカソードKと、第2固定抵抗R2と第3固定抵抗R3との接続点、すなわち接続点Yが、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGに接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aとサイリスタSCRのアノードAとの間に、第2電界効果トランジスタFET2が接続されている。より具体的には、直流電源3側の電源ライン1aに第2電界効果トランジスタFET2のソースSが接続され、サイリスタSCRのアノードA(PNP型トランジスタQ1のエミッタE)側に第2電界効果トランジスタFET2のドレインDが接続されている。
また、第1電界効果トランジスタFET1のソースSとドレインDとの間に、並列に、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5とが、接続点Zを介して、直列に接続されている。接続点Zと第2電界効果トランジスタFET2のゲートGとが接続されている。
かかる構成からなる直流電圧供給回路100は、次のように作動する。
直流電圧供給回路100の電源スイッチ5をオンにすると、直流電源3から負荷4に、直流電圧が供給される。正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態(正常動作状態)において、第1電界効果トランジスタFET1はオン状態、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる様に設定される。その結果、直流電源3から負荷4に直流電圧が供給される。
第1電界効果トランジスタFET1は、第3固定抵抗R3と第2固定抵抗R2との分圧回路によって定まる、接続点Yの電圧、すなわち第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧によって、オン状態とオフ状態が切り替わる。正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態において、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも低く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧を超えるため、第1電界効果トランジスタFET1はオン状態となる。
第2電界効果トランジスタFET2は、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5との分圧回路によって定まる、接続点Zの電圧、すなわち第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧によって、オン状態とオフ状態が切り替わる。正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態において、第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第2電界効果トランジスタFET2のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧を超えないため、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。
サイリスタSCRは、第1固定抵抗R1の抵抗値と正特性サーミスタPTCの抵抗値とによって定まる、温度検知部6の接続点Xの電圧、すなわちサイリスタSCRのゲートGの電圧によって、オン状態とオフ状態が切り替わる。なお、このサイリスタSCRは、常時、サイリスタSCRのゲートGの電圧(ゲートG−カソードK間の電圧)が、その閾値電圧よりも高く設定され、オン状態となる様に設定しておく。
これにより、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れるか否かは、第2電界効果トランジスタFET2の状態によって決まる。すなわち、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間の電流は、第2電界効果トランジスタFET2がオン状態の時に流れ、オフ状態の時には流れない。よって、正常に直流電圧が負荷4に供給されている状態においては、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態であるため、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流は流れない。
直流電源3から負荷4に直流電圧が供給されている状態において、短絡等に起因する異常発熱が発生すると、急激に正特性サーミスタPTCの温度が上昇する。正特性サーミスタPTCの温度が上昇すると、正特性サーミスタPTCの抵抗値が上昇し、温度検知部6の接続点Xの電圧が上昇する。
なお、この異常発熱は、負荷4が短絡することに起因する場合だけではない。第1電界効果トランジスタFET1のドレインDと負荷4との間の電源ライン1bと、接地ライン2における第2固定抵抗R2の接続点と負荷4との間の接地ライン2と、の間が短絡することに起因する場合も起こり得る。
接続点Xの電圧が上昇すると、NPN型トランジスタQ2のベースB−エミッタE間に流れる電流が増加する。この電流が第2固定抵抗R2を流れることにより、接続点Yの電位も上昇する。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低くなるため、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となる。
第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となることによって、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止される。すなわち、直流電圧供給回路100は、正特性サーミスタPTCによって異常発熱を検知することにより、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給を停止する。
第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となると、直流電圧供給回路100の負荷4側の電源ライン1bの電位は、負荷4側が短絡状態の電位、すなわち0Vもしくは0Vに近い電位となる。この時、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5とによって定まる接続点Zの電圧、すなわち第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は所定値よりも低く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧を超える。その結果、第2電界効果トランジスタFET2がオン状態となる。第2電界効果トランジスタFET2がオン状態となると、サイリスタSCRのアノードAとカソードKとの間に電流が流れる。
すなわち、負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電位である限り、第2電界効果トランジスタFET2がオン状態を継続する。その結果、接続点Yの電圧、すなわち、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも高い電圧が維持される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低い状態を維持するため、第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態を継続する。
オン状態のサイリスタSCRは、電源ライン1とサイリスタSCRのアノードAとの導通を切らない限り、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流が流れ続ける。すなわち、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されて、異常発熱が停止し、正特性サーミスタPTCが自然に冷却され、正特性サーミスタPTCの抵抗値が降下しても、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流は流れ続ける。これは、NPN型トランジスタQ2がオンし、PNP型トランジスタQ1がオンの場合、温度検知部6の接続点Xの電圧が低下しても、NPN型トランジスタQ2のベースBにPNP型トランジスタQ1のコレクタCの電流(電圧)が印加され続けるため、NPN型トランジスタQ2がオン状態を継続し、それに伴ってPNP型トランジスタQ1もオン状態を継続するからである。
したがって、直流電圧供給回路100は、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることにより、異常発熱が停止し、正特性サーミスタPTCが自然に冷却され、正特性サーミスタPTCの抵抗値が降下しても、負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電位である限り、第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態を継続する。よって、直流電圧の供給が自動的に再開されることはない。
直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止された後、直流電圧供給回路100から負荷4を切り離すと、直流電圧供給回路100の負荷4側の電源ライン1b端は開放状態となる。そのため、接続点Zの電圧、すなわち第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は、第4固定抵抗R4を介して、電源ライン1の電圧となる。この時の第2電界効果トランジスタFET2のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第2電界効果トランジスタFET2のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低下するため、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。これにより、サイリスタSCRのアノードA−カソードK間に電流は流れなくなる。
そして、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4と交換したうえで、改めて直流電圧供給回路100と負荷4を接続すると、正常動作状態に復帰し、直流電圧の正常な供給を再開する。
以上のように、直流電圧供給回路100は、負荷4側の短絡等に起因する異常発熱により、いったん直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されると、その後に正特性サーミスタPTCの温度が降下したとしても、負荷4側の電源ライン1bが短絡状態の電圧である限り、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が再開されることはない。
したがって、本実施形態にかかる直流電圧供給回路100においては、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止した後に、直流電圧供給回路100から負荷4を切り離し、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4に交換したうえで、改めて直流電圧供給回路100と負荷4を接続することにより、安全に直流電圧の供給を再開させることができる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態にかかる直流電圧供給回路200の回路図である。ただし、図5に示すのは、直流電圧供給回路200の等価回路図である。
直流電圧供給回路200は、図4に示した第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、温度検知部6が、直列に接続された第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとで構成され、第1固定抵抗R1側が電源ライン1に接続され、正特性サーミスタPTC側が接地ライン2に接続されていた。直流電圧供給回路200は、これに変更を加え、温度検知部16を、直列に接続された負特性サーミスタNTCと第1固定抵抗R11とで構成し、負特性サーミスタNTC側を電源ライン1に接続し、第1固定抵抗R11側を接地ライン2に接続した。直流電圧供給回路200の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
直流電圧供給回路200では、異常発熱が発生すると、負特性サーミスタNTCの温度が上昇し、負特性サーミスタNTCの抵抗値が降下し、温度検知部16の接続点Xの電圧が上昇する。そして、接続点Xの電圧が上昇すると、NPN型トランジスタQ2のベースB−エミッタE間に流れる電流が増加し、接続点Yの電位も上昇する。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGの電圧は所定値よりも高く設定される。その結果、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG−ソースS間の電圧は、その閾値電圧より低くなるため、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態となる。その結果、第1電界効果トランジスタFET1によって直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止される。
本実施形態にかかる直流電圧供給回路200も、異常発熱により直流電圧の供給が停止した後には、その後に負特性サーミスタNTCの温度が降下したとしても、直流電圧供給回路200から負荷4を切り離し、改めて直流電圧供給回路200と負荷4を接続しなければ直流電圧の供給が再開されないため、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷に交換したうえで、安全に直流電圧の供給を再開させることができる。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態にかかる直流電圧供給回路300の構成を示す図である。ただし、図6に示すのは、直流電圧供給回路300の等価回路図である。
直流電圧供給回路300も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路300は、直流電圧供給回路100の温度検知部6の正特性サーミスタPTCと並列に、更に、第1コンデンサC1を接続した。また、接続点Yと接地ライン2との間に、第2コンデンサC2を接続した。さらに、直流電源3側の電源ライン1aと接地ライン2との間に、第3コンデンサC3を接続した。さらに、直流電源3側の電源ライン1aとPNP型トランジスタQ1のベースB(NPN型トランジスタQ2のコレクタC)との間に、第6固定抵抗R6を接続した。さらに、第1電界効果トランジスタFET1のゲートGと接続点Yとの間に、第7固定抵抗R7を接続した。直流電圧供給回路300の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
図7は、図6の回路の第1変形例である。図7に示す直流電圧供給回路300の構成では、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される抵抗R3が追加される。適切な抵抗値の抵抗R3を追加することにより、接続点Yの電圧を調整することができる。
図8は、図6の回路の第2変形例である。図8に示す直流電圧供給回路300の構成では、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される抵抗R3が追加され、さらに、リセット回路7に代えてリセット回路17が含まれる。リセット回路17は、接続点Zと負荷4側の電源ライン1bとの間に接続された抵抗R5が追加される。適切な抵抗値の抵抗R3,R5を追加することにより、接続点YおよびZの電圧を調整することができる。図6、図7、図8の基本的な構成と動作は共通するので、以降は図8を用いて詳細な説明を行なう。
直流電圧供給回路300は、第1コンデンサC1を付加したことにより、サイリスタSCRのゲートG(NPN型トランジスタQ2のベースB)にノイズが印加されても、そのノイズを第1コンデンサC1経由で接地ライン2に落とすことができる。そのため、この様なノイズによって第2固定抵抗R2に流れる電流による、接続点Yの電位の変動が抑制され、第1電界効果トランジスタFET1が誤作動によってオフ状態になることがなく、誤って直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることがない。
本実施形態にかかる直流電圧供給回路300は、第1コンデンサC1を付加したことにより、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによる誤作動によって直流電源3から負荷4への直流電圧の供給が停止されることがないという効果も奏している。
また直流電圧供給回路300は、第2コンデンサC2を付加したことにより、ノイズ等による接続点Yの電位の微小変動が緩和されるため、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG電位が安定する。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによって第1電界効果トランジスタFET1が誤動作することが抑制されるという効果も奏している。
さらに直流電圧供給回路300は、第3コンデンサC3を付加したことにより、ノイズ等による電源電位の微小変動が緩和される。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによって直流電圧供給回路300が誤動作することが抑制されるという効果も奏している。
さらに直流電圧供給回路300は、第6固定抵抗R6を付加したことにより、異常発熱時に、NPN型トランジスタQ2に流れる電流を増幅し、確実に第1電界効果トランジスタFET1がオン状態になる。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、異常発熱時に、直流電源3から負荷4への直流電圧の供給を確実に停止することができるという効果も奏している。
さらに直流電圧供給回路300は、第7固定抵抗R7を付加したことにより、ノイズ等による接続点Yの電位の微小変動が緩和されるため、第1電界効果トランジスタFET1のゲートG電位が安定する。その結果、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、ノイズによって第1電界効果トランジスタFET1が誤動作することが抑制されるという効果も奏している。
図8の構成においては、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、第6固定抵抗R6、第7固定抵抗R7の全てを備えた回路が開示されているが、これに限らない。図6、図7に例示したように、これらの素子の少なくとも1つを備えることによって、直流電圧供給回路100の奏する効果に加えて、よりよい効果を奏することが可能となる。
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態にかかる直流電圧供給回路400の構成を示す図である。ただし、図9に示すのは、直流電圧供給回路400の等価回路図である。
直流電圧供給回路400も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、サイリスタSCRが、PNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2とで構成されていた。直流電圧供給回路400は、これに変更を加え、サイリスタSCRとして、単体の電子部品を使用した。直流電圧供給回路400の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
単体の電子部品からなるサイリスタSCRも、PNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2とで構成されたサイリスタSCRと同等に機能する。
このように、本発明の直流電圧供給回路において使用するサイリスタSCRは、PNP型トランジスタQ1とNPN型トランジスタQ2とで構成しても良いし、単体の電子部品であっても良い。
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態にかかる直流電圧供給回路410の構成を示す図である。ただし、図10に示すのは、直流電圧供給回路410の等価回路図である。
直流電圧供給回路410も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、電源接続回路9のスイッチング素子として、第1電界効果トランジスタFET1を使用し、リセット回路7のスイッチング素子として第2電界効果トランジスタFET2を使用した。直流電圧供給回路410は、リセット回路7に代えてリセット回路27を備え、電源接続回路9に代えて電源接続回路29を備える。電源接続回路29は、第1電界効果トランジスタFET1に代えてPNPバイポーラトランジスタBT1およびベース電流の制限抵抗R7を備え、リセット回路27は、第2電界効果トランジスタFET2に代えてPNPバイポーラトランジスタBT2およびベース電流の制限抵抗R8を備える。直流電圧供給回路410の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。
図11は、図10の回路の変形例である。図11に示す直流電圧供給回路410の構成では、直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に接続される抵抗R3が追加される。適切な抵抗値の抵抗R3を追加することにより、接続点Yの電圧を調整することができる。また、図11に示す直流電圧供給回路410の構成では、さらにコンデンサC1〜C3が追加される。コンデンサの追加により、第3実施形態と同様にノイズ耐性が向上する。
図10、図11で示した構成のPNPバイポーラトランジスタBT1,BT2も、電界効果トランジスタFET1,FET2と同等に機能する。
このように、本発明の直流電圧供給回路において使用するスイッチング素子は、電界効果トランジスタで構成しても良いし、バイポーラトランジスタで構成しても良い。またIGBTなど他のスイッチング素子を使用しても良く、これらを組み合わせて使用しても良い。
[第6実施形態]
第6実施形態では、主として図1の温度検知部6の変形について説明する。
図12は、第6実施形態にかかる直流電圧供給回路430の構成を示す図である。ただし、図12に示すのは、直流電圧供給回路430の等価回路図である。
直流電圧供給回路430も、第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、温度検知部6が抵抗R1と正特性サーミスタPTCを直列に接続した構成であったが、直流電圧供給回路430は、温度検知部6に代えて温度検知部26を備える。
また、直流電圧供給回路430は、リセット回路7および電源接続回路9に代えてそれぞれリセット回路27および電源接続回路19を備える。直流電圧供給回路430の他の構成は、直流電圧供給回路100と同じにした。なお、リセット回路27については、図10、図11で説明しており、電源接続回路19については、図6〜8で説明しているのでここでは説明を省略し、温度検知部26について詳細に説明する。
図13は、温度検知部の第1例である温度検知部26の構成を示す回路図である。温度検知部26は、固定抵抗R1および正特性サーミスタPTCと、固定抵抗R9および基準抵抗Rrefと、コンパレータCPとを含む。固定抵抗R1および正特性サーミスタPTCは、電源ライン1aと接地ライン2との間に直列に接続され、中間接続点から電圧Vptcを出力する。固定抵抗R9および基準抵抗Rrefは、電源ライン1aと接地ライン2との間に直列に接続され、中間接続点から電圧Vrefを出力する。コンパレータCPは、電圧Vptcと電圧Vrefを比較する。
電圧Vrefは、固定電圧であり、電圧Vptcは温度の上昇に応じて上昇する電圧である。正常時には、Vptc<Vrefとなっており、異常発熱時にはVptc>Vrefとなるように、正特性サーミスタPTCの特性に合わせて固定抵抗R1,R9、基準抵抗Rrefの抵抗値が決められている。
コンパレータCPの負極性入力ノードは、電圧Vrefを受ける。またコンパレータCPの正極性入力ノードは、電圧Vptcを受ける。したがって、正常時には、コンパレータCPは、ローレベルを出力し、異常発熱時にはコンパレータCPは、ハイレベルを出力する。その結果、接続点Yの電圧は、正常時よりも異常発熱時に上昇するので、第1電界効果トランジスタはオフ状態となる。このように実施の形態1ではサイリスタSCRは常時オン状態としていたが、このようにサイリスタSCRは初期状態においてオフ状態であっても良い。
図14は、温度検知部の第2例である温度検知部36の構成を示す回路図である。図13の固定抵抗R1,R9の代わりに、図14に示すように定電流源IS1,IS2を使用してもコンパレータCPは同様に動作する。このように、抵抗による分圧で電圧を決める構成に代えて、定電流源で電圧を決める構成としても良い。
図15は、温度検知部の第3例である温度検知部46の構成を示す回路図である。温度検知部46のように、図13または図14の構成において、正特性サーミスタPTCを電源ライン1a側に接続し、抵抗R1または定電流源IS1を接地ライン2側に接続するように配置を入れ替え、基準抵抗Rrefを電源ライン1a側に接続し、抵抗R9または定電流源IS2を接地ライン2側に接続するように配置を入れ替えた場合には、コンパレータCPが正極性入力にVref2を受け、負極性入力にVptc2を受けるように接続を変更すればよい。
なお、図12〜図15では、感温素子として正特性サーミスタPTCを例示したが、感温素子として、負特性サーミスタNTC、熱電対、バイメタルブレーカー、IC温度センサなどを使用しても良い。
[第7実施形態]
第7実施形態では、主として図1の状態保持回路8の変形について説明する。
図16は、第7実施形態にかかる直流電圧供給回路440の構成を示す図である。直流電圧供給回路440は、温度検知部26と、リセット回路7と、状態保持回路であるリセット端子付きフリップフロップ18と、リセット端子の電位を決定するためのプルダウン抵抗R11と、電源接続回路である第1電界効果トランジスタFET1とを備える。温度検知部26は、第6実施形態で説明したように、コンパレータCPが出力部に設けられている。リセット端子付きフリップフロップ18は、ハイレベルおよびローレベルを出力可能であるので、図3等の抵抗R2は不要である。リセット回路7および他の構成は、実施の形態1と同じである。以下、フリップフロップ18の動作を説明する。
フリップフロップ18のD端子は常にハイレベル(論理1)に設定されている。フリップフロップ18のCLK端子には温度検知部26の出力が接続されている。
負荷4が接続されていない初期状態において、直流電圧供給回路440が直流電源3に接続されると、接続点Zはハイレベルとなるので、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。このためプルダウン抵抗R11によってリセット端子がローレベル(アクティブ)に設定され、フリップフロップ18の出力Qの初期値はローレベル(論理0)に設定される。これにより、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態となり、負荷4が接続されると直流電圧を供給可能である。
正常状態において、正特性サーミスタPTCの抵抗値が低い場合、コンパレータCPからの出力はローレベルのまま変化しないので出力Qはローレベルを維持し、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態を維持する。
異常発熱によって温度検知部26の温度が上昇しコンパレータCPの出力がローレベルからハイレベルに変化すると、立ちあがりエッジで出力Qはハイレベルに変化し、第1電界効果トランジスタFET1をオフにする。このとき、負荷4またはコネクタ端子の短絡によって、電源ライン1bの電圧が降下していればリセット回路7の第2電界効果トランジスタFET2が導通し、リセット端子/Rの電圧がハイレベルとなるので、フリップフロップ18のリセットが解除される。
その後温度が下がりコンパレータCPの出力がハイレベルからローレベルに立ち下がっても、フリップフロップ18は出力Qをハイレベルに保持するため第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態のままである。
リセット端子/Rは、負荷4を電源ライン1bから外すとリセット回路7によってリセットがかかる。すなわち、短絡状態にあった負荷4が外れると、電源ライン1bがハイレベルとなるため、第2電界効果トランジスタFET2がオフ状態となり、リセット端子/Rがプルダウン抵抗R11によってローレベル(アクティブ)になり、フリップフロップ18はリセットされる。これにより、フリップフロップ18の出力Qはローレベルに変化するので、第1電界効果トランジスタFET1は導通し、直流電圧供給回路440は再び負荷4に直流電圧を供給可能な状態となる。
図17は、第7実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路450の構成を示す図である。直流電圧供給回路450は、図16の構成のフリップフロップ18が状態保持回路28に置換されたものである。他の構成は、図16と同じである。
状態保持回路28は、インバータ281と、SRラッチ回路282とを含む。SRラッチ回路282は、NORゲート283,284によって構成される。
負荷4が接続されていない初期状態において、直流電圧供給回路450が直流電源3に接続されると、接続点Zはハイレベルとなるので、第2電界効果トランジスタFET2はオフ状態となる。このためプルダウン抵抗R11およびインバータ281によってSRラッチ回路282のリセット端子Rがハイレベル(アクティブ)に設定され、SRラッチ回路282の出力Qの初期値はローレベル(論理0)、出力/Qの初期値はハイレベル(論理1)に設定される。出力/Qがインバータ285によって反転され、これがゲートに与えれられるので、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態となり、負荷4が接続されると直流電圧を供給可能となる。
正常状態においては、コンパレータCPからの出力はローレベルのまま変化しないのでSRラッチ回路282の出力/Qはハイレベルを維持し、第1電界効果トランジスタFET1は導通状態を維持する。
異常発熱によって温度検知部26の温度が上昇しコンパレータCPの出力がローレベルからハイレベルに変化すると、SRラッチ回路282のセット端子Sはハイレベルに変化し、応じて直ちに出力/Qはローレベルに変化する。すると、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態に変化する。このとき、負荷4またはコネクタ端子の短絡によって、電源ライン1bの電圧が降下していればリセット回路7の第2電界効果トランジスタFET2が導通するので、SRラッチ回路282のリセット端子/Rはローレベルとなる。
その後温度が下がり温度検知部26の出力がハイレベルからローレベルに立ち下がっても、SRラッチ回路282は出力/Qをローレベルに保持するため第1電界効果トランジスタFET1はオフ状態のままである。
負荷4を電源ライン1bから外すとリセット回路7によってSRラッチ回路282にリセットがかかる。すなわち第2電界効果トランジスタFET2がオフし、抵抗R11とインバータ281によってSRラッチ回路282のリセット端子Rはハイレベルとなる。これにより、SRラッチ回路282の出力/Qはハイレベルに変化するので、第1電界効果トランジスタFET1は導通し、直流電圧供給回路440は再び負荷4に直流電圧を供給可能な状態となる。
以上図16、図17に示したように状態保持回路をフリップフロップやラッチ回路などで構成してもよい。
[第8実施形態]
図18は、第8実施形態にかかる直流電圧供給回路500の構成を示す図である。ただし、図18は、直流電圧供給回路500の説明図である。
直流電圧供給回路500は、第4実施形態にかかる直流電圧供給回路400を、アダプタ51、ケーブル52、USBコネクタ53(オス型USBコネクタ53a)に組込んだものである。なお、USBとは、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)を略したものであり、コンピュータ等の情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つである。
アダプタ51は、直流電源3と電源スイッチ5とを備える。直流電源3は、たとえば、交流の商用電源を、所望の電圧の直流に変換した電源である。なお、本実施形態においてはアダプタ51を使用したが、アダプタ51に代えて、パーソナルコンピュータなどの電源を、直流電源として使用しても良い。また、電源スイッチ5は必須のものではない。
ケーブル52には、複数の信号ライン55と、電源ライン1と、接地ライン2、異常発熱検知ライン57、58とが含まれている。信号ライン55は、アダプタ51と電子機器54との間の信号交換に使用される。また、上述したように、アダプタ51に代えてパーソナルコンピュータを使用した場合には、信号ライン55は、パーソナルコンピュータと電子機器54との間の信号交換に使用される。
USBコネクタ53は、オス型USBコネクタ53aと、メス型USBコネクタ53bとで構成されている。オス型USBコネクタ53aとメス型USBコネクタ53bとは、相互に、嵌合と離脱とが可能になっている。オス型USBコネクタ53aとメス型USBコネクタ53bとは、それぞれ接点を備え、それぞれの接点どうしを接触させることにより、所定のラインどうしの電気的接続をはかることができる。
オス型USBコネクタ53aは、ケーブル52を介して、アダプタ51に接続されている。メス型USBコネクタ53bは、電子機器54の筐体に取付けられている。
オス型USBコネクタ53aの絶縁体部分には、第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとからなる温度検知部6が埋設されている。第1固定抵抗R1は、一端が異常発熱検知ライン57の一端に接続され、他端が接続点Xに接続されている。異常発熱検知ライン57の他端はケーブル52を経由して、直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。正特性サーミスタPTCは、一端が接地ライン2に接続され、他端が接続点Xに接続されている。接続点Xは、ケーブル52を経由して、異常発熱検知ライン58によって、アダプタ51内に設けられたサイリスタSCRのゲートGに接続されている。
電子機器54の種類は任意であるが、たとえば、携帯電話、スマートフォン、音楽プレーヤーなどである。アダプタ51の内部には、サイリスタSCR、電界効果トランジスタFET1,FET2、第2固定抵抗R2、第3固定抵抗R3、負荷4が設けられている。負荷4は、たとえば、電子機器54の蓄電池などである。
上述したとおり、サイリスタSCRのゲートGが、温度検知部6の接続点Xに接続されている。また、サイリスタSCRのアノードAが、第2電界効果トランジスタFET2を介して、直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。サイリスタSCRのカソードKが、第2固定抵抗R2を介して、接地ライン2に接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aと接続点Yとの間に、第3固定抵抗R3が接続されている。
電源ライン1に、第1電界効果トランジスタFET1が挿入されている。より具体的には、第1電界効果トランジスタFET1のソースSが、直流電源3側の電源ライン1aに接続されている。電界効果トランジスタFET1のドレインDが、負荷4側の電源ライン1bに接続されている。第1電界効果トランジスタFET1のゲートGが、サイリスタSCRのカソードKと、第2固定抵抗R2と第3固定抵抗R3との接続点Yに接続されている。
直流電源3側の電源ライン1aとサイリスタSCRのアノードAとの間に、第2電界効果トランジスタFET2が接続されている。より具体的には、直流電源3側の電源ライン1aに第2電界効果トランジスタFET2のソースSが接続され、サイリスタSCRのアノードA(PNP型トランジスタQ1のエミッタE)側に第2電界効果トランジスタFET2のドレインDが接続されている。
また、第1電界効果トランジスタFET1のソースSとドレインDとの間に、並列に、第4固定抵抗R4と第5固定抵抗R5とが、接続点Zを介して、直列に接続されている。接続点Zと第2電界効果トランジスタFET2のゲートGとが接続されている。
直流電圧供給回路500においては、電源ライン1および接地ライン2を経由して、直流電源3から負荷4へ直流電圧が供給される。なお、上述したとおり、第1電界効果トランジスタFET1のドレインDと負荷4との間の電源ライン1、および、接地ライン2における第2固定抵抗の接続点と負荷4との間の接地ライン2は、それぞれ、途中で分断可能とされ、分断された電源ライン1および接地ライン2が、オス型USBコネクタ53aおよびメス型USBコネクタ53bからなるUSBコネクタによって接続されている。直流電圧供給回路500の他の構成は、直流電圧供給回路400と同じにした。
直流電圧供給回路500は、正特性サーミスタPTCによってUSBコネクタ53近傍の異常発熱を監視し、異常発熱を検知した場合には、接続点Xの電圧が上昇し、NPN型トランジスタQ2のベースB−エミッタE間に流れる電流が増加し、接続点Yの電位も上昇する。これにより、第1電界効果トランジスタFET1をオフ状態にして、直流電源3から負荷4へ直流電圧の供給を停止させる。
なおこの異常発熱は、電子機器54内の負荷4が直接異常状態となって、異常な負荷4を介して電源ライン1と接地ライン2との間が短絡状態となる場合だけでなく、例えば、USBコネクタ53に異物が挟まり、これが原因で負荷4側の電源ライン1bと接地ライン2との間が短絡状態となる場合などでも発生する。
直流電圧供給回路500は、異常発熱を検知して、直流電圧供給を停止した後に、正特性サーミスタPTCが自然に冷却されて温度が降下しても、直流電圧供給回路500から負荷4を切り離さない限り、サイリスタSCRがオン状態を継続し、第1電界効果トランジスタFET1がオフ状態を継続し、直流電圧の供給が自動的に再開されることがない。したがって、直流電圧供給回路500は、直流電圧の供給が停止した後に、直流電圧供給回路500から負荷4を切り離し、異常発熱の原因を調べ、異常発熱の原因を取り除いたうえで、もしくは、異常がない負荷4に交換したうえで、改めて直流電圧供給回路500と負荷4を接続することにより、直流電圧の供給を安全に再開させることができる。この直流電圧供給回路500においては、負荷4の切り離し、および、再接続を、オス型USBコネクタ53aとメス型USBコネクタ53bを切り離し、および、再接続することによって容易におこなうことができる。
図19は、第8実施形態の変形例にかかる直流電圧供給回路510の構成を示す図である。図18に示した構成では、オス型USBコネクタ53aの絶縁体部分には、第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとからなる温度検知部6が埋設され、直流電圧供給回路500の他の構成要素は、ケーブル52によって接続されたアダプタ51内に配置されていた。これに対し、図19に示す直流電圧供給回路510では、USBコネクタ53に代えてUSBコネクタ153を備える。
USBコネクタ153は、オス型USBコネクタ153aと、メス型USBコネクタ153bとで構成されている。
オス型USBコネクタ153aは、ケーブル52を介して、アダプタ151に接続されている。メス型USBコネクタ153bは、電子機器54の筐体に取付けられている。
オス型USBコネクタ153aの絶縁体部分には、第1固定抵抗R1と正特性サーミスタPTCとからなる温度検知部6だけではなく、直流電圧供給回路510全体が埋設されている。
図19に示すように、オス型USBコネクタ153aの絶縁体部分に直流電圧供給回路510全体を埋設することによって、アダプタ151の構成を簡単にすることができる。
[第9実施形態]
第9実施形態は、リセット回路の構成を変更したものである。第1〜第8実施形態では、リセット回路7は、電源ライン1bの電圧がローレベルからハイレベルに復帰したことに応じて状態保持回路をリセットしていた。しかし、状態保持回路のリセットは、必ずしも電源ライン1bの電圧に基づいて実行する必要はない。たとえば、負荷側コネクタが直流電圧供給回路から外されたことを検出しても良い。
図20は、第9実施形態にかかる直流電圧供給回路600の構成を示す図である。直流電圧供給回路600は、図3に示した第1実施形態にかかる直流電圧供給回路100の一部に変更を加えたものである。
直流電圧供給回路100では、リセット回路7によって状態保持回路8をリセットした。直流電圧供給回路600は、リセット回路7に代えてリセット回路37を備える。またコネクタ43によって負荷4と接続される。
コネクタ43は、オス型コネクタ43aと、メス型コネクタ43bとで構成されている。オス型コネクタ43aとメス型コネクタ43bとは、相互に、嵌合と離脱とが可能になっている。オス型コネクタ43aとメス型コネクタ43bとは、それぞれ接点を備え、それぞれの接点どうしを接触させることにより、所定のラインどうしの電気的接続をはかることができる。
オス型コネクタ43aとメス型コネクタ43bとが嵌合状態となると、スイッチCNTが導通し、抵抗R9の端部が接地ライン2に接続される。これにより接続点Zの電圧が低下し、第2電界効果トランジスタFET2が導通する。一方、オス型コネクタ43aからメス型コネクタ43bが離脱されると、スイッチCNTはオフし、抵抗R9の端部は開放状態となる。これにより接続点Zの電圧がハイレベルとなり、第2電界効果トランジスタFET2がオフする。なお、スイッチCNTは、必ずしも設けなくても良く、単にメス型コネクタ43b側で抵抗R9の端子を接地ラインに接続するように配線されていればよい。
直流電圧供給回路600の他の構成は、図3の直流電圧供給回路100と同じであるので、説明は繰り返さない。
なお、図20では、負荷側コネクタが直流電圧供給回路から外されたことを検出してリセットを行なう例を示したが、例えばユーザが操作するリセットスイッチを設けても良い。
以上、第1実施形態〜第9実施形態にかかる直流電圧供給回路100〜600について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更を加えることができる。
たとえば、各実施形態の等価回路図は、本発明に関連する構成を抜き出して示したものであり、他の電子部品や、他の機能が付加されても良い。また、本発明の趣旨を損なわない範囲で、回路が変更されても良い。
各実施形態において、直流電圧供給回路100〜600から負荷4を切り離すとは、負荷4の部分だけを電源ライン1から切り離すことだけを意味しない。第1電界効果トランジスタFET1のドレインDと第5固定抵抗R5との接続点と、負荷4との間の電源ライン1b上で、その接続を切り離すことも、この意味に含まれる。
また、直流電圧供給回路500では、コネクタにUSBコネクタ53(オス型USBコネクタ53a、メス型USBコネクタ53b)を使用したが、他の種類のコネクタであっても良い。また、直流電圧供給回路500では、正特性サーミスタPTCをオス型USBコネクタ53aに設けたが、これに代えて、正特性サーミスタPTCを電子機器54側に設けても良い。
また、各実施形態を相互に組み合わせて用いても良い。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1a,1b,102 電源ライン、2,103 接地ライン、3,101 直流電源、4,104 負荷、5 電源スイッチ、6,16,26,36,46 温度検知部、7,17,27,37 リセット回路、8,28 状態保持回路、9,19,29 電源接続回路、18 フリップフロップ、43,43a,43b,53,53a,53b,153,153a,153b コネクタ、51,151 アダプタ、52 ケーブル、54 電子機器、55 信号ライン、57,58 異常発熱検知ライン、100,200,300,400,410,430,440,450,500,510,600,1100 直流電圧供給回路、105,PTC 正特性サーミスタ、281,285 インバータ、282 ラッチ回路、283,284 NORゲート、BT1,BT2 バイポーラトランジスタ、C1〜C3 コンデンサ、CNT スイッチ、CP コンパレータ、FET,FET1,FET2 電界効果トランジスタ、IS1,IS2 定電流源、NTC 負特性サーミスタ、Q1,Q2 トランジスタ、R1〜R11,Rref 抵抗、SCR サイリスタ、SW1,SW2 スイッチング素子。